本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2

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786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/27(土) 23:13:47.64 ID:5ANRsZrlO
おつ 町の中華屋いいよね
787 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:27:56.93 ID:7Ens5TJq0
未央「子どもの頃に好きだったお店があってね。この前、久しぶりにひとりで行ってみたわけですよ」

P「へえ。それで? どうだったんだ?」

未央「それが……思っていたほどおいしくなかったんだよね。いや、もちろん、おいしくはあったんだけど、思い出ほどではなかったと言いますか」

P「あー……そういう経験は俺にもあるな。その店がどうこうってわけじゃないんだよな。変わったのは自分のほうで……他の色んなものの味を知ったから、なのか」

未央「ということは、プロデューサーのせい?」

P「……可能性はあるな。そう考えると、なんかめちゃくちゃ申し訳ないことをしたような気が……」

未央「えー? なんで? そんなに申し訳ない気持ちになる?」

P「だって、そういうのって大事だろ? せっかくの思い出の味が、実際に食べてみるとあんまりだった、って……経験あるだけに、俺も悲しいってわかるから」

未央「そういうものかな? あ、さっきの話には続きがあるんだけど、そのお店の他のメニューを初めて食べてみたらめちゃくちゃおいしかったんだよね。思い出の味バージョンアップ」

P「……お前な」

未央「その顔はなにかな? 思い出の味がーっていうのは変わってないと思うけど?」

P「それは……まあ、そうなんだが」

未央「そうなんだが?」

P「……なんか、釈然としない」

未央「ぁは、それはそうかもね。申し訳ない損した感じ?」

P「申し訳ない損ってなんだよ。……そんな感じだが」

未央「そんな感じなんじゃーん。さすが未央ちゃん。以心伝心だね」

P「以心伝心か? ……あ」

未央「ん? どしたの、プロデューサー」

P「いや、俺にとって思い出の味って言ったらここかもな、と思ってな」

未央「ここ? ……あ、ここか。でも、ここは思い出の味ってより青春の味じゃない?」

P「青春ももう思い出みたいなもんだからな。未央は……最近も来るか?」

未央「んー……そう言えば、大学に入ってからは一回も来てないかも。高校の頃とかならドリンクバーで友達とー、みたいなのもよくあったけど」

P「……なんか、久しぶりにここで食べたくなってきたな」

未央「そうする? 私もそんな気分になってきたし」

P「じゃ、入るか」

未央「ん、りょーかい。……何にしよっかな。やっぱりドリア?」

P「……昔、それふたつ頼むこととかあったなぁ」
788 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:30:16.96 ID:7Ens5TJq0

――店の中

未央「これこれ、この感じですよ。実家に帰ってきた気持ちとはこのことか」

P「大げさだな……で、何にする?」

未央「プロデューサーはやっぱりドリアダブルなの?」

P「それはしない。……なんか、メニューが変わってるような、変わってないような」

未央「そう? あ、でも、私がよく行ってる間でちょっと変わったことあったから……それかな?」

P「かもしれない。……だとすると、俺、ずいぶんと来てなかったんだな」

未央「かもね。それで、何にする?」

P「んー……生ハムがうまいって言うよな。それは頼みたいな。俺はあんまり食べたことなかったが」

未央「そうなの? 私はここの生ハム、けっこう好きだよ」

P「昔は量重視だったからなぁ……なんか、あんまり選ばなかったんだよな。いっつもドリア食ってたような気がする」

未央「なんだかんだでそうなったりするよね。でも、ちょっと意外かも」

P「意外? 何が?」

未央「プロデューサー、けっこう色んなもの頼むタイプだと思ってたから」

P「そうか? ……まあ、そうかもな。ただ、店によるって感じだな。他にもそういう店はあるよ。パッと出てこないが」

未央「店による、か。……確かに、そういうもんだよね」

P「今日は今まで頼んでこなかったのを頼むつもりだけどな」

未央「たとえば?」

P「……未央のオススメとか」

未央「未央ちゃんセレクトに頼りますかー。まあ、ここは私のほうが詳しそうですし? 私に任せなさーい」

P「うん、任せる。……エスカルゴってずっと気になってたんだが、どうなんだ?」

未央「それは私も食べたことない」

P「いきなり任せられない案件出たな……」

未央「だってこれ『みんな気になりつつもなかなか頼めないメニュー』ランキング一位みたいな感じじゃない? おいしいらしいって情報だけは聞くみたいな」

P「……頼んでみるか」

未央「そうしよう、そうしよう。あと辛味チキンとか?」

P「それは食べたことある。俺も確か好きだった」

未央「食べたことあるんだ。……頼む?」

P「頼もう。久しぶりだしな。頼んだことないのも頼みたいが定番のも頼みたい」

未央「思い出の味だし? それじゃあ、後は……私、ディアボラ風のってけっこう好きなんだよね」

P「あー、俺も好きだったな。鶏のとか好きだった」

未央「チキンとチキンが被ってしまったな……」

P「俺の中では別の種類だから大丈夫」

未央「別の種類かな? まあ、味は違うけど」

789 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:30:51.81 ID:7Ens5TJq0
P「他に未央のオススメは?」

未央「パスタとか? ここのパスタ、けっこうおいしいと思うんだよねー」

P「俺はペペロンチーノダブルの記憶が強いな……おいしかったけど」

未央「ペペロンチーノにする?」

P「んー……イカスミってどうなんだ?」

未央「おいしかったと思う。……あんまり食べたことないけど」

P「ん、ないのか」

未央「いや、だって……口がね」

P「あー……」

未央「でも、頼もっか。って、なんか色んなものシェアする前提で話してるけど……」

P「いいんじゃないか? でも、シェアするならもうちょっと他にも頼みたいような気も……」

未央「シェアしやすいのってなるとピザとか?」

P「ピザか……それもいいいかもな」

未央「モッツァレラのでいい?」

P「ああ。……あとは、サラダとか頼むか?」

未央「サラダかー……個人的には小エビか青豆を推したいところ」

P「青豆……おいしいって聞いたことはあるな」

未央「お、食べたことない? それじゃ頼も? 量あんまりないからひとり一個で!」

P「じゃあ、そうするか。……これくらいでいいか?」

未央「いいんじゃない? 注文、する?」

P「しよう。ボタンは……そっちか。頼む」

未央「ん。それじゃ、押しちゃうね」
790 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:35:50.82 ID:7Ens5TJq0

――

未央「まずは青豆だね」

P「だな。……これ、グリーンピースだよな?」

未央「うん。プロデューサーってグリーンピースはどう?」

P「べつに嫌いじゃないな」

未央「お、そうなんだ。嫌いだったら衝撃を受けるかもしれないお味……みたいだけど、違うんだったら衝撃は受けないかもね」

P「『みたい』って、食べたことあるんじゃなかったのか?」

未央「私もべつに嫌いじゃないから……でも、確かにそうかもとは思うかなー」

P「どういう意味だ?」

未央「食べてみればわかると思う。『あ、これは確かにグリーンピース嫌いな人でも大丈夫かも』って」

P「……じゃあ、とりあえず、いただきます」

未央「私も、いただきまーす」

未央(ということで、半熟卵を割って、青豆と混ぜて……食べる)パクッ

未央(……うん。これこれ。これだよねー。グリーンピースはグリーンピースなんだけど、青臭さとかボソボソ感とかがないと言うか……おいしいグリーンピースって感じ)

未央(『めちゃくちゃおいしい!』ってタイプの味じゃないんだけど、『あ、おいしい』ってなるタイプの味と言うか。なんだか安心する味だよね。あと、健康になってる感じがする。たぶん気のせいだけど)

P「あー……確かに、これはおいしいな。この豆自体がおいしい。やわらかくて、優しい甘さがある。それに温玉とベーコン……パンチェッタだったか? あんまり入ってはいないんだが、このちょっとの塩気がいい感じに効いてるんだろうな。これは、なかなかだな……」

未央「でしょ? これにチーズとかオリーブオイルとか合わせてもおいしかったりするんだよね」

P「アレンジもあるのか……と言うか、ここは色々とアレンジも効く店だったか。俺は出てきたものをそのまま食べることが多かったが……」

未央「ドリンクバーでも?」

P「ドリンクバーは……無難な混ぜ方ならしたことがある」

未央「へぇ……」

P「……未央」

未央「んー? その目はなにかな?」

P「するなよ」

未央「ナンノコトカナー」

P「……はぁ。次、エスカルゴ食べるか」

未央「ん、そうしよそうしよ? ……なんか、貝みたいなビジュアル?」

P「……言われてみればそうだな。サザエとかそういうタイプの」

未央「あー、ちょっと近いかも。実際に食べてみてもそんな感じなのかな?」

P「かもしれないな。どっちにしろ、食べてみればわかるか」

未央「だね。それじゃ、一個もらい」パクッ
791 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:36:30.86 ID:7Ens5TJq0
未央(ふむふむ……ん、こういう感じかー)

未央(やっぱり歯ごたえは貝っぽい感じ。くにくにしてていい感じ。味は……ソースの味が強いかな。ガーリックっぽい? あとバター? 野菜もあるけど……メニューでプチフォッカとセットでーって載ってたような気がするけど、確かに合うかも)

P「こういう感じか。俺は結構好きだな。未央は?」

未央「私も。けっこう好き。だけど……頼むかどうかはちょっと迷うかなー」

P「来る人数にもよるか」

未央「うん。シェアするなら? とは思う。それと私はチキン派なので」モグモグ

P「……いつの間に」

未央「あー……これがおいしいんだよね。サクッとした皮にジューシーなお肉。辛さは正直ほとんど感じないけど、スパイスっぽい感じはして。とにかく、おいしい」

P「まあ、俺も好きだけどな? ……食べるか」

未央「……あ、プロデューサー、グラス空いてるよ?」

P「ん? ああ、確かに――」

未央「入れてきてあげる!」

P「んっ!? ちょ、未央、待……!」

P「……まあ、いいか」

P「……チキンうま」モグモグ
792 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:37:45.52 ID:7Ens5TJq0

――店の外

未央「いやー、思い出の味だったね、プロデューサー!」

P「未央は思い出ってほど時間経ってるか?」

未央「微妙? でも、プロデューサーにとってはそうでしょ?」

P「それは……そうだな。学生時代を思い出したよ」

未央「青春の味?」

P「だな。俺に青春があったかと言うと微妙なところだが」

未央「反応に困る返答だ……まあまあ、今日未央ちゃんといっしょに青春したってことで、青春アップデート!」

P「青春……たとえば?」

未央「ドリンクバーとか?」

P「ドリンクバーか……」

未央「うん? なにかなその反応は。未央ちゃんミックス、おいしかったでしょ?」

P「まずくはなかったけどな……俺はふつうのでいい」

未央「でも、楽しかったでしょ?」

P「……それは、否定できないかもな」

未央「……えへへ。素直でよろしい♪」

P「……今日のも、また思い出の味になるのかもな」

未央「かな? また来たら『思い出』にはならないんじゃない?」

P「……そうだな。また来ればいいか。べつに来るのが難しい店ってわけでもないんだし」

未央「そうそう。そのときは未央ちゃんも付き合ってあげましょう」

P「来たいだけだろ」

未央「バレた? ……でも、プロデューサーも、私のこと、連れて来たいでしょ?」

P「……ノーコメント」

未央「えー? 素直じゃないなぁ」

P「悪いか?」

未央「ううん。それはそれでかわいいのでオッケーです」

P「……かわいいはやめてくれ」

未央「ちなみに素直でもかわいい」

P「どうしようもないな」

未央「うん、どうしよーもないっ」

P「……なんでちょっと嬉しそうなんだよ」

未央「えへへ。どうしてでしょうねー?」

P「……ほんと、どうしてだろうな」



793 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/10/13(日) 01:42:09.64 ID:7Ens5TJq0
これにて今回は終了です。

まためちゃくちゃ久しぶりになってしまいました。そのくせちょっと短めと言う。
次回は……誕生日までに少なくとも一回は更新したい……。

ありがとうございました。
794 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 22:59:42.71 ID:D3C3PKle0
卯月「未央ちゃん、誕生日おめでとうございます!」

凛「おめでとう、未央」

未央「やーやー、ありがとう、ありがとう。今日は未央ちゃんのために集まってもらって……ぐすっ、私、感動で……」

凛「それ何のノリ?」

P「照れ隠し」

凛「ああ」

未央「ちょ、勝手に納得しないでくれるかな? べつに照れてなかったけどむしろそれに照れちゃうから」

卯月「未央ちゃん……」フフッ

未央「しまむー? その笑顔がいちばん破壊力あるね? なにその『わかってます』みたいな顔……私誕生日だよね?」

凛「だから祝ってるじゃん」

P「うん。めでたい」

未央「気持ちがこもってない……!」

卯月「伝わってませんでしたか……?」

未央「しまむーやめて。しまむーが言うとなんかマジっぽいから。もう酔ってる?」

卯月「まだ一滴も飲んでないから大丈夫です!」

未央「大丈夫……なのかな……」

P「しかし、未央も二十歳か……時が流れるのは早いな」

凛「プロデューサーもおじさんになっちゃったって?」

P「そうだな。俺はもうとっくにおじさんだよ」

未央「ということは、プロデューサーと同い年のアイドルは……?」

P「お前それ絶対外で言うなよ」

未央「プロデューサーがおじさんとか言うからじゃーん」

P「じゃあおじさんじゃない」

凛「プロデューサー、その歳で『おじさんじゃない』は……ちょっと」

P「俺はどう答えれば正解だったんだよ……」

卯月「ふふっ、どうすればいいんでしょうね?」

P「ほんとにな……」
795 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:00:30.95 ID:D3C3PKle0
未央「それでは、今日の誕生日会場はとある個室居酒屋さんなわけですけれども」

凛「なにその説明口調。司会?」

P「本日の主役兼司会か……」

卯月「未央ちゃんらしいですね!」

凛「それ褒め言葉?」

未央「こほん! とにかく、皆様、今日はお忙しいところ集まってくださってほんとーにありがとうございます!」

P「ほんとに司会になっちゃったよ」

卯月「そう言えば、未央ちゃん、前にバラエティ番組の司会をやってましたよね。あれ、すっごく面白かったなぁ……」

凛「卯月、マイペース過ぎない?」

未央「名司会者を目指してますから」

凛「アイドルは?」

未央「トップアイドル兼名女優兼名司会者を目指してますから」

凛「なんか増えてる……」

P「ああ……いっしょに目指そうな、未央……!」

凛「なんか熱くなってる……」

卯月「未央ちゃん……私、応援します! 頑張ってください!」

凛「冷静なの私だけかな」

未央「クール属性だけに? どっ!」

凛「今の『どっ』何?」

未央「大爆笑の表現」

凛「なんだか寒いね。冬だからかな」

未央「そこまで言う? ごめんなさい」
796 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:02:21.70 ID:D3C3PKle0
P「……そろそろメニュー選ばないか? 頼んでからでも話はできるし」

未央「ん、そうだね。私は生!」

凛「ビール? やっぱり初めてのお酒はビールなんだね」

未央「お酒と言えばビールってイメージありますからねー。おいしいって話もよく聞きますし」

卯月「……初めてビールを飲んだときは『これで大人の仲間入り』って思ったなぁ」

凛「それで、卯月は大人になれたの?」

卯月「うーん……む、難しい質問ですね」

P「難しい質問だな。そう言う凛はどうなんだ?」

凛「どうなんだろうね。昔と比べると少しは成長したと思ってるけど……大人になってるかどうかはわからないかな。飲む前と後で変わったところがあるとすれば……」

未央「あるとすれば?」

凛「……これは未央がお酒を飲んでから話そうかな」

未央「む、焦らされた」

卯月「焦らしますね、凛ちゃん」

凛「うん。おあずけ」
797 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:03:46.46 ID:D3C3PKle0
P「……!」

未央「……うん? どうしたの? プロデューサー」

P「いや……今の凛の『おあずけ』、めちゃくちゃかわいくなかったか?」

凛「……は?」

卯月「かわいかったです! 私も思ってました!」

凛「ちょ、卯月まで。もう……」

未央「わたモゴッ!? モゴモゴモゴモゴ!」

凛「うるさい」

未央「……そ、それにしても先手で手を塞ぐことはないんじゃないかな?」

凛「……で、未央は生らしいけど、私たちは何頼もっか」

未央「スルー!? ちょ、本日の主役をスルーはなくない? ……あ、もしかしてこれも『おあずけ』っていう」

凛「居酒屋ってあんまり来ないかも。プロデューサー、おすすめは?」

P「んー、好きなの頼めばいいんじゃないか? ここは……確か、海鮮がうまかったかな」

卯月「ということは……お刺身とか?」

未央「ほんとに無視して進めてる! 唐揚げ! ビールには唐揚げってよく聞くから!」

凛「確かに唐揚げは多いかも。サラダは?」

P「ポテサラがうまい」

未央「お、ポテサラですかー。……お酒に合うの?」

P「酒飲みはなんでも合うって言うからな……」

卯月「お酒の種類にもよるんじゃないかな? ビールには……ポテサラの味付けにもよりそうです」

凛「ここのはどうなの?」

P「んー……ちょっと甘めかもな。ブラックペッパーもかけることはできる」

卯月「じゃあ……どうでしょう?」

未央「ってわからないんかい」

凛「卯月もそこまでお酒飲まないからね」

P「凛もそこまで飲まないだろ?」

凛「飲むときは飲むよ」

卯月「それなら私もそうですよ?」
798 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:04:24.60 ID:D3C3PKle0
凛「……それで、他には?」

未央「あ、逃げた。んー……あ、だしまき。だし巻きとかどう?」

P「お、いいな。じゃあそれも頼むってことで……個人的には煮付けとか欲しい」

卯月「うーん……お刺身、唐揚げ、ポテトサラダ、煮付け、それにだし巻きたまご。四人だったら……もうちょっと?」

凛「べつに後で頼んでもいいけどね。……枝豆も欲しいな」

未央「後で頼まないの? でも私も欲しいからさんせーい」

P「……とりあえず、これくらいにしとくか。足りなかったら追加で頼めばいいし、あんまり頼んでもテーブルいっぱいになっちゃうしな」

凛「今の時点でけっこういっぱいになりそうだけどね」

卯月「確かに!」

未央「しまむーの おいうち プロデューサーに つうこんのいちげき」

P「いや、べつに俺のせいじゃないし……とりあえず、頼むか」

未央「はーい。……そう言えば、ビールって私の他に誰が頼むの?」

凛「私はいいかな」

卯月「私も他のにします」

P「俺は……そうだな、ビールで」

未央「ん! それじゃ、注文しよっか。えっと、ベルを押して……」

未央「……店員さん! 生ふたつで!」
799 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:05:22.21 ID:D3C3PKle0

――

未央「おお……ほ、ほんとうに来ちゃった。来ちゃったよ、プロデューサー!」

P「テンション高いな。……でも、そんなもんか」

未央「そんなもんだよ。だって、初めてのお酒だもん……Foooooooooo!」

P「高すぎる」

凛「近所迷惑」

卯月「こわいです」

未央「ごめんなさい」

凛「……それじゃ、乾杯、する?」

未央「しますします! しちゃいまーす!」

P「それじゃ卯月、音頭を」

卯月「えぇっ! 私ですか!?」

未央「うむ。頼むよ、しまむー」

凛「誰」

未央「シンデレラガールさま」

P「めちゃくちゃ印象悪いシンデレラガールだな……」

未央「しまむーが?」

卯月「なんでぇ!?」

凛「その理論だと三人とも当てはまらない?」

P「……そう考えると贅沢すぎるな、このテーブル」

未央「プロデューサーのぜいたくものー」

凛「そうだね。ぜいたくもの」

卯月「そうだそうだー♪」

P「卯月まで乗らないでくれ。かわいいけど」

未央「しかし、シンデレラガールを三人集めて来るのが居酒屋とは……」

P「未央のリクエストだろ? 『いつもみんなで行ってる感じのお店』って」

未央「それはそうですけれども」

凛「プロデューサー、店、探してたのにね」

卯月「そうなんですか?」

凛「ほら、前に……」

卯月「あー……」

P「バラすな」

未央「探してくれてたの?」

P「……まあ」

未央「……そっか」

凛「卯月」

卯月「はい! それでは、未央ちゃんの誕生日を祝って、かんぱーい♪」

凛「乾杯」

未央「えっ? か、かんぱーい!」

P「……乾杯」
800 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:06:21.04 ID:D3C3PKle0
卯月「……ふぅ。このお酒、おいしいです」

凛「うん。私のも、飲みやすい」

P「……っぷは。うん、うまい」

卯月「……それじゃあ」

凛「うん」

P「未央、どうぞ」

未央「……そ、そんなに注目しなくても」

卯月「未央ちゃんのはじめてですから!」

凛「卯月、その言い方はちょっと」

P「未央のはじめてか……そりゃ見逃せないな」

凛「酔ってる?」

P「酔ってない」

未央「……じゃ、じゃあ、いただきます」

卯月「はい♪」

未央(……初めての、お酒。初めての、ビール)

未央(うーん……いざこうなると感動もひとしお、と言うよりはちょっと緊張すると言うか)

未央「……ええい、ままよ!」ゴクッ

未央「……」

未央(……こ、これは……!)

卯月「……どうですか?」

未央「……にがい」

未央(……うん。にがい。正直、あんまりおいしくない)

未央(あれー……? こういうのなの? ビールって)

未央(……いや、待てよ。確か、のどごしを楽しむ……みたいなことを聞いたことがあるような)

未央(もしかしたら、一気に飲むことで初めて良さがわかるのかもしれない……いざ!)ゴクッゴクッ

未央「っぷはー! うん! 変わんない!」

未央(わかんない! 良さ、わかんない! ……期待してたのにー!)

P「まあ、初めてのビールはなぁ……そんなもんだよなぁ」

凛「そんなもんだよね」

卯月「ですね」

未央「……プロデューサー、これ、何がおいしいの?」

P「……のどごし?」

未央「どこが? 炭酸だったらジュースでも飲んでおけばよくない?」

P「いや、違う、違うんだよ。ジュースじゃだめなんだよ。でも……何がうまいかって聞かれると、正直」

凛「麦の味が、とかじゃないの?」

P「正直俺は麦の味とかよくわからないからな……」

未央「えー……しまむーとしぶりんは?」

卯月「私は……あんまり、ビールが得意じゃないので」

凛「私もすすんでは飲まないかな。あと、お酒自体まだそんなに飲んでないし」
801 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:07:01.05 ID:D3C3PKle0
未央「……そう言えば、しぶりん。飲む前と後で変わったことってなんだったの?」

凛「『ビールはあんまりおいしくない』って知ってるか知ってないか、かな」

未央「……なんか、騙されたような気分なんだけど」

卯月「……わ、私の、飲んでみます?」

未央「……のむ」

P「飲むのか」

未央「のまなきゃやってられないもん」

凛「どこかで聞いたような台詞を……」

未央「しまむーのは……なんだっけ? ピーチ……なんとか?」

卯月「ピーチフィズですね! ピーチと……なんでしたっけ?」

P「桃のリキュールをソーダで割ったカクテルだな。そもそも『フィズ』って言うのは」

凛「その説明長くなりそう?」

P「……やめときます」

凛「よろしい」

未央「……とりあえず、いただきます」

未央(桃の……って、どんな感じなんだろう。やっぱりちょっと苦いのかな?)

未央(……とりあえず、飲んでみよう)ゴクッ

未央「……あ、おいしい」

未央(桃の香りがする。でも、そんなに甘みが強いわけじゃなくって……ちょっと爽やか? 酸味があるような……これは、確かに飲みやすいかも)

P「ピーチフィズはアルコール度数が比較的低いのも特徴だな。飲みやすいカクテルってのは度数が高いのもそこそこあるんだが、これに関してはそれほど気にしなくてもいい。と言っても、もちろん飲みすぎには注意が必要だが……そう言えば、未央、気分は悪くないか?」

未央「うん? 平気だけど……どうして?」

P「アルコールはダメな人はほんとうにダメだからな……未央はどうかな、と思って」

未央「たぶん大丈夫だよ? 大学でやったパッチテストでもそんな感じの結果出たし」

P「……そう言えば、大学でそんなのあったか」

凛「高校でもあったような気がする。保険の授業だったかな。そのときに」

P「そう言えばあったような気がする」

卯月「私は……あんまり強くないって結果でした」

未央「ということは、けっこう信憑性あるのかな?」

卯月「……かもしれません」
802 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:07:37.67 ID:D3C3PKle0
凛「それで、未央。私のも飲む?」

未央「ん、ちょっといただこうかな。しぶりんのは……梅酒?」

凛「梅酒はうめぇ酒だからね」

未央「ん?」

凛「え? ……あ」

卯月「凛ちゃん……」

P「今のは……」

凛「忘れて。お願い。……ここ最近、何回も聞いたから」

卯月「……た、たしかに、梅酒はうめぇ酒ですからね!」

凛「ぐっ」

未央「しまむー……またおいうちを」

卯月「えぇっ!? そ、そんなつもりは……!」

P「だが、梅酒は確かに飲みやすいしおいしい酒だよな。凛もちょっとハマってるみたいだし」

凛「……ハマってるってわけじゃないけど、お酒を飲むときは頼むかな」

P「誰かさんの影響で?」

凛「……それは否定しない」

未央「ほほう。しぶりんお気に入りのお酒、というわけですな? それは期待が膨らみますなぁ」

卯月「梅酒……次は梅酒にしようかな」

P「ほどほどにな」

未央「それじゃ、しぶりん、もらうね?」

凛「うん」

未央「じゃ、いただきー」ゴクッ

未央「……お」

未央(確かにおいしい。けっこう甘いし……あ、でも、さっきのよりお酒って感じがするかも。でも、そんなに嫌な感じじゃないような……)

未央「……これは『お酒』って感じするね。でも、おいしい」

凛「そう。良かった」

未央「うん。しまむーのもしぶりんのもおいしかったなー……次はどうしよ」

P「の前に残ってるビールな」

未央「……忘れてたのに。プロデューサー、飲まない? 間接キスだよ?」

P「飲まない。飲みたいところだが、ここで甘やかすのは良くないからな。ここは心を鬼にして……」

凛「……飲みたいところなんだ」

卯月「……プロデューサーさん」

P「そこだけピックアップするのやめてくれないか? そういう意味じゃないからな? ただビールがあるならって話で」

未央「……間接キスは、いやなの?」

P「いや、それは……四面楚歌やめろ!」
803 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:09:44.79 ID:D3C3PKle0

――

凛「……ふぅ。けっこう食べたね」

卯月「たべましたねー……ふわ」

凛「眠いの? 卯月」

卯月「ちょっとだけ……」

凛「そっか。……プロデューサー、卯月、眠いんだって」

P「……すまん、いま、そっちに意識を割く余裕がない」

凛「うん。見てればわかるよ。……未央、調子に乗って飲みすぎるから」

未央「……ぅん? なぁに、しぶりん?」

凛「……何と言うか、本当、個室で良かったね」

P「ほんとにな……」

未央「えへへー……プロデューサー、プロデューサーだー……」

P「近い近い近い近い」

未央「んー……酔ってるからー……しかたないのー……」

P「仕方なくない。仕方なくないから。……早く帰らないとまずいな」

未央「帰っちゃうの……? 私、今日はプロデューサーとずっといっしょにいたいな……」

P「ぐっ……!」

未央「……どきどき、してる? 実は、私も、どきどきしてたり……ほら」

P「ちょ、当たってる! 当たってるから! 凛が見てるから……!」

凛「私が見てなかったらいいの? 私たち、帰ろうか?」

P「いてください! お願いだから! 俺の理性のためにも!」

未央「……むぅ。私とふたりっきりはいやなの?」

P「そうじゃなくて……! ……なぁ、凛」

凛「なに? プロデューサー」

P「……酔った未央、危険すぎる」

凛「大丈夫だよ。たぶんプロデューサー限定だから」

P「何が大丈夫なんだよ……」

凛「それに、たぶん、そんなに……」

P「……そんなに?」

凛「……ううん。なんでもない。まあ、初めてのお酒なんだし、おおめに見てあげれば?」

P「我慢しろって?」

凛「うん。誕生日なんだし……わがままくらい、聞いてあげなよ」

P「……わかった。でも、ほんと、耐えられるかどうか」

凛「耐えられそうになかったら蹴ってあげるから大丈夫」

P「何が大丈夫なんだよ。いやでもそうなったらお願いします」

凛「うん、了解」

未央「……プロデューサー、ずっとしぶりんと話してる」

P「えっ、いや、これは、その」

未央「今日の主役をもっとかまいなさーい! 罰としてー……一生私の面倒をみる刑に処ーす!」

P「それ罰じゃな……じゃない。何言おうとしてんだ俺は。あぶな……ほんとあぶないな、酔い未央……」

未央「じゃあハグの刑? ぎゅーっ!」

P「それは生殺しの刑だからやめああああああああああやわらかいやわらかいやわらかい」

未央「……えへへ」
804 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:10:33.19 ID:D3C3PKle0
凛「……」

卯月「……? りんちゃん?」

凛「ん、なんでもない」

卯月「そうですかー。……みおちゃん、しあわせそうです」

凛「……うん」

卯月「おさけをのむと、ふわふわしますからねー……なんだか、きもちよくなっちゃいます」

凛「そうだね。……でも」

卯月「?」

凛「……たぶん、そんなに、酔ってないよ」

卯月「……? どういうことですか?」

凛「だから……卯月、ほんとに眠そうだね」

卯月「ちょっとだけですー……」

凛「……はぁ」

凛「私も、もっと飲んでおけばよかったかも」



805 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2019/12/01(日) 23:18:16.52 ID:D3C3PKle0
これにて今回は終了です! たんじょうびぎりぎり……。

なんだかんだでそこそこ続いてる影響でこのSSの未央さんもお酒が飲める年齢に! びっくり! もしかしたら数え間違えてるかもしれない……。たぶん合ってるはず。
今回はごはん要素あんまりないですね。お酒しかない。そのお酒の描写もあんまり多くない。個人的には「ビールがおいしくないわけじゃなくて単に舌が合っていないだけ」とか「ビールにも色々と種類があってその中から自分の舌に合うものを探していったり自分の味覚を拡張していったりすることに楽しみがあるんだよ」みたいな感じのことを書きたかったところではあるんですけれど、まあそこんところは次回以降で! 渋谷の凛ちゃんは……まあ、まだあんまりお酒飲んでない設定なんで。卯月もですが。
余談ですが酔い酔い凛さんは酔い酔い凛さんでいちおう設定がありますが書く予定は特にないです。酔い酔い未央さんは……どうなんですかね? どうなんでしょう。そもそもまたお酒を飲む回を書くかどうかがわからないみたいなところあります。

とりあえず今日はそんなところで! イベントめっちゃ多いですね! 忙しい! 嬉しい多忙? ですかね? 時間がかかるイベントと時間がかかるイベントが重なるのほんと……嬉しい悲鳴が出てしまう……しかしアイプロ後半戦めちゃくちゃ楽しみだなぁ……はぁ……未央……上位いけるかなぁ……がんばろ。

本田未央さん、誕生日おめでとうございます。これまでも、これからも、あなたのことを応援しています。

ありがとうございました。
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/02(月) 07:53:16.50 ID:eUFfgM6To
807 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:54:27.80 ID:XVWavLz90
未央「実は、今日は未央ちゃんの誕生日だったりするんですよねー。……ちらっ」

P「祝っただろ?」

未央「祝われたけどー……祝われ足りないと言いますか」

P「情勢的に無理だな。そもそも今日は仕事も長引いたしな」

未央「それそれ。ほんとなら実家に帰ってホームパーティーとしゃれこもうとしていたのに……」

P「はいダウト。それなら家に連絡してるはずだからな。そんな様子はなかったし、もしするならもうちょっと安全な日にするだろ。つまり日を変えて今週末にでもするか、あるいは一昨日かそのあたりにでもやったか」

未央「う、鋭い。……でも、せっかくの誕生日に仕事が長引いたの、ちょっとは罪悪感を覚えたりしない?」

P「しないこともない。だから、この後は付き合うよ」

未央「……罪悪感を覚えるから、付き合ってくれるの?」

P「それは、違うが……。未央、聞き方がいやらしいぞ」

未央「それはプロデューサーが反省することじゃないかな? 照れ隠しだったとしても、ね」

P「……悪かったよ。罪悪感とか関係なく、俺が未央を祝いたかっただけで――いっしょにいたかっただけだ。これでいいか?」

未央「よろしい。それじゃ、誕生日デート、だね」

P「どこも行くとこないけどな」

未央「それは言わない。お店とかも……この時間だと、閉まってるかな」

P「だな。……散歩かドライブくらいか? でも、なにか食べたい気分だな」

未央「じゃあ、コンビニ? ……あ」

P「ん? ……ああ、ここのスーパー、まだ開いてる時間だったか」

未央「……ね、プロデューサー。ごはん、いっしょにつくるのはどうでしょうか」
808 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:55:03.83 ID:XVWavLz90

――店の中

未央「メニューは?」

P「残ってる食材次第だろ。……まあ、なくはない、か」

未央「あ、お肉とかも一応ある。あんまりないけど」

P「何が食べたい?」

未央「プロデューサーこそ。って、私が誕生日だからか。うーん……そんなに時間がかからないやつ? 手間はちょっとかかってもいいから」

P「長時間煮込むようなのじゃなくてってことか。で、誕生日っぽいやつ……あるか?」

未央「そもそも『誕生日っぽい料理』ってなんだって話だもんね。ちょっと豪勢なの?」

P「豪勢なものはないんだよな……あ、高いステーキ肉なら残ってるけど」

未央「ステーキはあんまり気分じゃないかな……」

P「どっちだよ」

未央「と言うか、べつに豪勢じゃなくてもいいんだよ。大事なのは心だから」

P「単に『気分じゃない』ってのをいいように言うな……」

未央「うーん……今日は、鶏肉の気分!」

P「じゃあ鶏肉で。鶏肉の……なんだ?」

未央「時間かからないやつ、時間かからないやつ……あ、丼物!」

P「丼か……親子丼とかか?」

未央「とかね。あ、でも、ごはんがいるか」

P「それはなんでもそうじゃないか? まあ、ごはんがなくてもいいかもしれないが」

未央「早炊きだったらつくってる間に炊けるかな? それともレンチン?」

P「最近のレンチンごはんもおいしいからな……それでもいいかもな」

未央「じゃ、決定! 今日のごはんは親子丼です。材料買って、お家に帰ろー!」

P「……家?」
809 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:55:36.62 ID:XVWavLz90

――女子寮内・未央の部屋

P「……うーん。これはグレー」

未央「なんか言った?」

P「いや……まあ、何と言うか。誰にも見つからずに来ちゃったな、と」

未央「寮監さんには会ったけどねー」

P「それはまあな。ただ、他のアイドルとか、そういう……な。と言うか、共用キッチンを使うんじゃないのか」

未央「共用キッチンのほうが大きいし、設備も揃ってるんだけどね。ふたりだけだし、いいかなって」

P「……まあ、いいけど」

未央「それと、こっちのほうが秘密感が出て……いいでしょ? ドキドキ、しない?」

P「悪い意味ではする」

未央「悪い意味かー」

P「……親子丼、さっさと作ろう。なんか、眠くなってきた。このままだと帰るのが危ない」

未央「泊まってかないの?」

P「泊まるわけないだろ……」

未央「つれないなー。それじゃあ料理とまいりましょう。はいはい、手を洗って洗って」

P「じゃあ、俺は……だしでもつくっとくか」

未央「そのうちに私は鶏もも肉を一口大に切り分けます。あと玉ねぎを薄切りに。はい、具材完成!」

P「早いな。それじゃあこれに入れてちょっと煮て」

未央「その間にごはんをチン!」

P「溶き卵を回し入れて……ちょっと半熟め、これくらいか?」

未央「それじゃ、丼に入れたごはんの上にかけて……完成! 親子丼!」

P「……すぐだったな」

未央「すぐだったねー。……あ、飲み物、用意してなかったね。ちょっと待ってて。冷蔵庫から取ってくるね」

P「じゃあ、その内に俺はトイレでも…………いや、やめとくか」

未央「いや我慢されるほうが心配だから変な遠慮せずに行って?」
810 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:56:41.85 ID:XVWavLz90

――

未央「それじゃ、改めて……いただきます!」

P「いただきます」

未央(プロデューサーと私、共同作の親子丼。割といい感じにできた……と思う)

未央(見た目はいい感じにおいしそうだけど……とりあえず、一口)パクッ

未央「……うん」

未央(あ、おいしい。ふつうにおいしい。ちょっと濃いめ、甘めな感じで、プロデューサーの好みの味って感じだ。あー、これ、ごはんと合う。やさしい味の親子丼もおいしいけど、こういうしっかり味がついた親子丼も好きだなー。私はこっち派かも)

未央(あとは…………べつにコメントないかな。卵もいい感じってくらい? いや、ちょっと固めだけど、それはこういうものだと思うし。お店みたいなふわとろ親子丼はなかなか難しいですよ、やっぱり)

P「ん……割とうまくできたな」

未央「だね。これならお誕生日ごはんでも満足の出来ですよ」

P「なら良かった」

未央「ただ、ちょっとパーティー成分が足りないので……かんぱーい!」

P「はい、乾杯。って言っても、これは酒じゃ――うん?」

未央「あ、飲んじゃった」

P「……未央。これは?」

未央「お酒だねー」

P「……終電、まだだったよな」

未央「まだだよー。だから、今日は未央ちゃんに付き合いたまえ」

P「お前な……まあ、今日くらいはいいか」

未央「朝まで語り合わそうではないかー」

P「『今日くらい』って言ったよな? ……ほどほどになら、いくらでも」
811 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 22:58:18.53 ID:XVWavLz90

――

未央「――とか言ってたのに、ね」

P「……スゥ……スゥ」

未央「寝ちゃったよ、プロデューサー。……私よりは、強かったと思うけど」

未央「疲れてたのかな? 割と眠そうだったもんなー……でも、プロデューサーにしては迂闊だったね」

未央「……明日は、私もプロデューサーも、ちょっと大変かもね。この時間に誰とも会わなかったことはまだ可能性あるかなって感じだけど、朝だとさすがに……だし」

未央「そう考えると、起こすのが吉――なんだけど」

P「……ん……スゥ……」

未央「……起こさなくても、いいかな」

未央「ごめんね、プロデューサー。服、しわになっちゃうと思う。お風呂にも入ってないし、歯磨きもしてないし。他にも寝る前にやることとかやれてないかな」

未央「でも……この誕生日プレゼントは、捨てるにはちょっと惜しいから」

未央「だから、おやすみ。プロデューサー」

未央「……いつも、ありがと」



812 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2020/12/01(火) 23:01:26.78 ID:XVWavLz90
これにて今回は終了ですがまるまる一年ぶりですね。遅すぎる。
書いては没、書いては没、書いては没、みたいな感じでしたね。いつも同じような感じなのに。何を没にするようなことがあると言うのか。とは思いますがまあ個人的なあれやこれやですね。個人的なあれやこれや。どれやねん。

ありがとうございました。
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/30(金) 00:56:19.77 ID:/MwUV/H80
うおおおおお
生きとったんかワレェ!!
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/23(日) 21:33:48.74 ID:l6E1r4IP0
また時間があったらお願いします🙏
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