ほむら「巴マミがいない世界」

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267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/11(水) 12:52:27.94 ID:OLH14Gk7O
おつー、心情描写って下手だから感心するわ今回の杏子とか
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/11(水) 17:22:52.35 ID:HbmLZVMco
>>264
新房がきっと殺してないと思います
虚ぶちはうーん、どうでしょう(笑)
ハノカゲ(脚本どうりなら)ぶっ殺してます
だから虚淵は殺してないとは言ってないよ
269 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/05/18(水) 18:08:06.70 ID:19PX2CMeO
さやかが去り、杏子はひとり物思いに耽っていた。

さやかが食べなかったリンゴに、何の躊躇いもなくかぶりつく。
自らのその行動に、さやかとの違いを認識せずにはいられなかった。

杏子(……本当に、これでよかったのか?)

いいはずがない。
たとえば、あいつなら。

巴マミなら、もっといい選択ができていただろう。

すなわち、共に正義の魔法少女としての道を歩み、近くでさやかを支えることができたはずだ。

だが、杏子にはそれはできなかった。
無責任に、明るく険しい道だけを示しておきながら、自分はそこについていくことができなかったのだ。

杏子「……」

今更、この生き方を変えることはできない。
杏子にも、様々な経験をして、その上で見つけた答えがある。

だから、これは当然の結果だ。

元々、さやかは杏子の仲間になれるような人間じゃなかった。
ただそれだけの話なのだ。

自分に言い聞かせる。

杏子(……あたしとさやかは、違う)

杏子の胸には、喪失感だけが残っていた。
270 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/05/18(水) 18:11:07.30 ID:19PX2CMeO
***

次の日、さやかは学校に登校した。
仁美に、伝えなければならないことがあった。

まどか「さやかちゃん、おはよう」

さやか「おはよう、まどか」

さやか(……そう言えば)

まどかの顔を見て、さやかは一昨日のことを思い出した。
自分に余裕がなくなっていたことを、改めて思い知らされる。

さやか「一昨日、あの後大丈夫だった? ごめんね、全部押し付けちゃって……」

まどか「ううん、いいよ。わたしは倒れた人たちの発見者ってことで大したことしてないし。むしろ大変だったのは、色々聞かれてた仁美ちゃんの方じゃないかな」

さやか「そうだよね。仁美は魔女を知らないわけだから何も説明できないだろうし、そもそも何も覚えてないだろうし……」

まどか「うん。結局、集団催眠とかそういうのじゃないかってことになったみたい」

さやか「ふぅん……」

まぁそんなところだろう。
いくら警察でも、魔女の存在を知っているとは思えない。
真実を知っているのは、さやかとまどかだけということだ。
271 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/05/18(水) 18:14:02.81 ID:19PX2CMeO
まどか「それで、さやかちゃんは大丈夫だったの?」

さやか「……何が?」

ドキリ、と心臓が跳ねる。
一昨日、まどかと別れたときはうまくごまかせたと思っていたが、甘かっただろうか。

まどか「……」

さやか「……えっと」

まどかは、さやかの顔をしばらく見つめ、やがて口を開いた。

まどか「ううん、ごめんね。なんでもないよ」

さやか「そ、そう?」

危なかった。
たぶん昨日杏子と会ってなかったら、まどかに全てを見透かされていただろう。

まどか「昨日は体調が悪かったって聞いたよ。あまり無理はしないでね」

さやか「……うん、ありがとう」

昨日までとは違い、今のさやかに迷いはない。
まっすぐに前を見て歩けているという自覚はある。

だが、その見つめる先は、果たして希望に満ちているのだろうか。

それとも……

さやか「……」

考えないわけではない。
しかし、さやかの考えはもう決まっていた。

さやか(……杏子が、背中を押してくれた)

この道の先がどうなっていようと、さやかはこの道を歩むと決めたのだった。
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 17:36:30.82 ID:g3wPBIvm0

TDS読んだ身としてはマミさんがいたとしてもさやかは潰れるんと思う
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/20(金) 11:31:57.45 ID:9c7SJ4TqO
てす
274 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/06/03(金) 01:42:13.69 ID:966iIJr9O
***

その日、またしてもさやかは仁美に呼び出された。
さやかとしても、仁美には話さなければならないことがあったので、好都合ではあった。

仁美「……お待たせしましたわ」

さやか「ううん、あたしも今来たところだから」

仁美「それならよかったですわ」

仁美は椅子に座り、一呼吸置いてさやかの顔を見つめた。

さやか「……っ」

その表情に、さやかは思わず怯んでしまう。

仁美「一応、確認しておきますわ」

……仁美の笑顔が怖い。

仁美「さやかさん、あなたは昨日、本当に体調が原因で欠席したんですのね?」

さやか「……」

……昨日休んだことに対して、後ろめたさを感じていないわけではない。

まどかとは違い、仁美はさやかが休む理由に心当たりがあるのだ。
さすがに気付かれて当然か。

さやか「ごめん」

仁美「……」

その一言で、察してくれたようだった。
仁美がため息をつく。

仁美「……急な話でしたし、そうなるかもしれないと思ってはいましたわ。あなたはどこまでも真っ直ぐですが、その分、精神的に脆いところもありますから」
275 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/06/03(金) 01:44:38.16 ID:966iIJr9O
……耳が痛い。
思わず苦笑してしまう。

さやか「自覚はあるよ……仁美は、あたしなんかと違って強いよね」

仁美「そんなことありませんわ。私がこの数日間、どれだけ悩んでいたか知っていますの? 」

さやか「……悩んでたの?」

仁美「もちろんですわ。正直今でも、自分の選択が正しかったかどうかはわかりません。間違った道を歩いていないか、何度も不安になりましたわ」

さやか「間違った道、ね……」

さやかも同じだ。
自分の選択が正しいのか、それとも間違っているのか……

誰かが保証してくれるわけではないが、それでも選択はしなければならない。

いや、正しいかどうかという面で判断するなら、さやかの選択は、むしろ……

さやか(……関係ない)

さやかにぶれはなかった。

正しいかどうかではない。
自分がどうしたいか、どうありたいか。
それが最も大切なことなのだ。

仁美「そういった観点で語るなら、私の知る中で最も強いのは……まどかさんでしょうか。彼女には、私たちにはない強さがありますわね」

さやか「あー、まどかね。確かに……」

精神的な強さ。
芯のある強さとでもいうのだろうか。

本人は否定するだろうが、親友のあたしたちは、まどかの強さをよく知っている。

仁美「彼女は、何が大切なのかをよく知っている。そのためなら、どんなことでも躊躇いなくできるのでしょうね。他人のために行動し過ぎるきらいはありますが……見習いたいところですわ」

さやか「うん、そうだね……」

さやかにしてみれば、そのように自分にはない他人の強さを素直に認めることができるのも、ひとつの強さだ。
自分が親友に恵まれていることを改めて実感する。
276 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/06/03(金) 01:47:01.84 ID:966iIJr9O
仁美「……話が逸れましたわね。さやかさんは、もう大丈夫なんですの?」

さやか「うん、もう整理はついたよ。ありがとう」

仁美「なら、よかったですわ」

あえて冷たく振る舞おうとしているのだろうが、仁美の目は安心を隠しきれていなかった。
結局、あたしはどれだけ仁美を悩ませてしまったのだろう。

仁美「……けれど、これが最後ですわよ。私は今日の放課後上条くんに告白します。行動を起こすなら、それまでにお願いしますわ」

さやか(……え?)

仁美の言葉に、さやかは思わず顔を上げて問いかけた。

さやか「仁美は、昨日恭介に告白したんじゃなかったの?」

さやかの言葉に、仁美は半ば憮然とした表情で答えた。

仁美「……するはずがありませんわ。もし、さやかさんが体調等のどうしようもない理由で学校を休んだのなら、私が告白するのはアンフェアだと……そう思うのは当然でしょう」

さやか「仁美……」

仁美「まぁ杞憂でしたけど」

さやか「本当に申し訳ありませんでした」

仁美「……」ハァ

仁美が、あきれたようにため息をついた。

仁美「……私への謝罪はもういいですから、今は、少しでも長く御自分の気持ちと向き合って下さい。できるだけ、後悔なさらないであろう道を選ぶことを望んでいますわ」
277 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/06/03(金) 01:49:09.64 ID:966iIJr9O
さやか「……」

仁美は、さやかの恭介への想いを確信している。
つまり、言外に仁美は、さやかに告白するべきだと主張しているのだ。

それは間違ってはいない。
これまで色々と悩むこともあったが、それでもさやかの恋心は、一切揺らいでいない。

しかし──

さやか(……もう、決めたんだ)

もはや、迷う必要はない。
さやかの答えは、既に決まっていた。

……仁美には、伝えなければならない。

さやか「仁美。聞いて」

仁美「……どうかされました?」

さやかの雰囲気に、ただならぬものを感じたのだろう。
仁美は、改めて真剣な表情を作った。

さやか「……」

さやかは一度深呼吸をした。
大丈夫だ。もう間違えない。

さやか「仁美」

さやかは正面から仁美を見据え、はっきりと言い切った。



さやか「あたしは、恭介とは付き合えない」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/03(金) 21:27:39.90 ID:4/qPy+iAO

やっぱりさやかちゃんは本質的にMだな
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 23:28:14.63 ID:zlRlxrXQO
280 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/06/23(木) 23:12:26.68 ID:F2JCRW64O
仁美「……」

仁美の表情が固まった。

仁美「……何を、言っていますの?」

さやか「やらなきゃならないことができたんだ。そのためには、誰かと付き合っている余裕はない」

仁美の顔が、困惑で満ちる。

仁美「……もしかして、私のために嘘を吐いていますの?」

さやか「違うよ。これがあたしの答え。嘘なんかじゃない」

仁美「やらなければならないこととは、何ですの?」

さやか「……それは、言えない」

仁美「……」

仁美の表情が怪訝なものに変わる。
これで信用しろというのが無理な話だ。

とはいえ、さすがに魔法少女のことは話せない。
それこそ信じてもらえるとは思えないし、何より、仁美を巻き込むわけにはいかない。

仁美「……この期に及んで、ふざけてますの?」

さやか「……」

仁美は、信じるべきなのか迷っているようだった。

正直さやかは、仁美に信じてもらえず、怒鳴られても仕方ないとさえ思っていた。
しかし、仁美が頭ごなしに否定するようなことはなかった。

恐らく、さやかに少しでも迷いが残っていれば、信じさせるのは難しかったはずだ。
逆に言えば、ここで仁美を納得させつつあることが、さやかに迷いがなくなっていることの証明でもあった。
281 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/06/24(金) 03:13:08.07 ID:3STh6K47O
仁美「……もうはっきり言いますわ。さやかさん、あなたは恭介さんのことをお慕いしていますわよね?」

これまではあえて暗に示していた部分に踏み込んでいく。
昨日までのさやかなら、これを認めるだけでも簡単ではなかっただろう。

さやか「うん、そうだよ。あたしは恭介のことが好き。この想いがぶれたことなんて、一度もない」

……思えば、こうして自分の想いをはっきり口にするのは初めてかもしれない。

はっきりと答えられたことで、仁美は更に困惑を増したようだった。

仁美「……それなのに、その恋心よりも優先しなければならないことがあると言うんですの?」

さやか「本気だよ。もう、決めたんだ」

仁美「……」

仁美がわずかに黙り込んだ。
やらなければならないことがあること自体は、多少は信じてもらえただろうか。

だが、まだ終わりではない。
それだけでは、仁美を納得させるには足りない。

仁美「……百歩譲って、それが本当だったとして」

仁美が、さやかに鋭い視線を向ける。

仁美「やるべきことができたから、付き合えない。だから、告白もしない……そういう言い訳をしているだけではありませんの?」
282 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/06/24(金) 03:19:42.48 ID:3STh6K47O
相変わらず、いいところを突いてくる。
しかしこの辺りの問答についても、さやかは昨日自分の中で済ませていた。

さやか「そんなことないよ。このことがなければ、あたしは間違いなく恭介に告白していた。これは本当だよ」

さやかの恭介への想いは、先程口にした通りだ。
ここを否定することはできない。
それはもはや、さやかへの冒涜にすらなり得てしまう。

実際さやかは、魔法少女のことがなければ恭介に告白していただろう……というと、多少語弊はあるが。

昨日までの、さやかの細かな心情の変化をここで説明するのは難しいし、その必要もない。
さやかとしても嘘を吐いているわけではないし、今の自分の正直な気持ちを語れているという自覚もある。

仁美「…………」

仁美はしばらく考え込んでいたが、やがて、観念したように大きく息を吐いた。

仁美「さやかさんの言い分はわかりました。全て信じます。話せない事情があることも、この際問いませんわ」

さやか「……ありがとう、仁美」

本当は、もっと問い詰めたいことが山ほどあるはずだ。
なのに、いくつもの言葉を飲み込んで、それでも信じてもらえたことに、さやかは感謝していた。

仁美「ですが、最後にこれだけは言わせて下さい」

さやか「……何?」

仁美「付き合えないことが、告白しない理由になりますの?」

さやか「……」

ここに関しては、突っ込まれるとは思っていた。
最後まで、さやかが迷った部分でもあった。

さやか「……ならないよ。でも、告白したところで、あたしは恭介とは付き合えないんだ。だったら……」

仁美「いいではありませんの。今すぐに付き合えなくても、想いを伝えておくだけでも意味はあると、私は思いますわ」

さやか「いや、でもそうしたら仁美が……」
283 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/06/24(金) 03:25:18.27 ID:3STh6K47O
さやかはそこまで言いかけて、あわてて口を閉じた。
これは、さやかが仁美に言うべきことではない。

だが、遅かった。

仁美「私が、何ですの?」

さやか「……」

あえて、さやかに言わせようとしている。
今度はさやかが観念する番だった。

さやか「……あたしが恭介に告白して、万が一にも受け入れられたところで、あたしは付き合えないんだよ。そんなのは恭介に悪いし、それで恭介が仁美を振ったりしたら、それこそ仁美にも悪いじゃん。そんなことになるくらいだったら、こんな想いは、伝えない方がいい」

仁美「……どうせ、そんなことだろうと思いましたわ」

さやか「……」

やはり、これは伝えるべきではなかった。
こんな話をされては、素直に仁美が恭介に告白するはずがない。
仁美がさやかに遠慮するなんてことは、望んでいなかった。

……いや、恐らく話すまでもなく、仁美はさやかの心情を理解していたのだろう。
だからこそ、それをわざとさやかに言わせるように仕向けたのだ。

仁美「さやかさんの気持ちはわかっているつもりです。だからこそ、私も同じ気持ちだということをわかってもらいたかったですわ」

さやか「……え?」

仁美「私も、自分が原因で、さやかさんに遠慮してもらうことは望んでいません。当然ではありませんの」

さやか「……わかってたよ。仁美ならそう言うと思ってた。だから、言いたくなかったのに……」

仁美「それこそ甘いですわね。私はそんなに鈍くありませんし、あなたはそれほど嘘が上手くはありませんわ」

さやか「……」

ぐうの音も出なかった。
ここまで見透かされては、覚悟を決めるしかなかった。

仁美「それで、企みが私にバレた今、さやかさんはどうするんですの?」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 19:49:02.08 ID:O4GZyYgAO
更新してたか
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/21(木) 03:29:54.48 ID:RMX5FZmWO
続きはまだかね?
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 21:53:12.86 ID:hUn7rYfTP
マダカナー・・・
287 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/07/24(日) 00:00:27.67 ID:o6Ht5rqoO
さやか「……」

さやかがやるべきことは変わらない。
その決心自体は、全く揺らいでいない。

だが……

仁美「さやかさんは、やらなければならないことが『できた』と言われましたわね。それは、始めから御自分で望んで選んだ状況ですの?」

さやか「……そういうわけじゃないかな」

そういうわけではない、が……結局全ての原因は、自分の愚かさだった。
だからこそ、その責任はとらなければならない。

仁美「そして、このことがなければ間違いなく上条くんに告白していた、とも言われました」

さやか「……」

仁美が何を言いたいのかは、なんとなくわかる。

仮に偶然でさやかが恭介を諦め、代わりに仁美に付き合えるチャンスが回ってきたのだとしても、それは仁美の望むところではないということだろう。
288 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/07/24(日) 00:10:56.82 ID:o6Ht5rqoO
仁美「私は別に、さやかさんを気遣っているわけではありません。ただ、もしさやかさんが、偶然何かに巻き込まれたのだとしたら……」

一瞬、仁美は言葉に迷ったようだった。

さやか「……仁美?」

仁美「……ごめんなさい。話してもらえない以上、私としては想像で補うしかないので、もしかしたら失礼なことを、あるいは見当違いのことを言っているのかもしれませんが……」

仁美がわずかに、苦しげな表情を見せた。

仁美「……たとえば、たとえばですが……もし、さやかさんが、望まない不幸に見舞われているのだとしたら……」

さやか「……!」

仁美の言葉に、さやかは一瞬固まった。

今のさやかが置かれている状況は、『不幸』などと、一言で簡単に表せるようなものではない。

しかし……

仁美「……そのせいで御自分の想いを諦めるなんてことは、あってはならないと思いますわ」
289 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/07/24(日) 00:28:37.97 ID:o6Ht5rqoO
さやか「……」

仁美が知っているはずはない。

仁美にはキュゥべえが見えていなかった。
つまり、魔女の姿も見えないはずだ。
魔法少女という存在を、仁美が知っているはずがないのだ。

さやか(仁美なりに想像して……あるいは、あたしの様子からなんとなく感付かれて……?)

いずれにせよ、これではさやかの意図から外れてしまう。
仁美がここまで察している以上、さやかが身を退いたところで、納得してもらえる可能性は低いだろう。

仁美「いえ、回りくどいですわね。そう、つまり私が言いたいのは……」

そして、仁美が決定的な一言を口にする。


仁美「恋心より優先すべきことなど、そうそうないということですわ」
290 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/07/24(日) 21:19:47.84 ID:vnrvk9SSO
その台詞は、ここまでのさやかの言葉を、全て吹き飛ばした。

さやか(……仁美らしいな)

普段は真面目だが、実は夢見がちな一面も持つ、仁美らしい台詞だった。

……結局、言い訳に過ぎなかったのだ。

さやかが仁美に負い目を感じていたのは確かだ。
一度チャンスをもらっておきながら、そこから逃げ出したことが心に引っ掛かっていたことは、否定できない。
だからこそ、やらなければならないことができたから……という言葉で誤魔化して、仁美に譲ろうとしたのだ。

しかし、それで仁美を説得できるはずがなかった。

さやか「……」

仁美の気持ちはわかる。
だが、逆もまた然りだ。

まともに恋愛ができない境遇にある自分のせいで、親友の恋愛の邪魔をしてしまうなんてことは、やはり耐えられない。

ならば、どうするか。

さやか(仕方がない、か……)

話すわけにはいかない、が……ある程度は、わかってもらう必要がある。
291 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/07/24(日) 21:25:12.28 ID:vnrvk9SSO
さやか「仁美、よく聞いて」

仁美「……なんですの?」

ここまでの流れのせいか、幾分警戒している様子が見られる。

しかし、関係ない。

口を開く。

自ら聞くその声は、普段のそれとはどこか違っていた。
292 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/07/24(日) 21:32:28.01 ID:vnrvk9SSO
さやか「あたしのやるべきことは、『終わらない』。これは、何かをやり遂げて、そこで終わるようなものじゃない」

さやか「あたしは、絶対にそれを投げ出すことはできない。あたしのやる気に関係なく、否応なくやり続けなければならない仕組みが、既に出来上がっている」

さやか「付き合えるかどうかの問題じゃない。あたしがこれから先、恋愛をすることは、もう二度とない」



さやか「……ごめんね」
293 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/07/24(日) 22:20:06.92 ID:VQ8nvYN10
仁美「……っ!?」

一瞬……ほんの一瞬だが、仁美の目に、怯え、恐怖といった類いの感情が灯るのを、さやかは確かに見た。

仁美「さやかさん、あなたは……」

さやか「……」

仁美「……一体、何を抱えているんですの?」

……話すことは、できない。

さやか「ごめん」

仁美「っ……」

──先程の、仁美の言葉。

『恋心より優先すべきことなど、そうそうない』

つまり、それほどのことがさやかの身に降りかかっているということを、伝える必要があった。

仁美「……」

仁美が顔を伏せる。

内容を話さずに、ことの重大性のみを伝える。
難しいことではあったが、たぶんうまくいったはずだ。

本当なら、その重大性だけであっても、伝えるつもりはなかった。
さやかが何かに巻き込まれ、苦労しているということを知ってしまえば、仁美の性格からして、告白などできるはずがないからだ。

だがこうなってしまっては、仕方がない。
さやかがこれから先、表面上は何事もなかったかのように振る舞っていれば、そのうち安心して、恭介に想いを打ち明けることだろう。
294 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/07/24(日) 22:21:46.13 ID:VQ8nvYN10
仁美「……さやかさん」

さやか「……何?」

仁美「さやかさんが話したくない、あるいは話せないのでしたら、私から聞くつもりはございません。ですが……」

絞り出すような声だった。

仁美「何か、私にできることはありませんの?」

さやか「……」

……やはり、優しい。

仁美がこんなに良い性格であることは、親友として誇らしく、また、喜ばしい。
同時に、そんな親友を心配させてしまったという事実に、胸を抉られる思いもあった。

だからこそ、絶対に巻き込むわけにはいかないのだ。

さやか「ありがとう。でも大丈夫。強いていうなら、これからもいつも通りに接してほしいな」

さやかの言葉に、仁美は少し寂しげな表情を見せた。

仁美「……わかりましたわ。ですが、何か私にできることがあれば、すぐに言ってくださいね」

さやか「うん、ありがとう」

……これでいい。

仁美には悪いが、今まで通りの日常を過ごせることが、さやかには何よりの助けとなる。
また、もしさやかに不幸が起こったとしても、そのときは恭介が支えてくれることだろう。

これであとは、魔法少女として戦い続けることに、専念できる──
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/25(月) 18:50:48.22 ID:oIKfv60Uo
改めてこれ、女子中学生に背負せる業じゃないよな
しかも劇場版じゃ世界か自分かどっちか選べと来たww

そりゃさやかも狂うし杏子はグレるし
何周もしたほむらなら悪魔化もするわ

マミさんは本当、例外的な存在だったんだな……
296 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/08/13(土) 15:56:54.27 ID:321fPhmkO
***

まどか「ほむらちゃんが、さやかちゃんを助けてくれたの?」

ほむら「……え?」

突然の思いがけない質問に、首を傾げる。

放課後の教室。
ほむらが帰り支度をしていると、まどかが急に話しかけてきたのだ。

周囲を見渡すと、さやかはいなくなっていた。
約束でもあったのだろうか。

ほむら「……何のことかしら?」

まどか「……」

まどかは、一瞬ほむらを観察するような視線を向け、その後わずかに思案する様子を見せた。

まどか「……ううん、ごめん。なんでもない」

そう言って、まどかは離れてしまった。

ほむら(……何だったのかしら)
297 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/08/13(土) 15:58:36.67 ID:321fPhmkO
さやかが助けられた?
誰に?
何から?
たとえば、魔女に苦戦していたところを助けられた、とか……

いや、それはしっくりこない。

さやかの魔女との戦闘をまどかが知るはずはないし、たとえ偶然見かけたのだとしても、それなら誰がさやかを助けたのか知っていてもいい。

また、魔女との戦闘においてさやかを助けられるということは、つまり魔法少女であるほむらか杏子ということになるが、ほむらにそんな覚えはないし、杏子がそんなことをするとも思えない。

何より今のさやかなら、独力で大抵の魔女は倒せるだろう。
あのような戦い方はあまり好ましくないが、強いのは確かだ。
ただし、やり過ぎると、手に入るグリーフシードで浄化できる以上の穢れを溜めてしまい、そもそもの魔女と戦うメリットが失われてしまう。

……問題は、さやかがそれを気にしてむざむざ魔女を見逃すとは思えないことだ。

ほむら(いや……まだ、大丈夫なはず)

決して楽観できるわけではないが、まだ、魔女化を危惧するほどの状態ではないはずだ。
298 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/08/13(土) 16:00:27.31 ID:321fPhmkO
となると……精神的な面でのことだろうか。

ほむら「……」

最近のさやかの様子については、ほむらも気にしていた。
しかし、昨日さやかは学校を欠席したが、今日のさやかの様子が、欠席する以前と大きく変わっていたようには思えない、が……

ほむら(……ただ、それは私の目から見て、というだけの話──)

いくら観察しているとはいえ、限界はある。
直接会話をするわけでもなく、様子を眺めるだけではわからない変化もあるだろう。

いや、親友のまどかがさやかの変化を感じ取ったのなら、それはもはや、何かが起こったと見てまず間違いない。

しかし、ほむらではない。
あのような質問をしてきたということは、当然まどかでもない。
他に、今のさやかに影響を与え得る人物となると──

ほむら(……佐倉杏子? 彼女が、さやかに対して何かを……?)

考えていても仕方がない。

ほむら「……確認の必要があるわね」
299 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/09/08(木) 00:36:53.19 ID:53bSqqQ4O
杏子を探さなければならない。
戦闘中である可能性を考え魔力を探ってみたが、反応はなかった。
まだ魔女が活発に活動する時間帯ではない。

心当たりがそう多くあるわけでもない。
ほむらはとりあえず、杏子がよく通っているゲームセンターへ向かった。

運のいいことに、杏子はすぐに見つかった。

ほむら「こんにちは」

杏子「……またてめえかよ。今度は何の用だ?」

杏子と最後に顔を合わせたのは、杏子とさやかの二度目の戦闘の直後だ。
杏子にとってはあまり思い出したいことではないだろう。
だが、聞かないわけにはいかない。

ほむら「美樹さやかと、何かあったの?」

杏子「……」

ほむらの言葉に、杏子の顔つきが変わった。

杏子「……どういう意味だ」

ほむら「ただの確認よ。何もないのならそれでいいのだけど」
300 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/09/08(木) 00:38:19.13 ID:53bSqqQ4O
杏子「別に、何もねーよ」

ほむら「……そう」

言葉通りに受け取っていいものかどうか。

杏子の様子が変わったのは確かだが、それが図星を突かれたからなのか、あるいはさやかを話題に出されたからなのかの判断が付かない。
しかし、何の見当も付いていない現状では、鎌の掛けようもない。

ほむら(気のせいだったのかしら……?)

実際、ほむらが観察する限りでは、さやかに変化は見られない。
まどかがわずかな変化を感じ取ったとはいえ、逆に言えばその程度の変化ということだ。
あまり気にする必要はないのかもしれない。

そこまで考えたところで、ほむらはハッとした。

──いや、違う。

さやかに変化は見られない。
それが、どういう意味を持つか。

そうだ、気づくべきだった。
変化がないことがおかしいのだ。

これまでの時間軸で、この時期に、さやかがあれほど落ち着いていたことがあっただろうか。

ほむら(明らかに、これまでの時間軸とは別の展開を見せている。その原因は……やはり、佐倉杏子……?)

ほむらは、改めて杏子に向き直った。

ほむら「言い方を変えるわ」

杏子「……」

ほむら「美樹さやかに何を吹き込んだの?」
301 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/09/08(木) 00:42:14.13 ID:53bSqqQ4O
杏子が舌打ちをした。

杏子「……てめえに関係あんのかよ。ワルプルギスの夜と戦うのに、あいつは必要ないんだろ?」

ほむら「いろいろと事情があるのよ。その様子だと、やはり心当たりがあるのね」

杏子「……」

杏子の機嫌が、みるみる悪くなっていく。

これ以上踏み込むのはまずいだろうか。
しかし、できればさやかの状態は細かく把握しておきたいのだが……

そんなことを考えていると、杏子がため息を吐いた。

杏子「……もういいだろ。あいつのことは放っておいてやれ」

ほむら「……どういう意味?」

杏子「あいつはあたしらみたいな、魔法少女になるべくしてなったような人間じゃねーんだよ。いや、あんたのことは知らないけどよ……」

ほむら「……」

これは、わかりにくいが……さやかのことを評価しているのだろうか。
自分とは違い、真っ当な道を歩める人間という評価は、彼女にとっての称賛に値するはずだ。

しかし、それにしては投げやりな態度というか……どこか、諦めたような印象を受けるのは気のせいだろうか。
302 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/09/08(木) 00:44:57.08 ID:53bSqqQ4O
ほむら「美樹さやかのこと、ずいぶん気に入っているのね。いつの間にそんなに仲良くなったのかしら」

杏子「……誰がそんなこと言ったよ。身の程をわきまえずに契約したことに、あきれてるって言ってんだ」

ほむら「……?」

……だからこそ馬が合わず、ああして争っていたのでは?

ほむら「話が見えてこないわね。それでなぜ、彼女を放っておこうなんて結論になるのかしら。あなたは、そんな気に入らない人間を無視していられるような性格ではないでしょう?」

杏子「……勝手に人のことを決めつけてんじゃねーよ」

ほむら「あら、違っていたかしら」

杏子「……」

どうも杏子の様子がおかしい。
ここまで言われれば、普段の彼女なら必ず反発してくるはずだ。

一体、さやかと何があったのか──
303 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/09/08(木) 00:48:04.88 ID:53bSqqQ4O
ほむらが黙って杏子を観察していると、観念したかのように、杏子が口を開いた。

杏子「……あいつは、どこまでも真っ直ぐなんだよ。本来なら、あたしなんかと道が交わることはなかったはずだ」

ほむら「美樹さやかがそんな性格だったからこそ、あなたと衝突したのではなかったの?」

杏子「そうじゃねえ。そもそもの話、あいつは魔法少女なんかになるべきじゃなかったって言ってんだ」

……そんなことを言い出したら、魔法少女になるべき人間なんて存在しないと思うが。
まぁ杏子としては、自分がそういう人間であり、さやかはそうではなかったと言いたいのだろう。

確かに、大抵の時間軸でさやかが魔女化してしまうことを考えれば、杏子の言うことも、一理はあるように思える。

ほむら(もし、さやかに魔法少女としての素質がなかったら……)

もしさやかに魔法少女の素質がなかったら、それこそ杏子と知り合うことすらなかっただろう。
魔女の存在も知らず、杏子の言うように真っ直ぐ、明るい日々を過ごしていたはずだ。

いや、さやかだけではない。
これまで魔法少女になった少女たちは、なまじ素質があったせいで、運命をねじ曲げられてしまったのだ。
もちろん元凶はキュゥべえだが、もし素質が備わっていなかったらと考えると、やはり運が悪かったとしか言いようがない。
304 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/09/08(木) 01:05:05.34 ID:53bSqqQ4O
ひとつだけ訂正するとすれば、素質があったことが悲劇かどうかは、当人が決めることだということか。
いうまでもなくほむらは、自身に素質があったことを悲劇だとは思っていないし、契約したことも後悔していない。
むしろ、あの場でまどかを救う手立てを有していた幸運に、感謝していたくらいだ。

ほむら「……」

杏子「もうあいつには、何を言っても無駄さ。あたしは諦めたよ。気の済むまで、好きにやらせておくつもりだ」

ほむら「好きに、とは?」

杏子「正義の魔法少女さ」

ほむら「……なるほどね」

これまでの時間軸で、さやかが素直に正義を目指せていたことは少ない。
この時間軸でも、何も起こらなければ、さやかはそうなっていた可能性が高いはずだった。

つまり、杏子が行動を起こしたのだ。

自分は関与せず、さやかの好きにさせるという言い方をしているが、実際は逆だろう。
恐らく、杏子がさやかの背中を押したのだ。

別に、そこをつつこうという気はない。
重要なのは過程ではなく結果だ。

考えるべきは、この影響で、どういった状況が生まれるかということだ。
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/09(金) 14:49:50.72 ID:tcNEu9ZAo
元はさやかに素質なんかなくて(アニメ1・2周目で契約が確認できない)
ほむループで因果が重なって魔法少女になったって説があったような

大概まどかの隣にいるわけだから
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/09(金) 17:01:00.66 ID:LeMbcTyeO
>>305
だったら終盤であんな弱いはずないでしょ
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/10(土) 21:18:28.81 ID:NHY47q1wo
>>305
いくらさやかとまどかが近しいとはいえ、さやかだけが特別強化されるってのは納得いかんな。
初期のさやかが契約して無いのは、さやかを魔法少女にするメリットがないからじゃね?
QBにとって、さやかを魔法少女にするのはまどかを魔法少女にする手段みたいなところがあるし。
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/15(木) 01:39:19.89 ID:NtLKNQhPo
メリットならあるじゃろ
QBとしちゃ誰であれ思春期の少女が絶望してエネルギーをくれるなら、それに越した事はないんだから
まどかの因果が重なったから、餌に使うさやかの優先順位が上がったってのは確実にありそうだけど

あと、あんな弱いって言うけど初戦で死ぬ方が多いクソみたいなシステムの中じゃさやかは強い部類じゃね
周りが女神まどかと、ループを重ねたほむらと、ベテランのあんことそのお師匠のマミさんだから相対的には最弱だけど
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 00:04:07.69 ID:eLQvMyQao
QBは大した素質もない候補と無理に契約しようとはしないぞ。
エネルギーが取れるのは「絶望して魔女化した時」だけだから、素質のない魔法少女じゃ魔女に殺されて
エネルギーを回収できない恐れがある。
奇跡は先払いだから、収支はマイナスになっちゃうんだから。

あと、さやかは魔法少女として見たら間違いなく弱い。
初戦で死ななかったのは不意を打てたからだし、その後も戦えたのはベテランのフォローがあったから。
さやかの能力でソロだったら、すぐに魔翌力が切れて再生できずに死ぬのがオチだ。
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 19:18:09.55 ID:BQVhbdjao
その理論で行くと、めがほむは契約してもらえるはずないでしょうよ
元は時間停止でリソース使い果たしてゴルフクラブ持ち出す子だったんだから
少なくともさやか>めがほむなんだから契約しない理由はない

なぜ契約しなかったかといえば、1周目や2周目ではまだ素質がなかったから
……という説は、別におかしくは思えないけどな
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 19:48:16.83 ID:U2AE5tqYO
精神的な脆さとそこから来る寿命の短さが致命的レベルではあるけど短期的な戦闘力ではさやかはそう弱くは無いと思う
ほむらの場合特殊能力に全振りしちゃっただけでくるみ割りとか魔獣編見る感じ元々の素質は割とでかそうに見える
魔獣編とくるみ割り(と不意打ちとはいえ概念から力を一部もぎ取ったこととそこから宇宙改編まで出来たこと)しか根拠が無いから周回ブーストや改編の影響がほむらの素質を後付けで強めた可能性はあるけど
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 20:21:18.94 ID:mzRxPJFAO
>>309
魔女にならないと得しないのに、そうやって厳選採用していても
まだ初戦で死ぬ魔法少女の方が多いんならシステムとして破綻してるな
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/17(土) 09:01:16.31 ID:k/GnUdOb0
まあさやかは致命的に魔法少女に向いていない性格はしているな
正義感は強いくせにまどかを結界に連れ込むし(ついていきたいといっても断るのが本来正解マミさんみたいに結界を張って守る発想も持ってない)
一方でスペック面はバランスが取れていてのびしろもあるから宝の持ち腐れという
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/18(日) 00:05:46.44 ID:jtRBSPeho
まどかの性格で、危ないからついてきちゃダメって言ってはいそうですかって引き下がるかと言われると
さやかが失踪した時は夜通し探していたし、そもほむらに契約を止められても何度も何度も誰かのためにしようとしていたし
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/19(月) 00:32:36.25 ID:tmk4vxvW0
>>314
この場合論点はまどかが引き下がるか下がらないかじゃなく『魔女から人を守る』を目的としているさやかが一般人を魔女退治に同行させていることが問題ってとこだろう
ただでさえ実力不足だしマジカルバット装備させているわけでもないし使い魔や魔女の攻撃の流れ弾でまどかが死んだら十分な保護をしていなかったさやかの責任になるんだし
内心一人で戦うのが不安だったんだろうがマミさんの一件あった後だしもっと危機感もって強く同行拒否すべきだろう『正義の味方』ならね
316 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/10/05(水) 21:37:00.49 ID:9fosQfKcO
ほむら(正義の魔法少女、か……)


これで、今後のさやかの行動パターンはほぼ確定した。

使い魔を発見すれば、確実に撃破しようとするだろう。
また、どれほど強い魔女が相手でも、決して逃げることはないだろう。

自身のソウルジェムの濁りなど、何の躊躇いにもならないはずだ。

ほむら「……」

それはもはや、本来の魔法少女の生き方から大きく外れていると言っていい。

そもそも、大抵の魔法少女は自分が生き抜くことを最優先に行動している。
それでも、彼女たちが生き残る確率は、そう高くない。

それがキュゥべえにとっての、都合のいいバランスなのだろう。
しかしそれも、さやかのような生き方は考慮していないはずだ。

先は長くない。
魔女に敗れるのが先か、ソウルジェムが限界に達するのが先か──

いずれにせよこのままだと、そう遠くないうちにさやかは破滅を迎えるだろう。
317 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/10/05(水) 21:39:13.43 ID:9fosQfKcO
できれば避けたいところではあるが……

ほむら(……無理ね。恐らく、この結末は変えられない)

他ならぬ杏子がさやかの生き方を認めてしまったのだ。
もはや、さやかが揺らぐことはないだろう。
どう考えても、ほむらの言葉で説得できるとは思えない。

さやかの未来は確定したものとして、計算に入れるしかない。

ほむら(……となると、問題はひとつ)

考えるべきは、さやかの破滅のタイミング。

つまり、ワルプルギスの夜が到来するまで、さやかが保つかどうかだ。

──あと、約2週間。

巴マミがいない以上、ワルプルギスの夜を倒すためには杏子の力が必要不可欠だ。
少なくともそれまでは、さやかの魔女化は防がなければならない。

しかし──
318 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/10/05(水) 21:39:53.35 ID:9fosQfKcO
ほむら(……わからない)

これからの魔女の出現頻度。
その強さ。
それに対してさやかが使用する魔法。
その使用に伴い蓄積される穢れ。

いくらほむらにこれまでの経験があるとはいえ、さすがに不確定要素が多すぎる。
容易に計算できるものではない。

それでも、経験から感覚的に判断するとすれば……

ほむら「……」

……ギリギリ、だろうか。

予想外の事態が起こらない限りは、ワルプルギスの夜が到来するまでは耐えられるように思える。

勝算は、これからのさやかが、精神的な理由から穢れを溜めることはほとんどないと予想できるからだ。
悩みを吹っ切って前向きに戦闘に取り組める現状なら、さやかも後ろ向きな思考に陥ることはそうないはずだ。

もちろん、ワルプルギスの夜との戦闘は間違いなく不可能だろう。
どれだけいい状況が続いても、さやかのソウルジェムはそこで限界に達するはずだ。
しかし、その日を無事に迎えることさえできれば、いくらでも手の打ちようはある。

さやかを言いくるめるか、あるいはワルプルギスの夜を倒すまで杏子をごまかすか……

とにかく、ワルプルギスの夜を倒すことだ。
そこさえクリアできれば、あとは誰がどうなっても構わない。
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/05(水) 21:42:52.47 ID:x1/JhlBkP
こんなこと考える女子中学生なんておるんかね・・・
素直に「最強クラスの魔女がもうすぐ見滝原に来るから、それまで死なないでくれ」と言えばいいような気がするけど
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/06(木) 00:51:36.69 ID:gPl7t2cyo
ほむほむはもうただの女子中学生じゃないからな……
親友が死んだり、心を通わせられなくなったりって場面をループする度に何回も繰り返してる
まどか以外の死に対する感受性がすり減ってしまっていてもおかしくない

アニメ本編でもさやかの遺体は荷物扱いだし、杏子にお前も人間じゃねえよって煽り入れてるし
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/06(木) 23:24:09.90 ID:KAV+ru8Io
ほむらのループがたった1ヶ月とはいえ、何十周、下手すりゃ何百周もしてる。
少なめに見積もって百数十周としても、もう20代後半よ?
しかも常に最前線にいる20代とか、その思考パターンは想像もできんわ。

ケリィとかエクストラの赤チャに近い生き方してるし、ワルプル倒してまどかの魔女化を防ぐ目的以外、
全部摩耗しきってるだろ。
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/07(金) 04:02:55.48 ID:+JfRBsDdo
煽りに関しては、ほむらに限らず……というかまどマギに限らず
虚淵の作品の大半で登場人物が煽り合って対立するからな

お前そこもうちょっと対話できるだろ、の積み重なりで全員不幸になるの繰り返し
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/07(金) 16:59:01.74 ID:TOGvE5RYo
   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
   ┃     Q. 巴マミ(ともえ まみ)とは――           ┃
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 
        __〃^ミ、__,,,,....,,,,_
    /⌒{{=ミィ幺圭圭圭圭ミ≧z..、
   ⌒>《_≧{≫'''" ̄  ~`'''寺圭ミ└  
   / ((>''"         / ``寸圭心、
  /ィ .//  /      ノ    `寸ミ沁 
   ∨ /  ,:'   / / ヽ  `:,   ゙寸l私
   / /  斗‐‐// /  ⌒ト、i !   Y仞  ←チラガー:もっちりした食感
   / /  ,'  ∠  {/  二,,, i i }   }  }少゙
   { {  { { ,ィi然     テ斧≧jノ} j!  j!  }  ←ミミガー:コリコリした食感と焼けた良い匂い
    弋 人i {!i.)ll}       わ戔心 ;  /  ノ
    \ rハ弋ソ     弋;;;;;;タノ /^)ノ  ←ハナブク:癖もなく脂身がのって濃厚な味わい
    f⌒「{{_{゙i⊃      ⊂ニ/彡,斗‐'"⌒}
    辷弋::::::ト.、_ `ー ''   _,.ィ/  -―__〉  ←タン:脂肪があるため柔らかくタウリンが豊富
   }⌒ヽrミニ彡}<∀/>ニ、/ ,.ィ<孑''"~} ←トントロ:脂がのってるが、さっぱりとしっかりとした歯ごたえ
   ニ二>j /仁ニ(7ー-┐ \ミァ"_,.ャ≦ }  ←クビジリ:脂肪が細かく入りしっかりした歯ごたえ
  /   __〈 { f彡イf゙{ {\/ _/ ( (__`'''" ̄`ヽ
 { 〃 ̄ } ゝ_,,.::jj \>`ヒ o],,.._`ー‐''"⌒ヽ  }  ←バラ:濃厚な脂身が特徴
  `(    `ー//:::〃`iトミ/〈 '⌒{-┴-...,,_  ノノノ
     / ̄ヾ::〃;;斗=〈≦i  `<〜、,,} ''"´  ←スペアリブ:骨の周りの脂肪と赤みのバランスが良いところ
   ∠.:.:.:.:.:./.:`'"/.:.:.:.:i.:.:.j   _{_
   (ヾ/`ミメ.:.:.:./孑三ミ}.:.:.\〃ilaミ}  ←ロース:肉質がきめ細かく柔らかくって一番美味しいところ
   `^{::::::`ミ三ヾノl  レ辷ニ彡(/⌒"
     `"`ー<l、_ノiΠl辷}}==ヨ} }  ←ヒレ:脂肪が少なく柔らかい
            l:;l:;l:;代辷彡>"⌒''"
          {ヽ/{_}ト ̄  ←もも:さっぱりとした味わい
            l::::::::ll::{
             }f^Lll::l  ←豚足:プルプルコラーゲン
            j__ノ^゙}
             ゝ_ノ  ←チグマ:骨と皮だけだがコラーゲン豊富

   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 
   ┃        A. 豚                    ┃
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
324 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/11/03(木) 11:42:02.10 ID:54+uGDlMO
さやかにとっても、絶望して魔女になるよりは、最後まで彼女のままでいられる方がいいはずだ。
さやか自身が納得しているのなら、これ以上ほむらが口を出すべきではないだろう。

ほむら「……悪くないアドバイスかもしれないわね。少なくとも、美樹さやかのような人間が魔法少女になってしまった時点で、希望なんてほとんどないのだから」

半ば本心から、ほむらは杏子に同意した。

だが、ほむらの言葉に杏子の様子が一変する。

杏子「……てめえ、わかってやがったのか?」

ほむら「……何が?」

ほむらがキョトンとして聞き返すと、杏子はほむらに怒鳴りつけた。

杏子「とぼけんな! あいつが……さやかが、とても魔法少女としては生きていけないような奴だって……わかってやがったんだな!?」

……あぁ、そういうことか。

ほむら「まぁ、そうね」

杏子「だったら、だったらなぜ……!」

ほむら「……」
325 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/11/03(木) 11:43:46.38 ID:54+uGDlMO
『なぜ、契約を止めなかったのか』

そう言いたかったのだろうが、その先の言葉は出てこなかった。
当然だ、杏子もわかっているのだろう。

しかし、ほむらはあえて指摘した。

ほむら「言っておくけれど、彼女が契約した要因の大部分は、あなたが占めているわよ」

杏子「……っ!」

だから、言えない。
最も責めるべきは、杏子自身なのだから。

杏子「わかってるよ……くそっ!」

そう言い捨て、うなだれる杏子。

後悔しているのだろうか。
だが、ほむらはそんな杏子を見ても、もはや何も思わなかった。

──どうせ、次の時間軸では忘れている。
326 : ◆c6GooQ9piw [saga]:2016/11/03(木) 11:44:52.16 ID:54+uGDlMO
ほむら「……!」

無意識にそんなことを思っていたことに気付き、ほむらは軽く首を振った。

この思考はダメだ。
やり直すことが当たり前になってはいけない。
まだこの時間軸でも希望はある。
諦めて次に託すのは、本当に打つ手がなくなり、どうしようもなくなったときだけだ。
それまでは、どんなにわずかな光であろうと、手を伸ばし続けなければならない。

ほむら「……」

杏子の後ろ向きの思考に当てられたか。
そうでなくても、いつまでも杏子に悩まれていてはほむらの計画の支障になる。
とりあえず、フォローのひとつくらいはしておいてやるべきだろう。

ほむら「あまり気にしないことね。あなたの存在がさやかの契約の原因のひとつになったことは確かだけど、それだけじゃない。彼女も叶えたい願いがあったからこそ、契約したのよ」

杏子「……」

返事はなかった。
ほむら自身、フォローになっていたかどうか怪しく思ったくらいなので、仕方がない。

まぁ杏子なら、さやかと違って精神的に激しく落ち込むことはないだろう。
そのうち切り替えられるはずだ。

しかし──

ほむら(……良くない兆候ね)

杏子の中で、さやかの占める割合がかなり大きくなっている。
もしさやかが魔女化すれば、今の杏子なら間違いなく何らかの行動を起こすだろう。
その結果、ほむらの不利益に繋がるであろうことは、想像に難くない。

やはり、さやかの魔女化は絶対に避けなければならないのだ。
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/03(木) 16:05:51.35 ID:bdjZ41IYo

相変わらず面白いわ
328 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2016/12/02(金) 18:46:44.71 ID:Tka7Q06TO
***

それから一週間。

さやかのソウルジェムは、ほむらの予測に近い経過で穢れを溜めつつあった。

しかし、さやかは学校では、極力そのような気配を見せなかった。

ほむらも、さやかと接触することはなく、静観を貫いていた。

表面上は、何事も起こっていないかのように、日々は過ぎていった───
329 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2016/12/02(金) 18:48:03.69 ID:Tka7Q06TO
***

QB「まどか、願いは決まったかい?」

まどか「……」

さやかが魔法少女の活動で忙しくなり、最近はまどかとキュゥべえが行動を共にすることも多くなっていた。
キュゥべえとしては好都合であり、それとなくまどかに契約を催促していたのだが……

まどか「ごめんね、今は特に叶えたい願いはないかな」

QB「そうかい」

未だにいい反応は得られずにいた。

QB(……手強いな。この年頃の少女なら、魔法少女というだけで喜んで契約することも珍しくないんだけど)

警戒されている、というほどではないが、安易には契約しないであろう意志が伺える。

ほむらやさやかに何か吹き込まれたのだろうか。

その可能性は高い。
特にほむらは、明確にまどかを契約させない目的で動いている。
その理由は不明だが、キュゥべえに対する強い敵意すら感じた。
まどかに何を話していてもおかしくはない。
330 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2016/12/02(金) 18:50:11.40 ID:Tka7Q06TO
QB「焦って決める必要はないよ。一度きりの願いなんだから、後悔しないようにじっくり考えるといい」

まどか「うん、ありがとう」

QB「ただし、手遅れにはならないようにね。まどかがどんな願いを叶えるかはわからないけど、考えすぎてタイミングを逸してしまっては仕方がない」

まどか「……そうだね」

QB「……」

まどかの魔法少女としての素質は、本当に凄まじい。
これまでに契約した中で最も素質のあった少女ですら、比較にならないくらいだ。

これをみすみす逃す手はない。

簡単な話だ。
まどかにこれといった願いがないのなら、願いを必要とする状況を作ってやればいい。

ワルプルギスの夜がこの町に訪れたときが、絶好の機会となるだろう。
自分の町が破壊されているのを見れば、まどかも契約する気になるはずだ。

QB(……しかし、あまりいい状況とは言えないな)

そのためには、ほむらたちにワルプルギスの夜を倒されるわけにはいかないのだが……

正直今のままでは、その可能性もなくはない。
331 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2016/12/02(金) 18:51:33.97 ID:Tka7Q06TO
QB「……」

一番の想定外は、未だにさやかが魔法少女として生き残っていることだ。
もし3人の魔法少女が協力するようなら、ワルプルギスの夜ともそれなりに戦えはするだろう。

まさか、倒せまでするとは思えないが……

QB(……いや、万全を期すべきだ。万が一すらあってはならない。まどかの素質には、そこまでする価値がある)

常識では考えられないほどの素質。
どういう経緯でまどかにそれほどの素質が備わったのかは不明だが、研究次第では再現も可能かもしれない。
しかし、まどかを魔法少女にできなければ、全ての可能性は霧散してしまう。

多少強引でも、ここは確実性を重視するべきだ。

QB(仕方がない。本来なら、あまりこういう小細工は好ましくないんだが……)

基本的に、キュゥべえが自ら状況に手を加えることは少ない。
魔法少女を絶望させるためには、自分自身が原因で破滅したのだと思わせることが大きな要因のひとつになるからだ。
あのとき状況が変わっていなければ……などと、言い訳させる余地を作らせてはならない。

しかし、どうしても放置しておくことができない場合は、容赦はしない。

特に今回は鹿目まどかだ。
間違っても、失敗は許されない。

QB(──少し、手を打っておくかな)
332 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2016/12/02(金) 18:53:10.37 ID:Tka7Q06TO
***

──実際、ほむらの予想は当たっていた。

このまま何も起こらなければ、さやかが、ワルプルギスの夜が到来する日まで生き残る可能性は高かった。

だが、仮定の話をしても仕方がない。
何もないはずがなかったのだ。

あの悪魔を相手に、待ちの姿勢で構えたことがそもそもの間違いだったのか。

いずれにせよ、結果的にはほむらの考えは甘かったとしか、言いようがなかった──
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/14(水) 06:45:47.87 ID:nKe8EGvA0
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 23:04:01.04 ID:J7SNv4baP

べえさんがやるとしたら、さやかを誘導してまどかの同情を引くとかかな?

それはともかく次話マダー?
335 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/01/01(日) 11:06:30.01 ID:VvqbIC3bO
***

ほむら「……」

そのとき、ほむらはパトロール中であった。
魔力の反応を探りながら、街を塗りつぶすように効率よく歩いていく。

もちろんグリーフシードのためでもあるが、ほむらが魔女を倒すことで、間接的にさやかの負担を減らすという目的が大きい。

ほむら(今のところ、さやかの様子は概ね予想通り。このままのペースなら、なんとか……)

このまま現状を維持できれば、杏子とふたりでワルプルギスの夜に挑むことができる。

結局、この時間軸ではそれがベストであり、逆に言えば、それ以上の状況を作り上げることは不可能だった。

もし、ほむらと杏子のふたりでワルプルギスの夜と戦ってみて、それでとても勝ち目がないようなら、この時間軸は始めから詰んでいたということになる。

しかしそうなったときは、ほむらが満たさなければならない条件を知ることができたという意味で、前進と言えるだろう。

いずれにせよ、試してみるしかないのだ。
336 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/01/01(日) 11:07:43.69 ID:VvqbIC3bO
ほむら(これだけ繰り返しても、まだ手探りの段階……一体私は、何度繰り返すことになるのでしょうね)

別に途方に暮れているわけではない。
まどかを救うまでは、何度でも時間を巻き戻し続ける。
既にその覚悟はできている。

ほむらも、自分がうまく立ち回れているとは思っていない。
行動にかなり無駄もあるのもわかっている。

それでも、数えるのを諦めるくらいには繰り返してきて、その成果は間違いなくほむらの中に蓄積している。
始めの頃に比べれば、感情に振り回されることもほとんどなくなり、かなり冷静に動けるようになったと自分でも思う。

しかしそんなほむらを嘲笑うかのように、どの時間軸でも、ほむらが予想もしないことが起こり続けるのだ。

それだけ世界に無数の可能性が存在する……ということなのだろうか。

先は長い。
まだまだ終わりは見えない。
だが、そんな途方もない可能性は、逆にほむらの希望でもある。

それほど可能性が無数に存在するのなら、ワルプルギスの夜を倒せる可能性も、きっとどこかに存在するからだ。

いつか、ほむらが全ての可能性を埋め尽くし、その全てを把握することができれば──

そのときこそ、まどかを救うことができるだろう。
337 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/01/01(日) 11:10:42.70 ID:VvqbIC3bO
ほむら「!」

不意に、ソウルジェムが反応した。
魔力の反応だ。

ほむら(さっさと片付けてしまいましょう)

そんなことを思いながら、ほむらは足早に反応があった方向へと向かっていく。

ほむら「……ここね」

結界を見つける。
できれば、さやかや杏子が来る前に終わらせたい。

迷わず中に入ろうとして──足が止まった。

ほむら「……」

違和感を覚える。
しかし、その正体がわからない。

ほむら(何かが、引っ掛かる……?)

単なる直感ではない。
基本的にほむらは、直感、第六感といった、曖昧なものは信用していない。

理由があるはずだ。
恐らく、これまでの時間軸での経験が警鐘を鳴らしているのだろうが、それが何なのか、わからない。

危険な魔女?

思い出せない──いや……

ほむら「まさか……」

思わず、魔女がいるであろう方向を睨み付ける。

一応見当は付いたが、魔女の姿を見てみないことには確信が持てない。

ほむらは警戒しつつ、結界の中心部へと歩を進めていった。
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 22:10:51.95 ID:ehy+aXmdO
339 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/01/31(火) 06:55:18.05 ID:FuB4lQQQO
使い魔に同様の違和感を覚えつつも、危なげなく凪ぎ払い、ほむらは魔女の下に辿り着いた。

ほむら「……やっぱり」

その姿を見て、疑惑が確信に変わる。

ほむら(やはりそうだ……私はこの魔女を、『知らない』)

それは、これまでの時間軸を通して、ほむらが初めて目にする魔女であった。

基本的に、どの時間軸でも同じ魔女が出現するというわけではない。
ほぼ毎回出現する魔女もいれば、ほとんど出現しない魔女もいる。
あるいは、何らかの条件を満たさないと出現しない魔女もいるかもしれない。

だが、ほむらは何度も同じ時間を繰り返す中で、低確率で出現する魔女ですら、既に数えきれないほど目にしている。
最後に初めて見る魔女と戦ったのがいつだったのか、思い出せないくらいだ。

だからこそ、今のほむらが魔女と戦うときは、もはや意識せずとも的確に弱点を突き、効率よく作業のように倒すことができていた。

もっとも、つい最近お菓子の魔女に辛酸を舐めさせられたばかりではあるのだが……

まさか、ここにきて初めて見る魔女と遭遇しようとは、思ってもみなかったのだ。

ほむら「……」

単に、非常に低い確率をここで引き当てただけのことなのか。

あるいは──

ほむら(……警戒する必要があるわね)
340 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/01/31(火) 06:58:27.10 ID:FuB4lQQQO
ほむらも魔法少女である以上、綱渡りで生きているようなものだ。
そのことを忘れてはならない。

魔女との戦いに絶対はない。
何かひとつでも間違えれば、それであっけなく終わってしまう。

いつ死んでもおかしくはない。
あくまで、たまたま今日まで生き残っているだけなのだ。
その意識を持っていなければ、魔法少女としては致命的だ。
ただ漫然と生きることなど、魔法少女には許されていない。

そして、ほむらに失敗は許されない。
万が一すらあってはならない。

ほむらが死ねば、まどかの破滅が確定する。

だからこそ、ほむらは万全を尽くすのだ。
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/10(金) 19:54:00.89 ID:pjyP1w6A0

炉路さんとは顔見知りなのかな?
342 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/02/28(火) 23:53:49.23 ID:dl+eeVL8O
***

さやかには、ひとつの予感があった。

さやか「……」

自身のソウルジェムを見つめる。
もはや、明確に色が変わってしまっていた。

毎日、着実に穢れが溜まっていく一方だ。

しかしだからこそ、ソウルジェムがどれほどまでの穢れを許容できるのか、さやかはまだ知らない。

そのはずだった。

本来なら、見えないゴールに怯えていたのだろう。
しかし、なぜだかさやかにはわかっていた。

さやか(……まだ、ほんの少しだけ、余裕がある)

限界は近い。

それでも、まだ、まだ戦える──
343 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/03/01(水) 06:26:16.91 ID:ZxgHE20ZO
***

激しい爆発が起こる。
直後に、グリーフシードが現れた。

ほむら「……」

決して弱かったわけではない。
ほむらも普段より多くの武器を使用し、確実に魔女の息の根を止めにいった。

だからこれは、当然の結果とも言えるかもしれない、が……

ほむら(杞憂だったのかしら。いや、しかし……)

どうしても、釈然としない部分は残る。

偶然ならいい。
可能性は低いが、あり得ない話ではない。

しかし、これが何らかの異変の前兆だとしたら──
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/31(金) 06:14:07.68 ID:XuQf1rjuo
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
345 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/03/31(金) 21:09:17.17 ID:+D7mP617O
ほむらがそこまで考えたときだった。

ほむら「……!」

またしても、ソウルジェムが反応した。

一瞬、倒しきれていなかった可能性を考えたが、即座に排除する。
明らかに、先程とは異なるパターンの反応だった。

ほむら(別の魔女の出現……これも偶然?)

複数の魔女が局地的に活動を行うことは少ない。
獲物や結界などの理由から、大抵はそれぞれの縄張りがあるからだ。

実際、ほむらが1体の魔女を倒したあと、すぐにこのように他の魔女の存在を感知したことは、あまり記憶にない。

ほむら「……」

不穏なものを感じながらも、ほむらに取れる選択肢は限られている。

武器を携え、ほむらは反応元へと向かい始めた。
346 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/03/31(金) 21:13:21.57 ID:+D7mP617O
***

同時刻、杏子も異変を感じていた。

杏子(……何かが、おかしい)

街の空気が違う、とでも表現すべきなのだろうか。

理屈ではない。
ほむらとは違い、野性的な勘から正解にたどり着きつつあった。

杏子「……」

ズバアッ

眼前に迫る魔女を一撃で屠りながらも、杏子の表情は険しかった。

杏子(くそっ、嫌な予感がする)

脳裏にさやかの姿がよぎる。
道を違えたとはいえ、放ってはおけなかった。

杏子「……チッ」

グリーフシードを回収し、杏子は街中へと駆け出していった。
347 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/03/31(金) 21:20:46.53 ID:+D7mP617O
***

魔女の断末魔が響く中、ほむらはひとつの仮説に思い至っていた。

ほむら(まさか……)

ソウルジェムをかざし、限界まで索敵範囲を広げてみる。
距離が離れるほど精度は落ちるが、反応の有無くらいは判別できる。

ほむら「……そういうことね」

もはや間違いない。
明らかに、普段よりも多くの魔女が出現している。

ほむらの知らない魔女との邂逅は、魔女の出現数自体が増えたことによる必然だったのだ。

ほむら(これは、まずい……!)

本来なら、倒しきれないほどでない限り、魔女の増加は魔法少女にとって悪いことではない。
それだけグリーフシードを手に入れるチャンスが増えるということだからだ。

──だが、例外はある。
348 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/03/31(金) 21:24:59.37 ID:+D7mP617O
ほむらが倒した2体の魔女は、どちらも比較的手強い相手だった。
これは偶然ではないだろう。

恐らく、新たに出現している魔女は、どいつもそれなりの強さを有しているはずだ。

そう、ちょうど、さやかが魔力を大量に消費して、なんとか倒せるであろう程度の強さを──

ほむら「……っ」

どう考えても意図的なものだ。
仕掛けたのが誰かなど、考えるまでもない。

狙いはさやかだ。
そして悔しいことに、その効果はてきめんだ。

元々が、ぎりぎり持ちこたえられるかどうかという予想だったのだ。
もちろん1日に複数の魔女と戦うことなど想定していない。

──間に合わない。

それどころか、今日だけで限界を迎えてもおかしくない。

あるいは、既に──

ほむら「……」

さやかを探さなければならない。
349 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/03/31(金) 22:42:29.89 ID:+D7mP617O
ほむらは街中を駆け回っていた。

手がかりは魔女の魔力の反応だ。
この魔女の出現数なら、さやかが戦闘を行っている可能性は高い。
しらみ潰しに魔女を倒し続けていれば、そのうち見つかるはずだ。

魔女を倒さず、囮に使うことでさやかをおびき寄せるという案も考えたが、この魔女の出現率ではリスクが高い。
1体の魔女を見張っているうちに他の魔女との戦闘で魔女化していたなんてことになっては、目も当てられない。

それならばむしろ、さやかの負担を減らす意味でも、少しでも多く魔女を倒しておくべきだ。

ほむらは凄まじい勢いで魔女を倒し続けた。

魔力の反応があれば直行し、結界に入るなり能力を使用。
使い魔を無視し、そのまま魔女本体までたどり着き、即撃破。

当然ながら、そのような能力の使い方をしていれば魔力は減っていく一方だ。
だが今は、何よりも時間のロスが惜しかった。

ここでしくじれば、この時間軸での失敗がほぼ確定してしまう。
だからこそ、ほむらは必死だった。

早く、早くさやかを見つけなければ──
350 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/04/30(日) 19:05:31.71 ID:/ab89jyVO
──何体目のことだっただろうか。

魔女の結界内で、ようやくほむらはさやかを発見した。
それはちょうど、さやかが魔女を切り捨てる瞬間であった。

ほむら「……見つけたわ」

さやかがほむらに振り向く。

さやか「転校生か」

その姿はぼろぼろだった。
しかし、それよりも──

ほむら「……!」

さやかのソウルジェムを見て、ほむらは衝撃を受けた。
穢れが溜まり過ぎている。

予想以上に早いペースだ。
このままでは確実に、ワルプルギスの夜が到来する前に彼女は限界を迎えるだろう。

さやかが、たった今倒した魔女のグリーフシードでソウルジェムを浄化したが、もはや焼け石に水だった。

ほむら「……」

ほむらは、さやかにグリーフシードを差し出した。

ほむら「使いなさい」
351 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/04/30(日) 19:21:06.64 ID:/ab89jyVO
さやかに動揺はなかった。
ほむらの行動を、予想していたかのようでさえあった。

さやか「いらない」

ほむら「っ」

即答。
迷いは感じられなかった。

ほむら「……あなたの気持ちもわからないではないわ。でも、意地になっても仕方ないでしょう。ここは素直に受け取っておきなさい」

さやか「ありがとう。でも、別に意地を張っているわけじゃないから」

さやかはどこまでも平静を保っていた。
ほむらに対する反発すら感じられない。

その態度は、もはや彼女が意地などにこだわっていないということを物語っていた。

思い通りにいかないことに苛立ちを覚える。
先に冷静さを失ったのは、ほむらの方だった。

ほむら「わかっているの!? このままだとあなた、どうなるか……」

さやか「どうなるの?」

ほむら「それは……っ」

言えるはずがない。
ここで伝えたら、それがとどめになりかねない。
352 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/04/30(日) 20:07:13.03 ID:/ab89jyVO
さやか「……知ってるんだ。まぁそんなこと、どうだっていいけどね」

ほむら「え?」

取り乱したほむらを前にしても、さやかは落ち着いていた。

さやか「あたしは今の自分に満足している。最後まで、正義を貫いて生きていたいんだ」

さやか「ソウルジェムに穢れが限界まで溜まったとき、たとえあたしが死ぬんだとしても……あたしはそれでも構わない」

……予想外だった。

さやかが、自身の死すら覚悟しているとは思っていなかった。
こうなると、もう言葉での説得は無理かもしれない。

ほむら「あなたの生き方は否定しないし、好きにすればいい。でも、だからといって自分から死ぬことはないでしょう。このグリーフシードを使えば……」

さやか「前にも言ったでしょ。あんたは信用できない。あたしを助けようとしてるのだって、あたしを思いやってのことじゃないでしょ? わかるのよ」

ほむら「……」

当然、こうなる。

さやかにとってほむらは、自分勝手な魔法少女のひとりでしかない。
少なくとも、単純にさやかを心配するような性格でないことは見透かされている。

それはつまり、裏があるということだ。

そんな人間の施しを受け、更にそれがほむらに利用されるのだとすれば、さやかが拒みたくなるのもわかる。

たとえ天秤に乗っているのが自分の命だとわかっていても、今のさやかは正義を優先するのだろう。
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 21:34:03.45 ID:81AeL9C4P
言葉だけじゃどうにもならないところまでくると、
ほむらに限らず大概の魔法少女は詰んじゃうよね・・・
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 22:29:45.60 ID:cEWzbO1jo
>さやか「ソウルジェムに穢れが限界まで溜まったとき、たとえあたしが死ぬんだとしても……あたしはそれでも構わない」

さやかが死ぬのは自業自得だけど、魔女化しちゃうんだよなぁ……。
「あなたは死なないわよ? 死ぬのは、魔女も魔法少女も知らない無関係な人たち。
あなたの正義は、無関係な人々を巻き込んだ死で終わるのよ」
とでも言えば、さやかも耳を貸しそうな気がするんだが。
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/30(日) 22:39:58.49 ID:81AeL9C4P
>>354
そんなこと言ったら、魔女化の真相に辿り着いてしまうだろう
それで「死にたい」と思ってくれればまだいいけど、「死にたくない」って思い始めたら最悪だよ
何をするか分かったもんじゃない
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/06(土) 19:03:44.02 ID:pYDgRGdr0
正義、正義ねぇ…まどマギ世界でこれほど無価値で虚しい言葉はないだろうな
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/07(日) 16:06:38.97 ID:jVxbQ0uVo
>>356
正義が無価値なのは魔法少女視点の話だよ
さやかは一般人視点から否定するだろう
358 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/05/31(水) 18:20:41.92 ID:L/ipiLtmO
ほむら(確かに、さやかが自分で納得しているのなら、それ以上は他人が口を出す話じゃない……)

──どう生きるか、あるいは、どう死ぬか。

それを決めるのは、常に当人であることが望ましいと、ほむらは考えている。

価値観などそれぞれで異なる上に、そもそも魔法少女に正しい価値観など存在しない。
当人が本心から納得できる生き方ができれば、それが一番なのだろう。

誰よりも、ほむら自身がそうしているのだから、そこを否定するわけがない。
359 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/05/31(水) 18:22:25.79 ID:L/ipiLtmO
ただし、それは──

ほむら(知ったことじゃないわね)

──ほむらの目的の妨げにならない場合に限る。

まどかを救える範囲内であれば、さやかの生き方を尊重することもやぶさかではない。
さやかを今日まで放置していたのは、それが理由のひとつでもある。

しかし、もうそんな余裕はない。

たとえさやかの生き方を歪めてでも、これ以上は放ってはおくわけにはいかない。

もう本当に猶予がないのだ。
この様子だと、明日にでもさやかは魔女になってしまうだろう。

やはり、何か手を打たなくてはならない、のだが……
360 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/05/31(水) 18:24:53.68 ID:L/ipiLtmO
ほむら(……どうする?)

さやかが魔女になれば、高確率で杏子が命を落とす。
そうなれば、ワルプルギスの夜を倒すことはほぼ不可能になる。

そうなれば、まどかは──

ほむら(……ダメだ。やはり放置しておくわけにはいかない。しかし……)

……さやかが魔女化しても、杏子が死なない方法を模索するべきか?

それがどれほど難しいかは、ほむらが一番よく知っている。
既に何度も試みたが、結局確実な方法は見つかっていない。

キュゥべえは甘くない。
さやかが魔女化したという事実は、杏子に無謀な賭けへと身を投じさせるには十分なのだろう。

やはり、さやかの魔女化を避けることが最も確実なのだ。
361 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/05/31(水) 18:34:28.72 ID:L/ipiLtmO
──この状況で?

ほむら「……」

……いや、方法はある。
最も確実な手段が、たったひとつだけ存在する。

しかし、この手段は──



このとき、ほむらは確かに揺らいでいた。
決して、ほむらは冷酷な性格というわけではない。

ただ、ほむらはとっくに覚悟を決めていたのだ。

目的のためなら、何を犠牲にしてでも前に進むという、覚悟を──
362 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/05/31(水) 18:36:14.85 ID:L/ipiLtmO
ほむら(今の私に、手段を選んでいる余裕はなかったわね)

揺らぎが止まる。
その目は、しっかりと前を見据えていた。

ほむら(もう、迷いはない)

ほむらは、現状と為すべき条件、自身の行動原理を再確認する。

ほむら「……」

やるべきことは、決まっていた。

そしてほむらは、ひとつの決断をする。
363 : ◆c6GooQ9piw [sage saga]:2017/05/31(水) 18:37:41.27 ID:L/ipiLtmO


──さやかを殺すしかない。

364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/31(水) 19:03:57.02 ID:nOhO4C1Io
おつ
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 13:16:03.07 ID:t6aXkz35o
おつ

ふと思ったんだが、時間停止中に「穢れを貯めたソウルジェムにグリーフシードを近づけて」も穢れは吸えないのかな?
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/01(木) 13:18:09.74 ID:oZdj8BWuo
乙です
あぁぁぁ…って感じだな
自分の中で可能な限りの手を打ってるのにどんどん崖っぷちに追い詰められている感じがたまらないわ(いい意味でなくww)
読んでて胃と心が痛くなってくる
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