本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2

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486 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/11/30(水) 23:51:31.87 ID:Oz6oIwso0
 事務所には既に未央とプロデューサー以外誰もいなかった。この時間だから当然……というわけでもないのだが、少なくとも今日はそうだった。

「誰もいないね」

「そうだな。ちひろさんも、さっき帰ったし……未央は、女子寮でいいんだよな?」

「うん。こんな時間になっちゃったけど、入れる……よね?」

「正面からは入れないが……大人組にはこれくらいの時間まで仕事してる人もいるし、これくらいの時間まで飲んでる人もいるからな」

「……これくらいの時間まで飲んでるのって、大人なら普通?」

「普通かもしれないが、アイドルなんだからあんまり……いや、まあ、控えてはほしいし、ある程度控えてくれてはいるんだけどな? でも……でもなぁ」

「心配、って?」

 こくり、とプロデューサーがうなずく。心配……心配、か。

「……私も20歳になったら、そんな風になるかもよ?」

「ならないでくれ」

 即答である。そんなプロデューサーに対して未央は笑って、

「それは未央ちゃんが心配だからかな?」

「そうだ」

 これも即答だった。これも即答されるとは思っておらず、未央は一瞬だけ固まる。

「……プロデューサーって、束縛、強い方?」

「束縛……」

 プロデューサーはそうつぶやいて、ハッとする。

「い、いや、そういうわけじゃないぞ? 確かに心配だからだが……束縛が強い方じゃ、ない、と、思う。たぶん」

「たぶん、って……私は、べつに、束縛強くてもいいんだけど」

「んっ!?」

 ごほっごほっとプロデューサーがむせる。いきなりむせ始めたプロデューサーの背中を未央はさする。

「お前、そういうこと、言うなよ」

「なんで? ……あ、もしかして、えっちなこと考えた、とか?」

「……お前、意味わかって言ってるか?」

 意味。もちろんそれはわかっている。束縛が強いというのを、えっちなことで考えると……ん!? もしかして、私、すごいこと言った!?

「わかったみたいだな」

 顔を赤くして照れる未央を見て、プロデューサーは溜息をつく。プロデューサーもプロデューサーで、耳を赤くしていたのだが。
487 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/11/30(水) 23:55:00.81 ID:Oz6oIwso0
「というか、ココア、まだ飲まないのか? 冷めるぞ」

「あ」

 すっかり忘れていたと言うように、未央は手元のマグカップを見る。

「……さ、さっきは熱くて飲めなかったから、わざと冷ましていたのですよ?」

 口調からして明らかにおかしかったが、熱くて飲めなかったというのに嘘はない。幸い、さっきからそれほど時間が経っているわけでもなく、マグカップからはまだ温かみを感じる。

「……まあ、まだ冷めてはいないだろ。飲んどけ」

 プロデューサーに言われた通り、未央はココアを飲むことにする。さすがにまだ大丈夫だろうとは思いながらも、さきほどの痛みを忘れられず、恐る恐る口をつける。

 上唇がぴちゃ、と付いた瞬間思わず離してしまうが、熱くはない。

 それに安心して、今度はゆっくりとココアを飲んで……。

「ん……」

 温かい。熱くはないけど、身体の芯から温まるようだった。

 優しい味だった。甘くて、でも、少しだけほろ苦くて……それが、とても心地良かった。

「おいしいよ。ありがとう、プロデューサー」

「どういたしまして。身体、ちょっとは温まったか?」

「うん。プロデューサーのおかげで、体調は万全だよっ」

「……それならそもそも外に出るなよ」

 もっともである。しかし、未央は「えへへ」と笑ってごまかす。プロデューサーもまた、呆れたように笑うだけでそれ以上のことは何もしない。
488 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/11/30(水) 23:58:00.74 ID:Oz6oIwso0
「……明日、バースデーライブなんだよね」

 ぽつり、とつぶやくように未央が言う。その突然の変化に驚くこともなく、プロデューサーは「そうだな」と返す。

「プロデューサーの、バースデープレゼント?」

「……バースデープレゼントが仕事でいいのか?」

 プロデューサーは真面目な調子で言った。……こんなところは鈍いよね。未央は笑いながら、「もちろん、くれるなら他にもほしいけどね」と言う。

「でも……うん。私にとっては、最高のプレゼントだよ」

「そうか」

「うん」

 それだけを言って、二人は黙った。

 プロデューサーは仕事が終わったのだろうか? 自分の席に戻る様子も見せず、ただ、そこに立っている。

 でも、だからと言って未央は「帰らないの?」なんて言ったりはしない。

 そもそも、こんな時間まで未央が事務所に残っている理由は一つなのだ。

 それは……そう言えば、今、何時だろう。

 たぶん、そろそろ――

 未央がそう思って時計を見ようとした、その時。

「未央」

 その声に、未央はプロデューサーの方を見る。見ようとしていた側の、反対側。

 時計の反対側。

 そして、プロデューサーが時計の反対側にいるということは、プロデューサーから見て、私は――
489 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 00:00:00.83 ID:2RSVv31G0


 カチッ、と時計の針の音がした。


490 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 00:00:27.19 ID:2RSVv31G0
「誕生日、おめでとう」

 そう言って、プロデューサーは微笑んだ。

「……ありがとう、プロデューサー」

 ……祝って、もらえた。

 去年もそうだったけれど……今日は、プロデューサーに、いちばんに言われた。

 それが、とても、とても嬉しくて……。

「本当に、ありがとう!」

 未央はプロデューサーに満面の笑みを向けた。まだ「おめでとう」と言われただけだ。でも、それだけで良かった。それだけで、こんなにも……こんなにも、嬉しい。

 それ以上、言葉はいらなかった。

 おめでとうと言って、ありがとうと返した。

 二人は黙って、互いを見つめる。

 何も言わずに、見つめ合う。

 そして……。
491 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 00:02:49.28 ID:2RSVv31G0


 ピロロン


 静かな事務所に、通知音が鳴り響いた。


 ピロロン ピロロン ピロロン ピロロン


 その音は鳴り止むことなく、ずっとずっと鳴り響く。

「……ぷっ」

「……ふふっ」

 二人は顔を見合わせて、こらえきれないと言った風に笑い出す。

「こんな時くらい、通知音、切っとけよ」

「こんなことになるなんて思わなかったんだもん。そりゃ、私がこんな時間までいたのはプロデューサーにいちばんに祝ってほしかったからだけどさー」

「それ、俺に言ってもいいのか?」

「べつにいいでしょ? こんな雰囲気だし。今さら隠しても……じゃない?」

「それもそうだな」

 そうやって笑いあった後、プロデューサーが「お祝いの言葉、見ないでいいのか?」と言ったので、未央はスマホに届いた自分へのお祝いの言葉に返信していった。
492 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 00:16:29.90 ID:2RSVv31G0
 そうして未央がすべての返信を終え、一息ついたところで。

「じゃ、帰るか」
 
 プロデューサーが言った。「へ?」と未央から声が漏れる。

「……プロデューサー、仕事、もうないの?」

「ん? まあ、そうだな」

「……じゃあ、どうして、こんな時間まで残ってたの?」

「それはまあ、未央の誕生日をいちばんにいわ――」

 プロデューサーが固まった。

 そんなプロデューサーを見て、未央は「あれあれ〜?」と意地悪な笑みを浮かべ始める。

「プロデューサーくん、それはいけないことじゃないのかなー? アイドルの誕生日をいちばんに祝いたいなんて理由で、アイドルをこんな時間まで事務所にいさせるなんて、ダメなことなんじゃないかなー?」

「……ついさっき、終わったところなんだよ」

「ほんとかなー?」

「……本当だ」

 もちろん、未央はプロデューサーを疑ってなんていなかった。ついさっきまで仕事をしていたのは本当だろう。ただ、あと少しで自分の誕生日だったから、それまでは……と思っただけで。

 それは未央にとってもありがたかったし、とてもとても嬉しいことだった。

 自分だけではなく、プロデューサーもそう思ってくれていた。

 それが嬉しくて嬉しくて……だからこそ、未央はプロデューサーのことをからかったのだ。
493 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 00:23:12.59 ID:2RSVv31G0
 しかし、からかい過ぎたのか、プロデューサーはとうとうむすっとしてしまった。

 そんなプロデューサーを見て申し訳なく思うのではなく、かわいいなぁ、なんて思ってしまう。

「プロデューサー、拗ねないで。からかい過ぎたのは謝るから〜」

「……とにかく、帰るぞ。女子寮までは送るから、早く準備しろ。明日はライブなんだからな」

 そんなプロデューサーに対して、未央は小声で「……それなのに遅くまで帰らさなかったのは誰かなー」なんて言う。プロデューサーがわかりやすく落ち込む。

「ごめんごめん、べつにせめてるわけじゃないよ。本当、嬉しかったもん。感動したよ!」

 その言葉は未央の本音だったが、今のプロデューサーからすれば慰めの言葉にしか聞こえない。

「ごめんな……自分勝手で……」

 プロデューサーの自己嫌悪モードである。こうなるとすごく面倒くさい。それを未央は知っている。

 うーん、どうするか……これはさすがに私が悪いし、でも、このまま落ち込まれても……。

 そう思った未央は、そうだ、とあることを思いつき、ととと、と事務所の冷蔵庫の方に走ってあるものを持って戻ってきた。

 そして。

「えいっ」

 ぐさっ、とプロデューサーの口にあるものが差し込まれた。

 ポッキーである。

 いきなり、何を……そう思ってプロデューサーは未央の方を見た。

 未央は言った。

「早く立ち直らないと、またポッキーゲーム、だからね」

 ポッキーゲーム。

 その言葉を聞いたプロデューサーの脳裏に浮かんだのは、つい最近、ポッキーの日にあった……!

「それはダメだ!」

 プロデューサーが叫ぶようにして言った。よし、作戦成功。未央はプロデューサーに見えないように小さくガッツポーズをつくった。

「うん、やらないよ。だから、早く帰ろう? 私をお城まで送って下さいませ、王子様」

 演技がかった調子で、まるでお姫様がドレスのスカートをつまんであいさつをする時のように、ミニスカートをつまんで礼をして、それからお姫様がエスコートをされる時のように未央は手を差し出した。

 そんな未央を見て、プロデューサーは今までのことは自分のためにやってくれたのだと悟る。ふっと微笑み、

「必ず無事に送り届けますよ、シンデレラ」

 なんて言って、未央の手を取り、歩き出す。

「……の前に、色々、戸締まりとか確認しないとな」

「……台無しだよ、プロデューサー」
494 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 00:26:59.59 ID:2RSVv31G0

――

 女子寮の前。

「それじゃ、未央。明日――じゃなかった。今日のライブに備えて、しっかり寝ろよ」

「うん。プロデューサーも、だよ?」

「わかってる。さすがにちゃんと寝るよ。……あと、未央」

「何?」

「明日、ライブの後……時間、あるか?」

「……ごはん?」

「察しがいいな。まあ、そういうことだ」

「んー……それって、予約とかしてる?」

「予約……は、してないが、まあ、心配しなくてもいい」

「……どういうこと?」

「さあ? どういうことだろうな」

 プロデューサーは明らかに何かを隠している様子だったが、問い詰めても何も出そうにない。

 ……まあ、いっか。プロデューサーとのごはんは、楽しみだし。

「とりあえず……おやすみ、未央」

「うん。おやすみおー」

「……おやすみお」

 お、乗っかってくれた。珍しい。

 そのまま未央は女子寮の中に入って、プロデューサーと別れた。

 ……今日はライブだ。

 緊張はあまりしていない。緊張で眠れない、なんてことはない。

 でも。

 ……めちゃくちゃ楽しみだから、それで眠れない、って可能性は、ちょっとあるかも。

 未央はそんなことを思った。



 ちなみに、それから30分もしない内に未央は寝た。


495 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 00:28:49.04 ID:2RSVv31G0
これにて今回は終了……ではありません!
続きます!
たぶん今夜20時くらい!

誕生日おめでとう、未央。

ありがとうございました。
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/01(木) 00:32:01.03 ID:nMXom57d0
乙ー
 
うん、今日未央の誕生日だから必ず来ると思ってたわ
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 00:46:56.42 ID:ak2eE5eWo

誕生日おめでとう未央
未央と恋愛したいだけの人生だった…
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 01:01:42.57 ID:lPxjDjPg0
乙! 未央誕生日おめでとう!
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 01:30:09.92 ID:DOekaYrLo
乙です
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 01:36:49.37 ID:RtPGCFQHo
誕生日おめでとう!!時間を合わせるところに愛を感じる
一旦乙です
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 08:38:39.08 ID:lhK4MASto

未央おめでとう
502 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 20:00:18.88 ID:2RSVv31G0

――バースデーライブ終了後・控室

P「お疲れ、未央」

未央「お疲れー! すっごく、すっごく楽しかったよ、プロデューサー! みんなが私の誕生日を祝ってくれて……私、みんなにお返しできたかな?」

P「ああ。ファンも楽しそうだったし……それは近くで見ていた未央もわかっているだろう?」

未央「……うん。えへへ、ありがと、プロデューサー♪」

P「……それ、俺に言う言葉か?」

未央「ファンのみんなにはさっき言ったし……私もファンも、みんなでこんなに楽しいライブをできたのは、プロデューサーのおかげだからね」

P「スタッフさんがいたから、だけどな」

未央「それはプロデューサーも一緒に言ったし……もちろん、感謝してるけどね! あと、ごまかそうとしても無駄だよ? 私はプロデューサーにめちゃくちゃ感謝してるんだからね」エッヘン

P「偉そうに言うな」ペチン

未央「痛っ……むぅ。誕生日なんだから、もうちょっと優しくしてくれてもよくない?」

P「そんなに強く叩いてないだろ。優しくもしてる」

未央「えー。足りないよー」
503 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 20:08:27.47 ID:2RSVv31G0
P「足りない、って……何をすればいいんだよ」

未央「んー……あ! 今はたかれた頭が痛いから、さすってくれない?」

P「……女性の頭を撫でるのはデリカシーがないってならないか?」

未央「それは正しいけど、こういう状況ではむしろそうやって聞く方がダメだと思うよ?」

P「よくわからんな……」

未央「とにかく! 早く早く、撫でてみてよ!」

P「……」サスッサスッ

未央「……なんか、くすぐったい」

P「それは下手ってことか?」

未央「んー……どうなんだろう? 私も頭を撫でられることなんてないからなー……」

P「お兄さんとかには?」

未央「いや、兄妹でも撫でられるのとか嫌じゃない?」

P「……それ、お兄さんにはあんまり言わない方がいいぞ」

未央「? どうして?」

P「……まあ、いいか。で、俺はどうすればいい?」
504 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 20:15:23.29 ID:2RSVv31G0
未央「どうすれば……あ、それじゃあ、もうちょっと強く撫でてくれない?」

P「強く……って言うと、これくらいか?」ナデナデ

未央「おっ! お、おお……これは結構、いい感じかも……」

P「いい感じなのか……」

未央「なんか……髪を切る時とかに、シャンプーされるのが気持ちいい、みたいな……そんな感じ……」

P「あー……ってことは、もうちょっと力入れた方がいいか?」

未央「それは……どうだろ? ちょっと、やってみてくれる?」

P「ん」ガシガシ

未央「んっ!」

P「あ、さすがに強かったか」

未央「あ、でも、これはこれで気持ちいいかも……マッサージされてるみたい……」

P「……なんか、犬みたいだな」

未央「……それはさすがに失礼じゃない?」
505 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 20:23:37.74 ID:2RSVv31G0
P「いや、なんか、こうやってガシガシ撫でて気持ちよさそうにしてるのを見ると、かわいいな、と思ってな」

未央「かわいい……なら、よし」

P「誰だよ」

未央「にゃんみおー!」

P「なんで猫だよ。それなら『わんみお』じゃないか?」

未央「いやー、それはみくにゃんに悪いかなー、って。……しぶにゃんとか、また見たいなぁ」

P「頼んだら……無理か」

未央「あの時はやってくれたけど……うーん」

P「……あ」

未央「? どうしたの? プロデューサー」

P「……髪」

未央「……あ!」
506 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 20:37:43.23 ID:2RSVv31G0

――車の中

P「ごめんな、未央。髪、ぐちゃぐちゃにしちゃって」

未央「いいよ。そもそもは私から頼んだんだし。それで、どこ行くの?」

P「どこ、って?」

未央「ごはん、食べに行くんじゃないの? 未央ちゃん、それも楽しみにしてたんだけどなー」

P「あー……まあ、そうだな。そもそも、俺が言ったんだしな」

未央「そうだよー。もしかして忘れられてる? ってちょっと心配になっちゃったよ」

P「それは悪いな。本当に心配してたなら、だが」

未央「くっ! 本当はそこまで心配していなかったと見破られたか……! それで、どこに行くの?」

P「事務所だ」

未央「事務所……何か、用事?」

P「ああ。ちょっとな」

未央「ん、わかったよ、プロデューサー。それじゃあ、ごはん、楽しみにしてるね」

P「……まあ、楽しみにしてくれ」

507 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 20:43:00.24 ID:2RSVv31G0

――事務所

ガチャ

未央「ただいま――」


パンッ!


卯月「未央ちゃん!」

凛「誕生日」

「「「おめでとー!」」」


パンッ! パンッ! パンッ!


未央「……へ?」
508 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 20:51:32.96 ID:2RSVv31G0
藍子「その反応……サプライズ、成功したみたいですね」

茜「未央ちゃんになら絶対に気付かれると思っていましたが……プロデューサー! さすがです!」

P「はっはっは。そうだろ。褒めていいぞ」

茜「さすがです! すごいです! 神算鬼謀です!」

P「なんでいきなり難しい言葉……」

茜「以前の食レポ番組で文香ちゃんが言ってました!」

P「食レポ番組でそれ言う場面あるか!? ……いや、確かあったな……文香、混乱すると割りと変だからな……」

文香「……変、ですか?」

P「あっ、いたのか……」

文香「変……変、ですか……変……」

P「文香? ごめん、ごめんって。変じゃない。変じゃないぞー」
509 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 21:01:53.60 ID:2RSVv31G0
未央(……これ、って)

加蓮「未央、どうしたの? 早く来なよ」

美嘉「でも、未央が気付かないなんて意外だね。プロデューサーが未央を相手に隠しきれるなんて思わないんだけど……」

泰葉「そもそもそういう話題にならなかった、という可能性もありますけどね」

加蓮・美嘉「「あー……」」

泰葉「それで、未央ちゃん。どうかした?」

未央「……あ、やすやす。えっと、その、大丈夫だよ。ちょっと、びっくりしちゃって」

加蓮「……Pさんと二人きりでごはんだと思ってたのに残念、とか思ってたりして」

未央「そんなことないよ。いや、まあ、確かにプロデューサーと二人でごはんだとは思ってたけど……むしろ、みんなと一緒で嬉しいよ! 美嘉ねー、かれん、やすやす……大好きだー!」ダキッ

美嘉「ちょっ……もう。アタシたちも大好きだよ、未央」

未央「み、美嘉ねーからの告白……私、どう答えたらいいのかしら」

美嘉「そういう意味じゃないから! と言うか、先に言ったの未央でしょ!」

加蓮「美嘉ってば、こんなところで告白だなんて大胆だね」

泰葉「本当に……びっくりしてしまいました」

美嘉「泰葉ちゃんまで……なんでいきなりそんな流れになるのー!」
510 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 21:13:17.34 ID:2RSVv31G0
凛「未央、プロデューサーも、やること、あるんじゃないの?」

P「あ、そうだな。未央、あいさつあいさつ」

未央「あいさつ……コホン。皆の者、今日は未央ちゃんのために集まってくれてありがとう。それでは、これから未央ちゃんの生誕祭を開催する! 皆の者、盃を取れ! 乾杯!」

凛「何そのノリ」

卯月「かんぱーい!」

「「「かんぱーい!」」」

凛「乗るんだ……」

奈緒「まあ、せっかくの誕生日だし……未央だしな」

みく「未央チャンだからね」

李衣菜「未央ちゃんだしね」

凛「未央……」

未央「はっはっは。皆の者、そこまで褒めずともよいぞ」

凛「いつまでそのキャラ続けるの」

未央「んー……飽きるまでかな」

凛「もう飽きた?」

未央「うん。それじゃあ、しぶりん! 君には余興として、しぶにゃんをやってもらいましょう!」

凛「……は?」

みく「ネコミミはここにゃ」

凛「え、なんで持ってるの」

みく「それはもちろん、こんなこともあろうかと、と思ってにゃ」

凛「どんなことなの……」

未央「ほらほら、私もしまむーも付けるからー」

卯月「えっ」

凛「……まあ、卯月が付けるならいいかな」

みく「いいんだ……」

未央「というか、もうみんな付けちゃおー! みくにゃん、人数分のネコミミ、ある?」

みく「あるにゃ」

奈緒「あるのか……」

加蓮「んー? 奈緒、もしかして恥ずかしい? 恥じらいの太眉乙女だもんねー」

奈緒「ちーがーうー!」

凛「じゃあ恥ずかしくないの?」

奈緒「……正直、もう、色んな衣装着せられてきたしな……」

凛・加蓮「「ああ……」」
511 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 21:23:15.99 ID:2RSVv31G0
みく「はい、Pチャン。これで最後にゃ」

P「え、俺も付けるのか?」

未央「もちろん! ……気持ち悪くなかったら」

P「気持ち悪いって言われたら本気で落ち込むからやめてくれ」

みく「えー……」

P「なんでみくが残念そうなんだよ……」

未央「つまり! みくにゃんの誕生日に付ける、ということだね!」

P「なんでだよ」

みく「まあ、そういうことだよね」

P「なんでだよ!」

茜「プロデューサー! 未央ちゃん!」

P「はい!」

未央「何? あかねちん」

茜「早く食べないと! ごはんが! 冷めてしまうと思うのですが!」

P「あ、それもそうだな。食べるか」

未央「ごはん……こ、これは……! フライドチキンとか、ピザとか……あと、なんか色々ある!」

P「そうだな。じゃ、食べるか」

未央「プロデューサー、つーめーたーいー」

P「今のどう乗れって言うんだよ……」

未央「それは……謎だね」

P「謎なのか……」

未央「とにかく、みんな、食べよっ☆ 私が許す!」

凛「誰なの……」

未央「ホスト?」

卯月「間違ってるような、間違ってないような……」

未央「でも、ゲストじゃないでしょ? 私のためのパーティーなんだし!」

藍子「とりあえず、食べましょうか。いただきます」

未央「うん! いただきまーす!」

「「「いただきます」」」
512 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 21:32:29.95 ID:2RSVv31G0
未央(それじゃ、まずはこのポテトから……)パクッ

未央「……ん」

未央(いい感じにしょっぱくて……これはかれんが好きな感じかな? うん、おいしい)

未央(次はフライドチキンを……っと)パクッ

未央「……うん」

未央(おいしい。……うん、本当に、おいしい)

未央(どうして、こんなにおいしく感じるんだろう)

未央(はっきり言って、ちょっと冷めてるし……そう考えれば、そこまでおいしくはない、はず、なのに)

P「どうだ? 未央」

未央「……プロデューサー」

未央(……そっか)

未央「とっても……おいしいよ、プロデューサー。ほらほら、プロデューサーくんも食べたまえ〜」

未央(……そうだよね。こんなの、当然のことだった)

未央(ごはんの味は、それそのものだけで決まるものじゃない)

未央(今、この時……みんながいるから。プロデューサーたちみんながいるから、おいしいんだ)

未央(……なんか、そう考えると)

未央「プロデューサー」

P「ん?」

未央「私、実はプロデューサーと二人きりでごはんを食べるんだと思ってたんだ。それで、今日はどんなお店に連れて行ってもらえるのかなー、って期待していたりして」

P「……で、どうだ?」

未央「……とっても、とーっても、嬉しいよ、プロデューサー! ライブでもそうだったけど……みんなが楽しくしてると、私も楽しいから! こんな風に、みんなで食べるごはんは、とってもおいしいよ! だからありがと、プロデューサー♪」

P「どういたしまして」

未央「……えへへ。プロデューサー、大好きだよっ☆」

P「……さ、行ってこい。みんなで楽しく……だろ?」

未央「はーい。……でも、今日くらいは大好き、って言ってくれてもいいと思うよ?」

P「……大好きだよ、未央」

未央「……」

P「……なんだよ、その顔」

未央「……本当に言ってくれるとは、思わなかったから」

P「言わない方が良かったか?」

未央「ううん! 嬉しい! だから、ぎゅー♪」ギュー

P「ちょっ!」

未央「えへへ、スキあり〜」ギュー

P「……」ギュッ

未央「っ」ビクッ

P「……ほら、これでいいだろ。とっとと行ってこい」

未央「……うん」
513 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 21:38:07.97 ID:2RSVv31G0
P「……はぁ」

凛「プロデューサー」

P「わっ! ……なんだ、凛か」

凛「うん」

P「……見てたか?」

凛「そりゃあね。私だけじゃないけど」

P「……みんなに見られてた?」

凛「さあ?」

P「さあ、って……迂闊だったか」

凛「まあ、誕生日だからいいんじゃない?」

P「そうか……そうか?」

凛「ふふっ。プロデューサー、動揺してる?」

P「……少しは、な」

凛「……ライブ、良かったね」

P「最高のライブだったからな」

凛「それは否定しないけど、私も負けるつもりはないよ」

P「そこでそんなこと言うのか……」

凛「『最高』なんて言われたら、ね」

P「……俺にとっては、みんな最高のアイドルなんだけどな」

凛「まあ、プロデューサーはそうだよね。それでいいと思う。そんなプロデューサーだから……なんて、今言うことじゃないね」

P「確かにな」

凛「……ライブがあったし、パーティーもそんな長くやっちゃダメだよね」

P「今はまだ元気そうだが、さすがにな」

凛「……プロデューサーが送るの?」

P「まあな」

凛「狼にならないように気を付けてね」

P「ならないに決まってるだろ」

凛「……本当に?」

P「……本当に」

凛「信じてるよ、プロデューサー」

P「それ言うと信じてないみたいだからやめてくれないか?」
514 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 21:42:42.74 ID:2RSVv31G0

――車の中

未央「んー……さすがに疲れたかも……もちろん、楽しかったけど」

P「なら良かった」

未央「……プロデューサーも疲れてるのに、ごめんね」

P「俺と未央の仲だろ」

未央「それは言わない約束……って、まさかプロデューサーの方からそういうことを言ってくるとは……」

P「疲れてるなら寝てもいいぞ」

未央「んー……でも、今日プロデューサーを独り占めできるのは、この車の中だけだから」

P「……そうか」

未央「……えへへ。プロデューサー、おめでとう、って、言って?」

P「……おめでとう、未央」

未央「もっともっと」

P「誕生日おめでとう、未央。生まれてきてくれてありがとう」

未央「もっともっと、情熱的にー」

P「情熱的、って……何を言えばいいんだよ」

未央「『おお、愛する人よ。今日は我が最愛の人がこの世に生まれ落ちたことを天に感謝する日……』みたいな?」

515 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 21:44:18.12 ID:2RSVv31G0
P「それ、言われて嬉しいか?」

未央「あんまり嬉しくないかも」

P「ならダメだろ」

未央「確かに。……でも、今日はずっとプロデューサーと一緒だったね」

P「まあ、ライブがあったからな」

未央「だとしても、だよ。日付が変わった時も一緒だったし、朝起きてからも、ライブの前も、ライブの後も、パーティー中も……ずっと、ずっと、一緒だったよね」

P「そうだな」

未央「……今日はとっても幸せな日だったよ。それはたぶん、プロデューサーが一緒にいたから。プロデューサーがいたから、いつもよりも、もっと、もーっと、幸せな日になったんだよ」

P「……そうか」

未央「うん! だから……プロデューサー、プレゼントのリクエスト、してもいい?」

P「ライブもパーティーもやったのに……未央もなかなか、強欲だな」

未央「そうする、って決めたからね」

P「……それで、なんだ?」

未央「えっとね……来年も、再来年も、この先、ずっと……プロデューサーから、『おめでとう』って言ってほしい。それを、約束してほしいな♪」

P「……そんなことか」

未央「うん、そんなこと、だよ」

P「そうか。……約束するよ、未央。これから先も、ずっと、ずっと……この日は、未央に『おめでとう』って言う日にする」

未央「もし約束を破ったら、ネコミミを付けてもらうからね。それで気持ち悪かったら気持ち悪い、って言うからね」

P「それはキツい罰だな。絶対に破れない」

未央「でしょ? ……ふわ」

P「……やっぱり寝た方がいいんじゃないか?」

未央「……うん。約束、してくれたしね」

P「ああ。だから、心配せずに、ぐっすり寝てろ」

未央「……その前に、もう一度、おめでとう、って言ってほしいな」

P「……おめでとう、未央。短い時間だが、いい夢を」

未央「……うん、おやすみ、プロデューサー。……最高の一日を、ありがとう」



516 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 21:51:09.13 ID:2RSVv31G0
これにて今回は終了です。
「プロデューサーとのごはん」かどうかは微妙ですけど、こんな誕生日もいいよね! みたいな!

あと、このSSは基本的には現実と同じ日付みたいな設定ですけど、今回は休日設定です。
そこまで重要でもないかなーと思って書いてませんけど、未央なら誕生日当日ってことよりもたくさんの人が見に来れる日を希望すると思うんですよね。
あとさらに書いてもいない設定として結構大きい箱だったりもする設定もあります。「できるだけたくさんの人と」っていう未央の希望をプロデューサーが叶えた形ですね。……この設定は数日前に投稿できれば書いていたんですが、間に合いませんでしたね。
他にもSS内で書いてないだけの設定は割りとありますね。このSSにおける未央はこれで17歳になった、とか。

本田未央さん、誕生日おめでとうございます。いつまでもこの日はあなたの誕生日を祝わせて下さい。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
517 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/12/01(木) 21:53:50.09 ID:2RSVv31G0
あとこのSSについて。

今年も誕生日でスレ区切ろうかなーと思ってたんですが、1000までまだまだなのでこのスレで続けることにします。書きたいのはいっぱいあるので、またそこそこのペースで書いていきたいなー……とか。最近あんまり「ごはん」っていうの書いてないような気がしますし。……今回も。

……じ、次回はガッツリ食べます! たぶん!

改めてありがとうございました。
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 22:54:02.21 ID:ak2eE5eWo
乙!
何度でも言いたい
誕生日おめでとう未央
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 23:56:24.10 ID:DOekaYrLo
乙です
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/03(土) 03:35:39.29 ID:OokKViLY0
未央みたいな娘がご飯を美味しそうに食べてる姿を見るだけで幸せになれそう
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/03(土) 04:02:01.09 ID:E2vtSZ3/0
やはり女の子が笑顔で食べてる姿は美しいものだ
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/06(火) 19:23:08.24 ID:NecUhut+O
未央17歳になったのか
そうするとしまむーや茜ちんは19歳、あーちゃんは18歳で
しぶりん、菜々さんは17歳なんだなぁ
ふみふみに至っては21歳か…
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/11(日) 14:35:23.06 ID:T7+YZMJ80
>>522
一人おかしい人がいますね…
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/11(日) 16:48:23.88 ID:28DvBUAp0
あべななさんじゅうななさい
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 23:11:22.08 ID:aDs2pNcZo
誕生日記念くらいは特別な内容でいいと思うし
何よりいっぱいアイドル登場する珍しいシーンで楽しかった!
次回以降は通常営業に戻る・・・かは分からないけど楽しみにしてますー
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 02:22:03.47 ID:1n4SxxKCo
こんな17歳の彼女が欲しいです、サンタさん
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 20:20:10.95 ID:bMW3IrQXO
保守
528 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 14:59:11.46 ID:d5BmJPn90

――事務所

未央「うー……外に出たくなーい」

P「何言ってるんだよ、未央。というか、今日事務所に来るまでで外に出てきただろ」

未央「そうだけど……一度この幸せを感じると、なかなか元には戻れないものなのですよ。ほら、いったん生活レベルを上げたら下げるのは難しいって言うでしょ?」

P「それはまあ、そうだが……いや、それとこれとは関係ないだろ」

未央「バレちゃったかー」

P「バレたな。……それで、未央。そろそろ出る時間だが」

未央「えー……まだもうちょっと時間あるでしょ?」

P「あるにはあるが……その前に、何か食べなきゃいけないだろ?」

未央「む。つまり、ごはんのお誘いかな?」

P「そんなところだな。で、どうする?」
529 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 14:59:42.91 ID:d5BmJPn90
未央「行きますとも! 準備するから、ちょっと待っててね」

P「寒くて外に出たくないんじゃなかったのか?」

未央「それはプロデューサーがあたためてくれればいいのです」

P「なんでだよ」

未央「アイドルが風邪をひいたら困るでしょ?」

P「カイロでも持っとけ」

未央「冷たーい。冬の寒さよりプロデューサーが冷たいよー」

P「先に出ていいか?」

未央「調子に乗りすぎました。ごめんなさい」

P「……早く準備しろ。余裕があるとは言っても、並んでたらどれくらい待つかわからないからな。早めに出ておきたい」

未央「はーい」
530 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 15:00:17.30 ID:d5BmJPn90

――電車

未央「で、今日はどこに行くの?」

P「四谷だな」

未央「ほう、四谷……いや、そういう意味じゃないんだけど」

P「ん、そうか。まあ、洋食屋……というか、かつれつの店、かな」

未央「へぇ……ということは、今日はとんかつとか、そういうの?」

P「いや、俺は違うのを頼むつもりだ」

未央「そうなの?」

P「ああ。もちろん、揚げ物もうまいんだけどな。今日はちょっと違うのにしよう、って気分なんだよ」

未央「へぇ……ということは、私もどうなるのかわからないってことかな」

P「だな。……特に、この時期だと」

未央「この時期だと?」

P「いや、いい。行ってみてのお楽しみ、ってことで」

未央「教えてくれてもよくない?」

P「べつにいいが、こういうのはやっぱり現地で見た方がいいだろ? まあ、予想するといいんじゃないか? この時期だと何か、ってな」

未央「……はーい」

未央(この時期……この時期って言うと、冬? それとも、一月……みたいなこと? 揚げ物だと……カキフライ、とか? あ、カキフライ! カキフライ、いいかも……。でも、プロデューサーの口ぶりだと、揚げ物ではないのかも……。うーむ、いったい、なんなんだろう。楽しみだなー)
531 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 15:01:08.61 ID:d5BmJPn90

――店の前

P「ん、並んでないな。珍しい」

未央「まあ、この寒さだからね……」

P「個人的にはこの店はこんな時期にこそ来たいんだけどな。季節限定メニューが好きなんだよ。今日頼むつもりはないが」

未央「季節限定……っていうことは、冬季限定?」

P「だな。で、メニューはここにも貼ってあるが……」

未央「あ、ほんとだ。カキフライに、ロースカツ。カレーもあるんだ……チキンサルサ? へぇ、こんなのも……あと、ポークジンジャーに、カキバター……カキバター!」

P「ん、それだな。個人的に、ここのカキフライとカキバターが好きでな……冬になったらできれば来たい店なんだよな」

未央「カキバター……カキバターかぁ……プロデューサーは、それなの?」

P「いや、今日はポークジンジャーにするつもりだ。これもまたうまいんだよなぁ……」

未央「……プロデューサー、もしかしてぜんぶおいしいって言うんじゃ」

P「可能性はあるな!」

未央「あるんだ……」

P「そんな目で見るな。未央もここの味を食べればわかるはずだ。で、未央は何にするのか決まったのか?」

未央「うーん……迷うところだけど、カキバターにしようかな。カキフライは食べたことあるけど、カキバターはないからね」

P「ここのカキフライは未央が今まで食べてきたカキフライとは別物だけどな……」

未央「ちょ! ここでそういうこと言う? うぅ……でも、カキバターにする! 決まり!」

P「わかった。それじゃ、入るか」

未央「うん! ……って、これ入ってから決めてもよかったんじゃ」

P「……確かに」
532 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 15:02:31.26 ID:d5BmJPn90

――店の中

未央「ということで! カキバターとポークジンジャーが来たね!」

P「来たな。……うん、もう匂いからして良いな!」

未央「もう見るからにおいしそうというか、すごい匂いしてるもんね……バターの匂いと、ベーコンの匂い……ん、ベーコン。これ、どうやって食べればいいんだろ?」

P「俺のオススメとしては、牡蠣をベーコンで巻いて食べる、牡蠣のベーコン巻きだな」

未央「うわ、なにそれ。絶対おいしい」

P「あと、俺のポークジンジャーもおいしそうだろ? ほらほら、後で食べさせてやるからな」

未央「くっ! 確かに、おいしそう……! ごはんと一緒に食べたい……!」

P「ふっふっふ……っと、まあ茶番はこれくらいにして、食べるか」

未央「うん。それでは、いただきまーす!」

P「いただきます」
533 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 15:03:17.24 ID:d5BmJPn90
未央(……でも、本当においしそうだなー。ぷっくりとした牡蠣。衣に焼き目がついてて、ひたひたのソースの上に並んでる。このソースはなんだろう。バターと……醤油、とか?) 

未央(他にも色々ありそうだけど……とりあえず、食べてみればわかるかな。ということで、まずは一口……)パクッ

未央「……ん〜!」

未央(おいしい! すごい……すごく、おいしい。すっごくジューシーで、牡蠣とソースがいっしょになって……もう、すごくおいしい。そう言えば、牡蠣ってカキフライくらいでしか食べたことがなかったような気がするけど、牡蠣って、こんな食べ方もできたんだ……)

未央(……今度は、ごはんも一緒に)パクッ

未央「……んー」

未央(おいしい。一口食べてわかってたけど、ごはんにも合うなー……。一緒にあるベーコンのうまみも牡蠣が吸っているような気がする。つまり、この牡蠣はソースとベーコンのうまみ、それから牡蠣そのものが持つうまみがすべて凝縮された、めちゃくちゃおいしい物体になっているのだー! 的な)

未央(でも、本当にそれくらいおいしいんだもんなー……このソースだけで付け合せのキャベツも進んじゃう)
534 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 15:03:47.99 ID:d5BmJPn90
P「未央、どうだ?」

未央「あ、プロデューサー。おいしいよ。すっごくおいしい。一粒ほしい?」

P「もらえるなら是非とも。代わりにポークジンジャーを進呈いたします」

未央「ほっほっほ。くるしゅうない」

P「誰だよ」

未央「プリンスミオ!」

P「プリンスっていうか、キングっぽかったけどな」

未央「かな? まあそれはそれとして、交換しよ、プロデューサー」

P「ん」

未央「えへへー……ありがと、プロデューサー」

P「どういたしまして。こちらこそありがとう、未央」

未央「どういたしまして♪」
535 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 15:04:13.18 ID:d5BmJPn90
未央(さてさて、それではこのポークジンジャーも……元は大きな一枚肉。それがこんなに小さくなっちゃって……いや、割りと大きく切り分けてくれたけど)

未央(このソースがまたおいしそうだなー……すりおろされたジンジャーに、たっぷりのソース。それが豚肉と一緒になって……うん、食べよう!)パクッ

未央「……!」

未央(これは……おいしい……! ソースが甘辛くて、ジンジャーが爽やかで、お肉が柔らかくてジューシーで……すごくおいしい!)

未央(ごはんとも合って……いくらでもごはんが食べられそうなくらい……これは、確かにおいしいや)

未央(というか、このお店、ソースがすごくおいしいような気がする。でも、それだけじゃなくて……とにかく! すごくおいしい!)

未央(……おいしかった。次に来ることがあったら、ポークジンジャーでもいいかも……でも、私はまだ、手を付けていないものがある。そう、ベーコンだ)

未央(このベーコンで、牡蠣を巻いて……それを、食べる!)パクッ

未央「……っ!」

未央(こんなの……おいしいに、決まってる!)

未央(くぅ……最、高……!)
536 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 15:05:24.40 ID:d5BmJPn90

――店の外

未央「はぁ……おいしかったね、プロデューサー」

P「ああ、うまかった。やっぱりこの店はいいな……」

未央「なんというか、他のものも頼んでみたいけど、今回のもめちゃくちゃおいしかったからどうなるかわからない……って感じ」

P「あー……わかる。俺もまだぜんぶ食べたわけじゃないしな……」

未央「でも、また来たいのは確かだね」

P「だな」

未央「……ん」ブルッ

P「ん、未央。寒いのか?」

未央「うん。ちょっとね。中は、あたたかかったから……」

P「……俺のコートは」

未央「いらないよ。プロデューサーも寒いでしょ?」

P「まあ、そうだが……未央」

未央「なに?」

P「手」

未央「手?」

P「……駅まで、繋いで歩かないか?」

未央「……いいの?」

P「ああ」

未央「……えへへ。それじゃ、お言葉に甘えて」ギュッ

P「……寒いな、未央」

未央「うん。……でも、今は、あたたかいよ」

P「そうか。……そうだな」



537 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 15:07:48.73 ID:d5BmJPn90
これにて今回は終了です。
カキバター! ポークジンジャー! こんなの絶対おいしいじゃん! みたいな今回。おいしかったです。
久しぶりに平常運転っぽいやつ。でもちょっと短め? いつもどれくらいの長さでしたっけ? 平常運転がどれくらいの長さなのか忘れてしまった……。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
538 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/01/15(日) 15:09:56.74 ID:d5BmJPn90
あとSSとは関係ないですが今回の未央かわいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 
月末未央。めっちゃかわいい。すごい。かわいい。演技も最高。原紗友里さんありがとうございます。
まあ私はフリトレですけどね! ……早く、エピソード、見たい……。

改めてありがとうございました。
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 16:12:05.08 ID:F80AvxYso
ちょうど、昼に食べたメニューだ! 未央がいれば良いのに
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 18:29:07.31 ID:pIlmPmyco
あったかいなあ
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 19:17:37.07 ID:X0kpIETmO

相変わらず未央が可愛い

そういえばカキバターって知らなかったわ
結構いい歳なんだが…
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 20:04:03.39 ID:DIMYcP4Bo
どんどんプロデューサーからも甘えるようになってきていちゃいちゃが更に加速している
いいぞもっとやってください
カキバターに醤油かけるのも美味しいんだよなあ…食べたくなってきた
今回も乙でした
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 21:08:16.28 ID:F8JA5WFGo
自分がバカ舌なのか運が良いのか分からんけど不味い洋食屋って出会ったことないな
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 21:13:36.86 ID:hfIL/nSZo
接客のマズい店ならいくらでもあるけどなw
そういう店には二度と行かない
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 23:49:23.36 ID:GP7daq3Ao

このss見ると自分が美味しい店を知らないで人生損してるって気づかされる気がする
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/16(月) 09:17:09.75 ID:DMsaqCtYo
>>538
この店常連だけどホント美味いよね冬場限定のカキ系も夏場限定のビフカツも美味い

というか全部美味い
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/16(月) 21:56:55.85 ID:GEZpzuCqo
丁度夜会でやってた店か
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/17(火) 20:01:44.20 ID:DLfhT+7u0
更新きてた!お疲れ様です
相変わらず腹が減る・・・
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/22(日) 20:28:21.71 ID:kn6QbXkj0
やっぱこのSS最高だわ
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/21(火) 20:45:42.62 ID:/ymXPkNGO
551 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:34:51.83 ID:5ZX/JYty0

――事務所

P「んー……」

未央(あ、プロデューサー。なんかうなってる。……どうしたんだろ?)

未央(疲れてるのかな……伸びをして……あ、そうだ。こっそり近付いて……っと)コソコソ

未央「……えいっ」ギュッ

P「んっ!? は、ちょ、なんだ!? 誰だ? 離れて……!」

未央「だーれだ♪」

P「未央か!」

未央「む、即答……誰かの声真似した方がよかったかな?」

P「いや、そんなことどうでもいいから離れろ。当てたんだからもういいだろ?」
552 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:35:32.15 ID:5ZX/JYty0
未央「いやいや、当てたら離すとは言ってませんよ? プロデューサーくんが疲れているみたいだから、未央ちゃんが癒やしてあげようと思いまして」

P「……思いっきり頭に胸が当たってるんだが」

未央「癒されるでしょ?」

P「わざとか! お前、そういうこと軽々しくするなよな……」

未央「プロデューサーにだけだから大丈夫。ほらほら、未央ちゃんの胸をご堪能あれー」

P「っ……未央、お前、本当、早く離れてくれ」

未央「未央ちゃんのお胸では満足できない、と?」

P「そういう意味じゃなくてだな……」

未央「……えっちな気分になっちゃった?」

P「耳元でそういうこと囁くな!」

未央「……ふー」

P「っ! ……未央」

未央「怒らない怒らない。ほら、ぎゅー」ギュー

P「……あー、もう。これで癒やされてる自分の単純さが憎い」

未央「えへへ」
553 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:36:01.14 ID:5ZX/JYty0
P「……」

未央「……」

P「……未央」

未央「ん? なにかな? プロデューサー」

P「……心臓」

未央「聞こえちゃった?」

P「聞こえちゃった、って……なら、早く離れろよ」

未央「んー……だーめ」

P「なんでだよ」

未央「恥ずかしいけど……でも、こうしているの、幸せだし……私も、安心できるから」

P「……そうか」

未央「うん」
554 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:36:31.92 ID:5ZX/JYty0
P「……未央」

未央「うん?」

P「ありがとうな」

未央「どういたしまして。それでは、その代わりに……」

P「その代わりに?」

未央「仕事はいったんやめて、ごはん、行こ? ちょうどお昼だし、ね」

P「そうだな。それじゃあ、準備を……なあ、未央?」

未央「ん?」

P「離れてくれないと、準備ができないんだが」

未央「……もうちょっとだけ、こうしてちゃ、だめ?」

P「……ダメじゃない」

未央「……えへへ。デレデューサーだ」

P「……いつもデレてるだろ」

未央「えー。そうかなー?」

P「そうだよ」

未央「……うん。そうかも。未央ちゃんにはデレデレだもんね、プロデューサー」

P「語弊を招く言い方だな」

未央「でも、そうでしょ?」

P「……かもしれないが」

未央「……ぎゅー」ギュー

P「……ん」
555 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:36:58.68 ID:5ZX/JYty0

――外

未央「それで、今日はどこに行くの? プロデューサー」

P「何も考えてなかったな……何が食べたい?」

未央「んー……元気が出るようなのとか?」

P「元気……あ、カツ丼とかどうだ?」

未央「カツ丼! カツ丼かー……うん、なんだか、食べたくなってきたかも」

P「じゃ、決定ということで……まあ、カツ丼以外にもあるけどな」

未央「でも、カツ丼が有名なお店なんでしょ? それじゃ、たぶんカツ丼を頼むかなー」

P「そうか? まあ、いつもそんな感じだな。気に入ったなら、また来ればいいだけだしな」

未央「そうそう。それじゃ、行こー」
556 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:37:28.10 ID:5ZX/JYty0

――店の前

P「ってことで、ここだな」

未央「……喫茶店?」

P「だな。カツ丼の大盛りが有名……だと思う」

未央「ってことは、プロデューサーは大盛り?」

P「いや、ここの大盛りは本当に量が多いからな……大盛りにはしない」

未央「プロデューサーでもそうなんだ……」

P「俺はそこそこ食べる方かもしれないが、そこそこでしかないからな?」

未央「私からすればかなり食べる方だと思うんだけど……」

P「未央のお兄さんとか、俺より食べそうなんだが」

未央「それは……どうだろ? さすがに大盛りで有名―、みたいな店を一緒に行ったことはないから」

P「あー、それもそうか。そういうのは男友達とかと行くことが多いからな。それだと、家族だとしてもわかりにくいか」

未央「うん。でも、本当にカツ丼以外にも色々あるね……カツ丼以外のも、おいしいの?」

P「うまい。が、俺はカツ丼を頼むことが多いな」

未央「ということは、それだけカツ丼がおいしいということ?」

P「だな。少なくとも、俺は好きだ」

未央「ふむふむ……楽しみになってきた」

P「俺も話してたら楽しみになってきた……入るか」

未央「はーい」
557 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:37:55.35 ID:5ZX/JYty0

――店の中

P「お、来たな」

未央「来ましたかー! ……ほうほう」

未央(普通の大きさでも十分に大きい……これは確かに、大盛りだとすごい大きさになりそう)

未央(でも、それよりも……なんか、すごい、おいしそう! たまごはふわふわとろとろで、出汁はひたひた。つゆだく、って感じ)

未央(光り輝く黄金の丼……みたいな? 味が濃そうだけど……うん、おいしそう)

P「じゃ、食べるか」

未央「うん! いただきまーす!」

P「いただきます」
558 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:38:22.75 ID:5ZX/JYty0
未央(それじゃ、まずはカツとたまごをどかして……おお、ごはんもつゆにひたってる。これは予想よりも濃そうですなー)

未央(んー……カツは後で、最初はごはんとたまごから……っと)パクッ

未央「……んー!」

未央(おいしい! いつも食べているカツ丼とは全然違う。甘辛い出汁とふわふわとろとろのたまご、それから出汁の味がしっかりするごはんが口の中でほわっとほどけて……うん、おいしい!)

未央(これはこの出汁がおいしいのかなー……なんというか、全体的にレベルが高い。すごく、おいしい)

未央(えっと、それじゃあ、次はカツも一緒に……)パクッ

未央「……うん!」

未央(おいしい。衣がザクザクー、みたいな感じではないんだけど……カツ煮? みたいな? うーん、おいしい……)
559 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:38:53.54 ID:5ZX/JYty0
P「どうだ? 未央」

未央「おいしいよ。想像していたのとは違ったけど、うん、甘めの出汁? つゆ? がいい感じ!」

P「だよな。やっぱりここはうまいな……大盛りじゃなくても、量は十分なくらいあるしな!」

未央「うん、量あるよね。……食べ切れるかな?」

P「食べきれなかったら俺が食べるよ。やっぱり濃い目だし、ちょっと飽きてくるかもしれないからな。その時はその時で味を変えたりしてもいいかもしれないが」

未央「うん。その時はお願い……でも、おいしいから食べきりたい……」

P「わかるぞ、未央。俺も初めて来て大盛りを頼んだ時はそんな感じだった……」

未央「初めて来て大盛りを頼んだんだ……」

P「いや、なんか、有名だったから……『いけるだろ』って思ったんだが……」

未央「ダメだったの?」

P「ギリギリだった。ただ、おいしく食べきるなら並だな、とは思ったな……」

未央「あー……」

P「……まあ、話してないで、食べるか」

未央「うん」
560 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:39:37.66 ID:5ZX/JYty0

――店の外

未央「うおー……おいしかったけどお腹いっぱいだー……」

P「……ちょっと休めば良かったか?」

未央「いや、ちょっと……あそこに長時間いると……さらにお腹いっぱいになりそうで……」

P「あー……腹がいっぱいだと、料理を見ているだけでな……」

未央「うん……でも、ちょっと休みたいかも。プロデューサー、癒やして癒やしてー」

P「癒やすって……何をしろって言うんだよ」

未央「んー……私がした、逆?」

P「逆、って……つまり、こういうことか?」ギュッ

未央「そういうことそういうことー……頭をぎゅーってする代わりに、未央ちゃんの髪に頭を埋める権利をさしあげようー」

P「お前、俺をどういう人間だと思ってるんだよ……」
561 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:40:08.27 ID:5ZX/JYty0
未央「未央ちゃん大好きな人―。そして未央ちゃんはプロデューサー大好きな人なのだー」

P「お前、腹がいっぱいでおかしくなってないか?」

未央「なってないなってない。んー……プロデューサーのお胸に癒やされる……」

P「俺の胸の何に癒やされるんだよ……」

未央「胸筋?」

P「胸筋か……」

未央「あとは、ほら、心臓の音を聞くと安心する、っていうやつ? プロデューサー、どきどきしてくれてるもん」

P「……そういうこと言われると恥ずかしいんだが」

未央「お、鼓動が強くなった」

P「実況するな……!」

未央「えへへ。しーあーわーせー」グリグリ

P「頭を胸に押し付けるな……あー、もう。そろそろ離れるぞ」

未央「もうちょっといちゃいちゃしてたいなー」

P「……お前な」

未央「ほら、私、お腹いっぱい。仕方ないでしょ?」

P「なくない。ほら、離れろ」
562 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:40:36.34 ID:5ZX/JYty0
未央「ああー……まあ、いっか。十分癒やされましたし? プロデューサーも癒やされた?」

P「……まあ」

未央「なら良かった。それじゃあ、午後も元気に頑張ろー!」

P「……あ、未央。お前、そういや午後からレッスンじゃなかったか? そんな食べて良かったのか?」

未央「あ」

P「……未央?」

未央「……その、プロデューサーさん。ダンスレッスン以外には……なりません?」

P「ダンスレッスン以外でも動くだろ。まあ、その……頑張れ」

未央「……レッスンが終わったら、癒やしてほしいな」

P「……ああ」




563 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:43:26.88 ID:5ZX/JYty0
これにて今回は終了です。
これは大阪にあるお店です! でもSS内では東京にあるという設定。都合のいい感じでお願いします。

今回はなんか未央にめちゃくちゃ癒やされたかったんです。ぎゅー、ってされたいなー……っていう欲求ですね。はい。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
564 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/03/13(月) 21:46:10.84 ID:5ZX/JYty0
あとSSとは関係ないですが情熱ファンファンファーレ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
アレを絡めたネタとかにもしたかったんですが、まあ、またの機会に?
そして今年もバレンタインデーとかはスルーしてしまった……また書くかもしれないですけど、ちゃんとチョコは送ってる設定です。甘々な感じらしいです。はい。

改めてありがとうございました。
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:58:22.35 ID:4N3lRbfKo
おなかすいたぞ乙
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 22:58:36.03 ID:AssIBpBQO
ずっと待ってた
よかったらホワイトデー編書いてくださいお願いします
乙です
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 23:26:46.00 ID:6zdCyLhno
乙です
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 00:52:29.93 ID:syg0VjvvO
おー久しぶりだ

未央とのいちゃコラ分に心が満たされていく…
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/15(水) 23:04:13.78 ID:b8HYW1YrO


別にファンファンファーレのイベントが終わったからといって、
関連SS書いたらいけないわけではないんですよ?
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/22(水) 15:41:10.80 ID:FttuzevC0
いいっすね、ホント
571 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:49:44.77 ID:MQmdAlGl0

――事務所

P「……なんか、腹が減ったな」

未央「お?」

みく「どこか行くの?」

アナスタシア「ごはん、行きますか?」

P「食いつきがいいな……なんだ? どこか行きたいところでもあるのか?」
572 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:50:47.40 ID:MQmdAlGl0
未央「行きたいところ……行きたいとこ。私はないかなー。ちょうどお腹減ってたってだけ」

みく「みくもべつに……魚じゃなかったらいいにゃ」

P「そうか。アーニャは?」

アナスタシア「……なんでもいい、ですか?」

未央「いいよ! プロデューサーはいっぱいお店を知ってるからね!」

P「お前が言うのか……というか、俺はそこまで知ってるわけじゃないぞ?」

みく「でも、みくたちよりは知ってるでしょ?」

P「それは……まあ、そりゃあな」

未央「ってことで、アーニャ、何が食べたい?」

アナスタシア「ンー……食べたいのは、肉じゃが、ですね」

みく「そう言えば、アーニャンは肉じゃがが好きなんだったっけ」

アナスタシア「ダー。ロシア料理も好きですけど……どちらかと言えば、和食の方が好きかもしれません」
573 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:51:27.53 ID:MQmdAlGl0
未央「でも、肉じゃが……肉じゃがかー。お店で肉じゃが、ってあんまり見ないかも。プロデューサー、知ってる?」

P「ああ、一応。居酒屋みたいなもんだが……『お酒も出す店』って感じだから、ギリギリセーフか?」

みく「お酒が出る店でアウトならだいたいの店がダメになっちゃうし、セーフじゃない?」

P「まあ、そうか。……でも、絶対酒飲みたくなるんだよな、あそこ」

アナスタシア「プロデューサー、お酒、飲みますか?」

P「さすがに我慢するよ。アーニャがもうちょっと大きくなったら、一緒に飲もうか」

アナスタシア「ダー♪ ミオもみくも、一緒に飲みましょうね?」

未央「そうだね! 楽しみ……って、割りともうすぐ?」

みく「もうすぐ、って言っても、あと二年以上はかかるけどね」

P「……そう言えば、お前らもう高三か。時が過ぎるのも早いな」

未央「ちょっと大人になった未央ちゃんたちにドキドキしちゃう?」

みく「する?」

アナスタシア「しますか?」

574 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:51:58.32 ID:MQmdAlGl0
P「ああ。こいつら受験生になったけど大丈夫かなってドキドキする」

未央「それは今言わないで」

みく「やめて」

P「……自分で言っててなんだが、お前ら結構勉強できる方なんだから、そこまで心配いらないだろ? な、アーニャ」

アナスタシア「ダー。私、大学生になるのも楽しみですよ? 二人は違いますか?」

未央「いや、大学生になること自体は楽しみなんだけど……みんな、かなり忙しそうだったから……」

P「アイドル続けながらだもんな。というか、お前ら全員進学か? そりゃ、個人的には進学を進めてはいるが」

みく「それはやっぱり、つぶしがきくから?」

P「だな。それに、大学で何かやりたいことが見付かるかもしれない」

アナスタシア「私、星についてもっと知りたい、ですね」

P「アーニャもこう言ってるし……あ、そう言えばアーニャ。もう志望校とかは決めてるかもしれないが、一応、宇宙とか天文関係に強いところを調べておいたからまた資料を渡すよ。どこがどういう研究をしているのか、ってのもある程度まとめておいた。参考にしてくれ」

アナスタシア「スパシーバ、プロデューサー。ちゃんと確認しますね」
575 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:52:52.73 ID:MQmdAlGl0
未央「お、おお……み、みくにゃん、見た? なんか……受験生っぽいこと話してる……」

みく「みくたちも受験生だけどね。志望校、まだ決めてないからそろそろ決めなきゃいけないかな……」

P「やっぱり周りの子とかは決めてる子も多いのか?」

みく「はっきりと決めてるー……って子はそんなに多くないかな。『あそこに行きたい』って決めてる子も結構いるけど、ある程度のレベルを決めている、ってくらいの子が多いと思うにゃ」

P「そんなもんか。確かに、高三になる前に志望校、あるいはある程度のレベルを決めて、そこからクラス分け……みたいなものもするところもあるだろうしな」

未央「むぅ……この一年は頑張らないといけない、ってことかな」

みく「もっと前から頑張るべきだけどね」

未央「正論は耳に痛いからやめてほしい」

アナスタシア「でも、ミオは勉強、できますね?」

P「そうなんだよな。こいつ、これで勉強できるからな」

みく「ちょっとむかつくにゃ」

未央「ちょ、ひどくない? うう、アーニャー、なーぐーさーめーてー」ギュー

アナスタシア「ふふっ……いいこいいこ、ですね」ナデナデ

P「完全に子ども扱いなんだが……というか、さすがにそろそろ行くか。話はあとでもできるし、お前らも準備してこい。準備できたら行くぞ」

未央「はーい」

みく「うん」

アナスタシア「ダー♪」
576 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:55:26.66 ID:MQmdAlGl0

――店内

未央「ほうほう、こういう感じですか」

P「どういう感じだよ」

未央「なんか、ドラマで見るような感じ?」

みく「あー……ちょっとわかるかも」

P「わかるか?」

アナスタシア「いい雰囲気のお店、ですね、プロデューサー」

P「お、気に入ってくれたか、アーニャ。さてさて、早速何を頼むか考えていくか」

未央「メニューはある、けど……壁にも色々貼ってあるね」

P「メニューに載ってないのが壁にあったりするから注意だな。肉じゃがは確定として……」

みく「Pチャンはいつも何を頼むの?」

P「枝豆と唐揚げが確定で、揚げ出し豆腐とかも割りと頼むな。出し巻きたまごとかも個人的には好みだな。酒を飲む時じゃなかったら生姜焼きとかもいい。あと、カレーとかもある。これがまたうまくてな……」

未央「たくさんあるんだね」

アナスタシア「ンー……迷いますね」
577 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:56:37.52 ID:MQmdAlGl0
みく「あ、とん平焼き。とん平焼きなんてあるにゃ。Pチャン、みく、とん平焼きほしい」

P「さすがはみく。お目が高い。うまいんだよなーとん平焼き。って、ソースの味なら大阪出身だし、みくのが詳しいか?」

みく「どうだろ。わからないにゃ」

アナスタシア「あ、お刺身もありますね」

みく「……アーニャン? いや、頼んでもいいけどね。みくは食べないってだけで」

未央「ポテトサラダとかもあるんだ。おいしい?」

P「割りとなんでもうまいぞ、ここは。あー、ホタルイカの沖漬けとかもいいな……」

みく「そういうの頼んだらお酒欲しくなっちゃいそうだけど」

P「ぐ……わ、わかってるよ。こういう時はな、酒の代わりに白ご飯を食べるんだよ!」

アナスタシア「あんまり食べ過ぎちゃダメ、ですね? プロデューサー」

P「……気遣いありがとう、アーニャ」
578 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:57:16.50 ID:MQmdAlGl0
未央「餃子にハムエッグに野菜炒めに、焼きそばとかもあるんだ。お茶漬けに卵かけごはんにウィンナーに……おでんとか、筑前煮とかも? うーん……これだけあると、迷っちゃうなー」

みく「もう適当に頼んじゃう? もし余ったらPチャンが食べてくれそうにゃ」

P「そういう適当なのやめてくれ。……えーと、今のところ確定なのは、肉じゃがにとん平焼き、それから枝豆か」

みく「枝豆確定なんだ……」

アナスタシア「私、揚げ出し豆腐がほしいです」

P「お、それじゃあ揚げ出し豆腐も確定、っと。他は?」

未央「白ご飯……って、やっぱりいるかな?」

P「俺は欲しい。んー……白ご飯があるならそんなにいっぱい頼む必要もないか?」

みく「かもね。食べきれなかったら困るし……もしまだ何かいりそうだったら、あとで頼めばいいんじゃない?」

P「それもそうだな。じゃ、とりあえずこれで頼むか。いいか?」

アナスタシア「ダー」

みく「みくもいいよ」

未央「うん! ……あ、唐揚げやっぱりほしいかも」

P「了解。それじゃ頼むな。すみませーん!」
579 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:57:55.35 ID:MQmdAlGl0

――

P「まずは枝豆、だな」

未央「みんなで適当につまんでもいい?」

P「もちろん」

未央「それじゃ、いただきまーす。……ん、おいしい」

みく「粒がしっかりしてるね」

P「ここのはちょっとかためなんだよな。それで豆の味がしっかり感じられる。これがいいんだよなー」

アナスタシア「ん……おいしいですね。あと、ぽちぽち、楽しいです♪」

未央「枝豆って、こうやって食べるのがいいよねー。なんだか、ずっと手を動かしちゃう」

P「それも醍醐味だよなー。手が止まらなくて、いつの間にかなくなってる」
580 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:58:30.14 ID:MQmdAlGl0
みく「……Pチャン、ペースはやくない?」

P「それは謝る。でも、止まらないんだよ……クッ、静まれ、俺の右手……!」

アナスタシア「プロデューサー、どうかしましたか?」

P「……ふざけてただけだから、ちょっと本気目に心配されると困るな」

みく「アーニャンの前でやるからにゃ」

P「みくが冷たい……アーニャ、癒やしてくれ……」

アナスタシア「みく、プロデューサーをいじめちゃ、めっ、ですよ?」

みく「今のみくが悪いの!?」

未央「まあまあ、おふざけはそれくらいにして、そろそろ来そうですよ?」

みく「未央チャンに『おふざけはそれくらいにして』って言われるのは複雑だけど……そうみたいだね」
581 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:58:57.38 ID:MQmdAlGl0
P「ん……一気に来たな。どれから食べるか……」

未央「未央ちゃんは唐揚げから! んっ……熱々……でも、おいしい!」

みく「衣は結構薄めだね。噛んだだけでじゅわっと汁が溢れ出てくるにゃ」

アナスタシア「味もしっかり付いてますね? 味は濃いめ?」

P「だな。じゃあ俺は揚げ出し豆腐……あー、うまい。なんで揚げ出し豆腐ってうまいんだろうな……」

みく「みくはとん平焼きー。……うん、おいしいにゃ。たまごはとろとろで、ソースの味もしっかりしてて。みくはとん平焼きはソースが甘めなのが好みなんだよね」

未央「とん平焼きって、たまごと豚バラ肉……だったっけ? それにソースをかけたー、みたいな」

P「だな。って、関西には多いけど、こっちにはそこまで多くないか。未央とアーニャは初めてだったりしたか?」

未央「私は一応食べたことあるかな。アーニャは?」

アナスタシア「私は初めて、ですね。……んん、おいしいです!」
582 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 02:59:24.40 ID:MQmdAlGl0
P「こういうソースの味ってなんでこんなおいしいんだろうな。何と言うか、においだけで食欲が刺激される。あと、とん平焼きってすぐなくなるんだよなー」

みく「とん平焼きにも色々あるけど、具材としてはそこまで多くないからね。お好み焼きよりも『ファーストフード』って感じがあるにゃ」

P「いか焼きみたいなもんか?」

みく「そうかも」

アナスタシア「いか焼き、ですか?」

未央「屋台で売ってる感じの?」

P「あー、そうじゃなくてだな……なんて説明すればいいんだ。粉もんなんだが……」

みく「クレープみたいなのを想像すればいいかな。小麦粉の生地でイカの切り身を包んで、それにソースを塗るの。もちもちしてて、おいしいにゃ」

未央「ほうほう……大阪に行った時にでも食べたいですなー」

アナスタシア「おいしそう、ですね? アーニャ、もちもち、好きです」

P「じゃ、また大阪に行く時にでも食べに行くか。……んー、やっぱりうまいな、とん平焼き。白ご飯で食べるのもまた良い……」
583 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 03:00:09.32 ID:MQmdAlGl0
未央「それじゃ、そろそろ……今回の大本命、肉じゃがにとりかかりますかー!」

アナスタシア「ダー♪」

みく「牛肉、じゃがいも、玉ねぎ、しらたき、人参……みくの家でつくるのとだいたい同じかも」

P「まあ、そこまで変わらないんじゃないか? しらたきとか人参とかは家によりそうだし、あと、絹さやとかも入れるとこは入れるか」

未央「まあ、それはいいとして……早速、食べてみましょうか!」

P「だな」

アナスタシア「……ンー、フクースナ♪ おいしいです!」

みく「あ、結構じゃがいもがゴロゴロしてるね。お店のって、ほくほくしてるイメージだったかも」

未央「確かに。でも、ゴロゴロしてるけど、味がしっかりと染み込んでて……これ、おいしいね!」

アナスタシア「なんだか、お家の味、みたいですね?」

みく「ん、そう言えば、そんな感じかも。みくの家とは味付けがちょっと違うはずなんだけど……懐かしい味がする」
584 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 03:00:37.42 ID:MQmdAlGl0
P「そうだな。確かに、家でつくるような肉じゃがだ。それがまた良いんだよ……」

未央「おふくろの味、ってやつ? プロデューサーも女の子の得意料理が肉じゃがだったりしたら嬉しい派?」

P「まあ、よく言うよな。女の子の得意料理が肉じゃがだったら嬉しい、って。個人的には肉じゃがにこだわらなくてもいいな。料理が得意なのもべつに必要ってわけじゃない。もちろん、得意だったら嬉しいが」

未央「ほうほう……つまり、プロデューサーくんは未央ちゃんにメロメロ、ってわけだね!」

P「お前料理そこそこって自分で言ってなかったか?」

未央「ふっふっふ……未央ちゃんも修行しているのですよ。今の私の料理を食べたら、プロデューサーはきっと漫画みたいなリアクションをするね」

P「そこまでか。それは楽しみだな。いつか食べたいところだ」

未央「お、それじゃあまた食べる? プロデューサーは何食べたい?」

P「んー、その時の気分にもよるからな……どうするか」

未央「また考えておいてね。私、頑張るから」

P「ああ。期待してる」

未央「うん。期待していてくれたまえ? プロデューサーくんっ♪」

みく「なんで二人はみくたちの前でいちゃいちゃしてるの?」

アナスタシア「私たちもいちゃいちゃ、しますか?」

みく「なんでそうなるにゃ」
585 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/04/22(土) 03:01:07.96 ID:MQmdAlGl0
P「……さ! それじゃ、肉じゃがを食べ進めるか!」

未央「だね!」

みく「あ、流された。……まあ、いいけど」

アナスタシア「肉じゃがとごはん、合いますね?」

P「そうそう、肉じゃがの牛肉と玉ねぎを乗せて簡易牛丼、みたいにするのが良いんだよな」

未央「あ、それおいしそう。私もやろーっと」

みく「とん平焼き、最後の一切れだけどもらっていい?」

P「俺はいいぞ」

みく「ありがと。それじゃ、もらうね」

未央「私は唐揚げをまたもらおーっと。唐揚げとごはんも合うよね」

P「ごはんはなんにでも合うからな! 厚揚げ豆腐とごはんでもいける」
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