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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/12/23(水) 20:40:37.21 ID:Xae/YECko
「あのさ」
翌朝の登校中、有希と夕也と合流する前に俺は麻衣に言った。
「うん」
「俺少し早足で歩いていつもより一本早い電車に乗りたいんだけど」
「何で?」
「あいつらと顔あわせたくないから」
「・・・・・・お兄ちゃん?」
「ああ」
「お姉ちゃんのこと許してあげて。お姉ちゃんはただあたしのことを可哀想だと思ってお
兄ちゃんに注意してくれたんだから」
「全然濡れ衣なのにな。あいつのせいで昼飯も食い損なうところだったし」
「お姉ちゃんは昔からあたしを応援してくれてたから」
「うん?」
「多分、お姉ちゃんは自分の気持ちを抑えてあたしを応援しててくれたから」
「何言ってるのかわかんねえよ」
「お姉ちゃんもきっと辛いんだと思うよ。あたし、一度お姉ちゃんとよく話そっと」
「とにかく俺は先に行くぞ」
「うん。あたしはお姉ちゃんと一緒に行くから」
こいつのことだから俺と一緒に来るかと思ったのに、麻衣は有希と登校する方を選んだ
ようだ。
「じゃ、先に行くぞ」
「うん。お昼は屋上に来て」
「わかった。じゃあな」
「うん」
一人で自宅の最寄駅に着いた俺は、いつも有希たちと待合わせをしている電車より一本
早い電車に間に合ったことに少しほっとした。麻衣とは仲直りしたけれど、有希とは会い
たくない。まして、夕也と一緒にいる有希とは。その時、俺はホームのベンチに二見が座
っていることに気がついた。要はこいつは毎朝ベンチでスマホを眺めながら何本もの電車
麻衣や有希のことを考えればこれ以上関らない方がいいという気もするけれど、昨日昼
飯までご馳走になったのに素通りもないだろう。これは礼儀の問題だ。俺は自分にそう言
い聞かせた。
「よ、よう」
「あ」
二見が何かを隠した。スマホの画面なのかもしれない。
「おはよう、二見」
「池山君・・・・・・おはよう。君ってもう一本遅い電車じゃなかった?」
二見が座ったまま俺を見上げて微笑んだ。何度も考えたことだけど、やっぱりこいつは
可愛い。
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