【ゼノギアス×艦これ】提督「海上都市タムズに放り出された」

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135 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 01:06:23.42 ID:buhN8nD0o
金剛「決まりネー!それじゃテートク、待ってるからネー」


榛名「訓練がんばってください、提督!」


北上「私はお昼寝でもしようかね」


夕立「夕立もちょっとおねむっぽい」


大鳳「私はドックで艦載機の整備をしてますね」


提督「じゃあ今日はこれで解散ってことで。それじゃ加賀さん、行こうぜ」


加賀「ええ」


  ***
136 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 01:20:24.05 ID:buhN8nD0o
〜しばらく後〜


提督「あ゛ーケツ痛え……ギアのシート堅すぎだろ」

提督「サルベージ当日はあの中に何時間もいなきゃならんのか……絶対クッション持って行こう。うん」

提督「と、ここだな」コンコン

提督「おーい、金剛、榛名、俺だ」


金剛「入ってきてくだサーイ!」


提督「おう」ガチャ

提督「……あれ、金剛、榛名、どこだ?」バタン
137 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 01:28:53.16 ID:buhN8nD0o
金剛「ここデース!」ガバッ


提督「うおっ!」


金剛「ンー、テートクゥー」ギュー


提督「お前、何してんだ」


金剛「……」


提督(……黙ってろ、と)ナデナデ


金剛「……ン」スッ


提督「もういいのか?」


金剛「イエース!これでしばらくは禁断症状に悩まされないネー!」


提督「何の事だ、というか、榛名はどうした」
138 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 01:51:18.01 ID:buhN8nD0o
金剛「ハルナはティータイムの準備ネー。もうすぐ戻ってくる筈デース」


提督「あ、ちゃんとお茶はあるのね」


榛名「お待たせしました、金剛お姉様……あ、提督、いらしてたのですね」


提督「ああ、お邪魔してるよ」


金剛「それじゃハルナ、後は私がやっておくから、次はハルナのターンネー」


提督「ターンって一体何の……あー、そういう」


榛名「あの、金剛お姉さまはもう……」


提督「まあ、さっきここに来た直後に」


榛名「榛名もできればお願いしたいのですが……」


提督「……構わねえよ、ほら」スッ


榛名「では、失礼しますね」ギュ
139 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 02:10:22.12 ID:buhN8nD0o
提督「……」ナデナデ


榛名「提督、あったかいです」


提督「初めてみたいな反応しないでくれよ、恥ずかしくなってくる」


榛名「こっちの世界では初めてですよ」


提督「なんだそりゃ」


榛名「……」


提督「……」


榛名「……」スッ


提督「もういいのか?」


榛名「はい、ありがとうございました、提督」


提督「よし、じゃあお茶にしようか」


榛名「ええ!」
140 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 02:36:05.68 ID:buhN8nD0o
金剛「ン、二人とも、フィニッシュですカー?」


榛名「はい、最後は任せっきりにしてしまって申し訳ありません、お姉様」


金剛「ノープロブレムネー!ほらテートクゥ!そんなとこに立ってないでシッダンネー!」


提督「ああ、それじゃ失礼して」ガタン


榛名「それでは、榛名がお入れしますね」コポコポ


榛名「どうぞ、お姉様、提督」


金剛「センキュー、ハルナ!」


提督「ありがとな。……お、中々いい香りじゃないか」


金剛「イエース!あのバトラーの格好は伊達じゃなかったって事デスネー!」ゴクゴク


提督「はは、あの格好は確かに凄かったな。まさに執事って感じで」ゴクゴク


榛名「あの、提督」


提督「ん?どうした」
141 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 03:00:52.50 ID:buhN8nD0o
榛名「これからどうするおつもりですか?タムズに滞在してしばらくになりますが、私達の世界に帰る手掛かりは全く見つかっていません。
そろそろ次の手を考えたほうが……」


提督「んー、まあ確かに、サルベージ計画が終わったあたりで別のアクションを起こしてもいいかと思い始めてはいるよ」


金剛「どうするつもりデース?」


提督「一番に思いつくのは、タムズを離れて自分の足で世界を回る事だな」


金剛「ワーオ!とっても楽しそうネー!」


榛名「でも提督」


提督「ああ。そうなると補給が問題になってくる。オイルその他はともかく、弾薬だけは他じゃ中々手に入らないだろうな」


金剛「それじゃ私達はずっとここにいるしかないんですカー?」


提督「まあそう焦るな。その点に関してはちょっと考えがある」
142 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 03:16:33.87 ID:buhN8nD0o
榛名「それは一体……」


提督「秘密だ。その時が来たら話すよ」


金剛「エー!プリーズテルミー、テートクゥ!」


提督「駄目だ。正直、うまくいくかどうかわからないからな」


榛名「そうですよお姉様、あまり提督を困らせてはいけません」


金剛「ウー……絶対に今度教えてくださいネー?」


提督「ああ、約束だ」


金剛「なら許してあげマース!」
143 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 03:35:07.79 ID:buhN8nD0o

提督「そりゃよかった。榛名、おかわりくれ」


榛名「あ、はい!」コポコポ


提督「ん、サンキュ。相変わらず榛名は紅茶淹れるのがうまいな」


榛名「ふふ、ありがとうございます。提督がお望みなら毎日淹れて差し上げますよ」


提督「うーん、毎日は流石にな……。たまにはコーヒーも飲みたいし」


金剛「ワット!?今何て言いましたテートクゥ!」


提督「いややっぱコーヒーって気分の日も」


金剛「ノー!いくらテートクでもあんな泥水を飲むことは許せないネー!」


提督「お、落ち着け金剛。別にお前が飲むわけじゃないんだから」


金剛「ノーったらノーデース!テートクゥ!今すぐこれまで飲んだ全ての泥水を吐き出すネー!」ガシィ


提督「だあああ暴れるな!そんなの無理なんだからイタタタタ!噛むな!」ギャーギャー


榛名(……コーヒー、淹れられるようにしておきましょう)


  ***
144 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/21(日) 03:37:06.01 ID:buhN8nD0o
今日はここまで。遅くなってしまい申し訳ありません。
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/21(日) 04:34:28.44 ID:3CegOum20
艤装のリミッターを解除すれば、艦娘もハイパーモードになれる可能性

エーテル機関を搭載すれば色々と使えるだろうか?
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/21(日) 07:38:05.46 ID:uXOdaApUo
乙でした。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/21(日) 11:38:42.91 ID:ZDFG+8VSo
艦娘に技を習得させるためつちのこ相手に□△○ボタンを押し続ける日々が始まるお(´;ω;`)
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/21(日) 12:13:45.18 ID:uXOdaApUo
つちのこ肉を毎日食う加賀さん。
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/21(日) 12:48:33.88 ID:DE88Dn9co
150 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/27(土) 23:56:19.89 ID:dyacDEuqo
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
151 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 00:06:55.04 ID:EwZcKBYCo
〜数日後〜


夕立「ぽいー」ゴロン


夕立「ぽいー」ゴロン


夕立「……はふう」


提督「何してんだ、こんなとこで」


夕立「あ、提督さん。見ての通りのお昼寝タイムっぽい」


提督「こんなかったい甲板のど真ん中でか?部屋で寝れば良いだろ」


夕立「あそこは昼間でも暗いからイヤっぽい」ゴロン


提督「小さい窓が一つ付いてるだけだからな。にしてもこんな所で寝ることはないだろ。ガラの悪い奴に攫われちまうぞ」


夕立「そんな奴らは返り討ちにしてあげるっぽい」ゴロン


提督「……ぬう」


夕立「……ふわあ」


提督(なんかに似てると思ったらあれだ、実家の犬にそっくりなんだな。寝そべり方とか)

提督「まあ、そういうことならいいけどよ。ギアの邪魔にだけはならないようにな」


夕立「はーい」
152 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 00:15:41.89 ID:EwZcKBYCo
提督「んじゃ、俺は作業に戻るわ」


夕立「行っちゃうの?」


提督「休憩がてらの散歩だったからな。そろそろ戻らないといかん」


夕立「……提督さん」


提督「ん?」


夕立「ここ」ポンポン


提督「ここ?」


夕立「一緒にお昼寝しましょ?」


提督「そうしたいのは山々だがなあ」


夕立「むー、提督さん、最近全然遊んでくれないっぽい。鎮守府にいた頃はもっと遊んでくれたのに」


提督「そりゃ仕方ねえだろ。あっちの時よりもずっと忙しいし」


夕立「大規模作戦の時よりも?」


提督「うぐ、それは、まあ、作戦中のほうが忙しかったかな」


夕立「でも提督さんは作戦中に夕立と遊んでくれてたよ?」


提督「……そうだったな」
153 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 00:28:52.72 ID:EwZcKBYCo
提督(しまったな、司令官としての仕事をすっかり怠ってしまった)

提督(何よりもまずこの子らをしっかりフォローしてやらなきゃならなかったのに、多分大丈夫だろうで済ませちまった。
加賀さんがああなった時点で、だな)

提督(そう考えてみると、こないだの金剛と榛名もそうだったのかもしれない)

提督(それぞれにキチンと話、しないとな)


提督「……わかったよ、俺も毎日作業作業で疲れてたところだ。一緒に寝るか」


夕立「うん!それじゃ早速、夕立の隣に寝るっぽい!」


提督「それじゃお邪魔して、と」ゴロン


提督「あー、海風が気持ち良いな」

提督(背中めっちゃ痛いけど)


夕立「気持ちいいっぽーい」


提督「確かに、暗い部屋で寝るよりはいいかもな」


夕立「でしょ?」


提督(このかったい布団を除けば、だけど)
154 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 00:40:49.29 ID:EwZcKBYCo
夕立「提督さん」


提督「ん?」


夕立「腕、貸してほしいっぽい」


提督「腕?ほらよ」スッ


夕立「っぽい」ポフッ


提督「……あー、流石にこれは恥ずかしいんだが」


夕立「何が?」


提督「それだよそれ、腕枕」


夕立「誰も見てないからいいっぽい。このままだと頭が痛くなっちゃうし。っぽい」

提督(やっぱり床固いの気にしてんじゃねえか)


提督「……まあ、いいか」


夕立「いいっぽい」フワア
155 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 00:50:52.33 ID:EwZcKBYCo
提督「それにしても、海ってのはあっちでもこっちでも変わらんな」


夕立「そんなことないっぽい。海のにおいが全然違うっぽい」


提督「え、マジ?どう違うんだ」


夕立「うーん、あっちの海はお魚がいっぱいいるにおいがしたけど、こっちの海は機械のにおいが強いかも」


提督「……ふーん、俺には全く分からん」スンスン


夕立「提督さんからは提督さんのにおいがするっぽい」スンスン


提督「そりゃ俺は俺だからな」フフン


夕立「……ついでに他の女のにおいもするっぽい」


提督「……い、いつもの事だろ、はははは」


夕立「むー!」グリグリ


提督「あででで、頭でぐりぐりするんじゃねえ。床固いんだから」
156 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 01:01:23.81 ID:EwZcKBYCo
提督「そ、それよりもさ、あっちの奴らがどうなってるか心配じゃないか?」


夕立「何のこと?」


提督「いやほら、時雨とか春雨とか、鎮守府の奴らは大丈夫かなーって」


夕立「全然気にしてないよ?」


提督「え?」

提督(あれ?)


夕立「あっちにはいっぱい仲間が残ってるでしょ?敵が攻めてきても絶対に負けないっぽい。むしろ時雨たちが夕立たちを心配してると思うっぽい」


提督「そ、そうだな。早く帰ってみんなを安心させないとな」


夕立「っぽい!」ゴロン


提督(……俺、心配し損じゃねーか!というか大人か!この子は!昼寝ワン公なのに!)


夕立「〜♪」ゴロゴロ


提督「……ま、いいか。今度こそ大丈夫そうだし」


〜その頃 地下ドック〜


ギア整備士「提督の奴、全く帰ってこないでやんす。やっぱり最低でやんす」


  ***
157 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 01:13:02.93 ID:EwZcKBYCo
〜数日後 海上〜


提督「よっと」ガッコンガッコン

提督「よし、と。こちら4番機、ロープ固定完了だ」


クレーン担当『よーし、それじゃ引き揚げるぞお!』


1番機『よし、ギア班は下がれ!』


提督「了解、っと。うーん、サルベージ作業をする分には問題なく動かせるようにはなったな」ガコガコ

提督「次は戦闘機動か。また加賀さんに手伝ってもらわないとな」
158 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 01:20:00.87 ID:EwZcKBYCo
金剛『ヘーイ、テートクゥ!』

提督「っ!!」キィィン


金剛『そっちは順調ですカー!?海上はグッウェザーアンドウィンドレスネー!』


提督「あー、金剛、金剛、俺の鼓膜を破る気がないんなら今すぐ声の音量を落としてくれ。あとお前の役目は天候観測じゃねえ、索敵だ」


金剛『オウ、ソーリー。もちろん敵の方もナッシングネー!』


提督「了解、そのまま頼むぜ。今の俺じゃデスサイズの一匹にでも来られたらお陀仏かも分からんし」


金剛『それは大変デース。そうならないようにこの金剛、プリンセスを守る立派なナイトを全うしてみせマース!』


提督「俺が姫かよ。まあなんでもいいや、しっかり頼むぜ」ハハ

提督(金剛は……実際どうなんだろうな。霧島と比叡を心配してそうな気もするし、夕立と同じように心配してない気もする)

提督(結局、話してみないと分からない、か。サルベージ計画が終わったあたりでちょっと話してみるか)


  ***
159 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 01:31:09.72 ID:EwZcKBYCo
〜しばらく後 地下ドック〜


ギア整備士「お疲れでやんす、提督」


提督「ああ。今回はやらかしてないから安心してくれ」


ギア整備士「そのようでやんすね。この様子じゃ軽い整備だけで終わりそうでやんす」


提督「それなりに丁寧に扱ったからな。操縦の方も大分上達した気がするぜ」


ギア整備士「油断したらダメでやんすよ。人間、上達したてが一番ミスするものでやんすから」


提督「肝に銘じておくよ」


ギア整備士「それじゃもう上がっていいでやんす」


提督「……サルベージ計画は明日だぜ?今は猫の手でも借りたいんじゃないのか」


ギア整備士「もう準備は粗方終わってるでやんす。提督こそ、明日に備えてもう休んだほうがいいでやんすよ。
明日は普段の何倍も重労働になるでやんすから」


提督「ありがとう。それじゃ後は頼むぜ」スタスタ


提督「うーん、思いがけず暇が出来たが……晩飯まで寝るか」スタスタ

提督「ん?あれは……」
160 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 01:38:58.21 ID:EwZcKBYCo
加賀「……」カーンカーン


加賀「……」カンッカンッ


加賀「……」ガァンッガァンッ


提督「何やってんだ、加賀さん」


加賀「提督」


提督「……んー、こりゃあ」


加賀「艦載機を、自作できないかと思って。妖精さんと試していたの」


提督「よく出来てるじゃないか。見た目は完全に烈風だな。これ使えるのか?」


加賀「駄目ね」


提督「ま、そんなとこだろうと思ったぜ。妖精さんも乗ってないしな。何が問題なんだ?」


加賀「こちらの世界の材料では内部の精密部品、特にエンジンが作れないそうよ」
161 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 01:46:47.29 ID:EwZcKBYCo
提督「エンジンか。……ん?そういや艦載機ってどうやって動いてるんだ?艦娘に燃料を補給したことはあっても、艦載機にはしたことねえぞ」


加賀「今までは発艦時に私達の燃料を少しだけ持っていくようになってたわ」


提督「じゃあ今は?スレイブジェネレーターからはどうやってるんだ」


加賀「わかりません。今までと同じようにしたら動けるらしいのだけれど、どうやって動いているかは理解できていないわ」


提督「つーことは、例え材料が揃ったとしても、既存の製造方法では艦載機は補充できないのか?」


加賀「恐らくは……」


提督「うーん、案外面倒なことになったな。ただ同じものを生産するだけじゃ駄目だとは」


加賀「……」シュン


提督「っ!ま、まあまあ、そんな悲しい顔すんなって。要するにスレイブジェネレーターからエネルギーを移せればいいんだろ?
この世界にならどこかにあるはずだって」


提督(その顔は反則だろ……)


加賀「……そうかしら」


提督「あんな馬鹿でかいロボットが当たり前にある世界なんだ。ちっちゃい飛行機に積むエンジンぐらい絶対あるって。
それよりほら、明日は一大イベントなんだ、今日はもう休もうぜ」


加賀「そうね、そうします。……提督」


提督「ん?」


加賀「期待していますから」スタスタ


提督「……やれやれ」


  ***
162 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/02/28(日) 01:52:00.54 ID:EwZcKBYCo
今日はここまで。
スクエニの新作オンゲでゼノギアスのコラボがあるようですね。PV見ましたがフェイたちに新しいボイスが生まれただけでも落涙ものでした。
それではまた来週。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 08:13:23.65 ID:22Zgrosg0
マジかそれ
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 14:57:01.40 ID:dnwNzIubo
乙。
165 : ◆Idq7VgawO2 [sage]:2016/03/05(土) 22:33:10.54 ID:sVAyg/xco
お待たせしました。今週の投稿を開始します。
166 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 22:36:06.13 ID:sVAyg/xco
〜次の日〜


提督「くあ……ねみい」スタスタ

提督「色々と考えてたら良く眠れなかった……子供か俺は……ふああ」

提督「いかんいかん、今日に限ってこれはまずいぞ。とりあえずメシでも食ってくるか」「提督」


提督「その後にコーヒーでも一杯飲めば……また金剛に何か言われそうだな」「あ、あら?提督?」


提督「ま、その時はその時だな。今はそんなことより……」


大鳳「もう、提督!」ガシッ


提督「うおっ!?た、大鳳か!いつの間に」


大鳳「ずっと呼んでましたよ、提督。それなのに提督が気づいて下さらないから……」


提督「う、悪かった。ちょっと寝不足でな」


大鳳「大丈夫ですか?今日は提督もギアで作業するんですから、万全の状態で臨まないと怪我してしまいますよ」
167 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 22:38:34.86 ID:sVAyg/xco
提督「ああ、それで今から気付けにメシでも食おうと思ってたんだ。大鳳もメシか?」


大鳳「いえ、私は今から朝の走りこみに行こうとしていた所です」


提督「お、なんだ、こっちの世界でもやってたのか」


大鳳「はい。と言っても、再開したのはつい最近からなんですけどね。そうだ、提督も一緒に走りませんか?
きっといい目覚ましになりますよ」


提督「うーん、流石に朝っぱらから走るのはなあ。この後に大仕事が待っているわけだし」


大鳳「軽く走るだけなら大丈夫ですよ。それに、軽く運動してからのほうがご飯もおいしいですよ」


提督「……確かに、そりゃ魅力的だな。よし、それなら一緒に走るか」


大鳳「はい!」
168 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 22:43:49.33 ID:sVAyg/xco
〜甲板〜


大鳳「……」タッタッタ


提督「……」タッタッタ


大鳳「……」タッタッタ


提督「……」タッタッタ


大鳳「……ふふっ」


提督「ん?どうした、大鳳」


大鳳「ふふふ、だって、提督、その服……」


提督「し、しょうがねえだろ。動きやすい服なんてこれしかなかったんだからよ」E.舞闘着


大鳳「ふふ、も、申し訳ありません。提督の服を、笑うような、真似をして、ふふふ」


提督「ったく、確かに似合ってねえからいいけどよ……ん?」


提督「おい大鳳、あれ見てみろ。向こうの海」


大鳳「ふふふふ……はい?あっ……」


ザザザ


大鳳「わああ、凄い数ですね!」
169 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 22:47:45.62 ID:sVAyg/xco
提督「ああ、話には聞いていたが、こんなにたくさんのサルベージ船が来るとはな。『教会』の奴ら、ここら一帯の全員に声

掛けたんじゃねえか?」


大鳳「これだけ人が集まればどんな大物でも発掘できそうですね」


提督「全くだ。というか、『教会』は一体俺達に何を発掘させようとしてるんだ?これだけの数だ、ただのギア発掘って筈は

なかろうよ」


大鳳「いえ、私にも……」


提督「だよなあ」タッタッタ


  ***


提督「……ふう、こんなもんかね」スタスタ


大鳳「丁度一周、ですね。お疲れ様です」


提督「ああ、大鳳もな。おかげですっきりしたよ。誘ってくれてありがとう」


大鳳「そそそそんな、私はただ提督の為を想ってした事なので、その、お礼などしていただく必要は……」


提督「まあそう言うなよ。それより、ほら」スッ


大鳳「?」


提督「今日は一日気合入れていこうぜ」


大鳳「……はいっ!」パンッ


提督「よし!それじゃメシの前に着替えないとな。他の連中に見られたらかなわん」スタスタ


大鳳「もしかしてその服、誰にも見られたことないんですか?」


提督「そうだな、ちょっと前に買ったきりでしまってあったし、見たことあるのは大鳳だけだな」


大鳳「(私だけ……)そうですね、早く着替えてきたほうがいいですよ。他の人には見られたくないですからね。絶対に」


提督「???」


  ***
170 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 22:50:13.49 ID:sVAyg/xco
ギア整備士「それじゃ提督、こいつを向こうのドックに頼むでやんす」


提督「わかった……よっと」


ギア整備士「落とすんじゃないでやんすよ。大事な道具でやんすからね」


提督「そんなヘマしねえって」スタスタ


提督「向こうのドック向こうのドック、と」スタスタ


ザワザワ


提督「……随分人が増えたな。賑やかなのはいいが、歩きづらくてかなわんなこりゃ」ソロソロ


提督「はいはい、ちょっと通りますよ、ちょっと通りますよっと。……うわっ」ドン


「ギャッ」ドスン
171 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 22:54:44.47 ID:sVAyg/xco
提督「あー悪い、大丈夫か?」


イルカ少年「いてて……大丈夫や。それより兄ちゃん、気い付けえよ」スクッ


提督「ん?お前、ハンス副長か?いつの間にこんなに縮んだんだ」


ランス「何言うてんねん兄ちゃん、わいはランスや。人の名前間違えたらあかんで」


提督「ランス?えーと、いや、重ね重ねすまないな。そっくりな知り合いと間違えたみたいだ」


ランス「まあええわ、許したる。それより兄ちゃん、この船のモンか?」


提督「あ、ああ。そうだが」


ランス「そら良かった。甲板に行きたいんやけど、道はどっちや?」


提督「ああ、それならこの道を行った所に昇降機がある。それで1Fに行けばいい」


ランス「あっちか、助かったわ。全く、この船ときたら無駄に広くてあかんわ」


提督「はは、確かに一見さんは迷うだろうな。甲板へはおつかいか?」


ランス「そうや。母ちゃんに頼まれ……って何言わすねん!兄ちゃんには関係ないやろ!ほなな!」タッタッタ


提督「……まさか、イルカ亜人ってみんなあの顔なのか?」


  ***
172 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 23:00:52.92 ID:sVAyg/xco
〜しばらく後 甲板〜


北上『……で、発掘現場まではあとどれくらいだって?』ザザ


提督「あと1時間もないそうだ。そっちの首尾はどうだ?」


北上『予定通り進んでるよー。他の船との連携も思ったよりうまくいってるし、こりゃ案外楽な仕事になるかもね』


提督「あんまり油断するなよ?他の奴らも分かっているとは思うが、今集まってる連中ってのは、普段は海のお宝をタムズと

取り合う、言わばライバルだ。
ヘタに刺激したりしないように。あくまでお行儀よくやってくれ。わかったな?」


榛名『もちろんです』

加賀『ええ』

大鳳『心得ています!』

金剛『オフコースネー!』

夕立『がんばるっぽい!』


提督「……よし、俺もそろそろギアの準備しとくか」スタスタ


  ……


  スウウ


提督「ん?急に日陰に……」クルッ

提督「……なんだありゃあ」


  カッ!



提督「っ!!」ブワァ


  ***
173 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 23:03:22.06 ID:sVAyg/xco
「提督」「提督」「提督」「司令官」「提督」「提督さん」「司令官」「提督」「てーとく」「司令官」「クソ提督」「提督」「提督」「提督」「提督」……


『……く、……いとく、提督、提督!!』ザザ


提督「う、ぐ……」


榛名『提督!大丈夫ですか!提督!応答してください!提督!』


提督「……榛名、か」


榛名『提督!無事だったんですね。よかった……』


提督「人生初の走馬灯を体験する羽目にはなったが、どうにか生きてるよ。それより状況はどうだ」ムクリ


榛名『わかりません。空に浮かんでいるあれがいきなり光ったと思ったら、周りの船が何隻かなくなってて……。
今、海上の皆さんで救助に当たっている所です』


提督「そうか、わかった。引き続き救助を続けてくれ。現状、空を飛んでるあのクソ野郎はどうしようもない。
光線が直撃しない事を祈るしかないな」

提督(今の攻撃、いつか鎮守府に助っ人で来ていた霧の艦隊の攻撃に似ていたが……まあ、どちらによ対処のし様はない、か。
しかし、なんでまた急に攻撃なんてしてきた?サルベージ計画と関係あるのか?それとも……)
174 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 23:04:28.89 ID:sVAyg/xco
「うぇ、死霊だあ!!」


提督「!!」バッ


死霊「オオオ」ズズズ


提督「総員、対空警戒!あの野郎が死霊出してきやがった!」


金剛『ワット!?』


提督「金剛、榛名は救助活動をやめて射程内の死霊を残らず撃ち落せ!」


榛名『りょ、了解!』

金剛『榛名、私に続くネ!』
175 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 23:05:13.73 ID:sVAyg/xco
提督「加賀と大鳳は艦載機を全部出したら救助活動だ!ボートか何か引っ張って片っ端からタムズに連れて来い!」

大鳳『そ、そんな急にボートを見つけろだなんて』

提督「作業用のロープでもなんでもいい!とにかくなんとしても引っ張って来い!」

加賀『やります』

大鳳『は、はい!』


提督「夕立と北上はそれぞれ救助活動の護衛と支援だ!北上も好きなだけ撃て!弾切れしたって構わん!」

夕立『了解!』

北上『わかった!』


提督(クソったれめ。一体どうなってんだ?)


  ***
176 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/05(土) 23:08:27.27 ID:sVAyg/xco
物凄く短いですが、今日はここまでです。
4月までは忙しいのでこんな感じになると思います。申し訳ありません。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/05(土) 23:12:18.31 ID:LzAbheD+0
おっけー
楽しそうな走馬灯だな提督さん……
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/05(土) 23:42:41.60 ID:9G0qTwYMo
乙。
ペース配分大事。
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/06(日) 01:25:41.57 ID:KgclYMLoo
乙です
180 : ◆Idq7VgawO2 :2016/03/12(土) 20:58:20.38 ID:rQAqhe8Po
本日予定していた投稿ですが、急用の為遅れます。もしかしたら明日になるかもしれません。待っている皆様には申し訳ありません。
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/12(土) 21:56:09.74 ID:eiKfY8BU0
待ってる
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/12(土) 23:19:05.85 ID:9k5UdTTno
了解。
183 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:37:03.62 ID:NoJtsa2Do
大変お待たせしました。今週の分を投稿しておきます。
184 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:38:59.10 ID:NoJtsa2Do
提督(inギア)「ぬぬ……」ガチャガチャ


大型ウェルス「ヴォオオ」ググ


提督「っせい!」ブン


大型ウェルス「ヴォアア」ポーン

提督「金剛!榛名!」


金剛「ファイヤー!」ドォン

榛名「はい!」ドォン


大型ウェルス「オオオオオ……」シュウウ


提督「……これで全部か?」


金剛『ウーン……イエース!周囲に敵影ナッシンネー』


提督「……だあー!やっと終わったか。みんなお疲れさん」


榛名『提督こそお疲れ様でした。タムズの被害はどうでしたか?』


提督「船の損傷は軽いな。まあ、航行に支障はないだろ。人的被害のほうはまだなんとも言えんが、確認している限りでは怪

我人が数十人、死者も……まあ、少しは見た」


榛名『そんな……』
185 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:40:43.52 ID:NoJtsa2Do
大鳳『あの、私たちが救助した方々は……?』


提督「ああ、そっちは心配ない。全員キッチリ収容したし、死人もなしだ」


加賀『そう……』


提督「おっと、これ以上の詳しい話は後だ。とりあえずみんな戻って来い」


加賀『わかりました』


提督「……ふう」

提督「しっかし、一体なんだったんだ?連中、多分ソラリスの奴らなんだろうが、俺達を攻撃して一体何のメリットがあるっ

てんだ」

提督「初っ端砲撃してきた丸い奴はいつの間にかいなくなってるし、第一、俺達を本気で潰すつもりならずっと砲撃だけやっ

てりゃよかったはずだ」

提督「……結局、考えてもしょうがない、か」


  ***
186 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:41:09.66 ID:NoJtsa2Do
提督「……」バシュ


ギア整備士「お疲れ様でやんす」


提督「ああ、そっちも無事だったか」


ギア整備士「当然でやんす。ま、ウチのが何人か怪我したでやんすけどね。それよりも、早いとこあのお嬢ちゃん達の所に行

った方がいいでやんすよ」


提督「ああ、そのつもりだが。なにかあったのか?」


ギア整備士「なんだか向こうで揉めてたでやんす」


提督「……マジか」


ギア整備士「マジでやんす。こいつの整備はやっとくから早いとこ行くでやんすよ」


提督「すまん、頼む」


ギア整備士「……どうにも苦労の絶えない男でやんすね」


  ***
187 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:41:36.43 ID:NoJtsa2Do
提督「おーい、お前ら!」


金剛「あ、テートク!丁度いい所ニ!」


提督「おう金剛、どうかしたか?」


金剛「アレ、何とかして欲しいネー!」


提督「……アレか」


夕立「もう!誤解はやめて欲しいっぽい!」


ランス「嘘付け!お前母ちゃんいじめる気だったやろ!」


夕立「違うっぽい!ちょっと励ましてあげようとしただけっぽい!」


ランス「そんなのに騙されんで!」


アンナ「……」
188 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:42:06.07 ID:NoJtsa2Do
提督「あの子は……」


加賀「先ほど救助した家族です。大破した船に乗っていたのを発見しました。ただ、その時には父親はもう……」


提督「……成る程」


夕立「いい加減にするっぽい!」


ランス「なんやと!」


提督「そこまでだ、二人とも」


夕立「あ、提督さん!」


ランス「あん?兄ちゃんは……」


提督「よお、また会ったな」


夕立「提督さん、聞いて欲しいっぽい!この子ったら」


提督「まあ待て、大体の事情は聞いてる。君、ランスだったか。ここにいる誰も母ちゃんをいじめたりはしないぞ」


ランス「嘘や!さっきあの姉ちゃんがいじめとった!」


加賀「……」
189 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:42:44.70 ID:NoJtsa2Do
提督「加賀が?何をしたってんだ?」


ランス「母ちゃんが父ちゃん抱えとったのを無理矢理引っぺがして、おまけにそのまま母ちゃん連れて行ったんや!」


夕立「それは加賀さんだって……」


提督「ストップ、夕立。ランス君、話はわかった。続きはお母さんを休ませてからにしよう」


ランス「……母ちゃんを?」


提督「ああ。君のお母さん、さっきから酷い顔色だぞ」


ランス「……!!母ちゃん、大丈夫か!?」


提督「ほら、とりあえず医務室まで行こう。お母さんも、それでよろしいですね?」


アンナ「……え、ええ」


提督「それじゃ行こうか。お前らは補給しててくれ。話が終わったら戻るよ」


  ゾロゾロ
190 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:43:12.26 ID:NoJtsa2Do
金剛「行っちゃいましタ……」


夕立「大丈夫?加賀さん」


加賀「ええ、大丈夫よ」


北上「まあ、あんなことがあったんじゃね。子供には辛かったでしょうよ。あんまり気にしないほうがいいよー」


夕立「それでもあの言い方はないっぽい!加賀さんだって精一杯がんばったのに!またあんな事言ってきたら……」


大鳳「駄目ですよ。折角提督が引き受けてくださったのに」


金剛「そうデース!そんなことしたら提督の立つ瀬がありまセーン!」


夕立「う、わかったっぽい……」


榛名「そうですよ。さあ、皆さん、提督の言いつけどおりに今のうちに補給をしてしまいましょう!」


加賀「そうね。敵の様子が分からない以上、まだ油断はできないわ。急ぎましょう」


金剛「イエース!すぐ終わらせて色んなところをヘルプしないとデース!」


大鳳「まずは残存機数を数えないと……」


北上「あ、私も残弾確認しないとかー。結構使っちゃったからなー……」


  ***
191 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:43:51.40 ID:NoJtsa2Do
提督「それじゃ、後頼みます」


医者「いいからとっとと行け。ただでさえ狭い部屋なんじゃから」


提督「はい、それでは」ガチャ


提督「……はあ、一通り喋り通したら収まってくれた」


提督「さてと、どうせ上まで来たんだ。あいつらのところに戻る前に艦長に報告しておくか」ガチャ


提督「ん?」


シタン「やはり……」


艦長「それと、見るからに怪しいばかでけぇギアを見たって奴もいるらしいぜ。何でも……」


シグルド「やあ、提督。無事だったようだな」


提督「シグルド副長。いつの間に……」


シグルド「タムズからの救難信号をキャッチしたのでな。可能な限り急いできたのだが、どうやら間に合わなかったようだ。すまないな」


提督「よしてくれ。そちらには何も非はないだろう」


シグルド「いや、それがそうとも言えないのだ」


提督「どういうことだ?」


シグルド「実は……」


〜黒くて白いの説明中〜
192 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:44:17.72 ID:NoJtsa2Do
提督「……成る程な。『教会』がソラリスの手先だったとは。俺達はソラリスと『教会』の内輪揉めに巻き込まれたって訳だ」


シグルド「ああ。そういうわけで、この一件には我々の責任もある。改めて謝罪させてくれ」


提督「いや、そういう事ならあんたらが関わってなくても俺達は攻撃されてたはずだ。気にしないでいい」


シグルド「……そうか」


提督「それよりもフェイの容態はどうだ?」


シグルド「ああ、治療は済んでいるし、今はユグドラシルに収容している。じきに目覚めるだろう」


提督「それはよかった。で、これからあんたらはどうするんだ?」


シグルド「それは」
193 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:44:57.01 ID:NoJtsa2Do
シタン「シグルド、アルカンシェルの行き先が分かりました。ここから北に向かった島だそうです。……おや、貴方は」


提督「どうも、シタンの先生。話は聞いたぜ。そちらも大変だったそうだな」


シタン「いえ、ここの騒動ほどではありませんよ。無事で何よりでした」


提督「お互いにな。それで、今から奴らを追うのか?」


シタン「ええ。敵の目的地も分かったことですし」


提督「そうか。今回はちょっと手伝いには行けそうにないが、奴らに会ったら俺達の分まできっちりかましてきてくれ。
こうもやられ放題ってのはムカつくからな」


シタン「わかりました。それでは」


提督「頼んだぜ」


提督「……さて、艦長。救助した他の船の連中について報告しに来たんだが……」


  ***
194 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/13(日) 17:46:05.51 ID:NoJtsa2Do
今週はここまでです。来週はしっかり土曜日に投稿できると思います。それでは。
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/13(日) 18:31:10.27 ID:yxZpgd14o
乙でした。
196 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/19(土) 22:59:28.73 ID:TZZlDf4Io
お待たせしました。今週の投稿を開始します。
197 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/19(土) 23:04:32.41 ID:TZZlDf4Io
〜数日後 ビアホール〜


提督(あれから数日、タムズの復旧は順調に進んでいる)


提督(まだあちこちに傷跡が残ってはいるが、生活や仕事にはほとんど影響がない程度だ。ま、見た目より頑丈だったってことだろうな)


提督(タムズの住人にしてもそうだ。各々の分野でタムズの復興をしつつ、徐々に自らの仕事に戻りつつある。
最初は救助した連中と揉め事を起こさないか心配だったが、その点も問題ないようだ)


提督「というか……」


避難民A「……で、そこでこのお嬢ちゃんが大砲を奴らに一発ぶっ放した!それで死霊どもを追っ払っちまったのさ。
いや、あん時はお嬢ちゃんが女神に見えたね」


タムズ船員「ほー、俺達が船内を固めている間にそんなことがねえ。お嬢ちゃんも中々やるじゃねえか」


金剛「フフーン、もっと褒めるがいいネー」グビグビ


料理作ってる人「どうだ嬢ちゃん、今日のツチノコスープの味は?」


避難民B「俺がレシピを教えた自信作だぜ。助けてくれた嬢ちゃんがメシ食うのが大好きだって聞いたもんだからよ」


加賀「そうね、いい味ね」ズズ


料理作ってる人「そうかいそうかい!そんならたんと食ってくれや!お嬢ちゃんの為にいつもの倍は作ったからな!」


加賀「そう、それなら鍋ごと持ってきてもらえるかしら」


大鳳「あ、私もお願いします」


料理作ってる人「」

避難民B「」
198 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/19(土) 23:05:41.11 ID:TZZlDf4Io
避難民C「なあ嬢ちゃん、嬢ちゃん達はどうやって海の上を滑ってんだ?」


夕立「うーん、夕立にもわからないっぽい」グビ


避難民C「そんな適当な……俺に弄らせてくれりゃ原理の一つや二つ、簡単に解明してやるぜ?」


夕立「そういうことは提督さんに頼むっぽい」


避難民C「その提督に断られたから嬢ちゃんに言ってるんじゃねえか、なあ?ちょっと見せてもらうだけでいいからよ」


夕立「駄目ったら駄目っぽーい」グビグビ


  ヤンヤヤンヤ


提督「いくらなんでも馴染みすぎだろ」


北上「まあいいんじゃない?ずっとお通夜ムードよりもマシっしょ」チュー


榛名「そうですよ提督。皆さん元気なのが一番です」ゴクゴク


提督「まあ確かにそうなんだが」


榛名「そうですよお。ですから提督ももっと楽しみましょう」ゴクゴク


提督「そういう榛名は楽しみすぎ、というか飲みすぎだ」


榛名「そんなことないですよお。そう見えるのは提督が飲んでないからです。さ、提督、遠慮なさらずにもっと飲んでください」グググ


提督「(あ、マズイ)まままあ待て榛名、俺もほらしっかり飲んでるから……ん?」グググ
199 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/19(土) 23:06:47.40 ID:TZZlDf4Io
ハンス「……」コソコソ


提督(ハンス副長、か?コソコソ隠れて何してんだ)

提督「わり、ちょっと席はずすわ」ガタッ


榛名「ほら提督、どんどん飲んでくださいね」ガシッ


北上「えっちょっとガボボボボボ」


ハンス「……」コソコソ


提督「こんなところで何してんだ、副長?」


ハンス「うわあ!何だ、提督かい。驚かさないでくれ」


提督「いや悪い、そんなつもりはなかったんだが。それはともかく、珍しいじゃないか副長。ここが賑わっている時はいつもブリッジにいるだろ」


ハンス「あ、ああ。そうかもね」


提督「ん?そのメシどっかに運ぶつもりだったのか」


ハンス「……アンナさんにね」


提督「アンナ?……ああ、あのイルカの。まだ医務室にいるのか?」


ハンス「そうだね。救助されて以来ずっとあそこにいるよ。体調がまだ優れないようだから」


提督「そうか。……ああ、引き止めて悪かったな」


ハンス「いや、構わないよ……それと」


提督「ん?」


ハンス「このことは艦長には内密にお願いしたいのだけれど」


提督「別に構わないが……」


ハンス「ありがとう。それじゃ」


提督「……なんなんだ?秘密にする事でもなかろうに」


  ***
200 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/19(土) 23:08:35.34 ID:TZZlDf4Io
〜翌日〜


修理員「それじゃ必要な資材はリストに書いといたから、搬入口の連中に渡しといてくれ」


提督「わかりました」スタスタ


提督「ふーん、ギア用の装甲板ねえ。道理で頑丈な訳だ」ペラ


艦長「おう、テートクじゃねえか。丁度いい所にいたな」


提督「こんにちは、艦長。俺に何か用か?」


艦長「おうよ。お前ぇさんに客だぜ」


提督「客?」


「自分であります」


提督「……誰だ?知らない顔だな」


「はい。自分はユグドラシル所属の伝令であります。提督殿へ、シグルド副長よりの伝言をお伝えに上がりました」


提督「内容は?」


「はい。『例の約束を果たす時が来た』そうです」


  ***
201 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/19(土) 23:10:18.99 ID:TZZlDf4Io
〜翌日〜


金剛「ふああ……皆さん、グッモーニンネー」


榛名「おはようございます。金剛お姉様」


加賀「遅いわね。集合時間を十分も過ぎています」


金剛「申し訳ないデース。少し寝坊してしまいましタ……」


北上「その集合をかけた提督が来てないんだからセーフでしょ。全く、人を集めといてどこいっちゃったのさ」


提督「諸君、おはよう。遅れて済まない」


北上「げっ、この喋り方は……」


金剛「ウー、テートクの顔がおっかないデース」


提督「さて、あまり時間もないことだし、順を追って説明していこうと思う。まずはこの世界について、私が新たに知った事から……」


〜提督真面目に説明中〜
202 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/19(土) 23:12:03.42 ID:TZZlDf4Io
提督「……以上がこの世界の国家間のパワーバランスだ」


加賀「これは……あまりに現実的でない話ね」


榛名「国が空を飛んでいる、ですか」


北上「おまけにどこにあるかも分からない国が一番強いなんてねえ」


夕立「うーん、よくわからないっぽい」


提督「理解はせずとも、知識として覚えていてもらえればいい」


提督「さて、ここからが本題だ。我々は本日を以ってタムズを去り、シェバトへと向かう」


榛名「ええ!?」


加賀「!?」


北上「ちょ、ちょっと待ってよ提督!」


大鳳「そうです提督!そんな急にタムズを出て行くって……せめてタムズの修理が完全に終わるまではここに滞在してもいいのではないですか」


北上「そもそも何でそんなこと急に言い出したのさ。これからすぐに出て行ってあてもなくシェバトを探すなんて」


提督「アテならある。その為に今日中に出て行かなければならん」


夕立「提督さん、何か知ってるっぽい?」
203 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/19(土) 23:15:38.87 ID:TZZlDf4Io
提督「ああ。先日のユグドラシルとの一件、あの後にシグルド副長にある頼み事をしておいた」


榛名「頼み事、ですか」


提督「そうだ。『もしシェバトかソラリスのどちらかと接触する事があれば、俺達も連れて行ってくれ』とな」


加賀「それが叶った、と?」


提督「そういう事だ。ユグドラシルがシェバトとの接触に成功したと連絡があった。シェバトがユグドラシルを迎えに降りて来ているそうだ。
我々はこれに同乗する事になる」


榛名「そうだったんですか……」


夕立「提督さん、ここにはもう戻ってこないの?」


提督「恐らくはな、何らかの用事がない限りはここに来る事はもうないだろう」


大鳳「そんな……」


提督「他に質問は?」


一同「……」


提督「……」ハア


提督「あー、俺達の本来すべきことは『帰る事』だ。その為に今すぐ動かなきゃならない。なら動くしかないだろ」


榛名「はい、わかっています」


提督「なら暗い顔はなしだ。全員今から荷物をまとめて再び集合。艦長には話を通してあるから挨拶だけしたらすぐにユグドラに乗るぞ。いいか?」


一同「……はい」


  ***
204 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/19(土) 23:20:46.36 ID:TZZlDf4Io
今週はここまでです。それでは。
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/20(日) 00:10:36.68 ID:cd/J+SvRO
乙! セノギアスリメイクしないかな

フィギュアヘッズとのコラボは気になるんだが、ゲームとしての興味が全く湧かないんだよなぁアレ
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/20(日) 07:59:29.68 ID:bHKdkGuJO
リメイクは無理だろうなぁ
スクエニめ
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/21(月) 01:23:13.16 ID:as03zwqYo
あと乙でした。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/22(火) 13:59:35.11 ID:CzPo1NRuo
追いついた、乙です
209 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/26(土) 23:30:12.91 ID:MaC6v420o
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
フィギュアヘッズは自分もリタイアしました……
210 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/26(土) 23:36:29.93 ID:MaC6v420o
〜しばらく後 ブリッジ〜


艦長「おっ、来たな」


提督「突然の事ですまない。昨日話した通り、俺達はタムズを離れる事にした」


艦長「なあに、お前ぇさんのやることはいつも突然だからな。今更驚いたりはしねえよ」


一同「……」


艦長「なんだお前ぇら、そんな辛気臭ぇツラして。折角の門出だっつーのによ、出だしからそんなでどうする気だぁ?」


大鳳「……いえ、やはり今の状態のタムズを離れるのは……その……」


艦長「がっはっはっは、そんなこと気にしてたのか」


北上「いやそんな事って。未だにこの船直ってないし、怪我人もいるし、心配しないほうがおかしいでしょ」


艦長「おうおう、それならお嬢ちゃんだけでもここに残るか?俺ぁ別に構わねえけどよ」


大鳳「そ、それは……」


艦長「がっはっはっは、まあ、こっちの事は心配すんな!お嬢ちゃん達がいなくっても何とでもしてやらぁ」


榛名「そうは言っても……」
211 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/26(土) 23:37:35.12 ID:MaC6v420o
艦長「お嬢ちゃん達だってやることがあるんだろ?」


北上「う、それは、まあ」


艦長「そんなら他の事を気にしてちゃいけねえな。なあ、元気な方の姉ちゃん」


金剛「ワ、ワット?」


艦長「お前さんはいつも騒がしかったなあ、その元気で今後も頑張っていけや」


金剛「もちろんネ!」


艦長「静かな方の姉ちゃん!」


榛名「は、はい!」


艦長「お前さんの見舞い、怪我した連中に大好評だったぞ」


榛名「……そうだったんですか。よかったです、本当に……」


艦長「如雨露の姉ちゃん!」


北上「えー……」


艦長「ガキ共の相手してくれて助かったぜ」


北上「別にしてたつもりはないんだけどなあ」
212 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/26(土) 23:38:06.17 ID:MaC6v420o
艦長「ちっこい嬢ちゃん!」


夕立「ぽい?」


艦長「サルベージャーの連中が話してたぞ、『ちっこいくせに護衛じゃ一番頼りになる』ってな」


夕立「当然っぽい!」


艦長「青い姉ちゃん!」


加賀「……何かしら」


艦長「またいつか歌聴かせてくれや」


加賀「ええ」


艦長「緑の姉ちゃん!」


大鳳「……はい!」


艦長「お前ぇさんの索敵のお陰で監視の連中の負担が減ったと大喜びだったぞ」


大鳳「お役に立てて何よりです!」


艦長「そうだ。お嬢ちゃん達はこれまでよく頑張ってくれた。俺達に気を使うこたあねえ、これからはてめえらの為に頑張って来い!」


一同「……はい!」


提督「全部持っていかれた……」


大鳳「?提督、今何かおっしゃいました?」


提督「いや、なんでもない。本当にありがとう、艦長。この恩は一生忘れない。行くぞお前ら」


艦長「がっはっは!そうか一生か!がっはっはっは……」


  ***
213 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/26(土) 23:38:33.85 ID:MaC6v420o
〜ユグドラシル ブリッジ〜


提督「と言う訳で、これからしばらく世話になる。改めて自己紹介しよう、俺は提督だ」


金剛「金剛型の長女、金剛デース!皆さん、よろしくお願いしマース!」


榛名「同じく金剛型、三女の榛名です。よろしくお願いします」


北上「重雷装艦のスーパー……じゃなかった。改めハイパー北上様だよー」


加賀「航空母艦、加賀です」


夕立「白露型駆逐艦の四番艦、夕立です。頑張るっぽい」


大鳳「航空母艦、大鳳型一番艦、大鳳です!必要であれば何なりと申し付けてください!」


バルト「おいおい、今更水臭ぇじゃねえか」


シグルド「若、相手が畏まっているのに失礼でしょう」
214 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/26(土) 23:39:44.36 ID:MaC6v420o
バルト「一度はソラリス相手に互いに背中を預けた仲だぜ?こんな挨拶より海の男らしくこうガッと……わかった、わかったよ。
ユグドラシルの艦長、バルトだ。よろしくな!」


シグルド「同じく副長のシグルドだ。ユグドラシル乗員一同、君達を歓迎しよう」


リコ「……リコだ。よろしくな」ヌッ


提督「あ、ああ、よろしく」


北上「うわっ、でっか!」


リコ「……」ギロリ


北上「あ、あはは……」


リコ「ふん……」


ビリー「僕はビリー、『教会』のエトーン……あ、いや、もう『元』ですね。とにかく、よろしくお願いします」


提督「ああ、あんたがフェイを助けてくれたっていう?」


ビリー「……いえ、僕は『教会』に話を通しただけです。礼なら天にいる医務局の兄弟達に言ってあげて下さい」


提督「あー、何があったかは知らないが、とにかくあんたにも礼を言っておくよ。フェイを助けてくれてありがとう」
215 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/26(土) 23:47:05.63 ID:MaC6v420o
榛名「ありがとうございます、ビリーさん。私達、とっても心配していたんです」


ビリー「そう言ってくださると兄弟達も喜びます」


提督「……で、フェイとエリィはどうしたんだ?神出鬼没のシタンの先生はともかく、あの二人は顔を出してくると思ったんだが」


シグルド「ああ、フェイ君とエリィ君、それとシタンは先にシェバトへ上った。彼らがバベルタワーを使ってシェバトと連絡を取ってくれたんだ」


提督「そうだったのか。なら、これからシェバトへはどう行くんだ?」


シグルド「シェバトから座標を指定されている。そこで落ち合う予定だ。恐らく数日もすれば着くだろう」


提督「成る程、長い付き合いになりそうだ。お前ら、あんまり失礼のないようにな」


金剛「もちろんネ!それよりテートクゥ、今から私とデートしませんカー?私、前は見れなかった所を見に行きたいネー」ギュ


榛名「あ、お姉様!また抜け駆けしようとしてますね!榛名、許しません!」ギュ


提督「いやお前ら人の話聞いてた?」
216 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/27(日) 00:00:48.36 ID:Y9K7E2yeo
加賀「おなかがすきました」グゥゥ


大鳳「この中で数日……朝のトレーニングが出来る場所はあるのかしら……」


夕立「へえー、これで外の様子が見られるっぽい?」ジー


ジェリコ「こら、勝手に使うと若様に怒られるぞ」


北上「あれ?なんでこっちに乗ってんの?駆け落ち?」


バンス「な、何の話だい?」


提督「……ごめんなさい。苦労を掛けるかもしれません」


バルト「なあシグ、こいつらこんなにふざけた奴らだったのか?」


シグルド「い、いえ、私もそこまで把握しては……」


バルト「……ま、借りてきた猫みたいにされるよりはマシ、か。おおい、お客ども!俺が滞在中の部屋まで案内してやるぜ!ついてきな!」


  ***
217 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/03/27(日) 00:02:00.21 ID:Y9K7E2yeo
今日はここまでです。それではまた。
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/27(日) 00:26:15.30 ID:F0LWfB8SO
219 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/03(日) 01:38:12.59 ID:QnoRPYnZo
遅れて申し訳ありません。
今から投稿しようと思ったのですが、ちょっと限界なので少し寝てからにさせて下さい。
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 04:04:49.86 ID:1sZaZa9w0
自分のペースでやりゃええよ
221 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/03(日) 16:32:36.80 ID:QnoRPYnZo
お待たせしました。今週を始めます。
222 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/03(日) 16:35:04.98 ID:QnoRPYnZo
〜次の日〜


提督「zzz」


???「提督ー!朝だぞー!起きろー!」ドンドン


提督「うおあ!何だぁ!?」ガバッ


???「こらー!いつまで寝てるんだ!朝ごはん冷めちゃうぞ!」ドンドン


提督「……朝ごはんだあ?あーはいはい、今開けるからそんなに騒がないでくれ」バシュ


???「あ、やっと起きたね提督!」


提督「え、どちらさん?」


???「あー!まだ着替えてもいないじゃんか!早く着替えちゃいなよ!ボク外で待ってるからさ」グイ


提督「いやだからどちらさ」バシュ


提督「……まあいいか」


  ***
223 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/03(日) 16:37:08.51 ID:QnoRPYnZo
提督「えーと、お待たせ」


???「うん、バッチリ決まったね!それじゃ行こうか」


提督「朝飯だっけか。どこ行くんだ?」


???「すぐ上のガンルームだよ。メイソン卿が作ってくれたんだ」


提督「そりゃ楽しみだ。しかし悪いな、わざわざ朝食まで用意してもらって」


???「やだなあ、お客さんをもてなすのなんて当たり前じゃないか、『客人も満足させられないとあっちゃあ、海の男の名がすたる』って若も言ってたからね。さ、ここだよ」


金剛「フンフーン……あっ!テートクゥ!グモーニン!」ブンブン


提督「おはよう金剛。まずは何でお前がカウンターの内側でグラスを磨いているのか教えてくれ」


金剛「フフーン、何を隠そう、今の私は『ガンルームウェイター・金剛』なのデース!」


提督「……うーん、寝ぼけてるのは俺か?金剛か?」


金剛「ちょ、酷いネテートクゥ!」
224 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/03(日) 16:41:51.66 ID:QnoRPYnZo
提督「いや、ファミレスならまだわかるがな、こんな渋いバーカウンターじゃ全く合わねえだろ」


金剛「そんなことないネー!お淑やかな私にピッタリの場所だヨー!」


提督「お淑やかの意味を分かっているとはとても思えないんだが」


メイソン「おや、お目覚めですかな、提督」


提督「やあ、おはようございます、メイソン卿。こないだのソラリス戦以来ですね」


メイソン「そうですな、いや、ご息災であったようでなにより」


提督「ありがとうございます。ところで、ウチの金剛が何やら妙な事をしているようで、ご迷惑になっていなければ良いのですが」


メイソン「とんでもない、金剛様は妹君と共にこの爺をよく助けてくださっています。感謝こそすれ、迷惑などでは決してありませぬぞ」


榛名「そうですよ、提督。金剛お姉様は朝からずっと頑張っています。余り悪く言っては可哀想ですよ」


提督「榛名、お前もか」


榛名「はい、やはり何もせずにいるのは気が引けますので、ここにいる間はメイソンさんの内職をお手伝いしようとお姉様と一緒に決めたんです」


提督「ふーん、二人で、ねえ」
225 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/03(日) 16:42:57.98 ID:QnoRPYnZo
榛名「どうでしょう、提督。許可していただけますか?」


提督「もちろんだ。やるからにはしっかりな」


榛名「はい!榛名、頑張ります!」


金剛「ぶー、テートクゥ、私には何も無いんですカー?」


提督「ああ、疑ったりして悪かったよ、金剛。頑張ってくれ」


金剛「イエース!分かってくれればオッケーネー!」


???「ねえ、話はもう終わった?ボクお腹ペコペコだよ」


榛名「ご、ごめんなさいマルーさん。すぐ用意しますから、お二人ともそこの席で待っていてください」


提督「ん?マルー?お嬢さんの名前か?」


マルー「やだなあ、お嬢さんだなんて……ってあれ?自己紹介してなかったっけ?」


提督「まあ、何回かあったタイミングを悉くスルーされたからな」


マルー「あはは、ゴメンゴメン!ボクはマルグレーテって言います。マルーって呼んでね。若の一番の子分なんだ」


提督「よろしく、マルー。俺は……」


マルー「知ってるよ、提督でしょ。これからよろしく!」


榛名「はい、お待たせしました」カチャ


提督「おっ、サンキュー。こりゃうまそうだな」


メイソン「爺と金剛様の合作でございます。どうぞご堪能ください」


マルー「うん、三人ともありがとう。それじゃ早速」


二人「「いただきまーす」」


  ***
226 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/03(日) 16:45:06.83 ID:QnoRPYnZo
提督「……でまあ、その途中でおかしな無人ギアが襲撃してきてよ、それを金剛と榛名が撃退したんだ。タムズじゃ初めての戦闘だったが、それはまあ見事な物だったよ」


マルー「へえ、話には聞いてたけど、やっぱり提督たちは凄く強いんだね。モンスターだけじゃなくてギアとも戦闘できるなんてさ」カチャカチャ


提督「強いのは俺達じゃなくてあいつらだけどな。まあ正直、あいつらの攻撃力がギアにも通るって分かった時はかなり安心したよ」


マルー「……怖くは、ないのかな」


提督「さあ、どうだろうな。前に俺も同じことを聞いたら『大丈夫だ』としか言われなかったし、俺としてはその言葉を信じるしかないな」


マルー「ふーん、そうなんだ。……いいなあ」


提督「あん?何が?」


マルー「い、いや、何でもない!こっちの話」


提督「ふーん。あ、そういやウチの残りの奴らはどこ行ったんだ?」


マルー「うん、自分が出来そうな事を探すって言ってあちこちに散らばっていったよ。ヘンな格好してるけど、みんないい人たちだね」


提督「格好だけじゃなく中身も色々と難ありだけどな。それじゃ、食い終わったら様子見にいってみるか」


マルー「あ、ボクも付いてくよ。この艦広いから案内役がいたほうがいいでしょ」


提督「そりゃ助かるな。是非お願いするよ」


マルー「任せてよ。ね、その代わりにさ、キミたちの話もっと聞かせて欲しいな」


提督「おう、いいぞ。それじゃさっさと食っちまうか」


マルー「うん、そうだね」


メイソン「どうやら、すっかり打ち解けてしまったようですな」キュッキュッ


金剛「ぐぬぬぬ、私のテートクが……」


榛名「お姉様、流石にそれは見境がなさ過ぎると思います……」


  ***
227 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/03(日) 16:46:12.43 ID:QnoRPYnZo
今週はここまでです。ではまた来週。
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/04(月) 23:11:22.65 ID:CNmBHg+r0
遅ればせながら乙なのです、
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/05(火) 04:56:52.78 ID:VgVZ9Jc70
230 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/09(土) 19:08:37.34 ID:8dgm6wi0o
こんばんは。駆け足で今週の投稿を済ませます。
231 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/09(土) 19:09:54.24 ID:8dgm6wi0o
提督「さて、まずはどこから連れてってくれるんだ?」


マルー「うーん、どうしようかな」


提督「決めてなかったのかよ」


マルー「うん、確かに案内するとは言ったけど、他の人たちがどこに行ったかは知らないからね。提督の方が心当たりがあるんじゃないの?」


提督「いや全く」


マルー「え、即答?」


提督「ああ、大分長い付き合いになるが、あいつらの考えてることは未だによくわからん。今この瞬間にひょっこり現れても……」


夕立「あ、提督さんとマルーちゃん」


マルー「うわあ!?」


提督「ほらな」
232 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/09(土) 19:10:37.03 ID:8dgm6wi0o
夕立「二人ともどうかしたっぽい?」


提督「なんでもない。夕立は何してるんだ?そんなでかい箱抱えてよ」


夕立「これ?ギアショップのお手伝いで弾薬を運んでるっぽい」ジャラジャラ


マルー「そ、その中身全部弾薬なの?重くない?」


夕立「ちょっと重いっぽい」


マルー(普通ちょっとどころじゃないと思うんだけどなあ)


提督「夕立、他の連中がどこに行ったかわかるか?金剛と榛名以外の」


夕立「えーと、他の人は知らないけど、大鳳さんならギアハンガーにいるっぽい」


提督「大鳳か。よし、そんならまずはギアハンガーだな」


夕立「提督さんも一緒に来るの?」


提督「ああ、みんなの様子を見て回ろうと思ってたからな」


夕立「やった!それじゃ行きましょ、提督さん!マルーちゃんも!」


提督「はいはい、そんなに急がんでもちゃんと行くよ」


マルー「結局、ボクが道案内しなくてもよさそうだね」


提督「なんか悪いな。ギアハンガーから先は頼りにさせてもらうからよ」


マルー「あ、いや、別に怒ってる訳じゃないから謝らなくていいよ!それよりほら、早く行かないと置いてかれちゃうぞ!」グイッ


提督「おわっ!わかったから引っ張るなって!」ズルズル


  ***
233 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/04/09(土) 19:13:47.24 ID:8dgm6wi0o
今週はここまでです。短いついでですが、来週はお休みになります。元気のGは激務のG状態なので。
代わりにGW中にがっつり書いていく予定です。……気力があれば。
それではおやすみなさい。
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/09(土) 20:34:20.18 ID:hN0z/R9J0
G元気W沸いてきた
になると良いな
235 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 20:44:13.75 ID:172eftkjo
お久しぶりです。とんでもなく遅くなりました。GW中に完全にサボっていたせいです。言い訳のしようも無い……。
今後はまた土曜日に投稿していきますので、よろしければお付き合いください。
では、21時から投稿を始めます。
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/07(土) 21:03:31.23 ID:tru3ff3Io
乙。
237 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 21:10:52.19 ID:172eftkjo
〜ギアショップ〜


夕立「おばちゃん、言われた物持ってきたっぽい」


おばちゃん「ご苦労様、夕立ちゃん。そこの隅に……って夕立ちゃん!?それ手で抱えてきたの!?」


夕立「そうだよ?あ、ここに置けばいいっぽい?」


おばちゃん「え、ええ。凄いわね。男手でも二人がかりでやっとって重さのはずなんだけど……」


夕立「はい、おしまいっぽい。次は何すればいいの?」ガシャン


おばちゃん「そうねえ、それじゃお掃除でも……あら、そこにいるのはマルー様じゃありませんか」


マルー「こんにちわ、おばちゃん。どう、繁盛してる?」


おばちゃん「いつも通りって感じですよ。この所は大きな戦いもありませんでしたし」


マルー「そっか」
238 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 21:18:32.38 ID:172eftkjo
夕立「提督さーん!」ピョーン


提督「おぐえ」ガッ


夕立「さっきの荷物ちゃんと運べたっぽい!ほめてほめて!」グリグリ


提督「よ、よくやったな夕立。次は俺の首をへし折らないようなスキンシップを覚えてくれ」ナデナデ


マルー「……」


おばちゃん「それじゃ、あんたが夕立ちゃんが話してた提督かい」


提督「あ、はい、どうも」


おばちゃん「夕立ちゃんはよくやってくれてるよ。まだしばらく借りる事になるけどいいかい」


提督「ええ、本人もやる気みたいですし」


夕立「夕立がんばるっぽい」
239 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 21:29:21.70 ID:172eftkjo
提督「おう、それじゃしっかりな」


夕立「はーい!おばちゃん!早く次のお仕事が欲しいっぽい!」


おばちゃん「それじゃ棚の整理でも頼もうかね」


夕立「お任せっぽい!」


提督「それじゃ俺達は行くか」


マルー「そうだね。それじゃおばさん、ボク達はこの辺で。頑張ってね夕立ちゃん」


おばちゃん「またいつでも来てくださいね」


夕立「ぽいぽいぽいぽいぽいぽい!」ササササ


  ***
240 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 21:40:45.08 ID:172eftkjo
提督「よし、次は大鳳だな」


マルー「うん。で、どこにいるか知ってるの?」


提督「……あ、夕立に場所聞くのすっかり忘れてた」


マルー「もー、ダメじゃないか!もう一回戻って聞いてこなきゃ」


提督「いや、それはやめとこう。働いている夕立に横槍入れたくはないからな」


マルー「それじゃあどうするのさ」


提督「ハンガーのどこかにいるってのは分かってるんだ、見物がてら歩いて探そうぜ。せっかく可愛い案内役もいることだし」


マルー「あはは、何それ!急に褒めたって何もしてあげないよ!」


提督「でも案内はしてくれるんだろ?」


マルー「もちろん、約束だからね。じゃあ早速目の前にあるハンガーから説明してあげるよ」


提督「ショップの一番近くにあるハンガーか」
241 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 21:47:06.55 ID:172eftkjo
マルー「ここはいつもフェイのヴェルトールが使っているハンガーだよ。今は先にシェバトに上がっちゃってていないけどね」


提督「あのギアか。何でもどこぞの軍の最新型らしいな」


マルー「うん。キスレブ軍が最先端の技術で建造したらしいよ」


提督「……なあ、前から気になってたんだが、フェイは何だってあんなギアを持ってるんだ?あいつはただの民間人だろ?」


マルー「うん。ヴェルトールは元々フェイのものじゃなくて、キスレブの工場からアヴェ軍の特殊部隊が盗み出したものだったんだ。
その部隊がイグニス大陸の端にある村の近くでキスレブ軍と戦闘になって……」


提督「その村に住んでたフェイが偶然ヴェルトールに乗り込んで村を守った。それ以来ずっとフェイが使っている。って所か」


マルー「よく分かったね」


提督「少し前にその戦闘の事は聞いてたからな。まさかこんな所で当事者と知り合うとは思わなかったが。
で、その村はどうなったんだ?」


マルー「……なくなっちゃったってさ。村の人も大勢死んだって、シタン先生が言ってた」


提督「そうか……。フェイも浮かばれねえな」


マルー「大変だよね。最初はフェイも落ち込んでたらしいんだけど、最近はすっかり元気になったよ」


提督「俺が最初に会ったときも飯をたらふく食ってたからな。あの様子なら大丈夫だろ」
242 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 22:04:39.98 ID:172eftkjo
マルー「さ、そろそろ次に行こうよ」


提督「よし、そうするか」


マルー「それじゃ隣のハンガー。若のブリガンディア専用のハンガーだよ」


提督「おう、いつ見ても見事に真っ赤だな」


マルー「へへっ、かっこいいでしょ!若の為に皆で改造したんだよ!」


提督「へえ、最初からこの形だった訳じゃないのか」


マルー「うん。シタン先生が乗ってたギア、あるでしょ。名前はヘイムダルって言うんだけど、元々ブリガンディアとヘイムダルは同じ場所から発掘された同型機だったんだ」


提督「あ、それで思い出したんだが、何だってこうも砂とか海の中からギアがポンポン出てきて、しかもそれをアヴェとかキスレブとかが奪い合ってるんだ?
そんな事しなくても自分達で造ればいいんじゃねえのか?」


マルー「それができれば戦争なんて起こってないと思うよ、提督」


提督「どういう事だ?」
243 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 22:12:07.13 ID:172eftkjo
提督「どういう事だ?」


マルー「ギア本体はともかく、スレイブジェネレーターの製造方法は誰も知らないんだよ。だから皆大昔の遺跡からの出土品を巡って争っているんだ。
その一番大きなものがアヴェとキスレブの対立なんだけど……提督、もしかして知らなかった?」


提督「初耳だ。タムズでアヴェとキスレブの事を聞いたときにはそんな細かいところは聞かなかったからなあ」


マルー「って事は、それまであんな大きな国の事も知らなかったって事かい?」


提督「あ、あー……まあ、それまではとんでもないド田舎に住んでたからな!ははは!」


マルー「一体どんな所なのさ……」


提督「まあ、ちょいと治安は悪いが、海に面してる賑やかなところだよ。さ、次いこうぜ」


マルー「なんだかものすごく誤魔化された気がする……」


  ***
244 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 22:14:34.65 ID:172eftkjo
大鳳「……ですから、このトリガーを引けばこの子達が射出される仕組みになっています」ジャキ


整備員A「へえ、こんなちっちゃなモンが自分の意識を持って戦闘するっつーのか」シゲシゲ


大鳳「ええ」


整備員B「んで、こいつの武装は一体どんくれえの威力なんだ?」


大鳳「そうですね。以前襲撃してきた剣を持ったギア、あれくらいの装甲でしたら数発で突破できると思います」


整備員B「たった数発!?そりゃとんでもねえ威力だな」


整備員A「それで、お嬢ちゃんの話ってのは何なんだ?」


大鳳「実は、これまでの戦闘でこの子達をかなりの数失ってしまっていて……その修理をお願いしたいのです」


整備士A「おいおいお嬢ちゃん、こんな見たこともないモンの修理なんざ出来るわけねえだろ。お嬢ちゃんは自分の装備を直せないのか?」


大鳳「鎮守府の工廠ならともかく、専用の設備のないここではとても……。ここにもボーキサイトは無いようですし」


整備士B「うーん、よくわからねえが、こいつの言うとおり専門家のお嬢ちゃんが直せないってんじゃ俺達も手伝いようがねえよ。悪いな」


大鳳「……そう、ですか。すみません、お手伝いすると言ったはずなのに、逆にお時間取らせてしまって」


整備士B「それはいいんだがよ……おお、そうだ。そいつの修理の話ならソラリスの嬢ちゃんにしてみたらいいんじゃねえか」


大鳳「ええと、どなたの事でしょう」


整備士B「名前は確かエリィっつったっけか。あのお嬢ちゃんが乗ってたギアに似たような武装があったはずだぜ」


大鳳「それは本当ですか!?」


整備士A「……ああ、エアッドの事か。アレも俺達には手が出ないシロモンだったなあ」
245 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 22:15:58.66 ID:172eftkjo
大鳳「エアッド……ですか。一体どんな武装なんですか?」


整備士A「ギア本体から小型の端末を射出、それを搭乗者が操作してオールレンジ攻撃を行う……って感じらしいんだが、正直なところよく分からん。なんせソラリスの試作兵器だからな」


大鳳「小型機を射出しての攻撃……。確かに艦載機に似ています。それでは、エリィさんに聞けば何か分かるかもしれないんですね?」


整備士A「かも知れないって程度だけどな」


大鳳「いえ、それでも十分です。教えていただきありがとうございます」


整備士A「ま、結局シェバトに着くまではそれも聞けねえんだ。代わりと言っちゃなんだが、それまでたっぷり働いてもらうぜ?」


大鳳「もちろんです。お任せください!」


整備士B「よーし、話は済んだし、そろそろ作業に戻るか。お嬢ちゃんにはまずハンガーの掃除でも頼もうかね。付いてきな」


大鳳「はい!」スタスタ




提督「……うん、頑張ってるみたいだな」


マルー「へえ、最初から思ってたけど、とっても真面目な人なんだね」


提督「おかげで色々と助かってるよ。俺は見ての通りシリアスな話は苦手だからな」


マルー「ははっ、確かに提督『めんどくせぇ』とかすぐに言いそうだもんね」


提督「え、俺そんな奴に見える?」


マルー「見える見える。ところで、さっきは声掛けなくてよかったの?」


提督「様子は見れたからな。俺が声掛けても邪魔になるだけだろ」


マルー「大鳳さん喜ぶと思うけどなあ」


提督「まあまあいいじゃねえか。それより後は……加賀さんと北上だけだな」


マルー「って言っても、今度は本当に何処行けば会えるか分からないよ?」


提督「北上はどうせまた子供のお守りでもしてるんだろうから居住ブロックだろ。加賀さんは……あー、分かった」


マルー「?」


提督「ブリッジの方に向かおう。予想が正しけりゃそこで加賀さんの行方がわかるはずだ」


  ***
246 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 22:18:20.96 ID:172eftkjo
〜甲板〜


加賀「……ソナーの感知にあった北東方面の物体はただの魚の群れのようです。その他東に視認できるものはないわ」


北上「西側も何も見えないよー。ま、あたしは肉眼だからそこまで遠くは見えないんだけどね」


加賀「そう。それでは後はしばらく私と艦載機で引き継ぎますから、貴方は甲板の掃除を続けていて頂戴」


北上「へーい」ゴシゴシ


提督「おっす」


マルー「二人とも、こんちわ」


北上「あ、提督とマルーじゃん。おっす」


加賀「おはようございます。休息は十分に取れたのかしら」


提督「お陰様でな。しかしまあ、二人が甲板で一緒に仕事してるってブリッジで聞いたときは心配したが、うまくやってるみたいじゃねえか」


北上「まあねー。こう見えて私、掃除とか嫌いじゃないしー」


加賀「ええ、特に問題は無いわ。提督は何か用事があったのではないの」


提督「いや、二人の様子を見に来ただけだよ。うまくやってるならいいんだ」


加賀「そう……。では、ここではなくほかの子達のところに行ってあげたらどうかしら」


提督「実はもう他の奴は見て回ってきたんだ。ここが最後だよ。ま、そういうことなら下に降りて俺も何か手伝ってくる事にするかね」


北上「そういう事ならさ、一緒にここ掃除しない?」


提督「ん?」
247 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 22:20:04.28 ID:172eftkjo
北上「いやさ、どうせなら二人でやったほうが楽かなーって」


提督「そうだなあ、他にすること無かったらこっち手伝う事にするか」


マルー「それじゃ、もし提督が来なかったらボクが手伝うよ」


北上「お、ありがたいねえ。待ってるよ」フリフリ


提督「ひとまずシグルド副長にもう一回会ってくるわ。じゃあな、二人とも頑張れよ」


マルー「加賀さん、北上さん、また後でね」


北上「ちぇ、逃がしちゃったか」


加賀「ぼやいている暇があったら掃除したらどうかしら」


北上「まあまあ、そんな焦らなくてもしっかり終わらせるって」


加賀「……本当にそうだといいのだけれど」


  ***
248 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/07(土) 22:23:13.51 ID:172eftkjo
今日はここまでです。
ではまた来週。
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/07(土) 22:25:01.98 ID:tru3ff3Io
乙。
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/07(土) 22:46:55.58 ID:V49pGKEjO


ゼノサーガにヴェルトールとイドが名前変わって出てきたときは鳥肌もんだったな。
251 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 01:29:56.08 ID:m1PZI7l0o
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
252 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 01:34:38.14 ID:m1PZI7l0o
〜廊下〜


マルー「ところでさ」スタスタ


提督「なんだ?」


マルー「提督のコイビトって金剛さんだよね?」


提督「ききききき急に何言い出すんだ!?」


マルー「ちょ、ちょっと、動揺しすぎじゃない?」


提督「どど動揺なんてしてないぞ」ダラダラ


マルー「汗、汗!」


提督「い、いやこれはあれだ、その辺の天井から水漏れが……」


マルー「潜水艦でそんなことあったら大騒ぎだよ!もう、そんなに聞かれたくない事だったの?」


提督「そういう訳ではないんだが……。何でそう思ったんだ?」


マルー「いやあ、金剛さんが事あるごとにテートクのラブがどうだーって言ってたからさ、それ聞いたら誰でもそう思うでしょ」


提督(常日頃からあの調子だから忘れてたが、周りから見たらそう取られて当然だったな……。慣れって怖い)
253 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 01:39:44.05 ID:m1PZI7l0o
マルー「で、どうなの?金剛さんとはどこまでいったの?」ワクワク


提督「いやまあ恋人というか何というか、一応ケッコンはしてるんだよな。カッコカリだけど」


マルー「え!?結婚してたの!?うわー!流石にそこまでの仲だとは思わなかったなあ!そっかあ、だからあんなにラブラブだったんだね」


提督「ラブラブなんて言葉聞いたの何年ぶりだよ……。というかそんなにイチャついてるように見えてたのか」


マルー「うん。何処からどう見てもバレバレだったよ」


提督「……はあ、金剛にもう少し控えるように言わねえと駄目みたいだな。また榛名に何て言われるか……」


マルー「いやいや!夫婦ならどこで金剛さんとイチャイチャしてても誰も……ん?何でここで榛名さんの名前が出てくるの?」


提督「あ、ヤベッ」


マルー「……」ジー


提督「……」フイッ


マルー「……ねえ提督」


提督「……」ダラダラ


マルー「金剛さんとはどんな関係なんだっけ?」


提督「ケッコンしてます。カッコカリだけど」
254 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 01:44:06.92 ID:m1PZI7l0o
マルー「……カッコカリっていうのはよくわからないけど、とにかく結婚してるんだよね。じゃあ、榛名さんとはどんな関係なの?」


提督「……ケッコンしてます。カッコカリだけど」


マルー「っ!信じられない!そんなことやっちゃってもいいの!?」


提督「ま、待て待て!事情があるんだよ事情が!」


マルー「お嫁さんを二人ももらう事情ってどんな事情さ!」


提督「まあそりゃ色々と……」


マルー「……提督がそんな人だとは思わなかったよ。もう知らない」スタスタ


提督「もう知らないって……あ、おい」


提督「まさか弁明すらさせてもらえんとは。まあ、確かに傍から見ればとんでもない事なんだよなあ。ほんとに慣れって怖いわ」


提督「……あれ、ブリッジってどっちだっけ」


  ***
255 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 01:50:32.24 ID:m1PZI7l0o
〜次の日〜


マルー「……」ジー


金剛「ヘイハルナ!ブレックファストが出来上がったヨー!あっちのテーブルに運んでくだサーイ!」



榛名「お任せください!」カチャカチャ


メイソン「金剛様、お茶の用意をお願いいたします」


金剛「イエース!」


マルー(昨日は勢いで提督にあんな事言っちゃったけど、やっぱり一番は本人達が納得してるかどうかだよね)

マルー(そう思って金剛さん達に直接聞こうと思って来たんだけど……)

マルー(流石にいきなり『提督が2人と結婚してることをどう思ってる?』って聞くのもどうかと思うし)

マルー(そもそも2人はお互いにそのことを知ってるのかな、それすらわからないや)


マルー「うーん……どうしよう」


夕立「ふああ……マルーちゃん、おはようございますっぽい」


マルー「うわあ!ゆ、夕立!?」


夕立「こんな植木の隅っこに立って何してるの?かくれんぼっぽい?」


マルー「な、何でもないよ!ちょっと落し物をしちゃってさ、へへ」
256 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 01:53:19.41 ID:m1PZI7l0o
夕立「そうなの?夕立も一緒に探すっぽい」クンカクンカ


マルー「犬じゃないんだからにおいじゃ探せないでしょ……じゃなくて、落し物ならもう見つかったから大丈夫だよ。ありがと」


夕立「そうなの?それじゃ一緒に朝ごはん食べに行きましょ!」グイグイ


マルー「わわ、ちょっと!」


夕立「金剛さん、榛名さん、メイソンさん、おはようございますっぽい」


金剛「オーウ、ユーダチ、マルー、グモーニンネー!」


マルー「あ、うん、おはよう」


メイソン「おや、マルー様、ご気分でも悪いのですかな?」


マルー「え、いや、そんなことないよ!」


メイソン「それなら宜しいのですが。あまり若に心配をかけてはいけませんぞ」


バルト「俺がなんだって?」


マルー「わ、若!」


メイソン「おはようございます、若。この時間に朝食とはお珍しい。ブリッジの方は宜しいのですかな?」


バルト「ちょっと手が空いたんでな。先に食って来いってシグに言われてよ」


金剛「それならナイスタイミングネー!丁度仕度がフィニッシュした所だヨー!」


榛名「さあ皆さん、こちらにお座り下さい」
257 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 01:57:00.71 ID:m1PZI7l0o
バルト「おう、悪ぃな」


夕立「加賀さんと北上さんは?」


バルト「加賀は甲板で哨戒してくれてる。あの索敵能力には全く大助かりだぜ」


榛名「夕立さん、食べ終わったら呼びに行っていただけますか?その間に加賀さんの朝食も用意しておきますので」


夕立「はーい!」


マルー(いい人たちなんだけどなあ……)


マルー「ねえ夕立」


夕立「うん?どうしたのマルーちゃん」


マルー「金剛さんと榛名さんのことなんだけどさ、2人は姉妹なんだよね?」


夕立「そうだよ?」


マルー「昔からあんなに仲良しなの?」


夕立「うーん、夕立はあの人たちより後に鎮守府に来たからそれより前のことはわからないけど、夕立が来てからは四人でずっと仲良くやってるっぽい」モグモグ


マルー「え、四人?」


夕立「うん。今は一緒じゃないけど、金剛さんと榛名さんにはあと2人姉妹がいるっぽい」


マルー「へ、へえー……」

マルー(まさか全員提督とけっこ……いやいやまさか)

マルー「じゃ、じゃあ、提督と金剛さん達の事なんだけどさ……」
258 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 02:07:33.61 ID:m1PZI7l0o
夕立「何か気になるっぽい?」


マルー「提督から結婚してるって話を聞いたんだけど、それって本当?」


夕立「うん、ケッコンしてるっぽい」


マルー「……!へ、へえー、本当だったんだ。ちょっと信じられないなあ」


夕立「ほら、金剛さんが指輪してるでしょ?あれがケッコン指輪っぽい」


マルー「へえー、確かに指輪してるね。他の飾りが一杯ありすぎて気づかな……」


夕立「どうしたのマルーちゃん?」


マルー「えーと、榛名さんの手にも似たような指輪が付いてるんだけど」


夕立「榛名さんも提督とケッコンしてるんだから当たり前っぽい」モグモグ


マルー(って、みんな知ってるの!?)


マルー「夕立ちゃんはそれでいいの?提督は皆の提督なんでしょ?」


夕立「そうだよ?提督さんは提督さんっぽい。皆を勝たせてくれる、とっても凄い人っぽい」


マルー「その凄い人がふ、ふ、2人と結婚してるなんてさ、夕立ちゃんは許せるの?」
259 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 02:10:01.46 ID:m1PZI7l0o
夕立「?よく分からないけど、金剛さん達が先にケッコンするのは当たり前っぽい。夕立よりもずっと長く頑張ってたんだから。
夕立ももっと戦って、強くなって、提督さんから早く指輪もらいたいっぽい!」


マルー「ふーん、夕立も提督とけっこ……ってえーっ!?」ガタンッ!


夕立「ぽいっ!?」ビクッ


バルト「うおっ!どうしたマルー!?メシにネズミでも紛れ込んでたか!?」


金剛「ワット!?失礼しちゃうネ!そんなことあるはずないデース!」


マルー「ちょっと若は黙ってて!金剛さんもなんでもないから、ご飯はおいしいから大丈夫だよ!」


バルト「な、なんでえ、人が心配してやったってのに……」モグモグ


夕立「マルーちゃん大丈夫っぽい?」


マルー「う、うん大丈夫……じゃなくて!」


マルー「頑張って提督と結婚するってどういうことさ!提督は金剛さんと榛名さんと結婚してるんでしょ!?」ヒソヒソ


夕立「金剛さんと榛名さんは指輪がもらえるくらい強くなったからケッコンしたっぽい。夕立もそれくらい強くなったら指輪をくれるって提督さんと約束したっぽい」


マルー(つ、強くなったら!?)
260 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 02:11:25.16 ID:m1PZI7l0o
マルー「……えーと、夕立ちゃんがそのうち提督と結婚するってこと、あの2人は知ってるの?」


夕立「とーぜんっぽい」ズズズ


マルー「そ、そうなんだ……」


マルー(もう訳が分からないよ……)


夕立「ふう、ごちそうさまっぽい!」


榛名「はい、お粗末さまでした」


夕立「それじゃ加賀さんたち呼んでくるね!マルーちゃんは?」


マルー「……ボクはもうちょっとゆっくり食べていくよ……」


夕立「それじゃまたね!」タッタッタ


マルー「……はあー、あの人たちは一体どうなってるんだろ」モグモグ


榛名「マルーさん」
261 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 02:11:55.88 ID:m1PZI7l0o
マルー「ひゃいっ!?」ビクッ


榛名「あ、ご、ごめんなさい!驚かせるつもりはなかったんです」


マルー「い、いや、へへ、ちょっと考え事してたからさ。で、どうしたの榛名さん」


榛名「夕立さんと話してからマルーさんが暗い顔をしてらしたので……先ほども何やら驚かれていたようですし、夕立さんと喧嘩でもしたのではないかと」


マルー「ううん、そういうことはないから安心してよ」


榛名「そうですか……では、朝食がお口に合いませんでしたか?」


マルー「そんなこともないよ。とってもおいしい」


榛名「そうですか。良かったあ……」ホッ


マルー(……優しい人だなあ、榛名さん)

マルー「榛名さんはとってもいい人だね。榛名さんだけじゃなく、提督と一緒に来た皆もだけどさ」


榛名「ふぇっ!?そ、そんな、榛名はそんな立派なものでは……」


マルー「ううん、ボクにはわかるよ。こう見えて色んな人を見てきたからね。人生経験豊富なオンナってこと!」


榛名「は、はあ」
262 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 02:12:41.38 ID:m1PZI7l0o
マルー「そんなボクが言うんだから間違いないよ。榛名さん達はとってもいい人たちさ!」


榛名「ありがとうございます。マルーさんもとっても素敵な方なんですね」ニコッ


マルー「へへっ!」

マルー(そうだよね、こんないい人たちなんだもん、きっと何か事情があるんだよね、多分)


榛名「それで、結局なんだったのですか?別のお悩みがあったのですか?」


マルー「まあね。榛名さん達の提督の事でちょっと……」


金剛「ノーッ!『榛名さん達の』ではなく『私の』テートクネーッ!」ピョーンッ


榛名「なっ!『榛名たちの』でいいではないですか!」ガッ


金剛「駄目ネ!ここは譲れないネー!」グググ


榛名「か、加賀さんに怒られてしまいますよ!」グググ


メイソン「これ!いくら客人といえども、ガンルームでの粗相はこの爺が許しませんぞ!」ズカズカ


マルー「……あ、あれー?」


  ***
263 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/15(日) 02:14:01.26 ID:m1PZI7l0o
今週の分は以上になります。
今更ですが、質問等あれば書き込んでいただければ次の週にお答えしていこうと思います。
それではまた来週
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/15(日) 05:58:24.96 ID:cK88KC0z0
おつおつ!
265 :須賀鎮守府 :2016/05/15(日) 06:04:30.46 ID:3ye3/6SQ0
〇って誰

メイソンって誰

鼻水禁止
266 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:18:58.09 ID:iuQW4RpOo
こんにちは。すっかりお昼ですが投稿を始めます。
>>265
どちらもゼノギアスのサブキャラクターです。簡単に紹介すると、
マルー:砂漠の国アヴェの一大宗教「ニサン教」の教皇。超可愛い。
メイソン:バルトお付の執事。武闘派おじいさん。超渋い。
鼻水の意味はちょっと分からないです……。
267 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:20:34.41 ID:iuQW4RpOo
〜ギアドック〜


大鳳「ふむふむ」ペタペタ


大鳳「むう」ペタペタ


大鳳「……なるほど」


リコ「おい」


大鳳「はい?」


リコ「はい?じゃねえ」


大鳳「貴方は……ええと、リコさん、でしたっけ」


リコ「そうだ」


大鳳「あの、私になにか御用でしょうか」
268 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:22:02.75 ID:iuQW4RpOo
リコ「そりゃこっちのセリフだ。俺のシューティアにべたべた触りやがって。何のつもりだ?」


大鳳「も、申し訳ありません。勝手に触ったりして……」


リコ「……いや、いい」


大鳳「はあ……」


リコ「……」


大鳳「……」

大鳳(怒らせてしまったかしら……)


リコ「それで」


大鳳「は、はい!」ビクッ


リコ「何故俺のギアを触っていた?」


大鳳「それは、その」


リコ「……別に、怒ってはいない」


大鳳「え?」
269 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:24:05.21 ID:iuQW4RpOo
リコ「本当に、ただ気になっただけだ」


大鳳「え、ええと……」


バルト「おいコラ、なーにウチの客人を困らせてんだぁ?」


リコ「ああ?別に困らせてなんかいねえよ」


バルト「どうだかなぁ?どう見ても困ってるぜ」


大鳳「ば、バルトさん!いえ!私が悪いんです!勝手にリコさんのギアに触ったりしたので」


リコ「何でそんな事をしてたのかって聞いてただけだ」


バルト「ふーん。ただ単に珍しかったからじゃねえの?」


リコ「なんだ、そうなのか?」


大鳳「そういうわけでは……。少しギアの装備を見させて頂いていたんです」


バルト「装備ぃ?」


大鳳「はい。もしかしたら今後の戦闘に役立つのではないかと」
270 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:26:19.92 ID:iuQW4RpOo
バルト「戦闘ったってアレだろ?あんたは銃みたいなのでちっこいのを飛ばすのが役目で、今はそのちっこいのがほとんど底を尽いてるって話じゃねえか。
どう頑張っても生産できそうにないってウチの整備班が泣いてたぜ」


大鳳「その通りです。今の所は私の艦載機を新しく補充する方法はありません」

大鳳「だけどそれはいいんです。提督が『何とかする』とおっしゃっていましたから」


リコ「で、それなら何でここにいるんだ」


大鳳「その……艦載機補充の目処が立つまで、代わりの何かを使って戦闘が出来ないものかと考えたんです」


バルト「はあ!?ギアの装備を使おうってのか?」


大鳳「まさか、流石にギア用の武器は私達にも扱えません」


大鳳「ただ、私達の艤装にもスレイブジェネレータが搭載されていますので、それをうまく使えれば、と思っています」


リコ「なるほど、話は分かった」


バルト「ああ。しかし意外だったな」


大鳳「何がでしょう?」
271 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:27:42.87 ID:iuQW4RpOo
バルト「金剛とか加賀とかはともかく、あんたはあんまり戦いたがらなさそうに見えたからな」


大鳳「そんなことはありません!この大鳳、提督のご命令があればいつでも出撃する覚悟です!」


バルト「お、おうおう。分かったからそんなに熱くなるなよ。まあそれはとにかく、代わりになりそうな武器の話だったな」


リコ「簡単な話だ。俺達みたいに格闘戦をやりゃいいんだ」


大鳳「ええ!?殴ったり蹴ったりしろ、と言う事ですか?」


バルト「いくらなんでもギアとかデカいモンスター相手にそれは無理だろ」


リコ「フン、誰が素手でやれなんて言った?俺のシューティアの左手を見てみろ」


大鳳「……ドリルになってますね」


バルト「おい、まさか」


リコ「お前の腕にも付ければいいだろ、ドリル」
272 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:30:00.60 ID:iuQW4RpOo
バルト「ぶっ!?」


大鳳「う、腕がドリルになるのはちょっと……。生活に支障が出るでしょうし」


バルト「そこかよ!」


リコ「何もそこまで真似するこたぁねえだろ。腕に取り付けるような物にすればいい。ドリルはいいぞ!戦艦の外殻だろうがギアの装甲だろうがブチ抜ける」


大鳳「そう言われるととても魅力的に聞こえますけど……」


バルト「待て待て!そういう事ならもっといいモンがあるぜ!」


リコ「あ?」


バルト「ズバリ!鞭だ鞭!ドリルよりもリーチがあるし、ただ打つだけじゃなく色々と使い道もあるぜ!」


リコ「バカめ、あんな扱いにくい物をすぐ使えるようになるわけがないだろう。その点ドリルは問題ない。相手に叩き込むだけだからな」


大鳳「え、あの」


バルト「確かに最初は大変かもしれないけどよ、ドリルよりはずっとましだと思うぜ。大体なんだよドリルって。トンネル掘ろうってんじゃねえんだからよ」


大鳳「ちょっ」
273 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:32:46.72 ID:iuQW4RpOo
リコ「フッ、ドリルの良さが分からんとは、貴様のようなヤツは鞭なんてヘニャヘニャした物を使っていればいい」


バルト「てめえもういっぺん言ってみやがれ!こいつは俺の一族に代々伝わる伝統的な武器だぞ!それをバカにするたあ許せねえな!」


リコ「ほう?俺のドリルに文句つけたヤローが随分と偉そうじゃねえか」


大鳳「お2人ともそれくらいで……」

リコ「そこまで言うなら仕方ねえ。こいつにどっちの方が良いか決めてもらうとしよう」


大鳳「お2人のお話はよく分かりましたので……えっ」


バルト「上等だ!おう大鳳、さっさと決めてくれよ。モチロン鞭だよな?」


大鳳「えっえっ」


リコ「これまでの話で鞭などを選ぶはずがあるまい。当然ドリルだろう」


大鳳(どうしましょう……ギアを見せていただいた手前、リコさんの肩を持つべきでは……いえ、そんな選び方はリコさんに失礼です。かといってどちらを選ぶかと言われると……)
274 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:33:20.80 ID:iuQW4RpOo
バルト「おい、どうなんだ?」


リコ「……早く、しろよ」


大鳳「……もう少し考えさせてくださいっ!」ダッ


バルト「あっ!おい!」


〜翌日〜


大鳳「……」


提督「おーっす、大鳳。お前も朝飯か?」


大鳳「……提督」


提督「ん?どうしたよ、そんな深刻そうな顔して」


大鳳「腕をドリルにするのと腕に鞭を生やすの、大鳳はどちらを選べばいいのでしょう……」


提督「!?」


  ***
275 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/22(日) 14:34:29.55 ID:iuQW4RpOo
今日はここまで。それではまた来週
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/22(日) 15:08:58.83 ID:/+Zbb9V80
乙。

間を取ってチェーンフレイルにしよう。
実際エグい。
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/22(日) 18:22:38.46 ID:6r7F9k2WO
鞭使ってるのって伝統的な武器だからじゃなくて、トラウマ克服する為じゃなかったか?
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/22(日) 19:14:07.19 ID:M03aqcTTo
トラウマから来る夜恐症克服と明言されているけど鞭と先祖に関しては明言されていない
で、ご先祖様のギアには鞭が初期装備されてる
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/22(日) 19:48:16.24 ID:VLk8mtSro
乙。
縄鏢にしょう。
近接、遠距離いけるぞ。
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/23(月) 18:02:06.00 ID:RHtSoCXdO
>>278
E・アンドヴァリはメカデザの人の勘違いで、ブリガンディアの強化版として描かれているから鞭持ってるのは当然なんだよね
で、結局鞭が伝統的な武器っていう根拠はあるの?無いの?
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/23(月) 20:51:30.64 ID:1PJOCUALo
アヴェの伝統的な武器って資料集に書いてるぞ
282 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/30(月) 21:11:32.32 ID:gFitI2Yxo
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
鞭の話については>>281で指摘して頂いたとおり、設定資料集のバルトのトラウマ克服の部分に一緒に記載されていた……と思います。
283 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/30(月) 21:17:54.80 ID:gFitI2Yxo
〜ブリッジ〜


提督「遅れてすまない」バシュ


バルト「おう、全くだぜ提督。一体どこで油売ってやがった?」


提督「いや、大鳳が改造人間になるのを止めてたらな」


バルト「???」


提督「ま、まあそれはいいだろ。それより何の用だ?」


シグルド「あと数時間ほどで指定のポイントに到着する。一つはその知らせだ」


提督「お、いよいよシェバトか。空飛ぶ国なんて初めてだからな。早速他の奴らにも知らせるよ。で、他の話ってのは?」


バルト「おう、実はこっちが本題でな。お前ら、シェバトに着いたらどうする気だ?何の為にあの国に行くんだ?その辺を聞いとこうと思ってよ」


提督「それは……」
284 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/30(月) 21:19:31.53 ID:gFitI2Yxo
提督(うーん、どこまで話したもんかな)

提督(実は異世界から来ました、なんて急に言うのもなあ。シタンの先生のときみたく上手く行くとも限らんし)


バルト「どうした?」


提督「いや、まあ、観光が半分、調べ物が半分って所かな」


バルト「調べ物ぉ?」


提督「ああ。あの子らの装備の事でな。ほら、加賀と大鳳の艦載機とか、どうやって補給するのか全く分かってないだろ?」


バルト「ああ、その話なら本人からも聞いたぜ」


提督「そうそう。国土そのものを空に飛ばすくらい技術の進んでる国なら、もしかしたら何とかなるかもしれないと思ってな」

提督(ま、嘘は言ってないよな)


バルト「ほーう?そんなことの為にここまで来たのか。ご苦労な事だぜ」


提督「俺達にとっては『そんなこと』じゃ済ませない重要事項だからな。あれが補給できなきゃウチの戦力は半減以下だ」
285 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/30(月) 21:20:40.32 ID:gFitI2Yxo
バルト「ま、そっちの事情は分かった。これからも仲良くやっていけそうだし、どうだ、このままウチのクルーになるってのはよ?」


提督「はは、ありがたい申し出だが、先のことはシェバトでの収穫次第だな。それまで返事は待ってて貰いたい」


バルト「構わねえよ。こっちはいつでも歓迎だぜ」


提督「すまないな。それじゃあ、あいつらに準備をさせてくるよ」スタスタ


シグルド「……若」


バルト「ああ、わかってる。あいつの話、ウソはついてねえが何か隠してるって感じだったな」


シグルド「では……」


バルト「だが俺達を騙そうって感じでもなかった。あいつらにも何か事情があるんだろ」


シグルド「しかし」


バルト「提督の言うとおり、シェバトにいる間は様子見でいいだろ。どうせあいつらだけじゃ外には出られねえんだしよ」


シグルド「……わかりました」


  ***
286 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/05/30(月) 21:21:54.23 ID:gFitI2Yxo
今回はここまで。次回からやっとこシェバト編です。それでは。
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/30(月) 22:22:12.91 ID:EXvk4DL0O
マリア!マリア!マリア!
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/31(火) 09:08:59.44 ID:cAq+t0WPO

ロリババアはよ!ロリババアはよ!
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/31(火) 13:01:53.70 ID:Vfz/UllRo
乙でした。
おまいらw
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/06/01(水) 13:48:10.59 ID:EaPIalPi0
流石にバベルタワー昇りはやらないか・・・

この艤装設定だと提督がいた時代はもう・・・誰がミァンになったのだろうか
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/04(土) 09:02:22.83 ID:jlCde6jHO
世界線じゃなくて時間移動しただけだとすると艤装やら弾薬の辻褄は合うけど、それ以上に矛盾する設定が出てくるからなぁ
292 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/05(日) 02:46:44.76 ID:QVf3hc6Oo
お待たせしました。寝る前にささっと投稿を始めます。
艦これ世界とゼノギアス世界は過去未来の関係ではないです。そもそもゼノギアスの舞台は地球ではありませんし……。
293 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/05(日) 02:49:16.95 ID:QVf3hc6Oo
〜シェバト ドック・フロア〜


マリア「お待ちしておりました。ここは空中都市シェバトの最下層部に位置するドック・フロア。わたしはマリア・バルタザールといいます」


バルト「俺はバルト。ユグドラシルの艦長だ。……ん?バルタザール?」


マリア「ええ。貴方とフェイさんはわたしのお爺さんと面識があるそうですね」


バルト「バルタザール、爺さん……ああ!アヴェの地底にいたヘンクツじーさんのことか!いっやあ、まさかあのクソじ……じいさんにこんなおチビさんの孫がいるたあな」


マリア「わたしはおチビさんではありません!それに、バルお爺ちゃんもク、クソ爺ぃなんかじゃない、ぜったい!」


バルト「悪かったよ。そう怒るなって、おチ……マリア。べつに悪気はなかったんだ。ごめん、ゴメン」


マリア「ゴメンは一度言えばわかります」


提督「あー、それで、フェイたちは何処に?」


マリア「今はゼファー女王にお会いになっていますが……貴方は?」


提督「俺は提督。バルト達の……あー、どんな関係だろう」


バルト「もちろん!戦友ってヤツだろ!」

バルト(くうーっ!一度言ってみたかったんだよな!『戦友』ってセリフ!)
294 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/05(日) 02:50:05.20 ID:QVf3hc6Oo
提督「戦友か、いい響きだな。まあ、そういう関係だ。ちょっと知りたいことがあってここまで付いてこさせて貰った。よろしくな」


マリア「よろしくお願いします。しかし」


北上「ちょっと提督ー、置いてくなんてひどいでしょー」


金剛「全くデース!テートクはもっとレディの扱いを……ン?」


マリア「?」


金剛「ワオ!お人形さんみたいでベリィキュートなガールネー!」ダダダダ ガバッ


マリア「きゃあ!」


金剛「んふふふふふフウゥー!」ギュー


マリア「し、失礼な方ですね!誰ですか貴方は!ちょっと、離れてください!」モゾモゾ


榛名「お待たせしましたていと……お、お姉様!?」


夕立「うーん、久しぶりの揺れてない地面っぽい!」


大鳳「ええと、その、この状況は一体……」オロオロ


加賀「提督、説明してもらえるかしら」
295 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/05(日) 02:50:31.24 ID:QVf3hc6Oo
提督「いや俺にもさっぱり……こら金剛、いい加減にしないか!」


金剛「ハッ!私としたことが完全に我を忘れてたネ……」


マリア「うぅ……」クシャ


金剛「ソ、ソーリーネ、キュートなガール。大丈夫ですカー?」


マリア「だ、大丈夫です」ポンポン


提督「本当にすまん。こいつらは俺の部下で、右から金剛、榛名、大鳳、北上、夕立、加賀だ」


一同「よろしくお願いします(ネー)(っぽい)」


マリア「よ、よろしくお願いします。それでは、ゼファー女王がお待ちですので、皆さんこちらへどうぞ」


バルト「提督はどうするんだ?」


提督「ん、俺達も女王に会わせて貰えるのか?マリア」


マリア「いえ、あなた方の事は何も聞かされていませんので何とも。一度お伺いを立ててきますので、その間に町の方の見物でもどうぞ」


提督「オッケー。それじゃ」


金剛「行くぞお前らデース!」


提督「俺のセリフ取るんじゃねえ!」


  ***
296 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/05(日) 02:51:01.09 ID:QVf3hc6Oo
〜シェバト 表層〜


提督「で、勝手に浮かぶ椅子に乗って上に来たわけだが」


夕立「おおー、本当に浮いてるっぽい!」


北上「うひゃー、こりゃもしものことがあったらと思うとぞっとしないねえ」


提督(領土全体を覆っている膜みたいなのが『障壁』なのか?)


榛名「こ、こんな所に人が住んでるんでしょうか」


提督「マリアから聞いた話だと……お、あっちっぽいな。行くぞー」グッ

提督「ん?」


大鳳「……」ダラダラ


提督「ど、どうした大鳳。艦船がしてはいけないレベルの水漏れ起こしてるぞ」


大鳳「いひぇ、ななんでもないです」


提督「いやどう見てもやばいだろ」
297 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/05(日) 02:51:27.10 ID:QVf3hc6Oo
榛名「大鳳さん、あなた」


北上「あそれ」トンッ


大鳳「わひゃああああああああああああああああ!!!」ギュー


提督「いだだだだだだだだ!!腕もげる!!」


金剛「!!!!!!」


北上「おおーう、これはまた意外」


提督「わかったから!わかったから大鳳!もうちょい優しく掴んでくれ!」


大鳳「すすすすみませんていとく」ガクガク


金剛「テートク!テートク!私も高いところ怖いネー!」ピョンピョン


提督「おーそうかそれはやべえな榛名に掴まっとけ」


金剛「ぶーデース」


夕立「提督さん、夕立早く行きたいっぽい!」


提督「そうだな。加賀さんは大丈夫か?」


加賀「当然です」スタスタ


夕立「楽しみっぽい!」タタタ


榛名「お姉様、大丈夫ですか?もし歩けないようでしたら榛名がお運びします」


金剛「ハルナ……その優しさが今は痛いデース……」トボトボ


大鳳「……」ガクガク


提督(歩きづれえ)ズルズル


  ***
298 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/05(日) 02:52:01.74 ID:QVf3hc6Oo
今日はここまでです。それではおやすみなさい。
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 08:00:09.65 ID:+IZhTQPaO
ゼプツェンのとこに行くとマリアの身の上話と「夜空一杯の星を集めて」が聞けるイベントが入ってない、-1145148101919点

マリアが可愛い、889464893364364931点
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 15:31:23.85 ID:FumrNt0Ro
乙なのです。
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 17:26:23.38 ID:RoX5YWFbO
北上様はいつも良い仕事をしますね
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/12(日) 23:50:35.58 ID:75O+w717o
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/12(日) 23:52:04.26 ID:75O+w717o
〜アウラ・エーペイル〜


提督「到着、と」


榛名「ここが……」


北上「アウラ……えーと、なんだっけ?」


加賀「エーペイル、よ」


北上「うへえ」


金剛「なんだか街っぽくないデース」


提督「確かにな。遺跡って感じだ」


榛名「でもどこか懐かしい感じもします」


大鳳「なななななんで町中の道も床がほとんどないんですか」


提督「ほとんどというか何というか、車一台通れるくらいの道幅しかないな……。一体どうなってんだ?」
304 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/12(日) 23:52:51.04 ID:75O+w717o
老人「おや、おまえさんたち」


提督「ん?」


老人「見ない顔じゃが、おまえさんたちも下界から来たのかい?」


提督(『も』っつーのはフェイ達の事か)

提督「ええ、そうです」


老人「そうかそうか。遠いところからよく来なさった。ようこそ、天空をさすらう街、アウラ・エーペイルに」


提督「ここが本当に街なのか……」


老人「驚くのも無理はない。この街が賑わっておったのは遥か昔、ソラリスに敵対した独立自由国家シェバトの首都だった頃じゃからな」


加賀「今はそうではないと?」
305 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/12(日) 23:54:05.28 ID:75O+w717o
老人「そうじゃ。昨日の涙を、明日の笑顔に変えるところ……。はるか昔には、この街もそう呼ばれていたものじゃが……。
今では絶望も希望もとうの昔にすりきれ、風化し……、今やこの街にさまようとるのは、憎しみの木霊だけなのかも知れん」


提督「戦争の歴史、か。シタンの先生から聞いていたよりも厳しいな」


夕立「ねえおじいちゃん、ここにはもう人は住んでないっぽい?」


老人「そんなことはないぞ。ほれ、そこの飛び石で下に行けば地上を追われてきた人たちの寄り合い所帯があるし、向こうに見える建物には小さいショップもある。
さらに向こうに行けばギア工房じゃ」


提督「資料館みたいなのはないんですか?」


老人「うーむ、この街にはないのお。図書室が王宮の中にあるぞい」


提督「そうですか……」


榛名「どうしましょう、提督?」
306 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/12(日) 23:54:47.88 ID:75O+w717o
提督「んー、人んち行ってもしょうがねえし、とりあえず店でも覗いてみるか」


夕立「それじゃ早速出発っぽい!」


加賀「何かおいしいものはあるのかしら」


北上「そうねえ、空の上だし……鳥料理?」


加賀「気分が高揚します」グウー


老人「行くのかの?」


提督「ええ、どうもありがとうございました」


老人「……おまえさんたちの迷いや哀しみを断つ助けとなるものも、ここで見つかるかも知れん」


提督「え?」


老人「じゃが、忘れるでないぞ。運命は時にひどくイタズラで、残酷になれるのじゃ……」


提督「……」


大鳳「哀しみ……想像してたよりも寂しいところなのかもしれませんね、シェバトという国は」


提督「今でこそ穏やかだが、何年か前までは戦争やってたって話だからな。色々あったんだろうが……」


金剛「テートクゥ!何してるデース!」


提督「あ、ああ!今行く!行くぞ大鳳」ズルズル


大鳳「で、できればゆっくりお願いします……」ソロソロ



  ***
307 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/12(日) 23:55:37.05 ID:75O+w717o
今週はここまでです。ではまた次週。
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/13(月) 13:04:23.45 ID:Pk+bunFbo
乙でした。
309 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/23(木) 00:29:21.41 ID:Y4Hu6A8yo
すいません、諸事情あってSSどころではなくなっていました。取り急ぎ書き上がった分だけ投稿しておきます。
310 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/23(木) 00:31:46.07 ID:Y4Hu6A8yo
北上「……で、おじいさんの案内どおりに建物に入ってみた訳ですが」


提督「何だこりゃ」


道具屋チュチュ「ありゃまー、またお客さんでチュかー!?今日は大繁盛でチュねぇ!」


「うわあ、また知らない人間さんでチュ。怖い人でないといいでチュねぇ」「くんくん、この匂い……さっきの人とはまた違いまチュねぇ」
「へっ、チュチュ達の住処を騒がしくするんじゃねえぜ……でチュ」「くーか……くーか……」


加賀「食事は出来そうにないわね」


大鳳「うう、じ、地面だ……、地面があるよう……」


提督「あれだよな、ユグドラシルにいたピンク毛玉の……」


夕立「チュチュのお仲間っぽい?」


提督「そうそう。まさかこんな所でショップをやってるとはなあ。チュチュが見たら喜ぶんじゃないか」


金剛「す、す、す」


榛名「お姉様?」


金剛「スウィィィィィト!!」
311 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/23(木) 00:32:18.02 ID:Y4Hu6A8yo
榛名「ひゃあ!」


提督「またか……榛名、暴走される前に捕まえてくれ」


榛名「は、はい!金剛お姉様、落ち着いてください!」ガシッ


金剛「なっ!離すネ!癒しを!私に癒しを寄越すデース!」ジタバタ


提督「全く、金剛のヤツはどうしたってんだ?今までも割とアレだったけどあそこまではっちゃけた奴じゃなかっただろ」


北上「やー、乙女には色々と悩みがあるものだよ」


提督「適当な事言うんじゃない」


北上「てへ」


道具屋チュチュ「なんだか騒がしいお客さんでチュねぇ。地上の人にも色々いるでチュ」


加賀「ごめんなさいね、ところで、ここに何か美味しい物は置いてないのかしら」


道具屋チュチュ「美味しい物でチュかぁ、そうでチュねえ……、あ、さっきおいしそうなクモを捕まえたでチュよ。700Gでいかがでチュか?」


加賀「……遠慮しておくわ」


マリア「あの、皆さんお揃いですか?」


金剛「オーウ、マリアー!助けて下サーイ!」


マリア「え?」
312 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/23(木) 00:32:46.98 ID:Y4Hu6A8yo
金剛「榛名とテートクが揃って私をリフジンな目にあいたぁ!」ゴチン


提督「いい加減にしなさい」


マリア「あの……」


提督「すまん、気にしないでくれ。それより用件の方を頼む」


マリア「は、はい、ゼファー女王があなた方に是非お会いしたいとの事です。宜しければすぐにでも宮殿へ上がって頂きたいのですが」


提督「だ、そうだ。お前ら」


夕立「もぐもぐ」


道具屋チュチュ「おお、お客さんいい食いっぷりでチュねぇ」


大鳳「だ、大丈夫なの?」


加賀「……」サァー


北上「わあ、あの加賀さんが青くなるなんていいもん見れたねえ」


夕立「うーん、非常時以外では食べたくない味っぽい」ゴクン


提督「何やってんだ……」


金剛「わーん、テートクゥ!いくらなんでも殴る事なかったデース!」


提督「ああ、悪かったよ」ナデナデ


金剛「テートクゥ、とりあえず撫でとけばいいみたいな感じになってませんカ……?」


提督「はっはっは、まさかまさか。本当に悪かったって」ナデナデ


金剛「……もう、しょうがないデスネー!」


マリア(なんなのでしょう、この人たち……)


  ***
313 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/23(木) 00:34:23.58 ID:Y4Hu6A8yo
とりあえずはここまでです。今週の土日はきちんと間に合うようにします。それでは。
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/23(木) 21:11:52.27 ID:s/zzvLJio
乙でした。
315 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/28(火) 03:11:42.00 ID:5um9zVd/o
大変お待たせしました。今週の投稿を始めます。
316 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/28(火) 03:12:09.76 ID:5um9zVd/o
〜上層行きエレベーター〜


マリア「こちらの最上部で女王がお待ちしています」


提督「お、おう」


夕立「提督さん、どうかしたっぽい?」


提督「非常に今更なんだが、めちゃくちゃ緊張してきた」


加賀「本当に今更ね」


提督「考えても見ろ、女王様だぞ?バチカン入って30分でローマ法王とサシで会うようなもんだぜ」


大鳳「そう言われると……」


マリア「ふふ、大丈夫ですよ。ゼファー女王はとてもお優しい方ですから」


提督「そうは言うがなあ」


マリア「さあ、着きましたよ。こちらがわがシェバトの王宮になります」シューン


北上「ほえー、外から見たときよりもでっかい気がしない?」
317 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/28(火) 03:12:39.70 ID:5um9zVd/o
提督「それだけ上にあるってことだろうな。にしても、王宮なんて言うもんだからもっと荘厳な場所かと思ってたんだが、なんつーか、どっちかっつーと公会堂って感じの雰囲気だな」


マリア「それは多分、この王宮そのものがこの国の心臓部になっているからだと思います」


提督「心臓部?」


マリア「このフロア全体を覆うように、食糧貯蔵庫、会議場、データルーム、研究室など、この国の重要な施設がみんなここにあるんです。
それに加えて一部の人の宿舎や来客用の寝室もありますので、厳かな雰囲気がしないのはきっとそのせいですわ」


提督「国土が狭いと色々大変なんだな」


大鳳「もしもの時はここの守りさえ固めればいい訳ですし、そういう意味では都合がいいんじゃないかしら」


加賀「逆に、ここが落ちたら国が終わると言う意味でもありますけれど」


提督「ま、一長一短ってことだろ」


マリア「さて、そろそろ行きましょうか、正面の扉の先で女王がお待ちです」スタスタ


  ***
318 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/28(火) 03:13:20.09 ID:5um9zVd/o
〜王座〜


ゼファー「よくぞ、まいられました。私がこのシェバトの女王、ゼファーです」


加賀「これは……」


提督「冗談じゃ、ないよな?」


夕立「子供、っぽい?」


金剛「マリアとほとんど変わらない年頃に見えマース……」


ゼファー「このような姿ですが、実際私は522才になるのですよ」


提督「んな馬鹿な……とは言えない、のか?まさかこっちの人間は皆それくらい生きるのが普通ってんじゃ」


ゼファー「いえ、このような体を持つのは私と一部の家臣のみ。それも全て500年前の……」


ゼファー「……昔の話は、今はやめておきましょう」


提督「は、はあ」


ゼファー「本題に入りましょうか。提督、貴方がシェバトを訪れた理由をお尋ねしたい」
319 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/28(火) 03:15:03.66 ID:5um9zVd/o
提督「はい。俺達がシェバトに来たのは……」ガチャ


フェイ「あれ……提督?」


バルト「よお、お前らも女王サマに用事か?」


エリィ「あら、お久しぶりね。話には聞いていたけど、元気そうで安心したわ」


シタン「……ふむ」


提督「……フェイ、それに皆」

提督(このタイミングは……)


金剛「フェーイ!元気そうで何よりデース!」


フェイ「そうか、会うのはあの時以来だったな」


榛名「はい、あの時はとっても心配しました。ご無事で本当によかったです」


フェイ「なんとかね。ビリーを始めとしたみんなのお陰だよ」


シタン「フェイ、再会を祝うのはそれくらいにして、先に本題を済ませてしまいましょう」


フェイ「あ、ああ。そうだね、先生」
320 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/28(火) 03:15:44.68 ID:5um9zVd/o
ゼファー「決心はついたのですか?」


フェイ「ああ、心は決まった!先のことはどうあれ、まずは共にソラリスを何とかしよう」


ゼファー「よろしい」


提督(フェイたちがシェバトと組んだ、か。これなら俺達も……)

提督「その話、俺達も是非とも一枚噛ませて欲しいんだが」


フェイ「あんたたちもソラリスと戦うのか?」


提督「そうだ。もちろん、そちらが許せばの話になるが」


ゼファー「われわれとしては願ってもないことですが、あなた方はその為にシェバトに来たのですか?」


提督「いえ、俺達の目的は別にあります。その辺の事を話す為に、まずは俺達がどこから来たのか話さなきゃならない」


加賀「……提督」


提督「いいんだ加賀さん。少なくともここにいる人間は信じなきゃ今後はどうしようもなくなりそうだし、それなら全部話したほうが後々面倒が無くて済むはずだ」


加賀「……そう」


提督「皆もそれでいいか?」


金剛「もちろんネー!テートクの決めた事ならなんでもウェルカムデース!」

榛名「はい!この榛名、提督にどこまでも付いて行きます!」

夕立「この間タムズをメチャクチャにした奴と戦うの?もちろん賛成っぽい!」

北上「まー、いいんじゃない?」

大鳳「それはいいのだけれど、ま、まさかここにしばらく住まなきゃならないなんてことは……」


バルト「おいおい、なんだか偉くはりきってるようだがよ、お前らがどこから来たか、ってのはそんなに大事な事なのか?」


提督「そりゃもう大事なんてモンじゃないぞ。なにせこの星を越えて、宇宙、時空の果てまで話が飛ぶんだからな」


  ***
321 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/06/28(火) 03:16:12.18 ID:5um9zVd/o
今週はここまで、ではまた来週。
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/28(火) 05:23:25.17 ID:Re0yjPRoO

どこまで関わるのか楽しみだな
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/28(火) 13:26:13.04 ID:7WErHaHoO

ロリBBAキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

個別防衛に其々1人ずつだったのが艦娘達の助けが加わるのか、それとも別に運用するのか楽しみだな
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/28(火) 13:40:06.00 ID:OAxNNy+4o
アハツェンをフルボッコに……
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 08:17:49.59 ID:lUzgU3e4O
余計なことですみませんが、まとめサイトの方で見れなくなってたりしますか?探しても見つからなかったので
326 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/03(日) 02:08:56.09 ID:5KyS22M3o
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
327 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/03(日) 02:10:43.46 ID:5KyS22M3o
提督「……で、その夜の事、気が付いたら俺達はまとめてコンテナに詰め込まれ、海で漂流していた所をタムズに拾ってもらった訳だ」


フェイ「地球……。なんだかとても懐かしい気がする名前だ」


ビリー「まさか、そんな事が本当にあるんでしょうか」


バルト「全くだ。流石に話がぶっ飛びすぎてるぜ。何か今の話の証拠はないのかよ」


シタン「若くん、よく考えてください。彼らにここで嘘をつくメリットはありません」


バルト「先生はこんな話いきなり聞かされて信じるってのかよ?」


シタン「わたしは以前話を聞いていましたので。と言っても、ここまで詳細なものではありませんでしたが」


バルト「なんだそりゃ!おいフェイ、おめーはどうなんだよ?こいつらが別の世界から来たって話、信じられるか?」


フェイ「あ、ああ。先生の言うとおり、こんな嘘をつくようなやつらじゃないだろ」


バルト「そうかも知れねえけどよ」


フェイ「バルトは信じないのか?お前だって何度もユグドラシルを守ってもらった事があっただろ」


バルト「……ちっ、わぁったよ」
328 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/03(日) 02:11:13.24 ID:5KyS22M3o
シタン「それにしても、艦娘かあ!まさか装備のみならず、彼女達そのものが兵器だったとは、いやはや……」


加賀「……」


シタン「ああ!す、すみません。つい余計な事を……」


加賀「……いえ、それはいいのだけれど」


提督「ほら加賀さん、この話する度に鎮守府の事心配してたら身が保たねえぞ」


加賀「……そうね」


マリア「艦娘。戦うための、兵器……。とてもそうは見えません」


ゼファー「ともあれ、話は分かりました。それでは」ドゴォン


フェイ「む……!?なんだ、今の衝撃は……!?」


提督「こいつぁ……」


夕立「爆発っぽい?」


マリア「女王様ッ……!今のは、まさか敵の……!?」


シェバト兵「た、大変ですっ、女王様!!」


ゼファー「何事です?」
329 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/03(日) 02:11:41.20 ID:5KyS22M3o
シェバト兵「はい、それが……何者かがドック・エリアに侵入!障壁発生器が爆破されました……!」


フェイ「なんだって!?」


ゼファー「被害状況は?」


シェバト兵「は、はい!子機が破壊されて……障壁展開率、通常の70%にまで落ちています!
全力で、消火、復旧作業にあたっておりますが……、今しばらく時間がかかりそうです!」


ゼファー「侵入者はどうしました?」


シェバト兵「はい、単独で潜入したと思われるゲブラー兵は、17格納庫方面へ逃れたもようです!」


マリア「17格納庫!?ゼプツェン……!!」ダッ


提督「ゼプツェン?」


マリア「待ちなさい、マリア!あなたひとりでは危険です」


マリア「でも……、ソラリスのスパイを放っては……!」


シェバト兵「女王様、シールド発生機の消火の方も、手一杯です。下手をすると、更に被害が大きくなる可能性も……!」


マリア「だいじょうぶです、わたしひとりで行きます……!!」


ゼファー「ゼプツェンのないおまえに、一体何が出来ると言うのですか、マリア?」


マリア「……!それは……」
330 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/03(日) 02:12:53.20 ID:5KyS22M3o
フェイ「それなら、俺達がマリアと一緒に降りようか?ゲブラーのヤツらだろ?あいつらには、こっちも頭に来てるんだ。
相手になってやるよ」


金剛「テートクゥ、ゲブラーって何ですカ?」


提督「えーと、ソラリスが地上を監視するために作った組織だったかな」


金剛「シーット!まーたソラリスの奴らですカー!」


榛名「タムズに続いてシェバトまでも……!許せません!」


提督「……と、言う事だ。俺達もマリアのお供をさせてくれ。ソラリスの手先じゃないってことも証明したいしな」


フェイ「ああ、俺はかまわないけど」


ゼファー「……お願いできますか、フェイ、提督。マリアを頼みます。どうか、くれぐれもお気をつけて」


提督「よし来た。それじゃ金剛、榛名、夕立は付いて来い。残りは王宮を固めてくれ」


北上「えー!提督、私も行きたいんだけど?」


提督「お前な、ここは空の上だぞ?自慢の魚雷も役に立たんだろうが」


北上「……あー、確かに」


加賀「では、私達は上空の偵察に出るわ。敵が一人だけと言う事はないはずです」


提督「そうだな、頼む」


フェイ「さあ、それじゃ行こうか、マリア」


マリア「それでは、あらためてよろしくお願いします、みなさん」


金剛「任せるネ、マリアー!大船に乗ったつもりでいるといいヨー!」ギュッ


マリア「きゃあ!」


  ***
331 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/03(日) 02:13:19.36 ID:5KyS22M3o
今日はここまで。ではまた来週。
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/03(日) 02:48:43.35 ID:xLr0CH4Co


アベルの時代にはもう地球はロストエルサレムとして立入禁止状態になってたんだっけか
そしてシタン先生はやっぱりシタン先生だった
333 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/11(月) 02:20:50.95 ID:ep1Fiy3bo
お待たせしました。今週の投稿を開始します。
334 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/11(月) 02:21:17.16 ID:ep1Fiy3bo
〜地下ドック行きエレベーター〜


フェイ「なあ提督」


提督「ん?」


フェイ「あんたは戦えるのか?さっきの話を聞く限りじゃ、あんたは指揮官で、直接戦ったことはないんだろ?」


提督「心配すんな、さっき行きがけに銃借りてきたからな。使い方も教わってきたぜ」ジャコッ


夕立「提督さんは銃使ったことあるっぽい?」


提督「士官学校の射撃訓練以来だな。ま、大丈夫だろ」


フェイ(本当に大丈夫なのか?)


マリア「そ、そんなことより、金剛さんを何とかしていただけませんか?」モゾモゾ


金剛「ンー、マリアのヘアーは癒されるネー」モフモフ


提督「お前またやってたのか……大体どうして急に」


 ガコン!
335 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/11(月) 02:21:44.23 ID:ep1Fiy3bo
提督「うおっ!」


榛名「きゃあ!何事ですか!?」


フェイ「止まったぞ!」


夕立「……動かないっぽい」


提督「ほれ見ろ、お前がマリアを困らせるからだ」


金剛「ワット!?わ、私のせいデスカー!?」バッ


フェイ「いや、絶対違うと思う」


マリア「ちょっと調べてみますね」


マリア「……ダメだわ。防御シャッターが閉じてしまっている……」


金剛「そんなもの、私の主砲で一撃ネー!」ガシャ


提督「却下だ。こんな閉所で主砲なんぞ撃ったら皆吹き飛んじまう」


フェイ「格納庫に降りるのに、別のルートはないのか?」


マリア「非常用のシャフトを使えば下に降りられると思いますが、ふだん使われていないので……」


フェイ「構わないよ。こんなとこでグズグズしてられないだろ?」


榛名「そうですね。これ以上ソラリスの攻撃を許さないためにも、一刻も早く先に進むべきだと思います」


提督「ま、選択の余地はなさそうだな」


マリア「はい、わかりました。シャフトの入り口はすぐ上の……」ウィーン


マリア「ここです。ここからシャフト内部に入れば、下に降りられるはずです」


フェイ「よし!それじゃ、行こう!」


  ***
336 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/11(月) 02:22:10.76 ID:ep1Fiy3bo
提督「よっ、と」スタッ


提督「ここがシャフトか。お前ら足元崩れてるから気をつけろよ」


夕立「そーんなどんくさくないっぽい!」スタッ


金剛「意外と広いデース」


提督「そりゃ非常用とはいえ人が通るように作られてるからな」


榛名「所々崩れているのは、やはり以前の戦争が原因なのでしょうか」


提督「流石に500年前の被害を未だに修理してないってのはないんじゃねえか」


フェイ「いつまでおしゃべりしてるんだ。さっさと行こうぜ」


提督「おっと、そうだった」


夕立「なんか迷路みたいでワクワクしてきたっぽい!」


  ***
337 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/11(月) 02:22:44.80 ID:ep1Fiy3bo
提督「で、分かれ道か」


榛名「右と左、どちらが下に続いているのでしょう」


金剛「マリアは何か知りませんカ?」


マリア「確か、左の突き当たりにシャフト下層の地図があったはずですが……」


フェイ「む、両側から何か来るぞ」


ティアーズ×2「シャコシャコ」


提督「……え、何あれ」


夕立「ちょっと趣味悪いっぽい」


マリア「恐らくは侵入者撃退用の装置ではないかと」


提督「撃退どころか殺害する気満々だろ!両腕刃じゃねえか。しかも明らかにこっち狙ってきてるし!」


マリア「異物は全て敵と認識しているのでしょう。恐らく」
338 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/11(月) 02:23:23.13 ID:ep1Fiy3bo
フェイ「仕方ない、左を頼む……はあッ!」ダッ


提督「あ、おい!……見かけによらず血の気の多い奴だな」


マリア「わ、私も!えい、えい!」ポコポコ


提督「おお、何か泡が一杯出てきた……じゃなくて!下がってろマリア!」タタンッタタンッ


ティアーズ「シャコシャコ」カンッカンッ


提督「げえ、全然効いてねえ」


マリア「くっ、ゼプツェンさえ呼べれば……!」


金剛「テートクゥ!ここは私達の出番ネー!」ガシャ


提督「ちょっと待てストッ」

金剛「ファイヤー!」ドォン


ティアーズ「シャ」ドゴォォォン


金剛「オォウ……」


榛名「通路が……」


夕立「敵ごとぺしゃんこっぽい」


提督「あっちゃあ……」
339 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/11(月) 02:23:50.75 ID:ep1Fiy3bo
フェイ「こっちは終わったぞ。そっちは……なんだ、こりゃ」


提督「見ての通りだ。すまん。地図は諦めるしかないな」


金剛「私としたことが……申し訳ないデース」


提督「まあ、やっちまったもんはしょうがない。とりあえずの所、通路を出るまでは金剛と榛名は砲撃禁止だ。夕立、頼むぞ」


夕立「ふふん、きっちり狙い打ちっぽい!」


マリア「こ、金剛さん、気を落とさないで下さい。下へ続く道は右側ですし、地図がなくても何とかなりますよ」


金剛「うう、マリアは優しい子デース」


  ***
340 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/11(月) 02:24:32.90 ID:ep1Fiy3bo
今週はここまで。それではまた。
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/07/11(月) 18:08:11.52 ID:5wpAYJEOo
閉所で41cm連装砲ブッパすりゃそうなるわな・・・
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/11(月) 20:35:05.55 ID:/zEc6LeFo
おつ

そういやシェバトのフォービドゥンってどうやって対処すればよかったんだろう
対処出来ないから出合ったらすぐ逃げてた
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/12(火) 09:14:34.96 ID:XH3NSyHJO
連殺でぶっころがす
344 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/17(日) 01:00:48.03 ID:dDd0CwY7o
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
345 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/17(日) 01:01:50.74 ID:dDd0CwY7o
フェイ「……」


マリア「……」


提督「……」


金剛「……ムム!」


提督「どうした金剛」


金剛「正面通路に感アリネー。何かがこっちに向かって来マース」


フェイ「数は?」


金剛「アー、1、いや3ネー」


フェイ「……よし、任せろ」ダッ


夕立「提督さん!」


提督「よし、夕立も行って来い。なるべくフェイを敵と一対一になるように支援してやれ」


夕立「了解!っぽい!」ダッ
346 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/17(日) 01:02:18.91 ID:dDd0CwY7o
提督「金剛も引き続き索敵を頼む。榛名、後方はどうだ?」


榛名「今のところは何もありません」


提督「わかった。そのまま後方に集中しててくれ。いつの間にか挟み撃ちってのは御免だからな」


榛名「はい、榛名にお任せください!」


マリア「……凄いですね」


提督「ん?」


マリア「目で見えないほど遠くの敵を数まで把握してしまうなんて……」


提督「ま、電探積んでるからな」


マリア「電探?」


提督「レーダーの事だよ。ほら、あの頭に載ってるピコピコ動いてるやつ」


マリア「あれにそんな機能があったんですね」


提督「本来は対水上用なんだけどな。陸でも機能してくれてよかったぜ」
347 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/17(日) 01:02:46.16 ID:dDd0CwY7o
マリア「……やっぱり、そうなんですね」


提督「そうって、何が?」


マリア「さっきの話です。あの人たちは艦娘っていう、兵器として生まれた存在だって……話だけでは信じられませんでしたけど、
一撃で通路を吹き飛ばすような砲撃をしたり、レーダーが付いてたりしているのを見ると……」


提督「普段は人間と全く変わらんからなあ。無理もない。俺も鎮守府に来て最初に電と会った時には……」


マリア「?電というのは?」


提督「あ、い、いや、ははは。それよりマリア、俺もさっきの話で聞きたい事があったんだが」


マリア「はい、なんでしょう」


提督「ゼプツェン、つったっけ。話しぶりから見るにギアか何かなんだろうけど、一体何なんだ?」


マリア「……その通りです。ゼプツェンは私の……ソラリスの研究所で父さんが開発した、世界でたった一つのギアです」


提督「ソラリス?ソラリスって、じゃあ」


マリア「はい。父さんは今もソラリスに捕らわれたまま……バルお爺ちゃんが助けてくれなかったら、私もゼプツェンもここにはいなかったと思います」


提督「……」
348 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/17(日) 01:03:12.26 ID:dDd0CwY7o
マリア「あれから3年も経ってしまいました。お爺ちゃんや女王様に止められてさえいなければ、すぐにでも父さんを助けに行くのに……。
ゼプツェンならソラリスのどんな奴にだって負けはしないのに……。ぜったい……!」


提督「そりゃ女王が正しいぜ。いくらなんでもギア一機で何とかなる訳がない」


マリア「やってみないとわかりません!今こうしている間にも、ソラリスで父さんは……」


提督「……なあ、焦る気持ちは分かるけどな、マリア」ポンポン


マリア「っ子供扱いしないでください!」バシッ


提督「わ、悪い。そんなつもりは無かったんだが」


マリア「どうして?どうして皆わたしを止めるの?父さんのことなんか、もうどうなっても構わないの……?見殺しにするの?
私は許さない、父さんを苦しめた奴を、それを黙って見ていた人も……!」


提督「なんで止めるの、か。そんなの決まってるだろ?マリア」


マリア「……もう、いいです。提督なら分かってくれると思ったのに」タッタッタ


提督「分かるって何を……おいマリア!」


金剛「ワ、ワット!?マリアー!私より先に行ったらノーデース!」


榛名「て、提督、マリアさんと何かあったんですか?」


提督「まあ、ちょっとな。地雷踏んだ」


榛名「じ、地雷?」


  ***
349 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/07/17(日) 01:03:47.19 ID:dDd0CwY7o
今週はここまで。ではまた次週。
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/18(月) 01:41:19.87 ID:ShbbfLt5o
乙でした。
351 : ◆Idq7VgawO2 [sage]:2016/07/28(木) 16:18:58.65 ID:DDk8QBDEo
報告が遅くなりましたが、私生活の方でちょっとしたアクシデントがあったため、次回の投稿はもう少し先になります。遅れてしまい申し訳ないです。
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/30(土) 04:35:59.32 ID:cF0gy2B1o
報告乙です。
353 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:30:05.54 ID:oWzCcvPxo
大変お待たせしました。繁忙期と私用と風邪が重なってえらい忙しさになってましたがなんとかなりました。
354 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:30:35.53 ID:oWzCcvPxo
  ***


〜最下層 ドック・フロア〜


夕立「はー、やっと着いたっぽい」


榛名「ここは……先ほど封鎖されていた隔壁のすぐ下でしょうか」


金剛「想像以上にデンジャーな場所でしたネー」


提督「まさか途中で外に繋がってた上に、足場代わりに外壁に飛び出してるプロペラを飛び移るなんてマネまでさせられるとは思わなかったな。
いや全く、大鳳がいたらどうなってた事か……」

提督「じゃなくて!どこに敵が潜んでるかわからねえんだからまだ安心するんじゃねえ。金剛、周囲の状況」


金剛「もちろんさっきからチェックしてマース!今のところは何かが動いているような反応はナッシンネー」


提督「となると、警戒すべきは何かしらの罠だな。ここは慎重に」


フェイ「マリア、ゼプツェンがある格納庫ってのはあっちだったよな」


マリア「はい、その通りです」


フェイ「分かった」スタスタ
355 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:31:31.44 ID:oWzCcvPxo
提督「ちょちょちょ、どうする気だよ!」


フェイ「ゆっくりしてる暇なんてないだろ。なら、こうするだけさ」タッ


提督「おい!……ったく、意外と思い切った奴だったんだな!」ダッ


金剛「あっ、テートクゥ!」


提督「こうなっちゃ仕方ない。さっさと追うぞ」


金剛「シット!しょうがないデース、マリア、私の後ろからしっかり付いてきて下さいネー!」


マリア「はい、急ぎましょう」


  ***
356 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:32:16.37 ID:oWzCcvPxo
  ***


提督「や、やっと追いついた……」ゼェゼェ


フェイ「……」


提督「こんな所で突っ立って何を……おわ!なんだよこのでっかいギア」


フェイ「こいつがゼプツェン、マリアのギアだ」


提督「こいつがか。つーことは、ここが第17格納庫なのか?」


フェイ「ああ、だが敵は……」


マリア「侵入者はどこ……!?」


榛名「落ち着いてください、マリアさん」


金剛「無事ですカテートクゥ……ワット!?このビッグなギアは何ですカー!?」


提督「こいつがマリアのギアだとさ」


夕立「と言う事は」


提督「ああ、ここのどこかに敵がいる。気をつけろ」


?「ふん、誰かと思えば……またお前か。ご苦労な事だよ」
357 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:33:14.62 ID:oWzCcvPxo
マリア「……!?誰ですか!」


金剛「ビッグなギアの肩デース!」


フェイ「ドミニア!」


提督「ドミニア?」


ドミニア「それに後ろのお前達は……そうか、あの時の。あのまま海賊の一味になった、と。そういうことか」ククク


提督「ん?ちょっと待て、俺はあんたみたいな褐色美人は知らないぞ」


榛名「びっ……」


フェイ「……タムズでユグドラシルが襲われたとき、あんたたちが助けてくれただろ。あいつはあの時の敵ギアのパイロットだ」


提督「あん時のでっかい剣持ったギアか。つーことは、こいつが侵入者か」


金剛「正面から堂々と現れるとはいい度胸デース!」ガシャ

榛名「榛名、容赦しません!絶対に、必ず、確実に、何があろうとも!」ガシャ


提督「ストップ。あの位置じゃマリアのギアにも損傷が出るだろ。つーか榛名はなんでそんなにやる気満々なんだ」


フェイ「お前達に、そいつを渡すわけにはいかないな!」


ドミニア「ふん、ならば力ずくで止めてみな!」
358 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:33:45.67 ID:oWzCcvPxo
マリア「くっ……ゼプツェンは渡しません!」


ドミニア「ん……?そこにいるガキは……おい、お前、ニコラの娘か……?」


マリア「たしかにわたしはニコラの娘、マリア・バルタザールです!それが、どうかしましたか……?」


ドミニア「なるほど、おまえが、ニコラが身を挺して逃がした愛娘ってわけか……」

ドミニア「おい小娘、面白い話を聞かせてやろうか?そうだな……ゼプツェンの呪われた秘密というのはどうだ?」


マリア「……!?それは、どういう意味です?」


ドミニア「さあ、どういう意味かな、話を聞きゃあ、おのずとわかるよ……」


提督(そう言って褐色銀髪の姉ちゃん、ドミニアが語りだした話の内容は、要約するとこんな感じだった)

提督(ソラリスは次世代兵器開発のプランとして、『人と機械を融合』させることを思いついた。レバーで機械を動かすより、
脳みその信号を拾って操縦したほうが素早く正確に動かせるから、って理屈らしい)

提督(とは言っても、そんなものがたやすく実現するはずがなかった。当たり前だよな、鉄と脳みその相性なんて見るからに最悪だし)

提督(ところが、そんなムチャクチャをマリアの父さん、ニコラ・バルタザールは可能にしちまったらしい。その試作機がゼプツェンなんだそうだ)

提督(ついでに、そのサンプルデータの採取の為に、アヴェとキスレブの戦争が泥沼化するようにソラリスが裏で手を引いていたそうだ)

提督(そのデータを元にソラリス本国で人体実験を行った結果、出来上がったのが死霊なのだという話もしてくれた)


榛名「そんな……」


夕立「流石に引くっぽい」
359 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:34:54.02 ID:oWzCcvPxo
マリア「ウソです!!父さんが、そんなひどいことを……!!」


ドミニア「わたしはウソはつかないよ、マリア。こいつは、真実だ。
あんたの立派なお父様は、人と機械の融合に成功し、地上人にとっての地獄の門を開けちまったってわけさ」

ドミニア「そして、ゼプツェンの神経回路には……」


?「そのくらいにしといちゃどうだい、ドミニア?」


ドミニア「だれだ!?」


?「どうして女ってのはこうもお喋りなんだろうなあ?いらねえ事までペラペラとしゃべくりやがって、まったく……」


ドミニア「ジェサイア!?」


提督「ジェシーの親父さん、いつの間に」


夕立「提督さん、お知り合いっぽい?」


提督「知り合いも何も、一緒にユグドラシルに乗ってたぞ。ほとんどずっとガンルームで飲んだくれてたから気づかなかったんじゃないか」


榛名「……確かに、あんな格好のおじさまがずっと飲んでいらした様な……」


金剛「いつもいるから掃除の邪魔だったネー」


ジェシー「全く、こっちの女どもも容赦ねえなあ」
360 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:35:52.98 ID:oWzCcvPxo
ドミニア「貴様、かつては次期ゲブラー総司令官とさえ目されていた貴様が、シェバトで何を!?」


ジェシー「そう熱くなりなさんなって、美容によくないぜ、ドミニア。大人にゃ大人の事情ってもんがあるんだよ。
ガキにゃわからねえだろうが、な」


ジェシー「火遊びはここまで、だ。今日のとこは、このままおとなしく帰んな。ゼプツェンはマリアじゃなきゃ動かせねえぜ。
それくらいのことは、お前さんだって百も承知のはずだ」


ドミニア「ふん、バカ共め!いきがるのも今のうちだ。パーティはこれから、さ」スッ


提督「待てよ、逃がすと思うか?」カチャ


ドミニア「愚かな、きさまのようなエーテルも持たないクズが、いったい何をしようというのだ?
そんなチンケな銃でこのわたしを止められるとでも?」


提督「……くそっ」


ドミニア「それでいい。部外者のきさまはおとなしくしていろ。それじゃ、マリア。今日はこれで失礼する」


マリア「……」


ドミニア「楽しいダンス・パーティーを」ククク


フェイ「待てッ!ドミニア!」


金剛「提督ゥ!追いかけるネー!」


提督「やめとけ、ここの防衛には成功したんだ」
361 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:36:46.58 ID:oWzCcvPxo
マリア「父さん……」


フェイ「なあ、マリア。気にするなよ……あいつの言ったことなんか」


榛名「マリアさん、気をしっかり持ってください。まだ何があるかわかりません」


マリア「……」


 ドォォ……ン


提督「っとと」


フェイ「こいつは……!?」


夕立「今度は上から聞こえたっぽい!」


ジェシー「さあ、お客さんがおいでなさったようだ。上にあがろうぜ」


提督「城壁が破られたら息つく間もなく侵攻か、やれやれだな」


榛名「どうなさいますか、提督」


提督「無論、迎え撃つ。俺達が今後活動していくのにシェバトとの協力関係は必要不可欠だからな」


ジェシー「しかし、どうもイヤな予感がしやがる……」


マリア「ゼプツェン……」


ジェシー「……まさか、な」


  ***
362 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/08/07(日) 00:39:47.17 ID:oWzCcvPxo
とりあえずここまで。
未だ繁忙期真っ只中のため、八月中はこのまま不定期投稿とさせてください。それでは。
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/07(日) 08:49:19.93 ID:uJLlQ576o
>>362


保守は任せろー
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/08/09(火) 07:05:08.59 ID:bcxGL9HmO
我の拳は保守の伊吹!
落ちたるスレをage、続きの種子を紡ぎ出す!

美しき、
    >>1乙のレスの力を!!
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 08:41:25.44 ID:7sZm4o0OO
伊吹は帰れ
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 09:25:30.89 ID:Y7OQfpP/o
船の方の伊吹だろうさすがに……
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/31(水) 15:17:24.84 ID:OIBoNUYOo
塵。
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/02(金) 10:20:11.20 ID:iSNcz1Qao
  _, ,_  しょおー
( ◎д◎)
  ⊂彡☆))Д´)>>367
369 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:49:45.92 ID:aR9T7yuko
お久しぶりです。八月中にどこかで一度くらい投稿したかったのですが、全く暇がありませんでした……。九月からはまた毎週更新していきますので、どうかよろしくお願いします。
それでは、今週の投稿を始めます。
370 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:52:33.22 ID:aR9T7yuko
〜王座〜


提督「ただいま」


大鳳「あ、おかえりなさい、提督。皆さんも。格納庫の方はどうでしたか?」


提督「何とか追っ払ったよ。それよりもこっちの様子はどうだ?さっき妙な振動があったが……」


大鳳「それが、その」


加賀「上空を偵察中に正体不明の大型ギアに遭遇しました。応戦したのですが、敵にダメージが通った様子はなく、こちらの艦載機はほとんどやられてしまいました」


提督「偵察中にって、ここは雲の上だぞ?こんな所まで飛べるギアがあるってのか」


ゼファー「驚くような事ではありません。地上のギアとは違い、我々シェバトやソラリスのギアはその程度の飛行能力を普通に有しています」


提督「へえ、流石にこの世界を牛耳ってるだけのことはあるな」


大鳳「すみません、提督。大鳳はもう戦う事も……」


提督「補給のめども立たない状態がずっと続いてたんだ、仕方ないさ。いつかはこうなってただろうし」


大鳳「提督……」


シタン「そうですね、それに、お陰様で敵の構成もある程度把握できましたし、彼らが上に戻るまでの時間も稼げました。そう悪いことばかりでもありませんよ」


大鳳「シタン先生まで……ありがとうございます」
371 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:53:15.13 ID:aR9T7yuko
ジェシー「そんなことよりもよ、俺ぁその『正体不明の大型ギア』ってのがさっきから気になってしょうがねえんだが。どうもいやな予感がしやがるからよ」


シタン「そうですね。そのあたりも含めて、今われわれが置かれている状況をまとめてお話しましょう」


フェイ「頼むよ、先生」


シタン「まず、先ほどの話にあった正体不明のギアを含め、ソラリスのギア部隊が急速でシェバトに接近しています。
連中の狙いは、まず4つのゲート・ジェネレーターとみていいでしょう。あれがなければ、シェバトは丸裸になりますからね」


夕立「さっきの人が言ってた『ダンス・パーティ』って言うのはこのことっぽい?」


シタン「恐らくそうでしょう。ドミニアの破壊工作で障壁の出力が弱まっている今、一気にケリをつけてしまうつもりなのかもしれません。
対するこちら側ですが、すでにシェバトの迎撃部隊が緊急発進したそうです。しかし……シェバトの人間はギア戦に慣れていませんからね、はたしてどこまでもつか……」


北上「あれ?この国ってソラリスとずっと戦ってたんじゃないの?」


ゼファー「ええ、しかし数年前に起こったソラリスとの最後の防衛戦の折、わが国の兵力はほとんど壊滅してしまったのです」


ジェシー「そういやそんなこともあったな。なあヒュウガ?」


シタン「え、ええ、そうですね」


フェイ「?」


提督「?」


シタン「そ、その話はともかく、このままいけばソラリス軍がシェバトに取り付くのは時間の問題です」


フェイ「ああ、わかってるよ、先生。俺達が、出る!ここの人たちをみすみす見殺しになんかできない」


ゼファー「フェイ……」
372 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:53:46.05 ID:aR9T7yuko
バルト「ただ働きはゴメンだが、連中の前で尻尾を巻いて逃げ出すのはもっとゴメンだ!どんなヤツが来るにせよ、俺様のブリガンディアでぶっ飛ばしてやらあ!」


ビリー「ボクたちでこの国の人たちを守りましょう」


リコ「ふん、連中にリコ様を怒らせるとどうなるか、たっぷり教えてやるとするか」


夕立「提督さん、夕立もお手伝いしたいっぽい!」


提督「だな」


金剛「さっきはあまりお役に立てなかったからネー、その分しっかり働きマース!」


ジェシー「おうおう、いいぞ!頑張れ若人!しっかり頼むぜ。なにせ、俺様の命も懸かってるんだ。まだ、こんなとこでくたばりたくねーからな」


ビリー「うるさいな、黙っててくれよ親父は!」


金剛「そうデース!酔っ払いは大人しく……ワワワワット!?」


ジェシー「へいへい、わかりやしたよ」


金剛「……テートクゥ、今、ビリーが親父っテ……」


提督「ああ見えて親子だからな。そりゃそうだろ」


金剛「と言う事は、プリメーラも……」


提督「ん?そりゃビリーの妹なんだから当たり前だろ」


金剛「……あのビーストなフェイスからあんなキュートなボーイとガールが……信じられないデース」


ジェシー「ちぇ、最近のガキゃどいつもこいつも可愛げがねえでやがる」
373 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:54:23.73 ID:aR9T7yuko
チュチュ「よーし、チュチュも頑張るでチュよぉ!」


北上「うわ、びっくりした!」


フェイ「……?頑張るでチュって……なんでチュチュがここにいるんだ?ユグドラシルに置いて来たはずだろ?」


エリィ「それがどうも、どさくさに紛れて付いてきちゃったみたいなの」


フェイ「まいったな、遊びじゃないんだぞ」

フェイ「危ないからユグドラシルに戻ってろよ。な、チュチュ?いい子だから」


チュチュ「ふっふっふー、チュチュ、いい子しゃんじゃないでチュよ。もう、危ないお年頃なんでチュ」

チュチュ「それにチュチュだって、ちゃんと頑張れるでチュ!みんなと一緒にいるでチュよ。ね?ね?」


フェイ「ちぇ、しょうがないな……。怖い目にあっても知らないぞ」


提督「ほー、いつもは割と脳筋度高いフェイにこんな保護者っぽい一面があるとはな」


フェイ「う、うるさいな、ほっといてくれよ」
374 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:54:54.18 ID:aR9T7yuko
マリア「あなたもチュチュって言うのね。この街には、あなたの仲間がいっぱい住んでるわよ。後で私と一緒に会いに行きましょう?」クスクス


チュチュ「ほ、ほんとでチュか?みんながここにいるでチュか?」


北上「ん、町の方に一杯いたよー?」


チュチュ「わーい、ついに見つけたでチュ!!チュチュの仲間、ちゃんといたでチュ!!」


榛名「……マリアさん、なんとか元気になったみたいですね」


金剛「ンー、まだわからないネー。無理してるだけかも知れないデース」


大鳳「あの、下で何かあったんですか?」


金剛「ソラリスのエージェントにお父さんのことを色々言われただけネー」


榛名「その前に提督が地雷も踏まれたようですし……」


大鳳「え、エージェント?地雷?」


チュチュ「さあ、気合入れて行くでチュよお。ガンバらなきゃダメでチュからねえ、みなしゃん!」


  ***
375 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/04(日) 19:56:24.38 ID:aR9T7yuko
今回はここまで。ではまた来週。
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/04(日) 21:11:54.82 ID:prnIQC9Y0
ソイレント艦これ
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/04(日) 22:20:42.82 ID:prnIQC9Y0
いい話だ
378 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:24:33.35 ID:9tQpWsOoo
お待たせしました。昼休みの間にささっと投稿しておきます
379 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:25:11.47 ID:9tQpWsOoo
シタン「さて、それでは、敵のギア部隊についてですが……。先ほど説明したように、4部隊がそれぞれ個別にジェネレーターを目指して接近中です。
これらのギアに関しては、機体のタイプ、性能など、ある程度の事はシェバトの得た情報から分かるのですが……」


提督「問題は加賀さんと大鳳が当たった正体不明のギア、か」


シタン「ええ。どうもこのギアが敵の指揮官のようですね。接近してくる他のギア部隊の後方に控えているようです」


ゼファー「いま、映像を出しましょう」ブゥン


加賀「!!」


大鳳「よくも……!」ギリ


マリア「こ、これは……!?」


夕立「真っ赤っ赤でちょっとおっかないっぽい」


フェイ「こいつは、まさか!」


榛名「色こそ違いますけど、この機体の外見は……」


バルト「なんだあ、この薄っ気味悪いギアは?おまえ、何か知ってるのか、マリア?」


マリア「……アハツェン。父さんの設計したギアの2号機……」

マリア「ゼプツェンの、兄弟機なんです」
380 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:25:53.79 ID:9tQpWsOoo
バルト「なんだと!?」


リコ「なるほど、通りでゼプツェンとソックリなわけだぜ」


マリア「でもまさか、アハツェンが完成されていたなんて……!ゼプツェンの他にはもう二度とギアは造らないって、
父さんは設計図を燃やしたはず……!それがどうして……!?」


?『聞くがいい!シェバトの人間ども!』


マリア「この声……父さん!?」


提督「あのギアからか!」


ニコラ『おもしろいネズミどもが、そこに逃げ込んだと言う話だな。アハツェンのテストには丁度いい、シェバトもろとも叩き潰してやろう!
さあ、出てくるがいい。薄汚いネズミども、私の可愛いモルモット達よ」


マリア「そんな、父さんが、どうして!?」


ゼファー「落ち着きなさい、マリア!本当にあれにニコラ博士が乗っているとは限りません!」


マリア「でも、でも!父さんの声が!」


ゼファー「しっかりしなさい!あなたは戦う前から敗れるつもりですか!あなた達親子を苦しめたソラリスに?」


金剛「マリア、クイーンの言う通りデース」


加賀「……そうね。あの声の正体が何であれ、今の私たちにできるのはシェバトを守ることだけなのではないかしら」
381 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:26:30.96 ID:9tQpWsOoo
マリア「……だけど……」


シタン「さあ、いいですか。こちらの打つ手を考えましょう!何としてもギア部隊を迎撃して、ジェネレーターを守らなくてはなりません」

シタン「その為には、こちらも四手に別れ、攻めて来る敵を迎え撃つのが得策でしょう。我々のうちの4人は出撃し、
各自受け持ちのジェネレーターを単独で死守する!その間、残りの者はこちらで待機。これでいきましょう」


ゼファー「マリア、あなたはここで待機していなさい」


シタン「……。お願いします、マリアさん」


マリア「……はい。わかりました」


提督「何もそれぞれ単独で向かうことはないんじゃないか?ここの守りは俺達に任せてくれていいぜ」


シタン「いえ、あなた方にはその間に、下の町に残った市民の避難、及び町の防衛を行って頂きたい」


北上「んー?敵の狙いはじぇねれーたー?って奴ならさ、そっちを全力で守るべきだと思うんだけど」


シタン「それは確かですが、万が一がないとは言い切れませんからね。用心に越したことはありませんよ」


提督「……まあ、そういうことなら。よし、それじゃそっちは引き受けた」
382 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:27:01.82 ID:9tQpWsOoo
シタン「それでは、市街地での指揮は提督にお任せします。下層部に兵士が詰めているはずですので、そちらと協力してことに当たって下さい」


提督「了解だ」


ゼファー「皆さん、頼みます。シェバトの民をどうか守ってください」


榛名「はい!この榛名、お受けしたからには体を張ってでも守ってみせます!」


大鳳「大鳳も、出来る限りの事をして民衆を守ります!」


北上「私もそろそろいいとこ見せないとねー。ま、任せちゃってよ」


加賀「……決まったのなら、急いで出発しましょう。住民が避難する手間を考えると、あまり時間の余裕は無いでしょうから」


提督「だな。そんじゃ早速行くぞ、皆付いて来い!」ダッ


第一艦隊「おー!」ダダダ


シタン「……行きましたか。こちらも急いで準備を整えましょう。具体的な敵の部隊編成ですが……」


  ***
383 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/16(金) 13:27:32.30 ID:9tQpWsOoo
とりあえずここまで。続きは土日のどちらかに投稿します。それでは。
384 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:02:12.86 ID:SqTZ10VJo
お待たせしました。投稿を始めます。
385 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:06:25.41 ID:SqTZ10VJo
〜アウラ・エーペイル〜


加賀「……静かね」


夕立「敵はまだ来てないっぽい?」


提督「そうみたいだな」


北上「それで、今回の作戦は?何か考えてあるの?」


提督「うーん、見ての通りだが、この町は南北の出入り口以外は道すらない、橋の上に造られた様な地形だ。とりあえず出入り口を固めとこう」


金剛「それなら!」


榛名「榛名たちの出番、ですね」


提督「そうだな、金剛は北、榛名は南を頼む。敵が来たら知らせてくれ」


金剛「ラジャ!」


榛名「提督は安心して住民の避難を指揮して下さい!」


提督「よし、残った4人は避難する住民の護衛だ。まずは……」
386 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:06:51.77 ID:SqTZ10VJo
『おおい、そこのあんた!あんたが提督か?』


提督「な、なんだあ?どっから聞こえてくるんだ?」


大鳳「う、上です!上空にギアが!」


夕立「っ!」ガチャ


加賀「待ちなさい」スッ


夕立「加賀さん邪魔っぽい!」


加賀「敵が提督の名前を呼ぶことはないと思うけれど」


大鳳「このギアはシェバトの制式ギア、でしょうか」


北上「白くて細くて鳥っぽいねえ」


提督「おーい!確かに俺が提督だが、あんたは?」


パイロット『やっぱりか!俺は反ソラリス部隊のモンだ。ゼファー女王直々の命令でな、あんたを手伝うようにってさ』


提督「そりゃ大助かりだ。今からここの住民を王宮に避難させるんだが、その為の人手を集めたくてな。ここに兵士が詰めてるって聞いたんだが」


パイロット『そういう事なら任せときな。俺がひとっ走り呼んできてやるぜ』


  ***
387 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:07:17.50 ID:SqTZ10VJo
  ガヤガヤ

大鳳「皆さん落ち着いて。まだ時間はあるのでゆっくり進んで下さい」


北上「先頭にうるさいお兄さんがいるからそれに付いて行ってねー」


反ソラリス兵「よおし、皆しっかり付いてこいよ!俺様が責任持って王宮まで送ってやるからな!
なあに、もしソラリスのヤツがやってきても大丈夫だ!この俺様のサイラス・パンチがありゃな!ワハハハハ!」


夕立「ほんとにうるさいっぽい……」


提督「目印としては分かりやすくていいんじゃねえか?」


夕立「あれを歩いてる間中ずっと聞かされるのは敵わないっぽい……」


提督「悪いが我慢してくれ。通信手段と戦闘力の兼ね合いがあるから他の奴に殿を頼むわけにもいかないんだ」


夕立「……しょうがないっぽい。行って来ます」トボトボ


提督「……戻ってきたら褒めてやるか」


パイロット『提督よお、今ので避難民は最後だ。町の住民は全員いなくなったぜ』


提督「本当か?同じことをあと3往復はしなきゃならんと思ってたんだが……ちょっと少なすぎないか?」


パイロット『マジで全員さ。元々こっちに住んでる人間はそこまで多くなかったからな』
388 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:07:52.51 ID:SqTZ10VJo
提督「わかった、ありがとう。後はそのギアで上空を見回っていてくれ」


パイロット『あいよ!』


提督「聞いての通りだ、お前ら。残るはこの町の防衛のみ!」


北上「とは言ってもねえ、本当に敵来るの?」


金剛『敵の反応なんてずっとナッシンネー』ザザ


提督「さて、そいつは微妙なとこだな」


北上「微妙って……それなら今からでも向こうの助太刀に行った方がいいんじゃないの?」


榛名『私たち、やはり信用されてないのでしょうか』


提督「そいつは違うぞ。信用されてなかったらここの守りなんて任されてないだろうし、例え万が一でも攻撃される可能性があるならここは守らなきゃならん。
ねぐらを守るってのはそれだけ重要な事なんだよ。お前らが出撃したときの気持ちになって考えてみろ」


榛名「……なるほど、そう言われると理解できる気がします」


金剛『鎮守府が攻撃されそうなのに別の所に出撃しろなんて命令、聞けそうにないネー』


提督「そうだろうよ。分かったら金剛と榛名は引き続き警戒。空母2人は偵察機飛ばして上空から偵察。北上は夕立が戻るまで俺と町の中央で待機だ」

提督(後はなるようにしかならない、か。向こうの戦闘が気になるが……マリアは大丈夫かな)


  ***
389 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/19(月) 00:10:05.57 ID:SqTZ10VJo
今週はここまで。ではまた来週。
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/19(月) 05:52:32.81 ID:raGLB76Qo
フェイ達以外の視点があると新鮮だな
391 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:25:06.42 ID:uvYU7E1wo
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
392 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:26:57.98 ID:uvYU7E1wo
北上「〜♪」


夕立「……」ソワソワ


提督「……」


夕立「金剛さん、敵は来てないっぽい?」


金剛『反応ナッシンネー』


夕立「榛名さん」


榛名『いえ、こちらにもまだ来ていませんよ』


夕立「……加賀さん、大鳳さん」


大鳳『上空にも変化はありません。何かあったら知らせますから、少し落ち着いてください、夕立さん』


夕立「ぶー、つまんないっぽい」


提督「何回目だよそのセリフ。いいから集中しとけよ、いつ敵が来てもおかしくないんだから」


夕立「はーい」
393 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:27:44.46 ID:uvYU7E1wo
提督「加賀さん、向こうの戦闘がどうなってるか見えるか?」


加賀『……4箇所とも破壊されてはいないわ。こちらが優勢のようね』


提督「よし、なんとかなりそうだな。また向こうで変化があったら知らせてくれ」


加賀『わかりました』


北上「結局、こうやって案山子みたいに立ってるだけで終わりかあ」


提督「それでいいじゃねえか。お前ら忘れてないだろうな、まだあのでっかい赤いギアが残ってるんだぜ」


夕立「もちろん忘れてるわけないっぽい」


榛名『……あのギア、マリアさんのお父様が乗っているかもしれないんですよね』


提督「どうだかな。人型ロボットを飛ばせる世界なんだし、声だけならどうとでもなるんじゃないか」


金剛『ヴォイスはそうかもしれないデース。けど、あのギアがマリアのファザーが設計したギアだって事は本当みたいネー。だとすると……』


北上「それだけでもあの子にはちょっとキツイかもねー」


金剛『ゥー、不憫な話デース。何とかしてあげたいネー』
394 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:28:10.57 ID:uvYU7E1wo
北上「そんなこと言ってもさ、私たちが出来る事なんてなくない?マリアの家族の問題なんだし」


夕立「簡単っぽい。あのギアを壊してお父さんだけ助け出してあげれば解決っぽい」


北上「そのお父さんが本当にあのギアに乗ってるかわかんないんだってば……」


提督「おいこら、いい加減真面目に警戒してねえと本当に不意打ち食らっちまうぞ」


金剛『ドンウォリィ!もちろんおしゃべりの間もちゃーんと周りをチェックして……』


大鳳『提督』


金剛『っ!?』ビクッ


提督「どうした大鳳」


大鳳『どうやらジェネレーター防衛に成功したようです。ソラリスの部隊が撤退していきます。こちら側に目立った損害は見当たりません』


提督「よしよし、なんとか凌いだな」


加賀『提督、シェバト直上に例の赤い機体が』


提督「何?真上って……」
395 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:28:38.27 ID:uvYU7E1wo
アハツェン「……」


提督「あそこか。部隊を下げといて今更何を……」


大鳳『て、提督!先ほど支援に来ていたギアが赤いギアに向かっていきます!』


パイロット『おおおおおおっ!』イィィィン


金剛『無茶ネ!スペックもよく分かってないエネミーに!』


榛名『何とかして制止しないと!』


提督「おい!聞こえてるか!おい!……ダメだ、無線が届かねえ」


大鳳『そんな!どうすれば……』


夕立「こっちも高いとこに昇るっぽい!」


榛名『王座の間まで戻りましょう!あそこが一番近いはずです!』


提督「よし、各自全速でエレベーターまで走れ!一応警戒は怠るなよ!」


  ***
396 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/09/26(月) 04:29:03.89 ID:uvYU7E1wo
今回はここまで。ではまた来週。
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/26(月) 08:52:56.99 ID:QbhwFISg0
乙、良いところで終わると続きが気になってしまうてはないですか…
398 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:11:58.32 ID:4cJMJssOo
遅れてしまい申し訳ありません。2週分の投稿を始めます。
399 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:12:51.70 ID:4cJMJssOo
〜王宮〜


バタァン!


提督「くそ、思ったより時間が……あのギアはどうなった!?」


マリア「あ、あ……」


ジェシー「野郎ッ……!ふざけやがって!」


提督(モニターには赤いギアしか映っていない。ってことは)


榛名「あの、先ほどシェバトのギアが……」


ジェシー「やられたよ。あの野郎に、一瞬で消し飛ばされて、な」


加賀「遅かった……」


金剛「シィット!」


マリア「どうして……?どうしてこんな……?」


ニコラ『みずからこのアハツェンの性能実験に付き合ってくれるとは、従順なモルモットもいたものだ』


大鳳「……っ!!」ギリ
400 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:13:44.24 ID:4cJMJssOo
ニコラ『それでは、次はこいつの実験台になってもらおうか』カッ


ジェシー「むっ!」


マリア「きゃっ!?」


提督「光!?今度は何だ!」


北上「うへえ、なんなのさ今の」


夕立「なんか一瞬気持ち悪い感じがしたっぽい!」


ジェシー「やべえな。今のは、ありゃ……」


ニコラ『アハツェンの新型兵器、対ギア用サイコ・ジャマーだ!』


フェイ『……!?ヴェルトールが動かない!?』


エリィ『ヴィエルジェも反応しないわ!』


バルト『ちっくしょー、なんだってんだ!?』


シタン『これは、ひょっとすると……』


ジェシー「ああ、強力な毒電波でギアの神経回路がおかしくなってるんだ。心配するねぇ、一時的なもんだ」
401 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:14:13.27 ID:4cJMJssOo
ビリー「だけどこれじゃ……」


ニコラ『それだけの時間があれば、おまえたちをこの地上から消去するには十分だ』


リコ「万事休す、か」


ニコラ『人間とは、なんと不完全で愚かな生命であることか……。最期に見せてやろう!完全なる生命の偉大さを!
人の知恵と、鋼の強さをそなえた、このアハツェンの力を!』


フェイ『このままじゃ、手も足も出ないぞ!黙ってやられるしかないって言うのか!?』


シタン『……そうとも限りません。ひょっとしたら、ゼプツェンなら……』


マリア「……!!」


ジェシー「アハツェンと兄弟機のゼプツェンなら……あのジャマーに対してのシールドがなされていても、ちっともおかしくねえってわけか……」


マリア「それは……」


ゼファー「……お聞きなさい、マリア。他のギアが動かないとなれば、おまえとゼプツェンが頼みの綱です。おまえには酷ですが……。
どうするかは自分自身で決めなさい」


金剛「ちょっと待つネ!あのギアとマリアを戦わせるなんて、そんなこと私は許せないデース!」


提督「金剛……」
402 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:15:01.09 ID:4cJMJssOo
ジェシー「そいつぁここにいる全員が思ってることだろうよ、嬢ちゃん。だが今は他に方法がねえんだ。全く情けねえことだがよぉ」

ジェシー「それによ、マリア。こんなことは言いたかねえんだが……。あそこにいるのは、もうおまえの親父さんじゃ……」


マリア「やめてっ!!利いた風なこと言わないでください!!」

マリア「たとえそうでも、わたしには、わたしには……」


ジェシー「……そうかい。それも、仕方ねえや。腹をくくるか」


マリア「……ゴメンなさい」


チュチュ「わたしが行くでチュよ」


マリア「な、何言ってるの、チュチュ!?」


チュチュ「だって、このままじゃみんなやられちゃうでチュ」


バルト『バカをいうな、お前一匹でギア相手に何ができるってんだよ!』


チュチュ「へっちゃらでチュよ。ちゃんと守り神しゃんが見てくれてるでチュ」

チュチュ「チュチュ、行くでチュ」コロコロ


提督「あっ、おい!」
403 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:16:06.33 ID:4cJMJssOo
金剛「シィット!テートクゥ!私もう我慢できないネー!」


北上「まさかこのまま黙って見てるだけなんて言わないよね?」


提督「……わかったよ。俺達も行こう」


シタン『いけません!ここであなたたちがギアとまともに戦えるはずが……』


夕立「それでも、何もしないよりはずっとましっぽい!」


榛名「私たち皆、チュチュさんと気持ちは同じです!」


大鳳「今度は負けません!やられてしまった艦載機の分、残った皆さんを守って見せます!」


加賀「……ここでやられるわけにはいきませんから」


金剛「皆さん、準備はいいですカー!?第一艦隊、チュチュの後に続くネー!」ダダダ


提督「おっと、俺も行かなきゃ」


マリア「提督……」


提督「そんな声出さないでくれ、俺達は俺達の都合だけで動いてるんだからよ、逆に申し訳なくなってきちまう」


マリア「都合……?」


提督「そう。ここで死んだら元の世界に帰れないっていう、分かりやすい事情。それに……」

提督「『親子が殺しあうのを黙って見てました』なんて土産話、鎮守府で留守番してる奴らに持って帰るのは嫌だっていうのもある。
まあ、こっちは俺個人の勝手な事情だけどな」


  ***
404 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/09(日) 21:17:07.68 ID:4cJMJssOo
今回はここまで。2週かけたのにいつもと変わらないペースで申し訳ないです。
ではまた来週。
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/09(日) 22:18:32.82 ID:uDvAO7VwO
乙ツェン
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/10(月) 22:04:38.94 ID:gCo5W+rho
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/11(火) 00:47:40.11 ID:OekxAg7B0
408 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:20:14.11 ID:zL7CrICKo
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
409 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:24:30.66 ID:zL7CrICKo
  コロコロコロコロ


ニコラ「なんだ、天文学的なほどに知能レベルの低そうな、この下等生物は?」


チュチュ「下等生物じゃないでチュ。チュチュでチュ」

チュチュ「さあ、ほいじゃあ行くでチュよ、ワル玉しゃん!このチュチュしゃまが、お空の向こうへちゅらりーんとぶっ飛ばしてやるでチュから、
カクゴするでチュよお!!」


  ***


提督「おーおー、ギア相手に凄い度胸だな。これからはあいつの認識を改めてやらないと……とか言ってる場合じゃないな。
ああ、もしあのギアを墜とす事になったとしても、あいつらの事は恨まないでやってくれな。……それじゃ」タッ


マリア「……」


チュチュ『うきゃっ、やったでチュ〜!でかでか変身できまチュた!』


マリア「……っ!」タタ


  ***


ニコラ「……ほう。ただの低級な下等生物かと思ったが……。急激な巨大化に加えてこの戦闘力、なかなかやるな」


チュチュ「下等生物じゃないでチュ。チュチュでチュ。」


ニコラ「バカめ、死ね」ズドン


チュチュ「……痛かったでチュ」パタン


マリア「チュチュッ!!」


ニコラ「成る程。おまえ、この星の巨大原生動物だな……。ランカーの幼体……じゃないな。
学術名:ドテスカチュチュポリン(知能レベル、天文学的に低い)か!まだ絶滅していなかったとはな」


  ***
410 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:25:39.86 ID:zL7CrICKo
マリア「いけない、このままじゃ……」


ミドリ「お姉ちゃん……」


マリア「ミドリちゃん!?ダメよ、こんなところにいちゃ!危ないから中に……」


ミドリ「呼んでる、お父さん……」


マリア「えっ……?」フッ


ミドリ「ううん、ちがう……。あそこにいる……怖いヤツじゃ、ない」


マリア「……!!」バッ

マリア「……ゼプツェン!!」


  ***
411 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:27:05.00 ID:zL7CrICKo
チュチュ「きゅう〜……」


ニコラ「しかし、遺伝子操作で小型軽量化されていたはずだが……。シェバトの賢者共にリミッターを外されでもしたか。
面白い!モルモットとして、非常に価値のある生体だ。色々と実験して……」


ヒュン!

ニコラ「!!」ガィン

ニコラ「ゼプツェン……いや、違う。この状況でまだ動けるギアがあるとは。面白いじゃないか」


ヒュン!

ニコラ「そっちからか」スッ


金剛「今ネ!カガ、タイホー!!」ドォン

榛名「チュチュさんを!」ドンドン

夕立「あのギアはこっちで引き付けるっぽい!」ドドド

北上「ここが残弾の使い所……かねえ!」ドドド


ニコラ「何だ、あの連中は……?今の砲弾はあの女共からか」


加賀「……くっ、動きが」ギャリギャリギャリ


大鳳「チュチュさん!大丈夫ですか!?」ギャギャギャ


金剛「後にするネ!とにかく回収して離脱するデース!」


大鳳「は、はい!」ギャリギャリ
412 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:27:37.56 ID:zL7CrICKo
提督『どうだ、間に合ったか!?』ザザ


夕立「なんとかギリギリセーフっぽい!」


提督『よし、加賀さんと大鳳はチュチュを安全な所まで運んだら待機だ。いつでも攻撃機を出せるようにしといてくれ』


大鳳「そんな!大鳳も戦闘に参加します!」


提督『バカ言うな。お前たちの機動力で前に出ても何も出来ないだろ。金剛たちの機動力でも不安だってのによ。代わりにチュチュはしっかり守ってくれ』


大鳳「……わかりました」ググ


榛名「提督、次の指示は!何とか敵ギアを釘付けにできてはいますが……」ドォン


提督『とりあえずそのまま撃ち続けながら散開しろ。敵に的を絞らせないように動き回りつつ、とにかく時間を稼げ。
対ギア用ジャマーが切れるまでひたすら耐えるんだ』


北上「簡単に言ってくれるねえ」


提督『それしか手がないんだよ。金剛の主砲が直撃したの見ただろ。あのダメージ量じゃ正面からの撃ち合いでは絶対に勝てねえ。とにかく逃げだ』


夕立「要するに、撃ちながら避け続ければいいっぽい!」ドドド


提督『そういうことだ。ただし、ここが陸だってことを絶対に忘れるなよ!スキー板で砂利道を下ってるようなもんだからな。
いつもの40%も動けないと思え!』


榛名「榛名、了解です!」

金剛「オッケーイ!それじゃ皆さん!ムーヴ!」ギャィィィ


ニコラ「まさか、こいつら……エレメンツの報告にあった連中か!本当に実在したとはな……。水上用と聞いていたが、陸上でもこの機動性とは……実に興味深い。
持ち帰って研究材料にするとしよう!」ガシャン
413 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:28:34.10 ID:zL7CrICKo
榛名「!来ます!」

ニコラ「まずは火力の高いお前からだ」ブゥン

金剛「……シィット!」ヒョイ

夕立「思ってたより動きづらいっぽい!」ギャギャギャ


提督『北上、背後を取って撃て!金剛と夕立は回避運動を取りつつ距離を取れ!榛名はその場で牽制!』


北上「いただき!」ドンドン

ニコラ「ほう、中々いい動きをする」ガンッガンッ


北上「あちゃ、背中も抜けないか」ギャィィ


提督『無理にダメージを与えようと思うな!こちらがダメージを受けないことを最優先にしろ!足も使い潰すつもりで行け!』


北上「わかってます……よっと!」ヒョイッ


榛名「回り込みます!」ドォンドォン


夕立「北上さん、今のうちに下がるっぽい!」ドドド


ニコラ「……この統率された動き、どこかに指揮官がいるな」スゥ


夕立「急に動きが大きくなったっぽい!」

提督『無理に追うなよ。弾幕を濃くして対応しろ』

北上「もう、こんなことじゃすぐ弾切れになっちゃうかもよ」ドドドド

金剛「文句は言いっこなしネー!」ドォンドォン


ニコラ「遠距離の対応もできる、か。ならば」ガシャアン

榛名「変形した!?」

提督『回避だ!』
414 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:29:29.64 ID:zL7CrICKo
夕立「突っ込んでくるっぽい!」ギャィィ

北上「うわっ!」ギャリギャリ

榛名「……くっ!」ギャギャ

金剛「また来るネ!」


提督『クソ、こっからじゃ見えねえ。各自で回避しろ!』


夕立「!」バッ


北上「あぶな!」ギャイイン


榛名「は、反撃します!」ジャコッ


金剛「ファイヤー!」ドォン


ニコラ「……回避が遅くなった。砲撃にも乱れがある。指揮官が状況を把握できていないな。つまり……」ヒュンヒュン


夕立「敵が離れたっぽい!」


榛名「今のうちに態勢を!」


ニコラ「指揮官はあの高台か!」ゴォ


北上「……ちっ、建物の裏に逃げ込まれちゃったよ」


金剛「あのビッグなボディでは不意討ちは難しいはずデース。一体何を……まさか!?」

榛名「……提督!!!」


  ***
415 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:29:57.81 ID:zL7CrICKo
提督「くそ、建物が邪魔で敵が見えん。あいつらからも死角になったようだし、移動したほうがいいか?もしくは加賀さんに偵察機を飛ばしてもらうか……」

榛名『提督!!!』


提督「どうしたはる」


ニコラ「そこか!」ブワ


提督「っ!?」


ニコラ「死ね」ドゴォ

提督(足場が……落ち……ッ!)グラ


ガラガラガラ


提督(くそ!死ねない!まだ死ねないぞ!なんかないのかよ!)ヒュゥゥ


ニコラ「なかなか手こずらせてくれたが、これで終わりだな」


夕立『そんな……』

金剛『テートクゥゥゥ!!!』

榛名『いやあああああっ!!!』

大鳳『え、提督がどうしたんです?提督、提督!』


提督(……無理だこれ。結局帰れずじまいか)


ドサッ


提督「いってぇ!くっそ……死ん……でない?どこだここ……!?ギアの手の上!?」


マリア「大丈夫ですか、提督!?」


提督「マリア?一体どこに……」


マリア「上です」
416 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:30:32.01 ID:zL7CrICKo
提督「上って」フッ

提督(ゼプツェンの頭の上で仁王立ちしてる……)

提督「そ、そうか。マリアが助けてくれたのか。ありがとうな」


マリア「そんな、お礼なんて……私がもっと早く来ていれば、皆さんに苦労をかけずに済んだのですから」


提督「……いいのか、マリア?」


マリア「……はい。私が、私とゼプツェンが、ソラリスの敵を倒します!」


提督「……そうか」


金剛『……ートク、テートク、テートクゥゥ!!返事するネ、テートクゥゥゥ!!!』


提督「っと、やべ。……金剛、すまん。まだ生きてるよ」


金剛『!!!テートクゥゥ!!』


提督「その話は後だ。全員チュチュの所まで撤退しろ」


金剛『ワ、ワット?それじゃあのギアは……』


提督「もう大丈夫だ。あとはマリアとゼプツェンがやってくれる。とにかく急いで皆をまとめて撤退しといてくれ。頼んだぞ」


提督「それじゃ悪いけどマリア、このまま向こうの広場まで運んでくれ」


マリア「わかりました。そこで皆さんが待っているんですね」ギュン


  ***
417 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/17(月) 22:33:30.04 ID:zL7CrICKo
今週はここまで。やっとシェバト編も終わりが見えてきました。つまり、物語も序盤が終わりということですね。長い……。
私信になりますが、引越しのどさくさでなくなっていた設定資料集が見つかりました。これで色々と捗る。かも?
それではまた来週。
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 04:37:15.54 ID:MiPWuCMAO


あの設定資料集はすごいよね。今読んでも引き込まれる。
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 05:56:50.17 ID:1KZLI2ljo

この辺りの展開はBGMも相まって色々とこみ上げる
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 16:51:02.33 ID:MiPWuCMAO
ゼノギアスは出る時期があと数年遅ければ、PS2で出せてイベントバトルだらけだったら終盤もちゃんとゲームとして楽しめたのかな?

421 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:44:11.16 ID:Zt+2cNX8o
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
422 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:46:57.13 ID:Zt+2cNX8o
金剛「あっ、来たネ!」ブンブン


マリア「さあ、着きましたよ。提督」


提督「……おっとと。ありがとうな」ペタン


マリア「それでは、行ってきます」


提督「しっかりやれよ。マリア」


マリア「……はい!」


ギューン


提督「……」


金剛「テートクゥーー!!」ガバッ


提督「うぐぅ」


北上「おー、意外とピンピンしてるじゃん。あの高さから落ちたんだしさ、もっとボロボロだと思ってたよ」


榛名「ああ、提督。榛名、もう駄目かと……」


夕立「提督さんは生身なんだから、もっと気をつけないといけないっぽい!」


加賀「そうね。指揮官が真っ先に狙われるようでは、私達も安心して戦う事もできませんから」
423 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:50:08.82 ID:Zt+2cNX8o
提督「た、確かに言い訳のしようもないな。心配かけてすまなかった」


大鳳「よかった。本当に良かった……」


提督「……さて、そろそろ離れろ、金剛」


金剛「ノウ!」スリスリ


提督「威勢だけよくっても駄目だ。大体まだ戦闘は終わってないんだぞ」


金剛「ハッ!そ、そうデース!マリアはどうなったネー!」バッ


提督「今まさに戦ってるんだろうよ。やる気満々の目してたしな」


大鳳「すぐに加勢しないと!」


北上「やめといたほうがいいと思うよー」


大鳳「ど、どうしてですか!?」


北上「さっき言ったっしょ?『親子の問題だ』ってさ」


大鳳「そんな悠長な……もしマリアさんが負けたらどうするんですか!」
424 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:50:38.64 ID:Zt+2cNX8o
榛名「大鳳さん、お気持ちは分かりますが……今の私たちでは足手まといになるだけだと思います」


北上「そーそー。さっきの戦いだけでもう足周りがボロボロだよー」


夕立「このまま海に出たら動くどころかそのまま沈んじゃいそう」


加賀「……そうね、ここはあの子を信じましょう。大鳳さん」


北上「あら意外」


加賀「……何か?」


北上「いやあ、加賀さんなら援護に賛成だろうなーと思ってたからさ」


加賀「出来る事ならそうしたいところですけれど、気持ちだけではどうにもならないもの」


提督「ありがとよ加賀さん。ま、ここは抑えてくれよ、大鳳。仇ならきっとマリアが取ってくれるからよ」


大鳳「……わかりました。マリアさんにお任せします」


金剛「それじゃ、今のうちにチュチュを医務室に運びマース!」


榛名「ええ、榛名もお手伝いします!」


加賀「私は先に行って話をつけておくわね。大鳳さん」


大鳳「はい。お供します」


北上「それじゃ私達はどうしよっか」


提督「……あー、悪いけど肩貸してくれよ。実は腰が抜けちまってな」


夕立「提督さん、流石にちょっとかっこ悪いっぽい……」


  ***
425 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/10/29(土) 17:51:06.30 ID:Zt+2cNX8o
今回はここまで。それではまた次回。
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 19:03:19.87 ID:s154cwzqO
流石に乙っぽい
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 21:59:13.83 ID:yF03Dao80


スピーディーに進みながらも結局エタってしまうスレが多い中、ゆっくりではあるけど確実に更新されるスレの安心感よ
428 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:44:51.01 ID:FUDjl1IHo
お待たせしました、今週の投稿を始めます。
>>427
本当は毎週更新しなきゃいけないし、そうしたいんですけどね……。精進していきたいです。
429 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:47:20.79 ID:FUDjl1IHo
医務室


チュチュ「チュー……」


医師「……ええ、大丈夫です。見たところ大きな怪我もありませんし、命に別状はないでしょう」


提督「そうでしたか」


夕立「よかったあ……」


榛名「ひとまず安心、ですね」


提督「一人、いや一匹でギアと戦う、なんて無茶言い始めたときはどうなる事かと思ったけどな」


北上「まさかそのギアと同じくらいでっかくなるなんて思ってもみなかったからねー」


金剛「ギアに立ち向かうチュチュ、かっこよかったネー!」


提督(そういやあのギア、チュチュの事を『遺伝子操作で小型化した』って言ってたな。一体どれほど進んでるんだ、この世界は)


夕立「提督さん、どうしたの?なんか考え事?」


提督「ん、いや、なんでもない」

提督「さあ、チュチュの事は心配なくなったんだ。ここは医者の先生に任せて、俺達は補給と整備だ」
430 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:48:45.39 ID:FUDjl1IHo
榛名「となると、一度ユグドラシルまで戻らないといけませんね」


大鳳「間に合うでしょうか……」


提督「さあな。もしかしたら間に合わないかも知れないが、ジャマーが切れればまたさっきの部隊が攻めてくるだろうからな。せめて応急処置だけでも……」

マリア「……お父さーーーん!!」グラグラグラ


提督「うおお!?」

大鳳「こ、この揺れは……」

金剛「マリア……!」

医者「だ、大丈夫かしら。シェバトが落ちたりしないわよね……?」


提督「……」


榛名「……」


加賀「……収まりましたね」


提督「ああ。何だったんだ、今のは」


北上「周りにあんな衝撃を与えるような攻撃だったんだし、きっと決着が付いたって事だと思うよ」


夕立「どっちが勝ったっぽい?」


金剛「決まってるネー!マリアが負けるなんてありえないデース!」


加賀「……その理屈は分からないけれど、もし負けていたらこれほど静かなはずはないわね」


大鳳「ということは……!!」


提督「そうだな。ユグドラシル行きはなしだ。皆でマリアを迎えに行くか」


  ***
431 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:49:23.45 ID:FUDjl1IHo
  〜???〜


「……あの、その服装、もしかして新しい司令官さんですか?」


「ああ、よかった。お待ちしていました、なのです」


「こ、子供じゃないのです!こう見えても立派な駆逐艦なのです!」


「……え?司令官さん、何も聞かされてないのです?艦娘のこととか、深海棲艦のこととか……」


「そうだったのですか。それでは、鎮守府の中を案内しながらでも、その辺のお話を一緒にするのです。さ、ついてくるのです」


「はわあ!ご、ごめんなさいなのです!うっかりしていたのです!」


「このたび司令官さんの秘書艦として建造された、電なのです!これからよろしくお願いしますね、司令官さん!なのです!」


  ***
432 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:52:35.20 ID:FUDjl1IHo
提督「……くああ」ムクリ

提督「……」

提督「……はああ、夢か」ポリポリ


夕立「あ、提督さん、やっと起きたっぽい」ヌッ


提督「だあああああ!ゆ、夕立か!」


夕立「もう、提督さんったら寝起きからうるさいっぽい」


提督「悪い悪い。じゃなくて、何で夕立がここにいるんだ」


夕立「もちろん、お寝坊さんな提督さんを起こすためっぽい!」


提督「寝坊?今何時だ?」


夕立「もうすぐお昼っぽい。あんまり遅いから起こして来いって加賀さんに言われたの」


提督「げ、確かにそりゃまずいな。顔洗ってくるからちょっと待ってろ」


夕立「はーい、その間に上着とか用意しとくっぽい」


  ***
433 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:53:02.97 ID:FUDjl1IHo
提督(ソラリスの襲撃から二日が経った)スタスタ

提督(医務室を出た俺達が見たのは、跡形もなく消し飛び、僅かに残った破片と硝煙のみになった、マリアの父親の赤い機体と、それを見つめるマリアの後姿)

提督(こちらを振り返ったマリアが寂しそうに言った『ありがとうございました』の声が、未だに頭から離れない)

提督(結局、その後敵が追撃をかけてくるような事はなく、障壁発生器も無事だった。完全には直っていないらしいが……)


夕立「提督さん、そんな顔してどうしたの?」


提督「え?いや、まだちょっと寝ぼけててな」


夕立「ふーん、変な提督さん」


提督「そういや、チュチュの様子はどうだ?」


夕立「もうすっかり元気っぽい。さっきもその辺りを元気に跳ね回ってたっぽい」


提督「昨日の今日でもう全快したのか?随分とタフにできてるんだな」


夕立「おっきくなったりできる動物は一味違うっぽい」


提督「その治りの早さはちょっと分けてもらいてえなあ。昨日も全身痛くて中々寝付けなくてよ……」
434 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:53:44.18 ID:FUDjl1IHo
マリア「……あっ」


提督「うおっ」


夕立「あ、おはようございますっぽい」


マリア「おはようございます、夕立さん。提督、丁度良い所に」


提督「俺?何か用か?」


マリア「はい、女王様がお話があるそうで、時間がある時でいいので顔を出すように、だそうです」


提督「わかった。こちらからも丁度話すことがあったしな。加賀さん達の方に顔出したらすぐ向かうよ」


マリア「わかりました。女王様にはそのように伝えておきます」


提督「ああ、わざわざありがとう」


マリア「いえ……」


提督「……」


マリア「それと……」


提督「ん?」


マリア「この間はごめんなさい。色々と失礼な事を言ってしまって」


提督「この間って……ああ、いや、気にしてないから大丈夫だよ」


マリア「そうですか」


提督「……」

提督(き、気まずい……)


マリア「それでは、わたしはこれで……」スタスタ


提督「あ、ああ」
435 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:54:19.08 ID:FUDjl1IHo
夕立「……行っちゃったっぽい」


提督「やっぱりまだ元気がないな」


夕立「あんなことがあったばっかりだし、しょうがないっぽい」


提督「しばらくはほっといた方が良さそうだな」


夕立「早く元気になって欲しいね、提督さん」


提督「そうだな。まあ、俺達もあんまり人の心配していられる状況じゃないし……ん?」

提督「そういやさっきからどこに向かってるんだ、夕立?」


夕立「えーっとね、加賀さんが提督に確認したいことがあるんだって。艤装の事でシェバトの人と何か話してたよ」


提督「ほーう、大方艤装を調べさせてくれとか、そんなところだろうな」


夕立「ぽい」


提督「そういうことならあんまり待たせるのも悪いな、急ごうか、夕立」


夕立「わかったっぽい!提督さん、こっちこっち!」


  ***
436 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/12(土) 18:56:09.66 ID:FUDjl1IHo
今回はここまで。一応最後のオチまで考えてはあるので、よっぽどのことがない限りは完結させます。させたいです。
それではまた来週。
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/12(土) 21:20:20.01 ID:GmpbduFDo
おつ
438 : ◆Idq7VgawO2 [sage]:2016/11/26(土) 17:38:21.10 ID:c3Qag1fto
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
439 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:40:00.22 ID:c3Qag1fto
〜王宮 客室〜


夕立「みんな!提督さん連れてきたっぽい!」


提督「連れられてきたが……なんだこりゃ」


北上「お、いい所に来たねえ、提督。ユイさん、提督と夕立来たよー」


ユイ「あら、こんにちは。貴方が提督さん?」


提督「え、ああ、はい。こんにちは」


ユイ「ふふ。ごめんなさいね、突然」


夕立「この人、だーれ?」


榛名「この方はユイさんと言って、この国では有名な方なんだそうですよ」


提督「……ええと、その有名人のユイさんとお前らは何してんだ?」


北上「やー、この人がお昼ご飯作ってきたって言うからさ」


夕立「ごはん!?お腹すいたっぽい!」


ユイ「主人がお世話になったようなので、是非お礼がしたくて。ご迷惑だったかしら?」


提督「いえ、そういうわけでは……って、主人?」


ユイ「ええ。改めて自己紹介するわね。シタンの妻で、ユイと申します」


提督「成る程、シタン先生の……ええええええええええ!?」
440 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:40:26.22 ID:c3Qag1fto
加賀「……」


金剛「ちょっと、テートクゥ、驚きすぎデース」


提督「いやだって、シタン先生って……」

提督(元ソラリス人だろ……一体いつ結婚したんだ)


大鳳「そう言われると、なんだかお二人は似ているような気がしますね。雰囲気というか、気性というか……」


ユイ「あら、そうかしら?そんなことないと思うけれど……」


提督「あの先生意外とおしゃべりだしなあ」


ユイ「そうなのよ。あの人ったらいつも余計な事まで話し出すから困っちゃうわ。私もよく言ってるのだけれどね、しつこいのはやめなさいって」


北上「なんか、言ってる姿が目に浮かぶよ」


榛名「ユイさん、火にかけてたスープの方、そろそろいいんじゃないでしょうか」


ユイ「あら、そうだったわ。提督さん、すぐお昼にしますから、ちょっとそこで座っててね」


提督「俺も手伝いますよ」


金剛「ノー!」ビシ


提督「こ、金剛?」


金剛「キッチンはレディのサンクチュアリィネー!いくらテートクと言えど、勝手に入ることは許さないデース!」


提督「いや、俺が間宮さんの飯作るの手伝ってたときはお前何も……わかった、分かったから睨むな!」


榛名「こっちは大丈夫ですから、提督はゆっくり待っててください。大鳳さん、食器を並べるのを手伝って貰えますか?」


大鳳「はい!お任せください!」


提督「……ったく、急になんだってんだ金剛のやつ」


北上「さあ、ユイさんと張り合ってるんじゃない?」グデー


提督「張り合う?なにで?」


北上「うーん……女子力、とか?」


提督「はー、訳分からん……」


  ***
441 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:40:56.35 ID:c3Qag1fto
ワイワイ


提督「へえ、娘さんがいらっしゃるんですか」


ユイ「ええ、名前はミドリって言ってね、父親に似なくて静かな子なんだけど。良かったら皆さん仲良くしてね」


提督「任せてください。ウチは夕立含めて子供も沢山いますからね。みんな子供の扱いには慣れてますよ」


夕立「あーっ!子供扱いしないで欲しいっぽい!」


提督「ほれ、言ってるそばから口の周り汚れてんぞ」


夕立「むー!提督さんのバカ!」


榛名「夕立さん、こっち向いてください。今拭いてあげますから」


ユイ「ふふ、ほんと、みなさん仲が良くていいわね」


提督「お陰で作戦もやりやすくて助かってますよ」


大鳳「こ、これは……」


提督「どうした、大鳳」


大鳳「このお肉、とってもおいしいです!」


金剛「ウーン、今まで食べた事のないテイストネー」モグモグ


ユイ「丁度下界からつちのこのお肉が届いたから使ってみたの。お口に合ったようで良かったわ」


大鳳「つちのっ……」
442 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:41:25.49 ID:c3Qag1fto
北上「え、それってアレだよね?UMAだか草の神様の使いだかって言う」


ユイ「ゆ、ゆうま?」


提督「まさか、たまたま同じ名前ってだけだろ」


北上「だ、だよねー」


ユイ「よくわからないけど……つちのこはキスレブ北東部にたくさんいるから、あっちではよく食用にされているのよ」


加賀「食用……たくさん……お腹が空きました」


提督「空いたも何も昼飯の真っ最中……もう食ったのか」


ユイ「大丈夫よ、おかわりなら沢山ありますから。皆さんよく食べるって聞いたものだから、多めに作ってきて正解だったわね」


加賀「やりました」


提督「いや何もやってねえよ」


大鳳「あの、私もスープのおかわりを……」


ユイ「もちろんいいわよ。今持ってくるわね」


提督「……なんかすいません」


ユイ「謝らなくていいのよ。沢山食べてくれたほうが作り甲斐もあるもの。はい、どうぞ」


大鳳「ありがとうございます!」


加賀「いただきます」


提督「……ま、なんだかんだ大変だったからな。好きなだけ食わせておくか。榛名」


榛名「はい、何でしょうか?」


提督「さっき艤装の事でシェバトの人間が訪ねてきたって夕立から聞いたんだが、どんな内容だったんだ?」
443 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:43:50.24 ID:c3Qag1fto
榛名「その事ですか。なんでも『シェバトを救ってくれたお礼に、是非我々の手でその艤装のメンテナンスをさせて欲しい』との事でした」


提督「ほう」


榛名「私達では決められないので、夕立さんに提督を連れてくるようお願いしたのですが……その方はその後すぐ帰ってしまわれて、入れ替わりにユイさんがやってきたんです」


提督「そうだったのか。しかし、艤装の整備ね」

提督(ありがたい話だし、ユグドラシルよりも遥かに設備はいいんだろうが……まず間違いなくデータを取られるだろうな)

提督(タムズやバルト達はともかく、これほどの技術力を持つ国に艤装のデータが渡ったら色々とマズイだろうし。そもそもこの申し出が誰の差し金かも……)

提督「でもまあ、どっちにしても艤装は修理しないとだからなあ」


榛名「提督?」


提督「話は分かった。その事はまた後で決めとくよ。ユイさん、どうもごちそうさまでした」


金剛「あ、テートクゥ!どこ行くんデース!まだ食後のティータイムが残ってるネー!」


提督「悪い、ちょっと女王様に呼ばれてるんでな。さっきの整備の話もあるし、すぐ出かけなきゃ」


ユイ「そういうことでしたら、後片付けは任せて。すぐ行った方がいいわ」


提督「いえ、食器ぐらいは流石に自分で」


ユイ「大丈夫よ。それよりも早く行きなさい。女王様をお待たせしては悪いでしょ」


提督「わ、わかりました。それじゃお願いします」


北上「いってらっしゃーい」


夕立「気をつけるっぽーい」


金剛「帰ってきたらティータイムに付き合うネー!」ブンブン


提督「わかったわかった。行ってくるよ」


  ***
444 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/11/26(土) 17:44:16.65 ID:c3Qag1fto
今回はここまで。それではまた次回。
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 15:15:27.15 ID:BL8rMFfUo
先生の過去の時系列って先生自身の突拍子もない動きが多くて困る
敵国で敵の孫見初めたからって敵国を個人訪問した上に弟子入りするなよ、と
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 23:55:04.62 ID:urFrrME7o
元々かなり変人だからしょうがない
エレメンツのあのロボも完全に趣味の範疇だから
447 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:33:14.86 ID:DM61CYo9o
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
448 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:33:40.77 ID:DM61CYo9o
〜玉座〜


ゼファー「……確かな話ですか?ワイズマン」


ワイズマン「下界ではかの者達の話を聞いたことはありませんでした。あれほど目立つ者です、間違いないかと」


ゼファー「信じるほかありませんね、彼らの話を」


ワイズマン「しかし奇怪な話です。全く別の世界から来たなどと。やはり、『あれ』と何らかの関わりが……?」


ゼファー「……フェイ、エリィ、ファティマ家の王子、そして別世界からの者達。彼らが一堂に会した今、時代が再び動き出したのでしょう。恐らく……」


ワイズマン「では、かの者達の処遇は変えぬ、と?」


ゼファー「それが良いでしょう。彼らにとっても、われわれにとっても」


ワイズマン「おや、噂をすれば」


ガチャ


提督「失礼します。マリアからこちらに顔を出すよう言われて……うおっ!」

提督(フード付ローブに仮面!?怪しすぎる!誰だこいつ!)


ゼファー「よく来てくれました、提督。あれからゆっくり休むことはできましたか?」


提督「え、ええ、お陰様で。あんないい部屋で眠れたのは久しぶりでしたよ。ありがとうございます」


ゼファー「よい。この国を守る為に働いた見返りとしては安いものでしょう」
449 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:34:33.05 ID:DM61CYo9o
ワイズマン「女王、この男が?」


ゼファー「ええ。提督、紹介しましょう。こちらはワイズマン、わたしの忠実なる家臣です」


ワイズマン「お主らの話は聞いている。わが祖国を守ってくれたこと、感謝するぞ」


提督「いえ……」

提督(ワイズマン?どこかで聞いたような……)


ゼファー「さて、本題に入りましょう。提督」


提督「?はい、何でしょうか」


ゼファー「あなた方はこれからどうするつもりですか?」


提督「どうって……」


ゼファー「元の世界に戻る方法を探しにここまで来たのでしょう?実際にこの地に立った今、どうするつもりなのか、そう聞いているのです」


提督「……そうですね、まずはこの世界の歴史から当たってみようかな、とは考えていました。何かを調べようにも、俺達はこの世界の事を知らなさ過ぎる」


ゼファー「堅実ですね。しかし、その後は?この世界の事を知ったとして、そこからどのようにして手がかりを探すつもりなのです」


提督「それは、まだ特には。何せ今は何を調べればいいのか、それすら分からない状況ですから」


ゼファー「よろしい。その点に関して、我々から提案があります」


提督(弱ったな、どうもいいように話を進められてる気がする……伊達に女王様やってないって事か)
450 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:35:01.72 ID:DM61CYo9o
ゼファー「提督、あなたと部下達には、シェバトの工作員として、身分を隠し、地上であるものを探していただきたいのです。
承諾するなら、シェバトはあなた方が元の世界に戻るためのサポートを可能な限りすると約束します」


提督「……サポートとは、具体的には?」


ゼファー「まずはあなたの部下の艤装のメンテナンス。聞けば彼女達の幾人かは使用できる弾丸がまだ見つかっていないとか。
それについても何とかしましょう。下界に降りた後は補給物資を別の工作員に届けさせます。王宮にあるデータルームも自由に閲覧してよろしい」


提督「では、その探して欲しいものとは?」


ゼファー「その事についてはあなたがこの提案を受け入れてから答えましょう」


提督(成る程、至れり尽くせりの待遇に見合った、相当な代物って事か)

提督(しかし、待遇としてはこれ以上ない程であることもまた事実。というか、これ蹴ってもこれから行く所もないし、実質こちらに選択の余地はないな)


提督「わかりました。その提案、お受けします」


ゼファー「よいのですか?部下の者たちに相談も無しに」


提督「大丈夫です。こういうことを決めるのが俺の仕事なんで」


ゼファー「そうですか。それではあなたがたに命じる仕事についてお教えしましょう。提督、『ギア・バーラー』について聞いたことは?」


提督「ギア・バーラー?ギアの名前ですか?フェイのヴェルトールとか、シタン先生のヘイムダルみたいな」


ゼファー「違います。われわれが普段使っているギアは『ギア・アーサー』と呼ばれるもの、あくまで我々ヒトが作り出したものにすぎません。
それに対して、ギア・バーラーは『神の手によるもの』。遥か昔に神の知恵によって創られたと言われる、伝説のギアの事です」
451 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:35:33.66 ID:DM61CYo9o
提督「か、神?」


ゼファー「何か?」


提督「え?ええと、いや……。と、とにかく、我々の仕事というのは、そのギア・バーラーを捜す事ですか?」


ゼファー「いえ、少し違います。あなた方に命じる仕事は、ギア・バーラーの捜索ではなく、その素体ともいえる『アニマの器』の捜索です」


提督「アニマの器、ですか」

提督(またわからん単語が出てきた)


ゼファー「ギア・バーラーは、アニマの器とその適格者、この二つが揃って初めて生まれるのです」


提督「ということは、ギア・バーラーが神様が創ったものっていうのはやっぱりただの御伽噺ですか」


ゼファー「一概にそうとも言い切れないのですが……今は関係のないことです。これ以上の真実を知りたければ、あなた自身が調べるとよい」


提督「分かりました。とにかく、我々は地上に降りてアニマの器を捜索する。シェバトは我々の地上での活動を支援する。それでいいんですね」


ゼファー「その通りです。さしあたって、提督、貴方にシェバトの汎用ギアを授けましょう。地上に赴くまでの間、十分に訓練を積んでおくように」


提督「ありがとうございます。でも、いいんですか?シェバトの戦力だって余裕があるとは思えないんですが」
452 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:35:59.96 ID:DM61CYo9o
ゼファー「アニマの器にはそれだけの価値がある、そう理解してください。
たとえ適格者が見つからずとも、あれをソラリスの手に渡さないようにするだけでも意味があります」


提督「そんな大事な任務を、何故俺達に?」


ゼファー「……先の大戦から数百年、われわれはあらゆる手を使ってアニマの器を捜してきました。それはソラリスも同じでしょう。
それでもなお、残りのアニマの器の発見には至っていない。
しかし、貴方達なら、われわれと異なる目、異なる耳を持つ貴方達なら、あるいは……。そう考えたからです」


提督「……」


ゼファー「さあ、これで話は終わりです。戻って部下達に話をしておきなさい」


提督「わかりました。ではこれで失礼します」


ゼファー「期待していますよ、提督」


ガチャン


ワイズマン「……では、私も少し外させていただきます」


ゼファー「……『彼』ですか」


ワイズマン「ええ。しかし今回はそう長くはないでしょう。あやつらの旅立ちまでには一度戻ってくることにいたします。では」シュン


ゼファー「……苦労をかけます、ワイズマン」


  ***
453 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:36:25.67 ID:DM61CYo9o
提督「ただいま」


金剛「あ、テートクゥ!」ブンブン


北上「意外に早かったじゃん」


提督「思っていたよりもスムーズに話が進んだからな。ユイさんは?」


夕立「お昼ご飯の後にすぐ帰っちゃった」


提督「そうか。後でお礼言わないとな」


金剛「それで、クイーンとはどんなトークをしてきたんデース?」


提督「ああ、今後の動きについて、ちょっとな。結論から言うと、シェバトの傘下に入ることにした」


加賀「……詳しく聞かせてもらえるかしら」


提督「もちろんだ」


金剛「なら、今からティータイムにするネー!ハルナ、手伝ってくだサーイ!」


榛名「はい、榛名はお湯を沸かしますから、お姉さまは他の準備をして下さい」


  ***
454 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:36:55.08 ID:DM61CYo9o
提督「……と言うわけだ」ズズ


榛名「ギア・バーラー、ギアを越える、更に強力なギア、ですか」


北上「普通のギアでさえアレなのに、もっと強いヤツがいるんだねえ。確かにそれは相手したくないかも」


加賀「それを創るための、適格者とアニマの器。2つの大国が何百年も捜し続けているものをそう簡単に見つけられるとは思えないけれど」


夕立「なんだか難しい話っぽい」サクサク


大鳳「でも、整備を請け負ってもらえるのは非常に大きいですね。もしかしたら、艦載機を生産する方法が見つかるかも……」


北上「そだね。私の副砲ももうほとんど弾切れだったからねー、何とかして補給しないとって所だったし」


提督「まあ、そんなわけだから、明日からでもすぐに動いていくぞ。お前らはまず何よりも艤装のメンテを優先してくれ。
装備に関する情報は何でも話してしまって構わん」


榛名「わかりました。この後からでも早速装備をチェックして明日に備えます」


北上「提督はどうするのさ」


提督「俺はデータルームでこの世界の事を色々と調べてみる。それと平行してギアの操縦訓練だな」


北上「へー、提督も忙しくなりそうだね」


提督「俺だけ暇してるって訳にもいかないだろ。まあとにかく、明日からまた忙しくなるからな。今のうちにしっかり休んでおけよ」


一同「はーい(っぽい)」


  ***
455 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/10(土) 22:37:21.11 ID:DM61CYo9o
今回はここまで。ではまた。
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/11(日) 06:24:46.78 ID:Oiwnd0U5o
原作だとフェイ達はここから息つく暇もない連戦だな……
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/12/11(日) 13:16:00.28 ID:AC7begmoo
自由に世界中を飛べる唯一の時間ですな…

海上の敵とエンカウントできないのが少し不満だったけど
(エリィのエアッドで開幕殲滅できるから)
458 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:21:09.55 ID:Fgd9a84so
おまたせしました。今年最後の投稿を始めます。
459 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:22:03.70 ID:Fgd9a84so
〜数日後 自室〜


提督「……」ペラ


提督「……」ペラ


提督「……」ペラ


提督「ふー」パタン


榛名「お疲れ様です、提督」コト


提督「お、サンキュー」ズズ


榛名「進捗の方はいかがですか?」


提督「ぼちぼちかな。800年前くらいまでの大まかな歴史は大体わかってきたよ」


榛名「800年前?」


提督「このシェバトの建国が大体それくらい前のことだったらしい。そこまでの記録はかなり詳細に残ってたよ。
それより前になると胡散臭い神話の類しか残ってなかったけどな。神の楽園がどうのこうのとか」


榛名「それじゃあ、800年前にはもうこんな大きなものを飛ばす技術ができていたんですね。凄いです」


提督「それがどうも違うらしい。ほら、バベルタワーってのがあったろ」


榛名「ええ、確かタムズの方がそんな名前の建物があると」


提督「このシェバトは元々そのタワーのてっぺんにくっついていたんだそうだ。それが500年前の大戦に負けた後、
ソラリスの支配から逃れるために最上部だけを切り離されたのが、今浮かんでいるこの国だって話だ」
460 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:22:33.01 ID:Fgd9a84so
榛名「その大戦については、何か分かったのですか?」


提督「おうよ、色々と分かったぜ。まず、正確にはシェバトはソラリスに負けたわけじゃないらしい」


榛名「え?」


提督「大戦末期、ソラリスの本拠地にシェバト率いる地上の連合軍が攻め入ったとき、思わぬ第三勢力が現れた。記録にはそう残ってる」


榛名「それでは、いきなり現れたその敵に、シェバトは負けたということなんですか?」


提督「ああ、『ディアボロス』と呼ばれたその軍団は、現れるなりソラリス、シェバトの区別なく全てを破壊し始めたそうだ。
それがまたとんでもなく強かったらしくてな、シェバトどころかソラリスの部隊も全く歯が立たなかったらしい。一時期は本当に人類が絶滅するところまで来てたらしいぞ」


榛名「そんな、一体何の為に……」


提督「さあな。その辺のことはわからずじまいだったみたいだ」


榛名「……あれ?ですが提督、今こうしてシェバトがあるということは、結局その敵は倒されたと言う事ですよね?
それなのにどうしてシェバトは負けたのでしょう?」


提督「お、さすが榛名。いい所に気がついたな。実はそこが俺達にとっては一番大事なんだ」


榛名「と、言いますと?」


提督「このディアボロス軍団を撃退したのが、まさに今から俺達が関わろうとしているギア・バーラーってヤツだったらしい。
なんとか数機がかりでディアボロスの中核を倒す事に成功したんだそうだ」


榛名「そうだったんですか」
461 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:23:03.12 ID:Fgd9a84so
提督「その後は戦争どころじゃなくなったシェバトもソラリスも兵を引いた。シェバトの方は自分たちの事で手一杯だったが、
多少余力のあったソラリスはそのまま地上を支配し、負けたシェバトは空に逃げた。それから500年、状況は今も変わらないって事だ」


榛名「もしそれが事実だとしたら、地上に降りるのはかなり危険なのではないでしょうか?」


提督「そうでもないさ。どうも地上の監視は『教会』の仕事だったみたいだからな。その『教会』がなくなった今の時期、
俺達7人の動向まで敵が気にしていられる訳はないだろ」


榛名「うーん、そうなのでしょうか」


提督「そういうもんだって。地上ったって広いんだし、下りた途端にソラリスに目を付けられるなんてことは絶対ないから、安心しろ」


榛名「……そうですね。榛名、提督を信じます」


提督「それでいい。……よし、いい加減座りっぱなしもきつくなってきたし、そろそろギアの訓練でもしてくるか」


榛名「はい、榛名もお供します!」


提督「お供します!って、そういやお前整備のほうはいいのか?なんかナチュラルに朝から俺の手伝いしてくれてるけど」


榛名「もちろんです!榛名が不在の間は金剛お姉様にお願いしてあります」


提督「俺が言うのもなんだが、よく金剛が承諾したな」


榛名「当然です。そもそも言いだしっぺはお姉様でしたし、正々堂々『お話し合い』で私が勝ちましたから!」


提督「……周りのもの壊したりしてないだろうな」


  ***
462 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2016/12/25(日) 19:24:18.14 ID:Fgd9a84so
今回はここまで。シメなのに短くて申し訳ないです。年末ほんと忙しい……。
それでは皆さん、良いお年を。
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/30(金) 01:05:40.98 ID:0jblX3/u0
お疲れ様

ちょっとずつでも確実に進行してくれるから好きよ
464 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 18:13:13.58 ID:aJQ8XMU9o
あけましておめでとうございます。年明け早々の仕事の不定休化+風邪のダブルパンチで闇墜ちしてました。更新再開します。
465 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 18:49:28.93 ID:aJQ8XMU9o
〜格納庫〜


提督「おーす、やってるか?」


金剛「テートクゥゥゥ!」ダダダ


提督「あらよっと」ヒョイ


金剛「フンッ!」カクッ


提督「ぐえ」ドゴォ


榛名「ああっ!提督が曲がってはいけない方向にくの字を描いてしまっています!榛名はどうすれば……」


提督「あいででで、なんだよ今の物理法則無視した直角コーナリングは……。急に飛び込んでくるのはやめろっていつも言ってんだろ」


金剛「目を離したらノーって私もいつも言ってるネー!なのに最近テートクとは全然会えなかったし、だからこれはテートクが悪いんデース!」グリグリ


加賀「……何を遊んでいるのかしら」


金剛「何を言うネー!これは戦意高揚の為に必要不可欠な……」


提督「か、加賀さん、こっちの仕事がひと段落着いたから様子を見に来たんだが、どんな調子だ?」


加賀「そうね、まずはきちんと立ってもらえないかしら。格納庫の入り口でずっとそうしているのはみっともないわ」


提督「そうしたいのは山々なんだが……金剛、いい加減どいてくれ」グイ


金剛「ノー!ここ数日分の戦意を取り戻すまでは絶対離れないネー!」グググ


榛名「お姉様、あまり提督を困らせてはいけませんよ」ガシ


金剛「ハルナはモーニングからテートクと一緒にいたからそんなことが言えるんデース!」
466 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:05:36.34 ID:aJQ8XMU9o
加賀「……はあ、話が進まないのですが」


提督「ああもう、しょうがねえ、なあっ!」ガバ


金剛「ワット!?」


榛名「わあ、提督すごいです!あの体勢からお姉様を無理矢理おんぶするなんて!」


提督「お、おも……」


金剛「アーハン?」


提督「すまん、なんでもない。頼むからしばらく背中で大人しくしててくれ」


金剛「しょうがないネー」


加賀「遊ぶなら外にしてもらえないかしら」


提督「悪いけど我慢してくれ。それで、整備の状況なんだけど」


加賀「そうね、実際に見てもらう方が早いと思いますので、艦種別の整備区画にそれぞれ案内します」


提督「え、そんなに大掛かりで整備してもらってるのか、すごいな」


金剛「それならまずは私達の所から行くネー!びっくりする事間違いなしデース!」


  ***
467 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:07:33.05 ID:aJQ8XMU9o
〜戦艦整備区〜


加賀「こちらが戦艦の整備用に割り当てていただいたスペースです」


提督「広いな」


金剛「タムズやユグドラよりも整備しやすくて大助かりデース!」


整備士「あ、金剛さん!」


提督「あの人は?」


榛名「榛名達の艤装を整備していただいている主任の方です」


金剛「ヘーイ!何かあったネー?」


整備士「何かあったじゃないでしょう!作業中に勝手に抜け出したりして!」


金剛「オーウ、ソーリー。テートクの気配がしたのでついついネー」


整備士「ということは、あなたが?」


提督「うちの金剛が迷惑かけているようで申し訳ない……」


整備士「いや、わざわざ謝られるほどでは……こちらとしても彼女達の艤装は大変興味深いですし、苦労に見合う体験はさせてもらえてますよ、ははは」


提督「それで、今日はその体験の成果を見に来たのですが」
468 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:08:16.44 ID:aJQ8XMU9o
金剛「フッフーン、テートクがいない間に色々と良くなりましたヨー!」


整備士「そうですね、金剛さん、榛名さんご両人だけでなく、他の方全ての艤装に関して、今回通常のメンテナンスの他に、動力系の調整を行いました」


提督「動力って言うと……スレイブジェネレータに?」


整備士「ええ。スレイブジェネレータと周囲の接続が無茶苦茶だったので、そちらを最適化しました。というかよくあれで今まで動けましたね」


提督「そんなにやばかったのか」


整備士「それはもう。まるで元々別の何かが入っていたスペースに、無理矢理ジェネレータを押し込んだような形になっていましたから。まあ、皆さんの話を聞く限り、実際にその通りだったのかも知れませんが」


提督「そういうことは俺達じゃ手の出しようがなかったからなあ。それで、使用感は変わったのか?」


加賀「何度か試運転しましたが、出力の上がりにかなり違いを感じました」


金剛「今までの何倍かは上がっている感じがしたネー」


提督「そりゃ凄いな」


整備士「それに伴い、『アタックレベル』と呼ばれるシステムも使用可能になっています」


提督「アタ……え?」


整備士「アタックレベルです。戦闘機動を取っている時間に比例して、ジェネレータの出力が最大3段階まで上昇する、スレイブジェネレータに搭載された制御システムの通称です」


提督「えーと、つまり、戦っていると段々出力上限が上がっていくって事か」


整備士「そうなりますね。もっとも、一度戦闘機動をやめてしまうと初期状態に戻りますが。ああ、短時間に負荷を掛け過ぎても同様にリミッターがかかりますよ」
469 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:09:29.38 ID:aJQ8XMU9o
金剛「なんだかややこしいネー」


提督「俺はいいシステムだと思うけどな。他には何か?」


整備士「今の所は何も。ただ、現行の足回りでの陸上戦は不可能なので、ホバリング機能を搭載できないかと試行しているところです」


提督「そんなこと可能なのか?確かにその問題はこないだの戦闘から気にしてたことだが……」


整備士「ブリガンディアのホバースラスターをモデルに、色々と試している最中です。なに、必ずやってみせますよ。シェバトの技術を以ってすればできないはずありません!」


提督「じゃあ、よろしくお願いします」


加賀「提督、そろそろ行きましょう。次は駆逐艦と軽巡の区画です」


榛名「あ、榛名は艤装のチェックをしたいのでここに残ります」


提督「わかった。頑張ってくれよ。金剛もいい加減下りてくれないか、そろそろ腰と肩と周りの視線が痛くなってきたんだが」


金剛「まだノーデース」ギュウウ


提督「絞まってる!絞まってるから!」バタバタ


加賀「……置いていきますよ」


  ***
470 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:27:04.04 ID:aJQ8XMU9o
〜駆逐、軽巡区画〜


加賀「着きました」


提督「ひい、ひい」


金剛「テートクゥ、こんな程度で息切れなんてしちゃって、トレーニングが足りてないヨー!」


提督「好き勝手言ってくれるなあちくしょう」ゼーゼー


北上「あれ、提督じゃん、お久しぶりー。元気だった?」


提督「ま、まあな、こっちも中々忙しくてな、様子を見に来る暇もなかったんだよ。つっても久しぶりって程ではないと思うけどな」


北上「そうだっけ?まー私も色々やってたからねー。こないだユイさんの料理を食べたのがもう一月くらい前の気がするねえ」


提督「流石にそれは盛りすぎだろ……」


夕立「あー!金剛さんずるいっぽい!」


提督「げ」


夕立「夕立も提督さんに遊んで貰いたいっぽい!」ダダダ


提督「待て、夕立、ストップ!」ビシ


夕立「!」ピタァ
471 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:28:10.30 ID:aJQ8XMU9o
提督「後で遊んでやるから、頼むから飛び込んでくるのは辞めてくれ、な。これ以上負担がかかったらマジで死ぬから」


夕立「ぶー、しょうがないっぽい」


提督「夕立は偉いなあ」ナデナデ


金剛「……何か私、損した気がしマース」


提督「そう思うんなら下りたほうがいいんじゃないか?というかマジで下りてください」


金剛「ンー、そこまで言うなら下りてあげマース。これからは目を離したらノー!ですからネー!」


提督「へえへえ、善処します」


加賀「……そろそろいいかしら。こちらの作業の進捗を報告してもらいたいのですけれど」


北上「へへ、実は提督の事待ってたんだ。ちょっとこれ見てよ」


提督「ん?こりゃ副砲の弾だろ。これがどうかしたのか」


北上「ただの弾じゃないよー?なんとこれ、ここの工廠で一から作ってもらったんだよ」


提督「嘘ぉ!?こんな短期間でか」


北上「ホントだってー。いやあ、ここの技術力ってば凄まじいよねー。ちょっとの残弾からすぐに同じもの生産しちゃうんだもん。
これはまだ試作品だけど、すぐに量産できるようにしてくれるってさ」
472 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:29:05.77 ID:aJQ8XMU9o
提督「それじゃ、ようやっと北上もまともに戦えるようになるのか」


北上「ほんと、ようやくって感じだよー。魚雷も海戦以外でも使えるように何とかしてくれるらしいし、これからの北上様の活躍、期待してくれちゃっていいよー?」


提督「ああ、そのときはしっかり働いてもらうから安心しろ」


北上「うーん、楽しみで待ちきれないねえ。あ、そうだ。提督、今から私の演習付き合ってよ」


提督「今から?悪いけどまだ空母の方の様子も見ておきたいし」


北上「まあまあ、そんなの後でいいじゃない。提督だってギアの操縦訓練しなきゃいけないんでしょ?一石二鳥ってことでさ、ほらほら」グイグイ


提督「おい、ちょっと押すなって!」


金剛「ウーン、カガも大変ネー。私、同情するデース」


加賀「……貴女には言われたくないです」


  ***
473 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/01/14(土) 19:30:55.57 ID:aJQ8XMU9o
今回はここまで。冒頭の理由につき、しばらくは不定期に投稿していく事になります。なるべく毎週更新できるようにはしていきますのでよろしくお願いします。それではまた。
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 23:42:06.30 ID:T7Zbhp7R0
あけあめ〜そして更新乙
気長に待つから無理の無いペースでええんやで
リアル大事に後、体も大事に
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/29(日) 01:37:01.46 ID:GcD0B1/40

レス1ヶ月
>>1が2ヶ月だっけか気長に待つでな
476 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:41:59.40 ID:a9PPEwz4o
お待たせしました。書き溜め分投稿します。土日休みが欲しい……。
477 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:52:27.59 ID:a9PPEwz4o
〜空母整備区画〜


技師「お疲れ様でした。今回も上手くいきませんでしたね」


大鳳「……仕方ありません」


技師「それにしても悔しいですね。データは十分に揃っているのに実現できない。我々の技術の限界を思い知らされているようだ」


大鳳「私も悔しいです。あの子達の事、もっと分かっているつもりだったのに……」


技師「大鳳さんはよくやってくれていますよ。お陰様で有用なデータがかなり取れているんですから」


大鳳「エアッドの技術を利用した艦載機の生産、本当に可能なのでしょうか」


技師「……正直なところ、まだどうなるかは……。大鳳さんのおっしゃるとおり、少しずつ前進を見てはいるんです。もう少し、我々にエアッドの知識があれば……!」


大鳳「そう、ですか」


技師「しかし、まだ諦めてはいません。必ずや、われわれシェバトの技師の誇りにかけて……!」


シタン「あの、ちょっとよろしいですか?」


技師「あなたは……」


大鳳「シタン先生?」


  ***
478 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:52:53.88 ID:a9PPEwz4o
〜また数日後 屋外フロア〜


提督「ここと、ここと、ついでにこのボタンで、起動、と」カチャカチャウィーン


北上『どうなのさ、提督?ちゃんと起動した?』


提督「ああ、今立ち上がった所だ。機体を起こすぞ」ガチャガチャ


夕立『おお、動いたっぽい!』


提督「危ないから離れとけよ」


整備士『流石に下界のギアに乗ってただけあって、基本的なことはすぐできますね』


提督「まあ動かすだけならタムズのギアとあまり違いはないみたいだからな。問題はここからだ」ガチャガチャ


整備士『では早速ですが、飛行訓練の方に行ってみましょうか。打ち合わせどおりにお願いします』


提督「了解。まずは飛行ユニットを吹かして微上昇……おお」フワッ

提督「飛んでる!すげえ!」


北上『なんかすごい今更感ある感想じゃない?』


提督「いやあ、実際自分で飛ぶとなると実感が湧くと言うか」グラ

提督「おわあ!?」
479 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:53:30.02 ID:a9PPEwz4o
整備士『気を抜いちゃダメですよ。初飛行ですがオートバランサーは切ってありますので』


提督「何で!?」


整備士『なるべく早く飛行技術をマスターするようにという加賀さんの要望でして』


提督「む、無茶苦茶だ……」ドキドキ


整備士『本当に墜落しそうになったらオートパイロットが働くので大丈夫ですよ。さあ、次のステップです』


提督「ええと、王宮フロアあたりまで上昇、と」ゴオオ


北上『お、いい調子じゃん』


提督「……よし。次は新型無線機のテストか。あーあー、金剛、榛名、聞こえるか?」


榛名『はい、こちら格納庫より榛名です!無線の感度良好ですね、提督!』


金剛『ばっちり聞こえてマース!訓練の方は順調ですカー!?』


提督「ああ、なんとか生きて空を飛んでるところだ。しかし凄いなこの無線。この距離でこれだけの障害が間にある通信にほとんどノイズが入ってない」


榛名『通信可能な範囲はもっと広いと言う話ですから、戦闘中の通信に困ることはなさそうですね』


提督「だな」
480 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:54:31.11 ID:a9PPEwz4o
提督「んで、そっちの進捗はどうなんだ?」


榛名『はい、ホバー機能の件の方は上手くいきそうです。現在、榛名とお姉様の艤装をモデルにしてのテストが最終段階に入っています』


提督「そうか。それじゃ引き続きそちらの整備担当とよく協力してくれ。俺達も今や名実共にシェバトの一員だからな」


金剛『そんなこと言われるまでもないネー!ところでテートクゥ!そちらはランチタイムまでにはフィニッシュしそうですカー?市街地にジュークボックスのあるアダルティーなお店があったネー!』


提督「いや、こっちは結構かかりそうだ。悪いけどまた今度にしてくれ」


金剛『ぬぐぐ、仕方ないデース。代わりにマリアを誘ってみマース……』


榛名『お姉様、そろそろお時間ですよ』


金剛『ワット?もうそんな時間ですカー!?』


榛名『提督、整備士の方に呼ばれているのでそろそろ失礼します。飛行訓練の方、頑張ってくださいね。榛名、応援してます!』


金剛『あ、ちょ、離すネハルナー!テ、テートクゥ!せめてアフタヌーンティは一緒に』ブツッ


提督「……仮にもテストなんだから真面目にやって欲しかったんだが……まあいいか」


北上『提督、通信テスト終わったー?』


提督「はいはい、終わりましたよ」


北上『なんで敬語?』
481 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:55:05.04 ID:a9PPEwz4o
整備士『ではいよいよ本番、戦闘機動訓練に入ります。安全策は施していますが、下手をすると怪我ではすまないかもしれません。集中を切らさないように』


提督「げ、もうかよ。せめてもうちょっと心の準備を……」


夕立『へーきへーき、提督さんならきっとやれるっぽい』


北上『そうそう。シミュレーションではちゃんとできたんでしょ?大丈夫だって』


提督「あん時はオートバランサーがあったからだよ!風にちょっと煽られるだけでも大忙しなんだぞ今!」ガコガコ


北上『なに弱音吐いてんのさ。私達と一緒に前線に立つって言うならこれくらい出来なきゃダメでしょ』


夕立『こないだみたいな事はもうイヤっぽい』


提督「うぐ、それを言われると確かにそうだけど」


整備士『さあ、愚痴っている暇はありませんよ。まずは障壁ギリギリの所を所定の時間で周回してもらいます』


提督「ああもう、なるようになれだクソォ!」ビュン


  ***
482 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:55:34.66 ID:a9PPEwz4o
〜しばらくして〜


整備士「……うん、想定より上達が早いですね。やはりギア搭乗経験ありという事が大きいのでしょうか」


北上「いやあ、案外加賀さんのスパルタ作戦が効いてるのかもよ?提督もああ見えて士官学校出てるだけあって体育会系だし」


夕立「さすが加賀さん。提督の事良く分かってるっぽい。けど……ふああ、いい加減提督さんの訓練見てるだけじゃ飽きてきちゃった」


整備士「では、そろそろ次のステップへと進みましょうか」


北上「お、いよいよ私達の出番だね」


夕立「待ってました!っぽい!」


整備士「あーあー、提督、そろそろ次のステップに移ります。一旦こちらに戻ってください」


提督『了解』ギューン


北上「お、もう来た」


提督『ん、というか次のステップって何だ?打ち合わせじゃ今日はこれ以上のことはやらないって話だったが』


整備士「ええまあ、すぐに分かりますよ。お二方」


夕立「バッチリっぽい」ガシャ
483 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:56:15.45 ID:a9PPEwz4o
北上「それじゃ私から……よいしょ!」ドォン


提督『ぎゃあああああ!』ビュン

提督『何撃ってんだ!冗談でもやめろ!』フラフラ


北上「大丈夫だって、模擬弾だから当たっても爆発はしないから」ガシャ


提督『あんな質量が機体にぶつかるだけでもあぶねえだろ!第一、周りの建物に当たったらどうするんだ!』


北上「その辺は事前に対策してるからへーきだよ」


整備士「と言う事です。これが本日の最終メニューになります」カキカキ


提督『って事はこれも……』


整備士「ええ、加賀さんの要望です」


提督『鬼か!』


夕立「そろそろ夕立も撃っちゃうっぽい!てー!」ドン


提督『あああああ!』


北上「それそれ」ドォンドォン


提督『なああああああああ!!!』ビュンビュン
484 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:56:45.56 ID:a9PPEwz4o
整備士「……うん、これは興味深い。異世界人を名乗るだけあって採れる機体データが我々とは全く違う」


提督『ちっくしょう、付き合ってられるか!』ビュン


夕立「あー!逃げちゃダメっぽい!」ドン


提督『あっぶねえ!』


夕立「夕立と北上さんの射撃訓練も兼ねてるんだから、提督さんはちゃんと避けてくれてないと」


提督『ひっでえ』


北上「それじゃ、そろそろこれも試してみましょうかね!』ガション


提督『は?』


北上「新型五連装酸素魚雷、発射ぁ!」バシュ


提督『そんなの聞いてな』ガイン


夕立「あ、命中したっぽい」


提督『ああああああああああああああああ』ヒュウウ


夕立「あ、墜ちたっぽい」


北上「あちゃあ、もしかしてやりすぎた?」


整備士「問題ありません。ほら」
485 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:57:41.97 ID:a9PPEwz4o
夕立「あ、持ち直したっぽい」


整備士「あの動きはオートパイロットですね」


北上「提督、生きてる?」


提督『……たぶん。昼飯前だったのが不幸中の幸いだ……』ゼエゼエ


北上「いやあ、まさかこれほどの性能とは。ハイパー北上様はご機嫌ですよ」


提督『今の砲撃、魚雷発射管から飛んできたように見えたんだが』


北上「そうだよ?地上でも使えるように改造してもらったんだー♪」


提督『それもう魚雷じゃなくて無誘導ミサイルのような……おえ』


夕立「提督さん、大丈夫?」

北上「やー、訓練とはいえ、流石にやりすぎたかもね。ごめんね提督」


提督『いや、お陰で初日とは思えないくらいには飛べるようになったからな。一応本当に安全確保もされてたし……』


大鳳『提督!!!』


提督『な、なんだ!?大鳳か?』


大鳳『提督!大変なんです!すぐこちらに来てください!』


提督『あ、ああ、分かった。場所は格納庫の整備ブロックでいいんだよな?』


整備士「それでしたら提督、本日の訓練の締めとして、そこまでギアで飛行していってください。どうせギアも格納庫に収容する予定でしたから」


提督『了解。すぐ向かうからな!』ギュン


夕立「……行っちゃったっぽい。どうしたんだろ、大鳳さん」


北上「さあ?」


  ***
486 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/02/03(金) 00:58:22.08 ID:a9PPEwz4o
今回はここまで。次回もいつになるか未定です。なるべく2週間以上空けないようにします。それでは。
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/03(金) 09:27:42.32 ID:/U65rEaS0
乙乙
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/04(土) 14:58:21.93 ID:1n+aNbnj0
乙、この前アーカイブス買っちゃったぜ!
vitaでプレイしてるけどストーリー結構忘れてるな……タムズに到着するのって中盤の方だったんだな
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/05(日) 08:04:37.93 ID:3UWcDkojO
まだかぁー
490 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/07(火) 23:49:32.08 ID:kbarzlgbo
お待たせしました。スレ落ちてない……ですよね?
491 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/07(火) 23:51:57.20 ID:kbarzlgbo
あ、落ちてないみたいで良かったです。お待ちいただいた方には本当にごめんなさい。投稿始めます。
492 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:00:57.32 ID:fIAZGYz2o
〜格納庫〜


提督「ふう。あっという間に到着、と。おーい大鳳、どこだー?」


大鳳「ていとくー!」


提督「おお、いたいた。さっきはどうしたんだよ」


大鳳「いいから来てください!」グイ


提督「なんだなんだ?」


  ***


大鳳「これです、見てください提督!」


ブーン


提督「これ、艦載機か?」


大鳳「はい!ついに成功したんです!こちらでの艦載機の生産に!」


提督「へ、へえー。それは良かった」


大鳳「これで散っていった妖精さんも帰ってこられます。本当に良かった……」


シタン「ええ、まさかここまで上手くいってしまうとは。私にも予想外でした」


提督「シタン先生?」


大鳳「今回開発が成功したのは、何といってもシタン先生のお陰なんです。先生のエアッドの知識が無ければとても……」


シタン「いえいえ、私はちょっとばかり設計に口を出しただけですよ」
493 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:01:24.99 ID:fIAZGYz2o
提督「……うーん」


大鳳「提督?さっきからあまり浮かない顔をしてらっしゃいますけど、どうかしたんですか?」


提督「いや、この艦載機なんだけどさ」


大鳳「はい?」


提督「めっちゃデザイン変わってね?」


大鳳「え、ええ、そうですね。シタン先生の設計ですから」


シタン「エアッドを設計の基盤にしていますから、必然全体のフォルムが流線型になりましたね。何か問題がありましたか?」


提督「いや、このデザイン、ヲ級が使ってた艦載機にすごく似てるんだけど……。表面のつるつる具合とか」


大鳳「え、そうでしょうか……?あれほど禍々しい形ではないと思いますよ」


提督「うーん、色が結構違うから分かりにくいかもしれないけど、やっぱり似てると思うぞ」


シタン「ヲ級というのは、あなた方が向こうの世界で戦っていた敵ですか?」


提督「ああ、まあ。うーん、考えすぎかな」


大鳳「きっとそうですよ。そんな偶然ある訳ないです」


シタン「そうですね。あまりに様変わりしすぎたものですから、以前見たことのある別の物との類似性を無意識に見つけようとしたのでしょう」


提督「そうかもなあ。まあとにかく、良かったな大鳳。加賀さんには知らせたのか?」


大鳳「はい。加賀さんは今開発チームと一緒に最終調整をしています。頑張っている提督には負けられないって意気込んでましたよ」


提督「はー、あの加賀さんがね」


大鳳「それで、提督にも色々とやって頂きたいことがあるのですが……」


提督「ん、色んなとこの許可貰ったり書類書いたりだろ?ちょっと前に弾薬の件で散々やったからな。そこは任せとけ」


大鳳「お願いします。まずは加賀さんと合流しましょう」


提督「オッケー。それじゃシタン先生、今回はどうもありがとう」


シタン「礼には及びません。丁度ヒマを持て余していたところですから」
494 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:01:51.09 ID:fIAZGYz2o
提督「ヒマだったって、ユグドラシルの方で色々やることがあるんじゃ?」


シタン「いやあ、それがそうでもないんですよ」


提督「え?」


シタン「ユグドラは若くんの部下だけで元々回るようになってますし、私の仕事といったらヘイムダルの整備くらいで……。
そんなところをジェサイア先輩に見られたら酒盛りに付き合わされますし、こちらで設計を手伝わせてもらえてむしろ感謝していますよ」


提督「ははは、お互い人間関係には苦労が絶えないようで……」


シタン「いや全く……。と言っても、提督はあまりそういう苦労をされているようには見えませんが」


提督「まあ、金剛とか大鳳とかは比較的マシな方だからなあ。酷いと長いこと付き合っててもクソ提督呼ばわりしてくるのとか、
怒るとすぐ執務室に爆撃かけようとしてくるヤツとか、そりゃもう色々と……」


大鳳「あの、提督。そろそろ行かないと」


提督「え、ああ。そうだな」


シタン「ああ、申し訳ない。私としたことが、無駄に引き止めてしまいましたね。いやあ、妻にしつこいとよく怒られるのですが、
いやはや、性分というのは中々直らないものですねえ」


提督「とんでもない、久々に昔話ができて嬉しかったよ」


シタン「では私もこの辺で。夕食までミドリと遊ぶ事にしますよ。たまには父親らしい事もしてやらないと、本格的に口を利いてくれなくなりそうですからね。それでは」スタスタ


提督「……妻子持ちって大変だな」


大鳳「?シタン先生と何の話をされてたんですか?」


提督「まあちょっと、男の話だよ」


  ***
495 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:02:44.03 ID:fIAZGYz2o
マリア「……こちらパトロール中のゼプツェン、シェバト南方に異常ありません。予定通り帰投します」

マリア(今日もソラリスの襲撃はなし。一体やつらは何処に……ソラリス本国の位置さえ分かれば、私だけでも……)

マリア(いけない!私はまた同じ失敗を……私がもっとしっかりしていれば、シェバトの被害はもっと少なかったかもしれないのに。
アハツェンに、父さんの機体に、あんなことさせずに済んだかもしれないのに……)

マリア「……父さん」

マリア(……ソラリスを倒すため、今私にできることは、シェバトを守ること。フェイさんや金剛さん達が戦い準備をしている間、
私がシェバトを守る!それがソラリスを倒す一番の道。女王さまだってそう言っていたんだから。だから……)


マリア「……帰りましょう、ゼプツェン」


〜17格納庫〜


マリア「……ふう」カチャカチャ


整備員「お疲れ様、マリア。仕上げは俺達でやっておくから、後は任せてくれていいぞ」


マリア「え?でも……」


整備員「まあまあ、じつはマリアに客が来ててな。あっちに待たせてあるんだよ。そっちの相手をしてくれ」


マリア「あっち?ええと……」


金剛「マーリーア!」バッ


マリア「きゃあ!」


金剛「パトロールお疲れ様デース!突然ですガー?私とハルナのランチのお誘いに来たネー!」


マリア「え、遠慮します!もう、驚かすのはやめて下さいっていつも言ってるじゃないですか!」


金剛「細かいことはいいんデース!さあ、ハルナが待ってマス!レッツゴーネー!」ズルズル


マリア「ちょっと、人の話を聞いてください!」


  ***
496 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:03:15.18 ID:fIAZGYz2o
金剛「〜♪」


マリア「ちょっと……もう、離してください!」グイグイ


金剛「ノー!今日という今日は逃がさないネー」


マリア「どうしてそこまで私に付きまとうんですか!」


金剛「勿論、今のマリアを放っておく事なんてできないからデース」


マリア「何ですか、それ。同情で言っているなら……」


金剛「ンー、ちょっと違うネー」


マリア「……」


金剛「マリアは思ってることとかを表に出さずに溜め込んじゃうからネー。それじゃ良くないと思ったんデース」


マリア「……会って間もない貴女が、私の何を知っているんですか」


金剛「オーウ、私にはお見通しデース!何てったって私、お姉ちゃんですからネー」


マリア「意味が分かりません」


金剛「鎮守府にも色んな子がいるって事デース。その中にはマリアみたいな子もいるネー。頑張り屋で、何でも自分の力で解決しようとして……。
そういう子はいつもこうやって無理矢理にでもお話するチャンスをメイクしてるんデース」


マリア「父さんやソラリスのことは私の問題です。それを私が何とかしようとして、何がいけないんですか」


金剛「今はもうそうはいかないネー。ソラリスは私達の共通の敵デース。それに、マリアが出る前に私達があのギアを止めていればマリアが悩むことは無かったネー。
そういう意味では私達にも責任がありマース」


マリア「そんな、皆さんはシェバトを守るために全力を尽くしてくださいました。父さんを助けられなかったのは私の力不足です」


金剛「それを言うなら、シェバトを最後に守ったのはマリアデース」


マリア「……」
497 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:03:52.16 ID:fIAZGYz2o
金剛「つまり、マリアのファザーの事は私達とマリア、それにシェバトのせいだし、ここにいる皆を守れたのも、やっぱり私達みんなのおかげデース」


マリア「……それで、金剛さんは私にどうして欲しいんですか」


金剛「ンー、マリアはもうちょっと皆と話をするといいと思うネー。今のシェバトには私達はもちろん、フェイ達だっているネー。
こんなに沢山人がいるのに、自分だけで何かしようなんてもったいないに決まってマース!」

金剛「そーれーに!」ギュ


マリア「きゃあ!」


金剛「こーんなキュートな子を一人で戦わせるなんて、そんなことしたらキリシマやヒエイがカンカンになるデース!」


マリア「その方達は、元の世界にいる方なのですか?」


金剛「イエース!二人とも私の自慢の妹ネー!」


マリア「そのお話……提督も、似たような事をおっしゃっていました。私と父さんが戦うのを黙って見ていたら、元の世界に置いて来た方たちに申し訳が立たない、って」


金剛「え、テートクが?」


マリア「ええ。ですから、皆さん同じように考えているのかなって……違うんですか?」


金剛「ンー、まさかテートクがそんな事言うなんて思ってなかったネー」


マリア「くす、金剛さんも提督とお話したほうがよろしいのでは?」


金剛「ウー、テートクはテートクだから、いつも皆の話を聞く側デース。そういえばテートクのお話はあんまり聞いた事がないネー……」


マリア「金剛さんも、もっと提督とお話しなきゃいけませんね」


金剛「イエース。でもその前にマリアとお話したいデース!」


マリア「そう、ですね。私も、金剛さんのお話がもっと聞きたいですわ」


金剛「……!!そうと決まれば急ぐネー!街でハルナが待ってるヨー!」グイ


マリア「あっ!そんなに急がなくてもお昼は逃げませんよ!」


金剛「ゆっくりなんてしてられないデース!あ、私のことは遠慮なく『お姉ちゃん』って呼んでくだサーイ!」


マリア「いや、それはちょっと……」


  ***
498 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/08(水) 00:06:01.79 ID:fIAZGYz2o
今回はここまで。いい加減更新頻度がヤバイので次回は必ず来週投稿にします。それでは。
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 00:40:04.47 ID:Q7emRNTcO
おつ
見てるよん
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 10:15:52.75 ID:QKUbaYKlO
金剛型五番艦マリア!出ます!


アリだな…
501 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:22:03.13 ID:S0fTDCMUo
お待たせしました。今週の投稿を始めます。
502 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:38:53.07 ID:S0fTDCMUo
〜別の日 アウラ・エーペイル〜


提督「へー、ここがそうなのか」


北上「そーそー。中々いいところでしょ?」


提督「ああ。まさか街の中央塔の屋上が芝生の庭になってるなんてな。立派な木まで生えてるし、一体どうなってんだ」


北上「ほら、ここからだと街が一望できるんだー。提督ってばここの所こういう景色も楽しんだり出来てなかったんじゃない?」


提督「ギアの訓練で上空を飛んではいるんだけどな。確かにまだ操縦に手一杯で景色を楽しむ余裕はないな」

提督「……おー、こりゃすごいな。誰に聞いても満点と答えそうな絶景だ。ああ、いや、大鳳を除いてかもしれんが」


北上「んー、そうでもないと思うよ。あの人もうここの足場に慣れてるっぽいし。今朝だって朝ごはんの前にこの辺でランニングしてたし」


提督「そういえばこないだ大鳳に呼び出されたときもすっかり慣れてる様子だったな。一体いつの間に成長したんだ?」


北上「シェバト防衛戦の後にはもう大丈夫だったみたいだよ?『必死に戦ってたら、いつの間にか怖くなくなってました!』って言ってた」ウラゴエ


提督「今の大鳳のモノマネか?」


北上「似てたでしょ?」


提督「まあまあな」


北上「へへー」ゴロ
503 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:39:33.93 ID:S0fTDCMUo
提督「服汚れるぞ」


北上「最近よく来るから慣れてるし」


提督「最近ったって、お前らもずっと忙しかったんじゃないのか?」


北上「そうそう。薄暗い地下ドックでずっと装備の相手してたからねえ。たまの休憩にちょくちょく来てたって訳」


提督「今日もそんな所で良かったのか?折角だからもっと色んなところ回ったっていいんだぞ」


北上「いーのいーの。タムズにいたときに一番乗りだったご褒美って言ったって、ここ最近のどたばたで私もすっかり忘れてたし、
どうせすぐまた忘れそうだったからねー。それに、いつもはここでのんびりしてると怒った加賀さんがすぐ来ちゃってあんまりゆっくりできないんだよねー」


提督「休憩じゃなくてサボってるだけじゃねえか」


北上「まあまあ」


提督「あんまり加賀さんに負担かけるんじゃないぞ」


北上「はいはい、お説教も無しでしょ。今日は私のための休みなんだし」


提督「……しょうがねえな」


北上「よろしい。ほら、提督ももっとこっちに座んなよ」ポンポン


提督「はいはい、よっと」


北上「……ふー、風が気持ちいいねえ」
504 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:40:00.50 ID:S0fTDCMUo
提督「ああ、そういやこんな高度なのに全然寒くないな。障壁のお陰なのかね」


北上「さあ、それはどうでもいいけど。うーん、こうやって風に当たってると、鎮守府の潮風を思い出すねえ」


提督「やっぱさ、北上もたまに寂しくなったりするのか?」


北上「急にどうしたのさ、真面目な顔になっちゃって」


提督「いや、いつか聞こうと思ってた事なんだけどな、こっちに飛ばされてきてから結構経つから、不安とか無いかなーと」


北上「んー、大井っちとかの顔が見たいなーってたまに思うけど、それくらいかなー」


提督「……本当に大丈夫か?」


北上「んー?何か提督、いつもより優しいんじゃない?」


提督「いや、いつもと変わらないつもりだけど」


北上「じゃあ仮にさ、ほんとに寂しいから今すぐ帰りたいって私が言ったらどうするのさ」


提督「う、それは……」


北上「あはは、だから大丈夫だって。あんまり心配してないってのは本当だよ。向こうの事も、こっちの事も、なんとかなるでしょ」


提督「……そうか、それならいい。それじゃ今日は存分にのんびりしてくれ」ペラ
505 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:40:29.13 ID:S0fTDCMUo
北上「ん?何の本?」


提督「シェバトギアの構造の本。整備士連中にギア乗るなら勉強しとけって渡された」


北上「はい没収ー」ヒョイ


提督「あ、何すんだ」


北上「うへー、最初のページから何書いてあるか全然わかんないや」ペラペラ


提督「まあ、俺も半分分からないまま読んでるからなあ。とりあえず返してくれ」


北上「ダメですー。今日は私に付き合う日なんだから、提督も休まなきゃ駄目でしょ」


提督「……お前もしかして、俺の息抜きも考えてここにしてくれたのか?」


北上「まさか、そんなわけないでしょ?せっかく大手を振ってのんびりできるのに、一緒にいる提督が勉強なんてしてたらこっちが落ち着かないじゃん」


提督「まあ、そういうことにしといてやるよ。ありがとな」


北上「だから提督のためじゃないってば。それよりほら、何か面白い話してよ」


提督「おう、それじゃこないだ偶々目撃したリコとバルトの喧嘩の話でもするか」


  ***
506 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:40:58.88 ID:S0fTDCMUo
〜次の日〜


マリア「……ですから、空中で格闘戦を行う場合、より高い高度にいた側が有利に立てるのです」


提督「うーん、理屈は何となく分かるんだが、あんまり実感が湧かないな。第一、まだまだ空中での行動も覚束ないのにそんな事気にして動けるのだろうかね」


マリア「そんな甘い事は言っていられません。ソラリスのギアはいつ攻めてきてもおかしくないのですから、提督には一刻も早くギア戦に熟達していただきますわ。
それを皆望んでいます」


提督「は、はい。精進します」


マリア「では、今日の座学はここまでとしましょう。午後からは実戦形式で今覚えた内容を理解してもらいますので、そのつもりで」


提督「よし、その前に昼飯だな。良かったら一緒に食べるか?」


マリア「いえ、折角ですが先約があるので……」


金剛「マールィアー!迎えに来たネー!」ネイティブ


マリア「金剛さん。時間には間に合うから待ってて下さいと言ったじゃないですか」


金剛「私もそのつもりだったけど、ちょっと時間が空いたからこっちまで……オーウ、今日はテートクと何かしてたんですカー?」


提督「ああ。マリアにギア戦のいろはを教えてもらってたんだ。こっちに関しちゃマリアは大先輩だからな」


金剛「ウー、何か楽しそうネー。私も混ざりたかったデース」


提督「いや、頼むから自分の仕事をしてくれ……」


マリア「では提督、金剛さんとお昼をご一緒する約束でしたので、また午後に」


提督「ん、ならしょうがないな。一人で食ってくるわ」


金剛「そういう事ならテートクも一緒に行くネー!」


提督「え、いいのか?」


金剛「オフコース!マリアもいいですよネー?」


マリア「ええ、私も構いませんわ」


提督「ならまあ、一緒に行くか」


  ***
507 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:41:25.57 ID:S0fTDCMUo
提督「……それで訓練中に近くを飛んでた鳥があんまり大きくてさ、びっくりしすぎて危うくドックに突っ込むところだったよ」


金剛「へー、そんなビッグな鳥がいるなら実際に見てみたいネー。マリアは見たことありますカー?」


マリア「ええ、パトロール中にたまに見かけますよ。遠くを飛んでいるグリフォンとか」


金剛「それだけ大きかったら食べ応えありそうデース」


マリア「いえ、実際はそうでも……。シェバトの食糧問題解決の為にそういう試みがあったらしいのですが、
食べられたものではなかったそうですよ」


金剛「オーウ、夢の無い話ネー……」


提督「なんか二人とも、いつの間にかすっかり仲良しになってるな」


マリア「ええ、今では金剛さんは大事なお友達です」


金剛「そこは『お姉ちゃん』って言って欲しいネー。もう、ずっとそう言ってるのに全然呼んでくれないんだかラー」

提督「……」

提督(まさか、金剛がずっとマリアに構ってたのって……)


マリア「ふふ、それは諦めてください」


金剛「しょんぼりデース」


提督「全く、あんまり無茶言うんじゃない。悪いなマリア。いつも迷惑掛けてるかもしれないけど、良かったらこれからも金剛と仲良くしてくれ」


マリア「もう慣れました。それに、金剛さんが本当は良い人だって、私、分かってますから。提督も、これからよろしくお願いします」


提督「ああ、もちろんだ」
508 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:41:54.62 ID:S0fTDCMUo
マリア「なんだか、提督って皆さんの保護者みたいですね」


提督「保護者というか……まあ、ある意味そうではあるかもしれないけど」


金剛「あ!それならテートクの事を『お兄ちゃん』って呼ぶのはどうですカー!?」


マリア「……ええ!?」


提督「おい、なんでそうなる」


マリア「そ、そうです!さっきの話と全然関係ないじゃないですか!」


金剛「そんな事ないデース!テートクがお兄ちゃんなら、私は『お義姉ちゃん』って事になるネー!これならパーフェクトデース!」


提督「何も完璧じゃないんだが」


マリア「そ、そうですよ、もう!いい加減からかうのは止めて下さい、金剛さん!」


金剛「え、私は本気で……」


マリア「知りません!ほら、早く行かないと午後のお仕事に間に合いませんよ!」


金剛「あっ!待ってくだサーイ!


提督(……うーん、マリアにお兄ちゃんと呼ばれるのか……)

提督「……アリだな!」


金剛「テートクゥ!急がないと置いて行かれマース!」


提督「あ、ああ!」タッタッタ

提督(……)


  ***
509 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:42:27.57 ID:S0fTDCMUo
〜数日後 王宮〜


ガチャ


夕立「おはようございまーす。女王様、お話ってなあに?」


フェイ「遅かったじゃないか。あんたたちで最後だぜ」


提督「すまない。ちょっと準備に手間取って……って、ユグドラシルの面子も召集されてたのか?」


ビリー「ええ、なんでも女王様自ら大事なお話があるとかで……」


ゼファー「全員揃ったようですね」


フェイ「それで女王、話っていうのは?」


ゼファー「ではまず……、ありがとうございました、みなさん。ジェネレーターの修理も完了し、障壁も従来通り展開されています」


榛名「結局、あれ以来一度もソラリスが攻めてくることはありませんでしたね」


バルト「へっ、奴らもまさかあの赤いギアがやられるなんて思ってなかったんだろうよ。いい気味だぜ」


マリア「……」


バルト「あ、わ、わりい。お前の親父さんの事を悪く言うつもりは無かったんだ」


マリア「分かってます、大丈夫です」
510 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:43:00.83 ID:S0fTDCMUo
ゼファー「……マリア、先の戦いではよく頑張ってくれましたね。ニコラ博士の事は、本当に無念です……。
博士をあそこまで追いやったソラリスを倒して、真の自由を取り戻さなくては」


マリア「……はい」


金剛「マリア、元気出すネー」


マリア「ありがとうございます、金剛さん」ソモソモソラリスハイッタイドコニ……

マリア「他の皆さんも、私なんかを気にかけて頂いて、とても励みになりました。でも、もう大丈夫です」


北上「大丈夫って……どういう意味さ」ゲートノヒトツハキョウカイノチカニ……


マリア「私、決めました」


ゼファー「それと、先ほど気になる知らせが入りました」


提督「知らせ?」


ゼファー「ニサンにアヴェの軍隊が侵攻したとの事です」


バルト「なんだって……!?シャーカーンの野郎!!」


大鳳「ええと、アヴェ王国はイグニス大陸の一大国家だったと思いますが、ニサンというのは?」


提督「ニサンは同じくイグニスにある宗教国家だ。アヴェとはトップが血縁関係なのもあってかなり仲が良かったはずだが」


バルト「そんなもんはとっくの昔、シャーカーンのハゲがクーデターを起こす前の話だ!あの野郎、アヴェの次はニサンにも手を出そうってのか!!」


北上「ちょっとちょっと、急にどうしたのさ」


シタン「……若君は、クーデターで亡くなった前国王、エドバルト4世の実子、つまりはアヴェの王子なんですよ」


榛名「!?」


北上「冗談……じゃなさそうだねえ。提督は知ってたの?」


提督「いや、俺も知らなかったぞ……」


榛名「と言うことは、シャーカーンと言う方はバルトさんの……」


シグルド「ああ、そうだ。若様にとっての、いや、我々にとっての最大の敵だ。やつを倒すために、我々は今まで力を蓄えて来たのだ」


提督「しかし、ちょっといきなり過ぎないか?一体何が目的なんだ」


ゼファー「シャーカーンの目的は、恐らくかの地に眠るアヴェ王家の秘宝。ロニ・ファティマの封印したギア・バーラー!」


金剛「ギア・バーラーって……」


提督「ああ、こないだ話したばっかのアレだな」
511 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:43:33.66 ID:S0fTDCMUo
バルト「ちくしょう!!こんなとこでグズグズしてられないぜ!俺は行くぜ、ニサンに!シャーカーンの野郎の好きにさせてたまるかッ!」


フェイ「そうだな。ニサンの人たちを見殺しには出来ない。ニサンへ急ごう!」


ゼファー「あなた方の艦には、飛行ユニットを取り付けておきました。元々は、バルトの先祖、ロニの船で使用されていたものです。
遠慮なく使ってください」

ゼファー「それと、提督」


提督「はい?」


ゼファー「良い機会です、あなた方もフェイと共に地上へ降り、任務を開始しなさい」


提督「わかりました」


金剛「言われるまでもないネー!」

北上「これは早くも新装備のお披露目ができそうで……腕が鳴るねえ」

加賀「準備はできています」

大鳳「行きましょう、提督!」

夕立「また新しいところっぽい?」

榛名「がんばりましょうね、夕立さん」


マリア「あのう、ユグドラシルの皆さん……」


金剛「マリア?……アッ!マリアとお別れするのは……」


マリア「私もあなた方と一緒に連れて行ってもらえませんか?もう、じっと待っているのはイヤなんです」


金剛「ワット!?」


ゼファー「……私からもお願いします。フェイ、マリアを連れていってやってください。この子は、幼くして運命と戦わざるを得なくなってしまった。
自分なりの決着がつかぬ限り、先へは進めないでしょう」」


金剛「それなら私達と一緒に……」

提督「やめとけ」


金剛「なんで止めるんデース、テートクゥ!」


マリア「……ごめんなさい、金剛さん。私、自分の手でソラリスとの決着を付けたいんです」


提督「俺達よりフェイ達の方が目的により近いからな。しょうがねえよ」


フェイ「よし、わかったよ。一緒に行こう、マリア。今日からは俺達の仲間だ、君と……、君のゼプツェンも」


マリア「はい!」


金剛「ウゥ、マリアァ……」グス


提督「まだ泣くには早いだろ……少なくともニサンの事は俺達も協力するんだから」


金剛「マ゛リ゛ア゛ァァァ!地上に降りるまでいっぱいお喋りするネ゛ェ゛ェ゛!」ギュウウ


  ***
512 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/03/17(金) 19:44:09.34 ID:S0fTDCMUo
今回はここまで。次回も来週投稿します。それでは。
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 11:02:27.80 ID:GVLB+p/eO
乙。
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/19(日) 19:26:01.49 ID:EdcmrA+UO


金剛も妹分欠乏症にかかっるな・・・
515 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:16:21.91 ID:1FEgC3NPo
またもお待たせしました。更新再開します。
516 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:17:11.87 ID:1FEgC3NPo
〜翌日 ニサン 東街道〜


アヴェ歩兵A「……」スタスタ

アヴェ歩兵B「……?」カサッ

アヴェ歩兵B「おい、今何か」ガサ

アヴェ歩兵B「っ!?」


加賀「シッ!」ドゴォ

アヴェ歩兵B「おぐぇ!」ドサッ


アヴェ歩兵A「な、何だ!?」カチャ


榛名「はあっ!」ドゴォ

アヴェ歩兵A「ぐあ!」ドサ


加賀「……」キョロキョロ


榛名「……こちらは大丈夫です」


加賀「……こちら側も確認したわ。提督」


提督「よし、よくやってくれた。こっちの南側は制圧したな」ガサ

提督「北上、夕立、北側はどうだ?」


北上『んー、今二人で茂みの中から偵察してるけど、こっちに敵はいないみたい』


夕立『このまま街道に出てもいいけど、西側全体が湖だから敵がいたら丸見えっぽい。提督さん、どうしたらいい?』


提督「そうだな、しばらくそのままで北から敵が来ないかだけ見張っててくれ」


夕立『お任せっぽい!』

北上『このまま?あちこち虫だらけで泣きそうなんだけど』

夕立『北上さん、それくらい我慢するっぽい』
517 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:18:21.17 ID:1FEgC3NPo
提督「大鳳、金剛、外の方はどうだ?」


大鳳『特に異常ありません』

金剛『同じく、ギアの影は引っかかってこないデース』


提督「よし。シグルド副長、街の東側は固めた。次の指示は?」


シグルド『よくやった。間もなく若様とフェイ君達が市街を制圧する。それが終わるまでは東側の防衛を任せる。それと……』


提督「それと?」


シグルド『ないとは思うが、万が一マルー様がそちらに居られたら、保護してくれ』


提督「マルーが?どういう事だ?」


シグルド『すまないが時間がない。今はただそうしてくれ』


提督「あ、ああ。了解した」

提督「聞いての通りだ。各自警戒そのままでよろしくな」


榛名「……マルーさんが来るかも知れないって、どういうことなんでしょう?」


提督「いや、俺もよくわからん。あの子がニサンの関係者だから……とかか?」


夕立『あ、それなら心当たりあるっぽい』


提督「知っているのか夕立」


夕立『マルーちゃんはニサンのだいきょうぼ?なんだって。提督さん、だいきょうぼってなに?』


提督「だいきょ……!?」


加賀「提督、お静かに」


提督「す、すまん」


夕立『提督さん?』


提督「ああ。夕立、大教母ってのはな、ニサン教の一番偉い人の事だ。そりゃいてもたってもいられないだろうな」
518 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:19:01.24 ID:1FEgC3NPo
榛名「ええっ!?」


北上『アヴェの王子様の次はニサンの偉い人?ソラリス人もいるし、ここの人たちは一体どういう集まりなのさ……』


金剛『案外、キスレブの凄い人も実は混ざってたりするかもしれないネー』


提督「まさか、流石にそんなことはないだろ」


榛名「!提督、市街地の方から爆発音を確認しました」


提督「始まったか」


夕立『夕立たちは加勢しなくてもいいっぽい?』


提督「市街地で主砲なんて使えないだろ。それよりも周辺の警戒怠るなよ。フェイ達の討ち漏らしがこっちに逃げてくるかもしれないからな」


夕立『はーい』


  ***
519 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:19:28.28 ID:1FEgC3NPo
提督「……」キョロキョロ


加賀「……」


提督「……」ガサ

提督「……っ」ガチャ


加賀「落ち着いて下さい、提督。ただの風よ」ハア


提督「わ、悪いな。どうにも慣れてなくてよ」


榛名「いつも通りで大丈夫ですよ、提督。いざとなったらしっかり榛名がお守りしますから」


加賀「こんな事ならいつも通り隠れて指揮に徹していたほうがよかったのではないかしら」


提督「うーん、見張りなら目が多いほうがいいと思ったんだが……逆に足引っ張る事になっちまってるなあ」キョロキョロ


夕立『提督さん、市街地の方が静かになったっぽい』


提督「お、あっちは片付いたか」


加賀「こちらが片付けられた可能性もあるわ」


提督「それならもっと騒がしくなってるはずだ。敵がこちらに捜索の手を伸ばしてくるはずだからな」ピピピ


シグルド『こちらシグルドだ。聞こえるか提督』


提督「ああ、聞こえてる。市街地の方は?」
520 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:20:33.77 ID:1FEgC3NPo
シグルド『無事制圧した。住民の姿はないが、恐らく避難した後だからだろう』


提督「それで、こちらはどうすればいい?」


シグルド『現状を確認するために、一度集合したい。念のため街道を北にある大聖堂の裏まで確認した後、市街地にある集会所に来てくれ』


提督「了解」

提督「それじゃ言われたとおり行くぞ。俺達は街道を歩いて北上と夕立に合流する。金剛と大鳳もそっちに合流してくれ」


大鳳『了解しました!』


  ***
521 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:21:04.42 ID:1FEgC3NPo
〜ニサン市街〜


提督「へー、ここがニサンの町か」


榛名「なんだか面白い形の屋根が多いですね」


夕立「想像してたよりも小さい町っぽい」


大鳳「私もそう思いました。あるのはこの町と湖が一つ、それと教会だけなんて、国と言うには規模が小さすぎるような」


提督「ここは一応一国家として認知されているが、実態はニサン教の総本山ってだけらしいからな。
重要なのはそこだけで、産業や領土を発展させる必要もないんだろうさ」


夕立「……ん。提督さん、この建物だけ人の気配がするっぽい」


提督「うん?ならここが集会所なんじゃないか?」ガチャ


エリィ「誰!?」


金剛「私デース!」


バルト「おう、やっとご到着か!遅かったじゃねえか」


シグルド「向こう側の様子はどうだ?」


提督「敵の姿はなかった。こちらはどうなったんだ?」


シグルド「見ての通り、市街地一帯の制圧は完了した。だが肝心のシャーカーンの方は……」


夕立「どこにもいなかったっぽい?」


シタン「いえ、居場所は判明しています。その事に関してなのですが……」


〜先生説明中〜
522 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:21:44.65 ID:1FEgC3NPo
提督「シャーカーン不在の隙を突いてアヴェを奪還!?」


北上「ひええ、また随分と大胆な計画だねえ」


シグルド「王都奪還は我々の悲願だ。シャーカーンの暴走によって国内は混乱し、ゲブラー部隊も既に王都からは撤退している。
この機を逃す手はない」


加賀「しかしその場合、こちらの戦力を分散する事になります。その点はどうするのかしら?」


バルト「そこは心配ねえ。こっちに残ってシャーカーンの野郎を追うのは……そうだな、俺含めて三人で十分だ」


大鳳「三人!?」


榛名「流石に無茶なのではないでしょうか……?」


バルト「さっき先生が言ったが、奴が逃げ込んだのはアヴェの至宝が眠る地下の大霊廟だ。ご先祖様の墓を大人数で歩き回りたくもないからな」


大鳳「そんな事言ってる場合では!」


シタン「それだけではありませんよ。霊廟自体がアヴェの至宝、ギア・バーラー封印の為にあるのだとしたら、内部はかなり入り組んでいると思われます」


北上「狭い通路ばっかりなら人数差は関係ないって事?」


バルト「ま、そういう事だ」


大鳳「大丈夫でしょうか……?」


提督「シタン先生の言う事にも一理ある。ここは個々の戦力を信じてみよう」


バルト「時間が惜しい。そうと決まったらすぐに二手に分かれよう!霊廟へは俺とフェイと……」


フェイ「先生はどうだい?」
523 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:22:13.19 ID:1FEgC3NPo

シタン「私は、できればシグルドと共に王都奪還に加わりたいと思います。以前、ソラリスにいた者二人が『教会』の人間を追い落とす……。
これはなかなかの皮肉だと思うんですよ」


バルト「なるほどそいつはいいや。それじゃ、シグのこと助けてやってくれ!」


提督「教会の人間?シャーカーンの事か?」


リコ「ああ。ヤツはどうも『教会』の元教皇だったらしい」


北上「へえー初耳」


バルト「となるとこっちは……」


マリア「私にお手伝いさせて下さい。太古に封印された遺跡の事なら、おじいちゃんの知識が役に立つかも知れません」


フェイ「そうか、バルタザールのじいさんはそっち方面も詳しかったな。それじゃ頼むよマリア」


バルト「よぉーし、これで決まりだ!他のみんなはシグに協力してやってくれ!」


マルー「ちょっと待って、ボクも行くよ!」


バルト「ええ!?お前は来なくて……ああ、そうか。すまないマルー。一緒に来てくれ」


バルト「じゃあ、みんなよろしく頼むぜ!今度こそやつの息の根を止めてやる!」


提督「地上に降りてきたと思ったらいきなり国家争奪戦か。なんかどんどん話が大きくなってきてるな」


北上「あれ、アヴェって砂漠ばっかって話だよね?どんなところなんだろ」


榛名「榛名も砂漠は初めてです。砂浜が何倍にも拡がったような場所なんでしょうか?」


夕立「艤装が砂詰まり起こしそう……」


金剛「マリア!お互い頑張るネー!」


マリア「ええ、金剛さんもどうかご無事で。次はアヴェの町中で堂々とお会いしましょう!」


 ***
524 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/04/17(月) 22:24:23.15 ID:1FEgC3NPo
今回はここまで。本編もこのあたりに入るとやっと中盤って感じがします。まだ先は長いですが、よろしければお付き合いください。
次回はなるべく早く投稿します。それでは。
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/18(火) 00:22:00.60 ID:X6ccvZao0
乙。

金剛はマリア大好きだな
526 : ◆Idq7VgawO2 [sage]:2017/05/25(木) 04:39:13.61 ID:mwHma9r0o
お待たせしました。夜勤終わったので寝る前に投稿します。
527 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:39:55.72 ID:mwHma9r0o
〜アヴェ砂漠 上空〜


 ドォン ドォン

夕立「さっきより対空砲の着弾が近くなってきたっぽい」


大鳳「アヴェ本国にかなり近くまで来たという証拠でしょう」


榛名「もうすぐですね」


加賀「提督、そちらの準備は?」


提督(inギア)『大丈夫だ。作戦開始には間に合う』


北上「ちゃんとやっといてよ提督。私達も一緒に乗って降下するんだから」


提督『分かってるって。それよりお前達も作戦内容を確認しとけ』


夕立「もー、さっき聞いたばっかりなんだから忘れてるわけないっぽい」


榛名「ユグドラシルから発艦後、榛名達は左翼に展開」

大鳳「防衛戦を維持しつつ、敵の注意をこちらに引き付ける」

北上「その間に別働隊がアヴェ本国に潜入、直接王都を奪還する、でしょ。なんだか大雑把な作戦だよねえ」

夕立「そんな面倒くさいことしなくても、この艦ごとアヴェに乗り込んじゃった方が早いと思うっぽい」
528 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:40:21.48 ID:mwHma9r0o
提督『そんなことしたら町中ででっかい戦闘が始まっちまう。国を取り返そうって時にそんな事になれば後々禍根を残すだろうよ』


加賀「こちらの主戦力がフェイさん一行のギアである以上、戦術的にもあまり得策ではないわね」


榛名「この作戦は勝つためだけじゃなく、勝った後の事まで考えられているという事ですね」


提督『多分な』


北上「それはいいんだけどさ、なんか私達の負担が大きくない?左翼に付くのってほとんど私達だけなんでしょ?」


金剛「それ私も思ってたネー。正面にはリコとエリィ、右にはビリーとシタン。おまけにユグドラのギアがそれぞれガードに付いてるらしいデース。
それに比べるとちょっと厳しい気がするネー」


提督『そんな事はない。俺達は加賀さんと大鳳と俺で完全に制空権を握れるはずだ。それだけでかなり有利になれるだろ』


加賀「そう簡単に……」


金剛「いくとは思えないネー」


提督『シグルド副長から聞いたんだが、向こうの対空兵装はかなり原始的なものばかりらしい。それこそ今飛んできている対空砲がせいぜいな程度に、な。
こいつの機動性なら大丈夫だよ。と、よし。最終チェック完了』


加賀「そうは言っても……」


シグルド『こちらシグルド、そろそろ出てもらう事になるが、そちらの準備は?』


提督『今終わったところだ。いつでも行ける』


シグルド『了解、それならすぐにでも出てもらおう。左側面ハッチから出撃してくれ』


提督『了解だ。さあ、聞いての通りだ。今更どうこう言ってもしょうがない。皆移動するぞ』


金剛「しょーがないネー。その代わりテートクゥ、この間みたいな無茶は絶対にノーだからネー!」


提督『わかってるって。指揮を疎かにしたりはしないから安心しろ』


北上「そういうことじゃないんだけどなあ」


  ***
529 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:40:49.45 ID:mwHma9r0o
〜ギア用側面ハッチ〜


提督「……」ゴォォ


榛名『……ここから降りるんですか?』


提督「ああ」


夕立『この対空砲火の中?』ドォン


提督「ああ」


大鳳『ギアの手に乗って、ですか?』


提督「……ああ」


北上『……提督の操縦で?』


提督「しょうがねえだろ。もう作戦は始まってるし、シタン先生たちももう下で戦ってるんだ。今更やめられないだろ」


北上『大井っちじゃないけど、流石にこの作戦はどうかと思うなあ』


金剛『私はテートクを信じてマース!』


榛名『あ、榛名ももちろん提督を信頼してます!榛名は大丈夫です』


北上『いやそういう問題じゃないでしょ』


加賀『……出るなら早い方がいいと思いますが』


提督「あ、ああ。もうやるしかないな。行くぞ!」ギューン
530 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:41:15.51 ID:mwHma9r0o
北上『うわ!』


榛名『そ、外に出ました!』


夕立『わっぷ、砂で何も見えないっぽいー!』


提督「よし、すぐに降下するからしっかり掴まっててくれよ!」ヒュン

提督「おわ!」

北上『ひええ』

大鳳『至近弾!?』

提督「ユグドラ狙いの弾が逸れただけだ!とっとと離れるぞ!」

提督(当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように当たりませんように)


 ***
531 : ◆Idq7VgawO2 [saga]:2017/05/25(木) 04:41:46.09 ID:mwHma9r0o
今回はここまで。
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/23(金) 12:21:02.07 ID:hL0NVckzo
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/24(月) 22:57:43.20 ID:UPBw9YCoo
やっと追い付いた乙
せっかくだからメモリアルアルバムで情景を確認しながら読ませてもらってる
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/04(水) 10:40:15.33 ID:AtPt/aGIo
(´・ω・`)
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/23(月) 13:48:43.67 ID:+cK8BMdbO
止まるんじゃねえぞ・・・
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/07(木) 16:02:08.06 ID:JS5qw3ux0
(´・ω・`)
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/13(土) 22:04:22.06 ID:1gq37DbZ0
保守
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/05(月) 22:03:52.16 ID:9XiRYeGg0
保守
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/05/07(月) 19:15:33.67 ID:ejLDjNz10
保守
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/03(火) 07:08:59.22 ID:Qk5mhn/80
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