利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 二隻目

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 21:17:44.56 ID:K9epm46u0
リクエスト、悩みどころだけど利根かなあ
このシリーズのおかげで利根がさらに好きになったから
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/18(日) 22:14:32.78 ID:E9vmBOc50
空母棲姫
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 06:15:54.70 ID:oMXdG70CO
利根のケッコン初夜(直球)
650 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:47:32.25 ID:gfxgnvvZo
本当は利根さん、飛龍、空母棲姫の三人を書くつもりだったけど、仕事で利根さんのを中途半端にしか書けなかった。ちくせう。
今回はクリスマスの利根さんとの一日を投下します。利根さんルートのその後と考えて下さいませ。
651 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:48:02.84 ID:gfxgnvvZo
利根「──のう提督よ。サンタになってみる気はあるかの?」カリカリ

提督「……執務中だというのに、いきなりどうした利根?」サラサラ

利根「何。簡単な事じゃ。一部の者達がクリスマスを楽しみにしているようでな」カリカリ

提督「なるほど、そういう事か。……しかし、今からプレゼントなど用意できんぞ。そもそも、娯楽品を手に入れる事自体が難しい事から、希望の品を渡す事もままならない」サラサラ

利根「そこは提督という権限でどうにかしてやってはどうじゃ?」

提督「馬鹿を言え。また島流しされたいのか?」

利根「やはりそうなるよのう……」

提督「……しかし、どうしてまたそんな話をしたんだ? プレゼントを欲しがっている子でも居たか」

利根「まあ居る事は居たが、少数じゃな。単純にクリスマスの雰囲気を知りたいという者が多かったのじゃよ」

提督「ふむ……」

利根「そこで気になったのじゃが、どうして提督はクリスマスに何かイベントをしたりしないのじゃ?」

提督「クリスマスは、深海棲艦が現れる前に戦争していた敵国の祭りだからだ。敵国の祭りで祝うなど士気の低下に繋がりかねんと判断して一切の手を付けていない。むしろ、祝っているのを上層部に知られでもしたら面倒だ」

利根「ほー。初めて知ったぞ。むしろ、深海棲艦と戦う前に戦争などしておったのか」

提督「……そうか、お前達は知らないのか。一応この国は枢軸国として、ドイツなどと共にアメリカやイギリスなどの連合国を相手に戦っていたぞ」

利根「過去形なのじゃな」

提督「今はそれどころではないからな。連合はおろか、枢軸にすら連絡が取れん。近くにある国ですら人を確認できていない。深海棲艦によって殲滅された可能性は大いにあるだろう」

利根「なるほどのう。……話は戻すが、お菓子を配る事も難しいかの」

提督「菓子か。ふむ……。それならば士気向上という建前も得られる。それに、実際に皆が喜ぶだろう」

提督「あと、お前も喜びそうだ」チラ

利根「むむ。我輩はお子様ではないぞ?」

提督「そうか。──では、間宮たちに頼んで25日に配る菓子を用意して貰うか」

利根「ちなみに、どんな物を配るのじゃ?」

提督「そうだな……。出来れば、普段とは違う菓子が良いな。その方が皆も喜ぶだろう。そこは間宮たちと一緒に相談でもしよう」

利根「ほうほう」

提督「さて、では間宮たちと話す為に執務をさっさと終わらせるとしよう。利根、ついてこいよ」サラサラサラサラサラ

利根「ぬぁ!? そ、そんなに速く処理など出来ぬわ! 腕が早送りしているみたいじゃぞ!?」カリカリカリ

……………………
…………
……
652 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:48:29.16 ID:gfxgnvvZo
提督「──さて間宮、最中はどうなった?」

利根「ほう、最中にしたのか」

間宮「はいっ、ちゃんと作っておきました。こちらに用意していますよ」

利根「おお……これまた凄まじい量じゃのう……」

提督「……山と言うのはこういう事だな。百なんて個数ではないだろう、これは」

ヲ級「一杯、作った!」ニパッ

伊良湖「空母棲姫さんとヲ級ちゃんが頑張って下さったので、一人あたり四個も用意できましたよ!」ニコニコ

空母棲姫「頑張りました」

提督「という事は三百近くもか……。本当、ありがたい」ナデ

間宮「いえいえ♪」ニコニコ

伊良湖「わわっ……! 頭を撫でてくれたのって初めてかも……!」

ヲ級「えへー♪」ニパー

空母棲姫「少し……恥ずかしいです……」

ヲ級「姫、照れてる!」

空母棲姫「……頬を伸ばしてあげても良いのよ?」

ヲ級「素直が、一番!」ニコニコ

空母棲姫(……こうも純粋に笑顔を向けられると、お仕置きも出来ないわ)

利根「ところで、提督よ」

提督「どうした」

利根「既に菓子の匂いに釣られて何十人……というよりも、全員が食堂を覗いているようじゃが、どうするのじゃ?」
653 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:48:57.55 ID:gfxgnvvZo
川内「ねえ、何かなアレ?」

電「ちっちゃな袋が沢山なのです」

赤城「甘い匂いがします……!」

鈴谷「もしかしてお菓子とか? 提督やるじゃーん!」

提督「丁度良いからここで配るとしよう」スッ

提督「──お前達、中へ入ってこい」

全員「はーい」

ゾロゾロ

提督「全員揃ったな。──本日はクリスマスだというのは皆も知っているだろう。今までは事情により開催される事はなかったが、今年より菓子の配布という形で実施する事とした。今日の為に頑張ってくれた四人には必ず礼を言うようにしてくれ」

全員「はいっ! ありがとうございます!」

提督「よろしい。では、菓子を配る。私たち六人で配るので、六列に並んで受け取ってくれ。一人につき四個だ」

…………………………………………。
654 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:49:23.72 ID:gfxgnvvZo
ガチャ──パタン

利根「ふぅ……。皆、喜んでおったのう」

提督「ああ。良い笑顔だった。これからもクリスマスは菓子を配るとしよう」

利根「うむ!」

提督「さて利根。手伝ってくれたお前にもクリスマスプレゼントがあるのだが」

利根「ほう、プレゼントとな? 何があるのじゃ?」ワクワク

提督「これだ」スッ

利根「うん? さっき配っていた最中……と似ておるのう。なんだか形が歪じゃ」

提督「間宮と伊良湖の完全監修の下だったが、私が作った」

利根「……なぬ!? 提督の手作りじゃと!?」

提督「そんなに驚くか」

利根「なんでも、以前は卵と塩だけで虹色の物体Xが出来るとかと耳にした事があるぞ」

提督「まあ……な。そんな時代もあった。私は料理が壊滅的に下手だ。……だが、島暮らしをしていた事もあって、簡単な料理くらいならば出来るようになっている。それで、いつも私の傍に居てくれている利根へ渡すのに丁度良いと思ったんだ」

利根「レア物じゃ!! 提督の手作り菓子じゃ!! わーい!」

提督「お前、この間はお菓子で喜ぶのはお子様だとか言っていなかったか?」

利根「何を言う! 提督の手作りで喜ばぬ愚か者など居らぬわ!」

提督「喜んでくれて何より」

利根「……じゃが、ちと足りぬのう」

提督「食いしん坊かお前は」

利根「そういう意味ではないわ。……提督よ、この最中を口で咥えてくれぬか?」
655 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:50:30.79 ID:gfxgnvvZo
提督「……そうきたか」パクッ

利根「ん……」スッ

提督「…………」スッ

利根「……くくっ、これは良いものじゃ。気分が良くなるのじゃ」ニヤ

提督「……私は少し恥ずかしさがあるぞ」

利根「まあまあ。プレゼントなのじゃから少しくらい良かろう?」

提督「まったく……」

利根「提督、もう一回頼むぞ」キラキラ

提督「……もうこうなったら何回でも付き合ってやる」スッ

利根「うむ! ありがたいぞ!」ニパッ

提督「困った嫁を持ったものだ」

利根「それはお互い様じゃろう?」

提督「……ほら、早くしないと誰かが来るかもしれんぞ」スッ

利根「っとと、そうじゃな。……ん」スッ












響(実は最初から見ているんだけどね。嬉しそうにしている二人を見る……これはこれで良いものだね)ニヤ

クリスマス・利根編 了
656 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:53:27.27 ID:gfxgnvvZo
以上がクリスマスの短編です。短くてごめんよ。
そして、飛龍と空母棲姫がどんな感じだったのかの殴り書きメモはありますので置いておきます。妄想して下さいませ。

・空母棲姫
ヲ級がサンタを信じているとかなんとかで相談。ヲ級を早めに寝かせる事に。
空母棲姫と提督がサンタを演じてプレゼント配布(利根の時のと同じ)
早く寝たヲ級の元へ、空母棲姫お手製の長いマフラーをプレゼント。
翌朝、ヲ級が空母棲姫に見せて喜ぶ。そして長いマフラーなので二人で一緒に包まる。その様子を見た提督が小さく微笑むと、それに気付いた空母棲姫も柔らかい笑みで返す。

・飛龍
提督がプレゼント配布(利根n略)している時に飛龍が手伝うと申し出る。当たり前のように蒼龍に煽られる。
全員にプレゼントし終わった後、いつぞやに言っていた、わらび餅を貰う飛龍。わらび餅と提督を交互に見て悩みに悩んだ後、提督へのプレゼントは私とか言い出す。何でも命令して良いとかなんとか。
流石に提督が硬直。軽く説得をするも引かない飛龍に折れて、提督が酒の相手になってくれとかなんとか。期待をしていた飛龍、渋々承諾。
ホワイトクリスマスの外を見ながらお酒。飛龍が「いつか振り向いて貰いますからね」と言う。
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 13:05:35.21 ID:+x5ACX0u0
ありがとうございます!
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 13:55:45.34 ID:Cu8T7nrvO
(遅れて書いてもいいのよ?)
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 16:09:12.86 ID:ircEhWvP0
鎮守府の人数的には最中の数からして70〜80人の間か・・・。
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 09:08:13.65 ID:WWaXoCYEO
提督の硬直姿とかレアだしみてみたさはある
661 : ◆Vwy6LzUNHA :2017/01/03(火) 10:39:37.85 ID:GvKRwpRL0
あけましておめでとうございます
662 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:28:25.93 ID:lFK1rZlxo
カチャッ……ガチャ──パタン

金剛「…………」トコトコ

ポフッ

金剛「……ここのベッドは、いつも通りデスね」ナデ

金剛「シスター、知っていまシタか? この部屋、実はテートクと私にとって大事な部屋なのデスよ。なぜだと思いマスか?」

金剛「……それはデスね、この部屋は……テートクと私の部屋だったからデス。二人っきりになりたい時は、必ずこの部屋を使っていまシタ」

金剛「二人になりたい時以外にも、スリープする時や皆さんには秘密の話をする時も……愛を囁く時も、必ずこの部屋でシタ。知っているかもしれまセンが、この部屋は防音加工をしているデス。完全に二人っきりになりたいから、そんな改造をしまシタ」

金剛「だから……テートクがシスター達をこの部屋に通した時はビックリしたデス。それに、シスターをしばらくここへ残していたのも複雑な気持ちになりまシタ」

金剛「私の死をしっかりと受け止めてくれたのかな……と思ったり、私ではなく『金剛』であればそれで良いのかな……と思ったり、それとも未練が残っていてシスターを私と重ねていたのかな……とすら思いまシタ。……そのどれも違っていまシタけれどね」

金剛「……シスター。テートクは前に進もうとしているデス。もう一緒に歩く事が出来なくなった私の傍に居ようとせず、前に向かって進んでいる皆さんと共に歩んでいこうとしてくれていマス。……けれど、私が居るとそれは出来まセン。私は……もう過去の存在なのデス。テートクの未来に、もう……私は居まセン。死者は死者らしく、ひっそりと見守るだけにすべきでシタ」

金剛「ごめんなさい、シスター……。私のせいで、シスターを思い詰めさせてしまいました……。私は、悪霊と何も変わりません……」

金剛『……違いマス』

金剛「!! シスター……!」

金剛『なんで、そんな風に言うのデスか……。悪霊だなんて、私は一度も思った事なんてありまセン! シスターは私にとって頼りになって、強くて優しい存在デス!』

金剛『私は……私は……! テートクに喜んで欲しかったのデス!! シスターと一緒に暮らしていけば……初めこそ私を気に掛けようとも、いつかきっと幸せに暮らして下さると思ったからデス!! だというのに……なぜデスか!? テートクもシスターも、心の底から愛し合っていたはずデス!! なのに、なぜお二人はそんなに悲しそうにするのデスか!? 二度と会えないはずだった二人が一緒に暮らせるようになってハッピーエンドで良かったではありまセンか!!』

金剛「…………」

金剛『だから……だから……!』

金剛「……………………」

金剛『シスター……』

金剛「…………あれ?」フラッ

ボフッ……
663 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:29:01.34 ID:lFK1rZlxo
金剛『シスター……?』

金剛(……身体が、思うように動かせない?)

金剛『え……?』

金剛(何ですか、これは……。どこにも力が入りません……)

金剛『え……え……?』

金剛(……右手は……ダメです。左手……指……両足……腰……首……。…………本当にダメです。どこも動きません)

金剛『な、何が起きているのデスか?』

金剛(分かりません……。一体、何が起きたのでしょうか……。……シスターは動かせられますか?)

金剛『……………………。私も動かす事が出来まセン……』

金剛(……一先ず、主導権を変わりましょう。シスター、身体を動かす事が出来るか試して下さい)スッ

金剛『ハ、ハイ!』スッ

金剛「…………変わりまシタが……何デスか、これは……? まるで、自分の身体ではないみたいデス……」

金剛『どこか動かす事は出来ますか?』

金剛「……………………少しだけならば動かせマス。とは言っても、指くらいデス……」

金剛『……困りました。このままだと自分ひとりでは何も出来ません……』

金剛「しかも、この部屋って防音デスよね……? 誰か気付いてくれるのでショウか……」

金剛『……………………』

金剛「うぅ……どうしまショウ……」

金剛『……いえ、大丈夫です』

金剛「え……?」

金剛『テートクならば、必ず気付いてくれます』

金剛「でも……」
664 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:29:27.75 ID:lFK1rZlxo
金剛『大丈夫です。テートクを信じて下さい』

金剛「……シスターが言うのであれば、信じるデス」

金剛『……ちなみにですが、こんな事になった原因は私にあると思います』

金剛「え?」

金剛『私がシスターと一緒に過ごし始めてからシスターの身体がおかしくなっています。頭がボンヤリとするくらいならばあまり気になりませんでしたが、こんな風にまでなると無視できません』

金剛「そ、それは……」

金剛『シスター。やはり私は──』

金剛「駄目デス」

金剛『シスター……』

金剛「テートクにはシスターが必要デス。テートクを本当の意味で癒す事が出来るのは、シスターだけデス。……なのに、今ここでシスターが居なくなってしまっタラ、いったい誰がテートクを癒すのデスか?」

金剛『……………………』

金剛『……いえ、それは違います』

金剛「え?」

金剛『死者は死者でしかありません。死んでしまった私は、本当ならば干渉する事は許されていないのです。……それに、テートクをこれから癒すのは、シスター達の役目です』

金剛「で、ですが……!」

金剛『シスター、やっぱり私は大人しく見守る事にします。そうすれば、きっとシスターの身体の異常も無くなるはずです』

金剛「…………」

金剛『たぶん大丈夫ですが、シスターの身体から出られるか試しますね』

金剛「……テートクに!」

金剛『…………?』

金剛「テートクに訊いてみまショウ! テートクなら、きっとシスターを求めるはずデス! だって、お二人は愛し合っていたのデスから!」

金剛『…………』
665 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:30:01.67 ID:lFK1rZlxo
金剛「もしテートクがシスターを求めるのならば、シスターは残って下サイ! 私は、お二人が離れ離れになるのが嫌デス!! 折角のチャンスなのデスよ!? もう二度と話す事すら出来なかったお二人が、また一緒に暮らして笑い合えるチャンスを捨てないで下サイ!」

金剛『……では、テートクが私を求めなかった場合、私はシスターの身体から出るようにします』

金剛「……ハイ! 構いまセン! テートクは、必ずシスターを放さないデス!」

金剛『それともう一つ。もし私が身体から出る事になったら、シスターは自分を大事にして下さい。シスターは、少し自分を蔑ろにしがちです』

金剛「分かりまシタ。約束しマス」

金剛『約束デス。──では、テートクを待ちましょう』

…………………………………………。
666 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:32:15.92 ID:lFK1rZlxo
明けましておめでとうございます(遅い)
今年もこのSSをよろしくお願いします(遅い)

さて、今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。遅くなってごめんよ(遅い)
もう終わるはず。そのはず。……そのはず。半年以上前にも言ったような気がするけど、そのはずです。
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 01:33:08.47 ID:Uf9jdeFKo
おつ
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 05:55:34.62 ID:VO9OJzGRo
おつ
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 01:48:11.35 ID:qbAq72+A0
あけおめ、待ってました!
まったりのんびり続けてくれる分には嬉しいんだけどなあw
670 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:05:43.00 ID:75xTnsMro
金剛「…………テートク……」

金剛(信じていマス、テートク。きっと……いえ、必ずシスターを選んで下さると。そして……)

金剛『……………………』

コンコンコン──

金剛「!」

ガチャ──パタン

提督「ここに居たのか、金剛」スタスタ

提督(む……?)

金剛「……テートク」

提督「! お前は……」

金剛「テートク、大切なお話がありマス。訳有ってこの体勢デスが、許して下サイ」

提督「……ああ、構わんぞ。大切な話とはなんだ?」

金剛「それは、私とシスターの事デス」

提督「……ふむ」

金剛「……………………」

提督「…………」

金剛「実は、デスね。もうそろそろ限界なんデス」

提督「限界?」

金剛『シスター……?』

金剛「私は……もうすぐ消えてしまいマス」

提督「…………」

金剛『消える……? 一体何を……』
671 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:06:13.03 ID:75xTnsMro
提督「どういう意味だ?」

金剛「あの島で拾われた私の意識は、もうすぐ無くなってしまうのデス。そして、この身体はシスター……テートクの『金剛』が受け継いでくれマス」

金剛『──待って下さい!! 何を言っているのですか!?』

金剛「こうなるのは分かっていまシタ……。ケド、確信は持てなかったのデス。……この前の、深海棲艦の大群と戦うまでは。だから……後はシスターと二人でお願いしマス」

提督「……それは、お前が消えて、姉の金剛が残るという意味か?」

金剛「……ハイ」

金剛『…………っ。そういう、事ですか……。シスター……貴女はどこまで馬鹿なのですか……。嘘を吐いてまで、どうして……』

金剛(馬鹿デスよ、私は。私よりも、シスターがテートクを幸せに出来マス。そして……テートクもその方が良いはずデス。その為であれば、私は自分の命すら惜しくありまセン。しばらくシスターに身体を預けていて、私は自分の意識をこの身体から消せる事も知りまシタ。後は……お別れの言葉だけデス)

提督「……そうか。ならば、言わなければならない事が出来たな」

金剛『提督!?』

金剛「……ハイ」

提督「──私がその程度の事、分からないとでも思ったか?」

金剛「…………え?」

提督「アイツがその程度で納得するものか。お前が消えると言っていたが、アイツがそれに納得する訳が無い」

金剛「で、でもシスターは……」

提督「舐めるなよ。アイツは私が選んだ子だ。強く、賢く、そして眩しいほどに真っ直ぐな子だ。そんなアイツがお前の犠牲を認めるとでも?」

金剛「…………っ」

提督「アイツは諦めが悪い。どんな状況でも、どんな状態であろうと、自分がどうしても納得できない時は全力で立ち向かう。例えそれが、どんなに無駄だと分かっていても」

提督「そもそも死者は死者でしかない。アイツが……死者である金剛が、生者に成り代わろうとするものか」

提督「──私が愛した金剛は、そういう子だ」

金剛「────────」

金剛『……ふふっ。やっぱり、提督は提督ですね。こうやって私を理解してくれるから、私は提督を心から愛せました』

金剛『私を理解してくれて、私と一緒に歩んでくれて、私と一緒の時間を過ごしてくれて……。沈んでしまった後もこうやって理解してくれて、私は本当に幸せ者です』
672 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:06:52.47 ID:75xTnsMro
金剛「…………」

金剛『シスター、これで分かりましたね。消えなければならないのは、私の方です』

金剛「なぜ、デスか……」

金剛「なぜ!? なぜ二人はそうやって割り切れてしまうのデスか!? そんなに愛し合っていたというのに、どうしてこのチャンスを捨てようとするのデスか!!?」

金剛「私には分かりまセン!! 二人は言っていたではありまセンか!! また話したいと! また会いたいと! なのに、なぜ!?」

提督「充分に夢を見させてくれたからだ。本来ならば絶対に叶わない夢を……」

金剛『ですが、夢は夢です。いつか、覚めなければなりません』

提督「それに、金剛ならば待っていてくれる」

金剛『ええ。いつまでも待っていますよ』


ヴァルハラ行きを蹴ってでも──
673 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:07:28.31 ID:75xTnsMro
金剛「……………………本当、お二人はお互いの事を良く知っているのデスね……」

提督「なるほど。同じ事を言っていたか」

金剛「…………」コクン

金剛「本当、私も馬鹿デスけれど、お二人も馬鹿デス。折角のチャンスを棒に振るだなんて……」

提督「お前の犠牲で成り立つチャンスなど考えるまでもなく却下だ。私も金剛も、そういう事が嫌いでな」

金剛『イエス! 絶対に許しません!』

金剛「……敵いまセンね、これは」

金剛「私の負けデス。シスター、最後に身体をお貸ししマスので好きに使って下サイ」スッ

金剛『またそう──』

金剛「──やって……って……」

提督「…………」

金剛「…………」

金剛「もう……シスターも中々に強引デース……」

提督「そういう所はお前よりも強かだな」

金剛「本当デス」ニコ

提督「さて……金剛」

金剛「ハイ」

提督「これが最後のようだ。何か言い残したい事はあるか?」

金剛「そうデスね……。一つだけならあるデス」

提督「ほう。なんだ?」

金剛「──どれだけ時間が掛かっても構いません。いつか、私ではなく誰かを愛してあげて下さい」

提督「さてな。私が靡くような子は稀だぞ」

金剛「知っています。どれだけ頑張った事か……」

提督「……くくっ」

金剛「……ふふっ」

提督「金剛」

金剛「はい、提督」

提督「今まで、本当にありがとう」

金剛「提督こそ、今までありがとうございました」

提督「では──」

金剛「それでは──」


──さようなら
674 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:08:09.17 ID:75xTnsMro
金剛「…………」スッ

金剛「ぁ……。動けるようになりまシタ」モゾッ

提督「ん? 動けるように?」

金剛「えっと……実は、さっきまで身体が動かなくなっていたデス」

提督「……その話は後で聞かせて貰う。その前に、言わなければならん」

金剛(怒られるのでショウか……)ビクビク

提督「──おかえり、金剛。ずっと心配していたんだぞ?」

金剛「え……?」

提督「何を驚いているんだ」

金剛「だって……私は……」

提督「それとこれとは話が別だ。無論、後で叱るから覚悟しておけ」

金剛「ハ、ハイ……」ビクッ

提督「……どこもおかしい所はないか? 頭がボーっとするとかはあるか?」

金剛「んっと……」グッグッ

金剛「…………ノープロブレム、デス」

提督「そうか。一応、救護妖精に診て貰おう。ついでに、その時に話を聞かせて貰うぞ」

金剛「え……で、でも……他の誰かに知られるのはノーグッドなのでは……?」

提督「お前や瑞鶴、響が別の鎮守府の艦娘というのすら見抜かれている。救護妖精には隠すだけ無駄だ」

金剛「……何者なのデスか、救護妖精は」

提督「さあな……。ほら、立てるか?」スッ

金剛「ハ、ハイ」スッ

提督「少しでも異常を感じたら言ってくれ。抱えて連れて行く」

金剛「え……ええ、と……。…………その時は、よろしくお願いしマス」ペコ

提督「よろしい。──では、行くぞ」

金剛「……ハイっ」

金剛(……本当に、テートクは優しいのデスね。怒るよりも先に『おかえり』デスか……)

金剛(ああ……だからシスターは心から愛せたのデスね。……少し、分かる気がするデス)

金剛(確かに、この方ならば心の底から愛せマス──)

…………………………………………。
675 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:11:15.12 ID:75xTnsMro
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。

もうゴールは目の前。もうすぐで終わります。
物語の序盤に思い付いたラストがやっと書ける。
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/24(火) 11:19:19.82 ID:Ez1myqW4o
おつ
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/24(火) 20:36:56.30 ID:efSXzI5W0
お疲れ様です。
ちょっとハンカチさがしてくる・・・・。
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/25(水) 01:28:51.45 ID:vntBjfP0O
おつおつ

とうとう終わっちまうのかぁ…
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/25(水) 03:45:49.48 ID:9F3FNgJA0
おつです!
ふと気になって見てみたら2年と2ヶ月ほどって事実に噴いてしまったw
680 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:45:55.09 ID:jKpNLkIMo
提督「まったく無茶をしおって……」スタスタ

金剛「うぅ……」

提督「異常を感じたら言えと言っただろう。ふらついて危険極まりなかったぞ」スタスタ

金剛「ごめんなサイ……」

提督「後で説教だ」スタスタ

金剛「ハイ……」

金剛(これは……お姫様抱っこの状態で見付かるのはノーグッドだと思ったから……と言っても納得してくれなさそうデス……)

提督「ドアをノックする。少しの間だけ我慢して立っていてくれ」スッ

コンコンコン──

救護妖精「ん? 誰だい?」

提督「私だ。患者を連れてきた」

救護妖精「そうかい。丁度良いし入りなー」

提督(……丁度良い?)ガチャッ

瑞鳳「…………」ペコッ

提督「瑞鳳? 何かあったのか?」

救護妖精「まあちょっとね。で、金剛に何かあったのかい?」

提督「頭がふらついている。診察をして貰って良いか?」

救護妖精「ああ良いよ」

提督「出来れば二人のみで診察して欲しい。その方が色々と都合が良いんだ」

救護妖精「なんだいそれ……。まあ良いけど、条件があるよ」

提督「条件?」
681 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:46:27.07 ID:jKpNLkIMo
救護妖精「あたしが診察をしている間、提督は瑞鳳の診察をしてくれると助かるんだよねぇ」

瑞鳳「!!? そ、それって……!!」

提督「私に医療の知識は無いんだが……」

救護妖精「出来るかどうかは提督の気分や考え次第だよ。──ま、そういう事だから瑞鳳、後は自分で言うと良いさね。あたしは金剛の診察をするよ」トコトコ

金剛「ハイ」スッ

提督「待て。倒れられたら困る。隣の部屋の椅子まで連れて行くぞ」ヒョイ

金剛「わわっ……! ハイ……」

救護妖精「ほい、こっちだよ」ガチャ

提督「ああ。──金剛、ちゃんと原因も話すんだぞ?」ソッ

金剛「…………ハイ」

救護妖精(……こりゃまた複雑な原因を抱えてそうだねぇ)

──パタン

提督「──それで、瑞鳳」

瑞鳳「!!」ビクンッ

提督「何があったんだ? 救護妖精は私が診察をしろと言っていたが……私でなければ出来ない事なのか?」

瑞鳳「え、と……その…………」

提督「…………?」

瑞鳳「あの……それは……」モジモジ

提督「……随分と歯切れが悪いな。言い難い事なのか」

瑞鳳「……………………」コクリ

提督「ふむ……。約束しよう。誰にも言ったりしないし、その内容について真剣に向き合うよ」
682 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:46:53.34 ID:jKpNLkIMo
瑞鳳(…………提督なら、話しても大丈夫……よね?)

瑞鳳「……じゃあ、あの…………」

提督「…………」

瑞鳳「わ……私の、身体の疼きを……どうにかしてくれますか……?」モジモジ

提督「……………………なんだって……?」

瑞鳳「い、今までそういう事……されてきたから……身体が覚えちゃってて……」

提督「…………」

瑞鳳(難しい顔……困ってる……? やっぱり話すべきじゃなかったかな……)

提督「……瑞鳳」

瑞鳳「はい……」

提督「私は安易にその要求を呑む事は出来ない」

瑞鳳「……はい」

提督「こう言うのもあまり良くないかもしれないが、私はその手の事に対して精神的に重要視している」

瑞鳳「……えっと? どういう事ですか……?」

提督「……端的に言うと、互いに合意を得た時にしかしようと思っていない。だが、私は知っての通り堅物だ」

瑞鳳「ええと……つまり、提督を『その気』にさせたら良いって事ですか?」

提督「まあ……そう思ってくれて良い」

瑞鳳「……私みたいな傷物でも……ですか?」

提督「傷物だなんて言うんじゃない。自分の事をそんな風に思うな。どんな経験があろうと無かろうと、お前はそれも含めて『瑞鳳』なんだ。例え瑞鳳が初めから私の子だったとしても、お前がお前である限り何も変わらんよ」

瑞鳳「でも……提督もエッチの経験が無い子の方が……」

提督「そうとは思わん。性的な事に限らず、受け入れると思えばその人が不治の病だろうと四肢が欠損していようと殺人鬼だろうと私は受け入れる。むしろ、そのような偏見なぞ無意味だ。さっきも言ったように、誰であろうとどんな経験をしてきていようと、私が受け入れると思えれば私は受け入れる。私が受け入れるという事は、それらも全てひっくるめて受け入れるからだ」
683 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:47:24.96 ID:jKpNLkIMo
瑞鳳「……不思議ですね」

提督「たまに言われる」

瑞鳳「だったら……今、誘惑をして良いですか……?」

提督「それはダメだ。時と場を弁えなさい」

瑞鳳「時と場を弁えれば……良いんですか?」

提督「誘惑自体は構わんが、私が受け入れるかどうかは別だぞ」

瑞鳳「……難しそうですね」

提督「そうだなぁ……。ある者は私を振り向かせる為に随分と長い時間を掛けたものだ」

提督(まあ……響には金剛と愛し合う前、あの悲痛な顔に負けて『手伝い』をした事はあるが……)

瑞鳳「でも……今日の夜に誘いに行きますね」

提督「先程も言ったように、受け入れるかどうかは別だぞ」

瑞鳳「……もしかしたら、押し倒しちゃうかも」

提督「そんなに我慢しているのか……」

瑞鳳「……うん」

提督(状況にも拠るが、空き部屋の鍵を用意しておくか……)



??(これは良い事聴いちゃった……!)ササッ



提督(……うん? …………気のせいか?)

瑞鳳「? どうかしたんですか?」

提督「いや、なんでもない」

瑞鳳「??」
684 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:47:51.48 ID:jKpNLkIMo
提督「それはそうと、欲求不満の解消に別の事で代用するというのは試してみたか? 運動をしたり何か集中するような事をしたりと」

瑞鳳「一杯やってみたけど、むしろ疲れると余計に……」

提督「うーむ……」

提督(そういえば……他の子達はどうしているのだろうか。一部の子には空き部屋の鍵を渡して見付からないように一人で処理して貰っているが……鍵を渡していない子はどうしているのやら)

提督(……もしかして、他の子も瑞鳳のように救護妖精に相談しにきているのか? ……いや、救護妖精ならば私に押し付けてくるはずだから無いか。…………困ったな……。私は女ではないからよく分からん……)

ガチャ──パタン

救護妖精「終わったよ。そっちはどうだい?」

提督「こちらも後は成るように成るだけだ」

救護妖精「そうかい。で、こっちの話だけど、細かい事はこの後で検査するよ。姉妹にはちょっと検査しておくって言っておいてくれるかい?」

提督「ああ、分かった」

救護妖精「あと、金剛の話を聞く限りでは問題無いだろうね。検査も念の為だから、そんなに気にしなくても良いよ」

救護妖精「──むしろ、提督の方がどうなのかと思うくらいだしねぇ」

提督「私の事は気にするな。心の整理はついた」

救護妖精「利根辺りはどうなんだい」

提督「あいつならば説明をすれば受け入れるだろう。私と違って依存まではしていなかったからな」

救護妖精「なるほどね。じゃあ利根の方は頼むよ」

提督「ああ、任せておけ」

救護妖精「そんじゃ、検査するから瑞鳳と一緒に出ておきな。なんならそのまま──」

提督「いくらお前といえど、それ以上を口にすれば吊るすぞ」

救護妖精「おお怖い。ならここまでにしておくかねぇ」

提督「まったく……」

…………………………………………。
685 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:49:13.05 ID:jKpNLkIMo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。

先に言っておきます。R18にはならないです。
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 04:24:59.43 ID:gozJxqqF0
乙です
ひとり二航戦サンドかな?
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 05:02:00.11 ID:Vw0M/eZEO
ずほに誘惑されたりしたら即堕ちする提督のが大井だろうなぁ
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 05:27:14.52 ID:oSMrjurso

堅物と思ったら大井っちだったのか・・・そら靡きませんわ
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/01/31(火) 11:12:51.93 ID:eHHAwkudo
妖精吊るしにクラスチェンジ?
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 13:53:34.42 ID:8H0qGX1u0
響への「手伝い」が気になる・・・
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/01(水) 00:27:46.42 ID:e8EOk/1Q0
ざっくり言うと手伝いは響に1人で解消する方法を教えたって感じかな?
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/01(水) 12:20:02.20 ID:1EGKlfsKO
なんか以前の作品でもそういうのなかったっけ…?
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/01(水) 14:10:29.50 ID:XLvhjehA0
金剛に説教?
もしかして初めてのお吊るしかな?
694 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:44:04.13 ID:JkgyKb/so
救護妖精「──ほい。人払いも済ませたよ。これでこの場所はあたし達の三人だけさね」

提督「それで、検査の結果はどうだったんだ?」

救護妖精「まあ、検査自体は何も問題無いって言って良かったよ。むしろ、問題があったのは金剛の話かねぇ」

金剛「……シスターの事デスね?」

救護妖精「ん、そう。艦娘の幽霊なんて存在する訳が無い。聞いた時なんて自分がおかしくなったのか提督たちがおかしくなったのか考えたくらいだよ」

提督「なぜ存在しないと?」

救護妖精「まあ……そういうものなんだよ、艦娘って存在は。……それで、本当にあの『金剛』の幽霊だったって言うのかい?」

提督「間違いない。私と金剛しか知りえない事も知っており、利根と交わした言葉も憶えていた」

救護妖精(そんな馬鹿な……。艦娘は沈んで深海棲艦にならない場合、人工魂は元の場所に還るはずなのに……)

救護妖精「…………うーん……」

金剛「物凄く難しい顔をしてるデス……」

救護妖精「……想いの強さ、なのかねぇ。んー、よく分かんないねぇ……」

救護妖精「とりあえず、この話は保留……っていうよりも、これ以上はもう分からないかもね。当の金剛はもう居ないみたいだしさ」

提督「そうか……」

救護妖精「この金剛も問題は無いっぽいから話を変えるけど、提督はこれからどうするんだい」

提督「む? どうするとは?」

救護妖精「提督もだいぶ吹っ切れたように見えるからね。新しい嫁でも探したらどうだい? 提督ならより取り見取りでしょ?」

提督「なぜそんな話になるんだ……」

救護妖精「ま、提督が元気無い時に色々と話を聞いているからね。きっと、提督が思っている以上に提督の嫁になりたがってる子は多いよ」

提督「……………………」

金剛(お嫁さん……)チラ
695 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:44:34.64 ID:JkgyKb/so
救護妖精「それに、いつまでも待たせるなんて可哀想だろう? そこん所もちゃんとハッキリさせとかないと、皆も動くに動けなくなるよ」

提督「むう……」

救護妖精「幸い全鎮守府の監査だかなんだかで暇してるんだから、今の内に解決させておきな。こっちはもうお腹一杯なんだよね」

金剛「お腹一杯……?」

提督(……という事は、救護妖精に相談が殺到しているのか)

救護妖精「検討するくらいはしてくれると、あたしもありがたいんだよねぇ」

提督「……分かった。検討はしておく」

救護妖精「うんうん。──さて、あたしから言える事はこんくらいだよ。提督と金剛は何かあるかい」

提督「強いて言うならば、本当にお前は何者なんだというくらいか」

救護妖精「残念。それは秘密だよ。あたしの素性を知りたければ、人生そのものを狂わせるような対価と交換さね」

提督「そうか。諦めておく」

救護妖精「それが良いよ。世の中には知らなくても良い事はいくらでもあるんだ。……で、金剛は何かあるかい」

金剛「私は特に……」

救護妖精「あいよ。じゃあ提督、頑張りなー」

提督「うん? どういう意味だ?」

救護妖精「周りの皆が頑張るのは目に見えてるからねぇ。後は提督がどれだけ皆に近付くかだよ」

金剛(ああ、なるほど……)

提督「……限りなく善処するよう努力する検討をしておく」

金剛「え、えぇ……と……?」

救護妖精「なんだいそりゃ……。やらないって言ってるようなもんじゃないか」

提督「それは神のみぞ知る」

救護妖精「まったく……。どこまでも堅物なんだから」

…………………………………………。
696 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:45:01.25 ID:JkgyKb/so
ガチャ──パタン

提督「ふー……」ギシッ

提督(嫁、か……。急にそんな事を言われても困るものだ……。そもそも私が靡くかどうかなど、私自身が分かっていないというのに)

提督「……だが、金剛にも言われた通り、私も前に進まなければならんな」

コンコンコン──

提督(瑞鳳か? 思ったよりも早いな)

提督「入れ」

ガチャ──パタン

川内「やっほー提督」

提督「ん? 川内とはこれまた珍しい。どうした?」

川内「ふふーん♪ ちょっとね〜♪」トコトコ

提督「機嫌が良いな。何か良い事でもあったか」

川内「ま、そんなトコだよ。隣座るね!」ポフッ

提督(……えらく近くに座ったな)

川内「ね、提督」

提督「うん?」

川内「一緒に夜戦、しよっ?」ニパッ

提督「……夜戦と言われてもだな。今は出撃待機命令で──」

川内「そっちじゃないってー。違う意味の……や・せ・ん♪」

提督「……………………」

川内「むー……。女の子が誘ってるんだよ? 何か反応してくれないと傷付くなぁ……」
697 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:45:30.36 ID:JkgyKb/so
提督「……一応聞いておくが、どういう意味かちゃんと分かっているんだよな?」

川内「そりゃ勿論っ。だって、その為に夜に提督のとこに来たんだよ?」

提督「……………………」

川内「ほら、難しい顔しないで? 優しい顔で私を見て欲しいな」スッ

提督「…………まだ早い」ポン

川内「むっ。身体はもうちょっとで大人だって! ……あー……もしかして、提督ってグラマーが好みとか?」

提督「そういう意味ではない。とにかくまだ早いんだ。今日の所は素直に部屋へ戻って寝なさい」

川内「むむむ……なら、押し倒してやるー!」バッ

提督「甘い」スッ

川内「むぐっ……」ボフッ

提督「私を押し倒したくば、それ相応の努力をしてくるんだな」ナデナデ

川内「むー……。なんでダメなのさー……」

提督「足りないモノがあるからだ」

川内「やっぱりグラマーな身体が……」

提督「そうではないと言っただろ。……金剛がどうやって私の心を動かしたか考えれば分かるよ」ナデ

川内「金剛さん……」

川内「……………………」モゾモゾ

提督「む……」

川内「えい」ギュ

提督「こら、抱き付くんじゃない」

川内「……こんな風に積極的なとこ?」

提督「それは間接的に必要なモノかな。良いから離れなさい」
698 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:48:22.92 ID:JkgyKb/so
川内「むー……」

提督「……今日は聞き分けが悪いな」

川内「! あ、じゃあ、提督をその気にさせれたら夜戦してくれる?」

提督「なんだその『良い事を考えた』みたいな顔は。却下だ」

川内「むむー……」

提督「本当にどうしたというんだ……。むしろ心配になってくるぞ」

川内「……提督のお嫁さんになりたいなって」

提督「どうしてまたそう思ったんだ?」

川内「だって……救護室の前でそういうの聞いたから……」

提督「ああ……あの時に誰かが居たと思ったが、川内だったのか」

川内「うん。……それで、エッチな事をしたら少しは私を特別に見てくれるかなって思ったんだ」

提督「そういう事か。まったく……お前も欲求不満が溜まって行動に出たのかと思ったぞ」

川内「……正直に言うと溜まってるよ?」

提督「……すまん」

川内「許してあげるには、この状態をちょっと続けさせて欲しいなぁ」ギュー

提督「……仕方が無いな。分かった。少しの間だけだぞ」

川内「やったぁ! ──うーん、良いよねぇ提督って。やっぱ好きだなぁ」

提督「恥ずかしげもなくよくそんな台詞が言えるものだ」ナデ

川内「好きな事を隠してもしょうがないじゃん。気持ちっていうのは伝えてこそだよ」

提督「……そうだな。まったくもってその通りだ」ナデナデ
699 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:48:57.34 ID:JkgyKb/so
コンコンコン──ガチャ

川内「──え!?」

瑞鳳「失礼しま──!?」ビクンッ

提督「……………………」

川内「あ、あははは……」

瑞鳳「え、えーっと……その…………お邪魔しましたっ……!!」

パタン

川内「……見られちゃったね」

提督「まさか入室許可を出す前に入ってくるとは……」

川内「……どうする、提督?」

提督「困った……。…………まあ、まず川内。この鍵を渡しておく」スッ

川内「? なにこれ?」

提督「空き部屋の鍵だ。……平たく言うと、自分でソレを解消したい時などの一人になりたい時に使いなさい」

川内「私は提督じゃないとヤだなぁ……」

提督「……こっちも困る事になるとは」





瑞鳳(うぅー……。人のを見ると余計に欲求不満がぁ……)

…………………………………………。
700 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:54:25.39 ID:JkgyKb/so
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。

>>687-688
この鎮守府に大井っちが来たらどうなるのかちょっと考えそうになった。それはそれで面白そう。

>>690
響への『お手伝い』は前々作くらいにあったりします。R18なのでそこだけは気を付けて下さいませ。
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/12(日) 07:35:22.18 ID:+xeChl/Io
乙です
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 08:13:19.16 ID:w8xCMRa90
乙でございます
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 08:55:16.19 ID:P7mbXb80o

川内かわいい
704 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [sage saga]:2017/02/23(木) 00:56:56.80 ID:H7qfkCrEo
もしかすると次の投下でトゥルーエンドが終わりそうなので、最後まで書いてから投下します。遅くなってごめんよ。
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 23:25:35.84 ID:+1op1EMmo
把握
気長に舞ってる
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/01(水) 20:01:16.47 ID:YWwL0rNQ0
ゆっくりでええやでー
イッチは待たせ方がうまいな
707 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [sage saga]:2017/03/21(火) 14:07:57.03 ID:FzzllpvNo
あとちょっとで書き上げられそうです。
お仕事が異様に忙しくなって更新が遅れています。ごめんよ。

ラストを書く上でこの物語を読み返していると、だんだんとウェーク島を観光してみたくなった。たぶん三日くらいで帰りたいとか思うのだろうけれど。
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/22(水) 20:56:06.29 ID:WS02URPXO
今から更新が待ちきれないぞい
709 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:57:48.88 ID:awnviBj5o
やっとこさ書き終わったので全投下します。遅くなってごめんよ。
なんか思った以上に多くなった。やっぱり私は短く終わらない。
710 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:58:28.08 ID:awnviBj5o
川内「じゃあ、おやすみ提督! 次こそは夜戦しようね♪」

提督「それは川内の努力次第だ。──良い夢を見ろよ」

川内「♪」フリフリ

ガチャ──パタン

提督「……積極的過ぎるのも困りものだな。……まあ、私も寝るか」スッ

提督(これからどうなる事やら……)スタスタ

コンコンコン──

提督「む? 利根か、入れ」

ガチャ──パタン

利根「……ふむ。相変わらずノックだけで誰が来たのか分かっておるようじゃのう」

提督「経験だ。少しでも変えられると分からん。ところでこんな時間に来るとは珍しい。どうしたんだ?」

利根「まあなんじゃ。海を見ながら饅頭を食べておったら不思議な事があったのじゃ」

提督「不思議な事?」

利根「うむ。金剛が挨拶に来てのう。これが別れと言うておった」

提督「……………………」

利根「聞くに、このままでは悪い影響しか与えぬとな。ならば後は見守るのみに徹するらしいぞ。妙に優しく満足した顔じゃったよ」

提督「……すまんな。あまりにも急な事でお前を呼んでやれんかった」

利根「なに。我輩は金剛ともう一度だけ話せただけで充分じゃ。金剛達が我輩と提督を恨んでおらず、見守ってくれていると分かっただけで充分なのじゃ」

提督「……そうか」

利根「それで提督よ、もう一つ金剛に言われた事がある」

提督「なんだ?」

利根「後ろ髪を引かれるのは分かるが、提督もちゃんと心を寄せるのじゃぞ。そんなのでは金剛に叱られてしまうのじゃ」
711 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:58:54.87 ID:awnviBj5o
提督「……そうだな。だが、少しの時間は貰いたい。その間に前へ進めるよう『思い出』にしておく」

利根「うむ。それが良いぞ」

提督「……利根、窓の外を見ないか?」ゴトッ

利根「うん? 夜の海なぞ見てどうするのじゃ?」

提督「いつもやっていただろう。アレだ」スッ

利根「なるほどのう。じゃから椅子を用意したのじゃな。──ほれ、のしかかるぞー」ノシッ

提督「……………………」

利根「……うーむ。違うのう」

提督「やはりそう思うか」

利根「という事は、提督もかの?」

提督「ああ。場所が違うからか、それとも椅子に座っているからか。向こうは汚れた畳の上だったからなぁ」

利根「どうなのじゃろうなぁ……。またあの島に行けば分かるかも知れぬが」

提督「名案だ。行くか」

利根「……なぬ?」

提督「この横須賀鎮守府は、一応ウェーク島を確保している扱いなんだ」

利根「なんと。そうであったのか」

提督「何度か行き来した事から、横須賀の管轄となってしまった。……まあ、あんな東の果てにあるような場所は補給も満足に出来ないから放棄したいくらいなんだが」

利根「ふむ。じゃが、それとの話の繋がりがよく分からぬぞ」

提督「ウェーク島を軍事施設として開発可能か周辺の島々も含めて視察に行くとでも言えば通るだろう」

利根「補給が満足に出来ぬのにか?」

提督「総司令部としては活用できるのであれば活用したいそうだ。あの場所を確保して拠点に出来るのであれば戦線が一気に広がるという考えらしい」

利根「ふうむ」
712 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:59:22.93 ID:awnviBj5o
提督「実際に私達はウェーク島で暮らしていた事がある。だから総司令部も出来るならば活用したいのだろう。結果など火を見るより明らかだがな」

利根「……つまる所、サボると考えて良いのか?」

提督「そうとも言う」

利根「まったく……。あの島でサボり癖が付いたのではないか?」

提督「出撃待機命令なんてものを出す方が悪い」

利根「じゃが、この鎮守府全員を連れて行く訳にはいかぬじゃろ。そこはどうするのじゃ?」

提督「何人かを連れて行くだけに留める。そしてその間、大淀に指示書を渡して鎮守府を任せよう」

利根「……猛反対しそうじゃなぁ」

提督「さて、それはどうか分からんな」

利根「ふむ?」

提督「まあ、そんなに長い間でもない。なんとかなるだろうさ」

利根「なるのであれば良いがのう……」

……………………
…………
……
713 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:59:55.22 ID:awnviBj5o
カチン──

提督「──さて、大淀」

大淀「は、はいっ!」ピクンッ

提督「この部屋の鍵を掛けた事で分かると思うが、用意はしてきているな?」

大淀「はいっ……! ちゃんと持ってきています!」

提督「しかし……お前も不思議な子だ。鎖で繋がれたいだなんて」

大淀「へ、変……ですか……?」ビクッ

提督「珍しくはあるが、そういう人も居るだろう。人など十人十色だ。私はこのくらいでは動じんよ」

大淀「良かった……。では、お願いします……!」スッ

提督「……待て。なんだこれは。手枷にしては大きくないか?」ジャラ

大淀「あの……ですね? 手首ではなく、こっちの方が良いなぁと思いまして……」チョン

提督「首……という事は、首輪か……」

大淀「は、はい……」

提督「……………………」

大淀「て、提督……あの……その……ごめんなさい……」

提督「いや……手枷ではなく首輪となると、また別の意味になりそうで困っているんだ……」

大淀「えっと……? 別の意味とは?」

提督「手枷ならば互いに束縛されているという認識も出来るが、片方が首輪だとペットや奴隷のような気にしかならん」

大淀(……ペットや奴隷)

大淀「ワ、ワン……?」

提督「……私は大切な子をペット扱いにせんぞ」
714 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:00:22.34 ID:awnviBj5o
大淀「じゃ、じゃあご主人様というのは」

提督「奴隷にするくらいならば解放して自由に行動させる」

大淀「……では、開放された奴隷が首輪を外したがらないという設定でお願いします」

提督(……いつの間にイメージプレイになっているんだ?)

提督「…………どうしてそうなったんだ、まったく……。ならば、条件を呑んで貰うからな」

大淀「条件ですか?」

提督「私は少しの間、ウェーク島へ視察へ行く予定を立てようと思っている。その間の鎮守府を大淀が指揮して欲しい。指示書は用意する」

大淀「それは……結構大変ですね……」

提督「もしこの条件を呑んでくれるというのならば、首輪を認める」

大淀「……………………呑みます。私、やります!」

提督「よろしい」ジャラ

大淀「あ……っ」ピクッ

提督「手触りの良い首輪だ。苦しかったり痛かったりはしないか?」

大淀「はいっ。緩めて下さっているので、そんな事はありません」ドキドキ

提督「さて大淀。ただ首輪を付けられたかったという訳ではなさそうだが、何を考えていたんだ?」

大淀「そ、その……まずは、引っ張って下さると……とても嬉しいです」

提督「そうか」クイッ

大淀「ん……っ」ピクッ

大淀「…………っ」フルフル

提督(……これは、大淀なりの発散方法なのだろうか。……少しだけでも付き合ってやるべきか)

提督「苦しそうだな。外してやろうか」

大淀「い、イジワルを言わないで下さい……」
715 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:00:49.18 ID:awnviBj5o
提督「どうしてだ? 苦しい事から開放するんだぞ。それの何がイジワルだと言う」

大淀「そ、それは…………その……」

提督「ほら、言ってくれなければ分からんぞ」クイッ

大淀「あっ……ぅ……。好き……だから、です……」

提督「何が好きなんだ?」

大淀「こうされるのが、好きだから、です……」

提督「こうされるのであれば誰でも良さそうだな」

大淀「そ、そんな事は──んっ!」ビンッ

提督「ほう。ただ引っ張っただけでそんな表情を浮かべているというのにか?」

大淀「提督だけです……! 私が、こんな風になってしまうのは、提督にだけです……!」

大淀「だから、その……もう少し、強く……」

提督「……………………」

大淀「…………? 提督……?」

提督「……やはり、私には合わん」

大淀「え、えっと……?」

提督「どうも奴隷のようにしか見えなくて胸糞が悪くなる……。私は、例えままごとでもお前をそんな風に扱いたくないという事なのだろう」ジャラ

大淀「あ……首輪、外されて……」

提督「やはりこうでなくてはな」ソッ

大淀「……ふふっ。そうですね。先ほどの少し乱暴に扱って下さるのも良かったですけれど、こうして優しく頬を撫でられる方がずっと良いですね」ニコ

提督「すまんな。私は鬼畜にはなれないようだ」

大淀「いえ。私の方こそ我侭を言ってしまい、すみませんでした。そして、それに付き合って下さってありがとうございます」

大淀「ですが……」ジャラ

提督「うん?」

大淀「よいしょ……。こうして、鎖を外した首輪は付けさせて下さい」

提督「気に入ったのか」

大淀「恥ずかしながら……。なんだか、提督に束縛されていると感じると愛おしくて」

提督「……なるべくだが、それは人前に見せないように。流石にファッションとしても無理がある」

大淀「う……で、では、今この時だけは許して下さいね」

提督「ああ。この時は許そう」

大淀(……考えていた通りにはいきませんでしたが、これはこれで良いものですね♪)

…………………………………………。
716 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:01:17.22 ID:awnviBj5o
瑞鳳「…………」ウズウズ

瑞鳳「…………」キョロキョロ

瑞鳳(ううぅ……。提督にどうにかして欲しい……。でも、昨日みたいに誰かが提督と一緒にお楽しみしていたらどうしよう……)

瑞鳳(……誰も居ないよね? ちょっと聞き耳立ててみよっと……)ソッ

加賀『──提督、お嫁さんを探しているという話を耳にしたのですが』

提督『川内か……? まったく……どうして話を広めたりしたんだ……』

加賀『いえ、救護妖精から聞きました。──それで、単刀直入に言いますが、私なんてどうですか?』

提督『救護妖精め……。ちなみにだが、これからどうなるかは加賀の努力次第だ』

加賀『……早い話、貴方に振り向いて貰えるようにすれば良いのね』

提督『そういう事だ。私は誰でも良いという訳ではない』

加賀『それでしたら……これから少しばかりお相手して頂けますでしょうか。外堀なんて無視をして、本丸を直接落とします』

提督『言っておくが、いかがわしい手段を取ろうものならば説教するからな』

加賀『……本丸ではなく、二の丸や三の丸から攻めますね。お酒なんて如何ですか?』

瑞鳳(やっぱり居た……。提督、人気だなぁ……)スッ

瑞鳳(今日は諦めておこ……。他の人が居ない時があれば良いなぁ……)トボトボ

──しばらくして

北上『にしても、本当に堅物だよねぇ提督ってさー。その気にならなくてもハーレム出来るってのにさー」

提督『生憎、一途でありたいんでな』

北上『まーそうだよねー。あ、パンツ見せてあげよっか? その気になるかもよ?』

提督『お前が見せるのが先か、私がお前を吊るすのが先かの勝負をするんだな?』

北上『じょ、冗談だってば〜……もー……。まあ、それなら一緒にダラダラしましょうかー』

────────────────。
717 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:01:44.13 ID:awnviBj5o
飛龍『あの、ですね提督。急に話題を変えますが……お嫁さんを探しているって本当ですか……!?』

提督『……飛龍、救護妖精は一体どんな風に言ったんだ』

飛龍『え? 提督が新しいお嫁さんを考えているとかって聞きましたけど』

提督『…………まったく……』

飛龍『……えーと、もしかして違ってました?』

提督『いや……そうだな……正確には色々と悩んでいる』

飛龍『誰にするか、ですか?』

提督『それ以前に、私の心の準備の方がだな……』

飛龍『なんだか意外ですね……もっと、こう──』

提督『とは言ってもだな……──』

────────────────。
718 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:02:10.90 ID:awnviBj5o
ヲ級『ね、ね! 今日は、姫がワッフルを、作ったよ!』

提督『ほう。空母棲姫が作ったワッフルか』

利根『楽しみじゃ。物凄く楽しみじゃ』

空母棲姫『……そんなにワクワクとされると恥ずかしいのだけれど』

利根『これがワクワクせずに居れる訳がなかろう』

提督『正直に言うと、私も非常に興味深く思っている』

ヲ級『ほら、姫』

空母棲姫『……この子ほど上手には出来ていないわよ』

利根『おおー……良い香りじゃぁ……。ほんのりと柔らかい甘い香りは最高じゃ』

空母棲姫『……ほら、さっさと食べなさい』

提督『照れ隠しが下手になってきているぞ』

空母棲姫『誰のせいですか……もう……』

────────────────。
719 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:02:39.93 ID:awnviBj5o
瑞鶴『で、決まったの?』

響『お嫁さん』

提督『決まるも何も、まだ私自身、心の準備が出来ていない』

響『心の準備って?』

提督『私が誰かを受け入れる心構えがまだなんだ』

瑞鶴『えーっと……提督の金剛さんへの想いを断ち切る為って意味……?』

提督『そんな所だ。……これが中々に難しくてな』

響『司令官の事だから、本当の結婚をしようと考えてたんだよね?』

提督『ああ』

響『じゃあ、簡単に割り切れる事じゃないさ。時間は掛かって当然だよ』

瑞鶴『んー、と……うまくは言えないけど……焦る事はないから、ゆっくり頑張れば良い……わよ?』

提督『ありがとう、二人とも』

響『ん。もっと頭を撫でてくれて良いんだよ?』

瑞鶴『……なんだろ。結構良いわねこれ』

────────────────。
720 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:03:06.71 ID:awnviBj5o
瑞鳳(うー……うぅー……いつも誰か居て、全然頼めない……。で、でも、今日こそは大丈夫……よね……?)オズオズ

提督『──という訳で、今後は無理をするんじゃないぞ。あと、約束したんだろう? その通りに自分は大事にするんだぞ』

金剛『ハイ……』

瑞鳳(また誰か居る……。もう我慢の限界になってきてるのに……)

提督『よろしい。ならば説教は終わりだ』

瑞鳳「!」

提督『それで金剛、この中でどの茶葉が一番好きだ?』

金剛『え? ……えっと、これデス』

提督『そうか。長い説教で疲れただろう。これくらいしか出来んが許してくれ』

金剛『あ……。……これくらい、だなんて事はないデス。私はとっても嬉しいデスっ』

提督『そう言ってくれると、私も気が楽になるよ』

瑞鳳(あぅ……またダメなの……? そうだ……ああすれば……!)

…………………………………………。
721 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:03:37.82 ID:awnviBj5o
カチ──コチ──カチ──コチ──

提督(……マルヒトマルマル。そろそろ瑞鳳との約束の時間か)チラ

コンコンコン──

提督「入──」

ガチャ──パタン

瑞鳳「……………………」

提督(……事情は分かっているから、入室許可の事は後で言っておくか)

提督「瑞鳳、鍵を閉めておいてくれ」

瑞鳳「……はい」

カチン──

瑞鳳「この時間なら……誰も来ない。これで……誰も入れない……よね?」トコトコ

提督「……そうだな」

瑞鳳「えへ……えへへ……。やっと……やっと二人きりになれました……」ソッ

提督「こら。どこに手を伸ばしている。まだ私は受け入れると言っていないぞ」

瑞鳳「……本当にガードが固いですね。でも……提督、見て下さい……」シュル

提督「む……」

パサッ

瑞鳳「女の子って、何日も我慢してたら……こんなになっちゃうんだよ……? もう、パンツ穿いてる意味、あるのかな……って思ってるの」

瑞鳳「それに……すっごく恥ずかしいです……。恥ずかしいのに……それ以上に、自分が抑えれないんです……」

瑞鳳「だから……提督ぅ……私の身体……まさぐって……?」

提督(仕方が無い……か……)
722 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:04:05.28 ID:awnviBj5o
提督「……手伝うのは今回だけだぞ。おいで」スッ

瑞鳳「! ありがとうございますっ……!」ソッ

提督(まずは……そうだな。抱き締めてあげるか。少し痛いくらいが好きと言っていたしな)ギュッ

瑞鳳「…………ッぁ……んっ……」ピクッ

提督(……うん?)

瑞鳳「は、ぁ……はぁー……ぁ……」

提督(……まさか。背中を撫でてみよう)ナデ

瑞鳳「!!」ゾクゾクッ

瑞鳳「あっぅ……! てぇ、とく……? 瑞鳳、に……何をしたの……っぁ!」フルフル

瑞鳳「触られてるだけ、なのに……! ギュッって、してくれてるだけ、なのにっ……はっぁ……!」ピクンッ

提督(……本当に全身が敏感になっているのか。…………ふむ)ギュゥッ

瑞鳳「あッ!? や……! ひ、ぅ……! そ、れぇ……っ!!」ビクッ

瑞鳳「は、ぁッ……!! 〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!」ギュゥゥ

瑞鳳「ッ!! ふ、ぁっ!! ぁあぁ……!!」ビクッビクン

提督(果てた……? ただ抱き締めただけだぞ?)

瑞鳳「ぎゅっ……て……してもらっひゃ……だけなのにぃ……」

瑞鳳「てぇとくの……せいだよ……? こんなになるまで……ほっとくなん────んぅッ!?」ビクッ

提督「ならば、瑞鳳が満足するまでやろう」ギュゥゥ

瑞鳳「ヤッ……! あぁ、ぅん……!! んんっ……ふぅッ──くぅん!」ゾクゾクッ

瑞鳳(あぁ……あったかくて……優しく、て……きもちいい、痛みだ……)

瑞鳳(あたま……ポーって……なるぅ……)

…………………………………………。
723 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:04:32.51 ID:awnviBj5o
瑞鳳「ぁ…………ふ……ぁー……」ピクンッ

提督(……本当に抱き締めただけで、ここまでなるとは思わなかった)

提督「……瑞鳳、大丈夫か?」

瑞鳳「んっ……ぁ……」ポー

提督「やり過ぎたのだろうか……」

瑞鳳「ぁ……」コテン

瑞鳳「…………すー……」

提督(寝てしまった……。まあ……何回も絶頂していたようだから当たり前か)

提督(身体は拭いてやった方が良いのだろうか。……いや、辞めておこう。拭いても嫌がられないのは分かるが、そういうのはしっかりとした関係になってからだ。それならば起きた時に風呂に入って貰った方が良い)スッ

スタスタ──ポフッ

瑞鳳「ん……………………すー……」

提督「良い夢を見てくれよ」ナデ

提督(さて……私の方は毛布とソファで良いか。……と、その前に着替えるとしよう。色々と汚れてしまった)

提督「……これで満足してくれていたら良いんだが」

…………………………………………。
724 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:04:59.44 ID:awnviBj5o
瑞鳳「ん……」パチッ

瑞鳳(あれ……ここドコだろ……? 私の部屋じゃない……?)モゾ

瑞鳳「──ハッ!」

瑞鳳(そ、そうだった……! 昨日、我慢できなくなって提督に……! ……って、提督、どこだろ?)キョロ

提督「む……起きたのか」モゾ

瑞鳳「あれ……えっと、提督? なんでソファで寝てるの?」

提督「一緒に寝るのはマズいだろう」

瑞鳳「私は良いと思うんだけど……」

提督「瑞鳳が良くても、他の者は良く思わんぞ。次は自分が、と言ってくるのが目に見える」

瑞鳳(そういえば……一途でありたいって言ってたっけ)

瑞鳳「……んっと、一つ良いですか?」

提督「どうした?」

瑞鳳「提督は、一夫多妻とか二人以上と関係を持つのが嫌なんですか?」

提督「ああ。好きではない」

瑞鳳「どうしてだろ……」

提督「愛するのならば一人が良い。第一夫人だの正室側室だのと序列を作るのも嫌いだ。愛するのならば全力で愛するべきだよ。それに、愛情が偏るのも嫌いだ」

瑞鳳「……………………」

提督「不思議か?」

瑞鳳「……ううん。そういう人も居るんだなって思ったの」

提督「瑞鳳は一夫多妻に賛成なのか」

瑞鳳「……どうなのかな。たぶん、賛成だと思う」

提督「曖昧だな……」

瑞鳳「一夫多妻だったら……私と気兼ねなく……その……まぐわって、くれるの……かなって思って……」

提督「恥ずかしいのならば無理して言わなくても良いんだぞ……?」

瑞鳳「あうぅ……」

提督「まあ、この話は終わらせておこう。朝礼の時間になる前に身体を洗ってきなさい」

瑞鳳「はーい」

瑞鳳(って……別に私の身体、好きにしても良かったのになぁ。提督なら信用できるのに……)

……………………
…………
……
725 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:05:26.16 ID:awnviBj5o
提督「──以上が本日の任務となる。周辺警備ばかりで退屈かもしれないが、もう少しの間だけ我慢してくれ。そして、最後に報告がある。三日後より私はウェーク島へ出発する事となった」

全員「!!」

提督「詳しく言うと、ウェーク島を軍事利用できるかどうかの判断をする為に足を運ぶ。上層部としてもあの場所を利用できるのであれば色々と有利に働くだろうと思っているらしい。だが、私一人が向かうというのは非常に危険だ。私もそんな無謀な事はしたくない。そこで、私と一緒に調査してくれる者を募集する。人数は六人前後。それとは別に空母棲姫とヲ級は連れて行く予定だ。希望する者は朝礼終了後、提督室へ向かってくれ」

提督「なお、予め言っておくが自給自足な上に娯楽も電気も食糧も水も何も無い。……ああ、寝床も爆破されたので作らなければならんな。つまり、バカンスなどとは完全に真逆の完全なサバイバルとなる事を留意しておくように」

提督「以上。何か質問はあるか?」

川内「……あの、提督」スッ

提督「どうした、川内」

川内「それって本当に暮らしていけるの……? というか、何日そこに居なきゃなの……?」

提督「一応、なんとか出来た経験はあるから出来ない事は無いだろう。たかが半月から一月くらいだ。なんとでもなる。……まあ、あくまで毎日同じ食べ物とサバイバル及び何も無い暮らしをどうにか出来る精神を持っているのならば、という話だが」

川内「うわぁ……」

加賀(流石に……それは耐えられないかもしれないわ……。ついて行きたいのに……ついて、行きたいのに……)

提督「他に質問がある者は居るか?」

龍田「は〜い。その間の鎮守府はどうなるのかしら?」

提督「提督代行として大淀に指揮して貰う。とは言っても、管理と遠征、警備くらいだとは思うが、大変なはずだ。皆で協力して支えて欲しい」

龍田「その言い方だと出撃はしないようだけれど、大丈夫なのかしら〜」

提督「上からの許可も下りている。その点は問題無い」

龍田「あらぁ〜。だったら、私は残りますね。私達のお家を護るのも、とーっても大事ですもの」

提督「理解が早くて助かる。ある意味で言うと調査よりも、私が留守の間この鎮守府を護り通す方が難しいかもしれん。私が帰ってきた時に鎮守府が瓦礫の山へとなっていては洒落にもならん」

提督「他に質問がある者は居るか? ……………………居ないようだな。では、朝礼は終わりだ。各自、自由にして良し」

…………………………………………。
726 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:06:00.12 ID:awnviBj5o
──ウェーク島

利根「……まあ、なんとなくこうなりそうじゃとは思っておったわ」トントントン

提督「小屋の建築の事か? それとも、この島に来るメンバーの事か?」カンカンカンカン

瑞鶴「響ちゃーん! 釘持って来て貰って良いー?」

響「すぐに持って行くよ」タタッ

飛龍「金剛さん、いっせーのでいきますよ!」

金剛「イエス。掛け声はお任せしマス」

瑞鳳「空母棲姫さん。作った木炭ってどこに置いとくと良いの?」

空母棲姫「家が出来るまでは竈の隣に置いておきましょうか。見た感じ、そろそろ出来そうよ」

ヲ級「獲ったお魚、捌いたよ!」タタッ

空母棲姫「ありがとう。次は調理器具を持ってきて頂戴?」

ヲ級「はーい!」

利根「無論、メンバーの方じゃ。我輩の予想とほぼ違いが無いぞ」トントン

提督「奇遇だな。私もこのメンバーになると思っていた。強いて言うならば、長門や加賀が希望してこなかったという事くらいか」カンカンカン

利根「加賀は来ぬじゃろうな。さぞかし食事の事で悩んだじゃろうなぁ」ゴトゴト

提督「長門は長門であいつらしい答えだったな」ガンッガンッ

利根「どんな敵が来ても護れるように、じゃったか? あやつは本当にどこまでも真面目じゃのう」

提督「本当にな。──さて、こんな所か」

利根「うむ! 前よりも立派になったぞ!」

飛龍「ふぅー……疲れちゃった」

金剛「持ってきた資材のほとんどを使ったネ」
727 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:06:28.14 ID:awnviBj5o
瑞鶴「……なんだか懐かしいなぁ」

瑞鳳「え? 懐かしい……?」

瑞鶴(やばっ……。そういえば瑞鳳って私達とほとんど会ってないんだった……)

瑞鶴「あー……え、とね? 前にもこういう事をやった事があるの。うん。だから懐かしいってね?」

瑞鳳「へぇー……。なんだか意外ですね」

瑞鶴「あ、あははは……」

瑞鶴(……ってか、憶えられてなかったのね。……なんだかちょっとショック)

響「後は家具だけかな? とは言っても、ベッドくらいだけど」

提督「そうだな。それが終わってから飯としよう」

空母棲姫「では私達はこのまま、おゆはんの準備をするわ」

ヲ級「美味しいの、作るよ!」

提督「ああ。楽しみにしているぞ」ナデ

ヲ級「えへー♪」

瑞鳳「…………」ヂー

提督「……瑞鳳も、頑張ってくれ」ナデ

瑞鳳「! はいっ!」

空母棲姫(あら、可愛らしい……)

提督「さて、各々のやるべき事に戻ろう。暗くなる前に終わらせるぞ」

全員「はいっ!」

…………………………………………。
728 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:06:54.89 ID:awnviBj5o
提督「……やはり、良いなぁ」

利根「うむー……」ノシッ

響「落ち着く」チョコン

飛龍(あの……何をやっているんですか、あれ……? 食べ終わってやる事が無くなったら、三人が夕暮れの海を窓からボーっと眺めているんですけど……)ヒソ

金剛(えっと……この島でステイしている間、ああしているのが日常だったのデス。きっと、それで落ち着くんじゃないかな……と……)ヒソ

瑞鶴(懐かしい光景ねぇ……。あの時はずーっとこの姿を見てた気がするわ)ヒソ

瑞鳳「…………」ヂー

利根「うん? どうしたのじゃ瑞鳳よ?」

瑞鳳「あ……えっと、私も……くっつきたいなって……」

利根「あー、なるほどのう。ほれ、どこにでもくっつくと良いぞ」

提督「私の意志は関係無しか?」

利根「お主が断るとは到底思えぬ」

提督「よく分かっているようで。──おいで、瑞鳳」

瑞鳳「! うんっ!」ギュ

利根「ふむ。右腕にしがみ付くか」

飛龍「…………」ウズウズ

瑞鶴「…………」チョンチョン

飛龍「?」

瑞鶴「左、空いてるわよ?」

飛龍「え、ええと……」ウズ
729 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:07:21.53 ID:awnviBj5o
提督「……ほら、おいで」

飛龍「ぅ……。で、では、お言葉に甘えて……」ソソッ

利根「どうじゃ? どんな感じじゃ?」

飛龍「……もうちょっとだけ近付きたいかな」ギュ

瑞鶴「瑞鳳と同じになったわね」

瑞鳳「やっぱりこうなりますよね?」

提督「腕すら動かせん……」

金剛(……なんだか、娘にとっても懐かれているダディみたいネ)

空母棲姫「提督、皆、明日の朝食なの、だけ……ど……?」

提督「…………」

空母棲姫「……どういう状況なのかしら、これ」

ヲ級「提督、人気者!」

響「落ち着くよ。とても」

利根「うむ」

空母棲姫(……苦労しているのね。でも、それを顔に出さないのは貴方らしいわ)

提督「……それで、朝食がどうしたんだ?」

空母棲姫「朝食は焼き魚にしようと思っているのだけれど、他にリクエストはあるかしら。あるのならば作ろうと思いまして」

提督「私は焼き魚に賛成だ。朝はサッパリとした物が良い」

利根「我輩も同意見じゃぞ」

響「それが良いな」

瑞鶴「あ、私はちょっとだけ濃い味が良いな」

飛龍「焼き魚ですか。楽しみですっ」

金剛「私も楽しみデース」

瑞鳳「…………」コクコク
730 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:07:48.03 ID:awnviBj5o
提督「それに、そんなに贅沢をしては後が持たん。質素に頼む」

空母棲姫「分かりました。では、暗くなるまで仕込みと保存食を作っておきますね」

ヲ級「姫、どっちが、多く出来るか、勝負!」トコトコ

空母棲姫「……負けないわよ」スタスタ

瑞鶴「本当、頼りになる二人ね」

提督「本当にな。私達も私達で出来る事をやるぞ」

全員「はーい」

…………………………………………。
731 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:08:15.44 ID:awnviBj5o
飛龍「うわぁ……夜になると本当に暗いですね……」

瑞鳳「月の光だけ明るくて……なんだろ、なんだか神秘的……」

空母棲姫「夜の海を見るのは初めてなの?」

瑞鳳「夜の海をこうやって見た事が無くて……」

利根「普通は見れても作戦行動中じゃからのう」

空母棲姫「なるほどね。──良いでしょう? こういう風に平和的に海を見るというのも」ナデナデ

ヲ級「くー……くー……」

提督「ああ。とても良い。いつまでもこうしていたいくらいだよ」

瑞鳳「……………………」

提督(……うん?)

金剛「? 瑞鳳? 真顔でどうしたデスか?」

瑞鳳「! ……んっと、もう少し近くで海を見てくるね?」スッ

瑞鶴「え? ……行っちゃった」

金剛「どうシタのでショウか……」

空母棲姫「少し寂しそうな顔をしていたようにも見えましたが……」

飛龍「…………あの」チラ

提督「ああ。私が行こう」スッ

金剛「わ、私も行って良いデスか?」

提督「いや、私一人で行く。何人も一緒だと瑞鳳も臆するかもしれん」

金剛「……ハイ」

提督「まあ、任せておけ。これでも提督をやっているんだからな」ポンポン
732 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:08:41.90 ID:awnviBj5o
提督「各自、眠くなったら寝てしまいなさい。……言っておくが、ベッドは人数分作ったんだから自分のベッドで寝るように」スタスタ

全員「はーい」

飛龍「──金剛さん、瑞鳳ちゃんが気になるんですか?」

金剛「えっと……気になるというよりも、なんとなく同じのような気がシテ……」

響「同じって?」

金剛「……私と、同じような雰囲気だったのデス。心に整理を付けたと思っていながら、寂しくなるあの気持ちを感じていたように見えまシタ」

瑞鶴「ああ……下田の……」

金剛「…………」コクリ

利根「なるほどのう……。まあ、提督ならばなんとかするじゃろう。きっと励まして帰ってくるぞ」

空母棲姫「当然そうでしょうね」

響「ホント、空母棲姫さんって最初の頃と変わったよね」

空母棲姫「現状を受け入れただけよ。私自身はこれといって大きくは変わっていないわ」ナデ

ヲ級「ん〜……♪」

瑞鶴「良い夢見てそうねぇ……」

…………………………………………。
733 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:09:08.27 ID:awnviBj5o
ザザァ──……

瑞鳳「…………」ボー

瑞鳳「……今頃、何してるんだろ」

瑞鳳「……………………提督……」

提督「──呼んだか?」

瑞鳳「!!」ビクンッ

提督「隣、座るぞ」スッ

瑞鳳「…………」

提督「瑞鳳、今は暗いか? それとも明るいか?」

瑞鳳「え……?」

提督「どうだ?」

瑞鳳「……………………え、っと……暗い、かな……?」

提督「そうか。私は明るいと思う」

瑞鳳「どうして? 夜なのに……」

提督「この綺麗な夜の海を見れて機嫌が良い。だから明るいんだ」

瑞鳳「ぁ、なるほど……」

提督「だが、瑞鳳は暗いようだな」

瑞鳳「……うん」

提督「聞いても良いか?」

瑞鳳「…………うん。提督になら、言える……と、思うかな……?」

瑞鳳「ん、とね……? ちょっとだけだけど、気になってるの。……『提督』の事」
734 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:09:50.68 ID:awnviBj5o
提督「それは、私ではないな?」

瑞鳳「…………」コクン

瑞鳳「今頃、どうしてるのかなって……。今になって思えば、あんなに酷い事ばっかりされてきたのに、なんだか気になっちゃうの」

瑞鳳「私、おかしいのかな……。酷い事も苦しい事も、辛い事もいっぱいされたのに、大丈夫なのかなって思ったり、辛い目に遭ったりしてないかなって思ってる……」

提督「瑞鳳がそれだけ優しいという事だろう」

瑞鳳「なのかな……。自分の事なのに、よく分かんなくて……。そもそも、こんなに綺麗な夜の海を見て、どうして『提督』の事を思い出したのかな……」

提督「……そればっかりは私には分からん。ただ分かるのは、お前が優しいという事くらいだよ」

瑞鳳「…………ありがと、提督」

提督「うん?」

瑞鳳「私の事、気に掛けてくれて……ありがと。きっと、提督は優しいから私がこんな気持ちになってる事に気付いたんだよね」

提督「さてな。それは秘密にしておこう」

瑞鳳「もー……すぐにそうやって逸らかすんだから……。でも……提督のそういう不思議なトコ、私は好き」

瑞鳳「今見てる海みたいに、ただ冷たいように見えて綺麗。……ちょっとだけ、羨ましいなって思うくらいに。返答とかすっごく素っ気無く聞こえるのに、ちゃんと話を聞いてくれてて、ちゃんと話してくれて、ちゃんと見てくれてる……」

瑞鳳「実はね? そういうの……叶ったら良いなって、ずっと思ってたの。……『提督』が、そうなってくれたら良いなって、思ってた。厳しくても良いから──怖くても良いから──酷い事をされても良いから──……。私をちゃんと見て、私を大切にしてくれたらなって……」

瑞鳳「……『提督』が連れていかれた時の話を聞く限りだと、もう『提督』は提督じゃなくなってるんだよね?」

提督「……そうだな。提督としての肩書きは、後日すぐに剥奪されたよ」

瑞鳳「そっか……。じゃあ、もう会えないのかな……」

提督「……ああ」

瑞鳳「そっか……。うん、そうだよね……」

瑞鳳「…………」チラ

提督「…………」
735 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:10:30.36 ID:awnviBj5o
瑞鳳「……ねぇ。なんとなくは分かってるけど、教えて欲しい事があるの」

提督「なんだ?」

瑞鳳「……『提督』は、どうなっちゃったの?」

提督「……………………」

瑞鳳「良くて牢屋の中で、悪いと……殺されてるのかなって」

提督「…………………………………………」

瑞鳳「……そっか。言えないって事は、そういう事だよね」

提督「…………」ポン

瑞鳳「……えへ。こうやって頭を撫でられるのも、慣れちゃったなぁ。初めは叩かれるのかと思っちゃったりしたけど、今はもう安心しちゃってる」

瑞鳳「…………なんだろ。なんだか、胸にポッカリ穴が空いたみたい。悲しいのかも寂しいのかも分かんなくて……なんだか変な気持ち」

提督「……瑞鳳は、私の艦娘になって後悔していないか?」

瑞鳳「ん……うん。優しいし、困った時は助けてくれるし、何よりも安心させてくれるから後悔なんてしてないよ」

提督「そうか……」

瑞鳳「……………………」

提督「…………」

瑞鳳「……うん。ここに置いていこう」

提督「置いていく?」

瑞鳳「うん。『提督』……ううん。『あの人』への縛られたみたいな感情。ここに置いて帰ろうって思ったの」

提督「辛くないか?」

瑞鳳「ちょっとね……? でも、なんだか不思議。辛い事は幸せだったはずなのになぁ……。この辛さは、なんだかヤな気分……」

提督「……そうか」ナデ
736 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:11:00.92 ID:awnviBj5o
瑞鳳「……ねぇ、提督」

提督「どうした?」

瑞鳳「折角ベッドを用意したけど……今日だけは一緒に寝て良い? ……ちょっとじゃないくらい、寂しいから」

提督「……夜中に寝惚けて入ってきたという事にするんだぞ? 私もフォローを入れておく」

瑞鳳「うん……♪ ありがと、提督」

提督「さて、そうと決まったら先に戻っていなさい」

瑞鳳「提督は?」

提督「私はもう少しだけ、この海を見ておくよ。……私も、色々と考えたい事があるんだ」

瑞鳳「ん……遅くならないでね?」

提督「ああ」

瑞鳳「それじゃ……先に戻ってるね?」スッ

トコトコ──

提督「…………」

提督「……………………」

提督「…………………………………………」

利根「──まったく。何をしておるのじゃ?」

提督「! 利根と金剛か」

金剛「あの……大丈夫デスか?」

提督「ああ。ボーっとしていただけだ。──瑞鳳の様子はどうだった?」

利根「寂しさが薄れておった。今は他の者と同じく布団の中じゃよ」

提督「そうか。私もそろそろ戻らなければな」
737 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:11:27.74 ID:awnviBj5o
利根「そうじゃぞー? 金剛が酷く心配しておったのじゃ」

金剛「!? あ、えと……その……!!」ワタワタ

提督「……すまん。心配を掛けさせてしまった」

金剛「だ、大丈夫デス……! ハイ……えっと……大丈夫デス」

提督「……くくっ」

利根「なんじゃそれは……」

金剛「あの……? 私、何か変な事でも言いまシタか……?」

提督「いやなに。まるで榛名みたいだと思っただけだ」

利根「うむ。あやつは『大丈夫』という言葉が口癖じゃったからのう」

金剛「ぁぅ……」

提督「くくくっ……はははは」

金剛「そ、そんな笑う事ないじゃないデスかぁ!」

提督「いや、すまん……くくっ……」

金剛「ぅー……」ヂー

利根(うむ。良いのう。これは良いのじゃ。……じゃが、金剛が少し問題かのう?)

金剛「ぅぅー……」ヂー

提督「いやはや、悪かった。頼むから機嫌を直してくれないか?」

金剛「むぅ……しょうがないデスね……」

利根「……うーむ。うぅむ……うーむ……」

金剛「? どうしたデスか、そんなに悩んで?」

利根「いやー……少し思う所があるからのう」
738 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:11:54.21 ID:awnviBj5o
提督「思う所?」

利根「うむ。まあ簡単な話じゃ」

提督・金剛「?」





利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」

金剛「…………」





提督「……うん? どういう意味だ?」

利根「提督の隣が暇をしておる。そう言っておるのじゃ」

提督「…………」

利根「ほれ金剛よ、何をしておるのじゃ。さっさと提督の隣に座らぬか」グイグイ

金剛「え……え……?」

利根「ほれほれ早く」

金剛「ハ、ハイ……」チョコン

利根「……うむ。うむうむ。やはりこうでなくてはな」

金剛「…………?」

提督「……利根」

利根「すまぬが提督よ、我輩は急に眠気がやってきたのでー寝るっ。あんまり遅くならぬようにするのじゃぞー」トコトコ

金剛「……行ってしまいまシタ」
739 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:12:21.54 ID:awnviBj5o
提督「まったく……」

金剛「あの……良いのデスか? よく分からないまま隣に座ってしまいまシタが……」

提督「……ああ。折角の時間だ。少し話し相手になってくれるか?」

金剛「…………? テートクも利根みたいによく分からない事を言うデース……」

提督「まあ、気にするな。いつか分かるかもしれんぞ」

金剛「いつかって、いつなのデスか……もー……」

提督「くくっ。さあ、それはいつかな──?」

金剛「うー……。テートク? いくらなんでも──」

提督「まあ、それは──」

金剛「もー……──」

提督「────?」

金剛「────────」

提督「────。────」

金剛「────────? ……────」
740 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:12:48.10 ID:awnviBj5o
利根「…………」チラ

利根「……やはり、提督の隣には金剛が合っておるのう。──うむ。うむうむうむ。それに、我輩も気付いた事があるのじゃ」

利根「──我輩は、提督のあの笑顔を見ていたいのじゃなぁ」

利根「我輩達はお互いに一度壊れてしもうたが、それでも変わらぬものはある」

利根「提督は金剛を──我輩は提督のあの笑顔を──。それらを求めておる。……まあ、こう思う事自体が壊れて居るのかもしれぬが」

利根「頼んだぞ、金剛よ。我輩は、提督のその笑顔を見ていたいのじゃからな」

提督「────────」

金剛「────」

利根「…………」ニヤ

利根「くくっ。今日は良い夢を見られそうじゃ」

利根「……金剛、瑞鶴、響よ。我輩達は捻じ曲がりながらも前へ進むぞ。だから、安心して見ておってくれ」

利根「──これからが楽しみじゃ♪」





──── 利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 True End ────
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 03:15:17.78 ID:wA88TRM5o
おつ!
742 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:26:07.65 ID:awnviBj5o
これにて『利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」』の物語は終わりです。
何年ものの長い間、お付き合い下さいましてありがとうございました。


壊れた物は完全に直る事は無いように、壊れた人もまた、完全に直る事は無いようです。
提督も利根も、金剛さんも瑞鶴も響ちゃんも、瑞鳳も、度合いは違えどどこかしら壊れて直っていません。
解決はしても元には戻らないのは、その状態で進むしかないというものです。


あと、なんか前々作辺りの細かい設定を流用してごめんよ。分からなくてもあんまり問題はありませんが、知りたいと思った方は下のURLを辿って下さいませ。

金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382027738/

どこかで誰かが仰っていましたが、物語は終わったけどレスが少し残っていますので、少しだけ皆の希望のショートストーリーを書くかもしれません。予定は未定。
何か読みたい展開などがあって書き込んで下さいましたら拾うかも。予定は未定。
機を見てHTML依頼は出しますので、出した時は報告します。


一応、本編を現行で読めず、レスしたかったのにレス出来なかった人の為にこのSS専用のアドレスを晒しておきますので、何か感想やその他を書き残したい方が居ましたら下のアドレスにどうぞ。返せるだけ返します。

kongou_zuikaku_hibiki@yahoo.co.jp
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 03:29:29.36 ID:ry+NmZ5Jo
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 03:46:21.10 ID:gWkv2hB8O
そういうのは載せない方が本当はいいんだけどね
載せると荒らしなどの格好の餌食になるしそうなった人このサイトに結構いる
確か載せないって暗黙の了解つかルールだとか聞いたことある
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 04:49:54.75 ID:dBE7RoSM0
このSS専用のアドレス
このSS専用のアドレス
このSS専用のアドレス

746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 07:22:33.94 ID:y7+mKHSJO
>>745
荒らしにはそんなの関係ないしその先が荒らされたら気分害する人もいるってことだろ
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 08:34:59.48 ID:3g3KBKQco
完結乙!
過去作同様とても素晴らしい作品でした
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/03(月) 08:51:07.46 ID:Fw1krKyVo
乙です
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 09:58:54.96 ID:mexN9+j5o
漸く完結か乙
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/03(月) 10:41:34.15 ID:apncpL6A0
本当にお疲れさまでした!
棚ぼた含めて大淀ェ…
それとあんだけボロボロだった面々で、ここまで巻き返せるだけ凄いのか優しさからかw

リクエストはメインのメンバー以外の鎮守府組が、今後どんな風なアピールに出てるかとかどうでしょう?
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 02:49:00.58 ID://LJJql60
乙でした!
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 09:01:43.00 ID:DQDFD1WWO
お疲れ様
二年三ヶ月リアルタイムで追えて良かったわ
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 13:08:48.77 ID:9GA5F5/Xo
おつおつ!
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 01:43:35.19 ID:6zQG3Lrc0
乙!ほんとにこのシリーズ大好きだよ!
755 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/19(水) 01:44:39.54 ID:Pat0QSv5o
ちょっとしたオマケ。
>>750を見て川内さんが思い浮かんだので殴り書いたものを投下します。超短いです。
756 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/19(水) 01:45:21.28 ID:Pat0QSv5o
「ね、提督」

 ベッドに腰掛けた私の膝の上で機嫌良さそうにしている、良い香りの髪を下ろした川内が私を呼ぶ。
 最近、彼女は寝る前に必ずと言って良いほどヒッソリと私の部屋へ訪れていた。理由は言わずもがな、私を誘惑する為だそうだ。

「どうした?」

 初めこそはベッドの中に潜り込んでいたり露骨にいかがわしい事をしようと誘惑をしていたのだが、数日前からめっきりとそれが無くなった。
 何かがあったのか、それとも心境の変化なのかは分からないが、私は内心ホッとした。正直に言うと、真正面から誘われるのは苦手なのだ。言葉遊びを多用する私にとって、直接的に面と向かって言われると返しようが無くなる。茶化すのも手かもしれないが、それは彼女に対して失礼なのでやりたくない。

「新しく作戦が始まっても、こうやって部屋に来て良い?」

 意外な言葉だったので、少し驚いて手が止まってしまった。
 止まった櫛を、再び彼女のサラリとした髪へ滑らせながら答える。

「構わんぞ。……むしろ、作戦があろうと無かろうと来そうなものだと思っていた」
「アハハ! 流石に提督の邪魔になるかもしれないから確認するってー」

 いつものように、あどけない口調でそう言う川内。
 だが、そこから続いた言葉は、そうでなかった。

「……だって、嫌われたくないしね」

 いつもの彼女が晴れだとすれば、今の川内は雨雲がジワリと空を覆い始めたような灰色の寂しさだ。
 何があったのだろうか──。そう思って訊いてみるも、ちょっとね、と返されてしまった。
 顔が見えていない事もあり、真意は全く分からない。ただ言えるのは、川内は少しナーバスになっているのだろう、という事だけだ。

「……そうか」

 あまり深くは踏み込まず、いつもの口癖を口にする。それと同時に、川内の頭をゆっくりと撫でた。
 何も言わず背中を預けてくる川内。髪が近くなった事で、香りが強く鼻腔を刺激してくる。その香りの強さは彼女との距離を表しているのだが、心は真逆と離れていた。
 理由など簡単だ。私は卑怯者だからである。これだけ好意を示してくる子に対し、答えを保留しているのだから。本来ならば、ハッキリと返答をした方が良いのだろう。
 ズキリ、と胸が痛む。彼女を撫でる手が止まる。今の私の状態で言えば、誰に対してもOKを出すつもりは無い。それはつまり、毎晩健気に私と時間を過ごす彼女へ首を横に振るという事だ。
 ……その時、間違いなく彼女は悲しむだろう。もしかすると、今まで見せた事の無い涙を流すかもしれない。
 それが、私は怖い。
 卑怯だと分かっていても、優柔不断だと思っていても……それでも、私は踏み止まってしまう。
 ヴァルハラから見守ってくれている金剛のような、特別な子が出来るまで私はこのままだろう。

「……ん。提督?」

 撫でる手が止まり、頭に置いているだけとなった事が気になったのか、川内が首を捻って私へ横顔を見せてきた。
 どこか諦めているような、そんな雰囲気の笑顔。それが、酷く儚く見える。この撫でていた手を動かせでもしたら崩れてしまいそうなくらい、彼女の顔は脆そうに映った。

「……………………」
「……そっか」

 儚い笑顔が柔らかく変化する。母性があるというのか、それとも慈愛があるというのか、人を安心させる笑顔だ。

「ゆっくりで良いんだよ? それに今の私は、今のままが良いしね」

 そう言いながら、彼女はベッドに置いた私の手に手を重ねてくる。
 男のそれとは違ったほっそりとしている柔らかな感触。それが、堪らなく胸に痛みを与えてきた。
 ……いつまで、私は囚われているのだろうか。いつになったら心の整理を付けられるのだろうか。

「……そんな顔、しないで欲しいなぁ」

 身体を捻り、向かい合う形となる川内。……傍から見るとビジュアルが非常によろしくないな、これは。

「ちょっとだけ、許してね」

757 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/19(水) 01:45:50.23 ID:Pat0QSv5o
 多少の不安の色を見せる声で、彼女は私に抱き付いてきた。
 あまりに急な事だったので対応も出来ず、されるがままとなってしまう。
 ……分からん。川内が何を考えてこうしたのか、まったく分からない。

「ね、提督。こうやってさ、ギューって抱き締めたら落ち着くよ?」
「落ち着く……?」

 更に予想外の言葉を投げられ、彼女が口にした言葉をそのまま返してしまった。
 ……何がどう落ち着くというのだろうか。いまいち理解できない。

「うん。護ってくれているみたいで、怖い事とか不安な事とか全部考えなくても良くてさ、絶対に危険なんて無くて、それですっごいあったかいんだよ? 落ち着く以外ないじゃん?」

 まるで父親に甘える娘のようだ──。
 真っ先に思いついた言葉がそれだった。だが、それを口にすると不機嫌になりそうなので止めておく。娘じゃなくて女の子として見てーと言いそうだ。

「そうか」

 なので、その言葉で濁して頭を撫でる。すると、気持ち良さそうに声を漏らす少女の姿がそこにあった。
 私はいつも以上に甘えてくる川内の頭を撫で続ける。川内は余程気に入ったらしく、その状態を維持していた。
 ──が、五分もすると変化が訪れる。彼女は段々と体重を私へ預け、私を抱き締めている腕が徐々に下がり、力無く私の腰元へ落ちたのだ。
 どうしたのだろうか、と一瞬だけ思ったが、すぐに事態を理解する。
 何も難しい事などない。眠ってしまっただけのようだ。いつもならば眠たくなると自分の部屋へ戻るのだが……。

「……ほら川内。自分の部屋で寝なさい」
「ん……んん……?」

 背中をポンポンと叩き、夢の中へと旅立ってしまった彼女をこちらへ戻す。未だまどろみの中に居る彼女は、眠たそうな目で私を見詰めてきた。その瞳には何か意志がある訳でもなく、ただただ私を見ているだけだ。

「ここで寝るぅ……」
「……こら、川内」

 また珍しい事に、我侭を言ってきたので軽く叱り、無理にでも自分の部屋へ戻そうとする。風紀上よろしくないからだ。他の子達が真似でもしたら収拾つかなくなってしまう。
 ──いつもなら、そうしただろう。

「……ちゃんと布団の中で寝なさい。風邪をひくぞ」

 だが、今日はそうしなかった。寂しそうな顔をした彼女の顔を見たからか、それとも自分の心が不安定になっているからか、はたまた両方か──。
 ……本当、弱くなってしまったな、私よ。
 川内は、はぁい、と間延びした返事をして、彼女はもそもそと布団の中へと潜り込む。そして、布団から顔を出すとこちらへ両手を伸ばしてきた。
 本当ならばその腕の中に身を収めるのが良いのだろうが、今の私ではそれは出来ない。
 少しだけ考えて、その両手に腕を伸ばしてみる。すると、ゆっくりと私の腕を抱き締めて寝息を立て出した。

「今回だけだぞ……?」

 聞こえていないのを分かった上で忠告する。
 そんな意味の無い言葉を紡ぎながら、私も彼女と同じ布団の中へと入った。

「うん……てぇとく……すきだよ……」

 若干、呂律の回っていない愛の告白。一体、彼女はどのような夢を見ているのだろうか。
 空いているもう片方の手で彼女の頭を二撫でほどして、私も目を閉じた。

(──出来る事ならば、誰も悲しまない未来を描きたいものだ)

 そんな叶わない願いを心で呟き、意識を手放す為に頭の中を空っぽにする。
 ああ……本当に、そうなれば良いのにな……。
 しがらみだらけの私の心。それが解かれるのは、一体いつになるのだろうか。

 少なくとも今日、そのしがらみは僅かながら解かれたと信じたい──。
758 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/19(水) 01:47:54.68 ID:Pat0QSv5o
以上でオマケ終了です。今度こそこの物語は終わりです。
もしかしたら小説になろうとかで何かを書くかもしれませんが、見付けた時はひっそりと応援して下さいますと幸いです。

それでは、だいたい一週間後にHTML依頼を出します。お疲れ様でした。
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/19(水) 14:35:58.62 ID:kDJ6HnWA0
こういう川内も珍しいけどなかなか良いなあw
本当にお疲れさまでした!
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/06(火) 02:13:50.02 ID:L+MoWKbSO
おつでした
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/12(水) 17:50:08.65 ID:js4tyLwz0
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 03:09:46.33 ID:9NChUYtOo

丁寧で引き込まれる物語だった
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/27(金) 08:59:17.72 ID:roi98Fny0
やたやた
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/30(土) 01:55:05.07 ID:PTKUhZxq0
まだ活動しているんだろうか?
607.58 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)