クマ「ゲッターロボ・クマー!」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:04:34.50 ID:sN33JMYg0
イーグル号パイロット『ぐ、おぉぉぉぉぉ……』

ジャガー号パイロット『お、おお、おおお……!』

オペレーターA「イーグル号! ジャガー号! 安定していないぞ、どうした!」

オペレーターB「血圧、網膜反応低下! 博士、このままでは危険です!」

早乙女「続けろ」

オペレーターB「しかし!」

早乙女「我々にただの人間は必要ない」

イーグル号パイロット『ぎ、ぎ、ぎ……ぎゃばっ――――』

ジャガー号パイロット『ぎゃああああ…………』

オペレーターA「……イーグル号、ジャガー号、共にパイロットの生体反応消失。墜落します……」

早乙女「……ベアー号は帰投。イーグル号とジャガー号の残骸を回収しろ」

カラン カラン
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:05:19.75 ID:sN33JMYg0


???「…………また、違ってたクマ……」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:06:36.39 ID:sN33JMYg0

 ゲッターロボ・クマ


.    第 一 話


.   【ナガレ】
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:07:39.17 ID:sN33JMYg0
―――

――――――

―――――――――


黒服A「一文字 流(イチモンジ ナガレ)だな」

ナガレ「……そうだが、お前らは?」

黒服B「それを知るかどうかは、お前次第だ」

チャキ

ナガレ「ヘッ……一般人相手に刃物を出すか。とりあえず、まともじゃねえのはよく分かった」

黒服C「掛かれ!」

ババッ

ナガレ「おっと!」ヒョイ

黒服A「ハアッ!」

黒服B「ウオーーー!」

ナガレ「とろっくせえなあ! オラァ!」

ドカッ! バキッ!

黒服B「がっ……」

黒服A「ぐはぁ……」

ドサ……
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:08:47.78 ID:sN33JMYg0
ナガレ「さて、これで残るはお前一人。そらそらどうした。眠りこけたお仲間を起こさなくていいのかよ?」

黒服C「クソガキが……イヤーッ!」

ドシュッ

黒服C「ば、馬鹿な……剥き身の刃を素手で……!?」

ナガレ「残念だったな」

ゴキャッ

黒服C「ぎょへっ……」

ナガレ「次はバズーカでも持ってきやがれってんだ。おー、いて……」


カラン カラン


ナガレ「ッ……! 何モンだ!」

早乙女「流石だな、一文字 流」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:10:23.21 ID:sN33JMYg0
ナガレ「……誰だ、ジジイ。テメエがこいつらを差し向けたのか?」

早乙女「そうだ、と言えば?」

ナガレ「だとしたら、慰謝料を貰わねえとな。見ろよこの手の怪我、どうしてくれんだよ?」

ナガレ「有り金全部寄越しな、ジジイ」

早乙女「クックック……調べた通りのクズだな」

ナガレ「何だと?」

早乙女「18歳。男。両親は小学生の頃にハチュウ人類の襲撃に巻き込まれて死亡」

早乙女「親戚の家に引き取られるが、非行を繰り返し、中学を中退」

早乙女「そして親戚の家を出、以降は暴力と恫喝で得た金で生計を立てている」

早乙女「技術も減ったくれもない喧嘩殺法を得意とする……」

ナガレ「……何者だ。俺に何の用だ」

早乙女「ハチュウ人類と戦ってもらう!」


早乙女「人類の希望、『ゲッターロボ』に乗って――――!」


ナガレ「……下駄、ロボ!?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:11:28.11 ID:sN33JMYg0
 ―― 早乙女研究所 ――


ナガレ「浅間山の麓に、こんな研究施設があったとはなー」

早乙女「人類の敵、ハチュウ人類……その猛威に対し、世界各国は各々の対抗手段を作り出した」

早乙女「ハチュウ人類が操る巨大ロボット『メカザウルス』に対抗するため、同じく巨大ロボット、スーパーロボットを……」

ナガレ「でも、まともに戦えているのはアメリカのテキサスマックとステルバーくらいじゃねえか」

ナガレ「ま、それも辛うじてってレベルだけどな」

早乙女「人類が開発したスーパーロボットを駆使して尚、人類滅亡への道を緩やかにしただけ」

早乙女「それは、そのロボットがハチュウ人類に対する正解答ではないからだ」

ナガレ「とすると、ここはその正解を作ってるってわけか? その、下駄ロボ?」

早乙女「ゲッターロボ」

ナガレ「そう、それ。それが、今までのロボットと何が違うってんだ?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:12:22.10 ID:sN33JMYg0
早乙女「正しくは、ゲッターロボがエネルギーとするゲッター線だ」

早乙女「宇宙から降り注ぐ進化の光線……今日に至るまで、地球上のあらゆる生命体に進化と淘汰を与えてきた」

早乙女「ハチュウ人類の祖先である恐竜は、ゲッター線によって滅ぼされ、地底へと追いやられたのだ」

早乙女「ゲッターロボは、そのゲッター線を武器とする……」

ナガレ「早い話、弱点を突く方法を見つけたって事だろ?」

早乙女「馬鹿だが、要点を掴むのは上手いな」

ナガレ「殺すぞジジイ」

早乙女「着いたぞ」

ナガレ「アン?」

早乙女「これが、ゲッターロボだ――――」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:14:57.72 ID:sN33JMYg0
ナガレ「……俺には、バカでかい飛行機に見えるんだが」

早乙女「紅い機体がイーグル号。白い機体がジャガー号。黄色の機体がベアー号」

早乙女「この三機のゲットマシンが合体する事で、ゲッターロボはその姿を現す」

ナガレ「合体……? これが……?」

ナガレ「クックック……アーッハッハッハッハ!」

ナガレ「クク……付き合ってられねえな、ジジイ。俺は帰らせてもらう」

早乙女「帰る場所があるとでも思っているのか? お前のような屑に」

ガッ

早乙女「離せ」

ナガレ「本当に殺すぞ、ジジイ」

早乙女「このゲッターロボは、常人には乗れん。これから先の地獄に、人間は不要だ」

早乙女「死んでも良い者が、そして死なない者のみが、このゲッターロボに乗れる!」

ナガレ「ならまずテメエが死ぬか!? アアン!」


キュムキュムキュム

???「止めるクマ!」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:15:58.14 ID:sN33JMYg0
ナガレ「ア? てめえ、誰に物を……」

???「早乙女博士を離すクマ!」

ナガレ「…………ジジイ、これは俺の見間違いか? 頭がおかしいのは俺か?」

パッ

早乙女「さてな。狂っているのは、この世界なのかもしれん。とにかく、これは現実だ」

キュムキュム

???「早乙女博士、大丈夫クマ?」

早乙女「ああ、心配ない」

ナガレ「これが現実なら、ジジイ……俺の目の前にいるのは」

ナガレ「喋るチビの『熊』って事になるんだが――――!?」


クマ「うるさい人間クマ! クマはクマだクマ!」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:17:47.23 ID:sN33JMYg0
ナガレ「ク、クマだと……!」

早乙女「そうだ。こいつは正真正銘の熊だ」

ナガレ「嘗めんじゃねえぞ、喋れるクマがいるものかっ!」

早乙女「それを可能としたのが、ゲッター線だ」

ナガレ「なァに?」

早乙女「ゲッター線は進化を促す光線。こいつは取り分け、それの影響を受けやすい体に生まれた」

早乙女「急激な進化を受けたこいつは、人間の言語を理解し会話を行える知能と、二足歩行と前脚の自由を獲得した」

早乙女「熊のとしての本来の強靭な肉体を有したままに、だ」

クマ「その通りクマ」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:19:46.07 ID:sN33JMYg0
ナガレ「おい、熊公」

クマ「なにクマ?」

ナガレ「名前が?」

クマ「クマだクマ」

ナガレ「生物学上の分類は?」

クマ「ツキノワグマだクマ」

ナガレ「語尾が?」

クマ「クマだクマ」

ナガレ「一人称」

クマ「クマだクマ」

ナガレ「ジジイ、翻訳をよこせ!」

クマ「ちゃんと喋れてるクマ!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:21:35.32 ID:sN33JMYg0
クマ「早乙女博士、このうるさい人間は何者クマ?」

早乙女「パイロット候補だ」

クマ「えっ……この人間がクマ?」

ナガレ「乗るなんて言ってねえ」

クマ「こっちだってお断りクマ! お前みたいな野蛮なサルみたいな人間と一緒にゲッターに乗るなんて嫌クマ!」

ナガレ「何だと? お前まさか、あの機械に乗るのか?」

早乙女「そうだ。こいつはベアー号パイロット」

クマ「正式なゲッターパイロットだクマ!」

ナガレ「冗談じゃねえ! 得体の知れねえ生き物とワケの分からん機械に乗れってか!」

ナガレ「ますます付き合えねえな! 他の物好きを当たりやがれ!」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:24:24.93 ID:sN33JMYg0
ギュインギュイン! ギュインギュイン!

ナガレ「なっ、なんだ! このサイレンは!」


「ハチュウ人類の襲撃! ハチュウ人類の襲撃! メカザウルスが一機! 南南西三〇〇m!」


早乙女「来たか……」

ナガレ「ハチュウ人類だと! このサイレンは、奴らの襲撃を知らせてるのか!」

クマ「早乙女博士ッ! クマ、ベアー号に搭乗するクマ!」

キュムキュムキュム

早乙女「ああ。ナガレ、お前も乗れ!」

ナガレ「はあっ!?」

早乙女「ワシがジャガー号、お前はイーグル号だ! 来い!」

ナガレ「ふざけた事抜かすな、ジジイ!」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:28:40.75 ID:sN33JMYg0
ナガレ「勝手に連れてきて、勝手に俺の立場決めて、テメエ何様のつもりだ!」

ナガレ「奴らハチュウ人類に、あんなスクラップで何ができる!」

ナガレ「動かせるかどうかも、戦えるかどうかも分からねえ機械に、テメエの命を乗せられるワケねえだろ!」

ナガレ「俺は俺の為だけに生きる! こんなところで死ぬなんざゴメンだし、お前らの言葉に従うのは癪だ!」

ナガレ「勝手にやってろ、俺は逃げる!」


クマ『情けないクマ!』


ナガレ「ッ……スピーカーからあの熊公の声が」

早乙女「クマ……」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:31:09.64 ID:sN33JMYgo
クマ『所詮は口だけクマ。威張っていても、実際は臆病者の度胸無しだクマ!』

ナガレ「ンだと……降りてきやがれ、クマ野郎! ぶっ殺してやる!」

クマ『野生では、今日明日生きられる保証はないクマ。いつ死ぬか分からないクマ』

クマ『だからみんな知恵を絞って、本能に従って、時には戦い、時には逃げたクマ!』

クマ『でも逃げたら、弱くなるクマ! どんどんと、体とは別のところが死んでしまうクマ!』

クマ『だから戦うクマ! 戦えるなら、勝てるなら……明日の為に、今日を戦うんだクマ!』

クマ『今のお前は群れの中で一番下クマ! 一番弱い、一番いらないクマ!』

クマ『それでいいクマ!? 達者な口は、それを動かす自信があるからじゃないのかクマ!?』

クマ『一文字 流!』

クマ『お前を見つけた早乙女博士を、お前を選んだゲッターを信じるクマ!』
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:32:13.35 ID:sN33JMYgo
ナガレ「…………口が達者なのは、お前も同じじゃねえか」

ナガレ「ケッ! あのクマなんぞに発破掛けられたってのがムカつくがな」

ナガレ「気が変わったぜ、ジジイ。乗ってやろうじゃねえか、あの機械に」

ナガレ「お前が作った自慢の『ゲッターロボ』にッ!」

早乙女「ふっ……それでこそだ」

早乙女「来い、ナガレ!」

ナガレ「命令すんな、ジジイ!」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:33:35.88 ID:sN33JMYgo
 ―― イーグル号内部 ――

ナガレ「…………って、操作方法分からねえじゃねえか!」

ナガレ「説明書とか付いてねえのか! おいジジイ、熊公!」

クマ『騒ぐんじゃないクマ! お前みたいな単細胞の馬鹿でも操縦できるように、使うのは手元足元のレバーとスイッチだけクマ!』

クマ『それ以外は音声認識になっているクマ!』

ナガレ「レバーとスイッチ? こ、これか……?」

ガシッ

ナガレ「おい、本当にこれで大丈夫なんだろうな!」

早乙女『右手のレバーを引けば右に、左手のレバーを引けば左に進む』

早乙女『両方のレバーを同時に奥にやれば加速、引けば減速だ』

ナガレ「意外と簡単だな……よし、やってやらァ!」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:34:43.70 ID:sN33JMYgo
クマ『ナガレ。パイロットスーツは着なくて大丈夫クマ?』

ナガレ「へっ、あんなクソだっせェもん着れるかよ」

ナガレ「大体、お前だって手袋以外は何も着けてねえじゃねえか」

クマ『クマは丈夫だからクマ。でも普通の人間は、ゲッターの負荷に耐え切れないクマ』

早乙女『クマよ、心配は無用だ』

クマ『早乙女博士……でもクマ』

早乙女『確かにパイロットスーツはゲッターの常軌を逸した加速や、あり得ない行動による負荷を軽減するように設計されている』

早乙女『だが、この戦い……こんな道具がなくとも戦える者しか勤まらん』

ナガレ「ぺちゃくちゃ御託を並べるな。やってやればいいんだろうが!」

クマ『……後で泣いたって知らないクマ!』

ナガレ「泣くかよ、テメェこそ散々能書き連ねてくたばるなよ!」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:35:34.31 ID:sN33JMYgo
整備士『終わりました、いつでも出せます!』

早乙女『分かった。このまま出る。下がっていろ』

整備士『ハイ! みんな、下がれェーっ!』


ナガレ「ああ、そうだ、熊公」

クマ『何クマ?』

ナガレ「お前は言葉が多すぎる。さっき俺を焚き付けた時だがな、あんなもんは一言でいいんだ」

ナガレ「『死にたくなければ乗りな、クズ』。これだけでよ」

クマ『……クマはそこまで冷血じゃないクマ』

ナガレ「要約すればそんな事を言っていたがな」

早乙女『話はそれまでだ。出るぞ!』
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:36:01.15 ID:sN33JMYgo
ナガレ「イーグル号!」

早乙女『ジャガー号!』

クマ『ベアー号!』



「「「発進!」」」



バシュゥン!

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:37:00.51 ID:sN33JMYgo
ヒュオオオ……

ナガレ「ひょおー、すげえー!」

クマ『はしゃいでる場合じゃないクマ! 後方、メカザウルスを視認したクマ!』


メカザウルス「ギシャアアアアッッッ!」

ズズゥゥン……ズズゥゥン……


ナガレ「で、けえ……!」

早乙女『全高四〇mちょっとと言ったところか……』

ナガレ「チッ……ぶっ飛ばしてやる!」

ギュオン!

クマ『馬鹿っ、勝手に先行したら危険クマ!』

早乙女『戯けが……!』
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:38:23.99 ID:sN33JMYgo
メカザウルス「ギシャアアッッ!」

ズゥン!


ナガレ「操作はレバーとスイッチと音声認識……そしてレバーの持ち手の端にはスイッチ」

ナガレ「こう言うのは得てして武器の発射スイッチって相場が決まってるんだよ!」ポチッポチッ

パラララララララ

ナガレ「オラオラオラオラ!」

パラララララ

メカザウルス「ギシャアッ!」

カンッカカカンッカンカンッ

ナガレ「たっ、弾がはじかれた!」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:39:10.81 ID:sN33JMYgo
メカザウルス「ギシャアアッッ!」ブオン


ナガレ「うおっ!」グイッ

ギュオン

ナガレ「あっぶねえ……どうなってんだジジイ、武器が全然効かねえじゃねえか!」

早乙女『当たり前だ。それは生身のハチュウ人類用につけた豆鉄砲に過ぎん!』

クマ『このくらいで倒せるなら、他のスーパーロボットは苦戦しないクマ!』

ナガレ「それを早く言えよ! だったらどうする!」

早乙女『合体だ!』

ナガレ「合体……さっきも言ってたがよ、できるのか!」

クマ『それが『ゲッターロボ』の本領クマ! 早乙女博士が作ったゲッターを信じるクマ!』
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:40:09.71 ID:sN33JMYgo
メカザウルス「ギシャアアアアッッッ!」バクンッ


ナガレ「な、なんだ。メカザウルスの肩が開いたぞ!」

クマ『ミサイルクマ!』

ナガレ「なにぃっ!?」


メカザウルス「ギシャアッ!」

バシュンバシュンバシュンッ!


ナガレ「撃ってきやがったあっ!」

クマ『ナガレ! 加速してミサイルから逃げながら合体するクマ!』

ナガレ「ええい、それしかねえんだろ! やってやるよ!」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:41:23.95 ID:sN33JMYgo
クマ『一列になるクマ! イーグル号が先頭、ジャガー号が真ん中、ベアー号が最後クマ!』

早乙女『まずはワシとクマが合体する! ワシらがお前のイーグル号と合体するのだ!』

クマ『ナガレは速度を落とすだけでいいクマ! 合体の衝撃は大きいクマ、気を付けるクマ!』

早乙女『合体の際に、右のレバーのスイッチを押しながら叫べ! 『チェンジ、ゲッター1』だ!』


キィイイン……!

ナガレ「うるせえーーー! ミサイル避けながらお前らの話なんざ聞けるかァ!」


クマ『一列クマ!』

ナガレ「おりゃあッ!」グイッ

ギュオン

クマ『よし! 早乙女博士、いくクマ!』

早乙女『来い!』

ギュオン……

ガシィン!
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:43:02.30 ID:sN33JMYgo
ナガレ「ジジイと熊公のマシンが!」

早乙女『ぐうぅ……!』

クマ『早乙女博士、大丈夫クマ!?』

早乙女『心配するなッ……それよりも、合体を……!』

ナガレ「おいおい、大丈夫かよジジイ!」

クマ『よそ見しないクマ! ナガレ、スピードを落とすクマ!』

ナガレ「俺だけ蚊帳の外かよ、うおおおっ!」グイィ

ヒュウゥン……

早乙女『レ、レバーのスイッチを押して叫べ、ナガレェ……!』

ナガレ「ああ!? なんて言った!」

クマ『『チェンジ、ゲッター1』クマ!』



ナガレ「チェーーーンジ、ゲッターァ 1 !」

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:44:14.42 ID:sN33JMYgo


ガシィン!


グググ……


グワオン!


キィイイン……ドワオ! ドガン! バゴォン!


ヒュー……ズガァン!

パラパラパラ……

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:44:53.11 ID:sN33JMYgo
ナガレ「ミサイルの直撃を受けて、あの高さから落下して、無傷かよ……」

クマ『成功、したクマ』

早乙女『フッ……訓練も無しに、成功させるとは……』

ナガレ「これが…………これが!」


ナガレ「『ゲッターロボ』か―――――ッ!」

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:45:35.04 ID:sN33JMYgo
メカザウルス「ギシャアアアアッッッ!」

ナガレ「うるっせえ!」グイッ


ガン!


ガン! ガン! ガン! ガン!


ナガレ「おらあっ!」グイッ

バキィッ!

メカザウルス「ギャアアアアッッッ!」

ナガレ「まだまだアッ!」

ゴシャアッ!


クマ『すごいクマ……説明も受けないで、既にゲッターを手足のように動かしているクマ……』

早乙女『ぐ、うう……そうだ、それでいい、ナガレ……!』
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:48:45.47 ID:sN33JMYgo
ナガレ「もう一発……」

メカザウルス「ギシャアアッッ!」ブンッ

ドガッ!

ナガレ「ウオオオッ!」

早乙女『がはぁっ!』

クマ『クマーッ! ナ、ナガレ! むやみやたらに攻撃しても埒が明かないクマ!』

ナガレ「黙ってろ熊公! だったらテメエがどうにかできるってのか!」

早乙女『ぐふっ……。武器をぉ、使え……!』

ナガレ「ジジイ! ……血ィ吐いてんじゃねえか、オイ! 大丈夫かよ!」

クマ『早乙女博士!』

早乙女『ゲッター……ビームだ……!』

ナガレ「ゲッタービーム……?」

早乙女『ゲッター線をエネルギー光線に変換し、放つ……奴らハチュウ人類にとって……天敵の……!』

ナガレ「ジジイ!」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:49:56.50 ID:sN33JMYgo
クマ『…………「ゲッタービーム」。そう叫びながら、左のレバーのスイッチを押すクマ』

ナガレ「熊公」

クマ『正面の相手に向けて、撃つクマ。早くするクマ!』

ナガレ「……さっきみたいに、役に立たねえ豆鉄砲だったら、後でテメエら揃ってぶっ殺す!」


メカザウルス「ギシャアアアアッッッ!」ブンッ

ナガレ「おらあっ!」


ガシィッ


メカザウルス「ギシャアッ!?」

ナガレ「掴まれちまったら逃げられんわなァ、ええ?」

ナガレ「こちとら初めてなんでよ、これくらいは優しくしてもらわねえと当てる自信がねえのよ!」

メカザウルス「ギシャア! ギャアアアアッッ!」ジタバタ


ナガレ「くたばれ、トカゲ野郎!」

ナガレ「ゲッターーーッ! ビィーーーム!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:50:33.63 ID:sN33JMYgo

キィイン……キュオン

バオオォォォォオオオンン!


ナガレ「うおおおおおおおおおッ!」


クマ「クマーーーーーーー!」



メカザウルス「ギャアアアアアアアアアアッッッ…………!」

ドロドロドロ……


ズズゥン……
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:51:17.56 ID:sN33JMYgo
ナガレ「…………や、やったぜ。あの、クソ忌々しいトカゲを、それもメカザウルスを」

ナガレ「俺が、倒した……」

早乙女『どうだ、ナガレ……ゲッターの乗り心地は……』

ナガレ「最高だ、ジジイ」

早乙女『そうか……何よりだ……』

クマ『早乙女博士、早く戻るクマ。そのままだと危ないクマ!』

早乙女『ああ……』

クマ『ナガレ、研究所に戻るクマ』

ナガレ「分かってるっつの、命令するんじゃねえ、熊公!」

クマ『クマはクマだクマ!』


ガン ガン ガン ガン…………

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:53:50.54 ID:sN33JMYgo
第一話【ナガレ】終。

次回、第二話【ジン】。投下日未定。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/25(金) 23:43:34.59 ID:pwBEuX9Zo
艦これSSかと思ったのは俺だけじゃ無いと思う
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/25(金) 23:55:05.55 ID:D12P5VX+O
なぜこんなクロスを思い付いたんだ…
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/03/26(土) 10:23:48.12 ID:/o2hscvjO
いやこれ完全に球磨だろ
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/26(土) 10:35:17.56 ID:v7gP5urI0
アニメ第1話でメカザウルスに効かなかったゲッタービームとは大違いの威力だな
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:19:03.12 ID:0BT7o3o/o
艦これの球磨が人気なので急遽内容を変更して艦これクロスSSスレにするわけねーだろ!
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:19:44.65 ID:0BT7o3o/o
クマ『ナガレ。このままじゃ研究所に入れないクマ。合体を解除するクマ』

ナガレ「ああしろこうしろって言われてもやり方が分からねえよ。どうすればいい?」

クマ『「オープン・ゲット」って言うクマ。トップのパイロットが言うだけで、音声認識で合体解除できるクマ』

ナガレ「オーケー。オープン・ゲット!」

ガチャン! バシュゥン!

クマ『それから正面のモニターパネルでオートパイロットモードに変更するクマ』

クマ『そうすれば、研究所の誘導で格納庫にオートで飛行するクマ』

ナガレ「正面のモニターで……これか」ピッピピッ

ナガレ「はーあ、詰まらねえな。慣れる事も必要なんだからよ、パーッと飛ばさせてくれよ」

クマ『実戦の後のメンテナンスは必要クマ! 予想外の動作不良を起こしていたら、そのまま木っ端微塵クマ!』

クマ『死にたくないから戦ったのに、勝った後で死にたいクマ?』

ナガレ「そう言う理詰めは嫌いだよ。分かった分かった!」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:21:36.01 ID:0BT7o3o/o
ヒュウゥン……ガシャン ガシャンガシャン

整備士『機体の安定を確認。降りてきて大丈夫です』

ナガレ「っぷう。あー……ちょっと体が軋みやがるな」

ナガレ「おい、もうちょっと乗り心地は良くならねえのか? ゲッターは最高なんだが、飛行機の方が退屈だな」

整備士「飛行中、機体の下を開けて座席をぶら下げますか? 自由にバタついてもらっていいですよ」

ナガレ「乗り心地の話をしてんだよ」


クマ「さ、早乙女博士っ!」


ナガレ「ん……? どうした、熊公!」ダッ

タタタッ

ナガレ「じ、ジジイ……血塗れじゃねえか!」

早乙女「かひゅっ……かひゅーっ……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:23:26.31 ID:0BT7o3o/o
クマ「誰か医療班を呼ぶクマ! 担架でも良いクマ、早くするクマ!」

ナガレ「おい、ジジイ! てめえ乗る前はあんだけ威張り散らして、何だそのザマは……!」

クマ「 黙 っ て る ク マ !」

ナガレ「っ…………」

クマ「早乙女博士、早乙女博士……しっかりするクマっ……!」

ナガレ「ジジイ……」


クマ『クマは丈夫だからクマ。でも普通の人間は、ゲッターの負荷に耐え切れないクマ』


早乙女『確かにパイロットスーツはゲッターの常軌を逸した加速や、あり得ない行動による負荷を軽減するように設計されている』


ナガレ「耐えられないくせに、乗ったのかよ……そこまでする必要があるのかよ……!」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:24:21.70 ID:0BT7o3o/o
クマ「医療班はまだクマ!?」

整備士「今呼びました! 間もなく到着します!」

ナガレ「だああ! 待ってられるかァ!」

グイッ ドサッ

クマ「ナガレ!? 早乙女博士を背負ってどこ行くクマ!」

ナガレ「どっちに行けばいいんだよ! 教えろ熊公!」

クマ「……こっちクマ!」

ナガレ「おらおら、邪魔だ! 退きやがれーっ!」

ナガレ「ジジイ、何も話さねえでくたばりやがったら、骨の髄まで残らずハチュウ人類に食わせてやる……!」

早乙女「ナ、ガ……ぐふ……!」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:25:47.27 ID:0BT7o3o/o
 ―― 翌日 ――


ナガレ「よう、ジジイ」

クマ「早乙女博士っ」キュムキュム

早乙女「クマ、ナガレ」

ナガレ「頑丈なジジイだな。昨日あれだけズタボロになって、翌日には意識がはっきりしてやがる」

クマ「早乙女博士……大丈夫クマ?」

早乙女「ああ……すまんな、心配をかけて」

ナガレ「まったくだぜ。ジジイはジジイらしく、隠居してりゃいいんだ」

早乙女「そう言うわけにもいかんよ。まだやるべき事がワシには多すぎる」

ナガレ「だが、その様子じゃもうゲッターには乗れねえ。どうするんだ?」

クマ「ゲッターは三人での搭乗を前提としたスーパーロボットクマ……」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:26:49.16 ID:0BT7o3o/o
早乙女「それに関しては心配ない。既にパイロット候補を見つけている」

クマ「ほんとクマ?」

ナガレ「じゃあ、一緒にそいつもつれてくれば良かったじゃねえか。そうすりゃ、ジジイが無理する事も無かったぜ」

早乙女「そいつにはお前と違って人間としての生活があるからな。強硬手段には出られん」

ナガレ「ンだとっ……そりゃあ俺には人権もねえように聞こえるぜ!」

クマ「ちょっとナガレ黙ってるクマ、話がややこしくなるクマ」

クマ「早乙女博士、その候補はどんな人間クマ?」

早乙女「これだ……」ゴソゴソ

スッ……

ナガレ「写真?」

クマ「クマ」


ナガレ「……ジジイ、マジか。マジで言ってんのか?」

クマ「これ、女の人クマ」

早乙女「能力はお前たちにも劣らない。それに、ゲッター乗りとして相応しい性質を持っている」


早乙女「名を、橘 神(タチバナ ジン)。弁護士だ」

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:28:15.80 ID:0BT7o3o/o

 ゲッターロボ・クマ


.      第 二 話


.      【ジン】

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:29:06.66 ID:0BT7o3o/o
 ―― 橘法律事務所 ――


ジン「…………」カタカタカタカタ

ジン「……………………」カタカタカタカタ

ジン「………………………………」カタカタカタカタ

コンコン

助手「橘先生、失礼します」

ジン「あ、マイちゃん」

助手「お茶が入りました。どうぞ」コト

ジン「ありがと。丁度、休憩しようと思っていたのよ」

助手「嘘ばっかり。ずっと集中していたじゃないですか」

ジン「あら、ばれてた?」

助手「私がこうやって邪魔に入らないと、先生ってば何時までもパソコンと睨めっこしてるんだから」

助手「眼鏡、また度が上がったんですよね?」

ジン「ハイハイ。気を付けるわ」ズズ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:29:42.74 ID:0BT7o3o/o
ジン「あら、美味しいね。お茶っ葉、変えた?」

助手「分かります? 流石は橘 神、鋭い視点でズバッと切り込む凄腕弁護士!」

助手「その上ぷくっとボインなナイスバディ、男が振り向き女が妬む美貌の持ち主! いよっ!」

ジン「後半は関係ないでしょ。いつも飲んでるんだから、これくらいはね」

助手「ま、そうなんですけどね……」

ジン「…………」ズズ

ズズ……


ジン『ヒヒヒ……』

助手『や、止めて……』

ジン『フひゃあッ!』ヒュッ

ザシュッ!

助手『ぎゃああっ!』

ジン『ヒへははははは! ギヒ、ギヒイッ!』

グチャッ ドチャッ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:30:40.41 ID:0BT7o3o/o
助手「――――せい。先生?」

ジン「ッ…………あ。な、なに? どうかした?」

助手「それはこっちのセリフですよ。先生、カップに口付けたままボーっとするから」

ジン「あ……うん」カチャ

ジン「ゴメン。ちょっと、外に出るわ」

助手「あれ? 今日、何か予定がありましたっけ?」

ジン「ええ、ちょっとね。暫く戻らないから、後は頼むわ」イソイソ

助手「あ、はい……分かり、ましたー……」

バタン!


カツカツカツカツ

ジン「…………あ、もしもし。牧村メンタルクリニックですか?」

ジン「すみませんが、今すぐに診察をお願いしたいんです。ハイ、橘 神と……」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:31:28.63 ID:0BT7o3o/o
 ―― 牧村メンタルクリニック ――


牧村「また、妄想ですか」

ジン「……はい。今日は、助手の女の子を、私が、この手で……」

ジン「惨く、嬲り殺しにした幻を見て……!」

ジン「その前は、電車の中で知らない男性……その前は、兄を!」

牧村「誰かを目の前にすると、その人を惨殺する妄想を見る……前回と同じですね」

ジン「先生! 本当に私は真っ当な人間なのでしょうか! そんな妄想を無意識に見るなんて、普通じゃない!」

ジン「怖いんです……その残虐性が、誰かを傷付ける事に悦びを感じるのが、私の本性かもしれない事が!」

ジン「もう、頭がおかしくなりそうでっ……!」

牧村「落ち着いてください、橘さん」

ジン「うう、ううう……!」

牧村「ゆっくり、向き合っていきましょう」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:33:01.48 ID:0BT7o3o/o
ジン「すみません、先生……取り乱してしまって」

牧村「不安に駆られれば誰だってああなります」

牧村「ふむ……精神の不安はストレスが理由の事が多いです。そう言った妄想の原因は、実生活での抑圧かもしれませんね」

ジン「抑圧、ですか……」

牧村「弁護士、と言う仕事柄、法律に触れる事が多いでしょう」

牧村「あれをしてはいけない、これをしてはいけない、と言う知識がある半面、その状況がストレスでもある」

牧村「それが、「自由でない」と言う意識に繋がっている……と言う事も考えられます」

ジン「そんな……私は心から、この仕事を楽しんで!」

牧村「勿論、それを疑いはしません。可能性の一つです」

ジン「…………はい」

牧村「とは言え、仕事漬けと言うのも体に悪い」

牧村「実際、休暇を取ってみてはいかがでしょう? 同時に、少し遊んでみては?」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:33:35.63 ID:0BT7o3o/o
ジン「遊ぶ……ですか」

牧村「ええ。クラブで夜通し遊び倒す、とかね。要するに、開放的な気分になれる「遊び」をすればいいんです」

ジン「開放的な気分……」

牧村「人間は不安不満を抱える複雑な心理構造を持つ上で、何か一つで満たされればそれを解消できる単純な生き物なんです」

牧村「たとえ殺人欲求、嗜虐欲求があったとして、別方向で心を満足させれば良いんです」

牧村「それが、遊び。あなたの事だから、まさか犯罪に手を染めやしないでしょう」

ジン「そう言われても、何をすればいいのか……」

牧村「……そう言えば、ジムに通っていらっしゃるとか?」

ジン「ええ、ハイ。週に三回……体を動かすのが好きなので。今日も仕事帰りに行く予定でした」

牧村「でしたら、屋外スポーツなんてどうです? スキーとか、スカイダイビングとか、登山とか」

ジン「屋外スポーツ、ですか……」

牧村「気楽に考えていいんです。自由にいきましょう」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:34:36.21 ID:0BT7o3o/o
牧村「今日はこのくらいにしておきましょう。念のため、いつもの精神安定剤を出しておきます」

ジン「はい、ありがとうございました」

牧村「本当は、他の誰かに話せれば良いのですが……難しい話ですからね」

ジン「…………はい」

牧村「……では、お大事に」

ジン「ハイ……」

ジン「…………あの、先生。最後に一つ、いいですか?」

牧村「なんでしょう?」

ジン「気付いた事があって。妄想の私は、いつも、眼鏡を掛けていないんです。何か関係があるのでしょうか?」

牧村「…………この場では判断しかねますね。とりあえず、眼鏡は掛けたままで大丈夫でしょう」

ジン「分かり、ました。ありがとうございました……」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:35:40.89 ID:0BT7o3o/o
 ―― ジンの家 ――


ジン「ただいま……」ポイッ

ドサッ……ボフン

ジン「はあ……」ゴロン

ジン「私、どうしちゃったんだろ……昔はこんな事、なかったのに」

ジン(こんな事、誰にも相談できないし……お母さん、お父さん、お兄ちゃん……)

ジン(遊び、か……何をしたらいいんだろう。火遊び的なのは、したくないし……)

ジン「……この時点で、自由じゃないし……もう、やだ」

ジン「彼氏でも、作ろっかな……」

ジン「…………リモコン」モゾモゾ

ピッ

『――――ヨークに出現したメカザウルスを、ステルバー、テキサスマックのタッグで撃破……』

ジン「…………何かやるんだったらいっそ、ハチュウ人類共を根絶やしにしたい」

ジン「できるわけないよねぇ〜〜〜〜! ハァーン、もーーー、嫌っ!」ボフッ
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:37:09.78 ID:0BT7o3o/o
 ―― 数日後 ――


ジン「…………」カタカタカタカタ

助手「橘先生、お疲れ様でーすっ!」

ジン「うん、お疲れさま。気を付けて帰るのよ」

バタン

ジン「…………」カタカタカタカタ

ジン「……………………」カタカタカタカタ

ジン「…………ハッ! もうこんな時間かっ」

バタバタ

ジン「電気良し!」パチン

ジン「施錠良し!」カチャリ

ジン「駄目だぁ〜、仕事から離れて休めって言われたのにー……」

カツカツカツカツ……
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/01(金) 23:37:12.64 ID:8HDDQ1YUO
橘 神→「號」の橘翔と神隼人の名字を組み合わせたもの


牧村→デビルマンから

これで合ってる?
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:37:44.98 ID:0BT7o3o/o
ウィーン……

ジン「フッ、フッ、フッ、フッ」

インストラクター「よーし。橘さん、あと一キロで休憩にしますか」

ジン「ハイっ。フッ、フッ、フッ……」

ブルンブルンブルン……

インストラクター「まじ絶景……」

ジン「へっ? 今、何か言いましたっ?」

インストラクター「べっ……いえ、橘さん、良い腹筋してますねって」

ジン「ああ、はいっ。ありがとう、ございますっ」

ブルンブルンブルン……
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:39:20.52 ID:0BT7o3o/o
>>58
大正解。ナガレも同じ命名方法だけど。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:40:42.97 ID:0BT7o3o/o
インストラクター「…………橘さん、この後に予定とかあります?」

ジン「予定、ですか? 帰って、ゆっくりする、つもりですけどっ」

インストラクター「もしよければ、一緒に飯とかどうっすか?」

ジン「すみませんっ。明日の、仕事に、障ると、嫌なのでっ」

インストラクター「あ、はい……」

ジン「フッ、フッ、フッ、フッ」

インストラクター「…………あ、一キロっす。そこまでで」

ジン「はいっ。はー、はーっ……」

ジン(…………遊べないなあ、私)

インストラクター「ハイ、橘さん。水、どうぞ」

ジン「あ、ありが――――」


インストラクター『ぎゃああ!』

グシャッ バチュッ

ジン『ひゃは、ハアアアアッッ!』
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:41:39.99 ID:0BT7o3o/o
インストラクター「橘さん?」

ジン「…………あ」

インストラクター「大丈夫ですか? ぼーっとしてましたけど」

ジン「す、すみません。ちょっと、気分が悪くて」

ジン「帰ります」

インストラクター「ええっ? ああ、いや……それなら、分かりました。大丈夫ですか?」

ジン「大丈夫です。失礼します……」

インストラクター「……チッ、間接キス失敗」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:42:23.34 ID:0BT7o3o/o
カツカツカツカツ

ジン(早く帰ろう。帰って休もう。マイちゃんに連絡して、明日は休もう)

ジン(もう駄目だ。何かして気を紛らわそう)

カツカツ

ジン(……薄暗いし、人通りも無いからいつも通らない道だけど、こっちの方が駅に近い)

ジン「…………」グッ

カツカツカツカツ

チンピラ「よー姉ちゃん。そんなに急いでどこ行くんだぁい?」

ジン「ッ……」ピタ

ジン(最悪……一人だけなら戻れば何とか)
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:43:26.58 ID:0BT7o3o/o
カサッ……

ジン(後ろ――――!?)

チンピラB「よっとォ」ブオン

ジン「くっ!」バッ

チンピラA「うぉーい、外すなよばぁか」

チンピラB「外してねえよ避けられたんだよ。あーあ、避けなきゃ余計に痛い目に合わずに済んだのにー」

ジン「あなたたち……暴行罪よ」

チンピラB「いやいや、ハチュウ人類に滅ぼされるのに法律とか無意味っしょ」

ジン(二人……片方は木製バット。もう片方は折り畳みナイフ)

チンピラA「法律より大事な生命の存続ってのがあるからさあ。生き物って危険に晒されると生殖活動に躍起になるらしいし?」

チンピラB「お姉さんも人類存続のお手伝いしよーよぉ。元気な子供作ろうぜぇ?」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:44:09.30 ID:0BT7o3o/o
チンピラB「そんなわけでさ、ちょっと気絶しててヨッ!」ブン

ジン「ヒュッ……」スッ

スカッ

ジン(引いて、踏み込んで)

チンピラB「あ?」

ジン「ふっ!」

グチャ!

チンピラB「ぎょっ……!?」

カラン ドサッ

チンピラB「アッ……アッ……!?」ピクピクッ

チンピラA「きっ、金的……!?」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:45:08.04 ID:0BT7o3o/o
チンピラA「この、アマぁ!」チャキ

ヒュン

ジン(振ったナイフが返ってくる時に)

チンピラA「オオオアッ!」グン

ジン(腕を滑り込ませて防ぐ)

ガッ

チンピラA「うっ!」

ジン(そのまま鳩尾を殴る)スッ

ズガッ!

チンピラA「がっ……」

ジン(落としたナイフを拾って、太腿に刺す)チャキ

ヒュン ドスッ!

チンピラA「ぎっ……ゃああああああぁぁっっ!?」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/01(金) 23:45:51.32 ID:z7kGbrQvo
牧村って名前でさらにクラブで夜通しって言われたら、デーモン召還しか浮かばないw
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:46:02.55 ID:0BT7o3o/o
チンピラA「いでえ、いでえッ!? ぐあああああああ……!」

ジン「自業自得よ。ちゃんと左脳と下半身は別けておくべきだったわね」

ジン(嫌だけど警察呼んで、さっさと証言して帰ろう)


ナガレ「見事だな、女」


ジン「ッ……まだ一人!?」バッ

ナガレ「似たようなもんだが、そいつらと一緒にされるのは癪だな」

ジン「なら、なんだって言うのよ……」

ナガレ「ただの使いっ走り。面倒臭ェと思っていたが……ま、流石ジジイが目を付けただけはある」

ジン(何なのよ、もう……今日は厄日か何かなの?)
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:46:45.90 ID:0BT7o3o/o
ナガレ「金的に、鳩尾に一発、ナイフを奪って太腿にブスリ」

ナガレ「動きの一々に迷いがない。ジジイが欲しがるわけだ」

ジン「あなた、何を言って……」

ナガレ「相手を傷付ける事に躊躇いが無い、筋金入りのクズか」

ジン「うっ…………」

ジン(そうだ、私は何を考えていたんだろう)

ジン(正当防衛が成立する状況だったとはいえ、どうして、ここまで)

ジン(いえ、私は、その事すら考えていなかった! 私は……!)


ジン『ヒャハハハハハハハッッッ!』


ジン「ヒッ!」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/01(金) 23:47:41.24 ID:8uGNcy160
どういうことなの…
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:50:07.13 ID:0BT7o3o/o
ジン「ちっ、違うのよ。この男たちが、私を襲ってきて」

ナガレ「否定するなよ。そんな中途半端なモンは要らねえって話なんだからよ」

ジン「…………あなた、何者なの……」

チンピラA「あああ! いてえ、ぐそおお!」

ナガレ「うるっせえよ、黙ってろ!」

ゴシャッ!

チンピラA「びっ――――」

ナガレ「寝てろ、ボケが」

ジン(だ、駄目……尋常じゃないわ。警察、警察を……)ゴソゴソ

ナガレ「テメエも!」

ブンッ

バキィッ!

ジン「ッ――――!」(携帯を破壊されたっ!)

ナガレ「余計な真似をするんじゃねえ」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:51:08.61 ID:0BT7o3o/o
ジン「……私に、何の用?」

ナガレ「テストだとさ」

ジン「テスト?」

ナガレ「このボンクラ共を一方的に叩きのめした時点で合格っちゃ合格だが……」

ナガレ「個人的な意見として、女を一緒に乗せてピーチクパーチク喚かれても困るんでな」

ナガレ「第二テストって事だ。構えろ、橘 神」

ジン(…………何なのよ、もう)

ジン(なんで私が、こんな目に合わなくちゃいけないのよ。なんで私が、こんな……)

ジン(どいつもこいつも、私の事を……!)


ポイッ ドサッ……

ジン「…………」

ナガレ「ヒュー。おっかねえ目をしやがる。なら、遠慮なくやらせてもらうぜ!」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:52:32.27 ID:0BT7o3o/o
ナガレ「おらあッ!」ブン

ジン「…………」スッ

スカッ

ナガレ「フッ! どりゃアッ!」

スカッ スカッ

ナガレ(この女、軽い動きでかわしやがる! 運動好きなド素人なんじゃねえのかよ、ンな生温いモンじゃねえって事ぁ分かってたけど!)

ナガレ「ゥンのッ……!」ブン

ガシッ

ナガレ「なっ……掴まれた!?」

ジン「…………」グッ

ギリギリギリ……

ナガレ「ぐうぅっ!」

ナガレ(何だ、この握力は! 手が、砕かれる!?)
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:53:09.63 ID:0BT7o3o/o
ナガレ「オオオオッ!」

グワッ!

ジン「…………」スッ

ガッ

ナガレ(渾身の上段蹴りまで簡単に……!)

ジン「…………」グイッ

ナガレ「どわっ!?」

ダンッ ドン

ナガレ(まずい! 倒されて上に乗られた! マジで何だこの女、めちゃくちゃ強ェぞ!?)

ジン「…………」スッ

ナガレ(胸ポケットから、ペンを出した……!?)

ナガレ「まっ、ちょ待っ」

ヒュッ
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:54:17.22 ID:0BT7o3o/o
ピタ

ナガレ「ぐっ…………」

ジン「…………」

ナガレ(は、反撃できねえ。下手な真似すりゃ目ン玉に容赦なく刺すつもりだ)

ジン「答えなさい。テストって何? 何の目的で私に近づいたの?」

ナガレ「この状態でお喋りなんてできるかよ……」

ジン「まずは左目ね?」

ナガレ「わーった、話す! アンタが『ゲッターロボ』パイロットに相応しいかどうかをテストしたんだよ」

ジン「ゲッターロボ?」

ナガレ「ゲッターってのはな、ハチュウ人類に本当の意味で対抗できるスーパーロボットなんだとよ」

ジン「聞いた事が無いわ。つまり最新型?」

ナガレ「どうだか。俺もよく知らねえからな。それの開発者が、お前をパイロットにしようと企んでるわけだ」

ジン「荒唐無稽ね。それよりも頭のおかしい男が、与太話で女性を襲った、の方がまだ釈然とする」

ナガレ「同感だぜ」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:55:55.59 ID:0BT7o3o/o
ジン「その開発者って言うのは誰? 名前と風貌、細部まで情報を教えなさい」

ナガレ「早乙女……下の名前は知らねえや。ジジイ。下駄」

ジン「私は別に、今後一生あなたが両目の視力を失っても構わないのよ?」

ナガレ「この状況で適当ぶっこけると思う方がどうかしてるな」

ジン「……いいわ。とりあえず、今の発言は後で警察に証言してもらいます」

ジン「傷害罪、略取未遂、監禁未遂の各現行犯……そんなところかしら」

ナガレ「冗談じゃねえな。とりあえずお前にはまだ用があるから」

ぷすっ

ジン「つっ……!?」バッ

ナガレ「その続きはポリ公じゃなくて、ウチでしてもらうぜ」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:56:29.89 ID:0BT7o3o/o
ジン「何を……うっ」クラ

バタリ……

ナガレ「……本当に大丈夫かよ、これ。アフリカゾウも三秒で眠る劇薬だっつってたけど」

ナガレ「と言うか、こんなモンの世話になるたァな……絶対使わねえって決めてたのに」

ジン「…………」ビクンビクン

ナガレ「腹立つが、認めるしかねえか」

ナガレ「ご愁傷さま、ジャガー号パイロットに決定だとよ、橘 神」

ピッピッ

ナガレ「……俺だ。終わったから回収役をよこせ、ジジイ」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:57:45.84 ID:0BT7o3o/o
 ―― 早乙女研究所 ――


ジン「…………う……」

ジン「ここ、は…………」

ギシィ

ジン「う……動けないっ……!」

ジン(拘束具……? なんで私が、こんなものを!)

早乙女「目が覚めたか」

ジン「誰!」

早乙女「18時間52分……驚異的な代謝能力だ。常人では死亡、予測でも丸二日は眠るだろうと想定していたが」

ジン(何を言っているの、この人……白衣の壮年、下駄……)

ジン「……まさか、サオトメ」

早乙女「察しが良い。あの馬鹿とは大違いだ」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:58:24.82 ID:0BT7o3o/o
ジン「解放しなさい。権利を持たない略取に逮捕監禁は立派な犯罪よ」

早乙女「橘 神。26歳。女。家族構成は父、母、兄が一人。ごく普通の家庭に生まれ、不自由無く育つ」

早乙女「聖チャペル学園を卒業後、浅間大学法学部に進学。在学中に弁護士の資格を取得し、一年のアメリカ留学を経験」

早乙女「二年間、弁護士の許で勉強し、24歳の若さで個人事務所を設立。以後、敏腕弁護士として活躍」

早乙女「運動は好きだが、スポーツの実績はこれと言って無し……これだけならば、特筆する事はない」

ジン「……私をどうするつもり?」

早乙女「ゲッターに乗ってもらう」

ジン「嫌よ」

早乙女「乗るのだ」

ジン「嫌よ!」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:59:21.07 ID:0BT7o3o/o
ジン「どうして私なのよ……なんで私が、そんな得体の知れないものに乗らなければならないの!」

ジン「ハチュウ人類と戦う? つまり、死ぬかもしれないって、そう言う事じゃない!」

ジン「私は普通の女なのに……どうして、私ばかりがこんな目に……」

早乙女「早晩、ハチュウ人類によってお前は死ぬ。ワシも死ぬ」

早乙女「どの道死ぬのであれば、お前たちに選ぶ余地などない」

ジン「そんな事、知らないわ!」

早乙女「……我々に時間はない。これだけは言っておこう」

早乙女「お前には、ゲッターに乗るに相応しい素質がある」

早乙女「肉体、そして、本能がな……」

カランカランカラン……

ジン「私が、何をしたって言うのよおッ!」


ジン「あああああああああああアアアアアアアアアアアアアアッッッ!」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:00:52.82 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………」

ナガレ「よう、元気か?」

ジン「…………」

ナガレ「睨むなよ。飯だ」

ジン「…………食べられるワケ、ないでしょう。こんなものを、着けて!」

ギシッ

ナガレ「そうやって暴れるからそんなモン着けられるんだろうが」

ナガレ「まあ……多分、お前が本気を出したらそんなモン普通にぶっ千切ると思うけどな」

ジン「私をゴリラか何かだと思っているのね。できるならさっさとそうしてるわよ……」

ナガレ「そう思うのは自由だけどな、例として一つ見せてやる」

ジン「例?」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:01:36.91 ID:mZvQ5q5So
ナガレ「こいつはステンレス製のスプーンだ。何の変哲もない普通のスプーン」

ナガレ「ほっ、と」

ぐにゃぐにゃっ ぶちっ

ナガレ「こんな感じで簡単に曲げて引き千切れる」

ジン「それはあなたが馬鹿力だからでしょ……何を簡単にステンレスを千切ってるのよ」

ナガレ「じゃあその俺を真っ向から倒したお前は? 憶えてない、とか言うなよ?」

ジン「それ、は……」

ナガレ「どうであれ、ここにいる以上は認めるしかねえのさ」

ジン「だって私は、普通の人間なのに……」
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:02:18.14 ID:mZvQ5q5So
キュムキュムキュム

クマ「ナガレの馬鹿クマ!」

ジン「えっ……く、熊!?」

ナガレ「誰がバカだ、熊公!」

クマ「どうしてスプーンを壊しちゃうクマ。それじゃあこの人がご飯食べられないクマ!」

ナガレ「あっ……いや、これは……まあ、つい、だな」

クマ「ついの一言で備品を壊していいルールはないクマ。こんな事もあろうかと、もう一本持ってきて正解クマ」

ナガレ「チッ……気の利くこった」

ジン「なんで、どうして……熊が、喋って……!」

クマ「ジン、初めましてクマ。クマはクマだクマ」

ナガレ「こればっかりは俺も嘘だと思うがな。どうも、事実らしい。こいつは喋る熊だ」

ジン「は、アハハハ……頭が、おかしくなりそう」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:03:13.04 ID:mZvQ5q5So
クマ「とりあえず、そのままじゃ食べられないクマ。ちょっと待つクマ」

キュムキュム

ジン「えっ……?」

クマ「んー、ここをこうするクマ……」カチャカチャ

ジン「ちょ、ちょっと……解放してとは言ったけど、勝手に外していいの……?」

クマ「手が使えないと食べられないから仕方ないクマ。ここ、難しいクマー……」

カチャカチャ

ジン「……良いの?」

ナガレ「知らねーよ。そいつがやりたいって言うならやらせるしかねえし。お前からすれば悪くないだろ?」

ジン「そうだけど……」

カチャリ

クマ「できたクマ! さ、これで脱げるクマ」

ジン「あ、ありがとう」

クマ「どういたしましてクマ」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:03:45.78 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………」モグモグ

ナガレ「…………」

クマ「…………」

ジン「…………」ゴクン

ジン「……話の大筋は、分かったわ。でも、それでも納得できない。私より相応しい人間なんて、たくさんいるはずよ」

ジン「それこそ他のスーパーロボットと同じように、軍人やスポーツ選手、常日頃から体を鍛えている人間から選定した方が、よっぽど」

ナガレ「俺は知らん。俺も、お前と同じくワケも分からん内に連れてこられたからな」

ナガレ「分かっている事は、必要なのは乗っても死なない人間で、死んでもいい奴だけって事くらいか」

クマ「ゲッターは、理屈で動かせるモノじゃないクマ」

クマ「早乙女博士が言ってたクマ。「人類最後の一人まで試し尽くす」って……きっと、そう言う事クマ」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/02(土) 00:04:15.08 ID:zA84XlRbo
クマが登場すると一気に和む不思議
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:04:32.54 ID:mZvQ5q5So
ジン「……やっぱり、無理よ。そんなモノ、私には扱えない。乗れない」

ナガレ「くどいなァ、さっさと頷いて乗っちまえばいいのによ」

ジン「私はあなたほど脳筋じゃないのよ」

ナガレ「役に立たねえならさっさと乗ってくたばっちまえ! そうすりゃ、お前なんざ諦めて別の奴を探せらぁ!」

クマ「止めるクマ、ナガレ!」

ナガレ「チッ……使える奴がウジウジしやがって、腹が立つ」

クマ「……ジン。クマは、ジンが乗らなくても良いと思うクマ」

ジン「どうして? あなただって同じパイロットなら、早く仲間が見つかった方が良いんじゃないの?」

クマ「クマは、何人ものパイロット候補を見てきたクマ。さっきジンが言った、エキスパートや恵まれた運動神経を持つ人たちクマ」

クマ「みんな、強そうだったクマ。でも、みんな、ゲッターの負荷に耐えられなくて死んじゃったクマ……」

クマ「多分、ジンは本当にゲッターに乗れるクマ。でも、ジンが嫌だって言うなら、乗らない方がいいクマ」

クマ「死んじゃうより、絶対にその方がいいクマ」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:05:33.16 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………」

ナガレ「…………ケッ」

クマ「もしそうするなら、クマが早乙女博士を説得するクマ」

ジン「優しいのね、クマちゃん……」

クマ「そんな事無いクマ」

ナガレ「事なかれ主義ってやつだろ。吐き気がする」

ジン「次に余計な事言ったらその舌引っこ抜くから。クマちゃん、悪いけど、お願いできるかしら」

ジン「私には、私の生活があるの……それを失えない。だから、ゲッターには乗れない……」

クマ「分かったクマ。残念だけど、仕方ないクマ」

ナガレ「あーあ、目ン玉抉られそうになったってのに結果がこれか。やってられねえな!」

クマ「うるさいクマ。拗ねるんじゃないクマ」

ナガレ「テメエが乗せる方向で説得すれば良かったんだろうが!」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:06:16.13 ID:mZvQ5q5So
ジン「…………」

ジン「何だったのかしら、あの二人……一人と一頭?」

ジン「拘束具を着け直さないで帰るし……片方は馬鹿だからって言うので分かるけど」

ジン「熊の方は、良い子……なのよね、うん」

ジン(…………だって、無理よ。急に命を懸けて戦え、なんて言われても)

ジン(家族に何も言ってないし、事務所の事だってあるし……)

ジン(……あ。そう言えば、19時間は経ってるって言ってたっけ……連絡してない。やばい)

ジン(携帯……は、あの馬鹿男に壊されたんだった。思い出したらムカついてきた)

ジン(…………私の生活だとか、事務所だとか、何言ってんだか)

ジン「人を殺す妄想する気違いのくせに……」

―――

――――――

―――――――――
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:06:51.56 ID:mZvQ5q5So
ジン?『…………』

ジン『……血塗れの、私?』

ジン?『…………』スッ

ジン『や、やめて、来ないで……』

ギュッ

ジン『え……?』

ジン?『…………』ナデナデ

ジン『い、嫌っ……』

ドンッ

ジン?『…………』

ジン『……どうして、悲しそうな顔をするの?』

ジン『『あなた』は、私の何なのよ……』
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:07:25.46 ID:mZvQ5q5So
ギュインギュイン ギュインギュイン

ジン「んあっ…………?」

ジン「何、なにっ……!?」

ジン(いつの間にか寝ていた……それはいいけど、このサイレンは何!)

ジン「只事じゃない事しか分からない……誰か! 何があったの!」

ギュインギュイン ギュインギュイン

ジン「こんな独房染みた場所に来る職員なんて居ないってわけね……」

ジン「このっ……!」ドンドン

ジン「だああっ!」ガンッ

バキィッ!

ガシャン……

ジン「……壊しちゃった。ら、ラッキーって事にしておきましょうっ!」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:07:58.14 ID:mZvQ5q5So
ギュインギュイン ギュインギュイン

ジン「鳴り止まないわ……まだ事態の解決ができていないのかしら」

キュムキュムキュム

クマ「ジン!」

ジン「クマちゃん!」

クマ「どうしてここにいるクマ? 閉まっていたドアはどうしたクマ?」

ジン「ごめんなさい、壊してしまったの……このサイレンは何?」

クマ「そうクマ! 合流できたなら関係ないクマ、まずい事になったクマ!」

クマ「ハチュウ人類が襲ってきたクマ!」

ジン「何ですって!」

クマ「こっちに来るクマ!」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:09:16.40 ID:mZvQ5q5So
オペレーターA「ゲッター光線砲台三機が損壊! ハチュウ人類歩兵と交戦中のトゥルーパー1が全滅!」

オペレーターB「敵、飛行型メカザウルス、無傷です!」

早乙女「小手先の武装など無意味か……」

クマ「早乙女博士!」キュムキュム

ジン「これはどう言う状況なの、ハチュウ人類って……!」

早乙女「……どうもこうも無い。ハチュウ人類がゲッターロボの存在を感知し、襲撃を仕掛けてきた。それだけだ」

ジン「それだけって……」

クマ「早乙女博士、脱出経路は見つかったクマ?」

早乙女「ハチュウ人類の歩兵をどうにかせん限りには、人一人逃げられんだろうな」

ジン「そ、そんな」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:10:10.37 ID:mZvQ5q5So

ナガレ『オラオラオラ! 邪魔だクソトカゲ共があっ!』

バララララララ バキッ バラララララ


クマ「ナガレ!? あいつ何してるクマ!?」

早乙女「ゲッターが出せないと知って、銃を持って飛び出していきよった。だが奴なら問題あるまい」

クマ「ナガレがいないと尚更ゲッターを動かせないクマ! 本当に何を考えているクマ!」

ジン「待ってよ! どうしてゲッターロボとやらを出さないのよ?」

早乙女「ゲッターロボは三人で乗るロボットだ。二人は勿論、一人でなど論外だ」

クマ「オートパイロットじゃあ合体もできないクマ……」

ジン「ここの人たちは、他に誰か乗れないの!?」

早乙女「できるのならばそうしている。できないからこそ、お前を連れてきたのだ」

ジン「うっ……」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:11:12.39 ID:mZvQ5q5So
ズガアァァァン!

ジン「きゃあっ!」

クマ「クマーッ!」

早乙女「ぐっ……被害状況!」

オペレーターA「所員食堂が全壊! 居住区域にも被害小!」

早乙女「重要箇所は免れたか……」

ジン「居住区域って……避難は終わってるの?」

早乙女「…………この場にいる人間は、皆覚悟している。勿論、あそこにいた所員も残らずだ」

ジン「そんな……!」


ナガレ『ッの……野郎ォ! オオオォォラアァッ!』

バララララララララララ


クマ「誰かあのバカに弾の無駄だと伝えるクマ! え? 無線持って行ってないクマ? ほんとに馬鹿クマ!」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:12:15.91 ID:mZvQ5q5So
クマ「早乙女博士、もう駄目クマ、逃げるクマ!」

早乙女「ゲッターロボを残したままで逃げられん。ゲットマシンに乗って、お前たちだけでも逃げろ」

クマ「ゲットマシンを持って逃げても早乙女博士が一緒じゃないと意味ないクマ!」

早乙女「ワシには役目がある。お前たちが逃げた後、地下のゲッター炉心を暴走させる」

早乙女「少なくとも、奴らを道連れにできる」

クマ「それは逃げる事も出来なくなった後の本当の最終手段クマ! まだ打つ手はあるクマ!」

早乙女「橘 神がゲッターに乗るとでも言うのか?」

ジン「っ…………」

クマ「それは、駄目クマ!」

ジン「クマ、ちゃん?」

クマ「ジンはゲッターに乗りたくないクマ! ジンの本能がそうさせているクマ!」

クマ「本能は理性よりも優先される大事なものクマ! だからクマは、絶対にジンをゲッターに乗せないクマ!」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:13:28.41 ID:mZvQ5q5So
早乙女「クク……本能か。本能が何よりも優先されるならば、既に答えは一つなのだ」

クマ「クマ?」

早乙女「どうするのだ、ジン」

ジン「……腹の底から、そんな事はお断りよ」

ジン「でも…………」

ジン「三人乗れば動くって言うなら、乗るだけ乗ってやる!」

クマ「ジン!」

ジン「乗るだけよ! 私は何もしない、何もできないんだから!」

早乙女「クマ! ジンをゲットマシン格納庫に連れていけ。ナガレは外で回収する」

クマ「分かったクマ! ジン、こっちクマ!」

ジン「ええ!」

キュムキュム……


早乙女「そうだ。本能こそが、お前たちを突き動かす……」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:14:29.75 ID:mZvQ5q5So
ナガレ「ウォオオオオオ! オラオラオラァ!」

バララララララララララ

恐竜兵士A「ギャッ!」

ナガレ「死ねぇっ!」

バキッ

恐竜兵士B「グバッ!」

ナガレ「くそったれ……! 次から次へと沸いてきやがる!」

ナガレ「その上、真上のメカザウルスには攻撃が届かねえ!」


メカザウルス「ギョアアアアッッ!」バサバサッ


ナガレ「負けたんじゃねえか、これ……フン!」

ガスッ

恐竜兵士C「げえっ!」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:15:17.95 ID:mZvQ5q5So
ギュオン……

ナガレ「ん……この音は、ゲットマシン!?」

バシュウ!

ナガレ「イーグル号がこっちに来る! 乗れって事か!?」

ナガレ「へっ……無茶言いやがる、ゼッ!」タンッ

ガシッ

ギュオン!

ナガレ「うおおお! 落ちるかああああ!」グイッ

ガシッ ガシッ

バシュッ

ゴロン ドカッ

ナガレ「ぷはっ! 流石に、死ぬかと思った……!」ピッ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:16:08.17 ID:mZvQ5q5So
クマ『ナガレ! 大丈夫クマ?』

ナガレ「ああ? 余計な心配するんじゃねえよ、熊公!」

クマ『元気そうで何よりクマ』

ナガレ「どうするんだよ。ゲットマシンを出したって、合体出来なけりゃメカザウルスは倒せねえ」

ジン『だから、合体できればいいんでしょ?』

ナガレ「ジン! テメエ、乗らねえんじゃ……なんだその恰好!?」

ナガレ「パイロットスーツのサイズ合ってねえじゃねえか! すげえエロいぞ!」

ジン『うっさい! スーツが一着しかないんだから仕方なかったのよ!』

クマ『来るかどうかも分からないパイロットの体系に合わせてスーツの数を用意するのは難しいクマー』

ジン『とにかく、さっさと合体して、あのメカザウルスを叩いてハチュウ人類を蹴散らす! そして私は帰る!』

ナガレ「面白れぇ。このゲッター、乗ったら最後の地獄行き超特急だって事、思い知りな!」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/02(土) 00:17:16.46 ID:mZvQ5q5So
クマ『ゲッター以外で対処できないメカザウルスを先に破壊するクマ! 合体するクマ!』

ジン『いきなりね……でも合体するだけなら!』

クマ『さっき説明した通りにするクマ! ジンならできるクマ!』

ナガレ「励まし合いなんざ要らねえ! 行くぜ!」

ギュオン

ジン『クマちゃん!』

クマ『行くクマ、ジン!』

ギュオン……

ガシィン!

ジン『ぐうっ! た、確かにこれは、キツいっ……!』

ナガレ「へこたれるな、本番はここからだぜ!」
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