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末妹「赤いバラの花が一輪ほしいわ、お父さん」(最終章と後日譚)
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537 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/09/19(火) 00:17:05.35 ID:zRzorvHC0
(野獣「師匠?」)
(師匠「儂の推測に、ひとつ抜けていた要素があった……末妹嬢自身の力、か」)
(師匠「……君は魔法を習った経験は?」)
(末妹「あ、ありません」)
(師匠「だろうな、百も承知で尋ねたが」)
(師匠「……呪文、または呪文を込めた魔法具がなければ魔法は発動しないのはもちろんだが」)
(師匠「術者本人にそれを習得した自信、自分の力として使えるという自信がなくては成功しないのだ」)
(師匠「もしかしたら、野獣の欠片が末妹嬢にたったひとつの魔法の力を与えたのかもしれん」)
(末妹「!」)
(師匠「今回のように条件が揃って、そこに次兄少年という支えがいなければ発動しなかった力、そして」)
(師匠「末妹嬢の強い意志があったから無事に菫花達の元へ辿り着けた」)
(師匠「……と、いまだに推測の域だが、末妹嬢が終始受け身で巻きこまれただけ、と考えるより腑に落ちる」)
(次兄「へえ……末妹も、これが自分のたったひとつの魔法かもしれない、って言ってたな?」)
(末妹「うん、そんな気がしただけ、だけれど……あの時はそう思ったわ」)
(師匠「ふむ、では儂の説に自信を持っていいわけだ」)
(野獣「……末妹、お前は本当にすごい娘だな」)
(末妹「え、いいえ、そんな」)
(末妹「私の持つ力だとしても、何もかもが、私ひとりの物ではありません」)
(野獣「それでも、末妹であればこそ、この魔法になったと思うぞ?」)
(野獣「お前の……私や菫花を、師匠を、執事やメイド達を想う心が、私の欠片をそのように作り変えた」)
(野獣「私はそう信じている」)
(末妹「野獣様……」)
(次兄「ふむぅ」)
(次兄「ということは、欠片をもらったのがこの俺だったら……?」)
538 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/09/19(火) 00:21:42.80 ID:zRzorvHC0
(野獣「……私の口からは言えないような魔法ができあがったかもな」)
(次兄「試してみる価値は!?」ズイッ)
(野獣「無いから」グイ)
(次兄「お約束」グエ) )
(師匠「……む?」)
(王子「師匠、どうしました?」)
(師匠「墓所の周囲の人々が、そろそろ『場の不自然さ』に気がつき始めた」)
(王子「『見て』いないのにわかるんですか?」)
(師匠「説明は省くが儂の張った結界の仕様だ」)
(師匠「それ以上に心配な事が……野獣よ、仮想の窓を開いて見てくれんか?」)
(野獣「は、はい」シュパ)
(師匠「今回の状況ならば……そいつを兄妹にかざしてみてくれ」)
(野獣「は、はい?」スッ)
(野獣「!? 師匠、どういうことでしょう、これは……商人の家の様子が見えますよ!?」)
(師匠「やはりか、お前の屋敷と取り巻く森を除けば」)
(師匠「兄妹と儂と菫花が同じ場所にいる限り、その近辺しかお前の仮想の鏡では見えないが」)
(師匠「兄妹と、儂と菫花、それぞれの肉体が離れた場所にいるこの状況……ここでも例外が起きても不思議ではない」)
(師匠「で、どうなっておる? 今現在この子達の肉体は」)
(野獣「あ……末妹の部屋で……家族が集まっています、二人の体を取り囲むように」)
(末妹「ええっ!?」)
(次兄「やべえっ!?」)
539 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/09/19(火) 00:22:37.94 ID:zRzorvHC0
※長らく音沙汰なしで本当に申し訳ありませんでした、再開です。最後まで終わらせますよ※
540 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/19(火) 01:23:43.20 ID:YtMK3svvO
乙
末妹と次兄、二人はプリキュ…おっとこれ以上はいけねぇ
541 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/10/17(火) 21:27:22.73 ID:HlOlDZ0F0
※すっかり月刊になってしまった…続きはもう少しお待ちください※
542 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/18(水) 18:30:36.33 ID:XOwdRcFPO
月1でも続いてくれるならありがたや
最後まで応援してる
543 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/10/23(月) 22:46:29.38 ID:ocWOCJlZ0
…………
商人の家、末妹の部屋……
商人「ああああ、どうしたんだいったいこの子達は、お医者の先生を呼ぼうか……」アタフタ
長姉「呼びかけても揺さぶってもさっぱり反応無しなんて……」
次姉「でも具合が悪そうな様子はないみたい、二人とも静かに眠っているだけに見えるわ」
長兄「とにかく、机に突っ伏したまま(末妹)、床に転がしたまま(次兄)にもしておけない」
長兄「ベッドに運ぼう、俺は次兄を」ウンショ
次姉「じゃあ私は末妹を」ヨイショ
長姉「次兄も末妹のベッドに寝かせるの?」
長兄「ベッドの大きさは十分余裕あるし、同じ場所にいれば目も届き易いじゃないか」
長兄「それに……『二人同時に』というのは意味があると思う、たぶん」
長兄「俺達の、いや、俺の常識では認めがたい現象が、今回も二人に起きている最中ではないかと……」
次姉「兄さんも頭が柔軟になったのね、私もそんな気がしていたの」
商人「ほ、本当に病気ではないのだろうか?」オロオロ
次姉「病気だとこんな短時間のうちに、家の中で二人同時は不自然でしょう?」
次姉「だいいち呼吸も規則正しいし、顔色もいつも通り」
次姉「それに次兄だけならともかく、末妹も一緒だったら何か悪いもの……毒キノコとか? 口にするのもあり得ないし」
長姉「なるほど、次兄だけなら何かの自業自得の可能性もあるけど、末妹も一緒だものね」
商人「……」ウーム
商人「……よし、お前達の言うとおり、暫くはこのまま見守ろう。もしも容態に変化があればすぐ先生を呼ぶことにして」
次姉「そろそろ夕食の準備に家政婦さんが来る頃ね、彼女にも説明しなくちゃ」
…………
544 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/10/23(月) 22:48:00.21 ID:ocWOCJlZ0
(師匠「……どうだ? 仮想の窓を儂の術で大きく拡げたら、この場の皆にもよく見えるだろう?」)
(王子「会話もはっきり聞こえますよ」)
(次兄「姉さん達……」)
(次兄「俺には一人にしておくと己の行動から自滅する機能が搭載されているとでも?」)
(野獣「改めて、日頃の言動とは重要だと思う」)
(末妹「お父さん、すごく心配している……」)
(野獣「うむ、これは一刻も早く戻らないと」)
(王子「そうだね、早くご家族を安心させて」)
(野獣(ちょっと残念だが……))
(王子(ちょっぴり残念だけど……))
(末妹「せっかく思いがけずお会いできたのに、少し残念ですけれど……」)
(末妹「野獣様、菫花さん、そして師匠様」)
(末妹「必ずまたお屋敷に兄妹(ふたり)で伺います、それまでお元気で」)
(末妹「お屋敷の皆さんにもよろしく」)
(野獣「あ、ああ、何より家の皆を安心させてやるがいい」)
(王子「う、うん、早くお家に戻ってあげて」)
(次兄「俺は少しと言わずひっじょおおおおおおおに残念ですが野獣様!!」)
(次兄「執事さんに次兄は変わりないから案ずるなとお伝えくださいませ!」)
(野獣「少しは変われ」)
(師匠「それでは……二人ともそろそろ魔法陣に入りたまえ」)
(末妹「はい、師匠様、よろしくお願いします……」)
(次兄「おっさんの魔法なら絶対ですわ」)
545 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/10/23(月) 22:48:57.47 ID:ocWOCJlZ0
(師匠「目を閉じて、気を鎮めて……と言っても、儂の魔法ならば君達がそんなに集中していなくても問題ないからな」)
(師匠「目を閉じたまま口も聞かずにおれば充分だ」)
(野獣(つられて目を閉じてしまうな私も……))
(王子(僕もつい目を閉じちゃった、でも場を静かにしておくのに越したことはないからね))
(師匠「……では詠唱を始める」ブツブツ……)
(末妹「……」)
(次兄「……」)
(王子「……」)
(野獣「………………?」)
(野獣(……師匠にしては、時間がかかり過ぎている?))
(師匠「……? おかしい、二人とも、一度目を開けていいぞ?」)
(次兄「へ?」)
(末妹「まだ……夢の世界?」)
(メイド「……え?」)
(料理長「こ、ここは……?」)
(庭師「あれ?? 僕どうしたんだろ??」)
(執事「ご、ご主人様!?」)
(野獣「お、お前達!?」)
(次兄「しししししちゅじしゃんんんんんん!?」)
(執事「」)
(末妹「メイドちゃん!?」)
(メイド「末妹さまっ!?」ピョーン)
546 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/10/23(月) 22:50:19.33 ID:ocWOCJlZ0
(メイド「お会いしたかったんですよおおぉ!!」ポフッ)
(末妹「私も……でも、どうして皆、ここにいるの?」ナデナデ)
(王子「目を開けたら、魔法陣の中に執事さん達が……?」)
(野獣「そうだな、まず……お前達は直前まで何をしていたのだ?」)
(師匠「執事、次兄は儂が魔法で捕縛しておくから安心して説明してくれ」)
(次兄(沈黙魔法もかかってますぅ)ジタバタ)
(執事「……助かります師匠様」フー)
(執事「ええと……我々使用人は、師匠様と菫花様がお帰りになる準備が一段落したので」)
(執事「皆で短時間の休憩を取り、それからまた仕事にかかろうと考えて」)
(メイド「ぱっと眠ってぱっと起きるの得意ですから、私達」)
(庭師「僕らだけでお留守番している間は四匹一緒に仕事することが多いですしね」)
(メイド「厨房のかまどや灯りの火に危険がないことを確認して、料理長さんと庭師君と私が横になって」)
(料理長「執事さんは、わしらが休むのを見届けてくれましたよ」)
(執事「そう、そしてわたくしも目を閉じ、次に目を開いたら、周囲に使用人たち皆と、ご主人様方が……」)
(師匠「ふむ……誘発となったのは、全員が仮眠に入った頃に、こちらで移動の魔法陣が発動した……そんなところか」)
(師匠「彼らの場合、おそらくは自分達の意志ではなく、この場に引っ張られたのだろう」)
(末妹「私達を家に帰すための師匠様の魔法が、お屋敷の皆さんを呼び出してしまったのですね」)
(料理長「とりあえずこの場所のこの感じは……ご主人様の夢の世界、ということで?」)
(野獣「うーん、厳密に言うと正解でもあり違ってもいるが……説明している余裕はなくてな」)
(王子「次兄君と末妹さんのお家では、二人の体が突然に眠ってしまって大変なことになっているのですよ」)
(庭師「えー、じゃあなんかよくわかりませんが、お会いできたと思ったらお別れぇ?」)
547 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/10/23(月) 22:51:07.83 ID:ocWOCJlZ0
(メイド「むー、寂しいけど、仕方ないですぅ……」スリスリ)
(末妹「私も残念、でもまた鏡でお話ししようね?」モフモフ)
(次兄(相変わらず羨ましくも眩しい末妹とメイドさんの触れ合い……)シクシク)
(執事「……」チラ)
(執事「……忘れ物をひとつ、思い出しました」スタスタ)
(次兄(!? 執事さんから俺に接近してきた!?))
(執事「貴方様が身動きもお話もできないのならば好都合です、手短に済ませましょう」コホン)
(執事「いつぞやは、お土産の絵、主人や皆だけではなくわたくしの姿絵までも、ありがとうございました」)
(次兄(!?))
(執事「正しくお礼を述べるべき機会を逃してしまいましたからね、たいへん失礼いたしました」)
(次兄(執事さんが俺に、俺だけに向かって謝意と謝罪だとおおおおおお!?)カタカタフルフル)
(執事「……ついでに。あの絵は皆それぞれ自分の部屋に飾っていますよ」)
(執事「わたくしも含めて」)
(次兄(ふしゅうううううう……)ショウテン)
(王子「な、なんか次兄君がいつもより全体的に白っぽく……?」)
(野獣「……魔力と精神力の影響が強い空間のせいで、そう見えるのだろうな」)
(執事「さあメイド、お二人がお帰りになる邪魔をしてはいけない、末妹様から離れて魔法陣から出るのだ」)
(メイド「……はーい……末妹様、ごきげんようです」ポテッ)
(末妹「ええ、お互い元気でまた会おうね……」)
(野獣「……とは言うものの」)
(野獣「魔法陣で確実に帰れるかどうか、わからなくなって来ましたね師匠」)
(師匠「ええい儂もわかっとる、今あれこれ考えている所だ」)
548 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/10/23(月) 22:51:39.05 ID:ocWOCJlZ0
※お久しぶりでした。とりあえずここまで※
>>538
師匠のセリフ ×仮想の鏡 → ○仮想の窓
※他にも色々間違えているかもしれませんが脳内保管お願いします……※
549 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/10/23(月) 22:56:33.26 ID:ocWOCJlZ0
あ、脳内補完だった……保管してどうする_| ̄|○
550 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/24(火) 00:42:08.49 ID:zoxYrA0vO
乙
末妹ちゃんに飛びつくメイドちゃんとかいう癒ししかない光景
551 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/11/23(木) 23:31:41.87 ID:nOV0m+Kl0
※次の土日に更新予定です※
552 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/11/26(日) 23:54:36.30 ID:GY9UkbxK0
商人の家、末妹の部屋。
家政婦「……状況は理解致しました」
次姉「今までのことを考えると、さほど心配はいらないと思うけど……家政婦さんはどう思う?」
家政婦「私も、お二人とも自然にお目覚めになると思います」
家政婦「ただ、それがいつになるのか予想できないのは不安ですわ」
商人「だよねえ……このまま明日も明後日も眠り続けてはお腹も空いてしまう、可哀相に」オロオロ
長姉「寝言でもいいから『いつ戻る』って教えてくれないものかしら?」
長兄「う〜ん、耳元で呼びかけたら通じないかな……?」
次姉「兄さんがそんな発想をするなんて」
長兄「意識のない病人に耳元で呼びかけたら、その言葉だけは目覚めてからも覚えていたって話は何度か聞いた」
長兄「根拠はあるんだよ」
…………
(野獣「仮想の窓、皆見えるな?」
(次兄「やっぱり心配してる、当たり前だけど」)
(メイド「家政婦さん……」)
(師匠「儂だって今すぐにでも安心させてやりたいのだぞ」)
(王子「こちらの状況を伝えることはできませんからね……」)
(末妹「……仮想の窓……」)
553 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/11/26(日) 23:55:47.87 ID:GY9UkbxK0
(末妹「……この場所ではいつもと違うことが起きているのなら……もしかしたら?」)
(次兄「末妹?」)
(末妹「野獣様、師匠様、『仮想の窓』はお屋敷の銀板鏡のような魔法なのですよね?」)
(師匠「うむ、まあ……原理は変わらんのだが、物質としての鏡の存在と、物質のない世界との違いだけで」)
(末妹「私の部屋の鏡台に今の私達の様子を映し出すことはできませんか?」)
(野獣「え?」)
(師匠「なんと……」)
(師匠「……ふむ……なるほどなるほど……そうだな、試す価値はありそうだ」)
(師匠「家の者達はあの鏡台が何の目的で君の部屋にあるか知っているのだろう?」)
(師匠「それに家の者達は君の部屋にいる、きっと気付くはず」)
(王子「あれ……でも……」)
(末妹「……ただ」)
(師匠「ん?」)
(末妹「鏡台の覆いを開かなくてはなりませんが……」)
(師匠「……なんと」)
(次兄「ああ、末妹は几帳面だから、使い終わる度に鏡台の覆いを閉じているんだよなあ……」)
(執事「まあ普通はそうですよね」)
(メイド「次兄様ならいちいちそんなことなさいませんのに、ねえ」ハァ)
554 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/11/26(日) 23:56:37.15 ID:GY9UkbxK0
※短いけどここまで。次回は月間になる前に更新の予定です……※
555 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/27(月) 01:46:46.23 ID:7OGbHXbFO
おつー
556 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/29(水) 14:32:56.63 ID:vg/8mlyTO
ちゃんとしてる末妹ちゃんw
557 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/03(日) 23:33:09.03 ID:OvVARnDu0
またもや商人の家、末妹の部屋。
家政婦「……お二人ともただ眠っておられるのではない、と、皆さんもそう思っていらっしゃるのですよね?」
次姉「え、ええ、私は、この子たちの意識は別の場所にあると思っているわ」
次姉「夢の中で『実際に』野獣のお屋敷のお友達に会って来た、って話しているもの」
長姉「そうだとしても、今ごろ何をしているやらまるで知りようがないけれど、ねえ」
家政婦「……」
家政婦「お二人が旦那様のお許しを得て、野獣様のお屋敷に向かおうとした時に、移動の魔法が働かず」
家政婦「その理由もお屋敷で何が起きているかもわからず、不安や焦りが募る中……」
家政婦「メイドさんが現れて、野獣様達のお心やご様子を伝えてくださったおかげで」
家政婦「お二人は決意も新たに、ご家族の皆さんの支えを得て、旅立つことができました」
家政婦「また同じようにどなたかがこの場所に現れて有益な伝言をくださるとは……さすがに考えにくいですが」
家政婦「今回のことにもお屋敷の方々が関わっておられるとすれば」
家政婦「今は……まるで知りようがない、とも言い切れないのではないのでしょうか?」
次姉「……!!」
次姉「そうよ、鏡! 末妹が貰って来た鏡があるじゃない!!」
次姉「今頃あの子達も私達が心配しているのを知っているかも」
商人「なるほど、私達に伝えたいことがあってもできなくて、向こうでもやきもきしているのかもしれない」
長兄「確か、木枠の小さな鏡台だったはず……ああ、これだ」ヒョイ
長姉「落とさないでね兄さん!!」
長兄「大丈夫、ほら、次姉に渡すよ」
次姉「覆いを開けば使える、って言ってたわね……」
…………
558 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/03(日) 23:35:34.70 ID:OvVARnDu0
(メイド「さすがは家政婦さんですー!!」)
(野獣「よく気付いてくれた……」)
(王子「師匠師匠、早く末妹さん達の様子を魔法で!!」)
(師匠「お前に言われんでもわかっておるわ!!」)
(次兄「えーとえーと、まずは心配しないでって、あとはどう帰ったらいいかわからない、って話をしたらいいかな?」)
(庭師「後半はむしろ心配かけてしまうかと」)
(料理長「説明は必要……とはいえ、話しかた、ですよね」)
(執事「次兄様は口を開かないほうが宜しいでしょうな」)
(末妹……話しかた……か」)
(師匠「よし、仮想の窓と鏡台が繋がったようだ……どうやら成功したぞ」)
(師匠「引き続き、君達を家に帰す方法も考えねば」)
(次兄「あ、家の皆が『こっち』を見ている」)
(野獣「次兄は黙ろうな?」)
(末妹「お父……さん……?」)
商人「ああ、末妹と次兄だ!! 見えるかい、父さんだよ!!」
長兄「よかった、とにかく無事なんだな!!」
(末妹「ええ、私達は無事です……心配かけてごめんなさい」)
次姉「いいのよ、事前に私達に告げて行く手段や時間があれば、そうしたはずでしょ?」
次姉「できない理由があったのよね、それはいいから……」
長姉「ねえ、いつ戻って来るの?」
(末妹「……」)
(野獣「ううむ……」)
559 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/12/03(日) 23:37:12.17 ID:OvVARnDu0
※ここまで。できれば次回も週間で更新したい…※
560 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 00:18:05.01 ID:HBq4h1XNO
乙
さすかせ
561 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/12/10(日) 23:35:52.37 ID:RI3P8AKl0
※今夜は更新なし、すみません。今週中に更新予定…※
562 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/16(土) 23:54:41.46 ID:MSWwKejq0
次姉「ちょ、姉さん割り込まないでくれる?」
長姉「でも一番重要な点でしょ?」
商人「……わ、私も心配だよ、お前たちの身体はこのままで大丈夫なのかい?」
(師匠「商人殿……出しゃばって申し訳ありませんが」ズイ)
商人「師匠様!? 貴方もご一緒でしたか……それは心強い」ホッ
(師匠「……むむ」タラリ)
(師匠「……とりあえずは、安心なさい。お子達の肉体は安らかに眠っているだけ」)
(師匠「必ず戻るので……もう少し、お待ちを」)
商人「ええ、どうかお願いします、師匠様……」
(師匠「……うむ」ヒヤアセ)
(メイド「家政婦さん! 鏡台に気付いてくださって、ありがとうございます!!」ピョン)
家政婦「まあ、メイドさん!」ホワワ
長兄(あ、家政婦さんの頬が緩んだ)
(執事「こらメイド、割り込むんじゃない!!」)
長兄「でっかい狼!?」ビクッ
次姉「兄さん、きっと『執事さん』よ……大きくて銀色の毛並みって言ってたもの」
長姉「後ろにアナグマと猫もいるわ、職業は料理長と庭師……だったかしら?」
(庭師「僕は山猫ですよ……」)
(料理長「さあメイドちゃん、嬉しいのはわかるが邪魔にならない場所に戻ろう、ほら」)
(野獣「料理長の言うとおりだ、お前達は少し離れて見守っていてくれ」)
商人「その声は、野獣」
563 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/17(日) 07:13:04.21 ID:12bE9gFnO
寝落ちかな?
おつー
564 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/18(月) 01:18:24.04 ID:I2n+L5dv0
(野獣「あ、ああ……私も仮想の窓に入らない位置に敢えて立っていたが……」)
商人「……少しでいいんだ、姿を見せてくれないか……?」
(野獣「…………では、顔だけ」ニュ)
商人「嬉しいよ、確かに今の状況は何かの変事なのかもしれないが、その中で君とまた出会えるなんて」
(末妹「お父さん……」)
(野獣「久しぶりだ、商人……貴さm……貴殿には感謝してもし切れない……それと……」)
次姉(これが、野獣の顔……話には聞いていたけど、あの菫花さんとはやはり似ても似つかない)
長姉(あら、確かに元王子様の面影は全くないけど、思っていたほど怖い顔じゃないかも)
長兄(……しっかりしろ俺、これは現実、現実現実……)
家政婦(優しい目をされています、末妹様やメイドさんの仰る通りですね)
(野獣「……末妹と次兄の兄と姉達……そして家政婦か、初対面になるのだな」)
(野獣「ゆっくり話をしている余裕もないのは残念だが,君達にも私はたくさん感謝している」)
(野獣「自分の口で使えることができてよかったよ」)
次姉「野獣……」
(次兄「あっ次姉ねえさん微笑んでる!? 野獣様の魅力に目覚めてくれるのは嬉しいが、惚れちゃ駄目だからねっ!?」ズズイッ)
(野獣「」)
次姉「はぁ!? あんた何言ってるのバカじゃないの!? 帰って来たら……覚えておきなさい!!」クワァッ
565 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/18(月) 01:19:59.21 ID:I2n+L5dv0
(野獣(……やはり怒らせると凄く怖い))
(王子「 」フラッシュバック中)
長姉「あら、目立たない場所にいたのね元王子様……何だか、また固まっていない?」
(末妹「帰って来たら……」)
(末妹「……」)
(野獣「末妹、どうした?」)
(末妹「お父さん聞いて、正直に言います」)
商人「な、何だい、末妹?」
(末妹「実は私たち……ここにいる皆さんも……私たちが家に戻れる方法を探っている最中なのです」)
(商人「え」)
(次兄「へ?」)
(野獣「末妹っ!?」)
次姉「っちょ、って事は、戻れなくなっているって意味!?」
(末妹「ええ、そして、おそらく……私とお兄ちゃんだけじゃなく……」)
(師匠「……君ら兄妹が戻らなければ、執事達も屋敷にある自分の身体に戻れない」)
商人「たたたた、大変な事態じゃないか!?」
(末妹「不安にさせてごめんなさい、でも……」)
(末妹「お父さん達の力も借りたいの、みんなで考えた方がきっと早く答えが出せる、私はそう思う……」)
(末妹「メイドちゃん達のためにも、助けが必要なんです……」)
(野獣「……」)
566 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/12/18(月) 01:20:30.21 ID:I2n+L5dv0
※はい、昨日の更新は寝落ちました…次回は近いうちに……※
567 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/12/18(月) 01:22:58.16 ID:I2n+L5dv0
あっ誤字発見
>>564
×(野獣「自分の口で使えることができてよかったよ」)
〇(野獣「自分の口で伝えることができてよかったよ」)
ごめんなさい
568 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/18(月) 01:48:18.07 ID:eHXECMZEO
乙
みんなが野獣に会えて良かったなー
569 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/24(日) 23:50:29.48 ID:lPkqkoxH0
長兄「状況はなんとか理解できたし、末妹の気持ちもわかる、なんとかしなきゃならない……とは言うもの」
長兄「俺達にどんな助言ができるやら……」
次姉「うーん……そうねえ……」
次姉「……あんた達がそっちに行ってから今までに起きた出来事の中に……ヒントはないかしら?」
(末妹「これまでの出来事……」)
(末妹「野獣様のかけらを通じて、どこかに呼ばれているような気がして……」)
(次兄「俺が居眠りしていると思しき末妹の方に触れた途端、眠くなって……気がついたらここへ」)
(野獣「二人が最初に出会ったのが私、3人で現実世界にいる菫花の様子を覗いて見ると……」)
(野獣(このあたりは菫花の名誉に関わるから具体的なことは口に出さない方がいいな))
(野獣「ここに現れた菫花をある理由から一旦現実世界に戻して、また改めて来てもらって、色々あってやがて師匠も現れた」)
次姉「……現実世界に戻して……?」
商人「そ、そこだよ、どうやって戻したんだい!?」
(野獣「あ」)
(野獣(し、しまった……))
(師匠「ふむ……いや、現実世界の菫花と儂の肉体はすぐそばにあるのだ」)
(師匠「この場所は野獣の夢の世界に儂が張った結界が重なった世界、結界は我々が訪れた旧小国王城の庭に張られている」)
(師匠「だから儂と菫花だけは、いつもの夢の世界から戻るのと同じ方法で肉体に戻れる」)
長姉「なんだ、要するに参考にならないってことね」
次姉「……でも何かひかっかるのよね」
家政婦「次姉様、なぜ一旦戻す必要があったのでしょうね?」
次姉「ああ、それよ、どうせまた呼ぶなら、なぜ戻したの?」
570 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/24(日) 23:54:35.71 ID:lPkqkoxH0
(野獣「そ、それは……」チラ)
(王子「ぼ、僕が粗忽で迂闊で間抜けで不注意だったからです!」ダダッ)
商人「遠くにいた菫花君が駆け込んできた」
(次兄「……そうだった、菫花さんがまたもや自らのドジでピンチに陥って」)
(次兄「と、いうことは……つまり……?」)
(次兄「!!」ピコーン)
(末妹「何かわかったの?」)
(次兄「父さん、俺達に現実世界での危険が迫れば戻れるかもしれません!!」)
(次兄「現実世界での皆の力を借してほしいのは、むしろこれから!!」)
次姉「は?」
商人「ど、どういうことだい!?」
長姉「あんたの話はいつもぶっ飛びすぎてわかんないのよ」
(次兄「菫花さん、そのー、最初よくわからないまま俺達の前に現れて、一時的に強制退去となったわけですが」)
(次兄(末妹には具体的な退去方法は伏せておきたいので))
(次兄「現実世界に戻っている僅かな間、自分が何をしたか記憶はありますか?」)
(王子「え」)
(王子「ええと……一度現実世界に戻って、そしてまたここへ来た時には、戻っていた時の記憶はなかったんだ」
(王子「……でも直前には、僕の肉体が瀕死だと君達に教えてもらっていたので……」)
(王子「たぶん、僕の肉体は自覚のないまま動いて危機を回避したのかな、と……思う」)
商人「瀕死? 危機の回避?」
(野獣「……ここでは、窒息寸前まで口と鼻を塞いでいたマフラーを緩めて呼吸を再開させた行為を指す」)
571 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/24(日) 23:56:17.14 ID:lPkqkoxH0
長姉「わかるようなわからないような状況ね」
次姉「次兄が言いたいことは、要するに……」
次姉「あんた達の身体がこっちで死にそうになったら、回避するために強制的に戻れる、そういう意味?」
商人「!?」
商人「だだだだだっだだだ、駄目だよ、いくらなんでもお前達の身体を危険に晒すなんて!!」
(次兄「うん、俺も次姉ねえさんに俺の肉体だけをぶん殴ってもらう方法とか考えたけど」)
次姉「ちょ、死ぬほどぶん殴るって、さすがに私にもそれはできないわよ!!」
長兄(物理的にだろうか心情的にだろうか)
長姉「仮にその方法であんたが危なくなっても、末妹のほうはどうなるのよ?」
(次兄「俺が現実世界で末妹の肩に触れたために一緒に連れて来られたならば」)
(次兄「逆にこっちで手を繋いででもいれば、一緒に戻れるはず」)
次姉「だから私には無理だってば!」
(末妹「お姉ちゃんの言う通りよ、違う方法を考えよう!」)
(次兄「まあ聞け末妹、俺も瞬時に第一案は却下した」)
(次兄「それよりもっと……俺にとっての危機的状況を作り出す方法があるのです」)
(次兄「兄さん……と、やっぱり次姉ねえさん!!」)
長兄「な、なんだ!? 暴力には手を貸さないぞ!!」
次姉「私を何だと思っているのあんたは!!」
(次兄「暴力じゃない、単なる力仕事をお願いしたい」)
(次兄「そこにいるメンバーで腕力のツートップはその二人なので」)
商人「力仕事って何だい? とにかく話してごらん」
(次兄「俺の部屋から、俺の机をそこへ……俺達の肉体の傍ら、鏡台に映るように持ってきてほしい」)
572 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/24(日) 23:58:43.96 ID:lPkqkoxH0
次姉「……は?」
(次兄「机の上の物は全部て下ろし外せる引き出しは全て外せば本体と施錠された引き出しのみ、そこそこ軽くなるはず」)
長兄「それくらい持ってくるのは困難なさそうだが……なんの意味が?」
(次兄「とにかくお願いします、話はそれからです」キリッ)
(末妹「お兄ちゃん??」)
(野獣「とにかく我々は見守るしかないか」)
(王子「いったい何があると言うのだろう……」)
〜数分後〜
次兄の机:ドン!!
次姉「……ほんっと、なんであんな汚い部屋で生活できるのよ!?」プンスカ
長兄「あれでもこのあいだ俺が入った時よりマシになったんだ……どこが足の置き場かわかるようになっていた」
商人「次兄、二人が机を持って来てくれたよ……お前の言う通り、本体と、鍵のかかった引き出しだけになっている」
(次兄「ありがとう……さて次のステップ」)
(次兄「兄さん、眠っている俺のズボンの左ポケットを探ってみて」)
長兄「……わかった、えーと、左ポケット、と」ゴソゴソ
長兄「なんだこれ、ポケットが二重になって、中に何か固い小さな物?」ゴソゴソ
家政婦「確かに、次兄様のズボンの左ポケットはほとんど二重になっていました」
(次兄「ふふふ、自分で改造したのです家政婦さん」)
(野獣「そう言えば次兄は裁縫が一応できると以前に」)
家政婦「洗濯するたびに不思議には思っていましたが、ご家族の皆さんはご存じなかったのですね」
長兄「入っていたのは小さな鍵……か」
長兄「次兄、これが必要なのか?」チャラ
573 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/25(月) 00:00:12.49 ID:FcvUXxa+0
(次兄「そうです、では……しばしそのままで自宅組の皆様はお待ちくださいませ」)
(次兄「さて、これからが本番です末妹、そして野獣様をはじめとする皆様」)
(野獣「これから何が始まるのだ」)
(次兄「俺の人生にとって、一世一代の賭けです」)
(王子「何が何だかわからないよ」)
(次兄「念のため俺達はおっさんの魔法陣の中で待機します」)
(次兄「通常の方法とイレギュラーな方法の両方を併用することで成功率は高まるかと」)
(次兄「末妹、手を繋ごう」)
(末妹「う、うん」キュ)
(次兄「ここで、ご一同にお願いがあります」)
(次兄「この先どのような展開が現実世界の末妹の部屋で繰り広げられようとも、一切を不問に付すと、約束してほしいのです」)
(次兄「末妹も、鏡の向こうの父さん達も含めて」)
(末妹「わかったわ、何も聞いたりしない」コク)
(野獣「……ますますわからん」)
(王子「わかんないけど……約束したらいいんだね?」)
(師匠「……約束するしかない、な、これは」)
(師匠「そもそも今回は儂の力と知識が及ばぬためにこうなったのだ」)
(師匠「君達が無事にご家族のもとへ帰れるのなら、何があろうとも我々に口を挟む権利なぞありはしない」)
商人「私も約束する、皆にも約束させるよ!!」
次姉「お父さんが言うなら」
執事「本当にわかりませんが、我々もご主人様達に従う以外ありませんね」
574 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/25(月) 00:01:24.60 ID:FcvUXxa+0
(次兄「感謝します……さてあまり時間もない、皆さんまたお会いしましょう」キリリ)
(執事「次兄様がずっと神妙な表情で薄ら恐ろしい」)
(料理長「次兄様はわしらのためにも今回のご帰還を成功させたいのです」)
(庭師「大丈夫です、みんな無事に帰ってまた会えるって信じます!!」)
(メイド「家政婦さん、いつかまたお手紙書きますね、末妹様、お屋敷でお待ちしています!!」)
(末妹「ええメイドちゃん、執事さん、料理長さん、庭師君……またね」)
(野獣「私達とはさっきお別れをしたから、もう良いな?」)
(末妹「……ええ、またゆっくりお会いできた時に、たくさんお話しをしたいです」ニコ)
(王子「改めて、ありがとう……」)
(末妹「菫花さん、私は父の待つ家に帰ります……菫花さんもお父様と一緒に、ご無事にお屋敷に帰ってくださいね」)
(王子「うん、僕の大好きなお父さんとね」ニコ)
(師匠「えーと、あのな」オホン)
(師匠「次兄君、そろそろ先に進めてはどうだね?」)
(次兄「そうですね、兄さん!!」)
長兄「はいはい」
(次兄「その鍵はその机の鍵なのです」)
長兄「そんな気はしていたよ」
(次兄「合図をしたら、手にした鍵で固く封印された引き出しを長き眠りから開放してください!!」)
長姉「単に引き出し開けてって言えばいいのに」
次姉「なぜ合図が必要なの」
(次兄「物事にはタイミングというものがあります」)
(次兄「おっさん、兄が開錠するタイミングで帰還の魔法が成功するよう詠唱をお願いします」)
575 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2017/12/25(月) 00:02:47.27 ID:FcvUXxa+0
(師匠「ふむ……それならば、誰か、次兄君兄妹と儂と長兄君以外の者に数を数えてもらおう」)
(師匠「十、数えてくれるのに合わせ魔法を発動させ、あちらでは鍵を開く」)
(野獣「では、私が……練習してもいいですか?」)
(師匠「ああ」)
(野獣「いーち、にーい、さーん……こんな間隔で」
(師匠「うむ、それで大丈夫だ」)
長兄「こちらも大丈夫です」
(次兄「では皆さん、頼みましたよ!!」キリリリ)
(師匠「詠唱を……」ブツブツ)
(野獣「いーち」)
長兄「よし、鍵を鍵穴にあてがって、数え終わりを待つ、と……」
(末妹「お兄ちゃん……」ギュッ)
(次兄(さあ、俺だけの人生最大の危機が訪れようとしている)ゴクリ)
(野獣「にーい」)
(次兄(あれがある限り、俺はどこに行こうとも、何が何でも生きて再びあの部屋に帰らねばならぬ運命(さだめ))ググッ)
(メイド「次兄様、本当に真剣な表情です……」)
(庭師「すごい、銃を持った人間達がお屋敷に近付いてきた時のよう……いや、それ以上に張り詰めているかも」)
(料理長「何かを守ろうとする雄(おとこ)の顔ですな……」)
(執事「なんという緊迫した空気……何があの次兄様をあそこまで……」)
(次兄(開錠までは頼んだが、引き出しをどうするかは敢えて指示を出していない、つまり、あちら任せ……)ドキドキ)
(次兄(引き出しの内側は白日の下に晒されるのか、だとすれば俺の肉体はそれを阻止できるのか、間に合うのか)ドクンドクン)
(野獣「さーん」)
576 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/12/25(月) 00:03:34.21 ID:FcvUXxa+0
※カウントアップの途中ですが今回はここまで※
577 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/25(月) 00:45:43.11 ID:elp5UnX4O
アカン次兄が(社会的に)死んでしまう!!
578 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2017/12/29(金) 23:23:28.38 ID:ncRpOxat0
※少し書き溜めて投下したいので次回は年明けです、ごめんなさい※
みなさま良いお年を……
579 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 00:47:15.01 ID:t10XFxtEO
今年も一年お疲れ様です
来年も楽しみにしてます
580 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/01/21(日) 22:50:30.45 ID:aWgvRN+D0
※長々休んでしまってごめんなさい。次回の週末ぐらいに更新できると思います。予定。※
581 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 00:53:13.22 ID:2W/tlbRMO
了解
あけおめー(今さら)
582 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/01/29(月) 01:11:31.55 ID:ej98zEbh0
(師匠(よし、魔法の発動もこの分だと問題ない))
(野獣「……しーい」)
商人(とにかく、この子達が無事に戻ることを信じるしかない……)
(野獣「ごーお」)
長兄(半分か、長く感じるなあ)
(野獣「ろーく……」)
(末妹(繋いだ手から、お兄ちゃんの張り詰めた想いが伝わって来そう……))
(野獣「しーち」)
(次兄(……追い込まれてきました追い込まれてきました追い込まれてきました追い込まれてきました)ドキドキドキドキ)
(野獣「はーち」)
(次兄(やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい)ドッドッドッドッ)
(野獣「きゅーう」)
(次兄(帰らねば破滅帰らねば破滅帰らねば破滅帰らねば破滅)ドドドド゙ドドドド)
(野獣「じゅーう……!!」)
長兄(今だ!!)カチャリ
鍵:カシィィィン
(王子「!?」)
(野獣「おお……!!」)
(師匠「……魔法陣が光に包まれた、成功だ……!!」)
583 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/01/29(月) 01:12:12.27 ID:ej98zEbh0
執事「……っ!?」ハッ
庭師「……帰って来た……?」
メイド「ここお屋敷です、私達帰って来ましたよぉ!!」ピョンピョン
料理長「いつぞやのように魔法陣が光ったと思ったら……ほんの一瞬、いや、それより短かったかも……」
執事「我々が無事に戻れたと言うことは……末妹様達も……」
メイド「きっとご無事で、ご家族にお会いできているはずです!!」
…………
商人「……」
次姉「…………」
長兄「……次兄、わかった、わかったから、俺から一旦離れてくれないか」
長兄「と言うか、俺の顔の正面にあるのはお前の股間としか思えないのだが……?」
次姉「……次兄が逆さまになって、兄さんの上半身にしがみ付いているのよ」
長姉「腕で兄さんの胴体に、足で兄さんの頭にね」
末妹「……」ポカーン
商人「末妹、無事に帰って来たんだね!!」ブワァァァ
末妹「お、お父さん……!!」
次姉「この子達の身体はベッドに横たわっていたのに、鏡が一瞬光ったと思ったら」
長姉「次の瞬間、次兄は兄さんにしがみ付いて、末妹は机の引き出しの前に座り込んでいるなんて」
584 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/01/29(月) 01:13:03.93 ID:ej98zEbh0
次兄「兄さん約束して引き出しをこれ以上開けないで兄さん約束して引き出しをこれ以上開けないで兄さん約束し」フェイスハガー
長兄「約束する、約束するから、今だって5ミリも開いていない、だから降りてくれ……」
次姉「ひっぺがすの手伝うわ、ほら、降りなさいよホントにこの子は……」ベリベリ
末妹「帰って来たのね、私達……」
家政婦「ええ、お帰りなさいませ」ニコ
末妹「家政婦さん……」
次兄「末妹まだそこ(引き出しの前)から動かないで!!」
末妹「え、ええ!?」ビクッ
次兄「そのままゆっくり、少しだけ後ろに体重掛けて?」
末妹「こ、こう?」ギシ
引き出し:コトン
次兄「兄さん、引き出しが閉まったところで、鍵穴に差し込まれたままの鍵を今度は逆に回して?」
長兄「今度は施錠すればいいんだな?」カチャリ
次兄「鍵は返してくださいな」
長兄「ああ、返すよ」ホラ
次兄「……ふー……」
次兄(読みどおり、切羽詰まった状況を敢えて創り出し、おっさんの魔法との相乗効果で最高の結果が生まれた)
次兄(引き出しの中身も見られずに済んだ……間に合った、間に合ったぞおおおおおお!!)
次兄「あ、もう動いていいよ末妹」
末妹「お兄ちゃん……」ヨイショ
585 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/01/29(月) 01:13:51.68 ID:ej98zEbh0
商人「改めて、無事でよかった、帰って来てくれてよかったああああああ!!」ガバッ
末妹「お父さんたら」ムキュ
次兄「無事に帰宅できたのも、家族のみんなの協力と祈りのおかげ……ありがとう、特に兄さん!!」キラキラ
長兄「次兄、鏡の向こうでは見たことないほど真剣な顔をしていたが」
長兄「今のその、晴天のように爽やかな表情も見たことないぞ……正直不気味だ」
次兄「いやぁ、俺は人生最大の危機を無事に回避できたことに安堵しているのです」
次姉「人生の危機とかなんなの」
次兄「おっと、何も尋ねない約束ですぞ?」チッチッ
次姉「そりゃそうだけど……」
末妹「心配かけてごめんなさい、本当にありがとう、皆のおかげで戻って来れたの」
末妹「お家の皆と、そして……」
末妹「……メイドちゃん達はちゃんと帰れたのかしら」
長姉「そう言えばこの鏡台、あんた達が戻って来てから『あちら側』を映さなくなっちゃったわね」
家政婦「そのことでしたら……」
家政婦「たった今、師匠様が瞬間移動の魔法で現れて……お屋敷の様子も同じように確認して来られたとのこと」
次姉「は? たった今?」
家政婦「数秒間のご滞在でした」
家政婦「でも、皆それぞれ家に戻れて安心した、と仰っていましたし」
家政婦「これから師匠様と菫花様は広場に戻り、野獣様もいつもの場所に戻られた……そうです」
次兄「全員無事なんだね、よかったー」
末妹「皆さんお屋敷に戻れたのね……」ホッ
末妹「野獣様、菫花さんも……師匠様も……よかった」
…………
586 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/01/29(月) 01:14:53.00 ID:ej98zEbh0
現実世界の、かつての王城の庭園……
師匠「菫花、そんなわけで執事達も末妹嬢達も無事だ、安心せい」
王子「ああよかった、本当によかった……」ウルウル
師匠「我々と野獣の三人だけになった途端、儂の魔力の一部を制御していたものが外れた……そんな感覚になった」
師匠「野獣もこんなことを言ってたな」
(野獣「どうやら、今の私は自分の意志でいつもの夢の世界に戻ることができそうです」)
(野獣「自力で戻れるという強い確信があります……屋敷の応接間から寝室に入るように容易く」)
師匠「そう言って、あいつは『帰った』……末妹嬢が持つ欠片の影響がなくなったせいだろう」
師匠「野獣から離れた欠片は、本体と影響しあう時はあっても、すでに別物として……成長もしている」
師匠「……ま、そのへんは後でいくらでも考える時間はあるな、それより……」
師匠「ほれ、いつまで感慨に浸っとる」
師匠「もう人払いの結界も解いた、大の男が涙ぐんでいては、人々が不審に思うではないか?」
王子「は、はいっ」
師匠「儂らはこれから、敢えて歩いて屋敷に帰らねばならんのだぞ?」
師匠「とは言え少し疲れた、魔力も使い果たした……宿に戻って休もう」
王子「ええ、そうですね……」
王子「……今夜はよく眠れそうです」
師匠「さあ、行くぞ……と、その前に、別れの挨拶をして行くか?」
王子「……ここにはまた来ることができます、来ようと思えばいつでも、そんな場所の一つになりました」
王子「ですから……今回は」スッ
王子「……また来ますね、父上、母上」
王子「今度は230年も間を開けませんから、必ず……」
王子「……終わりました。行きましょう、師匠」
師匠「ああ……また来よう、お前と儂でな……」
……
587 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/01/29(月) 01:15:23.23 ID:ej98zEbh0
※ここまでです。寝落ちます…※
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/29(月) 02:53:42.44 ID:RSsNbsH3O
乙
次兄危機一髪
589 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/02/28(水) 22:26:49.90 ID:nGFFY93s0
※一か月過ぎてしまうので…近日中に更新するので少々お待ちを…※
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/28(水) 23:06:08.95 ID:MEHSYlb2O
待つともさー
591 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/28(水) 13:36:48.69 ID:UVYSJKqTO
近日…近日?
592 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/04/01(日) 23:29:57.58 ID:rSQA9QWn0
※
>>1
です、マジごめんなさい
2〜3月ちょっと、いやかなり多忙というか余裕なくこの有様でした。必ず完結させますので……※
593 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/02(月) 01:06:28.13 ID:Z8Ei3vyqO
良かった
待ってます
594 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/04/28(土) 23:52:49.88 ID:JtVxUVrN0
商人の店。
長兄「……」
次姉「兄さん?」
長兄「……」
次姉「兄さん!! 何ボーッとしてるの?」
長兄「はっ……次姉」
次姉「もう、そんな調子じゃまたいつぞやみたいに手でもケガするわよ」
長兄「すまない」シュン
次姉「まあ……さっきまであの子達が無事に戻るかどうかって緊張した空気だったものね」
次姉「その中で文字通り『カギを握る』役目だったんだもの、疲れるのも無理ないか」
長兄「本当にすまん、もう大丈夫だ……次兄と末妹は?」
次姉「本人達は普通に元気そうだけど、お父さんが大事を取らせて、目の届く居間のソファで休ませてる」
次姉「家政婦さんは夕食の準備で忙しいけど、姉さんも同じ居間で編み物を始めたわ」
長兄「そうか、元気ならよか……長姉が編み物!?」
次姉「そこ?」
次姉「姉さんなりに料理だけじゃなく家事全般の腕を上げようと頑張っているの」
長兄「そうだな、長姉なら料理の腕もあっという間に上達したし、きっと編み物や裁縫もやる気になりさえすれば」
次姉「まあでも、今日は短い時間に色々考えたり力仕事したり気を揉んだりと」
595 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/04/28(土) 23:54:51.15 ID:JtVxUVrN0
次姉「私も正直疲れたわ、お父さんに確認して早めに店を閉めましょ」
長兄「ああ、先に上がっていいぞ」
長兄「午後から臨時休業にしていたところを、お客様のために少しの時間でもと開いたんだ」
長兄「通常の閉店時間まで俺一人このままやるよ」
次姉「……それなら私も」
次姉「兄さん一人にして、またさっきみたいにボーッとされても困るもの」
長兄「はは、本当に大丈夫……でもありがとな」
長兄「……」
長兄(本当は疲れてボーッとしていたとは微妙に違うんだよな)
長兄(鍵が開いたと同時に、引き出し自体の重みでほんの僅か……3ミリばかり……自然と、開いた)
長兄(あの重みが手にかかった瞬間、俺はその手で引き出しを押し戻すべきかそのままで維持するべきか)
長兄(それとも重さにまかせて更に引き出すべきか、迷った)
長兄(でも、それは本当の本当に一瞬だけの迷いだった)
長兄(次兄達がすぐに戻ってきたせいではない)
長兄(あの3ミリほどの隙間から……俺が感じた物は……)
長兄(我ながら滑稽だとか陳腐だとか思う)
長兄(……でも確かに感じたんだ、何か、例え難い……物理的な重さとはまた違う……圧迫感……)
長兄(……そして、寒気と恐怖感と……)
596 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/04/28(土) 23:56:04.48 ID:JtVxUVrN0
長兄(とにかく、何かわからんがこれ以上この引き出しを開いてはいけない)
長兄(この内にあるものに関わってはいけない、と頭の中で警鐘が鳴り立てた)
長兄(そこで次兄が戻って来て、ようやく俺も現実に引き戻され)
長兄(あの時感じた『何か』は……過ぎてしまえば気のせい、錯覚、あるいは)
長兄(実際になにかがあったとして、魔法の力が働いた作用……なのかもしれない)
長兄(……・)
(次兄「おっと、何も尋ねない約束ですぞ?」チッチッ)
長兄(次兄が言う通り、尋ねてはならない、問うてはならない……)
長兄(正体はわからずじまいだが、それが正解であり)
長兄(なんであれ、それで二人と二人の友人……友獣(?)達が無事に帰れたのなら、正しい使われ方をしたんだ)ウム
次姉「……」
次姉(兄さんまた何か考え事して一人で頷いているけど)
次姉(まあいいか、何であれそこまで真剣に考え込むほどでもない話だろうと真面目に考えるのが兄さんだもんね)フゥ
呼び鈴:チリリン…
次姉「! 兄さんお客様よ、いらっしゃいませ!」
長兄「はっ……いらっしゃいませっ!!」
……
597 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/04/28(土) 23:56:46.35 ID:JtVxUVrN0
※ごぶさたしてすみませんでした。読んでくれた方ありがとう※
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 00:47:44.92 ID:NsDrLDu7O
おひさし乙
引き出しの奥のラスボス感ww
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/29(日) 07:53:41.23 ID:TAWosCSgo
乙です。ゆっくりで良いので。まったり更新待ってます〜
600 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/05/29(火) 22:36:05.37 ID:TLNxoXer0
※念のため。一か月早い…※
601 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/06/28(木) 00:08:50.87 ID:wCnuCsJK0
※お久しぶりです。来月頭までちょっとバタバタしてますが7月前半に更新します※
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/29(金) 00:49:34.26 ID:SYT844p5O
待ってるよー
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/17(火) 01:43:15.38 ID:B2G3C3AgO
上旬…過ぎたなぁ
604 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/07/17(火) 22:06:31.86 ID:7wOVzHIx0
※すみません、自分で「上旬」と書いておきながら「7月中」のつもりでいました…も少し待っててください…※
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/17(火) 23:34:59.81 ID:pisHK4gTO
おー、
>>1
が元気なら良かった
606 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/07/26(木) 00:27:39.02 ID:yFeLJr7c0
商人の家、居間。
商人「そうか、菫花君にとっては本当に良い旅になったようだな」
末妹「ええ、本当に」
商人「それに……親が子供とわかり合えるのは簡単なようで難しいものだが」
商人「だからこそ、お互いの想いが通じたと実感できる瞬間はどんなに尊いか」
商人「師匠様にも、きっと良い旅になっただろう……」
長姉「お父さん……」ニコ
次兄(あの長姉ねえさんとは思えぬ穏やかな微笑)
次兄(これも元を辿れば幼馴染男さんの愛の影響力とやらなのか……)ムムム
商人「次兄、ややこしい顔して黙り込んでいるけど、体の具合が悪いのかい?」
次兄「はっ!? い、いいえ、なんともありません、何ひとつやましいことなどありませんよ!?」アセアセ
長姉「何をうろたえているんだか、変な子」
末妹「……」
末妹「あのね、お父さん」
商人「ん?何だい?」
末妹「今の学校を卒業してからのこと……そろそろ話をした方がいいと思うの…」
次兄(お、いよいよですな末妹)
商人「そうだな、お前も来年は15歳、町の学校に通うのもあと1年くらいか……早いものだ」
商人「で……お前はどうしたいのかな」
末妹「……私、将来は学校の先生になりたいんです」
商人「そ 長姉「いいじゃない!?末妹には向いてるわあ!!」
商人「あ 長姉「教員養成学校に行くのね、あんたなら大丈夫、絶対合格するから!!」
商人「え 長姉「ね、お父さん、素敵な話よね!!」
商人「……う、うむ……」
607 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/07/26(木) 00:29:30.18 ID:yFeLJr7c0
商人「が、頑張りなさい……応援するよ、末妹……」
末妹「お父さん……」
次兄「……えーっと……」
次兄「もうちょっと具体的な話をした方が、よくないですかねえ?」タスケブネ
商人「は」
商人「そ、それもそうだね……末妹、どのくらい考えているんだい?」
末妹「はい、あの……一番近い、隣町の養成学校に正式に入学するか、それとも」
末妹「市内の学校で代用教員として働きながら、養成学校の集中講義や資格試験を受けて、正式教員になるか」
末妹「今考えられるのは、これくらいだと思うの」
商人「……」
商人「うん、なかなか現実的な発想だね末妹……さすがはしっかり者だ」
商人「我が家には……お前を卒業後すぐに働きに出せねばならぬような理由はない」
商人「商売が最低でも現状維持であれば、の話だが」
商人「座学のみならず実践を積みたくば、養成学校から短期間の派遣を斡旋してもらう手もある」
商人「と言うわけで、まず初めの1〜2年だけでも、養成学校で学ぶことに集中してみてはどうかな?」
末妹「え」
末妹「正式入学になったら……隣の市で寮か下宿か、とにかく家を離れることになるけれど……」
商人「もちろん知ってるよ、住む場所は私も一緒に探すが、お前なら心配ない」ニコ
末妹「お、お父さん……!?」
次兄「」
608 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/07/26(木) 00:30:41.44 ID:yFeLJr7c0
次兄「父さんが……末妹までも家を離れることを承知したと……!?」
商人「離れると言っても隣の市じゃないか」ニッコリ
次兄「天変地i 長姉「やったじゃない、末妹!!がんばるのよ!!」
末妹「う、うん……ありがとう、お姉ちゃん」
末妹「ありがとう……ありがとうお父さん、私、頑張ります……!!」
商人「うん、うん……」ニコニコ
商人「……さて、そろそろ夕食ができた頃かな、ちょっと様子を見てこよう」
長姉「あ、私が行くわ」
商人「いいよいいよ、お前はこの子達と一緒にいてくれ」
ドア:ガチャ…パタン
商人「…………」スタスタ
商人「……これくらい離れたらいいかな」ピタ
商人「いつかこんな日は来ると思っていなかったわけではない……」
商人「うええええええんん頑張ったよ妻、私は頑張ったよおおおおおおん」
商人「お前がいたらきっと、必ず末妹を応援しただろう、そう思ったから私も……」グスングスン
商人「……そうだよ、隣の市、毎週とは言わなくても月に1回以上の週末は帰省するじゃないか……たぶん」スンスン
商人「長姉の言う通り、あの子には向いている、いい仕事だよ」
商人「……」ジワ
商人「……こ、今夜は長兄に、お酒に付き合ってもらおうかな……」グシュ
……
609 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/07/26(木) 00:31:11.44 ID:yFeLJr7c0
※短いけれど、お久しぶりです。次回更新は8月に※
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/26(木) 00:46:46.78 ID:pqSFvGQ3O
乙
お父さん頑張った
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/26(木) 06:54:23.01 ID:7g/1TNAyO
蘭子「混沌電波第151幕!(ちゃおラジ第151回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516011054/
蘭子「混沌電波第152幕!(ちゃおラジ第152回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516615777/
蘭子「混沌電波第153幕!(ちゃおラジ第153回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517221252/
蘭子「混沌電波第154幕!(ちゃおラジ第154回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1517828308/
蘭子「混沌電波第155幕!(ちゃおラジ第155回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518405378/
蘭子「混沌電波第156幕!(ちゃおラジ第156回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1519035694/
蘭子「混沌電波第157幕!(ちゃおラジ157回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1519642167/
蘭子「混沌電波第158幕!(ちゃおラジ第158回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520244800/
蘭子「混沌電波第159幕!(ちゃおラジ第159回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1520849603/
蘭子「混沌電波第160幕!(ちゃおラジ第160回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521454455/
蘭子「混沌電波第161幕!(ちゃおラジ第161幕)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1522060111/
蘭子「混沌電波第162幕!(ちゃおラジ第162回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1522664288/
蘭子「混沌電波第163幕!(ちゃおラジ第163回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523269257/
蘭子「混沌電波第164幕!(ちゃおラジ第164回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523873642/
蘭子「混沌電波第165幕!(ちゃおラジ165回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1524480376/
蘭子「混沌電波第166幕!(ちゃおラジ第166回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525058301/
蘭子「混沌電波第167幕!(ちゃおラジ第167回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525687791/
蘭子「混沌電波第168幕!(ちゃおラジ第168回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526292766/
蘭子「混沌電波第169幕!(ちゃおラジ第169回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526897877/
蘭子「混沌電波第170幕!(ちゃおラジ第170回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527503737/
蘭子「混沌電波第171幕!(ちゃおラジ171回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528107596/
蘭子「混沌電波第172幕!(ちゃおラジ第172回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528712430/
蘭子「混沌電波第173幕!(ちゃおラジ第173回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529353171/
蘭子「混沌電波第174幕!(ちゃおラジ第174回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529922839/
蘭子「混沌電波第175幕!(ちゃおラジ第175回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1530530280/
蘭子「混沌電波第176幕!(ちゃおラジ第176回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531133134/
蘭子「混沌電波第177幕!(ちゃおラジ第177回)」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1532340969/
612 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/08/26(日) 23:30:02.40 ID:hagAf68X0
※一か月経ってしまう…健在報告のみしておきます、すみません※
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/27(月) 09:20:58.84 ID:cFlhxncGO
暑いのでお身体に気を付けてー
614 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/16(火) 00:26:59.99 ID:D84cTNVBO
復旧して良かった…保守。
615 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/10/21(日) 23:41:21.42 ID:oFV2Z1Hb0
※ごぶさた、すみません…※
復旧がずっと先なら移転して書くか、だとしたら修正しつつまたここの
>>1
から?とか…あれこれ考えていました。
復旧後もしばらく迷いましたが、やはりこちらで続けさせていただくことにしました。
というわけで近日中に再開…します
616 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[age]:2018/10/22(月) 06:22:00.92 ID:QjrfTbLQo
乙。待ってます
617 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/22(月) 09:54:26.34 ID:rdXYhQmCO
乙です
また起こらないとは限らないし、移転するならどことか事前に知らせてくれるともしもの時助かるんだけど
ちなみに今回はしたらばの方の生存報告スレが結構役に立ってたみたい
618 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/10/29(月) 01:08:14.18 ID:RE0GXokB0
※今週中に更新します。待っててくださる皆さん本当にありがとうございます…※
>>617
>生存報告スレ
移転の際は↑そちらでアナウンスさせていただきますね。
完結するまでこちらの板が無事に使えるならば、このまま…
619 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/11/04(日) 00:30:22.30 ID:KsZuJ7po0
その翌日……
師匠「ほれ、屋敷が見えてきたぞ? あともう少しだ」
王子「帰って、来ましたね……皆さんには先に会ってしまいましたが」
師匠「森に一番近い村まで乗合馬車だったがそこからは歩き通しだ、少し休んで行こうか?」
王子「だ、大丈夫です、僕も今回の旅でだいぶ体力つきました、から……」
師匠「無理するな、屋敷は逃げはせん」
王子「……」
王子「そうですね、執事さん達に疲れた顔を見せては」
師匠「さっきの村でこれを買ったのだ、皆の土産に追加しようと思ってな」
師匠「一口ずつ味見をしよう、ほれ、手を出せ」
王子「?」
ポトリ
王子「え、これは……? 蜂蜜?」
師匠「あの村では、小規模ながら兼業で養蜂を営む農家が多くてな」
師匠「これは巣蜜だ、そのまま食べていいが蜜蝋はよく噛めよ?」
王子「は、はい……」パク
むっちゃむっちゃ
王子「……甘い……蜂蜜だから当たり前か」
師匠「うむ、美味いが、蜜を取る花の種類はひとつではなさそうだな」
師匠「料理長なら特定できるかもしれん」
620 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/04(日) 02:03:47.31 ID:KQV2Q1ggO
甘やかす師匠
621 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2018/11/04(日) 02:22:01.60 ID:KsZuJ7po0
王子「美味しいだけではなく上質なのでしょうね、料理長さんが喜びそうです」
王子「……彼の事ですから、自分で食べずに僕らに食べさせる料理に使っちゃうのでしょうけど」
師匠「穴熊は蜂蜜が大好物だからな」
師匠「安心しろ、料理用と料理長個人の土産用とは分けて渡すつもりだ」
師匠「土産用を料理に使ったら、儂は魔法で判定できるのだぞ……とでも言えば、絶対それを守るさ」
王子「さすがですね師匠……」
王子「……昨日夢の世界で精神体には会えたけど、早く実体の皆さんの顔を見たいし話もしたいです」
師匠「ああ、儂も楽しみだ」ニコ
王子「……師匠」
師匠「意外な物を見たような顔をするな」
師匠「儂の家でもあるし、儂の家族でもあるからな」
師匠「しばらく離れていた自分の家で寛ぎたいのは当然ではないか」
王子「……そうですよね、僕と野獣だけではなく、師匠の家でもあり師匠の家族でもあるんです」
王子「早く会いたいのは当然です」
師匠「そうだ当然だ、だからもう二度と口にはしないぞ、屋敷が儂の家で執事達が儂の家族だ、とは」
師匠「わかり切っているからな」
王子「はい、周知の事実ですから!!」
師匠「その笑顔なら疲れもすっかり取れただろう、行くぞ」
王子「ええ、早く帰りましょう!」
……
622 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/11/04(日) 02:22:47.50 ID:KsZuJ7po0
※おひさしぶりでした。眠いので今回はここまで…※
623 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/05(月) 00:56:49.29 ID:araSXQmZO
乙
>>618
了解です、ありがとう
624 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2018/11/25(日) 23:25:52.64 ID:zAbu7Jxs0
※止まっててごめんなさい、必ず続き書きます※
625 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/26(月) 15:54:25.35 ID:uVyeWyceO
待ち続けるぜ
626 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/02(水) 03:41:51.83 ID:ufr2lFbeO
あけおめ
627 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2019/01/02(水) 23:58:10.74 ID:nKmyBvpx0
野獣の屋敷。
タタタッ
庭師「師匠様と菫花様です! もうすぐ門までお着きになりますよ!」
執事「こら庭師、気持ちはわかるが『ただいま』も言わずに入って来るな」
メイド「窓から入るのは問題ないのですね執事様?」
料理長「それではシチューを温めて……おふたりが旅支度を解く頃に合わせて、食卓を整えましょう」
メイド「パンも軽く炙りましょうか? 外はカリカリ中はふんわり〜♪」
庭師「僕もお手伝いします!」
料理長「ありがとう、頼んだよ」
執事「わたくしもお出迎えの準備をしなくては」
執事「……今日から皆また忙しくなる……喜ばしいな」フフ
……
師匠「いよいよ門に辿り着くぞ」
菫花「執事さん、呼べば出て来てくれますよね」
師匠「ふふ、もう門を開くため今か今かと待ち構えているさ……」
菫花「はい?」
師匠「さっきの一休みの時に、周囲の一番高い木から庭師がこちらを窺っていたのだ」
菫花「ああ、それで」
628 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2019/01/02(水) 23:58:49.44 ID:nKmyBvpx0
※あけましておめでとうございます※
629 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2019/01/03(木) 00:01:42.46 ID:E1fqjb7r0
※…名前欄の 菫花 は 王子 に置換してください…正月ボケです…※
630 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/03(木) 01:47:32.65 ID:pWhFEhwZO
正月早々乙
使用人のみんなが可愛くて癒される
631 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/01/27(日) 23:54:06.92 ID:mSYYAmW80
屋敷の門:ガション……ギキィィ〜……
執事「……お帰りなさいませ、師匠様、菫花様」
王子「執事さん!!」
師匠「少しばかり門扉を開くのが早くないか? らしくもない、のう?」フフフ
執事「はっ!? ……わ、わたくしとしたことが」アワワ
師匠「泡食う姿もまた珍しい」
師匠「……・ありがとう、ただいま」ニッ
王子「ただいま、執事さん!!」ニコリ
執事「……!」
執事「さ、さあ、早くお入りください……暖かいお茶と軽食を用意しています」
師匠「楽しみにしていたぞ」
王子「楽しみと言えば馬小屋の出来も、何より料理長さんやメイドさんや庭師君に会えるのも、それに」バタバタ
師匠「ああこら慌てるな、こけるぞ、全く」
ドズシャア
王子「」
執事「菫花様!? ああ、荷物を抱えたまま脱ぎかけの外套にもつれて……しっかりしてください!」
師匠「……本当にこける奴がいるか」ハァ
師匠「それにあの歩調でどうしたらそこまで派手な音立てて転倒できるのだ?」
メイド「な、なんの音ですか!?」スッピョン
632 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/01/27(日) 23:55:43.81 ID:mSYYAmW80
執事「丁度良い、メイド、菫花様の外套を頼む」
メイド「ええ……どうしたらこんなごちゃごちゃに絡まるんですかあ……?」
執事「余計な言葉は慎め、とりあえず菫花様の足元から遠ざけてくれ……お怪我はありませんか?」
王子「あ、ありがとう……ごめんなさい、本当に」
メイド「ご無事そうですね、よかった……でも菫花様らしいですねえ」ウフフー
王子「 」
執事「だから余計な言葉は」
メイド「あっ失礼しました、何より、お帰りなさいませー!!」ペコン
王子「……た、ただいま、メイドさん……」
執事「もうここはいい、厨房に戻れ」
メイド「はいー」パタパタ
師匠「あっという間にいつもの日常だ」
師匠「……帰って来たのだな……二人で……」
……
庭師「お帰りなさい!!」
料理長「お帰りなさいませ、さあ、熱い紅茶を召し上がってください」
師匠「うむ、野獣のレシピで調合した茶葉だな」ズー
王子「野獣にももっと話したいことがある……もちろん皆さんにもです!」
師匠「だから落ち着け、誰もここから……お前から逃げないからな」
633 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2019/01/27(日) 23:57:42.21 ID:mSYYAmW80
※毎度ご無沙汰です…帰宅に何か月かけてる…※
今後、更新が短い場合は作者一言省略する場合もあるので、数十分続かなかったらその日はそういうことなのでよろしくです…
634 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/28(月) 00:04:21.91 ID:zjoUpj+70
乙
王子の変わらないへっぽこさになんかホッとするw
635 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/03/01(金) 03:00:23.81 ID:Yn4FbGL3O
保守せんとす
636 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/02(火) 01:09:25.90 ID:pNAsUzi+O
>>1
の生存報告を待つ
637 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2019/04/07(日) 23:47:08.33 ID:rTnzqCjk0
※ 1です。内容更新以外では当面は出ないつもりでしたが、さすがに…遅くとも5月上旬には更新します!※
多忙が主な要因でした。ごめんなさい…
638 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/07(日) 23:53:13.24 ID:xhqONoRL0
ヨカッタヨカッタ
639 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/23(木) 23:54:21.35 ID:lOxVMDMx0
コレはもう駄目かも分からんね
640 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/25(土) 01:05:34.58 ID:u5Bo/Z9BO
まだ5月は終わってないから…
641 :
◆54DIlPdu2E
[saga ごめんなさい…]:2019/05/26(日) 22:22:34.69 ID:Vkcul4q20
その夜、野獣の夢の世界。
(王子「それで……馬小屋は本当に素敵で、早くあの可愛い騾馬を迎え入れたくて……」)
(野獣「うんうん、そしてメイドの作った造花も可愛らしかったんだな?」)
(野獣「同じ話を二度繰り返しているぞ」)
(王子「あ……そうだった、あんまり感激したので」)
(王子「それに、庭師君やメイドさんが中を案内しながら楽しそうに説明してくれたので……」)
(野獣「ふふ、お前の気持ちはよくわかる……私も楽しみだ」)
(野獣「ところで、師匠はまだ起きているのか?」)
(王子「うん、手紙を書いてから寝るって、お弟子さんのご子孫に」)
(野獣「魔法で瞬時に手紙を届けて構わない相手だな、帰着の報告か」)
(王子「本当に有意義な旅だった……君に話をしたいこともできたよ」)
(野獣「あの騒動と南の港町の滞在時、旅の途中で会えたではないか」)
(王子「こうして家に帰って来てこそ話したかった!」
(野獣「そこまで張り切って私にしたい話か、なんなんだ?」)
(王子「それは……ええと……どう話せば、いいのか……な」)
(野獣「あのな、まずは話を組み立てて、それから話があると切り出すものではないか?」)
(野獣「お前には不得手なのはよく知って(自覚して)いるが……」)
(王子「えーと……将来、の」)
(野獣「うん?」)
642 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/05/26(日) 22:23:21.57 ID:Vkcul4q20
(王子「将来の夢……将来やりたい仕事……とか……」ボソボソ)
(野獣「……お前のか?」)
(王子「え? 他に誰のことだと?」)
(野獣「おほん、そ、そうだな」)
(王子「次兄君には画家になる夢、そして末妹さんにも将来の夢がある、僕も負けてはいられない」
(野獣「……やはり知っているのか?」)
(王子「何を?」)
(野獣「う、ま、まあ……若者には夢があって当然だ、一般論としても」オホン)
(王子「末妹さんが将来何を目指しているのか僕は知らないけど、きっと」)
(王子「あの優しさと芯の強さを活かして、誰かを助けて励まし支えになれるような仕事が似合うと思う」)
(野獣「うむ」コク)
(野獣(その通り、きっと良い教師になれるだろう)フフ)
(王子「だから僕も……・同じように」)
(野獣「お前に教師は絶対無理だ!!」)
(王子「教師??」)
(野獣「あ、えーっと、なんでもないこちらの勘違い」ハハ)
(野獣「で、お前は何をやりたいのだ?」)
(王子「さっきから話そうとしてるのに、君が何度も話の腰を折るから……」)
643 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/27(月) 07:21:15.90 ID:223SiuuMO
令和でもよろしく
王子は頭良いんだろうけど、教えたり導いたりするのは苦手そうだな
644 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/30(木) 22:51:41.30 ID:uHi9Im2p0
乙
645 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2019/07/21(日) 23:18:52.23 ID:KUneq7jp0
※すみませんでした。ちょっと色々余裕がない(なかった)…次回更新8月です※
646 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/08/20(火) 23:11:32.04 ID:pmyRdLHz0
(王子「美味しいものを食べたら、たいがいの人は元気になるよね?」)
(野獣「は?」)
(野獣「……う、うむ、まあ、そうだな?」)
(王子「……」)
(王子「考えながら話すから、まどろっこしいかもしれないけど」)
(王子「しばらく聞き役に徹してもらっていいかな?」)
(野獣「そ、そうか、了解した」)
(王子「……えーとね、どう言えば……」)
(王子「……君と分離されたばかりの僕はずいぶん弱ってて」)
(王子「何も食べられずに寝込んでいた」)
(王子「僕の存在が君を完全に消してしまったと思えば、ますます身も心も縮こまるばかり」)
(王子「でも、末妹さん達や屋敷のみんなに対して、最低限の責任を果たすまでは死ぬわけにもいかないから」
(王子「執事さんが用意してくれた水と蜂蜜を少しずつ摂って、命を繋いでいたんだ」)
647 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/08/20(火) 23:12:38.34 ID:pmyRdLHz0
(野獣(そうだった、当時のお前は、私がいるこの場所をまだ知らなかったものな))
(王子「そんな僕のために料理長さんが作ってくれたのが、林檎のコンポートのカスタード添えで」)
(王子「それを口に運ぶ僕を見守りながら、執事さんと料理長さんは」)
(王子「……僕に、生きてほしいと……それだけが願いだと」)
(野獣「……」)
(王子「そして、君から僕のことを託された、とも伝えてくれた」)
(王子「それで……ようやく僕は、簡単に生きるのをやめるわけには行かないと思えた」)
(王子「そのためにも、ひとまずはこれを食べて元気にならなくちゃって」)
(王子「……僕の生きる気力は、あのコンポートの味を甘くて美味しいと感じることで、湧き上がって来たわけで」
(王子「それから」)
(王子「僕らが昔生きていた時代は、お菓子は贅沢品で、王族や貴族の口にしか入らないものだったけど」)
(王子「師匠と各地の町や村を巡ると、街角の小さなお店で、子供もお小遣いで買えるような焼き菓子を売っていたり」)
(王子「僕らの訪れた農家で、奥さんが果物や木の実の入ったパイを焼いて、振る舞ってくれたり」)
(王子「もちろんその家の人達と一緒に」)
648 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/08/20(火) 23:13:19.91 ID:pmyRdLHz0
(王子「あと、商人さんの家でも、家政婦さんの作ってくれたお菓子をご馳走になった」)
(王子「どれも美味しくて、そしてそれぞれ作り手の個性もなんとなく感じられて」)
(王子「……そこで僕は、料理長さんの作る味も、どこかの誰かにも食べてもらえたら」)
(王子「……どこかの誰かにも食べて欲しいと思ったんだ」)
(野獣(ふむ……))
(王子「だから、料理長さんにお菓子の作り方を教わって」)
(王子「たくさん作ることは無理でも、その味を再現して、それを美味しいと思ってくれる人に食べてもらう」)
(王子「……それを自分の仕事にできたらいいなあと……今回の旅の中で考えていたんだ……」)
(野獣「……口を開いても良いか?」)
(王子「う、うん」)
(野獣「菓子作りを生業とする具体的な手立てまで考えているのか?」)
(王子「えっと、それは……」)
(王子「……これから考えるよ」)
(野獣「私もいわゆる世間知らずだからよくは知らんのだが」)
649 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/08/20(火) 23:14:16.16 ID:pmyRdLHz0
(野獣「たいがいは、正式に職人に弟子入りしないと、自分の店を出すことは認められないのが普通では?」)
(王子「そ、そういうものなのかな……」)
(野獣「……」)
(野獣「まあな、お前の場合は仕事としたい何かが見つかっただけでも進歩と言うか、収穫なのだから」)
(野獣「師匠とも相談して、もう少しじっくり考えても」)
(王子「そうだね……」)
(王子「聞いてくれてありがとう、君に否定されないでよかった」)
(野獣「否定はしないさ」)
(白バラの茂み(……))
(白バラの茂み(手紙を書いて送る作業が終わったので眠ってみたら))
(白バ(以下略)に隠れている師匠(菫花め、菓子職人になりたいとはなあ))
(師匠(儂も頭ごなしに否定するつもりはないが))
(師匠(あいつが職人の世界に飛び込んで、通用するとも思えん……)ハァ)
(師匠(……さて、どうしたものか))
650 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/21(水) 00:45:02.13 ID:uSt00QOAO
乙
これは意外な夢
料理長と家政婦さんの料理食べてみたい
651 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/25(日) 23:56:07.27 ID:Z9IFg7x70
師匠いっつも茂みで盗み聞きしてんな
652 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2019/10/05(土) 23:21:47.47 ID:X+jsnDiZ0
(野獣「……」)
(野獣「師匠、近くにいるんですよね?」)
(師匠「」ギクッ)
(王子「え?」)
(師匠「……やれやれ、この世界でお前から隠れることは無理だと、頭ではわかっておるのだがな……」)ゴソゴソ
(野獣「いっつも同じ白バラの茂みというのも、工夫がないですよ」)
(師匠「自分では選べんのだ、強制的にこの白バラの近くに送り込まれる仕様らしい」)
(王子「僕の話を聞いていたのですか、師匠……」)
653 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/08(火) 23:03:07.02 ID:ckbp2IeRO
乙
654 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/12/01(日) 19:12:28.87 ID:C6t/czIb0
(師匠「うむ、聞かせてもらったぞ、だから手短に」)
(王子「あっ待ってください心の準備が」)
(師匠「儂にできることなら協力するぞ」)
(王子「ですよね……師匠ならそう答え……」)
(王子「……えっ!?」)
(師匠「」)
(師匠「『えっ』とはなんだ? 『えっ』とは?」)
(王子「あわわわごめんなさいなんだか意外でいえあのその」ヘドモド)
(野獣「私も正直びっくりしたが、落ち着け菫花」)
(師匠「お前もびっくりなのか……」)
(師匠「確かに今までが今までだったからな……だが……お前達、まずは儂の話を聞け」)
(王子「は、はい……」)
(師匠「菫花に積極性が出て来たのは儂だって喜ばしい、それをむざむざへし折りはせん」)
(師匠「しかし実現させるためには……先ほど野獣も言った通り、じっくり考えなければなるまい」)
(師匠「お前達ふたりは誰よりも世間知らずだが」)
(師匠「儂にだって、この時代のこの国のあらゆる職業の仕組みについての知識があるわけではない」)
(師匠「この屋敷の住人がいくら頭を突き合わせてみたとて、現実的な手立ては期待できまい」)
(野獣「……確かに」ハァ)
(王子「……や……やっぱり僕が仕事に就くなんて無理な話……なんですね……」ズーン)
(師匠「地面にめり込むのは早いぞ、最後まで聞かんか」)
(野獣「良い考えがあるので?」)
(師匠「うむ、この時代の現実的な事象に強そうで、尚且つを貸してくれそうな人物を思い出した」)
……
655 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/12/01(日) 19:13:40.72 ID:C6t/czIb0
商人の家、朝。
次姉「あ、おはよう、お父さん」
商人「おはよう……」
次姉「元気ないわね、顔がむくんで、特に……目が腫れぼったいような……体の調子が悪いの?」
商人「い、いや、体はいたって健康だよ……」
商人「あれだけ飲んだのに二日酔いにもならないほどには健康さ……」ハハハ
次姉「声に力がないんだけど」
次姉「昨夜お酒のんだの? 兄さんと、そうでしょ?」
長兄「おはよう次姉、そうだよ昨夜は二人で飲んだんだ」
商人「……私は馬の様子を見て来るよ」フラフラ〜
ドア:パタン……
次姉「……本当に大丈夫かしら、全身に力が入っていないような、心ここにあらずと言うか」
長兄「長姉から聞いてないか?」
次姉「末妹の話? でも、お父さんは養成学校での勉強に集中しなさい、って話していたんじゃないの?」
長兄「本人にはそうやって背中を押してやるのが父親の役目……なんだってさ」
次姉「……」
次姉「とは言うものの、本音ではやっぱり寂しい……ってわけね」
長兄「でも安心しろ、あの時のように……生きた屍みたいには絶対ならないぞ」
長兄「って、最後はそう宣言して笑顔になっていたから、きっと大丈夫」
次姉「……そうね」
次姉「お父さんも私達も……あの頃とは違うものね」フフ
656 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/12/01(日) 19:14:55.86 ID:C6t/czIb0
馬小屋……
商人「おはよう愛馬、今日のご機嫌は……」
馬「ひひひん(おはよう)!」
末妹「おはよう、お父さん!」
商人「」
商人(そそそそそそうだった、朝の馬小屋で末妹と鉢合わせるのはあまりにも当然だった)
末妹「……お父さん?」
商人「あ、ああ、おはよう末妹」ワハハハ
末妹「……ありがとうお父さん、私の夢を認めてくれて」
商人「ち、父親として当たり前じゃないか……きっとお母さんも、同じように言っただろう」
末妹「お母様も……」
商人「父親、いや、母親もだな、世の親の役目とはそういうものだよ……」
末妹「……」
末妹「養成学校に行っても、できるだけ家には帰るようにするからね、お父さん」ニコ
商人「え」
商人「……」
商人(……そうだよな……私がどんな心境かを、この子に悟られないはずがない……)
商人「ああ……その気持ちだけで充分……だけど、やっぱり顔を見られる時間は長いほうが」
商人「正直、お父さんは嬉しいよ……」ニコ
末妹「えへへ……うん、お父さん」キュ
商人「末妹……」ギュ
馬「ひん……」
657 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2019/12/01(日) 19:15:43.48 ID:C6t/czIb0
商人「もう馬の世話は済んだのかい?」
末妹「ええ、ブラシも掛けたし、ご飯も」
馬「ひひひひんぶるひひひん(どうですこの毛艶)」
商人「そうか、では私達もそろそろ朝ご飯の時間だな」
商人「さあ馬よ、今日は取引先のお宅に行くからな、また後で」
馬「ひーひひひん(まーかせて)」
末妹「……あら?」
商人「どうかしたのかい?」
末妹「お父さんの上着の懐に……さっきまではなかったと思うけど……」
商人「本当だ、なんだろう……封筒?」ピラ
商人「……驚いた、差出人は師匠様だよ」
末妹「それじゃあ……魔法でたったいま届いたのね!?」
商人「しかし、きのう話をしたばかりじゃないか……何か緊急で知らせたいことでも起きたのかな」ガサガサ
商人「……」
末妹「師匠様、なんて?」
商人「……悪い知らせではない、安心おし」
末妹「そうなんだ、よかった」ホッ
商人「内容については……少しこちらにも考える時間が必要みたいだな」
末妹「?」
商人「お前達にもいずれ話をするよ、今は私ひとりに預からせてくれ」
末妹「……わかったわ、大人と大人のお話、なのね……」
商人「ああ、大人同士の話だよ」
商人(どっちかと言えば、親同士の話……かな)
…………
658 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2019/12/01(日) 19:18:44.76 ID:C6t/czIb0
※さすがにご無沙汰しまくったので…すみませんでした※
659 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/02(月) 17:44:11.98 ID:lm6G66nF0
乙
年内の更新があるとは思わなかったから嬉しい
660 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/12/03(火) 02:14:27.37 ID:n8V9wPdqO
出遅れた乙
師匠の手厚い進路指導
661 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/08(土) 20:02:15.71 ID:rnYB6Vfl0
ほんまに完結するんやろか
662 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2020/02/16(日) 20:59:18.25 ID:BgmEBtxm0
商人の自室。
商人「うーむ」
商人「菫花くんはいい子だし、次兄や末妹の友達だし」
商人「何より彼の生い立ちを考えると、これからは自分の心の赴くまま生きて欲しいし」
商人「……かと言って」
商人「私の伝手で菓子職人や料理人を紹介すると言うのもどうかなあと……」
商人「いや、できるよ、紹介だけならできるよ、普通に腕も人柄も信用できる人物を」
商人「でもね」
商人「人には向き不向きというものがあるんだ、努力で克服することは不可能な類の」
商人「菫花くんが修行について行けるかも心配だが」
商人「彼を教える側に求められる寛容と忍耐は菓子職人や料理人に求められる範疇を超えているだろうなあ、と……」
商人「……」
商人「師匠様は、返事は急がないと手紙に書いていた」
商人「短慮に結論は出さずに、もう少しゆっくり考えてみよう」
商人「いずれうちの子供達の知恵も借りる可能性もあるかもしれんが、今はまだ私の胸だけに」
商人「……さて、そろそろ出掛ける時間だ……帰る時間を考えると、昼は久しぶりに外食でもするか」
……
663 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2020/02/16(日) 21:01:29.24 ID:BgmEBtxm0
南の港町、安宿。
従業員「お茶っす」カチャ
商人「ありがとうございます」ニコ
主人「こら従業員、言葉遣い」
主人「……まさかこんなに早く良いお返事をいただけるとは思いませんでした」
主人「本当にありがとうございます、商人さん!!」
商人「いやあ、ありがとうはこちらのセリフですよ」
商人「新しい試みとして、小規模な正式契約を結んでくださる取引先を私も探していましたから」
商人「お宅の宿は、もう3年も前からあの石鹸を買ってくださっているのですからね」
商人「これからは私も確実に品物をお届けできるようなりますし」
商人「おまけに鍋の磨き粉もうちと契約してくださるとは」
主人「ははは……お恥ずかしい話、今までこの町でその時々で一番安い磨き粉を使っていたのですが」
主人「先月、ひどい粗悪品に当たりましてねえ……鍋の焦げは落ちもしないのに従業員の手ばかり荒れてしまって……」
従業員「痛かったっす……」ポツリ
主人「俺……私は皮膚が強いので平気だったから、一晩かけてそいつで磨いたのですが、少しも鍋はきれいにならず」
商人「ああ、奥様の手が……それはひどい話ですね」
従業員「……!! 奥様、奥様っすか!? あたし『奥様』なんて呼ばれたの初めてっすーーー!!!!」ピョンピョン
主人「こ、こら、はしゃぐな、お客様の前で……」
商人「若い方は元気なのが一番ですよ」
商人(こうして見てるとほんとに親子みたいだが、10歳くらいしか離れていない夫婦なんだよなあ)
664 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2020/02/16(日) 21:04:36.26 ID:BgmEBtxm0
主人「とにかく、平凡な家庭料理しか出せないとは言え、宿には食事も大切ですからね」
主人「大事な食事を作る大事な鍋は大事に使いたいわけですよ」
主人「安物買いの銭失いになるくらいなら、多少値は張っても信頼できる品質のものを使いたい」
主人「と、考え方を変えたわけです」
商人「ええ、ええ、わかります……」
商人「人間は守りたいものができると、常に目先の効率だけを考えるのは必ずしも得策ではない、と思うようになります」
主人「守りたいもの……」チラ
従業員「……」ポッ
主人「な、何を赤くなってる!?」
従業員「お、おやっさんこそ、なんでこっち見たんすか!?」
商人「」
商人「えー、コホン……」
主人「」ハッ
主人「す、すみませんでした、見苦しい所を……そ、そうだ、もうすぐお昼になりますが」
主人「商人さん、お昼ご飯はお家に戻られて摂られますか?」
商人「え? うちの者には外食して来ると伝えていますが、何か?」
主人「あの、もしもよろしかったらですが、うちで食べて行きませんか? もちろんお代はいただきません」
主人「さっき申し上げた通り、平凡な家庭料理なので、商人さんのお口には合わないかもしれませんが……」
商人「え、私には嬉しいお話しですが……宿のお客様は……」
665 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2020/02/16(日) 21:09:09.28 ID:BgmEBtxm0
主人「いやあ、実は連泊の3人連れのお客が昼はここで食べる予定だったのですが……」
従業員「商人さんがお見えになるちょっと前に、急用だとかで帰っちまったっす」
主人「船の時間に間に合わない、と、大慌てでした」
従業員「もう出来上がっていたのに……」ショボン
商人「そ、そういうことでしたら……ありがたく」
……
商人「これはうまい……ご主人は謙遜されていますけど、すばらしい料理の腕をお持ちで」
主人「そ、そんな、舌の肥えておられる商人さんに」
従業員「普通には美味しいっすけど……あたしはもうちょっと香辛料と酸味を効かせた方がいいと、いつも思ってるっす」
主人「いつも言ってるがお前の味覚を基準にするなと」
商人「いやいや、実に心安らぐ味です……ご主人はどこで料理の修行をされたのですか?」
主人「いやー、おr……私の料理は母親の直伝でして……」
商人「親御さん……確か、この宿を以前に経営されていたのはご主人と違う苗字でしたね?」
主人「ええ、この宿は父親の親友から譲り受けたものです、私ゃ農家の四男坊ですから、母親も普通の農民です」
商人「母親直伝……普通の農民……」
商人「…………」
商人「それです!! それですよ!! ありがとうご主人!!」
主人&従業員「「はい?」」
商人「そうだよ、『家庭料理を振る舞う職業』だって成り立つんだ……!!」
……
666 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2020/02/16(日) 21:09:36.73 ID:BgmEBtxm0
※本当ごめんなさい、あと兄妹達も野獣サイドも出て来ない地味回ですみません※
667 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/02/17(月) 01:04:08.31 ID:WTb8ZoMtO
乙ですいつまでも待ちますよ
宿屋夫婦も可愛くて好き
668 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2020/06/21(日) 22:31:03.01 ID:5S1oSgum0
その夜、商人の自室。
商人「しっかり封をしてと……師匠様の手紙に返信方法が書かれていたっけ」
商人「同封されていた、魔法陣だっけか、これが描かれた紙を広げて……」ガサガサ
商人「真ん中に返事の手紙を置く」カサ
商人「おっと、封筒の裏側……私の署名を魔法陣に触れさせるのだった」クル
商人「で、真上からは覗き込まないようにせよと……少し離れるか」スッ
商人「……」
魔法陣:チカッ
商人「お、光った」
商人「小さなランプ程度のまぶしさだな……しかし見慣れた炎の色ではなく青白く輝いている」
商人「……魔法陣が光と共に手紙を中心部に吸い込んで行く……魔法陣そのものも消えた、ただの白い紙に……」
商人「……」
商人「私は、大概の人が一生かかっても出会わないような体験をしてしまったのでは?」
商人「珍しい体験……」
商人「……今更か」
商人「野獣に出会った時から続く数々の不思議な出来事より、それをあっさり受け入れている自分に驚くよ」
商人「さて、師匠様と菫花君、そして野獣、私の意見をどう捉えてくれるかな」
……
669 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2020/06/21(日) 22:34:40.66 ID:5S1oSgum0
※話は進まなくて繋ぎの回です…このところ色々思うことあって書けませんでしたが、これから復帰します※
670 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/06/22(月) 02:29:20.31 ID:4JrRoX2gO
乙
コロってたんじゃなくて良かった!!
671 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/14(月) 17:47:47.97 ID:gg7oyO++0
復帰とは……
672 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2020/09/22(火) 23:44:45.52 ID:EY908xQe0
野獣の屋敷、師匠の自室。
魔法陣:ぽわーん……
封筒:パサッ
師匠「おう、商人殿からの返事か」
師匠「ずいぶん早く書いてくれたのだな、どれどれ」ガサガサ
師匠「ふむ……」
師匠「……なるほどな」
師匠「儂もあの宿には世話になったし、いかにも家庭料理な食事は確かに美味かったが」
師匠「ここまでは考えが及ばなかった、さすがは商人殿」
師匠「『かと言って、南の港町の宿とは立地条件が違うので』……ふむふむ」
師匠「『都会から田舎へ避暑や保養に来る人々』を相手にした商売……か」
師匠「森に一番近い村は、国境にも近いせいもあり、意外と旅人が訪れる」
師匠「商人殿はそこに目を付けたようだな」
師匠「商人殿の直接の知人はいないが、伝手が全くないわけではない、店舗や協力者を探してくださる……と」
師匠「ありがたい申し出だ」
673 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/09/24(木) 02:29:10.16 ID:wBXCkvQxO
乙です
674 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2020/11/25(水) 00:10:51.30 ID:zLtAHv7w0
…………
数日後……
家政婦「旦那様、こちらは携行食です、あと防寒具はこちらに」
商人「ありがとう家政婦さん」
商人「では、留守を頼むぞ長兄」
長兄「ああ、父さんも気を付けて……馬を連れて来るよ」
次姉「向こうは寒いから、風邪ひかないようにね」
長姉「それにしても……末妹は学校に行く前に挨拶を済ませたから良いものを」
長姉「お父さんの久しぶりの長旅だってのに、次兄ってば寝坊なんかして」
商人「はは……昨日あいつは末妹の学校へ行って、特別にお願いしていた模擬試験を受けさせてもらったんだ」
商人「次兄には10年ぶり……いや、あの時は教室にも入れず終わったから……実質初めての通学」
商人「相当疲れてしまったんだろう、ゆっくり寝かせてやろう」
長姉「私達も教わった先生達もいるのよ、学校で恥ずかしい真似しなかったでしょうね」
商人「先生のお話しでは、試験は真面目に取り組んでいたそうだよ」
商人「同じ校舎で授業を受ける末妹に恥をかかせる真似はしないさ」
次姉「半日緊張しっぱなし……か、そりゃ次兄なら疲れるわ」
長姉「美術学校に合格したら毎日通わなきゃならないのに、先が思いやられるったら」
長姉「ま、それはともかく……本当に気を付けてねお父さん」
675 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2020/11/25(水) 00:11:45.81 ID:zLtAHv7w0
商人「ふう……大袈裟だな、長旅とか」
商人「西端都市の用事を済ませたら、北の国境近くの村へ立ち寄って、あとはまっすぐ帰るよ」
次姉「今回は西端都市の用事が大変なんでしょ?」
次姉「商談が済んだら、親戚おじさま達と……」
商人「彼等に戦いを挑むわけじゃない、敵陣とか言う次兄に呆れていたのは次姉だろう?」
商人「親戚1さんも上手に取り持ってくれるさ」
次兄「でもあの人、いまいち頼りないような……」
商人「いいや信用できる人だよ、お互い過去を清算し今後のために有意義な話し合いになる……してみせる」
商人「って、いたのかい次兄!?」
長姉「いつの間に起きて来たのよ!?」
次姉「心臓に悪いから気配消さないでくれる!?」
馬「ぶるるひん(おはよう)……」カッポカッポ
長兄「やあ、自力で起きたのか次兄……なんで長姉と次姉は恐い顔しているんだ?」ガシャ
家政婦「(馬車に馬を繋ぐ)お手伝いいたします」ササッ
長兄「あ、ありがとう家政婦さん」ガチャガチャ…
次兄(ほほう共同作業ですな)
商人「二人ともありがとう……よろしく頼むよ愛馬」ポン
馬「ぶひひひひん(こちらこそ)」
676 :
◆54DIlPdu2E
[saga]:2020/11/25(水) 00:12:31.73 ID:zLtAHv7w0
……
次姉「……行ったわね、とりあえずお天気が良くてよかった」
長姉「それにしても……北の国境近くの村での用事って、何なのかしら」
次姉「仕事と全く無関係でもないけど個人的な用って言ってたわ」
長兄「なんだお前も詳しくは知らないのか」
次姉「あら……兄さんも知らないの?」
次兄「俺も知らないよ」
長姉「あんたが知ってるとは誰も思わないわ」
次兄「ですよねえ」
……
町の学校……休み時間
わいわいがやがや……
末妹(お父さんもう出発したかな……)
末妹(北の国境近くの村って、野獣様のお屋敷……あの森に一番近い村よね)
末妹(お父さんが言うには、師匠様からのお手紙に関係した用事……だって)
末妹(いずれ私達みんなに話すから、師匠様のご意向もあるので、とりあえず手紙がきた事も黙っててくれ……とも)
末妹(師匠様のお考えなら、お屋敷の誰かに関係あることだろうなあ)
友2「末妹ちゃん、何ぼーっとしてるの?」
末妹「あ」ハッ
友1「考え事してたんでしょ?」
友3「えへ……さっきの問題の答え、どうしてこうなるのか教えてくれる?」コソコソ
末妹「さっきの問題ね、えーと……」
……
677 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2020/11/25(水) 00:13:55.39 ID:zLtAHv7w0
※忘れてはいません…すみません。間が空いてしまったので読み返し思い出しながら書いています…※
678 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/11/25(水) 02:49:44.91 ID:PN2zQ4FqO
乙
久しぶりの次兄と末妹ちゃんウレシイ…
679 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/04/13(火) 18:43:28.84 ID:ZD8iegGRO
やっと復旧したか…とりあえず保守
680 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2021/11/25(木) 03:06:32.49 ID:JpTEDRvzO
ただただ悲しい
駆け足になるとしても1スレで終わってたら良かったのかな…
681 :
◆54DIlPdu2E
[sage]:2022/11/20(日) 22:37:31.54 ID:ma7kUVb00
2年も放置して本当にすみません
近いうちなんとかします
682 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2022/12/19(月) 17:37:43.17 ID:JUL2TufY0
はい
683 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2022/12/19(月) 18:11:58.23 ID:nV0VJ+tE0
はい
684 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2022/12/31(土) 21:36:32.31 ID:HOhWDrlh0
全然再開しなくて草
685 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2023/01/09(月) 18:02:12.20 ID:98/S2SPl0
…………
さらに数日後、北の国境近くの村……
商人「……というわけで、旅行者が旅先でお茶の時間を楽しむのも悪くないと思うのですよ」
商人「隣国や北辺都市への通過地点として一泊するだけではなく」
商人「この村やその周辺、そのものを目的にする旅行者が増えるかも」
村長「ふむ……しかし、この村の宿兼酒場の規模では、お茶の時間に飲食を提供できる余裕まではありません」
村長「商人さんもご覧になったでしょう?」
商人「はい、村長さんの妹さん夫婦が経営しておられる、村唯一の宿ですね」
村長「昨年、北部街道の整備が終わってから村を訪れる旅行者も急増し、忙しいと日々ぼやいております」
村長「まあ嬉しい悲鳴なので、贅沢な悩みですが……」
商人「ですから妹さん達のご負担を増やさないように」
商人「カフェの切り盛りはこちらの紳士とそのご家族が一切引き受け、売り上げから村へ建物と土地の借用代を支払う形になります」
師匠「ええ、この儂が経営者となります」
村長「酒場の裏の空き家……あのボロ家に家賃が発生するとは有り難い限りです」
村長「しかし、美しい店に改装したとて、提供する軽食、お菓子、お茶がどのようなものか……」
商人「百聞は一見に如かずです」
商人「こちらに試食を用意しております……師匠様」
686 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2023/01/09(月) 18:03:24.73 ID:98/S2SPl0
師匠「うむ、村長殿、こちらのクッキーとブリオッシュを……いずれも儂の『家族』が今朝焼き上げたものです」
村長「ほう、見た目は非常に美味しそうですな」
師匠「あと紅茶を……少々お待ちください」
師匠(商人殿、村長殿の意識を10秒ほど儂から逸らしていただけますかな?)ヒソヒソ
商人(え、10秒? や、やってみましょう)
村長「……」サクサク
村長「……これは美味い!?」
商人「でしょう、絶品ですよね!!」
商人(アナグマの料理長さんのクッキーはね)
村長「この軽やかな歯ざわり、ほどよい甘みと鼻に抜ける良質なバターの香り、そして表面にあしらわれたサクランボの砂糖漬けの甘酸っぱさがアクセントとなり……」
商人「村長さん?」
村長「芸術……クッキーの芸術品と呼んでも過言ではない、ブリオッシュはどうだ?」パク
村長「……お、おお、おお」モグモグ
商人「あ、あのー……」
村長「新鮮な牛乳と卵を練り込んでいるな、それに、この天使の羽根のようにふんわりとした焼き上がりの中にも、力強い生地の存在感を感じる……」
村長「発酵時間と焼き上がりの見極めが絶妙なのであろう、これぞ達人の仕事……」
商人「……えーと」
687 :
◆54DIlPdu2E
[sage saga]:2023/01/09(月) 18:04:02.45 ID:98/S2SPl0
師匠(商人が気を逸らさんでも見つかることなく瞬間移動で屋敷に行って戻って来れた)
師匠「さあ、淹れたての紅茶をどうぞ」カチャ
村長「む? 茶器セットや熱湯を持参していたようには見えなかったが……いい香りだ」ズー
村長「ほ、ほおおおおおおおおお……」カタカタカタカタ
商人(いかん、また別世界に飛び立ちかけている)
商人「ねっ村長さん、お茶も美味しいでしょ!?」
村長「ハッ」
村長「そ、そうですね……茶葉と水も良質だろうが、よほど上手に淹れなければここまでその良質さを引き出せないでしょう……」
師匠(ウサギのメイドが淹れたとは思いもよらんだろうがな)
村長「このすばらしいお茶やお菓子を提供し続けることができるとして……」
村長「こんな田舎の村に、昼下がりから夕方までの短時間限定の開店では勿体ないほどですよ」
村長「逆に、限定だからこそ品質を維持できるのかもしれませんが」
村長「よろしい、開店の許可を出しましょう」
商人「あ、ありがとうございます!!」
村長「むしろこちらからぜひにとお願いしたいくらいです」
村長「その……旅行者の少ない時は、村の者が立ち寄っても構わなければ」
商人「師匠様」
師匠「もちろんです、どなたにでも楽しんでいただける店を目指しますとも」
師匠(……さて、建物と売り物は準備万端)
師匠(あとは店員、か)
……
688 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/01/12(木) 22:29:01.75 ID:hcWTnrbW0
乙
腹減る飯テロ
689 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2023/05/15(月) 21:24:17.29 ID:sruQ6Llc0
再開したのかい?してないのかい?
どっちなんだい!?
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