セーラ「うんコマ劇場Cやで!」爽「マジで」

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123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:08:36.81 ID:Z+7xsjyT0

サトミ「そんなことはないぞモモ? うんこは見た目はちょっとアレかもしれないが、この世で最も気高い生き物なんだぞ」ワハハ

サトミ「何しろうんこはこの世界の全ての生き物の母のような存在なんだからな… うんこが無くてはこの世は成り立たないんだぞ?」

ムツキ「うむ」


いつの間にか現れたもう一人のうんこがサトミの言葉に相槌を打ちました。

彼女はうんコロボックル四姉妹の三女で、そのボディーはまるで墨汁を流したように真っ黒でした。

医学用語でいうタール便… 恐らく彼女の生産者の胃か食道に潰瘍があったのでしょう。


モモ「そんな屁理屈はどうでもいいっす。 私は醜い生き物は嫌いなんっす」

カオリ「そんな… 私悲しいな… モモちゃんがうんこの美しさやかわいらしさを分からないなんて…」


三人の姉たちは、いかにうんこが誇り高き聖なる存在であるかを説いて聞かせましたが、モモはもう耳を貸しませんでした。


モモ(・・・私のお姉さまたちは、自分がうんこであることを恥ずかしくないんっすかね…? 私には考えられないっす)

モモ(どうして、私はうんこなんかに生まれてきちゃったんっすかね… どうせ生まれてくるなら、小鳥とかイルカとか猫とか人間とか、もっと見た目がいい生き物に生まれたかったっす…)


自分自身に自信を持てないうんこ姫モモは、時々こうして自分の運命を呪いながら、ため息をつくのでした。

124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:10:07.98 ID:Z+7xsjyT0





そんなある日、島に嵐がやってきて、海は一晩中強者の集う雀卓のように荒れ狂っていました。

うんコロボックルたちは強い風や水が苦手ですので、皆お城の中で震えていました。

そして、あくる日… 浜辺には、沢山の流木やら海藻やら空き缶やらレジ袋やらが流れ着いていました。


モモ「随分いろんな物が落ちてるっすね…」テクテク


好奇心旺盛で冒険心のあるモモは、早朝、誰よりも早く起きて、そんな浜辺を散歩していました。

そして、一隻の大きな船が座礁しているのを発見したのです。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:11:35.46 ID:Z+7xsjyT0

モモ「まるで物語に出てくる海賊船みたいな立派な船っす。 中にお宝があるかもしれないっす!」


モモは、その船に乗り込んでみました。 ところが、中はボロボロに壊れており、乗組員の遺骸があちこちに転がっていて、まるで地獄のような有様でした。


モモ「うわぁ〜… お気の毒っす…」ナンマンダブナンマンダブ


と、その時、


 ウ、ウウゥ・・・


モモ「!?」


うめき声が聞こえ、振り返ると… そこには、身分の高い高貴な衣服に身を包んだ人間の少女が、ぐったりと甲板の壁にもたれかかっていたのです。


ゆみ「ぐ、うぅ・・・」


モモ「! こ、この人… まだ生きてるっす!」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:13:13.55 ID:Z+7xsjyT0

モモは急いで城に助けを呼びに戻り、三人の姉を連れてきました。


サトミ「ひえぇ… こりゃ本当にヒドいな…」ワハハ

カオリ「昨日の嵐で遭難したんだね…」

ムツキ「うむ」


モモ「お姉さま! こっちっす!!」タタタ・・・


ゆみの元へ三人を案内したモモ…


ゆみ「……」グッタリ

サトミ「あー… こりゃもう助からないな」

カオリ「ひどく衰弱して… ケガもしてるね」

ムツキ「うむ」

モモ「そ、そんな… そんなこと言わないでなんとかして助けてあげて下さいっす!」

サトミ「・・・何を言ってるんだ? モモ?」

モモ「え?」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:14:29.38 ID:Z+7xsjyT0

サトミ「人間はこの世で最も邪悪な生き物なんだぞ? そんな奴を助けてどうするんだ?」

モモ「え、だって、か、かわいそうっす…」

カオリ「モモちゃん… 人間はね、海や空気を汚し、自分たちのことしか考えずに他の生き物たちを殺したり弄んだりしてる、すごく悪い人たちなんだよ?」

サトミ「それに人間たちは私たちをいつもコケにし、バカにする… つまり私たちの敵なんだ」

サトミ「どうして敵をわざわざ助けなくちゃいけないんだ?」

ムツキ「うむ」

モモ「……」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:15:41.28 ID:Z+7xsjyT0

モモ「そんなこと今は関係ないっす! 目の前に死にそうな人がいるのに、それを助けないなんて・・・おかしいっす!!」=3

サトミ「な、なんだ、モモ? どうしてそんなにこの人間にこだわるんだ?」

モモ「そ、それは・・・///」


モモは、少しキマリ悪そうに顔を赤らめて、うつむきました。

というのも、モモは、その人間の見た目・・・ 眉目麗しく美しいその姿に魅かれていたのです。


サトミ「とにかく私たちは協力しないからな」

カオリ「モモちゃんもあきらめて、早く戻っておいでよ?」

ムツキ「うむ…」


三人の姉たちは、モモを置いてお城へと帰ってしまいました。


モモ「・・・も、もう、お姉さまたちなんかいなくても、私だけで助けてみせるっす! せーっの、うんこらしょっと・・・!!」ウンショ…


モモは、必死で、自分のボディーの何倍もあるその人間の体を背負い、島で唯一の病院へと運んでいきました。

129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:16:59.21 ID:Z+7xsjyT0





〜荒川病院〜


ケイ「え? 困りますねぇ〜、うちは人間の治療なんかやってませんよーぅ?」


そのナースキャップをかぶったうんコロボックルは冷たく言い放ちました。


モモ「そ、そこを、なんとか・・・」ゼーゼー・・・

ケイ「そうは言っても… 仮に治療して治ったとしても、人間はうんこを嫌っとるからねぇ… 多分ビックリしてお金も払わずに逃げてくで」

モモ「お、お金なら私が払うっすから! お願いです! この人を助けてあげて下さいっす!!」


モモの必死の嘆願により、やっと、一番粗末な病室を使っても良いことになりました。

しかし、これといった治療をしてもらえるわけではなく、与えられたのは点滴のセット一つだけでした。


モモ「…みんな冷たすぎるっす… でも、私はあきらめないっす! 絶対この人の命を救ってみせるっす!!」


モモは、その病室に泊まり込んで、つきっきりでゆみの看病をするようになりました。

毎日点滴の交換をし、傷の包帯を替え、体を拭いてやり、下の世話までかいがいしくしてあげました。

三人の姉たちはそんな妹をあきれ顔で見ていました。

彼女たちは、きっと、モモはまだ子どもだから、ママゴトをする人形を手に入れたような気分なんだろう、と考えていたのです。


しかし、モモはそんな遊び気分でゆみの世話をしているわけではありませんでした。

そう・・・ 彼女は、人間の少女に恋をしてしまっていたのです。
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:18:12.29 ID:Z+7xsjyT0

ゆみは初めこそ生死の境を彷徨うほどの重症でしたが、モモの必死の看病のかいあって、徐々に体は回復していきました。

しかし、それでもなかなか目を覚ましませんでした。

スース―と、毎日ただ静かに眠り続けていました。

モモは、そんな風に眠っているゆみの顔を、うっとりとして見つめました。


モモ「綺麗な人っす… 長いまつ毛… 白いきめ細かな肌… しなやかな髪… つんと伸びた鼻筋…」

モモ「そして、真珠みたいになめらかな、朱い唇・・・///」ゴクリ


モモは、思わずその美しいゆみの唇に自分の口を合わせようとしましたが、ハッと思いとどまり、病室の鏡の前に立ちました。

その鏡の中では、もっさりとした茶色いうんこボディーが憎々しげにモモの方を見ていました。


モモ「・・・ああ… 私も人間の体だったら、良かったのになぁ…」ハア


モモは小さくため息をつきましたが、無言でゆみの点滴の空袋を外し、また新しいものと替えてやるのでした。
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:19:51.32 ID:Z+7xsjyT0

そして、ついにゆみが目を覚ます時がやってきました。

その時、モモはいつものようにゆみの傷の包帯を替えてやっていたのですが、ゆみが一瞬痛そうに顔をしかめ、次の瞬間に、パッと目を開いたのです。


ゆみ「・・・ん? ここは・・・」

モモ「!?」バッ!

ゆみ「え?」


モモは、咄嗟にそこにあったサロンパスでゆみの目を塞ぎました。

自分のうんこボディーをこの愛しい人間に見られたくなかったからです。


ゆみ「な、なんだ? ここは、一体…」

モモ「シッ! 静かにして下さいっす。 ここは病院です」

ゆみ「・・・ああ、そうか、船が難破して… 私は死んだものと思っていたが、助かったのか。 他の仲間たちは…?」

モモ「お仲間さんたちは皆お亡くなりになったっす。 助かったのはあなた一人っす」

ゆみ「そうか… 君が私を助けてくれたんだな? どうして目を塞ぐんだ?」

モモ「・・・それは聞かないで欲しいっす。 あなたに見られたくないモノがあるんっす…」

ゆみ「… 分かった。 私はツルガ国王妃、加治木ゆみだ。 せめて… 君の名前を教えてくれないか?」

モモ「・・・ モモっす。 それ以外のことは教えられないっす…」

ゆみ「モモ… そうか、美しい名前だな。 助けてくれてありがとう」ニコッ

モモ「…!///」


ゆみの口角がゆっくりと上がりました。

モモは、愛しの君が自分を褒めてくれたと思うだけで、まるで天にも昇るような気分でした。
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:21:01.79 ID:Z+7xsjyT0

それから、ゆみは目隠しをされたままですが、モモに色んな話をしてくれました。

彼女は一国の王妃でありながら、船で世界中のいろんな所を回っている冒険家なのでした。

北の海に浮かぶ野球場のように大きい氷の山のこと、ここよりもっと南の国の密林に潜む恐ろしい猛獣のこと、雲より高くそびえる山の頂上で咲く花のこと、そしてニホンという国に潜む悪鬼羅刹のような雀鬼たちの火花散る闘いのこと・・・・

モモは、ゆみのそういった未知の世界の話を、瞳を輝かせて熱心に聞きました。 

どこへ行っても鼻つまみものにされるうんコロボックルであるモモは、自分の島以外の世界にはほとんど行ったことがなかったのです。


モモ「すごいっす。 私もそのニホンに行って… 大魔王のコークスクリューや迫りくる怒涛の魔乳っていうのを見てみたいっす!」

ゆみ「ハハ… 君は本当に世間知らずなんだな。 どこかの辺境の国の箱入り娘なのかな?」

モモ「…そんなところっす」

ゆみ「それにしても君は、本当に美しい声をしているな。 世界中を回ってきた私でも、君のように美しい声で話す人を私は知らない」

モモ「・・・そ、そんなこと、ないっす///」

ゆみ「きっと君は、私が見たこともないような美しい姿をしているんだろうな…」

モモ「…//////」

ゆみ「ひと目でいい。 この目のサロンパスをはずして、君の姿を見せてくれないか?」

モモ「・・・・それは、できないっす・・・」

ゆみ「… そうか。 分かった、無理にとは言わないよ」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:22:18.97 ID:Z+7xsjyT0

モモも、本当は目隠しをはずしてあげたいのです。

この美しい人間の瞳を見ながら、あ互いに微笑み合うことができたら、どんなに良いでしょう。

しかし、もしゆみが、モモがうんこであることを知ったら、どうするでしょうか。

もう、口などきいてくれるはずはありません。

それどころか、怒り狂って病室を飛び出して行ってしまうかもしれません。


モモ「はあ… どうして私は人間に生まれてこなかったんっすかね…」


それを思うと、モモはまたうんことして生まれてきた自分の運命を呪い、ため息をつくのでした。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:23:42.07 ID:Z+7xsjyT0

目を覚ましてからのゆみは、ぐんぐんと元気になり、自力で歩けるまでに回復しました。

そして… やはり、自分の国に帰りたいということを口にするようになりました。


ゆみ「命を助けてもらったうえに、これ以上頼みごとをするのは気が引けるのだが…」

ゆみ「私を開放してもらえないだろうか。 国にいる部下や仲間たちが私のことを心配していると思う」

モモ「……」


モモは、ゆみが一人で動いたり目隠しをはずしたりできないように、彼女の手足を拘束していました。


モモ(開放して国に帰してしまったら、もう二度と私はこの人と話をすることはできないっすよね…)

モモ(何しろ私はうんこなんですから、会いに行っても追い返されるに決まってるっす)

モモ(こうなったら… この人の脚でも折ってしまおうっすかね…?)


モモ(そうして不具にしてしまえば、私は、一生この人のそばにいることができるっす…)スッ


目隠しをしてベッドに拘束されているゆみの前で、無言で立ち上がったモモは、そこにあったバールのような物を手にしました。


モモ(・・・これで、ひとおもいに、この人の脚を・・・)ギラッ


横たわるゆみの前で、バールを振り上げたモモ・・・・


ゆみ「… どうしたんだ、モモ? なぜ黙っている?」

モモ「…!」ハッ


ゆみの声で目が覚めたモモは、静かにバールをおろし、ハーハーと肩で息をしました。


モモ(な、何をしてるんっすか、私は… この人を傷つけようとするなんて…!)

モモ(・・・やっぱり、あきらめるしかないっす… 私は、この人を不幸にはしたくないっす…)


モモは、ゆみに気づかれないように一人涙を流しながら、ゆみを国に帰す決心をしました。

135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:25:14.11 ID:Z+7xsjyT0





それから3日後の満月の晩、モモはゆみを小舟に乗せ、オールを漕いで静かな海を進んでいました。


モモ「ツルガ国までお送りすることはできないっすけど…」キーコキーコ

モモ「他に人のいる島まで送ってあげるっす。 そこからは、自力でツルガまで戻って下さい」キーコキーコ…

ゆみ「ああ、それで十分だよ。 恩に着る」


小舟は、静かに島の浜にへさきを着けました。

この島は、うんこではなく人間が住んでいる島です。


モモ「・・・着いたっす。 私は引き上げるっすから、水音がしなくなったら、その目隠しをはずしてもいいっすよ…」

ゆみ「ありがとう… これだけ世話になった人に、なんのお礼もすることができないのは心残りだが…」

ゆみ「私は一生、君のことを忘れないよ。 君のその美しい声… いつかまた、聞かせてくれないか?」

モモ「・・・・・」キーコキーコ・・・


ゆみの言葉に応えず、無言でオールを漕ぎ始めたモモ…

そして静かに岩の裏に回ると、漕ぐのをやめ、そっとゆみの方に向き直りました。

ゆみは砂の上に腰をおろしてしばらくジッとしていましたが、おもむろに顔に手をやると、ペリペリと目隠しのサロンパスをはずし、まぶしそうに満月を見上げました。

その姿を見て、モモはハッと息を呑みました。 

初めて見るゆみの瞳が、まるでエメラルドのように澄んだ、凛々しく美しい光彩を放っていたからです。


モモ(あ、あぁ… キレイっす…/// あんな瞳で見つめられたら、私もう、死んでも悔いはないっす…!///)


ゆみは少しだけきょろきょろと辺りを見回していましたが、スッと立ち上がると、浜辺の上の方へと歩いていきました。
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:26:40.69 ID:Z+7xsjyT0

そこには、大きな白い教会が建っていました。

ゆみがトントンと入り口をノックすると、中から、小柄ですがとてつもなくボリューミーなおもちをおもちの美少女が現れました。


ユキ「…どうされました?」

ゆみ「夜分にすまない。 実は道に迷ってしまったのだが…」

ユキ「まあ、それはお困りでしょう。 どうぞ中に入って休んで下さい」スッ

ゆみ「ああ、ありがとう」ニコッ


ゆみはそのシスターの少女に微笑みかけると、中に入っていきました。

モモは、その様子を、歯ぎしりしながら眺めていました。

あの優しい微笑みは、本当は自分に向けられるべきだと思ったからです。


モモは、ズキズキと痛む心を抱えながら、また小舟を漕ぎ、自分の島へと帰っていきました。

137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:27:57.91 ID:Z+7xsjyT0





モモはもともと、うんこ嫌いで周りとコミュニケーションをとることを避けながら生きてきました。

しかし、あの麗しい王妃様と別れてからというもの、モモはいっそう、自分の殻に閉じこもるようになりました。

四六時中、お城の窓際に座って、ボーッと外を眺めているようになりました。

彼女の三人の姉たちはそんな妹を心配し、漫画やら美味しいケーキやらプロ麻雀せんべいカードやらを持ってきて気を引こうとしましたが、モモはもう、そんな姉たちに目もくれませんでした。


モモ(…今頃あの人は、何をしてるんっすかね…)ボー…

モモ(あの綺麗で優しい微笑みを、他の女たちに振りまいてるんっすかね…)

モモ(・・・一度でもいい。 あの人と目を見つめ合いながら、微笑みをかわしながら、おしゃべりをしてみたいっす…)


モモは、ゆみを帰してあげる時は、もうゆみのことを忘れるつもりでいました。

しかし、そう思えば思うほど、モモの頭の中には、ゆみの優しい声とあの素敵な笑顔が浮かんでくるのでした。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:28:55.75 ID:Z+7xsjyT0

モモ(・・・もう我慢できないっす…! 私は… 悪魔に心を売ってでも、あの人を自分のモノにしたいっす!!)


…それは、お城でまたうんこたちのダンスパーティーが開かれている夜のことでした。

モモは、一人こっそり城を抜け出し、島のはずれの暗い森の中へと入っていきました。

その森の奥に棲まう、恐ろしい魔女に会うためでした。


モモ「あの人なら… もしかすると、私を人間にしてくれるかもしれないっす…」ハアハア


モモは一人ランプをかかげ、つたに足を取られたり、オオカミの吠え声におびえたり、コウモリの群れを必死で振り払ったりしながら、暗い森の中を進んでいきました。

その魔女は、何百年も生きていると言われる老婆で、モモは子どもの頃から、あの魔女にだけは会ってはいけないと何度も大人たちから言い聞かされていました。

魔女には5人の部下たち… マヨヒガ、座敷童子、ボンバーマン、大天使、ちょーおっきぃヒト、という恐るべき妖怪たちがいて、来る者を取っては食ってしまっていたのです。

しかし、幸いなことに妖怪たちは皆その時麻雀に興じており、モモは警護をすり抜けて、その魔女の屋敷に入ることができました。

まさに、モモの必死な思い… どうしてももう一度ゆみに会いたいという強い思いがあったからこそ成せる業でした。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:30:09.90 ID:Z+7xsjyT0

トシ「ん…? なんだいあんた、ナニしに来たんだい」ズルルルゥ〜・・・


その魔女は屋敷の居間で、カップラーメンをすすりながらテレビを見ていました。


モモ「…あなたにどうしてもお願いしたいことがあって、やって来たんす…」

モモ「お願いっす! この私を・・・ 人間にして欲しいっす!!」カッ

トシ「ほお…?」ニタリ


その魔女は、モノクルを妖しく光らせながら、顔中の皺を不気味に蠢かせて嗤いました。



(続く)
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/15(火) 21:31:04.98 ID:Z+7xsjyT0
止まるっす
またたぶん日曜に後編書いていくっす


141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 22:35:54.15 ID:mCGHpyv90
>>123一部訂正

× 彼女はうんコロボックル四姉妹の三女で、そのボディーはまるで墨汁を流したように真っ黒でした。

○ 彼女はうんコロボックル四姉妹の次女で、そのボディーはまるで墨汁を流したように真っ黒でした。


>>131>>132>>137一部訂正

× 王妃

○ 王女
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 22:40:49.89 ID:mCGHpyv90

その45.〜アンデルセン童話「うんこ姫の恋」(後編)の巻〜



トシ「ほお…?」ニタリ

トシ「ククク…w お嬢さん、しかしどうして人間なんかになりたいんだお?」

モモ「ヘ? だお?」

トシ「あ、すまんね/// ちょっと、口の中に、麺が… かんじまったよ///」モグモグ

モモ「……」

トシ「そ、それで、どうして人間なんかになりたいんだい?」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 22:43:55.60 ID:mCGHpyv90

モモはその魔女に、今までのことを話して聞かせました。

難破した船から一人の人間の少女を救い出したこと…

看病のかいあって、彼女は元気になったが、人間の世界に戻っていってしまったこと…

そして、モモはその少女に恋をしてしまっていること・・・


モモ「どうしても… どうしても私はあの人を自分のモノにしたいんっす!」

トシ「それならコクりゃあいいじゃないかい。 お前はその子の命の恩人なんだろう? 無下にはしないだろうさ」

モモ「え、でも… 私は、その、うんこっすから…」モジモジ

トシ「私はカワイイと思うけどねぇ… あんたのその引き締まったハリのあるマキグソボディは…」

モモ「そ、それでも私は人間がいいっす! うんこなんかじゃ… あの人の心を射止めることはできないっすよ!!」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 22:47:27.98 ID:mCGHpyv90

トシ「人間なんかになっちまったら、あんたの親や姉妹たちが泣くことになるよ。 それでもいいのかい?」

モモ「いいっす… 私は、自分の恋に生きたいんっす!」

トシ「そこまで言うなら、願いを聞いてやらなくもないが・・・」

トシ「お代として、あんたのその綺麗な声をもらうことになるけど、かまわないね?」

モモ「え?!」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 22:50:41.23 ID:mCGHpyv90

モモ「こ、声…? 声はちょっと… 勘弁して欲しいっすけど…」


モモは、ゆみが自分の声を美しいと褒めてくれたことを思い出しました。

それに、声を奪われてしまっては、もう二度とうっすうっす言うことはできないわけです。


トシ「あんたはこの島の中で一番イイ声をしている… 誰もが聞き惚れるほどのね…」

トシ「あたしゃね、お前が持ってる一番いいものが欲しいんだよ。 それが無理なら、この話は白紙だね」フン

モモ「・・・わ、わかったっすよ! 私の声をあげるっすから・・・人間にして下さい!!」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 22:53:20.07 ID:mCGHpyv90

トシ「ふふ…w それなら、人間になれる煎じ薬を作ってやろうかね…w」ヌギヌギ


魔女は、何故かおもむろに服を脱ぎ始めました。


モモ「え? は? な、何をしてるっすか?」

トシ「いいかい、煎じ薬には、このあたしの体の貴重なエキスを入れなきゃいけないんだよ」ヌギヌギ…

モモ「・・・???」


魔女はさっさと全裸になると、部下のボンバーマンに沸かせたお風呂に入っていきました。

そして、しばらくすると…


トシ「ふぅ… いい湯だったよ…」ポカポカ

モモ「… あ、あの… 魔女さん、煎じ薬は…?」

トシ「ああ、それならコレだよ」トン

モモ「は?!」


魔女が机の上に置いた物・・・ それは、コップに入った一杯の濁った汚らしいお湯でした。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 22:55:43.43 ID:mCGHpyv90

お湯「…」ムワァ〜ン…


モモ「こ、これは…?」

トシ「これは私が入浴した風呂の残り湯を煮詰めたものさね。 俗に言う“還暦汁”ってヤツさ」ニタリ

モモ「は、はあ・・・??」

トシ「この湯には神秘の還暦エキスがタップリと入っている… その薬効は折り紙つきさw」ニヤニヤ

モモ「……」ジリッ


モモは、思わずニ、三歩ほど後じさりをしました。

血色の良い健康的なその茶色いボディは、青白く変色し、カタカタと震えていました。

嗚呼、なんということでしょう…

人間になるには、これほどまでに恐ろしい液体を飲まなくてはいけないのでしょうか!
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 22:57:36.04 ID:mCGHpyv90

トシ「どうしたんだい? 飲まないのかい?」

モモ「・・・ほ、本当に、これを飲めば、人間になれるっすか?」

トシ「ああ、なれるともさ。 ただし、それと同時に、あんたはオシのようにしゃべれなくなるがね」

トシ「それと… この薬の効力はきっかり24時間だ。 24時間経ったら、またあんたはうんこに戻っちまうからね」

モモ「は、はあっ!? そ、そんなの聞いてないっすよ?!?」

トシ「そりゃ今初めて話したからねぇ。 ・・・ただ、一つだけ、あんたが一生、人間でい続けられる方法があるさね」ニヤ

モモ「え、えぇ…? それは…?」

トシ「それは… あんたが、その意中の王女とやらと、結婚することさ」

モモ「…!///」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 23:00:50.91 ID:mCGHpyv90

トシ「もし、その王女がお前のことを抱き、お前を妻として、一生お前と一緒にいる… と誓ったならば、お前は完全に人間になり変わることができるのさ」

トシ「ただし… もしそれができなければ、お前は24時間後にうんこに戻ってしまう…」

トシ「そして、もし仮に他の女がその王女と結婚してしまったら、お前はその翌朝には、体がバラバラに砕けて死ぬことになるのさ」

モモ「そ、そんな…」カタカタ

トシ「いいかい、超常なる魔女の力を借りたいんなら… それくらいのリスクは必ずついて回るもんなんだよ」

トシ「お前が命を賭してその王女を手に入れる・・・という覚悟がないのなら、大人しく今まで通りの安穏とした生活を送った方がいいだろうさ」

モモ「………」


モモは、病院で過ごしたゆみとの日々を思い出していました。

そして、月の下で見たゆみの美しい瞳を思い出していました。

あの瞳に見つめられ、そして見つめ返しながら、ゆみと愛を語り合う自分を想像しました。

たとえ、命をかけても… モモの選択は一つしか有り得ませんでした。


モモ「・・・分かったっす。 それでもいいっす! 私は… 人間になって、必ず24時間以内にあの人と結婚してみせるっす!!」カッ!
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 23:03:56.81 ID:mCGHpyv90

トシ「ふふ…w そこまで言うなら止めないよ。 私の還暦汁を飲むがいいさ」

モモ「の、望むところっす!」バッ


モモは、還暦汁を手に取ると、ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み始めました。

胸がムカムカするほど気持ちの悪い液体でしたが、モモは一度も止まることなく、一気に飲み干しました。

そして、最後の一滴が口の中に落ちるのと同時に、モモは気を失い、その場に倒れてしまったのでした…
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 23:07:17.31 ID:mCGHpyv90





モモ「…!」パチッ

トシ「・・・おや? 目が覚めたっすね。 気分はどうだいっすか?」

モモ「・・・!??」モゴモゴ

トシ「ふん、無駄だっすよ。 あんたの声はもう私がもらっちまったっすからねw」


目を覚ましたモモの前には、うっすうっす口調で話す老婆がいました。

そして、モモはどんなにしゃべろうとしても、もう声は一言も出なくなっていました。
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 23:09:42.52 ID:mCGHpyv90

トシ「さあ、とりあえず鏡を見てごらんっす」スッ

モモ「!?!?」


魔女が向けてくれた等身大の鏡を覗き込んだモモは目を見張りました。

そこには… 黒髪の、とてつもなくすばらなおもちをおもちの、大変可愛らしい人間の少女が立っていたのです。


モモ(・・・や、やったっす! ついに、本当に人間の女の子に・・・なれたっすぅ!!)


トシ「さあ、ヌードは刺激が強すぎるっすからね。 これを着ていくといいさっすよ」スッ


モモは、魔女がくれたブレザーの制服を着こむと、急いで小舟に乗り、ツルガ国へと向かいました。

153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 23:13:02.34 ID:mCGHpyv90

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ーーーー


ゆみ「私は、君が欲しい!」

いちご「え、お、王女様…? そんな、ちゃちゃのん、恥ずかしいんじゃ…///」


ツルガ国王女ゆみは、城下の街でナンパをしていました。

彼女は実は国王も頭を抱えてしまうほどの女たらしで、よく城下に出かけては、目につく美しい少女をそのイケメンスマイルでたらしこめているのでした。


ゆみ「瑞々しいストロベリーのようにかわいらしい少女よ… どうだね? 私と王室の豪奢なベッドの上でワルツを踊らないか?」キリッ

いちご「ん〜…/// そこまで言うのなら…///」


ゆみがいちごをエスコートし、城へと歩き始めた、その時でした。


モモ「……」ニコニコ


ゆみ「ん? 君は・・・?」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 23:16:13.49 ID:mCGHpyv90

ゆみといちごを通せんぼするようにして立っているその少女を見た途端、ゆみは雷に打たれたほどの衝撃を受けました。

黒く艶やかでしなやかな髪…

まだあどけない幼さの残る整った顔立ち…

ふっくらと妖艶に膨らんだとてつもなくすばらな巨乳おもち…!

そして、何よりもほんのりと緑色がかった潤んだ瞳と目が合った時… ゆみは、自分の運命というものを感じずにはいられませんでした。


ゆみ「き、君は・・・? 一体・・・??」

モモ「……」カキカキ、 バッ!

ゆみ「!?」


モモは、魔女の部下の大天使が餞別に渡してくれたホワイトボードに何かを書き込み、ゆみに見せました。

そこには、小さく「モモ」と書かれていました。


ゆみ「モモ…? ま、まさか、君は、私の命を救ってくれた・・・あの時の少女なのか?」

モモ「…」コクリ

ゆみ「そ、そうか…! ずっと探していたんだが… こんな所で会えるとは!」ギュッ


ゆみが手を握ると、モモは軽く小首をかしげながらニコリと微笑みました。

その微笑み一つで、ゆみの心は完全にモモの魅力にとりつかれていました。


いちご「な、なんじゃ? あんた一体誰なんじゃ!」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 23:18:18.45 ID:mCGHpyv90

ゆみ「き、君、すまないが… 私はこの少女と大切な約束をしていたんだ。 今日はここで帰ってくれ」

いちご「は!?」

ゆみ「さあ、城へ案内するよ、モモ!」ギュッ


ゆみはモモの肩を抱くと、いちごを無視して歩き始めてしまいました。


いちご「・・・な、なんなんじゃ…? そんなん考慮しとらんよ!」=3
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 23:20:27.88 ID:mCGHpyv90

城へ着くまでに、モモは今までのことをホワイトボードに書いてゆみに伝えました。

もちろん、自分がうんこであったことは伏せましたし、口がきけないことは、悪い魔女に騙されて声を奪われてしまったからだと、少し脚色はしましたが…


ゆみ「そうか、そんなことがあったのか…」

ゆみ「君の声が聞けないのは残念だが、私は君の瞳を見れば、思っていることはすべて分かるような気がするよ」

モモ「…///」ニコニコ


モモは幸せで幸せで、幸せ過ぎて、まるでずっと夢を見ているような気分でした。

たとえしゃべることができなくても、こうしてゆみと目を見つめ合い、微笑みを交わすことができるだけで十分でした。


しかし・・・ この時モモは、大事なことを忘れていたのです。

そう、「24時間経ったら、元のうんこに戻ってしまう」というあの魔女の言葉・・・

ツルガ国に到着するまでにかなりの時間を使ってしまっていたので、そのタイムリミットは、今まさに、刻一刻と迫っていたのでした。
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 23:21:31.65 ID:mCGHpyv90
止まります
また明日書いていきます
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 00:46:26.60 ID:J9MS4e7k0





ゆみ「さあ着いたぞ。 ここが私の部屋だ!」バッ

モモ「…!」


ゆみが案内したその部屋は… 教室ほどの広さがあり、贅を凝らした絹のカーテンやタペストリーがかかっていて、壁全体が美しい花々の絵で埋め尽くされていました。

そして、部屋の中央には、上に宝石が散りばめられている素晴らしい天幕で覆われた、円形の大きなベッドがありました。


モモ(す、すごいっす…! あんな大きなベッド、見たことないっす…///)


ベッドに目を奪われた、その次の瞬間でした。

モモは、ゆみに抱き寄せられ、唇を合わせられていたのです。
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 00:49:13.30 ID:J9MS4e7k0

モモ「……!?///」

ゆみ「ん…」ニュルッ、 チュパァ・・・


モモの口の中にゆみの舌が入ってきました。

唇の裏、歯茎、舌、ほっぺの裏・・・と、ゆみの舌がモモの柔らかい口内をすべっていきます。

エンドルフィン、ドーパミン、セロトミン、エンケファリン・・・ モモの頭の中では、様々な脳内麻薬物質と性腺を刺激するホルモンが滝のように溢れ始めました。

モモは、されるがままに口内を侵されながら、ジィーンと体が熱くなってくるのを感じました。


ゆみ「・・・ぷはっ」チュポンッ

モモ「……//////」ボー・・・

ゆみ「ふふ、かわいいよ、モモ…」チュッ


蕩けるような表情のモモの額にもう一度キスをしたゆみは、ひょいとモモをお姫様抱っこし、ベッドの上にやさしくおろしました。
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 00:52:30.06 ID:J9MS4e7k0

ゆみ「・・・いいね? モモ…」

モモ「…///」コクン


 スススス・・・


ゆみの手がモモのブラウスの下に滑り込み、その掌におさまりきらないほど大きなおもちをわっしとワシヅカミにしました。


モモ(あ、あぁ・・・/// きもちいぃっす・・・!!//////)

モモ(体が溶けてしまいそうなくらい気持ちいいっす… やっと… この人と一つになれるんっすね…!)

モモ(幸せっす… 本当に幸せっす…! 私…やっぱり人間になって、良かったっす・・・!!)ポロポロポロ


モモの瞳からは涙が流れてきました。 そう… あまりにもたくさんの幸せが、モモの体の中では収まりきらず、幸せの水となって溢れてきたのでした。


ゆみ「モモ・・・」ペロペロ


モモの頬を流れる涙を、ゆみが舌ですくい取りました。

二人は体だけでなく、心までもが今まさに、一つになろうとしていました。





しかし・・・

世にも恐ろしい出来事が起こったのは、その時でした。
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 00:54:06.65 ID:J9MS4e7k0


 メコッ  メキメキメキメキ・・・・


ゆみ「ん!?」


 グニャアッ  ミチミチミチミチミチィ・・・・!


ゆみ「は? へっ?!」


  バプンッ!  ビチビチビチビチビチビチイィ・・・・!!


ゆみ「お、う、うおおおっ! ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォッッッ!?!?!?」=3

162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 00:58:20.63 ID:J9MS4e7k0

あの冷静沈着なる王女ゆみが、断末魔の悲鳴をあげていました。

人間がこんなに恐ろしい悲鳴をあげることができるのか、というほど、それは凄まじい悲鳴でした。

そう・・・ ゆみがベッドに押し付けていた絶世の美少女モモは、メキメキとその姿を変形させ、アッという間に大きなマキグソへと変貌を遂げていたのです。


モモ(っし・・・ シマッタっす! 時間のことを忘れていたっす・・・!!)


ゆみ「んな・・・ なんなんだコレはァッ! お前は一体なんなんだァァッ!!?」=3


ああ・・・

この時モモは、動揺せず、魔女の呪いでうんこに変えられてしまったふりでもすれば良かったのです。

しかし慌てた彼女は、元通りに回るようになった口で、墓穴を掘ってしまっていたのです。


モモ「・・・ご、ごめんなさいっす! 王女様! 私は本当は・・・うんこなんっす!!」

ゆみ「は? へ? モモ?」

モモ「ま、魔女にお願いして・・・うんこから人間へと姿を変えてもらっていたんす…」

ゆみ「な、なに…??」

モモ「お、お願いっす王女様! 私と結婚して下さいっす!!」

ゆみ「え? ほ…??」

モモ「王女様と結婚すれば、私は人間の姿のままでいれたんっす! 王女様がここで私に永遠の愛を誓ってくれれば・・・ きっと私は人間に戻れるっす!!」

ゆみ「……」

モモ「お願いっすぅ!! 私と結婚して下さい!! 今ここでっ!!!」






















ゆみ「いや、無理だ」




その時、ゆみは、人間がトイレに入った時、便器に他人のうんこが堂々と残っていた時の、あの不快感極まりない時の顔・・・ ソレとまったく同じ表情をしていました。

163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:01:37.21 ID:J9MS4e7k0





モモは、王女を侮辱した罪でひっとらえられ、城の地下の牢屋に入れられてしまいました。

モモは、冷たい鉄格子の向こうで、茫然として、ゆみと出会った時のことや、病院での日々を思い出していました。


 “ゆみ『モモ… そうか、美しい名前だな。 助けてくれてありがとう』ニコッ”

 “ゆみ『きっと君は、私が見たこともないような美しい姿をしているんだろうな…』”

 “ゆみ『私は一生、君のことを忘れないよ。 君のその美しい声… いつかまた、聞かせてくれないか?』”


モモ「・・・・・・・」ボロボロボロボロボロボロボロボロ


モモは泣きました。

うんこの約75%は水分なのですが、その水分が全て抜け切って、カラカラの干しうんこになってしまうくらい泣きました。

あれだけ、一生懸命に世話をして、命を助けてあげたゆみが・・・ 自分がうんこだからということで態度を豹変させ、ニベもなく裏切り、切り捨てたのです。


モモ「う、うううぅ、ううううううううううううううううぅぅぅぅぅ・・・・・!!!」ボロボロボロ・・・


モモの涙は、悲しみの涙から、徐々に怒りの涙へと変わっていきました。

そう・・・ モモの、ゆみに対する病的なまでの愛情と憧れは、まるで裏返るように、憎しみへと変わり始めたのです。
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:03:42.88 ID:J9MS4e7k0

モモ「こらぁ! 出せっすぅ! 私をここから出せっすぅっ!!」=3


モモは鉄格子を両手でつかんで外のネコ耳の生えた門番を怒鳴りつけました。


池田「うるさいなっ! 大人しくしてろし!!」

モモ「この畜生がああああぁぁっ!! お前の血が何色か見せろおおおおオオオオオオオォォォッッ!!!」

池田「黙ってろ! うんこ如きが何を言ってるんだし! うんこの門番をさせられている私の身にもなれっ!!」


しばらく牢の中で暴れていたモモでしたが、すぐに疲れて、バッタリと牢の冷たい床に身を投げ出すと、グーグーと眠ってしまいました。
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:06:31.64 ID:J9MS4e7k0





 エ、ソレホントカシ?  ハイ、マジデス  ヘー、アノオウジョサマガネェ・・・


モモ「・・・?」パチッ


モモは、外の門番たちがひそひそと話す声で目が覚めました。


池田「文堂、でもそれは確かな情報なのか?」

文堂「はい、王女様のお付きのメイドから聞いたことなので、間違いないですよ」

池田「ふぅん… あの女たらしの王女様が、ついに、結婚ねぇ…」


モモ「!?」ガバッ


“結婚”という言葉を聞いて、モモはハネ起きました。


文堂「相手は、なんでもウスザン国の王女さまらしいです」

文堂「子どもの頃から修道院で教育を受け、最近、王家に戻ってきた姫なんだそうです」

池田「ははあなるほどね、政略結婚か」

文堂「いや、わりとそうでもないらしいですよ? ゆみ王女が、そのウスザンの王女の写真を見て、是非にと結婚を申し込んだらしいです」

池田「ふーん… ゆみ王女は面食いだからな、相当の美少女なんだろうな…」


モモ「………」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:08:21.18 ID:J9MS4e7k0

モモは、あの魔女の言葉を思い出していました。


 “トシ『もし仮に他の女がその王女と結婚してしまったら、お前はその翌朝には、体がバラバラに砕けて死ぬことになるのさ』”


外の門番たちは、結婚式は明日開かれると話していました。

つまり… モモは、明後日の朝には、この牢の中で砕け散って朽ち果てるということなのです。


モモ(ああ・・・ 私は・・・ 一体、なんのために、この世に生まれてきたんっすかね・・・?)


モモは、悲しくて悲しくて、悲し過ぎて、もう涙を流すことすらできませんでした。
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:10:25.06 ID:J9MS4e7k0





翌日は一日中、牢の上の方から、たくさんの人々の笑い声やら賑やかな音楽やらが聞こえていました。

ゆみの結婚式・・・二つの国の王女同士の結婚式ですから、盛大に宴会を開いているようでした。

体中の水分が抜け落ちてカスカスになってしまったモモは、横たわる枯れ木のように、一日中、牢の床の上で放心したように寝転がっていました。


しかし… それは、宴会も終わり、すっかり静かになった真夜中のことでした。
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:13:09.87 ID:J9MS4e7k0

 「モモ… おい、モモ!」

モモ「……」

 「モモちゃん、起きて!」

モモ「…?」

 「うむ、モモ、起きろ!」

モモ「・・・!?」パチッ


懐かしい声を聞き、目を覚ましたモモが鉄格子の向こうに見たもの・・・

それは、モモの姉たち、サトミ、カオリ、ムツキの姿だったのです。


モモ「お、お姉さま…?! ど、どうして、ここに…??」

サトミ「ああ、良かった… モモ、急にいなくなったから、心配してたんだぞ?」ワハハ

カオリ「モモちゃんが魔女の森に入っていくのを見てた人がいてね… 魔女たちを問い詰めて、この場所を聞いて来たんだよ」

ムツキ「うむ」

モモ「…!!」


サトミたちの後ろに、失神して倒れている池田と文堂の姿が見えました。

この三人のうんこたちは… かわいい妹のために、危険を冒してモモのことを救いに来てくれたのです!
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:16:24.42 ID:J9MS4e7k0


カオリ「ああ、モモちゃん、こんなに干からびちゃって、かわいそうに・・・」ポロポロ

モモ「か、かおりんお姉さま…///」


牢の鍵を開け、モモを抱きしめたカオリは、さめざめと涙を流しました。

モモは、それを見て… 自分が家族のことを省みず、自分勝手な行動を取ったことを、恥じていました。

「うんこなんか嫌い」と言って、姉たちを困らせたことを、激しく後悔していました。


サトミ「さあモモ、夜のうちにこの城を脱出するぞ!」

モモ「・・・蒲原お姉さま、せっかく、助けに来てくれて、嬉しいっすけど・・・」

モモ「私は、たとえ逃げても、明日の朝には体が砕けて死んでしまうんっす…」

カオリ「大丈夫だよモモちゃん、そのことも魔女から聞いてるから!」

モモ「え?」

サトミ「その呪いを解く方法も脅して聞き出してきたのさ。 モモ、お前は助かるんだ!」

ムツキ「うむ」

モモ「え、それは・・・ ど、どうやるんっすか?」

サトミ「うん、それはな… コレだよ」スッ

モモ「!?」


サトミが取り出したもの・・・ それは、薄暗い中、妖しく光り輝く銀色のナイフでした。
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:18:55.65 ID:J9MS4e7k0

サトミ「この銀のナイフをな、あの人間の王女の心臓に突き立てるんだ。 そうして、噴き出した血を浴びれば・・・お前にかけられている呪いは解け、命を失わずに済むんだ!」

モモ「え…?」

サトミ「お前はあの王女と結婚するつもりだったんだろう? しかし、裏切られた… お前に残されている道はもう、あの人間を殺すことしかないんだ」

モモ「………」

カオリ「モモちゃん、私が言った通りだったでしょ? 人間なんてみんな、ロクな存在じゃないんだよ… あの女を殺して、もう人間のことなんか忘れて、私たちと島に戻ろう!」

ムツキ「うむ」

モモ「……………」





モモ「・・・分かったっす」ギュッ


モモは、その銀色のナイフをギュッと握りこみました。

171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:21:42.20 ID:J9MS4e7k0





ゆみ「zzzzzz……」グーグー・・・

ユキ「… zzzz…」スースー・・・


王女の部屋へ行くと、ゆみはあの丸い大きなベッドの上で、気持ちよさそうに寝息をたてていました。

そして… あの、満月の夜に教会にいた女が、ゆみの胸に頭をもたせて眠っていました。


サトミ「さあモモ、ひとおもいにやってしまえ」

カオリ「寝てる今がチャンスだよ…!」

ムツキ「うむ…!」

モモ「……」


外を見ると、はるか地平線の彼方が、ぼんやりと明るくなってきているのが見えました。

あと数分で、太陽が昇り、その日の光がこの部屋に届いた瞬間、モモの体は砕け散ってしまうことでしょう。

それを防ぐには・・・ 今目の前にいるゆみを殺すしかないのです。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:23:46.33 ID:J9MS4e7k0

モモは、手の中の鋭いナイフをじっと見ました。

そして、再び眠っているゆみに目をとめました。

この時・・・ ゆみが、夢の中で、花嫁の名を呼びました。

その名は、もちろん、“モモ”ではなく、“ユキ”という名でした。

モモの手の中で、銀色のナイフが震えました。


モモ「・・・・・・・」スゥ・・・


モモは、震えをおさえながら、ナイフを振り上げました。

そして・・・



 ヒュンッ


 グサァッ!!

173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:25:54.29 ID:J9MS4e7k0

サトミ「え?」

カオリ「は!?」

ムツキ「うむ…?」


三人の姉たちは自らの目を疑いました。

モモの振り下ろしたナイフは・・・ モモ自身のうんこボディに突き刺さっていたのです。


カオリ「も、モモちゃん…? 一体、何を…!!」

モモ「……」ニコオ・・・


モモは、死が近づき、霞んできた目で愛する姉を見ました。

その目からは、透き通った天の水が溢れてきました。


モモ「お姉さま・・・ ありがとう・・・・ そして・・・・・」


モモ「さようならっ!!」バッ!
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:28:14.00 ID:J9MS4e7k0

モモは、体にナイフが刺さったまま、突然駆け出し、部屋の窓から外へと飛び出しました。

そして、海の方に向かって猛然とダッシュを始めたのです。


サトミ「ど、どこへ行くんだっ! モモ!!」バッ


三人の姉たちも、慌ててモモの後を追いました。

しかし、一体どこからあのようなパワーが出てくるのか・・・ モモはまるで風のように走り、ぐんぐん姉たちをつき放していきます・・・


そして、下が海になっている断崖絶壁のふちまで来たモモはそこで振り返り、姉たちに向かってニッコリと微笑むと、後ろへ、その身を投げたのでした。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:30:10.11 ID:J9MS4e7k0

落下してゆくモモの体を、ちょうど、昇ってきた太陽の光が照らし、その瞬間、モモの体はバラバラに砕け散りました。

そして、海に落ちるとたくさんの魚たちが集まり、そのモモの体の切れ端を食べていきました。


その様子を、モモの魂が、上から眺めていました。


モモ(・・・これで・・・ これで、良かったんっす・・・)スウゥー・・・


モモの魂は一筋の光となって、天へと昇っていきました。


176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:32:36.19 ID:J9MS4e7k0

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長野・鶴賀学園麻雀部部室


桃子「ねえ、先輩…」

ゆみ「ん、なんだ? モモ?」スッスッ

桃子「私たち… 付き合い始めて、もう二か月になるんっすね…」

ゆみ「あ、ああ、そうだな…/// モモ、蒲原たちがいないからって、そういう話は学校ではするな」

桃子「へへ、ごめんなさいっす♪」ペロッ


早朝・・・ 牌譜をめくっているゆみの横で、東横桃子はヒマそうに雀卓の牌をいじっていた。

朝練と称して、部室でゆみと二人きりになれるこの時間が彼女は好きだった。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 01:35:11.53 ID:J9MS4e7k0

桃子「・・・先輩、私、時々思うことがあるんっす」ジャラジャラ

ゆみ「うん、何を?」

桃子「私と先輩って、どこか・・・ 別の世界・・・ 前世でも会ってたんじゃないかなって・・・」

ゆみ「…輪廻転生か。 モモ、お前はたまに思いついたようにロマンチストになるな」

桃子「だって、感じるんっす。 私は、ずっと前から、先輩のことを知っていたって・・・」

ゆみ「………」

桃子「先輩」

ゆみ「うん、なんだ…」



桃子「今度こそ、私のことを幸せにして下さいね♪」ニッコリ




(カン)

178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/21(水) 21:35:45.21 ID:LprB/7Ud0
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/11(水) 00:33:41.92 ID:+K1r+KaE0
番外編完結したので貼っときます

咲「京ちゃん、どうして頭にうんこのっけてるの?」京太郎「おう、これはな…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480847839/
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/11(水) 00:41:45.34 ID:+K1r+KaE0
爽「テスト」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/10(金) 23:27:26.84 ID:jfz1kI4M0
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/09(木) 22:14:39.21 ID:sBVWzYAi0
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/09(日) 01:26:46.40 ID:7i3/poqc0
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 00:14:42.37 ID:8RXHNLKeo
保守
こんな素晴らしいスレがあったとは……
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/22(月) 19:52:18.20 ID:iTzyQNgu0
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 02:41:38.82 ID:wDdIzqXU0
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/23(金) 12:50:10.22 ID:CBpIigLRo
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 21:30:17.31 ID:M2IOqm0E0
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/19(土) 23:59:29.45 ID:D0M5njmL0

その46.〜月曜時代劇「水戸肛門」〜 



時は江戸中期・・・

とある大きな屋敷の奥まった一室から、二人の女が酒を酌み交わしながら談笑する声が漏れていた・・・

日はとっぷりと暮れ、時刻はとうに亥の刻(午後10時頃)を回っていた。


久「フフ…w それにしても池田よ、あなたも悪よねぇ…」ククク…

池田「にしししッ!ww いえいえ、お代官様ほどじゃないし!w」ムホホホ


 ワハハハハハハハ・・・w  クックックックック・・・・ww


蝋燭で照らされたぼんやりとした明かりの中に、二人の女の醜悪な笑みが浮かぶ…

金の扇子を片手に、豪奢な羽織袴に身を包んだ女の名は竹井久… ここ信濃の街で、自らの権力をタテに一部の商人を優遇することで暴利をむさぼっている悪代官である。

そして向かいのネコ耳の生えた女は、久が御贔屓にしている悪徳商人の一人であった。
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:01:13.00 ID:hLy/TudJ0

池田「お代官様、今日は手土産を二つ用意してきたんだし」ニッ


黒い三角耳をぴこぴこと動かしながら、媚びへつらうように嫌らしい笑みを浮かべる池田…


久「いつも悪いわねぇ。 何かしら?」

池田「おいっ、入ってこいっ!」パンパン!


 シツレイイタシマス…


池田が手を叩くと、か細い声と共にススッと障子が開く…

そこには、赤紫の簪で髪を結わえた小柄な少女が、うやうやしく頭を垂れ、両手をついてかしこまっている姿があった。


ユキ「・・・お代官様、ユキと申します。 今宵は私が御相伴のお相手を務めさせて頂きます…」

久「あらっ! これは上玉ねぇ…w」ニタァ…


代官はペロリと蛇のように舌を出して自分の上唇を舐めた。
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:03:56.08 ID:hLy/TudJ0

池田「借金のカタに取引先の料亭の娘をさらってきたんだし。 家業の取り潰しがかかってるからなんでも言う事聞くし!」ヒソヒソ

久「ふぅん…」ジロジロ


ユキの、その華奢でありながら非常に豊満な乳房を併せ持つ身体を、上から下まで万遍なく睨め回す久…

池田は久の好色ぶりをよく識っており、時折こうして若い町娘を都合してきては袖の下の一つとして差し出していたのである。


ユキ「……」

久「ふふっ、そんなに緊張しなくていいのよ? ほら、こっちに来て酌をしてくれるかしら?」

ユキ「は、はい」ススッ


ぎこちない手で徳利を持ち、久のお猪口に燗酒を注ぐユキ…

と、久の猪口とは逆の手が、ユキのハリのある尻をするりと撫でた。


ユキ「キャッ?!/// お、お代官様?!///」

久「あらごめんなさい? あんまり綺麗な形のお尻してるもんだから、つい、手がねw」

ユキ「…///」カアァーッ…


生娘のように頬を赤らめるユキ…


久(・・・間違いないわ。 この娘… 処女ね)ニタリ…


あらゆる美少女を抱いてきた悪代官久も、ユキの着物の下を想像すると、期待で心臓の鼓動が高まるのを抑えることが出来なかった。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:05:49.12 ID:hLy/TudJ0

池田「お代官様、そしてこちらが二つ目の土産の品だし…」ススゥ…


池田が、今度は脇から黒い漆塗りの重箱を取り出した…


久「…これは?」

池田「にしし…w “山吹色の菓子”に御座いますし!w」


“山吹色の菓子”・・・!

勿論中身は菓子などではない。 久が特別に便宜を図ることで、池田が一人占めした利益の一部… つまり小判である。


久「ふふっw 分かってるじゃない♪ ちょっと確認させてもらうわよ?」スッ

池田「どうぞだし!」ニシシ



しかしそれは・・・

久がその、重箱の蓋を持ち上げた瞬間に起こった。



 “ムワワワワワ〜ン”


久「ひっ?!」=3

池田「げぇっ!?」=3

ユキ「たわらばッ?!?」=3
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:07:17.92 ID:hLy/TudJ0


三人の悲鳴と同時に、得も言われぬ異臭が部屋全体に充満する・・・!


 ピカアアアァァァ―――ッッ・・・!!


久「なっ、なっ! なあぁ・・・何よコレッ!!」


代官が怒りとも驚きともつかない声で叫ぶ。

しかしそれも当然、何しろ重箱の中から現れたのは、黄金色の小判…などではなく、むしろ黄金そのもの・・・

そう、猫のフンがごっそりと入っていたのである。


重箱「… ドヤァ…」ムワワワ-ン・・・


池田「ど、どっ、どういうことだしこれは…!?」ワナワナ


猫のうんこというものは格別に臭い。

その臭気は人間や犬の数倍はあると言われている。

猫はうんこの臭いの元である動物性タンパク質を多く摂取し、尚且つ体を舐めることで体臭そのものを飲み込んでいるので、それが全てうんこの臭気となって還元されるからなのだ。

大型のネコ科動物である獅子の糞はさらにその上をいく… 其れが獅子が“百臭の王”として怖れられる所以である。
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:08:49.66 ID:hLy/TudJ0

と、その時、


?「ククク…w どうじゃ? 儂からの贈り物は…?」ココココ…

久「! 何奴?!」ギョッ


妖しげな声と共に障子が開けられ、現れたのは… 


ユキ「こ、肛門様…!」

爽「ほっほっほっw ユキさん、それがしが助けにまいりましたぞw」ユラリ


そこに現れたのは、大きな杖をつき、顎に立派な白ヒゲをたくわえた老爺…!

彼こそは越後のちりめん問屋の名を借りながら世直しの旅をしている、通称水戸の肛門様として知られるクソジ・・・否、天下の副将軍であった…!


爽「むふぉふぉふぉ…w どうやら年貢の納め時のようですな、悪代官!」

揺杏「おめーらの悪行の数々… 捨ておけねー!」ザッ

成香「大人しく縛につくのです!」ザッ!
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:10:10.96 ID:hLy/TudJ0

肛門様に続いて、揺杏之助、成香進のお供二人も現れた。


久「な、何よあんたたち…? 何処から入ってきたの?」

爽「ほほ…w なに、雪隠の窓から、ちょちょいとね…w」ククク…

久「っく…! 使えない警備ね! ええい出会え! 出会えぇーっ!!」バッ


 ドヤドヤドヤ・・・  ナンダナンダ  ワラワラガヤガヤガヤ・・・・


久の号令で、数人の護衛の者たちがめんどくさそうに集まってきた…


爽「クク…w いよいよクライマックスですな! さあ助さん、格さん! 性的にヤッておしまいなさいッ!!」クワッ
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:12:38.24 ID:hLy/TudJ0

揺杏「いや、その必要はねーだろ」

爽「へ?」ズルッ

成香「ここで大立ち回りとかナンセンスです」

爽「い、いや、でもさ… ここで悪党どもをとっちめるのがいつもの流れだろ?」

揺杏「そんなシーンはキンクリでいいんだよ。 めんどくせーからさっさとアレ出して終わらそうぜ?」

爽「……」


 ナンダコイツラ  ナニイッテンダ?  ガヤガヤガヤ・・・


揺杏之助の言うアレとは… 勿論、爽が天下の副将軍であることを示す葵の印籠のことである…!


揺杏「さてとそんじゃ… 控えいッ! 控えいぃッ!! このお方をどなたと心得る! 畏れ多くも先の副将軍、水…戸・・・あれ?」ピタッ


啖呵を切りながら懐に手を突っ込んだ揺杏之助の動きが止まる…


爽「ん? どーした助さんや」

揺杏「い、いや、それが・・・印籠がねえっ!!」

爽「何ぃ…?」ザワ…
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:14:09.59 ID:hLy/TudJ0

印籠が無い・・・!

水戸肛門にとって、葵の印籠は絶対の必須アイテム… それが無くては物語を終わらすことが出来ないッ!


揺杏「く…! ど、どうして…? どっかで落としたかな?」オロオロ

久「何やってんのよあんたたち… ほら者共ォ! さっさとこの賊を取り押さえなさいッ!!」


護衛の者たちが三人を取り囲み、じりじりと距離をつめてくる…!


成香「あ、ああ… もうおしまいですぅ…!」ガタガタ

爽「あきらめてはならん格さん! 印籠などなくとも、儂にはコレがある!!」ズバッ!

成香「ご、御老公!?」


目を見張る成香進…

なんと、水戸肛門は突然自分の袴をずり下げたのであるッ!


爽「目に入らぬかッ! この陰毛が!!」クワッ!

久「げぇっ?!」=3

池田「何やってんだしコイツww」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:16:27.39 ID:hLy/TudJ0

袴の下から現れたのは… 当然印籠などではなく、実に立派な、黒々とその威容を示す剛陰毛であった…


久「うっ、汚らわしい…! なんてモノ見せるのよアンタァ!!」


顔をしかめる悪代官…

しかしそれも当然、咲-Saki-キャラといえば、“履いていない”と共に“生えていない”のがデフォ… 好色の久と言えども、このような股間のジャングルを目にするのは初めてのことだったのだ。


爽「汚らわしい…? 何を勘違いしてるのだおぬし?」

久「は?」

爽「人は何故股間に毛が生えてるのか… その謎は、古来より有識者たちの議論の的となり、多くの学者たちによって盛んに研究がなされてきたのじゃ…」

池田「突然語り出したし」

爽「しかし! 現代では陰毛は陰部から発せられるフェロモンの香りをそこに停滞させ、異性をおびき寄せるためにあるのだという事が分かっている!」

爽「つまり… 忌むべきは“パイパン絶対主義”なのだ! 無毛の陰部崇拝など邪教! 陰毛を賞賛し愛でることこそが正義なのだっ!!」クワッ
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:18:10.91 ID:hLy/TudJ0

 “ざわ・・・!”


一同に不穏なる空気が流れる…!

言わずもがな、咲-Saki-界ではパイパン原理主義こそが世の趨勢というもの… よって陰毛礼賛など言語道断、愚の骨頂…!


久「・・・あなた、分かってるの? 自分が何を言っているのか…」ユラァ…

池田「パイパンを侮辱するのは大罪… 手討ちだぞ!」

爽「ふん… ならばこれならどうだっ!!」ズバアァッ!

副会長「あふぅん!?///」


続いて、なんと水戸肛門は警護に駆け付けた家来の一人に飛びつき、アッという間にその袴をずり下ろした…


久「っひぃ・・・!」


代官の目の前で、立派なお稲荷さんが二つ、ぶらぶらと揺れていた。



爽「目に入らぬかッ! この陰嚢がッ!!」クワッ

200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/20(日) 00:19:10.11 ID:hLy/TudJ0





その後… 水戸肛門一味は家宅不法侵入及び猥褻物陳列、パイパン侮辱の罪により牢に入れられた…

しかしその直後、密かに久たちの悪行の証拠を掴んでいた桧森奉行が遣わした同心たちによって久と池田は捕縛… 無事にユキと御老公たちは解放されたのだった…


爽「ほっほw 儂の最臭兵器を使うまでもなかったの! これにて一件落着!!」

爽「では助さん、格さん、行きましょうかな!」

成香「もう帰りたいですぅ…」

揺杏「やってらんねーよチキショー…」

爽「ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉっwww」



(カン)
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 18:52:49.45 ID:wWVFvPf40
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/19(木) 18:04:43.97 ID:g6TjYNUF0
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/19(日) 09:17:39.44 ID:xmCDMHby0
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/19(火) 07:26:19.08 ID:i7+dcwiu0
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 06:56:46.33 ID:jri/AFY20
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/19(月) 06:47:24.00 ID:ivYcYRrs0
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 14:57:30.11 ID:9ympLOsN0
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 06:53:57.46 ID:KASzw8NQ0
てすと
♦1 ♢2 ♡3 ♣4 ♠5
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/19(土) 17:28:54.98 ID:r6NcFYvQ0
てすと
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210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/01/19(日) 03:10:57.31 ID:FEvfnXKZ0
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