「『須賀京太郎』とは、あなたのそうぞう上の存在に過ぎないのではないでしょうか」

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572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 10:31:44.97 ID:vmYyVITs0
乙。
まあ麻雀の牌が偏るとかそんなレベルじゃないガチのオカルト現象っぽいしね。
鹿児島の面々は、麻雀でオカルトを起こせる人々じゃなくてホンマモンのオカルト世界の住人がたまたま麻雀やってる、て感じだし。
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 10:38:10.91 ID:onaVX+kL0
永水の中でも大抵は霞さんが黒幕
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 11:59:07.40 ID:1JqVLNHAO
>>571
来てくれって言ってるだけでまだ永水のせいって決まったわけじゃないから
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 13:09:19.28 ID:TlihaX1WO
超常現象の永水と金の龍門渕は二大便利高校だからしょうがないね
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 20:44:10.06 ID:40KI92bAO
乙です

今まではみんなが覚えてないことへの戸惑いに手一杯だったけど、落ち着くと、じゃあ京ちゃん何処だよと
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 00:33:04.62 ID:7RrZ1KYR0
京の字・・・・・・!!
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 02:11:32.40 ID:p3Nh6D2Vo
乙!ショートの方も楽しみにしてる

ちょっと前まで言ってること支離滅裂なホラー的印象だったけど
今回の両親の悲しむ場面の方がグッとくるものがあった…
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 16:16:15.25 ID:cXHxF0xpO
超常現象って意味だと宮守も大概だけどな
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 18:12:27.36 ID:R2xBETxA0
オカルトの永水、資金の龍門渕、ガチホラーの宮守、泣き顔もかわいいのクロチャー
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 20:33:24.97 ID:yiPweYBSO
>580
心理だな
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 20:34:47.45 ID:yiPweYBSO
>>580
真理だな

誤字と間違え
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/28(火) 00:50:46.44 ID:BiNRIOD7o
>>580
ええやん・・・
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/29(水) 13:04:47.37 ID:RRi8JT5k0
ムダヅモ無き改革
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/07/02(土) 00:51:28.89 ID:JEeKr9jXo
異論なさ気なので生存報告はショート投下で行います
現状は4〜5回くらいを予定、難航したらそれ以上の可能性もありますが

ちなみに対象は安価、というかこのレスより下10くらい迄で名前が挙がった中から内部的な順位付けで決定
条件はSS内で出てきたキャラ、もしくはインハイ終了時点で繋がりがありそうなキャラ、その繋がりのありそうなキャラの周辺のキャラ、このSS内でいう『オカルト』の強いキャラ
繋がりの「ありそう」なキャラの場合はその理由もあると採択の可能性が高まるかもしれませぬ

キーパーソンが選ばれない可能性もありますが、選ばれなくても結末に影響しませんし、むしろ選ばれないほうが良かったという可能性もあります

なのでまあ、気分でお好きに挙げて下さい、あくまでもおまけなので
生存報告までに、誰も挙がらなければ……ちょっと怖いことになるかもしれませんが、まあ           
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 00:56:57.59 ID:ddBXMWQ30
霞さん
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 01:01:35.13 ID:Foe+myiC0
はっちゃん
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 01:08:26.87 ID:FeemAijco
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 01:09:28.37 ID:FeemAijco
あ、すまん条件ちゃんと読んでなかった。菫は無視してくれ
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 01:12:09.89 ID:vr/t8jflo
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 01:15:18.91 ID:gjXp4SKxO
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 01:20:33.57 ID:WyRytfNho
穏乃

繋がりとしては和経由で
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 01:50:21.59 ID:ru64G8Iu0


理由は好きだから。 というのは置いといて、はぎよしとの繋がりで面識はまず確実にありそうな中で最もオカルトが強い子だからね
永水組と同じくらい、元々がオカルト世界の住人って雰囲気があるし
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2016/07/02(土) 02:05:32.22 ID:hiGvMAUjO
霞さん
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 02:19:53.73 ID:qUcI93L8o
シロ

個人戦に出場してるかもしれないし、マヨヒガってのが今回の京太郎が消えた現象と似てるので
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 12:16:00.75 ID:92xVUxGfO
モモ
意図的に認識しようとしたら確認できるが、意識しないと気づけない能力は現在の京太郎とだいぶ似てる気がする
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 12:35:12.66 ID:+3pLPPdoO
小さいけど一番頼りになるはっちゃんで
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/09(土) 23:48:07.15 ID:yN40qoNH0
不遇?
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/07/10(日) 20:53:22.73 ID:DIlkg2zgo
生存報告が本物の生存報告感

一応5人かな、選択理由はSS後に希望あったら貼る感じで
というかホント結構挙げてくれたのでビビった
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/07/10(日) 20:59:24.74 ID:DIlkg2zgo
《4》


悪石島に顔を出そうか、と考えていた時、彼女が来ました。



ヒチゲーでもないのに、ボゼの神様がいつもと違う気がしたのです。

今の頃でボゼの神様に関係のありそうなものといえば、悪石島でもうすぐ行われる盆踊りでしょうか。

ただ、例年は人の為すままに任せ、今までは盆踊りの時期だからといってこのような感覚を抱くことなどありませんでした。

何か、今年は特別なことでもあるのでしょうか。



現地なら、なにか分かるかも知れませんけど。



そう思いながらも、島に行くかどうかを迷っていたのには理由がありました。

実は、その感覚は今さっきのものではなく、ここ数日続いていたのですが、同時期に姫様も違和感を抱いていたようなのです。

姫様は対話型の巫女ではなく、だからこそ姫様が抱かれた違和感というものがとても大きく取り沙汰され、昨日までは本家内がてんやわんやとしていました。

そんなてんやわんやも今日には収まり、落ち着いてみるとそういえば、とボゼの神様の違和感を思い出しました。

しかし始まりから数日経っていて、今でも忘れる程度の微弱さということ。

そして姫様の件で様々に調べても、何ら問題が見つからなかったという結果を既に知っていたので、正直島にわざわざ行くほどのことだろうか、と迷っていたのです。






そんな時、彼女が来ました。

601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/07/10(日) 21:02:45.26 ID:DIlkg2zgo

「あら、いらっしゃいですよー」

「おじゃまします。……久しぶり?」

「いや、インターハイで会ってるじゃないですか」



──彼女、宮永 照。



「いや、なんだか、ここで会ったから」


ああ、そういうことか。


「確かに、ウチで会うのは久し振りですねー。また何か見えたんですか?」


宮永さん……いや、今はこれだとややこしいんですね。

宮永照さんは、私達がとある意図で参加している麻雀の高校生全国大会の強豪で、麻雀仲間としての繋がりがあります。

しかし、それ以上に関係深いのが、神代の『本業』との繋がり。

ここ最近は、本家には顔を見せていなかったですが。
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/07/10(日) 21:10:16.83 ID:DIlkg2zgo


「違う……けど、同じような感じ」

「姫様と霞ちゃんに話は通してますかー?」

「石戸さんに連絡したから、大丈夫」


じゃあ、と敷地の中を勝手知ったるとばかりに進んでいきます。

その背を見送りつつ、私は宮永さんが来ることを知らなかったですが、と思ったところでそもそも霞ちゃん達と昨日から会っていないことに気づきます。

普段は姫様から離れるということはあまりないのですが、流石に人手が不足して、年長者の私がメッセンジャーとして神境を行ったり来たりしていましたから。

人手不足は珍しいですが、数日間全国四方八方に手を伸ばしていたら当たり前というものでしょう。

姫様の感覚はそれほどに重要なのですよ。

今回ほど大規模なのは、結構珍しいですけど。






まあ、とにかく。



くるりと踵を返して、ててて、と宮永照さんを追いかけます。

とりあえず、皆に挨拶して行きましょう。



島に顔を出すかどうか決めるのは、それからでも遅くないでしょうから。



                                                                                                             《4-薄墨初美》
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/07/10(日) 21:14:01.13 ID:DIlkg2zgo
皆様、体調管理には十分お気をつけて
自分は無事、死にそうです

ではまた
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/10(日) 21:45:12.84 ID:vWpMB0js0
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/10(日) 23:43:59.72 ID:mfAX9Rd40
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/11(月) 00:28:05.59 ID:rgZ4S/Fy0

生きるんだ
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/11(月) 02:26:06.47 ID:uO8LuuZ60
生きろ
そなたは美しい
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/17(日) 22:29:08.29 ID:euUHTToHo

君死ニタマフ事ナカレ
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 01:56:46.29 ID:CA8tU/R00
お大事にな
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/23(土) 02:28:16.49 ID:O/sXnRqx0

お大事に
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/22(月) 17:13:23.77 ID:CB7r+Z/AO
保守
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/27(土) 01:14:00.66 ID:js9+oq6wo
《3》


「シロはここ最近、あまり悩まないね」


熊倉先生に言われ、顔を上げる。


「そういえばそうだね、なんか最近少ない気がする」

「そーいえば」


塞と胡桃も言う。




そうだろうか、と思い返す。

でも、面倒くさいから思い返すのはやめよう。


「そうなんだ?」


聞くと、


「言われてみればそーかも?」

「ソーカモ!」


豊音とエイスリンも言う。

皆が言うならば、そうなのだろう。


「……その様子だと、何か意図があってとかでは無いんだね?」

「まあ、別に」

「考えてみると、ここ最近のシロって大きな手とかあまりなかったよね」


塞がなんだか考え始める。


「迷う機会が無かっただけじゃないの?」


胡桃が言う。

613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/27(土) 01:24:23.87 ID:js9+oq6wo

迷う機会とは、なんだか変な言葉だ。

でも、ああ、なんだか身に覚えがある気がしてくる。


「あーでも、ちょっと迷う時はあった」

「へー、そーなんだー?」


豊音が言う横で、エイスリンは画板を抱え込んでいる。

そこに描かれていたのは、道を彷徨く私の絵。


「でもー、ちょっとで終わっちゃったんだー?」

「そんな感じ」


何やら考えていた塞が、首を傾げる。


「え、なんで? 面倒くさくなったとか?」

「んー」


なんでだったか。

面倒くさくなった、というのは自分で言うのも何だが一番ありそうな話ではあるのだが、そうではないような気がする。

元々、迷うのは結構だるいのだ。

迷い始めたところで辞めるのも結構だるい。

なので、『面倒くさい』が理由で迷うのを辞めたというのは無いと思う。



むしろ。



思い出してくる。

そうだ、迷うのを辞めたのは、なんというか。




迷った行き先がない感覚。





「……いや、違うか」

「?」

614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/27(土) 01:36:13.97 ID:js9+oq6wo


行き先が無いと言うか、なんというか、行く前に店が満席であるのを知る感じ。

迷いかけた所で、他に選択肢が無ければ迷うことはない。

考える余地も必要もない。

ダルくない。



ここ最近は、ずっとそんな感覚だった。



「まとまった?」

「あー……」


でも、これを伝えるのはダルい。


「シロ。もしかして、迷ヒ家が慌ただしいとか、そんな感じかい?」


熊倉先生が普通に聞いてきて、頷く。

いつもながら、全てを知っているような人だ。

お陰で、面倒が少なくてありがたい。


「そうかい」


先生は、一人納得したらしい。


「ええと、それで、シロは大丈夫なんですか?」


塞が少し心配そうに聞く。


「ああ、大丈夫さ。迷ヒ家が使えないってだけで、特に影響はないよ。何にせよ、すぐに元に戻るだろうさ」


何か確信をもった声。

それに、皆は安堵する。


しかし私は、その後に小さく呟かれた言葉を聞く。


「そう、何にせよ、すぐに」


その言葉は、多分、ここではないところに向けられていた。


615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/08/27(土) 01:38:22.89 ID:js9+oq6wo


なんだろうか、と思ったところで、胡桃がもう一度打とうと言う。

この場所にいられるのも、もう残り数ヶ月。

何がなくともこの部室に集まる中でも、胡桃は特に熱心だ。



熱心なのは、良いことだ。

しかし、朝から打っていて、今はご飯を食べた後。

そろそろダルい。



私は、席に座ったままずりずりと離脱を試みるが、椅子の動きは途中で止まる。

首を仰向けて後ろを見ると、にっこりと笑ったエイスリンが椅子の背をつかんでいた。


「ヤロ?」


はー、やれやれ。






                                                                                                             《3-小瀬川白望》
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/27(土) 02:27:55.41 ID:JpcYV7gN0
迷ヒ家に迷い込もうとしたら先客がいて入れない……?
K「はいってまーす」
いやいやいやいや
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/27(土) 09:55:23.20 ID:2Gh5SMzx0
面白い
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/27(土) 12:08:40.14 ID:vd5sXAyI0
え、京ちゃん迷ヒ家にいるの? ていうか行けるものなの?
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/27(土) 15:25:55.08 ID:gpMmdVY20
満席とか慌ただしいのあたりから
迷ヒ家に色んな次元の京ちゃんがわらわらいるのを想像してしまった
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/27(土) 22:16:26.68 ID:Y1fn6YLDO
来てたか乙
待ってるから無理しないで
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 09:58:00.92 ID:HUt4o1ye0
乙!!
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/29(月) 23:09:08.87 ID:cj33J5dH0
>>618
行けるものなの? って、そもそものマヨヒガというものを何だと思っているのか
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/31(水) 08:45:57.17 ID:WEZrZb8a0
何か怖いな
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/02(金) 21:08:09.27 ID:E/dilvWRo
乙 期待
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/11(日) 14:14:54.25 ID:f/XeK7IQ0
ショート投下とかやってるSSでろくに完結させたのあったっけか?
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/12(月) 04:42:00.63 ID:P27pkyoso
まだかな
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/15(木) 08:12:40.00 ID:MZvQqStkO
【名前】 秋田 美羽 あきたみう
【性別】 女
【容姿】 長身だが胸はそんなにない
【性格】 常に余裕ぶっており超然としている
【学年】 2年
【高校】 清澄
【特記】観察力が強く相手の考えを予測できる
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:01:55.50 ID:Anpj8V/0o
《2》


これは、どう考えるべきだろうか。

宮永さんから聞いた話を、再度頭の中で整理する。



なんでも、妹さんの友達の男性(……彼氏さん?)が居なくなった、という話だ。

しかも、失踪ではなく消失に近いソレは、言ってしまえば「普通ではない」事象だった。

普通であれば、発言者の妄言・妄想や、精神的な病を疑うほどのものだろうと思う。

でも、「普通ではない」ものこそが、私達の領域。

話を聞くに、この話は私達の領域の話か、もしくはそれに近いものであると思う。

けれど、私が悩んでいるのは、そのことではなかった。




時期が、あまりにも符合している──そのことを、どう考えるべきだろう。




629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:03:32.16 ID:Anpj8V/0o


今、神代の家はかなり慌ただしい。

ようやく落ち着いてきたとはいえ、昨日まで初美ちゃん達までも駆り出して、色々と情報をやり取りしていたのだ。

全国津々浦々、大事小事を様々に、有識者無識者別け隔てなく。

繋がりを最大限に駆使して、異変の有無を確認していた。

その原因は、小蒔ちゃん──神代の姫様の違和感。

630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:08:00.86 ID:Anpj8V/0o


小蒔ちゃんは、憑依型の巫女だ。

その能力は何処までも強く、高天原の神々をその身に宿しても些細な悪影響すらない。

しかし憑依型は、一体化することで神の力を限りなく純粋に引き出すことを可能とする代わりに、一体化する故に身に宿す神との対話の機会を持たない。

小蒔ちゃんが神の「所作」を知ろうとすれば、他の神職者と同じように儀式を執り行うか、そうした能力を持つ者に助けてもらわなければならないでしょう。




その小蒔ちゃんが。

その日、朝起きて、ぼんやりとしながらこう漏らした。




「……皆さん、何をそんなに慌てているのでしょう」


              ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
起こしに来た、 私しか居ない寝室で。

631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:12:29.77 ID:Anpj8V/0o

その後、どうなったかは言うまでもない。

相談役の様な立ち位置に居る祖母が飛んできたように現れて、姫様の言葉を聞くに、



「私の体を借りようとして、それに意味が無いと気づき離れていった。そんな感じがしました」


「その時に感じたのは、喪失と填補。──まるで、弔いのような」



そう、言った。



喪失と填補。

失い、それを埋め合わせる。



そのあまり穏やかではない単語と、小蒔ちゃんの体を使っても意味が無いという状況に、霧島の専門家たちはそれぞれの分野ですぐさま行動した。

神降ろし、神託、占い。様々なものを試みたが、どれも異常はないとの結果だった。

でも、安心はできない。

それらは全て、神に答えを問うものだから。
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:15:08.38 ID:Anpj8V/0o


人と神は、存在の次元が異なる。

その為、神々の問題であっても人の問題ではないこと、人にとっては問題であっても神々にとっては問題ではないことがあったりする。

神と神の間ですら、隔絶が多々あるのだから、当然といえば当然かもしれない。

また、人にとっての要不要を神々が確実に把握しているとは言い難く、神々が人とは無関係と告げずにいた物事が後に大事となることも過去にあった。



だから、祖母は即座に情報を広めた。

今度は人に、答えを問うために。

霧島──神代は、全国に太い情報網を持つ。

政にも深く関わりがあるから、直接的に繋がりがなくとも様々な分野・場所へとその手は届く。

つまり、広がる先は、全国のほぼ全てと言っていい。

633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:17:16.10 ID:Anpj8V/0o

そんな想像も絶する数の場所へと、その日の内に情報は伝わり、考察され、早いとその日の内に結果が帰ってくる。


考察の内容は中継点である程度絞られてくるのだけど、それでもその量は膨大だ。

早急の事態である可能性もあるため、専門家でチームが組まれ、時には神々の御力を借りてそれを処理する。

私も、その一人だった。



そしてようやく、戻ってきた情報の殆どを処理したのが、今朝方の話。

寝て、起きたのがちょっと前のこと。

半ば寝ぼけながら、人と会うことを思い出したのは先ほどのこと。

そして今、その眠気は吹き飛んでいる。

634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:18:42.46 ID:Anpj8V/0o


昨日、恐らく夜分に、宮永さんから連絡があったことは覚えている。

宮永さんは、高校麻雀では小蒔ちゃんと共に【牌に愛された子】と称される女の子の一人だ。

私たちに言わせると、【神に愛された子】の一人。

その力は強く、中でも『本質を見抜く力』の潜在能力は神の力にも匹敵する。

麻雀の関係者は、私達を高校麻雀のインターハイで知り合った仲だと思っているようだけど、実は彼女が中学生の時にはもう既に関わりがあった。

麻雀ではなく、神代の本業としての関わりが。

だからこそ、私達は彼女の能力についてよく知っていた。

その彼女から、連絡があった。

635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:20:00.48 ID:Anpj8V/0o


その時には、小蒔ちゃんのことと何か関係があるのではないか、と思ったのだ。

だから、詳しく話が聞きたいと交通手段を手配し、来てもらった。


でも、眠りから覚めた時にはその考えも霧散していた。

全国から集められた情報、戻ってきたそれらの考察が全て処理し終わっていたためだ。



結果は、正常。



災害の起きる予兆などは皆無で、少なくともこの世界での異変は起きていない。

所々、同じように神々がざわついているところなどがあるようだけど、現世への影響は確認されなかった。


様々な視野から、数多の論点をそれぞれに考察しての結論。

なら、正常なのでしょう。

そう考えた。


今回は小蒔ちゃんが神と感情を交わしたという異常があったために大事になったけど、元々内容自体は注意・警告といったものではなかったのだから、おかしな結論でもない。
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:21:18.99 ID:Anpj8V/0o

だから、あまり関係のない事象だろうと思ったのだ。

思い返してみれば、男の子が一人居なくなったというあまりにも局地的な事象。

仮に神隠しだとしても、今回の考察の中には神隠しがあったという報告はなく、長野方面の情報にも怪しいところは見当たらなかった。

ということは、姫様のこととは無関係だろう。


そう思った。





でも、話を聞いて、考える。



637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:30:21.72 ID:Anpj8V/0o



三日前なのだ。


小蒔ちゃんが、神と感情を交わしたのは。





   ・ ・ ・ ・ ・    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・    ・ ・ ・ ・ ・
 『須賀京太郎 』 という少年が消えた三日前と、同じなのだ。



638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:32:15.61 ID:Anpj8V/0o


これは、偶然なのだろうか。



消失した少年。

喪失と補填。



偶然と言うには、出来すぎている。

しかし、それを必然と言うことは、難しい。

一つ、確実に言えることがあるから。




神は、人の喪失に無関心だ。



小蒔ちゃんですら、その喪失に悼んでは貰えないだろう。

薄情や冷酷なのではなく、そういう存在なのだ。

もちろん例外はあるが、極々稀と言っていい。

だから、少年の消失と、喪失には関係がないはずだ。

少年が一人、居なくなった所で神々にはなんら意味のないことなのだから。

639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:34:05.83 ID:Anpj8V/0o



「──わかりました、調べさせていただきます」



ようやく発した声に、宮永さんは頭を下げる。

頭のなかで段取りを描きながら、考える。

時期が同じなのは、なんら必然性のない、偶々のことだったのだろう。



おそらく、偶然だ。


偶然なのだろう。




しかし───





───偶然では、ないとしたら?




                                                                                                             《2-石戸霞》
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/09/24(土) 04:45:29.66 ID:Anpj8V/0o
ひと月くらいかけて、先ほどようやく積んでいたARIAを読み終わり、読み終えてなんか息苦しくなった勢いで投稿。
……今日も仕事なのにこんな時間まで何やってんだろう

641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/24(土) 06:44:00.81 ID:Q6UpB1jvO
おつ。
続きがたのしみ
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/24(土) 08:37:12.81 ID:zutnQpxko
おつおつ
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/24(土) 10:42:27.13 ID:OYWS1nnyO

続きが楽しみだ
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/24(土) 12:28:40.90 ID:0VM38tfSO
なんだ黒幕じゃなかったのか
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/25(日) 14:45:02.48 ID:cWM+JUf80
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/10(月) 01:11:19.26 ID:m/plMtn50
続き来てた

よく考えられてて面白い
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/16(日) 16:32:40.41 ID:Rckz5nLho
>……今日も仕事なのにこんな時間まで何やってんだろう
それ以上考えてはいけない
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 00:52:02.89 ID:ZmbPTUWfo
待ってます
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 17:08:41.04 ID:8VM26ETPo
待ってんだよ おう 待ってんだよ
ARIA読んで苦しくなるなら待ってる人のレス読んで苦しくなろう?
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/30(日) 21:59:06.38 ID:8/GcywODo
申し訳ない、自分も今日予定だったのだけど今仕事から帰ってちょっと限界っす。
起きたら投下します。
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 22:11:24.99 ID:pBYz5HX/o
ねんねんころーりよ おねむりよー
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 08:25:06.04 ID:TnCKc997o
普通に寝てしまった……
夜投下
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 08:34:02.30 ID:Uzf5nHJRo
待ってる
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 17:01:55.93 ID:CcYd2dr9o
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/01(火) 03:41:17.98 ID:5AP3Lph3o
あかん、考えがまとまらん。
明日?今日?超えればしっかり睡眠取れるんで、水曜に透華にします。
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 21:18:46.56 ID:zwzk1Znao
そうか、もんぶちのしわざか!(おやすみなさーい)
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/02(水) 10:01:16.48 ID:gEUTVgULo
待ってます
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/02(水) 23:34:23.91 ID:mI+Zg/sJo
《1》


龍門渕家の別館。

窓際に椅子を寄せ、空を見上げる。

今宵の月は白が際立つ。

いや、ここ最近はずっとそうだ。

これは己が心の中の投射なのであろうか。

659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/02(水) 23:35:58.01 ID:mI+Zg/sJo


輓近、妙なざわつきを感じている。

それは夜に僅かに強くなり、朝にはもう忘れているようなものである。

夜に強くなる理由は分かっている。


月。


予てから己が友であった、空浮かぶ半身。

その存在が、昼間には感じるまでもない予兆もしくは余波を感じさせるほどの過敏さを齎している。

しかし、その齎される感覚が、如何なるものであるかを知る術がない。


如何にせん。

そう思いつつ、虚空に向かい呼びかける。


「ハギヨシ」

「はい」


先ほどまで一人であった部屋に、背の高い影が現れる。


ハギヨシ。

龍門渕家に仕える執事。

そのハギヨシに、一言、問おうとして、


「……そろそろ寝る」

「かしこまりました」


結局、言えずに終わる。

ハギヨシが居なくなるのを横目に見て、再び空の月を見る。

ざわつきの一因に、ハギヨシがあった。



ハギヨシは、衣の知る限り唯一の『完璧』の体現者である。

言われるを熟し、言われざるを熟し、欠けたるは無く十分、時に十二分に満たす。

人間的な、内面の話は分からないが、少なくとも衣の知る限り、寸分の隙間なくハギヨシは執事であった。

衣が龍門渕家に来た時には、既にハギヨシは透華の執事だったが、それから6年の間、ハギヨシが失態というものを犯した所を見たことがない。

当時齢13の少年である。

それが、失態を犯さないだけではなく、人とはこれ程のものであるかと衣に思わせる活躍をしていたのだ。

それでいて、疎まれず、恨まれず、かといって大いに好む者は無く、被加問わず嫉妬や羨望とは無縁である。

色々な面での『強者』は数多く見てきたが、これほどに個として完成し、また完結している者は、少なくとも衣は見たことがなかった。

660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/02(水) 23:37:47.74 ID:mI+Zg/sJo


その完璧さがざわつきの一因となったのは、一昨日のことである。


昼食後、食器が片付けられたと思ったら、卓の上にはお菓子が並んでいた。

ケーキはカップケーキに始まりシフォンケーキやチーズケーキ等数種類、マカロン、ばうむくーへんやなにやらクリームを挟んだクッキー等。

シンプル故に、その味を視覚にまで訴えかけるようなそれらが、数多広げられている。

正に千紫万紅の光景であった。


「これは?」

「女性が好むような洋菓子を作りたい、と相談を受けまして。恐れながら、ご意見をお伺いしたいのです」


珍しい、と思いながらも手前にあった一口大の丸いパンの様なものを口に入れてみる。

もちもちとした食感に、中に詰まっている小豆とクリームが頬を緩ませる。


ハギヨシは、料理だけでなくお菓子も一級品だ。

それは知っていたことだが、ここまで豊富な量を見たのは初めてだった。


「お気に召されましたか」

「……気を使わせたか?」

「出過ぎた真似かとも思いましたが、度々難しいお顔をされていましたもので」


妙な落ち着きの無さを感じていたことを、悟られていたらしい。



東京から帰ってきてからだろうか、何か違和感を感じているのだ。

しかし、それが何か分からず、鬱屈とした気分を抱えていた。

ハギヨシのお陰で、今はその気分も何処かへと行ってしまっているが。


「相談を受けたというのも、名分か」


プリンの入ったシュークリームを頬張る。

661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/02(水) 23:39:55.09 ID:mI+Zg/sJo


「いえ、そちらも本当にございます」

「歩か?」


細長いクレープを手に取る。

齧ると、薄く切ったバナナやいちごなどがクリームと一緒に包まれていた。



お菓子を作りたい、と教えを請うハギヨシの知人など、歩しか思い浮かばない。

透華の気まぐれもあり得るが、そうであればこうも回りくどいことはしないだろう。


しかし、と卓上を見渡す。

これは福徳円満。

流石ハギヨシ、どれも並ではない。

単純な造りであるというのに、何故こうも飛び抜けて美味しいのか。


「いえ、歩ではありません」


カップケーキへと手を伸ばす。


「では、誰に?」

662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/02(水) 23:41:15.99 ID:mI+Zg/sJo


その瞬間。

何故か、ハギヨシは目を見開き、固まった。



そのようなハギヨシの反応は初めてで、手を伸ばしたままハギヨシを凝視してしまった。

衣の視線を感じてか、ハギヨシは──これも珍しいことだが──照れたように微笑む。


「……いえ、気のせいだったかもしれません」


気の所為。

何が?


「約束が、か?」

「はい」


カップケーキを口に運びながら、呆然としてしまう。

ハギヨシが、約束していたことを錯覚する。

そんなことがあり得るのか。


「……珍しいな、ハギヨシが思い違いなど」

「お恥ずかしい限りです」

「どこだ?」

「……」

「少し気になるだけだ」


言い訳になると考えて、詳細を伏せようとしているのだろう。

しかし、やはり震天動地だ。

カップケーキを噛みしめる。

ヌガーが薄く混ぜ込まれたそれは、甘く舌に溶ける。


ハギヨシは、約束事となれば銘肌鏤骨の男である。

約束を忘れることも、していない約束をしていると錯覚することも、俄には信じがたい。

例えそれが真実だとしても、そこには何か外部的な理由があるのではないか──そう、思いたかった。

ハギヨシは、少し躊躇った後、言う。

663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/02(水) 23:42:09.92 ID:mI+Zg/sJo






「相手、です」





「お菓子作りを教えることを、確かに約束していたと思っていたのですが──その相手が、どうしてもわからないのです」




664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/02(水) 23:44:15.57 ID:mI+Zg/sJo



それからは、ハギヨシは何もなかったように振る舞っている。

いつも通りの執事としてのハギヨシである。

『完璧』なハギヨシである。


しかしだからこそ、あの失態──そう、失態が心の氷となる。

その氷は、数日経った今も溶ける気配が無い。

普段であれば、数日もたてばもしかしたら、「そういうこともあるのだろう」と思えたかもしれない。

けれども今は、元より感じていたざわつきがそれを許さない。

ざわつきを感じている今に、ハギヨシが失態を犯したことが、どうも関係しているように思えてならないのだ。

しかし、それがどのように関係しているのか分からない。

第一、ざわつきの正体を突き止めなければならないのだが、それも未だ分からぬままだ。

分かる気配もない。



ふう、と息をついて、月を見上げる。


月。


嘗て聞いた、奥底に残る記憶を辿る。

大切な大切な記憶を辿る。

涼やかな夜風が、頬を撫でた。

665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/02(水) 23:45:56.84 ID:mI+Zg/sJo


"月"。


それは、時に母への感情の象徴となり、時に狂気の象徴となる。

子を宿した母体を示し、神を示し、永遠を示す。



語源は『太陽に次ぐ』、もしくは───






────『欠け、尽きる』。



                                                                                                             《1-天江衣》
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/03(木) 00:07:16.22 ID:7OLzA47uo

※(福徳円満:うちらはどう考えても……勝ち組……!!)

※(震天動地:驚天動地と同じ意味だし!)

※(銘肌鏤骨:交わした約束 忘れないよ〜♪ ん?作品が違う? しらんがな)

667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/03(木) 02:22:23.14 ID:BNo/SaqUo
最後のオチww
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/03(木) 05:53:04.86 ID:RbiTJd9Ao
乙です
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/03(木) 13:24:55.83 ID:v13OmcOiO
待ってたおつ
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/03(木) 13:53:32.07 ID:RbiTJd9Ao
乙!
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/03(木) 20:34:49.95 ID:BNo/SaqUo
約束だけは覚えてたハギヨシさんすごくない?
それとも家族たちが思い出したタイミングに時系列が追い付いただけかな?
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/04(金) 22:55:01.99 ID:R3ZaX69J0
>>671
中の人の力じゃね?
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 00:41:34.80 ID:CuLULzPLo
約束覚えてたハギヨシもだが
こんだけ修正が働くならミスった場面どころか甘味の試食ごと記憶から消されるもんだろうけど、そこはさすがころたんと言うべきか
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/13(日) 23:03:23.64 ID:elOS/dXO0
おお、来てたの気づかなかった。
京ちゃんのこと片鱗でも覚えていたハギヨシさんぐう聖
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 07:13:01.68 ID:c+B0Xv2kO
異能慣れ?してる辺りが関係してるのかな、ハギヨシさんと衣の記憶にひっかかりを覚えたのは
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/18(金) 04:01:01.55 ID:QCUM/A8To
そろそろきてほし
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/04(日) 22:35:12.75 ID:rC8YwCF9o
こいよ(命令形
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/08(木) 20:17:04.88 ID:8fJFfYnCo
モチベーションをどっかに落としたんですが、誰か知らないデスカ

いや実際結構マジな話、肉付けが全く進まねえです
新旧問わずでなんかおすすめのSS下さい……
ちなみに『悪女』『咲さんから須賀くんを引き剥がしたい』『げんつきほー』『天江衣に対抗するため厨二キャラを演じる』とか好きです

今月本編と日和出るらしいから、ちょっとはモチベ上がるかなー
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 21:00:17.50 ID:IR1m6Squo
・末原改造
・チームipsシリーズ
とかいうド定番は何度見ても面白いですよね
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 22:24:24.17 ID:qomx95iBo
アンパンザウルスとか好きだなぁ
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 22:38:42.12 ID:6IiFST1Bo
>>678
日和の前に投下します すると日和が面白くなります
日和を楽しむと投下したくなるでしょう つまり2度投下できます

投下しなしあ
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 23:27:36.70 ID:PgvlrtDIo
>>678
麻雀部員共とか雀士専用掲示板とかどうでっしゃろ
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/08(木) 23:48:29.67 ID:ay9G16jcO
真面目に闘牌やってるやつもいいよ。
噛ませキャラな俺としては華菜ちゃん大活躍な

和「宮永さん、私のリー棒も受け取ってください」咲「う、うんっ!」

とか王者の打ち筋の小走やえがかっこいい
やえ「牌に愛された子か……」

とか
それ以外には能力がまだきちんと把握されてなかった頃におもしろい能力を付けられていた

キャプテンが阿知賀に転校したら

とか
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/09(金) 02:52:48.75 ID:em1ggkpXo
雀士専用掲示板かぁ。
腐部屋シリーズと較べてみると「平和って素晴らしい」って気になるよね。
安価スレの定めで盤外が平和でなかったが。
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/09(金) 09:11:46.68 ID:KuHtFuaA0
ホモになる薬とか持つものと持たざるものとか
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/10(土) 04:31:09.53 ID:ttPKRFxvo
雀士専用掲示板って正式なスレ名なんだっけ
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/12/18(日) 16:14:58.65 ID:KkoOkW9vo
おかげさまでちょっとは持ち直しました、ありがとう

ショートは今月中に1個、1月にラスト投下出来たら良いなぁ
ちなみに面白いSS見つけたり思い出したらまたお願いします
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 21:03:03.60 ID:BR4Zoi4oO
出遅れたか
ハーメルンのばいにんとかおすすめ
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 21:10:09.43 ID:g/uQJpY0o
面白いのに更新ないねそれ
arcadiaの鶴賀メインでsakiは面白かった(エタってる)
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 02:59:08.30 ID:sHtkF/lKo
ここでヤルオスレを推してみる。下のスレはたまに関係ないエロトラップダンジョンR18とかもやってるから注意な。
ttp://yaruok.blog.fc2.com/blog-entry-8532.html
ttp://yaruoshelter.com/test/read.cgi/yaruo001/1461584723/
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 03:21:48.62 ID:sHtkF/lKo
下のスレは京太郎とやるおはほぼセットでW主人公にしてくれるのが好きなポイント
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/30(金) 18:26:29.78 ID:BlX52QOw0
ハーメルンのセングラ的須賀京太郎の人生とか面白いよ
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/31(土) 04:48:02.19 ID:IHb49QSuo
《 》


私よりも多くのモノを『見て』きた人は、世界にどれだけも居ないだろう。


齢18にも満たない私が、こう言うのをどれほどの人がまともに受けてくれるだろうか。

それは恐らく、経験的なモノのために、生きた年数がそうした多寡に直結していると考えての否定であるのだろう。

きっと、普通であればその考えは正しさに近いものだと思う。


ただ、私の場合は違う。

私はそれが事実だと『見て』いるから、そうとしか言えないのだ。



私とともにある、『本質を観測』する能力。



完全な『観測』。

脳を介して変質することのない、完璧な情報。


そして、その情報の中には、前述の観測もある。

『私よりも多くのモノを[見る]ことの出来る人はどれだけもいない』と。

正確には、この能力は『そういうモノ』であると、その能力自体が告げているのだ。
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/31(土) 04:49:15.56 ID:IHb49QSuo

実際、私は多くのモノを『見て』きた。

今でこそ制御出来ているものの、能力が覚醒した当初は不意に発動したり、発動や停止を繰り返したりしていた為に、余計に多くのモノを『視(し)』った。


そして、それほどまでに強い『知覚』であるから、より強く感じるのだ。




この能力は、万能ではないと。




この能力は『本質を観測する』能力である。

芯を捉える能力である。



しかし、『答えを得る』能力ではない。

『救いを見出す』能力ではない。

指針を示す能力ではない。

希望を叶える能力ではない。


見ようとしたものが見えるわけではない。

見たいものが、見える能力ではない。





見たものから、逃れることは出来ない。
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/31(土) 04:51:05.34 ID:IHb49QSuo


「宮永さん──」


岩戸さんが、言う。


咲の話──『須賀京太郎』について、調べたことを。

その推測を。


そして、私の能力は。

無慈悲に、無感動に、『視』らせてしまう


抱いていた違和感の正体も。

抱えていた、疑問の真相も。

空いた一つの穴から、暗闇が引き裂かれるように、暴かれる。

暴かれる。

暴かれる。
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/31(土) 04:53:25.53 ID:IHb49QSuo


話し声は遠い。


『見えて』しまった事象が、意識を内側へと引きずり込む。

能力は、ただただ『見せる』。

真実を。

正体を。

真相を。



私は、誰よりも多くのモノを見てきた私は、考える。

誰よりも多くのモノを見ているというのに、答えの出せない私は、考える。



私に──私に、何が出来るだろう。





                                                                                                             《 -宮永照》
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/31(土) 05:02:46.80 ID:IHb49QSuo
最新刊でがっつりモチベーションが上がりました。
原村夫婦でSS書きたいモチベーションが。

しかし親父さん宮崎出身かー。
以前どっかで情報出てたかな。

日和とかも色々書きたいことはありますがそろそろ寝るのでまた後日。
今日は6時から日勤なのですよ。
元旦も日勤なのですよ。

年内にどれだけの人が見るかはわかりませぬが、皆様方、良いお年を。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/31(土) 07:23:58.43 ID:7R6NbxH50
『見て』るよ
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/31(土) 07:46:13.61 ID:rgtdVu0A0
石戸(いわと)やで
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/31(土) 14:10:02.39 ID:8Kv9swVk0
貴様!見ているなッ!!
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/31(土) 19:44:03.02 ID:9domn5L+o
んー?つまりこういうことか?

てる「須賀とやらのヒントを求めて、石戸さんのお宅にお邪魔しますた  ……はーほんとつっかえ」
石戸「まだなにも説明してないですよ!?」
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/31(土) 19:45:23.70 ID:9domn5L+o
しかし、元旦から仕事って日本の企業としてクズの極みだな。
…日本系じゃないのかな?
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/31(土) 20:38:12.46 ID:vBKo5ANno
おまえが書き込んでるこのネット回線も技術者が常駐しなきゃ維持できんのやで。
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/01(日) 02:19:39.21 ID:lKZtHw0Zo
《.. .》




『じゃあね、また明日』


『ああ、またな、咲』



中学校の頃から、何度交わしたか分からない別れの挨拶。








持ってもらっていた荷物を受取り、肩に掛ける。

少し、ずしりとした。

よろけつつも、久々の帰路へと体を半分向ける。


いつものように、私は言う。



「じゃあ、また明日。京ちゃん」



いつもの調子で、京ちゃんも言う。


「ああ」









「じゃあな、咲」







                                                                                                             《  ..   _. .》
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/01/01(日) 02:45:12.75 ID:lKZtHw0Zo
あけましておめでとうございます。
何故辞書登録してあるにも関わらず石戸が出ずに岩戸が出てしまったのか
霞さんのショート時には普通に機能していたので、変換かスペースを多く押してしまったんですかね
眠い時に書くとダメですね……まあ常に眠くはあるのですが

もしこのSSをまとめようとか思っている稀有な人がいるのなら、その時には修正をお願いします
間違えたままでまとめられてるのはね……消してもらうよう頼もうかと思うくらいにはキツイのですよ……

ちなみにご明察、サーバ/インフラ系で年中無休24時間です
最近人居ない、案件過剰で普通に辞めたい盛りですが
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/01(日) 03:10:45.30 ID:ZHtpXv+Go
新年早々の投下乙!
なるほどなぁ…それは大変だ…お体に気をつけてください
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/01(日) 07:36:38.68 ID:4Fwti2TA0
普通に訂正(修正)レス載せればいいかと
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 01:25:08.21 ID:k3McBkQ/o
>>690
えっ




えっ
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 01:46:57.62 ID:GLV5H0Zho
うざっ
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 05:24:50.37 ID:JSg2F9J4o
乙!
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/05(日) 20:23:36.72 ID:DWurn+MTO
まだかなー
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/10(金) 14:12:29.21 ID:k1g3Uv7ao
まだ戒能
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/16(木) 01:14:52.43 ID:5VZy2047o
凍えてしまう はやく
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 03:52:07.80 ID:ggOjzAa9o
もう3ヶ月経つのか・・・
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/14(金) 22:22:52.38 ID:3/B0dHVz0
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:52:32.72 ID:PvlVEohko
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/28(金) 23:53:14.67 ID:PvlVEohko
はあくしろ
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/29(土) 19:26:23.49 ID:k0FcoiDbo
このSS自体が想像上の存在だったというオチじゃないだろうな
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 19:37:38.26 ID:dxDty9lao
1、脳に海水を流し込まれショートして死亡
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/14(日) 10:22:48.74 ID:emfqgVGg0
このままエタったらオチも無くバッドエンドだな
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 01:17:52.35 ID:u4zIeumzo
おいおい、消えるわあいつ
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/28(日) 07:54:42.73 ID:7pua+QOOo
ほう
更新無しスレッドですか…
悲しいものですね
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 19:32:13.27 ID:ngwJR8ndo
あく
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/01(土) 22:59:18.04 ID:KVlZJmuf0
おうあくしろよ
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 11:13:18.93 ID:KeX1UkCv0
保守
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/25(金) 22:32:37.67 ID:ln2krXzLo
XD
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 20:25:27.36 ID:uERlQwyR0
保守
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/09(土) 20:38:47.53 ID:406LzN50o
せめて真相というかオチだけパパッと書いてはくれんかな…
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/17(火) 19:00:52.83 ID:vJIwOVjIO
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/03(金) 17:04:34.07 ID:2nTLlL/oO
保守
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/25(土) 22:17:57.52 ID:dL42jnsc0
保守
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 18:47:13.42 ID:Yr2VvhbCO
保守保守
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 15:36:02.36 ID:f2TJci+To
もう一年経つんか…
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/04(月) 22:42:13.46 ID:+Zu1zdnP0
それでも待ってる
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 11:36:36.42 ID:H3AsZM+K0
保守
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/19(火) 23:53:15.40 ID:56z24tg80
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:36:08.19 ID:AaV2QJad0
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:39:59.76 ID:AaV2QJad0


長野から鹿児島は、結構遠い。

新幹線と電車を乗り継ぎ羽田空港まで行って、鹿児島空港まで飛行機。

これだけでも5時間近くかかっている。

鹿児島空港からは、お迎えの車に乗って、霧島へ。

ちなみに、ここまでの切符やチケットは、駅に着いたら渡された。

お姉ちゃんから聞いていたとはいえ、見知らぬ人から物を預かると言うのは、結構勇気の要ることだった。

相手が女性だったから、まだましだったけれど。

あれも配慮のことだったんだろうか。

739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:42:33.76 ID:AaV2QJad0


そうして、私は今、大きなお屋敷の前に居る。

車から大きな神社が見えたと思ったら、ここに降ろされたのだ。

しかし、車が去ってからしばらくになるが、なんというか、その雰囲気に圧倒されてインターフォンを押せずにいた。


大きな門構えに不釣り合いな、普通のインターフォン(少なくとも、見た目は)。

これは、押しても良いものなのだろうか、とぼんやりしていると、


「何してるの」

「うわぁっ」


不意に、声を掛けられた。

真ん中の大きな門ではなく、その側面の上から、ひょこっと生首が浮かんでいた。

740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:43:31.28 ID:AaV2QJad0


「お、お姉ちゃん……?」

「うん」


生首は、お姉ちゃんの顔をしていた。


「着くって聞いてた時間から結構経つから、様子を見に来たんだけど。入らないの?」


髪を揺らし首を傾ける。

よく見れば、そこには小さい窓のようなものがあって、そこから顔を出しているらしい。


「あ、ええと。……入って、いいの?」

「そのために来たからね」


ちょっと待って、と顔が引っ込む。

しばらくして、大きな扉の片方がゆっくりと動いた。


「入って良いよ」


お姉ちゃんが開いた扉の間から手招きする。


「お、おじゃまします」


恐る恐る門をくぐると、






「うわぁ……」




思わず声が出る。

741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:46:23.98 ID:AaV2QJad0



そこは、見事な「日本の庭」だった。



テレビで見るような、本で読んだような。

静かな造りの、時の止まったような空間。


圧倒される私に、お姉ちゃんはいつも通りに声をかける。



「じゃあ、行こうか」



そう言って、歩き始める。
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:48:10.71 ID:AaV2QJad0

お姉ちゃんの後ろ姿を追いかける。


「迷わなかった?」

「あ、うん。電車と飛行機に乗るだけだったし」


ちなみに、もらったチケットにはすごく分かりやすい地図もついていた。

おかげで、空港も少し迷っただけで済んだ。


「そっか」


お姉ちゃんは頷き、黙り混む。


「……ええと」


なんとなく、言葉を探す。


「……似合ってるね、お姉ちゃん」

「ん、ありがと」


お姉ちゃんは和装だった。

いつだかの夏祭りで見た浴衣、それよりもずっとしっかりした感じのものだ。

落ち着いた色合いが、お姉ちゃんによく似合っている。

すらりとしたシルエットも、生地の描く滑らかな曲線に良く映える。


「ええと……」


再び、言葉を探す。

特に、話題はないのだけれど。

743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:49:19.66 ID:AaV2QJad0

……なんだろうか。

お姉ちゃんに、どこか、触れがたいものを感じる。


それが少し遠くに感じるようで、そうではないと確かめるかのように、かける言葉を探してしまう。


「ここ、慣れてるの?」


そもそも、ここはなんなのだろう。

何処なのか、と言うのは昨日、お姉ちゃんに目的地を聞いて知っている。

しかし、そういうことではなく、 何を目的としているのか ということが不安だった。

少なくとも、気軽に遊びに来れる様な場所ではない。

ふらりと立ち寄るような場所ではない。

それでも、お姉ちゃんはここに居て、私を呼び寄せた。

聞くまでも無く、お姉ちゃんはここに慣れている。


でも、なんで?

何のために?



「何度か、来たことはある」

「そうなんだ」





──いや、なんの為かは気づいている。


京ちゃんの為、だろう。

きっと、お姉ちゃんの言っていた『異質』に詳しい人達。

それが、この場所。

744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:52:07.56 ID:AaV2QJad0



分かっていた。


昨日、連絡があった時からそれくらいは分かっていた。


何の為にここに呼ばれたのか。


なんで、私はここに来たのか。



でも、分からないふりをしようとしていた。

強烈な、意識に叩きつけるような感覚があった。

745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:53:33.03 ID:AaV2QJad0










          ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
私は、ここで知らなければならない。




・ ・ ・   ・ ・ ・ ・ ・   ・ ・  ・ ・ ・ ・
しかし、知ることで、何か致命的な ──────





746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:54:25.78 ID:AaV2QJad0


「ここ」

「……」


石の道の先にあった、厳格な造りの平屋の中。

その奥の方へ進んだ所で、お姉ちゃんは立ち止まった。




「……」




ここだ。

お姉ちゃんが立ち止まったからではなく、その奥からにじみ出る圧力に確信する。




この場所だ。

ここが、目的地だ。

747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:55:36.02 ID:AaV2QJad0


肌を刺すほどの威圧感。

しかしお姉ちゃんは、それを微塵も気にした様子はない。

ふすまに向かい、いつも通りの調子で声をかける。


「入るよ」

「どうぞ」


短い応答。

返ってきた声は、聞き覚えのあるものだ。







途端、威圧感が増す。


748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:56:39.81 ID:AaV2QJad0


すう、と音もなく引かれたふすまの向こうは、時代劇で見たことのあるような、しかしどこか異なるものを感じるような部屋。

謁見の間、という言葉が一番近いだろう。

しかし、それそのものと言うには、やはりどこか異質。



奥の、一段高いところに、一人の巫女装束の少女が静々と座している。

その少女の手前には道を作るかのように、同じく巫女装束の少女たちが左右へと並び座っている。

その多くは、見覚えのある顔だ。

先ほどの『どうぞ』は、並ぶ中でも一人、奥の少女の近くに座る彼女のものだろう。



すう、と音立たぬ音に振り向けば、ふすまの横の、これまた巫女装束の女性がそれを閉めている所だった。

先ほどふすまを引いたのも彼女だろう。

そのメガネを掛けた落ち着いた顔にも、見覚えがあった。

749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:57:31.86 ID:AaV2QJad0







「ああ、たしかに」






750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:58:06.49 ID:AaV2QJad0


ビクリと振り向く。

聞こえたその声は、優しげな少女のものだった。

しかし同時に、重なるように聞こえた厳かな別の何か。

それが、無視のしようがない威圧感を放っている。



「この者である」



その威圧感が、告げる。


751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:58:41.32 ID:AaV2QJad0







「この者に違いない」





「……っ」






752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:59:15.38 ID:AaV2QJad0
























 
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 01:59:53.98 ID:AaV2QJad0









「……」










「……?」



威圧感が、消えている。

754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 02:00:55.08 ID:AaV2QJad0




「……はっ」



今しがた言葉を発していたはずの奥の少女が、ビクリと体を震わせる。

状況が読めない様にきょろきょろと周りを見回す。

そして、状況を把握したのか、



「あ、ええと……すみません、寝てました」


と、緩やかに言う。


そして、傍らの巫女さんに目を向けて、その巫女さんが小さく頷くのを見る。



「……そう、ですか」


その声色は、どこか悲しげだ。

あっけに取られていると、彼女は私を見て、私を安心させるようにほんわかと笑う。


そのほんわか巫女さんが言う。
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 02:03:23.80 ID:AaV2QJad0


「すみません、確かめさせていただきました。必要なことだったので」




確かめる、とは。

私はもはや、困惑の上に困惑を重ね、ただただ固まっているしかない。



そんな私を見て何を思ったのか、


                              ・ ・ ・
「ああ、そうだ、顔を合わせているとは言え、こちらでは改めてのはじめましてですね」



す、と自然な仕草で服装の乱れを正し、太腿の付け根あたりへと手を添える。


その所作は正しく和で、美しいな、とぼんやり思った。

756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/15(水) 02:04:01.86 ID:AaV2QJad0







「神代が当代の筆頭巫女、小蒔と申します」



「宮永咲さん、どうぞよろしくお願いします」




757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/05/15(水) 02:05:05.24 ID:AaV2QJad0
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/15(水) 02:51:42.96 ID:H9FEWc/2o
どういう事?
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/05/15(水) 15:58:58.41 ID:AaV2QJad0
元号変わったし終わらせるか、と文章化してたんですがとんでも世界観暴露にモチベ吹っ飛びました
原作買い直すくらいのモチベが復活したらどっかで書くかもしれんですが、一旦クローズします

半年以上前に出した他作の依頼がスルーされてるっぽいんで、もはや機能してるか分からんですが
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/15(水) 22:55:18.77 ID:0bxGH1tOo
完結して欲しいけど筆が乗らんのなら仕方なし。
面白かったよ。気が向いたら続きお願い
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/03(月) 23:13:12.33 ID:GkaGgpuco
好きなスレを読み返しに来たら復活してるじゃんやったー、と思ったら中断宣言でしょぼーん
またいつか続きが読めたら嬉しいです

リッツのあれはなぁ、俺もこれはさすがにちょっとと最初は思ったけど
よく考えてみるとマジで真面目にあの世界観で書いてる(書いてた)ってわけじゃない気がするというか……
むしろその辺が(語弊がある言い方だけど)どうでもいいからあんな発言を返したのかなぁって……
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/05(土) 20:08:53.09 ID:QffAVvWgo
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