女神

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8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/11/23(月) 23:42:20.12 ID:2aggOrwDo

 どういうわけか、夕也が麻衣が作った俺の弁当への感想を述べると、有希が顔を赤くし
た。そして有希は夕也を軽く睨むように笑った。

「あんたは、好き嫌いが激しいくせに。一生学食のカツ丼でも食べてろ」

「いや、そう言うなって。まあ、そうなんだけどさ」

 やっぱりそうなのか。最近のこの面子での登校は辛すぎる。有希や夕也の恋愛を邪魔す
る権利は俺にはないけれども、それを見せつけられなければならない義務だってないはず
だった。それでも、俺の有希への感心を気取られることなくこいつらと登校しないように
する術なんて思いつかない。

「・・・・・・な、何よ」

「何でもねえよ」

 有希と夕也がお互いに見詰め合って顔を赤くしている。

「じゃあ、あたしもう自分の校舎に行くね」

「ああ」

 俺は麻衣が一年生の教室の方に向かっていくのを見送った。

「俺たちももう行こうぜ」

 有希から目を離した夕也がそう言った。

「そうね」

「いい時間になっちゃったな」

 あれ?

 俺はそのとき、校門から駆け込んでくる女子生徒に目を奪われた。すげえダッシュだな。
俺はそう思った。時間内に何とか校内に滑り込んだ女の子は、少しだけ速度を緩めて歩き
出した。それは、さっき見かけた同級生の二見 優だった。多分、俺たちより一本遅い電
車に乗ったのだろう。

 校内に入った彼女は、相変わらず周りにいるクラスメートと話しをしない。何で、結構
可愛いのにボッチなんだろう。朝のあいさつする相手もいないらしい。

 そのとき、有希が俺の背中を気安く叩いた。

「ほら、麻人。何ぼんやりしてるの。さっさと行くよ」

「ああ」

 俺は一人で孤高の女王みたいに、校門から校舎に歩いている二見から目を離して、クラ
スルームに向かって歩き始めた有希と夕也の後ろを追いかけた。
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