ほむら「幸せに満ち足りた、世界」2.5(まど☆マギ×禁書)

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228 :幸福咲乱 ◆5sHeUtvTRc [saga]:2017/03/26(日) 01:42:09.84 ID:34/MwJ0P0

 ×     ×

オービット=ポータル社のトップルームで、
レディリー=タングルロードは
PCのデスクとホロスコープを行き来していた。
部屋は展望仕様であり、その設備は天文台にも等しい。

「エンデュミオンにはセレネの竪琴を授けましょう」

ホロスコープの上にはいくつものカード、写真入りカード。

「何もない、相変わらず曇り一つない」

ホロスコープを見ていたレディリーが結論を言った。

「それでも、法則の変わる場所で、
少しでもそれに近い者達が奏でる竪琴が奇蹟の歌と出会うとしたら?」

言いながら、レディリーはカードを移動する。

「あれは、何だったのか?
本来の配置を行う事はヴァルハラの門を開く、とでも言うのか?」

同じ位置に並べ替えたカードを、少しの間注意深く観察する。

「だが、やはり、何もない。何の問題も無い。
光り輝く幸せに満ち足りた世界が続くばかり。
科学にせよ魔術にせよ、現実的に大きなリスクは丸で見えない。
そして、マギカも、私達自身が及ぼしたリスク以外は。
そして、それすら容易に修復されている模様」

レディリーが、ぐしゃぐしゃとカードをかき回す。
229 :幸福咲乱 ◆5sHeUtvTRc [saga]:2017/03/26(日) 01:45:45.11 ID:34/MwJ0P0

「では、何を感じた? 只の自意識過剰?
じゃあ、あのヴァルハラは何だと言うのだ?
私ほどの魔術、そして、あの高度な性能のマギカにすら、
形あるものは片鱗すら掴ませない。
それ程に高度な隠蔽が存在する、とでも言うのか?
それが出来るとするなら、
魔術、マギカすら……いや………」

レディリーは、ホロスコープから顔を上げた。

「だとすると、そんなものが私達に察知出来るものか、
例え違和感の欠片であってもだ。
もし、だとするならば、
そうなる程に不安定な何かが起きているとでも言うのか………」

少しの間考え込むレディリーだったが、
程なく、にいっと口角を上げていた。

「まあいい、あなた達の大好物を携えて、
これより天上に使わそう。
わざわざこれを、これ程に優れた星の流れを壊そうと言う程、
Mな趣味は持ち合わせていない。
では何なのか、不安の源を見せてもらおう」

ホロスコープの中央に、一対の写真が並べられた。

「それはマギカの素質でもあるのかしらね?
その輝きは、丸でアポロンの加護。
そして、一対の、丸でアルテミスの様に」
230 :幸福咲乱 ◆5sHeUtvTRc [saga]:2017/03/26(日) 01:49:09.69 ID:34/MwJ0P0

ーーーーーーーー

いで………

ないで………

かないで………

「まどかっ!!!!!」

暁美ほむらは、叫びと共に跳ね起きた。

「何?」

真っ暗な部屋、一人暮らしのいつものベッド。
寝起きでぐちゃぐちゃの頭の中で現実のピースをはめ直す。
そして、自分の両方の頬がつーっと濡れている事に気づく。

「嫌な夢でも、見たのかしら?」

ほむらは一人ごちるが、それでも、覚えてもいない悪夢の後遺症なのか、
僅かに呼吸が弾んでほろほろと涙が溢れ、寝汗も気持ち悪い。

ぐいっとパジャマの腕で顔を拭うと、
一人暮らしの気楽さでそのままシャワールームに直行して
全身まとめて諸々洗い流す。
231 :幸福咲乱 ◆5sHeUtvTRc [saga]:2017/03/26(日) 01:52:45.97 ID:34/MwJ0P0

一息ついて、温かなベッドに入る。
ほむらは改めて考える。嫌な夢でも見たのだろうか。
あんな誘拐事件があり、そして、ごたごたと危うい事があれば、
悪夢の一つを見ても仕方がない。

レディリーは、まどかを家族ごと人質にした、
その事に就いて、未だ何の保証もされていない。
只、何も起きない状態が続いているだけ。

美樹さやかの大事なコンサートも終わった、
そろそろ抜本的な事を考える時期だろう。

「何だったんだろう?」

ほむらは、ふと思い出す。
旧あすなろ工業団地での救出作戦の一幕。
何者かの襲撃の結果、詩音千里と成見亜里紗が危険な状態となり、
そんな中で、まどかが、

「………」

ほむらはガバッと布団を被り、
脚の動きに合わせてバタバタと掛け布団が跳ね上がる。

「まどか」

すっ、と、布団から目だけを出したほむらが口に出す。
232 :幸福咲乱 ◆5sHeUtvTRc [saga]:2017/03/26(日) 01:56:05.59 ID:34/MwJ0P0

「まどか、美樹さやか、マミ先輩、佐倉杏子………」

みんな、大事な友達であり仲間。
時には共に死地を潜り、背中を任せ、
楽しい日常を共にする大切なみんな。
それを壊そうと言うのなら、
決して譲らない。それは今のほむらにとって余りにも当たり前の事。

「まどか、の、家族………」

お邪魔した事があるが、温かな家族だった。
それを、仲間の友達の家族を魔法少女の抗争に巻き込むと言うのであれば、
仲間として友達として、全力で守り抜く。
それは当然の事、と、ほむらは心の内で確認する。

そして、ほむら自身の事も
そろそろ両親の準備も整う、また、家族一緒の生活になる。
まだまだ人恋しい年頃にそれは嬉しい事ではあるが、
では、魔法少女の方はどうするか?

まあ、過去には何とかして来た訳だからどうにかなるが、
気楽な一人住まいにも慣れた手前、考えなければいけない。

そうだ、全ては上手くいく。
レディリーの事も、不安ではあるが実際はそうでもないかも知れない。

実際に、魔法少女、自分の知っているグループだけでも、
この勢力をこれ以上怒らせる程レディリーは馬鹿ではない。
単純な理屈だが説得力はある。

もう少し、気楽に考えてみよう。
暁美ほむらは、輝く明日に向けて呼吸を整える。
静かな寝息を立て始め、もう、悪夢は見なかった。

ほむら「幸せに満ち足りた、世界」

第二部―了―

第三部に続く
233 :幸福咲乱 ◆5sHeUtvTRc [saga]:2017/03/26(日) 01:59:45.13 ID:34/MwJ0P0
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後書き

ここまでお読みいただいた読者様に御礼申し上げます。

この進行具合は言い訳の種も尽きた状態で、
只、申し訳ありません。

せめて昨年末に第二部だけでも、
と思いつつ個人的に力尽きました。

最初から三部構成の予定で現状変えるつもりもないのですが、
この手の予定を言って当たった試しがない、と言うのも
私の場合実際ですのでその辺りは。

今回はここまでです>>223-1000
続きは折を見て。
234 :幸福咲乱 ◆5sHeUtvTRc [sage]:2017/04/24(月) 12:59:06.20 ID:mFj0ahpg0
生存報告です
235 :幸福咲乱 ◆5sHeUtvTRc [sage]:2017/05/20(土) 01:49:36.94 ID:4xW2/Nn80
生存報告です
236 :幸福咲乱 ◆5sHeUtvTRc [sage saga]:2017/06/05(月) 22:44:13.53 ID:DRD62RRt0
第三部開始に就き
次スレに移行します。

ほむら「幸せに満ち足りた、世界」3(まど☆マギ×禁書)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496667140/

それではHTML依頼行って来ます
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/12(水) 17:12:46.39 ID:U+4dJS0M0
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