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「『須賀京太郎』とは、あなたのそうぞう上の存在に過ぎないのではないでしょうか」
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232 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/08(金) 11:09:06.33 ID:DY2O9Hg3o
舞ってた
乙
233 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/08(金) 17:01:29.18 ID:Edc59ffko
乙です
234 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/09(土) 07:31:14.65 ID:0vP6kVdSO
おつ
解決してほしいな
235 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/14(木) 23:11:02.72 ID:vs5sEIMK0
追いついた
これが本当の非実在青少年ってやつか…
236 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 19:28:05.63 ID:FpEpUavGo
「正直ね、落ち着いてから、少し後悔したのよ。結論だけを急ぎすぎたんじゃないかって」
部長が恥ずかしげに首に手を当てる。
「何も急ぐことは無いのに、答えだけを突き付けてしまった。咲だって、嘘をついてる訳じゃない、それは分かったはずなのに」
「これは結論ではなくて、結論までの過程こそが大切なことだと気づくのに、少し時間がかかってしまったの」
237 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 19:29:37.20 ID:FpEpUavGo
「ごめんなさい、咲さん」
部長の後を継ぐように、和ちゃんが言う。
「私達は嘘をついていない、それは本当のことです」
「でも、だからといって咲さんが嘘をついていることにして良いはずが無かったんです」
「昨日の今日で、手のひらを返しているように思われるかもしれませんが……力にならせてもらえませんか?」
和ちゃんの言葉に、染谷先輩が頭を掻く。
「ただ、言っとくがのう。その『京ちゃん』の存在を、わしらが信じたわけじゃないことは言うとくぞ」
「わしらが信じとるのは、ただ咲のことだけじゃ」
それは、今の自分にはあまりにも綺麗な言葉だった。
238 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sagasage]:2016/01/16(土) 19:56:42.69 ID:PSf5QnmPO
まあこれは咲さんのお話だけどこの状況での京ちゃんサイドを考えても面白いよね
ない訳じゃない世界線移動じゃなかった場合の奮闘劇みたいな
239 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/16(土) 20:16:58.25 ID:HQKfN02SO
<●><●>
240 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/16(土) 20:56:09.41 ID:z+sf/GTEo
なんかすごく悲しい
241 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/16(土) 21:05:39.11 ID:v+1oVdFzO
優しいルートには違いないけど一歩間違えばこれ部員全員狂気ルート突っ込むな(フラグ)
242 :
寝落ちってたのよー
[saga]:2016/01/16(土) 21:28:59.58 ID:FpEpUavGo
「もしかしたら、咲ちゃんだけじゃ分からないことが分かるかもしれないじぇ!」
「昨日も、色々話したのよ? 咲だけ異世界人説は和が全力否定してたけど」
「そんなオカルトありえません。真面目に考えてください」
「真面目なんだけどねえ」
あまりにも、眩しかった。
──私は、諦めてしまったから。
「なんで」
なんで、今更。
私が諦めてしまった後に。
繋ぎ止めようとするの。
243 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 21:29:51.70 ID:FpEpUavGo
「無理ですよ」
244 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 21:31:25.22 ID:FpEpUavGo
「あら、わからないじゃない」
「だって、ぜんぜん違う。私の知っている世界と、この世界は違うことだらけ」
「どこまで同じでどこから違うのかも分からない」
「それこそ、本当に異世界に来たみたいに」
「教えて下さい」
「私は、インターハイに出れたんですか? そもそもいつ麻雀部に入ったんですか?」
「私が麻雀部に入ったきっかけは? 出会ったとき、私は私だった? お姉ちゃんとは仲直り出来たの? 私は、どうして清澄高校に入ったの?」
本当に異世界の住人であれば、良かったのに。
そうすれば、私はただ戻る術を探せば良いだけなのに。
「──教えて、ください」
245 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 21:32:58.65 ID:FpEpUavGo
そんな私に皆は顔を見合わせ、
「咲と会ったのは、わしが一番最後だったかのう。第一印象は本を探してる文学少女って感じじゃったが」
「咲ちゃんは出会った時から咲ちゃんだったじぇ」
「私の時はまた小さい子がいるわねぇって感じだったかしら。その後すぐに凄いの来た!って思ったけど」
「私は……正直、その、最初はちょっと嫌でした。麻雀は好きじゃないって言われたり……」
「のどちゃんも強く当たったりしててお互い様だった気もするじぇ。そーいえば、怒って帰っちゃったとかあったなー」
「それは、その……若気の至りというか……」
「たった半年前じゃろうが」
私に、応える。
246 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 21:37:03.85 ID:FpEpUavGo
「インターハイはまあ、昨日の祝勝会で言わずもがなでしょう」
「おねえさんとは仲直りしたって咲ちゃんが自分で言ってたじぇ」
「挨拶もしたしのう、アレで実は仲直りしてなかったのなら驚きじゃ」
言葉が痛い。
関わるのを止めて欲しくて、皆を遠ざけようとして吐いた言葉が飲み込まれていく。
247 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 21:40:44.50 ID:FpEpUavGo
「咲が麻雀部に入ったのは勧誘期間が過ぎてしばらくしてからだったかのう」
「私が図書館で誘ったのよね。咲が清澄を選んだ理由って聞いたことある?」
「そういえばありませんね」
それでも、やっぱり希望に至らない。
どころか、私の納得を深くする。
諦めるための納得を。
248 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 21:42:08.45 ID:FpEpUavGo
「──やっぱり、無理ですよ」
「聞けば聞くほど、私の知ってる世界なのに」
「ただ、京ちゃんだけが消えている」
執拗に、徹底的に。
まるで、何かの意思が京ちゃんだけを消そうとしているかのように。
249 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 21:43:52.61 ID:FpEpUavGo
「ねえ和ちゃん、優希ちゃん、覚えてないの?」
「私をここに連れてきたのは、京ちゃんだよ?」
「なのに、なんで?」
「部長が私を?」
「私が、知ってる世界でも、図書館で部長に誘われたけど」
「それは、京ちゃんが私を連れてきたからで、だから部長が私を麻雀部に誘ったんだよ?」
「なのに、京ちゃんではなく部長が──」
250 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 21:45:10.81 ID:FpEpUavGo
「──────」
251 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 21:46:00.93 ID:FpEpUavGo
「────部長」
「部長はなんで」
「なんで私を誘ったんですか?」
252 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 22:10:51.90 ID:FpEpUavGo
「……やっぱり、強かったっていうのが一番の理由かしら」
「強かった、から」
「ええ。プラマイゼロを見せられて、夢を見ないなんて方が無理な話でしょう」
「でも、部長」
253 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 22:11:21.99 ID:FpEpUavGo
「どこで、私が強いなんてことを知ったんですか?」
「え?」
254 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 22:15:27.53 ID:FpEpUavGo
「ええと……んん? あ、そうそう、部室で和と優希とゲストが打ってたのを見たのよ」
「さっき言ったでしょう、ゲストに小さい子が居るなって思って、その打ち方に驚いたのよ」
「じゃあ、麻雀部に連れてきたのは部長じゃないんですね?」
「そうね」
「ねえ、和ちゃん優希ちゃん」
「私が、なんで麻雀部に居たか覚えてる?」
「……確か私は咲ちゃんが来たとこを見てないからのどちゃんが答えるじぇ」
「え? ええと……普通に、麻雀を打ちに来たのでは?」
255 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 22:20:56.99 ID:FpEpUavGo
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「私は麻雀がキライだったのに?」
256 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 22:27:35.29 ID:FpEpUavGo
広い室内が、しんとなる。
「和ちゃん、言ってたよね」
「私が、麻雀好きじゃなかったって」
「それは……」
「間違いじゃないよ、和ちゃんには控えめに言ったけど、私はあの時確かに麻雀がキライだったから」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「でも、じゃあ、なんで私は麻雀部で麻雀を打っていたの?」
257 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 22:29:15.64 ID:FpEpUavGo
「……待ってください、ちょっと、待って……」
「和か、優希が誘うたんじゃないんか?」
「私も、のどちゃんもあの時が初顔合わせだった……はずだじょ」
「え、ちょっと待って、和も優希も覚えてないの?」
「部長」
258 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 22:31:44.24 ID:FpEpUavGo
「部長はさっき、私が打っていたのを見たと言ってましたよね」
「和ちゃんと、優希ちゃんと、私と──あと一人は?」
「あと一人……ゲストの子じゃあ」
「何年生か、どんな子だったか。覚えてますか?」
「あれ、えーと、ちょっと待って。ええと……え? あれ?」
259 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 22:35:39.64 ID:FpEpUavGo
「……どういうことじゃ」
染谷先輩が、呆然と呟く。
「誰も……誰も、覚えてないんか?」
「……ぁああ」
「咲!? どうした、大丈夫か!?」
260 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]:2016/01/16(土) 22:37:48.16 ID:FpEpUavGo
──京ちゃんの。
「咲さん?」
「咲ちゃん!?」
「咲、泣いてるの?」
──京ちゃんの欠片を。
───やっと、見つけた。
261 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage saga]:2016/01/16(土) 22:40:33.87 ID:FpEpUavGo
というわけで待て次号!
……ようやく半分くらい?
262 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/16(土) 22:46:03.98 ID:SJ5Vt6hO0
乙
いよいよ楽しくなってきた
263 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/16(土) 22:46:36.50 ID:HQKfN02SO
おつ!
漸くここまで来たかー
でもまだ入り口を見つけたくらいという考え方もできるし難しい
264 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/16(土) 22:48:44.24 ID:XmnkEZzko
乙
咲ちゃんが異世界に来てるわけじゃないのか?
265 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/16(土) 22:53:19.55 ID:AuKuT9Vk0
正直咲ちゃんのイマジナリーフレンド、または物凄い性質の悪いドッキリとかって可能性も考えてたから、そんなんではなさそうでよかった。
どっちも別ベクトルで後味が悪いからなぁ。
SFチックな展開になってきたけど、どういう方向に進むんだろうか。
266 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/16(土) 23:10:20.19 ID:z+sf/GTEo
ワクワクしてきた
267 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/16(土) 23:13:54.97 ID:lUxPgh690
ぶっちゃけアラフォーどもが黒幕で、某スレみたいにアラフォーどもに逆レイプされてたりして...
268 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/17(日) 02:18:37.18 ID:FJo5MUUDo
乙!
加速してきたね!
続きが楽しみだ
269 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/17(日) 04:39:43.01 ID:ZVNOrMbqo
前も出てたけど虹の見方思い出すなあ
270 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/17(日) 10:48:39.38 ID:yS0yLJ+o0
ONEぽいと思った俺は古いのだろうか
271 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/17(日) 10:49:05.84 ID:aab2LhjRo
乙です
272 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/17(日) 12:52:02.95 ID:scOzsNiIo
こうやって矛盾点を徐々に突いていくのはやっぱ痺れるな
乙
273 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/17(日) 18:58:34.43 ID:QE24juTZo
>>270
俺も思った
本編もそうだし、あの頃はそのSSも多かったしな
274 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/17(日) 19:44:17.67 ID:ezhhKAlto
三つ編み原村さんの「嫌です」と、スケッチブックまほは違和感ないかも。
275 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
:2016/01/18(月) 21:56:32.12 ID:2gv2FeKHO
絶望先生思い出した
276 :
以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[sage]:2016/01/18(月) 22:59:19.03 ID:QQkzikRVo
277 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/01/31(日) 09:33:25.82 ID:a3WjVfg8o
待ってます
278 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:20:09.11 ID:jaVggvmMo
話が動くところまで書けるか分からないけどとりあえず進める
しかし予想外に見てくれてる人が居るんな……
嬉しいけど、予防線を張りたい衝動もあったりなかったり
279 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:21:34.20 ID:jaVggvmMo
「お帰り。早かったな」
家に帰ると、お父さんが受話器を耳に当てていた。
「ただいま」
ぼんやりとしたまま、私も挨拶を返す。
その日は、結局話し合いの体をなさず、うやむやの内に解散となった。
誰も彼もが混乱して、収拾がつかなくなっていた。
部長が解散、と言った声に、疲弊がわずかに見えたのは気のせいじゃなかったと思う。
私は、安堵と同時に押し寄せてきた急激な疲れが頭を靄がからせて、熱に浮かされたようにゆらゆらと揺れる。
280 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:23:17.39 ID:jaVggvmMo
分かってる。
京ちゃんの存在が証明されたのではないということくらい。
ここから何をすれば良いのかも分かっていないことくらい。
それでも、何処にもなかった手掛かりの欠片がようやく見つかった。
京ちゃんの存在に関わりがあるとしか思えない事象を、ようやく見つけたのだ。
今少し、この安堵に身を委ねていたかった。
281 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/01/31(日) 21:29:05.89 ID:6MeBiFiTo
来たか良かった
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:31:06.03 ID:jaVggvmMo
「ああ、咲が帰って来た」
私の名前が出たことに反応して、お父さんを見る。
それに気づいて、お父さんは受話器を指す。
「かーさん」
ああ、お母さんか。
インターハイの間に、お父さん達にも色々あったらしい。
私がこちらに帰ってくるまでに数度、お父さんとお母さんが連絡を取っていたとお姉ちゃんから聞いている。
そうか、お母さんと話してるのか。
ぼんやりとしたまま、自分の部屋に足を向けて──
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:33:50.72 ID:jaVggvmMo
「──お父さんっ」
「うおっ!?」
私が飛びつくように声を掛けると、お父さんはビクリと肩を跳ねる。
「びびったじゃねーか、まだ居たのか。どーし」
「お姉ちゃん居るっ!?」
「……かーさんなら今繋がってるけど」
「いまは、おかーさんじゃなくてっ」
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:38:12.06 ID:jaVggvmMo
お父さんが受話機越しに二言三言声を交わした後、私に渡す。
受話機を耳に当てる。
「お姉ちゃん?」
「……お母さん、泣いてたよ」
あぁ。
間違いない、お姉ちゃんの声だ。
それだけのことにとてつもない安心を感じる。
そして、言葉の意味が思考に届く。
「えぇっ、ちが、私はそういうつもりじゃ」
「うそ」
笑いを含んだ声が、受話機から届く。
「え」
「泣いてないよ、ちょっと拗ねてたけどね」
「っ、もう!」
「ふふ」
からかいの言葉にむくれて見せるも、そうした応対のひとつひとつが嬉しい。
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:43:39.54 ID:jaVggvmMo
宮永照。
高校麻雀界のトップを行く白糸台高校、そのエース。
それが、私のお姉ちゃん。
私とお姉ちゃんは、とある事情があって長く絶縁状態になっていた。
仲直りしたのはつい最近のことで、インターハイに出ることがなければ、きっとそれも無し得なかっただろう。
「久しぶり……でもないか。2日ぶりだね、咲」
まだ2日なんだ。
もう数日が過ぎたかのような感覚だった。
286 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:46:28.36 ID:jaVggvmMo
「お姉ちゃん」
「?」
「会えないかな」
「2日前に会ったばかりだけど?」
「それでも、聞いてほしいことがあるの」
お姉ちゃんに聞いてほしかった。
数年間、音信不通で、空白の方が多くなっている今でも。
多分、私が最も信頼しているのはお姉ちゃんだ。
会いたい、話を聞いてほしい。
笑われるだろうか。
お姉ちゃんも、私が変だと思うだろうか。
───それでも。
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:50:10.80 ID:jaVggvmMo
「……咲たちのおかげで」
「?」
「今は、毎日ミーティングや猛特訓でスケジュールが埋まっている」
「そっか……」
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/01/31(日) 21:50:53.67 ID:jaVggvmMo
「だから、私は行けないけど」
「咲が来るなら、話を聞いてあげる」
289 :
しばし中断
[saga]:2016/01/31(日) 21:51:45.97 ID:jaVggvmMo
「──うん! 行く、行くよ!」
「そう」
静かだけど、お姉ちゃんが微笑んでいるのが分かった。
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/01/31(日) 22:04:28.88 ID:6MeBiFiTo
一旦乙です
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/01/31(日) 23:29:25.28 ID:a3WjVfg8o
乙
てるーいいね
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/01/31(日) 23:56:56.44 ID:jaVggvmMo
ちと無理ぽいのでまた後日ということで
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/01/31(日) 23:58:28.05 ID:rSBTbhu9o
おつー
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/01(月) 00:45:31.21 ID:P+oIgX2Ao
乙乙
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/01(月) 01:39:26.37 ID:Dpg1h3lto
おつおつー
このあとどうなるのか楽しみすぎる!
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/01(月) 06:05:29.11 ID:U1zsDbzvo
乙です
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/01(月) 07:06:45.54 ID:z3vWJJqSO
乙
照は覚えてくれてるんかな
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/01(月) 10:02:04.70 ID:NsEezt+AO
>>297
電話口で何も言わないってことは京太郎自体をまず知らない可能性もあるぞ
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/01(月) 20:23:11.78 ID:etoJD0ydo
方向音痴っぽい咲が自力で白糸台に辿り着ける可能性は?
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/01(月) 20:30:54.03 ID:mxE60KfUo
迷子になってる時に京ちゃんらしき人が助けてくれる...
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/02(火) 11:25:13.46 ID:g3cg/nQAO
乙乙
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/02(火) 21:05:53.55 ID:1IZLQUS3o
乙ー
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/12(金) 19:03:52.78 ID:B8WMzct3o
待ってるよ
304 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2016/02/24(水) 01:14:11.92 ID:DvjTT+jto
あー今日進めたかったけど流石にもう寝ないと無理だ
前回から間が大分空いているけれど26か27に投下で……
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/24(水) 01:51:14.10 ID:39gmksNMo
おう、あくしろよ
306 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/26(金) 09:34:14.54 ID:xKJ6bq1N0
待ってます
307 :
途中まで投稿 続きは夜に
[saga]:2016/02/27(土) 12:15:54.56 ID:od5pT+3ao
「───で、まさか翌日に来るとは思わなかったけど」
「えへへ……」
308 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:16:49.30 ID:od5pT+3ao
東京駅近くの、有名な喫茶店。
日はまだ高くとも今は夕方で、店内は色々な格好の人で埋まっている。
ちなみにお姉ちゃんは制服で、私は私服だった。
部活終わりに迎えに来てくれたのだ。
「でも、迷子癖は相変わらずなんだね」
「む、昔よりはマシになったし……」
お姉ちゃんを待っている間、お土産を見るついでに軽く迷子になった。
待ち合わせ場所に向かう途中のお姉ちゃんが通りがかったため、事なきを得たのだけど。
その時のお姉ちゃんの飽きれ顔が想起される。
309 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:18:35.99 ID:od5pT+3ao
「インターハイ後に会ったときには、結構普通だったのに」
ショートケーキにフォークを通しながら、お姉ちゃんが言う。
あの時は、皆が居たから迷子になることが少なかった。
部長や染谷先輩の後ろについて行き、和ちゃんや優希ちゃんの横を歩き、京ちゃんに背中を押されて───
「ねえ、お姉ちゃん」
「なに?」
「京ちゃん──須賀京太郎を、覚えてる?」
「……私が、長野に居た頃の知り合い?」
「ううん」
ショックはない。
京ちゃんとお姉ちゃんはインターハイ後に会っている。
けれど、部活の皆が覚えていないのだから、お姉ちゃんも覚えてはいないだろうと思っていた。
「私が、今日来たのは」
310 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:19:14.49 ID:od5pT+3ao
「その、須賀京太郎という、男の子のことなの」
311 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:20:12.85 ID:od5pT+3ao
私は話す。
出会った頃の話、中学校での出来事、高校でのやり取り。
インターハイの間と、お姉ちゃんに紹介した時のことと、その後のこと。
京ちゃんとの記憶と──消し去られたその存在について。
お姉ちゃんは、言葉を挟むことなく、黙々とケーキを消費する。
居なくなってからのことを話した時には、僅かな鈍痛を伴った。
理由は分からない。
取り返しの付かない状況に陥ったような、そんな感覚を思い出すからだろうか。
実際、もう二度と、取り返しの付くことは無いと思った。
もう、二度と。
でも──
312 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:24:07.16 ID:od5pT+3ao
「──昨日、ようやく見つけた。京ちゃんが、居たことの手がかりを」
私を麻雀部に連れてきたのが誰なのか。
長野県予選で優希ちゃんのタコスを買ってきたのは、インターハイで食べたタコスを作ったのは。
学生議会室まで、私と一緒に資料を持っていったのは。
roof-topの模様替えで、大きな鉢植えを運んだのは。
一年生麻雀勝負で、ラスを引いたのは。
清澄高校麻雀部で、一番紅茶を淹れるのが上手かったのは。
誰も、答えることが出来なかった。
京ちゃんが居た場所に時間に、確かな空白があった。
313 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:26:16.37 ID:od5pT+3ao
「京ちゃんが居た場所は、確かにあった」
「──あったからこそ」
この事を話すために、私はお姉ちゃんに会いに来た。
・ ・
こう考えることは自然であるだろうけれど、触れてはいけないことのような気がして、避けていた。
なぜか、とても恐ろしいことのような気がしていたから。
314 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:28:38.15 ID:od5pT+3ao
「不思議なの」
「なんで、皆は──京ちゃんのことを忘れているんだろう」
315 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:29:15.32 ID:od5pT+3ao
もはや、このような不自然な空白が見つかって、避けようのなくなった疑念。
空白のそこに、京ちゃんが居たのなら。
大きな大きな何らかの力が、京ちゃんを消したとしか思えなかった。
316 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:33:38.73 ID:od5pT+3ao
「────咲」
お姉ちゃんが、ゆったりと紅茶を含んで飲み込んで、言う。
同時に、
──────ぞわり
見られている感覚があった。
強烈な違和感と、懐かしさ。
インターハイでこう呼ばれていた、お姉ちゃんの感覚。
照魔鏡。
317 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:34:49.91 ID:od5pT+3ao
「その、須賀君というのは」
僅かに緊張する。
ひんやりと冷たいアイスティーのコップを手のひらで包む。
318 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 12:35:24.49 ID:od5pT+3ao
「彼氏?」
319 :
続きは夜
[saga]:2016/02/27(土) 12:37:23.22 ID:od5pT+3ao
「──え?」
口がポカンと開く。
呆ける脳が隅っこの方で、そういえば、とぼんやり思う。
そういえば、京ちゃんを紹介したときにも同じことを聞かれたな。
320 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/27(土) 13:06:40.30 ID:lZePrbzTo
一旦乙です
照さんこの不思議話しで一番最初に気にするところはそれですか
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/27(土) 13:18:14.16 ID:I8a93LqZ0
乙
322 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/27(土) 14:15:15.31 ID:15T81Z+Bo
乙
まぁ確かにそんな不思議話されたらその男子が彼氏なのかは疑うよな
ただの知り合いならこんなに気にしたりしないだろうし
323 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/27(土) 14:55:27.74 ID:qMyegvJSO
土器土器
324 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/27(土) 17:00:01.25 ID:oa2aF0g30
ドラゴビッチ....クラフチェンコ....シュタイナー....オールマストダーイ....
325 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/27(土) 17:12:53.15 ID:E3Q0NNu5o
なんかSFっぽくて楽しみ
326 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/27(土) 20:07:00.73 ID:DvRvysvHo
乙
まあそう思うわな…
327 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/27(土) 21:45:41.38 ID:Em2DPvaAO
乙です
328 :
のんびり書きながら投下するよー
[saga]:2016/02/27(土) 23:11:10.25 ID:od5pT+3ao
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「なるほど、分かった」
お姉ちゃんの言葉と同時に、見られているような感覚が消える。
「須賀さんの息子さん……か。……京香さんには、よくお世話になった」
「うん……」
「京香さんも清澄だったかな。制服が同じようにセーラーだった覚えがあるけど」
「よく覚えてるね……聞いたこと無いし、違うと思うけど……」
疲れた。
ちょっとだけ、机に突っ伏す。
329 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 23:22:45.80 ID:LlXU5wkk0
漫画初期設定みたいに高校の頃に仲良くなったなら「麻雀部に入るために作った友達」という理由になるが……
ここでは中学生からの知り合いぽいからなぁ……「ぼっちであることを現実逃避するための架空友達」ということか?
どっかの夜空さんを思い出すなぁ……
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/02/27(土) 23:29:24.70 ID:fmzEEXOZo
原作1話で既に中学同じって言われてるんだけど・・・
あとsageようか
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2016/02/27(土) 23:31:34.77 ID:od5pT+3ao
様々なことを聞かれた。
私と京ちゃんの関係に始まり。
私が京ちゃんをどう思っているか、京ちゃんが私をどう思っていると思うか。
さらには京ちゃんの周囲の状況や、家庭環境まで。
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