クマ「ゲッターロボ・クマー!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:03:33.02 ID:sN33JMYg0
ゲッターロボの二次創作。擬音多量で読み辛い読解し辛い。
オリキャラ。カオス。十中八九ゲッター線に導かれる。
完全な自己満足なのを読む上でご了承くれ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1458911012
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:04:34.50 ID:sN33JMYg0
イーグル号パイロット『ぐ、おぉぉぉぉぉ……』

ジャガー号パイロット『お、おお、おおお……!』

オペレーターA「イーグル号! ジャガー号! 安定していないぞ、どうした!」

オペレーターB「血圧、網膜反応低下! 博士、このままでは危険です!」

早乙女「続けろ」

オペレーターB「しかし!」

早乙女「我々にただの人間は必要ない」

イーグル号パイロット『ぎ、ぎ、ぎ……ぎゃばっ――――』

ジャガー号パイロット『ぎゃああああ…………』

オペレーターA「……イーグル号、ジャガー号、共にパイロットの生体反応消失。墜落します……」

早乙女「……ベアー号は帰投。イーグル号とジャガー号の残骸を回収しろ」

カラン カラン
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:05:19.75 ID:sN33JMYg0


???「…………また、違ってたクマ……」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:06:36.39 ID:sN33JMYg0

 ゲッターロボ・クマ


.    第 一 話


.   【ナガレ】
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:07:39.17 ID:sN33JMYg0
―――

――――――

―――――――――


黒服A「一文字 流(イチモンジ ナガレ)だな」

ナガレ「……そうだが、お前らは?」

黒服B「それを知るかどうかは、お前次第だ」

チャキ

ナガレ「ヘッ……一般人相手に刃物を出すか。とりあえず、まともじゃねえのはよく分かった」

黒服C「掛かれ!」

ババッ

ナガレ「おっと!」ヒョイ

黒服A「ハアッ!」

黒服B「ウオーーー!」

ナガレ「とろっくせえなあ! オラァ!」

ドカッ! バキッ!

黒服B「がっ……」

黒服A「ぐはぁ……」

ドサ……
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:08:47.78 ID:sN33JMYg0
ナガレ「さて、これで残るはお前一人。そらそらどうした。眠りこけたお仲間を起こさなくていいのかよ?」

黒服C「クソガキが……イヤーッ!」

ドシュッ

黒服C「ば、馬鹿な……剥き身の刃を素手で……!?」

ナガレ「残念だったな」

ゴキャッ

黒服C「ぎょへっ……」

ナガレ「次はバズーカでも持ってきやがれってんだ。おー、いて……」


カラン カラン


ナガレ「ッ……! 何モンだ!」

早乙女「流石だな、一文字 流」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:10:23.21 ID:sN33JMYg0
ナガレ「……誰だ、ジジイ。テメエがこいつらを差し向けたのか?」

早乙女「そうだ、と言えば?」

ナガレ「だとしたら、慰謝料を貰わねえとな。見ろよこの手の怪我、どうしてくれんだよ?」

ナガレ「有り金全部寄越しな、ジジイ」

早乙女「クックック……調べた通りのクズだな」

ナガレ「何だと?」

早乙女「18歳。男。両親は小学生の頃にハチュウ人類の襲撃に巻き込まれて死亡」

早乙女「親戚の家に引き取られるが、非行を繰り返し、中学を中退」

早乙女「そして親戚の家を出、以降は暴力と恫喝で得た金で生計を立てている」

早乙女「技術も減ったくれもない喧嘩殺法を得意とする……」

ナガレ「……何者だ。俺に何の用だ」

早乙女「ハチュウ人類と戦ってもらう!」


早乙女「人類の希望、『ゲッターロボ』に乗って――――!」


ナガレ「……下駄、ロボ!?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:11:28.11 ID:sN33JMYg0
 ―― 早乙女研究所 ――


ナガレ「浅間山の麓に、こんな研究施設があったとはなー」

早乙女「人類の敵、ハチュウ人類……その猛威に対し、世界各国は各々の対抗手段を作り出した」

早乙女「ハチュウ人類が操る巨大ロボット『メカザウルス』に対抗するため、同じく巨大ロボット、スーパーロボットを……」

ナガレ「でも、まともに戦えているのはアメリカのテキサスマックとステルバーくらいじゃねえか」

ナガレ「ま、それも辛うじてってレベルだけどな」

早乙女「人類が開発したスーパーロボットを駆使して尚、人類滅亡への道を緩やかにしただけ」

早乙女「それは、そのロボットがハチュウ人類に対する正解答ではないからだ」

ナガレ「とすると、ここはその正解を作ってるってわけか? その、下駄ロボ?」

早乙女「ゲッターロボ」

ナガレ「そう、それ。それが、今までのロボットと何が違うってんだ?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:12:22.10 ID:sN33JMYg0
早乙女「正しくは、ゲッターロボがエネルギーとするゲッター線だ」

早乙女「宇宙から降り注ぐ進化の光線……今日に至るまで、地球上のあらゆる生命体に進化と淘汰を与えてきた」

早乙女「ハチュウ人類の祖先である恐竜は、ゲッター線によって滅ぼされ、地底へと追いやられたのだ」

早乙女「ゲッターロボは、そのゲッター線を武器とする……」

ナガレ「早い話、弱点を突く方法を見つけたって事だろ?」

早乙女「馬鹿だが、要点を掴むのは上手いな」

ナガレ「殺すぞジジイ」

早乙女「着いたぞ」

ナガレ「アン?」

早乙女「これが、ゲッターロボだ――――」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:14:57.72 ID:sN33JMYg0
ナガレ「……俺には、バカでかい飛行機に見えるんだが」

早乙女「紅い機体がイーグル号。白い機体がジャガー号。黄色の機体がベアー号」

早乙女「この三機のゲットマシンが合体する事で、ゲッターロボはその姿を現す」

ナガレ「合体……? これが……?」

ナガレ「クックック……アーッハッハッハッハ!」

ナガレ「クク……付き合ってられねえな、ジジイ。俺は帰らせてもらう」

早乙女「帰る場所があるとでも思っているのか? お前のような屑に」

ガッ

早乙女「離せ」

ナガレ「本当に殺すぞ、ジジイ」

早乙女「このゲッターロボは、常人には乗れん。これから先の地獄に、人間は不要だ」

早乙女「死んでも良い者が、そして死なない者のみが、このゲッターロボに乗れる!」

ナガレ「ならまずテメエが死ぬか!? アアン!」


キュムキュムキュム

???「止めるクマ!」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:15:58.14 ID:sN33JMYg0
ナガレ「ア? てめえ、誰に物を……」

???「早乙女博士を離すクマ!」

ナガレ「…………ジジイ、これは俺の見間違いか? 頭がおかしいのは俺か?」

パッ

早乙女「さてな。狂っているのは、この世界なのかもしれん。とにかく、これは現実だ」

キュムキュム

???「早乙女博士、大丈夫クマ?」

早乙女「ああ、心配ない」

ナガレ「これが現実なら、ジジイ……俺の目の前にいるのは」

ナガレ「喋るチビの『熊』って事になるんだが――――!?」


クマ「うるさい人間クマ! クマはクマだクマ!」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:17:47.23 ID:sN33JMYg0
ナガレ「ク、クマだと……!」

早乙女「そうだ。こいつは正真正銘の熊だ」

ナガレ「嘗めんじゃねえぞ、喋れるクマがいるものかっ!」

早乙女「それを可能としたのが、ゲッター線だ」

ナガレ「なァに?」

早乙女「ゲッター線は進化を促す光線。こいつは取り分け、それの影響を受けやすい体に生まれた」

早乙女「急激な進化を受けたこいつは、人間の言語を理解し会話を行える知能と、二足歩行と前脚の自由を獲得した」

早乙女「熊のとしての本来の強靭な肉体を有したままに、だ」

クマ「その通りクマ」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:19:46.07 ID:sN33JMYg0
ナガレ「おい、熊公」

クマ「なにクマ?」

ナガレ「名前が?」

クマ「クマだクマ」

ナガレ「生物学上の分類は?」

クマ「ツキノワグマだクマ」

ナガレ「語尾が?」

クマ「クマだクマ」

ナガレ「一人称」

クマ「クマだクマ」

ナガレ「ジジイ、翻訳をよこせ!」

クマ「ちゃんと喋れてるクマ!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:21:35.32 ID:sN33JMYg0
クマ「早乙女博士、このうるさい人間は何者クマ?」

早乙女「パイロット候補だ」

クマ「えっ……この人間がクマ?」

ナガレ「乗るなんて言ってねえ」

クマ「こっちだってお断りクマ! お前みたいな野蛮なサルみたいな人間と一緒にゲッターに乗るなんて嫌クマ!」

ナガレ「何だと? お前まさか、あの機械に乗るのか?」

早乙女「そうだ。こいつはベアー号パイロット」

クマ「正式なゲッターパイロットだクマ!」

ナガレ「冗談じゃねえ! 得体の知れねえ生き物とワケの分からん機械に乗れってか!」

ナガレ「ますます付き合えねえな! 他の物好きを当たりやがれ!」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:24:24.93 ID:sN33JMYg0
ギュインギュイン! ギュインギュイン!

ナガレ「なっ、なんだ! このサイレンは!」


「ハチュウ人類の襲撃! ハチュウ人類の襲撃! メカザウルスが一機! 南南西三〇〇m!」


早乙女「来たか……」

ナガレ「ハチュウ人類だと! このサイレンは、奴らの襲撃を知らせてるのか!」

クマ「早乙女博士ッ! クマ、ベアー号に搭乗するクマ!」

キュムキュムキュム

早乙女「ああ。ナガレ、お前も乗れ!」

ナガレ「はあっ!?」

早乙女「ワシがジャガー号、お前はイーグル号だ! 来い!」

ナガレ「ふざけた事抜かすな、ジジイ!」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:28:40.75 ID:sN33JMYg0
ナガレ「勝手に連れてきて、勝手に俺の立場決めて、テメエ何様のつもりだ!」

ナガレ「奴らハチュウ人類に、あんなスクラップで何ができる!」

ナガレ「動かせるかどうかも、戦えるかどうかも分からねえ機械に、テメエの命を乗せられるワケねえだろ!」

ナガレ「俺は俺の為だけに生きる! こんなところで死ぬなんざゴメンだし、お前らの言葉に従うのは癪だ!」

ナガレ「勝手にやってろ、俺は逃げる!」


クマ『情けないクマ!』


ナガレ「ッ……スピーカーからあの熊公の声が」

早乙女「クマ……」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:31:09.64 ID:sN33JMYgo
クマ『所詮は口だけクマ。威張っていても、実際は臆病者の度胸無しだクマ!』

ナガレ「ンだと……降りてきやがれ、クマ野郎! ぶっ殺してやる!」

クマ『野生では、今日明日生きられる保証はないクマ。いつ死ぬか分からないクマ』

クマ『だからみんな知恵を絞って、本能に従って、時には戦い、時には逃げたクマ!』

クマ『でも逃げたら、弱くなるクマ! どんどんと、体とは別のところが死んでしまうクマ!』

クマ『だから戦うクマ! 戦えるなら、勝てるなら……明日の為に、今日を戦うんだクマ!』

クマ『今のお前は群れの中で一番下クマ! 一番弱い、一番いらないクマ!』

クマ『それでいいクマ!? 達者な口は、それを動かす自信があるからじゃないのかクマ!?』

クマ『一文字 流!』

クマ『お前を見つけた早乙女博士を、お前を選んだゲッターを信じるクマ!』
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:32:13.35 ID:sN33JMYgo
ナガレ「…………口が達者なのは、お前も同じじゃねえか」

ナガレ「ケッ! あのクマなんぞに発破掛けられたってのがムカつくがな」

ナガレ「気が変わったぜ、ジジイ。乗ってやろうじゃねえか、あの機械に」

ナガレ「お前が作った自慢の『ゲッターロボ』にッ!」

早乙女「ふっ……それでこそだ」

早乙女「来い、ナガレ!」

ナガレ「命令すんな、ジジイ!」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:33:35.88 ID:sN33JMYgo
 ―― イーグル号内部 ――

ナガレ「…………って、操作方法分からねえじゃねえか!」

ナガレ「説明書とか付いてねえのか! おいジジイ、熊公!」

クマ『騒ぐんじゃないクマ! お前みたいな単細胞の馬鹿でも操縦できるように、使うのは手元足元のレバーとスイッチだけクマ!』

クマ『それ以外は音声認識になっているクマ!』

ナガレ「レバーとスイッチ? こ、これか……?」

ガシッ

ナガレ「おい、本当にこれで大丈夫なんだろうな!」

早乙女『右手のレバーを引けば右に、左手のレバーを引けば左に進む』

早乙女『両方のレバーを同時に奥にやれば加速、引けば減速だ』

ナガレ「意外と簡単だな……よし、やってやらァ!」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:34:43.70 ID:sN33JMYgo
クマ『ナガレ。パイロットスーツは着なくて大丈夫クマ?』

ナガレ「へっ、あんなクソだっせェもん着れるかよ」

ナガレ「大体、お前だって手袋以外は何も着けてねえじゃねえか」

クマ『クマは丈夫だからクマ。でも普通の人間は、ゲッターの負荷に耐え切れないクマ』

早乙女『クマよ、心配は無用だ』

クマ『早乙女博士……でもクマ』

早乙女『確かにパイロットスーツはゲッターの常軌を逸した加速や、あり得ない行動による負荷を軽減するように設計されている』

早乙女『だが、この戦い……こんな道具がなくとも戦える者しか勤まらん』

ナガレ「ぺちゃくちゃ御託を並べるな。やってやればいいんだろうが!」

クマ『……後で泣いたって知らないクマ!』

ナガレ「泣くかよ、テメェこそ散々能書き連ねてくたばるなよ!」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:35:34.31 ID:sN33JMYgo
整備士『終わりました、いつでも出せます!』

早乙女『分かった。このまま出る。下がっていろ』

整備士『ハイ! みんな、下がれェーっ!』


ナガレ「ああ、そうだ、熊公」

クマ『何クマ?』

ナガレ「お前は言葉が多すぎる。さっき俺を焚き付けた時だがな、あんなもんは一言でいいんだ」

ナガレ「『死にたくなければ乗りな、クズ』。これだけでよ」

クマ『……クマはそこまで冷血じゃないクマ』

ナガレ「要約すればそんな事を言っていたがな」

早乙女『話はそれまでだ。出るぞ!』
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:36:01.15 ID:sN33JMYgo
ナガレ「イーグル号!」

早乙女『ジャガー号!』

クマ『ベアー号!』



「「「発進!」」」



バシュゥン!

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:37:00.51 ID:sN33JMYgo
ヒュオオオ……

ナガレ「ひょおー、すげえー!」

クマ『はしゃいでる場合じゃないクマ! 後方、メカザウルスを視認したクマ!』


メカザウルス「ギシャアアアアッッッ!」

ズズゥゥン……ズズゥゥン……


ナガレ「で、けえ……!」

早乙女『全高四〇mちょっとと言ったところか……』

ナガレ「チッ……ぶっ飛ばしてやる!」

ギュオン!

クマ『馬鹿っ、勝手に先行したら危険クマ!』

早乙女『戯けが……!』
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:38:23.99 ID:sN33JMYgo
メカザウルス「ギシャアアッッ!」

ズゥン!


ナガレ「操作はレバーとスイッチと音声認識……そしてレバーの持ち手の端にはスイッチ」

ナガレ「こう言うのは得てして武器の発射スイッチって相場が決まってるんだよ!」ポチッポチッ

パラララララララ

ナガレ「オラオラオラオラ!」

パラララララ

メカザウルス「ギシャアッ!」

カンッカカカンッカンカンッ

ナガレ「たっ、弾がはじかれた!」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:39:10.81 ID:sN33JMYgo
メカザウルス「ギシャアアッッ!」ブオン


ナガレ「うおっ!」グイッ

ギュオン

ナガレ「あっぶねえ……どうなってんだジジイ、武器が全然効かねえじゃねえか!」

早乙女『当たり前だ。それは生身のハチュウ人類用につけた豆鉄砲に過ぎん!』

クマ『このくらいで倒せるなら、他のスーパーロボットは苦戦しないクマ!』

ナガレ「それを早く言えよ! だったらどうする!」

早乙女『合体だ!』

ナガレ「合体……さっきも言ってたがよ、できるのか!」

クマ『それが『ゲッターロボ』の本領クマ! 早乙女博士が作ったゲッターを信じるクマ!』
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:40:09.71 ID:sN33JMYgo
メカザウルス「ギシャアアアアッッッ!」バクンッ


ナガレ「な、なんだ。メカザウルスの肩が開いたぞ!」

クマ『ミサイルクマ!』

ナガレ「なにぃっ!?」


メカザウルス「ギシャアッ!」

バシュンバシュンバシュンッ!


ナガレ「撃ってきやがったあっ!」

クマ『ナガレ! 加速してミサイルから逃げながら合体するクマ!』

ナガレ「ええい、それしかねえんだろ! やってやるよ!」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:41:23.95 ID:sN33JMYgo
クマ『一列になるクマ! イーグル号が先頭、ジャガー号が真ん中、ベアー号が最後クマ!』

早乙女『まずはワシとクマが合体する! ワシらがお前のイーグル号と合体するのだ!』

クマ『ナガレは速度を落とすだけでいいクマ! 合体の衝撃は大きいクマ、気を付けるクマ!』

早乙女『合体の際に、右のレバーのスイッチを押しながら叫べ! 『チェンジ、ゲッター1』だ!』


キィイイン……!

ナガレ「うるせえーーー! ミサイル避けながらお前らの話なんざ聞けるかァ!」


クマ『一列クマ!』

ナガレ「おりゃあッ!」グイッ

ギュオン

クマ『よし! 早乙女博士、いくクマ!』

早乙女『来い!』

ギュオン……

ガシィン!
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:43:02.30 ID:sN33JMYgo
ナガレ「ジジイと熊公のマシンが!」

早乙女『ぐうぅ……!』

クマ『早乙女博士、大丈夫クマ!?』

早乙女『心配するなッ……それよりも、合体を……!』

ナガレ「おいおい、大丈夫かよジジイ!」

クマ『よそ見しないクマ! ナガレ、スピードを落とすクマ!』

ナガレ「俺だけ蚊帳の外かよ、うおおおっ!」グイィ

ヒュウゥン……

早乙女『レ、レバーのスイッチを押して叫べ、ナガレェ……!』

ナガレ「ああ!? なんて言った!」

クマ『『チェンジ、ゲッター1』クマ!』



ナガレ「チェーーーンジ、ゲッターァ 1 !」

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:44:14.42 ID:sN33JMYgo


ガシィン!


グググ……


グワオン!


キィイイン……ドワオ! ドガン! バゴォン!


ヒュー……ズガァン!

パラパラパラ……

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:44:53.11 ID:sN33JMYgo
ナガレ「ミサイルの直撃を受けて、あの高さから落下して、無傷かよ……」

クマ『成功、したクマ』

早乙女『フッ……訓練も無しに、成功させるとは……』

ナガレ「これが…………これが!」


ナガレ「『ゲッターロボ』か―――――ッ!」

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:45:35.04 ID:sN33JMYgo
メカザウルス「ギシャアアアアッッッ!」

ナガレ「うるっせえ!」グイッ


ガン!


ガン! ガン! ガン! ガン!


ナガレ「おらあっ!」グイッ

バキィッ!

メカザウルス「ギャアアアアッッッ!」

ナガレ「まだまだアッ!」

ゴシャアッ!


クマ『すごいクマ……説明も受けないで、既にゲッターを手足のように動かしているクマ……』

早乙女『ぐ、うう……そうだ、それでいい、ナガレ……!』
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:48:45.47 ID:sN33JMYgo
ナガレ「もう一発……」

メカザウルス「ギシャアアッッ!」ブンッ

ドガッ!

ナガレ「ウオオオッ!」

早乙女『がはぁっ!』

クマ『クマーッ! ナ、ナガレ! むやみやたらに攻撃しても埒が明かないクマ!』

ナガレ「黙ってろ熊公! だったらテメエがどうにかできるってのか!」

早乙女『ぐふっ……。武器をぉ、使え……!』

ナガレ「ジジイ! ……血ィ吐いてんじゃねえか、オイ! 大丈夫かよ!」

クマ『早乙女博士!』

早乙女『ゲッター……ビームだ……!』

ナガレ「ゲッタービーム……?」

早乙女『ゲッター線をエネルギー光線に変換し、放つ……奴らハチュウ人類にとって……天敵の……!』

ナガレ「ジジイ!」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:49:56.50 ID:sN33JMYgo
クマ『…………「ゲッタービーム」。そう叫びながら、左のレバーのスイッチを押すクマ』

ナガレ「熊公」

クマ『正面の相手に向けて、撃つクマ。早くするクマ!』

ナガレ「……さっきみたいに、役に立たねえ豆鉄砲だったら、後でテメエら揃ってぶっ殺す!」


メカザウルス「ギシャアアアアッッッ!」ブンッ

ナガレ「おらあっ!」


ガシィッ


メカザウルス「ギシャアッ!?」

ナガレ「掴まれちまったら逃げられんわなァ、ええ?」

ナガレ「こちとら初めてなんでよ、これくらいは優しくしてもらわねえと当てる自信がねえのよ!」

メカザウルス「ギシャア! ギャアアアアッッ!」ジタバタ


ナガレ「くたばれ、トカゲ野郎!」

ナガレ「ゲッターーーッ! ビィーーーム!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:50:33.63 ID:sN33JMYgo

キィイン……キュオン

バオオォォォォオオオンン!


ナガレ「うおおおおおおおおおッ!」


クマ「クマーーーーーーー!」



メカザウルス「ギャアアアアアアアアアアッッッ…………!」

ドロドロドロ……


ズズゥン……
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:51:17.56 ID:sN33JMYgo
ナガレ「…………や、やったぜ。あの、クソ忌々しいトカゲを、それもメカザウルスを」

ナガレ「俺が、倒した……」

早乙女『どうだ、ナガレ……ゲッターの乗り心地は……』

ナガレ「最高だ、ジジイ」

早乙女『そうか……何よりだ……』

クマ『早乙女博士、早く戻るクマ。そのままだと危ないクマ!』

早乙女『ああ……』

クマ『ナガレ、研究所に戻るクマ』

ナガレ「分かってるっつの、命令するんじゃねえ、熊公!」

クマ『クマはクマだクマ!』


ガン ガン ガン ガン…………

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/25(金) 22:53:50.54 ID:sN33JMYgo
第一話【ナガレ】終。

次回、第二話【ジン】。投下日未定。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/25(金) 23:43:34.59 ID:pwBEuX9Zo
艦これSSかと思ったのは俺だけじゃ無いと思う
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/25(金) 23:55:05.55 ID:D12P5VX+O
なぜこんなクロスを思い付いたんだ…
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/03/26(土) 10:23:48.12 ID:/o2hscvjO
いやこれ完全に球磨だろ
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/26(土) 10:35:17.56 ID:v7gP5urI0
アニメ第1話でメカザウルスに効かなかったゲッタービームとは大違いの威力だな
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:19:03.12 ID:0BT7o3o/o
艦これの球磨が人気なので急遽内容を変更して艦これクロスSSスレにするわけねーだろ!
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:19:44.65 ID:0BT7o3o/o
クマ『ナガレ。このままじゃ研究所に入れないクマ。合体を解除するクマ』

ナガレ「ああしろこうしろって言われてもやり方が分からねえよ。どうすればいい?」

クマ『「オープン・ゲット」って言うクマ。トップのパイロットが言うだけで、音声認識で合体解除できるクマ』

ナガレ「オーケー。オープン・ゲット!」

ガチャン! バシュゥン!

クマ『それから正面のモニターパネルでオートパイロットモードに変更するクマ』

クマ『そうすれば、研究所の誘導で格納庫にオートで飛行するクマ』

ナガレ「正面のモニターで……これか」ピッピピッ

ナガレ「はーあ、詰まらねえな。慣れる事も必要なんだからよ、パーッと飛ばさせてくれよ」

クマ『実戦の後のメンテナンスは必要クマ! 予想外の動作不良を起こしていたら、そのまま木っ端微塵クマ!』

クマ『死にたくないから戦ったのに、勝った後で死にたいクマ?』

ナガレ「そう言う理詰めは嫌いだよ。分かった分かった!」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:21:36.01 ID:0BT7o3o/o
ヒュウゥン……ガシャン ガシャンガシャン

整備士『機体の安定を確認。降りてきて大丈夫です』

ナガレ「っぷう。あー……ちょっと体が軋みやがるな」

ナガレ「おい、もうちょっと乗り心地は良くならねえのか? ゲッターは最高なんだが、飛行機の方が退屈だな」

整備士「飛行中、機体の下を開けて座席をぶら下げますか? 自由にバタついてもらっていいですよ」

ナガレ「乗り心地の話をしてんだよ」


クマ「さ、早乙女博士っ!」


ナガレ「ん……? どうした、熊公!」ダッ

タタタッ

ナガレ「じ、ジジイ……血塗れじゃねえか!」

早乙女「かひゅっ……かひゅーっ……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:23:26.31 ID:0BT7o3o/o
クマ「誰か医療班を呼ぶクマ! 担架でも良いクマ、早くするクマ!」

ナガレ「おい、ジジイ! てめえ乗る前はあんだけ威張り散らして、何だそのザマは……!」

クマ「 黙 っ て る ク マ !」

ナガレ「っ…………」

クマ「早乙女博士、早乙女博士……しっかりするクマっ……!」

ナガレ「ジジイ……」


クマ『クマは丈夫だからクマ。でも普通の人間は、ゲッターの負荷に耐え切れないクマ』


早乙女『確かにパイロットスーツはゲッターの常軌を逸した加速や、あり得ない行動による負荷を軽減するように設計されている』


ナガレ「耐えられないくせに、乗ったのかよ……そこまでする必要があるのかよ……!」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:24:21.70 ID:0BT7o3o/o
クマ「医療班はまだクマ!?」

整備士「今呼びました! 間もなく到着します!」

ナガレ「だああ! 待ってられるかァ!」

グイッ ドサッ

クマ「ナガレ!? 早乙女博士を背負ってどこ行くクマ!」

ナガレ「どっちに行けばいいんだよ! 教えろ熊公!」

クマ「……こっちクマ!」

ナガレ「おらおら、邪魔だ! 退きやがれーっ!」

ナガレ「ジジイ、何も話さねえでくたばりやがったら、骨の髄まで残らずハチュウ人類に食わせてやる……!」

早乙女「ナ、ガ……ぐふ……!」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:25:47.27 ID:0BT7o3o/o
 ―― 翌日 ――


ナガレ「よう、ジジイ」

クマ「早乙女博士っ」キュムキュム

早乙女「クマ、ナガレ」

ナガレ「頑丈なジジイだな。昨日あれだけズタボロになって、翌日には意識がはっきりしてやがる」

クマ「早乙女博士……大丈夫クマ?」

早乙女「ああ……すまんな、心配をかけて」

ナガレ「まったくだぜ。ジジイはジジイらしく、隠居してりゃいいんだ」

早乙女「そう言うわけにもいかんよ。まだやるべき事がワシには多すぎる」

ナガレ「だが、その様子じゃもうゲッターには乗れねえ。どうするんだ?」

クマ「ゲッターは三人での搭乗を前提としたスーパーロボットクマ……」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:26:49.16 ID:0BT7o3o/o
早乙女「それに関しては心配ない。既にパイロット候補を見つけている」

クマ「ほんとクマ?」

ナガレ「じゃあ、一緒にそいつもつれてくれば良かったじゃねえか。そうすりゃ、ジジイが無理する事も無かったぜ」

早乙女「そいつにはお前と違って人間としての生活があるからな。強硬手段には出られん」

ナガレ「ンだとっ……そりゃあ俺には人権もねえように聞こえるぜ!」

クマ「ちょっとナガレ黙ってるクマ、話がややこしくなるクマ」

クマ「早乙女博士、その候補はどんな人間クマ?」

早乙女「これだ……」ゴソゴソ

スッ……

ナガレ「写真?」

クマ「クマ」


ナガレ「……ジジイ、マジか。マジで言ってんのか?」

クマ「これ、女の人クマ」

早乙女「能力はお前たちにも劣らない。それに、ゲッター乗りとして相応しい性質を持っている」


早乙女「名を、橘 神(タチバナ ジン)。弁護士だ」

48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:28:15.80 ID:0BT7o3o/o

 ゲッターロボ・クマ


.      第 二 話


.      【ジン】

49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:29:06.66 ID:0BT7o3o/o
 ―― 橘法律事務所 ――


ジン「…………」カタカタカタカタ

ジン「……………………」カタカタカタカタ

ジン「………………………………」カタカタカタカタ

コンコン

助手「橘先生、失礼します」

ジン「あ、マイちゃん」

助手「お茶が入りました。どうぞ」コト

ジン「ありがと。丁度、休憩しようと思っていたのよ」

助手「嘘ばっかり。ずっと集中していたじゃないですか」

ジン「あら、ばれてた?」

助手「私がこうやって邪魔に入らないと、先生ってば何時までもパソコンと睨めっこしてるんだから」

助手「眼鏡、また度が上がったんですよね?」

ジン「ハイハイ。気を付けるわ」ズズ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:29:42.74 ID:0BT7o3o/o
ジン「あら、美味しいね。お茶っ葉、変えた?」

助手「分かります? 流石は橘 神、鋭い視点でズバッと切り込む凄腕弁護士!」

助手「その上ぷくっとボインなナイスバディ、男が振り向き女が妬む美貌の持ち主! いよっ!」

ジン「後半は関係ないでしょ。いつも飲んでるんだから、これくらいはね」

助手「ま、そうなんですけどね……」

ジン「…………」ズズ

ズズ……


ジン『ヒヒヒ……』

助手『や、止めて……』

ジン『フひゃあッ!』ヒュッ

ザシュッ!

助手『ぎゃああっ!』

ジン『ヒへははははは! ギヒ、ギヒイッ!』

グチャッ ドチャッ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:30:40.41 ID:0BT7o3o/o
助手「――――せい。先生?」

ジン「ッ…………あ。な、なに? どうかした?」

助手「それはこっちのセリフですよ。先生、カップに口付けたままボーっとするから」

ジン「あ……うん」カチャ

ジン「ゴメン。ちょっと、外に出るわ」

助手「あれ? 今日、何か予定がありましたっけ?」

ジン「ええ、ちょっとね。暫く戻らないから、後は頼むわ」イソイソ

助手「あ、はい……分かり、ましたー……」

バタン!


カツカツカツカツ

ジン「…………あ、もしもし。牧村メンタルクリニックですか?」

ジン「すみませんが、今すぐに診察をお願いしたいんです。ハイ、橘 神と……」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:31:28.63 ID:0BT7o3o/o
 ―― 牧村メンタルクリニック ――


牧村「また、妄想ですか」

ジン「……はい。今日は、助手の女の子を、私が、この手で……」

ジン「惨く、嬲り殺しにした幻を見て……!」

ジン「その前は、電車の中で知らない男性……その前は、兄を!」

牧村「誰かを目の前にすると、その人を惨殺する妄想を見る……前回と同じですね」

ジン「先生! 本当に私は真っ当な人間なのでしょうか! そんな妄想を無意識に見るなんて、普通じゃない!」

ジン「怖いんです……その残虐性が、誰かを傷付ける事に悦びを感じるのが、私の本性かもしれない事が!」

ジン「もう、頭がおかしくなりそうでっ……!」

牧村「落ち着いてください、橘さん」

ジン「うう、ううう……!」

牧村「ゆっくり、向き合っていきましょう」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:33:01.48 ID:0BT7o3o/o
ジン「すみません、先生……取り乱してしまって」

牧村「不安に駆られれば誰だってああなります」

牧村「ふむ……精神の不安はストレスが理由の事が多いです。そう言った妄想の原因は、実生活での抑圧かもしれませんね」

ジン「抑圧、ですか……」

牧村「弁護士、と言う仕事柄、法律に触れる事が多いでしょう」

牧村「あれをしてはいけない、これをしてはいけない、と言う知識がある半面、その状況がストレスでもある」

牧村「それが、「自由でない」と言う意識に繋がっている……と言う事も考えられます」

ジン「そんな……私は心から、この仕事を楽しんで!」

牧村「勿論、それを疑いはしません。可能性の一つです」

ジン「…………はい」

牧村「とは言え、仕事漬けと言うのも体に悪い」

牧村「実際、休暇を取ってみてはいかがでしょう? 同時に、少し遊んでみては?」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:33:35.63 ID:0BT7o3o/o
ジン「遊ぶ……ですか」

牧村「ええ。クラブで夜通し遊び倒す、とかね。要するに、開放的な気分になれる「遊び」をすればいいんです」

ジン「開放的な気分……」

牧村「人間は不安不満を抱える複雑な心理構造を持つ上で、何か一つで満たされればそれを解消できる単純な生き物なんです」

牧村「たとえ殺人欲求、嗜虐欲求があったとして、別方向で心を満足させれば良いんです」

牧村「それが、遊び。あなたの事だから、まさか犯罪に手を染めやしないでしょう」

ジン「そう言われても、何をすればいいのか……」

牧村「……そう言えば、ジムに通っていらっしゃるとか?」

ジン「ええ、ハイ。週に三回……体を動かすのが好きなので。今日も仕事帰りに行く予定でした」

牧村「でしたら、屋外スポーツなんてどうです? スキーとか、スカイダイビングとか、登山とか」

ジン「屋外スポーツ、ですか……」

牧村「気楽に考えていいんです。自由にいきましょう」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:34:36.21 ID:0BT7o3o/o
牧村「今日はこのくらいにしておきましょう。念のため、いつもの精神安定剤を出しておきます」

ジン「はい、ありがとうございました」

牧村「本当は、他の誰かに話せれば良いのですが……難しい話ですからね」

ジン「…………はい」

牧村「……では、お大事に」

ジン「ハイ……」

ジン「…………あの、先生。最後に一つ、いいですか?」

牧村「なんでしょう?」

ジン「気付いた事があって。妄想の私は、いつも、眼鏡を掛けていないんです。何か関係があるのでしょうか?」

牧村「…………この場では判断しかねますね。とりあえず、眼鏡は掛けたままで大丈夫でしょう」

ジン「分かり、ました。ありがとうございました……」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:35:40.89 ID:0BT7o3o/o
 ―― ジンの家 ――


ジン「ただいま……」ポイッ

ドサッ……ボフン

ジン「はあ……」ゴロン

ジン「私、どうしちゃったんだろ……昔はこんな事、なかったのに」

ジン(こんな事、誰にも相談できないし……お母さん、お父さん、お兄ちゃん……)

ジン(遊び、か……何をしたらいいんだろう。火遊び的なのは、したくないし……)

ジン「……この時点で、自由じゃないし……もう、やだ」

ジン「彼氏でも、作ろっかな……」

ジン「…………リモコン」モゾモゾ

ピッ

『――――ヨークに出現したメカザウルスを、ステルバー、テキサスマックのタッグで撃破……』

ジン「…………何かやるんだったらいっそ、ハチュウ人類共を根絶やしにしたい」

ジン「できるわけないよねぇ〜〜〜〜! ハァーン、もーーー、嫌っ!」ボフッ
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/01(金) 23:37:09.78 ID:0BT7o3o/o
 ―― 数日後 ――


ジン「…………」カタカタカタカタ

助手「橘先生、お疲れ様でーすっ!」

ジン「うん、お疲れさま。気を付けて帰るのよ」

バタン

ジン「…………」カタカタカタカタ

ジン「……………………」カタカタカタカタ

ジン「…………ハッ! もうこんな時間かっ」

バタバタ

ジン「電気良し!」パチン

ジン「施錠良し!」カチャリ

ジン「駄目だぁ〜、仕事から離れて休めって言われたのにー……」

カツカツカツカツ……
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