勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」後編

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 17:24:14.53 ID:2GOoT/G0O
>>382
最初スレたった時からずっと見てる
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/17(月) 22:43:14.19 ID:voOnsDoLo
>>384
いくら相手がダークエルフだからってダルマにしてダークハーフエルフ生産道具にするとか、よくそんな鬼畜なこと考えられるな……。
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 00:04:12.81 ID:OWPkrrGyo
>>386
そのダークハーフエルフを赤ちゃんの時からまわすっておまえのほうがげすいわ
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/18(火) 01:18:29.26 ID:6mRLl//Ro
>>386
おめぇの考えの方が恐いやないか
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/19(水) 18:16:48.75 ID:Hi8mol+hO
おまえ宮本に虐められたなろう作者かよ
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/20(木) 14:50:30.16 ID:/ZESCQG/0
>>389
マサツグ馬鹿にしてんのかお前ぇ!
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/27(木) 11:46:42.79 ID:S+rEclSp0
>>1 体調悪かったりするのかな、心配だ
392 :1です [sage]:2016/10/29(土) 16:31:26.73 ID:2ko0DblR0
いや、ホントにお待たせして申し訳ない

来週日曜には必ず投下します
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 17:31:45.06 ID:Qte2Y+mDo
待ってます
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 23:20:58.06 ID:l1whh1u5o
待ってるぜ
うちのカレンダーは日曜始まりだから……明日だね(ニッコリ
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 00:04:27.12 ID:qa5w773gO
待ってる!
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 13:39:24.53 ID:ch6xSeANo
ちょうど1年前に獣王リベンジ戦だったね
今、読み返してみても胸アツ

来週期待して待ってる
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 13:55:24.48 ID:23nfCs6RO
騎士戦も捨てがたいが獣王リベンジがベストバウトだな。
まってまーす!
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 14:51:21.81 ID:OUL5vPf3O
うおおおおおおお
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/02(水) 02:24:56.12 ID:Kgf0NpMUO
作品のクオリティの高さと遅筆な感じ(褒めてる)が相まって
ハンタ待ってる感覚に似てるわ
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:17:19.10 ID:ZSsiH8ra0




 いつから自分は特別なのだと思い上がってしまったのかは曖昧だ。



 だけどその幻想(ユメ)から覚めた時のことははっきりと覚えている。





401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:17:50.73 ID:ZSsiH8ra0





第三十四章  『伝説の勇者』、その結末




402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:18:27.68 ID:ZSsiH8ra0
 彼の生まれは何の変哲もない農家だった。

 由緒正しき騎士の家柄というわけでもない。名のある貴族の跡取りというわけでもない。

 日々の営みの中で獣と対峙することはままあるけれど、彼は基本的に争いというものからは縁遠い立場にいるはずの人間だった。

 転機が訪れたのは、彼が15歳の時。

 とある日のこと。

 彼の住む村が盗賊の集団に襲われた。

 盗賊たちは金品の類と食料を要求し、従わぬ村民に理不尽な暴力をふるった。

 元より彼は正義感の強い青年であったので、そんな盗賊たちの行為に対して激しい憤りを見せた。

 刃向えば死―――周囲からのそんな説得によって、耐え難きを耐え、忍び難きを忍んでいた彼だったが、盗賊の一人が村の女性を――その美しさが大層評判であった彼の母を辱めようとしたことで、彼の怒りは弾けた。

 彼は農作業用の鉈を取り、盗賊たちに挑んだ。

 相手は戦闘を生業とする盗賊集団だ。当然、いち農民如きが勝てる訳がない。

 勝てる訳はないのだが―――驚くべきことに、彼は負けなかった。

 多くの傷を負い、血に塗れながらも―――遂に彼は十人以上もの盗賊達を、知らせを受けた王宮騎士団がそこに駆け付けるまで足止めしてみせた。

 そんな彼の働きを当時の王宮騎士団の団長はいたく気に入り、なんと彼は騎士団長直属の部下として王宮騎士団に召し抱えられてしまった。

 ただの農民から王宮騎士団へ―――しかも王宮騎士団長の懐刀への大抜擢。

 彼の存在は、周囲の注目を否応なしに集めた。

 周囲の好奇の目に晒されながらも彼は真摯に修業に打ち込み、めきめきと剣の腕を上げていった。

 彼が騎士団随一の剣の使い手になった背景として、勿論本人の才覚もあっただろうが、何より騎士団長の熱心な指導があった。

 「どうして自分などにここまでしていただけるのか」と、彼は問うた。

 「なに、ただの気まぐれさ」と、騎士団長は答えた。

 騎士団長には息子がいなかった。

 独身というわけではない。騎士団長には仲睦まじいと評判の妻がおり、その間に三人の子をもうけている。

 しかしその子らは全て女児であった。

 そのことに、騎士団長は内心忸怩たる思いがあったのかもしれない。

 だから、才ある彼を召し抱え、息子のように可愛がったのだ―――と、周囲はもっぱらそのように解釈していた。それは、騎士団長の寵愛を実際に受けた彼自身でさえも。

 だが、事実は少し違う。

 彼を息子の『代わり』などと―――騎士団長は断じてそんな風には考えていなかったのだ。

403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:19:04.17 ID:ZSsiH8ra0
 さて、更なる転機が訪れたのは彼が王宮騎士団に召し抱えられて五年が経った時のこと。

 隣国との小競り合いの最中、件の騎士団長が戦死した。

 歴戦の勇士として名高かった騎士団長は、戦時の混乱の中、誰が放ったかもしれぬ流れ矢に倒れた。

 矢尻には毒が塗られていた。

 騎士団長はもがき苦しみ、傍らにいた彼に介錯を頼んだ。

 無論彼は拒んだ。諦めてくださるなと懇願した。

 しかし間に合わぬと騎士団長は断じた。

 早くせよ。間に合わぬ。毒では駄目だ、『お前がやらねばならぬのだ』。

 その時、騎士団長の言葉の意味を深く考察できるほど、彼は冷静ではなかった。

 彼は騎士団長に対して非常に大きな恩義を感じていた。

 だから彼は、騎士団長の願いのままに介錯し、その亡骸に縋りついて涙を流し、慟哭した。

 その時生じていた不可思議な現象には目もくれず。

 『加護の継承』。

 騎士団長がその身に宿していた精霊の加護が、彼の身に移行していた。

 それも一部ではなく、一分の残りもなく――――全て。

 彼が自身の異常に―――自身の力が飛躍的に向上していることに気付いたのは、騎士団長の葬儀を終えて、落ち着いてからだった。

 彼はそれを奇跡と解釈した。騎士団長の遺志によりその使命を託されたのだと信じた。

 以降、彼は『国を守ること』を絶対の使命として己に課し―――――彼は騎士団史上最年少かつ最速で騎士団長の立場に就任する。

 まずはこれが、彼の伝説の始まり。






 ――――もはや殊更に述べる必要もないかもしれないが、一応訂正しておこう。


 彼が何の変哲もない農家の生まれというのは、誤りだった。


 どうも、どうやら――――彼の出自は中々に複雑なものだったらしい。



404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:19:37.82 ID:ZSsiH8ra0
 騎士団長となった彼の活躍は目覚ましく、彼は周辺諸国との争いに悉く勝利し、『始まりの国』の平定に多大に貢献した。

 彼はまさしく全ての戦に勝利した。こと武力という点において、彼に並び立つ者は存在しなかった。

 その上、彼は政の分野でも類まれな才覚を披露した。かつて農民であった経験を持つ彼の助言は、時の為政者を大いに唸らせた。

 彼の活躍によって『始まりの国』は確かな繁栄を得た。

 人々は彼を『太陽の騎士』、『神々に選ばれた男』、『常勝無敗の大英傑』などと褒め称えた。

 あるいは、そう―――――『勇者』、とも。

405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:20:05.03 ID:ZSsiH8ra0
 彼は騎士団長に就任して間もなく、王宮内で給仕を務めていた女性と結婚した。

 その女性との結婚に関しては、彼の同僚はおろか女性の家族、果ては女性自身からも反対されていた(曰く、身分が違いすぎるだの、恐れ多いだの)のだが、まあそれはともかく。

 彼は彼自身が見初めた女性と結ばれ、さらにその間に男子を授かるなど、まさに幸せの絶頂にあったのだ。

 とりわけ彼を喜ばせたのは、その息子が類まれな剣の才能に恵まれていたことだった。

 まだ歩き始めて間もない頃に、彼は戯れに息子に剣を模した木の棒を与えた。

 日夜修練として剣を振る父の姿が目に焼き付いていたのだろう。その息子はその棒の意味をすぐに理解し、父の真似をして振り回し始めた。

 これには彼も、彼の妻も、周囲の者達も大いに喜んだ。

 父を超える勇者の誕生だと盛大に盛り上がった。

 そして彼は嬉々として息子に剣の稽古をつけ始めた。

 メキメキと剣の腕を上げる息子を見て、彼はこの上ない喜びと高揚感を覚えていた。

 それは熱狂と言ってさえ良かっただろう。

 まさしく、熱に狂っていた。

 でなければ――――年端もいかぬ幼子に真剣を向けるという凶行など行われるものか。




 そして悲劇は起きた。


406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:20:39.02 ID:ZSsiH8ra0
 彼の剣は彼の息子を切り裂き、彼の息子は死の淵を彷徨った。

 一気に熱から覚めた彼は己の愚行を後悔し、激しい自己嫌悪に陥った。

 しかしながら彼を責め立てたのは彼自身ばかりで、他の誰も彼を責めることはしなかった。

 それは、本来最も彼を非難するべき彼の妻でさえも。

 『人でなし』と誹りを受けることすら覚悟していた彼である。

 「僕を責めないのか」と、不安になって彼は妻に問うた。

 妻の返答に、彼は戦慄した。

 妻は、まったく無垢な顔でこう言ったのだ。

407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:21:04.19 ID:ZSsiH8ra0







 『どうして?』






408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:21:37.44 ID:ZSsiH8ra0
 ここに至り、ようやく彼は自身の置かれた状況について理解が及んだ。

 そう―――――『始まりの国』において、もはや彼の存在は神格化しており、彼の発言、行動は全てが是とされてしまう。

 例えどんなに荒唐無稽な政策を王に具申したって、王はそれを実施するだろう。

 例えどんなに的外れな軍事作戦を展開したって、部下たちは何も疑問に思うまい。

 この事実は、彼に非常に大きな重圧を与えた。

 だってその事実に気づいてから、彼は決して間違えられなくなってしまった。

 誰も彼の過ちを糾してなんてくれないから、彼は自分だけで正解を掴まなければならなくなってしまったのだ。

 彼がその状況に開き直ることが出来れば、王をも凌ぐ権力を得たのだと喜ぶような感性の持ち主であれば、まだ良かったのだろう。

 だけど彼はまったく清廉潔白で、良心に満ち、正義感に溢れていた。

 彼は『絶対的な英雄』として、皆の期待に応え続けようとしてしまった。

 そして―――――応え続けることが出来てしまった。


 かくして彼は、『絶対的な英雄』としての当然の流れとして魔王討伐に旅立つ。

 その心に、僅かに黒い影を落としたまま。


409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:22:13.08 ID:ZSsiH8ra0
 大魔王城大広間に剣戟の音が木霊する。
 剣を交えているのは『伝説の勇者』とそのかつての愛弟子である戦士だ。

戦士「つああッ!!!!」

 裂帛の気合いをもって振るわれる戦士の剣は、しかし悉く『伝説の勇者』に打ち払われる。

戦士「チッ…!」

 斬り払われた剣を握りなおし、体勢を整えた時には『伝説の勇者』の剣が戦士の目前に迫っていた。

戦士「うお…!」

 戦士は大きく体を逸らし、そのまま後方にバク転して一度『伝説の勇者』と距離をとった。

戦士「くっ…!」

 『伝説の勇者』の追撃はなかった。
 体勢を整えてから、戦士は一度大きく息を吐き、剣を構えなおす。
 その顔には陰りがあった。
 戦士はその端正な顔に眉根を寄せて、苦々しく目の前の男を睨み付けていた。

伝説の勇者「強くなったな、戦士」

 優しい声音で目の前の男はそんな言葉を吐く。
 やめてほしい、と戦士は願った。
 かつて敬愛してやまなかった師。その背中を追い続けてきた男。
 覚悟は決めたはずだった。その男が敵に回った瞬間に自分の感情は切り捨てたつもりだった。
 だけど、目の前の男は余りにも思い出の中の姿のままで――――胸に去来する思いが、どうしても戦士の剣を鈍らせた。

戦士「うあああああああああ!!!!!!」

 そんな自分が許せなかった。
 獣のように雄叫びを上げたのはそんな自分を打ち払いたかったからだ。

戦士(ふざけるな!! なんなんだ私は!! 私が! ここで私がやらないと!! でないと……!!)

 煩悶する戦士の横を追い抜いていく影があった。
 勇者だ。

戦士「あっ…!!」

 咄嗟に伸ばした戦士の指先は勇者のマントを掠めただけだった。
 勇者は『伝説の勇者』に向かって飛びかかり――――二人の持つ刃が交差した。

410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:23:04.63 ID:ZSsiH8ra0
伝説の勇者「勇者…!」

勇者「……」

 父と子の持つ剣が拮抗する。
 『伝説の勇者』の顔には苦渋の色があった。
 対する勇者は無表情で、その感情はうかがい知れない。
 二度、三度と切り結び、勇者が後退したことで両者の間の距離が開く。
 その隙に再び勇者より前に出ようとした戦士だったが、その動きを勇者に手で制された。
 戦士の動きを制した手で、続いて勇者は目の前の『伝説の勇者』を指差す。

勇者「『呪文・大雷撃』」

 虚空より生じた雷光が『伝説の勇者』の体を打った。
 『伝説の勇者』は突如前触れなく現れた雷に碌な反応も示せなかった。
 勇者は精霊剣・湖月の柄をぎゅうと握りしめて前進する。

勇者「おおお!!!!」

 短い気合の声。
 振るわれた勇者の剣は真っ直ぐに『伝説の勇者』の喉元を狙っていた。
 呪文・大雷撃の直撃を受けた者は電撃に痺れ、体が一瞬硬直する。
 その一瞬を狙いすました、この上ないタイミングの一撃だった。
 しかし勇者の剣は『伝説の勇者』によって打ち払われた。

伝説の勇者「光と轟音で前後不覚に陥らせる呪文か……肝を冷やしたぞ」

 『伝説の勇者』の呟きを拾った勇者は一瞬で理解する。
 呪文・大雷撃は『光の精霊』の加護の力でもって放たれる一撃。
 どうやらそれは、同じ『光の精霊』の加護を身に着けたこの男には通じないらしい。
 格上の相手をする時の切り札が無為になった衝撃、その理不尽さに爆発しそうになる感情を勇者は抑えた。
 勇者は一度『伝説の勇者』と距離を取った上で、努めて冷静に状況を分析する。

勇者(おそらく、火炎も烈風も睡魔もコイツには大した効果がない)

 ならば、使いどころを考えなければならない。
 ダメージを与えることではなく、不意を突くことで大きな隙を生む――――そのために、勇者は呪文の温存を選択することにした。
 勇者が思索に転じていた間に、戦士が再び『伝説の勇者』に攻撃を繰り出していた。
 150センチにも及ぼうかという刀身を小枝のように振り回す戦士の剣戟はさながら竜巻のようで、圧巻と言う他に無かった。
 どんなに強力な魔物であっても、この剣の奔流に飲み込まれれば瞬く間に細切れと化してしまうだろう。
 しかし『伝説の勇者』はその全てを捌き切り、どころか戦士の連撃の間を縫って攻撃を仕掛けることで戦士の攻撃からリズムを奪った。
 『伝説の勇者』の攻撃をギリギリで躱すことは出来たものの、連撃の勢いを止められてしまった戦士は一度呼吸を整える為に間を取った。
 その間、ただ泰然と構えてこちらの様子を伺っている『伝説の勇者』の姿に、戦士は苦々しく唇の端を噛む。
 手加減されている。それは明らかだった。
 先ほどからギリギリで躱している『伝説の勇者』の攻撃も、こちらが『ギリギリで躱せるように』攻撃をしているだけなのだと、戦士は理解していた。
 そも、手加減というものは両者の技量に余程の差が無ければ成立しない。
 もちろん、戦士とて十全にその力を揮えているわけではない。
 かつて敬愛してやまなかった男を相手にして、困惑と躊躇いによる心理的なブレーキが如何ともし難く戦士の体を縛り付けている。
 しかし、だからといって、それにしても――――――だ。
 元々望んでいない戦いである。
 これ程の力量差を見せつけられて、なお心を奮い立たせることが出来るのか―――――


 そのようなことは、どうやら勇者にはお構いなしであったようだ。

411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:23:35.36 ID:ZSsiH8ra0
 無言で駆け出した勇者はその勢いのままに『伝説の勇者』に剣を叩き付ける。

伝説の勇者「まだわからないのか勇者!! お前達の剣は、決してこの私には届かない!!」

 力量差を殊更に誇示するためであろう。『伝説の勇者』は勇者の全身全霊の剣を片手一本で受け止めた。
 勇者は怯まず両手で柄を握りしめ、怒涛の勢いで剣を打ち下ろす。
 勇者は剣を『伝説の勇者』に向かって叩き付け、叩き付け、叩き付け、叩き付けた。
 『伝説の勇者』はあくまで片手持ちで勇者の剣を受け止めた。
 全霊をもって打ち下ろされる一撃を続けざまに受け止めたことで、流石に『伝説の勇者』の手に痺れが生じ始める。
 『伝説の勇者』は勇者の勢いを止める為、勇者が剣を振りかぶった隙に攻撃を差し込んだ。
 それは今まで戦士に放ってきたものと同様に、ギリギリで躱せるように絶妙に加減された一撃。
 ずぶり、と肉に刃が沈み込む感触があった。
 驚愕したのは『伝説の勇者』と戦士だ。
 勇者は『伝説の勇者』の剣を一切躱そうとせず、結果、『伝説の勇者』の剣は深く勇者の胸元を抉っていた。

勇者「……痛えなぁ。あぁ…ひでえよアンタ。一度ならず二度までも、実の息子を剣で斬りつけるなんて」

 勇者の胸から溢れ出した血が刃を伝い、『伝説の勇者』の手を濡らす。
 勇者の血に濡れた『伝説の勇者』の手はカタカタと小刻みに震えていた。

伝説の勇者「あ、あぁ…!! ち、違う……違うんだ…! 勇者、私は……!!」

 勇者は振り上げたままだった剣を渾身の力で振り下ろす。
 『伝説の勇者』の体が大きく切り裂かれ、血飛沫が舞った。

伝説の勇者「が…ふ…!」

 『伝説の勇者』の体がゆっくりと倒れる。
 『伝説の勇者』に刻まれた傷のその位置は、奇しくも幼い頃に勇者が受けたものとほぼ一致していた。

412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:24:12.17 ID:ZSsiH8ra0
 『伝説の勇者』は倒れた。
 まだ息はあるものの、そう長くは保つまい。
 戦士の目からは大粒の涙が溢れだしていた。
 戦士は自分の目から溢れるソレを、怪訝な表情で拭った。
 戦士は自分の涙の正体を自分自身掴めず、ただ困惑していた。
 憧れの男が敵に回ったこと、そして死んだこと。
 それもよりにもよって、勇者自身の手でそれをさせてしまったこと。
 悲しみと後悔と憤りと悔恨と―――色々な感情がない交ぜになって戦士の心は千々に乱れていた。
 胸を刺す痛みに耐えかねて、遂に戦士はその場にしゃがみ込んでしまった。
 勇者は無感情に自らの胸に突き立ったままだった『伝説の勇者』の剣を引き抜き、がらんと床に放った。
 血だまりの中にうつ伏せに倒れた『伝説の勇者』の姿を見下ろす勇者は、どこまでも無表情だった。

 『伝説の勇者』は、薄れゆく意識の中でそんな勇者の姿を見つめていた。

(ごめんな、痛かったよな)

 勇者の胸元から溢れる血を見て、『伝説の勇者』は思う。

(痛かったよな、苦しかったよな)

 『伝説の勇者』の脳裏に浮かぶのは、傷を負い、熱にうなされる幼い勇者の姿。

(俺のせいで、お前は痛みをひどく怖がる子供になってしまった)

 『伝説の勇者』が想うのは、回復はしたものの、痛みに怯え、遠巻きから自分たちの修業を冷めた目で眺めていた勇者の姿。

(痛いの嫌だって泣いてたよな。苦しいの嫌だって震えてたよな。なのに……)

 『伝説の勇者』の目に映るのは、己の傷口に無感情に処置を施していく現在の勇者の姿。

(お前をそんな風に壊してしまったのは俺なのか? 俺のせいで、お前の人生は無茶苦茶になってしまったのか?)

(だとしたら俺は一体、何のために……)

 『伝説の勇者』は思い出す。思い返す。まるで夢を見るように。
 かつての敗北の記憶を。幻想(ユメ)から覚めた瞬間を。

413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:24:41.59 ID:ZSsiH8ra0





『俺は魔界を救う。その為にお前の力を貸せ。「伝説の勇者」よ』




414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:25:12.40 ID:ZSsiH8ra0
伝説の勇者『ぐ…う……』

大魔王『まだ立とうっていうのか? やめとけよ。力の差はもう十分理解しただろう』

伝説の勇者『黙れ…俺は負けない……負けるわけにはいかないんだ……』

大魔王『死ぬことが怖くはないのか?』

伝説の勇者『怖いさ……死ぬのは怖い……だけど、それ以上に俺がここで諦めてしまうことで、今まで積み上げてきたものが全部台無しになってしまうことの方がよっぽど怖いんだよ…!』

大魔王『立ちやがった。よせ。それ以上無理をすると本当に死ぬぞ。ここでお前に死なれては、お前を殺さぬように立ち回った甲斐がない』

伝説の勇者『な…に……?』

大魔王『お前ほどの猛者を相手にして、殺さぬよう加減するのは相当苦労したんだぞ? 色んな思惑とか全部うっちゃって、全力で暴れまわれりゃ俺も楽だったんだがな』

伝説の勇者『ぐ…く……!』

大魔王『……少しは話を聞く準備が出来たようだな。なぁに、心配するな。俺の話を聞いてまだ俺の首を取るつもりがあれば、もう一度機会を設けてやるさ』

伝説の勇者『……?』

大魔王『何から話そうか……そうだな。「伝説の勇者」よ、この大魔王城に辿り着くまでに魔界の地を歩き、お前は何を思った。何を感じた』

415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:26:18.34 ID:ZSsiH8ra0
大魔王『……とまぁ、こんなところだ。魔界のクソッタレな現状ってのが少しでも伝わってくれたのならありがたい』

伝説の勇者『まさか…そんな……』

大魔王『―――俺は魔界を救う。その為にお前の力を貸せ。「伝説の勇者」よ』

伝説の勇者『お、俺の力を…?』

大魔王『そうだ。俺は「向こう側」の、お前たちの世界の知識が欲しい。お前達「人間(ヒト)」の営みを、俺はこの魔界で再現したいのだ』

大魔王『そのために、「伝説の勇者」よ。俺の下につけ。俺の下につき、お前の世界の事を俺に教えるのだ』

伝説の勇者『お、俺に人類を裏切れというのか』

大魔王『断るのならば仕方がない。その場合はお前にはここで死んでもらう。「向こう側」にこちらの真の目的を伝えられても厄介なのでな』

大魔王『しかし協力を約束するのならば俺はお前に最大限便宜を図ろう。生活に不自由はさせないし、必要な時以外はお前の行動を一切束縛することはない。お前は、自由だ』

伝説の勇者『……ッ!!』

大魔王『揺れたな。ふむ、やはりお前の核はこの辺りか。気になってはおったのだ。「世界平和」などという曖昧模糊な理由の為に、単身魔界に乗り込んでくるなどと常軌を逸している。狂気の沙汰だ。その行動理念について、俺は少し考えてみたのだ』

大魔王『察するに、お前は降りられなくなったのではないか? 皆の期待に応え続けたことで、応え続けすぎてしまったことで、次第にお前は皆が期待する通りにしか動けなくなったのではないか? 「伝説の勇者」たる者こうでなくてはならない、そんなイメージを誰よりも強くお前自身が持ち続けてしまったのでは?』

伝説の勇者『う、あ……』

大魔王『うむ、その顔が何よりも雄弁に答えを物語っている。「伝説の勇者」よ。良いのだ。お前はもう「伝説の勇者」を辞めていい』

伝説の勇者『ち…が、う…!! 違う!! 俺は、俺の意思でここに来た!! 俺には守りたいものがある!! その為に、ここでお前に屈する訳には』

大魔王『お前が俺に協力すればお前の家族の命は保障しよう。俺手ずから調整し、お前の故郷には決して強力な魔物は近づけさせん』

伝説の勇者『………ッ!!?』

大魔王『正解か。そうだよな。家族は大事だ。その気持ちは俺にも痛いほどよくわかる』

伝説の勇者『う、ぐ…! く、うぅ……!!』

大魔王『まったく強情な奴だ。わかったわかった。しょうがないから、俺がお前を負けさせてやる』





大魔王『こう言えばよいのだろう? ―――――家族の命が惜しければ、俺の軍門に下れ。「伝説の勇者」よ』




416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:26:56.63 ID:ZSsiH8ra0



 おいおい、そんな暗い顔をするな。



 お前、折角自由になれたんだぜ?



 魔界で一番の美女を世話役につけてやるから、まあ元気出せや。



 なぁに―――――生きてりゃその内いいこともあるさ。






417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:27:33.90 ID:ZSsiH8ra0
 ぴくり、と『伝説の勇者』の指が動いた。
 その手が地面に打ち捨てられた己の剣を取る。

伝説の勇者(そうだ……何もかも、生きていてこそだ)

 『伝説の勇者』は己の剣を杖として立ち上がった。
 目を見開いてこちらを見てくる勇者と目が合って、『伝説の勇者』は薄く笑う。

伝説の勇者(今更父親面なんて出来ないし、するつもりもないけれど……)

 かちゃかちゃと震えの止まらぬ手で、それでも『伝説の勇者』は剣を構える。

伝説の勇者(せめて、最初の志だけは貫いてみせる)

 『伝説の勇者』の脳裏に、目の前に立つ勇者が幼かった時の記憶がよぎる。
 剣に見立てた木の棒を持って、よちよちと自分の後ろをついてきていた勇者の姿。
 母の胎内から生まれ出でて、おぎゃあと己の腕の中で力いっぱい泣いていた勇者の姿。

伝説の勇者(―――――お前だけは絶対に死なせない!!)

 ごぼっ、と『伝説の勇者』は己の口内に溜まっていた血液を吐き出した。
 そしてすぅ、と息を吸い、静かに口を開く。

伝説の勇者「導け――――『覇王樹(ハオウジュ)』」

 『伝説の勇者』の体から黄金の輝きが迸った。
 その余りに鮮烈な光の奔流に、勇者も戦士も思わず手で目を覆ってしまう。
 光がやみ、勇者は恐る恐る『伝説の勇者』の方に目を向けた。

勇者「……なんだ…」

 わなわなと、勇者の肩が震える。

勇者「何なんだよ、それはぁッ!!!!」

 勇者が『伝説の勇者』と相対して初めて感情を爆発させた。
 今もなお仄かに輝きを放つ『伝説の勇者』の体からは、先ほど勇者がつけた傷が綺麗さっぱり消えていた。

伝説の勇者「これが―――俺の剣、『覇王樹』の力だ」

 『伝説の勇者』は己の持つ剣を、『伝説剣・覇王樹(デンセツケン・ハオウジュ)』を勇者の前に掲げる。

伝説の勇者「一日に一度だけ使用者の傷を全快させ、更に一定時間精霊加護を爆発的に高めてくれる」

勇者「精霊加護を……高める?」

伝説の勇者「そうだ」

418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:28:18.78 ID:ZSsiH8ra0



 すまない。すまない。すまない。


 きっと、とても痛いだろう。きっと、たくさん苦しむだろう。


 だけど、たとえ心折れてしまったとしても。


 ―――――それでも、生きてさえいれば。



419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:29:29.94 ID:ZSsiH8ra0
伝説の勇者「こういう風に――――な!!」

 『伝説の勇者』が動く。
 ただならぬ気配を感じ取った勇者は反射的に防御の体勢に移行する。
 しかし勇者の防御をあっさりと潜り抜け―――『伝説の勇者』の剣が勇者の体を切り裂いた。

勇者「あ……」

 勇者は信じられぬといった面持ちで自身の体を見下ろしている。
 その体に刻まれた傷の様相は、まさしく幼少の頃の再現であった。
 鮮血が噴き出し、勇者の体が崩れ落ちた。

戦士「いやあ!!!!」

 戦士が勇者に駆け寄った。
 うつ伏せに倒れた勇者の傍らに膝をついて、戦士は涙に濡れた目で『伝説の勇者』を睨み付ける。

戦士「『伝説の勇者』様……!! どうして…こんな……どうして……!!」

 『伝説の勇者』は戦士から顔を逸らした。
 いや、正確には血を流し続ける己の息子から目を逸らしたのだ。

伝説の勇者「……これでわかっただろう。私にすら及ばぬ者が大魔王に挑んでも、徒に命を散らすだけだ」

 『伝説の勇者』は必死で表情を取り繕い、厳しい視線を戦士に向ける。

伝説の勇者「勇者を担いで『向こう側』に帰れ、戦士。そして二度と魔界に戻ってくるな。人類に出来るのは大魔王の『間引き』が早々に終わるのを願うことだけだ」

 それだけ言い捨てて、『伝説の勇者』は再び戦士と勇者に背を向けた。

戦士「う、うぅ…!」

 ごそごそと戦士が荷物を探る音が聞こえてくる。
 おそらく手持ちの薬草で勇者に応急処置を施すつもりなのだろう。
 つまり戦士は完全に剣を置いたという事だ。もうこちらに向かってくるということはあるまい。
 何とか自分の思惑どおりに事が進み、『伝説の勇者』はほっと胸をなで下ろした。

勇者「……『呪文・大回復』」

 聞こえてきた勇者の言葉に、『伝説の勇者』も戦士も目を見開く。
 『伝説の勇者』は後ろを振り返った。
 勇者の体が仄かに輝きを放っている。
 やがて勇者がのそりとその場に立ちあがった。

伝説の勇者「勇…者……」

 『伝説の勇者』は祈るような気持ちで勇者の動きを注視する。
 勇者はにへら、とその顔に笑みを貼りつけ、精霊剣・湖月を構えた。

420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:30:04.03 ID:ZSsiH8ra0
伝説の勇者「勇者ッ!!!?」

戦士「勇者ッ!!!?」

 『伝説の勇者』と戦士の、悲鳴のような声が重なった。

勇者「何を驚いてんだよ、アンタ……」

 勇者は『伝説の勇者』をせせら笑うように言った。

伝説の勇者「もうよせ! 敵わないのはわかったはずだ!」

 勇者は『伝説の勇者』の言葉に聞く耳など持たず、一歩踏み出した。
 よく見れば、勇者の体は全快などしていない。
 傷は塞がり切らず、ポタポタと零れる血は床の水溜りを広げ続けている。

伝説の勇者「何故お前は……そこまでして……」

勇者「大魔王を倒すのに邪魔な敵が目の前にいる。剣を振るのにこれ以上の理由がいるかい?」

伝説の勇者「俺は!! ……俺は……お前の敵なんかじゃ……!!」

勇者「……くく」

 勇者は笑い出した。

勇者「くく、ははは……あは!! あはははは!!!! ぎゃははははははははははは!!!!!!」

伝説の勇者「勇者……!!」

勇者「あー、傷が痛え。笑わせんなよ親父―――――父さん」

 一転して、勇者の顔から笑みが消える。
 笑みどころか―――勇者の顔からは、あらゆる感情が抜け落ちてしまったようだった。

勇者「もう俺にとってはあなたの存在自体が耐え難い。あなたが息をしているってだけで息苦しい。あなたが生きる世界に同時に生きていくなんて、俺にはもう無理だ」

勇者「――――俺が死ぬか、アンタが死ぬか。どちらかが死ぬことでしか、もうこの話は決着しないんだよ」

 勇者からの剥き出しの敵意を受けて、しかし『伝説の勇者』は逆に覚悟を決めた。

伝説の勇者「……そうだな。わかってもらおうだなんて、許してもらおうだなんておこがましかった。恥知らずにも程があったよ」

 勇者に呼応するように、『伝説の勇者』は剣を構える。

伝説の勇者「次は確実に意識を刈り取る。回復呪文など唱えさせはしない。俺は絶対にお前を救ってみせるぞ、勇者」

勇者「喋んなよ。俺を救うってんなら、黙って今すぐ喉を掻き切ってくれ」

421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:30:43.23 ID:ZSsiH8ra0
戦士「勇者…!」

勇者「悪いけど下がっててくれ戦士。邪魔だ。巻き込まれるぞ」

 勇者は精霊剣・湖月を右手に持った。

勇者「『呪文・大火炎』」

 そして上に掲げた左手から巨大な火球を出現させる。

伝説の勇者(呪文…! 勇者の奴、一体いくつの呪文を習得しているんだ…!)

 一瞬目を見開いた『伝説の勇者』だったが、すぐに冷静になって勇者の生み出した火球の威力を推し量る。

伝説の勇者(成程、大した威力だが……覇王樹によって加護が増大した今ならば、たとえ無防備な所に直撃したとしてもダメージは無い)

伝説の勇者(しかしあれだけの規模の火球だ。ダメージは無くともこちらの視界を塞ぐことは十分可能。ならば何かをされる前に火球に自ら突っ込み、剣風で炎を散らすが最善!!)

 そう決断した『伝説の勇者』がその足に力を込める―――より早く。
 勇者の口は動いていた。

勇者「穿て――――『湖月』」

 右手に持った精霊剣・湖月から水流が迸る。
 そしてその水は勇者の頭上にあった火球に突っ込み、瞬く間に蒸発して大量の蒸気を生んだ。

伝説の勇者「むお…!」

 蒸気に巻かれ、『伝説の勇者』の視界が白く染まる。
 だが視界の制限は形こそ違えど元々予期していたところであったため、『伝説の勇者』に動揺は無い。

伝説の勇者(小癪……!! いくら煙に紛れて近づこうと、いざ剣を振る瞬間には必ずその勢いで蒸気は割れ、勇者は姿を現す。俺が剣を振るのはそれからでいい。たとえ勇者がどれだけ早く攻撃の姿勢に移っていても、それを覆すほどの速度差が今の俺達にはある!)

 『伝説の勇者』は剣を構え、周囲に向かって気を巡らす。
 あらゆる動きを逃さぬよう集中する。
 煙が割れた。
 例えそこに現れたのが勇者ではなく戦士であったとしても、『伝説の勇者』は動揺なく迎撃できる自信があった。

422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:31:23.67 ID:ZSsiH8ra0






 しかしそこに現れたのは勇者の母であった。



 つまり、『伝説の勇者』の妻であった。



 当然に『伝説の勇者』の剣は止まった。




 突然そこに現れた、『伝説の勇者』の妻であり勇者の母であるその女性は、その手に持った精霊剣・湖月の蒼い刃で『伝説の勇者』の胸を切り裂いた。



423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:32:24.70 ID:ZSsiH8ra0
伝説の勇者「が、は……! ば、か…な……これは…一体どういう……」

 仰向けに崩れ落ちた『伝説の勇者』は必死で首を持ちあげ、自身の妻であった女性に目を向ける。
 その目の前で、その女性の体から煙が噴き出し、やがて煙の中から勇者が姿を現した。
 『変化の杖』。
 持って念じるだけで、イメージした人物に化けることが出来るマジックアイテム。
 何しろ自分の母親だ。その姿を寸分違わずイメージすることは容易であった。

伝説の勇者「勇者…!! き、さま……何という……!!」

 伝説の勇者は激高し、勇者に掴みかかろうともがくが、体はちっとも言う事を聞かず寝返りを打つように僅かに身じろぎ出来ただけだった。

伝説の勇者「し、死ぬのか……俺は、ここで死ぬのか……!?」

 どくどくと『伝説の勇者』の胸の傷からは血が溢れ続けている。
 どんどんと自分の体が冷たくなっていくのを、『伝説の勇者』は自覚した。

伝説の勇者「あ、あぁ…あぁぁああああぁぁぁぁあああああ!!!!!! い、嫌だ!! 怖い!! 死にたくないぃぃ…!!」

 戦士はぎゅう、と己の胸の辺りで拳を握りしめた。
 勇者はあくまで無表情で己の父の姿を見下ろしている。
 二人とも、今『伝説の勇者』が味わっている死の感覚を知っている。
 それがどれ程の恐怖なのか、勇者も戦士も身をもって知っているのだ。

伝説の勇者「ゆ、勇者……頼む……助けてくれ……」

 青白くなった顔で、『伝説の勇者』は途切れがちにそう口にした。
 ぴくり、と勇者の指が震える。

伝説の勇者「もうお前の邪魔はしない……共に大魔王に立ち向かうと誓う……だからどうか……助けてくれ……」

 今まさに死にゆく父の、必死の命乞いを目の前にして、遂に勇者の感情が揺れた。
 眉根にはっきりと皺を寄せ、勇者の顔には苦渋の色がありありと浮かびでている。

伝説の勇者「頼む……どう、か……勇、者………」

勇者「う…あ…」

 勇者は思わずその手のひらを父に向かって開いた。
 あとは回復のための呪文を唱えてやれば、父は一命を取り留めることが出来るだろう。
 しかし勇者は開いた手を閉じた。
 そして代わりに精霊剣・湖月を手に取り、父に向かって高々と掲げて見せた。
 せめて苦しみを長引かせることなく一瞬で――――そう考えた上での勇者の行動であった。
 そんな勇者の姿に気付いた『伝説の勇者』の表情は、まさしく絶望と、そう表するに相応しいものだった。

424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:33:23.66 ID:ZSsiH8ra0
伝説の勇者「あ、あぁぁぁあああああ!!!!!! いやだ!! いやだ!! いやだぁぁぁああああぁぁぁあああ!!!!!!!」


 ただただ悲痛に叫び、ぼろぼろと涙を零すその姿に、もはや伝説に謳われるような威厳など欠片も無い。


伝説の勇者「あぁ、すまない…!! すまない××××……!! すまない……!!」


 『伝説の勇者』の口から勇者の知らない名前が飛び出した。
 もしかしたら試験都市フィルストにいた魔族の母の名前かもしれない。


伝説の勇者「ごめんな××××…ごめん、ごめんよ……!!」


 また勇者の知らない名前だった。
 もしかしたら、仲睦まじく手を繋いでいた魔族の娘の名前かもしれない。


伝説の勇者「すまなかった……○○○○……俺は、俺は……君を……」


 今度は勇者の知っている名前だった。
 それは勇者の母であり、彼の妻であった女性の名前だった。


伝説の勇者「勇者……はぁ……勇者……」


 遂に彼は勇者の名を呼んだ。
 勇者は剣を掲げたまま、思わず彼の言葉の先を待ってしまう。

425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:34:06.43 ID:ZSsiH8ra0









伝説の勇者「………勇者…………よくも……」








426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:34:36.18 ID:ZSsiH8ra0















 ガァン、と勇者の剣が床を叩く音が響き、ごろりと『伝説の勇者』の首が転がった。




427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:35:12.69 ID:ZSsiH8ra0






 『伝説の勇者』の死体から溢れ出た精霊加護が勇者の体へと移っていく。


 勇者は『伝説の勇者』の加護を継承した。




428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:36:03.99 ID:ZSsiH8ra0
 大広間の虚空に突如暗闇が生まれた。

 その暗闇から、ゆっくりと一人の男が姿を現す。

 それが誰かなど、問うまでもない。


大魔王「加護継承の例外だと…? まさかそんな厄介な現象が存在するとはな」


 大魔王が、魔界の民から神とまで崇められた怪物が再び大広間に降り立つ。

 しかしその顔からは先ほどまでの余裕は全く消え失せていた。







第三十四章  『伝説の勇者』、その結末  完


429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/06(日) 01:36:42.66 ID:ZSsiH8ra0
今回はここまで

次回、最終章

目処が立ったら投下日を予告します
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 01:44:42.77 ID:A7lITtAgo
乙!
ずっと待ってた
続きも楽しみに待ってます
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 01:48:12.02 ID:1JTDiTofo
結局クズのまま死んじゃったか……
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 02:00:51.61 ID:N7f5zZZJO
今回は勇者の行動もなかなかゲスかったし、多少はね?
まあ伝説の勇者には同情できないけど
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 02:09:37.74 ID:T7WaYP500
激アツ!!待った甲斐あって面白かった
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 02:59:00.00 ID:OvFd0Kh70
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 07:09:44.79 ID:6Ot9p9Gqo
図らずも背負ったものに振り回され続けた親子の結末がこれか・・・
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 11:41:33.86 ID:eAPeDyjCo
乙!
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 13:15:23.40 ID:ivtfcC7+O
おつつつtる
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 13:59:48.19 ID:uRATYTJQ0
これ、勇者壊れてね?
母に変化して攻撃とは……マジで予想出来ないわ。すげーなよく思いつくな
おつ!ずっと待ってる
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 18:43:44.29 ID:bvuYpZDGo

本当に色々考えさせられるわ
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 20:09:37.08 ID:SEfJXU86O
まだかなぁ
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 20:21:24.01 ID:SEfJXU86O
と思ったら来てた

乙!!
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 21:08:47.87 ID:uRATYTJQ0
魔界でも加護継承できたな。今回で伏線は全て回収されたな
大魔王倒すと間引き出来ず魔界は滅びるんだよな…それってハッピーエンドなのかな
期待するぜ
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 21:12:56.98 ID:lxDvGmAxO
11月3日で2年だったんだな
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 21:30:14.24 ID:A7lITtAgo
大抵のRPGは大魔王を倒して、いい魔物以外全部滅びてハッピーエンドだからね
魔界側の事情なんて人間の知った話じゃないね
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 22:11:36.27 ID:bnuzYVxdo
光の精霊やろうなあ…
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 22:12:52.58 ID:bnuzYVxdo
騎士の加護の一部と親父の加護マックスでようやく大魔王と対等って強さインフレしすぎ
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/06(日) 22:58:14.70 ID:eNShWrfZO
父親殺して継承展開はあると思ってたけど、まったく和解とかせず殺してしまうとは……
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 02:01:59.12 ID:RmEfe9Kro
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 10:43:48.48 ID:pXcnKtejO
乙!
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 12:27:17.85 ID:Jb9ed4nwO
騎士ほどの絶望感はなかったなぁ
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 13:54:29.30 ID:Gf6HkhHdO
>>450
遊びで殺しに来る者と真剣に殺しに来ない者の違いだろうな
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 12:24:10.47 ID:JAVRdf6A0
伝説の勇者の実の父親が前騎士団長の可能性が…
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 23:39:14.26 ID:HDANAAqeo
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/11(金) 01:08:47.69 ID:b7xD8Zdso
展開予想は死んでくれ
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 02:50:25.93 ID:1s9U6FbJO
年内には来るかな?
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/04(日) 19:18:46.78 ID:8W4/CLgIo
ほほほ
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/11(日) 23:40:05.09 ID:sZxYckinO
まだかなぁ
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/16(金) 23:34:04.74 ID:EHamQpMGo
きょうゆめでつづきをよんだきがする
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/21(水) 19:19:24.81 ID:SNH/P36Ro
まだか
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/23(金) 00:36:21.19 ID:g/CLPeof0
まぁまぁ、気長に待ちましょうよ。
ク〜リスーマスーが
こーとーしーも
やぁってっくるっ♪
楽しかった
できごっとを
消し去るよおーにっ♪
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/28(水) 11:05:09.91 ID:bZ213VDfo
ほしゅしゅっふ
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/31(土) 00:41:48.95 ID:mMZnCwqGo
まだかなぁ
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/01(日) 16:05:23.68 ID:ulGqZbJx0
あけおめ
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 07:20:47.19 ID:MsyWDgGTO
1はそもそも生きているのだろうか
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 18:44:28.01 ID:jafp0tpp0
あと数日しかないのか。不安だな。
466 :1です [sage]:2017/01/03(火) 21:41:33.90 ID:Gvd7dBRR0
すんません

正直いつ投下できるかまだ全然わからん状況です

でも必ず投下しますので、どうかもう少々お待ちください
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 21:57:14.44 ID:WauMyrp9o
生存報告さえあれば余裕で待てる!
焦らずにゆっくり楽しみに待ってます!
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/07(土) 13:39:38.46 ID:/ukZjB4S0
楽しみに待ってます!!
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 20:33:06.13 ID:r3EW006Qo
センター当日だけど待ってます
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/20(金) 09:39:11.77 ID:kvWDGAwro
はよ
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/28(土) 17:11:44.69 ID:/moEMaueO
まだかなー
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/29(日) 00:24:59.26 ID:oZowee3fO
モチベ上がった時にじっくり書いてもらいたいけど月一くらいで生存確認はほしいなー
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/02(木) 08:27:00.77 ID:Sbe3mgJKo
まぁまぁめがねどうぞ
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/10(金) 03:22:19.12 ID:bk7LYEU3O
まだかなまだかなー
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/12(日) 17:55:41.91 ID:Mdf73HvP0
はよはよはよはよははよはよはよ
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 20:13:44.04 ID:rtqkW2iA0
上げんなハゲ
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/16(木) 13:03:08.47 ID:0Mikxpy4o
冨樫
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/18(土) 00:07:54.78 ID:G6/PC9OAO
そろそろ頼む…限界だ
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/23(木) 07:34:51.82 ID:YgyXk0Qro
まだー?
年度末ぐらいまでには生存報告しては氏い
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 08:26:24.12 ID:zGaGsX2do
年度末っていうか3月になった頃に
生存報告がないと落ちちゃう
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/26(日) 00:22:06.46 ID:KrUwxcuZ0
気長に待とう
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/26(日) 12:45:48.02 ID:0avq8tyy0
>>1が2ヶ月来ないと落ちちゃうんだっけか?そんなルールあったよね
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/28(火) 21:41:15.27 ID:YXJeCU27o
書き手が2ヶ月書き込まないと処理対象になるけど処理前に書き込めばセーフだったはず
とは言え書き込みに気付かず処理されるケースも偶にある
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/28(火) 21:41:53.95 ID:YXJeCU27o
>>483
書き込みに気付かずってのは二ヶ月経過後の話ね
394.23 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)