船員「船長!宝の地図です!」海賊「そんな事より働け」

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217 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 01:28:23.69 ID:HgOYhf3M0
海賊「さぁ大人しくするんだ。なに痛みは感じないさ、今度は切断じゃなくて消滅だからな!!」ジリジリ

パスタ「キュルルン…」

海賊「覚悟ォーーー!!」

コック「ま、待ってくれーーー!!」バッ

海賊「何!?」

218 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 01:31:53.24 ID:HgOYhf3M0
コック「殺さないでやってくれ!こいつは確かにパスタだ、そしてたくさんの人に迷惑もかけた……でも!!」

コック「一つの生命なんだ!ありえない事だが、食べ物に宿った命なんだ!!」

パスタ「チュル…」

コック「だから……こいつをどうか……」

船員「どうします?」

海賊「どうもこうも処刑は決まってるぞ。つーかテメーが撒いた種だろーが」

コック「そんな殺生な!!」

下っ端C「あ、船長、いい事考えました」

海賊「え?」クイッ ザクッ

コック「ギャー!!なんか俺が斬られたーーー!?」

219 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 01:35:49.45 ID:HgOYhf3M0
下っ端C「この子、売り飛ばしたらそこそこいい値段すると思うのですけど」

海賊「そーだなー、珍しい変異体みたいなもんだしそっちの方がいいかなー」

海賊「かっ捌いて実験に使われたりサンプルとして薬漬けにされたり最悪脳だけ取り出されて機械に繋がれたり」

パスタ「!!?」

コック「やめろー!!そんなのパスタじゃない!!俺の知ってるパスタは皆を笑顔に……」

海賊「出来なかったから殺処分だっつってんだろ」グリグリ

コック「踏まないで!!ド頭踏まないで!!」



船員「船長ウチの被害が大きくなった分だけ海賊っぽくなっていくなぁ……」

下っ端B「死活問題だしまぁ……」

220 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 01:39:39.86 ID:HgOYhf3M0
パスタ「プゥ…」ナデナデ

コック「パスタ……お前、俺を慰めてくれるのか?なんていい子なんだ!!だから俺はこの子を助けたいtガフッ」

パスタ「キシャー!!」ズシャッ


ゴブリン娘「生みの親に牙をむいたーーーー!?」

スライム娘「始めから主従関係など成立していなかったようですわお嬢様」

オーク娘「あのコック口にパスタの切れ端入れられて泡吹いてるにゃ」

船員「中毒症状の原因はアレか」

騎士「うっ、頭が……」

竜少女「よいよい、思い出さんでも」

221 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 01:42:33.72 ID:HgOYhf3M0
パスタ「ムギャー!!」

海賊「!」


下っ端A「ボス!!」

下っ端B「アブねぇ!!」

船員「ッ!!姫!!」

竜少女「?」


海賊「お前を処刑する一番いい方法を思いついたぞ」ガッ!

パスタ「ッ!!」

222 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 01:46:24.96 ID:HgOYhf3M0
海賊「私の手甲の重力を忘れたか?やはり所詮は低能なネズミか」

パスタ「ングッ!ンギッ!!」


下っ端A「いやアンタ……」

下っ端C「まさか普通につかむとは……」


海賊「あんまり美味くもねーけど、パスタの解体ショーと行きますか」

海賊「ちょいと高くて狙いにくいが……この位置から海に落ちりゃあスクリューに巻き込まれそうだな」

パスタ「ミギー!!」

海賊「手こずらせやがって……じゃあな、クソパスタ!!」


パスタ「―――!!」



グチャグチャ!!

223 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 01:48:30.57 ID:HgOYhf3M0
……


海賊「大変ご迷惑をおかけしました!!お客様の皆々様には深くお詫び申し上げます!!」ペコペコ

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」


騎士「何はともあれ一件落着ってところか」


コック「パスタ……我が子よ……」


騎士「……」

竜少女「同情するなよ。アレが原因じゃ」

224 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 01:51:59.76 ID:HgOYhf3M0
竜少女「しかし……」

船員「はい?なんですか?」

竜少女「いや、部外者のワシがあまり首を突っ込むような事ではないが……なにやら複雑そうな事情を抱えていると思ってな」

スライム娘「それに、身のこなしやら何やらを見てもやっぱり貴女……」

船員「なーに言ってんだか。私ゃただの船乗りですたい」

スライム娘「ふぅん、私と同じ臭いしかしませんわ」

ゴブリン娘「お前はいい匂いなのだ!」ダキッ

スライム娘「お、お嬢様!?」

225 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 01:54:45.97 ID:HgOYhf3M0
ゴブリン娘「お前からは何も……血なまぐささなど感じないのだ。だからそんな事をいうな……」

スライム娘「お、お……」

スライム娘「お嬢様ァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」ブバッ

オーク娘「鼻血臭いにゃ」


竜少女「お熱いのぅ」

船員「……オイちょっとまて!?私からは血なまぐささが漂ってるってか!?」

竜少女「ま、どう捉えるはお主次第じゃと思うがの」

船員「まったく意地の悪い人達ですねぇ」

226 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:08:22.05 ID:HgOYhf3M0
海賊「それよりもコックさんよお」ガシッ

コック「ヒィ!?」

海賊「ちょっと調べさせてもらったら、アンタの実家かなりの金持ちみたいだけど……弁償とかさ」

コック「こ、これ……親父のクレジットカードです」

海賊「どうも」ニッコリ


騎士「人間のクズだ……」

竜少女「どっちがとは聞かんぞ」


海賊「よし!盗るもん盗ったしそいつは海に捨てておけ!港も近いし泳いで渡れるだろ」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

コック「え!?ちょ!?ま……あーーーーーーーーー」


ポチャン


騎士「当然だよな」

竜少女「当然じゃの」

227 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:11:22.71 ID:HgOYhf3M0
――――――
―――



海賊「ご乗船」

「「「「ありがとうございました!」」」」

海賊「また御贔屓にお願いします!」


騎士「いやー、中々ハードな旅だったな」

竜少女「ま、退屈はせんで済んだがの」

キキッ

竜少女「おお、アンドレ。元気になったか」

キキッ!

騎士(名前変わってる……)

228 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:13:43.64 ID:HgOYhf3M0
騎士「ところで、あのへんてこりん3人組はどうした?」

海賊「アイツら港に付いた瞬間逃げました……」

騎士「……まぁ、差し出す気は無かったんだろ?」

海賊「ええまぁ……緊急だったのもあって食料については仕方ないと割り切りますけど」

船員「最後に冷蔵庫の中身持って行かれましたがな」

海賊「……」

竜少女「ドンマイじゃ」

229 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:17:45.59 ID:HgOYhf3M0
ゴブリン娘「我々はこの海上都市!ひいては海底都市で再起を図るのだー!!」ダダダッ

スライム娘「勇猛ですわお嬢様。あそこでめげずに食料を掻っ攫うなんて……ああ、素敵ですわお嬢様」

オーク娘「やることが一々小さいにゃ」モグモグ

スライム娘「おいコラ猫モドキ、文句言ってんじゃあねーぞ?」

オーク娘「海底都市に先に向かわせた部下達が事務所構えてるにゃ。とっととそこへ行くにゃボス」

ゴブリン娘「ふははは!!悪の組織は不滅なのだー!!」ダダダッ

ドシャッ


ゴブリン娘「……うぐゅ」ジワッ

オーク娘「ちゃんと前見て走るにゃ」

スライム娘「あぁ……泣き顔も可愛いですわお嬢様」ハァハァ

オーク娘「手ェ貸してやれよ」

230 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:22:21.32 ID:HgOYhf3M0
海賊「……なんかあのゴブリンの娘が転んで涙ぐんでるビジョンが見えた」

船員「怪しい薬でもキメてんですか船長?」

騎士「その歳で薬はやめとけよー?碌な人生送れなくなるぞ?」

海賊「やってないからな!?」

船員「ところで、貴方達はこのまま海上都市へ?」

騎士「そうだな……ちょっと探し物があるから」

竜少女「大したものではないがの。海底都市に水竜の伝説があると聞いてな」

海賊「竜……」

船員「伝説とか言ってますけど、たしか普通に竜族のシーサーペント棲息してましたよね?」

竜少女「まぁ、それはそれじゃ……」

騎士「じゃあ俺たちはこれで」

竜少女「世話になったの!」

231 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:24:31.83 ID:HgOYhf3M0
船員「なんだかお客さん続々と降りて行きますねー」

海賊「当然だろ、ここを目的地とした人が大半なんだから」

船員「一周年記念っつっても、最後までウチの旅に付き合ってくれるヒトが少なくて寂しいですねー」

海賊「ま、所詮は運搬業、こんなもんだよ」

船員「張り切ってコレクション晒したくせに」ボソッ

海賊「……」

海賊「……」ジワッ

船員「はいはい泣かない泣かない」

232 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:25:58.32 ID:HgOYhf3M0
黒髪少女「あら、こんばんは、小さな船長さん」

海賊「あ、どうも」

船員「貴女もここで降りるんですか?」

黒髪少女「いいえ、ちょっと買い出しに行くだけで私は居残り組ですよ。最後まで貴方達の旅にお供するつもりです」

海賊「ありがとうございます!」パァァ

黒髪少女(可愛い)

船員(可愛い)

233 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:27:55.03 ID:HgOYhf3M0
船員「あ!それより何でネズミ討伐に参加してくれなかったんですかー!人手足りなかったんですよー!」

海賊「ンなもん強要してないから別にいいだろ」

黒髪少女「中々面白かったそうですね。判断を見誤りました」

船員「そうそう!いやーまさか船長がみんなの前で裸体を晒すことになろうとは……」

海賊「 無 い よ ! ? そ ん な 場 面 ま っ た く ! ? 」

黒髪少女「フフ、やっぱり行事には積極的に参加すべきでしたね」

234 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:38:12.76 ID:HgOYhf3M0
黒髪少女「それでは今日はこの辺で。また明日からの旅を楽しみにしています」

海賊「はい!おやすみなさい!」

黒髪少女「ええ、おやすみなさい……」

船員「残ってくれる人もいるのは嬉しいですね」

海賊「ホント……」

235 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:39:54.62 ID:HgOYhf3M0
船員「船長、一応今から急ピッチで修理させて、明日の昼過ぎには予定通り出港できるようにはします」

海賊「ああ、その為に腕のいい連中を雇ったからな」

海賊「……」

海賊「出費が痛かった」

船員「一言多いなーもう☆」

236 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:41:48.05 ID:HgOYhf3M0
船員「今日はもうお部屋に戻ってお休みになられたらどうですか?やること無いですし」

海賊「そうだなー。他の仕事も何だかんだでニューメンバーが受け持ってくれてるし……ってかアイツら残るんだな」

船員「そりゃあ、ちょっと強めの呪い掛けましたから」

海賊「なんか話と違くない?」

船員「それはそれ、これはこれ」

237 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:44:04.40 ID:HgOYhf3M0
……

海賊「……疲れた」

海賊(こうして企画して、私自身が人前で色々やるなんて初めてだからどうなるかと思ったけど)

海賊「……どうにもならない事多すぎじゃね?」

海賊「それはともかく……はぁ、昨日から自室に戻ってなかったが、こりゃ酷い。私の部屋まで被害受けてたか」

海賊「ああもう、壁にまで穴が開いて……ん?何だコレ、手紙?」

238 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:50:06.42 ID:HgOYhf3M0
海賊(親父宛て……そういや、ここって元々親父の部屋だったしなぁ。でも何で壁の中にこんなもん隠してんだ)

海賊「小難しい事書いてあってよく分かんねぇや……それに……この紋章」

海賊「確か、ブリファライトの保有国の……」

海賊「"石のありかは地図に記す"……」

海賊「……そういやあの地図にも同じ紋章があったな……てっきり親父が悪戯で書いたものだと思っていたが、文章だけだったのか」

海賊「……なんて書いてあったかは読んでなかったな」

海賊「……」

海賊「ええい忘れろ忘れろ!!大体気色悪いなオイ!?こんな場所に隠すなんて!?」

海賊「もう寝る!!修理は明日考える!!おやすみ私!!」

239 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/01(水) 02:50:35.77 ID:HgOYhf3M0
小休止、やっと前半終了
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/01(水) 02:52:49.20 ID:3TwkYmZk0
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/01(水) 06:49:08.37 ID:M6cJ0hsfo
乙ー
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/01(水) 21:00:39.95 ID:77Xi1EPQ0
パスタのパスタが作品を追う毎に暗黒進化していく…
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/04(土) 22:19:22.01 ID:XQMSofQ7O
パスタが宇宙を創成する日もそう近くないな…
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/04(土) 22:48:40.73 ID:MCmlYuAlO
下げ
245 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:15:21.46 ID:04nZ5GLo0
再開
246 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:17:53.44 ID:04nZ5GLo0
――――――
――


海賊「〜♪」

船員「ちょっ、船長待ってくださいよー!」

海賊「あんまり遅いと置いていくぞ〜」

船員「全くもう機嫌めっちゃよくなっちゃって……」

海賊「そりゃあ良くもなるだろ。昨日の深夜に船の修理終わったんだから」

船員「まぁそりゃそのおかげで午前中はこうしてお買い物できるくらいには余裕が出来ましたけど……」

247 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:20:39.52 ID:04nZ5GLo0
船員「ちょっとおかしくないですか?急ピッチで進めても昼前に終わらせる予定だったのに」

海賊「早く終わるに越した事はないだろう。3時間ばかりだか他の船員たちにも休みをやれたのは大きいし」

船員「ありがたいですけど何だかなぁ」

海賊「しかし、あの商人に感謝だな。まさか安価でここまでしてくれるとは」

船員「チョーうさんくせーですよあの着物の商人!!」

248 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:23:28.88 ID:04nZ5GLo0

―――
――――――


下っ端A「船長!申し訳ないっす!俺達じゃ対応できなくて……」

海賊「あーもう……なんだよこっちは眠りかけだったのに呼び出して……」

下っ端B「いや、今すぐに船を直せるって奴が現れましてね」

海賊「なんじゃそら、無理に決まってんだろ。ちょっとそいつ通せ」

下っ端C「了解です。はいってらっしゃい」

249 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:25:25.47 ID:04nZ5GLo0
下っ端A「……」

下っ端B「……」

海賊「……来ないな」

下っ端C「オイどこ行った!?」

ガチャ

船員「せんちょー、なんか業者が大量に船に乗り込んできてますけど、こんな時間から修理ですか?」

海賊「は!?」

250 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:29:13.32 ID:04nZ5GLo0
……

商人「オイてめぇら!!私に"貸し"を大量に作っておいてタダじゃあ終わらせねぇぞ!!」

商人「ニーア商会に捨てられた船大工共!!誰が拾ってやったと思ってんだァ?恩に報いろ!惜しまず働け私の為に!!明日この船が予定通り出なきゃ色々こっちの計画が狂っちまうんだよ!!ホラそこサボんなコンチクショウ!!こっちは監視も付けてんだぞ」

剣士「ふぁ〜……」ウツラウツラ

幽霊「……もう11時だよ、寝ようよ」

子ウサギ「ウキュウ……」

商人「ホラお前たちは連中の働きを監視してろ!!レアアイテムが手に入るかどうかがかかってんだよ!!」

剣士「コイツは何でこんなに元気なんだ……」


海賊「オイこら貴様らぁああああ!!」

商人「おんや?」

251 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:31:36.68 ID:04nZ5GLo0
海賊「これは私の船だぞ!何許可なく勝手に業者入れてんだ!?」

商人「おお、貴女がこの船の船長さんですか!どうも、ワタクシ旅商人の林檎と申します!お近づきの印としてリンゴ飴でもどうぞ」

海賊「おー、こりゃご丁寧にどうも……じゃなくてだな!!」ペロペロ

船員「船長、こんな時間に食ったら虫歯になりますよ」

商人(食べはするのか)

252 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:42:55.55 ID:04nZ5GLo0
船員「それより何が目的ですかいアンタ。ウチは借金だらけだからまともに金は払ないぞ」

海賊「悲しい事実を突きつけなくていい。その発言は私にしか効かない」

商人「いーですいーです。お金なんて取ろうとは思っちゃいないですから」

海賊「なに?」

商人「訳あって明日中にキッチリ出港してもらわないと私が困るんですよ。ホイ」

海賊「ん?ウチの乗船券じゃないか」

船員「って、客!?」

商人「そういう事ですねー」

253 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:45:42.01 ID:04nZ5GLo0
商人「腕は確かな奴らなんで、このくらい楽勝ですよ」

海賊「そんな事しなくても明日の昼前には……」

商人「直る保証ありますか?正直酷いありさまですけど」

海賊「そっ……それでも最新技術を駆使すれば……」

商人「まぁ最近の技術ならお金積めば船大工だけでなくとも魔法を使ってちょちょいのちょい!って感じですが……」

商人「お高いんでしょ?」ボソッ

海賊「うぐぅ!」

254 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:51:11.78 ID:04nZ5GLo0
商人「かるーく見積もって、ここらの工事代の半額以下に抑えられそうですし、私を信じて任せてくださいな……えっと、このくらいかな」カタカタ チーン

船員「せ、船長!?かなり安いですよ!?この商人何者ですか!?」

商人「ぬっふっふ、通りすがりのマルチ美少女着物商人とだけ伝えておきましょう!」

剣士「23歳は少女ではないぞ」

商人「黙れ護衛!!お前はもっと食い入るように監視しとけオラ!!」

剣士「……ま、そもそもコイツは20代には見えんか」


船員「船長、なんかこれ信用していいかどうか……」

海賊「し、しかしこの金額は魅力的だ……」

船員「揺らぎますかい」

255 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:55:53.72 ID:04nZ5GLo0
海賊「わ、分かった、信じよう!」

船員「お金に釣られちゃったー☆」

商人「いやぁ物分かりが良くて助かります!じゃあここにサインお願いしまーす!あ、詐欺とかじゃないんで一応全文目ェ通しといてくださいね」

海賊「……まぁ変なところは無いな」

船員「ちょーっとちょっと!犬耳商人!アンタの目的は何だってんだ!いくらなんでも気前良すぎだろ!」

商人「狼です。利害の一致ってやつですよ、私にも私の目的があるんで。あ、作業もう半分終わったみたいですね」

海賊「早ッ!!」

商人「まーこのペースなら深夜中には終わるでしょうし、船長さん達はドーンと構えて眠っててくださいな!オイこらサボんなウチの!!」

剣士「Zzz…」

幽霊「スヤァ」

子ウサギ「ウーキュー……」


船員「……」

256 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:57:48.59 ID:04nZ5GLo0
――――――
―――


海賊「お前、何だか最後まで気に入らなかったみたいだけど」

船員「先代の残した船をどこの誰かも分からない奴に触ってほしくなかっただけですよ」

海賊「お前そういうの気にする性格だっけ?」

船員「もーこのチビッ子は失礼な事平気で言うな!」

海賊「お前の方が失礼だって気づいてる?」

257 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/05(日) 00:59:35.64 ID:04nZ5GLo0
小休止
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 01:33:06.42 ID:qqxqtR+K0
乙。みんな大好き着物商人だー
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 01:37:36.53 ID:fY99fq1to
わぁい林檎ちゃんだー!
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/05(日) 04:37:50.39 ID:RQPYPmFJo
乙ー
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 04:44:30.58 ID:JSUmE/ZE0

林檎ちゃん出てくると安心する
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 05:03:32.39 ID:P1hbz/ffo
ssは面白いのに回りがただただ不快
別ssとのシェアワールドでの話何だろうけど>>1が繋がりがあるなんて言ってる訳じゃないのに別ssの話しかしないとか可哀想だわ
263 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 01:32:19.51 ID:BmzUPJxT0
再開
264 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 01:35:36.48 ID:BmzUPJxT0
船員「ところで船長、お買い物って何を買うんです?ほとんどネットの通販で済ませるのに出歩くなんて珍しい」

海賊「ああ、最近この海上都市に腕のいい鍛冶師が居るって話を聞いてな。武器の手入れと何か新作の装備でもないかと思って」

船員「年頃の娘っ子が見るもんじゃねぇよ!?」

海賊「これでもファッションにも気を遣ってるぞ?最近、フルプレートの鎧にハマっててな……」

船員「色気も何もありゃしねぇな!?」

265 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 01:38:47.25 ID:BmzUPJxT0
海賊「ここだな」

船員「随分近い所にあるんですね……ってか普通の工場だ」

海賊「普段こうした小さな工場を借りているらしいんだ。何でも、冒険者を兼業してるらしくてな」

船員「あの着物商人みたいに旅商人してる感じですか」

海賊「そういう冒険者の中にこそいい人材が埋もれてるんだよなー。お邪魔しまーす!武器見てくださーい」

船員「……」

船員「いや、せめて女の子らしく振る舞わせないと……嫁の貰い手無くなるぞオイ」

266 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 01:42:12.39 ID:BmzUPJxT0
仮面男「ん?お客さん?」

海賊「うわすっげぇビジュアルの人が出てきた」

船員「ッ!!」

仮面男「こんにちは、可愛いお嬢さん。私になにか用かな?」

海賊「いえ、腕のいい鍛冶師の話を聞いて来たのですが、貴方が?」

仮面男「ハハ、腕がいいかは分からないけれど。そうだね、私は鍛冶師をしているよ」

海賊「それじゃあ早速で悪いんですけど、私の武器のメンテナンスをお願いしたいのですが……」

仮面男「残念、今日はもう店仕舞いなんだ」

海賊「え?まだ朝も早いですよ?」

267 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 01:46:12.41 ID:BmzUPJxT0
仮面男「昼の便の船に乗る予定でね。もうこの地を離れるんだ」

海賊「あー……そっかー」

仮面男「申し訳ないけれど、そういう事なんだ……でも、本格的な事は出来ないけれど、一通り目を通して上げることくらいは出来るよ」

海賊「あ、それじゃあそれだけでもお願いします!これです」

仮面男「うん、それじゃあ確かに預かるね」


海賊「よかったー、変な仮面被って怪しいと思ったけど割といい人で」

船員「ッ……」

海賊「……どうした?」

船員「船長……あの男……」

海賊「?」

268 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 01:49:45.79 ID:BmzUPJxT0
仮面男「……」


海賊「あの人がどうかしたのか?」

船員「……あの、すみません」

仮面男「ん?私かい?」

船員「貴方以外誰が居るんですか。申し訳ありませんが、差支え無ければその仮面の下を顔を見せてもらえませんか?」

海賊「お、おい!失礼だぞ何言ってんだ!!」

仮面男「構わないよ。傷がある訳でも、正体を知られたくない訳でもないからね、ホラ」スチャ

船員「……」

仮面男「ま、素性が分からないような奴を信用は出来ないってのは理解しているよ」

海賊「そッそんなつもりは……お前何やってんだよ!とりあえず謝っとけ!」

船員「……すみません」

仮面男「いいよ、多分"君の言いたい事は分かる"から」

269 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 01:55:41.75 ID:BmzUPJxT0
仮面男「はい、点検終わったよ」

海賊「あ、どうも」

仮面男「いい腕の職人が作った斧だね。使い込まれてもいるし、このモデルが作られてからかなりの年月が経っているがほとんど原型を残している」

仮面男「ただ柄の部分が少し緩くなってるのと、魔導核の消耗が少し出てるね」

仮面男「永久式じゃないし、重力の魔導核は珍しいから、また同じ効果を持たせようとするとちょっと値が張るけれど……もっと手に入りやすくて使いやすいものに変えてみたらどうだい?」

海賊「いえ、これはこのままでいいんです」

仮面男「何か思い入れでもあるのかな?」

海賊「そんなものじゃないですよ。ただ、親父が借金と一緒に残したものの一つなんで、コイツとは長く付き合っていきたいと思って」

仮面男「そっか……でも、近々ちゃんとした鍛冶師に見てもらうといい。そのまま使い続けたら事故の元だからね」

海賊「ありがとうございました!」

270 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 02:00:58.91 ID:BmzUPJxT0
海賊「ところで、お昼に出発との事ですけど、どの船に乗るんですか?」

船員「……この時間だと出港する船は4隻ありますが」

仮面男「えっとねー……このチケットかな」ピラッ

仮面男「友人から渡されたものだから私も詳しくは知らないけれど」

海賊「……なぁ、これ見覚えあるぞ」

船員「いや船長、見覚え有るも何も……」

271 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 02:08:32.81 ID:BmzUPJxT0
――――――
―――



海賊「"おかげさまで海賊団立て直し1周年記念皆様ありがとう格安ちょっと遠出クルーズ"後半戦の開始です!」

海賊「本日は当船にご乗船いただき誠にありがとうございます!」

海賊「貴方様方は我が社のスポンサーとして超特待VIPとしてお招きさせていただきました」

海賊「どうぞ3日間、ごゆっくりとお過ごしくださいませ!」


仮面男「いやー、まさか彼らこの船に投資してたとはね。これ特待チケットだったんだ」

鎧少女「興味ない。私は部屋に籠るぞ」

仮面男「……数日ほったらかしにしたの怒ってる?」

鎧少女「うるさい鍛冶馬鹿、お前は一生ハンマー握ってろ」プイッ

仮面男「あ、ちょっと!そんな態度悪いと船の人に迷惑だよ」


海賊「……」

海賊(アレがウチのスポンサーの関係者とは……世の中分かんねぇな)

272 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/06(月) 02:08:58.90 ID:BmzUPJxT0
小休止
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/06(月) 02:18:53.27 ID:tvWOzW8so
乙ー
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/06(月) 02:56:07.32 ID:iF9QIyj/0
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/13(月) 00:29:58.09 ID:HekpDx+I0
小休止(1週間)
276 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:32:37.86 ID:ZaYG3Nhm0
安心してくれ、再開だ
277 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:34:53.57 ID:ZaYG3Nhm0
仮面男「まったく……」

海賊「あの……お二人はどのようなご関係で?」

仮面男「これでも夫婦だよ」

海賊(普段から仮面付けてたり鎧着てたりする夫婦ってどんなのだよ)

仮面男「言いたい事は分かるけど、まぁ気にしないでくれ」

278 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:41:10.58 ID:ZaYG3Nhm0
仮面男「それより、船長はキミなのかい?」

海賊「はい、こんな成りですが私がやらせていただいています」

仮面男「代替わりしたのかな……先代は?」

海賊「親父と知り合いでしたか……」

仮面男「いや、私ではなく私の妻の方が親交があったのでね」

海賊「去年に死にましたよ。そう聞きました」

仮面男「聞いた?」

279 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:47:36.61 ID:ZaYG3Nhm0
海賊「用事があるって言って船から出て行ってたんです。それから結構経ってから帰ってきたのが親父の遺品と死んだって報告」

海賊「ったく、人にこんなでっかい船押し付けて、どこかも知らないところで勝手に死ぬなんて親失格ですよ」

仮面男「そうとも限らないよ。君の事を思いながら逝ったのかもしれないし」

海賊「まさか、そんな確証どこにもありませんよ」

仮面男「世の中、邪魔な存在になると思って我が子を捨てた親もいるんだ。それに比べれば、ここまで君を育てた先代は私にとっては立派だと思うな」

海賊「立派なら理由を話さずに消えたりしませんよ」

仮面男「ま、事情があったにせよ子供を不安にさせるのは確かに良くはないね」

海賊「ふ、不安になんてなってませんよ」

仮面男「フフ」

280 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 00:56:04.77 ID:ZaYG3Nhm0
仮面男「それより、さっきの船員の彼女は?出来れば話がしたいのだけれど」

海賊「すみません、あんな態度取ってしまって……あいつも今は忙しいので時間が出来たら連れてきます」

海賊「っと、申し訳ありません。私はこの辺で失礼します!」

仮面男「ごめんね、忙しい身なのに」

海賊「いえいえ!VIPには優遇して接しておかないと後が怖いので……親父のクソ野郎が昔やらかして……」ブツブツ

仮面男(過去に何かあったのだろうか……)

海賊「では!いそげいそげー!!」

仮面男「フフ、何だか忙しない娘だったね」

仮面男「姿を消してないで出て来なよ」

鎧少女「……」

仮面男「あの様子だと、彼女は何も知らされていないみたいだね」

鎧少女「本当なら私達が口を出す事じゃない。ここでいう"先代"とあの"船員"がキッチリ全てを伝えるべき事だ」

仮面男「さて、どうなるかね……」

281 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:00:25.93 ID:ZaYG3Nhm0
……


下っ端A「3番テーブル注文入りました!!」

下っ端B「3番また来ました!!」

下っ端C「ちょっと3番間に合ってないですよ!!」


船員「人手が足りないって聞いてきてみりゃ……」


剣士「追加だ、この子羊のソテーをあと10皿持って来い」モグモグ

商人「……いやね?好きなだけ食ってもいいって言ったけどアンタちょっと……」

剣士「このスープも8皿追加だ」ズズー!!

幽霊「私達の乗船チケットに食べ放題プランついてるけどさ」

剣士「サラダがまだ来てないぞ。早くしろ」ガツガツ

子ウサギ「ウキュ……」

剣士「おい!足りないぞ!!」


船員「……なにこれ」

282 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:03:11.48 ID:ZaYG3Nhm0
海賊「オラァ!!デカ盛り肉三昧出来たぞ!!早くもってけ!!」ドドン☆

船員「船長なにやってんですか!?」

海賊「今の私は料理長だ!!つべこべ言わず持って行け!!」

船員「えぇ……」

海賊「コックを追放した責任を私自身が取っているだけだ!気にすんな!!」

船員「明らかに船長がやる仕事じゃないですよそれ……」

海賊「じゃあお前!この船で料理がまともに出来るやつを言ってみろ!!」

下っ端A「無理」

下っ端B「パス」

下っ端C「苦手」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「今までこの船よく運営出来てきたなオイ」

283 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:07:19.90 ID:ZaYG3Nhm0
剣士「腹減ったー飯食わせー」ドンドン


海賊「だあああああああああああ!!化け物が!!供給が追い付かん!!」

船員「まったく……船長、厨房私も立ちますよ」

海賊「え?お前料理出来たの?」

船員「失礼だなぁ☆」

海賊「今までの流れからして普通にそう思うだろうが……」

284 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:10:44.54 ID:ZaYG3Nhm0
船員「ずっと隠していましたが、実は私料理得意なんですよ」キュッ

下っ端A「おお、様になってるエプロン姿」

船員「そこらの貧乏人の舌を満足させるくらいなら、楽なもんですよ」

船員「ありったけの材料持ってきなさい!相手はまだ見ぬ怪物!!これは料理のし甲斐があるってもんですよ!!」

海賊「た、頼もしい……こいつが頼もしく見えるなんていつぶりだろうか……いや!ありはしなかった!!」

船員「船長、私に対してはホント容赦ないですね!悲しいぞ!」

285 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:12:32.83 ID:ZaYG3Nhm0
……数分後

剣士「マズイ」ペッ


船員「あるぇ?」

海賊「締め出せ」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「ちょっと待ってええええ!!間違いだから!!何かの間違いだから!!陰謀だから!!」

海賊「信用しろと?」

船員「信じて!!お願い!!」

286 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:17:44.11 ID:ZaYG3Nhm0
商人「ん?十分美味しいじゃないですか、アンタどんだけ舌肥えてんだよ」

剣士「こんな整った料理は嫌いだ、さっきのとかお前が作る感じのもっと雑でいい。食べにくくてしょうがない」

商人「雑ってなんだよ!?」

海賊「私の料理が雑って言われたーーー!!」

船員「横暴だ!!船長の料理スキルの低さを同時に露呈させるなんていくらお客さんでもやっいい事と悪い事が!!」

海賊「」

下っ端C「お前ちょっと黙ろう?な?」

287 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:20:55.65 ID:ZaYG3Nhm0
船員「それで、どうして私の料理がダメなんですかねぇ。自身があったんですけど」

剣士「味付けがまるで王宮で出すような整い過ぎて極端なものだ。冒険者の私にはマズくてしょうがない」

船員「なぬ!?」

商人「王宮で料理なんて食った事あるんですか?」

剣士「無い!」

商人「断言しきる辺り将来大物に慣れそうだなオイ」

288 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:22:25.23 ID:ZaYG3Nhm0
船員「チクショウ……昔培ったスキルが裏目に出るなんて……」ググッ

海賊「お前、ここに務める以前は何してたんだよ……」

船員「トップシークレットです!ああもうムカついたから船長料理の続きをお願いします!!」

海賊「結局私かー」

船員「もう絶対料理なんて作りませんからね!!」プンプン

海賊「いつも作らねぇじゃねぇか……」

289 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:25:50.14 ID:ZaYG3Nhm0
海賊「まったく……あとあの料理12皿だったっけ?」

黒髪少女「もう作っておきましたよ」

海賊「へいへい、ありがと……ファッ!?」

黒髪少女「ちょっとあの娘達のテーブルに気を取られ過ぎてましたね、他のお客さんを待たせてますよ。はい、4番テーブルと5番テーブルの料理です」

海賊「あ、えっと……なんで?」

黒髪少女「フフ、頑張る船長さんへの援護射撃ってところです。暇でしたのでお気になさらず」

海賊「ご、ごめんなさい……」

290 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:29:39.71 ID:ZaYG3Nhm0
船員「付き合いの長い私の事は信用しないくせにちょっと前に出会った黒髪美人にはホイホイついて行っちゃうんですねー。ジェラシーですよジェラシー」

海賊「んじゃあお前は料理運んでろよもう……」

黒髪少女「ま、私も経営者ですからここら辺の辛さは分かっているつもりですし」

金髪少女「客いない店の店主の癖に」

眼帯少女「……味見」

黒髪少女「ほらほら、あなた達も運んだ運んだ」

黒髪少女「不測の事態は付きまとうものです。料理人はもう少し抑えておくべきでしたね」

海賊「仰る通りで……」

黒髪少女「まぁ……今回はあのコックが全部悪いのですけれども」

291 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/13(月) 01:30:06.99 ID:ZaYG3Nhm0
小休止
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/13(月) 07:05:48.70 ID:7VTK3u35o
乙ー
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/15(水) 09:31:53.11 ID:AeXc2o0YO
いつ戻るのかとハラハラして待ってた
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/15(水) 21:05:11.34 ID:rJLueC/WO
下げ
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/15(水) 22:06:44.27 ID:PmCw6/wHO
296 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 00:53:39.25 ID:41t4j2kK0
再開
297 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 00:57:36.74 ID:41t4j2kK0
黒髪少女「ところで船長さん、この後この船はどちらまで?」

海賊「貿易で荷物を積んでいますので、航路の途中の小さな島を回りながら元の港へ帰ります」

海賊「途中、少し気候が乱れる海域も通りますので、その時はお気を付けください。私どもの方でもアナウンスいたしますので」

黒髪少女「あら、まるでおあつらえ向きかのようになにかが起こりそうな場所を通るんですね?」

海賊「はは……不穏な事は言わないでくださいよ」

黒髪少女「ヒト一人が持つ物語は、必ず起点となる事柄から始まります。貴女の物語は貴女の知らないところで既に始まっているのかもしれませんね。或は既に気が付いていて見て見ぬふりをしているか……」

海賊「?」

黒髪少女「フフ、気にしないでください」

298 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:03:04.11 ID:41t4j2kK0
船員「せんちょー、お客さんほとんど捌けましたよー」

海賊「ああ、ご苦労。あの大喰らいは?」

船員「まだ喰ってます」


剣士「この辛口とも甘口とも取れる絶妙な味付けのソースは私の舌を満足させる……」

商人「いやそれデザートのプリンだろ。お前の舌どうなってんだよ」


海賊「……食材が無くなったって言っておけ。これ以上は航海に関わる」

船員「了解でっす!」

海賊「出費が……頭が……」

黒髪少女「では、私達もこの辺で手伝いを終えさせていただきます」

海賊「あ、ありがとうございました。少ないですけどこれ、持って行ってください」

黒髪少女「勝手に厨房を借りたんです。お金なんて受け取れませんよ」

海賊「いえ、私秘蔵の特殊鉱石……」

黒髪少女「いりません」ニコッ

299 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:05:45.44 ID:41t4j2kK0
海賊「食堂はもうしばらくはいいとして……他の雑務はどうするかな」

船員「新入り達が大方やっちゃってるんで、船長の出番はないかと」

海賊「……スゲェ役に立ってるなアイツら」

船員「船ばっかり大きくて人員が少ない今までがおかしかったんですよ。やっぱりアイツら正式に雇いましょうよ」

海賊「無理させない程度にな……さて」

船員「水着ですかッ!!」

海賊「もう着ないぞ」

船員「チッ」

300 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:08:10.29 ID:41t4j2kK0
船員「せっかく可愛く写真も撮れたのになぁ。今の料理長スタイルとか」

海賊「なんで勝手に写真に収めてんだよ!?しかもデジカメかよ!?消せよ!?」

船員「船長の成長記録ですよー。ほら、去年お風呂でこっそり撮った写真も」

海賊「児ポーーーーーーーーーーーーーーーーー!!消せーーーーーーーーーーーーーー!!」

船員「これ見たら先代喜ぶだろうなぁ、ぐへへへ」

海賊「なんで喜ぶの!?親父は娘のナニをみて喜ぶの!?」

301 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:12:49.12 ID:41t4j2kK0
下っ端A「いつまで遊んでるんすか」

下っ端C「そろそろ手伝ってくださいよ。やっとあの人達席立ったんですから」

下っ端B「さっき売店でつまみ買ってくとか不穏な事言ってたぞ」

海賊「……購入制限設けておくか」

船員「で、船長。次どうするんですか?」

海賊「お客さんも大半が入れ替わったし、新しい催しでも考えているんだが」

船員「……」

海賊「なにかを諦めた目で私を見るな。もう鉱石は飾らないから」

船員「ですよねー!アハハ!船長がそんな無謀な事二度もするようなおつむの弱い娘じゃないって事は分かってましたよー!!」

海賊「……」グスッ

下っ端C「お前は定期的にトドメを刺しに行かないと気が済まないのか」

302 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/18(土) 01:43:19.40 ID:41t4j2kK0
小休止
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/18(土) 01:55:54.66 ID:y70iEN5ao
乙ー
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 04:04:57.46 ID:Gw7E6vwLO
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 17:34:28.21 ID:6YI0i9PcO
特技:きゅうしょづき
306 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:18:01.84 ID:RYh17OTO0
再開
307 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:19:47.89 ID:RYh17OTO0
海賊「では諸君!この資料を見てくれ!!」

船員「まーた作ってきたんですかい」

海賊「今回は前々から要望の多かったものを導入しようと検討して、それが国に通ったから改めて実装したんだ」

下っ端B「国の許可が必要なものとなると……」

下っ端A「カジノか!」

海賊「大正解!!」

308 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:24:32.12 ID:RYh17OTO0
下っ端C「当たれば収益は多く望めますね」

下っ端B「今の航海こそ格安ツアーだが、ウチは金持ちの客も少なくない」

下っ端A「しかしよく通りましたねこんなの」

海賊「ああ、知り合いに強い権力を持った人と繋がりがある人が居てな、その伝手でちょちょいと」

船員「人脈も力ですな!!」

海賊「お客さんには悪いが、ちょっと設定を渋めにしてしている。レートこそ低めだが……ウチの財政危機なんだ、これくらいは勘弁してもらおう!」

船員「やることエグいっすね!!流石海賊!!」

海賊「ははは、褒めるなよ」

船員「貶したんですよ?」

海賊「……」

309 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:27:07.57 ID:RYh17OTO0
海賊「実は設置はもう終わってて開店している。早速様子を見に行ってみる」

海賊「お前たちは後片付けを頼むぞ」

下っ端D「うっす」

下っ端E「おっす」

船員「じゃあ私もちょろっと……」コソッ

海賊「ウチの従業員は禁止な」ニコッ

船員「チッ」

海賊「お前の為に用意したんじゃないからな……」

船員「わーってますよ!じゃあとっとと見に行きますよ!!それレッツらゴー!!」

海賊「ふふふ!お客さんがウチにお金を落としてくれる様が目に浮かぶ!!」

310 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 19:29:19.10 ID:RYh17OTO0
……


鎧少女「……」ジャラジャラジャラジャラジャラ


海賊「……」

船員「船長、あれジャックポットってやつですか?」

海賊「」

船員「ねぇ船長ってばー」


鎧少女「あ、すまん。一向に終わらないんだがどうすれば止まるんだコレ?」


海賊「」ブクブクブクブク

船員「船長!?しっかりしてください船長!!?」

311 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 20:25:40.39 ID:RYh17OTO0
……

仮面男「私に黙ってカジノ行くの禁止って前々から言ってただろう?君が台打ちすればこうなることくらい分かってただろうに」ガミガミ

鎧少女「私の勝手だろう。それに、コイン吐き出すあのスロットが悪い」


海賊「お、おかしいな……設定何も変わってないのに……」

船員「幸運とか多分EXですよあの人……」

海賊「何の話をしとるんだお前は」

312 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/06/27(月) 20:26:38.87 ID:RYh17OTO0
小休止
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/28(火) 04:03:28.00 ID:7tFBNZZcO
乙ー
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/28(火) 20:55:22.16 ID:EH+Z1NXD0
おつ
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/08(金) 08:15:12.81 ID:VX+RCdKB0
まだか
316 : ◆cZ/h8axXSU [saga]:2016/07/14(木) 16:27:28.26 ID:0vGcqXrM0
まだしばらく休む
代わりに別のSS今日中に持ってくるから勘弁
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