ドイツ「地球立キチガイ学園にようこそ!今日も今日とて偽善に励むぞ!」

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380 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/10/29(土) 12:12:59.22 ID:NRtABYaS0

ロシア「父さんに何度手紙で訴えても、まともに取り合ってくれない!」

ロシア「ついには弟のイングーシの方も毒されてきたと言うのに」

ロシア「もしかして我々、父に愛されてないのでは」

ロシア「・・・・・・」

ロシア「・・・そそ、そんな、そんなわけ」

ロシア「待って!待ってください議長!」

ロシア「なんだよぉ」

ロシア「偉大なるお父様は、我々を愛してくださっていたのです」

ロシア「これが証拠です!」

ロシアは小包を開けて中身を確認する。

ロシア「これは・・・RS-28!」

ロシア「邪悪なアメリカ達はこれをサタン2と呼んで恐れることでしょうね」

ロシア「フランスなんかは一撃で木っ端微塵に出来る威力です」

ロシア「父さん・・・」

議長は涙を流したので、右手はハンカチで拭いてあげた。

ロシア「わかったよ、父さん」

ロシア「俺はこれを使って邪悪なアメリカ達を駆逐するよ!」

こうして、会議は終了した。
381 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/10/29(土) 12:13:56.42 ID:NRtABYaS0
  
>>>>>>>【ボーナスステージ】!!!!!!!

北朝鮮「うーん・・・ハッ!」

北朝鮮少年が目を覚ました。
なぜか彼はパンツ一丁で外に居た。
彼は思わず乳首を手で隠して、あたりを見回す。

北朝鮮「ボク・・・じゃない、余はなぜパンイチなんだ!?」

北朝鮮「ややっ、それにしても・・・ここは、学校の外にじゃないか!」

彼はキチガイ学園の防壁の外に出てしまったようだ。
これは、ブッダの微笑みのご利益なのかもしれない。

北朝鮮「改めて思うけど、監獄みたいな学校だよなぁ」シミジミ

北朝鮮「やった!あの恐ろしい世界から脱出できたぞ!」

北朝鮮「どうやら、余はついに縮地の術を体得したようだな」シシシ

※縮地法とは、道教における瞬間移動のような方術である。
この術は、北朝鮮の歴代将軍が使えることで国民には知られている。
『将軍様、縮地法を使う』という歌を参考すべし。

北朝鮮「余はついに、白頭神秘の術を体得したぞ!やっほーい!」

喜ぶのも束の間、彼は武装した特殊部隊に囲まれていた。

隊員「手を挙げろ!妙な動きをしたら即撃つ!」

北朝鮮「ヒエェェェ」
382 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/10/29(土) 12:14:46.29 ID:NRtABYaS0

北朝鮮は確保され、鎮静剤を打たれた。
彼はそのまま、校内の医務室へと連れて行かれるらしかった。

北朝鮮「嫌だ嫌だ!あんなとこに戻りたくないよ!出してよぉ」

呆れ顔の中年男性が、少年の方へ歩いてきた。
彼は部隊長であり、名は南極と言うらしい。

南極「全く・・・『若い男がパンツイチで倒れている』と通報を受けたから来てみれば」

南極「思った通り、このキチガイ病院の患者だったわ!」

南極「警備員も雇わずとは、今度の院長は特に管理が杜撰だな、ああ腹が立つ!」

南極「おい、院長のマクガフィンを呼べ!どうせ女と遊んどるわ!」

隊員「ハッ!」

南極「それから中華民国氏に連絡だ。結界が壊れているらしい」

南極「前の院長のほうがマシだったわ・・・」ブツブツ

383 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/10/29(土) 12:15:36.65 ID:NRtABYaS0
  
-------[人物紹介]--------

 トルコ
 :全般性不安障害と診断されてこの学校に送られてきた。ギリシャとは犬猿の仲。
  中東グループの一員だがEUグループのお近づきになりたがっている。
  一方でなかなかメンバーに加えてくれないEUメンバーに不信感を抱きつつある。
  また、シリアの第二人格を支援した疑いがあったり、ロシアと仲良い疑惑がある。

 パレスチナ
 :イジメが原因の心的外傷後ストレス障害と診断されて、この学校に送られてきた。
  しかし、当校に入院してすぐにイスラエルのイジメターゲットにされる。
  イスラエルによるイジメの数々によって常に満身創痍で、声も出せないらしい。
  中東グループは彼に同情的な模様。

 タタールスタン
 :ロシアの家の従者の一人。ロシアが入院してからは当番制で当校に送られている。
  校内サークル・スタンっ子倶楽部のメンバーでもある。
  従者内では珍しくないが、ロシアとの仲はややよろしくない。
  「やればできる!」が口癖で、明るく真面目な人物。

 アフガニスタン
 :反社会性パーソナリティ障害と診断されて、この学校に送られてきた。
  悪の限りを尽くすので、生徒達からは「帝国の墓場」という異名を送られる。
  メキシコ同様 麻薬の売人で、彼やコロンビアは悪友だという。
  パキスタンを敵認定しているが、やたら彼女に絡んでいる姿が見られる。

 パキスタン
 :自己愛性パーソナリティ障害と診断されたムスリムガール。
  アフガニスタンを敵認定しているが、やたら彼の悪事を手伝っている。
  従兄弟にインドとバングラディシュがいる。
  インドに対しては非常に憎悪していて、その縁で中国と仲がよくなったらしい。

 ベラルーシ
 :自己愛性パーソナリティ障害と診断されて、この学校に送られてきた少年。
   ロシアの従弟で、ロシアの父(ソ連)を非常に・非常に尊敬している。
   独占欲が激しく、ロシアの大親友を自称しているが彼にはしばしばスルーされる。
   美人の姉妹が多数いるために、色仕掛けにはビクともしない鋼の精神の持ち主。
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/29(土) 12:46:35.32 ID:yvQE88220
悲し
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 13:03:17.70 ID:ZOhsgy/d0
乙です 今回も面白かった!!
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 18:25:19.32 ID:Fj4ckxUY0
ロシアさんの基地外度がぱないなww
387 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/11/02(水) 20:03:56.14 ID:L+2tDZyt0
今、二度目の番外編を書いてます
主人公はアメリカ(現在アメリカの祖母)で、ヒロイン(?)は日本(現在日本の祖母)です
アメリカの設定はだいたいイギリスからの独立後〜南北戦争手前あたりの擬人化です
日本は第13話の>>303に出てきたキャラで、江戸幕府時代の擬人化です
そのほかにも何人か祖父キャラが出てきます
元ネタは黒船来航その他もろもろ
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/03(木) 10:13:41.28 ID:K01ldXml0
>>387 いつもありがとう
389 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:43:51.71 ID:D/Bj172j0

番外編:ドカン!と一発ホームラン

「コロンビア!コロンビア!」と友人達に呼ばれて、放課後に大騒ぎしたあの頃はもう遠い昔。
幼馴染達はみんな結婚してしまって、大学に行ったのはあたしだけ。
高校のラテン語教師になろうと思って3年間勉強したけれど、
その初めの半年ほどで「教師になるのは非常に難しいのだ」と悟ってしまった。
あたしは要領の悪い人間だから、熱意だけではとても教職に就けない。
あたしと同じ種類の人たちが、非常勤講師で苦労する現実を目の当たりにしながら、
そのままズルズルと大学に通い続けた。
もう4年生になったから、現実と戦わなくてはならない。

父に突然呼び出されたものだから、
てっきり教師を諦めてお見合いするように言われるのだと思ったら、違っていた。
父の話を聞いて、あたしはとびきり喜んでOKの返事をした。

後日あたしは胸ときめかせて、電話を待っていた。

チリリィンーチリリィィン

ガチャン!

アメリカ「ひゃい!アメリカです!##」

噛んでしまった。

電話主「地球立メンタルヘルスケアスクールです。Mademoiselle アメリカでよろしいわね?」

アメリカ「はい!はい!あた・・・私です!」

電話主「教育実習の件だけど、いつからこちらに来てくださるのかしら?」

アメリカ「いつでも・・なんなら明日からでも大丈夫です!」

電話主「あらあら、やる気は十分ね」

アメリカ「エヘヘ」
390 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:45:07.89 ID:D/Bj172j0

地球立メンタルヘルスケアスクールは、あたしの父が少年時代を過ごした施設。
(と言っても、父の時は前身の大地立青少年精神医療センターだったのだけどね。)
精神病院と聞くと不穏な感じがするけど、ここはすごいのよ!

何でもここの卒業生(退院患者というべきかしら?)は、軒並み大物ぞろいなの。
いろんな業界のトップを牛耳っていて、この病院出身者の派閥があるらしい。
あたしは父の紹介で、教育界の実力者から教職の本採用を融通してもらえることになった。
その条件が、地球立メンタルヘルスケアスクールで教育実習をすることというわけ。
コネクションって最高で最強!

電話主「でも大丈夫かしら・・・特に問題のある生徒がいるのよ」

全員問題のある生徒なんじゃないの?とあたしは思ったけど、黙っておいた。

電話主「日本さんっていう女の子、というより女性ね。あなたよりやや年上くらいの」

電話主「実のところ教育実習というのは建前で、その女性の心を開いて欲しいの」

アメリカ「はぁ・・・日本さんというのはどんな方なんですか?」

電話主「入院して以来ずっと部屋に引篭もってるのよ」

電話主「あなた、当院の方針はご存知?」

アメリカ「えと・・・あの・・・その・・・」

電話主「いいの、答えられないと思って訊いたのよ。秘密だもの」

電話主「当院の方針はね、悪く言えば患者を野放しにすることなの」

電話主「担任教師はいるけれど、極力生徒に干渉しないようにしているわ」

電話主「だからあなたも、担任教師には会えないでしょうね」

アメリカ「それって大丈夫なんですか?」

電話主「そう思うでしょう?それが、確かな成果をあげているのよ」

アメリカ「そうですよね、現に私の父も完治してるようですし・・・」

電話主「でもね、この方針が逆効果の患者も当然いるのよ」

電話主「彼女は未だに治療の成果が見られないから―――方法を変えようと思ってね」
391 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:46:13.19 ID:D/Bj172j0

電話主「彼女が退院できないと、他の生徒もいつまでたっても退院できないから」

アメリカ「え?そういうものなんですか?」

電話主「ええ、そういうものよ。互いに影響し合う、それが当院の治療の心髄なの」

電話主「だから、彼女の引篭もりをやめさせることが出来れば、あなたの仕事は達成よ」

アメリカ「わ、わかりました」

あたしはぼんやりと、資料に目を通していた。
何気なく、担当教諭の名前が目に付いた。

アメリカ「もしかして・・・担当教諭のMrs.ル・ダウ(Le Dahu)はあなたですか?」

電話主「え?ふふふ!それじゃ明日から、教育実習頑張ってね」

電話の相手はあたしの質問に答えてくれなかった。
あたしはちょっとモヤモヤしたけれど、本採用のためならこのくらいどうってことないわ。

翌日、あたしはメンタルヘルススクールへと向かった。
そこは何だか刑務所のようで、ここにきてあたしは少し怖くなった。

ガシャァァァァン!!!

あたしが門をくぐるや否や、門は大きな音を立ててひとりでに閉まった。

アメリカ(引き受けちゃったけど大丈夫かなぁ。精神病患者しかいないのに)

案内人はいないし、あたしは院内地図を頼りに校舎へ向かった。

???「おや、お嬢さんは編入生ですか?」

スラッと背の高い青年に突然声をかけられたものだから、あたしはびっくりして転びかけた。

アメリカ「おっとっとっとっと!」

ロシア「大丈夫ですか?驚かせてしまった」
392 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:47:36.26 ID:D/Bj172j0

アメリカ「ごめんなさいね、あたしは教育実習生なの」

ロシア「じゃあ大学生?とすると、僕より年下じゃないか」

アメリカ「あなたはここの生徒?」

ロシア「一応はそうだけど、僕に疾患なんてないよ。僕はロシアだ、よろしく」

名簿で彼の名前を探す。

アメリカ「・・・えっと?あなた重度の浪費癖を治すためにここにいるらしいわね」

ロシア「理不尽だろう?欲しいものを買って何が悪いのだろうね」

なるほど、随分高価そうな服を着てると思った。
なんて思いながら、あたしは彼の身なりをしげしげと見つめた。

ロシア「よし、じゃああなたを皆に紹介しよう」

あたしは彼について行って、談話室や校庭で遭遇した生徒たちに挨拶する。
精神病院という割には皆落ち着いていて、あたしを快く歓迎してくれた。

アメリカ(あたし前後の年齢の生徒ばかりね・・・)

通常はだいたい中高生くらいの年齢で固まるらしい。
ル・ダウ学級も初めはそのくらいの年齢層だったみたいだけど、
そのままほとんど誰も退院出来ないまま年月が過ぎたようね。

ロシア「この学校を卒業すれば、中学と高校の卒業資格がもらえるのだけどね」

ロシア「僕はとっくに高校生の歳じゃないね、ハハハ」

アメリカ「大学に進みたい?」

ロシア「音大にね。これでも作曲家志望さ」
393 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:48:40.73 ID:D/Bj172j0

生徒は互いに影響し合う・・・か。
電話の人の話が本当なら、
あたしが日本さんの引き篭もりをやめさせれば、
結果として彼らの卒業も早くなるのよね。
あたしよりも年上なのにまだまだキャンパスライフ先延ばしだなんて、
そんなの可哀想すぎるよねぇ!

アメリカ(うーん、これは想像以上に責任重大かも)

アメリカ「ロシアさん、日本さんのお部屋に案内してくれるかしら」

ロシア「日本嬢に?でも彼女は誰にも会いたがらなくて・・・」

アメリカ「いーのいーの!いいから連れてって」

----------------------

ロシア「ここだよ」

アメリカ「Oh・・・」

すっごい部屋。というか扉。
頑丈な鉄格子に守られて、扉そのものには重々しい鎖がびっしり。

アメリカ「どうやってコミュニケイトしろってのよ!」

ロシア「僕も何度か試みたけど駄目だったんだ」

ロシア「一日中ここで、情熱的にピアノの弾き語りをしたけど駄目だったよ!」

彼はバリトン・ボイスで「乙女はなぜ拒むのか」と即興オペラを歌いだした。
長くなりそうだったから、あたしはやんわりとそれをやめさせた。

アメリカ「彼女、本当に誰とも話さないの?どうやって生きてるのよ」

ロシア「一応いることにはいるけど・・・」

ロシアさんはその話し相手を連れてきてくれた。

清「白豚は再びアヘンで私をボロボロにするか」

アメリカ「一体あなたの身に何があったの!?」
394 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:50:19.60 ID:D/Bj172j0

清「あれ?すみません、一度崩壊した自我はそう簡単に元に戻らないんですよ」

清「一度砕け散った器が二度と元には戻らないが如く・・・うごごごごごご」ガクガクガク

アメリカ「もういい、お休み!」

彼は日本さんの幼馴染らしいのだけど、彼さえも部屋には入れてもらえないのだという。

アメリカ「あなただけなの?」

清「引篭もり仲間の朝鮮とは文通してますね」

清「従者の琉球はさすがに部屋に入れてもらえてますが、彼は生徒じゃありません」

清「あーあと、もう一人(オランダ)居たんですが、あいつはもう退院しました」

清さんはあたしにカードを渡してきた。
カードには「オランダ東インド会社代表取締役・ネーデルラント連邦共和国」と書かれていた。

清「あいつの手作りの名刺です。架空の社名が痛々しいのは勘弁してやってください」

清「あいつは『金髪の美人に渡したい』とずっと言ってましたから、あなたにあげます」

アメリカ「そ、そう・・・で、どうやって彼女と話してるの?」

清「まず、門の脇にあるインターホンを押します」ピンポーン

清「すると、扉のポストから糸電話がでてきます」スルスル

アメリカ(何でインターホンで喋らないのかな・・・)

清「そして、扉の足元にある犬猫用のドアに手を突っ込んで物を渡すんです」

アメリカ「徹底してるわねぇ」
395 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:51:54.87 ID:D/Bj172j0

清「先生、彼女に話しかけてみてください」

アメリカ「えっ大丈夫なの?」

清「オランダの知り合いだということにしては?名刺もありますし」

アメリカ「わ、わかったわ」

あたしは糸電話を手にとって喋ろうとしたんだけど、そのとき

||日本「ちょっと清!いつまで待たせるのよ!」

って怒鳴られてしまった。

アメリカ「あ、あたしオランダ君の紹介で来たアメリカっていうの」

||日本「は?!え?!」

アメリカ「あたしとお友達になりましょうよ」

||日本「そ、そんな急に・・・ちょ、ちょっと待ちなさい!」

||日本「あ、あなたがオランダの紹介で来たって証拠はあるの?!」

アメリカ「彼からもらった名刺があるわ」

||日本「じゃあそれをポストに入れてちょうだい」

そう言われたから、あたしは腕を伸ばして名刺をポストに入れた。
そしたら足元の方からシャッター音がした。

パシャッ

足元を見ると、カメラを持った手が伸びていた。
その手はすぐに引っ込んだわ。

扉の奥から

||日本「んほぉぉぉ!!!」

という変な声がした。
396 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:52:54.70 ID:D/Bj172j0

||日本「ちょっ・・・金髪巨乳ガールだなんて卑怯よ!」

アメリカ「ふぇ!?変なとこ見ないでよ!」

||日本「それに・・・それに・・・・・・!!!」

||日本「ギャアアアアアアアアアアアア!!!!」

アメリカ「何何何!どうしたの!?」

もはや糸電話のいらない距離にいたから、直接扉に向かって話しかけた。

||日本「うるさいわね!突然どこからともなくクロコダイルが出てきただけよ!」

アメリカ「クロコダイル?なんでこんなところに」

||日本「あなたにわたしの呪いなんか理解出来ないわ!」

||日本「わたしが破廉恥なことを考えたりされたりしたら、ありえない超常現象が起こるの!」

アメリカ「え?・・・じゃああなた今、破廉恥なことを考えたの?」

||日本「あっ///」

||日本「し、仕方ないでしょ!あなたを下から撮ったんですもの!」

アメリカ「いやいや普通はそんなことで破廉恥な発想にはならないでしょ!」

||日本「お、お黙り!あなたは歩くハレンチなんだわ」

||日本「どうせ、わたしのおパンツを盗んで黒板にはり出すつもりなんでしょ!」

アメリカ「誰がそんなことするか!」

||日本「帰って!あなたなんか大嫌いだわ!」

糸電話がスルスルと回収されていく。
397 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:54:14.17 ID:D/Bj172j0

アメリカ(何・・・何なのこの人!)

清「彼女は先祖代々の呪いで、エロいことに関わると超常現象が起こるんですよ」

ロシア「そのせいで彼女は引き篭もりになったみたいだね」

アメリカ「何それぇ・・・そんなのあるのー?」

アメリカ「ていうか彼女、何であたしでエロい発想するのよ!」

清「さぁ?レズなんじゃないですか?」

アメリカ「ひええ!」ゾゾーッ

アメリカ(あれ・・・待てよ?)

このとき、あたしの頭に名案が浮かんだ。

アメリカ(これは使える?でもあたしがめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど)

アメリカ(いや・・・これも全て本採用のため!我慢我慢・・・)

アメリカ(でもやっぱり恥ずかしいよ〜〜〜〜っ)

翌日、あたしは作戦を決行した。

あたしはインターホンを鳴らして、糸電話で彼女を呼んだ。

||日本「またあなた?もう来ないでくださる?!」

アメリカ「いいから扉の前まで来て」

||日本「嫌よ!」

アメリカ「あら、いいのかしら?あたし今・・・・・・」
398 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:55:11.74 ID:D/Bj172j0

アメリカ「チアリーダーの格好して待機してるのよ」

超ーー恥ずかしい。

後ろからの男性陣の視線が痛い。女生徒の視線も突き刺さる。
あたしだってやりたくてやってるんじゃないのよ!

||日本「・・・ッ」

||日本「〜〜〜〜ッ〜〜〜〜〜〜〜〜」ブンブンブン

||日本「・・・・・・」コクリ

パカッ

ペット用のドアから、カメラを持った手が出て来た。

アメリカ(お出ましね!)

パシャーパシャーパシャー!

カメラのシャッター音が鳴り響く。

アメリカ(パンツが写る角度で撮るなんて、彼女やっぱりド変態だわ!)

アメリカ(性犯罪者予備軍!##)イヤーン

||日本「グフフフフ・・・ええのぅ、ほとばしるこの若さがええのぅ!///」

||日本「わああ!なぜよ!なぜミツバチの大群が発生するのよぉ!?」

||日本「いやーーーーーーっ来ないで!あっちいけあっちいけ!」

アメリカ(あの部屋の中どうなってるのよ)
399 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:56:12.63 ID:D/Bj172j0

あたしの作戦はこう。

恥を忍んであたしはいやらしい格好をして、彼女にスケベな発想をさせる。
そうすれば彼女は超常現象によって酷い目に遭う。
その間にあたしは新たに別のいやらしい格好をする。
彼女は懲りずにまたそれをカメラに収めて、スケベな発想をするわ。
そしてまた彼女は超常現象によってこっぴどい目に遭うのよ!

これを彼女が「ノー!」と言うまで繰り返すの。

あたしの自尊心と彼女、どちらが先にくたばるか?のデスマッチよ。

-------

アメリカ「ナース!」

||日本「白衣の天使キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!!!!!」

||日本「やだやだやだ!地面が底なし沼になっちゃった!どんどん沈むぅぅぅぅ」

ドロドロドロ

-------

アメリカ「アメリカンポリス!」

||日本「わたしを逮捕してくださァァァい##」」

||日本「ウワアアア!血管内に尺取虫がいる!」

ピクン・・・ピクン・・・

||日本「殺さなきゃ、注射器で殺さなきゃ心臓に到達するわ!」

-------

400 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:57:33.85 ID:D/Bj172j0
-------

アメリカ「レースクイーン!」

||日本「あなたに見とれてコース外れちゃう##」

コッチヲミロォ!!キュルキュルキュル・・・

||日本「なんてこったぁ!こんなところにシアーハートアタックが!!」

-------

アメリカ「マリリン・モンロー!」

||日本「ププッピドゥ!」ハナヂブーッ

||日本「ドスケベボディに興奮するあまり鼻血出ちゃったわ」ブーッ

||日本「あれ?」ブーッ

||日本「やだ・・・やだぁ、鼻血止まんない!ドマ゙ン゙ナ゙イ゙ヨ゙ォ!」

ブーーーッボタボタボタボタ・・・

-------

アメリカ「美少女戦士セーラームーン!」

||日本「お仕置きだなんて、ご褒美じゃないの///」ジュルリ

||日本「いやあああ!ハブの大群が体にまとわりついて、性感帯を的確に締め付けてくる!」

||日本「らめぇぇぇ公武合体しちゃうぅぅあひぃ!琉球助けてぇぇぇ」

||琉球「何やってんですかアンタは・・・」

アメリカ(従者居たんかい!)

-------
401 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/03(木) 23:59:14.78 ID:D/Bj172j0
-------

アメリカ「バニーガール!」

||日本「いいぜぇ、おい・・・いいぜぇ!」パシャーパシャーッ

||琉球「いいです」

||日本「霧吹きかけていいぜぇ!」パシャーパシャーッ

||琉球「はい」

||日本「いいよなぁ?なぁ?」

||琉球「はい」

||日本「本当にいいぜぇ・・・風送っていいぜぇ!」パシャーパシャーッ

||琉球「いいですね」

ズゴゴゴゴ

||日本「ええええ!何で密室で突如竜巻が発生するのよ!!」

----
-----------

アメリカ「はぁ、はぁ・・・とうとう最後の一着になったわ」

||日本「ま、まだあるの?いいわ・・・最後だもの、舐めまわすように見てやるわ」

アメリカ「あなたも体力が限界のようね」

||日本「何度も死にかけたわ、でもあなたなんかに負けるもんですか」
402 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/04(金) 00:00:14.29 ID:fJvYxCYS0

アメリカ「こっちだって負けるわけにはいかないわ」(本採用のためにも!)

アメリカ「最後通告よ、出てきなさい日本さん!さもなきゃ死ぬわよあなた」

||日本「絶対嫌よ!殺せるものなら殺してみな!」

アメリカ「わかった・・・ならばくらいなさい!あたしのThe Ultimate Weapon ・・・」

これは本当に最終兵器だったの。
教師志望にあるまじき格好で、あたしの中で一生黒歴史になるから。

でも、このぐらい真剣にならないと、人の心なんて動かせないと思ったの。
人一人の心も動かせないで、生徒達を導く仕事なんてできないと思ったの。
   
あたしは勢いよくコートを脱いだ。

バサッ
  
  
アメリカ「三角ビキニ・星条旗Ver.!!!」ドンッ

外野「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!///」

背後であたしたちの様子を見守っていた生徒達が歓声をあげた。

みんな大人だから、今までは思ったことを口に出さないでいてくれたのに、
さすがにこれは刺激が強すぎたのね。
あたしは恥ずかしさで耳が熱くなるのを感じた。

アメリカ(お願い、日本さん・・・降参してよ!)
403 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/04(金) 00:01:55.03 ID:fJvYxCYS0

||日本「くぅ・・・っ扉は開けない・・・扉は開けないィィィィィィィィ!!」

ガンッガンッガンッ

ガガッ

アメリカ「!」

なんてこと・・・彼女、
ペット用のドアから双眼鏡を突っ込んで見ているわ!
床に伏して、あたしのビキニ姿を見ているわ!

||日本「クククククク・・・見える!見えるぞぉ!」

||日本「鎖骨、胸の谷間、へそ、ウエストライン、太もも!」

||日本「B90/W58/H89、見事な流線型!こんな上玉は初めて見たわ!」

||日本「ぐひひひ・・・///」ジュルッ

||日本「あっ」

||日本「あっあっあっあっあっあっあっあっあっあっ」

アメリカ「日本さん?日本さん、どうしたの!」

様子がおかしい。
あたしは恐る恐る、ペット用のドアを開けて覗いてみた。

アメリカ「ヒッ」

日本さんのお腹には、大きな穴が開いていた。
彼女は痙攣を起こしながら床に倒れていた。

日本「しんじゃう・・・の?・・・わた・・・し・・・」
404 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/04(金) 00:03:21.29 ID:fJvYxCYS0

アメリカ「嫌あ!」

アメリカ「嘘よ嘘よ嘘よ!三角ビキニ着たくらいでこんなことになるなんて!」

アメリカ「あたしはあなたに部屋の外へ出てきて欲しかっただけなのに!」

あたしは彼女の呪いを侮っていたんだ。
超常現象は決して生易しいものではなく、
これまではそれを彼女が死に物狂いで乗り切っていたにすぎなかったんだ。
彼女は命がけであたしのコスプレを見ていたんだ。

琉球「日本!」

日焼けした肌のたくましい青年が彼女の元へ駆け寄り、彼女を抱きかかえた。

日本「りゅうきゅう・・・」

琉球「アンタ、こんなアホで面白い死因でいいのか?」

琉球「エロいこと考えてたら腹に穴が開いて徐々に壊死して死亡、本当にそれでいいのか!」

日本「いやすぎるよぉ・・・」

琉球「お前のそういうところが大嫌いなんだ!」

日本「!そんなぁ・・・」

琉球「自分勝手で人を思いやらない、傲慢なお前なんか大嫌いだ!」

日本「ごめんなさい、ごめんなさい・・・っ」ポロポロ

日本さんは泣いて彼に謝っていた。

日本「・・・あ」

日本「そっか、わかった」
405 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/04(金) 00:04:26.51 ID:fJvYxCYS0

日本「わたし、この世界で生きなくちゃいけないんだわ」

琉球「今さら気づいたのか、やまとぅんちゅめ!」

日本「でも怖いよぉ・・・わたしみたいなのが、一人でやっていけるわけないわ」

琉球「やる前から逃げるな!逃げる奴なんか、俺は助けないぞ!」

日本「頑張って駄目だったら、あなた助けてくれるの?」

琉球「仕方ないから助けてやるよ」

日本「ほんと・・・?頑張るわ、わたし・・・」

日本「わたし、本当は全部知ってたのよ」
   
日本「知ってたのに、考えないようにしてたんだ」

日本「でももうやめる!わたしと一緒に来てちょうだい!」

彼女はそう叫ぶと、思い切り勢いをつけて起き上がったの。
お腹の穴は跡形もなく消えていた。

彼女がこちらへ向かってきたから、あたしは急いで扉から離れた。

ガチャン・・・ギギイ・・・

鎖で覆われた扉と鉄格子を開けて、彼女は出て来た。

さっきは余裕がなかったから気がつかなかったのだけど、
彼女は小柄で色白、紅い唇、黒くて艶やかな髪が腰の辺りまで伸びている、
今までの言動の似つかわしくない、可憐な女性だったのだ。

日本「あの、アメリカさん・・・」

アメリカ「何?」
406 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/04(金) 00:05:41.76 ID:fJvYxCYS0

日本「ごめんなさいね、わたしあなたにたくさん酷いこと言ったわ」

アメリカ「あたしこそごめんなさい!あんなことになるなんて・・・」

日本「いいえ、むしろあなたにはお礼を言うわ」

日本「あなたのコスプレは全部わたしの大好物だったもの##」ジュルリ

アメリカ(ええーーーっ)

そのとき、突然どこからともなくプレデターが現れたんだけど、

ズパァン!

琉球さんがすかさず三角蹴りで撃退した。
プレデターは上顎と下顎が分離した状態で死んだ。

アメリカ(ええーーーっ)ガビーン

日本「わたしね、引篭もった当初はとんでもない誤解をしてたのよ」

日本「いやらしくヌメヌメした触手や勃起したチ○コの大群が闊歩してると思ってたの」

アメリカ(可憐な見かけでこんなこと言われると違和感しかない)

日本「そして一歩でも外へ出たら性奴隷にされると思ってたわ、エロ同人みたく!」

アメリカ「日本さん、ちょっとは慎もう?」

日本「実際に外にいる間のべつ幕なし超常現象が起こるものだから、完全に信じてた」

日本「でもそれは、あたしがエロいこと考えてたから起こったんだと段々気づいたの」

日本「女の子なのにドスケベだなんて恥ずかしくて、部屋から出られなくなってたわ」

日本「でもあなたのおかげで吹っ切れたわ!皆に知れ渡ってしまったもの!」

アメリカ(なんかごめん)
407 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/04(金) 00:07:25.22 ID:fJvYxCYS0

日本「それに・・・もう自分を偽るのはやめたの」

彼女はあたしの後ろで見守っている外野勢に目を向けた。

日本「皆、なかなかの野次馬根性ね。でもちょうどいいわ」

日本「わたしはここに宣言します。わたしは・・・わたしは・・・」
   
   
   
   
   
日本「彼、琉球と結婚します!!」

全員「えええええええええええええ????????」

日本さんは赤面して、両手で顔を覆った。

あたしも含めて、周囲の視線は一斉に琉球さんに向いた。

琉球「・・・」

琉球「・・・」スッ

琉球さんは日本さんを抱き締めた。

琉球「イーユミカメーティ、ドゥットゥディカシャビーサー」*

日本「え?ごめん、今なんて言ったのか全然理解できなかった!」

 [*『良嫁を貰いまして、誠に幸せでござります』の意]

とにかく、まさかの校内夫婦誕生を生徒達は祝福した。
  
  

こうして、あたしの任務は無事成功した。
408 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/04(金) 00:08:50.28 ID:fJvYxCYS0

後にあの告白について、フラれることは考えてなかったのか訊いてみると、
日本さんは笑いながら「彼は元々お婿さん候補に来ていたのよ」と答えた。
彼女、完全に琉球さんに惚れているようだったわ。

あたしはてっきり彼女を変態のレズなんだと思っていたけど、
彼女はどうやらレズではなくて、超のつくド変態にすぎなかったみたいね。
なぜかあたしはちょっとだけ寂しくなった。

あたしは一週間ほど生徒達にラテン語を教えて、教育実習を終えた。

あの電話の人の話は本当だったようで、次々と生徒達は退院していったわ。
日本さんの引篭もりが、彼らに静かなストレスを与えていたのかもしれない。
そうそう、ロシアさんからは無事音大に進学したって報告を受けたわ。

約束どおり大学卒業後には正規の教員になれたのだけど、
3年間教鞭を執った後に、あたしも結婚して辞めちゃった。

あたしは夫との間に双子の男の子を授かった。

幸せな家庭を築けると思っていたのに、恐ろしいことが起きてしまったの。

あたしの家庭はめちゃくちゃで、あたしは毎日泣いてばかり。

まさか、"この子"をこの学校に送ることになるなんてね―――――。
  
  
-------[人物紹介]--------

 アメリカ
 :コロンビアという愛称を持つブロンドヘアーの美人。ラテン語教師志望。
  双子の兄弟・アメリカ合衆国&アメリカ連合国の母。スリーサイズはB90/W58/H89。
  引篭もりの江戸日本を、部屋の外に出すことに成功する。
  本当は紅茶が好きだが、父親(13植民地)の手前コーヒー好きということにしている。
409 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/04(金) 00:09:46.35 ID:fJvYxCYS0

 日本
 :江戸幕府日本。可憐な見た目に反して、むっつりドスケベな処女。
  大日本帝国の母。長らく部屋に引篭もっていた。重度の対人恐怖症で入院した。
  孫の日本国(現在)と同様に、エロスに関わろうとすると超常現象が起こる呪いに苦しむ。
  父親である安土桃山日本との仲はあまり良くない模様。

 琉球
 :大日本帝国の父。話す言葉がときどき妻や子に理解されない。
  安土桃山日本によって娘の婿候補として従者に選ばれたようだが、
  元々は日本の屋敷だけでなく清の屋敷にも従者として出入りしていた。
  琉球拳法の達人で、どのくらい強いかというと
  『ブラックホールが出現しかねない超常現象』をねじ伏せつつ、妻を妊娠させるレベル。

 帝政ロシア
 :ソビエト社会主義共和国連邦の父。重度の浪費癖と診断されて入院した。
  たまにウォッカに溺れるが、それ以上にチャイが好きでサモワールは手放せない。
  音楽・詩・小説などさまざまな芸術を好み、絵画や茶器を大量に蒐集している。
  かなりのロマンチストで息子との仲は険悪、一方で孫(現在ロシア)との仲は良好。

 清
 :満洲国の父にして、日本国(現在)の初恋相手である満洲娘(>>85参照)の祖父。
  三跪九叩頭の礼を強要するなど、自己愛性パーソナリティ障害と診断されて入院したのだが、
  キチガイ学園在籍中にイギリスによって、アヘン吸引させられた上プライドを粉々にされた。
  得意な嫌がらせ技は相手を辮髪にすることである。日本や琉球とは入院以前からの知り合い。

 ネーデルラント連邦共和国(オランダ)
 :ネーデルラント(オランダ)の祖父。演技性パーソナリティ障害と診断されて入院した。
  お金が大好きで、クラスメイトから金を巻き上げるためか校内の情報通でもある。
  「オランダ東インド会社」という架空の会社の代表取締役を自称しており、
  同様に(イギリス東インド会社などの)代表取締役を自称するイギリスやフランスとは仲が悪い。
  
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/04(金) 12:12:52.75 ID:PGE9NarJ0
シアーハートアタックwwwwwwww
411 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/11/08(火) 09:58:07.00 ID:SPK0nzIY0
そろそろ大日本帝国編を書こうと思っています
といってもまだ書き出してないし、設定も固まってない部分があるので
一回か二回現代編中心の小ネタ集を投下しようと思います
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 08:38:20.74 ID:QywpSjlW0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! ちょっと舞ってくるは
413 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/11/10(木) 19:21:04.99 ID:dCPpZupT0
小ネタ集とは別に、ちょっとだけ小ネタを投下します
なんだか歴史が動く予感・・・
414 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/10(木) 19:23:22.97 ID:dCPpZupT0

◆トランプ

アメリカ「お、また親父から小包か」(最新の玩具かな)

アメリカ「あん?違う・・・」

アメリカ「Mr.マクガフィンからだと?!」

アメリカ少年は急いで小包の中を確認する。
中にはごくありふれたトランプと、メモが入っていた。
メモには簡単に、
「友人たちと遊びなさい」とだけ書かれていた。

アメリカ「は?」

アメリカ「なんだって、こんなカードなんか送りつけたんだ?先生は」

アメリカ「意図がまるでわからない」

アメリカ「俺はもっと暴力的な遊びのほうが好きなのに」

そのとき少年は、自分が人生においてトランプで遊んだことがあったかどうか
怪しいことに気がついた。

アメリカ「・・・せっかくもらったしな」

アメリカ「イギリスでも誘うか、ルール知らないし」

アメリカ「トランプは複数人で遊ぶもんだったよな」

アメリカ「ドイツとかフランスとか、日本の奴も誘おうか」

アメリカ「たまにはロシアとか中国あたりも誘ってみるかな」

はてさて、ゲームで負けるのは誰だ?
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/11(金) 13:09:59.33 ID:5R3b54yb0
とりあえず日本がババを取らなければいいけど…まあ核兵器うんぬんは冗談らしいし…どうだろう?
416 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:04:04.22 ID:YTjN2V3f0

第16話:小ネタ集その1

◆それっぽい

日本少年はロシア少年に『択捉』『国後』『歯舞』『色丹』という4つの貴重なDVDを借りパクされている。

日本「ロシア君!秘蔵エロDVDを返してもらえまいかっ?!」

ロシア「返すものか断じて」

ロシア「特にИтурупのディスクだけは絶対に返さない」

日本「択捉は一番希少価値のあるやつだ、返してくれ」

ロシア「だいたいお前はИтурупが俺のものだって認めてるじゃないか」

日本「なんだって?」

ロシア「お前の言う通り言ってみるぞ」

ロシア「エトロフ」 日本「択捉」

ロシア「エトロフ」 日本「エトロフ」

ロシア「Еторов」 日本「Etorov」

ロシア「ほらみろ、完全にロシア語圏の名前だ」

日本「そんな!」
417 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:05:16.18 ID:YTjN2V3f0

ロシア「名前はそのものの性質を表す。ЕторовことИтурупは俺のものだよ」

日本「なっならば!」

日本「君も僕に続いて言いたまえよ!」

日本「サハリン」 ロシア「Сахалин」

日本「サハリン」 ロシア「サハリン」

日本「サハりん!」 ロシア「サハりん!」

日本「日本語圏の女の子みたいだから、サハりんこと樺太を僕に譲れよ」

ロシア「なぬっ」

日本「ほら、サハりんは僕のヨメだ!よこしたまえ!」

ロシア「・・・」

ロシア「やなこったーーーーーーーっ」

日本「この露くでなし!」
  
  
◆チチとの遭遇

台湾「あら?」

台湾「ここって行き止まりだったかしら?」

台湾「・・・そんなはずないわ。この先には大きな鏡があったはずだもの」

少女は道を塞ぐ壁を軽く叩いてみた。

コンコン

台湾「中は空洞。やっぱりこの先には道があるのよ」

少女は壁に耳を当てる。

台湾(・・・!誰かいる!)
418 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:06:28.55 ID:YTjN2V3f0

壁の先では、複数人の声が聞こえた。

業者「ここが、大日本帝国氏寄贈の大鏡です」

???「ヒビが入ってるな・・・日本の奴も並の鏡をよこしたわけではあるまいに」

???「この鏡の破損が、結界を壊した主たる原因だろうな」

???「とりあえずここに代わりの鏡を置いて、後日俺が用意したものを置け」

業者「不思議なことに、監視カメラには割った犯人映ってないんですよ」

???「人間の手で割られたものじゃないからな」

???「おおかた、あの共産小僧が日本のガキを呪いまくったんだろうな」

???「それをこの鏡が身代わりになったんだ、息子をかばってな」

???「・・・最近日本がギックリ腰になったのはこのせいだな」ニヤリ

???「セキュリティには中華人民共和国を特に監視するよう伝えろ」

???「あのヤローはクソだが優秀な道士だ・・・恐ろしい奴」

業者「わかりました」

バキッバッタァァン

???「なんだっ」

台湾はいつの間にか壁に体重をかけていたため、
壁(というより板)が抜けてしまったのだ。

台湾「いたたた・・・あれっ」

台湾「お父さん!?な、なんでここにいるのよ!」

中華民国「ゲェーーーッ台湾!」
419 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:07:27.58 ID:YTjN2V3f0

台湾「どういうこと?!あたしをこんなトコに入院させたのはなんでよ!」

中華民国「た、台湾違うんだ、これにはいろんな事情が・・・」

その時、台湾は同行した体育会系職員たちに拘束されてしまった。

台湾「キャァッちょっと何すんのよ!」

中華民国「おいこら!俺の娘に乱暴すんじゃねぇ!」

台湾「放してよ!ふざけんなくそオヤジ!」

中華民国「コラそこーっ!変なとこ触ると呪い殺すぞ!太ももも駄目だ!」

台湾「お父さんなんか大ッ嫌い!!」

中華民国(ガーン

台湾は鎮静剤を打たれ、そのまま医務室へと連行されていった。

中華民国「おい・・・ちゃんと封鎖してろって言ったよな?」

業者「すみません」

中華民国「娘に『お父さんなんか大ッ嫌い!!』って言われたじゃないか!(泣」

中華民国「くっそー・・・共産小僧のせいだ!毎晩呪ってやる!」

業者「結界を張ると呪いは弾かれるのでは?」

中華民国「畜生!じゃあ代わりに日本(父の方)を呪ってやる!」

中華民国「あいつの鏡が割れたからだ!」

台湾は医務室での催眠治療によって、この時の記憶を失ったという。
420 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:08:58.22 ID:YTjN2V3f0

◆水道局

<中国の部屋>

中国「うああああああ!」

中国「ここにも!ここにも!ここにも!」

中国「て、『天安門事件』って書いてあるぅぅぅ」

中国「誰だ、こんな陰湿なことしたのは!」

中国「早く・・・早く消さないと、水道局が来てしまう」

水道局とは名前を言ってはならない公安組織のことである。
中国少年の親は官僚であり、息子にも容赦なく刺客を送るのだという。

中国(ていうか、既に刺客が来ているかもしれん)

中国少年は恐る恐るベッドの下を覗いた。

チベット・ウイグル「よお」

中国「アイヤァァァァァァァァァァァ!!!」

ベッドの下に潜んでいた少年二人が這い出してきた。
彼らは中国の家で、安すぎる給料でこき使われている小間使いである。
(この点はロシアの従者たちに似ている)

中国「おまままま・・・お前ら刺客だな!?俺を殺しにきたんだな!?」

ウイグル「ちげーよ」

チベット「俺たちはお前と友達になりに来たんだ」

中国「は?」
421 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:10:53.39 ID:YTjN2V3f0

チベット「お前と家族は今まで俺たちに不当な扱いをしてきたろ」

ウイグル「でもお前は『天安門事件』の存在を認める良い子に生まれ変わったんだな」

チベット「良い子になったお前となら仲良くなれそうだと思って」

中国「おい、なんで天安門事件を認めたことになってるんだ」

ウイグル「え?治安部隊の奴らがお前の親に話してたからだけど?」

チベット「満洲郎*が通報したみたいだな」

中国「もう見つかってるーーー!水道局が来るのも時間の問題だ!」

[*註:満洲娘(>>85参照)の弟にあたる人物と思われる。]

チベット「ああ、治安部隊に紛れて飛行機乗って来たんだ!」

ウイグル「人数が多くて、奴ら気がつかなかったみたいだ」

中国「じゃあもうそこまで来てるじゃねぇか!」

チベット「だから助太刀に来たわけよ、一緒に戦おうぜ!」

ウイグル「死ぬ時も一緒だ・・・友達同士」

中国「ふざけんな!お前らだけ死ね!」

中国「俺は天何ちゃらなんて認めねーぞ!これは誰かが嫌がらせでやったんだ」

チベット「何だって?じゃあお前はクズのままなの?!」

ウイグル「騙しやがったな、ぶっ殺してやる!」
422 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:12:09.67 ID:YTjN2V3f0

チベットとウイグルはサバイバルナイフを手にして、中国に攻め寄る。

中国「やめろよ・・・こんな狭い部屋じゃ」

ドンドンドン!

荒々しいノックの音が鳴り響く。

刺客「すみませーーん!水道局の者ですがーーー!」

中国「うわあああああああああ!!!!!!」

この後、さすがに可哀想だと思った日本が水道局に弁明した。
これにより中国は無事、チベットとウイグルに半殺しにされるだけで済んだ。
ちなみに、なぜか『天安門事件』と書いた犯人は北朝鮮ということになり、
医務室から解放されたばかりの彼は、今度は水道局に絞られたという。
  
  
◆神経質

ドイツ「フランス!イタリア!どうして君達はそうだらしないんだ!」

食い散らかしたお菓子の袋の数に、ドイツは激怒する。

ドイツ「どうして食べ終わったらゴミを捨てないんだ」

イタリア「そんなに怒るなよ」

フランス「後で片付けようと思ってたんだよ」

ドイツ「だいたい君達はゴミの分別もちゃんとしないし」ブツブツ

------------

フランス「ドイツって小うるさい奴だよな」

イタリア「あんなにせかせかしてたら寿命縮むよな」

フランス「あいつ絶対禿げるぜ」

イタリア「ははは」
423 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:13:27.63 ID:YTjN2V3f0

フランスたちは寮の洗濯機を使おうとした。

スイス「ちょっと!あんたたちは水曜日しか洗濯機使っちゃ駄目よ!」

スイス「何度言えばわかるの?たくさん洗濯するのはエコじゃないわ!」

イタリア「出たな、色気なしのレズ女」

フランス「女版ドイツ」

スイス「!」(こいつ、イギリスと同じことを!)

スイス「うるさい!言うこと聞かないとぶつわよ!(泣」

フランス&イタリア「やべーっゴツい女に殴られるーー」

スイス「うわーーん」

------------

フランス「ははっあの女泣いてやんの!」

イタリア「女の子が泣いてたら慰めるんだけど、あれは別さ」

フランスとイタリアはチューインガムを噛もうとした」

シンガポール「お前ら!ガム持ってるな?!」

イタリア「シンガポールも噛むかい?」

シンガポールは二人のガムを引ったくり、ゴミ箱へ捨てた。

イタリア「何すんだよ!」

シンガポール「ゴミをゴミ箱へ捨てただけだ」
424 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:15:00.71 ID:YTjN2V3f0

フランス「まだ噛んでないやつだぞ!」

シンガポール「噛んでからお前らはどうする?廊下に捨てるだろう」

シンガポール「そしてそのガムを皆が踏んで、真っ黒くなって取れなくなるんだ!」

シンガポール「そんな汚い廊下、俺は耐えられない!」

シンガポール「お前らは中国並に行儀の悪い底辺だからな」

フランス&イタリア(もうやだ)


◆手紙

日本(僕は例によって教務室に忍び込むわけだけど・・・)

日本(何度訪れてもマクガフィン先生には会えない)

日本(先生は本当に仕事してるのか?ていうかマクガフィン先生は存在するのか?)

日本(あれ!昨日までなかった封筒が机の上に置いてある!)

封筒の封は既に切られていた。
昨日と今の間に、誰かしらがこの部屋に居てこの封筒を置いたのは確実である。
少年は周囲を見回して、机の陰に隠れて中身を読んだ。

手紙の内容は以下であった。

**************************************

件名:調査報告書の件でご相談があります

診療部 

ゴドー・マクガフィン院長殿

いつもお世話になっております。

情報管理課の公 世継です。
425 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:16:15.66 ID:YTjN2V3f0

先々月及び先月分の調査報告書が未だ提出されていないようです。

電話やメール等で何度も貴方へ連絡を試みましたが、

お返事はいただけませんでした。

大変申し上げにくいのですが、

貴方とペアを組んで6年になりますが、組んで間もない頃から、

貴方の仕事に対する姿勢に少しの信頼も置いておりません。

貴方が昼間 風俗店に入り浸っているとの話を小耳の挟みましたが、

これは事実なのでしょうか。

また、刃物から爆発物に至るまでの所持を、

患者に許可しているという話の事実確認を取りたいと思います。

貴方が先代の烏有院長を敬愛していることは存じておりますが、

これは少々度が過ぎるのではないでしょうか。

あの方は精神刺激薬"WW"を二度も複数の生徒に投与し、

また、少年二名に"COLD"を投与したことで、

懲戒処分された後 当局に逮捕されたのは貴方も十分ご存知のはずです。

あなたのポリシーがどんなものにせよ、"WW"だけは絶対に使用なさらないようお願いします。

このままでは貴方も烏有院長と同じ道を辿ることになるでしょう。

上層の会議では既に貴方を辞職させる旨の話が出ています。
426 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/13(日) 15:17:44.58 ID:YTjN2V3f0

貴方は患者の命を預かっているのだという自覚を持ってください。

生徒達は貴方の理想を具現化する道具ではありません。

生徒の治療のために調査報告は不可欠であり、

また、過去未来の生徒達の治療に役立てるためにも重要なものです。

どうか、せめて報告書だけは提出してください。

この他にもいろいろとお話がありますが、詳細は文面ではお伝え切れないので、

直接ご相談させていただければと願っております。

ご多忙のところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

お返事をお待ちしております。

================================

 情報管理課 公 世継

 内線 18-7823-7564

================================

**************************************

日本「おいおい・・・この情報管理課の人めっちゃ怒ってるぞ」

日本「しかもやっぱり先生は仕事してないっぽいぞ!」

日本「ていうか精神刺激薬"WW"って何だ!?ヤバそうな薬だな!」
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 16:57:30.52 ID:dwkZ/VJ30
WWの3回めの使用が内容に祈ってます
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 00:31:25.98 ID:AWc2Iep30
気持ちよくなるお薬だよ(錯乱)
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 02:30:30.74 ID:wFH40Pv30

小ネタもいいな
430 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/11/17(木) 16:39:47.79 ID:Jq83pNQs0
小ネタを書いてたら、なんだか日本史ネタに偏った感があってくどいので、
後で小ネタを一つ分離して投下しようと思います
ネタの内容は「日本一族の呪いの謎」に関するものです
何でこんな設定をつけてしまったのか・・・
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/17(木) 20:27:05.76 ID:MGJ0iLj40
今明かされる衝撃の事実ッ!!
432 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/11/17(木) 23:45:50.57 ID:Jq83pNQs0
「日本一族の呪いの謎」を投下する前に、注意事項があります

・名前は魏志倭人伝ではなく後漢書倭人伝を参考にして、なおかつ新字体にしているので、
 邪馬壹國→邪馬臺国→邪馬台国、狗奴国→拘奴国という表記になってます

・安土桃山日本は>>302に出てきた太閤日本と同一人物です

・安土桃山日本は関西弁です(初め名古屋弁にしようと思いましたが無理でした)

・最初に出てくる神社の縁起は完全に架空の物です
 ググってもこのスレ以外にヒットしません、調べるだけ無駄です
433 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/17(木) 23:48:42.18 ID:Jq83pNQs0

参考:東極山耶馬駘神社縁起

―――この書は既に散逸しているために、
   日本の家では口承にて、祟りの由来を子に教えるのが伝統になっている。
   口承故に、長い年月を経て内容が変化してしまっている。

◆バナナ型神話

恐ろしい呪いのせいで引篭もりがちだった少女・江戸日本は、
かつて父親にこの呪いについて尋ねたことがあった。

江戸日本「ねぇ、クサレオヤジ様。わたし、お尋ねしたいことがありますの」

安土桃山日本「ワシ傷つくで娘ちゃん。何やゆうてみ」

江戸日本「わたしやお爺様にかけられた、この呪いの由来は何ですの?」

彼女の父親は呪いの被害を免れていた。

安土桃山日本「・・・せやな、そろそろ教えとかなあかんなァ」

安土桃山日本「これは遠い昔のことやさかい、あんま詳しいことはワシも知らん」

父親は御伽噺を聞かせるように、少女に話した。
   
『今は昔、ほんまのほんまの昔、邪馬台 (やまと)はんという別嬪さんが居てました』

『この邪馬台はんこそが、ワシらの先祖さんにあたるひとです』

 ―――江戸日本「まぁ、そんなに美人でしたの?」

『少々話し盛っとるかもしれへん。まぁ、別嬪さんやったということにしとこ』
434 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/17(木) 23:50:15.69 ID:Jq83pNQs0

『邪馬台はんは日の神さんをお祀りする巫女さんやったので、
 気軽に恋愛なんぞしたらあかん立場でした』

『せやけど年頃の娘さんやった邪馬台はんは、魏さんという男前が大好きでした』

 ―――江戸日本「魏ってまさか・・・あの有名な!?」

『そうです、あの偉大な軍人達、蜀さんや呉はんとしのぎを削ったっちゅう魏さんです』

『ある日、魏さんは言いました。
 「おい邪馬台、ここに宝石とバナナがあるんだが、お前はどちらが欲しいんだ?」』

『そこで邪馬台はんは、バナナを選びました』

 ―――江戸日本「どうして宝石じゃなくてバナナを?」

『さぁなぁ、邪馬台はんはバナナがめちゃ好きやったか、
このバナナは果物のバナナとは違うかったんかもしれへんなぁ』

『太古より女は果物と違うバナナが好物で、
 男は果物と違うモモが好物やて相場が決まっとる』

『ほんで、果物の方のバナナは確かに美味い!
 ワシもよう鉄砲でフィリッピンを脅して、バナナを強奪したもんや!
  大量のバナナシェイク作って飲んだったわ!』

 ―――江戸日本「?」

『とにかくやな、邪馬台はんがバナナを選んだことで、日の神さんはえらい怒らはりました。
「この浮気者め、よくも私を裏切ったな!」』

 ―――江戸日本「どうして浮気者なのです?バナナを貰っただけなのに」

『あれや、巫女さんというのは神さんのお嫁さんでもあるんや。
 恋愛禁止のアイドルがフライデーされて事務所にバレるようなもんや』
435 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/17(木) 23:52:48.16 ID:Jq83pNQs0

『日の神さんはおっしゃいました、
 「お前の子孫を祟ってやる。
  少しでも徒心があれば恐ろしいことが起こるように!」』

 ―――江戸日本「なんてこと、それが私の呪縛なのですね!」

『それがやな、実は違う言い伝えがもう一個あるんや』

『さっきの話と同じ頃やけど、邪馬台さんに原因はないバージョンや』

『今は昔、拘奴(くな)はんという逸り雄が居てました。
 この拘奴はんもまたワシらの先祖さんにあたるひとです』

『拘奴はんは長いこと邪馬台はんらと大喧嘩してましたが、
 なんやかんやあって喧嘩はなくなりました』

 ―――江戸日本「仲直りしたということですね?」

『さぁなぁ、仲直りしたんかもしれへんし、一方が一方を屈服させたんかもしれへんし、
 昔のことやからわかれへんな』

『拘奴はんには二人、お嫁さん候補が現れました。
 一人は別嬪さんの邪馬台はんで、もう一人はドブスでした』

 ―――江戸日本「せめて名前で呼んであげたらよろしいのに」

『ドブスにもちゃんと名前あったんやろけど、今となってはわかりません』

『さて、拘奴はんは当然別嬪さんの邪馬台はんを選びました』

『それに留まらず、拘奴はんはドブスを酷く侮辱しました』

『「おい、そこのブス、なんで俺様と結婚できると思ったんだ?
  自分に少しでも脈があると思ったか?んん?」』

『ドブスはこれに激怒して、2人に怒鳴りました』

『「お前らの子孫が結婚できないように祟ってやるから!
  お前らなんかセックスのことしか頭にない猿のくせに!」』
436 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/11/17(木) 23:55:12.08 ID:Jq83pNQs0

『この二つの言い伝えは、どっちもほんまかもしれへんし、
 どっちかは間違ってるかもしれへんし、
 どっちも間違ってるかもしれません』

『ほんで、呪いの解き方は一向にわかりません。
呪いが出る子と出ぇへん子のいる理由もわかっていません』

『どうやら、呪いの出る子は大人しい子が多くて、
呪いの出ぇへん子は喧嘩の強い暴れん坊が多いみたいやな』

『ちなみにワシは呪いの被害に遭わんですんだから、
 日の神さんに愛されているという意味で"日輪の子"を名乗ったわけや』

江戸日本「本当かしら、なら第六天魔王と名乗ったのはどういう意図で?」

安土桃山日本「・・・すまん、後付けや。ただの思いつきで深い意味はない#」

先祖がバナナを選んだからか、もしくはブスを拒絶したからか、
何にせよこの呪いで日本一族は苦しむことになった。

エロいことを阻止するために超常現象が引き起こされる、
この恐ろしい呪いは時に神風、時に祟りと呼ばれた。
  
  
-------[人物紹介]--------

 安土桃山日本
 :江戸日本の父にして、大日本帝国の祖父にあたる。好物は金平糖。
  呪いの被害を受けない幸運世代の一人であるためか、好き放題に生きた模様。
  若い頃はかなりヤンチャで、朝鮮をボコボコにしたり明に喧嘩ふっかけたり
  スペインやポルトガルを威圧したりと悪の限りを尽くす。
  また、第六天魔王や日輪の子を自称するなど、中二病患者であった模様。
 
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/20(日) 02:50:08.20 ID:6zM2k3gB0
卑弥呼ちゃんは木之花咲耶姫なんですね〜乙
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/25(金) 02:22:18.47 ID:DkUkdsjI0
保守
439 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/11/26(土) 02:07:59.36 ID:IWsn22oe0
何度も書く書く詐欺をして申し訳ないのですが、
2つ目の小ネタ集を投下する前に、『設定の曖昧な部分を無理やりこじつける回』を投下しようと思います

設定の曖昧な部分というのは、>>236から始まる番外編に登場する、唐・日本・渤海・新羅の年齢差です
あの回ではなんか同い年っぽく書いていましたが、
とりあえずあの回の唐を高一〜高二くらい、日本を中二くらい、他の二人は中三くらいの年齢設定で固定しようと思います
(あの番外編を書いていたときも薄々感じていたのですが、深くは考えていませんでした・・・)

主役は>>236あたりに出てくる日本ちゃんのパパ(飛鳥日本)で、
時代的には白村江の戦いあたりの世界地図です
(ここであれ?唐君は?となるのが無理やりこじつける部分になります)

ちなみにめちゃ今更なことを言いますが、隋さんや渤海君の寿命を例に考えますと、
このSS内での寿命は実際の国の寿命の長さとは異なる設定です
ただし一応入院期間には多少反映させているので、隋さんの入院期間は短めです
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/26(土) 08:13:18.90 ID:d/ttmjM20
要するに江戸日本は俺の嫁ってことだな!
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/02(金) 14:23:34.57 ID:zkE/1JCr0
保守
442 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/12/05(月) 20:56:23.42 ID:Zcstu9j50
あとで『設定の曖昧な部分を無理やりこじつける回』を投下します
(『設定の曖昧な部分を無理やりこじつける回』というより、『いらん設定が増えた回』って感じですが・・・)
>349で「主役は飛鳥日本」と書きましたが、倭の五王〜壬申の乱あたりの時代の日本になりました

あらかじめ注意点を書くと、
・ツッコミキャラ不足
・最初から最後まで下ネタ回になりました
・確認不可能な謎国家がいくつも出てきます
・四→イズモ、八→ヤマト、十五→ナミハヤは固定で、それ以外は読者にお任せします
・あまり面白くない
 
443 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 22:54:25.77 ID:Zcstu9j50

番外編:NTRと整合性

※この話に登場する日本は、本編(現代)日本少年の先祖にあたり、
 渤海少年の友人の日本ちゃんの父親にあたる人物である。(また、新羅についても同様である)
 呪いの影響は特に受けていないと思われる。
 唐は本人である。
 
日本「やった・・・受かったぞ!」

法学部卒業を前に司法試験に合格できた青年は、
それに加えて別のことで喜んでいた。

日本「これで百済さんにプロポーズできる!」

恋人の百済との出会いは、少年期を過ごした大地立青少年精神医療センター付属院内学校である。

彼は司法試験を合格したら彼女にプロポーズすると決めていた。
青年は早速公衆電話へ向かい、彼女に電話をかけた。

ところが、電話の向こうにいる彼女の様子はおかしかった。

百済『たっ助けてぇ!いやぁ!来ないで!』

日本「百済さん?どうしたんだ、誰かいるのか?!」

百済『新羅君が!いやっやめて!助けて日本!』

日本「すぐ行く!」

さぁ大変、青年は恋人を救うべく、彼女の長屋へ猛ダッシュした。
止まることなく走り続けた。

彼は恋人の部屋の前で立ち止まり、落ち込んだ。

|| 新羅「どうだ?倭よりすごいだろ?」パンパン

|| 百済「しゅごいのおおおおおお!!!///」アンアン

日本「」
444 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 22:55:27.06 ID:Zcstu9j50

日本「」

日本「・・・なんてこった」

日本「こんなのってあるか」

日本「扉の外にまで声が漏れてるじゃないか」

日本「・・・ううう」

青年はヨロヨロと歩きだして、近くの公衆電話を探す。

あまりの事態に青年一人では考えがまとまらなかったため、
彼は友人に電話をかけた。

プルルルル
 
ガチャッ 高句麗『はい高句麗』

日本「俺だよ・・・」

高句麗『なんだ、くそったれ倭か。どうした、いつもに増して声暗いじゃん』

日本「俺、今日司法試験受かったんだ」

高句麗『すげえじゃん!おめでとー』

日本「それで、百済さんにプロポーズしようと思ったんだ」

高句麗『はぁ、駄目だったのか?』

日本「今、彼女の家の近くにいるんだけど」

日本「百済さん、新羅とおっぱじめてるんだよ」

高句麗『お、おぅ・・・』

日本「俺はどうすればいい?このまま舌を噛み切って死のうかな」

高句麗『待て!待て待て、今からそこに行くから素数でも数えてろ!』

日本「俺さ」

日本「司法試験受かったんだよ!今日!」

高句麗『わかった、だから死ぬのは待て!』
 
445 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 22:56:20.94 ID:Zcstu9j50
 
------------
------
 
高句麗「生きてるか!」

日本「6427・・・6449」

日本「死にたい」

高句麗「ギャア!ウサギさんの眼になってる!」

日本の目は泣き過ぎて、血の涙に染まっていた。
白目が無い。

高句麗「落ち着けよ兄弟、百済は助けてくれって言ってたんだろ?」

|| 百済「あんっあんっ・・・イクッ///」

|| 新羅「第五ラウンドだ!」

高句麗「・・・」

高句麗「いや、とにかく悪いのは新羅の野郎だ」

高句麗「今から部屋に乗り込むぞ」

日本「はい、鍵」

高句麗「なんで持ってんだ?」

日本「彼女とはお互いに合鍵を持ってたんだよ」

日本「でももうそれ新羅に渡すよ」

日本「新羅を殺して棺桶の中に入れてやる」

日本「わかるかなぁ、棺桶の中って言ってもただ箱の中に入れるわけじゃないんだ」

日本「新羅の口の中に入れてやるんだよ」

高句麗「やめろ、また精神病院に入れられるぞ。今度入ったらもう出られん」

いざ敵陣へ乗り込もうとしたそのとき、よく知る声に呼び止められた。
446 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 22:57:33.75 ID:Zcstu9j50

隋「なぁ、俺"たち"も混ぜてくれないか?」

高句麗「げっ!いけ好かねぇクソガキ」

日本「日没する処の天才、つつがなきや」

隋少年、彼もまた同じ院内学校の出身である。
彼は本来ならまだ高校生であるが、飛び級をして既に大学生である。

彼は赤ん坊を抱いていた。

高句麗「なんだ?お前の子か?性格の悪そうでそっくりな顔しやがって」

隋「違う、これは甥の唐ちゃんだ」

隋「話の整合性の問題で、この唐ちゃんにお前ら二人殴られてもらいたい」

高句麗「話の整合性って何だよ、ふざけてんのか?」

日本「そんな意味不明な理由で、ハイハイも難しそうな赤子を連れてきたのか?!」

隋「首はすわってるぜ、今朝寝返りもうてるようになったし」

唐「ふやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ビエーーン

隋「あああああ!もうオムツが限界だ、爆発する寸前!」

隋「早く部屋に入れて!急いで交換しないと、そこら中にビチグソが飛散るぞ!」ホレホレ

日本「大変だ!新羅と百済の愛の巣へ、ただちにその子を投入せねば!」

高句麗「そのビチグソ小僧を俺に近づけるな!」ガチャンガチャン

青年達は卑劣な間男を問いただすべく、部屋の中に入る。

ガチャッ 高句麗「おーい・・・お楽しみ中悪いけど、オムツがピンチなんだとよ」

百済「きゃーーーーーっ!」サササッ 新羅「わあああ」サササッ

日本「」 高句麗「どうりで声が漏れてると思ったら」
 
日本青年の恋人と間男は、どうやら玄関で戯れていたらしい。
447 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 22:58:45.16 ID:Zcstu9j50

隋「どいて!(迫真」

唐「ふぇぇぇん」ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!

飽和状態のオムツはとうとう限界に達し、オムツの外に液状のブツが盛大に漏れ出した。

隋「間に合わなかった!でも無問題!」

隋「落ちてたボロ切れで食い止めたから、床への被害は最小限だ!」

新羅「それ俺の上着!ひでぇことしやがる」ガーン

日本「それ、言いたいのは俺のほうだよねぇ・・・」

新羅「ヒッ・・・日本か、目が赤いからびっくりした」

日本「百済さん」ユラリ

百済「ひい!違うの日本!これは・・・」

百済「わたし、新羅くんにレイプされたの!いいように、めちゃくちゃにされたの!」

新羅「えっあっおぅ・・・おおむねそうではあったけど・・・」

日本「わかってるよ百済さん。俺はずっと外で聞いてたんだから」

日本「事の発端はあなたではない・・・俺は事実ヘタクソだよ」

日本「間男を恨んでビッチを恨まず。あなたを恨みはしないよ」

そのとき、日本の中で張りつめていた何かが壊れてしまったようだ。

日本「うおおおおおおお!新羅如きが俺様を嘗めやがってくそがああああっ!!!」

日本「年がら年中奇妙なトーテムポール作るような奴らと関わるべきではなかったんだ!」

日本「死んでやる!お前らの目の前で首を飛ばして、そのまま新羅の玄関に着地してやるぅぅ」

日本はネクタイの裏から剣状の簪(かんざし)を引き剥がし、
それを自身の首元に当てる。
448 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 22:59:37.41 ID:Zcstu9j50

百済「やめてーーっわたしのために争わないで!」ヒロィィン

新羅「ソシモるのはやめろ!どうしてお前はそう考えることが陰湿なんだ!」

日本「黙らんか盗人め!貴様は昔から俺のものを盗みやがってど畜生めが!」

高句麗「お前ら何てことしたんだ!昔(乙巳の変)のように倭は自傷行為に走ってしまう!」

日本と新羅のどつき合いが始まろうとしたとき、
甥のオムツを取り替えながら隋少年は高笑いをした。

隋「ハハハ!頭の弱い愚民共の喧嘩は見ていて面白いな!」ケラケラ

高句麗「ビチグソ処理しながら言われてもなー」

隋「黙るんだ節操のないヤリチン、俺及び唐ちゃんに跪いた方が身のためだぞ」

少年は甥っ子を高い高いしながら高らかに語る。

隋「この唐ちゃんはお前と日本を完膚なきまでに叩きのめすだろう!」エッヘン

唐「きゃっきゃっ」

高句麗「何だとぅ」

日本「ベビたんまでもが俺を叩くだって?どいつもこいつも馬鹿にしやがって!」

※ベビたん・・・『ベビー(赤ん坊)たん』の略だと思われる。

隋「唐ちゃんはすごいんだぞ、並ならぬ怪力で俺なんか何度も泣かされてるからな!」

隋「だが殴られる痛みに耐えてでも、この甥の世話をするのにはメリットもあってだな」

隋「兄貴達も唐ちゃんには手を焼いていて、度々テントから放り出して育児放棄をするんだ!」
449 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:00:34.56 ID:Zcstu9j50

隋「だからこの唐ちゃんと一緒に居れば俺もテントから出してもらえるわけで・・・」ピクッ

隋「耐えられないほどどこかにあるタッパーの中身にもう既に蛆が湧いているんじゃないかと思うくらいの重くて湿った酸味の強い刺激臭の充満してる空間喚起する隙間だなんてその一切において見出せない兄貴に支配され毒されてしまった生きた屍の義理の姉が北斉だからモチのロン兄貴と一緒に俺の両アキレス腱を捕らえて確実に掴んで離さないこと岩の如しな床はスリスリズリズリズイズイとと引きずった跡がまるで河川みたく粉ぶきの俺の服も雑巾のように臭いのに涙が止まらないと別の腐ったような使用済みのティッシュを渡されて一体全体何だと怒って捨てて父上助けてと叫べどもはや亡き今誰も来ないから声を出すことなく痛んだチーズをなすがままに口に運ばれ噛まされ汚水と共に飲まされ腹を下したところというわけで三日前からこの上なく楽しみな約束していたデートの時間がケツカッ陳ちゃん可愛いの好きだァぁからキスしヨネッ!」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

高句麗「わかった、もういい!喋るな!考えるな!」

新羅「どんだけ怖いんだよ兄貴のテントとやらは・・・」

隋「とにかくだ、倭。この唐ちゃんと戦ってもらうぞ!」ババーン

日本「フン。そんなベビたん相手など、文字通り赤子の手を捻るようにたやすいことだ」

唐「ばぶー」

日本「言っておくが、全てを失った人間は恐れ知らずだぞ」

日本「そして、俺は大人げない!はっきり言って陰湿の極みだ!」ドーン

隋「こんな大人になりたくない!」 唐「ばぶー!」

百済「頑張って日本///」

高句麗(何だコレ) 新羅「馬鹿ばかしくなってきた、帰るわ」

そのとき、新羅が先ほどの日本の簪を手に取ってポケットにすばやく入れて部屋を出た。
それを高句麗は見逃さず、後を追った。

高句麗「おい、お前また盗んでいったろ!」

新羅「何だようるさいな、お前邪魔だ」
450 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:01:30.34 ID:Zcstu9j50

高句麗「お前他人の彼女寝取った上に泥棒なんて、さすがに酷いじゃないか」

新羅「うるせぇ、これは奴への復讐でもあるんだ!俺は復讐鬼と化したのだ!次はお前だ!」

高句麗「だけど復讐鬼以前に盗人でもあるんだろ」 新羅「そのとおり」

新羅「だいたい俺たちは互いに仲が悪いくせに」

新羅「ここぞと言う時にはお前ら徒党を組んで、俺をハブるんだ!」

〜〜〜〜〜院内学校時代の回想〜〜〜〜〜

日本「新羅くーん?俺はツナマヨのおにぎりを買って来いって言ったよな?」

日本「ところが君はツナマヨサンドを買って来た、理由を簡潔に述べて欲しいな」

新羅「ふ、ふざけんな!お前はツナマヨとしか言わなかった!」

新羅「『焼きそばパンとツナマヨ買ってこいや』って言われたらおにぎりだなんて思わないだろ!」

日本「『おにぎり売り切れてたら巻き寿司の方でもいいぞ』と付け加えただろ出来損ない!」

日本「もういっぺん買いに行け!この俺様に二度手間かけさせやがってウスノロめ」

新羅「嫌だ!だいたい俺がお前にパシリにされる筋合いはないんだ!」

日本「そういうことはお釣りを返してから言え、絶交するぞ」

新羅「ううう・・・人の足元見やがってぇ・・・っ」ギリッ

それを離れた場所で見ている高句麗と百済。

高句麗「ブフォァッwww釣り銭も返さねぇのかよwww」

百済「やめなよw笑ったら可哀相よwww」

〜〜〜〜〜回想.終〜〜〜〜〜

新羅「俺のことを散々馬鹿にしやがって、いい気味だぜ」
451 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:02:34.74 ID:Zcstu9j50

新羅「見てみろよこの簪、これはそこそこ高く売れるぜ」

日本から盗んだ剣状の簪は、一体何の金属なのか全体が白く、
刃先は菖蒲の葉のようで、柄部分は背骨のように節立っていた。
如何なる職人が如何にしてこの簪を作ったのか、甚だ不可思議であった。

新羅「そもそも男にこんなもん必要ないだろ」

高句麗「確かに・・・百済にあげるつもりだったのかな」

新羅は簪を空にかざして、いろいろな角度から光を当てて眺めていた。
諸刃の剣は神妙に異彩を放っていた。

折りしも、異変が起こった。

「ゆぅーるぅーさぁーんーぞぉー・・・」

新羅「何か言ったか?」

高句麗「お前が言ったんだろ?」

ゴロゴロゴロ・・・ピシャーーーーン!

新羅・高句麗「わぁ!」

数秒前まで雲一つない晴天であったのに、突如として雷雨に見まわれた。

カァ!カァ!カァ!シューッシューッ・・・シュルシュルシュル・・・

周囲の木々や屋根の上、電線、至るところにカラスが留まり、
蛇の大群が二人を睨む。

新羅「ヒィィィ!!!!」

高句麗「何だ、何なんだコレェ!!!」

ケラケラと、不気味な笑い声が近くで聞こえる。

新羅「なんか・・・なんか簪から声が聴こえるんだけどぉぉ」ガクガク

高句麗「は!?何言って・・・」

「よくも汚らわしい手で我々を触ってくれたな・・・」

高句麗「うわぁ!」ガビーン 新羅「ほらぁ!ほらあああ」ガクガク
452 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:03:27.40 ID:Zcstu9j50

不気味な声の主は、確かに日本の簪らしかった。
しかも不気味な声は複数あった。

一「不潔だわ!不潔だわ!よりにもよって性器を触った手で!」

二「我らに対する畏れがまるでない・・・よそ者の盗人めがよくも・・・」

三「何たる屈辱だ・・・ヤマトの小倅に仕えることさえ我慢ならないのに・・・」

四「黙らんか貴様ら。そもそもこの剣簪を作ったのは私だ。怒る権利は私のみにある」

五「血が欲しいなァ・・・」

六「脂も欲しいね」

七「骨の砕ける音・・・人間たちの骨・・・最後はヤマトの子の骨・・・」

八「おい、土蜘蛛共いい加減にしろ!悪いのは盗人で、俺の子孫では断じてない!」

九「黙れヤマト」

十「滅びろヤマト」

十一「死してなお死ねヤマト」

三「本来の当主はお前ではなく俺のはずだろうがヤマト!」

四「いいや、私だ!貴様もヤマトも私の土地を譲らせた側だろうが!」

三「ふざけるな!その後ヤマトと組んで、俺に恥をかかせたのは貴様のくせに!」

八(役に立ったらお前らなんざポイだし・・・)フゥ

十二「お前の邪悪で非道な部分を愛してるぞヤマト」

十三「私は高見の見物ですなw」

十四「もっと民草を薙ぎ(凪)倒そうよ。人殺そ?殺してたくさんの血を浴びよ?」

十五「ゆめゆめ民草、なみ(波)起こすな・・・俺は浪起こすほうが好きやけどwww」

十六「ていうか盗人を祟って殺すのが先決だと思うんだが」

謎の声全員「そうだな!!」

新羅「ヒエエエエエエエエエエエエエエエエエ」ガビーン
453 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:04:20.46 ID:Zcstu9j50

新羅は思わずその簪を遠くへぶん投げようとした。

新羅「・・・っあれ!?」

ところが簪は彼の右手にピッタリくっついたまま離れなかったのだ。

新羅「うわあああああ!!取って!取ってくれぇぇぇぇぇぇ」

高句麗「こっちに近づけるなーーーーーっ」

新羅と高句麗は町内を三周ばかり追いかけっこした後、
「とりあえず倭に返そう」という結論に至り、百済の家へ戻った。

ガチャァン!|| 新羅「おい倭!これなんとかしてくれーーーー!」

高句麗「って倭ーーーー?!」

そのとき二人が目にしたものは、
笑顔で日本の左手の指を折って遊んでいる赤ん坊の姿であった!

唐「きゃっきゃっ!##」ポキッポキッボキッ 日本「ぐ、グフッ・・・」

高句麗「ええ?おまっ・・・まさかお前こんな赤ん坊に負けたのか!?」

日本「は?俺がこんなベビたん相手に負けるなんて馬鹿げたことあるわけ」

高句麗「ただいま絶賛左腕折られ中の現実を受け入れろこのタコ!」

唐「へっへっへっ##」ボキィッ!ゴキィッ!

日本「・・・こんな笑顔の可愛い子、殴れるかよ・・・ハハ・・・」

高句麗「嘘つけ!そのガキ化けモンじゃねぇか、殺されるぞお前!」

日本「意地を張っても仕方ないな、そうさ、ボロ負けだ。しかし右半分は完全無傷のままで」

新羅「まだ意地張ってる!ガキも化物だがこいつのメンタルも十分化物じみてるぜ!」
454 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:05:03.89 ID:Zcstu9j50

隋「フッフッフ、驚いたか二人とも」

隋「日本の敗因はズバリ、唐ちゃんを俺と同じような虚弱児だという先入観があったことだ!」

隋「俺も兄貴もかなりの虚弱体質だというのに、唐ちゃんはなぜか健康優良児だったのだッ」

日本「ご指摘の通りでござんす」 唐「きゃっきゃっ」メキャシャァッ!

高句麗(納得できねーっ)

日本「いやな、敵ながら天晴れだよ。この子の将来が楽しみなんだ」

日本「見ろ、唐ちゃんは俺の手を折って遊ぶうちにハイハイを覚えたんだ」

日本「ハイハイを覚えた彼は、的確に俺の金時計を狙ってきた」

隋「我が甥ながらその姿、山中にて獲物を狙う虎のようであったよ」

日本「俺も馬鹿ではない。俺は金時計を守るべく立ち上がった」

日本「するとこのベビたん、すかさず標的を俺の足の親指に変えたのだ」

日本「左足の親指を折られた俺は、痛さの余りのた打ち回った」

日本「わかるか・・・この子は再び俺の金時計を狙ってきたんだ」

隋「生まれて間もないのにそこが男の急所だと理解しているんだよ、末恐ろしい奴」

高句麗「俺が恐ろしいのはお前らの間抜け加減だよ」

日本「俺の金時計大ピンチ、となった瞬間に百済さんが身を挺してかばってくれた」

百済「あ、あたし・・・恥ずかしいくらい無力だけど・・・」

百済「可愛い赤ちゃんを見てたらなんか胸が張ってきて・・・お乳が出るような気がしたの///」

百済「結果、気がしただけでお乳は全然出なかったんだけど」

高句麗(俺の周りってこんなにアホだったのか)
455 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:05:57.45 ID:Zcstu9j50

日本「母性に目覚めた百済さんを見て悟ったんだ『俺のつけ入る隙ないな』って」

百済「それで、日本はもうわたしと結婚する気をなくしてしまったのよ」

日本「俺の置かれた状況を省みて、俺は自分の存在意義の置き場所に困った」

日本「『俺、恋人寝取られて赤ん坊に骨を折られて、一体何してるんだろう』と」

日本「そしてこう考えた・・・『逆に考えるんだ、折られちゃってもいいさ』とね」

高句麗「いやそこもっと踏ん張って考えなさいよ」

日本「なんかこのベビたんの笑顔見てると笑えてきてさ・・・俺の現状とともに」

唐(ニコニコ

百済「わたしはわたしで日本にフラれた喪失感があるし、新羅でもいいかなと思えてきたわけ」

新羅「まじで?やったー!・・・じゃなかった!」ハッ

新羅「倭!なんかお前の簪盗んだら恐ろしいことが起こったんだが!?」

新羅が手に張り付いた簪を日本に見せるや否や、
それまで取れなかった簪がいとも簡単にはずれた。

日本「ああっお前よくも・・・これは俺の家の家宝なんだぞ!」

日本は剣簪をハンカチで拭き、丁重に扱った。

日本「プロポーズするつもりだったから、お守りに持って来たんだよ」

日本「これははるか昔から代々我が家に受け継がれた、三つの秘宝のうちの一つで」

日本「『人生ハードモードじゃね?』と思った時になんかええ感じにしてくれるアイテムらしい」

新羅「え、でも」

日本「だが長時間身に着けると、『傍から見てるぶんにはクソ面白い奇病』に罹って死に至るらしい」
456 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:06:58.42 ID:Zcstu9j50

日本「このお宝は特に血生臭い変遷を辿って今に至るそうだし、呪われてるかもな」

新羅・高句麗「ひええ」

日本「ま、この簪を巡る血で血を洗う争いがあっても、全員俺のご先祖様だから大丈夫!」

高句麗「それは・・・どうだろう」

高句麗はすっかり油断していた。

ここに連れて来られた小さな戦士の目的が、一つではなかったことを忘れていた。

小さな天才児は、皆の見ていないうちに更なる成長を遂げていたのだ。

幼い戦士は気づかれないように、静かに高句麗に近づいていた。

高句麗の股の下に到達したとき、唐は思い切りジャンプして、

唐「ていっ##」シュバッ

ムンズッ

高句麗の金時計を掴んでぶらさがったのだ!
  
   
高句麗「「        ギャ        」」
  
  
青年の目は天井にひん剥いた。

青年はすぐに赤ん坊を外そうとしたが、赤ん坊は頑として離さなかった。
青年は発したことのない悲痛なうめき声をあげて赤子を殴ったが、
赤子は全くダメージを受けていないらしかった。
457 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:08:05.85 ID:Zcstu9j50

新羅「これは痛い!脳よりも弱い部分を怪力でそんな!」ガクガク

百済「また胸が張ってきた・・・?///」

隋「唐ちゃんすご過ぎて、俺さすがに怖いなぁ」ブルブル

日本「ヤリチンで名を馳せた高句麗の主砲が!お釈迦になっちまったーーーッ」ガクガク

高句麗は倒れて、口から泡を吹いた。
ひどく痙攣していたので、救急車で病院まで運ばれていった。

最初は笑っていた救急隊員達であったが、高句麗の容態を見て事態の深刻さを察し始め、
ついには救急隊員までもが唐ちゃんの犠牲となって担架で運ばれる始末。

病院へ到着してまもなく、高句麗の玉の捜索及び位置を戻す大手術が行われた。

整合性を合わせるという大命を無事成し遂げた唐ちゃんは、満足げだったという。

百済はお乳が出る可能性を捨てきれず、
新羅に長時間胸を揉ませたが、とうとう唐ちゃんにお乳を与えることは出来なかった。

救急隊員たちに飽きた唐ちゃんは新羅と隋を追いかけ始めたので、
二人は逃げ惑っていた(しかも、新羅は胸を揉まされながらである)。

ちなみに、その場にいた日本はかなりの大怪我であったのにも関わらず、
唐ちゃんの活躍による救急隊員たちのパニック騒動と、
興奮によるアドレナリン分泌によって痛みをあまり感じなかったため、
左親指の激痛に耐えながら自力で病院へ向かう羽目になった。

病院の帰り、日本は左腕を吊りながら橋の上で川を眺めていた。

日本「はぁ・・・今日は散々だったな」

日本「失恋したし、腕と指の骨折るし、旧友は生死の境を彷徨ってるし・・・」

日本「こんなに酷い目に遭う奴ってなかなか居ないよな」
 
458 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:08:56.76 ID:Zcstu9j50

日本「これから先もいいことなんてなさそうだな・・・」

剣簪の謎の主たち「・・・」

日本がその場を去ろうとしたそのとき、若い女性が声をかけた。

扶桑「ねぇあなた、鹿ってお好き?」

日本「はい?」

女性は澄んだ目で日本を見つめる。
彼女は大変美しかったが、どこか浮世離れしていた。

扶桑「鹿はお好き?」

日本「ああ、まぁ、好きなほうですね」

扶桑「ですよね、すごく美味しいもの」

日本「あ、鹿の肉の話だったんですか?」

扶桑「ミルクの話ですわ」

扶桑「ミルクといえば、私の友人はミルクを出すんですよ」

日本「はい?」

扶桑「でも友人は乳房がまるでない断崖絶壁なんです。どこから出ると思います?」

日本「は?さ、さぁ」(なんかヤバい人に絡まれた・・・)

扶桑「白い胸毛の毛穴から滲み出るんですのよ!だから彼女、肌が白いのかもしれませんわね」

日本「そ、そうなんですか」
 
459 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:10:00.99 ID:Zcstu9j50

扶桑「彼女は綺麗な子なんですけど、人見知りで、なのにすぐ孕みたがる困ったちゃんで」

扶桑「毎年夏に水辺で出産しては、その子供達の面倒を私に押し付けるんですの!」

日本「あ、あの・・・失礼ですけどそのご友人はホモサピエンスですか?」

扶桑「ホモ?名前が女と言うのですから、ホモじゃぁないと思いますわ」

扶桑「でもぉ、男に女と名づけてはいけない理屈はありませんし、男なら話は別ですね」ニコ

日本(うわー、キチガイ学園でもなかなか居ないレベルで電波な人だー!)

日本(これ以上ひどい目に遭わされてたまるか!ここは何とかして逃げないと)

日本は彼女を無視して帰ろうとしたが、
うっかり左足の親指に力を入れてしまった。

日本「いってええええええええええ!!!」

扶桑「まぁ!大丈夫ですか?!」

日本「もう、放っといてくださいよ!何なんですかあなた!」

扶桑「すみません、あなたが哀しそうな顔をしてなすったからつい・・・」

日本「え・・・」

扶桑「私もそうなんです」

日本「・・・ええ、今日は色々あって疲れました。このザマですよw」

日本は吊った左腕を見せて少し笑う。

日本「俺よりも友人のほうが悲惨ですけどね。あなたはどうしたんですか?」

扶桑「私は・・・」グスッ
 
460 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:10:49.60 ID:Zcstu9j50

扶桑「実は、すごくお世話になった人が死んでしまうかもしれないんです」

扶桑「先ほど別の知り合いから聞いたところ、彼は重要な玉をなくしてしまったらしいの」

扶桑「死ぬほど重要な玉といえば、ゲツヨウインテイ山の熱泉に沈む太陽玉に相違ありません!」

扶桑「太陽玉は貴重な果実ですから、それを失くせば闇の組織に消されるのは必至・・・」

扶桑「だから私、これからそれを採りに行くつもりなんです」

日本「一人で大丈夫なんですか?ゲツヨウインテイ山って東極山の近くですよね?」

扶桑「それが問題で、常に天候の荒れたゲツヨウインテイ山に行くのも大変ですけどその上・・・」

扶桑「黒歯という恐ろしい怪人が居て、太陽玉を狩に行った人は皆熱湯で殺されるんです!」バァーン

日本「なんだってーーー!」ガガーン

扶桑「でも私頑張ります。恩がありますから」

日本「待って」

日本「じゃあ俺も手伝います」

青年は彼女の太陽玉云々の話をまるきり信じてはいなかった。
しかし・・・

日本「実はさっき詳しく言いませんでしたが、俺の友人もある意味重要な玉を失って」

日本「それで今死にかけてて、彼は手術を受けて戦っているところなんです」

日本「しかしそもそもあの場に彼を呼んだのは俺だし、俺が弱かったせいでもある」

日本「俺がしてやれることはないし、彼はもはや死んでしまうでしょう」ジワッ

日本「だからせめて・・・あなたのご友人だけは助けたい!」

扶桑「そうだったんですか・・・」ホロリ
 
461 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:11:53.39 ID:Zcstu9j50

扶桑「そうだわ、あなたのご友人にも太陽玉を届けてさしあげましょう!」

扶桑「ゲツヨウインテイ山の熱泉に太陽玉は9個も沈んでいるそうです」

扶桑「伝説の果実を食べれば、怪我なんて治っちゃいますよきっと!」

日本「そうかもしれませんね・・・よし、頑張るぞ!」

こうして日本青年は、腕を吊って(足の指も折って)いるのにも関わらず山へ向かった。

東極山よりもさらに過酷な山、ゲツヨウインテイ山。
予想通り気候は悪かったが、剣簪の霊妙か、獣に襲われることは一切なかった。

悪路を登りきると信じがたいことに、扶桑の話は真実であった。

ゲツヨウインテイ山の熱湯谷には太陽玉と頭蓋骨らしきものがいくつも沈んでおり、
怪人・黒歯なる不気味な男が住み着いていた。
法の及ばない無法地帯であった。

卑劣な黒歯は扶桑を人質にとり、日本に勝負を挑んだ。

日本は正々堂々、目潰し攻撃を以て黒歯の視界を一時的に奪った。

怪人が右往左往している隙を見て、円匙であるだけ太陽玉を掬い上げ、
扶桑を救出して下山した。

下山してお互いの友人に太陽玉を届けようという話になったとき、
それぞれの言う友人というのが、共に高句麗であったことにようやく気づいたという。
扶桑は玉違いをしていたのだった。
  
--------------
--------
----
日本と扶桑はこの一連をきっかけに、健全なお付き合いの後に結婚した。
結婚式当日の妻側の友人席は、人外の生命体で溢れかえっていたという。
この夫婦の間に生まれたのが、一人娘の日本(やまとちゃん)である。
 
462 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:12:36.72 ID:Zcstu9j50

母性本能に目覚めた百済は、新羅が「もう勘弁してください」と泣くのにも構わず、
毎晩毎晩夫を求めて仕込む作業をやめなかった。
その甲斐あって誕生したのが息子の新羅である。

唐は金時計を狙う遊びに飽きてしまったらしく、隋は心の底から安堵した。

高句麗の玉は無事発見され、奇跡的に彼の金時計は完治した。
扶桑たちの持って来た太陽玉のおかげではなく、医学の勝利と彼の運であった。
彼は生涯結婚することはなかったが、精力絶倫ぶりは相変わらずで、
不倫も含めて子どもが何人もいたらしかった。
後に別れた女が職場に怒鳴り込みに来たので、しょことなしに認知した子が渤海だという。

 
-------[人物紹介]--------
 
 日本
 :やまとちゃん(>>登場)の父親。
  自称(隋に対して)日出処の天才。
  なぞかけが得意で、娘のやまとちゃんにも受け継がれている。
  周囲から陰湿と評されるが、それなりに男気はある模様。
  呪いの発動しない幸運世代の一人だが、百済を寝取られるなど不遇。
 
 扶桑
 :やまとちゃん(>>登場)の母親。
  謎の多い電波ガールで、怪人や動物との交友関係が多い。
  普通の人類の知り合いは、高句麗(幼馴染)・ケイ賓氏(先生)・梁氏(知人)のみだった。
  
463 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/05(月) 23:13:59.91 ID:Zcstu9j50
 
 高句麗
 :渤海の父親、認知はしている。子供の数は本人も未確認。
  キチガイ学園在籍時から、隋や新羅に振り回されていた。
  扶桑とは幼馴染で、日本とはかなり遠いが親戚に当たるらしい。
  かといって日本と特別仲良いわけでもない。
  赤ん坊の唐に大きなのっぽの金時計を壊されかけ、生死の境を彷徨う。
 
 百済
 :魔性の女。日本と付き合っていたが最終的に新羅と結ばれる。
  新羅(>>登場)の母親。
  勉強好きで、キチガイ学園在籍時も成績優秀だった。
  性欲が凄まじいので房事も凄まじい。
 
 新羅
 :新羅(>>登場)の父親。
  窃盗症と診断されてキチガイ学園に送られたが、
  治療の甲斐あって日本の所有物だけを盗むよう抑えることが可能になった。
  日本から百済を寝取り、三種の神器の一つである草薙剣簪を盗んだ。
  寝とったものの、妻の百済に房事のことで度々泣かされている模様。
 
 隋
 :北周の弟で、唐の叔父。マルチな才能を持つ天才少年。
  兄との家督争いに敗れてキチガイ学園に送られたが、
  兄のテントに引きずり込まれる恐怖(というか虐待)のせいで、
  アダルトチルドレンの傾向が時々見られる。
  女好きを豪語しているが、浮気性の陳(梁氏の姪)を振り向かせるための強がりである。
 
464 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/12/05(月) 23:16:12.10 ID:Zcstu9j50
ちょっとミスしました

やまとちゃん(>>登場)→やまとちゃん(>>236登場)
新羅(>>登場)→新羅(>>236登場)

が正しいです
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/06(火) 13:47:23.81 ID:XXlReW+a0
呪い怖すぎワロタ…
466 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/12/08(木) 16:02:19.29 ID:H1wZr9Cs0
扶桑さんの元ネタは梁書と袮軍墓誌です
(梁書の扶桑国は倭と高句麗両方に似た国だと思われます。袮軍墓誌では完全に日本です。)

草薙剣ネタを出してしまったので、前々から書こうか迷ってた元寇ネタ回も書こうと思います
(なかなか大日本帝国編に行けない・・・)
次の元寇ネタは、>>1の約束を破って、スウェーデン以外にホモが2名増えることになります
汚い場面があります。ごめんなさい・・・
主人公は>>302に出てきた鎌倉日本です

ややこしいので歴代日本(厳密には違う時代でも便宜上名前をつけてます)の順番を書きますと、

(時代前後不明)草薙剣簪の主達、邪馬台国、拘奴国など
→(世代不明)
→古墳・飛鳥日本(番外編:NTRと整合性 に登場。やまとちゃんの父。)
→奈良・平安日本(番外編:トウモロコシの語源ryに登場、通称やまとちゃん。渤海と友達。)
→平安日本(非キチガイ学園出身。やまとちゃんの息子で、鎌倉日本の父。次回にちょろっと登場)
→鎌倉日本(>>302登場、次回番外編に登場)
→南朝日本&北朝・室町日本(南朝が姉で室町が弟、登場予定なし。非キチガイ学園出身。)
→安土桃山日本(>>302と◆バナナ型神話などに登場。室町日本の息子にして江戸日本の父。)
→江戸日本(>>303と番外編:ドカン!と一発ホームラン などに登場。大日本帝国の母。)
→大日本帝国(日本国の父。渤海と何らかの因縁がある。)
→日本国(本編主人公)
 
こんな感じになっております。
なお、スレタイではさもドイツが主人公であるかのように装っていますが、
当初は『ジャパンの奇妙な冒険〜キチガイ共との闘い〜』というスレタイを考えていたこともあり、
一応主人公は日本です(すごい今更)
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 22:17:00.64 ID:LZK8ccGf0
戦国日本は、無しか…てかスレタイwwwwwwwwwwwwwwww
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 11:29:35.09 ID:2YUnH5Ke0
保守
469 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/12/20(火) 10:31:04.61 ID:FQR7ktZlO
今晩あたり、元寇ネタを投下できそうです
マジで一人もまともなキャラを見出せません
しかも結構展開が複雑で、ちゃんと書けてるか不安です
このSSでは草薙剣簪は草薙剣と節刀を同じものとして扱っています
特に今回の主人公は鎌倉幕府の擬人化ではなく、
平家+鎌倉幕府+公家+九州武士団の擬人化なので
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:32:29.89 ID:pAsqQDJM0
待ってました
471 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/12/20(火) 22:31:25.53 ID:vgwpYOPq0
しまった、スマホの書きためをメモ帳に移すまで気づかなかったのですが、
今まででトップクラスの大長編になってしまいました
かといってどこを削ってよいものやらわからないので、そのまま投下します

>>466で南朝日本&北朝(室町)日本の話は予定しないと書きましたが、
設定だけは考えてあった、というか大日本帝国編で南朝がらみの会話が出てくるかもしれないので
おまけでこの2人のあらましだけ説明することにしました
472 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:15:37.86 ID:vgwpYOPq0

ホラー番外編:恐怖!ウホッとあそこがむくりこくり!の巻

〜〜かまくらのしゅごしん☆さがみからのおねがい〜〜

相模「良い子の諸君。今回の話は特に汚いから、画面を暗くして人から離れて見てくれ!」
 
相模「・・・はぁ」

相模「お薬変えてもらわないと・・・」
  
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ある時、6歳の少年が海で溺れるという事故があった。

彼は突然、着衣のまま海の中へ飛び込んだというのだ。

「なんであないなことした?」と父親に尋ねられると、

彼は「波の下に都があるという声が聴こえたんです。
そして海の方を見てみますと、本当に竜宮城があるじゃありませんか。」と答えた。

彼は挙動不審で、目の焦点も合っていなかった。

彼には幻聴と幻覚の症状があると見られた。

彼の父親はうな垂れ、「この子を例の病院に入れなあかへん」と言った。

父親は近くにいた祖母に問う。

「せやけど、あそこは人死にも出るような物騒な所やて聞きます。
 実際どないどしたんや、母上。」

祖母は孫の頬を撫でながら、

「何も心配せんでええよ。わたいも行った所どすさかい。
 お友達がいっぱいできる、楽しい学校え。
 大事なお友達とお別れして、哀しい思いしぃひんかだけ、
 わたいは心配やけど・・・」

彼の祖母は海の向こうを見つめて、
何かの姿が見えたようにハッとして、そのまま肩を震わせて泣き崩れた。
473 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:16:42.94 ID:vgwpYOPq0

家の者の証言によると、海に飛び込む直前まで少年は剣状の簪で遊んでいたという。

父親はそれを家宝の草薙剣簪だと見なし捜索したが、

見つかることはなかった。
 
 
その少年は大地立青少年精神医療センターに送られ、そこの院内学校で学ぶことになった。

彼の名前は日本。

日本「はぁ、いつになったらここを出れるんだよ・・・」

彼は17歳になっていた。
 
 
さて、実を言うと日本少年はとんでもない学校の、
特にとんでもない時期に入れられてしまったのだ。

西病棟では神聖ローマ帝国やフランス王国らによる、
イスラム教徒の生徒たちとの喧嘩が日々勃発していた。
(西病棟委員長はビザンツ帝国であるが、
 彼はしばしばカツアゲされるなど、権威皆無のサンドバック的存在である。)

キリスト教徒の少年達はその喧嘩を十字軍と称し、
イスラム教徒の少年達は聖戦(ジハード)と称するという、
聞くに耐えない厨二病全開ぶりであった。

そして日本少年の所属する東病棟はというと、
型破りなガキ大将・モンゴル帝国が牛耳っていた。

彼は東病棟・西病棟の女生徒たちをレイプしまくり、
17歳という若さでありながら幾人もの子をなしていた。

そして彼に抗う男子生徒は皆、大怪我をさせられた。

性の乱れと暴力に溢れ、加害被害を問わずに生徒たちは日々恐怖した。

それにも関わらず、当時のアトランティス院長は特別な対処を一切しなかったのだ。
もっとも彼は元々水泳講師として当院に呼ばれたのであって、
契約外の仕事を放置するのは当然ともいえる。
(しかし、本来の水泳講師の仕事すらもやっていないとの批判の声もある。)

キチガイ学園の歴史上最悪の世代とすら噂されるのが、
このアトランティス院長時代である。

(と、かつての烏有先生は取調べの際に熱弁したという。
 また、現在のマクガフィン先生はことあるごとに
 「うるさい、アトランティス学級よりマシなはずだ」と言い、
 詰問する情報管理課職員相手に反論する。)
  
474 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:17:44.44 ID:vgwpYOPq0
 
しかしここ最近で転機が起きた。

モンゴル帝国はイクメン宣言をし、子育てに専念するべく、

東病棟委員長の座を末弟の大元ウルス(13歳)に譲渡したのだ。

小さな転機ではあるが、これを以って東病棟の主導権が元に移ったのだ。
 
 
このような環境で10年以上も暮らしていながら、
日本少年が無傷でいられたのは奇跡に近しい。

日本少年は、友人の高麗少年と親しく遊んでいた。

日本「蒙古野郎は近くにいないな?」

高麗「ああ、大丈夫みたいだ」

日本「くそっ!なんでアトランティス先生は何もしてくれないんだよ!」

高麗「あの人は生徒のことなんて何も考えてくれないんだ」

高麗「だから僕、大切な宝物は肌身離さず持ち歩いてるんだ」

高麗「そうそう、アルバムで見つけたんだよ、これ」

そう言って高麗は写真をポケットから出した。

防水カバーまで付ける慎重ぶりである。

中には三人の青年が写っていた。

日本「あん?それって・・・お前の爺さんか?」

高麗「違うよ、この見切れてる人は曾祖父さ」

高麗「この右の人は、曽祖父の友人の高句麗という人だよ」

高麗「この三人はよくつるんでいたから、曾祖母が撮ったんだって」

高麗少年の言う曾祖父は新羅であり、曾祖母は百済である。

写っている青年三人は左から順に新羅・日本(曾祖父)・高句麗だと考えられるが、

新羅は見切れて左腕が少々写っている程度である。
 
475 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:18:38.47 ID:vgwpYOPq0

日本「はあ?そんな古い写真なんで大事に持ってんだ?」

日本「しかも、自分の曾祖父さんの写りがあんまり良くないのに」

高麗「フフフ、良く見なよ。何か感じることない?」

日本「ええ?・・・・・・あっ!真ん中の人が俺にすごく似てる」

高麗「そんな人名前も知らないよ!そうじゃなくてさ」

日本「えー?じゃあ何の変哲も無い普通の写真に見えるが」

期待外れであった。

高麗「この高句麗って人、とても魅力的じゃないか?##」

日本「・・・んんん?」

高麗少年はホラホラと写真を見せるが、日本少年はいまいち理解できない。

日本「そうかあ?見た目、遊んでそうな軽薄男って感じがするぜ」

高麗「ムッ・・・そうかな、僕はそう思わないけどな」

高麗は写真をポケットにしまうと、そっぽ向いてしまった。

日本(何じゃこいつ)

日本少年は不審に思ったが、

院内で唯一の遊び仲間を失くすのが嫌だったので、

それ以上写真について言及しなかった。

そのとき、絹を裂くような悲鳴が聞こえた。

声の主は女生徒・南宋だった。

南宋「いやあああ!助けてぇ!誰かああああっ」

元「うるさい女だ、兄者は女には優しいから安心しろ」

南宋は元の肩に担がれ、いくら暴れても抜け出せない状態であった。
 
476 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:19:58.01 ID:vgwpYOPq0

大元ウルスは長兄のモンゴル帝国によく似ており、
13歳にはとても見えないほど背が高く、屈強な肉体の持ち主であった。

声を聞きつけて高麗と日本がやってきたが、
元の姿を見てすぐ物陰に隠れてしまった。

高麗「うわぁ、とうとう南宋ちゃんが元に連れ去られちゃった!」

日本「兄貴のとこに連れてく気だ!南宋ちゃんかわいそうに・・・」

日本「せっかくの美少女なのに、野蛮なモンゴルの性奴隷にされてしまうんだ」

日本少年は南宋の未来を想像した。
嫌がる南宋、そんな彼女の衣服を構わず破るモンゴル帝国・・・。

日本(・・・エッロいなぁ///)グヒヒ

そう思った瞬間、日本少年の全身に蕁麻疹ができた。
これは彼の一族歴代に受け継がれる呪縛によるもので、
少しでもハレンチなことが関係すると超常現象が起きるというものだ。

日本「かゆっ!かゆっ!かゆううううううううううう」ガリガリ

少年は苦しんでかきむしった。

そのせいで、彼らの存在が元に気づかれてしまった。

高麗「しまった!こっちに気づいた」

日本「ええっどうしよう!」ガリガリ

元「・・・」 南宋「離しなさいよこのゴリラ!」ジタバタ

元はじっと日本のほうを見つめる。

日本「ヒィッ」

元「・・・・・・ヵゎぃぃ・・・」ボソッ

元「##」プイッ

元はそれから目をこすりだした。
どうやら目にまつげが入り込んだらしい。
元は目の痛みに耐えながら、兄のもとへ少女を運んだ。

日本(なんだ今の・・・)ゾクッ

高麗「なんだかわからないけど、見逃してくれたみたいだね」

日本「ああ、でも南宋ちゃんが連れ去られてしまった」

日本「これで院内の女の子、マルムークさんを除いて全て蒙古野郎の餌食に・・・」

高麗「しかたないよ、誰もあいつらには逆らえないんだから」

日本「でもなぁ、蒙古野郎の横暴をこのまま許していいのか」
 
477 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:21:24.50 ID:vgwpYOPq0

少年らはそのまま別れ、日本は自室に戻った。

部屋の前には小さな小包が置かれていた。

日本「あ、父上からだ」

少年は父親に申し訳なく思っていた。

彼の父は元々、彼を自身の母校に入学させたがっていた。
彼の父は小中高と、名門私立の出身であった。
「さすがに中学には間に合うだろう」と、中学受験の勉強を息子にさせた。
「さすがに高校には間に合うだろう」と、高校受験の勉強を息子にさせた。
結果はというと、受験すら不可能であった。
彼はいつまでたっても退院させてもらえず、11年間このセンターで過ごした。
彼の父は落胆した。
一応高等部編入試験の勉強は続けているが、それもおそらく無理だろう。

日本(せめて大学には、華々しく入学したいものだけど・・・)

小包の中の封筒を開け、手紙を読む。

『息子よ、我が母校に通うことはできなくても気にする事はない。
 私はもはやお前に大学受験の勉強はさせない。
 そのセンターで受験勉強をしても、退院させてもらえないのなら意味がないからな。
 ちゃんと退院できてから、家で勉強を始めればいい。』

日本「ごめん、マジでごめん」

『ところで、お前に良い知らせがある。
 お前が入院するきっかけになったあの事件で、
 お前が紛失した草薙剣簪が見つかったのだ。』

日本「え?あー、そういえば・・・あれか。玩具にしてたなぁ」

何せ11年も前の話であるので、日本はあの事件のことを忘れかけていた。
あの頃の少年は、「蔵でカッコいい剣を見つけた」と大はしゃぎで、
そのまま簪を振り回して外を駆け回っていたのだ。
浜辺まで来たところで、知らぬ男の声が聞こえて―――その先は記憶が曖昧になっていた。
 
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 23:21:44.77 ID:pAsqQDJM0
まさかの元ホモ疑惑
479 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:22:23.95 ID:vgwpYOPq0

『草薙剣簪を部屋に飾っていたところ、毎日怪奇現象に見舞われた。
 気持ち悪いからお前に預かってもらおうと思う。』

日本「おい!」ガーン

『お前はこの簪と不思議な縁がある。
 お前の側にこの簪を置くことで、この簪の供養になるのではないかと思う。
 そして、それによってお前も退院できるのではないかと期待する父である。』

日本「えー?そうかな」

日本「てことは、この箱の中に・・・あれが入ってるのか?」

少年は恐る恐る箱を開けた。
中の包み紙を取ろうとしたそのとき―――

ピンポーン

少年は作業をやめて扉へ向かった。

日本「誰だー?」

||高麗「ぼっ僕だよ・・・あっ・・・開けてぇっ///」

日本「どうした?喋り方変じゃね?」

||高麗「んっ・・・気にしないで、とにかく・・・中に入れてくれ!」

ガチャッ

日本はいつものように、扉を開けてしまった。

日本「!!!!????ウ、ウワァァァァァァァッッッ」ガクガク
 
480 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:23:22.44 ID:vgwpYOPq0

高麗「えへへ・・・ごめんねぇ日本・・・僕っコッチ側だった///」

日本少年の目の前には、東病棟委員長・元と
それに尻の穴を突かれて喜んでいる友人の姿があった。

元「・・・日本##」ポッ

日本(ゾゾゾ

高麗「にっ日本もこっちに来いよ///気持ちいいよォッ」

日本「うわあああ!うわあああああああ!あわあわああああああああああ!」ガクガクガク

日本は腰を抜かしてしまい、恐怖のあまりうまく喋ることもできなかった。

元は高麗と合体したまま、日本の腕を掴んで引っ張ろうとした。

日本「ややややややあばばばばばばばばばばばばば」ガクガクジタバタ

バチィン!
ビリビリビリ

元「ぐおっ」 高麗「し、シビレルゥ!」

元が日本を部屋の外へ引きずり出そうとしたとき、全身に猛烈な電流が走った。
元(とくっついてる高麗)が思わず日本の腕を放して外へ出てしまうと、
扉が独りでに閉まって鍵までかかった。

ガチャン!ガチャッガチャッ

元は何が起こったのか理解できないといったふうに、扉を凝視した。
一方で、日本自身にも何が起こったのか理解できなかった。

日本(な、なんだ今の!?勝手に扉の鍵が閉まったぞ?)

日本(ま、まあいい!とにかく、部屋の奥に逃げないと・・・)

日本は這いずりながら部屋の奥へ向かった。

扉の外からは元の怒声が聞こえた。

||元「この!お前の紹介なら日本は必ず来てくれると言ったじゃないか!」

||元「完全に嫌われた!どうしてくれるんだ貴様!」

||高麗「ごめんなさぁい!ちが、ちがうんですよぉ」

||高麗「あいつは照れ屋なんです!あれもきっと愛情表現の一種ですよぉ」

||元「本当か?じゃあ俺に脈アリだと見なしていいんだな?」

日本(て、適当なこと抜かしやがって高麗め!絶交してやる!)
 
481 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:24:27.49 ID:vgwpYOPq0

日本は草薙剣簪の箱を手にとって、奥の押入れに避難しようとした。

すると、包み紙の中からモクモクと霧が上がった。

日本「!?」

モクモクモク・・・

部屋の中には瞬く間に雲海が出現する。
雲の中には古風な青年が立っていた。

出雲「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」

日本「な、なんだあああ」

出雲「私は出雲。この簪を作った主である。そして、お前の先祖の一人でもある」

日本「じゃあ幽霊?」

出雲「まぁそうなるな」

日本「わあああああああああああ!!!!!」

出雲「落ち着け、我々はお前を救いにきたのだ」

出雲は雲の奥を明らかにした。

奥のほうでは人影がさらに3人、
両手足を縛られた青年が一人と、そばに青年と若い娘がいた。

筑紫「放せええええええええええ!放せクソ共ォォォォォ」ジタバタ

大和「クックックックッ」 尾張「うふふふふふふっ」

出雲「あやつらもお前の先祖達だ」

出雲「お前はかつてこの簪で遊んでいた時に謎の声を聞いたな?」

日本「は、はぁ」

出雲「あの声は私だ。畏れを知らぬ小倅を殺してやろうと思ってな」

日本「えーーー」ガビーン

出雲「だから私には逆らわんほうが良いぞ」ニッコリ
 
482 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:25:27.52 ID:vgwpYOPq0

出雲「しかしいくら私とて、子孫がホモの餌食になるのは可哀相でな」

出雲「そこでお前に提案があるのだ。飲むか飲まないかはお前しだいだが・・・」

大和「よぉ、俺の子孫!散々な目にあったなw」

大和「お前さ、エロいこと考えると不思議なことが起こるだろ?」

日本「え?ああ!そういえばさっきも蕁麻疹がでました」

大和「それに、さっきホモ2人に襲われたときも静電気が流れたりしただろ?」

出雲「それは拘奴の代より始まる呪いでな、お前たちの子孫繁栄を阻む呪いなのだ」

大和「お前がスケベしようとしても発動するし、スケベされそうになっても発動するんだ」

日本「そ、そうだったのか!なんてひどい呪いだ」

大和「だが、経験でわかると思うがたいした呪いじゃないんだ」

大和「震度3くらいの地震が起きたり、電車のダイヤが乱れたり、ちょっと運悪くなるだけ」

大和「つまり、お前がレイプされたとしてもその程度だということだ」

日本「そんな」

大和「そこで相談なんだが、この呪いを強化する方法があるんだ」

出雲「我らの力と連動させることで、呪いを致死レベルに上げることができる」

大和「まあ・・・そうしたら自分も危なくなるんだけどな。どうする?」

日本「あー・・・えっと・・・」

日本「呪いはそのままにして、別にあなた方の力を借りるってわけには」

出雲「貴様、代償なしで私を使役するつもりか?いい度胸だ」ギロリ

日本「ひぃ、ごめんなさい!」

大和「すまんな、俺にお前を守る権限はないんだ・・・」シュン
 
483 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:26:16.09 ID:vgwpYOPq0

出雲「自分の呪い被害を代償に、これが私の許容し得る最低条件だ!」

ドォォン!ドォォン!

日本「何だ!?」

出雲「先ほどのゲイ2人だろう。扉を突き破ろうとしているな」

||高麗「にほーん!出ておいでよ、怖くないからさ」

||高麗「さっきは驚かせちゃってごめんねーーっビックリしたよね」

||高麗「大丈夫!元様は友達から始めたいっておっしゃってるから!」

||元「日本・・・怖くないから出ておいで」

||元「がっつくのはやめるよ。君のペースに合わせよう」

暴君の元にしては、だいぶ譲歩しているらしかった。

そもそもが高麗の招いた誤解なのだが。

日本「どうしよう!」

出雲「さぁどうする?自力で立ち向かうという道もあるが」

出雲「相手の剣を木の棒にすり替えて斬りかかるくらいの卑怯な手でも使ったらどうだ?」

大和「あれ?まだ根に持ってる?やだねー」ケラケラ

大和「今よりキツくなるのは確かだが、調節は出来るんだぜ?」

大和「『主人公補正効いてんな』から『もはやこいつがラスボスだろ』レベルまで」

大和「そうなると『彼女が膣痙攣起こして救急搬送』から『煩悩を滅せよ』になるけど」

大和「お前がどのへんまで我慢できるかによるよ」

出雲「ええい面倒臭い、いっそなすがままに掘られるか」イライラ

日本「それだけは嫌です!」
 
484 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:27:09.89 ID:vgwpYOPq0

少年は考えた。

日本(どうしよう、年下だけど元に敵う気がしない)

日本(しかも高麗だってそんなに喧嘩弱いわけでもないんだ)

日本(二人に囲まれたらまるで勝ち目が・・・)

日本「・・・わかりました」

日本「お願いします。俺を助けてください」

出雲「よし」

大和「おーい!尾張ちゃん!スタンバイできてる?」

尾張「はい!水圧カッターの準備できましたぁ!」

筑紫「やめてくれえええええええええええええええええ」ジタバタ

日本「ちょっと待った!」

日本「あ、あの人をどうするつもりですか!?まさか」

大和「ああ、バラバラにして8つに分けるぞ」

日本「そんなの酷すぎませんか!」

出雲「お前の呪いと我らの力を連動させるために必要なことだ」

出雲「筑紫を贄にすることで、私と大和がノリノリになる」

日本「ノリノリになるだけすか!」

大和「尾張ちゃんのお肌もツヤツヤになるぞw」

筑紫「貴様ら絶対許さんぞ!許さんから!」ジタバタ

出雲「よいか小僧、世の中は残酷な仕組みになっているのだ」

出雲「一人が楽をすればどこかに必ずしわ寄せが来る・・・世の常よ」

出雲「お前とこの筑紫を連動させる」

出雲「そうして筑紫の神力がお前に、お前のダメージが筑紫に行くのだ」ニヤリ
 
485 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:28:04.22 ID:vgwpYOPq0

大和が筑紫を足蹴にする。

大和「へーい筑紫ィ、今どんな気持ちだ?ハッハッア!」

大和「悪いねぇ、俺には十種神宝の保護があるから出雲も手を出さないんだ」

筑紫「くそったれ大和!」

大和「子孫よ、こいつなら大丈夫だ。案ずることはない」

大和「なんせ一度死んでるからな!霊体だからすぐに復活できる」

出雲「だからお前は自分の心配だけしていればいい」

日本「そうですか?じゃあ、それで」

筑紫「!」

筑紫「ちょまっ・・・ままま」

尾張「いっちゃいま〜〜〜〜すww」チュィィーーーーン

キュルキュルキュルキュルチュチュチュチュチュ

筑紫「うああああーーーーーーーー!!!!!!!」

日本「うわっ」

筑紫の断末魔の叫びが部屋中に轟き、

その惨状に日本は思わず目を背けた。

筑紫「あああああああああああああああああああああああああ!!!」
 
486 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:29:00.09 ID:vgwpYOPq0

筑紫「痛いいいいいいいいいい!!!!死ヌァァァァァァァァ!!!」

キュルキュルキュルキュルチュチュチュチュチュキュルキュルキュルキュルチュチュチュチュチュ・・・ウフフフフフフフフフ、モット、サケビナサイ!

ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ・・・・・・・・・キュルキュルキュルキュルチュチュチュチュチュ・・・ぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・キュルキュルキュルキュルチュチュチュチュチュ・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

日本「うわぁ、見てられない・・・ほ、本当に復活するんですよねあの人!」

ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁオホホホホホホホホホホぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・キュルキュルキュルキュルチュチュチュチュチュ・・・アラ、キリソコナッタワモウイチド!・・・ぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・キュルキュルキュルキュルチュチュチュチュチュ・・・ぅゎぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

大和「うん」 出雲「復活はするぞ」

ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁウフフフ!ルーンルン♪ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・イイカンジニナッテキタワァ///・・・ぅぅぅぅ・・・キュルキュルキュルキュルチュチュチュチュチュ!ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・

尾張「終わりましたー☆」ツヤツヤ

筑紫「」デロリアン

日本「うわぁグロ・・・ッ元に戻るんですよね」

大和「うん」 出雲「痛みの記憶はそのままだが」

日本「酷いじゃないですか!」

大和「そうだな、少し可哀想なことを出雲がしたかもしれない」

大和「筑紫を慰めるためにも、彼をそう・・・八幡神とでも呼んで崇めてやれ」

出雲「言いにくかったら8マン(エイトマン)と呼ぶがいい」

日本「エイトマン?!」

大和「これを以って、この簪を節刀(せちとう)として君に与えよう!」キリッ

出雲「さぁ、そろそろゲイたちが扉を突き破る頃だ」

大和「頑張れよエイトマン、応援してるぜ」

日本「俺がエイトマンになってんじゃねーか!」
 
487 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:31:03.85 ID:vgwpYOPq0

みるみるうちに雲海は消え、
部屋には少年と簪だけが残された。

日本「今のは現実だったのか?」

ガシャアアン!!

日本「わっ!」

ついに部屋の扉は破られてしまった。

高麗「日本、何で出てきてくれなかったんだよ・・・」

高麗「元様は君に合わせてくれるって言ってくださったのに、我儘だなぁ」

高麗「元様はすっかりお怒りだよ?」

元「・・・」ブチギレ

日本(やべぇ、俺殺されるかも)ゴクリ

そのとき、日本少年の頭の中で声が聞こえた。

>>筑紫「おい、俺だ。お前の先祖の筑紫だ」

日本(え?もしや、さっきバラバラにされてた人?)

>>筑紫「ああ。出雲と大和は鬼畜だからな」

>>筑紫「まぁあれはあれで仕方のないことではあったがな」

>>筑紫「俺の身体を聖数の8に分割することで」

>>筑紫「我ら統合の印たる大八洲の象徴となり、お前との連動が可能となる」

日本(なるほど、わからん)

>>筑紫「とにかくだな、俺はお前のやりたいように融通してやる」

>>筑紫「ただし、やりすぎたらお前の首を絞めるだけだということを忘れるなよ」
 
488 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:32:06.03 ID:vgwpYOPq0

>>筑紫「じゃあ、簪を手に取って一振りしてみろ」

日本は言われた通りにした、すると草薙剣簪は本物の剣のように大きくなった。

日本「かっけぇ・・・!」キラキラ

男はいくつになっても、棒切れを持つと振り回したくなるものである。

>>筑紫「むしろこっちが真の姿だ。どんどん敵を薙ぎ倒すがいいw」

日本「言われなくてもそのつもりだ・・・」ニヤリ

>>筑紫(おろろ?)

「で、できるかなぁ?」とか「無理っす!」とかの返答を筑紫は想定していたのだが、
少年の反応はそれとは違っていた。

日本少年は邪悪にすら思える不敵な笑みを浮かべて、
元と高麗の方へ駆け出した。

筑紫の神力を帯びた少年の脚は、風の如く疾い。

高麗「わっ!?」

日本少年は友人の肩に手を置いて飛び越え、元の目の前に現れた。

元「!」

日本「や、元!迎えに来てくれたんだな?俺をどこに連れてってくれるんだw」

日本は元の右手を掴み、自分の左頬に当てる。

元「お、おう///」
 
489 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:32:44.14 ID:vgwpYOPq0

元が日本を抱き締めようとしたとき、

日本(ニヤッ

メキメキメキ・・・ピシッ・・・ピシッ

パキ・・ベキベキベキ・・・

バッキャアアアアアン!!!

高麗「うわあ!」

消火栓が破裂して、壁が砕け散った。

ビチャビチャビチャ・・・

元「なぜ」

日本「ふーん、この程度か」

日本「つまらん。もっと盛大に暴れたいのに」チッ

高麗「に、日本が・・・見たことないくらい冷たい目をしてる」

日本「おいお前、兄貴のとこ行ってこいよ。後で俺も行くからさ」

日本「どうせテントの中でクソみたいなガキ共と一緒だろ?殺しがいがある」

元「そんなこと、させるものか!」

日本「お前の話には興味ない。ほら、さっさと行けよ。遅いんだ・・・」

日本「よっ!」ヒュッ

ブワァッ

ズバッ

元「ぐっ・・・」

日本が剣を一度振ると、猛烈な風が起こって元は吹っ飛ばされた。
ただの風ではなかったらしく、元の腹部に生々しい傷がついた。
 
490 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:33:53.92 ID:vgwpYOPq0

高麗「元様、ここは逃げましょう!あいつは正気じゃない!」

元「し、しかたがない・・・兄者たちに知らせないと」

元は高麗とその場を離れつつ、後ろを振り返って日本を見つめた。

元(俺は・・・君と愛し合いたかっただけなのに、どうしてこうなったんだろう?)

ガチホモ2人はモンゴル帝国の居ましますテントへと急いだ。

>>筑紫「おい日本!やりすぎじゃないのか?」

日本「やかましい、お前は俺に力を貸せばいいだけだ」

日本は不気味な声をあげて、腹がよじれるほど大笑いした。

日本「フフフフフフ・・・いいねぇ、これが全能感ってやつなんだねぇ・・・!」

日本「族滅っ族滅できるんだなァこれから!たーのしーみだーwwwwww」

日本「族滅!族滅!族滅!族滅族滅族滅族滅族滅族滅族滅族滅族滅族滅族滅族滅族メツゾクメツゾクメツゾクメツゾクメツゾクメツゾクメツゾクメツゾクメツゾクメツゾクメツゾクメツゾクメつぞくめつぞくめつぞくめつぞくめつぞくめつぞくめつぞくめつぞくめつぞくめつぞくめつぞくめつっ族滅――――ッ!!!!」アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

>>筑紫(ゾクッ

>>筑紫(おかしい!この子はこんなんじゃなくて、もっと優しい子のはずだ)

>>筑紫(術をミスった?切られる時、痛みのあまり何度か気絶したのがまずかったか?)

>>筑紫(何とかして止めねば、だが力の主導権を完全に奪われてしまっているし)

>>出雲「フフフ、流石我が子孫。上出来だ」

>>大和「俺に負けないくらい悪い子になっちゃって、嬉しくて涙が出るぜ」

>>筑紫「何だと?貴様らまさか、この子にまた変な術でもかけたんじゃ・・・」

>>大和「あん?人聞きの悪いこと言うなよ、ツクシ野郎」

>>筑紫「だってお前ら日頃の行いが悪いし!」
 
491 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:34:59.05 ID:vgwpYOPq0

>>出雲「貴様の方こそ何を言っている?予想通り、いや、むしろ良い方向に上回ってくれた」

>>筑紫「は?いやいや明らかに異常だろコレ!完全にキチガイと化してるじゃん!」

>>出雲・大和「?」

>>筑紫「この子は普通の子だろ!こんな精神病院に入れられてるのは出雲のせいだし・・・」

>>出雲「おい待て、なぜ私のせいなんだ?キチガイが精神病院に入るのがおかしいか?」

>>大和「まぁ、周囲にバレるきっかけを作ったって感じ?」

>>筑紫「お前が波の下に都がーとか言うから幻聴扱いされたんだろ?忘れたのかよ」

>>出雲「私は確かにそう言ったが、それだけだぞ?」

>>筑紫「・・・へ?」

>>出雲「竜宮城だの鮫の王だのが見えて海に飛び込んだ件について、私は一切関係ない」

>>大和「こいつは元々ぶっ壊れてんだよ?気づいてなかったのかお前」

>>筑紫「・・・え?ええーー・・・」

>>大和「たぶん剣を握ったら壊れてるのが外に出ちゃうんだな。もはや二重人格?」

>>出雲「あの時から目をつけていたのだ、こいつは良い剣の使い手になるとな!」

>>筑紫「そんなァ、じゃあもう止められないのか?」

>>出雲「そういうことになるな」

>>筑紫「くそっ・・・おい山背(やましろ)!こいつらなんとかしてくれよ!」

>>筑紫「山背!山背ーーッどこにいるんだあいつ」

>>大和「いやいや、山背くんはもうここにはいないよ?」

>>大和「彼はこの学校に来るのが嫌だったらしく、屋敷に残ったよ」

>>筑紫「何ィ」
 
492 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:35:50.45 ID:vgwpYOPq0

>>出雲「今頃は相模と武蔵を胃潰瘍にする遊びに勤しんでいるだろう」

>>筑紫「陰湿!」

====これが山背のイケズだ!!====

・「名前で呼べ?あんさん、雀さんを名前で呼ばはるんか?呼ばへんやろ?アズマエビスはアズマエビスや」とか相模たちに言う。

  ※雀には敬称を付けるのがポイントである。

・「日本語上手やなぁ」とか相模たちに言う。

・「大和くん?あの人より僕の方が有能やろ」と本人の前で言う。

・「あんさん、僕らの仲間とちゃうやろ」とか播磨たちに言っちゃう。

・裾を引きずって歩く人がいれば、「お掃除ご苦労さんどす」とかすれ違いざまに呟く。

・いつのまにか「山城」と名乗っている。

・「あの人品無いよって」と浪速をボロクソに言う。

==============================

>>筑紫「畜生!クソ大和を止められるクソ山背がいないとは!」

>>筑紫「日本やめるんだ!おっぱいひっつき虫になる野望が叶わなくなるぞ!」

日本「うるさい黙れ」


その頃、元たちはモンゴル帝国のいる庭に到着していた。

庭ではモンゴル一家のゲル群が並んでいる。
元はその中でも一等大きいゲルの中に入る。

元「兄者!大変なことになりました!」

モンゴル「おう、どうした」パンパン

南宋「いやぁぁぁぁ!ううっ・・・」
 
493 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:36:37.59 ID:vgwpYOPq0

元「教えてください兄者、可愛い子を見たらどうするのが正しいのか」

モンゴル「そんなの決まっている、即押し倒せ!このようにな!」パンパン

南宋「悔しいっ・・・こんな奴に・・・あひぃ!」ビクンッ

元「そうですよね、だから俺もそうしようとしたんですよ」

元「でもうまく行かず、逆にその子を激怒させてしまいました!」

元「もうじきその子が俺たち一家を殺しに来ます!」

モンゴル「・・・何?」

モンゴル(そんな勝気ないい女、マルムークの他にいたかな?)

モンゴル「案ずるな弟者よ、この俺が躾してやる」

高麗「でもっあいつ狂ってますよ!はっきり言ってキチガイです!」

モンゴル「いいなーw強い子を産みそうだ」

高麗「はい?」キョトン

元は他のゲルに行って甥姪を回収し、彼らを西病棟へ運んだ。

イル「どうした東病棟委員長殿、こんなところに甥たちを連れて来て」

元「そんな、委員長殿なんて堅苦しいですよイル兄者」

元「東病棟が危ないので、この子たちを預かってもらいたいのです」

実はモンゴル6兄弟のうち、2人は西病棟に在籍していたのだ。

長男のモンゴル帝国(17歳)、次男のオゴタイ・ハン国(16歳)、
三男のチャガタイ・ハン国(15歳)、六男の大元ウルス(元、13歳)は東病棟に在籍。

四男のジョチ・ウルス(キプチャク・ハン国、14歳)と、
五男のイル・ハン国(14歳)は西病棟に在籍していた。
このうち四男のジョチだけは異母兄弟である。
 
494 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:37:19.77 ID:vgwpYOPq0

元「俺の惚れた子が一族を皆殺しにすると言って・・・」シュン

イル(東病棟にはそんな強烈な娘がいるのか、怖いな)

元「初めに西病棟に来るとは思いませんが、一応警戒してください」

イル「いや、その前にここもそんなに安全じゃないんだが」

イル「わかってると思うが、十字軍(笑)があるからさ」

元「ああ、あれですか。キリスト教徒は中々の気違い揃いだと聞きます」

イル「いや、俺はビザンツと組んでるんだよ」

イル「ジョチの奴がマルムークと手を組んで俺を殺そうとしているからな」ギリッ

元「ジョチ兄者が?!」

イル「あんな奴は兄でも何でもねぇ」

イル「まぁ流石にジョチも兄者の子たちは襲わねぇと思うがな」

イル・ハン国は元が連れて来た赤子たちに話しかける。

イル「いいか、お前らは兄弟なんだろ?幸せそうだなぁ"今は"」

イル「でもな、兄弟同士の争いは他人のそれより溝が深いんだぜ・・・」

イル「早いうちに理解しとく方が傷が浅く済むんだよ」

元「兄者、赤ちゃんにそんなの言っても理解できませんよ」

イル「いいでちゅか、ジョチおぢちゃまは悪い人なんでちゅよー」

イル「ジョチおぢちゃまみたいになっちゃ絶対にメッ!でちゅからね」

元「言い方の問題ではないと思いますが」

甥姪を五男に預けた元は、大急ぎで東病棟に戻った。
 
495 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:38:18.72 ID:vgwpYOPq0

東病棟の庭(のゲル内)では、長男次男三男が集まって話していた。

元「ただいま戻りました!」

モンゴル「ご苦労、それでさっきの話だがな」

モンゴル「俺たちの自衛はするが、できる限りお前自身で対処して欲しい」

モンゴル帝国は目で「わかってくれよ」と語った。

元「はい」

次男と三男は末っ子に冷たい眼差しを送る。

オゴタイ「俺たちの力なんか必要ないよな?"委員長"!」ケラケラ

チャガタイ「だいたいさ、好きな子くらい自分で落とさないと〜」ニヤニヤ

元「・・・」

次男と三男、そして西病棟の四男は末の弟を激しく嫌っていた。
長男が東病棟委員長の座を彼に与えたことが気に食わないのだ。
そして、長男もこれ以上末っ子に肩入れするわけにはいかなかった。
モンゴル兄弟間の闇は深い。

その頃、見張りに出されていた高麗が馳せ参じた。

高麗「元様大変です!日本が来ます!」

元「おいでなすったか!」

モンゴル「どれどれ、お前の惚れた娘とやらは」

先ほど一切手伝わないと宣言した次男三男も、

末弟の惚れたという相手を見ようと前に出た。

ドドドドドドドド・・・

元たちは恐ろしいものを見た。
 
496 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:38:57.31 ID:vgwpYOPq0

まず日本少年の目・・・養豚場のブタでも見るかのように冷たい目だった、残酷な目だった。
「かわいそうだけどあしたの朝にはお肉屋さんの店先にならぶ運命なんだね」とでも言いそうな。

そしてその背後、数え切れないほどのコンクリート片が渦巻いていた。

これらは皆、草薙剣簪で薙ぎ払われた建物の破片である。

元が少年の目をじっと見ていると、そのコンクリートが元めがけて飛んできた。

ビュンビュンビュンビュンビュンッ
ガシャーンガシャーンパリーン

元は間一髪で避けたが、高麗にはいくつか直撃した。

高麗「死ぬっ」グフッ

これは元少年が日本少年の冷淡な目に対して「むしろご褒美だ」と深層心理で思ってしまったためである。

13歳の元少年は思春期真っ只中であり、そういった思考を完全に封印することは不可能である。

また、そんな些細な思惑が反映してしまうほど、日本少年の呪いは強化されていたのだ。

一方の日本少年は破廉恥なことを一切考えない、純粋な殺戮マシーンと化していた。

日本少年とデート、隙あらばレイプするつもりだった大元ウルスは、
思いを遂げられない悔しさや殺される恐怖を超えて、哀しくさえあった。
ところでモンゴル帝国他はというと、二通りの意味で驚愕していたのだが・・・。

心底恐ろしく思いつつ、元は日本を長兄に紹介した。

元「あの子です、可愛いでしょう?」

モンゴル「・・・あ、いや・・・」

モンゴル「弟者よ、俺はお前を驚かせてしまうかもしれない」

元「はぁ」
 
497 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:40:01.00 ID:vgwpYOPq0

モンゴル「弟者、非常に言いづらいのだが」

モンゴル「あいつは男だぞ!」

元「存じておりますよ」

モンゴル「」

モンゴル「・・・そうか、驚いたのは兄者の方だったな」

そう言ってモンゴル帝国は倒れた。

ドサッ

オゴタイ&チャガタイ「兄者ァァァァァァァッ!!!!!」

元「あ、兄者!?いかがなさいましたか?」

オゴタイ「この、不孝者!兄者に何てことを!」

チャガタイ「兄者は父親代りで、これまで一人で俺たちを育ててくださったのに・・・」

チャガタイ「まさか我が一族からゲイが出てしまうとは!」

オゴタイ「兄者がショックあまり気絶なさったじゃないか!」

元「そんな、俺はいつでも兄者の言う通りに・・・」

オゴタイ「黙れ、これ以上お前の近くに兄者を置くわけにはいかない!」

チャガタイ「早く医務室へ運ぼう!」

次男三男は長男を抱えて運ぼうとしたが、

日本「おっと、揃っていてくれないと困るじゃないか」

日本「俺はお前らを族滅するために来たんだよ?そこの弟から聞いてない?」

日本「お前らを殺せばそれだけ経験値が上がるんだよ。特に先代と今の委員長を殺せばさ」

日本「なるべくたくさんの人間に死んで欲しいね。たっぷり巻き添えを食らわせてね」

日本「もちろん裏切り者の高麗は絶対殺すし」

高麗「そんなァ!」ガーン
 
498 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:40:38.89 ID:vgwpYOPq0

日本の心に、弱った筑紫が語りかける。
筑紫の超自然的な身体能力は日本に全て渡り、代わりに日本のダメージを引き受けるのだから、弱って当然である。

>>||筑紫「やめるんだ・・・お前の首を絞めることになるって言ってるだろ」

>>||筑紫「おっぱいしゃぶり虫になるという夢は捨てちゃったのか!?」

>>||筑紫「このままだとお前は一生海水浴場のギャルを拝むことが叶わなくなるぞ!」

>>||筑紫「いや、美人を見ただけでも呪いが発動するかもな。そうなったら外歩けないぞ!」

日本「うるさいな、あんたは大人しく俺に力を貸せばいいんだよ」

>>||筑紫「うう・・・」

>>||筑紫(も、もう喋ることもできない・・・苦しい)

日本は完全に力に飲まれていた。
それを見て、出雲は静かに笑った。

------その頃西病棟では------

イル「この蒙古斑が目に入らぬかぁ!」

イル・ハン国は赤ん坊の小さな尻を敵に見せつける。

彼は長兄の子どもたちを周囲に侍らせ、オムツを取り替えていた。

ジョチ「ぐぬぬぬぬ・・・!卑怯だぞ貴様!」

ジョチ・ハン国の隣にいるクール・ビューティは例のマルムーク嬢である。

マルムーク「何やってんの、ガキごと殺ればいいでしょ?」

ジョチ「ダメダメダメ!あれ偉大な兄者の子たちだから!俺の甥たちだから!」

ジョチ「偉大な兄者に恨まれちゃうじゃないか!そんなの耐えられない!」

マルムーク「ブラコンうっざ」

ジョチ「このゲス野郎!よりにもよって、兄者の子を盾にするとは!」

イル「黙らっしゃい!子守中に襲いかかる方がゲス野郎だろが!」

イル「そら、これでもくれてやんよ!」ポイポイポイ

イル・ハン国は使用済みの紙おむつを投げつける。

ジョチ「やめろ!」

--------------------------------
 
499 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:41:17.21 ID:vgwpYOPq0

日本「なんだ?その目は」

日本「まるで俺が酷いことしたみたいじゃないか」

日本「俺が死んで悲しむ奴はいないけど、お前らが死んで喜ぶ奴は大勢いるぜ」

元「・・・」

日本「フン、小さなガキ共は既にどこかへ移したか」

日本「なぁ、最近裏庭で鳥が大量死したの知ってる?」

日本「たぶん何かの病気なんだと思うけどね、残酷だよねぇ野生って」

日本「というわけでさ、大量の死骸がそのままなんだよーアトランティス先生仕事しないから」

日本「せっかくその死骸を、赤ちゃん達にプレゼントしようと思ったのになー」

日本「ほら、俺だって無抵抗な奴殺すのは気が引けるし?これでも子ども好きなんで」

日本「父親も叔父達も皆殺した後、生かしておくのが可哀相だから病気にしとこうってね」

高麗「なんて奴だ・・・この人でなし」

日本「お前らみたいなのが人としてあるべき姿なら、俺は人を辞めるぞ」

元「・・・っ・・・どうして・・・」

大元ウルスはデカい図体に似合わず(されど彼はまだ13歳であったと気づかされるが)
大粒の涙をボロボロと流した。

元「どうしてわかり合えないんだよ、俺と君はぁ!」

日本「お前がホモのレイプ魔だからだと思うよ」キッパリ

元「うわあああああああん!」
 
500 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:42:09.42 ID:vgwpYOPq0

高麗「そこまでだ日本!こいつがどうなってもいいのか!」

南宋「ううっ・・・」

高麗は先ほどまでモンゴル帝国に手篭めにされていた南宋の喉元にガラス片を突きつける。

高麗「僕は知ってるんだ、お前が彼女に憧れていたことを!」

高麗「いつも蕁麻疹とか腹痛とか起しながら、彼女をオカズにしてたもんな!」

南宋「うう・・・どいつもこいつも男ってクズだわ!死ね!死に絶えろ!」

日本「その節は大変お世話になりました、宋ちゃん」

南宋「死ね!」

日本「安心してよ、呪縛のお陰で大した妄想はできてない」

日本「俺への精神攻撃を図ったつもりだろうが高麗、お前のホモが露呈した今尋ねよう」

日本「まさか、お前は俺をオカズにしたことなんてないよな?」

高麗「・・・」

高麗「・・・///」

その時、高麗の顔面めがけて腐敗した鵲の死骸が飛び込んだ。

高麗「オエッ!オエエ・・・何で僕ばかりこんな目に」

日本「やっぱコイツ消すわ」

南宋「もう嫌こんなとこ・・・いち早く退院したい」グスン

高麗「僕は信じてるぞ、お前が本当は優しい人間だって!」

高麗「この女の命が惜しければ、大人しく僕や元様に屈服するんだ!」

南宋「憶(おぼ)えてなさいよあんたたちィ・・・後で殺してやるから、ぶっ殺してやるからァ」

日本「大丈夫だよ宋ちゃん、助けれたら助けるからね」
 
501 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:42:58.39 ID:vgwpYOPq0

日本「君が生きてたら絶対に助ける。生きてたらね」

そう言って日本は剣を一振りした。
猛烈な風が起こり、高麗と南宋は数メートル先に吹き飛ばされた。
その際、高麗は持っていたガラス片で左腕を刺してしまった。
危うく南宋にそれが刺さるところであった。
日本は彼女にかまうことなく風を送ったのだ。

高麗「痛ぁい!」

南宋「くぅ・・・ふふっ・・・あはははははははははははは!」ガクガクガク

彼女の心はとうとう壊れてしまったらしい。
彼女を救う者はいない。

南宋「狂ってるわ・・・みんな、みんな狂ってるんだわ!」

南宋「私以外みーんな狂ってしまったのよ、いいえ、最初から彼らは頭がおかしいのよ!」

南宋「私一人だけがまともなの!だから皆は私に酷いことをするのだわ!」

南宋「私はね、正気を帯びているの!いくら汚されようとも、常に正しく美しくいられるの!」

南宋「お兄様!今わかったわ、私はお兄様のものよ!」

このお兄様とは、彼女の実兄・北宋のことだと思われる。
実は彼女は一線を越えたブラコンであり、
愛情の裏返し、兄に対する深刻な嫌がらせ行為が原因で当センターに入院していたのだ。

その音調はトテも人間の肉声とは思えないほどしゃがれてしまって、ただ、底悲しい、痛々しい響であった。

それが男達による陵辱に対する怒りなのか、
それとも裁判所命令が出ているので兄との再会が叶わないがための嘆きなのかは判断しようがない。

南宋「お家に帰ったら、清く正しいお兄様の妻になります!よろしいでしょ、お兄様!」

南宋「……お兄さま。お兄さま。お兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さま。……モウ一度……そのお声を……聞かしてエ――ッ…………」

南宋「……お兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さま……お外で一人暮らしてらっしゃるお兄様……わたしです。わたしです。お兄様の許嫁だった……あなたの未来の妻でした私……わたしです。わたしです。どうぞ……どうぞそのお声をモウ一度聞かして……聞かして頂戴……聞かして……聞かしてエ――ッ……お兄様お兄様お兄様お兄様……おにいさまア――ッ……」

チャガタイ「ひえっ!こいつらキチガイだ!」

オゴタイ「シッ!こっちに火の粉が飛んできたらどうする、早く兄者を連れて避難しよう」

ヤンデレの妹をさらにヤンデレ化させたモンゴル帝国たちの罪は重い。
 
502 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:43:48.32 ID:vgwpYOPq0

西病棟への避難を試みるオゴタイたちを日本は見逃さない。

日本「逃がしゃしないよ」

モンゴル一族を族滅するべく与えられた節刀をオゴタイ達に向ける。

元「待った!」

元は兄達の前で仁王立ちになる。

元「兄者たちを殺すのは俺を倒してからにしろ!」

オゴタイ「元、お前・・・」

元「東病棟委員長として、異分子を排除する責任がある!」

次男三男も元を憎んでいたし、元も彼らを心底嫌っていた。
しかし、いざ兄たちが殺されそうになると元はそれを嫌がった。
深層心理では彼らを愛していたのかもしれないし、
彼らに自分を認めて欲しかったのかもしれない。
とにかく元は、彼らを守らねばならないという強い意志に突き動かされていた。

オゴタイ「・・・」

オゴタイ(・・・ずるいじゃないか、委員長の地位だけでなく)

オゴタイ(カッコいい見せ場まで取ってしまうとは、だから嫌いなんだ)

そもそもこの兄弟間の対立は、東病棟委員長の地位が主な原因であった。
弟達はみな次の委員長は次兄のオゴタイがなるものだと思っていたし、本人もそうだと信じていた。
それなのに、尊敬する長兄は末弟に地位を譲ってしまった。
三男と四男は次男こそふさわしいと彼を担ぎ、五男は末弟を応援した。

末弟に庇われたことで、オゴタイは少し敗北感を感じた。

オゴタイ「・・・ふざけるな」
 
503 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:44:37.94 ID:vgwpYOPq0

オゴタイ「こんな時まで委員長気取りか、どこまで俺を馬鹿にすれば気がすむんだ!」

元「しかし」

オゴタイ「俺があいつを殺る。お前なんかよりも委員長にふさわしいんだ」

元「兄者・・・」

チャガタイ「何だよ二人とも!誰か忘れてるんじゃないか?」

チャガタイ「俺という強力な助っ人を忘れてもらっちゃ困るな!」

チャガタイ「だいたいさ、ぶっちゃけ俺が兄弟の中で一番才能豊かだしー」フフン

オゴタイ「フッ、そうか?」

元「そんなこと、俺だって一番の自信がありますよ」

元「困りますよね、兄弟全員とびきり優秀なんですから」ポツリ

モンゴル「・・・そうだ、だから俺も悩んだんだ。だからクジで決めたんだよ」

オゴタイ「!兄者、お目覚めですかっ」

モンゴル「いつまでも気絶してるわけにはいかんだろう?」ニコリ

元「兄者、申し訳ありません。ご期待に沿うことができませんでした」

モンゴル「?何を言っている。俺は驚いただけだぞ」

モンゴル「俺は自身を恥じている。どんな趣味にせよ、可愛い弟には変わりがないのに」

元「あ、兄者ぁ・・・!」ジワリ

モンゴル「さて、モンゴル6兄弟の内4人も同時に相手して、さぞや敵は後悔するだろう」

モンゴル「我らの強さ、思い知らせてやろうではないか!」

元・オゴタイ・チャガタイ「はい!」
 
504 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:45:17.84 ID:vgwpYOPq0

高麗「ああ、なんと美しい兄弟愛だろう」ホロリ

高麗「僕も戦いますよ!元友人だからって、手加減はなしです!」

モンゴル・元・オゴタイ・チャガタイ「「「「「どうぞどうぞ!!」」」」」
   
  
  
高麗「・・・えっ」
   
  
  
元「友人相手でつらいだろうが、頑張れよ」

モンゴル「骨は回収してやる」

オゴタイ・チャガタイ「頑張れよ、誰だか知らんけど」

高麗「・・・えっちょっ、何でですか?皆さんは?皆さんも戦うんでしょ」

元「お前の後でな。今はとりあえずお前に任せる」

高麗「そそそ、そんなのおかしいですよぉ!日本だって納得しませんよきっと!」

日本「ほら高麗あくしろよ」

高麗「何で!?君って馬鹿なの?元様は君をレイプしようとしたゲイなんだぞ!」

日本「彼らの兄弟愛に感動したよ。ほら、俺って一人っ子じゃん?」

日本「小さい頃、親に『お兄ちゃんがほしい!』って言って困惑させたなぁ」

高麗「そんなの関係ないと思うけどなー!こいつらはクズだと思うけどなー!」

日本「確かにあいつらクズだけど、お前も相当なクズだと思うよ?」

日本「元に俺を紹介したのはお前だし、さっき宋ちゃんを人質にしてたよな?」

高麗「でもでもでも」
 
505 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:46:07.67 ID:vgwpYOPq0

日本「お前の減らず口にはもう飽きた。いいからこの剣の試し切りさせてくれよ」

日本「俺、まだ人って斬ったことないんだよなぁ」

高麗「でもでもでもでもでもでも」

ヒュッ

高麗「お願いやめて!」

日本「おまえが、コンティニューできないのさ!」

日本「上上下下左右左右BA!」

▼十種神宝が手に入り、MP・HPともにパワーアップした!

シュリン!

▼日本は草薙剣と八握剣の二刀流になった!

高麗「おい、そんなのずるいじゃないか!」

▼高麗はてつはうを投げた!

ボカーンボカーンボカーン

ヒョイッ

▼日本は全部避けた!

▼日本はコンクリート片を遠隔操作!

ズドドドドドドッ

高麗「ぐああっ」

▼高麗にダメージ!

▼高麗は南宋を盾に使った!

南宋「もういやぁぁ!お兄様助けテェ」

▼日本はコンクリート片を遠隔操作!

ズドドドドドドッ

▼南宋に直撃!
 
506 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:46:46.17 ID:vgwpYOPq0

▼高麗にダメージ!

▼南宋は死んだ!

高麗「くそっ人でなしめ」

▼日本はスペルカードを使用!

▼死返(まかるかえし)符&道返(ちかえし)符を使用!

▼南宋は生き返った!

高麗「す、スペルカード?」

▼高麗は大量のてつはうを投げた!

ボーンボーンボーンボーンボーンボーンボーン

▼日本は両刀でそれらを斬り捨てた!

シャキーンシャキーンシャキーン

▼日本は腐敗した鳥の死骸を大量に投げた!

▼高麗にダメージ!

高麗「このっ、さっきからやることが陰険だぞ」

日本「高麗よ! 何ゆえもがき 生きるのか? 」

日本「滅びこそ我が喜び。死にゆく者こそ美しい」

日本「さあ、わが腕の中で息絶えるがよい!」

高麗「・・・///」ハァハァ

▼高麗は「わが腕の中で息絶えるがよい」というセリフに反応した!

▼呪い発動!どこからともなく洪水が暴風雨とともにやって来た!

高麗「なぜぇ!」
 
507 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:47:28.62 ID:vgwpYOPq0

▼高麗は溺れ死んだ!

▼日本は死返(まかるかえし)符&道返(ちかえし)符を使用!

▼高麗は生き返った!

高麗「え・・・日本、そんな、君って奴は」

日本「友達じゃないか、もっとお前と一緒に遊びたいんだ」

高麗「ごめん・・・ごめんね!裏切ったりして」

▼日本は両刀で高麗を斬った!

ズバズバズバッ

高麗「なん・・・で」

▼高麗は死んだ!

▼日本は死返符&道返符を使用!

▼高麗は生き返った!

▼日本は両刀で高麗を斬った!

ズバズバズバッ

高麗「ちょ・・・え?え?」

▼高麗は死んだ!

▼日本は死返符&道返符を使用!

▼高麗は生き返った!

高麗「怒ってる?当たり前だよね、でもさ」

▼日本は両刀で高麗を斬った!

高麗「やめて」

ズバズバズバッ

▼高麗は死んだ!

▼日本は死返符&道返符を使用!

▼高麗は生き返った!

高麗「ねぇ、やめよ?僕が悪いのは十分わかってるから」

▼日本は両刀で高麗を斬った!

ズバズバズバッ

▼高麗は死んだ!

▼日本は死返符&道返符を使用!

▼高麗は生き返った!

日本はこれを飽きるまで繰り返した。
 
508 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:48:11.39 ID:vgwpYOPq0

------------------------

ところで、熾烈な弾幕勝負は東病棟だけでなく、

ここ西病棟でも炸裂していたのだ。

イル「うおおおおおっ」ブンッ

▼イルは赤子を投げた!

甥「ばぶー」ピョーン

▼ジョチは赤子をキャッチした!

ジョチ「赤ちゃんを投げるんじゃねぇよ、このドクズめが!」

マルムーク(何コレ)

------------------------

高麗は日本に土下座して謝った。

高麗「ごめんなさい!もう君をオカズにしないし、売ったりしないから!」

高麗「これ以上殺して生き返らせるのはやめて!」

日本「わかった」

こうして、二度にわたる高麗との勝負は全て日本の勝利に終わった。

元と日本はなんやかんやあって和解し、

一先ず休戦することになった。

元(日本・・・)ハァ

こうして、大元ウルスの初恋は失恋に終わったのだった。
   
509 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:48:59.59 ID:vgwpYOPq0
  
役目を終えた草薙剣は、簪の姿に戻った。

南宋「お兄様・・・お兄様・・・」グスグス

日本(宋ちゃん)

数々の陵辱を受けた南宋を不憫に思った日本は、

彼女に上着を貸してあげようと思い近寄った。

ズキィーーーー・・・ン

その時、日本は全身を貫く痛みを覚えた。

日本「うああああああ」

女体を見たこと、それにより呪いが発動したのだ。

ここで注意すべきは、彼は下心の一切ない目で彼女を見たということだ。

彼は筑紫の忠告を聞かずに大暴れしたために、

異性を見ただけで死に至る呪いが発動するようになったのだ。

日本(俺は死ぬんだ)

少年はそう直感したが、激痛のあまり思考することが適わなかった。

日本少年の全身が裂けようとした時、

大和「タンマ!」

大和が少年を抱えて異界へ連れて行った。

少年を襲った痛みは消えた。

日本「はぁ、はぁ、はぁ」ガクガクガク

大和「間に合ったー」フゥ

510 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:49:42.22 ID:vgwpYOPq0

日本「あ、あなたはさっきの」

大和「何で筑紫の言うことを聞かないんだよ!死ぬとこだったぞお前」

日本「あなたが助けてくれたんですか?」

大和「そうだよー、出雲から半殺しにされながらも許可をもらって来たんだからな」

日本「半殺しに・・・」

大和「正確に言えば、半分より死寄りだ」

大和「とりあえず、今からその強烈になりすきた呪いを弱体化させる作業をする」

大和「屋敷と中継が繋がってるんだ、お屋敷の山背さーん?」

ズズッ

水溜りのような空間が眼前に広がっていき、その中に世界が見えた。

日本「あっ、これ、家の蔵の中でしょ!懐かしい」

手前に公家顔の青年が見え、奥には磔にされた青年と、

その隣に鉢巻を締めて竹槍を持った青年が見えた。

山背『へぇ、こちら山背どす』

山背『後ろに居たはるのは飛騨はんで、アズマエビスを磔にしてます』

飛騨(ペコリ

相模『日本くん!会いたかったんだよ!』ジタバタ

山背『おまはんは黙りよし、田舎侍が』ギロリ

相模『ひええ』

山背『聞きましたで?あんさん、出雲はんに半殺しにされたそうやないか』ニヤニヤ

大和「くそっ、もう知られてた」
 
511 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:50:20.34 ID:vgwpYOPq0

山背『まぁそれはそれとして、日本』

日本「は、はい」

山背『あんさん、とんでもないことしたんやて自分でわかってるか?』

日本「はい・・・」

山背『今さら特別に弱体化させたとこで、日常生活に支障は出るんやで』

山背『事態は相当厳しい。出雲はん、おとろしいお人やなぁ』

山背『ほんでそこに居たはるボンクラや・・・僕やったら反対してます』

大和「う、うるさいな!出雲ってめちゃくちゃ怖いんだぞ!」

山背『日本、あんさんは壊れてる。剣を握ったらそれが表に出るんやな』

大和「ハンドル握ったら人格変わる人っているよな」

日本「はぁ」

山背『そやから、あんさんから剣を奪います。壊れた部分と共に』

山背『というより、あんさんの壊れた部分をこの剣と連結させる感じやな』

山背『ここから怖い話になるで、よう聞きや』

日本(ゴクリ

山背『精神的に狂った部分をどかすてことは、あんさんが不完全な人間になるてことや』

山背『不完全な魂には不完全な呪いを、それが弱体化の理屈や』

山背『呪いは既にこの剣の力と連結されてしもてるから、こっちが母体になる』

山背『そやから不完全なあんさんには"比較的"弱い呪いが発動するようなる』

日本「なるほど、わからん」

山背『怖ないんか?まぁ狂った部分どかすんやから、そこは願ったり叶ったりか』
 
512 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:50:58.64 ID:vgwpYOPq0

山背『話はまだあるんや。問題はあんさんの子どもに孫や』

山背『あんさん使てみてわかるように、この剣を使てる間はあらゆる呪いが免除される』

山背『この剣を使う人間は呪いが発動しいひんのや』

山背『そやけど呪いとこの剣が連結されてしもてる以上、どこかで代償を払わなあかん』

日本「どうなるんです?」

山背『この剣を絶対使えへん人間が、その代償を払うんや』

山背『おそらく、あんさんの子か孫あたりがあんさんのツケを払うやろなぁ』

日本「そんな」

山背『酷い親やなあんさんは!』ハハハハ

日本「う・・・」

山背『まぁ、そこは大和くんの図太さを見習いなはれな』

大和「そうだぞ!」エヘン

山背『ほんでどないしはるんや?子孫に恨まれるか、今すぐ木っ端微塵になって死ぬか』

日本「・・・」

日本「木っ端微塵?」

山背と大和は頷く。

日本「・・・・・・・・・死にたくないです」

大和「そうこなくっちゃ!」パチン

山背『決まりやな。今からこの東夷を槍で刺してから車で引きずり回して八つ裂きや』

相模『やめてぇ』

日本「ちょっと待った!」
 
513 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:51:43.29 ID:vgwpYOPq0

日本「その人可哀想じゃないですか!」

山背『・・・人?』ハテナ

相模『えっ、人でしょ!人ですよ僕は!』

相模はポロポロと涙を流した。

相模『日本くんは良い子だねぇ、僕は感動したよ・・・』

山背『そやかてこれが儀式やから』

日本「そんなことして何の意味があるんですか!」

山背『僕と飛騨はんがノリノリになります』

日本「やっぱりノリノリになるだけなの?!」

その時、飛騨が山背に近寄りそっと耳打ちする。

飛騨(ボソボソボソ

山背『え?何です・・・・・・ほうほう』

山背『リウマチ、冷え性、高血圧等の改善効果もあるそうや!』

大和「マジでか!」ワーイ

日本「温泉程度じゃんかよ!」

大和「日本、お前はどうやら俺たちより優しい子みたいだが、よく考えろ」

大和「俺たちは既に死んでる。相模がこれから八つ裂きにされようと、筑紫同様復活するんだ」
 
514 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:52:25.52 ID:vgwpYOPq0

大和「だがお前が死んだら、弟妹が生まれない限り家は絶えてしまうんだぞ」

大和「俺だったら相模が何回殺されようとも、自分が助かる方を選ぶぜ!」

日本「うーん、それもそうですよねぇ」

日本「わかりました、どうぞお願いします」ペコリ

相模(ガーン

山背『わかった』

山背『ほんなら始めてください!』

飛騨(コクリ

飛騨は竹槍を相模の脇腹に向けて構える。

飛騨『でりゃあ!!』

グサーッ

相模『ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!』

ブツンッ

中継はここで終了した。

こうして、日本少年は一命を取り留めた。

気狂いの部分が排除されたせいか、
彼はその1ヶ月後に退院し、大学受験に間に合ったという。

ただし、いわば自分の一部を失くした彼は精神的に不安定であり、
そのせいで借金をこさえて後々大変なことになるのだった。
 
515 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:53:09.38 ID:vgwpYOPq0

また、彼は今回の体験によって、子孫に借金以上の負の遺産を残したことになる。

草薙剣簪に選ばれた者は、則ち呪いを免除された幸運世代である。
彼らは神風を自在に扱うが、この力を頼るならば必ず身を滅ぼす。

草薙剣簪に選ばれなかった者は、則ち幸運世代のツケを払う世代である。
彼らの繁栄は難航するが、身を滅ぼす恐怖は避けられる。
 

>>>>>>>【ボーナスステージ】!!!!!!!
 
【おまけ・氏神太平記のあらまし】
 
とんでもない負の遺産を残した鎌倉日本には、
知的で気高い娘・南朝と、剣術と芸術の才能を持つ息子・北朝を授かった。
子供達は私立・万邦学院へ進学し、祖父を満足させた。

この二人から父親である鎌倉日本は疎まれがちであったが、
それも仕方ない宿命と言えよう。

さて、一方この一族の氏神たちの間では、盛大な「相模イジメ」が行われていた。

イジメ加害者のリーダー格である大和と山背は些細なことから大喧嘩し、
これが南朝と北朝の家督争いにまで影響してしまった。

父親から呪いについて説明を受けた姉弟は、
「何としてでも草薙剣簪は自分が確保しなければ」という危機感に取り憑かれ、
それ故 氏神たちに頼るのだった。

草薙剣簪を含めた三種の神器を受け継いだ者が、
この家の当主と認められるのだ。

南朝には大和たちが、北朝には山背たちがついた。
 
516 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:54:02.19 ID:vgwpYOPq0

大和方の主張は単純で、
「草薙剣簪は簪なのだし、綺麗な女の子に使ってもらいたい」というもの。

山背方の主張はこれに反し、
「草薙剣簪は出雲が銃刀法違反を回避するために便宜上簪としただけで、
 実質的には完全に剣である。剣術に秀でた弟に継がせるべきだ」というものであった。

返答に困った大神・出雲は、
「姉と弟を争わせて、勝った方にこれを授ける」と言って逃げた。

製作者とて、これを簪として作ったのか剣として作ったのか決めかねていたらしい。

事態はそう簡単に進まず、その理由の一つには南朝の美貌があった。

大和たちが味方についたとは言え、
氏神たちのルールとして何もかも人間に協力して良いわけではなかった。

しかし、彼女のお願いとあらば氏神たちはみな協力を惜しまなかった。
例を挙げれば、浪速は禁断の未来予言書を南朝に見せてしまっている。
(これにより自身の敗北を知ってしまった彼女は、その運命に抗おうと知略をめぐらすのである。)

また、敵方のボスである山背ですら、途中 彼女に恋文を渡す始末である。
(これはいろんな意味でアウトな事件であった。)

その他にも伊勢が手品で草薙剣簪を3本に増やしてしまうなど、
思いがけないトラブルが相次ぎ、それらは南朝に味方した。

されど南朝は運命には抗いきれず、北朝に敗北してしまう。

ここで、北朝にとって衝撃の知らせが入る。

草薙剣簪を受け継いでも、
それが節刀として氏神たちから贈られなければ、
呪いは免除されないというのである。

つまり、父・鎌倉日本のツケは姉弟で半半だったのだ。
 
517 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:54:46.16 ID:vgwpYOPq0

強烈な呪いに性欲の強い北朝は日々苦しんだが、
勝利の褒美として子作りの際だけは、草薙剣簪の力を借りることが許された。

こうして何とか安土桃山日本は誕生できたのである。

ちなみにこの呪いの苦しみから、
豪華絢爛嗜好だった北朝は、侘び寂びの心に目覚めたという。

そして南朝のほうは生涯独身を貫いた。

しかし、南朝の気高さは彼女の知らないところで、
北朝の子孫である大日本帝国に大きな影響を与えたのである。

大日本帝国は彼女に憧れ、彼女の供養に努めた。

この草薙剣簪と呪いの関係について姉弟で話し合った結果、
身内の間で要らぬ争いを生むとして、
次世代へは語らないことに決めたという。

 
-------[人物紹介]--------
 
 日本
 :やまとちゃん(>>236登場)の孫で、安土桃山日本の祖父。
  江戸日本や日本(本編)を苦しめる呪縛を強化した戦犯。
  剣を握ると人格が変わり、狂った冷血漢に変貌する。
  平常時もそれなりに無慈悲な判断を下す。
  名門私立・万邦学院への受験を度々試みたが、結局受験すらできなかった。

 大元ウルス
 :モンゴル6兄弟の末弟にして、東病棟委員長。
  若干13歳にはとても見えない図体を持つゲイ。
  日本に惚れてレイプを試みるが、呪縛のせいで思いを遂げることはできなかった。
  次男三男四男に嫌われている。
  元々は兄弟揃って窃盗団を形成しており、逮捕された後に当センターに入院した。
 
518 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/20(火) 23:56:01.78 ID:vgwpYOPq0

 高麗
 :日本の"元"友達で、元に彼を渡して3Pを目論んだ大罪人。新羅(>>236登場)の孫。
  日本は気づかなかったが、曾祖父世代の高句麗に恋慕するなど、根っからのゲイ。
  ゲイであるためか、美少女を盾に使うことも厭わない。

 モンゴル帝国
 :モンゴル6兄弟の長兄にして、前・東病棟委員長。
  マルムークを除く女性患者全てをレイプするという非道を行うが、
  彼女らとの間に生まれた子供たちは大切に育てている模様。
  親が蒸発したために、父親代わりとして5人の弟たちの面倒を見てきた。
  全ての弟たちから慕われている。

 南宋
 :潔癖症で几帳面な美少女。
  その正体は芸術家の兄・北宋を狙うヤンデレな妹。
  兄の交際相手への傷害事件等が原因で、当センターに送られてきた。
  モンゴル兄弟の陵辱によって、ヤンデレ具合が加速した模様。
  最終目的は兄と一つになること。

 出雲
 :日本の家を守る氏神の一人にして大神。
  草薙剣簪を作った張本人で、絶大な権力を持つ。
  子孫を愛しているのか憎んでいるのか、いまいちわからない人物。
  しばしば子孫を殺そうとするなど、
  祟り神と呼んで差し支えない働きぶりである。

 大和
 :日本の家を守る氏神の一人。
  どの氏神も日本一族の先祖であるが、特に彼の子孫であることが強調される。
  草薙剣簪の守り神でありながら、十種神宝の主でもある。
  女装をして相手を騙した上で斬りかかり、相手に一生消えないトラウマを植え付けるなど、
  邪神と呼んで差し支えない働きぶりである。

 筑紫
 :日本の家を守る氏神の一人。
  強力な神力を持ち、腕力に優れている。
  しかし、なぜたかやたら生贄にされたりかませ犬にされたりするポジション。
  ストレスからか度々 大和や山背相手に反乱を起こす。

 尾張
 :日本の家を守る氏神の一人。
  草薙剣簪のマスコットガールを務めている。
  剣が大好きで、サディストっぷりが見え隠れしている。
  伊勢(八咫鏡の主)をライバル視している。

 山背
 :日本の家を守る氏神の一人。
  選民思想のレイシストで、相模たちを東夷と呼んで苛め抜く。
  かなり強力な神通力を持っているが、腕力勝負はめっぽう弱い。
  (大和を差し置いて)氏神代表を自負しており、子孫への面倒見は良い。
  絶対に上司や舅には欲しくないタイプの人物である。

 相模
 :日本の家を守る氏神の一人。
  鎌倉日本の幸せを願っており、成長を見守っている。
  特に山背に苛められており、胃痛に悩んでいる。
  その反動からか、現在(本編時)ではお洒落でキザな男になっているらしい。
  
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/21(水) 00:16:23.22 ID:K9KXx8Qe0
乙面白かった
520 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/12/22(木) 20:17:09.38 ID:mBhjbF9Z0
以前に「大日本帝国編を最終章」「小ネタ集2つ投下してから大日本帝国編」と書きましたが、
予定を変更して大日本帝国編→2つ目の小ネタ集→最終話の順番にしようと思います
次の第17話から大日本帝国編が始まります

ただ、第17話はやまとちゃん(奈良日本)の時代の話、
第18話はとある情報管理課職員の話で、
大日本帝国自体が登場するのは第19話からになります
(しかも本格的にキチガイ学園で活躍するのは第20話以降になります)

次の第17話はけっこうな数の登場人物が不幸になっています
例えばあんまり書いてませんが、隋は死にかけです。

あと、第17話と第19話にそれぞれ「蝦夷」という名前の人物が登場しますが、
少年(第17話)のほうは奥州藤原氏が支配する前の(坂上田村麻呂が征伐した、アテルイとかが活躍してる)東北地方の擬人化で、
若い女性(第19話)のほうは開拓前の北海道の擬人化で、
両者は名前が同じだけであまり関係はありません
521 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2016/12/23(金) 22:44:01.77 ID:NxmejbOj0
明日あたり第17話を投下できそうです
いつもはボーナスステージを登場人物紹介の前に書いてますが、
今回は温度差が激しい(話がシリアスなのにボーナスステージがギャグ)ので、登場人物紹介を間に挟みます
ボーナスステージをつけないことも考えましたが、登場人物的に他の回にまわすとわかりにくいので17話で出します

あと、時系列的には
番外編:NTRと整合性 → 番外編:トウモロコシの語源は(唐唐黍)だけど唐は産地じゃない → 第17話
の順番で読んだほうがわかりやすいかもしれません
ついでに、飛鳥日本は「NTRと整合性」時が22歳で、第17話では40歳(前後?)になってます
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 06:39:10.46 ID:pF7dzbyP0
今日か…待ってるぜ
523 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:19:05.62 ID:My0lU9vO0
第18話:約束を破った少女

飛鳥日本の屋敷では、奥方の扶桑が荷造りをしていた。
実家に帰るためではない。
夫と共に、入院している愛娘を迎えに行くためであった。

蝦夷「娘さん、やっと退院できるんですね!先生」

扶桑「そうよ、やっとあの子に会えるの!早く抱き締めてあげたいわ」

蝦夷(いいなぁ、羨ましいなぁ・・・)

少年の名は蝦夷。
元々は孤児であったが、珍獣ハントをしていた時に獣医である扶桑と出会い、
そのまま彼女の助手として住み込みで働いているのだ。

飛鳥日本「ああ、だから君には留守番をしてもらうことになるな」ポンッ

亭主の飛鳥日本は、蝦夷の肩を軽く叩く。

蝦夷「ええ、任せてください!泥棒なんかいたらコテンパンにしてやりますよ!」ニコニコ

表面上、この二人は仲が良さそうに振舞っていた。
しかし、実は非常に険悪な関係であった。
あまりに嫌いすぎて、ある意味以心伝心、彼らは目で睨みながら心で会話していた。

飛鳥日本(どうだ小僧?俺と妻は二人きりで旅行するってわけだ)

蝦夷(クッ・・・でも、先生の頭の中は娘さんでいっぱいですよ)

飛鳥日本(そうだよ、俺と彼女の愛の結晶さ。親子水入らずで旅行するんだ)

飛鳥日本(ていうか娘が帰ってくるのだし、君は邪魔だから出て行ってくれない?)

蝦夷(何でそんなのあなたに決められなきゃいけないんです?)

飛鳥日本(ここは俺の家だぞ)

蝦夷(先生の家でもあるでしょ、先生はぜひ住んでくれって言ってます)

飛鳥日本(このロクデナシ、そんなこと言って俺の娘をたぶらかすつもりじゃなかろうな?)

蝦夷(そんなつもりは毛頭ありません!)

飛鳥日本(どうだか?お前は既に妻をたぶらかしているのに)

蝦夷(聞き捨てなりませんね、それは先生への侮辱ですよ!)

飛鳥日本(わかっていないようだから言おうか?俺の妻は、君の母親じゃない)

蝦夷「・・・ッ」

蝦夷(ええ、ええ、わかってますとも!あたりまえでしょ!)

このような静かなバトルが日々繰り広げられていた。
もちろん扶桑は気づいてない。
 
524 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:20:20.53 ID:My0lU9vO0

扶桑「あなたー、帰りにやまとのお着物を買おうと思ってるのだけど」

扶桑「あの子、もしかしてドレス派かしら?ひらひらドレスも着せたいわねぇ##」

飛鳥日本「どちらも買えばいいさ、あの子は可愛いから着こなすだろうよ!」ニッコリ

飛鳥日本「さ、飛行機の時間までに荷物をまとめよう」

飛鳥日本はほくそ笑みながら、妻と共にその部屋を出る。

扶桑「それにしても・・・あの子びっくりするでしょうね」

飛鳥日本「ああ、まさか家に戻ってから唐くんと新羅くんに会えるとは思わないだろう」

飛鳥日本(俺としては新羅ジュニアとは遊ばないでもらいたいけどな)ネトラレェ

扶桑「唐くんも、少しは気を紛らわせてくれたらいいんだけど」

扶桑「隋さんが寝たきりになってから、目に見えて痩せたでしょ?あの子」

飛鳥日本「強がってるけど、隋は親代わりみたいなものだからな」

飛鳥日本「俺もかなり心配だ・・・」

飛鳥日本(あいつはもう、駄目かもしれない)

飛鳥日本(モルヒネ投与が始まって、笑う余裕なんか残されてないんだ)

扶桑「そういえば、高句麗くんも心配だわ」

扶桑「最近パッタリと連絡をくれなくなって・・・どうしたのかしら」

飛鳥日本「高句麗のことだ、どこかでプラプラ遊んでるよ」

そう言いつつ、実は飛鳥日本も気にしていた。

飛鳥日本(こないだ会ったとき、様子が少しおかしかったが・・・)

飛鳥日本(いや、まさか・・・たまたま元気がなかっただけだろ)
 
525 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:21:11.32 ID:My0lU9vO0

部屋で本を読みながら蝦夷は考えていた。

蝦夷(やまとちゃんが帰ってくるなら、俺は出て行くべきなのかな)

蝦夷(旦那にめちゃめちゃ嫌われてるし)

蝦夷(でも、俺には行くとこがないよ)

蝦夷(俺は先生に甘えてる、クソガキなんだよなァ)

蝦夷(・・・やまとちゃんってどんな子なのかな)

蝦夷(もしも先生みたいに優しい子でさ、俺と一緒に遊んでくれたら?)

蝦夷(毎日楽しいだろうなー##)ニヘラァ

蝦夷(あっでもこれ旦那から見たら娘をたぶらかしてることになる・・・?)ハッ

蝦夷(でも俺・・・)

蝦夷(ここに居たいなぁ・・・)グスン

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--------------------------------

日本「渤海くん」

日本は渤海の部屋の前に立つ。

日本「渤海くん・・・」

返事はない。

大地立青少年精神医療センター院内学校ワクワク学級。

東病棟委員長だった唐は、叔父・隋の容態悪化を理由に退院した。

唐の指名で後梁が次の東病棟委員長になったが、
彼女もすぐに退院したために、現在は後唐が委員長を務めている。

新羅も退院した今、日本には話し相手がいなかった。

彼女の親友であった渤海はというと、既にこの世に居なかった。

渤海は殺害されたのである。
 
526 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:22:20.25 ID:My0lU9vO0

彼の私物は跡形残らず処分され、部屋はもぬけの殻であった。

日本「なんもあらへん」

日本「なんも、なーんも残ってへん・・・っ」

少女はポロポロと涙を流した。

渤海少年は日本が寝ている間に、喧嘩をして殺された。

渤海の死亡が確認されてすぐ、職員達によって部屋は片付けられた。
おそらくそれらは全て、彼の母親・粟末に渡されたのだろう。
日本に形見は残されなかった。

日本が翌日目を覚まして彼の死を聞かされたとき、部屋は既にこうなっていた。

事件から幾日も経っているが、彼女は毎日こうして彼の部屋を訪れる。

日本「いじわるや・・・ちょっとくらい、ちょっとくらい待ってよ!」

日本「酷いわ・・・酷いわ・・・わたいのお友達を・・・」

日本「一緒に退院しよねって約束したのに!約束したのに・・・」

契丹「日本」

日本(ピクッ

契丹は花瓶を持っていた。
眼帯の下の肌は蒼かった。

日本「なにしに」

日本「何しに来たん?!」

契丹少年が、渤海を殺したのだ。

彼と渤海は常々仲が悪かったが、あの晩にとうとうそれが爆発した。

激しい口論の末、渤海は契丹の左眼を傷つけた。

怒りで興奮した契丹はナイフを手に取り、

渤海の喉を刺した。
 
527 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:23:19.84 ID:My0lU9vO0

契丹「ごめん」

契丹「俺が言えた口じゃないけど、君のためになんないよ、それ!」

契丹「君は毎日泣いて、どんどんやせ細ってる」

契丹「君のこと嫌いじゃない、心配なんだよ」

日本「あんたのせいやろ!」

日本「あっち行って!人殺し!あんたなんか、嫌いや!大ッ嫌い!」

契丹「ごめん・・・ごめん」

契丹は花瓶を置いて、部屋を出る。

日本「渤海くん・・・」

日本「なんで、なんで喧嘩したん?なんでわたい寝てたん?」

日本「会いたい!会わして、会わしてよ!」

日本「ずっと一緒に居よよ!戻って来てよ!」

日本「あの子居てへんのやったら、こんなとこに居たない!」

日本「うう・・・」
  
   
   
この数日後、日本は退院した。

彼女の両親は、娘の憔悴ぶりに驚いた。

少女は唐や新羅に会えることを知ると、家に飛び帰った。

唐と新羅は彼女から渤海の死を聞いて、共に悲しんだ。

彼女の父親は居候の少年・蝦夷を家から追い出す考えであったが、
娘が少年と話すうち、次第に元気を取り戻すのを見て考えを改めた。
 
528 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:24:09.35 ID:My0lU9vO0

そして、彼女の両親は「渤海」という名前に心当たりがあったので、
共通の友人である高句麗と連絡を取ろうとしたが、
ついに彼の消息はつかめなかったという。
 
 
それもそのはずで、
高句麗は大地立青少年精神医療センターの警備員として、
住みこみで働いていたのである。

それはなぜか?
息子の渤海のためであった。

彼は渤海を認知こそすれ、父親らしいことはまるでやってこなかった。

彼と渤海はほとんど面識がなく、月々僅かばかりの養育費を払うだけの関係である。

息子の死を知って、流石の彼も病院に怒りを覚えた。

葬儀は既に母親が済ませていた。

葬儀を勝手に済ませたことに彼は怒ったが、
今までほとんど親としての責任を果たさなかったことを逆に責められ、
それ以上何も言わずに墓だけ参った。

それから、誰にも相談せずに一人でセンターに乗り込んだのだ。
出るとこ出るつもりであった。

ところが応対したワクワク院長は、彼に世にも恐ろしいことを伝えたのだ。

その内容は以下である。

「渤海くんのお父様ですね。

 よかった、免職される前に私の口から説明したいことがあるのです。

 いくら謝罪しても許されるはずのないことだと承知しておりますが、
 この度の事件を招いてしまったことを深くお詫びいたします。

 息子さんのご遺体及び私物は既にお母様の方へ送ってあります。
 賠償金の方も同様ですね。

 ええ、そんな問題でないことは承知しております。

 ところで、あなたはここの元患者でいらっしゃいますね?
 カルテが残ってありますよ。
 
529 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:25:27.35 ID:My0lU9vO0

 実は、息子さんに関してお母様にはお伝えしていないことがあるんです。

 でも、元患者のあなたになら話しても良いでしょう。

 今回の事件により、息子さんの生命活動は完全に停止されました。

 しかし、息子さんの治療が終了したわけではないのです。

 息子さんは特別な治療メニューへと移行することになりました。

 肉体を持った患者と同じ治療は難しいものでして、はい。

 息子さんは引き続き当センター付属の院内学校の所属となりますが、
 課題プリントの提出や試験等の評価は行われません。

 ここで、肉体を持った他の患者たちとの関わりの間で、

 息子さんの精神状態が快方に進んだと判断され次第、

 息子さんは当センターを退院することができます。

 え?幽霊でもいるのかですって?

 当たり前じゃありませんか、彼の精神はこのセンター内に残っています。

 後でご覧になられますか?

 他の患者たちが就寝したのを確認してから・・・。

 その方がご理解いただけるでしょうしね。

 問題はあなたにそれを見る才能があるかどうかですが、
 なくても空気の違いにはすぐお気づきになるでしょう。

 とりあえず、幽霊がいると考えておいてください!

 幽霊になった息子さんの場合、生前よりも治療が難航いたします。

 そもそも患者たちとの交流が非常に難しくなりますし、

 息子さん自身のこだわりが強くなって、

 精神活動が二進も三進もいかなくなるからです。
 
530 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:26:47.62 ID:My0lU9vO0

 しかも渤海くんの場合、はっきり申し上げて、

 彼はいわゆる地縛霊になっています。

 これは非常に厳しい状態です。

 霊的なセンスをかなり持ったお友達にでも恵まれない限り、

 彼の退院は不可能だと思います。」

このような次第であった。

にわかに信じがたい話であったが、
高句麗は院長の案内のもと、息子の霊を見に行ったのである。

歩いているうちに彼は気づいたのだが、
過去に新羅が飛鳥日本の簪を盗んだ時、
自分は不気味な声やら蛇やらを確認しており、
そういう才能はある方だったのだ。

彼にとって懐かしの東病棟給湯室に到着した。

彼は恐怖で声を上げそうになったが、院長に止められた。

彼がそこで見たものは、
  
  
渤海「やまとちゃん・・・どこ?」

渤海「僕・・・なんでか、動けないんだ・・・」

渤海「やまとちゃん・・・助けて欲しいんだ、やまとちゃん・・・」

渤海「助けて・・・ねぇ・・・」
  
  
確かに息子であった。

彼は院長を押しきって、息子に話しかけた。

高句麗「おい、俺だ!お前の父さんだぞ!」

高句麗「なんとなく覚えてるだろ!昔会ったんだ!なあ!」

しかし、渤海には彼の存在が把握できていないらしかった。

何度声をかけても、渤海はずっと似たようなうわ言を繰り返していた。

ついに高句麗は諦めて、その場を離れることにした。
 
531 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:27:39.87 ID:My0lU9vO0

それから高句麗は、このセンターの警備員として、
施設内に住むことを決心したのである。

彼がそれを申し出ると、ワクワク院長は最後の仕事に、彼を警備員に雇ったのだ。

しかし、さすがのワクワク院長も、高句麗の真の思惑には気づいていなかったらしい。

ただ息子のそばに居たいだけではなかったのだ。

高句麗(あんな状態でも、一応は退院を目指して取り組んでもらえるんだろ?)

高句麗(だったら、親が迎えに行ってやらなきゃさ)

彼や友人達がセンターを退院した時には、
親が迎えに来てくれた。
親に反抗的だった彼も、この時ばかりは嬉しかったのだ。

高句麗(死ぬまで、死んでもここで待っててやるさ)

高句麗(今まで大したことをしてやれなかったんだ)

高句麗(退院したら、すぐ迎えに行ってやるからな)

こうして、彼は警備員として生涯働き続けた。

老齢で働けない体になってしまったとき、
彼は施設内で自殺をした。

おそらくは、この施設を追い出されるのを危惧したのだろう。

それから先、彼の精神活動を確認したものはいない。

なにぶん、警備員専用宿泊室に一番近い施設は、
世界で最も現実的な集団、あの情報管理課のオフィスだからである。
あの職員たちに確認出来るはずがない。

ガチャッ

・・・前言を撤回しなくてはならないかもしれない。

彼の精神活動を確認しうる人間がちょうど、警備員専用宿泊室に来るからだ。

例の特殊部隊隊長・南極に「管理が杜撰過ぎる!」とたっぷり怒られて、
長らく使用されていなかった警備員専用宿泊室をしぶしぶ調査しに、
現在の地球立メンタルヘルスケアスクール院長である、

ゴドー・マクガフィンが。
   
532 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:28:54.79 ID:My0lU9vO0
  
-------[人物紹介]--------
 
 蝦夷
 :奈良日本(渤海の言う、やまとちゃん)の夫。
  つまり、平安日本の父にして鎌倉日本の祖父にあたる。
  珍獣ハンターをしていたことで扶桑(獣医をしていた)と出会い、
  彼女の助手として日本の家に居候する。
  姑(扶桑)との仲は本当の親子のように良好だが、舅(飛鳥日本)とは水と油のように険悪。
  
 契丹
 :渤海を殺害した少年。境界性パーソナリティ障害で入院していた。
  渤海殺害後、憔悴した日本を心配するも彼女に拒絶される。
  実はかなり成績優秀で、唐に次いで周囲から宿題の解答をせがまれている。
  後に、(文化人として著名になる)唐を支援する実業家として業界に知られる。
  
  
   
>>>>>>>【ボーナスステージ】!!!!!!!
  
◆やり場のない話

飛鳥日本「・・・」ハァ

蝦夷「旦那、元気ないですね。水虫でもかかりましたか」

飛鳥日本「失敬な!」

飛鳥日本「はぁ、いや・・・仕方ない。君はまともな反応をしてくれそうだ」

蝦夷「はい?」

飛鳥日本「相談があるんだ、俺はどうすべきなのか」

飛鳥日本「娘とやたら仲良くしていたらしい、渤海という男についてだ」

蝦夷「ああ、渤海くんですか。やまとちゃんから聞きました」

蝦夷「とても親切な子だったんですってね、可哀想に殺されてしまって・・・」

飛鳥日本「ああ、俺も初めはそう思った」

飛鳥日本「だが、話を詳しく聞くと、それがとんでもない奴だったんだよ」

飛鳥日本「この渤海、お前に勝るロクでもない男だったのだ!」ドンッ

蝦夷「え?」
 
533 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:30:06.99 ID:My0lU9vO0

飛鳥日本「何でもな、そいつに娘がやったことを列挙すると・・・」

1.部屋の鍵を没収する
2.生理の日の管理をする
3.着替えを手伝う
4.あーんして食べ物を口に入れる
5.同じベッド(シングル)で寝る
6.娘の濡れたパンツと自分のパンツを交換してはく
7.耳掃除をする
8.お風呂で背中を流し合いっこする

蝦夷「うわキモ」

飛鳥日本「絶対に許せん・・・」プルプル

飛鳥日本「俺なんて、娘と最後に風呂入ったの何年前だと思ってるんだ!!」

飛鳥日本「娘が小学校に入る前だぞ!妖精さんのように可愛かったわ!」ワァァン

蝦夷「いやいや、怒るポイントずれてませんか」

蝦夷「これ、先生(扶桑)は知ってるんですか?」

飛鳥日本「ああ、でも娘同様に『まぁなんて優しい子』で済ませちゃったんだよ!」

蝦夷(先生だいぶ天然だからなぁ)

蝦夷「ヤバいですね、特に2・6・8の破壊力パネぇ」

その時、飛鳥日本は蝦夷の頬を引っ叩いた。

パァンッ

蝦夷「なぜぇっ」

飛鳥日本「今、娘の裸を想像したろ」ギロリ

蝦夷「してませんよ!」

飛鳥日本「したろ」

蝦夷「してませんて!」

飛鳥日本「一瞬したろ」

蝦夷「・・・一瞬しました」
 
534 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:31:00.04 ID:My0lU9vO0

飛鳥日本「こんなことが許されていいのか?年頃の娘に何てことしやがるんだぁ」

飛鳥日本「せめてもの救いはキスや性行為の類はしてないことだ」

蝦夷「マジですか、変なとこで紳士ですね、そいつ」

飛鳥日本「ああ、絶対に越えちゃいけない線をギリギリ越えてはいないんだ」

飛鳥日本「でも俺の許容範囲はとうに超えている!」

蝦夷「ちなみにどの辺までが許容範囲で?」

飛鳥日本「娘の半径0.5m以外の空気を吸うこと」

蝦夷「厳しッ」

飛鳥日本「それでな、本当なら渤海を首から下まで埋めて、木のノコギリで首を引きたいんだが」

蝦夷「なにそれ怖い」

飛鳥日本「奴は既に故人だ。そして奴の父親とも連絡がつかない」

蝦夷「渤海くんのお父さんを呼んでどうするんです」

飛鳥日本「息子の代わりにノコギリで引くんだよ。一回引くごとに君と交代でな」

蝦夷「俺を巻き込まないでくださいよ!嫌ですよ」

飛鳥日本「わかるか?俺はこのやり場のない憤りをどこにぶつければいい?」

飛鳥日本「娘を傷つけずに渤海だけを罵倒してぶん殴ってやりたい」

蝦夷「何か別のことでストレス発散してはどうです?」

飛鳥日本「何?」

蝦夷「いやほら、例えばサンドバッグを殴りまくるとか」

飛鳥日本「なるほどな、少しはそれで苛立ちが治まるかもしれん」

飛鳥日本「君にしてはいい案じゃないか」

蝦夷「そんな#」
 
535 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:31:43.56 ID:My0lU9vO0

飛鳥日本「ウラァ!」ボコォ

飛鳥日本は蝦夷を殴りまくる。

蝦夷「なぜぇっ」

飛鳥日本「お前がサンドバッグだからだよ!」

飛鳥日本「渤海め!この!よくもうちの娘にエロいことを!いやらしい!いやらしい!」バキッボコッ

蝦夷「俺は渤海じゃない」

飛鳥日本「二度とこんなことしてみろ、去勢するからな!この勃起野郎!」ダンッガンッ

蝦夷「痛い痛い!やめて」

飛鳥日本「妻だけでは飽き足らず娘までたぶらかしやがってぇ!」バキッボキッ

蝦夷「それ完全に俺への文句じゃないですか」

唐と新羅はビクビクしていた。
 
 
◆万国テレフォンショッピング

シャンシャンシャンシャン・・・

飛鳥日本「いつまでも少年の心を忘れない四十路男、日本です」

蝦夷「何を血迷ったか元・珍獣ハンターの蝦夷です」

飛鳥日本「そのままバラエティ番組あたりで使われてればいいものを」チッ

飛鳥日本「さて、奥様方に今回ご紹介するのはこちらの商品」

飛鳥日本「訳ありズイズイ in the 布団だ!在庫一点限りですよ」

隋「うう・・・」ジャーン

蝦夷「まさかの人身売買!人権侵害でしょこれ」
 
536 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:33:01.03 ID:My0lU9vO0

飛鳥日本「せっかくのクリスマス・イヴを寂しく過ごす予定の奥様にはピッタリの品」

飛鳥日本「訳ありとはいえ一世を風靡したズイズイ、今でもその人気は衰えない」

蝦夷「訳ありとはどのへんが?」

飛鳥日本「見りゃわかるだろ、死にかけなんだよ」

飛鳥日本「だが、うっかり虐待死させてしまっても警察にバレにくい点はかえってお得だな」

蝦夷「なんて鬼畜」

飛鳥日本「このズイズイがなななんとたったの3000円×10回払い!」チャリーン

蝦夷「やっす!」

飛鳥日本「そして今回は特別に、隋を看病する唐少年もお付けする!」

唐「え?え?ちょっと、何なんですかこの番組」ジャーン

蝦夷「あー・・・ええと」

蝦夷「言いにくいんですけど、なんか・・・むしろ隋さんがお荷物のような」

飛鳥日本「だな、唐くんはピチピチの10代で健康で有望株だもんな」

飛鳥日本「死にかけの三十路越え男なんかぶっちゃけ需要ない」

隋(!?)ガーン

飛鳥日本「しかしテレビの前でご覧の奥様、よく考えてください」

飛鳥日本「隋が死んでも、布団と若い男の子が残りますよ!たったの3万!」

蝦夷「確かに安いけど・・・」

唐「さっきから何の話をしてるんです、あなた達は!」
  
537 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2016/12/24(土) 18:34:18.58 ID:My0lU9vO0

その時、隋が苦しみながらも上半身を起こした。

飛鳥日本「おっ?サービスシーンでもするのか?カメラ寄せて!」

隋「・・・くっ・・・」ググッ

唐「お、叔父貴?大丈夫なのかよ」

隋「ゼェ、ゼェ・・・」

隋「私の方がいい男ですよ、奥さん!」キリッ

蝦夷「残り少ない体力を自分のPRに使った!」

唐「しょうもないことやってんじゃねぇよ!」

隋「う、うるさい・・・」

「マダムキラーになりたい」、その思いが隋を突き動かした。
そしてこれは飛鳥日本の狙いでもあったのだ!

隋「私単体でも奥様方を満足させられるッ」

隋「布団の中に居ても、決して奥様を寝かせない!」

隋「啼かせてみせましょう、この隋が!」

飛鳥日本「ご覧ください、この鮮度!彼はやる気です」

飛鳥日本「それではメモのご用意を!」

飛鳥日本「電話番号2310-8010-8104(扶桑とやまとは天使)にご連絡ください!」

飛鳥日本「今から30分以内にお電話いただいた方には、この蝦夷もお付けします」ニヤリ

蝦夷「えっ」

お電話
おまちしってーいまっすー♪
  
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 22:14:46.47 ID:Qa2omrz30
乙wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww渤海そんなにキモいやつだったんかいwwwwwwwwww
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/05(木) 22:44:56.94 ID:L+J9ZmVn0
保守
540 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/01/07(土) 21:45:01.15 ID:JWGniCcx0
ちょっと忙しいので、一週間ほど更新が無理そうです・・・
541 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/01/12(木) 14:57:01.67 ID:krbgfDSI0
読み返してみたら、前回の話のナンバリングを間違えてました・・・
>第18話:約束を破った少女
内容的に次回の話とその次の話(本格的に大日本帝国編が始まる第19話)は時代が前後してしまうので、
次回の話も第18話で通して「第18話が二つ存在する」状態にしようかと思います
実はどちらを19話の直前にするかで悩んでいたので(だからナンバリングを間違えてしまった)
せっかくなので、やや短めの話で第17話を19話の次あたりに書きます
第17話は本編のアメリカ合衆国(Jr.)の父親に関する話にします
第19話は大日本帝国の誕生とキチガイ学園編入までの経緯であるので、
内容的にはあまり混乱しないと思います
彼は大日本帝国編のラスボス・宿敵ポジションなのですが、
その割にちゃんとその生い立ちを説明する時間を作ってなかったなぁと思っていたので、
ちょうどよかったかもしれません
なので、第18話→第18話→第19話(大日本誕生)→第17話(アメリカ誕生)→第20話(キチガイ学園舞台)となります
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 21:46:34.46 ID:YH9qahGg0
いよいよ大日本来るか
543 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/19(木) 22:05:55.64 ID:AZeSaSLX0
  
第18話:捕らえられるマクガフィン氏

情報管理課のイストワール氏(M. Histoire)は、
厳重で面倒な手続きを全て終えて、看守に案内された。

銃を手渡されたので、氏が理由を尋ねると看守は一言言い放つ。

看守「これからキチガイに会いに行くのに、何を仰るんです?」

氏は「彼は気違いではない」と訂正して、「彼は気違いだったな」と再訂正した。

氏は狂人を殺すつもりで銃を見つめ、それを絶対に人に向けるまいと決心した。

目的地に至るまでの道は非常に静かであった。

それも当然で、鉄格子の中にあるのはたいてい墓碑だからだ。

墓碑に記された年月は遠い昔のものもあれば、つい数分前のものもあり、七週間先のものもあった。

たまに生きた人間もいて、氏と目が合うと軽く会釈した。

それらに氏は何ら感想を抱くことなく、看守の案内に従うのみであった。

看守「ここですね、囚人番号130の牢は」

看守「おい、130番!面会だ!」

看守は鍵を開ける際、氏に「重々気をつけてくださいよ、130番はとくに危ないですから」と囁いた。

氏が牢の中に入るや否や、看守は外側から再度鍵をかけた。
看守は鉄格子の隙間から氏を見守る。

イストワール「130番、どこに隠れているんだ。私だ、イザングラン(Ysengrin)だ」

氏の声を聴いて、奥の影からヨロヨロと男が出てきた。

男はアジア系で鶏がらのように痩せており、目玉だけがギラギラと光っていた。

この男と氏は知り合いであったが、刑務所の規定により囚人は番号で呼ぶことになっていた。

130「ヤオ(1)サン(3)リン(0)、お前のほうが合ってないか?この番号」

130「俺は51号っぽい、うん、51号の人と番号換えてもらおうかな」

氏は男の話を無視して、「資料のありかを言え」とだけ言った。

130番は残念そうに「お前に渡す分は全部、お前んとこの課が回収したはずだが」と答えた。

イストワール「私に渡さない分はどこにやったと聞いてるんだ」

130「どこにって、病棟内に決まってるだろ。あの壁全部だ」

イストワール「壁だって?」
544 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/19(木) 22:06:40.36 ID:AZeSaSLX0

130番は小さい子どもにでも教えるように、噛み砕いて答える。

130「あの壁一面にでかでかーっと書いてあるぜ。
 あれは歴代院長が落書きしてきた、超貴重な資料群なわけだ。
 ムカつく職員の悪口から、患者たちの性癖、情報管理課コンピュータの裏コードまで!」

イストワール「馬鹿言うな、壁にそんな落書きなんかない」

130「あるんだよ、ちょっと特殊な字だけどな。
 その字には正類がなくて、韻にも正音がない!
 凡人には朦朧として存在しないように見えているが、
 選ばれし院長が見れば黄金のように鮮明に輝いて、その意味を理解することができるとゆー」

イストワール「ふざけるな、裸の王様の詐欺師みたいなこと言いやがって」

130「あーあ、なんて頭の固い、だから嫌いなんだよ情報管理課!」

氏はため息をつく。
氏と130番の会話はいつもこうであった。

氏にとって130番は、だらしがなくてわけのわからないことばかり話す頭のおかしい人間である。

130番にとって氏は、何を言っても理解してくれずに役に立たない提案ばかりする頭の悪い人間である。

氏は呆れて言う。

イストワール「君はいつもそうだ、私を馬鹿みたいな冗談で誤魔化そうとする。
 どうしてまともに接してくれないんだ?
 どうして普通に仕事をしてくれなかったんだ?」

130番が言い返す。

130「ほらな、俺の言うことを無条件に冗談だと決め付けやがる。
 お前って本ッ当、模範的な情報管理課職員だよ」

イストワール「ああ、だから君のバディに選ばれたんじゃないか」

130「・・・だろうな。
 俺は上の発掘能力が怖いよ、お前みたいなのを見つけてくるんだもの」

130「・・・イザングラン、お前はここに来て何を思った?」

イストワール「何って、暗くて寂しいところだ。君が不憫だよ」

130「ああやっぱり、お前はそれっぽっちしか思うことがなかったんだな」

130「俺はここに来るとき、周りの奴らの行動、看守の冷酷さ、この空間に存在する全てに頭を狂わされそうになったよ」

イストワール「そうなのか、でも君は元々狂ってるからここに連れてこられたのに」

130「俺は狂ってねぇよ!」

イストワール「患者は皆そう言うんだよ。君が一番よくわかってるんじゃないか」
545 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/19(木) 22:07:48.78 ID:AZeSaSLX0

130「ハァ、お前にはわからないんだろうけどな。俺は人より感性が鋭いんだ、だから院長に選ばれた」

130「学生時代、意味もわからず祭り気分で反政府デモの集会に参加したらブラックリストに載っちゃって、
 就活ボロボロだった俺が院長なんて職に就けたのは、特殊な才能を認められたからなんだ」

イストワール「君って昔からチャランポランだな」

130「ここは人を生かせる場所じゃない。殺す場所なんだぜ」

イストワール「何を言っている。君は別に死刑宣告されたわけじゃないんだよ」

130「俺にとってこの刑は死刑宣告に等しいんだ、だから、俺は死に向かっているよ」

イストワール「私はそれに関して怒っているんだ。君はなぜ自殺しようとしているのかね」

イストワール「君は、生徒達に対して大変酷いことをした!
 生徒達の病んだ精神を救うのが君の仕事であるのに、あろうことか君は彼らに劇薬を投与したんだ。
 医者失格だよ、君は!
 君は生きて、彼らに対して罪を償うべきなんだ!」

130番は静かに答える。

130「上はそう考えちゃいないさ・・・上はお前の考えとはまるで違ってるよ」

130「上は俺の行動をおそらく評価しているんだ、表面上は怒っているけどね。
 あの手のつけられない癌細胞、問題児達を弱めるためにはあれしか方法がないんだから。
 そして、お前たちを利用して俺を悪者に仕立て上げたんだ。
 上は完全に俺を殺すつもりでここに入れたんだよ」

イストワール「130番、君は被害妄想とかいうのに捕らわれているんじゃないか?
 そんな馬鹿げたことを上がやるわけないじゃないか。
 どこまでも私を悲しませないでくれよ、私は君の友人なんだよ」

130「ここは、空気が悪い。
 俺はここに居て日々それに侵蝕されていく。
 お前にとって、ここはメンタルヘルスケアスクールと同じようなものに見えてるんだろう?
 だが、あそことここは大違いなんだよ。
 あそこは俺の城さ、俺は生徒達のために常にあそこを清潔に保ってきたんだ。
 だから、生徒は世界のどこよりもあの学校が快適なんだ。
 逆に、ここは世界で一番不潔で危ない場所なんだぜ」

イストワール「確かにここは窓もないし空気が悪いけど、君の言ってることは何もかもおかしいね」

130「イザングラン、悪く思わないでくれよ。俺はお前の親友だけども、俺はお前が大嫌いだ」

イストワール「私もそうだよ。だけど君のことが心配だ。それで、なぜ君は自殺なんかしたいんだ?」

130「俺だって死にたくないけど、ここにいるくらいなら死んだほうがマシだ。
 後ろの看守を見てみろ、ゴーグルをかけてマスクをしているだろ?
 あれは普通の人間ですら、ここに居るのが危ないからなのさ。
 お前って奴は超人なんだよ、皮肉でなく尊敬しちゃうぜ」

そのとき、獣のような叫び声が聞こえて、生肉をかき回すような音が聞こえた。
それを氏は冷静に推理する。

イストワール「あー130番、その・・・君の牢屋仲間が自殺を図ったようだが。
 あれ、君のほうもどうしたというんだ?」

130番は頭を押さえながら悶絶していた。

イストワール「いい加減冗談はよしたまえ」
546 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/19(木) 22:08:38.72 ID:AZeSaSLX0

130番の痙攣は続くが、イストワール氏は冷ややかに見つめる。
後方で待機する看守も何もしない。

130番はようやく落ち着きを取り戻す。

イストワール「気がすんだか?」

130「お前はいいよな・・・はぁ、はぁ・・・。
 おい看守!今絶命したのは囚人番号82番だ!
 奴め、俺を道連れにしようとしやがったぞ・・・」

イストワール「もういいよ、君がイカレてることは十分わかってるって」

看守は内線で他の者を呼んでいる。

130「お前にはわからないさ・・・お前は生徒の顔すら把握していない」

イストワール「顔写真は全て暗記しているよ」

130「写真のない分は?」

イストワール「写真がない?!そんなはずはない、全ての生徒は入院時に写真を撮るはずだ」

130「・・・夜郎、トレビゾンド、渤海」

130「彼らについて知ってることは?」

イストワール「何だって?・・・誰だ、彼らは?データになかったぞ」

130「彼らはメンタルヘルスケアスクールの在校生さ」

イストワール「待て、メモを取る!後で調べるから、彼らの生年月日を教えてくれ」

130「彼らの命日で調べたほうが早い」

イストワール「命日?・・・いい加減にしろ!」

イストワール「死んだ人間が生徒なものか!」

130「彼らは鬼籍に載った上で、在籍名簿にも載っているんだ・・・院長用のな」

130「夜郎君はいつも亜細亜病棟の百葉箱の近くに居てね、雨の日にはたまに生徒に目撃されるね」

130「トレビゾンド君は欧羅巴病棟の図書館に住んでいる。いつも聖書を熱心に読んで、クルアーンを破っているよ」

130「この2人は周囲と接触することがないから、擬似友人として外部のマクガフィン少年を定期的に投入している」

130「まぁ・・・夜郎君は高慢ちきだし、トレビゾンド君はインテリすぎてゴドーとは気が合わないみたいだが」
547 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/19(木) 22:09:28.12 ID:AZeSaSLX0

イストワール「いつまで茶番を続ける気だ?」

130「聞けったら、これまでゴドーに反応すら見せなかった渤海君の治療が大躍進したんだ」

130「俺は嬉しい、幾代もの院長が望んだ光景を見ることが出来たのだから」

130「彼は目覚めた。親友ができて、絶交するまでに回復したんだ」

130「これは快挙だ。なのに、俺へのこの仕打ちは酷すぎるじゃないか!」

130「新しい院長を任命するでもなく、学校を閉鎖するなんて酷じゃないか!」

130「先の二人はともかく、今の渤海少年の精神状態は危ないのに」

イストワール「もういい、君はやっぱり病気なんだよ」

イストワール「君の妄言にはうんざりだ」

130「頼む、マクガフィンを呼んでくれ!」

130「一刻も早く、ゴドーに引き継ぎしなければ・・・」

イストワール「何を言ってる?あの子はまだ小学生じゃないか」

130「そうさ、ユートピア小学校3年生だ」

130「そして、将来のここの院長だ」

イストワール「院長は世界中から選ばれる。君の知り合いが選ばれるとは限らないだろ」

130「限るよ。上があの子を逃すわけない」

130「あの子の夢を全て奪った上で、院長に迎えるだろうよ」

130「俺も連中と同じ、あの子の敵なんだ」

130「でも、それは救世主としてのあの子の宿命さ」

130「生徒たちを救えるのは、全世界であの子だけなんだから」

イストワール「何にせよ、こんな頭のおかしい人間のところへ子供を連れてくるわけにいかない」

130「俺がもっとおかしくなる前に、頼むよ」

130「お前もそこはわかるだろ?俺はじきに廃人になる」

130「その前に、何としてでもあの子に伝えなきゃならないことがあるんだ」

イストワール「・・・」

イストワール「わかった。彼が行くと言えばここに案内する」

130「ありがとう」

イストワール「だが、私にも言うべきことがあるだろう?」

イストワール「なぜ君は、WWとCOLDを生徒たちに投与した?」

130「上からの指示だ。俺から相談を持ちかけて許可をもらうという形で」

イストワール「どんな効果を期待したんだ?」

130「彼らの現状そのままを」

イストワール氏はため息をつく。

イストワール「・・・具体的に」
548 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/19(木) 22:10:58.61 ID:AZeSaSLX0

130「まず、病院が大地立から地球立に変わった意味を説明しなきゃな。なぜだかわかるか?」

イストワール「さぁ・・・グレートブリテン卿とフランス卿の発案だと聞いたが」

130「その通り、彼らは当院の出身者だ。他の出身者と協力して、彼らがそう判断した」

130「初め、患者たちは『大地を駆け巡り、自己を顕示したい』と願っていた」

130「ここでの自己顕示というのは、基本的に他者への犠牲を強いるものだ」

130「それが次第に海の覆う限り、空の届く限りに範囲が広がっていった」

130「お前も気づいていると思うが・・・この病院はただ重篤な精神病患者を集めているわけじゃない」

130「皆が皆、ある種の天才。大いなる犠牲の上に王になる素質を持っている」

イストワール「・・・ああ」

イストワール「出身者の多くは、それぞれの道で一流とされる人間になっているな」

130「本当はもっとすごい存在になれたのさ、彼らは」

130「その才能を、最大多数の最大幸福のために毟り取るのが俺たちの仕事だ」

130「この世界の彼ら以外の住民と、彼らのうちで傷つく敗者を守るために、王を殺す」

130「彼らの野望を引き裂いて、彼らの人生を大きく狂わせる酷い仕事さ」

130「似たような者たちを、子供のうちに共住させて潰し合わせるんだ」

130「これまでは・・・特に大地立の頃は、それだけで十分だったんだ」

130「少年時代のグレートブリテン卿は、当時の『王』最有力候補として見なされていた」

130「そこで病院は、彼に対する反逆者としてアメリカ(13植民地)少年を投入した」

130「アメリカ少年は元々ただの非行少年だと見なされていたが―――違った」

130「彼は院内で頭角を現して、病院の予想を超えた反逆者として成長した」

130「グレートブリテン少年とアメリカ少年の闘争は、大勢の患者を巻き込んだ」

130「その経験を踏まえて、元患者たちは『病院側の意識の低さ』を訴えたんだ」

130「時代を経るごとに患者・王候補たちの凶暴さや残虐さは増してゆく」

130「大地を駆けるどころではない、地球を滅ぼしてしまうほどに、患者たちは進化しているのだと」

イストワール「じゃあ、地球を守るという意味で『地球立』に変えたと?」

イストワール「だとするとおかしいじゃないか、元患者は病院を恨むはずだ」

イストワール「どうしてそんな、さらに患者を束縛するようなことを提案するんだ?」
549 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/19(木) 22:12:00.85 ID:AZeSaSLX0

130「自覚のないままに、爪をもがれた彼らは地球の一員だと認識してしまうのさ」

130「もはや王たりえなくなったグレートブリテン卿は、後輩たちを獣のように感じたんだろうな」

130「善良な地球市民である自分たちの脅威を排除しようと考えたわけだ」

130「・・・ここからは愚痴になっちまうけど、いいかな?」

イストワール「この際とことん言えばいい」

130「俺の受け持った生徒たちは、歴代で最も才能豊かで恐ろしい少年たちだったんだよ」

130「抜群の頭脳、身体能力、カリスマ性を持っていた」

130「そのまま彼らを世に放てば、世界は滅ぶところだった」

130「彼らは絶望、恥辱、憂鬱、恐怖、惰気、飢餓感、子宮回帰願望といったものを知らなかった」

130「彼らを大人しくさせるには、それらを刻みつける必要があったんだ」

130「そこで俺は・・・あの薬の投与を上に持ちかけた」

130「上はすぐに許可を出した。極秘のうちに」

130「お前らは、情報管理課の人間は、正義感が強いからな」

イストワール「信じられないな、そんな話」

130「そして、上への忠誠心も強い。忠実でまっとうな人間だよ、お前は」

130「被害妄想の作り話だと思いつつも、ちゃんと俺の話を聞いてくれる優しい奴だ」

130「見ておけ、彼らは人を殺そうとするたびに、恐怖が常によぎるから」

130「彼らはもはや、普通の人間と同じように、金や権力に従って生きることしかできない」

イストワール「・・・」

130「勘違いしないで欲しい」

130「俺は親の次くらいに、彼らを愛しているんだぜ」

130「たまらないほど愛しているんだ、だからこそ、WWを二度、COLDを一度投与したんだ」
550 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/19(木) 22:13:56.68 ID:AZeSaSLX0

130「最後に一人の王が君臨するより、愚かな民として暮らした方が幸せだと俺は思ったから」

130「彼らはきっと、俺の行動をわかってくれるはず」

130「自分の子や親戚を、この学校に入れるだろう」

その時、130番はよろめいた。

イストワール「!おいっ・・・」

130「だ、駄目だ・・・思ったより時間がなかった・・・」

130「俺はもう駄目だ・・・じきに、人間らしい思考ができなくなる」

130番はイストワール氏の両肩を掴む。

それを見て看守は銃を構えた。

イストワール「待って!撃つのは待って!」

130「ゴドーに、マクガフィンに、Qちゃんが言ってたって伝えてくれ・・・」

130「本当にごめんって、俺と出会ったせいで、ゴドーの人生がめちゃくちゃになること」

130「それでも、過去と、現在と、未来の患者を救えるのは、ゴドーしかいないこと」

130「生徒から逃げずに、向き合って欲しいこと」

130「俺よりも上手くやって、まともに生きて欲しいこと」

130「これだけは、あの子に伝えなきゃいけないんだ!」

イストワール「わかった」

130「あと、お前に言うぶんだ」

130「イザングラン、お前には苦労をかけたな」

130「業務に関してお前とわかり合えたことはなかったが、お前が相棒で良かった」

130「もっと違う出会い方をしていれば、喧嘩も少なく済んだだろうにな」

130「それから」

130「今から俺の勝手で、お前に一生消えない傷を付けることを謝る」

130「これ以上の屈辱に、耐えられないんだ」
551 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/19(木) 22:15:02.64 ID:AZeSaSLX0

130「Qちゃんは待ってるぞ、ゴドー!」

それだけ言うと、130番はイストワール氏から拳銃を奪い取り、

自らの眉間を撃った。

ダァン!

130番の体は、ずるりと床に崩れた。

彼は廃人になる寸前で、自殺したのだった。

イストワール「嘘だ」

イストワール「なぜだ、なぜなんだ、烏有!」

イストワール「最後まで君は、私が納得する答えを教えてくれなかった!」

始終を見ていた看守はトランシーバーで仲間に連絡し、130番の遺体に近づいた。

看守「いいですか、あなたがこいつを殺したんですよ」

看守「拳銃を奪って自殺しただなんて、大問題ですから。わかるでしょ?」

看守「こいつが暴れ出したからあなたが撃った、そういうことにしますよ」

看守「よござんすね?」

イストワール「・・・」

イストワール「・・・ああ、私が彼を殺したんだ」

イストワール「問題無い、そう報告するし、君の方も頼むよ」

イストワール「私が烏有を殺した」

イストワール(・・・だが)

イストワール(私が殺したのは狂人ではなかった)
  
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/22(日) 18:03:04.62 ID:CF+QvuZq0
何この話めっちゃ興奮する
553 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2017/01/24(火) 20:10:17.97 ID:3YItZhv00
考えた結果、19話と20話はやっぱりくっついていたほうがわかりやすいと思うので、
先に17話を投下します
17話は実質「番外編:ドカン!と一発ホームラン」 (>>389〜)の続きになります

17話の登場人物は基本アメリカなので、
ここで説明しておきます
セリフ「」の前に付ける名前で表記してます

アメリカ:「番外編:ドカン!と一発ホームラン」の主人公。二代目アメリカ合衆国。あだ名はコロンビア(以下)。

テキサス:コロンビアの夫。

USA:三代目アメリカ合衆国。呼び名はジュニア。コロンビアの息子のうち、兄のほう。

CSA:アメリカ連合国。あだ名はディキシー。コロンビアの息子のうち、弟のほう。

十三州:初代アメリカ合衆国。コロンビアの父親。ディキシーたちの祖父。
554 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:11:53.26 ID:3YItZhv00
  
第17話:アンクル・サムの小屋

かつて友人たちにコロンビアと呼ばれ慕われたアメリカ少女は、やがて大人になり、結婚し、子宝に恵まれた。

夫のテキサスは陽気で優しく、子どもは双子の男の子だったので一度に賑やかになった。

兄の方はアメリカ合衆国(USA)といい、ジュニアと呼ばれた。弟の方はアメリカ連合国(CSA)といい、ディキシーと呼ばれた。

さて、この双子のうちディキシーは大変な悪ガキで、アメリカはひどく手を焼いた。

彼は父親によく似ているらしく、「俺の子どもの頃にそっくりやー!」とテキサスは笑う。

アメリカ「ディキシー!ディキシー!遅刻しちゃうわよ!」

アメリカは2階の息子を呼んだ。

CSA「うーん・・・うっせぇな、わかってるよ、ムニャムニャ・・・」

アメリカ「もう!あの子ったらまた夜更かししたのね!」

テキサス「ははは、俺も遅刻常習犯やったからなぁ」

アメリカ「どうしてジュニアみたいにちゃんとできないのかしらー?」

USA「・・・」ズズッ

カチャン

USA「ごちそうさま、いってきます」

アメリカ「ランチボックス持ったわね、いってらっしゃい」

アメリカ「ジュニアは本当にいい子ねぇ」

兄のUSAは学年一の優等生で、スポーツ万能で物静かな少年だった。

彼に恋心を抱く女生徒は多く、学園の密かなアイドルであった。

そんな息子は、母親にとっても自慢であった。

CSA「ぅぁーーあ、今日も遅刻だなー」

アメリカ「ちょっとは焦りなさいな!また先生に呼び出されるでしょ!」

対する弟のCSAは、小学校一の問題児であった。

遅刻や喧嘩でしょっちゅうアメリカは学校に呼びだされた。

CSA「父ちゃーん、パンにピーナツバターとハチミツ塗ってー」

テキサス「どのみち遅刻なんやから、自分でゆっくり塗ったらええがな」

CSA「けちんぼー」

優等生と問題児、それでも母親にとってはどちらの子も等しく可愛かった。

が、躾のためにディキシーの方を怒りがちで、ジュニアを褒めてばかりいるのも事実。

ディキシーは内心面白いはずがなかった。
555 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:12:38.18 ID:3YItZhv00

元々レイシストの気質の強い彼は、自分より弱いものに八つ当たりしていた。

ドカッ

CSA「おい、ニガー!オレをよくも睨みやがったな!」

ドカッ

CSA「よくもだ、あいつと、ジュニアと見比べて、オレを嘲笑ったな!」

バキッ ゲホッゲホッ・・・ヤメテヨ・・・

CSA「ニガー野郎のくせに、オレを出来損ないだと笑いやがって!」

ガンッガンッ

CSA「二度と、二度とだ、絶対にすんなよ!」

ドカッ

CSA「オレはあいつが大ッ嫌いなんだからよ・・・」
   
   
   
アメリカ「ええっ!同級生をリンチ?!」

担任「はい、相手のお子さんは全身痣だらけで肋骨にヒビが入っています」

アメリカ「まぁ、まぁ、なんてこと!治療費はもちろんこちらで負担しますわ」

アメリカ「相手の御宅へすぐ謝りに行きます」

アメリカ「ディキシー!あなた、自分が何をしたかわかってるの!?」

CSA「オレ悪かねぇや!」

アメリカ「ディキシー!」

CSA(フン

担任「お母様が一生懸命なのは十分わかるんですが、彼自身の問題ですので・・・」

CSA「あのニガー、オレの言うこと聞かねぇんだもん。ちょっとばかし殴っただけだ!」

アメリカ「いい加減になさい!」パシンッ

アメリカはディキシーの頬を叩く。

CSA「・・・」

CSA「母ちゃんはジュニアばっかりだ・・・」ボソッ

アメリカ「必ず反省させて、相手の子に謝らせますから」

家に戻ると、さすがのテキサスもディキシーを叱った。

テキサス「ディキシー、お前、同級生に怪我させたそうやないか」

CSA「でもよ、父ちゃん。あのニガーはオレを侮辱したんだ」

テキサス「その子、何したんや?」

CSA「え・・・」

CSA「・・・明らかに、オレを馬鹿にしたような目で見てやがったんだ」

テキサス「何?それだけか!そんなようわからん理由で因縁つけて蹴ったり殴ったりしたんかお前は!」

バシィッ

テキサスはCSAを殴った。

CSA「・・・っ」
556 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:13:15.71 ID:3YItZhv00

テキサス「お前は自分勝手すぎる!ちょっとはジュニアを見習わんか!」

テキサス「ジュニアは皆と仲良うできてんのにお前ときたら・・・」

テキサス「ジュニア、お前からも何か言うたってくれ。友達をむやみやたらに殴るなて!」

USA「・・・」

CSA「・・・」

USA「・・・そうだな」

USA「誰にでも多少は腹が立つこともあるさ。でも、平和的に解決するよう心がけたほうがいいね」

USA「自分の納得いく方法で、なおかつ周囲にとって一番理想的な選択をするべきだと思うよ」

テキサス「お、おう・・・」

ジュニアはそれだけ言うと、庭にある自分専用の作業小屋に行った。
双子の部屋はディキシーの玩具で散らかっているので、
ジュニアはこの小屋で勉強をしたり、筋トレをしたり、趣味の工作をしたりする。

テキサス「あいつの言うてる意味ようわからんかったけど・・・まぁあれや」

テキサス「たぶん、喧嘩すんなって言いたかったんやろ!なぁ、ディキシー?」

CSA「知らねー、オレ頭悪いもん」

CSA「あいつの言ってることなんか、何にも理解できないね!父ちゃんとおんなじで!」

テキサス「こらっおま、お前なぁ!##」

ディキシーはプイッと自室(兄と相部屋だが)に戻った。

ディキシーは部屋で綿を弄びながら、考え事をした。

CSA(わかってんだ、オレが出来損ないなのはさ)

CSA(ジュニアはオレみたいにニガーを殴ったりしねぇし)

CSA(オレみたいにすぐキレたり騒いだりしねぇし)

CSA(頭がすごく良くて、みんなの頼りになる人気者だよ)

CSA(でもさ、そんな奴と比べられるオレって不幸じゃないか)

CSA(一人っ子だったなら、こんな思いはせずに済んだんだぜ)

CSA(まぁ・・・オレがいないでジュニアだけ生まれてればよかったんだろうけど)

CSA(きっと母ちゃんはそう思ってるだろうな)

CSA「・・・」

ディキシーは自分が泣いていることに気づく。

CSA(情けねぇな)

CSA(なんでオレってこんなのなんだろ?)
 
557 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:13:55.55 ID:3YItZhv00

CSA「・・・あ」

CSA(なんか綿をいじくってたらカメリアみたいになったぞ!)

CSA(母ちゃんにあげよっと##)

その頃、母親のアメリカは客人を待っていた。

リーンリーン

アメリカ「来たわ」

彼女は玄関へ迎えに行く。

ガチャッ アメリカ「お父さん!」

十三州「遅くなってすまない。事故で渋滞していてな」

彼女はディキシーについて、父親と相談するつもりだった。
具体的に言えば、ディキシーを更生施設に入れるか否かである。
彼女の父親は、大地立青少年精神医療センター西病棟の出身であるため、
そのような少年達に理解があったのだ。

アメリカ「あたし、はっきり言ってディキシーを育てる自信がないの」

テキサス「そんなん・・・言うたんなや、可愛い自分の子どもやないか」

アメリカ「でも、本当のことよ!」

アメリカ「あたし、あの子が一体何を考えてるのかわからないの・・・っ」

十三州「まぁ落ち着きなさい」

十三州「コロンビア、どんな親でも育児に悩むものだ」

十三州「お前のおてんばぶりに、私とお母さんも随分悩んだよ?」

アメリカ「でも!女の子と男の子は違うわ!」

十三州「そうだ、ディキシーは男の子だ」

十三州「女の子よりも暴力的で、時として親の手に負えない」

十三州「ま、そこはテキサス君に頑張ってもらわないと困るが」チラリ

テキサス「はい・・・」ショボン

十三州「私が見る限り、あの子は異常ではないよ」

十三州「ひどく暴力的で、レイシストが過ぎるがな。そこを教育するのが親の仕事だ」

十三州「あの子はお前たちを愛しているから、必ず声が届くさ」

アメリカ「そうかしら・・・」
 
558 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:14:35.04 ID:3YItZhv00

十三州はコーヒーをすすりながら、娘に尋ねた。

十三州「ところで、外に小屋があったがあれは?」

アメリカ「ああ、あれはジュニアのよ」

アメリカ「ジュニアは工作が好きだから。ノコギリとか使うのよ」

十三州「自室とは別に、あの小屋を作ったのか?」

アメリカ「部屋はディキシーと共同よ。そろそろ分けようと思ってるけど」

十三州「ディキシーに、あの小屋の代わりは何かよこしたのか?」

アメリカ「え?いいえ、だってディキシーには必要ないもの」

アメリカ「あの子は宿題もやらないし、外で遊んでばかりだし、共同なのにディキシーの物で散らかってるし」

十三州「・・・それは良くない。ディキシーにも同じようにしてあげなくては」

アメリカ「何で?部屋ではジュニアは寝起きと着替えくらいしかできないのよ」

十三州「もういい、お前は何もわかってないな」

そこへ、2階からディキシーが降りてきた。

CSA「母ちゃん・・・あれっ爺ちゃん来てたの?」

アメリカ「ディキシー!お爺ちゃんはあなたを怒るために来たのよ」

CSA「う・・・」

十三州「ディキシー」

十三州「お前はたいした理由もなく同級生を蹴って怪我をさせたそうだな」

CSA「だって・・・」

十三州「もう二度としないか」

CSA「・・・約束できねー」

十三州「だろうな」

十三州「よし、週末は私と買い物に出かけるぞ」

CSA「はぁ!?何で?」
 
559 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:15:13.36 ID:3YItZhv00

十三州「私はお前に投資しようと思ってな、アメフトのスパイクを選ぶためだ」

十三州「お前は絶対にアメフトの才能がある。天才には良い装備を与えなくてはな」

CSA「えっ・・・」

CSA「・・・ジュニアは?」

十三州「ジュニア?あいつは勉強で忙しいだろう」

十三州「それにあいつはあまりアメフトを好きじゃないようだ」

CSA「・・・うん、そうだな」

十三州「ただな、私はお前に期待しているが、しょっちゅう暴力騒ぎを起すようでは困るんだよ」

十三州「いくら実力があっても、そんな選手は出場停止になるからな」

十三州「どうだ、むやみに人を殴るのをやめるか」

CSA「うん、頑張る」

十三州「約束だぞ」

CSA「うん、約束」

十三州「よし、では次に会うのは週末だな!」

CSA「ヤッホゥ!」

ディキシーは跳んで喜びながら自室へ戻っていく。

アメリカ「・・・お父さん、アメフト好きだっけ?」

十三州「野球派だ」

十三州「だが、ディキシーはアメフト選手に憧れているからな」

アメリカ「そうだったんだ・・・」

アメリカ「あたし、そういえばディキシーの好きなもの、あまり知らないかも・・・」

十三州「これからはよく注意して観察することだな」

アメリカ「お父さん、すごいね」

十三州「あの病院にいたから、人間観察がすっかり癖になってしまったよ」

祖父は車に乗る前に、ジュニアのいる小屋に寄った。
ジュニアはボトルシップを組み立てていた。
 
560 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:16:31.98 ID:3YItZhv00

USA「・・・お爺ちゃん」

十三州「いやぁ、邪魔してすまんな。なかなかいい部屋じゃないか」

部屋の本棚には(小学生に理解可能なのか怪しい)本が多数、整頓されていた。

USA「まぁね、本や道具をそろえるのにはそれなりに苦労したよ」

十三州「お前はおねだりが上手いからなァ」

そういうと、祖父は帰っていった。

アメリカ(あたし、ひどい母親だわ)

アメリカ(よく考えたら、ディキシーを褒めたこと、一度もないかもしれない)

アメリカ(もっとちゃんと、あの子のこと見てあげなくちゃ・・・!)
  
  
母親がそう思っていた矢先の金曜日に、ディキシーは行方不明になったのだった。
祖父が彼にスパイクを買い与えようとしていた前日である。
ディキシーが家に帰らない理由が見つからなかった。

いくら素行の悪い少年とはいえ、小学生が夜まで帰ってこないのは異常事態である。
両親はもちろん、学校関係者や同級生の保護者、近隣の住民たちは懸命にディキシーを捜索した。
警察は誘拐の線も含めて捜査した。
それでもディキシーは一向に見つからなかった。

USA「母さん、気に病まないで。ディキシーのことだもの、どこかで遊んでるに違いないよ」

アメリカ「ええ、そうね、きっとそのはずよ」

アメリカ「でも、遊んでる途中で怪我でもしてたら?大変でしょ」

母親は息子に説明しながら、自身をなだめていた。
本当は、ディキシーがどこかで遊んでいるとは考えていなかった。
事故にあったか、悪い人間にかどわかされたか、ディキシーの意図しないことが起こっているのだと。
週末の買い物を楽しみにしていたディキシーが、その約束を放り出すとは考えられない。

アメリカ(ディキシー、どこにいるの?)

アメリカ(無事で帰ってきて!そしたらお母さん、あなたを抱き締めてあげるから!)
 
561 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:17:11.52 ID:3YItZhv00

彼女は一睡もせずに息子を捜しつづけた。
夫が体調を心配して、一度ベッドで仮眠を取ることを勧めた。
彼女の体力は限界にあったため、彼女はそれに従った。

布団に身を包みながらも、彼女はなかなか寝つけなかった。
目を瞑っても、常に家に戻らない次男のことを考えていた。

夢か現か、彼女自身には判断がつかなくなった頃、
よく知った声が聞こえた。

CSA「・・・アチャン・・・母ちゃん・・・オレだよ・・・」

アメリカ(ディキシー!)

アメリカ「ディキシー!帰ってきたの!」ガバッ

母親は飛び起きて、次男を抱き締めようとした。
それを次男は制止した。

CSA「違うんだ、母ちゃん・・・オレは、最初からどこにも行ってないんだ」

アメリカ「?」

CSA「でも、これから行かなきゃいけないんだ。聖ペトロが門で待ってくれてるんだ」

アメリカ「ディキシー?何を言ってるの?どこにも行かせないわよ」

彼女は息子の姿の異変に気づいた。
彼の背中には、小さな翼が生えていた。

アメリカ「ディキシー?それはなぁに?どこでもらってきたの?」

CSA「神様がくれたよ。本当はオレ地獄行きだけど、ローマって人が口利きしてくれたみたい」

CSA「ちゃんと母ちゃんにお別れを言って、お仕事を手伝ったら天国に行けるんだって」

アメリカ「ディキシー、お母さんはそんなひどい冗談聞きたくないわ」

CSA「本当の話だよ、母ちゃん。お別れ言いに来たんだ」
 
562 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:18:11.86 ID:3YItZhv00

CSA「オレ、母ちゃんが大好きだよ。今まで言わなくてごめんね」

アメリカ「嫌よ・・・そんな冗談いらない!」

CSA「オレは悪い子だったから、母ちゃんを困らせてばっかりだった」

CSA「ごめんね、母ちゃん。でも、本当に困らせたかったわけじゃないんだ・・・!」

アメリカ「これからお母さん、あなたに優しくするから!そんなこと言わないで!」

CSA「あのね、母ちゃん。これ、綿で作ったカメリアだよ」

CSA「母ちゃんに渡しそびれちゃったから、今渡すんだ」

アメリカ「綺麗だわ、やわらかくて、お母さんこういうの好きなの」

CSA「そうだろうと思った」ニコ

アメリカ「でもお母さん、こんなのより何百倍もあなたが好きよ」

CSA「ありがとう、母ちゃん」

CSA「でもね、やっぱりオレは悪い子なんだよ」

CSA「これから一生、母ちゃんを苦しめてしまうんだ」

CSA「母ちゃんはジュニアを嫌いになってしまうかも。オレ迷うよ」

アメリカ「何を迷うことがあるの?」

CSA「あのね母ちゃん、オレはずっとこの家に居たんだ」

CSA「オレは今から聖ペトロのとこに行くけど、体はそこにあるままなんだ」

CSA「あのね・・・あのね、ごめんよ、母ちゃん」

CSA「オレの体ね、ジュニアの小屋の床下にあるんだ」

アメリカ「嫌!」
  
  
母親が我に返ると、次男の姿はなく、綿のカメリアが枕元に置いてあった。
 
563 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:19:17.31 ID:3YItZhv00

彼女はカメリアを手に取り、何かを思考することなくサンダルを履いて、外に出た。

外はまだ暗かった。

長男の小屋にはなぜか灯りがついていた。

彼女が小屋に近づくと、小屋の前で夫のテキサスがうなだれていた。

テキサスは彼女の姿に気づくと、必死に妻を中に入れまいとした。

彼女は夫を押し切って、小屋の中に入った。

小屋の中では、長男が椅子に座ってうつむいてた。

その長男を、彼女の父親は鷲のように鋭い眼光で睨んでいた。

父親の足元には、剥がされた床板が捨て置かれていた。

そしてその先に、

子どもの物らしい、頭部や手足がまとめて置かれていた。

アメリカ「いや・・・」

彼女が叫びそうになった時、父親は彼女の口を押さえつけた。

十三州「駄目だ、お前たち夫婦がもっと不幸になる!」

十三州「テキサス!」

テキサス「は、はい!」

アメリカ「うあああああああ・・・っ」ジタバタ

テキサスは小屋の扉を閉め、暴れる妻を抑えた。

十三州「コロンビア、すまない。私のせいだ」

十三州「お前に相談されたとき、いやそれ以前から、私はジュニアの方を危惧していた!」

十三州「私の甘さが招いたことだ・・・もっと早く、お前に言うべきだった」

USA「うるさいな、さっさと警察へでも通報すればいいじゃないか」
 
564 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:20:27.28 ID:3YItZhv00

USA「ディキシーが悪いんだよ、僕相手に自慢なんかするから」

USA「つまらない人間の自慢ほど、人を苛立たせるものってないよね?」

USA「頭の悪いディキシーが、靴を買ってもらう程度のことで、僕より上に立った気でいたのさ」

USA「そんな兄弟いらないから、捨てようと思ったんだよ」

USA「お母さんが騒がないように、ちゃんと僕はフォローしたんだよ?」

USA「お母さんを傷つけないように努力したのに、どうして僕が怒られるの?」

アメリカ「うそ・・・嘘よ、こんなの、あたしの産んだ子じゃない」

アメリカ「悪魔よ!あんたは悪魔!悪魔ーーーーー!!!!!!」

USA「母子手帳見返したら?僕はお母さんから生まれてきたよ」

十三州「お前を警察に引き渡したりしない・・・」

十三州「私は娘を愛している。娘を世間から差別される身分にさせてたまるものか」

十三州「お前は、刑務所よりももっと恐ろしい所へ連れて行く」

十三州「私が少年時代を過ごした場所だ。もっとも、私の場合 半ば雇われて入ったが」

十三州「お前によく似た少年たちがたくさんいる場所だ」

USA「それじゃ、そいつら全員 僕が殺すね」

十三州「殺されるのはお前かもしれんぞ」

USA「そんなわけないね」

十三州「強がりを言えるのは今のうちだな、入ればすぐに音をあげて、私に支援を求めるに違いない」

USA「ありえない」

十三州「私は喜んで支援するぞ。可愛い孫が殺されるために、弱い少年たちを排除せねばならん」

十三州「どうせ連中もお前と似たようなクズなんだからな、社会貢献の一環だ」
 
565 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:21:20.61 ID:3YItZhv00

USA「孫がどうなってもいいの?」

十三州「お前が病院で死ねば、世界の不穏分子は一つ消えたことになるじゃないか」

十三州「仮にお前が退院しても、その時は今のお前とは別人になっているだろう」

十三州「恐れを知って、社会にビクビク怯えながら、自分を騙し騙し生きて行くのさ」

USA「意味わかんないね」

十三州「モデルがここにいるぞ。あそこに入る前の私は、今の私よりも勇敢だった」

十三州「少年時代の私は、ディキシーのように乱暴者で、お前のように自分勝手だった」

十三州「今や私は、自分より娘が大事になってしまった。孫の死が哀しくて頭が狂いそうだ」

十三州「お前もいずれ、こんなふうに情けない姿を晒すんだ」

USA「そんなの脅しにすらならない」

USA「要するに、お爺ちゃんは甘いから、コネで警察をうまいこと操ってくれるんでしょ?」

USA「ディキシーは山中あたりで見つかったことにして、僕はそのショックで療養したことにするんだ」

USA「僕は犯罪者扱いされないまま、ディキシーより長く生き延びられるんでしょ?」

十三州「ああ、娘夫婦のためにな」

USA「お母さんのおかげで、僕は普通の犯罪者よりも高待遇にあずかるわけだ」

十三州「お前がそう思うならそれでいいよ」

十三州「私の一番嫌いな友人が、お前を病院まで送り届けてくれる」

十三州「私やお母さん、お父さんとはここでお別れだ。挨拶でもしていきなさい」

ジュニアは両親を一瞥する。

USA「・・・だってさ、バイバイ!僕には二度と会いたくないだろうけど」

両親は絶句した。
母親は様々な感情が入り乱れて、ただ泣くばかりであった。

その時、小屋の外からクラクションが聴こえた。

十三州「あいつ・・・今何時だと思ってるんだ?相変わらず勝手な奴め」

祖父は孫の手を引いて、外へ出た。
 
566 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:22:15.08 ID:3YItZhv00

外にはこのあたりではまず見ることのない、大きな高級車が一台停まっていた。
運転手が扉を開けて、主人が出てくるのを手伝う。

車の中から、モノクルをかけた老紳士が現れた。
顔立ちや身なり、佇まいは上品であったが、その笑みは下品かつ不気味であった。

グレートブリテン「やぁやぁ、旧友よ!出来損ないの孫というのはそれか?」

十三州「ああ、病院まで殺さないように気をつけろよ」

グレートブリテン「わかっているとも!子どもの体は大人より弱いからな」

グレートブリテン「やぁ君!君の名は?」

USA「アメリカ合衆国.ジュニア」

グレートブリテン「なるほど、偉そうな名前だな!なかなか似合ってるんじゃないか?」

そういうと、ブリテン卿は杖でジュニアの足の甲を刺した。

USA「うっ・・・」

その様子を彼の祖父は見逃さなかったが、敢えて追及しなかった。

グレートブリテン「私の名前はグレートブリテン、ブリテン卿でいいよ」

グレートブリテン「そうだ、アメリカ・ジュニア。君のサインをここに書いてくれないかな」

ブリテン卿はまず手帳をジュニアに渡す。

それから万年筆を渡すふりをして、

万年筆でジュニアの手の甲を貫いた。

USA「ああっ・・・・・・ッ・・・・・・」

グレートブリテン「おんやぁ?駄目じゃないか、ペンはちゃんと持たないと!」

グレートブリテン「今どきの小学校じゃ、ペンの持ち方も習わないのかい?嘆かわしいな」

十三州「・・・」
 
567 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:24:09.29 ID:3YItZhv00

USA「こいつ、さっきからわざと刺してる!」

十三州「そうだろうが、それを責める必要はない」

十三州「お前がコロンビアやディキシーだったなら、私はあいつの前歯を数本折ってるよ」

十三州「お前がこれから行くところはああいう輩がたくさんいる」

十三州「あいつは私の同期でな、昔は相手を選ぶことを知らなかった」

十三州「お前だけを攻撃するなんて、昔のあいつじゃ考えられないよ」

USA「・・・」

グレートブリテン「歓迎するよ、私の愛しい後輩よ」

グレートブリテン「私はね、随分と我慢してきたのだよ。退院して以来ずっと」

グレートブリテン「私はこうして、後輩になる子だけ意地悪しても良いと、許可されているんだ」

グレートブリテン「さ、車に乗ろう?道中が楽しみだね!」

グレートブリテン「飛行機はファーストクラス以上に特別な席を設けてあるんだ!君のために」

大はしゃぎのブリテン卿は、ジュニアの小さな手の指を残らず折って、

彼の右手と自分の左手を手錠で繋いだ。

ジュニアは激痛に耐えながら叫ぶ。

USA「僕はもっと早くに、お爺ちゃんを殺して逃げるべきだった!」

十三州「だな、でもお前はそうしなかったんだから、馬鹿を見たというわけだ」

ジュニアはブリテン卿のなすがまま、車に乗せられた。
 
グレートブリテン「私の息子もキチガイ学園出身でね、孫も既に入院中なんだよ」

グレートブリテン「親子三代キチガイとは、笑えるだろう?」

グレートブリテン「よかったら仲良くしてやってくれ、あの子は冒険家に憧れる明るい子だから!」グサッ

USA「うあああああ!!!!」ジタバタ

ブリテン卿は上機嫌だった。

主人の久方ぶりに見せる笑顔に、運転手も喜んだらしく、『ルール・ブリタニア』を鼻歌で歌っていた。
 
568 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/01/24(火) 20:24:51.52 ID:3YItZhv00
 
-------[人物紹介]--------
 
 アメリカ合衆国(ジュニア、USA、後にシニア)
 :本編(現在)アメリカ少年の父。後にアラスカと結婚して一子をもうける。
  典型的なサイコパスで、双子の弟・アメリカ連合国を殺害し、キチガイ学園に送られる。
  プライドが非常に高く、ナルシストで、毎日の筋トレを欠かさない。
  自分よりファッションや言動がカッコいいドイツ(父)をライバル視している。
  自身の経験から、息子への支援(第10話、>>156参照)を惜しまない。イギリス(父)と友達。

 アメリカ連合国(ディキシー、CSA)
 :本編(現在)アメリカ少年の叔父にあたる人物。双子の兄・USAに殺害される。
  乱暴なレイシストで、黒人の同級生を殴る蹴るはしょっちゅう。
  成績も悪く周囲の評判もすこぶる悪いが、兄とは違って純朴な一面もある。
  どうやら地獄行きだったところをローマ帝国に救われ、彼の仕事を手伝っていると思われる。

 テキサス
 :コロンビア・アメリカ(>>389)の夫。訛りのある英語を喋る。
  本編(現在)アメリカ少年の祖父であり、(本編)メキシコとも血縁である。
  一見そうは思えないが、優秀な大学を卒業して稼ぎまくっているエリートである。
  美人の妻について、同僚にのろけることしばしば。

 アメリカ合衆国1世(十三州、13植民地)
 :本編(現在)アメリカの曽祖父。
  キチガイ学園出身。紅茶が大嫌い。亡き妻にルイジアナがいる。
  元々は情緒不安のある非行少年だったが、グレートブリテンに対する反逆者として病院に誘われた。
  グレートブリテンと死闘を繰り広げ、最終的に和解したという。
  アメリカ合衆国(父)の性格を見抜いていたが、アメリカ連合国の死を防ぐことはできなかった。

 グレートブリテン(イングランド)
 :本編(現在)イギリスの曽祖父。
  キチガイ。紅茶が大好き。妻にスコットランドがいる。
  生まれつき良心が欠如しているらしく、相手を選ばず傷つける(十三州曰く、改善されたらしい)。
  息子(>>303登場)が生まれたのをきっかけに、キチガイ学園を大地立から地球立に変更することを提案した。
  息子や孫すらからも「触れちゃ駄目なキチガイ」「絶対妻子に近寄らせたくない人」扱いされている。
  烏有先生曰く、当時の病院側から『王最有力候補』とみなされていたらしい。
   
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/24(火) 23:00:36.69 ID:xqxShljC0
ディキシー(;_;)
570 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/01/31(火) 16:19:42.64 ID:J4EmZeHQ0
ちょっと今週更新無理そうです・・・
571 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:23:20.47 ID:ojAhruvA0
  
第19話:ハ敵我 軍官ハ我

日本家に代々受け継がれる家宝、三種の神器の守護神たちが
次の継承者について話し合った。

武蔵「さて、大和氏と出雲氏の怒りは私共(わたくしども)の手に負えない領域まで来たり」

こう話すは、八尺瓊勾玉の主である武蔵。
彼は最近、この役目を託された。
彼は実質、現在氏神たちをまとめる指揮官である。

尾張「山背様は自分の領域だけで手一杯だと仰いますし、深刻ですよ」

彼女は出雲から草薙剣簪を譲り受け、主の座についている。
つまり、出雲は完全に隠居したというわけである。

伊勢「両者の荒魂を鎮めることのできる者を降ろすべきでしょう」

こう話すは男装の麗人、八咫鏡の主である伊勢である。

武蔵「左様な者は居らぬぞよ」

伊勢「いいえ、居ますよ・・・本人の始末は本人にしてもらうのです」

武蔵「如何なる意味でござろうか?」

伊勢「大和の一部を降ろすのですよ」

武蔵「なるほど、分霊を使者にして送り込むわけか。心得た」
   
   (*中略)
   
武蔵は矢を掲げ、大きな声で氏神たちに宣言した。

武蔵「これより、この天羽々矢を降ろし、三種の神器の継承者と見なす!」

氏神たちによって天羽々矢が降ろされた時、江戸日本は初子を懐妊したのである。
572 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:23:59.81 ID:ojAhruvA0

◎戊辰戦争

江戸日本「オエエエエエエエエエエエ!!!」オンボロロロ

琉球王国「つわりか!」

江戸幕府日本はビニール袋いっぱいに吐いた。
夫は妻の背中をさする。

江戸日本「そう・・・みたい、赤ちゃんが・・・」オンボロロロロ

琉球王国「そうか・・・」

夫は静かに微笑んだ。

江戸日本「ウヴォエエエエエエエエエエエエ!!!!」オンボロロロロロ

江戸日本「うううう出るゥ!でるでるでるでるでる」オンボロロロロ

琉球王国「何がだ」

江戸日本「内臓が!ヴォエエエエエエエエエエ!!!」オンボロロロロ

琉球王国「出ないよ」

江戸日本「出るコレェ!内臓ひっくり返って口から出る出る出る出る」オンボロロロロ

琉球王国「出ないよ」

江戸日本「死ぬッシヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」ヴォエエエエエエ

食べた以上に出たという。

こうして大日本帝国はこの世に生を受けた。

ちなみに彼の母たる江戸日本の場合は関ヶ原の戦いと呼ばれ、
その父親の安土桃山日本の場合は応仁の乱と呼ばれている。

また、彼の父たる琉球王国の場合は・・・とくに何も呼ばれていないが、
その父親(征伐前第二尚氏)と前述の安土桃山日本が、
罵り合い殴り合っている時に妊娠の知らせが入ったと伝えられている。
573 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:24:35.32 ID:ojAhruvA0

◎西南戦争

出産の場面である。

夫である琉球は部屋の外にて待機しており、
代わりにうら若き女中である蝦夷が江戸日本に付き添っていた。

看護婦「お母さん、ヒーヒーフーですよ」

江戸日本「ひぃっっっひぃっぅふ・・・・っ」ゼェゼェ

江戸日本「はぁっはぁっ無理ィ!無理ィィィィィィ!」ゼーハー

女医「赤ちゃんも頑張ってるんですよ、お母さんも頑張って!」

江戸日本「いたぁぁい!無理ぃ、て、帝王切開にしてください」ヒーヒー

女医「赤ちゃんちょっと大きく成長してますけど、通常の範囲なんでね」

江戸日本「いたいよぉ、蝦夷ちゃん、手を握ってちょうだい・・・」ハーハー

蝦夷「は、はわわわ、はい!」

エキゾチックな雰囲気を持つ彼女は、そっと妊婦の手を握る。

それにより江戸日本は幾分安心したようだ。

江戸日本「ぁぅぅ・・・ひぃ、ひぃ、ふぅ・・・」ハァハァ

蝦夷(御料人さん、なんて色っぽい・・・これが人妻の色気というものなの?)

蝦夷(こういうの・・・好きッッ!///)

▼ 呪 い 発 動 !

▼蝦夷は猛烈な尿意に襲われた!
▼大日本帝国は胎内にてダルマ回りで半回転した!
▼その反動で江戸日本は陣痛が1.5倍になった!
▼琉球王国はしゃっくりが止まらなくなった!

江戸日本「「んぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!」」

蝦夷「!##」(きゅ、急におしっこ漏れそうになっちゃったどうしよう)モゾモゾ

  ||琉球「ヒック!ヒック!ヒック!ヒック!ヒィック!」(水が欲しいが今ここを離れるわけには)

江戸日本「帝王切開にしてください!帝王切開にしてください!」ゼーゼー

女医「あっ片足出てきた、戻さないと」

江戸日本「なんでぇ・・・っ帝王切開ッ」ヒーヒー

女医「赤ちゃん逆子なんで、両足から出さなきゃいけないんですよー」

江戸日本「でも痛いのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ痛いよぉぉぉぉぉ」

看護婦「赤ちゃんもお母さんに会うために頑張ってますよ」

女医「あーまた片足」

江戸日本「帝王切開にしてくださぁぁぁぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

こうして大日本帝国は誕生した。

ちなみに彼の母たる江戸日本の誕生は大坂の陣と呼ばれ、
その父親の安土桃山日本の誕生は明応の政変と呼ばれている。
また、彼の父たる琉球王国の誕生は琉球征伐と呼ばれている。
574 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:25:33.84 ID:ojAhruvA0

◎日清戦争

〜清の屋敷〜

清「おお、もう歩けるのかその子!まだ9ヶ月なのに」

江戸日本「夫に似たのかしらね。将来は格闘家かも、なんて」

大日本帝国「あーうー」トテトテ

清「フフ、おいで。おじさんが抱っこしてあげよう」

清氏が幼子を抱き上げようとしたところ、
幼子の足が猛烈な勢いで、清氏の顎へと飛び上がった。

ドカッ! ▼大日本帝国、清の顎へ強烈な蹴り!

清「ぐおおお」

江戸日本「キャーごめんなさい大丈夫!?」

大日本帝国「きゃっきゃっ」ニコニコニコ

後日、清氏の顎の骨にヒビが入っているのが判明する。

◎日露戦争

〜帝政ロシアの家〜

ロシア「やぁ、よく来たね!」

江戸日本「お久しぶりー」

江戸日本「ほら、ロシアさんよ。ご挨拶しなさい」

大日本帝国「とぅんちゅちたーっ」

ロシア「おやおや、小さいのになかなかハンサムじゃないか。将来楽しみだ!」

江戸日本「知的で上品なところはわたし似で、隠しきれない凛々しさは夫似なの〜##」エヘヘヘ

大日本帝国「とぅんちゅちたよーっ」

ガシャァン! ▼大日本帝国、卵状の高級時計を破壊!

ロシア「うああああああああああ」

江戸日本「キャーごめんなさい!何壊したの?!弁償するわ!」

大日本帝国「ぶぅぅぅぅぅぅん」

ロシア「い、いや?安物だから・・・気にしないで、そう安物」

ロシア(ちょっとばかし家宝が壊れただけだ、気にしちゃ駄目だよ僕)

大損害を被ったという。
575 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:26:53.13 ID:ojAhruvA0

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このように、元気のありあまる奔放な幼子は、
名門私立・万邦学院初等部に入学した。

彼は皆に愛されて育ち、特に祖父の安土桃山日本は彼を可愛がった。
周囲の期待は大きく、彼は遊ぶ暇もないほどに様々な稽古をさせられた。

*****

琉球「男たるもの強くなくてはならない」

大日本帝国「はい、父上」

琉球「愛する人も守れないようでは、男が廃る」

大日本帝国「はい父上」

琉球「それでは初段、平安(ピンアン)!」

*****

江戸日本「家庭教師の先生いらっしゃったわよ〜!」

プロイセン「Guten Tag、日本君。今日は憲法の勉強をしよう」

大日本帝国「はい、プロイセン先生」

*****

〜射撃場〜

安土桃山「孫よー!男やったら銃くらい使えなな!」

大日本帝国「はい、お爺様」

安土桃山「お前が欲しいという銃は何でも買うたるからな!」ニコニコ

ダーンダーン!

*****

江戸日本「面!」バシィン

大日本帝国「ううっ」

江戸日本「駄目よ〜男の子なんだから、こんなことでへこたれちゃあ」

大日本帝国「はい、母上」

*****

江戸日本「家庭教師の先生いらっしゃったわよ〜」

イギリス「Hello、今日は海軍の勉強だなー」

大日本帝国「はい、イギリス先生」

*****
576 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:28:23.03 ID:ojAhruvA0

琉球空手!家庭教師!銃剣術!剣道!家庭教師!柔道!家庭教師!琉球空手!家庭教師!銃剣術!剣道!家庭教師!柔道!家庭教師!琉球空手!家庭教師!銃剣術!剣道!家庭教師!柔道!家庭教師!琉球空手!家庭教師!銃剣術!剣道!家庭教師!柔道!家庭教師!琉球空手!家庭教師!銃剣術!剣道!家庭教師!柔道!家庭教師!琉球空手!家庭教師!銃剣術!剣道!家庭教師!柔道!家庭教師!琉球空手!家庭教師!銃剣術!剣道!家庭教師!柔道!家庭教師!琉球空手!家庭教師!銃剣術!剣道!家庭教師!柔道!家庭教師!月!月!火!水!木!金!金!

大日本帝国(頑張らなくちゃ。俺は頑張らなきゃいけないんだ)

日本少年は勉強も格闘技も好きだったが、日々の英才教育は少しずつ彼を疲弊させていった。

彼が12歳のとき、彼の世界に異変が起きた。

彼はいつものように、中学に行くために電車を待っていた。
しかし、周囲の視線がいやに気になった。

大日本帝国(何だ・・・?周りの人が、みな俺を睨んでいる気がする)

大日本帝国(俺は、何か変な格好をしているのか?)

彼は自分の服装を確認してみるが、どこもおかしいところはない。
体臭がくさいのかと思って嗅いでみたが、よくわからなかった。

電車が来た瞬間、彼は絶叫して身を伏せた。

電車の扉が開くと、銃撃戦が始まったからだ。

「こいつを殺せ・・・こいつを殺せ・・・」という声が聞こえたため、
少年はその場から駆け出した。

群集は彼を目掛けて追いかけてくる。
中に刃物や拳銃を持った者がいるのを見て、彼は絶望した。

駅員「どうされましたか!」

駅員が混乱する日本少年のもとに駆けつけたが、彼らもまた少年の敵であった。
駅員たちは、少年を捕らえて公安組織に突き出す考えであったからだ。

大日本帝国「黙れ!貴様らのいいようにされてたまるか!」

大日本帝国(どうしよう、いくら俺でもこんな大人数を相手にできない!)

大日本帝国(そうだ、線路から外へ出よう!)

少年は線路に飛び込み、電車がこないうちにフェンスを乗り越えて外へ出た。
逃げるのに必死であったために、鞄はホームに置いてきてしまった。

少年は家まで一直線に走った。

家に戻ると、驚いた様子の蝦夷が彼を迎えた。

蝦夷「坊ちゃん!大変ですよ、いま警察から電話が・・・」

大日本帝国「助けてください、追われているんです!」

蝦夷「とにかくこちらへ、もう怖くありませんよ」

部屋に入ると、深刻な顔をした両親が待っていた。
577 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:29:12.47 ID:ojAhruvA0

江戸日本「大日本・・・」

大日本帝国「申し訳ございません、母上。私は何をしたのか追われる身になってしまいました」

江戸日本「いいのよ、いいの。お前は何も悪いことをしていないの」

江戸日本「まず座って、お茶を飲みなさい。そう、落ち着いて・・・」

大日本帝国「一体全体何がなんだか」

江戸日本「あのね、先に言うと・・・お前は幻覚を見ていたのよ」

大日本帝国「!?・・・何をおっしゃるんですか?」

江戸日本「誰もお前を追いかけたりしていないし、殺そうとなんかしてないのよ」

江戸日本「話によると、お前は突然叫び声をあげて逃げ惑ったそうよ」

江戸日本「傷害事件を起さなかったのが幸いね」

大日本帝国「母上までそんな嘘を!騙されているんですよ!」

江戸日本「信じられないでしょうね、仕方がないわ・・・」

江戸日本「お友達に怪我をさせる前に、お前を転校させます」

大日本帝国「そんな!」

江戸日本「ごめんなさい、私たちが厳しくしすぎたせいよ・・・」

母親はさめざめと涙を流す。

江戸日本「大丈夫よ、転校先は私とお爺様の母校だから」

江戸日本「まぁわたしはほとんど引篭もっていたけど、お父様とお爺様がよくご存知よ」

琉球「・・・お前の行く学校は精神病院だ」

琉球「曲者ぞろいの学校だが、行って損はないはずだ」

大日本帝国「父上まで、酷いじゃありませんか!」

大日本帝国「私を精神病扱いして、誰も信じてくれない・・・」

大日本帝国「・・・さては、あなたがたも既に洗脳されてるんだ」

琉球「何を言うんだ」
578 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:29:55.33 ID:ojAhruvA0

大日本帝国「学校とおっしゃるが、その精神病院に一生私を閉じ込めるおつもりでしょう!」

頭に血が上った少年は、父親に殴りかかろうとした。
父親は妻を後ろに避難させ、さっと構える。

少年が飛びかかろうとしたまさにその時、勢いよく障子の戸が開かれた。

パシーーーーン! 安土桃山「大日本!大日本ーーーーーーーーーーーーッ!!」

大日本帝国「お爺様!」

安土桃山「ワシの母校に行くと聞いて、飛んで来たわ!」

ラグナグ「ちょっと、あなた・・・」

祖父は少年の両肩に手を置き、興奮した様子で話す。

安土桃山「お前はあのキチガイ学園で一番になるんやぞ!」

大日本帝国「は、はい?」

祖父は母親同様に、地球立メンタルヘルスケアスクールの出身であった。
彼は少年時代にキチガイ学園屈指の強者として名を馳せたが、
学園を支配するには遠く至らなかったという思い出を持つ。
彼は日々少年時代を懐かしく思うと共に、悔しくも思っていた。
彼は大変な野心家であり、孫に自分のリベンジをさせるつもりなのである。

安土桃山「あの学校のキチガイ共は、頭はおかしいが頭はよう回る!天才ぞろいや!」

安土桃山「あの学校を制する者は世界を制す!お前はあそこで一番にならなあかん!」

安土桃山「ワシはどんなことでも手を貸したるぞ!欲しい武器は何でもワシに言え!」

安土桃山「院長に賄賂渡してでも、欲しいもん送ったる!一番や!一番やぞ!」

安土桃山「ええか、やかましい奴が居たらな、薬でチョイチョイと黙らしたらしまいや」ニヤリ

安土桃山「キチガイ共を押さえつけて、お前はあの頂点に立つんやーーーーーー!!」

大日本帝国「は、はい!お爺様!」

江戸日本「お、お父様!なんてクサレオヤジ様なの!」

琉球(先が思いやられるなぁ)

ラグナグ「・・・」ハァ

妻のラグナグはあきれ果て、娘と娘婿は呆然とたたずむ中、
祖父は少年を励ました。

安土桃山「そうと決まればお祝いや!はよ、料理屋に予約を入れよ!」
579 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:30:54.27 ID:ojAhruvA0

なんだか釈然としない大日本帝国であったが、
大喜びの祖父を見るうち、キチガイ学園に行くことへの抵抗が消えてしまったらしい。

大日本帝国(よくわからんが、俺は転入先の精神病院で一番にならなきゃいけないんだ・・・!)

少年は転校前に、万邦学院中等部の同級生に別れをつげた。

既に事情を知っていた同級生たちは、寄せ書きの色紙と花束を準備していた。

友人たちは「早く帰ってこいよ!」とか、「そんな何年も居ないんだろ?」などと励ました。

色紙にも「高等部でまた会おう!」と書いてあった。

友人達の心遣いに感動して、思わず涙を流しそうになった大日本帝国に、さらに思わぬ出来事があった。

なんと、同級生の桜島という少女に愛の告白をされたのである。

少年は彼女を「怒りっぽい女だなぁ」としか以前は認識していなかったが、急に愛おしく思えた。

精神病院に入るため、出てくるまで会えないことを告げると、
彼女と文通をする約束をした。

想像以上に今まで居た環境が恵まれていたことに気づいた少年は寂しく思ったが、
これから向かう精神病院で頂点に君臨せねばならないという使命感に、気分が高揚した。

大日本帝国「地球立メンタルヘルスケアスクールか・・・俺は絶対に一番になるぞ」

  
  
>>>>>>>【ボーナスステージ】!!!!!!!

◆(*中略)の内容


伊勢「大和の一部を降ろすのですよ」

武蔵「なるほど、分霊を使者にして送り込むわけか。心得た」

伊勢「既に捕獲隊を派遣しました」

武蔵「何と!左様に危なき任務、どなたにお任せなさったか!?」

武蔵「今や会話も受け付けぬ大和氏相手、所有するを持ち帰る事は至難の業ぞ!」

伊勢「馴染みのほうが心を開くかと考えまして、河内・和泉・紀らに向かわせましたよ」

武蔵「無茶な!」
580 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:31:53.96 ID:ojAhruvA0

その時、「うあああああああ!」という叫び声と共に、
不運にもやたらと戦場に引っ張り出されることで定評のある浪速が入場した。

ひどく怯えた様子で、その顔は涙で歪み、全身に血を浴びて、背中には矢が刺さっていた。
両手には大きな桐箱を抱えている。

武蔵「汝、如何した!?」

浪速「あばばばば・・・俺は今やつのスタンドをほんのちょっぴりやけど体験した!い・・・いや・・・体験したというよりはまったく理解を超えてたんやけど・・・・・・」

伊勢「スタンド?一体何の話です。残りの隊員たちはどうしたのですか?」

浪速「あ…ありのまま さっき 起こった事を話すで!」

浪速「俺・・・いえ、わたしは恐ろして、この任務 即行ご辞退するつもりでいました」

浪速「そやけど、河内の兄さんに和泉の兄さん、阿波の兄さん、紀の姉さんも一緒やと聞きまして、ほんならと同行致しました」

浪速「わたしは商売人ですから、屈強なあの方々のお手伝いをするつもりやったんです」

浪速「わたし共は事前に相談して、大和さんの弱点を狙うことに決めていました」

浪速「大和さんが弱ってはる隙に、持ちもんを奪ってこちらへ運ぶという手はずでした」

浪速「戦力になりません わたしが運ぶ役目になったこともあり、わたしは半ば安心していました」

浪速「ところが現実はそない甘なかった―――大和さんを弱めるどころか、怒らせてしもたのです」

浪速「大和さんに対して優勢やと思てたら、いつのまにやら劣勢になってた」

浪速「な・・・何を言うてるのか わかれへんと思いますけど、わたし共も 何をされたんか わかりませんでした」

浪速「ボキボキと骨砕かれる音、勢いあまって飛び散る血しぶき、頭がどないかなりそうやった」

浪速「催眠術やとか超スピードやとかそんなチャチなもんでは断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わいました」

浪速「わたしは兄さん方の悲鳴を後に、死に物狂いで逃げ帰って参りました」

浪速「任務は達成しましたが、わたしはもう・・・恩も立たず、男も立たずで哀しい!」

浪速「わたしなんぞ、怪我一つせずのうのうと逃げ延びて・・・」

武蔵「なれど、汝が背中に・・・」

尾張「シッ!気づいてないから平気なのかもしれませんよ」

武蔵「むぅ、ご苦労ぢゃ。兎に角、夫れが大和氏の分霊か」

浪速「はっ!これがその・・・」

浪速「大和さんの金時計でございます!」パカッ

チーン

武蔵「」 尾張「///」 伊勢「・・・」
 
581 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/02/10(金) 20:32:46.37 ID:ojAhruvA0

武蔵「・・・是は如何なこと」

浪速「紀の姉さんがですね、金的攻撃を提案しはったので一同賛成しましたんや」

浪速「弱点を切り落としたら手間も省けるて、切り離してすぐ桐箱へ入れた次第」

武蔵「馬鹿者!どこにか敵の睾丸を持ち帰ると云う様な者が居るか!」

浪速「わずかの時間やけど、悶絶してはった様子でした!」

武蔵「それは痛いぞよ!当然の事ぢゃ!」

武蔵「かような物を持ち帰ったところで、使い物にならぬ!」

伊勢「使い物にならないなんて、大和が可哀相じゃありませんか」

尾張「手術でくっつきますかねぇ、これ・・・」

武蔵「かような汚物を降ろせようか!別の物を取てこい!」

浪速「そんな殺生な!二度と帰ってこれませんよ」

尾張「ちょっと待ってください」

尾張は浪速の背中に刺さっている矢をグイッと引き抜いた。

浪速「うえ!?!?」

尾張「この矢って使えませんか?」

武蔵「おお・・・これは確かに大和氏の持ち物ぢゃ」

浪速「ええ?俺・・・さ、刺さっ・・・」

伊勢「それ以上考えてはいけません」

武蔵は矢を掲げ、大きな声で氏神たちに宣言した。

武蔵「これより、この天羽々矢を降ろし、三種の神器の継承者と見なす!」

こうして大日本帝国は誕生した。
  
  
 
-------[人物紹介]--------
 
 大日本帝国
 :本編主人公(現在)日本少年の父。後に桜島と結婚して一子をもうける。
  妄想性パーソナリティ障害と診断されて、キチガイ学園に送られた。
  祖父・安土桃山日本の期待と支援に応えるべく、日々奮闘する。
  出自や境遇から霊的センスがあり、自縛霊の渤海と友達になるが、
  何らかの原因で渤海に恨まれてしまう。真面目な一方で大変な自信家。

 武蔵
 :日本の家を守る氏神の一人。
  江戸日本の誕生した頃から今日に至るまでの、日本家当主の守護神にして氏神たちのリーダー。
  大日本帝国の誕生決定時から、八尺瓊勾玉の主に任命されている。
  氏神たちの中では珍しく真面目な性格。山背に舐められないように侍言葉を使っている。

 伊勢
 :日本の家を守る氏神の一人。
  男装の麗人であり、なおかつ処女厨(一番のお気に入りは処女だった頃の江戸日本)。
  八咫鏡の主にして、強い権力を持つ。尾張とよく食事に出かける。
  実は大和や出雲と仲が悪く、彼らが一緒に居る時と居ない時でテンションに差がある。
 
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/13(月) 00:49:21.51 ID:2ygGgv840
583 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/02/20(月) 21:40:16.34 ID:yrStAtpF0
内容考え中なので、あと数日かかりそうです
だいたいの話の流れは決まってるんですが、結構重要な場面があるので・・・
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/03(金) 22:59:06.02 ID:sgmXOE+y0
保守
585 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/03/12(日) 00:27:44.60 ID:L/9SqtYq0
おまたせしました!
やっと更新です
586 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:30:05.40 ID:L/9SqtYq0
  
第20話:マクガフィンを狙うファシュヴーグォン氏

某日、道路はひどく渋滞していた。

というのは、一人のホームレスが道路際で焼身自殺を図ったからからである。

彼の名はウラジーミルだと仲間のホームレスたちは話していたが、
彼はかなりの秘密主義で寡黙だったらしく、
それ以上のことは周囲のものは誰も知らなかった。

今回、彼は突然精神に異常をきたして、仲間のライターを奪ったという。

彼は死の直前、「どうしてこうなった!」「俺は真面目に生きてきたのに!」などと叫んでいたらしい。
   
   
   
******
 
イザングラン・イストワールは、情報管理課の受付へ向かった。

彼は目に見えてイライラしていたし、客人に会うなり「今度は何だっ!」と怒鳴りつけた。

それは当然のことで、彼を受付カウンターで待つ客人は元間男なのである。

客人は過去にイストワール氏の妻を寝取った挙句に、
「イザングラン、君の奥さんって相当ブスじゃないか。だからセックスレスだったのかー」と職場で言い放った。
おかげでイストワール氏はバツイチである。

そんな男とイストワール氏が嫌でも会わねばならない訳はというと、

この男、ライネケ・ファシュヴーグォン(Reineke Verschwörung)が、

地球立メンタルヘルスケアスクールの理事長の秘書だからである。

ライネケ「そんなに怒るなよ、イザングランさぁんwww」

ライネケは自慢の金褐色の髪をくしゃくしゃしながらニヤリと笑う。

イザングラン「金の無心か?それとも他の嫌がらせか?」

ライネケ「いんや、今日はあんたじゃなくて烏有院長に用事がありましてね」

ライネケ「烏有先生、管理ルームにいらっしゃらなかったので」

ライネケはイザングランにアタッシュケースを見せる。

ライネケ「中身は秘密っすよ」

イザングラン「別に興味もないね、烏有ならたぶんあと2時間は帰ってこないよ」

ライネケ「ほほう、先生はどちらへ?」
587 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:30:50.29 ID:L/9SqtYq0

普段は烏有院長にうんざりしているイザングランであったが、

こう尋ねられると目を輝かせて答えた。

イザングラン「それがだね!あんな奴でもやはり、彼は医者なんだね!」

イザングラン「彼は毎週、アスペルガー症候群の少年のカウンセリングをしているんだ」

イザングラン「ゴドー君という、とても聡明な男の子だよ」

イザングラン「最初の出会いは障害とは別件だったらしいけど、彼は烏有にだけ懐いたようだ」

イザングラン「私はね、烏有がちゃんと仕事してることに毎週感激するのさ・・・!」

ライネケ「いやいや、仕事もちゃんとしてるでしょ、あの人」

イザングラン「私が見る時いつも遊んでるようだが?!」

イザングラン「私は医者になれなかったが、少しでも患者の治療の手伝いがしたくてこの職を志望し・・・」

ライネケ「あーもーいい、もーいいです」

ライネケ「わかりました。2時間ほど経ってから再度伺ってみましょう」

イザングラン「あいつの家に直接行った方がいいんじゃないか?」

イザングラン「あいつ、本当に管理ルームに足を運ばないんだよ!」
  
  
****約2時間後、管理ルーム****
 
ライネケ「おやっ!奇跡が起こったようだ」

烏有「ああ、月に精々15時間くらいしかここに居ない俺が、荷物取りに数分寄っただけのところに会えるなんて!」

ライネケ「・・・今度からは電話した方が良さそうですね」

烏有「だってさ?ここで一日中監視カメラチェックしてても事件は防げないのだし、生徒との接触は駄目だし、労力の無駄じゃん?」

ライネケ「給料ドロボーじゃないすか」

烏有「院長にさせる仕事じゃないんだよー」

烏有「前任のル・ダウさんなんてさ、真面目にやってたら可哀想に、危うく行かず後家になるとこだったんだよ?」

烏有「寿退社出来たから良いものの、あんな美人をずっとこんなとこに缶詰にするなんて間違ってるぜ!」

ライネケ「それで烏有さんには素敵な出会いがあるんですか?」

烏有「全然ないね!なんでだろ?」

ライネケ「希望を持ちましょう^^」
588 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:31:46.84 ID:L/9SqtYq0

ライネケ「さて、と。本題に入らせてもらいますねー」

ライネケ「理事会からのお荷物をお渡しします」

ライネケがアタッシュケースを開けると更に小ぶりのケースがあり、その鍵を開ける。

中にはアンプルが十数本入っている。

ライネケ「・・・例の試作品ですよ」

烏有「ご苦労」

烏有「綺麗な色だな。これをWW−Tと名づけよう!」

ライネケ「これ、患者たちにに打つんでしょ?」

烏有「そうだよ、既に誰にするかは決めてある」

ライネケ「良心の呵責とかはないんすか?」

烏有「俺は社会の良心だからねー」

ライネケ「社会のためなら多少の犠牲は仕方ないってことですか」

烏有「何を犠牲と捉えるのかによるよねー」

烏有「俺は患者たちがこの世界で生きていけるように出来るなら、何だってするから」

ライネケ「うっそ・・・烏有さん医者みたい!」

烏有「いやボク医者ァーーーっ」

ライネケ「医者と言えば・・・イザングランさんから聞きましたよ、毎週カウンセリングしてるんですって?」

烏有「うん、1人ね。小学校に入ったばかりだからいろいろと」

ライネケは烏有の耳元で囁く。

ライネケ「で?その子が次の院長殿ってわけですか?」

烏有「エ。これってオフレコ?」

ライネケ「元々盗聴なんてしてませんよ、俺」

烏有「いや、この部屋の話ね」

ライネケ「烏有さんが知らないのに俺が知るわけないじゃないすか」

烏有「だよなぁ、よし!他行こう!」
589 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:32:37.23 ID:L/9SqtYq0

**********

南極「それで何でここに来るんだ!」

ここはメンタルヘルスケアスクールのすぐ近く、

公安警察特殊部隊のビル内の専用ジムである。

烏有「あ、南極さん達はそのままトレーニング続けといて下さい」

南極「しかも何でジムなんだ!他の部屋に行けばいいのに!」

この若い隊員もまた、烏有Qの喧嘩相手の一人である。

※烏有の名はQueiだが、標準コードにない字であるため、彼は常にQという略称を用いる。

南極は苛立ちながら、スポーツドリンクを買いに行った。

ライネケ「何でこんなとこに?ここは公安なんですから、盗聴されてないとも限らないでしょ」

烏有「こんなむさ苦しい空間の音声なんて、理事長のババアは興味ないだろ」

烏有「あの子は綺麗な顔をしてるから、絶対あのババアに狙われる!」

ライネケ「何だ、子どもの安全のためだったんですね」

ライネケ(俺が目をつけられたのは、14だったなぁ・・・)

ライネケ「で?ぶっちゃけその子はどうなんです?」

烏有「断言はできないが、たぶん院長になるだろうな。現在の候補第一だ」

ライネケ「何人も候補がいるんで?」

烏有「今はもう1人だけ。でももっと増えるさ」

烏有「俺の時は10人だった。最後に発見されたのが俺で、即決だったそうだ」

ライネケ「へぇ、じゃあまだ全然わかんないんですね」

烏有「だが、俺はあいつで決まると思う」

ライネケ「根拠は?」

烏有「期待してるのは俺だけじゃないから」

ライネケ「誰なんです」

烏有「いろいろさ。おいおい君にもわかる」
590 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:33:42.65 ID:L/9SqtYq0

烏有「むやみやたらに他の人間に話すなよ」

烏有「彼の名はゴドー。6歳。アスペルガー症候群だから俺が相談に乗ってる」

烏有「彼と俺との出会いは2年前、PTSDの診断をした時だった」

烏有「彼の母親は躁鬱病で、浴室で自殺を図った」

烏有「血を流している母親を見て、彼が救急に通報したんだ」

烏有「母親は助かったが、それを目撃した彼が心配だと言うんで父親が俺の所に連れて来た」

ライネケ「やっぱり医者じゃないですか烏有さん」

烏有「診断した結果、ゴドーにはPTSDの心配はないが、発達障害があることが判明した」

烏有「ゴドーの父親もまたちょっと妙な人でね、良く言えば天才肌の画家ではあるが・・・」

烏有「実質一人で子育てするのは難しいように思えたし、本人もそう感じているらしい」

ライネケ「良かった。ゴドーくんはトラウマを持たずに済んだんですね」

烏有「ああ、だが代わりに恐ろしい物を持ってる」

烏有「救急隊員が来るまでの間、あの子は何をしていたと思う?」

ライネケ「何って・・・」

ライネケ「・・・子どもだし、どうにもできないですよ。何をやるべきなのかがわからないし、ただ泣いて母親を呼ぶだけ・・・」

烏有「普通の子はそうだろう?あの子はね、出血の様子と母親の顔をよく見て勉強してたんだ」

ライネケ「何ですって?」

烏有「あの子はテレビを見て、血を流した人がいたら救急に電話するということを覚えて、実行したに過ぎない」

烏有「彼が救急隊員に言った言葉はこうだ」

烏有「『救急です!女性が一名、血を流して倒れています!意識はありません』」

烏有「『女性の名前はレオーネ・マクガフィン。現場は24区7番地2の5の一軒家、1階の浴槽です』」

ライネケ「何ですそれ?」

烏有「母親の死に対する危機感や混乱はなかったんだ」

ライネケ「それじゃ、サイコパスなんですかその子は?」

烏有「いいや、彼はそんなのじゃない」

烏有「彼は死を理解するには幼過ぎただけで、優しさはちゃんと持っている」

烏有「今の彼は母親が精神を病んで自身を傷つけたのだと理解してるし、またそれをするのではないかと心配している」
591 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:34:45.80 ID:L/9SqtYq0

烏有「彼の友達はテレビだけで、彼の夢は俳優なんだよ」

烏有「夢を追う中で、彼は自分の感覚が人と大きくズレていることに気づいた」

烏有「演技は人々の共感を得てこそのものだと彼は知っていたから、そのズレを修復しようと努力しているんだ」

烏有「だから母親がぐったりしているのを見て、混乱よりも興味の方が勝ってしまった」

ライネケ「信じられませんね・・・」

烏有「それでだ、彼は障害のために普通の小学校ではやっていけないと俺は判断した」

烏有「俺はゴドーの父親に、管理化された学校、地球立ユートピア小中高一貫校を勧めた」

ライネケ「それって普通の学校とどう違うんです?」

烏有「普通の小学校だと私服だし、児童も先生も床に座って遊んだり意見を交わしたりするだろ?」

ライネケ「すみませんね、俺は学校に行ったことないんで」

烏有「あ、忘れてたよ。嫌味とかそんなつもりは一切ないんだ」

烏有「ユートピア小は制服があって、皆決まった席に着いて教科書どおりの授業を受けるんだ」

烏有「一昔前の授業体制に近い、自由の少ない厳しい学校なんだ」

ライネケ「息が詰まりそう」

烏有「ゴドーのような子は、自由が少ない環境の方が学びやすいんだよ」

ライネケ「でも、地球立の学校と言えばみんな入試が難しいと聞きましたが」

烏有「ゴドーは頭良いからな。だけど、元々合格は決まっていたよ」

ライネケ「裏口ってことですか?」

烏有「彼はちゃんと表から入ったけど、裏口も用意はされてたってことさ」

烏有「実はユートピア校は、メンタルヘルスケアスクールの姉妹校とも言うべき存在なんだ」

ライネケ「・・・では、院長候補は皆そこに入学すると?」

烏有「それだけじゃない。メンタルヘルスケアスクールの患者を管理すべき人間は無条件に合格するんだ」

ライネケ「管理すべき人間・・・」

烏有「それとなく聞いてみな。総務課や人事課の職員の半分くらいユートピア出身だ」

烏有「もちろん、俺やイザングランのように他校出身者もたくさんいるけど」

ライネケ「大学名しか聞いたことなかったから、知らなかったなぁ」

烏有「今年入学して、ゴドーは早くも同級生の注目の的なんだ」

ライネケ「変人だから?」

烏有「そ。空気が読めないし友達を作らないし、自分の平穏が乱されるとひどく癇癪を起こす」

烏有「そう言うところに女の子は母性本能をくすぐられて、男の子は孤高の哲学者っぽいところに一目置いているらしい」
592 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:35:58.78 ID:L/9SqtYq0

烏有「世話係の女の子がたくさんいるし、男の子はゴドーの行動に大注目だ」

ライネケ「マジか、俺だったらいじめてますよ、そんな奴」

烏有「さっきも言ったように、ゴドーは小さな名俳優だからね。モテモテだよ」

烏有「おマセな上級生の女の子にデートに誘われたりしてる」

ライネケ「そんなにモテるんですか、腹立つなー」

烏有「でも困ったもんでね。上級生相手にゴドーはひどく手を焼くんだ」

烏有「上辺は大人っぽく見えても、彼は女の子をどうにかするテクニックなんか持ってないから」

烏有「年上の女の子に告白されると、ゴドーはいくつか台詞を用意する」

烏有「まずはこう、『君みたいな美人、僕には勿体無い。もっといい男がたくさんいるよ』」

烏有「それから、『僕なんかと付き合っても、君に迷惑がかかるだけさ』」

烏有「『僕はあまりにも子どもで、君とつり合いが取れる男じゃないんだ』」

烏有「こう言って、残念そうに笑う」

ライネケ「それ、意味わかって言ってるんですかね」

烏有「いや、たぶん女を黙らせるための台詞程度にしか思ってない」

烏有「ここで相手が引き下がればいいんだが、相手がしつこく迫った場合は次だ」

烏有「『君を困らせたくない。きっと君は僕に失望するに違いないんだ』」

烏有「『僕はだらしがないし、君を幸せになんて土台できないんだ』」

烏有「『お互い、この距離感が一番幸せでいられるんだよ』」

ライネケ「確かにどこかで聞いたような台詞ですねぇ」

ライネケ「しかも、普通の男なら恥ずかしくて言えないような台詞」

烏有「ゴドーの用意した台詞はここまで。それでも相手が引き下がらなかった場合」

烏有「彼は混乱状態に陥り、相手を憎悪し、反発する」

烏有「ゴドーは癇癪を起こして、泣きながら暴れまわる」

烏有「俺はゴドーが癇癪を起こしたり顰蹙を買ったりしないように、毎週指導してるわけだ」

ライネケ「でもわかりませんね、なぜその子が院長候補なんです?」

ライネケ「そんな障害持ちの人間に、精神病院の院長が務まるとは思えない」

ライネケ「もう一人候補がいるんでしょう?だったらそちらに決まるのでは?」

烏有「・・・そうだな、今からその子について話すつもりだったんだ」

烏有「所詮は6歳児だから、同級生はテレビドラマみたいな賢い台詞を言えるゴドーのおかしさに気づいてないんだな」

烏有「ただし一人だけ、自分勝手なゴドーを快く思わない児童がいるんだ」

烏有「公 世継(おおやけのよつぐ)という少年でね、真面目だけど気難しい子だ」

ライネケ「その子がもう一人の院長候補なんですね」

烏有「何か気付かないか?」

ライネケ「何がです?」
593 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:37:15.46 ID:L/9SqtYq0

烏有「彼は普通のオオヤケさんじゃないよ。"ノ"がある。苗字じゃなくて氏を名乗る家系だ」

ライネケ「もしや・・・あの、公 無是(おおやけのいなよし)と関係が?」

烏有「ああ、元・大地立青少年精神医療センターの院長にして、現・大宰相の公無是の孫だよ」

烏有「詮索好きの君だ、あの男の噂は知ってるだろう?あれは底なしの極悪人だよ」

烏有「あの男は教え子たちを利用して、大宰相の地位に上りつめた」

烏有「実質、地球立メンタルヘルスケアスクールはあの男が創ったようなものだ」

ライネケ(この世界の癌の核だな・・・)

烏有「あの男は上手く教え子たちを動かして、患者たちをさらに苦しめる地獄を作ろうとしたんだ」

ライネケ「で、あなたはその後任者なわけですか」

烏有「そうさ、だが俺は地獄になんかさせない」

ライネケ「そんな人がこの毒物をどうするおつもりで?」

ライネケは自分が運んできたアタッシュケースをちらりと見る。

烏有「毒も薬だ。俺は彼らを救うために使う」

烏有「そもそもこの薬は、あの男からもたらされたものだろう」

ライネケ「だったら、結局地獄行きなのでは?公氏の思惑通りの」

烏有「俺は過程に過ぎない」

烏有「俺はゴドーに賭けてるんだ」

ライネケ「どうせ、それもまた公氏の意向と同じでしょ」

烏有「ああ、そうだよ」

烏有「公さんは、ご自身の孫をすっかり見切ってゴドーに期待している」

ライネケ「え?」

烏有「世継君は候補者だが、誰も彼に期待してない」

烏有「あの人は孫をこんな風に言ってたさ」

烏有「『あいつは駄目だ、あまりにも臆病過ぎる。あいつは情報管理課なんかがお似合いだ』とね」

烏有「可哀想だろう?たったの6歳で、価値のない人間だと切り捨てられるなんてな」

ライネケ「意味がわかりません・・・じゃあ、院長候補というのは何の基準で選ばれるんです?!」

烏有「全ての患者を認識できることだ」

ライネケ「?」

烏有「これに尽きる。説明しても理解されないだろうから、これで勘弁してくれ」

ライネケ「わからないけど、わかりました」
594 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:38:25.19 ID:L/9SqtYq0

烏有「候補になった者は悲惨だ。候補になっただけで、自由に生きることは不可能になる」

ライネケ「なぜです?」

烏有「院長に選ばれた者は院長になるしかなくなるし、それ以外は予備としてキープされる」

烏有「俺以外の9人は、俺の予備として生きるためだけにあらゆる選択が制限されてるんだ」

烏有「俺も、ニートになるという人生設計がめちゃくちゃにされた」

ライネケ(それはむしろ良かったのでは)

烏有「これは許されないことだよ、本当に」

烏有「ライネケ、お前はアトランティス院長の話を知ってるか?」

ライネケ「ああ、なんか歴代最悪の院長とか呼ばれてる人ですよね」

烏有「実は彼は予備だったんだよ。候補第二位だ」

烏有「彼はおそらく世界記録を更新できるような泳者だったんだが、何故かプロになれなかった」

烏有「彼はただの水泳講師としてその才能を腐らせていた」

烏有「ある時、彼は精神医療センターで水泳講師の仕事をしないかと誘われた」

烏有「彼が医師免許を持っていないから水泳講師として雇われる形になっただけで、実際は院長の仕事を任されたんだ」

ライネケ「えっ、それって違法でしょ?」

烏有「当時は表向き、別の人間を院長だと公表していたらしい」

烏有「実質院長になった彼は、他の候補者たちの存在を知ることになった」

烏有「そして、前任のプレスター氏が不慮の事故で亡くなった代わりに自分が呼ばれたことと、

 自分はプレスター氏の予備になるためにプロの道を阻まれていたことが判明した」

烏有「怒り狂った彼は、患者を憎み、社会を恨んで、院長の仕事を一切放棄した」

ライネケ「そんな裏があったんですね」

烏有「そんな彼を病院組織はしばらく様子を見たけど・・・」

烏有「やがて彼は殺されたよ」

ライネケ「!!」
595 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:39:27.31 ID:L/9SqtYq0

烏有「彼は、大きな大会に出場したかっただけなのにな」

烏有「ついでに言うと、予備が院長になったのはアトランティス氏だけで、

 他の予備は理由を知ることなくつまらない人生を送ってることになるな」

ライネケ「何て酷い話だ」

烏有「そんな中、制限を物ともせずに夢を叶えたのが公無是さ」

烏有「自分の立場を高くするために、病院を改革した」

烏有「あの人は今や世界最高の権力を持つ支配者だ」

ライネケ「あなたもああなりたいんですか?」

烏有「さっきも言ったじゃないか。俺は働くのが嫌いでね、退職金で悠悠自適に暮らしたいんだ」

烏有「でも無理かもなw俺も殺されちゃったりして」

ライネケ「烏有さん、あんた、ゴドー君をどうするんです?」

ライネケ「あんたは院長にするために、ゴドー君をそう育てようって言うんですか?」

烏有「ズバリその通りだよ!」

ライネケ「それじゃ、あんたはゴドー君の敵なんですか」

烏有「ゴドーがどう思うかは別として、俺はそのつもりだ」

ライネケ「・・・あんたは、彼に悪いと思わないんですか?」

烏有「思ってるとも」

ライネケ「じゃあ、あんたも結局 公たちと同じ種類の人間なんだな!」

烏有「違う!」

烏有はライネケの頬を殴った。

ライネケは烏有に殴り返した。

烏有「あんな奴らとだけは一緒にするな・・・」

烏有「なんだその目は?お前が汚れ仕事ばかりやらされてるのは俺のせいじゃないぞ!」

ライネケ「ゴドー君に酷いことをする悪い人間だ」

ライネケ「子どもの気持ちを踏み躙る悪い人間だ」

烏有は言葉を詰まらせる。

烏有「・・・」

烏有「お前に言われると堪えるなぁ・・・」

烏有「俺はお前ほど苦労を知らないから、そこを突かれるときつい」

烏有「だったら聞きたいよ、俺はあんな奴らと同じなのか?」
596 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:40:48.86 ID:L/9SqtYq0

烏有「全ての生徒を愛していて、ゴドーの幸せを願っているのに、同じなのか?」

烏有「そりゃ、あの人なりの正義はあるだろうが、あの人が教え子たちを駒として使ってるのは事実だ!」

烏有「俺は絶対、あいつらを駒なんかに使わない!」

烏有「一個の人間として、外の世界で争うことなく平和に生きるのがあいつらの幸せなはずだ・・・」

烏有「あいつらには、俺の影のないところで、自分の意志で物事を決めてほしい」

烏有「誰かを崇拝して生きるなんて、あるべき姿じゃない」

ライネケ「ならゴドー君は?彼は好きに生きられるんですか?」

烏有「ッ」

烏有「・・・ゴドーは俳優になれない」

烏有「ゴドーが大スターに本来なれたとしても、もう現実ではなれない」

烏有「彼がチョイ役で出演できて、ネットで話題になったとしても、それ以上の仕事はよこしてもらえない」

烏有「彼の望む世界には、権力を持った元センターの患者や、組織の人間がたくさんいるからだ」

烏有「だが、ゴドーの素質は俳優だけじゃない」

烏有「俺の後任者としても、最善の人選だと思っている」

烏有「もしもゴドーが俺に憧れてくれたなら、お互いに少しは救いになるだろう」

烏有「お前、考えてみろ。俺に一体何ができるって言うんだ?」

烏有「俺が組織のデータを書き換えて、全ての構成員の記憶を操れるとでも思ってるのか?」

烏有「できることなら俺だってそうしてやりたいよ!でも無理なんだから仕方ないだろ」

烏有「俺が居ても居なくても、奴らはゴドーを院長にする」

烏有「俺に出会わなくてもあいつは見つかってただろうし、俺が隠蔽しても無駄だったさ」

烏有「あいつは目立つんだ。あいつの望む姿が目立つものである限り、幸せにはなれない」

烏有「だったらせめて、『精神科医でもいいじゃないか』って思わせてやりたい」

烏有「自分は不幸だと嘆くのでなくて、妥協の中で誇りを持って生きて欲しい」

ライネケ「・・・」

烏有「お前、馬鹿なことはよせ。弟さんを悲しませることになるぞ」

ライネケ「何の話です?」

烏有「いや、俺の思い過ごしならいいんだ。お前は変に思いつめるところがあるから」

ライネケ「あんたに心配される筋合いはありませんよ」
597 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/03/12(日) 00:43:07.97 ID:L/9SqtYq0

烏有「お前は特に悪い時代に生まれたよ」

烏有「公とその信者がいるかぎり、お前の望みは叶わない」

ライネケ「じゃあ、いつになったら叶うんです?」

烏有「お前の生きてる間に出番はない。俺と一緒に、ゴドーに期待しよう」

ライネケ「そんなに待ってられませんよ・・・」

ライネケ「それまでに、俺たちはもっと惨めになってる」

ライネケは腕時計を見て、ベンチを立つ。

ライネケ「今日のところはここまでで。婆さんに怒られちゃうんで」

ライネケ「・・・あなたがどういうつもりかはよくわかりました」

烏有「人生は大切にしなくちゃ駄目だ。捨て鉢になるなよ」

ライネケ「ご忠告ありがとうございます」

学歴も後ろ盾もないライネケの武器は、若さとその弁だけであった。
烏有Qは初めから彼を見くびっている。
彼が自分の敵にはなりえないことをよく理解していた。

烏有(哀れだな、まともな家庭に生まれていればもっと道が開けただろうに)

烏有(俺と彼の生まれが逆だったなら、世界はもっと良くなったかも知れない)

烏有(院長だって、俺じゃないほうが良かったのかもしれない)

烏有はWW−Tのアンプルの入ったケースを一瞥する。

烏有(俺の代わりに別の院長が立ってたら、こんな酷いことは拒絶していたかもしれない)

烏有(ゴドーも、ライネケが守り抜いてくれたのかもしれない・・・)

烏有はずっと考え事をしながら、管理ルームへは戻らずに自宅へ帰った。
  
  
その翌日、烏有は朝刊の小さな記事を見つけた。

その記事は、昨日のホームレス焼身事件に関するものであった。

ウラジーミルと呼ばれる身元不明のホームレスが、
搬送先の病院で死亡が確認されたのだと書かれていた。

烏有「二位が死んだ」

烏有「哀れだが、これじゃぁとても生徒は任せられなかったな」

烏有「公の管理の下に、安全な空間で生きていたのに心を病むとは」

烏有「人を傷つけることも知らないのに、無様に死にやがって」

烏有「・・・いや、何を言ってんだろう俺は?俺は無神経過ぎるだけじゃないか」

烏有「何様のつもりだ?俺は。院長様様か?ニート志望がそんなに偉いのか?」

烏有「公のジジイも、ル・ダウさんも、ゴドーも・・・図太すぎるだけさ」

烏有「やっぱり、俺の次はゴドーしかいないんだ」

烏有「今晩だ。今晩、WW−Tを投与しなくては」

烏有「俺がやらなきゃ駄目なんだ」
 
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 17:27:04.86 ID:abP63ETJO
おお、更新来てた
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/26(日) 03:27:46.72 ID:GieyYOp10
保守
600 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/04/02(日) 18:17:29.35 ID:0zXKsf8S0
ちょっと用事でパソコンが使えない環境に行くので、今月の20日頃まで本編の更新は無理そうです
(もっと早くに更新するつもりでしたが、間に合わず)
スマホからちょろっと小ネタを更新するかもしれません
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 20:43:24.82 ID:XeziqRA+0
保守
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 15:47:53.13 ID:rlPwSZGn0
保守
603 :祝☆遅筆一周年 ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/05/03(水) 21:42:39.56 ID:PgbEgMO/0

飛鳥「ドキッ!日本だらけのクイズ大会〜!」ドンドンパフパフ

飛鳥「本編が全然進まないのに1年が経ってしまったことを記念した企画です!」

飛鳥「司会は私、飛鳥日本です。本編主人公じゃないのにちょくちょく登場してますね」

飛鳥「解答者は私以降の歴代日本たち、出番ナシだと>>466で書かれていた南北朝姉弟もいますよ」

南朝「はじめまして、一生独身が決定された姉の南朝です」

室町「死闘の末に子孫繁栄権を獲得した室町です」

飛鳥「こんなしょうもない企画で顔を出すなんて、そんなに出番が欲しかったんですか」

南朝「そりゃあ欲しいですよ。大人の事情で私の時代は特に陰薄いですからね」

南朝「太平記関連の出番を期待していたのに、>>515でさらりとあらましを書かれて終わりという始末」

南朝「どこまで私を愚弄すれば気が済むんでしょうね」

飛鳥「まぁまぁ、こんなクソSSに期待しなくても。いつか現実で日の目を見ますよ」

飛鳥「まぁ、私は出番多いんですけどね。このSSでも現実でも」ニッコリ

室町「俺も現実では出番多いなぁ。一休さんとか、戦国時代噛んでるし大人気?」フフン

南朝(何でよ・・・何で私だけ・・・)

大日本「マニアには大人気ですよ、俺みたいにね」

大日本「ところで、本編を何ヶ月も放っておいて作者は何を考えているんだ?」

飛鳥「そんなこと私に聞かれても知らん」

大日本「まさかとは思うが、SSに全然関係ない唐や渤海の旗を調べるのに時間を費やしているのではあるまいな?」

大日本「風呂敷を広げるだけ広げておいて畳まないなんて許されないぞ」

大日本「戦争関係のネタが難しいからって、こんな企画で間を持たせようという魂胆か」

飛鳥「いいんだよ。こんなセリフも登場人物も多いSS、誰も読んでないんだから」

飛鳥「さて、それではクイズに入りましょう」
604 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/05/03(水) 21:43:56.92 ID:PgbEgMO/0

飛鳥「問題は一問だけです。日本人なら誰もが答えられるべき問題、いきますよ!」

飛鳥「【Q.日本史上、外国史書に初めて名が記述された日本の王は?】」デデン

飛鳥「制限時間は30秒、日本人なら楽勝でしょう」

チッチッチッチッチッチ(30秒)

飛鳥「そこまで!さてさて皆様の解答はいかに?」

飛鳥「・・・あらららら、皆さん解答がだいぶバラけてますねぇ」

飛鳥「これは恥ずかしい、不正解者は日本人失格と言われても反論できませんよ」

飛鳥「それでは、それぞれの答えを見てみましょう」

【A.神武天皇と解答した者】

飛鳥「『外国史書』というヒントまで出ていたのに、こういう解答が来るとは思わなかったなぁ」

江戸「えっあ、本当だわ!じゃあ私たち不正解なの?」

大日本「クソっ!ひっかけ問題だったか!」

飛鳥「いやいや、ひっかけとかそういうレベルの話でもありませんよ」

【A.聖徳太子と解答した者】

鎌倉「え?外国の歴史書に載ってないの?」

飛鳥「いろいろツッコミどころはありますが、そもそも聖徳太子は王じゃありませんよ」

鎌倉「そうなの!?日出処の天子〜とか隋の皇帝に書いてたのに?」
605 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/05/03(水) 21:44:41.97 ID:PgbEgMO/0

【A.懐良親王と解答した者】

飛鳥「うーん、惜しいっちゃ惜しいんですけどね」

飛鳥「時代が新しすぎますよね」

南朝「えっでも、日本国王の称号もらった最初の人じゃないの?!」

飛鳥「別に日本国王縛りじゃないんで」

【A.足利義満と解答した者】

室町「日本国王だぞ!」

飛鳥「あのね、懐良親王よりも遅い時点でね」

【A.豊臣秀吉と解答した者】

安土桃山「太閤さんめっちゃすごいやろ!」

飛鳥「だからね、日本国王は・・・」

安土桃山「太閤さんはそれ蹴ってんで!もっとすごいんや!」

飛鳥「もういいです」

【A.父様と解答した者】

奈良(やまとちゃん)「合ってる?」

飛鳥「うーん、残念だけどパパは王様じゃないよ!##」

大日本「おい、娘にはやたら甘いなコイツ」

【A.卑弥呼と解答した者】

日本「えー皆間違え過ぎでしょ。こんなの一般常識じゃないですか」

日本「邪馬台国ですよ!日本史のロマンですよ!」

飛鳥「お、自信満々だね」

日本「そりゃあ、こんなの小学生でも答えられますよ!」

日本「漢委奴國王とも迷いましたけど、こちらは名前じゃないですもんね」

飛鳥「君って浅知恵しかないくせに偉そうでつまらない人間だよなぁハハハハハ」

日本「え・・・えぇーーっ」
606 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/05/03(水) 21:45:31.51 ID:PgbEgMO/0

---------------

飛鳥「さぁーて、それでは正解発表です」

飛鳥「正解は【A.帥升(すいしょう)】です!」

飛鳥「後漢書東夷伝巻85に記述のある、倭国の有力な王ですね」

大日本「知らんな」

江戸「知らなかった」

飛鳥「『小学生でも答えられますよ!』と豪語していた日本国君、どんな気持ち?」

日本「うう・・・」

飛鳥「正解者はたったの一人、平安日本です!」

平安「こんなんで正解してもあんま嬉しないけどな」

奈良「すごーい!」

飛鳥「それでは特別企画はここまで。次回21話にご期待ください」ペコリ
 
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/18(木) 13:10:15.03 ID:foqWHk1A0
マッテルヨ|д゚)
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/18(木) 13:11:00.05 ID:foqWHk1A0
すまんsage忘れてた
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/27(土) 20:02:50.76 ID:lRiEE6LA0
保守
610 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2017/06/04(日) 02:45:17.60 ID:GQTnh0t40
決めなかったらいつまでも更新しなさそうなので、
6月20日までに次の話を投下したいと思います
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/04(日) 12:12:05.79 ID:HQCFMOUH0
6r6rjythるp9う9う0767f56うt6rじぇ5545465えrdh
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 19:03:33.95 ID:jGbjPnU10
待ってます
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/17(土) 00:10:01.61 ID:ujbSSzE20
保守
614 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/06/20(火) 15:42:26.03 ID:DDi8fULB0
ちょっと遅れます

今晩〜明日に投下します
615 : ◆pIxjj4GI1s [sage PB]:2017/06/20(火) 22:35:21.94 ID:DDi8fULB0
ちょっと一レス使います
616 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/06/23(金) 00:06:20.79 ID:Np92wVOG0
予告よりだいぶ遅れてしまいましたが、今から21話を投下します

おまたせしました
617 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/06/23(金) 00:07:32.57 ID:Np92wVOG0
 
第21話:求要ノ条ヶ一十二

大日本帝国少年が地球立メンタルヘルスケアスクールに編入して二年が経った。

少年は毎朝、氏神への祈りを欠かさない。

日本「かしこみかしこみもうす・・・」

伊勢「毎朝ご苦労ですね」

大日本帝国少年は霊的センスに恵まれており、自分の意思で伊勢大神に会うことができたのだ。

伊勢「こうして私を呼んでくれるのは、歴代でもあなただけですよ」

伊勢「ううっ」

伊勢「うほああああああああああ!!!!!!」ウワーン

伊勢は突然泣き出した。

日本「どうしました」

伊勢「嫌だ嫌だ嫌だ!江戸日本じゃなきゃヤダ!こんなガタイいいのヤダァァァ」ジタバタ

伊勢「私はね、美処女が大好きなのですよ!だからお前の母親が独身の時に会いたかった!」

日本「はぁ」

伊勢「こんな不動明(デビルマン)みたいな奴とは違うんですよーーーー!」シクシク

日本「そう言われましても・・・」

伊勢「うう・・・まぁいいでしょう。お前の娘に期待します」

(→男の子でした>>2

伊勢「お前は選ばれた人間です。お前は戦うべくして生まれた」

日本「はっ」

伊勢「お前は大和氏の荒魂の分身として働かねばならない」

伊勢「お前は三種の神器の継承者として、その加護を受けるでしょう」

伊勢「しかしお前は万能ではないのだということを覚えておきなさい」

伊勢「お前が使命を果たしたとき、荒ぶる心が失われたとき、加護はない」

伊勢「それでもお前が加護にすがった時、お前は裁きを受けるでしょう」

日本「はっ!承知しました・・・」

朝の祈りが終わると、日本少年の部屋のインターホンが鳴った。

ピンポーン
618 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/06/23(金) 00:08:37.24 ID:Np92wVOG0

日本「やぁ、イギリス君。こんな朝早くにどうしたのだい」

イギリス「あああああ・・・いや、悪い。俺にもよくわからないけど」

今朝のイギリス少年は、やたらそわそわし、落ち着きのない様子であった。

彼は髪をくしゃくしゃと手でかき回しながら説明する。

イギリス「これからドイツを殴りに行こうぜ!」

イギリス「なんかさ、突然オーストリアとセルビアが殴り合いを始めたんだよ!」

イギリス「その喧嘩にドイツやフランスが加わって、ついでに知らないおっさんまで口出ししてきたんだ!」

イギリス「なんか今朝から皆、ムカついてんだよ。俺も!」

イギリス「それでさ、ドイツがベルギーをレイプし始めた頃から俺もさ、殺る気になったわけ!」

イギリス「友達だろ?一緒に殴りに行こうぜ!」

日本「それはいいんだが、なぜ皆そんなに興奮してるんだ?発情期か何かか?」

イギリス「さぁな!今ならレイプし放題なのも確かだ!」

日本(何かがおかしい・・・普段のみんなはここまで狂気に満ちてはいない)

日本(まぁいい。これはチャンスだ)

日本たちが向かった先には、中年男性が一人オロオロしていた。

ロシア「はわわわわ・・・む、息子の編入手続きに来ただけなのに」

ロシア「き、君たち落ち着きなさい!親父狩りなんかしても楽しくないだろ!(泣」

日本「あれ?ロシアのおじさんじゃありませんか!」

ロシア「あ、あれ?!大日本帝国くんか?」

ロシア「いやぁ〜しばらく見ないうちに大きくなったね!」

日本「おじさんはなぜここに?」

日本「ボロボロじゃないですか」

ロシア「恥ずかしながらね、息子が手におえなくなって・・・」

ロシア「ここに編入させようと思ってね、こっそり来たんだよ」

ロシア「そしたら、ゴドーくんとかいう小さい子にここに案内されたんだ」

ロシア「どうやら騙されたようだ・・・参ったよ」

日本「そうだったんですか、お気の毒に」

ロシア「息子はソビエトというんだ。気難しい子だが、仲良くしてやってね」

日本「わかりました。それでは先を急ぎますので」

ロシア(たくましくなったなぁ。お父さん似かな?)

日本とイギリスはロシアに軽く会釈して去った。
619 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/06/23(金) 00:10:57.69 ID:Np92wVOG0

ドイツのいる場所にたどり着くと、

ドイツは依然としてベルギーをレイプしており、フランスは謎の高笑いをしていた。

ドイツ「オラァ!次はお前の番だぞ、フランス!」パンパン

ベルギー「あっあっ」クチュクチュ

フランス「ホホホホホホ!そんなのが脅しになると思ってるの!?」

フランス「バゲットで毎日致してるあたしにとっちゃ、あんたのソーセージなんてへでもないわ!」

ドイツ「まじかよ、ビッチ!」パンパン

イギリス「フランス!あっくそ、まだレイプされてなかったか・・・」

フランス「ふざけんじゃないわよローストビーフ!」

イギリス「お前をぶっ殺しに来たぞ、ドイツ!」

ドイツ「蹴散らしてくれるわ」パンパン

イギリス「人質のほうはお前に任せる!」

日本「承知した」

イギリスたちを後にして、日本はドイツの人質救出へと向かう。

ドイツは化学準備室に小学生二名を閉じ込めていた。

中華民国と満洲である。

<化学準備室>

中華民国「くっそー!卑劣な年上共め、こんなとこに閉じ込めやがって」

中華民国「もっと修行して、いつか方術でボコボコにしてやるんだ!」

満洲「・・・」

中華民国「おい満洲、ぼくの肩もめよ」

満洲「はい」

満洲は中華民国の子分であり、彼のいいなりである。

満洲(オレは何か重要な使命があったはずなんだけどなぁ)モミモミ
620 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/06/23(金) 00:12:53.92 ID:Np92wVOG0

実は満洲少年、あの清の息子であり、彼は打倒中華民国のためにこの学校に送られてきたのだ。

清の家は中華民国の家に乗っ取られて財産のほとんどを没収されてしまい、ひどく落ちぶれていた。

  清「よいか、必ずあの小僧めを殺すのだ」

  清「そして、あの屋敷を取り返すのだ」

  清「父の屈辱を晴らしてくれ、息子よ」

このような願いを託されて編入した満洲少年であったが、

彼は重度の健忘症であった。

満洲(何だったっけなぁ)モミモミ

中華民国「もっと強く揉めないのか!?」イライラ

ドォォォォォォォン!バリバリバリ・・・

そのとき、誰かが扉を蹴破った。

日本である。

日本「君たち!この大日本帝国が救出に来たぞ!」

中華民国「救出だと?嘘だね!お前らの言うことなんか信じるもんか」

日本「黙るんだな。俺はなるべく穏便に済ませたいんだ」

日本「君たちのやるべきことはただ一つ、俺と一緒にこの部屋を出ることだ」

中華民国「断る!」

日本「ならいいよ。君たちがドイツ君の実験体になるだけだ」

中華民国「な、なんだって?」

日本「どうしてドイツ君がわざわざこの部屋を選んだかわからないのか?都合がいいからさ」

日本「ドイツ君は毒ガスの研究をしているからね。君たちはさしずめモルモット代わりだ」

中華民国「う・・・う・・・」

日本「ドイツ君はサディストだから、幼い子供だからって容赦しないよ」

日本「何本も注射を打って、頭がくるくるぱーになったら放置だろうね」

日本「だが俺は子どもには優しいぞ。紙芝居だって読んでやるし、電車の玩具もあげる」
621 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/06/23(金) 00:14:24.78 ID:Np92wVOG0

日本「そう悪い話じゃないと思うんだがなー」

中華民国「でも、でも・・・」

満洲「本当?」

日本「ああ、本当だとも。誠実でまっすぐな目をしているだろ?」ニコリ

中華民国「どうだか」

満洲「オレついてく」

日本「よーし、良い子たちだ。さ、ドイツ君たちに見つかる前にここを去ろう」

日本少年は、小学生2人を保健室に避難させた。

日本「よし、何とか遭遇せずに済んだな。ここにしばらく居よう」

中華民国「本当に大丈夫なんだろうな」

満洲「おもちゃ!おもちゃ!」

日本「まぁ落ち着け。君たち疲れただろう」

日本「ベッドは空いてるし、寝転がったらどうだ?」

中華民国「そうだな」

中華民国と満洲はそれぞれベッドに横たわった。

日本「すぐに寝つけるように子守唄でも歌ってやるか」

中華民国「ガキ扱いするなよ!でもお願い」

日本「まず目を瞑って・・・全身の力を抜いて」

小学生二人は中学生の言うとおりにした。

日本「君はだんだん眠くなる。眠くてたまらない」

日本「君は腕を上げようとしても動かない。足も、何もかも動かない」

中華民国(ん?これ、子守唄か?)

日本「君は俺の許可がなければ体を動かせない」

日本「君は大日本帝国の言うことに従う。決して逆らうことはない」

中華民国「ちょっと待てぃ!」ガバッ

中華民国「お前これ・・・子守唄じゃなくて催眠術だろ!」

日本「チッ、術にかからなかったか」

日本「ああそうさ、保健室を選んだのは都合が良かったからだ」

日本「今からお前に、俺の都合の良いこと計21か条の要求を植えつけるつもりだったのだ!」ババーン

中華民国「なんだってー!このゲス野郎!」
622 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/06/23(金) 00:15:22.42 ID:Np92wVOG0

中華民国「おい、逃げるぞ満洲って・・・ああっ」

満洲は目を瞑ったままである。

中華民国「嘘だろ、催眠術にかかってやがる」

日本「よっしゃ」グッ

中華民国「ぼ、ぼくは逃げるぞ!悪く思うなよ満洲!」

中華民国は保健室から駆け逃げた。

日本「あーあ、中華民国に逃げられた」

日本「まぁいい、満洲さえ好きに出来ればこちらのものだ」

日本はそのまま満洲に催眠をかけ続けた。

日本(よし、このまま千里眼の実験をやろうか)

催眠状態の相手を利用して、千里眼の如く遠くのものが見えるのだと暗示する実験である。

この実験の効果は今のところ明らかにはされていない。

日本「満洲、君には何でも見える。神のように何でも見える」

日本「満洲、今イギリスとドイツは何をやっている?教えろ」

催眠状態の満洲はゆっくりと口を開く。

満洲「イギリスとドイツ・・・サッカーしてる」

日本「なんでやねん」

満洲「『メリークリスマス!』とかなんとか言ってる・・・」

日本(あいつらの考えてること、わからないな)

日本「じゃあ、アメリカは何をやっている?」

満洲「筋トレしてる・・・鏡見ながら、ニヤニヤしてる」

日本「ナルシストめ」
623 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/06/23(金) 00:17:06.28 ID:Np92wVOG0

日本「もういい、校内に異常は見当たらないか」

満洲「知らない男の子が給湯室にいる・・・」

日本「知らない男の子だと?編入生か?」(さっき言ってたソビエトか?)

満洲「うずくまって、震えてる・・・泣いてるみたい」

日本「なんだって、精神支配するのに絶好のチャンスじゃないか!」

日本「たぶん周囲のあまりのキチガイぶりに怖くなったんだな・・・しめしめ」

日本「俺はいい奴なんだと思い込ませて、利用してやるぞ!」

日本は満洲を保健室に残したまま、一人給湯室へ向かった。

日本(そういえば、ここの給湯室使ったことないんだよな)

日本(どんな奴だろう?俺の役に立ってくれる人間だといいが・・・)

日本「おーい、そこにいるのは誰だー?」

日本が給湯室を覗き込むと、確かに見たことのない少年が隅で三角座りしていた。

渤海「やまとちゃん・・・どこにいるの・・・?」

日本「やぁ、編入生だね?名は何と言うんだ?」

渤海「ここを動けない・・・動けないんだ・・・」

日本「外は狂気に満ちてるけど、俺が来たから安心したまえ」

日本「こんなことは普段でもあまりないんだけどね、編入早々災難だったね」

渤海「助けてよ・・・誰か、助けて・・・」

日本「おい、怖いのはわかるが、俺の話聞いてるか?」

渤海「やまとちゃん・・・今どこにいるの・・・」

日本「!・・・いい加減にしないと怒るぞ?」

渤海「僕は何もできない・・・何も・・・」

日本「うるさい!俺が話しかけてやってるのがわからないのか!」グイッ

日本は少年の胸倉を掴んで、勢い良くひっぱり上げた。

渤海「!」

渤海「・・・え・・・?だ、誰・・・」

日本「ようやく俺の目を見たか。お前の名は?」

渤海「う、うわぁ!え?え?わあああああああああああああ!!!!!!」ジタバタ
624 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/06/23(金) 00:18:34.28 ID:Np92wVOG0

渤海「は、離せ!離せよ!」

日本「ああ、失敬した。だが、お前が俺を無視するから・・・」

渤海「き、君 見かけない顔だな!編入生か?なんてあいさつだ!」

日本「俺が編入生だと?寝ぼけてるのか?」

渤海「あー、ごめん。そういう病気の人か。たまにいるんだよね」

日本「編入生はお前のほうだろ?俺はもう二年ここにいるんだ」

渤海「はいはい。あのね、この学校に来たらまず委員長にあいさつしなきゃいけないよ」

渤海「今から唐のとこに連れてってやるよ。あ、違ったか、奴はもう退院した・・・」

渤海「・・・あれ?給湯室ってこんなんだっけ?」

日本「知らん。俺は今日初めて来たからな」

渤海「だろうね。君、名前は?」

日本「俺は大日本帝国だ。長いから日本でいいよ」

渤海「えー?そんな、それじゃ可愛い可愛いやまとちゃんとかぶっちゃうじゃないか」

渤海「まあいいか、日本君だね。よろしく」

日本「お前は誰なんだ?」

渤海「僕かい?渤海(ぼっかい)さ」

日本「くだらん駄洒落はよせ」

渤海「駄洒落じゃないよ!?」

日本「まぁいい勃起君。君、皆への挨拶は 今日よしたほうがいいぞ」

渤海「渤海だよ!エレクトさせないで!」

渤海「そうだ、今の東病棟委員長は後唐だった。案内するよ」

日本「おい待て、不用意に動くんじゃない」

渤海が廊下に出ると、ロシアがオーストリアにカツアゲされていた。

足元には血反吐を吐いて倒れているポーランドとルーマニアがいた。

オーストリア「おらぁ!金出せよおっさん!」ボコボコ

ロシア「やめてぇ!おじさんはただの迷い人なんだよ!」シクシク

ロシア「暴力反対!」

渤海「・・・」

渤海「ごめん、ちょっと給湯室に引き返そうか」

日本「だから言ったのに」
625 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/06/23(金) 00:19:15.77 ID:Np92wVOG0

給湯室に戻った渤海少年であったが、ひどく混乱していた。

渤海(!?!?!?知らない人がたくさんいたぞ)

渤海(それに、こころなしか校舎も変わってるような・・・)

日本「・・・」

日本「おい、お前」

日本「今まで気づかなかったが・・・」

日本「お前、幽霊だろ」

渤海「!?」
 
 
-------[人物紹介]--------
 
 イギリス
 :本編イギリスの父。虚言症と診断されて当センターに送り込まれた。
  冒険家に憧れる夢見る少年であり、しばしば周囲に自身の冒険話を語る(もちろん嘘)。
  子分にカナダやオーストラリア、ニュージーランドがいる。友人はアメリカ。
  大日本帝国と一瞬友達だったこともある。目標はチャレンジャー教授。

 フランス
 :本編フランスの母(ママン>>16)。セックス依存症と診断されたビッチ。
  お洒落で優れた審美眼の持つ女の子で、キチガイ学園での発言力も大きい。
  熱心なカトリック教徒であるがヤリマンであるため、未だ(本編時)に結婚はしてない。
  つまり、本編フランスはサバノビッチである。本編時にはジャーナリストになってる模様。

 中華民国
 :本編台湾の父。(『第16話:小ネタ集その1』>>417参照)
  全般性不安障害と診断された。キチガイ学園の中では幼く、まだ小学四年生である。
  彼の家は清の家を乗っ取ったのだが、彼の家もまた中華人民共和国の家に乗っ取られることになる。
  後に日本のお手伝いであった台湾(母)と結婚し、娘をもうける。
  本編時においては、優秀な風水師として活躍しているらしく、キチガイ学園の結界も担当している。

 満洲(満洲国)
 :満洲ちゃん(>>85)の父。清朝の息子。
  中華民国を倒すために、父によってキチガイ学園に送られてきた。
  しかし重度の健忘症であり、その使命を早々に忘れている。
  北朝鮮同様に、渤海に憑依されやすい体質である。
 
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/05(水) 22:55:19.59 ID:HvLyp0n50
キタ――(゚∀゚)――!!
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 16:32:39.23 ID:F/xmgwsc0
待ってるからね
628 : ◆pIxjj4GI1s [saga sage]:2017/07/10(月) 00:19:37.61 ID:qTBeuvz20
>>627
頑張ります
最近キャラのキチ具合がゆるいので、頑張って締めていこうと思います
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 19:17:47.36 ID:nwdSh87d0
保守
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/31(月) 22:28:07.61 ID:Otgv3Amy0
保守
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/11(金) 22:44:29.61 ID:sHrHHKgj0
保守
632 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/08/18(金) 11:58:41.37 ID:vO7Khdjw0
8/25日に更新します
(サボりすぎてすみません)
633 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/08/18(金) 12:00:13.30 ID:vO7Khdjw0
ちょっと待てよ・・・
最後に更新したの6/23だったのか
まずいな、サボりすぎこの上なし
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/25(金) 11:52:19.54 ID:aJACKPbL0
今日か…
635 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/08/25(金) 18:02:13.85 ID:u6e5o23B0
ごめん、お葬式とかで疲れて書けなかったから明日になります
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/27(日) 00:54:34.53 ID:kt3GG5Et0
そういうことなら無理するなよ出来る時でいいから
637 : ◆pIxjj4GI1s [saga sage]:2017/08/27(日) 01:06:01.12 ID:3xe8wkyu0
>636
お待たせしました

今回は全然WW2ネタ入ってません...
638 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/08/27(日) 01:07:24.09 ID:3xe8wkyu0

第22話:国盛の東海

渤海「ふ、ふざけるな!僕が幽霊なわけ・・・」

日本(ヒュッ!

渤海が言い終わらないうちに、日本は思い切り拳を渤海の腹に決めた。

渤海「わあ!痛い!・・・くない?」

日本の腕は完全に渤海の体を貫通していた。

日本「これで、もう疑いはないだろ?」

渤海「嘘だ・・・」

渤海「ぼ、ぼくはどうして・・・」

渤海少年は記憶を辿った。

渤海(僕はこれまで、何をしていた?)

渤海(僕は死んでいて、今はもう何年も経ってるだって?)

渤海(僕はコイツに会うまで、ずっと泣いていた気がする)

渤海(何でだっけ・・・思い出せ、思い出すんだ)

渤海(確か・・・動けなかったんだ。あと、痛かったような・・・)

渤海「あ」
 
639 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/08/27(日) 01:08:16.07 ID:3xe8wkyu0

渤海(僕は、あいつと――――)
  
  
渤海『僕は確か、コーヒーを淹れようと思って給湯室に行ったんだ』

渤海『そしたら、そこに契丹もいて嫌な気分になった』

>>渤海「おい、場所空けろ。狭いんだよ」

>>契丹「ああん?俺も狭いの嫌だから、俺が出ていくまで待ってろよ」

>>渤海「早くしろよ、眠くて目が限界なんだ」

>>契丹「じゃあ寝ろ。一生目覚めなくていいぞ」

>>渤海「明日提出期限なのに、唐が退院したからノート見せてもらえないんだよ」

>>契丹「ハッ、無様だな。俺はもうとっくに終わらせたぜ」

>>契丹「まぁ、お前には死んでも見せてやらねーけどな」

>>渤海「・・・」

>>契丹「あーそうそう。言い忘れてたけどさ」

>>契丹「俺の分でコーヒー切れちゃったよ。水でも飲んでれば?」ニヤニヤ

>>渤海「!!・・・お前」

渤海『そうだ・・・深夜で疲れていたせいか、僕はあんなことでキレてしまったんだ』

>>渤海「僕はなぁ・・・お前のそういうとこが大ッ嫌いなんだよ!!」

渤海『僕はそこらにある物を契丹にぶつけた』

>>契丹「痛っ・・・いてぇな!そんなに欲しけりゃくれてやるよ!」

バシャッ

>>渤海「熱い!」
 
640 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/08/27(日) 01:09:14.12 ID:3xe8wkyu0

渤海『あいつは僕にコーヒーをかけてきた・・・それで僕は激昂して』

>>渤海「くそが!」

渤海『僕はフォークを手に取って』

渤海『契丹の左眼を刺した。そうだ、刺したんだ』

>>契丹「あああああああああ!!!うあああ!!あああああああ」

渤海『あいつは苦しみ悶えていた。僕は焦ったけど表情に出さないようにしてた』

>>契丹「やってやる・・・やってやるよォ!」

渤海『契丹はナイフを取り出して、そのまま僕のほうに・・・』
  
  
      【激痛】
 
 
渤海「ああああああああああああああ!!!!!!」

日本「どうした」

渤海は自分の喉に手を当てる。

渤海「僕は・・・喉を刺された」

日本「そうか」

渤海「どうしよう・・・どうしよう・・・」

渤海「すっごく、くだらないことで死んでしまった!」

渤海「コーヒーのことで喧嘩して死んだ!」

日本「ブハハハハハッ(笑)」

渤海「笑うな!笑うんじゃねぇ、やまとちゃんはどこ!?」
 
641 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/08/27(日) 01:09:47.51 ID:3xe8wkyu0

渤海「うえぇぇん、やまとちゃんのいない世界で一人ぼっちなんて嫌だぁ」

日本「・・・」

日本「・・・おい、お前の言う『やまとちゃん』とやらは日本のことか?」

日本「そして、さっき言ってたトウというのは唐氏のことか?」

渤海「へ?そうだけど・・・」

日本「それなら、君は俺の六代前の人間だな」

日本「俺はその『やまとちゃん』の子孫だ」

渤海「・・・なんだって」

渤海「それは本当かい?」

日本「ああ、俺の一族は代々何らかの形でこの学校の世話になっていてな」

日本「ここに来るとき、先祖の話もある程度詳しく教わったよ」

渤海「で、でも」

渤海「君って全然やまとちゃんに似てないんだけど!?」

日本「当たり前だろ、六代も前だぞ」

渤海「うう、僕のやまとちゃんはこんなんじゃないのに」

渤海「こんなバビル2世みたいな眉毛の濃い学ラン男じゃない!」

日本「伊勢様と同じようなことを言うな」
 
642 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/08/27(日) 01:10:27.13 ID:3xe8wkyu0

日本「まぁいい。渤海、俺と来ないか?」

渤海「なんで?君ってやまとちゃんの面影の欠片もないのに」

日本「俺はこの世界で一番お前の事情をわかってる人間だぞ」

日本「知り合いが誰もいないと心細いだろ?」

渤海「そ、それはそうだけど・・・」

渤海(そういえば、僕はこれからどうしたらいいんだ)

渤海(死んだらあの世に行くもんだと思ってたけど、そうじゃなかったし)

渤海(癪だけど、こいつといたほうがマシかもな)

日本「よし、それじゃ決まりだ」

日本「隣にいるマシンガン持ったおっさんとはここでお別れだがな!」

渤海「え?い、いないけどそんなの」

日本「あん?・・・」

日本「すまない、また見えてはいけないものが見えたようだ」

渤海(えーーっ なんか不安・・・)
  
  
-------------[保健室]----------------

日本「ここにある満洲肉を見て欲しい」

渤海「肉って!子どもじゃないか」
 
643 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/08/27(日) 01:11:17.48 ID:3xe8wkyu0

日本「この満洲肉は先ほど催眠術で眠らせておいたのだよ」

満洲(グー

日本「この満洲肉は優れものでな!料理は上手いし、力が強いので乗り物にもなるんだ」

日本「そして、大変な霊媒体質だ。お前がこれに取りついて動くことも可能なはずだ」

渤海「はぁ・・・」

日本「やれ」

渤海「エッ」

渤海「あ、あのー・・・どうやって?」

日本「どこでもいいから穴から入れ」

渤海「無理!」

日本「大丈夫だ、俺は幽体離脱して何度か試したことある」グイグイ

渤海「やめてー!鼻の穴とかやめてー!せめて口からでお願いします」

グイグイグイ・・・ ギャー! シュポン!

満洲(渤海)「は、入っちゃった・・・うう・・・よりによって鼻の穴から」

満洲(渤海)「あー、でもすごいフィット感?違和感が全然ないよ」

日本「そうか、よかった。じゃあ一端出てもらえるか」

日本「あんまり長時間入りすぎると、満洲肉が徐々に腐敗するから注意な」

渤海(コイツ・・・!)
 
644 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/08/27(日) 01:12:19.47 ID:3xe8wkyu0

渤海は満洲の口から出た。

渤海(これはこれで気分悪ぅ・・・)

日本「よしよし、これで催眠術以外の満洲肉の用途も見つかったぞ」

渤海(今の子ってこんなにぶっ壊れてるのか?)

日本「よし、じゃあ満洲肉を部屋に運ぶか」

日本「今、連中は狂気の中にいるから要注意だ」

日本「あ、よく考えたらお前が憑依して歩いてくれたほうが楽だな」

渤海「え」

グイグイグイ 渤海「あああ、またかよーーーー」

シュポン!
 
 
--------------[日本の部屋]--------------

渤海「あー、部屋の感じはあんまり変わらないのかな」

渤海「僕の部屋は君の斜め向かいあたりにあったんだ」

日本「へぇ」

渤海「・・・あのさ、ちょっと聞きたいことあるんだけど」

日本「何だ」

渤海「さっき『唐氏』って言ってたじゃん?」

渤海「やまとちゃんとか唐がどうなったのか、教えてくれないかな」

日本「そうだな、やまとという人は蝦夷という男性と結婚したよ」

渤海「うぉぉぉぉ、そうか・・・ショックだ・・・」

日本「なんせ六代も前だから、どういう人だったのかはあまり聞いてないんだ」

渤海「すっごく可愛くて可憐な女の子だったんだぞ!///」

日本「だが、唐氏についてはよく知っているぞ」

渤海「へ?なんで」

日本「彼は著名な人物だからだ」

日本「彼は偉大な文化人でね、小学生でも学校で習うような人だ」

日本「彼の名前を知らない人は大馬鹿者扱いされるよ」

渤海「そ、そんなに?」
 
645 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/08/27(日) 01:13:42.76 ID:3xe8wkyu0

渤海「そりゃ、あいつはすごい奴だと思ってたけど・・・そんなにすごかったのか」

渤海「・・・」

日本「落ち込んでいるのか」

日本「気にすることない、彼は別格だったのさ」

日本少年は百科事典を棚から取ってきた。

日本「見ろ、彼の写真だ」

日本「彼は素晴らしい才能を持っていたし、支援者にも恵まれていた」

日本「彼の隣に写ってるのは大手メーカー・QITAIグループ創設者の契丹氏だ」

渤海「!!!!!?????」ガガーン

日本「彼らはこの学校で友人になったらしいな」

『握手をする唐氏と契丹氏』

渤海「うっ嘘だ・・・嘘だーーーーーーーーーーーーー!!!!」

渤海「契丹だって?よりによって・・・僕を殺した奴と!?」

渤海「しかも、大手メーカー?そんな・・・そんな・・・」

渤海「こんなことって・・・こんなこと、あってたまるかあ!」

渤海「うう・・・僕は死んじゃったのに、皆は有名になってるんだ」

渤海「僕のことなんて、誰も覚えてくれちゃいないのに・・・」

日本「ふむ」

日本「確かに君のことを覚えてる人はいないだろうが、俺たちは今知り合ったじゃないか」

日本「君が俺に危害を加えることはなさそうだし、友人になるのは君にとっても悪い話じゃないだろ」

日本「俺とこの学校でトップを目指して、退院しないか?」

渤海「・・・」

>>渤海「僕とやまとちゃんは一緒に退院するんだもんねー?」

>>奈良日本「そやでぇ、大親友やさかいな!」ニコニコ

渤海(そうか、一緒に退院できなかったのか・・・)

渤海(それなら・・・)

渤海「・・・わかった」

渤海「僕、君を手伝うよ。君と一緒に退院する」

日本「よかった」ニコ

こうして、渤海少年は満洲少年に憑依することで、
日本少年の野望を手伝うこととなった。
 
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/29(火) 00:23:18.06 ID:zd2K/WAU0
渤海(;_;)
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 04:54:19.66 ID:FKvtSn3E0
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 21:41:49.74 ID:/oYmRslW0
保守
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 18:12:22.31 ID:Z2flxPsPO
保守
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/28(木) 23:22:44.29 ID:E3W6mEjZ0
ほしゅ
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 08:38:34.02 ID:xDP1zvuyO
保守
652 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2017/10/24(火) 08:27:30.84 ID:Q8kzPqHMO
かなり待たせてしまっているので、一週間以内に書こうと思います
第二次大戦を調べようと初めはしているのに、ついつい関係ないことを調べてしまう
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/02(木) 23:45:17.09 ID:DLEbXp1H0
ゆっくりでいいんで絶対書いてください・・・
654 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/11/03(金) 22:08:43.33 ID:+Nd3lhrW0
>>653
すみません!
他のことで思ったより時間がかかったのと、まだ続きを更新できないので、
あと数分後に現代編の短編を投下します
(書き込みから1週間経っていたことを忘れていた)
いつも読んでくださってありがとうございます
655 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2017/11/03(金) 22:33:32.54 ID:+Nd3lhrW0
申し訳ございませんが、別件で時間をかけてしまって、
大日本帝国編を更新することができなかったので、
練習用に書いてた、公開する予定のなかった現代編のSSを代わりに(臨時で)投下します
656 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/11/03(金) 22:35:30.41 ID:+Nd3lhrW0
現代編特別:千里眼

日本「フムフム…本当にこんなことできるのかなぁ」

韓国「あら、日本。なーにしてるの?」

日本「やぁ、パンちゃん。今日は化粧が乗ってて綺麗だね」

韓国「うふっありがとう。パパ(本当の父親ではない、大日本帝国)にねだって新しい化粧品買ってもらったの!」

日本「それがね、僕も今日父上から荷物が届いたんだけど、どうやら父上は荷物を間違えたらしいんだ」

日本「明らかに処分しようと整理してたっぽい、黒歴史ノートが入ってたんだ!」

韓国「ええ、見たい見たい!」

日本「まぁ待てよ、せっかく来たんだから、試してみたいことがあるんだ」

日本「さぁ、ビッチのパンちゃん。君の大好きなお金だよ、よく見て!」

韓国「ふざけてるの?ただの5円玉じゃない」

韓国「せめて500円玉でしょ」

日本「穴がないとさ、紐を結べないじゃないか」

657 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/11/03(金) 22:37:23.88 ID:+Nd3lhrW0
日本「いいからよく見て」

韓国「仕方ないわねぇ…」

日本「さぁ、これを見てると君はだんだん手足が動かせなくなる…」

韓国「アハッ、何それw」

日本「そしてだんだん眠くなってくる…」

韓国「ん…あらら?なんか…」

韓国「……zzz」

日本(うおおお!かかった!)

日本(単純そうだとは思ったが、こんなに早く催眠術にかかるとは!)

日本(さすが父上!厨二病共が群雄闊歩していた時代でも、特筆すべき重篤患者!)

日本(こーんな技術まで持ち合わせていただなんて、脱帽だよ)

日本(さて、この後はどうするかな)

日本(僕が中国君やロシア君だったなら、ここぞとばかりに彼女をレ*プするだろう)

日本(しかし、僕はえっちぃことを考えるのを許されない呪われたチェリー!そんなことは決してしない)

日本(さて…健全かつ邪悪な遊びに洒落込もうじゃないか)

日本(ええと、「催眠術にかかった者は千里眼の力を手に入れる」)

日本(「術者は被術者に命令し、遠くの様子を知るべし」)
658 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/11/03(金) 22:41:21.52 ID:+Nd3lhrW0

日本「さぁ、パンちゃん!君は神の如く何もかも見えてしまう!マスプロアンテナ並にな!」

韓国「見えすぎちゃって困るの」

日本「まずは、アメリカ君が今何してるか見てくれない?」
韓国「…アメリカ君は…」

韓国「アメリカ君は、イスラエル君と一緒に文化委員会・ユネスコを抜ける計画を立ててるわ」

日本「ユネスコを…?!まぁ、確かに最近は中国君たちの玩具になってるもんなぁ」

日本「僕も不満があるけど、スクールカーストが下のほうだから、金を払い続けるしかないんだよなぁ」

日本「それじゃあ、中国君は何してる?」

韓国「中国君は…ラジコンカーを作ってるわ。かなり高性能なやつっぽいわ」

日本「何ィ!そうか、今度の自作ラジコンコンテストのためだな」

日本「これまで僕は優勝候補に数えられてきたけど、最近の奴はかなり研究してるからな…うかうかしてられない!」

韓国「ゆ、優勝はあたしのもの…ムニャムニャ」

日本(EVを制さねば未来はない)
659 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/11/03(金) 22:43:10.15 ID:+Nd3lhrW0
日本「じゃあ、ロシア君は何してる?」

韓国「ロシア君は…壁に生徒名簿を貼って、ダーツしてるわ」

日本「こっわ!」

韓国「そんでもって、アメリカ君の名前のとこが穴だらけよ」

韓国「日本もそこはかとなく穴だらけかしら」

日本「ヒェェ!聞かなきゃよかった」

韓国「あと、一人のはずなのに、誰かと話してるみたいな独り言を延々と言ってるわ」

韓国「なんか、アメリカ君とかがその場にいるかのような会話をしてるわ。不気味なくらい笑顔で」

日本「病んでるの?彼は…ああ、そうか。ここはキチガイ学園だった!」

日本「それじゃ、他に何か特筆すべきことはあるかい?」

韓国「ええと、スペイン君が従妹のカタルーニャちゃんを監禁してるわ」

日本「ん?えっと…そういうプレイで?」

韓国「さぁ、そこまではわからないわ…でも」

韓国「あたしはそういうプレイ、嫌いじゃないわ」

日本「いや、君の嗜好は聞いてないぞ」

日本「君、本当は起きてるんじゃないだろうな…」
660 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/11/03(金) 22:44:45.70 ID:+Nd3lhrW0

日本「まぁいい、そろそろ術も解けそうだから、千里眼はもうおしまいにしよう」

日本「そうそう、パンちゃん、何か僕に隠してることない?」

韓国「ムニャムニャ…亜細亜病棟各所に置いてある性奴隷人形を、もっともっと増やそうと思ってるの」

日本「おいこらふざけんなよ」

日本「悪趣味だろうが!なんでブッサイクな人形に囲まれて暮らさなきゃならんのだ!」

韓国「アメリカ君たちにもプレゼントしてるの」

日本「外堀から固めようとするな!」

日本「ていうか、なんで性奴隷人形なのに、工口絵顔じゃないんだよ…誰得なんだよ…」

日本「あの人形、見るたび角度が変わってんだよ。こえーよ、絶対何か悪霊とかついてるよアレ」

日本「インド君なんか、あの人形の横の椅子を、完全に「どうぞのいす」だと勘違いしてるふげだし!」

日本「むむむ、パンちゃん!他に隠してることないのか?!」

韓国「ムニャムニャ…お兄ちゃんにこっそり9万円くらいお小遣いあげちゃった」

日本「何してくれてんだ、この売女ァ!」

日本「パン君(北朝鮮)にはチョコパイしか与えない約束だったじゃないか!アメリカ君にバレたら大変なことになるぞ君!」

日本「アメリカ君による折檻が待ち受けるだろう!」

日本「君ってとんだビッチだな!」
661 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2017/11/03(金) 22:46:52.10 ID:+Nd3lhrW0

韓国「何でかあげちゃったのよぅ…でも大丈夫」

韓国「お兄ちゃんが作ってるのは、あたしでもアメリカ君でもない、日本にぶつけるためのミサイルだもの」

日本「よかねーわ!」

韓国「安心して、ローテクノロジーに定評のあるお兄ちゃんよ」

韓国「中身はキムチだから大したことないわ。ギッチギチに詰まってるやつ」

日本「シャツのシミが取れなくなるから嫌だ」
ガッシャラアアアン

日本「何だ?!」

韓国「ハッ!何?!何の音?!」

日本「あ、あれは…」

日本「大丈夫、パン君がパラグライダーで無茶ぶりして事故っただけみたいだ」

韓国「なんだぁ」(ホッ 

<その頃>

大日本帝国「…」

大日本帝国「…荷物間違えた」orz

短編終
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 16:51:39.65 ID:HZwh5cG+0
乙です
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/11(土) 16:56:08.50 ID:HZwh5cG+0
連投すまん
北朝鮮に9万円しかあげてないって大分韓国さばを読んでるな
664 : ◆pIxjj4GI1s [saga sage]:2017/11/25(土) 09:31:26.78 ID:g1w3E5XhO
12月いっぱいまで体力を削がれてしまうので、
それまで更新できないかもしれません
頑張ってみますが、これまでの調子だと無理そう…
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 13:34:18.95 ID:UOuWj9ss0
大変なら無理はしなくていいと思うけどsageはつけない方がいいと思ふ
みんなに伝わりにくいし
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/29(水) 14:17:17.42 ID:mwyniz+Q0
おお来てたか
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 00:27:27.46 ID:XTxcHnGi0
保守
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 10:24:50.51 ID:DTQtGNWF0
保守
669 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2018/01/03(水) 15:16:54.33 ID:RVkgn+7O0
あけましておめでとうございます
待たせまくってすみません
1月10日に本編更新する予定です
670 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/01/10(水) 20:28:18.76 ID:VI8t74je0
余裕を見たつもりが、今日は書けなくなってしまった…
671 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/01/13(土) 13:29:14.72 ID:RpSH6EAO0
ひと段落済んだので、明日投下します
672 : ◆pIxjj4GI1s [saga sage]:2018/01/18(木) 21:17:52.09 ID:eXTKkaiX0
ひと段落済んだと思ったら済んでませんでした…
でも、一週間以内には更新する予定です
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 22:53:17.62 ID:mVVcywvv0
ok待ってる
ニュース見てるとこのssのネタは尽きないな
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/28(日) 22:52:33.71 ID:AvwbPcZo0
(/ω・\)チラッ
マダカナ
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 22:42:03.34 ID:qIPhTS5w0
676 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/02/03(土) 20:05:29.63 ID:zbhBnDKX0
次の火曜日に更新したいと思います
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/06(火) 01:13:15.84 ID:qEyHMFhC0
キタ――(゚∀゚)――!!
678 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/02/06(火) 12:24:23.58 ID:9OgJcm/OO
すみません、別件で時間がかかりすぎたので明後日にします
679 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/02/06(火) 12:26:32.90 ID:9OgJcm/OO
更新します詐欺を繰り返して申し訳ありません…
680 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/02/08(木) 08:45:27.95 ID:pZM/h/r8O
ああ…すみません
今は資料を集めて読んでいる段階です
(あまり暗い話を言いたくなかったのですが)ここ数ヶ月は落ち込むことが多くて、SS以外もいろいろ滞っているんです…
でも、どうしてもこのSSは完成させたいので、
数日以内の更新を目指したいと思います
度々書く書く詐欺を繰り返してすみません
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/09(金) 23:29:32.31 ID:QVyIUfAf0
え、心配
更新してくれるのはうれしいけど現実生活重視でね
あと体調とかにも気をつけてね
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 00:42:37.42 ID:t8j+iip10
ss以外も大事にしなあかんよ
683 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/02/17(土) 00:01:58.52 ID:XF8G3zfW0
ありがとうございます
ここ2、3日は人生最大の怒りや悲しみに苛まれる体験をしたこともあって更新遅れましたが、
明後日には投下できそうです
せっかくぶっ壊れたキャラばかり出してるのだから、もう少し楽しもうと思います
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 23:04:48.31 ID:yny8hoQS0
生存報告乙…っていったい何があったんだ( ゚Д゚)
まあ深くは聞かないけど帰ってきてくれて良かったわ
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 13:33:07.33 ID:foFgReNu0
楽しむことは大事やで乙
686 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/02/20(火) 12:20:58.82 ID:vN1J0CGpO
すみません、やっぱりまだしばらく無理そうです
ギャグ回の予定なんですが、気分が乗らず、2つしかネタができてない始末…
もしかしたら、シリアス回と順番入れ替えるかもしれません
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/22(木) 21:47:20.39 ID:JvVAuSwE0
無理せんでええよ書けなくなったら元も子もないし
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 01:41:28.92 ID:qKr6T7720
まあ報告してくれる限りこちらも待てるから気長にやってってな
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 17:57:59.52 ID:DuScbwmG0
でも早くしてくれると嬉しいよ!(`・ω・´)
690 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2018/03/08(木) 21:43:37.28 ID:EyYFUYmu0
お騒がせしました
友人たちの優しさのおかげで、だいぶ立ち直りました
試験が控えているので、来週の日曜日に投下したいと思います
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 22:46:25.78 ID:JLTlHcOs0
友人GJ
待っとるぞい
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/18(日) 01:38:04.78 ID:J7ah7qvU0
待機
693 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/03/18(日) 14:38:02.98 ID:3VgScYHK0
明日になるかも…
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/18(日) 17:44:25.19 ID:r0N0gsSPO
ok明日だな心配せずとも待っとる
695 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/03/20(火) 19:59:45.44 ID:/M10wiwo0
すみません、日にちの設定をミスりました
ここ数日体力を消耗することが多くて、話の筋は決まってるのに描き切れてませんでした
明日は祝日なので、さすがにそれまでには書けると思うんです…
ネタバレですが、中二病が言いそうなセリフって思ったより難しいんですね…
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 01:31:46.56 ID:gpegvHTl0
スタンバイok(`・ω・´)b
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 20:47:50.48 ID:6lTiJB3X0
中二病?誰だろう…バチカn(バキューン
698 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/03/22(木) 02:58:28.58 ID:Rfqsb2mc0
今日一日で予定の7割くらいはかけたんですが、
何かいまひとつ…
もう少し見直したいので、たぶんあと3日くらいかかります
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 17:48:56.64 ID:YL5Mkv+m0
乙乙待っとるぞい
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 21:04:34.44 ID:9WDvSbJB0
今日かな?
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 19:22:05.60 ID:pIh1o1Ta0
待っとるぞい
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/03(火) 04:02:54.35 ID:jqkE4hb50
更新しないのは良いけど生存報告はしてもらわないと俺たちも絶えれない…
703 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/04/12(木) 02:25:44.66 ID:z1hFof8T0
すみません、更新する予定が、予想以上に就活で忙しくて書けてません
しかも、5月の頭になるまで更新できない可能性が高くなってます
というのも、直接の活動だけでなく勉強もしなきゃいけないからです
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/13(金) 19:13:15.93 ID:0MW0LyNX0
就活か...頑張ってな今後の人生左右することだし
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/30(月) 21:48:01.52 ID:mewHP40V0
ほしゅ
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/02(水) 03:06:50.39 ID:3agfVrVu0
ho
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 03:07:30.32 ID:3agfVrVu0
すまん
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 23:31:31.25 ID:wokQalWh0
保守
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/20(日) 03:06:29.46 ID:opLrGzn50
保守
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/25(金) 19:19:50.48 ID:2lEMW8OZ0
ほしゅ
711 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/05/30(水) 22:25:06.56 ID:p5uunUBK0
一週間以内に更新したい
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 00:29:46.21 ID:tG9NgWAP0
するんやで(ゲス顔)
713 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/06/16(土) 23:54:26.91 ID:1eknfxFG0
書けると思ったらどんどん予定が増えて書けなくなる…
うーん困った
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/19(火) 22:47:40.81 ID:RbgRdwnP0
(/ω・\)チラッ
ほしゅ
715 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/07/01(日) 11:31:59.36 ID:3dz6Xc220
この機会を逃したら当分かけないので、
今日明日とで頑張って書きます
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/13(金) 02:14:38.57 ID:sUSfRoOd0
ほしゅ…
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/21(土) 00:04:56.90 ID:GdZyaW3s0
保守
718 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/08/02(木) 21:33:06.44 ID:HJxigBw50
なんてこった…もう一ヶ月経ってるじゃないか
パソコンが壊れたり、連日の暑さでバテたり
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/30(木) 01:30:23.81 ID:1TjqUNmy0
ほしゅ
720 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/10/16(火) 20:42:48.23 ID:Xj+AOTUk0
いつも使ってるWifi変わったり、
SS速報が鯖落ちしたりで書けてなかったけど、
とりあえずチェック代わりに一レス
721 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2018/11/14(水) 00:40:26.17 ID:ivVri+LT0
そろそろ続き書こうと思います
722 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2018/12/14(金) 19:05:17.60 ID:c3D0otgy0
うーん困った
終わりは決めてあるんだけど、その間の話がなかなかうまくまとまらない
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 11:58:40.08 ID:2pXy0WuJ0
このssまだ続いてたのか…
724 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2019/01/22(火) 23:17:39.88 ID:sxwUBRBC0
>>723
まだ完結してないんですけど、なんやかんやで書けない日が続き…
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/26(火) 05:24:29.31 ID:s1SmfYDg0
ほしゅ
726 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2019/03/23(土) 03:03:41.00 ID:UuwjfOqI0
就活に失敗している時はメンタルが暗くて書けなかったし、
なんとか就職できたら、それはそれで忙しくて書けない…
でも、今週に書きたいと思います
727 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2019/04/25(木) 01:35:44.40 ID:c2Mer0RO0
モチベよ…
728 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2019/05/26(日) 22:22:49.31 ID:7eRBqn1B0
書きたいんだけどな
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/04(火) 03:49:14.67 ID:6VKf2jyC0
続き楽しみ。
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/16(火) 16:12:31.11 ID:BNUVmRai0
このssまだ続いてたのか…
731 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2019/07/21(日) 21:34:24.38 ID:0KBPRHYg0
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/07/28(日) 03:16:26.72 ID:rS6oaONN0
就活忙しそうですが、無事就職できるといいですね!
続き楽しみにしてます。とくにイギリスが好きです。
733 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2019/08/26(月) 14:40:19.95 ID:lWapmL1k0
ようやく創作欲が湧いてきたので、明日明後日に上げようと思います
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/19(木) 10:50:38.94 ID:LNzqkgsC0
楽しみに待ってます
就活大変そうですが…
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/10(木) 11:43:30.02 ID:W9Zz2HgW0
保守
736 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2019/10/31(木) 14:27:48.40 ID:S1cu5GcgO
やっとソ連のキャラが固まったので、
11/3に上げようと思います
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/11/08(金) 14:28:13.76 ID:mfuR6eAZ0
ソ連キャラか〜楽しみ
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/08(金) 20:55:54.38 ID:uAPAFkMw0
嘘予告多過ぎて草
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/12/09(月) 13:44:25.03 ID:dvdKMXU/0
楽しみにしてまーす
740 : ◆pIxjj4GI1s [sage]:2020/01/01(水) 03:22:48.23 ID:Ufm7xFV80
あけましておめでとうございます
今年こそは更新…したい
就職は無事、とりあえずできました
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/27(月) 03:19:02.46 ID:qBYNZRnf0
就職おめでとう
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/29(土) 13:50:45.87 ID:T2iIuupP0
ほしゅ
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/31(火) 21:51:20.83 ID:EMHh0uI70
ほしゅ
744 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2020/04/19(日) 21:38:55.78 ID:NdNwA6180
もの凄く、お待たせしました…(読んでくださっていた方が、全員いなくなってそうなほどに)

ちゃんと確認してなかったのですが、最後に投下したのが2017年の11月という…月日が流れるのは早いですね

あの時からなんやかんやあって、新型コロナが流行る前に転職も済まし、今はあまり憂いのない生活をしています

その間、たまに保守をしてスレを存続させる作業はしていたのですが、
このSSを更新させるということが、日常の優先順位において下のほうになっていて、
気づいたらこんなに年月が経っていました…orz

745 : ◆pIxjj4GI1s [sage saga]:2020/04/19(日) 21:48:48.66 ID:NdNwA6180
とりあえず、勢いつけて続きを投下しよう!と思い立ち、昨日の晩から先ほどまでの時間をかけて、これまでの話をおさらいしておりました

今、新型コロナウイルスの世界的蔓延を受けて、社会構造が変わりそうで、さらには歴史の転換期になりそうな時勢ですので…
予定にはなかった、スペイン風邪ネタをやってみても面白そうだなぁ…と思います

自分の記憶では、続きはソビエト登場回からだろうと認識していたのですが、
書きかけの話があったために、ソビエトのほうは次に回すことにしました

また、こんなにエタってしまった原因として、だんだん一話ごとの内容が冗長になっていたことが大きいと考えまして、
これからは無駄を少なく、一話ごとを長くしないように気をつけたいと思います
(おさらいで読み返して、長すぎて読むのが苦痛だった回がいくつかありました…反省)

スペイン風邪ネタを入れたいと考えたものの、書きかけの話をそれに向けて修正するのが難しそうだったので、
史実とはちょっと話が前後することになりました

正直、今晩投下する話はオチが弱いのですが、これをひとまず投下しないことには、
その先の話に勢いをつけるのが難しそうなので、ご容赦くださいませ
746 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2020/04/19(日) 21:55:02.45 ID:NdNwA6180

第23話:業火に焼かれし漆黒の堕天使は黄昏時に復活を遂げるその名は雷帝ヴォルフガング8世、しかし人には総統・ドイツ第三帝国として知られている

渤海(最近の子って…意識高いんだなァ…)ギィ・・・ギィ・・・

満州の体の中に入り込んだ渤海少年は、ベンチプレスのトレーニングをさせられていた。

日本「いーち、にーい、数えないぞ、さーん、数えないぞ、しーい、数えないぞ、ごーお」

渤海(もう嫌だこんな生活!)

渤海「こんな筋トレして何になるってんだ!」

日本「何を言う、皆これくらい毎日やってるぞ」

渤海「お前らってさ…なんというか、真面目過ぎるんだよぉ」

渤海「僕の知り合いで筋トレなんてやってたの、唐ぐらいだ」

渤海(僕が現役だった頃は…)

ポワンポワンポワン・・・(回想)-------------------

渤海「イエー!教科書の偉人ども全員巨乳に落書きしたった!」

契丹「俺、ドラ〇ンボール風に書き換えてるわ」

吐蕃「鼻くそ飛ばしっこして、誰が一番遠くに飛ぶか競争しよーぜ」

唐「断る」

新羅「おはんこ、おひんこ、おふんこ、おへんこ、おほんこ、じゃあ次は?」

奈良日本「おまんこ?」

新羅「そうだ!それを10回言って」

(回想終)----------------------------------

渤海(これくらい馬鹿をやってたのに!)
747 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2020/04/19(日) 21:56:22.95 ID:NdNwA6180

渤海「君たちは何のために筋トレしたり勉強したりしてるの?将来のため?」

日本「そりゃ、将来を見据えていろいろやっているが、直近の目的は喧嘩に勝つためだ」

日本「ここでは頻繁に喧嘩が起きる。命がけの喧嘩だ」

日本「最近、ハンガリーとルーマニアすら殴りあってただろ、ギリシャもトルコに殴りかかってたな」

日本「この喧嘩に敗北すると、覆しようのない上下関係ができる」

日本「ほら、インドを見ろ。イギリスに負けて無様な姿を晒している」

日本「あれは、一生イギリスのお茶酌み係だな」

渤海「それは僕らの時代でも大体そんな感じだったけど、君らの方が怖いね…」

中華民国「抗日!ドイツに奪われていたものを、なんで日本に渡すんだ!ぼくに返せ!」

日本「やかましいのが来たな」

中華民国「満州!いくらなんでもこんな奴の言いなりになったら終わりだぞ」

渤海(あー、ごめん。今は満州君じゃなくて俺なんだよねぇ)

日本「いいか?俺はドイツに勝ったんだ。だからドイツの持ってたサンドイッチは俺の物になったんだ」

日本「というか、もうとっくに食べたから返せないぞ」

中華民国「うわぁぁん!」

日本「俺だけじゃない、皆が認めたんだ」

中華民国「くそ、くそ、くそ…年上はみんな意地悪だ」

中華民国「ぼくの物だもん…それを日本に渡しちゃうなんて…」

日本「ドイツの物だ。そして、俺の物だ」

日本「はは、ドイツの奴、あそこまで積み上げてきたものを奪われちゃ、もう立ち直れないんじゃないか?」
  
748 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2020/04/19(日) 21:57:49.03 ID:NdNwA6180
  
先の集団乱闘で敗北を喫したドイツ少年は、金銭や持ち物、私用の部屋の数々をイギリス達に奪われた。

それを宣告する際のフランス少女はとてもノリノリだったという。

フランス「ホーホホホ!あれもこれも、ぜーーんぶドイツから奪ったものよん♡」

イギリス「へへへ、キャベツ野郎め、いい気味だ」ニヤニヤ

ダンボールの箱に残った荷物を詰め、以前よりも狭くカビ臭い部屋の中で、

ドイツ少年は項垂れていた。

彼は満身創痍であり、左目には眼帯、左腕には包帯を巻いている。

ドイツ「こんなはずでは…こんなはずでは…」

ドイツ「神よ…なぜ私を見捨てたもうた」

ドイツ「明けの明星の如く美しかった私とて、神になろうと驕り高ぶった覚えはない」

ドイツ「私の翼はもがれ、宝石を散りばめた象嵌も砕かれてしまった」

ドイツ「奴らは私を慰み者にして、あらゆるものを私から強奪していく。ここは地獄だ」

ドイツ「くそ…何たる屈辱だ」

ドイツ「これ以上…俺をいじめないでくれ…」

その時、部屋の外から仰々しい演説が聞こえた。

イタリア「俺は戦わねばならないのだ!」

イタリア「父祖・ローマ帝国のように、偉大な人間でなければならない!」

ドイツはうるさそうに、毛布で耳を押さえる。

ドイツ(勇ましくて結構なことだな!)

ドイツ(俺から奪う側のくせに)

イタリア「今の俺は、弱い!非常に弱い!」

イタリア「俺は完全な人間になるべく、他者からあらゆるものを獲得せねばならない!」

イタリア「全ては我が幸福のため、自らの充実のため、他者を切り捨ててゆくのだ」

イタリア少年の声は雄々しく、どこかに美しさを感じた。

それを認めつつも、ドイツ少年は嘲った。

ドイツ(フン、俺ならもっと上手くやれる)

ドイツ少年は部屋の扉を少し開け、イタリア少年の姿を見る。

ドイツ(服だって見ろ、かっこよくキメているつもりだろうが、俺のほうがもっと魅力的なのを作れる)

ドイツ(見てろよ…)

ドイツ少年はよろめき、左目を押さえた。

ドイツ「まだだ…邪眼よ、まだ時は来ていない…今、この力を放出するわけにいかないんだ」

ドイツ「裁きの時が来れば、世界が夥しい咆哮をあげた後に、俺に跪く…それまで、猶予をくれてやろう」
749 : ◆pIxjj4GI1s [saga]:2020/04/19(日) 22:00:48.32 ID:NdNwA6180

久しぶりすぎて、登場人物紹介を書くのを忘れていました…というか、あれ?ドイツ帝国はもう書いてたかな…
確かめて、まだ書いてなかったら次の話で追加しようと思います

反省して、次回は来週中に投下したいと思います
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/03(日) 15:54:28.40 ID:OajHDT/H0
おまんこで草
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/25(土) 00:26:34.38 ID:8w+LEBAt0
保守
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/29(土) 06:19:43.54 ID:NPVf59Gr0
ヴォルフガンク
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/29(土) 06:20:41.85 ID:NPVf59Gr0
おま○こで草
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/08/29(土) 06:22:01.40 ID:NPVf59Gr0
ヴォルフガングだった失礼しました
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/02(水) 00:12:57.24 ID:8RdxyNtj0
ほしゅ
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/09/20(日) 22:46:47.23 ID:aUAFSG2f0
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/11(日) 02:12:28.06 ID:awqfpYYs0
ほしゅ
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/06(金) 21:17:10.66 ID:9vwHpaqw0
hosh
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/11(金) 00:35:55.65 ID:zFo0yaKg0
ほし ゅ
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/01/01(金) 14:18:31.39 ID:2FrmXjlF0
保守
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/01/16(土) 19:40:22.22 ID:juzHpNsB0
ホシュ
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/02/17(水) 00:19:07.43 ID:CpwDKh+60
ほしゅ
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/01(月) 21:00:33.51 ID:qH0oCTXU0
hosh
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/23(火) 04:20:09.16 ID:augb78BOO
ほしゅ
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/28(日) 23:56:16.57 ID:NRGwtuFp0
ほしゅ
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/29(木) 18:40:30.97 ID:cQicDLxg0
保守
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/15(土) 00:42:54.60 ID:r57534qR0
ほ し ゅ
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/04(金) 19:54:50.01 ID:bSxm7Ttj0
hosh
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/26(土) 18:41:29.45 ID:X0EARYJa0
ほしゅ
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/20(火) 23:30:19.49 ID:TXE5TeO50
ほしゅ
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/01(日) 14:23:33.79 ID:srYj//q80
保守
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/28(土) 22:53:38.11 ID:odreAELE0
ほしゅ
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/16(木) 23:18:31.31 ID:rSZm3bXZ0
保守
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/08(金) 19:18:55.09 ID:woZnxvSP0
保守
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/21(日) 22:15:53.03 ID:TQLVWNfB0
ほしゅ
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/01/13(木) 00:42:47.58 ID:bKjnjabe0
久しぶりに見返した。面白い
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/14(金) 22:31:33.77 ID:umqEjLRq0
保守
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/02(水) 07:51:57.24 ID:VH6XB2N30
保守
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/01(日) 09:48:40.53 ID:Wa2N/VZY0
保守
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/12/22(木) 02:34:09.58 ID:HQmRtkas0
久々に読み返した!
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/05/06(土) 15:21:19.64 ID:+tWvpyME0
久々に読み返したくなる
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2024/07/30(火) 02:05:40.54 ID:zdxMaAs40
久々に読んだけど面白いね
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