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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/12/16(水) 00:27:05.77 ID:OtBfvlRMo
可愛いじゃんか。不覚にも俺はそう感じてしまった。
「・・・・・・お兄ちゃん?」
麻衣が不機嫌そうに横から口を挟んだ。
「うん?」
「スーパーの袋が重くて手が痛い」
「・・・・・・買い物の邪魔しちゃってごめんね。あたしもう行くね」
二見が言った。
「ああ、また明日教室でな」
「うん。さよなら」
帰り道、妹は妙に無口だった。いつもなら煩いくらいどうでもいい話をしてくるのに、
今日に限っては黙って俯いたままだ。
ああ! もう面倒くせえな。俺はそう思った。でも、差し伸べる手を差し出すのはきっ
と俺の方からじゃなくてはいけなのだろう。生活の大半を妹に頼っている俺としては。
「ほらそっちの袋もよこせ。持ってやるから」
「自分で持つからいい」
「いいから寄こせって。手が痛いんじゃなかったのかよ」
「いい・・・・・・。お兄ちゃんにうざいって思われるくらいなら手が千切れてもいいから自分
で持つ」
まただ。だいたい、おまえの持っているスーパーの袋はそんなに重くねえだろうが。
「いいから寄こせよ。おまえ華奢で力ねえんだから」
「やだ」
「だっておまえが手が痛いって言っただろ」
「よかったねお兄ちゃん」
「はあ?」
「前から気になっていた女の子と仲良くなれたんでしょ」
「おまえ何か誤解してるぞ」
「誤解なんかしてないいよ! お兄ちゃんがあたしを放っておいてあの先輩に鼻の下を伸
ばしてたんじゃない」
「・・・・・・おまえさ」
「何よ」
「前にも言ったけどさ。その見境のない嫉妬、何とかしろよ」
「だってお兄ちゃんが」
「あいつは単なる同級生。たまたまあいつが落とした財布を拾って届けてやっただけだろ
うが」
「・・・・・・だってあの先輩、お兄ちゃんに話しかけてもいいかなって」
「・・・・・・だから何だよ? 俺に話しかける女はみんな俺に気があるって言いたいのか?」
「だって」
全くこいつは。こういうときの最終手段がある。
「ほれ片手出せ」
妹が俺の顔を見上げて赤くなった。
「それともおまえの荷物もってやろうか? 両手塞がるからおまえの手を握ってやれない
けど」
「何言ってるの」
「どっちにする?」
「・・・・・・荷物は自分で持つ」
俺は妹の小さな手を握り締めた。妹も黙って握り返してきたので、多分これで俺たちは
仲直りできたのだろう。
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