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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/11/23(月) 23:29:05.15 ID:2aggOrwDo
女神
前に落としてしまったSSを再開します。最初から書き直しになるのと、地の文と小説形
式で書き直しますので、苦手な方は回避してください。あと速報での見やすさを考慮して、
80行で改行しています。環境によっては見づらいかもしれませんけど、ご了承いただけ
ると幸いです
更新は遅いと思いますし、完結までには一年くらいかかりそうです。あらかじめご承知
ください
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1448288944
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/23(月) 23:30:32.20 ID:2aggOrwDo
「お兄ちゃん」
「何だよ」
「またあの先輩だ。ほらいつも駅のベンチに座り込んで電車が来ても乗らないでスマホで
何かやってる女の人」
「おまえさ、そうやって人のことばっか噂する癖やめたら?」
「だっておかしくない? 駅で電車に乗らないでベンチに座ったままとか。それも毎朝だ
よ」
あいつは、同じクラスの女の子だ。確か、名前は、二見だったか。そう、二見 優とい
う名前だった。そもそも、クラスの女にはろくに知り合いはいないのだけど、彼女の名前
だけはどういうわけか覚えていた。何だか、知り合いとつるまないあの子の姿勢に、少し
だけ感心したことがあるからかもしれない。
「ああ、あいつ同じクラスの二見ってやつだよ」
「お兄ちゃんあの人知ってるの?」
「だから同級生だけど、話したことは無いかな。つうかあいつ、あまり友だちいないみた
いだし」
「電車に乗らないでスマホ弄ってるけど遅刻しないのかな」
「ああ。いつもぎりぎりだけど遅刻はしてねえよ」
それまで穏かに、かつそれほどの興味がないみたいに二見の話をしていた妹の顔が真剣
になった。
「ふーん」
「・・・・・・麻衣?」
「お兄ちゃん」
「何だよ」
「話したことないっていうわりにはあの人のことよく観察してるんだ」
麻衣のこの手の話し方は別に今に始まったわけじゃない。俺にはその対処法がわかって
いたのだけど。
「もしかしてあの人に気があるの?」
麻衣が俺を見つめてそう言った。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/11/23(月) 23:31:35.75 ID:2aggOrwDo
俺は思わず妹を見つめた。何も言いわけをせずに。そうすると麻衣の表情が少しだけ
ひるんで、妹は次の言葉を口ごもって、はっきりとしない返答を口にした。
「な、何よ」
「おまえさ」
「うん」
「その見境のない俺への嫉妬、いい加減何とかしないとやばいんじゃねえの」
俺はもう何回言ったかわからない言葉を口にした。妹に好かれるのは素直に嬉しいけど、
いつまでもそんな関係では俺にも麻衣にも幸福は訪れないだろう。
「な・・・・・・! お兄ちゃんへの嫉妬とか自意識感情なんじゃないの? だいたいあたしは
お兄ちゃんのことに関心なんてないし」
「それならとりあえず、おまえがしっかりと握っている俺の手を離してもらおうか」
「な、何言ってるのよ。あたしが手を離すとお兄ちゃんがすぐにすねるから仕方なく」
「はい?」
妹は俯いて黙ってしまった。もうこうなったらしかたない。
「ああ面倒くせえな。じゃあもうそれでいいよ」
あいかわらず妹は沈黙を守っている。
「どうした?」
「・・・・・・お兄ちゃんの意地悪」
ああ。ついに麻衣を泣かせてしまった。これじゃいかん。
「ああ、もう泣くなって。悪かったよ」
ああ、もう全くこいつは。でもしかたないのかもしれない。妹をそういう依存体質にし
てしまったのは、両親と俺のせいかもしれないのだ。俺は心の中で密かにため息をついた。
「本当に悪かったよ。俺おまえがそばにいてくれないと何にもできねえのにな」
「・・・・・・本当?」
妹が上目遣いに俺の方を見た。
「ああ本当だ。おまえがいつも一緒にいてくれて俺本当に助かってるんだぜ」
「・・・・・・うん。それなら許してあげる」
電車がホームに入ってきた。この電車に乗らないとやばい。
「・・・・・・ほら、電車来たぞ」
「うん! さっさと乗るよお兄ちゃん」
「こら。そんなに手を引っ張るなよ、痛てえじゃんか」
「早くしないと乗り遅れるってば」
「わかったから手を引っ張るなって。痛てえよ」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/23(月) 23:31:44.78 ID:jehBbCKAO
書き直すのかよ
まぁ、がんがれ
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/11/23(月) 23:33:32.92 ID:2aggOrwDo
次の停車駅で、俺は幼馴染の少女を見つけた。
有希。俺の幼馴染であり俺の初恋の相手。
「お姉ちゃんだ。今日も夕さんと一緒だね」
「・・・・・・まあ、あいつら同じ駅だし家も隣だしな」
「そんだけの理由かなあ? 毎朝いつも一緒じゃんお姉ちゃんと夕さん」
「ああ、そうだな」
それ以外には何も言いようがなかったから、俺はとりあえずそう言った。
「まあ、でもお似合いだよね。お姉ちゃん綺麗だし夕さんもイケメンだし」
「・・・・・・うん。まあね」
「お姉ちゃん、うちの隣から引っ越して正解だったね。お隣さんがお兄ちゃんからイケメ
ンの夕さんにグレードアップしたことだし」
それがどういう意味か、麻衣に確かめるまでの時間は与えられなかった。開いたドアか
ら、有希と夕也が乗り込んできたのだ。
「あ、お姉ちゃーん!」
「おはよう麻衣ちゃん」
「ようお二人さん」
夕也も俺たちにあいさつした。普段どおりのさわやかな感じで。
「おはようございます」
「・・・・・・おはよ」
俺も二人に向かってあいさつした。ぼそっとした声だと思われたかもしれないけど。
「麻人どうしたの? 朝から元気ないじゃん」
有希が半分からかっているような表情で俺に話しかけた。
「おまえ、俺の貸したあれにはまって寝不足なんじゃねえだろうな」
夕也がからかい気味に言った。よりにもよって有希が聞いているのに。
「・・・・・・バカよせ。妹が聞いてるんだぞ」
「何々? 何の話」
有希が口を挟んだ。
「何でもねえよ。男同士の話だ」
「何か感じ悪い」
有希の言葉に続けて麻衣も口を開いた。
「ほんと。男って嫌だよね、お姉ちゃん」
「うんうん。本当に信じられるのはあんただけよ。麻衣ちゃん愛してる」
「わ! お兄ちゃんの前ではやめてください・・・・・・じゃなくて。混んだ電車の中ではやめ
て」
突然、有希に抱き寄せられた麻衣が狼狽して抗議した。
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/11/23(月) 23:35:39.28 ID:2aggOrwDo
「お兄ちゃんの前ではだって。ふふ。麻衣ちゃんってほんとブラコン」
「・・・・・・違います」
「え? おまえと麻衣ちゃんってもしかしてそういういけない関係なの?」
夕也が何か嬉しそうな声で割り込んだ。
「・・・・・・おまえは死ね」
「片手でしっかりと麻衣ちゃんの手を握ったまま反論されてもなあ」
「説得力ゼロだよな。って、痛いって。よせ麻人。もう言わねえからグーで殴るのはよ
せ」
「俺じゃなくてこいつが手を握りたがるからだな」
「・・・・・・な!? 何であたしがお兄ちゃんなんかの手を握りたがるのよ、バカ。手を握っ
てあげないとお兄ちゃんが寂しがるからあたしは仕方なく」
「はいはい。ごちそうさま」
「そうじゃねえって」
俺は有希を睨みつけたけど、いつもと一緒で全く睨んだ効果はないようだった。
「よくもまあ毎朝飽きずに痴話喧嘩できるな、おまえら」
「確かに喧嘩だけど、痴話だけよけいです!」
麻衣よ。おまえはいったい何がしたいんだよ。俺は妹を眺めてそう考えた。ただ、うざ
いからといって妹が、麻衣が可愛いことにはならないからたちが悪い。そう、俺は多分シ
スコンなのだ。
有希の笑いが、同じ学校の学生で満員状態の電車内に容赦なく響いた。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/11/23(月) 23:38:27.47 ID:2aggOrwDo
校舎の入口まで来て、有希は少し真面目な表情になった。
「じゃあ、麻衣ちゃんまたね」
「はい・・・・・・。でも、何で学年によって校舎分けてるんでしょうね」
「さあ。一学年のクラス数が多いからじゃない? うちの学校って」
「校舎が一緒なら教室の入り口まであたしも一緒に行けるのに」
「家で毎日お兄ちゃんといちゃいちゃしてるのに校内でも一緒にいたいの?」
だからふざけんな有希。俺たち兄妹をどこまでネタにする気だよ。でも、その怒りの感
情を深く掘り下げていくと、俺のいらいらはただ兄妹の関係をからかわれているからだけ
ではないことに気がつく。
そうだ。俺は、俺に対して無関心な有希に対して焦っているのだ。同時に、有希がとき
おり照れて笑いかけるイケメンの友人、夕也のことを俺は気にしているのだ。
「・・・・・・だから違いますって」
「麻衣ちゃん顔真っ赤だよ。かあいいなあ」
「確かに可愛いけどあんたは黙れ」
突然、真面目な表情で有希が言った。
「何でだよ」
有希がいきなり怒り出したことに夕也は少し驚いたようだった。
「もう行こうぜ。遅刻しちゃうよ」
これ以上、有希と夕也のことを正視できなくなった俺はそう言った。
「あ、お兄ちゃんこれ」
麻衣が突然真面目な表情になって俺にお弁当の袋を差し出した。
「お、おう」
「今日も麻衣ちゃんの手作りのお弁当?」
夕也との心理戦を一時停止した有希がからかうように笑った。
「いいなあ、おまえ」
夕也もイケメンらしくさわやかに笑ってそう言った。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/11/23(月) 23:42:20.12 ID:2aggOrwDo
どういうわけか、夕也が麻衣が作った俺の弁当への感想を述べると、有希が顔を赤くし
た。そして有希は夕也を軽く睨むように笑った。
「あんたは、好き嫌いが激しいくせに。一生学食のカツ丼でも食べてろ」
「いや、そう言うなって。まあ、そうなんだけどさ」
やっぱりそうなのか。最近のこの面子での登校は辛すぎる。有希や夕也の恋愛を邪魔す
る権利は俺にはないけれども、それを見せつけられなければならない義務だってないはず
だった。それでも、俺の有希への感心を気取られることなくこいつらと登校しないように
する術なんて思いつかない。
「・・・・・・な、何よ」
「何でもねえよ」
有希と夕也がお互いに見詰め合って顔を赤くしている。
「じゃあ、あたしもう自分の校舎に行くね」
「ああ」
俺は麻衣が一年生の教室の方に向かっていくのを見送った。
「俺たちももう行こうぜ」
有希から目を離した夕也がそう言った。
「そうね」
「いい時間になっちゃったな」
あれ?
俺はそのとき、校門から駆け込んでくる女子生徒に目を奪われた。すげえダッシュだな。
俺はそう思った。時間内に何とか校内に滑り込んだ女の子は、少しだけ速度を緩めて歩き
出した。それは、さっき見かけた同級生の二見 優だった。多分、俺たちより一本遅い電
車に乗ったのだろう。
校内に入った彼女は、相変わらず周りにいるクラスメートと話しをしない。何で、結構
可愛いのにボッチなんだろう。朝のあいさつする相手もいないらしい。
そのとき、有希が俺の背中を気安く叩いた。
「ほら、麻人。何ぼんやりしてるの。さっさと行くよ」
「ああ」
俺は一人で孤高の女王みたいに、校門から校舎に歩いている二見から目を離して、クラ
スルームに向かって歩き始めた有希と夕也の後ろを追いかけた。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/11/23(月) 23:42:55.96 ID:2aggOrwDo
今日はここまで
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