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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/11/30(月) 00:21:06.22 ID:rzAsx3KDo
思ったとおり、麻衣は服や下着を買うつもりは全くないようで、俺たちはまっすぐ自宅
近くのスーパーマーケットに赴いた。
「お兄ちゃん、今日何食べたい?」
「・・・・・・何でも」
「何でもいいは禁止だって言ったでしょ」
「じゃあ肉じゃが」
「・・・・・・また?」
呆れたように麻衣が顔をしかめた。
「だって好きだし」
「一昨日も肉じゃがだったじゃん。いい加減に他の料理とか言えないの?」
「だったらおまえに任せるよ」
「だから何でもいいはだめだって」
「・・・・・・おまえさ」
俺は思わず口にしてしまった。
「何よ」
「毎日毎日俺と放課後買い物とかして過ごしてるけどさ」
「・・・・・・うん」
「友だちと遊びたいとか部活に出たいとか思わねえの」
妹は黙ってしまった。
「弁当とか食事とか俺の面倒だけ見てくれてるのは助かるけど。それに、確かにうちは両
親が仕事で夜遅くならないと帰ってこねえしさ」
「・・・・・・うん」
「俺っておまえに頼りきってる部分があるのは自分でもわかってるけどさ。俺だっておま
えに普通の女子高生の生活をさせてやりたいって思うわけだよ」
これは嘘ではない。同世代の女の子たちと比べて、うちの妹の生活は不憫すぎる。うち
の両親は二人とも多忙だった。以前は、今ほどではなかったのだけど、父さんと母さんが
企業内で出世し役付きになった。我が家の収入はえらく増えたのだけど、それと正確に反
比例して、二人が家にいる時間は減ったのだ。かわって家事を引き受けたのが麻衣だった。
正直に言うと麻衣はすごいと思う。中学生ながらに家事をしながら、進学校の俺の高校
に合格した。そして、高校のクラスでも上位の成績をキープしながら引き続き、俺と家の
面倒を見ているのだ。高校一年生の女の子なんだ。もっと友だちと遊んだり、彼氏を作っ
たりする時期なんじゃないのか。生活面で麻衣に頼りきりの俺が言うのは説得力はないか
もしれないけど。
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