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本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2
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665 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/11/05(日) 23:14:59.88 ID:BUv/Zjsp0
ちひろ「はふっ……ん、おいしい!」
P「うん、うまいな、これ。何回か食べたことあるが、いちばんかもしれない」
美波「ふふっ、お口に合ったみたいで良かったです」
未央「本当においしいよ。こんなにおいしいところ、教えてくれてありがとう、みなみん!」
美波「どういたしまして、未央ちゃん。私も留美さんに教えてもらっただけだから、私が感謝されるのはちょっと違うかもしれないけど……」
P「それじゃ、留美さんにも美波にも感謝ってことで」
ちひろ「ですね」
美波「……ありがとうございます♪」
未央「それじゃ、ちょっと焼きそばとかももらっちゃおっかなー」
P「お、それじゃ俺も」
ちひろ「私は海鮮焼きをいただこうかしら」
美波「私もいただきます。……ふふっ、みんながよろこんでくれたみたいで、本当に良かったです」
666 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/11/05(日) 23:16:38.08 ID:BUv/Zjsp0
――店の外
未央「ふぅ……お腹いっぱいだよー」
P「無理に食べなくても俺が食べたのに」
未央「だって、おいしかったんだもん。おいしいものはいっぱい食べたくなっちゃうでしょ?」
P「まあ、そうかもしれないが……」
ちひろ「でも、おいしかったですよね。こんなお店を紹介されちゃうと……そう言えば、もう美波ちゃんはお酒も飲めるのよね。あんまり一緒には行けてないけれど……」
美波「わ、私は学生ですから。そういうのは、卒業してから、ということで……」
P「あんまり気が乗らない様子だが、何かあったのか?」
ちひろ「あー……美波ちゃん、どちらかと言うと介抱する側ですから」
P「あー……」
未央「……お酒、かぁ。私が飲めるようになるのは、二年以上先だね。今日も、私が飲めたらみんな飲んでた?」
P「んー……俺もそこまで飲む方じゃないからなぁ。美波が酔うところはちょっと見てみたくもあるが」
ちひろ「そう言えば、私も見たことないかも……美波ちゃん、誰かの前で酔うほど飲んだこと、あります?」
美波「……あまり思い出したくありません」
未央「そういうこと言われると見たくなっちゃいますなぁ。でも、酔うってどんな感じなんだろ。一回体験してみたいかも――」
美波「未央ちゃん。お酒は飲んでも飲まれるな、よ」
未央「……何があったの? みなみん」
P「まあ、飲み過ぎはダメってことだな。未央はそういうことを考える前にまず受験な」
未央「うっ。……あ、アイドルもだし」
ちひろ「もちろん、それも頑張ってもらうことにはなると思いますけど……やっぱり、大事なことですからね」
美波「そうだよ? でも、大丈夫。私がしっかり教えてあげるから!」
未央「みなみんに教えられるのがこわいんだけど……いや、ありがたいんだけどね? できれば、もうちょっとハードルを下げてもらいたいなー……って」
美波「未央ちゃん。……一緒に、挑戦しましょう?」
未央「これダメなやつだー!」
667 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/11/05(日) 23:17:12.51 ID:BUv/Zjsp0
P「……受験生、か」
ちひろ「どうしました? プロデューサーさん」
P「いや……初めて会った時は高一だったのに、もう受験生なんだなって思うと、ちょっと」
ちひろ「……そうですね。なんだか、変な感じです」
P「みんな、成長してますもんね……小学生の子が中学生になったり、中学生の子が高校生になったり、高校生の子が大学生になったり、学生だった子が、卒業したり……俺も、どんどんオッサンになってるんですかね」
ちひろ「私もおばさんに?」
P「ちひろさんはまだまだみんなのお姉さん、って感じですけどね。と言うか、自分で言いますか」
ちひろ「……実は、自分で言ってちょっと傷付いています」
P「えぇ……」
ちひろ「……時間の流れって、こわいですね」
P「……ここでその台詞を言われると、なんか違う意味に聞こえるんですが」
終
668 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/11/05(日) 23:19:22.73 ID:BUv/Zjsp0
これにて今回は終了です。
お好み焼き。おいしいですよねー。大阪のも広島のもどっちも好きです。たまにむしょうに食べたくなるのはなんなんですかね。ソースの魔力?
ここまで読んで下さってありがとうございました。
669 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/11/05(日) 23:24:33.71 ID:BUv/Zjsp0
あとSSとは関係ないですが、内容も全然関係ないですが、おめでとうございます。
……というか、せっかくだからパーティーな回にすればよかったかも? もう遅くはありますが、またやりたいところ。
そう言えば、このSSの中ではもう李衣菜は高校生じゃない……? なんか、変な感じかも……。
改めてありがとうございました。
670 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/05(日) 23:55:57.18 ID:YgHKyG8Bo
乙です
671 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/01(金) 08:09:09.65 ID:UzHimr1u0
ちゃんみお誕生日おめでとう!!!!!
672 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2017/12/01(金) 18:58:56.49 ID:+h7s1ZHc0
P「誕生日おめでとう、未央」
未央「ありがと、プロデューサー。日付が変わった時にもメッセージをくれたから、今日二回目だね」
P「だな。去年や一昨年みたいに盛大に祝う時間はとれないからその代わりに……だと、さすがに小さすぎるか」
未央「うむ、それだと未央ちゃんは満足できませんなー。受験生とは言っても休息は必要なのです。他のみんなは予定があったりして無理だけど……今日一日、プロデューサーは未央ちゃんのもの、だよね?」
P「違うが」
未央「えー。誕生日プレゼント、『プロデューサーのこと一日好きにしていい券』じゃないのー?」
P「そんなことを言った覚えはないんだが……今日は誕生日とか関係なく仕事が入ってるからな。そんな時間はない」
未央「仕事が終わってからだったらいいでしょ? 今日の仕事は……撮影、だったよね?」
P「そうだ。もうちょっとゆっくりしてから行くか? それとも……」
未央「ん、大丈夫。プロデューサーが来るまでに他の子とはちょっと話したし、撮影前の準備もあるでしょ? あんまり早く着いても迷惑かもだけど」
P「わかった。なら行くか」
未央「うん。それじゃ、お仕事頑張ろー!」
673 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2017/12/01(金) 18:59:37.65 ID:+h7s1ZHc0
――
P「お疲れ、未央。良かったよ」
未央「えへへ。ありがと、プロデューサー。今日は未央ちゃんの新境地を見せられたんじゃないかな〜、なんて」
P「もちろん、それが狙いだったからな。とは言っても、俺も驚かされた一人ではあるんだが……」
未央「私もアイドルですからなー。プロデューサーの予想をも超えてゆく……そう、それはまるで、あの星のように……」
P「どの星だよ。あと予想と星関係なくないか?」
未央「それはまあ雰囲気ですよ雰囲気。それよりも、まだ時間、あるよね?」
P「撮影も早めに終わったからな。どこか行くか?」
未央「うん! 今日のプロデューサーは私のものだし?」
P「だからそんなこと一度も……まあ、わかったよ。それで、どこに行く? 誕生日だし、そこそこ高い店でもいいが……」
未央「えっとね。それは――」
674 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:01:00.65 ID:+h7s1ZHc0
――店の前
P「……本当によかったのか?」
未央「うん。遠慮とかしてるわけじゃないよ? 私、今更プロデューサーに遠慮とかしないもん」
P「それはわかってる」
未央「む。そこで『わかってる』って言われるのもなんか複雑な気が……まるで私がプロデューサーに対してわがままばっかり言っているみたい」
P「言ってない気か?」
未央「……言ってるかもしれなしい、言ってないかもしれない。難しい問題ですね」
P「誰だよ。まあ、確かに未央は変なところで遠慮することもあるけどな」
未央「んっ! ……それはあんまり言ってほしくないんだけど」
P「事実だろ? これでも長い付き合いだからな。今更そんなことで恥ずかしがるなって」
未央「……プロデューサーだって、変なところですぐ落ち込むし変なところで面倒くさかったりするし、あと――」
P「ごめんなさい」
未央「ふふん、よろしい。プロデューサーが私の弱みを知っているように私もプロデューサーの弱みを知っていることを忘れないように!」
P「肝に銘じます。……って、こんなことしてないで、さっさと入るか」
未央「そだね」
675 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:01:40.29 ID:+h7s1ZHc0
――店の中
未央「ふぅ……店の中に入るとやっぱりあったかいね」
P「ああ。でも、誕生日にラーメン屋か……」
未央「ラーメンが食べたい気分だったからねー。あと、ラーメン屋さんと言えばプロデューサーと色々と思い出もある場所だし?」
P「ここ連れてくるの初めてだけどな」
未央「ラーメン屋というジャンルの話だからいいのです。最近あんまりラーメン屋さんに連れて行ってもらってなかったし?」
P「確かに結構久しぶりか。未央と来るなら、って考えるとあんまり行ったことのない店に行こうと思うからな……」
未央「あー、やっぱり? それで、ここは何が有名なの?」
P「何が、って言うと難しいが……貝?」
未央「貝のラーメン……あんまり食べたことないかも?」
P「かもしれないな。そこまで珍しいってこともないが、そこそこ珍しいからな」
未央「やってるところはやってる、みたいな?」
P「そうだな。それくらいの表現がちょうどいい。で、注文は?」
未央「プロデューサーと一緒で!」
P「ん。それじゃ、ラーメンとチャーシュー丼だな。……いや、未央には多いか?」
未央「多いかな? でも、チャーシュー丼も気になるし……うん、一緒にする」
P「わかった。じゃ、それで頼むな」
未央「はーい」
676 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:02:48.32 ID:+h7s1ZHc0
――
P「で、来たな」
未央「ほほー……こういうビジュアルですか。なんだか綺麗に盛り付けられてるね」
P「見た目も味に影響するもんだしな。のびたらなんだし、さっさと食べるか」
未央「うん! それじゃ、いただきまーす」
P「いただきます」
未央(でも、本当に綺麗な盛り付けだなー……薄切りのチャーシューがスープを覆うように盛り付けられていて、スープがあんまり見えない。まずはこのチャーシューにどいてもらって……お、このチャーシュー、やわらかくて、しっとりした感じ。レアチャーシュー? って言うんだっけ。これはチャーシューを食べるのも楽しみ……だけど、まずはこの、黄金に輝く透き通ったスープから!)ズズ……
未央「……ん!」
未央(貝! 貝だ! もう、本当『貝―!』って感じ! 口に含んだ瞬間に口の中が海の……えっと、とにかく、貝でいっぱいって感じ! 味は醤油系? でも、醤油の味はそこまで強くないかな。強烈な貝の味と醤油の味、旨味と香りが口いっぱいに広がって……うん、本当に、『広がる』って感じ。余韻も貝〜って感じで……ほんの少し、貝独特の『えぐみ』みたいなものも感じる。でも、どうしてかそれが全然嫌じゃなくて……どうしてなんだろう。それもなんだか『おいしい』って感じる)
未央(……スープを飲んだだけでわかる。このラーメン、めちゃくちゃおいしい。なんでおいしいラーメンってこんなにおいしいんだろう……いや、ラーメンだけじゃないだろうけど)
未央(とりあえず、次は麺を食べよう。ラーメンと言えば麺だからね。それを食べないことにはまだ勝負はわかりませんよ。なんて、料理漫画とかだったら展開が読めるフラグを言っておいて……)ズズ……
未央「……ん」
未央(うん! わかってた! これはおいしい! やっぱりラーメンは麺とスープの相性が大事だよね! しっかりとスープの味が一緒になって、でも歯ごたえは結構しっかりして主張していて……うん、すするのが気持ちいい麺、って感じ。ずるずるすするのが気持ちいい。それが貝の旨味が凝縮された極上のスープと一緒になるんだからもう最高。うーん、これはすごい……)
未央(と、スープと麺を味わったところで、一回チャーシュー丼を食べてみましょう。細かく切り刻まれたチャーシューがいっぱい乗ってて半熟玉子まで付いてるチャーシュー丼。……これもこれでおいしそう。とりあえず、いただきます)パクッ
未央「……うん」
未央(おいしいよね! うん、これはおいしい! ラーメンとはちょっとベクトルの違う味。なんだか『おいしい』っていう直球で来た……みたいな? 肉の旨味で口の中を征服してやるぜー! みたいな。ラーメン屋さんのこういうちっちゃな丼ってなんだかすごくおいしかったりするのはなんでだろうなー)
未央(さてさて、またスープを飲みまして、っと……あー、やっぱりおいしい。麺もすすって、それから具に手を付けていきましょう)
未央(チャーシューとメンマと煮玉子と……チャーシュー丼とラーメンで玉子がかぶってしまったなー。いや、チャーシューもかぶってるんだけど、ラーメンの方はレアチャーシューだし? ちょっと違うってことで)
未央(とりあえず、メンマからー……んー……強烈な何かがあるってわけじゃないけど、落ち着く感じ……コリコリしてて、味もおいしくて……良い感じ……)
未央(それじゃ、次は……この大ぶりのチャーシューをいただきましょうか! 麺と一緒に食べるかどうかは迷うけど……まずは、これ単品で!)パクッ
未央「……んー」
未央(おーいーしーいー……厚みはそんなだけど、結構大ぶりだったから、一気に頬張るとぼりゅーみー……口の中がお肉でいっぱい。しっとり上品で口の中に旨味が広がる感じ……おーいーしーいー……)
未央(はぁー……なんだか気が抜けてしまった……ここは煮玉子パイセンに口の中をキリッとさせてもらいましょう。煮玉子パイセン、カモン!)パクッ
未央「んー……!」
未央(やっぱり煮玉子パイセンは偉大ッスー! とろとろ半熟濃厚煮玉子ー! やっぱりおいしい! そのままスープ! うん! おいしい! 麺! おいしい! しーあーわーせー!)
677 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:04:15.51 ID:+h7s1ZHc0
――
未央「ふぅ……結局スープぜんぶ飲み干しちゃった……」
P「ここのうまいからなー。俺もあんまり飲み干す方じゃないが、ここのは飲み干す。濃すぎることはないし、うますぎるから」
未央「ハッ! まさか、多すぎるんじゃないか、って言うのはこういうこと……?」
P「バレたか……いや、未央も飲み干しとは思ってなかったけどな」
未央「おいしかったからねー。アイドルもラーメンの汁を飲み干すことはあるのですよ」
P「あるか? ……いや、ありそうだな」
未央「あるある。まあ、さすがにちょっと気をつけないと、だけどね」
P「アイドルだもんな」
未央「プロデューサーもだよ? 大人なんだし、私よりも危ないかもよ〜?」
P「……善処します」
未央「それしないやつ。もう、健康診断とかはどうなの?」
P「今のところは大丈夫……の、はずだ」
未央「ハズじゃ安心できませんなー。プロデューサーの身体も大事なんだし、ちゃんと気を付けてよ?」
P「……まあ、うん。少なくとも病気にはならないようには気をつけたいと思います」
未央「よろしい。それじゃ……帰る前に、ちょっと、いい?」
P「ん? 構わないが……なんだ?」
未央「えへへ。ちょっとね。プロデューサーと、行きたい場所があって」
P「行きたい場所……?」
未央「あ、さすがの私でも一八歳になったからそういうところにー、とかじゃないよ? そこは心配しなくてもいいから」
P「最初からしてない。高校生だしアイドルだしな」
未央「でも私の友達に」
P「それは話すな! 女子高生への幻想が壊れる!」
未央「幻想ってわかってるんだ……」
P「夢でしかないとわかっていても夢を見ていたいものなんだよ。アイドルと同じで、な」
未央「アイドルと一緒にされたくないんだけど!?」
P「……そうだな。俺としたことが、取り乱してしまった」
未央「そんなに……? まあ、それはそれとして、連れて行ってくれる? プロデューサー。私が行きたい場所に」
P「……ああ。連れて行くよ。未央が言うならどこにでも、な」
未央「……そういうところでも?」
P「だからそういうことは言うな」
678 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:05:23.42 ID:+h7s1ZHc0
――
P「よ、っと……ここだな」
未央「うん。東京で星が見える場所。この時間なら、まだ行けるかなーって」
P「この時間なら、まだ、な。……でも、本当に見えるな。東京に、こんなに星が見える場所があったのか」
未央「アーニャに教えてもらってねー。私も、こんなに見えることは知らなかったけど」
P「星がよく見える場所で撮影、なんてこともあったが……いつでも行けるような場所でこんなに見えると、ちょっと、変な感じだな」
未央「だね。……プロデューサー、星、綺麗だね」
P「そうだな。……本当に、綺麗だ」
未央「私は?」
P「……言わされてるみたいで嫌なんだが」
未央「プロデューサーから言わないから悪いんだよ?」
P「言う暇ほとんどなかっただろ……でも、綺麗だよ、未央」
未央「綺麗だけかな?」
P「んー……こういうところで茶化すところは面倒くさくてかわいいよな」
未央「……それはあんまり言われたくなかったかも」
P「ははは。調子に乗るから悪い」
未央「むぅ。今日の私は『プロデューサー一日好きにしていい券』を持っているのに……」
P「渡してない渡してない。……誕生日プレゼントは、別にあるしな」
未央「え?」
679 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:06:25.85 ID:+h7s1ZHc0
P「誕生日おめでとう、未央。受け取ってくれ」
未央「う、うん。……開けても、いい?」
P「ああ。開けてくれ」
未央「それじゃあ……これは、ペン?」
P「ああ。普段使いできるものの方がいいかと思ってな。受験に使うには、遅かったかもしれないが」
未央「……ううん。ありがとう。大切に、使わせてもらうね」
P「……よろこんで、くれたか?」
未央「え? そりゃ、まあ、プロデューサーからのプレゼントだし、このペンも、なんだか良いペンっぽいし……授業とかではちょっと使いにくいかもだけど、プロデューサーも、勉強用に、って渡したわけじゃないでしょ?」
P「いや、使い方は自由にしてくれて構わないが……いざ渡す、ってなると本当にこれで良かったのかって考え出してな。結構、不安でいっぱいだった」
未央「……プロデューサーって、そういうとこあるよね。大丈夫だよ。確かに『指輪じゃないのかー』とは思ったけど」
P「指輪はない」
未央「ないかー。でも、いつかは欲しいなー……ちらっ」
P「……いつか、な。いつか」
680 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:07:11.58 ID:+h7s1ZHc0
未央「お! 言ったね? 言質とったから! 私、もう忘れないよ?」
P「そこはもうちょっとしおらしい反応じゃないのか?」
未央「ふっふっふ。未央ちゃんは力の入れどころを見誤らないのです。ここで言質をとっておかないと、プロデューサー、色々と言い訳とかしそうだし?」
P「さすがにしない。……と思う。たぶん」
未央「たぶん?」
P「……絶対」
未央「うむ。それでよいぞ、プロデューサー」
P「王さま?」
未央「みおおうさま」
P「なんかよくわからんな」
未央「みおおうさま、みおーうさま……未央サマー! ハッ! 夏は私の季節とは、つまり、未央ちゃんが王さまだということを表していたのかー!」
P「いや意味わからん。今冬だし。未央は王さまじゃないし」
未央「ちょっと意味わからないノリになっちゃってた?」
P「ちょっとというかだいぶな。だいぶ」
未央「そっかー。えへへ。プロデューサーからのプレゼントが嬉しくて、かも。なんちゃってー」
P「……照れ隠しでもそう言われると、なんか、嬉しいな」
未央「お、プロデューサーかわいい」
P「かわいい言うな。……と言うか、冬って思うとなんだか急に寒くなってきたな」
681 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:08:29.85 ID:+h7s1ZHc0
未央「そだね。……手、つなぐ?」
P「……ん」ギュッ
未央「……プロデューサーの手、あったかいね」
P「未央の手も、な」
未央「ということは……私たち、アツアツ?」
P「それ、違う意味に聞こえるからやめろ」
未央「でも、間違ってはない……でしょ?」
P「……かもな」
未央「……えへへ。プロデューサー、腕も腕も」
P「んっ……当たってるんだが」
未央「それは『あててんのよ』ってやつですよ。未央ちゃんのふにふに……いや、ブラ越しだからそこまでやわらかくはない? どう?」
P「感想を求めるな! ……やわらかいです」
未央「うん、正直者でよろしい。えっちなプロデューサーくん♪」
P「えっち言うな。エロい未央」
未央「エロっ……エロい未央は、ひどくない? どっちの意味にもとれるし……」
P「……どっちの意味でも合ってるだろ?」
未央「合ってませんー! どっちの意味でもエロくなんかありませんー」
P「いや、それはない」
未央「なんで!?」
P「だって……ああ、もう、暑くなってきた。そろそろ離れろ」
未央「ダメですー。でも……プロデューサーって、私のこと、そういう目で見てたんだ」
P「……そういう目だけじゃないぞ? というか、誕生日になんでこんな話をしてるんだよ……」
未央「プロデューサーがエロいとか言ったから?」
P「お前が胸を押し付けたからだろ……」
未央「そうかな? それじゃあとりあえずこれでこの話はおしまい、ってことで」
682 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:09:17.08 ID:+h7s1ZHc0
P「……それでも腕は組んだままなんだな」
未央「あ、おしまいって言ったのに続けてるー。というか、今までにも腕を組むことはいっぱいあったでしょ? 慣れないの?」
P「慣れな……いや、確かに、少しは慣れたかもしれないが、こう改めて考えるとだな……」
未央「そっか。うん、プロデューサーも、そう、だよね」
P「も?」
未央「なんでもありませーん。……プロデューサー、もうちょっと、このまま星を見ていてもいい?」
P「このままって……このままか?」
未央「うん。……ダメ?」
P「……いや、今日は未央の言うことを聞く日、らしいからな。それくらいなら、いくらでも」
未央「……ありがと、プロデューサー」
P「どういたしまして」
未央「……ね、もう一回、誕生日、祝ってくれない?」
P「ん? ……そうだな。誕生日おめでとう、未央。この一年もよろしく」
未央「こちらこそ、この一年もよろしく、プロデューサー。私のこと、もっともーっと輝かせてよね☆」
終
683 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:16:03.43 ID:+h7s1ZHc0
これにて今回は終了です。
割りと久しぶり? なラーメンです。でも「久しぶり」なんて言葉が出てくる時点でラーメンを何回も書いているということ……これはいったい……?
今年は更新頻度ぜんぜんでしたがこのSSでの未央が受験生だったからー……とかではなく普通にあんまり書けなかっただけです。これからもこれくらいの頻度かもしれませんが、そこそこの頻度で書いていきたいなー……と思います。
本田未央さん、誕生日おめでとうございます。この一年も、あなたが輝く一年でありますように。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
684 :
◆Tw7kfjMAJk
[saga]:2017/12/01(金) 19:18:52.12 ID:+h7s1ZHc0
あとSSとは関係ないですが今回の未央ヤバいですねマジ美少女マジ美人マジかわいいマジ綺麗すごいヤバい。
総選挙CDもあるし楽しみだし……Tulipも……なんか発表されるまでは「まだかなー」って思ってたんですけど発表されてからがめちゃくちゃはやくかんじる……こころのじゅんびが……。
改めてありがとうございました。
685 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/02(土) 05:32:36.75 ID:NvQLGfCmo
乙
ほんま、貴方の書く未央は可愛い
686 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/31(日) 19:34:20.67 ID:I0Ii3/LJ0
ほ
687 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/01(木) 01:03:56.34 ID:52LBsNmp0
保守
688 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/01(木) 23:43:01.08 ID:Kiu9uTRd0
ほ
689 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/03/06(火) 22:56:46.99 ID:nkn1mx640
――駅
P「未央」
未央「えっ、あ――プロデューサー? 迎えに来てくれた、んだ」
P「ちょうど近くまで来てたからな。それと、お疲れ様。一段落だな」
未央「うん。まだ終わったわけじゃないけど……たぶん、大丈夫。だと、思う」
P「それは良かった。しかし、べつにまだ休みでもよかったんだが」
未央「ううん。私も久しぶりにみんなの顔を見たかったしね。身体もなまっちゃいけないし? しぶりんとかもそうでしょ?」
P「まあ、そうなんだが……凛はもう身体を動かしたくてうずうずしてる、って感じだったからなぁ」
未央「しぶりんが? それは見たかったかも」
P「見るからに『動かしたいー!』って感じだったからな。正直かわいかった」
未央「私は?」
P「かわいいって言われたいのか?」
未央「そうそう。あと、頑張ったご褒美とか欲しいなー、って」
P「……寄り道、するか?」
未央「するするー! いやー、プロデューサーくんは未央ちゃんのことがわかってますなー」
P「そんだけわかりやすいアピールされたらな。で、どこに行く?」
未央「んー……さすがにそこまで時間はかけられないよね。なら、そんなに時間はかからないような……あ」
P「どうした?」
未央「あそこ、行かない?」
P「あそこ? って……ああ。確かに、ちょうどいいか。ご褒美には安いかもしれないが」
未央「そう思うなら、ご褒美は後で追加してくれても構いませんよ? 私としては大歓迎ー」
P「考えとくよ。とりあえず、入ろう」
未央「はーい」
690 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/03/06(火) 22:57:15.02 ID:nkn1mx640
――店の中
未央「うーん……どうしよっかなー」
P「俺はここの飲茶とか結構好きなんだよな」
未央「お、そうするの? ドーナツじゃなく?」
P「でも、そんな時間もかけられないって言っててそれはな……」
未央「私はべつにいいよ? そもそも、ここにした時点で時間はあんまりかからない方だと思うし」
P「ただ、ドーナツが食べたいという気持ちもある」
未央「あー……じゃあ、どっちも、とか? 私も飲茶、ちょっと食べたいし」
P「なら、それでいくか」
未央「うん。けってーい。それで、ドーナツはどうするの?」
P「んー……チョコファッションで」
未央「それじゃ、私は……ゴールデンチョコレートで! なんか縁起良さそうだし!」
P「ゴールデンだから? ……飲茶は点心でいいか?」
未央「お、意外なところで来たね。もっとわけやすいので来ると思ってた。いや、三つに最初からわけられてるけど」
P「他のはさすがに重い気がしてな……あと純粋に食べたい気分だったから」
未央「食べたい気分なら仕方ないですなー」
P「うん。仕方ない。ってことで、注文しとくか。未央は席とっといてくれ」
未央「はーい。あ、飲み物はカフェオレでよろしく」
P「はいよ」
691 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/03/06(火) 22:59:22.84 ID:nkn1mx640
――
未央「はい、おかえりー」
P「ただいま。って、なんか違わないか?」
未央「違わない違わない。それじゃ、早速ドーナツをいただこっかなー。あ、はんぶんこ、する?」
P「チョコファッション、めちゃくちゃ半分にしにくいんだが」
未央「チョコ部分とチョコじゃない部分で?」
P「それなら簡単だけど嫌だろ……まあ、一回割ってみるか」
未央「うんうん。やってみてやってみて」
P「ん……お、意外といけた」
未央「まあ、半分じゃなくて四等分だけど?」
P「そっちのが簡単だからな。それに、同じことだろ?」
未央「同じことだねー。それじゃ、私のゴールデンなチョコレートを半分差し上げましょー」
P「ありがたき幸せ。って言っても、まずは自分のから食べるんだが」
未央「私もー。いただきまーす」パクッ
P「いただきます」
未央「……うん。やっぱりおいしいね。ドーナツ。この黄色いのがおいしい。この……パフみたいな……なに?」
P「粒?」
未央「そのまんまだね」
P「でも、それ以外どう表現すればいいのかわからないからな。正式名称あるんだろうか」
未央「どうだろ? とにかく、この黄色いカリカリがおいしいんだよね」
P「甘くて楽しい食感だよな」
未央「そうそう。子どもの頃とか大好きだったなー……今でも好きだけど」
P「俺もそうだったな。なんか『ゴールデン』ってのに惹かれた想い出がある」
未央「その気持ちはわからないなー。男の子だからかな? ウチの兄弟もそうだったかも」
P「かもな。それと比べると、チョコファッションとか、オールドファッション系のは『オトナ』って印象があった」
未央「あー、ちょっとわかる。なんか、子どもの頃は手を出しにくかったかも」
P「やわらかくないし、甘そうでもないからな。今となってはどんな見方だよって思うが」
未央「子どもの頃の純粋さを失ってしまった、ってことだね……」
P「純粋さ関係あるか?」
未央「あるある。未央ちゃん調べ」
P「それは説得力あるな」
未央「でしょ? 他にプロデューサーくんは未央ちゃんにメロメロー、なんて調査結果もあったり」
P「はいはい。それで、未央は点心、どれが食べたい?」
未央「スルーされたー。エビでお願いします」
P「ん。じゃあ俺が小籠包もらって……肉まんなら半分に割れるか?」
未央「割れそうだね。不器用なプロデューサーくんには難しいかなー?」
P「……お願いします」
未央「うむ。器用な未央ちゃんが綺麗に割ってあげましょ……あ」
P「……」
692 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/03/06(火) 23:01:46.58 ID:nkn1mx640
未央「ま、まあ、口に入れればいっしょ……だし?」
P「さすが器用な未央さま」
未央「むぅ。悪かったってー」
P「って言っても、俺がやったらもっとひどい結果になってたような気もするしな。ありがとう、未央」
未央「……どういたしまして」
P「それじゃあ、もらうな。……うん、やっぱりうまいな。こうやってほんの少し食べるのがいいんだよな」
未央「ちょうどいい量?」
P「食べてる間はもっと欲しくなるんだけど、それがまたちょうどいいんだよな」
未央「もっと食べたーいって思える間に終わるのがいちばん幸せって言うしねー。それじゃ、私もエビのを一口……うん、おいしい。ぷりぷりしてて、やっぱり好き」
P「……なんか、エビ食べたくなってきたな」
未央「食べに行く?」
P「諸々終わってから、予定が合えば。しかし、ピンポイントでエビって言うと……何がある?」
未央「んー……エビフライとか、エビチリとか?」
P「あとは……寿司とかでもあるか」
未央「ん! お寿司! 合格祝いに?」
P「……あんまり高くないところでお願いします」
未央「お、いいの? 言ってみただけだったんだけど」
P「問題、ない……と、思う。たぶん。街場寿司って感じのところなら、まあ……」
未央「回らないお寿司?」
P「とは言っても、回転寿司でもそこそこの値段する店も多いからな。金額的にはそう変わらないかもしれない」
未央「そうなんだ。なんか、回らないお寿司ってもっとお高い印象があったかも。でも、お寿司はもともと庶民のもの……だっけ?」
P「よく言われる話だな。とにかく、未央が金のことを心配する必要はないってことだ。それより心配することもあるだろうからな」
未央「うぐっ……わ、忘れたわけじゃありませんよ? 気が早いかもー、とは思ったけど、今から『合格祝い』って言ってた方が、なんか、気が楽じゃないですか」
693 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/03/06(火) 23:03:04.91 ID:nkn1mx640
P「それはそうかもしれないが……まあ、俺もそこまで心配しているわけじゃないけどな。後期の方は前期の合格発表の後、だったか?」
未央「そうだね。たぶん、大丈夫だとは思うんだけど……何が起こるかわからないし、それまでは勉強しとかないとねー」
P「それはまあ、な。……この、発表までの間がいちばんキツいんだよな。合格すればいいとは言ってもまだ試験は残ってる。勉強はしなくちゃいけない。でも、合否がわからない状態だと勉強もなかなか手がつかない。しなくちゃいけないのに集中できない。……俺の時は、そんな感じだったよ」
未央「だからこそ、こうして気分転換に来ているわけですよ。誰かと話してると、安心するから」
P「役に立てているなら光栄です」
未央「うむ。そなたは非常に我が役に立っておるぞよ。……ほんとうに、ありがとね、プロデューサー」
P「まあ、話しているだけなんだけどな。他に何かしてほしいこととかあるか?」
未央「なんでもいいの?」
P「ものによる」
未央「えー」
P「えー、じゃない。……まあ、できることならな」
694 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/03/06(火) 23:03:31.28 ID:nkn1mx640
未央「お、それじゃあ……そう言えば、まだ言ってもらってないことがあったね」
P「ん? なんか、あったか?」
未央「ほら。しぶりんの話、してるとき。私に言ってないこと、あったでしょ?」
P「凛の話? ……あー」
未央「わかった? それじゃあ、それを言ってほしいなー?」
P「……改めて言うってなると、なんか、アレだな。恥ずかしい」
未央「でも、できることでしょ? ほらほら。言ってくれたら、私、もっと頑張れると思うんだけどなー」
P「……わかった。言うよ。言いますよ」
未央「うん。言って言って?」
P「……かわいい」
未央「誰が?」
P「……未央が」
未央「じゃあ、続けて言って?」
P「……遊んでるだろ」
未央「もちろん。普段はさらっと言うこともあるのに、改めて言うとなると恥ずかしがってるプロデューサーくん」
P「説明するのやめてくれ」
未央「それで? まだ続けては聞いてないなー」
P「……未央は、かわいいよ」
未央「そう言うプロデューサーも、かわいいよ♪」
P「かわいいはやめてくれ」
未央「じゃあ、かっこいい?」
P「疑問形か」
695 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/03/06(火) 23:04:03.61 ID:nkn1mx640
未央「んー……プロデューサーが言われたいって言うなら、言ってもいいけど?」
P「……」
未央「……えへへ。まったくもう、プロデューサーくんは素直じゃないですなー」
P「ノーコメントで」
未央「そっかー。そっかそっか。……ね、プロデューサー」
P「……なんだ?」
未央「……やっぱり、なんでもない」
P「そうか」
未央「うん」
P「それじゃ、そろそろ出るか。近いとは言っても、さすがにな」
未央「だね。事務所まで、手でも繋ぐ?」
P「遠慮しとく」
未央「そっか。……えへへ」
P「……どうして笑ってるのかわからないんだが」
未央「そう? ……ふーん」
P「……なんだよ」
未央「んー? ……なんでもなーい」
P「……そうか」
未央「うん。そうなのです」
P「……帰るか」
未央「うんっ。いっしょに、ね」
終
696 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/03/06(火) 23:08:56.13 ID:nkn1mx640
これにて今回は終了です。
めちゃくちゃ久しぶりです。お久しぶりです。
「験担ぎ的な意味でカツとか……いや、でも、最近インフルエンザ流行ってるしな……それにカツとか重いもの食べさせるのも……あ、言ってる間にもう二月……バレンタインデーとか……いや、まさにって時期に人が多いところに行かせるのはどうなのか……あ、そうだ、それなら今まで書いてこなかったけど設定としてはある去年とか一昨年のバレンタインデーを書けば……あっ、バレンタインデー終わってしまった……それじゃあ……」
みたいな感じで迷いまくって全然書けませんでした。ちょこっと書いた状態で「時期的になー」と思って没になった残骸が結構あったりします。そんな言い訳とは関係なく純粋にめちゃくちゃ遅かったというだけではありますが。……すみません。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
697 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/03/06(火) 23:16:20.35 ID:nkn1mx640
あとSSとは関係あるかどうか微妙なんですけど今回の店の点心って最近あんまり見なくなったような気がしなくもないんですけど私が行っている店がたまたまそうってだけですかね? うーん……どうなんだろうか。
今回の店は書いたことあると思ってたんですがないっぽいので書きました。めちゃくちゃ頻繁に行っているってほどではないんですが、好きなんですよねー。個人的事務所設定ではなぜかこのお店のドーナツがよく事務所に置かれてあったりするらしいです。どうしてかなー。
改めてありがとうございました。
698 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/08(木) 21:39:00.65 ID:nG3xosW5O
乙です
例の店は最近だと点心置かなくなった店舗が増えた印象ですね
パン系やパスタなんかに力入れてるみたいですし
それにしてもドーナツ回なのにあのアイドルが出てこないのは意外でしたww
699 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/21(水) 12:46:05.81 ID:ZSJxctZ50
来てたー!
待ってたー!
700 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/21(土) 11:10:58.70 ID:dCe0s1yOO
ほ
701 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 20:57:28.85 ID:swKObOD40
未央「高校卒業アンド入試合格アンド大学入学祝い!」
凛「お寿司だっけ」
P「だな」
藍子「でも、良かったんですか? 回らないお寿司って、高いんじゃ……」
P「高級店ってわけじゃないから大丈夫だよ。ありがとう、藍子。気遣ってくれて」
未央「……あのー、未央ちゃんの声、聞こえてるかなー」
凛「聞こえてるよ」
P「聞こえてる」
未央「それだったらさっきのに何かしらの反応が欲しかったんですけど! にぎやかし的な!」
藍子「えっと……わ、わー?」
未央「うう……あーちゃん。やっぱりあーちゃんだけが私の味方だよ……」
P「未央まで藍子に気遣わせてるな……」
凛「と言うか、入学祝いだけでいいと思うんだけど。他の、いる?」
未央「いりますとも。その三つが合わさったからこそ、プロデューサーが回らないお寿司屋さんに連れて行ってくれるんだからね」
702 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 20:58:50.29 ID:swKObOD40
P「べつにそういうわけじゃないが……まあ、本当におめでとうな、三人とも。大学はもう始まって少し経つくらいだと思うが、どうだ?」
未央「楽しい!」
藍子「楽しいです」
凛「『こういうのなんだ』って感じかな」
P「んっ……り、凛さん? なんか、二人に比べて答えがずいぶん淡白なんですが」
凛「まだ入ったばっかりだしね。高校の時とは全然違って……自由? と言うか、放任? な感じだけど、それくらいじゃない?」
P「えぇ……いや、まあ、俺もそんな感じだったかもしれないが、もっとこう、他に……ないか?」
未央「んー……なんでも自由にできるぶん、『なんでもできるー!』みたいな感じがある、とか?」
P「お、それそれ。そういうのがやっぱり大学の――」
凛「私たちの場合、自由にできるぶんはだいたいアイドルの時間になるから」
P「……ごめんなさい」
藍子「あはは……まあ、忙しいことはいいことですから。いつもありがとうございます、プロデューサーさん」
P「あ、藍子……よーし! これからもばんばん仕事とって来てやるからな!」
藍子「はいっ」
P「凛も! 大学生活、充実させてやるからな! 覚悟しとけ!」
凛「うん。期待してるよ」
703 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 20:59:51.00 ID:swKObOD40
P「……それで、実際のところ、大学はどうなんだ?」
凛「まだ気にしてたの?」
P「そりゃ、まあ……気になるよ」
凛「……悪くないよ。未央や藍子ほどかはわからないけど、楽しんでる、と思う」
P「そうか。……良かったよ」
凛「……ふふっ」
P「なんで笑う?」
凛「いや……プロデューサーは、私のお父さんなの? と思って」
P「……そんな感じのこと言ってたか?」
凛「うん。言ってた」
P「そうか……まあ、凛のことを大切に思っている、ってことで」
凛「ふふっ。じゃあ、そうしとく」
未央「……お二人さん、私たちのことを忘れてはいませんかね?」
凛「忘れてないよ。ね、プロデューサー」
P「忘れてない忘れてない」
藍子「じゃあ、私たちは?」
P「……私たちは?」
未央「私たちのことは、どう思っているのかってことですよ。ね、あーちゃん」
藍子「そういうことです」
P「そりゃ、大切に思ってるよ。当然だろ?」
未央「本当に?」
藍子「凛ちゃんと同じくらい?」
P「藍子にそうやって詰められるの、なんか、変な感じなんだが……もちろん、二人とも、凛と同じくらい大切に思ってるよ」
未央「ふむふむ……それならよろしい」
藍子「いえ、よろしくありません。未央ちゃんと私たちじゃ、大切の種類が少し違うんじゃないですか?」
P「んっ!?」
未央「ちょ、あーちゃん!?」
704 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:00:45.49 ID:swKObOD40
凛「あ、それは私も気になるかも。どうなの? プロデューサー」
P「……凛、お前、いやらしい微笑み方覚えやがって」
凛「レッスンの成果じゃないかな」
藍子「それで、どうなんですか? プロデューサーさん、未央ちゃん。未央ちゃんが大学生になって、お二人の関係に進展はあったんですか?」
P「藍子も記者みたいな聞き方するな?」
藍子「レッスンの成果です」
P「くっ……こいつら、アイドルから色んなものを得てやがる……! それも、余計なものを……! ……と言うか、未央! こういう時は未央が助けてくれる流れじゃないのか!?」
未央「えーっと……私も、その件については詳しく聞きたいなー、って」
P「ちょっ……お前、また、かわいいこと言いやがって! でも今は助けてほしいんだが!」
凛「かわいいだって」ヒソヒソ
藍子「これはスクープが期待できますね」ヒソヒソ
P「聞こえるようにひそひそ話するな! 何もないからな? 本当に」
未央「……何も、ないの?」
P「あっ……いや、今のは、だな」
凛「これ、修羅場じゃない?」ヒソヒソ
藍子「修羅場ですね」ヒソヒソ
P「そこの二人、聞こえてるからな……! あと、未央。お前もわかってるだろ? さっきのは、そういう意味じゃなくてだな……」
未央「……じゃあ、どういう意味?」
P「それ、は……」
未央「……んふっ。あ、ごめ、でも、もう無理……あははっ」
P「は? ……あー」
凛「どうしたの? プロデューサー。そんな溜息ついて」
藍子「ふふっ、あ、すみません。……ふふっ」
P「……凛も藍子も、あんまりこういうことしない方だと思ってたんだが」
藍子「やってるうちに乗ってきちゃって」
凛「何のこと?」
P「凛は共犯者が自白してるのによくのうのうとそう言えるな?」
凛「私は関係ないから」
P「ノリノリだったやつの台詞じゃないんだが」
未央「まあまあ。それくらいにして、そろそろ行かない? 私、お腹空いてきちゃったなー?」
P「ん、そうか。そうだな。そろそろ行くか」
未央「それでは、回らないお寿司に……レッツ、ゴー!」
藍子「おー♪」
凛「おー」
P「……そんな高いところじゃないからな? マジで」
705 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:01:25.43 ID:swKObOD40
――店の前
未央「ほうほう……確かに、お寿司屋さん! って感じのお店だね」
凛「プロデューサーが言ってた通り、そんなに高級店って感じじゃなくて、街のお寿司屋さん……みたいな感じだね」
藍子「念のためにお金を用意しておいたんですけど……余計な心配だったみたいですね」
P「……藍子。心配してくれるのは嬉しいんだが、べつに高級店でも無理したら払えるからな? ちゃんと給料もらってるからな?」
藍子「ですよね。失礼なことだとはわかっていたんですけど……回らないお寿司って聞くと、なんだか必要以上に身構えちゃって」
P「その気持ちはわからないでもないが……大学生になったとは言っても、それでいきなり大人になるわけじゃない。気楽に構えて任せてくれ」
藍子「……はいっ」
P「それで、だ。……そこの二人は、何をそわそわしているんだ?」
未央「っ……と、ですね。べつに、なんでもない、デスヨ?」
凛「私は本当になんでもないよ。いっしょにしないで」
P「……未央?」
未央「……実は、私も結構お金を持ってきておりました」
P「……そうか」
未央「プロデューサーを信用してなかったわけじゃないんだよ? でも……万が一があったらことだな、と思いまして」
P「……そうか」
未央「……あの、プロデューサー?」
P「……俺、もうちょっと身なりとかに気を遣った方がいいのかな」
未央「わー! ごめん! ごめんって! 私たちが心配し過ぎただけだからー!」
藍子「そ、そうですよっ。大丈夫ですから。ね?」
凛「……お店の前で騒いでないで、もう入らない?」
P「はい」
未央「ごめんなさい」
藍子「えっと……じゃ、じゃあ、入りましょう」
706 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:02:34.17 ID:swKObOD40
――店の中
未央「ん、中は思ったよりも広い……かも?」
凛「カウンターだけじゃなくてテーブル席もあるんだね。思ってたよりも気楽そう」
藍子「内装も完全に和風、というわけではないんですね。雰囲気はちゃんとありますけど、そこまでぴりっとしていない、というか」
P「そんなもんだよ。まあ、俺も色んなところに行っているわけじゃないからわからないんだが」
未央「この店にはよく来るの?」
P「ちょくちょくな。月に一回来るかどうか……いや、何ヶ月かに一回くらいか」
凛「いつもは誰と来てるの?」
P「何人かで来る時もあるけど、結構ひとりでも来るからな?」
藍子「お寿司屋さん……ということは、どちらかと言うと日本酒が好きな人ですか?」
P「いや、鮨も最近は結構ワインとのマリアージュに凝ってるところもある……が、ここは確かに日本酒だな」
未央「へー……お寿司と言えば日本酒ってイメージがあったけど、それだけじゃないんだね」
凛「どっちにしても、私たちはまだ飲めないけどね」
P「まあ、それはまた飲めるようになった時にな。ただ、本当に飲み過ぎないように。この三人だと……たぶん、大丈夫だと思うが」
未央「意外とあーちゃんがすごい酒豪だったりして」
藍子「えっ」
凛「ちょっとわかるかも。飲むペースはゆっくりだけど、ずっと飲み続けている藍子。想像できるから」
藍子「わ、私、そんなイメージありますか?」
P「なくはないな。逆に、めちゃくちゃ弱かったりするかもしれないが」
未央「お酒に弱いあーちゃん……それはそれで、想像するだけでかわいいですなー」
凛「藍子はどういう酔い方するんだろうね。意外と、悪酔いするタイプだったりして」
未央「ちょっと子どもっぽくなんてなられたらもうイチコロだね。かわいすぎて心配」
P「その場合は禁酒だな。藍子には悪いが、大事なアイドルだからな。信用できる誰かがいない限りは禁酒だ、禁酒」
藍子「……まだお酒を飲める年齢になってもいないのに、禁酒令まで出されちゃうんですか」
未央「あはは。でもまあ、あーちゃんはゆるふわだけどしっかりしてるし、大丈夫だと思うけどね」
P「誰でもダメになる可能性があるから酒はこわいんだけどな……」
凛「実感こもってるね」
未央「とにかく、酒は飲んでも飲まれるな、ってことですよ。そもそも今日誰もお酒飲まないのに、どうしてお酒の話に……」
P「さて、じゃあ何を注文しようか。俺はいつもおまかせでいくつか握ってもらってからお好みで……って感じなんだが、どうする?」
凛「話の変え方、ちょっと強引過ぎない? 私はそれでいいよ」
藍子「私もです」
未央「私も」
P「それじゃ、それで頼むか。すみません」
707 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:03:24.10 ID:swKObOD40
――
未央「お、これは突き出しってやつですね?」
P「そうだな。イカの湯通し、か」
凛「シンプルだね」
P「この感じがいいんだよ。ぐにぐに噛んで酒を飲んで寿司を待つ……って、酒は飲まないんだが」
藍子「……飲みます?」
P「飲まない」
未央「とりあえず、一口もらうね。……ん、おいしい。そこまでかたいわけじゃなくて、でも、しっかりと弾力はあって……確かに『いい感じ』だね」
凛「ん……うん。そうだね。おいしい。こういうの、私は好きだな」
藍子「確かに、凛ちゃんはシンプルなものが好きそうなイメージがありますね」
未央「あ、わかる。しぶりんはそういうの好きそう。まっすぐだし」
凛「まっすぐだし、って……どういう意味?」
未央「なんか……寄り道せずに、まっすぐに、と言うか……無駄がない感じ?」
藍子「洗練されたイメージですかね」
未央「あ、それそれ。洗練された感じ」
凛「……よくわからないんだけど」
P「なんてそっけなく言いながらも、内心くすぐったい気持ちになっている凛ちゃんなのでした」
凛「いちばん高いのばっかり頼んでもいい?」
P「ごめんなさい調子に乗りましたさすがに勘弁して下さい」
未央「……プロデューサー、たまにそんな感じになるよね」
藍子「プロデューサーさんですから」
P「……藍子? それ、俺、褒められてる? それとも貶されてる?」
708 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:04:37.89 ID:swKObOD40
凛「ん、次の、来たね。……鰹?」
未央「ほうほう……これは、おいしそうだね」
P「ああ。大ぶりで、軽く炙られていて……絶対うまいな」
藍子「それじゃあ、もらいますね。……わ」
未央「……おお。これは、すごいね」
凛「香ばしさもあって、脂の甘みもあって……でもそれ以上に旨味があるね」
P「めちゃくちゃうまいな……めちゃくちゃうまい」
未央「プロデューサー、語彙力語彙力」
P「いや、だって、もう……めちゃくちゃうまい」
未央「わかるけど」
藍子「プロデューサーさんがそうなるんですね……」
P「俺は食レポの仕事とかしないからな」
凛「それ、関係ある? と言うか、プロデューサーなら私たちにアドバイスできるくらいの方がいいんじゃないの?」
P「アドバイスができるかと自分ができるかはまた別だから問題ない」
未央「それではプロデューサー、さっきの私たちの得点は?」
P「いい感じだったんじゃないか? 素の反応って感じで」
凛「素だし」
藍子「素ですからね」
未央「ふむふむ……つまり、ありのままの私たちを大事にしろ、ってことだね!」
P「なんかいい感じにまとめてくれたな」
凛「それで、実際はどうなの? プロデューサー」
藍子「そういうことなんですか?」
P「そりゃ大事にはした方がいいんじゃないか? どっちがどっちかわからなくなったら困るからな。考え過ぎても良くないとは思うが」
未央「……プロデューサー、やっぱり色々考えてくれてるんだね」
P「プロデューサーだからな。それなりには考えてるよ」
凛「身なりについても?」
P「……やっぱりそんなにダメか?」
未央「ちょ、しぶりん、ここで掘り返す? またプロデューサー面倒くさい状態に入っちゃうじゃん」
709 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:05:04.78 ID:swKObOD40
P「面倒くさい……身なりもしっかりしてなくてさらに面倒くさくてごめんな……」
藍子「お酒、飲んでませんよね?」
凛「本当に面倒くさいね」
未央「大丈夫だよ、プロデューサー。プロデューサーはかっこいい……プロデューサーはかっこいい……面倒くさいところもかわいい……面倒くさいところもかわいい……」
凛「催眠術?」
未央「むむむむ……むーんっ!」
藍子「超能力ですか?」
P「ハッ! ……お、俺は、かっこいい……そして、かわいい!」
凛「効いてるし」
未央「そう、そうだよ、プロデューサー……プロデューサーはかっこいい……そしてかわいい……」
藍子「これ、まだ続けるんですか……?」
P「かっこいい……そして、かわいい……そうか! 俺が……俺こそが、アイドル!」
凛「違うよ」
藍子「違います」
未央「ごめん、それは違うよ」
P「未央、ここで梯子を外すのはさすがにひどい」
710 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:05:43.88 ID:swKObOD40
未央「とかなんとかやってる間に、握りの時間だよ。まずは……イカ!」
藍子「突き出しでも出ましたけど、やっぱり全然違いますね」
凛「じゃあ、早速……ん。これ……すごくおいしい」
P「身は包丁が入れられてやわらかく、すっきりとした強い甘みが噛むごとに広がる。そんでまた、酢飯がうまいんだよな。うまいイカと喧嘩もせず、しっかりうまい」
未央「歯切れも良いね。でも同時に、ふわっと口の中で解けるみたいな感じもする。……うん、すごくおいしい」
藍子「次は……カスゴ? って」
P「春の子と書いてカスゴだな。鯛の幼魚だ」
未央「ほうほう、鯛の……ん! んんー! おいしい!」
藍子「やわらかくて……でも、旨味も強くて。それが口の中で酢飯と混ざって……おいしいです」
凛「次は鯖だね。……うん、おいしい。脂が舌の上を流れるみたいに溶けていくね」
未央「それから、しっかりとした旨味もあって……おいしいなぁ」
P「で、ヅケ。……ああ、うまいな。ちょうど良い。程よい酸味がまた良いな」
藍子「イクラ……おいしいです。イクラそのものの味、という感じで、どこかすっきりとした味わいで、とっても、おいしい」
凛「蛤、か……おいしいね。やわらかい。甘くてコクのある煮詰めと蛤の風味、そこに酢飯が絡み合って……うん、すごくおいしい」
未央「そして、海老! ……んー! めちゃくちゃおいしい! と言うか、甘いね! 肉厚で、何と言うか……幸せが凝縮されているみたい」
P「それから穴子。……溶けていく。ふわふわとして柔らかく、香り良く、酢飯と絡まり合って、口の中で解けて溶ける。……最高だな」
未央「……おまかせはこれで終わり?」
P「ああ。お好みでも食べたいと思ったんだが……どうする? まだ食べるか?」
未央「食べたい」
藍子「プロデューサーさんがよければ」
凛「私も」
P「よし。それじゃ、俺は小柱と平目と海胆と鰯と――」
未央「いきなり多い」
藍子「そんなに食べたいものがあったんですか……」
凛「……まだ食べてないのを目の前で食べられたら、食べたくなりそうだね」
未央「あ」
藍子「……プロデューサーさん、できればそんなには注文しないで下さいね」
711 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:06:48.99 ID:swKObOD40
――店の外
P「ふぅ……最高だった」
凛「それは否定しないけど」
藍子「……お腹、いっぱいですね」
P「俺に合わせなくても良かったのに」
未央「あんなおいしそうな顔して目の前で食べられて我慢できるわけないじゃん」
P「はっはっは。でも動けないってほどじゃないだろ? 俺もめちゃくちゃ満腹ってほどは食べてないし……そうじゃなくても、めちゃくちゃ満足感あるからな……」
未央「動けないほどじゃなくても、お腹いっぱいはお腹いっぱいなんだよ?」
藍子「でも、本当においしかったです……ありがとうございます、プロデューサーさん」
凛「うん。本当においしかった。ありがとう、プロデューサー」
未央「あ、その点は私も同じ。プロデューサー、ありがとね☆」
P「ふっ……お前らのその顔こそ、俺にとっては最高のお返しだよ」
凛「その台詞は気持ち悪いけど」
P「ひどいな?」
藍子「そう言えば、未央ちゃんは大学に入ってからはこっちに来たんだっけ」
未央「そうだね。だから、高校の時より帰るのが遅くなっても大丈夫なのです」
凛「らしいけど、プロデューサー?」
P「ダメです」
未央「えー」
P「いや、確かに高校の時よりは余裕あるだろうけどな? それはそれとして、だな。送迎が必要なら呼べよ?」
未央「そこまで心配しなくても大丈夫だと思うけど……」
凛「プロデューサーの方が危険って?」
P「なんでそうなる」
藍子「まったく危険はないんですか?」
未央「それがね……ないんだよね……」
P「いや、当然だろ……むしろ手を出したらダメだろ」
凛「それはそうだろうけど……ね」
藍子「まったく手を出されないのも複雑ですよね」
P「待て待て待て。なんで責められてるんだ? 俺。褒めてほしいくらいなんだが」
未央「乙女心は繊細で複雑ってことなのです」
P「自分で言うか?」
未央「言っちゃう。未央ちゃんですから」
712 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:07:39.06 ID:swKObOD40
P「……とにかく、帰るか。せっかく入ったのにこんな時期から……ってのはな」
藍子「こんな時期から……って、こんな時期じゃなければ、プロデューサーさんはどうだったんですか?」
P「……反面教師としては優秀な人材だったかな」
凛「そうなんだ。意外かも。あんまり遊び歩くようなイメージなかったけど」
P「……うん、まあ、遊び歩きはしなかったんだけどな……うん……遊び歩かなくても、ダメ人間は生まれてしまうって言うか、な……」
未央「……この話題、触れない方がいい?」
P「はい」
未央「……よ、よし! あーちゃん! ほら、月が綺麗だよ! 東京でも月ってこんなに綺麗に見えるんだね!」
藍子「そ、そうですねっ。月はどこでもこんな感じだと思いますけど、綺麗ですっ」
P「……ふっ、心遣いが苦しいぜ」
凛「下手な誤魔化しが、じゃなくて?」
P「……今の流れは、凛も二人に付き合う流れじゃないのか?」
凛「決まっているわけじゃないでしょ?」
P「まあ、そうだが……なんだか、今日の凛はぐいぐい来るな」
凛「私らしくない?」
P「……そうだな。決めつけるのもおかしい話だが」
凛「大丈夫。私もそう思ってるから」
P「そうか」
凛「うん」
713 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:08:24.40 ID:swKObOD40
P「……それで、凛は何を言いたいんだ?」
凛「べつに。ただ、無責任で……自分でも、言うべきじゃないと思うこと」
P「……そうか」
凛「私には、あんまりわからないけどさ。……わからないなら言うなって話だけど、それでも、わかることはある。プロデューサーが教えてくれたことが」
P「俺が? ……思い当たるものがないな」
凛「アイドルのことも?」
P「……それなら、確かにな」
凛「うん。……アイドルは、アイドルだよ。私も、藍子も……未央も。アイドルだけど、それはイコールで結ばれない。でしょ?」
P「凛の場合は、ほとんど結ばれているような気もするけどな」
凛「店の中で話してたことは? ……って言いたいところだけど、あんまり否定できないかな」
P「だろ?」
凛「でも、今は私の話じゃないから」
P「……だな」
凛「……関係ないのに、どうしてここまで口出ししてるんだろうね」
P「関係なくはないから、じゃないか」
凛「そうかな」
P「ああ」
凛「そっか。……ううん。でも、やっぱり私は関係ないよ。余計なことを言い過ぎたかも」
P「いや……ありがとう」
凛「……お礼を言われるようなことかな」
P「そんな気持ちになったんだよ。受け取ってくれ」
凛「……ん。どういたしまして」
714 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:09:12.54 ID:swKObOD40
P「……さて。いつまでも二人で話してないで、さっさと二人に追いつくか。さすがに二人だけにはしてられないからな」
凛「そうだね。でも、最後にひとつだけ」
P「ん?」
凛「未央ももう大学生になったんだし、好きにすれば?」
P「……」
凛「余計なお世話だと思うけど、これだけは言っておきたかったから」
P「いや……うん。肝に、銘じとく。……ありがとう、凛」
凛「……ん」
凛「……あと」
P「あと?」
凛「さらに余計なことを言ってもいいなら『傍から見るとずっといちゃいちゃしてるようにしか見えないんだから今更何をうじうじやっているのか理解できない』とかもあるけど」
P「いやあのそれはやめて下さい正直仰る通りだと思うところもありますけど!」
終
715 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:21:11.53 ID:swKObOD40
これにて今回は終了です。
今回は前回からの流れってことでお寿司でした。お寿司はおいしいですね。おいしいです。お高いお寿司食べたいです。今回のはそんなにお高くない設定ですが、実際のところおいくらだったんでしょうか。東京のお寿司食べたいです。
もうちょっと同じ年齢の子を出すかどうかも迷ったんですがやめておきました。みくとか、さすがに……ですからね。
藍子→プロデューサーの呼び方は確か以前書いた時は「Pさん」でしたが、今回は「プロデューサーさん」でした。表記に一貫性がなくてすみません。個人的なあれやこれやです。
このSSでの未央ももう大学生ですね。大学生になって何かあるんでしょうか。今回の最後はプロデューサーさんが凛に色々と言われておりましたがどうなんでしょうか。正直今までも十分いちゃいちゃしとったがなみたいな思いもあるのですがどうなるのでしょうか。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
716 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/04/22(日) 21:24:02.43 ID:swKObOD40
あとSSとは関係ないですが総選挙ですね。明日の中間発表、ドキドキです。
総選挙中はめちゃくちゃ更新したろ! ……みたいに思っていたのですが今日になるまで書けませんでした。次は……わかりません。
改めてありがとうございました。
717 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/25(水) 10:52:54.54 ID:T7fq628w0
おつおつ
718 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/25(金) 19:47:02.76 ID:OJ0zxfg70
ほ
719 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/25(月) 18:34:04.46 ID:EeX4lsZ+O
ほ
720 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/07/12(木) 20:08:43.13 ID:XAvnLSvU0
P「寮での生活はどうだ?」
未央「問題ないよ。前からちょくちょく泊まったりもしてたしねー」
P「さびしかったりはしないか?」
未央「さびしくは……ないかな。みんなもいるし、そんなには、ね。私ももうちょっとさびしくなるものだとは思ってたんだけど……いつでも会いに行けるからかな?」
P「どうだろうな。今の時代、いつでも会いに行けないところのほうが少なそうだが。いつでも会いに行けるからこそ、なかなか会いに行かなかったりもするからな」
未央「それ、プロデューサーの話?」
P「でもある」
未央「そっか。……プロデューサーは、ひとり暮らしを始めてすぐの頃は、どうだった? さびしかったり、しなかった?」
P「そうだな……一日目は、さびしさを感じたような気もする。一日目の、夜だったかな。二日目からはそんなこともなかったんだが……一日目は、さびしかったな」
未央「ふーん……そうなんだ」
P「そうだよ。ひとりがさびしいなんて格好悪いか?」
未央「ううん。そんなことないよ。だって、ひとりってさびしいもん」
P「……そうだな。ひとりは、さびしいか」
未央「今は、本当にさびしくない?」
P「さびしくないよ。未央もいるし、それでさびしいなんて言ったら贅沢だろ?」
721 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/07/12(木) 20:10:10.57 ID:XAvnLSvU0
未央「そっか。さびしいって言ってくれたら、夜も未央ちゃんがいっしょにいてあげたのになー?」
P「……大学生になってそういうこと言われると、余計に困るな」
未央「でしょ? ふふん」
P「わかってやってるのかよ」
未央「もちろん。好きな人を困らせたいのが乙女心というやつなのです」
P「好きな子に意地悪する小学生の男の子じゃなくてか?」
未央「む。そう言われると……確かに、ちょっと似てるかも? やめたほうがいい?」
P「やめられたらやめられたで調子が狂いそうだからそのままでいい。嫌ってわけでもないしな」
未央「小悪魔な未央ちゃんもかわいいってことかな?」
P「……どうだろうな」
未央「素直じゃないんだからー」
P「うるさい。……ごはんとかは、どうしてる? 寮でも出るだろうが、自分でつくったりはしてるか?」
未央「まあ、ぼちぼち? プロデューサーはどう?」
P「俺か? 俺は……学生の頃なら、つくったりもしてたか。何もやってなかったからな。時間が余りに余った結果、料理をすることもあった」
未央「へぇ……凝ったものとか、つくったの?」
P「そういう気分のときは、な。もう全然覚えてないが……カレーとかは、今でもつくるか」
722 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/07/12(木) 20:10:57.65 ID:XAvnLSvU0
未央「ほう、カレー。未央ちゃんの得意料理でもありますね?」
P「あー……未央の、うまかったなぁ。また食べたい」
未央「……そういうこと言われると、うれしいね。もっと言ってね? いつでもつくってあげるから」
P「それじゃあ、おにぎりとかもまた食べたい」
未央「お、いきなり言うね? 実は前から思ってた?」
P「たまにな。手料理が食べたいような気分のときは、未央のを思い出してたな」
未央「……そう、です、かー。……か、カレー!」
P「カレー?」
未央「そう! カレーの話してたら、食べたくなってきちゃった! どこか、行かない?」
P「ん、まあ、べつにいいが……そうだな、カレーか。なら、ちょうど行きたいところがあってな」
未央「行きたいところ? また、誰かに教えてもらったの? それとも、有名なところとか?」
P「有名なところだな。というか、チェーン店だしな。俺はあまり行ったことないんだが……未央はどうだろうな」
未央「カレーでチェーン店……この時点で、結構しぼられるね」
P「だろうな。それでいいか?」
未央「うん。考えている中のどこでもいいし……もし考えているのじゃなかったとしたら、それはそれで気になるし?」
P「じゃあ決定だな。えーっと、確か、ここらへんだと……」
723 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/07/12(木) 20:11:28.24 ID:XAvnLSvU0
――店の前
未央「あ、ここかー」
P「ここだな。未央は、来たことあるか?」
未央「よく見るけど、実はなかったり。それでも、このゴリラはインパクトあるし、知ってたけどね」
P「だよな。来たことがないって言うのは……まあ、未央はあんまり来そうではないな」
未央「実家暮らしのときは、カレーと言えばお家カレーだったしねー。でも、金沢カレー? だったよね? 食べたことないな。どういうの?」
P「どういうの、って言われると……濃い? あと、キャベツの千切りがいっしょに出てくる」
未央「キャベツ? カレーに、キャベツの千切り……ちょっと想像しにくいかも」
P「あと……って、ちょうどここに書いてあるな。えーっと……ステンレスの皿に盛られていて、フォークか先割れスプーンで食べる。あと、ルーの上にはカツが載っていて、ソースもかかっている、か」
未央「カツカレーが普通ってこと?」
P「みたいだな。確か、俺が昔に食べたときもそうだった」
未央「でも……フォークでって、食べにくくない? カレーだよ?」
P「まあ、ここに書いてある通りドロッとしてるしな。キャベツの千切りもいっしょに載ってるわけだし、ただのスプーンじゃ食べにくいのかもな」
未央「なるほど。と言うか、プロデューサーは食べたことあるんだもんね」
P「ああ。そのときもべつに食べにくいとは感じなかったな。……とにかく、入るか」
未央「ん。りょーかーい」
724 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/07/12(木) 20:13:38.46 ID:XAvnLSvU0
――店の中
未央「ん、食券制なんだ」
P「そう言えばそうだったな。これなら、入る前に何にするか決めておくべきだったか……」
未央「まあまあ、落ち込まない落ち込まない。それで、プロデューサーのおすすめは?」
P「おすすめって言っても、あんまり覚えてないからなぁ……未央はどうする?」
未央「お、今回は私から? それじゃあ……ん、チキンカツカレーにする。サイズは……どれくらいがいいかな?」
P「まあ、普通のサイズ……エコノミー? に、すればいいんじゃないか?」
未央「じゃあそうするね。プロデューサーは、いちばん多いファーストかな?」
P「いや、その間のビジネスで。トッピングとかはしないのか?」
未央「初めてだしねー。最初はスタンダードなのからいこうと思いまして」
P「そうか。なら、俺は……ロースカツカレーのビジネスで」
未央「このメジャーカレーっていうのじゃなくていいの?」
P「ちょっと量が多そうだからな。食べられないってことはないだろうが、あんまり量を食べたい気分でもない」
未央「そっか。それじゃ、早速食券を買って……適当に座ればいいのかな?」
P「たぶんな」
未央「で、食券を店員さんに渡して、待つと。……そう言えば、プロデューサー」
P「ん?」
未央「ちょうど行きたいところだった、って言ってたけど、どうしてなの?」
P「ああ、それか。いや、最近見たアニメで金沢カレーが出てきてな……」
未央「あー……そう言えば、プロデューサーってアニメ見るタイプだったね。私もプロデューサーの影響で見るようになったけど……最近は、見れてないかも」
P「お、それなら最近のオススメを教えようかな。まず、女子高生がキャンプをする漫画が原作のアニメがあるんだが……」
725 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/07/12(木) 20:16:17.75 ID:XAvnLSvU0
――
P「来たな」
未央「来たね。ふむふむ、これが金沢カレー……確かに見るからに濃そうだね。あと、香りが結構強い? これは……ソースのにおいも混ざってる? かな?」
P「そうだな。カレーなんだが、あんまりカレーっぽくない。ちょっと独特な感じがするよな」
未央「うん。このドロッと感は……一晩置いたカレーっぽい?」
P「確かに、そうだな。……とりあえず、冷めないうちに食べるか」
未央「だね。いただきまーす」
P「いただきます」
未央(さてさて、それじゃあ早速……って、そうだったそうだった。フォークで食べるんだよね。カレーにフォーク……最初に聞いたときは食べにくそうって思ったけど、これだけ濃厚なら)
未央(ん、すくえた。けど……ソースとカレーって、混ぜたほうがいいのかな? そこらへんはどれくらいのバランスがいいのかなー。まあ、最初の一口は混ぜずにいこう。それじゃあ、いただきます、っと)パクッ
未央「……ん」
未央(おお、濃い。確かに濃いね! あと、そこそこ辛い! でも、そんなに嫌な辛さじゃないかも。濃厚で、ドロドロで……そこにスパイスがピリッと効いて。それに辛いだけじゃなくて、甘みと塩味も効いていて、ドロドロのソースみたいなルーがそれを丸く包みこんでいる感じ?)
未央(でも、これだけじゃ濃すぎて口の中がドロドロになっちゃいそ……って、だから、キャベツの千切りがあるのかな。それじゃあ今度はキャベツの千切りをいただきます)パクッ
未央「……うん」
未央(やっぱり! キャベツの千切りで口をさっぱりさせるのが良いね。カレーだけだと濃いから途中で飽きちゃうかもしれないけど、キャベツが良い……清涼剤? になってる。カレー、キャベツ、カレー、キャベツ……って、そうそうチキンカツ)
未央(もうこのカレーがソースかってくらいドロドロで濃い感じだし、カツに合いそう。えっと……あ、フォークだし、カツも食べやすいかも。これで、カツとカレーとごはんをいっしょに口に入れて……)パクッ
未央「……うんっ」
未央(おいしい! やっぱりお肉はいいね。いい。サクサクしてて、カレーがドロドロな中でこの食感は楽しい。鶏肉のあっさりした脂が濃いカレールーと口の中で合わさってるのもいい感じ。ソースの味も舌の上を乗って、ふんわりフルーティーな香りが抜けてくる)
未央(そして、ここにまたキャベツの千切りを入れて、っと)モキュモキュ
未央(……うん。金沢カレー……いいね!)
726 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/07/12(木) 20:17:36.17 ID:XAvnLSvU0
――店の外
未央「おいしかったね、プロデューサー!」
P「ああ、うまかった。しかし、マヨネーズもあるんだったか……今度はかけてみるかな」
未央「お、また来るつもり? そのときは私もマヨネーズをかけようかなー」
P「なんでいっしょに来る前提なんだよ……」
未央「そりゃ、私とプロデューサーの仲ですし?」
P「どんな仲だよ――って、これ聞いたらどんな答えか返ってくるか予想できるな」
未央「アイドルとプロデューサーじゃなくて?」
P「そう言うつもりだったのか?」
未央「さて、どうでしょう。少なくとも今は、アイドルとプロデューサーだもん」
P「今は、か」
未央「うん。将来的には……どうなるかな? 私がずっとアイドルを続けるなら、ずっとアイドルとプロデューサーなのかもしれないけど……」
P「どうだろうな。未央が高校生から大学生になったように、俺も何かが変わるかもしれない」
未央「出世して、現場からは離れちゃうかも?」
P「そうなるかもな。……そのとき、未央はどうしてるかな」
未央「どうだろうね。アイドルのままか……それとも、女優さんになってたり?」
P「女優か。アイドルとしての未央も良いが……女優として活躍する未央も、見てみたいな」
未央「そう? なら……そのときも、プロデューサーはいっしょにいてくれる?」
P「いっしょに? ……そんなの、言うまでもない」
未央「……えへへ。そっか。うん。……うん。……でも、言ってみて?」
P「……言うとなると、恥ずかしいんだが」
未央「それでも。プロデューサーが恥ずかしがるところも見たいしねー」
P「変な趣味してるな」
未央「いい趣味じゃなくて?」
P「良くはないだろ」
未央「そうかな? と言うか、話、そらさないで。ほらほら、ね?」
P「……わかったよ。それじゃ、言うぞ?」
未央「うん。言って?」
P「……アイドルのままでも、女優になっても。たとえ、そのどちらでもなかったとしても。できれば、俺は、ずっと未央と――」
終
727 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/07/12(木) 20:23:08.57 ID:XAvnLSvU0
これにて今回は終了です。
久しぶり! めっちゃ久しぶりですね! もっと早く更新するつもりだったので話題もそんな感じですね。はい。
今回のお店は金沢カレーのお店です。気になりながらも行ったことなかったんですけど、あんな感じなんですねー。プロデューサーさんが言ってたアニメで見た……のほうのモデルは今回のお店じゃないっぽいですが、プロデューサーさんはそういうことまでは知らなかったみたいですね。まあ私もそっちの店行ったことないんですけど。そっちのお店も行ってみたい……。
ここまで読んで下さってありがとうございました。
728 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/07/12(木) 20:25:35.17 ID:XAvnLSvU0
あとSSとは関係ないですが「Stage bye Stage」良い曲ですね。CD発売が楽しみです。
CG STAR LIVEも行きたいなぁ……。
改めてありがとうございました。
729 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/12(木) 20:27:46.86 ID:3lZaFv8qo
乙乙
730 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/07/12(木) 23:41:02.92 ID:W9c9bzQh0
更新来てた!乙!
731 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/13(金) 20:07:42.66 ID:1MR2BcXt0
おおう、3更新も見逃してた・・・乙ですー
732 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/20(金) 06:06:05.68 ID:kNZjM9RP0
乙です!しかし長編シリーズだなぁ。素晴らしい
733 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/08/20(月) 23:36:06.33 ID:1QUlsanb0
P「うどんを食べに行こう」
未央「え? ……いきなりどうしたの? またうどん探訪?」
P「いや、そうじゃなくてな……ちょっと、近所にうまいうどん屋ができたって聞いてな」
未央「それで、行ってみたくなった、と?」
P「そういうことだな」
未央「……普段のプロデューサーだったら、こういうとき、私に何も言わずにひとりで行かない? 男の人ひとりだとー、って店だとまだわかるけど、うどん屋さんでしょ? いや、プロデューサーは男の人ひとりだとちょっとって店でも割とひとりで行く印象あるけど」
P「そう言えばそうだな。最近はあんまり新しい店を開拓したりしてなかったが……いつもなら、未央を誘う前にひとりで行ってみることが多かったか」
未央「そうそう。今までもないことはなかったけど、珍しいなーと思って。どうしたの?」
P「どうした、って言われても……なんとなく、初めて行く場所だし未央も誘うか、って思っただけでな。特別な理由はない」
未央「……特別な理由はない、ですか」
P「ああ。……あ、ここはそれっぽい理由をでっち上げる場面だったか? デリカシー? 的に」
未央「そういうことを聞くほうがデリカシーないと思うんですけど? でも……うん。特別な理由がない、っていうのは高得点かな。未央ちゃん的に」
P「そう……なのか?」
未央「そうそう。それで、もう行く? 私は今すぐでも大丈夫だけど」
P「ああ。未央がいいなら、すぐに行こう。近くだし、サクッと行ってサクッと食べよう」
未央「ん。それじゃ、しゅっぱつしんこー」
734 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/08/20(月) 23:36:46.52 ID:1QUlsanb0
――店の前
未央「おお、ほんとにすぐだね、プロデューサー。しかし、ここは……なんだか、思ってたよりもオシャレな雰囲気?」
P「だな。店の前にメニューが置いてなかったら素通りするところだった。あんまりうどん屋っぽくないが……メニューも、ちょっと凝ってるのも置いてあるな」
未央「ん、確かに。定番どころだけじゃなくて結構色んなのがある……かな? これは……ニュージェネレーションうどん?」
P「無理やり結び付けなくていいから。店の前でずっと立ってるのもなんだし、さっさと入るか」
未央「はーい。二名様、ご来店でーす」
P「お前はどの立場なんだよ」
735 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/08/20(月) 23:38:38.09 ID:1QUlsanb0
――店の中
未央「お、店の中もオシャレな雰囲気だけど……立ち食いなんだ。ちょっと意外」
P「そんなに広くないからかな。ビジネス街ってのも関係しているかもしれない。昼休みなんかにサッと入ってサッと出る、みたいな人が多いんじゃないか?」
未央「あー、そういう。えっと……あそこで注文する感じかな? うどんを注文している間に並べられている天ぷらなんかを選んでお会計するタイプ……うどん屋さんって、こういうの多い?」
P「んー……どうだろうな。俺もそんなにうどん屋に行ってるわけじゃないからなぁ……讃岐うどんはこういうスタイルの店が多いのかもしれない」
未央「ほうほう? それで、プロデューサーは何のうどんを注文するのかな?」
P「俺は……そうだな。冷かけで」
未央「冷かけ? って……かけうどんの、冷たいやつ?」
P「まんまだな。そうなんだが」
未央「『通』な食べ方ってやつ?」
P「いや、単に暑いからシンプルで冷たいのを一気に喉に流したかったってだけだな」
未央「おおう、そういう理由ですか……まあ、前にうどん屋さんに行ったときに変な食べ方してたもんね。そんなこと考えてないか」
P「ん? バカにしてるか?」
未央「してないしてないしてないヨー。それじゃ、私も同じので。注文しよしよ」
P「なんか釈然としないが、わかった。……すみません。冷かけの大盛りと並を一つずつ、お願いします」
未央「で、出来上がるのを待ってる間に天ぷらを?」
P「べつに取らなくてもいいんだろうけどな。このシステムだと……ついつい、取っちゃうよなぁ」
未央「だね。えっと……私は定番の鶏天かな。あ、かやくご飯もある。うどんと同じ出汁で……だって。そんなに量もないし、これも食べよ」
P「俺もまあ、似たような構成だな……それじゃ、俺は会計しとくから、適当に場所とっといてくれ。うどんは店員さんが出来上がり次第持ってきてくれるらしいから」
未央「ん。旦那さまの帰ってくる場所を守っておくのが妻の務めですからねー」
P「誰が旦那さまで誰が妻だよ……」
未央「それはもちろん、プロデューサーが旦那さまで、私が」
P「それ以上言わなくていい」
736 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/08/20(月) 23:40:22.83 ID:1QUlsanb0
――
P「ん、来たな」
未央「……こうやって見ると、なんだか綺麗だね。うどんと出汁だけって、どんな感じになるのかなーって思ったけど……シンプルなこの二つだけだからこそー、っていう。侘び寂び? みたいな?」
P「侘び寂びか? でも、シンプルだからこその美しさっていうのはわかる気がするな。引き算の……だったか。必要最小限のものだけだからこそ研ぎ澄まされた美しさを感じるのかもしれない」
未央「そう本田未央のプロデューサーは熱く語った。冷かけの美しさを語る彼の姿は、私には少し眩しく見えた――」
P「恥ずかしくなるからやめてくれないか? 侘び寂びとか言い出したの未央のくせに」
未央「いやー、冷静になるとうどんを前に何言ってるんだろって思ってね。確かに綺麗ではあるけど、食べ物なんだし、まずは食べなきゃ」
P「それはそうだが……まあいい。いただきます」
未央「いただきまーす」
未央(さてさて、ラーメンだったらここでまずスープから、という感じだけど……うどんは、どうだろ?)
未央(いつもだったら麺をずるずるとすすっていくところだけど……冷かけ? だし、出汁の塩梅を確認しておきましょうか)ズズ…
未央「……お」
未央(おおー……おいしい。いい感じに冷えてるし、香りも旨味もしっかり感じる。ぬるくはないけど冷たすぎもしないのがポイントだね。あんまりにもキンキンに冷えてると味がわからなくなっちゃうし。そう考えると、これくらいの冷たさはベストかも。ちょうど夏だし、あっさりしてるから、ゴクゴク飲めちゃう)
未央(っと、ゴクゴク飲んじゃダメなんだった。うどんだよ、うどん。出汁をゴクゴク飲むのはせめてうどんを食べてからでしょう)
未央(それで、うどんは……うん、やっぱり綺麗に感じる。店の照明のせいかな? それとも、この黄金色の出汁とあいまって? まあ、とにかく、食べてみなくちゃわからないってなもんでしょう)ズズー…
未央「……」
未央「……」ズズー……
未央(……ハッ! おいしくて、ついずるずると食べ進めてしまった)
未央(うーん……おいしい。おいしいね、これは。いい感じの弾力で、かたすぎもせず、やわらかすぎもしない。これぞ讃岐うどん、って感じ。詳しいわけじゃないんだけど)
未央(どこかしなやかで、するすると食べ進められてしまう。あっさりとしながらもしっかりとした旨味を持つ出汁が絡んで、ズルズルと啜っていくのが気持ちいい)
未央(ずずーっと啜って、はぁーっと一息。そしてまたずずーっと啜って、はぁーっと一息。このサイクルがたまらない。麺類のものを思い切り啜るのって、上品とは言えないんだろうけど、やっぱり、すごく気持ちいい)
未央(ここらで鶏天とかやくご飯もいただきましょう。……んん、これもこれで良い感じ。揚げたて熱々ってわけじゃなくて、むしろもうちょっと冷めちゃってるけど、これはこれでおいしいなぁ。こういう、ちょっと冷めた感じのもののおいしさって、どう表現すればいいんだろう。衣もサクサクじゃなくなっちゃってるんだけど、それが良い、みたいな……難しい)
未央(かやくご飯も同じで、ちょっと冷めてしまっている。でも、それが良い。少し冷めることで味がしみたりしているのだろうか。なんか、落ち着いていながらもしっかりとした味合いを感じて……そう言えば、うどんと同じ出汁を使ってるんだっけ。食べていると、どこか安心したような気分になる。家庭的……とは、ちょっと違うけど、どうしてか少し懐かしい。そんな感じだ)
未央(そうして、またうどんをずずーっと啜って、出汁をごくごく飲んで、はぁーっと一息ついて……ぱくっと鶏天やかやくご飯にお箸をつけて)
未央(んん……このサイクル、止められないっ!)
737 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/08/20(月) 23:43:38.75 ID:1QUlsanb0
――店の外
未央「はー……結局、お出汁、ぜんぶ飲んじゃったよー」
P「俺もそうだな。思ったよりも腹が膨れたんじゃないか?」
未央「うん。動けないーってほどじゃないけど、思ったよりは、ね。でも、あっさりしてたし、食べやすくて……たぶん、大盛りでもいけちゃったね。頼まなくてよかったけど」
P「そうだな。もうそろそろ夏も終わるが、あんまり食欲がないときなんかには重宝しそうだ」
未央「それは確かに……って、そう言えば、もうそんな時期かー。高校の頃だと……そろそろ夏休みが終わる頃だね。宿題に追われる時期だ」
P「去年なんて、確か、ちょっと早くに夏休みが終わって、もうそろそろ始まる頃だったんじゃないか?」
未央「んー……そうだったような気もするし、そうじゃなかったような気もする……去年は忙しかったからあんまり覚えてないね。学校でも学校じゃなくても、勉強してた気がするし」
P「受験生だったもんな。大学は九月の半ばか終わりくらいまで休み、だったか」
未央「だね。そのあたりはプロデューサーのほうが詳しいかも」
P「なんでだよ。確かに未央のスケジュールはだいたい頭に入ってるが」
未央「私よりも私のこと知ってるかも?」
P「そんなことはないと思うが……」
未央「でも、大学が休みでも、あんまり休みだーって感じはしないかも。プロデューサーがいっぱい仕事をくれるからねー」
P「ああ。高校の頃に比べて仕事を入れやすくてありがたい」
未央「私も仕事がいっぱいでありがたい……けど、お休みもほしいなー? なんて」
P「心配するな。身体は壊さないように気をつけてる」
未央「身体が壊れなかったらいいってものじゃないですよ?」
P「ははは」
未央「笑い事じゃないんですけど!?」
P「……まあ、ちゃんと考えてるよ。大学生とは言っても、だしな。昔に比べると、さすがに頑張りすぎたりはしないようになってるが」
未央「……そう言われたらそう言われたで、なんか、調子狂うね」
P「どうしろって言うんだよ。……とにかく、また休みは入れておくよ。遊びすぎて遊び疲れられても困るが……そういう日も、あったほうがいいかもしれないからな」
未央「……プロデューサーは?」
P「俺?」
未央「身体は壊さないように気をつけてるかもしれないけど……たまには遊ぶのも、大事だよ」
P「……そうだな。俺も、ちゃんと休んで、ちゃんと遊ぶよ。それでいいか?」
未央「んー……あんまり信じられませんなぁ」
P「そんなに信頼できないか? 俺」
未央「プロデューサーは私に頑張りすぎないようにって言うくせに、自分は頑張りすぎちゃったりしますからなぁ。休日はしっかり休んでるんだろうけど……遊ぶのは、信頼できない、から」
P「から?」
未央「私もプロデューサーもオフのときに、さ。……いっしょに遊んだり、しませんか?」
P「……」
未央「……む、無言は、ちょっと、悲しいんですけど?」
P「……あ、いや、悪い。……うん。そうだな。未央がいいなら、そう、するか」
未央「ほんとに? ほんとに、いいの?」
P「いいよ。むしろ、こっちからお願いしたいくらいだよ。未央は俺よりずっと遊び方を知ってるだろうし……未央となら、俺も、しっかり遊べそうだからな」
未央「……そ、っか。そっか。そう、ですか。……よーし! それじゃ、未央ちゃんがプロデューサーのことをヘトヘトになるまで遊び疲れさせちゃうからね! 覚悟しておくよーに!」
P「いや、ヘトヘトにされたら困るんだが……おい、聞いてるか? 未央? おーい」
終
738 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/08/20(月) 23:49:14.36 ID:1QUlsanb0
これにて今回は終了です。
夏だしさっぱりしたものをー、って思いましたがちょっと涼しくなってきちゃいましたね。いや、涼しくなってきたこと自体は嬉しいんですが、また書くのがちょっと遅れちゃったかー、って感じです。
今回はうどんですね。讃岐うどん。ひやかけ、おいしいですよね。ごまかしがきかないとは言いますが、こんな季節にはおいしいお店でひやかけをぐいぐいするのが気持ちいいように思います。苦味がえぐみがなく、しかししっかりとした旨味を感じる出汁でいただく冷たいおうどんを一気にすする……気持ちいいです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
739 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/08/20(月) 23:52:10.10 ID:1QUlsanb0
あとSSには関係ないですがスターライトステージのMVで未央に踊ってもらってカシャカシャするの楽しいです。未央やっぱりかわいいです。美人さんです。
スターライトステージと言えば、でれぽでかき氷キーンってなってたし、かき氷を書いてもよかったなぁ……と思いました。書くかもしれません。
改めてありがとうございました。
740 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/08/30(木) 20:39:24.31 ID:u7rIIPcn0
♫
741 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/11/05(月) 06:48:21.18 ID:CW6dl2EU0
未央「肌寒くなってきたなー、と思うわけですよ」
P「肩出しといてそんなこと言われても困るな」
未央「確かに。でもここは颯爽とジャケットを肩にふぁさーっとかけてくれるシーンじゃない?」
P「そうしたらどうなる?」
未央「親愛度が1上がるね」
P「1か……」
未央「不満? でも、もし親愛度の上限が10とすると……?」
P「大きいな」
未央「でしょ? ちなみに未央ちゃんの親愛度上限は600です」
P「その中の1か……微妙だな」
未央「ちなみに未央ちゃんの親愛度はすでにMAXです」
P「じゃあ意味ないな?」
未央「いやいや。ここでジャケットをかけてくれるとイベントが発生するからね。イベントスチルが埋めれるよ」
P「あー、ぶかぶかのジャケットを羽織る感じの?」
未央「そうそう。『これがプロデューサーの体温なんだ……』みたいな。乙女な感じのが見れますよ?」
P「先に言ったらぜんぶ演技だってわかることが難点だな」
未央「大丈夫大丈夫。未央ちゃん女優ですから。アイドルだけど」
P「というか、ほんとうに羽織るもの、何も持ってないのか?」
未央「持ってないデスヨ」
P「女優どこいった」
未央「えへへ。アイドルは身体が資本ですからねー。さすがに冷やさないようにって持ってるけど……ほら、あわよくばってオトメゴコロが炸裂したと言いますか」
P「それ、ほんとうに乙女心か? 持ってるならさっさと着とけ。心配だから」
未央「親愛度アップワード『心配』を検出しました。プロデューサーへの親愛度がアップします」
P「そんな機械的な上がり方してたのか……」
未央「これでプロデューサーへの親愛度はもうすぐ3000だね」
P「上限超えてるんだが」
未央「愛に限界はないからね!」
P「そういう話か? ……まあいいか。未央、この後の予定は?」
未央「プロデューサーが知っての通り、何もないよ。撮影が押す可能性も考えて予定は入れてなかったし……強いて言うなら、今からプロデューサーが言おうとしているのが予定かな?」
P「先を読むな」
未央「実は未来視が開眼してしまいまして」
P「宝くじを当ててほしいところだな」
未央「それは我が事務所が誇る幸運の女神さまにお願いしては?」
P「冗談じゃなく当てそうだからやめとく。……で、行くか?」
未央「もちろん。そろそろお腹も空いてきたし、ね」
742 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/11/05(月) 06:49:56.10 ID:CW6dl2EU0
――店の中
未央「お、今日はこういう感じのお店かー」
P「どういう感じだよ」
未央「知る人ぞ知る……みたいな? L字型のカウンターで、ちょっと奥まった場所にある感じが」
P「そこそこ有名な店だから違うな」
未央「でも私は知らなかった。なら実質『知る人ぞ知る』でしょ?」
P「屁理屈だな」
未央「言葉遊びと言いたまえ。それで、ここは……なんか、いっぱいメニューがあるね」
P「最初は表に書いてあるほうだけだったらしいんだがな。なんか増えていったらしい」
未央「お客さんのリクエストを聞いていって……みたいな?」
P「だな。そんなこんなで膨らんでいったらしい」
未央「それで、何がオススメ……って、いくつか『オススメ』って書いてるね。つまり、どれがオススメなのかわからないやつ」
P「まあ、そもそもメニューに書いてあるならぜんぶオススメってだけの話かもしれないけどな」
未央「確かにそうじゃなきゃメニューに書かないかー。……今までもオススメオススメ言ってきたんだから今更だけどね」
P「ホントにな。で、結局何を頼むか、だが……俺もここのは色々あってわからないんだよな」
未央「んー……カレーが多いね。見た感じ。どうなの?」
P「おいしいカレーだな。洋食屋のカレー、って言うのも違うが……どちらかと言えば、どろっとした感じかな」
未央「どろっとしてる以外なにも伝わらない……」
P「それだけで十分だろ? あー、前に行った金沢カレーみたいな感じではないな。スパイスカレーって感じでもない。なんて言ったらいいのか……難しいな」
未央「ほうほう……じゃあ、私はこの照り焼き丼にしようかな!」
P「カレーじゃないのかよ」
未央「いやー、なんかビビッと来ちゃいまして。プロデューサーは?」
P「ハヤシライスで」
未央「カレーじゃないんだ」
P「俺はいいだろ? ……まだ食べたことなかったからな。食べてみたかったんだ」
未央「そっかそっか。それじゃあ注文しちゃうね? すみませーん!」
743 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/11/05(月) 06:52:01.67 ID:CW6dl2EU0
――
未央「おお……! こ、これは……めちゃくちゃ意外なビジュアル!」
P「『丼』って感じじゃないな。まず皿が平たいし。白ごはんの上に具材が乗っている、ってぶんには丼と同じだが」
未央「鶏の照焼と卵に玉ねぎ。親子丼の鶏肉が照り焼きになっている感じだねー。つゆはないけど。でも、これはおいしそうな感じ……」
P「確かにな。……俺も一口もらっていいか? 完全に今まで見逃してたよ」
未央「いいよ。代わりにそなたのハヤシライスを献上したまえ」
P「もちろん。……いただきます」
未央「いただきまーす」
未央(でも、これはどうやって食べるかちょっと迷うなー。お箸? スプーン? 悩ましいところだけど……せっかくこういうお皿なんだし、スプーンで食べよう!)
未央(つやのある鶏肉と卵が食欲をそそるね。卵はとろとろ……ってほどじゃないけど、そんなに固まっているわけでもなくて。ぷるぷる? ともちょっと違うかな。やっぱりとろとろがいちばん近いかも)
未央(そこそこおっきく切られている鶏肉と卵、それから玉ねぎ、ごはんをすくって……ぱくり)
未央「……ん!」
未央(んー! これは! おいしい! 見たまんまの味なんだけど、見たまんまおいしい!)
未央(やっぱり照り焼きっておいしいよね。もう『照り焼き』って調理法からしておいしいのが約束されている気がする。甘辛いタレにジューシーな鶏肉。卵と玉ねぎが絡んで、そこに白ごはんですよ。間違いなくおいしいもんね)
未央(照り焼きのタレはどちらかと言うと甘さのほうが強い。弾力のある鶏肉の身は噛みしめると脂が染み出してきて、卵がそんな強い味たちを包みこんで、さらにごはんがクッションに。玉ねぎの食感も楽しくて……あー、おいしい)
未央(飴色の鶏肉ちゃんと玉ねぎちゃん、黄金色の卵とつやつや美白のごはんといっしょに口の中で演奏会……みたいな。ハーモニー? って言うのはちょっとおしゃれすぎるかな。もっとこう、庶民的な……でも、これはちょっと自分ではつくれないかも。卵の感じが難しそう。調理法からして『勝ち』って感じの照り焼きと卵の組み合わせだけど、それをさらにプロの料理人がやっているんだもんね。これはもうめちゃくちゃおいしいに決まっているってわけですよ)
未央「プロデューサー、やっぱりこれ、おいしいよ。一口食べる?」
P「ん? ああ、もらおうかな」
未央「ん。それじゃ、あーん」
P「……ん」
未央「……どう?」
P「……うん、うまいな。かなりうまい。絶対にうまいだろって組み合わせなんだが、バランスが良い。これは……次に来たときは、頼むかもな」
未央「ふっふっふ。この数多くのメニューの中からこれを選び出す私……天才かな?」
P「否定しにくい」
未央「それで、だよ。プロデューサー。私も私も」
P「ん? ああ、そうか。ほれ」
未央「ん。あーん」
P「はいはい。あーん」
未央「……ん、おいしい。ハヤシライスってカレーに比べると食べる機会が少ない気もするけど、おいしい料理だよね。ビーフシチューとかとはまた違った感じで、よりごはんに合うようにつくられているって言うか」
P「でも、味はなかなか説明しにくい感じなんだよな……コクと苦味? でも、苦味も嫌な苦味ってわけじゃないんだよな。トマトソースがいっしょに入っていて、甘酸っぱさもあって……ドミグラスソースのあの香り、甘みと酸味、それから深みのあるコクがいっしょになった複雑な味。これがおいしいんだよなぁ」
未央「ここのはあんまり苦味は強くないね。甘みと旨味が強い感じ? でもコクはあって……ぱくぱく食べられちゃいそう。スプーンが進む味だね」
P「ああ。高級感のあるホテルの味って感じのも好きだけど、こういうのもやっぱりうまい。一口一口じっくり味わうのもいいけど、勢いよく食べるのはやっぱり気持ちいいからな」
未央「ちゃんとゆっくり噛んで食べなよ? まあ、気持ちはわからなくもないけど」
P「わかってるわかってる。……あー、うまい」
未央「もー……。ん、おいしい」
744 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/11/05(月) 06:55:05.69 ID:CW6dl2EU0
――店の外
未央「ごちそうさま、プロデューサー」
P「ああ。やっぱりうまいな、ここは。まだまだ食べてないのもあるし、また来なきゃなぁ……」
未央「私は次来ても照り焼き丼を頼む可能性があるね。個人的にヒットしちゃった」
P「気持ちはわかる。確かにうまかったもんな」
未央「でも、自分でつくれるかもちょっと試してみようかなー。あの卵の感じは難しそうだけど、練習すれば近づけるかもだし」
P「確かに照り焼きと卵ってだけでまず外しはしないからな。あの味付けなら失敗してもまあうまくできるだろ」
未央「……プロデューサーって照り焼きとかつくる?」
P「ん? まあ、つくるときはあるかな。好きだし。って言っても、絡めて焼くくらいしかしないが」
未央「ふむふむ。ということは、私の担当は卵ということになるね」
P「まさかの共同作業か」
未央「初めての共同作業は照り焼き丼でした……」
P「今までにも色々としたような記憶はあるけどな」
未央「確かに。ならn回目の共同作業?」
P「nって」
未央「nは任意の自然数とする」
P「あー……その言い方、懐かしいな」
未央「学生時代を思い出しちゃう? 『あの頃に未央がいれば灰色の学園生活なんかじゃなくてバラ色の学園生活だっただろうな……』とか思っちゃってる?」
P「勝手に灰色にするな」
未央「バラ色だったの?」
P「……」
未央「おおう、その反応は聞いちゃいけなかったやつだね。ごめんね?」
P「謝られるとむなしくなるからやめてくれ……」
未央「あはは。まあまあ、そんな学園生活があったからこその今なわけですよ。何かが少しでも違っていたら、今、未央ちゃんとこうしていられなかったかもしれないわけで、そう考えると昔のことも肯定できない?」
P「……まあ、そうだな。肯定はできないが、否定もできなくなる。何かが少しでも違っていたら……か。蝶が竜巻を引き起こすくらい複雑な世の中だからな。些細なことでも、何かが少しでも違っていたら今みたいにいられなかったかもしれない、ってのはその通りか」
未央「そうそう。その世界だと、プロデューサーはプロデューサーじゃなかったかもしれないし」
P「未央もアイドルじゃなかったかもしれない?」
未央「かも、ね。……そんな世界だと、さすがに、私とプロデューサーは会ってないかな」
P「だろうな。接点がない」
未央「む。そこは運命がなんとかでどんな世界でもー、とか言うべきじゃない?」
P「何かが違っていたら今こうしてなかったかも、って最初に言ったのは未央だろ? 運命なんかじゃない。偶然だ。偶然にも俺がプロデューサーになって、偶然にも未央がアイドルになって。それで、偶然にも俺が未央のプロデューサーになった。それからも色んな偶然が重なって、今がある」
未央「偶然ばっかりだね」
P「ああ。……まあ、でも」
未央「でも?」
P「……そんな不安定な偶然の上に立っているからこそ……運命とも、言えるんじゃないか?」
745 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/11/05(月) 06:55:48.59 ID:CW6dl2EU0
未央「……ふふっ」
P「……あー、くそっ。笑うなよ。結構恥ずかしかったんだから」
未央「でも……ふふっ。べつにそういうシチュエーションでもないのに、良い感じのこと言うんだもん。笑っちゃうって」
P「うるさい。あー……もう二度と言わない」
未央「えー? 私、今みたいな台詞、結構好きだよ? シチュエーションさえ合ってたらめちゃくちゃときめいたと思う」
P「今は?」
未央「笑う」
P「だろうな! ……あー、過去に戻りたい。さっきのをなかったことにしたい。この短時間ならバタフライエフェクトも起こらないだろ」
未央「いやいや、今のはきーっちり未央ちゃんの脳内メモリに保存させていただきました。『……そんな不安定な偶然の上に立っているからこそ……運命とも、言えるんじゃないか?』ほら、かっこいい」
P「やめろやめろやめろ! あのな、未央、お前な、そうやってからかうから男はこういう台詞言えなくなるんだからな!? こういう記憶が後々にまで引きずるんだからな? また言われたいって思うんならからかうのはやめろよな……」
未央「あー、それは確かに困るね。うん、もう言わない。だから……また、絶対に言ってね? 具体的には、約一ヶ月後とか!」
P「それ、自分で催促するか?」
未央「するする。それで、言ってくれる?」
P「……そのときに思いついたらな」
未央「ん、よろしい。それじゃ、ロマンチックなシチュエーション、楽しみにしてるからね」
P「そこまでハードル上げられても困るからそこそこにしといてくれ」
未央「夜景の見えるホテルでディナーかぁ……」
P「現時点で高いな? もうちょっと下げてくれ」
未央「事務所でカップ麺かぁ……」
P「ひっく! 低いな!? 逆にそれでいいのか?」
未央「私はプロデューサーさえいればいいからね。……あ、今のポイント高くない?」
P「言わなかったらな? ……まあ、それなりに期待しててくれ。ホテルでディナーは……不可能じゃないが、しないけどな」
未央「……うん。期待しとく♪」
終
746 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2018/11/05(月) 06:59:32.42 ID:CW6dl2EU0
これにて今回は終了です。
ちょっと間が空きすぎちゃいました。勝利が約束された調理法ってあると思うんですけど、私の場合は照り焼きがそれに当たるんですよね。照り焼き味、好きです。
トゥインクルスター未央、めちゃくちゃにかわいいですね。あまりにもかわいい。「未央!」って感じがします。好きです。
ありがとうございました。
747 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/05(月) 11:18:35.89 ID:Mx6Jel1oO
乙
復旧後に帰って来てくれて嬉しい
748 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/07(月) 02:24:26.94 ID:Dw61O0Mh0
未央「思うんだけどさ」
P「ん?」
未央「おもちって、なんでついつい食べちゃうんだろうね」
P「……さあ?」
未央「あ、真面目に聞いてないな? アイドルとしては大問題ですよ、これは」
P「未央のことは信頼してるから大丈夫だよ。シルエットが崩れるほどは食べないし、食べたとしてもそのぶんちゃんと運動するだろ?」
未央「それは、まあ、そのつもりだけど……」
P「けど?」
未央「……信頼されるのは悪い気分じゃないけど、ちょっと重い、と言いますか」
P「重くしてるからな」
未央「あ、悪い」
P「あと、もちを食うことをせめられない理由がもう一つ」
未央「ほうほう。と言うと?」
P「わりと食べさせてる身で『もちだけは食うな』とも言えない」
未央「それは確かに」
P「――で、正月休みは満喫したか? 実家に帰るのも久しぶり……でも、ないかもしれないが」
未央「千葉だもん。近いからね。それでも、ゆっくりできたのは良かったかも。アイドルとしてはどうなんだー、とも思うけど」
P「毎年正月は休みなことも多いと思うが……いや、仕事があるときもあるけどな」
未央「お正月に放送される番組は事前に収録されるとは言っても、やっぱりそれだけじゃないもんねー。今年は比較的ゆっくりできたけど。受験勉強もないし」
P「大学は正月休みになんかあったっけか」
未央「私のところは特になかった……ハズ」
P「はず、か。まあ、未央のことだ、なんとかするって信頼してるが」
未央「うぐ……『信頼』って、裏切れなくするために言う言葉じゃないと思うんだけど」
P「未央もそういうこと言うことあるだろ? お互い様だって」
未央「お互い様かなぁ……」
P「それに、信頼するってことはいいことじゃないか?」
未央「いいこと、だけど……個人的には、やっぱり心配もしてほしいと言いますか」
P「してほしいのか」
未央「うん。信頼されるのは嬉しいけど、心配されたいし、疑われたい。それも、され過ぎると嫌だけど……ある程度は、やっぱり、してほしいかも」
P「そりゃまた、どうして」
未央「だって……心配するとか、疑うとかって、そのぶん、私のことを考えてくれているんだー、って感じしない?」
P「俺は未央のことを考えてないわけじゃないが」
未央「わかってるよ? でも……んん、なんて言えばいいんだろ。自分でも言葉がまとまらない……」
P「……そもそも、俺が未央のことをまったく心配も疑ってもいない、ってこともないんだがな」
未央「それはそれでフクザツ」
P「どっちだよ」
未央「どっちも? ほら、複雑な感情だから。言葉にできないものなのです」
P「そういうもんか?」
未央「そういうものです」
749 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/07(月) 02:26:20.00 ID:Dw61O0Mh0
P「そうか……いや、でも、俺もちょっとはわかるかもな。信頼されたいし心配されたいし疑われたい。信じることと疑うことは矛盾せずに両立する感情で、たぶん、濃淡しかないんだ。どっちが濃いか、どっちが淡いか。グラデーションでしかなくて……俺は何を言いたいんだ?」
未央「えぇ……そこで私に聞く? なんかいいこと言う風な前置きだったのに」
P「いいこと言おうと思ったんだが思いつかなかった」
未央「かっこわる……」
P「かっこわるいは傷つくからやめてほしい」
未央「プロデューサー、かっこいいよ☆」
P「めちゃくちゃ嘘くさい……」
未央「嘘だもん」
P「……それはそれでかなしい」
未央「わがままだなぁ。それで、けっきょくのところ?」
P「けっきょくのところ……未央には俺のことを考えてほしい、のかもしれない」
未央「つまり、私と同じ結論ってこと?」
P「あー……そうなるか。プロデューサーとしてはどうなんだってところもあるけどな」
未央「いやいや、いくら信頼できる人であっても完璧な人なんていないんだからある程度は心配したり疑ったりすることは必要だと思うよ?」
P「急に真面目な話になったな」
未央「未央ちゃんは真面目なので。くいっ」
P「眼鏡かけてもないのに眼鏡くいっとするな」
未央「かけてほしい?」
P「どうしてそうなるお願いします」
未央「お願いするんだ……」
P「かけてほしいからな。でも、メガネなんて都合よく持ってるもんか?」
未央「ファッション用とか変装用にね。あんまりかける機会はないけどさ」
P「確かにな。見ないことはないが、あんまりかけてるイメージはない」
未央「たまにかけるからこそ価値が出ることを狙っていたり……は、べつにしないけどね。それじゃあ、メガネ、装・着! じゃきーん!」
P「変身でもするのか?」
未央「眼鏡をかけるの、変身って感じするもん。それで、どうかな? メガネ未央ちゃん」
P「それは最高なんだが」
未央「さ、最高なんだ。……具体的にどのあたりが?」
P「ぜんぶかな……」
未央「おおぅ、即答……なんか、仕事のときみたいな素直さだね」
P「仕事のとき以外も素直だと思うが……うん。個人的に眼鏡をかけた女の子は好きだから、ってのあるかもしれない」
未央「私みたいに元気な女の子がメガネをかけると印象も変わっていい感じ?」
P「それもある」
未央「仕事のこと考えてる?」
P「……ちょっと」
未央「うわぁ」
P「引くな引くな。仕方ないだろ? 最高だったんだから」
未央「仕方ないかな? でも、仕事だとしたら……どんな感じ? 今までにもメガネをかけたことはあるけど……それとはまたべつの?」
P「んー……そのあたりはまだ考えてない。メガネかけた未央をもっと見てたいってだけだからな」
未央「言ってくれればいつでもかけるよ? もちろん、そのときのコーデとの兼ね合いもあるけどさ」
P「……魅力的な提案だが、未央の言う通りたまに見るからこそってこともあるかもしれないから遠慮しとく」
750 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/07(月) 02:28:36.78 ID:Dw61O0Mh0
未央「後にプロデューサーはこの選択をいたく後悔することになるのであった……」
P「嫌なナレーションやめろ。実際にそうなる気もするから」
未央「えへへ。気が変わったらいつでも言ってね? そのときは私の気も変わってるかもしれないけど」
P「変わってないことを祈るよ。……しかし、もちの話からめちゃくちゃ飛んできたな」
未央「だね。……とかなんとか言ってると、ちょうどおもちも焼けてきた感じかな」
P「だな。どうやって食べる?」
未央「うーん……私は家でもけっこう食べてきたからなー。プロデューサーは何食べたい?」
P「俺はいそべ焼きが食べたい気分かな。香ばしい醤油に海苔の風味が合わさったあの感じ。食欲がそそられる」
未央「お醤油のあのにおいって、妙にお腹が空いてきちゃうよねぇ。それじゃあ、最初は磯辺焼きといきましょうかー」
P「ああ。……ある程度、心配したほうがいいんだったか?」
未央「それはあとで。プロデューサーも、心配したほうがいい? お腹まわり、だらしなくなってないかー、とか」
P「……俺もあとで」
未央「ん、りょーかい。それじゃ、いただきます!」
P「いただきます」
終
751 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/07(月) 02:38:24.24 ID:Dw61O0Mh0
これにて今回は終了ですお久しぶりですすみません。
特別な事情などはなかったのですが誕生日に投稿できませんでした。さらに誕生日から一ヶ月以上も経過していると言う……あまりにも遅くなってしまったので今回は生存報告的な回です。閑話? いつもそうではありますが、いつもよりもなんでもない感じの話です。せっかくのおもちの話だったのでおもち()の話もしてほしかったかもです。個人的願望。
前回のあのフリから誕生日回を飛ばすのはどうなんだとも思いましたがなかなか書き上がりそうにないので今回の感じになりました。すみません。
余談ですが、誕生日回はちょっとお高い焼き鳥屋さんとかに行ってもらおうかなーと思ってました。いつか書けるかな……わかりません。
次回はまだ未定ですががんばりたいです。
ありがとうございました。
752 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/11(金) 02:50:36.42 ID:Em1tsrI5O
待ってた!
今年もよろしく
753 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/20(日) 18:19:45.79 ID:eq8ixgN30
「今日は何を食べようか」と彼が言ったので未央は「とんかつ!」と答えた。
そういうわけで、とんかつを食べに行くことになった。
754 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/20(日) 18:21:33.08 ID:eq8ixgN30
――
「それで、どうしてとんかつなんだ?」
歩き始めてから数分、プロデューサーが尋ねる。未央は指を唇に当てて「んー」と考え込んでから、「なんとなく?」と首を傾げた。
「なんとなくか」
そう言ってプロデューサーは笑う。しかし、それは呆れたからではなく納得したからだろう。
なんとなく、何かが食べたくなることはある。出そうと思えばそれ以外の理由も出せる。今回の場合であれば、『カツ』だけに次のオーディションの験担ぎにー、とか、最近寒いからー、とか、最近お肉をあんまり食べてなかったから久しぶりにガッツリいきたいと思ったからー、とか、油ものは食べすぎないようにしてるけどたまにはやっぱり食べたくなるからー、とか。理由なんて、後付でもいいのであればいくらでも出せるものだ。
でも、それはやっぱり後付でしかない。最初からそう思っていたわけじゃない。後になって考えてみれば『これが理由だったのかもしれないなあ』なんてことはたくさんある。なんとなく、気付けば、そう思っていた。理由なんて、それだけで十分だろう。
例えば……未央はプロデューサーのことを見る。彼に対する色々なものだって同じことだ。なんとなく、気付けば。後になって考えてみれば『これが理由だったのかもしれないなあ』なんてことはたくさんある。でも、それはやっぱり後付でしかない。確かにそう思っている。それだけがわかれば十分だ。
「ん? どうした、未央」
視線に気付いたのだろう。彼の質問に未央は「なんでもなーい」と弾んだ声で答える。「そうか」と彼が言ってくれたので未央は「うん」とうなずく。
なんでもないと言ったときは、たいてい何かあるときだ。ただ、言いたくなかったり、わざわざ言うことじゃなかったり。
触れられてほしくないのなら、触れるべきではないでしょう? ……なんて。プロデューサーは、ほんとうに放っておいてほしいときには放っておいてくれなかったりするし――まあ、そういうときは、自分でも気付かなかったところでは放っておいてほしくなかったと思っていたりするんだけど。
「とんかつってさ」
「うん?」
「あんまり食べる機会ないかも。そう思わない? プロデューサー」
「そうか? ……いや、そうかもな。確かに、食べる機会はそんなにないか。カツ丼とかカツカレーとかのが食べる機会あるかもな」
「揚げ物って自分ひとりだとあんまり作らないし、食べに行くことそんなに多くはないし……カツサンドとかは、差し入れでもらったりとかするけど」
「あー……確かにな。あと、とんかつは出来たてがいちばんって印象もある」
「それはなんでもそうじゃない? って、そういうことが言いたいわけじゃないよね。ステーキとかと同じ理論かな。冷めると肉の脂が固まっちゃって……みたいな?」
「でも、カツサンドとかはちょっと置いたほうがうまい気がするんだよな……」
「それもそれでわかる……」
「まあ、とにかく、とんかつ単体ってなると思ったよりも食べる機会ないかもな、ってことだな」
そういうことかもしれない。とんかつは『とんかつを食べよう』と思わないとなかなか食べないイメージがある。唐揚げとかだと、もうちょっと気軽に食べる気がするんだけど。
「唐揚げは色んなとこで売ってるもんな。他の揚げ物に比べると食べる機会は確かに多い」
「未央ちゃんと言えばフライドチキンですからねー」
「フライドチキンと唐揚げは違わないか?」
「違うけど……わかるじゃん?」
「わかるけど」
わかるんじゃーん、と未央は笑う。それを見て彼も口元に笑みを浮かべたものだから、未央はますます楽しくなって、少し前に出てくるりと回る。
「いきなりどうした」
「どーしたんでしょーねー」
後ろ手を組みながら、彼のほうを向いたまま歩く。しかし、その時間が長く続くことはない。
755 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/20(日) 18:22:33.68 ID:eq8ixgN30
「……後ろ向きに歩くな。危ないから」
すぐに彼が非難するように眉を寄せてそう言うことはわかってたから。でも、それを素直に聞き入れるかと言えばまたべつの話だ。
「だよね。ここらへんはまだ一本道で大丈夫だとは思うけど、路地からいきなり人が飛び出してくることとかもあるかもしれないもんね」
「わかってるならさっさと前向いて歩け」
「えー。それは言葉じゃなくて、行動で示してほしいかなー、なんて」
「……お前なぁ」
未央の思惑を察したのだろう。彼は呆れたように肩を落とし、「そんなことのために後ろ向きで歩くな」と唇を曲げる。
「ごめんごめん。もうやらないから、ね?」
「ね? って……そもそも、こんな回りくどいことしなくても言ってくれれば」
「してくれるの?」
一歩踏み込み、下から見上げるようにして首を傾げる。彼は目をそらす。
「……最近は、割と、してるだろ」
小さく唇を尖らせてそう言う彼を見ていると、かわいいような、ちょっといじめすぎたような、そんな感情が湧き上がって、「そうかもねー」と身を起こす。
「でも、わざわざ回りくどいことをしたいのもオトメゴコロというやつなのです」
「面倒くさいな」
「うん。そういう面倒くさいところにきゅんとしない?」
「しない」
即答。そんな彼を見て、未央はふふっと笑い、
「うそつき」
そう言って彼の腕にぎゅっと抱きつく。彼はそれに驚いた様子を見せながらも抵抗はせず、ただ不満を示すポーズのために口を結んだだけだった。
「プロデューサーって、素直じゃないよね」
そんな彼を見て、未央は嬉しそうに笑う。
「未央も素直かって言ったらそうでもないだろ」
「それじゃあ、お互い様だ」
「かもな」
彼は口元をゆるませて、未央はえへへーとだらしなく笑う。
そうやって、ふたり、寄り添いながら歩いていく。
……って、なんだかこのまま終わるような雰囲気になっちゃってたけど、まだ店にも着いてなかった!
756 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/20(日) 18:24:32.44 ID:eq8ixgN30
――
「ほうほう……ここが今日のお店ですか」
『とんかつ』と書かれた暖簾を掲げた店の前、未央は腕を組んでふむふむと店の外観を眺めていた。どうしてか訳知り顔だが未央は店の外観を見ただけでどのような店なのか察する能力なんて持っていない。ので、プロデューサーは「そうだな」と適当に返して暖簾をくぐり、未央も「つめたーい」と言いながら彼に続いた。
内観もそれほど珍しいものではない。調理場の前にカウンター席が並び、その向かいにテーブル席がふたつ……いや、奥にもひとつ見えるので合計でみっつか。
カウンター席はすでに埋まっており、テーブル席も入口からすぐのところ以外は埋まっていた。どうやらけっこうな繁盛店のようだ。席が空いていたのは僥倖だ。
上着をかけ、席に着く。メニューを開けば、そこにはいくつかの定食が。
「ロースにヒレ、それからチキンカツやミックスフライ。今の時期は牡蠣フライも、か……」
牡蠣フライ。これは冬季限定だ。すべて人類は『限定』という言葉に弱いものだが、もちろん未央も弱かった。しかし、今日はとんかつを食べに来たのだ。初めての店ということもあるし、やはりとんかつをいただくべきだろう。
となれば、あとは何のカツにするか、である。大きく分けるならロースかヒレということになるが、それぞれ『特』の名を冠する上位メニューが存在していた。なんならロースはグラム数別にもわけられている。
これは……どうするべきなんだろうか。未央はとんかつの知識がそれほどあるわけではない。ちらりと彼の顔を見ると、彼もまた未央のことを見ていた。
「えっと……プロデューサーは、もう決まってる?」
「ああ。特ロースの三〇〇。この店ではこれがベストだ」
ベストらしい。なら、私も……と思うけど、三〇〇ってけっこうおっきくない?
「そうだな。だいぶ大きい」
「だよね」
食べきることができるかどうか……未央は考える。なんだかんだでいつもはだいたい食べきることができるのだが、三〇〇と数字で表されると尻込みしてしまう。でも、プロデューサーがベストって言ってるからなー……よし!
「私も、三〇〇にする。挑戦するよ、プロデューサー」
「挑戦か」
「うん。失敗したらよろしく」
そういうことである。もしものときは彼がなんとかしてくれる。曰く、『信頼してるよ、プロデューサー!』とのことだ。
「どういう信頼だよ……」
「まあまあ。とりあえず、頼も?」
「……だな。すみません」
プロデューサーが手を上げて店員を呼び、注文を伝える。店員が言うには揚げるまでにけっこうな時間がかかるらしい。三〇〇となれば分厚いとんかつであろうし、それを低温で揚げるのであれば時間がかかってしまうのも仕方ないことだろう。と言っても、ふたりで話していればそんな時間はすぐに過ぎる。
757 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/20(日) 18:25:33.93 ID:eq8ixgN30
おまたせしました、とふたりに定食が供される。その中央、キャベツの山の麓に鎮座する、銀網の上に美しく並べられたそれを見て、未央は思わず目を丸くした。
大きい。それが第一の感想であり、次の瞬間にはごくりと唾で喉を鳴らしていた。
とんかつは合計六切れ。銀網をはみ出さんばかりの存在感を放ちながらも、断面を見せつけるように置かれた中央部の一切れによってそれが大きさだけのものではないことがわかる。衣は剥がれることなくぴったりと寄り添い、中心部はほんのりと赤い薄ピンク。脂が照明に照らされてきらきらと光る様はどこか淫靡ですらあった。
「……いただきます」
手を合わせてそうつぶやいて、さあどうやって食べるか、と考える。
まずは……やっぱりソースかな。未央は断面を見せつけるようにして置かれていた一切れを箸で持ち上げて、予想以上のずっしりとした重みに驚きながらもソース皿に入ったソースを付ける。そしてそのままかぶりつく。
「……んーっ!」
……おいしい! 唸るほどにおいしい。それが未央の感想だった。レアに仕上げられた肉の繊維はきめ細やかで柔らかく、噛んだ瞬間に脂の甘みと旨味が口いっぱいに広がっていく。噛みしめるごとに肉汁が溢れ、そして同時にとろけていく。
柔らかいと言っても、そこに頼りなさなんてものは微塵も感じられない。肉々しく、弾力もある。この上なく『肉を食べている』と実感できる。
ソースに負けず、喧嘩もせず、どちらの主張もはっきりとして両立している。たっぷりのソースをつけたこのとんかつで、艶々の白ごはんをかっこめば……これはもう、幸福以外の文字はない。
「はぁ……」
数秒ほど、未央は感動に浸る。しかし、まだまだとんかつは残っている。今度は……塩だ。
未央は今までの人生において塩でとんかつを食べたことなんてなかった。だが、このとんかつであれば塩で食べてもおいしいだろうとも思うことができた。
一切れを寝かせて、断面に塩を振りかける。口を大きく開けて、それに思い切りかぶりつく。
「……ん」
あー! こういうことかー! 未央は目を閉じて口いっぱいに広がる幸福を堪能しながら思う。とんかつに塩……合うね! 言うなればスイカに塩理論。ちょっと違うかもだけど、そんな感じ。塩のしょっぱさが肉本来の旨味甘みを引き立てているというか、引き出しているというか。ソースが互いに切磋琢磨しあうライバルみたいな存在だとすれば、塩は肉の良さを肉だけではたどりつけないところまで引き出す良き師匠だ。これはこれでめちゃくちゃおいしい。
あー……これは迷う。すごく迷う。どっちもいい、けど……やっぱり、個人的にはソースかな。たっぷりつけたり、ちょっとだけつけたりして、それを白ごはんといっしょに食べるのがたまらなく気持ちいい。あと、関係ないけどそもそも白ごはんがめちゃくちゃおいしい。
脳が喜んでいる。幸せを感じている。三大欲求のひとつは食欲で、それが今、確かに満たされていると心から思える。
「はぁ……」
恍惚に、未央は全身から力を抜いて息を吐く。そして思った。
……とんかつって、こんなにおいしいものだったんだなぁ。
と。
758 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/20(日) 18:26:46.75 ID:eq8ixgN30
――
「ふー……おいしかったけど、さすがにちょっと苦しいかも」
結局、未央はとんかつをたいらげた。なんならごはんをおかわりすらしてしまった。さすがに食べ過ぎたー、とお腹をさする。心なしか、ちょっと膨らんでいるような気もする。
「満足したか?」
「した!」
それはもう。肉の甘み旨味たっぷりの分厚いとんかつに芳醇なソースをたっぷりつけて白ごはんといっしょに頬張っちゃって。これで満足するなっていうほうが無理な話だ。
「ただ、次に来るとしても同じの頼んじゃいそうなんだよね」
他のメニューも気になってはいるのだ。とんかつがこれだけおいしかったのだから他のものもおいしいと思う。他の人が頼んでた海老フライとかおいしそうだったし……貝柱とかもおいしそうだったなぁ。牡蠣フライも気になるし……でも、このとんかつを食べておいて他のものは頼めない。主に胃の容量的に。
「あ、でも」
そうだ、と未央は目を輝かせて彼を見る。いきなりそんな視線をぶつけられたものだから、彼は不思議そうな顔をして、
「なんだ?」
「いやー……プロデューサーの言う通り、ここのとんかつは三〇〇がベストっていうのは、身をもって勉強させていただきました」
あの大きさだからこその食感なのだろう。絶妙な火入れを堪能するためには三〇〇を頼むしかないが、そうするとさすがに他のものは頼めない。というか、とんかつだけでもちょっと苦しくなるくらいだし個人的にはもうちょっと量が少ないと嬉しい。
そこで、だ。
「そこで! 次にここに来るときは、三〇〇をシェアしながら他のメニューもシェアすることを具申します!」
ひとりで食べれば三〇〇だけでお腹いっぱいになってしまう。他のメニューも気になるが、ここに来ればほぼ間違いなく同じものが食べたくなってしまうだろう。
しかし、ふたりなら違う。三〇〇の味を堪能しながらも別のメニューを頼むことができる。
「ああ、確かにいいかもな。ここは他のメニューもすこぶるうまいが、三〇〇の魔力に惹かれてなかなか手が出ないんだ。しかし、食べてすぐ次の、って」
彼がころころと喉に声を転がせて笑う。確かに、自分でもちょっと食い意地はってるかなーって思うけど……おいしかったんだもん。お腹いっぱいでも、次に来たときのことを考えちゃうくらいに。
「そうか。そこまで気に入ってくれたなら良かったよ」
「うん。連れてきてくれてありがと、プロデューサー」
「どういたしまして」
でも、ほんとうにおいしかった。私はソースのほうが好きだったけど、塩もすごくおいしかったし……そう言えば。
「プロデューサーって、塩だよね」
「は? いや、確かにここのだとどちらかと言えば塩のが好きだが……いきなりなんだよ」
「んー? ちょっと、思っただけ」
意味がわからないと彼が喉を鳴らす。そりゃわからないだろう。プロデューサーが塩、だなんて。
とんかつは、ソースのほうが好きだったけど……うん。
「私も、塩、好きだよ」
「お、そうか。まあ、素材がいいからってのもあるんだろうけどな。塩で食べてうまいってことは肉がうまいってことだ」
だから、こういうところでこそだよな、と彼は笑う。素材自体が良くないと、か。……そういう意味で言っているわけじゃないってことくらいわかってる。でも。
「……えへへ」
笑みをこぼして、未央はぴたりとプロデューサーにくっついた。
「どうした?」
「ちょっと、くっつきたくなっちゃって」
「……そうか」
「そうなのです」
剥がれることなくぴたりと寄り添い、歩いていく。
そんなふたりの顔は、ほのかに赤く染まっていた。
終
759 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/01/20(日) 18:36:28.19 ID:eq8ixgN30
これにて今回は終了です。
こんな形式ではありますが特別な回というわけではないですし、たぶん今回だけ……だと思います。どうしてか台本形式で書くとなかなか進まなかったので「じゃあちょっと違った書き方でやってみよう」と思った次第です。
とんかつもとんかつで色々とありますよね。火入れ加減とか衣の加減とかも好みでけっこう違うような気がします。ソースでいただくか、塩でいただくか、というのも……からしもつけるかどうか悩みます。味噌とかもありますよね。他にも店ごとに変わった調味料を出すところもあって……あまりとんかつを食べる機会はないのですが、そういったところは面白楽しく、なんだかいいな、って思います。ごはんはおいしく炊いておいてほしい……でもおいしすぎるとおかわりしたくなっちゃうので悩ましい……。
最近他の子に登場してもらってないような気がするのでそろそろ登場してもらってもいいかもですね。いつになるかは……。
ありがとうございました。
760 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/21(月) 08:52:15.25 ID:R+BlTvnMo
おつ
761 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/02/28(木) 22:02:31.87 ID:qFtfRU3L0
未央「2月28日ってさ」
P「ん?」
未央「2+28だから……30だよね?」
P「『だよね』って言われても困るが」
未央「つまり……私の日なのでは?」
P「こじつけがひどい」
未央「えー。ここは『そうだな!』って乗ってくれないと」
P「そうだな。未央の日だな。で、未央の日だったらなんなんだ?」
未央「なんかうれしい」
P「……そうだな」
未央「あ、プロデューサーってば、なに笑ってるの? ちょっと失礼じゃないかなー」
P「悪い悪い。でも、その理屈なら毎月未央の日がありそうだな」
未央「うんうん。だから毎月未央の日は未央ちゃんをかわいがらなければなりませんなー」
P「どうしてそうなる」
未央「かわいがってくれないの?」
P「……それはちょっとずるくないか?」
未央「ふむふむ……今のはプロデューサーに効果的、っと」
P「学習するな」
未央「わかってないなぁ。こういった地道な努力が実を結ぶのだよ」
P「何の実だよ」
未央「愛の実? なんちゃってー。……そう言えば、アイスの実っておいしいよね」
P「いきなりだな。まあ、おいしいけど」
未央「この季節にする話じゃないかな?」
P「冬に食べるアイスがおいしいとか、前に言ってたことなかったか?」
未央「言ってたような、言ってなかったような……でも、冬こそアイスっていうのはあるよね。夏は夏で、もちろんおいしいんだけど」
P「夏よりも溶ける心配が少ないしな」
未央「それも重要なポイント! うーん……こんな話をしていたからか、あったかい部屋でアイスを食べたくなってきたような……ちらっ」
P「はいはい。じゃあ買って帰るとしますか」
未央「しまーす♪」
762 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/02/28(木) 22:03:02.99 ID:qFtfRU3L0
――コンビニ
P「アイス以外に何か買うか?」
未央「いいの? それなら……しょっぱいものかな?」
P「甘いものにはやっぱりしょっぱいものって?」
未央「そうそう。アイスなら……あったかいものならもっといいかな?」
P「つまりホットスナック系か」
未央「そういうことに……なりますねぇ……」
P「何のノリだよ。……ホットスナックな。未央なら」
未央「フライドチキン!」
P「だよな。べつに決まってるわけじゃないんだろうが」
未央「実際、違うの食べることもあるからねー。でも今日のところはフライドチキンで」
P「ん。俺は……肉まんとかにしとくか」
未央「はんぶんこ?」
P「するする」
未央「フライドチキンもはんぶんこ……は、しにくいか」
P「俺はべつにいいぞ? 気にするなって」
未央「そう言われても気にしちゃうのが未央ちゃんだったり。……ポッキーゲームみたいな感じで反対側から食べる?」
P「フライドチキンで? それなら切り分けたほうがいいだろ」
未央「それかもう二個買っちゃうとか」
P「あー……それがいいかもな。量があるわけでもないし」
未央「そのぶん夜は少なめにしなきゃだけどね?」
P「わかってるわかってる」
未央「ほんとかなー? プロデューサーも健康には気を遣わなくちゃダメだよ?」
P「食べないよりはマシだろ? ……ごめんごめん。本当に、ちゃんとするよ」
未央「……うん、よろしい。って、そんなこと言っといてこれから買おうとしているものはぜんぜん健康によろしくないものなわけですが」
P「それは言うな」
763 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/02/28(木) 22:14:50.20 ID:qFtfRU3L0
――
未央「まずはやっぱりしょっぱいのから?」
P「かな。ほれ、肉まん」
未央「ん、ありがと。……冬って、肉まんの季節かもね」
P「冬と言えばコンビニの肉まんって?」
未央「うん。ふたつに割って湯気がぶわーって上るところとか、冬だなーって感じしない?」
P「わからなくもない。高校生とかが買い食いしてるイメージがなんか強いな」
未央「漫画とかアニメとかで?」
P「漫画とかアニメとかで」
未央「……プロデューサーにはそういう経験」
P「あると思うか?」
未央「ですよねー。未央ちゃんも……ないわけじゃない? かも」
P「未央はありそうな気もするな。いつもいつもフライドチキンってわけでもなかっただろうし」
未央「……羨ましい?」
P「いや、べつに。今更だろ」
未央「まあまあ、今日のところは未央ちゃんがいっしょにいるんだから、そんなに落ち込まないでってー」
P「落ち込んでないんだが……これ言うと『またまた〜』とか言われそうだな」
未央「またまたー」
P「本当に言うなよ……」
未央「いや、今のは言うでしょ。明らかにフリだったじゃん」
P「じゃあどうすればよかったんだよ……」
未央「あの状況になった時点で詰みだよね。肯定したらそのまま進む、否定したら『逆に怪しい』とか言われて進む……ほんと、どうすればいいんだろうね?」
P「だいたい否定しようもないことだったりするしな。否定するための証拠を出せない」
未央「困るよね」
P「俺は現在進行系で困ってるけどな」
未央「えへへ」
P「えへへじゃない。……いつまでもこんなこと言ってると冷めるな。さっさと食べるか」
未央「そだね。じゃあ、いただきます」
P「いただきます……って、こういうのに言うか?」
未央「細かいことは気にしなーい」
P「……それもそうだな」
未央「……ん、おいしい。スナック感覚で食べれるこの味がまたいいよね」
P「本格的な中華まんとはまた違ったジャンルだよな」
未央「そうそう。……じゃ、次はフライドチキン……フライドチキン!」
P「んっ。……いきなりなんだよ、びっくりしたわ」
未央「いやー、やっぱりやっておかなきゃいけないと思いまして」
P「何をだよ……」
未央「……ふむふむ、やはりここのフライドチキンは他のコンビニのより塩気の強い味わい……」
P「食べてるし。……俺も食べるか」
未央「……」モグモグ
P「……」モグモグ
未央「……ふたりとも食べてたら黙っちゃうね」
P「食べてるからな……」
764 :
◆Tw7kfjMAJk
[sage saga]:2019/02/28(木) 22:15:18.55 ID:qFtfRU3L0
未央「それじゃ、最後はアイス!」
P「実?」
未央「実! 今日のはカフェオレ味!」
P「お、その味か。俺の好みだ」
未央「お? じゃあプロデューサーから食べる? あーん」
P「べつに未央からでもいいが……まあ、もらうよ」
未央「あっ! ……『あーん』って言わずにとった」
P「言う必要ないだろ? ……うん、やっぱりうまい」
未央「必要はないけどさぁ……私も食べよ」
P「食感が良いよな。外側……皮の部分と中の部分で違っていて、それがまた楽しくおいしい」
未央「ふぉれふぉれ」
P「口にもの入れたまましゃべるなよ…‥」
未央「んぅ……それそれ。この食感が絶妙なんだよねー。味によっても違う気はするけど……この味はほんとに『カフェオレ』って感じがするね。口の中にカフェオレ味がやさしく広がって、なんか落ち着く」
P「果物の印象は強いし実際果物のもおいしいんだが、この味はいいよな。個人的ヒットかもしれない」
未央「お? 買いだめしちゃう?」
P「割と迷うな……」
未央「おおう、迷うレベル。ほんとにヒットしてるんだね」
P「ホームラン級だな」
未央「ヒットを超えた……」
P「でも、あんまりアイスを買ってもアレか……」チラッ
未央「ん? ……ああ、そゆこと。私はべつにいいと思うよ。節度を守れば。アイスってあんまり賞味期限とか関係ないって言うし、ゆっくり食べれば」
P「健康には良くないかもしれないが」
未央「食べ過ぎれば、でしょ? ……そうだ、プロデューサーが食べるときは私もいっしょに食べるってことで。それならプロデューサーも体調を崩すほどは食べないでしょ?」
P「それ、未央が食べたいだけじゃ」
未央「それは言わない約束で」
P「……うん。じゃあ、そうさせてもらおうかな。ありがとな、未央」
未央「どういたしまして。……でも、ほんとにおいしいね。落ち着く味」
P「ああ。……落ち着く」
終
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