他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
ほむら「幸せに満ち足りた、世界」2.5(まど☆マギ×禁書)
Check
Tweet
1 :
暗黒史作者
◆FPyFXa6O.Q
[saga]:2016/01/03(日) 02:35:32.02 ID:FQv2s0UF0
Happy New Year!!!
………何と言いますか、すいません。
別スレに手を出して、
そろそろ平行作業入れるかと言う矢先に作者の私的な機能停止とスレ落ちと言う次第で。
改めまして、本作は
「魔法少女まどか☆マギカ」
と
「とある魔術の禁書目録」
及びその外伝のクロスオーバー作品です。
前スレ
ほむら「幸せに満ち足りた、世界」2(まど☆マギ×禁書)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1435465986/
過去スレ
ほむら「幸せに満ち足りた、世界」(まど☆マギ×禁書)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419447208/
二次創作的アレンジ、と言う名の
ご都合主義、読解力不足
分野によっては考証を勘と気合で押し切る事態も散見される予感の下、
まあ、数学とかもアレな世界だしとか若干の言い訳をしたりしなかったり
本作第二部の続きとなります。
年始特番的なノリとタイミングでまずは区切りのいい所まで投下、出来たらいいなと。
それでは今回の投下、入ります。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1451756131
2 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 02:41:33.13 ID:FQv2s0UF0
==============================
× ×
土曜日、上条恭介は、
ホオズキ市内の屋敷の正門でインターホンを押していた。
恭介の自宅も見滝原市内では立派な部類に入るのだが、
目の前の屋敷は明らかに一つ上の存在感を放っている。
「はーい」
「あの、上条です」
「今、開けるから入って」
電子ロックを解除され、恭介は正門から玄関に進みインターホンを押す。
「どうぞー」
恭介が扉を開き、玄関に入る。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
そんな恭介を、奏遥香が出迎える。
その美少女の眩しい笑顔は、
同年代の少年のハートであればまず一撃食らわせる事が出来る威力。
恭介も又、特技以外、そちらの感性に於いては只の平凡な中学生に他ならない。
「上がって」
「お邪魔します」
促され、恭介は邸内に入る。
手入れの良さそうな長い髪に白いワンピースの遥香は、
いかにも清楚なお嬢様と言った雰囲気。
と、言語化できるかはとにかく、恭介の感性にそう響く。
案内された先で、恭介は促されるまま応接セットのソファーに掛ける。
「お待たせ」
声と共に、どこか温かで甘酸っぱい香りが漂う。
3 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 02:46:48.70 ID:FQv2s0UF0
「どうぞ。アップルティーとタルト・タタン」
「いただきます」
「どうかしら?」
「美味しいです」
当然と言うべき返事だったが、それは素直な本心。
少なくとも、素人としては十分な技量に基づく一品だった。
「良かった。丁度いい紅玉があったから」
「美味しいです」
美味しい林檎のスイーツをもぐもぐいただきながら、恭介の記憶にふと触れるものがあった。
ごく最近の記憶であったが、それを口には出さない。
出さなかったのはたまたまに過ぎない、
と言うぐらい、些か疎い向きのある恭介であったが、
そこは結果良ければ全てよし。
その間に、遥香は部屋のカーテンを閉じる。
カーテンを閉じて薄暗くなった室内で、
用意を終えた遥香は恭介の隣に座っていた。
× ×
至福の時間が過ぎ、恭介はふーっとも、ほーっともつかぬ息を吐いていた。
「良かった」
「はい」
遥香の言葉に、恭介は応じた。
「もう一杯、お茶を用意するわ」
「いただきます」
立ち上がった遥香が、今度は普通の紅茶を用意して戻って来る。
少なくとも、一山幾らで湯の中に糸で吊るす類の紅茶でない事は確かだ。
4 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 02:52:15.33 ID:FQv2s0UF0
「まだ誰もが無名だった学生時代、
友人の自主製作映画にグループで演奏に加わった。
今となっては、映画も、音楽も、とてつもないとしか言い様のないメンバー」
「やっぱり、素晴らしかったです。
後から見たら粗削りで稚拙な所があっても、
でも、勢いがあって力強くて、何よりも面子が信じられない」
ホームシアターで、まだ頬の紅潮が見える様な恭介の言葉を聞きながら、
遥香はにっこり頷いた。
「商品化の話は何度もあった。
だけど、権利関係の問題とかでどうしても叶わなかった。
関係者と仕事をした伝手で姉さんが持っているのを最近知って、
上条君なら絶対食い付いて来るだろうって」
「ありがとうございましたっ!」
ソファーに掛けたまま深々と頭を下げる恭介を、遥香はくすくす眺めていた。
「と、言う訳で、姉の七光りだけどね。
それでも喜んでもらえて光栄です。
何より、将来有望な上条君がこれに触れる事が出来て、
姉さんに頭を下げたかいがあった」
「そう言えば、カナタさんは?」
「お仕事よ。両親も揃って文化事業の会合に出席してる」
「そうですか」
「………そろそろかしら」
「?」
遥香が閉てた指を唇に当てる。
それと共に聞こえてきたのはヴァイオリンの音色。
弾き手も、その録音を伝える機材も素晴らしいの一言。
再び、恭介は潤んだ目を見開き、頬を紅潮させた。
「………やっぱり、凄い………」
演奏が終わり、ほーっと息を吐いた恭介がぽつりと言った。
5 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 02:55:41.52 ID:FQv2s0UF0
「そうね」
「音質を気にしなければ大抵のものは聞けますけど、
やっぱりこうやって聞くと………」
「聴いた事、あった?」
遥香は、やや意外そうに尋ねた。
「ええ。………版ですけどCD持ってますから、
時間があったらよく聞いています。
でも、この版をこの設備で聴けるなんて、最高です」
「それは良かった。でも、流石ね。
それですら、中学生で持ってる人なんてまずいないでしょう」
「そう、ですね………」
何か思い出した様な恭介の少々やんちゃな笑みを、
遥香は横で少し眩しそうに眺めていた。
「上条君」
「はい」
遥香に呼びかけられ、ソファーに隣同士で座りながら、
恭介と遥香は互いに横を向いて正面から顔を見合わせた。
==============================
今回はここまでです>>-1000
続きは折を見て。
6 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 12:49:26.21 ID:FQv2s0UF0
引き続き今回の投下、入ります。
==============================
>>5
× ×
「次は、何がいいかしら? そうね………」
言いかけた所で、
二人はしんと静まっていたホームシアターに響く物音に気付き、そちらを見る。
「ただ今」
「姉さん」
「カナタさん」
ドアを開いて現れたのは、スーツ姿の奏可奈多だった。
「やっぱりここにいた。まだ、映画の途中だったかしら?」
「映画の後の音楽鑑賞会」
「そう、じゃあカーテン開けましょうか」
「そうね」
遥香の返答を聞き、可奈多がシャッとカーテンを開ける。
「こんにちは、上条君」
「はいっ! 素晴らしいものを聞かせていただいて、ありがとうございましたっ!」
可奈多から魂を根こそぎ奪い尽くさんと言う魅惑の微笑を向けられ、
恭介は直立不動から一礼していた。
「姉さん今日仕事だって」
「ええ、だから仕事して帰って来たの。
一日かかる様なものじゃないわ」
「そう」
「上条君これから暇?」
「え?」
7 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 12:54:30.56 ID:FQv2s0UF0
× ×
奏可奈多の運転する車は、コインパーキングに駐車した。
可奈多を先頭に、車を降りた遥香と恭介は駐車場を出て少し歩く。
ちらほらと食堂や飲み屋が見える街並みを歩き、
ビルの入り口からそのまま地下への階段を下りる。
ドアを開けると、強烈なフォーンが三人を歓迎した。
「やあ、いらっしゃい」
「こんにちは」
ドアの向こうの喫茶店で、可奈多、遥香と初老のマスターが挨拶を交わす。
「ジャズ喫茶、ですか?」
「そう、来た事あったかしら?」
「いえ」
「そう。ま、そっち座ってて」
可奈多と恭介が言葉を交わし、恭介と遥香は促されるままにボックス席につく。
「ブラッドオレンジジュース、あなた達は?」
「私もそれでいい」
「僕も」
「ブラッドオレンジ三つとソルトピーナッツ」
「はいよ」
マスターが気さくに応じ、用意を始める。
恭介が改めて周囲を伺うと、ジャズ喫茶とはこういうものかと、
なんとなくイメージ通りにも思える。
結構な音量のジャズレコードが響き、ぱらぱらと客も入っている。
「お待たせ」
「有難うございます」
出されたものを摘みながら、
恭介は折角の機会なのでレコードに耳を傾ける。
8 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 12:59:48.80 ID:FQv2s0UF0
「上条君」
「はい」
遥香が、そんな恭介を正面から見て声をかけた。
「上条君、
私がクラシックだと姉さんにかなわないからジャズを始めた、
って思った?」
「え? えっと………」
「ふふっ、正直ね。ま、そういう所が全然ないとは言わない」
「………」
「このお店、父と母の青春の場所なんですって」
「じゃあ、この店に二人で?」
「そうみたい。
もう随分昔の事ね、私もピアノで煮詰まってた時、
察してくれたのか、父が私をここに連れて来てくれた。
麻疹、お蔭で大分良くなったわ」
「そうですか」
「大体、この間聞いたでしょう。
ジャンルを変えたぐらいでどうこう出来る人じゃないって」
ついっと遥香が視線を向けた先では、
二人に背を向ける形で、可奈多がマスターと立ち話をしている。
確かに、それだけでも圧倒的なオーラが伝わってくるのだから仕方がない。
そのマスターが、ボックス席に近づいてきた。
「上条恭介君」
「はい」
「見せたいものがあるんだけど」
遥香が小さく頷き、恭介は立ち上がる。
マスターに付き合い、店内の一角に移動する。
そこで渡されたものは、恭介にとっては馴染み深いケースだった。
マスターの視線を追うと、そこには写真立て。
9 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 13:05:10.64 ID:FQv2s0UF0
「これって………この店ですよね?」
「ああ、学生時代からの常連さんだ。
今でも時々弾いていく」
恭介は、自分が知っているのよりもずっと若い、
恭介とは畑違いであるが好感を持っている
女性ジャズヴァイオリニストの写真を眺めてからケースを開く。
「………いいですか?」
「ああ、カナちゃんの紹介だからね」
恭介がケースからヴァイオリンを取り出し、弓を弾く。
高価なものではないが、
十分に手入れされ弾き込まれている、温かで好感が持てる出来だ。
その時、ぱち、ぱち、ぱち、と、店の客から拍手が起きる。
恭介がその気配を追うと共に、
いつの間にかレコードは止まり、その代わりに生のピアノ演奏が店内を席巻する。
演奏者は奏遥香、恭介と初めて会った時、最初に弾いていた曲、ではあるが、
「驚いた?」
そう、恭介に声をかけたのは奏可奈多だった。
「あの娘、外ではあの曲ちょっと女の子っぽく弾くでしょう。
だけど、本当はこの方が好きだし得意なの」
そして、それは恭介もそうなのかも知れない。
スタンダードで、男性的な程に挑む様な力強さ。
遥香の演奏は力一杯恭介の感性に迫って来る。
「昔はちょっと引き気味だったんだけど、
あれで結構負けん気強いからね。
それを御するってなると大変だよ。
だが、それがいい」
腕組みしてうんうん頷く可奈多の言葉そのままに、
ぐいぐい引き付ける激しくも艶やかな演奏はあっと言う間に過ぎていく。
10 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 13:08:28.04 ID:FQv2s0UF0
「Attention please」
一曲弾き終えた筈が、
何か同じ曲の前奏の様なものを弾きながらそうコールした遥香と恭介の目が合った。
元来、上条恭介は些か気難しい所もあるが荒々しいタイプの少年ではない。
或は、身近な女の子の方が力強いタイプだったため、
自然と逆に性格が触れたのかも知れない。
だが、それでも、ここは譲れない、と言うものは持っている。
ピアノの側に歩を進めた恭介に、
奏姉妹は不適な笑みをもって応じる。
再び、力強い演奏が始まった。
力強くも繊細で、艶やかでいて男性的な二重奏は、
拍手喝采を以て店中から迎えられた。
× ×
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ、いいものを聞かせてもらったわ」
ビルの入口近くで、恭介と可奈多が言葉を交わす。
「ちょっと済ませたい用事あるんだけど、
何なら二人で先帰ってくれるかな?
この辺ならこの娘が案内できるから
それとも、やっぱ先に送った方がいい?」
「私は構わないけど、上条君は?」
「ええ、僕も大丈夫です」
「そ、じゃ、悪いわね」
「有難うございました」
11 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 13:12:42.28 ID:FQv2s0UF0
× ×
逢魔が時、魔を狩る二人の少女が、ホオズキ市の繁華街周辺を見回っていた。
「あーあー、どうせだったらさっさと見つかんないかなぁ」
本日の反応の鈍さに、成見亜里紗が腕を頭の後ろに組んで声をあげる。
その側で、詩音千里はふうっと小さく嘆息して歩を進める。
「?」
その千里がふと足を止め、亜里紗がそれに気づく。
ぱちくりと瞬きする千里の視線を亜里紗が追った。
「あれって?」
「………」
亜里紗が、通りの向こうに見える、
見覚えのある先輩を交えた二人組に目を凝らす。
「へぇー、もしかしてなんかいい感じ?」
「………」
× ×
奏遥香にバス停まで案内してもらい、
上条恭介は無事見滝原の帰路に就いていた。
「上条君」
「ああ、志筑さん」
もうすぐ自宅、と言う路上で、恭介は志筑仁美と遭遇した。
「お出かけでしたの?」
「うん、ちょっとね」
「そうでしたか………」
「じゃ、明日………明後日、学校で………」
「はい………」
挨拶を交わし、恭介はすれ違い歩を進める。
12 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/03(日) 13:16:22.97 ID:FQv2s0UF0
「………お待ち下さいっ!」
「?」
叩き付ける様な声に、恭介は振り返る。
その恭介に、びっ、と、何かが差し出された。
「明日、あすなろプールのリニューアルオープンでチケットが手に入りましたの。
それで、是非上条君とご一緒に………」
「………」
「ごめんなさい、コンサートも近くてお忙しい時でしたわね」
「いや」
仁美は、意外な声を聴いて視線を上げた。
「明日だよね」
「はい」
「うん、一緒に行こう。
明日は自主練だけだから少しそういう時間も欲しかった」
「本当ですの?」
疑う訳ではないが、嬉しさ故に確かめずにはおれない。
「うん」
それは、仁美が手と手を組んで歌い上げたくなる様な恭介の微笑みだった。
さあ、帰宅したら改めて吟味しよう。
それは、戦いに挑む鎧、武器であると共に戦場の華。
決して後悔等しない様に、未だ十分には程遠くても、
女の知恵の粋を尽くす今がその時。
==============================
今回はここまでです
>>6-1000
続きは折を見て。
13 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
:2016/01/03(日) 16:29:37.21 ID:FLseByhfO
【このスレは無事に終了しました】
よっこらしょ。
∧_∧ ミ _ ドスッ
( )┌─┴┴─┐
/ つ. 終 了 |
:/o /´ .└─┬┬─┘
(_(_) ;;、`;。;`| |
【放置スレの撲滅にご協力ください】
これ以上書き込まれると
過去ログ化の依頼が
できなくなりますので
書き込まないでください。
SS速民一同
【糞スレ撲滅にご協力ください】
14 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/22(金) 00:34:56.12 ID:iGnM/Ek50
それでは今回の投下、入ります。
==============================
>>12
× ×
「もしもし」
日曜日午前、上条恭介は、待ち合わせ場所に向かう途中で
自分のスマホに一本の電話を受けていた。
「もしもし、上条君?」
「志筑さん」
「ごめんなさい、朝稽古の帰りに電車の事故がありまして、
少し遅れそうです」
「どれぐらい?」
取り敢えず、待ち合わせ場所と時間は折り合う事が出来た。
「申し訳ございませんが、先に入っていて下さいまし」
「うん」
× ×
「おーい」
そういう訳で、本日リニューアルオープンのあすなろ市内の総合遊泳施設、
通称あすなろプールを一足早く訪れた上条恭介は、
さてどこで泳ごうかと動き出した頃合いで、呼びかける声を聞きそちらに顔を向ける。
そちらでは、ビーチチェアの上から、水着姿の女性が口元に笑みを見せて手を振っていた。
「よっ」
「あ、どうも」
鹿目詢子は、ラベンダーカラーの水着姿で、
ビーチチェアの上でサングラスをずらしてニッと笑う。
恭介もなんとなく知り合いだと思い当たってはいたが、
それを見てようやく頭で理解する。
15 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/22(金) 00:40:22.47 ID:iGnM/Ek50
「上条君も来てたんだ」
「はい。おばさんも」
「ああ、ファミリー券もらったからね」
「じゃあ、まどかさんも?」
「いんや、まどかは先に友達と予定入れてたとかでさ、
だから今日はまどか抜き」
「そうでしたか」
「さて、と、あたしも日向ぼっこはこの辺にしとくかな」
そう言って、詢子は右腕を掲げ、んーっと伸びをする。
「ああ。ま、まどかと仲良くしてやってくれよ」
「はい」
「………一応言っておくが、
仲良く、って言っても節操持ってだからなモテ男。
まあー、まどかもそんなネタになるぐらい色気づいてくれりゃいいんだけど」
「あははは」
割と古い知り合いの、元々がむしろ恭介自身より男っぽいのではと言う
陽性の友人の母親にからりと言われ、恭介も笑って受け流す。
それを見て、詢子も微妙に戦闘的な笑みで釘をさす。
「おーい」
「まーまー」
「それじゃあ、僕は」
「ああ」
踵を返す恭介が軽く手を挙げ、
愛する家族の声を聞いた詢子はビーチチェアから軽く飛び降りる。
16 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/22(金) 00:45:51.71 ID:iGnM/Ek50
「あれでコブつきかよ」
「上級者向けだな」
プールサイドで立ち上がり、んーっと伸びをした詢子を見ながら、
プールの中では小さく毒づいた後輩にショウさんがふっと戦闘的な笑みを浮かべる。
仮想ターゲットは、どこぞのバリキャリと言っても通用するであろう、
さっぱりと活動的なショートボブも好印象のいい女。
通用する、と言うか、と言う辺りは知らないのだから仕方がない。
ショウさんに言わせれば、まず、お子さんがいる様には見えませんね、と言う事になるだろう。
但し、その点で詢子の家族構成を完全に知れば、流石のショウさんも少々驚いて
七割本気を120%本気に引き上げてその称賛を言ったかも知れない。
水着のデザインは、前から見るとホルタービキニの上下を同じ布で繋いだ様なもの。
小娘一捻りの力強さと見た目二十代もアリかも知れない若々しさを兼ね備えて、
両サイドのざっくり抉れたモノキニに近い水着を
無理すんな感を欠片も見せずに着こなして見せている。
価値はある、と、上級者たるショウさんは確信するが、
リスクから言っても今はその時ではない、となる相手だ。
何よりも、とっかかりとなる欲求不満が欠片も見えない。
ここは、その野郎に敬意を表し引き下がる所だ。
× ×
「あらあら、降りられなくなったのかしら?」
あすなろプールの一角で、水着姿の宇佐木里美が、
結構高い立ち木の前に立って何やら話しかけている。
誰かがそれを聞いていたならば、
独り言を言っている様にしか聞こえなかっただろう。
里美の視線の先には、見上げた先の枝に蹲る子猫の姿が。
友達と遊びに来たと言う事で、今の里美は水着姿。
簡単に言えば、彼女の魔法装束のスカートをフリル程度にバッサリ切って、
ノーマルタイプのワンピース水着の下半身と合体させた様なデザイン。
基本、木登りには余り向いている格好ではない。
だからと言って、割と人通りもある中、この用件で変身、
と言うのも流石に気が引ける。
17 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/22(金) 00:51:15.59 ID:iGnM/Ek50
「踏み台でもないかしら」
里美は、困った顔できょろきょろと周囲を見回す。
「これでいいですか?」
そんな里美の背後から話しかけたのは、
プラスチックの酒函をぶら下げて現れた上条恭介だった。
「あら、有難う」
里美は函をあっさり受け取ると、木の下に函を置いて立ち上がる。
「大丈夫、こっちよ。おいで」
そして、腕を伸ばして優しく呼びかける。
動物の扱いに慣れてそうだ、と、恭介がなんとなく感じる話し方だ。
「うふふっ」
そして、子猫は恐る恐る下へと移動し、
にゃんころりんとばかりに木から飛び降りて、
そのまま着地した里美の胸元で抱き留められた。
「良かった。もうあんまり危ない事しちゃ駄目よ」
優しく語り掛けるその姿を、本当に猫と話している様だ、
と、恭介は微笑ましく眺めている。
「ありがとう、手伝ってくれて」
「いや、大した事は」
胸に猫を抱いたままにっこりと礼を言う里美に恭介が応じる。
実際の所、もうちょっと早く事態を把握していたのだが、
それなりに優しい少年であると同時にコンサートを控えたヴァイオリニストの卵として、
素性も気性も知れない猫の相手は躊躇していた、と言うのが実際だった。
「里美ーっ」
「それじゃあ」
そして、里美は遠くで呼びかける声を聴き、その場から立ち去っていた。
18 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/22(金) 00:54:59.16 ID:iGnM/Ek50
× ×
「ふーっ」
ひと泳ぎしていた恭介がプールサイドに手をついて水からあがる。
えらい美人がそこにいた。
恭介の目の前では、しゃがみ込んだ奏可奈多がにこにこ笑って水から上がる恭介を見ていた。
「はぁい」
「カナタさん」
立ち上がる恭介に合わせて、可奈多も立ち上がって軽く手を挙げた。
「やっぱり上条君」
「ハルカさんも」
その側から、奏遥香も恭介に声をかけた。
「今日は二人で?」
「姉さんは仕事」
恭介の問いに遥香が答える。
「ここのリニューアル、姉さんも仕事で少なからず関わってるの。
だから、さっきまでちょっとインタビュー受けてたの。
若干読者サービス入りの記事になるわね」
遥香が言い、共に水着姿の姉妹でふふっと笑い合う。
確かに、奏可奈多はこの世に似合わないものを探す方が難しい
抜群のプロポーションを備えた最強クラスの美人であるが、
今日はクラシックコンサートのドレスを思わせる濃いワインレッドのワンピース水着。
ドレスを基に例えるなら、スカートをばっさり切って
シースルーのミニスカート状態に変換し、その下はハイレグのワンピース。
可奈多の大人の美女の魅力を一欠落とて殺す事はしていない。
19 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/22(金) 00:58:07.45 ID:iGnM/Ek50
「ハルカさんは?」
「うん、これからちょっとお友達と。
姉さんがこっち来るって言うから送ってもらったの」
そう言って遥香はにっこり笑う。
遥香の方はトップスがクリーム色ボトムスが黒のハイネックビキニ。
こちらもすらりと背の高い、全体に見栄えのするプロポーションに、
健康的なスポーティーさも備えたデザインがよく似合う。
「そうでしたか」
「じゃあ、私はこれから取材だから」
「うん。じゃあ、私も待ち合わせに」
「そうですか」
それぞれが自分の予定で動き出し、小さく手を振って恭介と別れた。
==============================
今回はここまでです
>>14-1000
続きは折を見て。
20 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/23(土) 03:55:49.04 ID:omF0MHMp0
それでは今回の投下、入ります。
==============================
>>19
× ×
「上条先輩?」
ひと泳ぎしてプールサイドを歩いていた恭介が、その声に足を止めた。
「上条せんぱーいっ」
恭介がそちらを見ると、フリルトップが可愛らしい感じの
タンキニ水着の女の子が手を振っていた。
「確か、茜ケ崎の」
「はい、日向茉莉です」
そちらに歩み寄って尋ねた恭介に、茉莉が明るく答える。
「こんにちは」
茉莉の斜め後ろで、
色白の頬に若干の赤みを増した天乃鈴音がミリ単位で頭を下げるのを発見し、
恭介は優しく笑って挨拶する。
それを見て、鈴音はすすすと移動し、改めてぺこりと頭を下げる。
鈴音は、彼女の魔法装束にも似ている黒と白を合わせたプリントの、
トップスはフルカップに近いスポーティーにも見えるミニスカートつきビキニを着用していた。
「ほおずきからこっちに」
「はい。見滝原からも来てるんですね」
頭を上げても視線は下向きの鈴音の側で、恭介と茉莉がのんびりと世間話を交わす。
21 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/23(土) 04:01:19.40 ID:omF0MHMp0
「ここにいたんですか」
そこに、更にもう一人、水着姿の女性が近づいて来る。
「お友達ですか?」
「上条先輩。この間、見滝原に音楽聞きに行った時に。
すっごくヴァイオリン上手なんだよ」
「そうでしたか」
会話の合間に、天乃鈴音の首がミリ単位で下に動き、
美琴椿はそれを鋭敏に察してにこっと微笑みを向けていた。
「お姉さん?」
屈託なく会話する茉莉と美琴椿を見て、恭介が尋ねた。
年上と言うか成人、低く見ても大人びた高校生なのは間違いないとして、
紅に近いオレンジ色のクロスホルターのワンピース水着は
スタイルのいい妙齢の美女によく似合っている。
「んー、保護者、かな?」
「ああごめんなさい。美琴椿です」
「上条恭介です」
そうして、恭介に向き直った椿と恭介が互いに一礼する。
その側で、すすすっと移動していた歴戦の戦士天乃鈴音が、
冷徹に戦況を分析するのと同じ目で恭介の視線の動向を把握する。
「マツリーっ、何やってんのーっ?」
「すいません、友達待たせてるから」
「うん」
遠くから声が聞こえて、茉莉が慌てて動き出す。
その側で、鈴音が踵を返しながら小さく頭を下げ、
恭介がにっこり微笑みを返すと、
鈴音は僅かに足を止め、そして、つつつと茉莉の後を追う。
「仲良くしてあげて下さいね」
「はい」
ふふっとほほ笑む椿に恭介はほぼ社交辞令、特に考えもなしに返答し、
椿はふうっと小さく息を吐きやや困った笑みを浮かべて後を追った。
22 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/23(土) 04:06:31.25 ID:omF0MHMp0
× ×
さてどこかのプールに入ろうかと恭介がプールサイドを移動していると、
小さな女の子がトテテと動き回っていた。
あっちこっち動き回りながら、きょろきょろと周囲を見回している。
「………う………ええ………うえぇえぇーーーーーんんんっっっっっ!!!」
「えーと、もしかして、迷子?」
しゃがみこんだ恭介が尋ねると、千歳ゆまはこくんと頷いた。
「そう。じゃあ、ちょっと………あっちの売店で聞いてみようか」
恭介の言葉に、千歳ゆまはこくんと頷いた。
「あらあら」
「おりこ」
ぱたぱたと駆け付ける気配と共に、ゆまが喜色を浮かべた。
恭介がそちらを見ると、水着姿の少女がこちらに向かって来ていた。
恐らく恭介よりも年上だろう。
前から見るとワンショルダーのビキニの上下を細い三角の布で斜めに繋いだ様な、
モノキニの範疇に入る水着と本人の素晴らしいマッチングもしかり。
恭介が少々圧倒されるぐらい、大人びた美女と言った雰囲気を解き放っている。
「お姉さん?」
「保護者です」
「おりこー」
恭介の質問に、駆け付けて来た水着姿の少女が応じる。
確かに、迷子ちゃんも懐いているらしい。
「そうですか、売店で迷子センターの事聞こうと思って」
「そうでしたか、有難うございました」
「ありがとー」
美国織莉子とゆまが頭を下げ、恭介もそれに応じた。
織莉子がゆまに向ける眼差しは優しく、年相応の素直さも見えるが、
その微笑みの気品は恐らくいい所のお嬢様。
割とそちらに縁のある恭介は何となく感じ取っていた。
23 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/23(土) 04:11:39.83 ID:omF0MHMp0
「おりこーっ、見つかったかーい?」
「ええー、大丈夫。
それじゃあ、有難うございました」
「ありがとー」
織莉子が相変わらず気品溢れる微笑みと共に踵を返し、
友人の呉キリカ、間宮えりかが待つ方向に歩き出す。
その織莉子に手を引かれたゆまは恭介ににこにこ手を振っていた。
× ×
キャッキャッアハハハ
連れが遊んでいるプールのプールサイドで一休みする美国織莉子は、
銀色がかった白い水着姿でビーチチェアに身を横たえ、
カップに入ったドリンクのストローに口をつけていた。
そして、サングラスをちょっとずらすと着信した携帯に出る。
「もしもし、そっちはどうだい?」
「ええ、楽しんでるわ。
そちらこそモモさんの具合は?」
「ああー、残念がってるよ、この分だと大丈夫だろ」
「それは何よりです」
「悪いな、チケット手に入って
こっちで行く予定がモモは熱出してあっちの爺さんも腰やっちまって」
「お大事に」
「おーい、織莉子ーっ」
「おりこー」
「織莉子さーんっ」
「はーい」
電話を切って、んーっ、と、体を伸ばした所で一斉にお呼びがかかる。
織莉子がすくっと立ち上がり、改めて体を伸ばすと
目の前のプールを中心に少なからず視線がそちらに集まる。
一部のカップルに於いて女性が男性の頭を水に沈めていた。
24 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/23(土) 04:14:56.89 ID:omF0MHMp0
× ×
「うん、うん分かった」
水着姿でプールにいると言う事で、
仁美に携帯で定時連絡を入れて待ち合わせを再確認した恭介は、
待ち合わせの前に屋台売店を訪れていた。
「えーと、じゃあチーズたこ焼き一つ」
「あいよ」
お金を払い、注文の品物を受け取って屋台を後にする。
「ええぇぇーーーーーーーーーっっっっっっ!?!?!?
ええぇぇーーーーーーーーーっっっっっっ!?!?!?
ええぇぇーーーーーーーーーっっっっっっ!?!?!?
ええぇぇーーーーーーーーーっっっっっっ!?!?!?」
その、つい先ほどまで自分がいた屋台から聞こえるリフレインした悲鳴に、
恭介はふと足を止めた。
「チーズたこ焼き、無いんですかぁぁぁーーーーーーっ!?!?!?」
「ごめんねー、普段そうでもないのに今日に限って馬鹿売れでさー、
後で材料買いに行くまで売り切れなんだ」
「う゛う゛う゛ーーーーー………
……………お腹すかせて待ってるです………普通のたこ焼き下さいです」
「ごめんねー、毎度あり、ちょっとサービスとしくからね」
「はい、有難うです………」
買い物を終えた百江なぎさは、とぼとぼと売店前広場を歩いていた。
「あー、ちょっと」
そこで不意に思い切り年上の男の子に声をかけられ、
なぎさは反射的に身を固くする。
「ごめんね急に」
既にたじっと後ずさりしていたなぎさだったが、
しゃがみ込んだ恭介にパックを見せられて、ごくっ、と喉を鳴らしていた。
25 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/23(土) 04:18:39.52 ID:omF0MHMp0
「さっき、最後に買ったんだ。
なんか、僕は適当に買ったけど君、凄く欲しそうだし、
良かったら普通のたこ焼きと交換してあげるけど」
「本当ですかっ!?!?!?」
自分の絶叫ににっこり笑って頷く恭介を見て、
なぎさの精神状態はハート目で天国に飛び上がる様相を呈していた。
「どうしたんですかっ!?」
そこに、厳しいぐらいの声が割って入る。
「あ、マミ」
「あの、なぎさちゃんがどうかしたんですかっ?」
そこに現れた巴マミが、半ば詰問調で恭介に声をかける。
「あ、お姉さんですか?」
「ええ、保護者です」
恭介の問いに、やや息を乱して駆け付けたマミが答える。
なざきの余りの落胆に引っ張られてしまったが、
流石に今のご時世、よく考えると今の自分の立場は少々きな臭いと、
それは恭介も分からない訳ではない。
「そうですか。えっと、
売店でなぎさちゃんの欲しがってたチーズたこ焼きが売り切れてて、
たまたま僕が買ったのとなぎさちゃんのたこ焼きを交換しようと言う話で」
「そうなの?」
立ち上がった恭介が答える。
それを聞いたマミに問われ、
なぎさは少々バツ悪そうにこくんと頷いた。
26 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/23(土) 04:22:13.69 ID:omF0MHMp0
「ごめんなさい、わがままにつき合わせて」
なぎさのお守りも兼ねて遊びに来たのだろう。
同色の短いパレオを巻き付けた白い三角ビキニ姿で
なぎさに顔の高さを合わせて腰を曲げて話し込んでいたマミだったが、
話が終わったらしく、恭介の方に向き直って頭を下げる。
「いえ、いいんですよ。僕も適当に買っただけですから。
なんか、サービスでそっちの方が数ありそうだし」
「そう言っていただけると………じゃあ、せっかくですから。なぎさちゃん」
「はい、有難うです」
「どういたしまして」
なぎさの顔を覗き込む様に体を折ったマミに促され、
なぎさが自分のパックを差し出す。
品物が交換され、ぺこりと頭を下げるなぎさに恭介はにっこり笑みを見せる。
「本当に有難うございました」
「いえ、こちらこそ………」
「それじゃあ」
なぎさと共に深々と頭を下げるマミの前で恭介も頭を下げ、
マミとなぎさは席を探して移動を始める。
それを見て、恭介も移動を開始した。
27 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/23(土) 04:25:26.59 ID:omF0MHMp0
× ×
「上条君」
大きな屋外時計に近づいた所で、恭介は声を掛けられた。
「やあ、志筑さん」
プールサイドの屋外時計周辺、大体合ってる待ち合わせの時間と場所で、
上条恭介は姿を現した志筑仁美に声を掛ける。
「お待たせして申し訳ございません上条君」
「なんか、大変だったね。お疲れ様」
「はい」
志筑仁美は、軽いフリルのついた白いワンピースの水着姿で、
恭介の側にトトトと駆け寄りにっこりほほ笑む。
いかにも仁美らしい清楚な可愛らしさは、恭介にほっとしたものを感じさせる。
「志筑さん」
「はい」
「たこ焼き、買ったんだけど食べる?」
「あら、ちょうどお腹がすいていましたの」
「そう。じゃああっちの広場で」
× ×
「はっ、はふっ、ふっ」
屋台広場のテーブル席で、一瞬我を失った、
それをはしたないと躾けられていた仁美はかああっと頬を赤くするが、
くすくす笑う恭介を見て、うーっと怨みっぽく見てしまう。
そして、仁美も又、くすくす可愛らしく笑い出した
「ごめんごめん」
「いえ」
互いににっこり笑い、仁美は今度はゆっくりフランクフルトの続きを食する。
恭介がちょっと見回すと、既にたこ焼きを交換した二人連れはここにはいないらしい。
28 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/23(土) 04:37:26.86 ID:omF0MHMp0
ちょっと本格的に空腹を覚えたと言う事で、
フランクフルトを追加したランチタイム。
その後は、二人で大型プールに入って
相手を追いかけたり探したり、
キャッキャウフフを地で行く遊泳を満喫する。
「そう言えば」
他の場所でもうひと泳ぎしようか、
と言う頃合いに、仁美がぽつりと口を開いた。
「先程の売店にクレープもありましたわね」
「食べたい?」
「んー………」
「僕も食べたくなったんだけど、二人でどう?」
「いただきますわ」
と、言う訳で、恭介と仁美は改めて売店広場に戻った。
「………ちょっと、かかるかな」
「ですわね」
「僕が並ぶけど、いい?」
かなり疎い方ながら、
こういう時の男の振る舞いをなんとなく思い浮かべた恭介の言葉だった。
「有難うございます。では、わたくしはあの辺りのプールで」
「うん」
かくして、恭介は売店へと動き出した。
==============================
今回はここまでです
>>20-1000
続きは折を見て。
29 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 03:12:20.27 ID:xNl9Ab8c0
それでは今回の投下、入ります。
==============================
>>28
× ×
「上条君?」
結構しぶといクレープ屋の行列のスタートを探しながら、恭介はその声を追う。
恭介の視線の先には、恐らく美人なのだろう、
髪の毛をアップにまとめた水着姿の女性がこちらを向いていた。
「はぁい」
「ああ、カナタさん」
女性がサングラスをずらし、ようやく恭介は返答する。
「水着、替えたんですね」
「プライベートだからね」
どちらかと言うと、敢えて話題に出す事には疎い恭介であるが、
それでも、コンサートドレスを大胆にカッティングした様なワンピース水着が、
ボトムスの両方の腰から伸びる黒い帯が狭まりながら首のすぐ下でクロスし、
そのまま細紐になって背中に回ってクロスしてボトムスに繋がってる様なデザインに代わっていれば、
奏可奈多の完璧とも言えるプロポーションへの強烈な適合性も含めて
恭介ですら口に出す程に気づくのも当然の事と言えた。
「それじゃあ、撮影とかも終わったんですか?」
「ん」
恭介の質問に、可奈多はニッと笑って返答する。
「お待たせ、姉さん」
そこに駆け寄って来たのは、可奈多の妹、奏遥香だった。
30 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 03:20:41.65 ID:xNl9Ab8c0
「あら、上条君」
「どうも」
可奈多共々先程も遭遇した遥香を前に、恭介はぺこりと頭を下げる。
遥香も水着を着替えており、
白とレモン色を合わせたハーフカップのトップスの前方中心辺りと
ネックレスタイプの紐を小さなリング一つで接続したスタイルの、
黒いボトムスに合わせたバンドゥビキニを着用していた。
「ハルカも友達と現地解散で、
これから一緒に夜のイベントにも参加するんだけど
なんなら上条君も一緒にどう?」
「あ、すいません。今日はちょっと………
ごめんなさい。人が待ってるので」
「あらそう、残念ね」
ぱたんと頭を下げ、ようやく見つけた行列のスタートに走る恭介を見て、
可奈多も予定があったのか、
タイミングを逃した様に、一言告げて遥香と共にそれを見送るだけだった。
× ×
「えーと………」
結構なかなかの忍耐力の消費を経てチョコクレープを手にした恭介は、
打ち合わせていたプールサイドで仁美を探してきょろきょろ周囲を見回す。
「こちらですわー」
その声を聞いて、恭介はその方向に駆け寄る。
「志筑さん?」
「はい」
「水着、替えたの?」
「はい♪ あちらでレンタルしてましたの」
そう言って、仁美は両腕を広げてくるりと一回転した。
「ふうん。ああ、これ、あっちで食べようか」
「はい」
恭介の言葉に応じ、仁美もそちらの方向を向く。
31 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 03:26:18.11 ID:xNl9Ab8c0
「水着、可愛いね」
もったいない事に、恭介は直後の直視を少々逃したものの、
そのぱああっと輝いた仁美の表情は可憐そのもの。
細紐ではなく全体に同じ布に見えるタイプのオレンジ色のビキニで、
こちらは買い取りで髪の毛に花飾りと言うトッピングもつけていたが、
仁美としては些かの冒険の結果に心から満足する。
取り敢えず、ちょっと目を離して再び目にした仁美が
満面の笑みでご機嫌であるので、それは恭介としても気分がいい。
こうして、二人でテーブル席に移動して微笑ましい一時を過ごす。
そうやって、科学的な糖分と精神的な甘さをたっぷり注入してから、
二人は又、水と戯れる。
二人で流れるプールを泳ぎ回ったり
ウォータースライダーを滑って顔を見合わせてなぜか笑っていたり、
波プールで悲鳴を上げたり笑ったり。
そうやって、詳細に描写するとなると力量を求められる
他愛もない一時を積み重ねる内に、楽しい時間は瞬く間に過ぎていく。
「ふーっ」
「疲れまして?」
「ん、楽しかった」
プールハウスの廊下を歩きながら、恭介と仁美はそんな会話を交わす。
仁美にとっては、そんな一言一言、
本当に久しぶりに二人で言葉を交わしながらの道行き全てが楽しく、幸せだった。
もちろん、恋愛感情としてそのまま二人の世界を独占で、と言う気持ちもある。
だが、一方で、やっぱりまだ恋敵の親友と一緒も楽しいのではないか、
と、思える辺り、それは心が広いのか幼いのか。
「それでは」
「うん」
そんな事を自覚的に考えているのかどうかは別にして、
仁美は一旦恭介と別れ、シャワー付き更衣室に入る。
ブースの扉に水着を引っ掛け、温かな湯を浴びる。
鼻歌も絶好調に、ご機嫌だった。
32 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 03:31:36.17 ID:xNl9Ab8c0
× ×
巴マミは、後輩達の拍手喝采を浴びていた。
親戚の子であるなぎさとプールに遊びに行った訳だが、
その後、二人の後輩達と合流してカラオケボックスに雪崩れ込み、
極まった乙女の歌を溢れ返りそうな中身で熱唱して盛り上がっていた。
「ヒューヒューッ!」
ぱちぱち手を叩き、
美樹さやかがいい気分のマミに歓声を浴びせる。
「やっぱマミさん、ティロ・フィナーレッ」
「もー、美樹さんっ」
マミが、ちょっと頬をぷっとさせて見せる。
ともすればぴりっとしそうなからかいではあるが、
現状のノリノリとさやかのキャラクターと信頼が楽しい範囲にとどめている。
「お、まどか?」
「うん」
「おーし、いっけーまどかーっ」
「ウェヒヒヒ」
「そう言えば………」
拳を突き上げるさやかにやや照れ気味に、
自分と言うものに就いて当たり前と言えば当たり前の言葉で
極まった乙女の歌をまどかの側で、マミがさやかに声をかける。
「さっき、お話ししたけど今日は上条君あっちの娘と?」
「ええ、まあそういう事です」
「先輩として一応聞くけど、平気なの?
只でさえ最近会えないって言ってたのに」
「まあー、仁美には前にちょっと借りがありますし、
ちゃんと話してくれますからねー。
なんか、こんな正々堂々やってたら当面それでいいかって。
なんかこういうのも楽しくなって来た、って言うか」
33 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 03:36:02.15 ID:xNl9Ab8c0
「んー、美樹さんがそれでいいって言うならいいけど」
「はい。もし、もう駄目だーってなったら
マミさんの胸で泣かせてもらいますから」
「そうして頂戴、そのぐらいの事はさせてあげるから」
「ごっつぁんです。その胸で泣かせてもらうとか、
マミさん周りの男子なんか血の涙で羨ましがるでしょうねー」
「美樹さんっ」
「おっとぉーっ出番だ。まどかヒューヒュー」
「ウェヒヒヒ」
ぱあんとまどかにハイタッチしてステージに立ったさやかが、
実に諦め悪く執念深く極まった乙女の歌で元気よく盛り上がる。
× ×
暁美ほむらが、
鯵の握りを逆さにして、ちょいと醤油をつけてからぱくりと口にする。
「はい、岩牡蠣お待ちっ」
少し珍しい岩牡蠣のいいのが入ったと言う事で、
両親と共に、お勧めのままに軍艦の塩酢橘でいただく。
成程、その言葉は知らなくとも馥郁たる味わいは分かる。
今日は、午前中から旧友の鹿目まどか、美樹さやかとショッピングを楽しんでから、
両親と合流して寿司屋の小上がりで夕食を共にしていた。
「すまないな、なかなか仕事の目途がつかなくて」
「うん。ご苦労様」
「おお」
本来、見滝原での転校直後に同居する筈が、
父親の仕事の事情の急変で未だにほむらは一人暮らしを続けている。
この寿司屋は見滝原への引っ越しが決まった頃に一度見つけて来た所ではあるが、
久しぶりの家族の夕食を些か張り込んだのも、その辺の心苦しさもあったりしたり。
そんな父親に、ほむらも瓶ビールをお酌して気持ちを示す。
34 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 03:41:04.85 ID:xNl9Ab8c0
「カレイを下さい」
「はいよっ」
ほむらが追加を注文する。
知っている者から見たらちょっと順番に難があるのかも知れないが、
それでも、なんとなく又食べたいと思ったお気に入りだった。
「………学校は、楽しいか」
「うん」
「友達は、出来たのか?」
「うん」
恐ろしい程に当たり前の当たり障りの無い会話だが、
これを真実として心からの返答が出来た事をほむらは心から幸せに思う。
かつて、病気に怯え、それを克服してむしろ優秀に突き抜けてからは孤高に過ぎて、
そんな不器用なほむらを、やはり器用とは言い難い態度でもと心配してくれた、
それはよく分かっていた。だから、
「中トロ鮑ウニ、一貫ずつ、でいいわね」
「ああ」
「あいよっ」
ニュアンスとして事前に承諾を得た上で、今夜は、甘える事にする。
× ×
「ふんっふんっふんっふんっふんっ!!!」
「スズネちゃーん、お風呂いいよーっ」
「はーい」
ホオズキ市内の新聞販売店二階で、
ノルマの腕立て伏せを終えた天乃鈴音は立ち上がる。
そして、一風呂浴びて汗を流すと、
用意しておいた300ミリリットル牛乳を飲み干した。
35 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 03:45:10.79 ID:xNl9Ab8c0
× ×
「ふーっ」
よく眠れそうだ。
心地よい疲れと共に床に就いた上条恭介が、実感する。
確かに時間的には厳しい事になったが、それでも、
久しぶりに親しい相手と外で思い切り遊んで、それから力いっぱい弾き込んだ。
精神的に、随分楽になったと思う。
そんなお相手、志筑仁美の事は心から愛しく思う。
いかにもお嬢様らしくお上品でおっとりした所があって、
それが素直さであり、凄く優しい女の子である事を恭介は知っている。
そして、最近は自分でも少々自覚出来るぐらいヴァイオリン馬鹿の不器用者な、
ちょっと女の子相手には難があるらしい恭介の事を心から思ってくれている。
幼馴染の美樹さやか、と言う、少々微妙なファクターも存在するが、
それも又、仁美ともさやかとも今の所は織り込み済みの楽しい関係。
今日も、仁美の事は、一人の女の子として見て、
一緒にいて可愛らしいと素直に思った。
こうして相手が恭介だと公然となる迄は、
誠実な仁美は頻繁たるラブレターのお相手に悩んでいた、
と言う状態が生じたのも無理からぬ事だと。
今日の、プライベートの仁美は可愛かった。
蕾が綻ぶ様な可憐な笑顔。美少女の部類と言ってもいいクラスメイトの水着姿。
この年頃の男子であれば、それだけでも十分にハートを直撃出来る。
それは恭介とて例外ではない。このヴァイオリン馬鹿も、
もちろんその辺の人並みの感性は持ち合わせている。
楽しい一日の脳内メモリーを稼働させる。
思い出シアターを脳内上映していた恭介は、
その幕が下りるまでに、ギンギンに目が冴えてむくりと身を起こしていた。
36 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 03:50:16.61 ID:xNl9Ab8c0
× ×
「んー」
夜、志筑仁美は、天蓋つきのベッドの上で枕を抱いて幸せに浸っていた。
今日一日でたっぷりと焼き付けた、
恋愛乙女アイを通した恭介の爽やかな笑顔を何度でも思い返す。
まあ、恭介の事だ、水着を口に出して褒めてくれたのは
デートの常識に従った様な気がしないでもない。
それでも、仁美としては相当に思い切った、
購入時には躊躇したものを敢えてあの場で選択したぐらいには
ちょっとした冒険に踏み切った甲斐があった、あった筈。
はしたなかろうとさやかさんと研究した雑誌の
殿方とはそういうものですものキャーキャーキャーと確信する。
そうやってプールで一緒に遊んで一緒におやつを食べて帰路を共にし、
自宅近くで唇をキャーキャーキャー
今日一日、仁美をエスコートした恭介は実に優しく、
丸で若き賢者の如く紳士的なふるまいだった、仁美はそう記憶していた。
とにもかくにも、その想い人のジェントルな振る舞い爽やかな笑顔、
放っておいても勝手に思い浮かぶその度に、
仁美は頭の中でキャーキャー叫びながら
枕を抱いてスペースたっぷりなベッドの上を転げまわる。
安眠は、もう少々先の事らしい。
37 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 04:00:21.70 ID:xNl9Ab8c0
× ×
本日のおまけ 幕間小ネタラジオ劇場「ブリザード」
録音済み放送 いつものファミレス収録
ほむら「美樹さやか」
さやか「なーに?」
ほむら「相変わらずそのタグなのね」
さやか「お互いにね」
ほむら「今日、上条恭介と志筑仁美のデートみたいね」
さやか「そうだね。ま、今日は仁美の番、楽しんで来たらいいよ」
ほむら「寛容と言うか淡泊と言うか、
アップルパイもあんな感じで、最近彼女らしい事してないんでしょ」
さやか「それはお互い様、仁美にはちょっと貸し借りはあるから今回は優先って事で」
ほむら「志筑仁美の事はおいといて、
そんな放し飼いで大丈夫なの? 浮気の心配とか」
さやか「無い無い、あのヴァイオリン馬鹿にそんな器用な真似できないって」アハハハハ
まどか「んー、でも、私の親友二人に熱烈ラヴされてるって、
いい線行ってるんじゃないの上条君」ウェヒヒヒ
さやか「褒めてくれてありがとーまどか」
ほむら「そうね。彼氏がそれだけ魅力的だと、
どこかで例えば年上でスタイル抜群で実は肉食系で髪が長くてピアノが上手な美人のお嬢様、
辺りに迫られるなんて事もあるかも知れないわね」
さやか「元女子校のお姉様妄想とか別の意味で面白そうだけど、
それあったとしても気づくかなぁあの朴念仁」
まどか「鈍感主人公って流行ってるって聞くけど」ウェヒヒヒ
38 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 04:05:00.86 ID:xNl9Ab8c0
さやか「それが成立するためには、
それだけの積み重ねとテレパシーが必要なのだよ明智君。
あの朴念仁のヴァイオリン馬鹿にそれを伝えるのに
あたし達がどれだけ苦労したか………」ハアッ
ほむら「あなた方って、本当にどういう付き合いしてる訳?」
さやか「どういうって?」
まどか「やだなぁさやかちゃん。
それはもちろん………とか………とか………とか………」
カチッ
ほむら「何か、まどかに相応しくない空耳でも聞こえたかしら美樹さやか?」ファサァ
さやか「(口にバッテン絆創膏………)
ああ、うん。今は恭介忙しいけど、普段は登下校とかお昼一緒したり、
一緒に遊びに行ったり、それで、まあ、時々チューしたり、
いちおーやってる事は友達以上って感じで、ま、楽しくやってるよ」
ほむら「分かった、了解、お腹いっぱい」
まどか「まーたまたぁ」ウェヒヒヒ
まどか「1スレの
>>169
-なんて、完全に事go………」
カチッ
ほむら「何か、まどかに相応しくない空耳でも聞こえたかしら美樹さやか?」ファサァ
さやか「うん。そのイマジン早めにブレイカーしとかないと後悔すると思うよ転校生」
まどか「と言うか、あの人いつ出て来るんだろうねー?」
ほむら「それで、実際の所どうなのかしら美樹さやか?」
さやか「聞く事は聞くんだ」
ほむら「それは、興味が無ければハナから聞かないわよ仲間として友達として
それ以前に思春期真っ盛りとして」
39 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 04:08:54.35 ID:xNl9Ab8c0
さやか「花札」
ほむら「は?」
さやか「だから花札、三人でベッドの上で盛り上がってたって訳」
ほむら「あの描写のどこからそういう与太話が?」
さやか「思わせぶりな単語を使いたくなるお年頃なのよー」ウェーッヒッヒッ
まどか「でも、1スレの序盤とか、
仁美ちゃんとおしくらまんじゅうとかしまくってたよね」
さやか「あー、あれね。やっぱ正々堂々のライバルとかいるからね。
あれぐらいの事はやりますよ」
ほむら「中学生の男の子にはちょっと刺激強すぎるんじゃない?」
杏子「さやかだからなぁ………
ま、ほむらがやっても効果薄いモンな。
だって、本当に薄いんだから」
まどか「マジカルな光に包まれたタンクローリーで
杏子ちゃんを追いかけてるほむらちゃんはおいといて。
でも、ワルプルギスの時、ビルの中でカマかけられてたよね」
ほむら「ハァーハァー戻ったわゼェーゼェー」ファサァ。
さやか「ああ、お帰り」
ほむら「それで、1スレ
>>337
でこれ図星って事?」
さやか「ああ、幼稚園の頃ね」
ほむら「幼馴染ネタの鉄板ね」
さやか「それに、あの女に煽られたら行くっきゃないでしょ」
ほむら「まあ、カップルの前に存在している時点で宣戦布告みたいなキャラだから」
40 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 04:12:46.39 ID:xNl9Ab8c0
杏子「ま、ほむらにすりゃあ、
あいつの存在自体が宣戦布告しちまってるからなぁ」
まどか「黒い翼を伸ばして杏子ちゃん追いかけてるホマンドーはおいといて、
さやかちゃん、言ってて苦しいって思わない?」
さやか「軽率な行動で誤解を与えてしまい、
心から反省しています。やめるつもりは毛頭ございません」
ほむら「ハァー、ハァー、今戻ったわ。
つまり、あくまで中学生として健全なお付き合いをさせていただいております。
そう言いたいのね美樹さやか?」
さやか「ま、そういう事になるね」
ほむら「アホみたいにアレな状況を描いたはいいけど、
展開が予想以上にラブコメしてるから急遽過去改変を実行した、
なんて事じゃない訳ね?」
さやか「ヤダナーソンナコトアルワケナイジャナイデスカ」ダラダラダラ
まどか「さやかちゃん、目、見て話そうか」メガミスマイル
ほむら「滝の様に汗、って実物はなかなかお目にかかれないわね」
放送終了(無言土下座)
==============================
今回はここまでです
>>29-1000
続きは折を見て。
41 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/01/24(日) 04:16:56.00 ID:xNl9Ab8c0
すまん修正1レス
>>37
× ×
本日のおまけ 幕間小ネタラジオ劇場「ブリザード」
録音済み放送 いつものファミレス収録
ほむら「美樹さやか」
さやか「なーに転校生?」
ほむら「相変わらずそのタグなのね」
さやか「お互いにね」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/01/30(土) 21:32:42.19 ID:kytLJanTo
追いついた、しんど
一スレ目の長文批評書きたいんだけど書いてもいい?
43 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/02/17(水) 14:36:36.53 ID:8gLkL7sQ0
それでは今回の投下、入ります。
==============================
>>41
× ×
「おはよう」
「お早うございます」
月曜日の朝、さやかとまどか、仁美、ほむら、と言った面子が通学路で合流する。
「昨日、どうだった?」
「はい、楽しませていただきました」
さやかの問いに仁美が臆面もなく返答し、
さやかの肘がぐりぐりと仁美に押し付けられる。
これは、まどかもほむらもお手上げである。
「お早うございます」
「おはよー」
「おはよう志筑さん、さやか」
教室で恭介が交わす挨拶を、
教室内の面々はさり気なくウオッチする。
「昨日は楽しかったですわ」
「うん」
「ふふーんっ、仁美の水着姿、どうだった?」
「うん、可愛かったよ」
これは、まどかもほむらもお手上げである。
44 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/02/17(水) 14:41:42.86 ID:8gLkL7sQ0
× ×
「ああ、美樹さん」
放課後、美樹さやかは、
廊下で担任の早乙女和子教諭に呼び止められた。
「ちょっといいかしら?」
「なんですか?」
取り敢えず、少々長い話になりそうなので、
ほむらとまどかは先に帰路に就く。
まどかはまどかでウサギ小屋の用事を一つ忘れたかも知れないと言う事で、
ほむらは先に帰路に就く。
<ちょっと、いい?>
校門を出た辺りで、ほむらの頭の中に聞き覚えのある声が届く。
視線を走らせると、近くの曲がり角に人影が見えた。
「どうしたの?」
そちらに向かったほむらが、
塀に背中を預けていた詩音千里に声を掛ける。
その側には成見亜里紗の姿もあった。
「ちょっと、聞きたい事があって」
千里が口を開く。
「何?魔法少女関連?」
「んー」
ほむらの問いに、千里は少々困った顔を見せた。
「?」
「暁美さん、そちらの学校に上条、って男子生徒はいるかしら?」
「かみ、じょう?」
千里の問いに、ほむらは怪訝な表情をする。
45 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/02/17(水) 14:46:52.35 ID:8gLkL7sQ0
「ええ、結構いい家に住んでて、多分ヴァイオリンに関わってる」
「知らない事もないけど、一体どういう話?」
「どういう男子?いい人?」
「んー、悪い人、って事はないと思うけど」
ほむらと千里が、やや要領を得ない会話を交わす。
「で、その上条君、彼女とかいるの?」
少々苛ついた様に、亜里紗が口を挟んだ。
「ええ、いるわよ」
ほむらがあっさりと応じる。
「その、彼女と上手くいってんの?」
「リア充爆発しろ」
亜里紗の問いに、ほむらはぼそっと答える。
「その、恋人と言うのは見滝原中学校にいるの?」
「ええ」
千里の、やや低い声の問いにほむらはやはりあっさりと応じる。
46 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/02/17(水) 14:51:44.95 ID:8gLkL7sQ0
「………そう、分かった」
どこか、底に冷たいものを漂わせた千里の答えを聞きながら、
ほむらにもなんとなく話の筋が読めて来た。
女子校育ちで少々疎い、とほむらは自覚していたが、
つまり、千里の学校の誰それが、と言った辺りの事で、
顔見知りで学校が同じほむらに探りを入れて来た、と言った辺りだろう。
どちらにしても、ほむらとしては余り深入りしたくない類の事だ。
「お手間を取らせたわね。じゃあ」
千里がくるりと踵を返し、ざっざっと前進する。
「それじゃあ」
亜里紗もその後について行く。
ほむらから見て、本来危険人物と見ていた亜里紗は千里を追うばかりで、
むしろ優等生タイプの千里がどこか剣呑なのが気にかかった。
むしろあのタイプこそ、こじれたら面倒だ。
「えーっと、千里」
亜里紗が、ざしざしと前進する千里に後ろから声を掛ける。
「なんか、背中が物語ってるって言うか、
今、この辺に魔獣とか出てたっけ?………」
47 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/02/17(水) 14:54:59.11 ID:8gLkL7sQ0
× ×
「美樹さやか」
「おおっ」
用事を終えて、歩いていた廊下で思わぬ声を聞いたさやかが仰け反っていた。
「何?転校生、さやかちゃんを待っててくれたの?」
「あなた、詩音千里、って知ってる?」
「詩音?」
「ホオズキ市の魔法少女、ワルプルギスの時に会ったんだけど?」
「いや、知らない」
「そう。じゃあ、
どうしてその詩音千里が上条恭介の事を聞きに来ているのかしら?」
「は?」
「さっき聞かれたのよ、詩音千里から上条君の事を」
「何を?」
さやかの表情が少々剣呑なものとなる。
「いい人かとか彼女はいるかとか」
「何それ?」
「取り敢えず、
魔法少女関連でその手の揉め事とか、勘弁して頂戴」
× ×
「食うかい?」
友人に会うために訪れた見滝原市内の路上で
佐倉杏子は、チョコ菓子を差し出したまま
ばびゅうんっと通り過ぎた痕跡を追って首を右から左に動かしていた。
48 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/02/17(水) 14:58:05.16 ID:8gLkL7sQ0
==============================
今回はここまでです
>>43-1000
>>42
まずは読了感謝です。
あれを読了するのに相当な忍耐を求められる事は、
書いてる私もよく分かりますので………
許可求められても困る、と言うのが正直な所ですが、
荒らしじゃなければ現時点で止める理由はありません。
本来は歓迎したいのですが、まあ、色々ありまして。
敢えて事前にそう質問されますと、ここは無難な返答を。
続きは折を見て。
49 :
ご自身でさえ忍耐力がいると思うのならばもう少し改善してほしい……
[sage]:2016/02/18(木) 02:48:46.59 ID:HAaEd5cro
お許しも出たので遠慮なく批評行きます
まずは文章について
恐らく三人称であると思うのですが『話し言葉』が文中に頻出するせいで、あれ? と幾度も首を傾げました
三人称で書くのならば地の分は『書き言葉』を中心にし、
心理描写をするときなど状況の変化に合わせて『口語体』を雑ぜる程度に収めておくべきと感じます
文体の不徹底感もあいまって物語への没入感が大きく削がれているという印象を受けます
>>1
は軽妙洒脱な文章を書きたいのかなと勝手に憶測しているのですが、個人的には滑っているとしか思えません
もしくは単に手癖と勢いでつないでいるのか、どちらにせよ地の文でユーモアを語るのは一考した方がいいかもしれません
特に唐突に挟まれる伏字のギャグっぽいやつとか冷笑がこみ上げてくるレベルでした、どことは言いませんが
これは極々個人的な見解ですが、文章そのもので笑いを取るのは恐ろしいまでに難易度が高いです
強烈なキャラクタを用いるのでもなく、世界設定そのものを盛大に崩すでもなく、ただ文章だけで笑いを取る
これのなんと難しいことか。はっきり言ってプロの作家でさえ時折滑ったりしているのです
最低限プロレベルの文章力がないと成功しない手法と言って差し支えないと思っています
それだけの実力があるとお考えならば止めはしないですけれど、私見を言えば『キツイ』かなと思います
場面転換と描写について
まず場面転換について、三人称であれば転換用の記号は排除してしまっても構わないと思います
というより、氏の場合は転換用の記号は排除してしまった方がいいように思います
最も大きな理由としては『転換用の記号を入れているのだから場面が変わったってわかるだろ』
という意識が生まれてしまう、ということです。自覚的か無自覚かは問いませんし、これは非常に自覚し辛いです
きちんと情報を整理してあれば、必要な場面に必要な情報を必要なだけ仕込めるはずです
ですが書き手の意識に少しでも『これくらいは伝わるだろう』という思いが入ると途端に崩れます。
『これは伝わらないかもしれないな』というのならば伝わらなくても問題はない構成であることが多いですが
『これくらいは書かなくてもわかるはず』という意識になるとほぼ百パーセント伝わらなくなります
理由は単純です、書き手は読み手が持っていない情報も持っているから、にほかなりません
なのでまずは大枠として時間、例えば太陽や月、星が出ているや空の色など、ほかには正確な時間等々
その次に場所、屋内か屋外が、どんなところで、何のためにいるのか等も併せて併記し
最後にそのキャラの目線へと移行して、誰といるのかそこで何をしようとしているのか、等の情報を添付する
といったように順序を決めて描写し、慣れてきたらそこから徐々に崩していく、というような手法をお勧めします
描写にも触れます
読んでいて真っ先に思ったのことがあります
『果たしてその情報は必要なのか?』というもので、これを思った文章は大体あとで何かにかかわることもなかったです
修飾語や状態の説明が無意味に長く書き連ねられているために全体としてとっ散らかった印象の文になるのだと思います
少し引用させてもらいます
> 年上で、一見するとややふっくらかぽっちゃり目にも見えるとは言え、
> ブラウスタイにスカートと言う着の身着のままの姿で
> 焼け出されに近い形で土砂降り暴風雨の大嵐の中に放り出されている。
これなんか
『濡れ濡れスケスケの年上の少女(しかも巨乳でエロい)。』とかそんな風にすればたったの一行に圧縮できますし
その次の
> そんな、素人目にも当然体力ゲージがゴリゴリ音を立ててノンストップでマイナス進行している筈の
> 風斬氷華の肩を借りるのは男として間違いなく心苦しいが、
> 骨折こそしていなくともむしろ痛みを忘れそうなぐらい危ない怪我人の身として、
> 黄泉川の合理的な発言に逆らう気力も体力も持ち合わせてはいなかった。
これも
『上条恭介の男のプライドには反しているが背に腹は代えられず素直に黄泉川の言葉に従って風斬に肩を借りたのだった』
とかにしてしまえば圧縮率は約五割程度になります
これに対しての解決策は
『必要最小限の描写にどれだけ肉付けをすべきかを考える』になるかと思います
憶測ですが、氏は足し算で書いているんじゃなないでしょうか? 恐らくその辺りに原因があると見ています
なので、引いて引いて極力シンプルな文章へと変換したのちにそこからどうしても必要な描写だけを足してあげてください
そうすれば恐らくですが読みやすい文章になるかと思います
ついでに氏の文章は益体もないことをくどくどと並べ立てる傾向を感じました
そういう書き方をするならば一人称形式を採用した方が違和感は抑えられるかと思います、キャラクタにもよるのですが
まとめれば、
文体と人称は徹底してブレがないように、話し言葉は極力混ぜないようにしてください
地の文でのギャグは相当自信がなければ控え方が無難です
場面転換をするときは時間、場所、キャラ、思考のように順序立てて描写すると分かり易いです
足し算でどんどん修飾描写を積んでいくのではなく、引き算でシンプルな文章になるように考えるといいと思います
といった感じだと思います
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/18(木) 02:55:46.66 ID:HAaEd5cro
長くなりましたけど、続けてお話についても触れます
一言でいうとひたすらに退屈でした
おそらく考えるに理由は明白で、『目的の欠如』でしょう
冒頭から特に目的のない暁美ほむらの日常というなだらかな物語が延々と続きます
だらだらと続く日常モノとして見たとしてもあまりにも起伏がなさすぎます
お話自体がスロースタートなのだから仕方がないと思うかもしれませんが、そういうことではありません
例えば、投下一発目の時点で恐らく主人公と思われるほむらに目的を与えてあげるのです
この目的っていうのは何でもいい、例えば『まどかと仲良くなりたい』でも、『早くクラスに馴染みたい』でも、
『この町にいる魔法少女たち全てと知り合う』とかでもいいかもしれないです、とにかく何かしら目的をあげてあげてください
そうすればキャラクタに方向性が生まれるし、読者も話の方向性が分かれば読みやすくなります
これは非常に重要なことです。方向性の分からないお話を読みたいと思う人は少ないです、長丁場なら尚更です
で結局ほむらちゃんに仮初の目的が付与されるのに大体百レス程度掛かって、しかもなんだかふわっとしてる
これでは読んでる方には何にも響かない、少なくとも私はそうでした
でクライマックスっぽいワルプルギス戦になってわらわらと禁書キャラが登場します
ただ、理由付けがなおざりに過ぎる、百歩譲って吹寄制理がボランティアに来るのはいいです
でも、教師である黄泉川愛穂がボランティアで来ちゃダメでしょ。授業どうするの?
風斬氷華はまぁロシアに行ってたしで済ませるとしても、
アイテム勢が来てる理由は全く分からないです、しかもフレンダもいるっぽいですし……。時系列ちゃんと考えてますか(小声
なんというか、人的資材あたりの属性を便利なご都合主義と勘違いしてません?
新約のあの辺って負でも正でもご都合主義がから回る話じゃないでしたっけ? 記憶違いなゴメンナサイですけど
それでやっと話が動き出したと思えば全く何も絡まない上条君主役の番外編が始まる始末です
しかも無駄に長い。書きたいのは分かるけれどワルプルギスそっちのけすぎて思わず投げたくなりました。
面白いならいいんですけど、正直このパートはほかにもましてつまらなく感じられました……。
『君たちなにしてんの?』感が半端じゃないです。もちろんこの後の展開に必要なパートだったのですよね?
正直言って群像劇は向いてないと思います
キャラについても少しだけ
ほむらちゃん自意識過剰すぎだし、全部乗せしすぎです
この感じは所謂『U‐1』とか『スパシン』とかに近いものを感じました
ほかにもキャラ出しすぎの割に全然捌けてないぞ、とかいろいろあります
けど一番言いたいのはこれです
『大人書くの下手』
ぶっちゃけ上条君パートの黄泉川先生とかいる必要が微塵も感じられません
大人キャラを集団に突っ込むのならば相応の役割と行動をさせないと意味がないです
これは詢子さんや知久さんも同じです。背中を押す役やブレーキをかける役というだけならば別のキャラでも同じに思えます
同じ背中を押す役だとしても大人には大人なりの、子供には子供なりの時と場合によって必要となる属性は変わってきます
だけれど氏の書く大人にはそれを感じられませんでした
なんというか、『それ別のキャラが言っても同じだよね』というか、『言葉に重みがない』というかそんな感じです
理性と感情を切り離して背中を押すだとか、背中を押してあげたい気持ちはあるけれどそれでもブレーキをかけてあげる
みたいなキャラクタとしての芯の強さや責任みたいなものがいささか足りていない感覚です
禁書作中の黄泉川先生も割と無茶なことには突っ込みがちですが、その後ろには必ず子供たちがいますし、
組織に抑えられて動けなくなる場面も多いです。そんな中でもできる限り子供たちのためになることを選択していきます
そんな先生が果たしてボランティアの先で予想以上の悪天候により要救助者になるでしょうか?
少なくとも私には想像できないです。例えばこれが突然堤防が決壊して鉄砲水に飲み込まれるとかならば、
まぁあり得るかな、と思うのですけれど暴風雨の水害で身動き取れなくなるというのはキャラクタとして軽率が過ぎるのでは?
学生の吹寄ならばまぁそういう甘い目算でもそんなもんだよなと思えるのですけれど、大人キャラがそれはダメだろう、と思うのです
そのほか細かいこと
本文と
>>1
の一言や挨拶を分けてほしいといわれる理由
本文だと思って読み始めたら違っていて萎えるだとか、
そもそも本文以外には興味がないから本文と一緒くたにされると読みたくないものも読まなくちゃいけなくなって苦痛だとか、
各々理由は違うだろうけれど共通することが一つ
つまり、余計なノイズが混じると物語の没入感が損なわれるということ
もし書いたものを色眼鏡で見られたくないと思うならば絶対に分けた方がいい
一言だけなら平気、だとか本文と区別がつくようにマーカーつけてるとかそう言い訳ははっきり言えば無意味
なぜならば一レスは紙の本の一ページに相当する。紙の本で章の頭や区切りの部分で作者の挨拶が乗っていたら鬱陶しいでしょう?
そういうことなのです。どうしても挨拶に一レス使いたくなければ名前欄に入れるとか、メール欄に入れるとか、工夫しよう
返レスそのものが無駄に長いのも読者にとってはノイズになりえます
私がその内容で返すとすれば
荒しじゃなければどんと来い
くらいに収めます。キーワードは短く簡潔にです
ついでになぜ批評を書いていいか聞いたかといえば
称賛以外の感想なんか聞きたくない、という人種が一定数存在するから、です
流石にそう思っている書き手に批評をするのは労力の無駄なので出来れば避けたいし、お互い気分が悪くなるだけかと思います
言いたいことはこれで全部です
続き書くの頑張ってください。この長文で心が折れないことを祈っております
51 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[sage]:2016/03/06(日) 13:29:41.39 ID:jFT/WcAU0
生存報告しときます。
52 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[sage]:2016/03/11(金) 01:54:19.04 ID:M9gxy/OV0
今回は作品投下無しで。
>>49
>>50
あんただったか(汗
畏れ入って乾いた笑いが、と言うのが実感です。
そして、まず何よりも感謝と敬意を。
何と言うか、全部賛成、とは言いませんが、
あなたの熱意、作品愛と観察には脱帽です。
今回の返答ですが、基本はノーコメントです。
あれだけの熱意を傾注していただき本当に申し訳ないのですが、
言える事言えない事入り乱れでちょっと返答しかねる、と言うのが一つ。
技術面も含めて大いに読ませていただきました感謝します、
と言うのは正直な所なのですが、
ちょっとそこから先の返答が難しいと言うのも。
かなりの部分私の書き癖になっている様ですが、
読み返してみると場所によっては身の程知らずにも
原作かまちーに勝手に引っ張られて地の果てまでスリップした部分もある、かも。
そういう訳で、まことに失礼いたします。
ではありますが、二つばかりこちらで気が付いた事を。
何故か作者の私が他人事の様な口調になりますが、
実際、結構前と言う事もあり、
自分で読み返して感想を書くのに書き易いと言う事で。
書いてる時には、プロットと押さえておくべき事を叩き込んで
勘に近い所を突き進んでる部分もありますので。
以下、震え声タイム。
53 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[sage saga]:2016/03/11(金) 01:56:55.77 ID:M9gxy/OV0
>>49
の時点で、上条君は純粋に
風斬さんの体調やそちらの悪条件の事しか考えていなかったと思いますよ。
少なくとも自覚意識の88.3%以上は。
まず余計な事を考える余裕なんて無い状態でしたから。
彼がメインで自覚している限りにおいては
主に風斬さんの体力面を測る要素を観察して
助けを得るべきか自分がどう行動するべきか。
あの時の彼の考えを論理的に言えば、
およそこれ以上の事を考える余裕もなさそうでしたので、
記述に於いてもそちらの要素を専らとしたものになったものと。
まあ、その辺で人称のブレが、と言う事にもなりましょうが。
語彙が異常にくどい、と言うのは書き癖でしょうが。
それから、黄泉川先生は引率ですね。
時々書かれてはいましたが、
確かに成り行きでそうなったとも受け取られる書き方でした。
(準)公的なボランティア募集で、安全なルートを移動して
安全地域の受け容れ先に引き渡して帰って来る予定だったのではと。
本来スーパーセルは短期間で素人ボランティアは災害後が出番ですから。
その途中で天候の急変とバス事故に巻き込まれた
と言う事ならあの状態もありでは、と。
そちらも呆れて触れなかったのかも知れませんが
しまいに交通システム障害も絡んで常盤台まで来てましたし。
あっちは実習っぽいですね。
ワルプルさんのスーパーセルって暴風雨としての威力も常軌を逸している上に
元がモンスターですから発生しても移動パターンの予測が難しい。
本編でも住民が避難している体育館をミンチにする勢いで突き進んでいましたから。
そんなのが進路を急変更してバスごと巻き込まれたら
或はああ言う事態も発生する、かも(汗
そこまで書かなくても、と言う見込みが余り上手くないのかも知れませんが。
言われておきながら色々妙な書き方になりましたが、
私からは以上です。
ホントーに中身の無い事を長々とマジすまん。
それでは、今回はこれにて失礼します。
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/03/11(金) 17:05:14.52 ID:k+s9kuyfo
今全てが腑に落ちました
長々と批評家気取りで書き込んだ手前、頂いた返信に返信するのは憚られるのですが、
一個だけ絶対に伝えておかなければならないことが出来てしまった。というか氏の決定的な弱点がハッキリしました
内面描写と外面描写を一緒くたにまとめてしまっているんですね。それならば読みづらいのは道理です
取り上げさせてもらった文章にキャラクターの主観描写が混在しているとは全く読み取れていませんでした
多分、読んでくれてる方のほとんどが気が付いてないと思います
内面と行動を同時進行するならば、〜はそう考えながらも、や――の状況を客観的に頭の中で分析して、のように
キャラクタの内面描写であることを明確にし、そのあとで動きや行動の結果を描写するとグッと分かり易くなります
文章のどこまでが内面描写でどこからが外面描写になっているのかがとかくわかり辛い
氏の返信を拝見して本当に全てが腑に落ちました
三人称でキャラクタの内面を描く場合は()や〜はそう思った。等の分かり易い描写の分かれ目を意識してみてください
重ね重ね長文失礼しました
55 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/03/12(土) 03:35:37.35 ID:UcxQ0O8D0
それでは今回の投下、入ります。
==============================
>>47
× ×
上条恭介は、ごくごく当たり前に安全なルートを選択し、
通いなれた歩道をテクテク歩いて帰路に就いていた。
そして、気が付いた時には、見知らぬ工事現場のただ中に立っていた。
そこは、取り壊し中のビルの前、囲いの中の資材置き場だった。
少なくとも、彼自身は何をされたのか、全く理解出来ていなかったが、
種を明かせば意外と単純だった。
フルブースト状態の魔法少女に胸倉を掴まれ、
短時間の内に力ずくの最高速でそこまで移動していたため、
理解が追い付かない。これだけの事だった。
「上条恭介君?」
そして、恭介の目の前には、
体をすっぽりとマントで覆った成見亜里沙が不敵な笑みと共に立っていた。
「な、何?」
見た目、同年代らしい亜里沙に、恭介が怪訝な顔で聞き返す。
「ちょっと、聞きたい事あって顔貸してもらったんだけど………」
その時、資材の山の陰から、もう一人の少女がツカツカと接近して来る。
そして、亜里沙にドムッ、と、肘鉄を食らわせた。
「手荒な事をしてごめんなさい。
もう少し常識的な話し合いをする予定だったんだけど」
「つうぅーっ」
「一体、何?」
一応、まともな話の出来そうな新しい少女に恭介が声を掛ける。
56 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/03/12(土) 03:40:59.07 ID:UcxQ0O8D0
「失礼しました。私は詩音千里。茜ケ崎中学校の者です」
「茜ケ崎?」
「はい。風紀委員として奏ハルカ会長と関わりを持っています」
「ハルカさんと」
「へぇーっ、名前呼び」
「あの人は、多少親しい人にはそれを求めます」
ずいっと顔を出す亜里沙を千里が手で制した。
「つまり、ハルカ先輩とはそれなりに親しい、と言う事ですよね?
先輩とはどういうお知り合いなんですか?」
「どういう、って、ハルカさんが見滝原中学校に来た時に知り合って、
ジャズ同好会と一緒にピアノを弾きに来た時に。
僕もジャズヴァイオリンを少し弾くから、その時に」
「ああ、あの時ね」
亜里沙が、間違いなく自分のせいで聞き逃した演奏を思い出して声を上げた。
「それで上条君、あなた、付き合ってる人、いますか?」
「付き合ってる?」
「彼女とかいるのか、って聞いてるんだけど」
どうも少々鈍い反応を返す恭介に、亜里沙が続けて尋ねる。
「なんでそんな事、を?………」
「恋人はいるんですか?Yes or No?」
どうにも不躾な質問に答えあぐねたその時に、
恭介はそれこそキスしそうな距離感で千里の顔を見ていた。
何か、妙な成り行きだが千里自体は可愛い、
本来、真面目にきりっとした雰囲気も悪くない、美少女と言ってもいい。
混乱しながらも、恭介としてもその事を全く感じないでもない。
「う、うん、いるけど」
「その恋人は、見滝原中学校にいるんですか?」
「う、うん」
とにかく、気圧されているのが一番で、恭介は返答する。
57 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/03/12(土) 03:46:33.12 ID:UcxQ0O8D0
「そう。もう一度聞くけど、ハルカ会長とはどういう関係?」
「どういう、って、ハルカさんとの関係って………」
次の瞬間、やはりマント姿だった千里の右腕が、びゅうんっと右手に振られていた。
そして、その右手には、拳銃が握られている。
「それって………」
「ああ、玩具よ。
ごめんなさい、少々苛立ってたみたい。
だから、これが本物だ、と言うぐらいのつもりで返答して」
「あー、上条恭介君」
そそそっと近づいていた亜里沙が、恭介の肩をぽんと叩く。
「早めに全部ゲロッた方がいいよ。
アタシも結構大概だけど、この件に関してだけは、
チサトがキレたらアタシの百倍怖いから」
「ハルカさんの事?」
恭介の改めての問いに、拳銃をだらんと下げた千里が頷く。
「さっきも言ったけど、最初に会ったのは見滝原中学校のジャズ同好会で。
ハルカさんは尊敬するピアニストの妹さんで、
ハルカさん自身も尊敬に値する演奏者。
僕も、ヴァイオリンやっててジャズも少し齧ってるから、
その事で何回か会ったり演奏した事はある」
「音楽関係の付き合いって事?」
恭介の返答に、千里が聞き返す。
「うん」
「あの人の事を、魅力的な先輩だと思う?」
「うん。素晴らしいピアノを弾いて、
それであんなに綺麗でしっかりした人だから、尊敬してる」
その返答を聞き、千里は天を仰ぐ。
千里自身経験豊富、と言う訳では決してないが、これは、素直過ぎる。
何か、想像以上に単純過ぎる事が、千里にも段々と分かって来ていた。
58 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[saga]:2016/03/12(土) 03:52:09.82 ID:UcxQ0O8D0
「そう、分かった」
次の瞬間、千里と亜里沙は目配せを交わした。
「これはっ?」
「チッ!」
千里と亜里沙は、目の前の景色がぐにゃりと歪むのを目の当たりにする。
「加減、大丈夫でしょうね」
「伊達に経験積んでないって」
尋ねた千里に、恭介を当て落とした亜里沙が答える。
千里の右手の拳銃が天に向けて発砲され、
花火のシャワーの様なものが降り注ぐ。
それと共に、景色は普通の工事現場のそれに戻される。
次の瞬間には、死神規格の大鎌と槍がガキインッと衝突していた。
「!?」
千里の発砲した魔法弾が、空中で飛来したサーベルを撃ち落とす。
「えーっとさ」
飛来源からのその声を聞きながら、千里の足がじりっ、と下がる。
「あんた達、他所の縄張りで一般人捕まえて何やってる訳?」
(オーケーそれでいい、打ち合わせ通り、取り敢えず魔法少女の筋論から様子を見る)
「ごめんなさい、もう用事は終わったわ。
彼にも危害は加えていない。退散させてもらう」
「ふーん、それで、納得してもらえる、とか思ってる訳っ?」
==============================
今回はここまでです
>>55-1000
>>54
有難うございます。
今回はお礼だけで失礼します。
続きは折を見て。
59 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[sage]:2016/04/04(月) 23:46:50.78 ID:Fmu7ZFeG0
生存報告しときます
60 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[sage]:2016/04/28(木) 23:02:33.43 ID:ZljhueG40
すいませんが生存報告です
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[age]:2016/05/11(水) 22:42:25.47 ID:6/81+6x40
age
62 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[sage]:2016/05/28(土) 23:13:51.08 ID:AjTiPIr50
生存報告です
63 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[sage]:2016/06/25(土) 13:38:06.89 ID:zwFCVwBT0
生存報告です
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/07/02(土) 00:32:13.72 ID:tULHUK7J0
乙です
本日初めてこちらのSSを発見したので、ちょっと読んでみます
65 :
幸福咲乱
◆5sHeUtvTRc
[sage]:2016/07/24(日) 02:42:19.59 ID:5R2V/YuL0
生存報告
そろそろ行けます、かね………
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/07/25(月) 10:24:34.00 ID:kBbsFUTXo
255.26 KB
Speed:0
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)