利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 二隻目

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621 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/11/17(木) 06:11:50.52 ID:3cgKq1PEo
提督「…………」

瑞鳳「あぁ……ずっとこのままで居たいって思っちゃう……」

提督(そういえば……金剛も抱き締められるのは好きだったな……。…………少しくらいは、私も都合良く考えても許されるだろうか)

提督「……ありがとう、瑞鳳」

瑞鳳「? お礼は私が言うべきじゃ……」

提督「いや……少しだけ、軽くなった」

瑞鳳「軽く……? え、えっと……?」

提督「ありがとう……」

瑞鳳「……うん」

コンコンコン──

提督「──さて、今日も一日が始まる。瑞鳳、今日は正式に鎮守府の皆に自己紹介しようか」スッ

瑞鳳「はいっ」

提督「よろしい。──金剛、入ってきて良いぞ。知らせたい事もある」

…………………………………………。
622 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/11/17(木) 06:12:42.29 ID:3cgKq1PEo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ます。

……おかしいな。もう終わるはずなんだけどな。
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/17(木) 06:34:29.08 ID:RBU9E/8Wo
おつ!
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/17(木) 11:25:23.00 ID:12BBj0BGo
乙です
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/17(木) 20:41:33.80 ID:et9rYABA0
おつおつ
まったりでも続いてくれるのは大歓迎ですよ〜
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/17(木) 22:43:00.89 ID:57kF03Hy0
乙です
でもこのルートのヒロイン誰?
627 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/01(木) 04:40:33.50 ID:svt2Tvv2o
金剛「…………」チラ

瑞鳳「────?」オドオド

祥鳳「────────」ナデ

瑞鳳「────♪」

天龍「? ────!」

暁・雷「!」

ヲ級「────!」ブンブン

瑞鳳「!」チラ

祥鳳「────」フリフリ

瑞鳳「…………」フリフリ

暁・雷「…………」チラ

天龍「? ────?」

暁・雷「…………」フリフリ

金剛(……祥鳳はともかく、さすが天龍とヲ級ですね。事情が事情だからなのか、それとも素の行動なのかは分かりませんが、わだかまりを解消してくれそうです)クルッ

金剛(こう言うのは良くありませんが、おかげでこっちの問題も手が付けられそうです。……シスターの事、テートクに相談しなくちゃ)スタスタ

金剛(今の時間は大抵が執務のはずですが、最近は執務が少なくなった事で休憩時間にしていましたから大丈夫ですよね)スッ

コンコンコン──

提督「金剛か、入れ」

??「なっ!!」

金剛(? 誰の声でしょうか?)
628 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/01(木) 04:41:03.67 ID:svt2Tvv2o
ガチャ──パタン

長門「な……なな、ななな……!!」ブラーン

金剛「……なんで吊るされているのデスか?」

提督「この前の深海棲艦との戦闘で命令を無視してまで前線に残っていた罰だ。あれではいつ沈んでもおかしくなかったぞ」

金剛(ああ……なるほど)

利根「ほれ、金剛も見るかの? なんと純白の下着じゃぞ。意外じゃよのう」ピラ

長門「何をする!? やめないかッ!!」

利根「とは言うても、これがこのお仕置きの醍醐味じゃからのう。……おぉ、よく見ると小さな薄桃のリボンがあるのじゃな。やはり可愛いもの好きか」ジー

長門「〜〜〜〜〜〜!! て、提督も何か言ってくれ!」

提督「私はここでお前の反省を見守るだけだ。それ以外はよっぽどの事を除いて関与せん」

長門「見守るなどと言いつつ戦艦すら射殺す目をしているではないか……!!」

金剛・利根「あ」

提督「反省の色が見えんな。十分追加」

長門「なぁっ!? ほ、他の者達が更に来たらどうする!?」

提督「それはお前自身が招いた事だ。それによって生まれる問題は自分の行動の結果だと思え」

長門「くぅっ……!」

利根「じゃが、羞恥心ばかりで恐怖心が無いのはまだ良いのではないか? 我輩など提督がこんな形相で視線を逸らす事も許されず仁王立ちなどされたら怖くて縮こまってしまうぞ」

長門「今はそれどころではない!! これ以上、誰かに見られたらと思うと──!」

提督「ほう? 反省をするどころか全く別の事を考えるか」ジッ

長門「ひっ!? じ、時間を延長するのは止めてくれ!! もうあんな事はしないと誓う!!!」

提督「宜しい。あと五分で降ろすとしよう」
629 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/01(木) 04:41:30.38 ID:svt2Tvv2o
長門「な、長くなっているのは変わらないのか……!!」

提督「お望みならばもっと長くしてやるが」

長門「や、やめてくれぇ!! こんな姿をこれ以上見られたくない……ッ!!」

利根「……プライドの塊というのは生き辛そうじゃのう」

金剛「効果抜群ネー……」

────五分後──

長門「…………終わった……。二つの意味で、終わった……」ズーン

利根「瑞鶴と響がやってくるとはのう。気を利かせてくれたのか、すぐに帰ってくれたが」

長門「誰かに話していたり、しないだろうか……」

利根「瑞鶴は何かあった時にポロッと口にしてしまいそうじゃ。響は……言いそうではないが、今回の事を知っている者の間では言いそうなイメージはあるかの」

長門「ああぁぁぁぁぁ…………」

金剛「物凄い悲痛な声デス……」

利根「しかし少し意外じゃったな。てっきり『フン。ビッグ7たる者、この程度で屈したりはしない』なんて言うかと思っておったのじゃが」

長門「こういう羞恥心を煽られる事は苦手なんだ……」

利根「なるほどのう」

提督「反省はしたか?」

長門「!! は、はいッ!」ビクッ

金剛(また一人、テートクを怒らせてはいけないと身をもって知ったですね……)

提督「宜しい。部屋に戻って良いぞ。──利根、部屋まで送ってやってくれ」

利根「うむ。フォローは任せるが良いぞ」トコトコ

長門「失礼……した……」トボトボ
630 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/01(木) 04:42:00.98 ID:svt2Tvv2o
ガチャ──パタン

提督「……さて金剛。少し話がある」

金剛「……ハイ。シスターの事デスね?」

提督「ああ。あれから表に出てきたりはしているか?」

金剛「いえ……塞ぎこんでいてまったく返事をしてくれまセン。心の奥に居るのだけは分かるのデスが……」

提督「大丈夫なのだろうか……」

金剛「分かりまセン……。そもそも、どうして塞ぎこんでしまったのかも分からないデス……」

提督「むう……」

金剛「…………」

提督「……一先ず、呼び掛けて──いや、呼び掛け続けてみよう。もしかしたら反応してくれるかもしれん」

金剛「ハイ。私も諦めまセン。諦めてしまったら……それは私がシスターの身体を乗っ取ってしまうのと変わらないデス」

提督「そうだな。……金剛、気になったのだが、最後に妹の方と話した時に何かおかしい所とかはあったか?」

金剛「そうデスね……。レ級と戦っていた時にたしか、この身体は私のモノとして扱って下サイ、と言っていたデス」

提督「……ダメージを気にしないで良い、と言った訳ではなさそうだな」

金剛「ハイ……。あの時は考える余裕がありまセンでシタが、今になって思うと、あれは私に身体を受け渡すという意味にも聞こえるデス」

提督「ああ……。本当、どうしてなんだ金剛。お前の身体はお前のモノだろう? 誰かのモノでもない、自分自身のモノだ。今はただ好意で私達を会話させる為に──……」

金剛「!」ハッ

提督「……そういう事か」

金剛「きっと、そうかもしれまセン。……馬鹿デス」

提督「本当にな……。そんな事をしても、誰も喜びはしないというのに……」

提督「──私と金剛の為に、自分を犠牲にしようと考えるか。なぜそんな事を……」
631 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/01(木) 04:42:27.46 ID:svt2Tvv2o
金剛「……艦娘、だからデスかね」

提督「…………」

金剛「私達はテートクの為に動き、テートクに喜んで貰いたいと思っているデス。……きっと、シスターは自分ではなく、私の方がテートクを喜ばせられると思ったのでショウね」

提督「……………………」

金剛「……シスター、お願いデス。もし本当にそんな事を考えているのでしタラ、考え直して欲しいデス。私もテートクも、そんな事は望んでいないデス」

提督「金剛、話をさせてくれ。このままお前が居なくなるなど、私は認めん。……頼む」

金剛「…………ダメです。反応も何もしてくれまセン……」

提督「金剛……」

金剛「シスター……」

…………………………………………。
632 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/01(木) 04:43:19.70 ID:svt2Tvv2o
今回はここまでです。また一週間後くらいに来るかもしれません。

お仕事が忙しくて更新が遅れてごめんよ。
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/01(木) 09:30:29.38 ID:DOekaYrLo
乙です
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 11:25:49.11 ID:GRDlODAlO
ひとつノルマが達成された
635 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/15(木) 04:16:02.26 ID:2Gw8Ge/do
飛龍「…………」カリカリ

利根「…………」カキカキ

提督「…………」サラ

飛龍(……利根さん。提督に何かあったんですか?)ヒソ

利根(いや……我輩は知らぬ。朝から何か深く考えておるようなのじゃが……聞いても生返事なのじゃ)ヒソ

飛龍(……一体、何があったんだろ。それに、私達に相談してくれないって事は……私達は頼りにならないって事なのかな……)シュン…

利根(飛龍よ)ヒソ

飛龍(…………?)

利根(お主が考えている事はなんとなく分かる。じゃが、あの提督じゃぞ? 一人でこんなに考えるという事は、きっと人に言えぬ事なのじゃ。それか、言うと問題のある事なのかも知れぬ)ヒソ

飛龍(…………)

利根(今はそっとしておくのが良かろう。見守るというのも、一つの信頼の形なのじゃ)ヒソ

飛龍(……………………)

飛龍「……利根さん、私はこういうのが苦手なのは知っていますよね?」

利根「!」

提督「……うん?」

飛龍「私は不器用に真っ直ぐです。だから、私は訊くしか出来ません」

提督「……何の話だ?」

飛龍「……提督。提督の悩みは、何ですか? それを教えてくれませんか?」

提督「む……」

飛龍「こんな風に提督が悩んで苦しんでいる姿は私も辛いです。だから、一緒に考えさせてくれませんか? 頼りないかもしれませんが、提督の悩みを私達にも共有させてくれませんか?」

利根(むう……これは良くないぞ……)
636 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/15(木) 04:16:28.45 ID:2Gw8Ge/do
提督「……飛龍」

飛龍「! はい」

提督「……すまない」

飛龍「……それ、は…………」

提督「そういう事だ。……簡単に人に話せる事ではないんだ。私も誰かと相談をしたい気持ちがある。今ここで話したいくらいだ。……だが、言う訳にはいかない。そうすると──」

提督(──余計に、殻に閉じ篭っている金剛の立ち位置が危ぶまれる。いつか必ず、あの子が酷く傷付いてしまう)

提督「…………すまない」

飛龍「そう……です、か……」

利根「……提督よ。一旦、休憩にせぬか? 今のままでは仕事にならぬじゃろう」

提督「……そうだな。休憩に──」

飛龍「…………」ジワ

提督「!!」

飛龍「!」ブンブン

飛龍「す、少し顔を洗ってきます!」タッ

提督「飛りゅ──」

ガチャ──パタン

飛龍「ごめんなさい、提督……」

飛龍(……馬鹿だな、私。勝手に訊いて、勝手に傷付いて……。提督だって人なんだから、誰にも言えない事くらいあって当然なのに……)

金剛「──飛龍?」

飛龍「!!」

金剛「どうシタのデスか? 泣いているようデスが……」
637 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/15(木) 04:16:54.96 ID:2Gw8Ge/do
飛龍「……金剛さん。…………ごめんなさい……」スッ

金剛「あ……。……何があったのでショウか」チラ

利根『────難しいものじゃなぁ……』

提督『飛龍には悪い事をしてしまった……。もう少し、言い方があったかもしれんというのに』

利根『……これは我輩の勝手な憶測なのじゃが、金剛の事で悩んでおるのではないか? そして、それは我輩にも言えぬ事かの?』

提督『……そうだな。なるべくならば誰にも伝えない方が良い内容だ』

利根『ふぅむ……。ならば我輩は待っておるとするかの。……じゃが、飛龍のような子も居るのじゃ。その点はどうにかした方が良いぞ?』

提督『ああ……まったくだ。今回の落ち度は私にある』

利根『……本当、難しいものじゃな。人間も、艦娘も……』

金剛(この話は、もしかして……)

金剛(……どうしましょうか。……本当、困りました。どうすれば、この状況を解決出来るのデスか……?)

金剛「……………………」

金剛(一先ずは飛龍です。利根の言っていたように、飛龍のように傷付いてしまう子だって居ます。ただ……こればっかりはテートクではどうしようもできそうにないですね……。ならば──)スッ

金剛(──私がやらなければなりません。そうでないと、この鎮守府は大変な事になってしまうです)スタスタ

金剛(飛龍の事です。きっと、あの部屋に行っているでしょうね。あの部屋ならばここから近いですし、それに今の時間ならば一人になれるはずですから)スタスタ

金剛(廊下を曲がって突き当たり……夜、お酒を飲む時に使われる部屋。飛龍なら、きっとここに……)スッ

コンコンコン──

ガチャ──パタン

飛龍「!! こ、金剛さん……? どうしてここに……」

金剛(やっぱり居ました。……やっぱり、泣いていたようですね。目尻が赤くなってるです)

金剛「飛龍がここへ入っていくのを見たので、来まシタ。隣に座りマスね。それで……何かあったのデスか?」スッ
638 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/15(木) 04:17:21.34 ID:2Gw8Ge/do
飛龍「それ、は……その……」

金剛「ハイ」

飛龍「……私の自分勝手な行動で、私が勝手に傷付いたんです。……私はある人に、心の奥へ踏み込むような事をしてしまいました。けれど、それはその人にとってとても重要な上、誰にも話す事の出来ない内容だったようで……。それで、話してくれなかった事が凄く辛くて……」

金剛「自己嫌悪してしまった、デスか」

飛龍「はい……。今、そんな事をしてしまった事を後悔しているんです……」

金剛「後悔、デスか」

飛龍「ええ……。もう、自分が嫌になります……」

金剛「……その人はとても悩んでいたのデスよね?」

飛龍「はい……見ていてこっちも心配になるくらいでした……」

金剛「心配になる……という事は、その人は普段そんな風に悩まないのデスね?」

飛龍「そうです……。あんなに悩んでいる姿なんて、初めて見ました……」

金剛「……これは私の勝手な意見デスが、私は飛龍のした事は間違っていないと思うデス」

飛龍「でも……」

金剛「普段、悩んでいる姿を見せない人なのデスよね? なのに、そんな人が悩んでいる姿を人に見せてしまうという事は、誰かにその悩みを話したいのだと思いマス」

提督『……簡単に人に話せる事ではないんだ。私も誰かと相談をしたい気持ちがある。今ここで話したいくらいだ』

飛龍「……はい」

金剛「その人は話す事が出来ないと言ったようデスが、それは飛龍の為を思ってなのかもしれまセンよ?」

飛龍「私の為……?」

金剛「ハイ。誰にも話す事が出来ないという事は、話す事自体が危ない事や、話す事で誰かが傷付く内容だったという可能性が高いデス。それを知ってしまった飛龍が、その人と同じく悩んでしまうのを避けたかったのかもしれまセン」

飛龍「……………………」

金剛「少し待ってみてはどうデスか? 時間が経つ事で話せるようになるかもしれまセンし、もし解決シタのならば、掻い摘んで話してくれると思うデス」
639 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/15(木) 04:17:55.27 ID:2Gw8Ge/do
飛龍「……そう、ですね。……そうしてみます」

金剛「イエス! そうとくれば、涙を拭いて顔を洗ってから、その人の所へ行ってあげて下サイ! 待っていると言っておけば、話せる時になったら話してくれるはずデース!」

飛龍「──はい。ありがとうございます、金剛さん」

金剛「私は自分の考えを言っただけネ。それでどんな風に受け取って、どんな風に解決するかは飛龍次第デス」

飛龍「……なんだか提督みたいな言葉ですね?」クス

金剛「私もテートクに影響されているデスからね」ニコニコ

飛龍「……なんだか、懐かしいです」

金剛(……はぐらかしておきましょう。言う訳にはいきません)

金剛「懐かしい……?」

飛龍「あ──い、いえ! なんでもないです!」

金剛「うーん……そういう事にしておきマス! では、飛龍もどうすれば良いのか分かったようなので、私も行くデス」スッ

飛龍「……もしかして、何か用事があったりしました?」

金剛「ノンノン。レディのお化粧直しを見る訳にはいかないデース。──では、失礼しまシタ」

ガチャ──パタン

飛龍(……やっぱり、あの金剛さんに似てるなぁ。やっぱり、別人でありながら同一人物って事なのかな)

金剛(これで上手くいけば良いのですが……。少なくとも、飛龍の落ち込んでいる姿を見て、テートクが何かを悩んでいるという事は無いでしょう。……テートクならば、これから悟られないようにしてくれるはずです)

金剛(……シスター。せめて、お話の場だけでも用意してくれたら……)

…………………………………………。
640 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/15(木) 04:20:27.46 ID:2Gw8Ge/do
今回はここまでです。また一週間後くらいに出没するかもしれません。目安にして下さいませ。
今回も遅くなってごめんよ。クリスマスには何か書くかも。誰の話にしようかちょっと悩み中。金剛さん、瑞鶴、響ちゃん、飛龍、利根さん、空母棲姫の誰かにしようかと考えています。
希望がありましたらお気軽に言ってくださいませ。
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 04:52:28.60 ID:y7xPU6HNO
響ちゃんの話がいいな、活躍などはしたりするがあまり話にでてきたりしない気がするし
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 05:14:03.15 ID:DPfV9La60
全員でもいいのよ?
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 08:51:48.15 ID:KLY9itLvo
飛龍がいいな。
うちに来た初めての空母だから思い入れ結構強いんだ。
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 09:25:50.11 ID:Sjjx/gpA0
利根の話が見たいけど、棲姫の話も気になるw
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 12:47:19.41 ID:EZIYivpA0
やっぱ利根かなぁ
ハッピーな話しが読みたいな
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 13:02:26.37 ID:sQnjIkHvO
>>644-645
ID微妙に変わってないぞw
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/15(木) 21:17:44.56 ID:K9epm46u0
リクエスト、悩みどころだけど利根かなあ
このシリーズのおかげで利根がさらに好きになったから
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/18(日) 22:14:32.78 ID:E9vmBOc50
空母棲姫
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 06:15:54.70 ID:oMXdG70CO
利根のケッコン初夜(直球)
650 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:47:32.25 ID:gfxgnvvZo
本当は利根さん、飛龍、空母棲姫の三人を書くつもりだったけど、仕事で利根さんのを中途半端にしか書けなかった。ちくせう。
今回はクリスマスの利根さんとの一日を投下します。利根さんルートのその後と考えて下さいませ。
651 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:48:02.84 ID:gfxgnvvZo
利根「──のう提督よ。サンタになってみる気はあるかの?」カリカリ

提督「……執務中だというのに、いきなりどうした利根?」サラサラ

利根「何。簡単な事じゃ。一部の者達がクリスマスを楽しみにしているようでな」カリカリ

提督「なるほど、そういう事か。……しかし、今からプレゼントなど用意できんぞ。そもそも、娯楽品を手に入れる事自体が難しい事から、希望の品を渡す事もままならない」サラサラ

利根「そこは提督という権限でどうにかしてやってはどうじゃ?」

提督「馬鹿を言え。また島流しされたいのか?」

利根「やはりそうなるよのう……」

提督「……しかし、どうしてまたそんな話をしたんだ? プレゼントを欲しがっている子でも居たか」

利根「まあ居る事は居たが、少数じゃな。単純にクリスマスの雰囲気を知りたいという者が多かったのじゃよ」

提督「ふむ……」

利根「そこで気になったのじゃが、どうして提督はクリスマスに何かイベントをしたりしないのじゃ?」

提督「クリスマスは、深海棲艦が現れる前に戦争していた敵国の祭りだからだ。敵国の祭りで祝うなど士気の低下に繋がりかねんと判断して一切の手を付けていない。むしろ、祝っているのを上層部に知られでもしたら面倒だ」

利根「ほー。初めて知ったぞ。むしろ、深海棲艦と戦う前に戦争などしておったのか」

提督「……そうか、お前達は知らないのか。一応この国は枢軸国として、ドイツなどと共にアメリカやイギリスなどの連合国を相手に戦っていたぞ」

利根「過去形なのじゃな」

提督「今はそれどころではないからな。連合はおろか、枢軸にすら連絡が取れん。近くにある国ですら人を確認できていない。深海棲艦によって殲滅された可能性は大いにあるだろう」

利根「なるほどのう。……話は戻すが、お菓子を配る事も難しいかの」

提督「菓子か。ふむ……。それならば士気向上という建前も得られる。それに、実際に皆が喜ぶだろう」

提督「あと、お前も喜びそうだ」チラ

利根「むむ。我輩はお子様ではないぞ?」

提督「そうか。──では、間宮たちに頼んで25日に配る菓子を用意して貰うか」

利根「ちなみに、どんな物を配るのじゃ?」

提督「そうだな……。出来れば、普段とは違う菓子が良いな。その方が皆も喜ぶだろう。そこは間宮たちと一緒に相談でもしよう」

利根「ほうほう」

提督「さて、では間宮たちと話す為に執務をさっさと終わらせるとしよう。利根、ついてこいよ」サラサラサラサラサラ

利根「ぬぁ!? そ、そんなに速く処理など出来ぬわ! 腕が早送りしているみたいじゃぞ!?」カリカリカリ

……………………
…………
……
652 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:48:29.16 ID:gfxgnvvZo
提督「──さて間宮、最中はどうなった?」

利根「ほう、最中にしたのか」

間宮「はいっ、ちゃんと作っておきました。こちらに用意していますよ」

利根「おお……これまた凄まじい量じゃのう……」

提督「……山と言うのはこういう事だな。百なんて個数ではないだろう、これは」

ヲ級「一杯、作った!」ニパッ

伊良湖「空母棲姫さんとヲ級ちゃんが頑張って下さったので、一人あたり四個も用意できましたよ!」ニコニコ

空母棲姫「頑張りました」

提督「という事は三百近くもか……。本当、ありがたい」ナデ

間宮「いえいえ♪」ニコニコ

伊良湖「わわっ……! 頭を撫でてくれたのって初めてかも……!」

ヲ級「えへー♪」ニパー

空母棲姫「少し……恥ずかしいです……」

ヲ級「姫、照れてる!」

空母棲姫「……頬を伸ばしてあげても良いのよ?」

ヲ級「素直が、一番!」ニコニコ

空母棲姫(……こうも純粋に笑顔を向けられると、お仕置きも出来ないわ)

利根「ところで、提督よ」

提督「どうした」

利根「既に菓子の匂いに釣られて何十人……というよりも、全員が食堂を覗いているようじゃが、どうするのじゃ?」
653 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:48:57.55 ID:gfxgnvvZo
川内「ねえ、何かなアレ?」

電「ちっちゃな袋が沢山なのです」

赤城「甘い匂いがします……!」

鈴谷「もしかしてお菓子とか? 提督やるじゃーん!」

提督「丁度良いからここで配るとしよう」スッ

提督「──お前達、中へ入ってこい」

全員「はーい」

ゾロゾロ

提督「全員揃ったな。──本日はクリスマスだというのは皆も知っているだろう。今までは事情により開催される事はなかったが、今年より菓子の配布という形で実施する事とした。今日の為に頑張ってくれた四人には必ず礼を言うようにしてくれ」

全員「はいっ! ありがとうございます!」

提督「よろしい。では、菓子を配る。私たち六人で配るので、六列に並んで受け取ってくれ。一人につき四個だ」

…………………………………………。
654 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:49:23.72 ID:gfxgnvvZo
ガチャ──パタン

利根「ふぅ……。皆、喜んでおったのう」

提督「ああ。良い笑顔だった。これからもクリスマスは菓子を配るとしよう」

利根「うむ!」

提督「さて利根。手伝ってくれたお前にもクリスマスプレゼントがあるのだが」

利根「ほう、プレゼントとな? 何があるのじゃ?」ワクワク

提督「これだ」スッ

利根「うん? さっき配っていた最中……と似ておるのう。なんだか形が歪じゃ」

提督「間宮と伊良湖の完全監修の下だったが、私が作った」

利根「……なぬ!? 提督の手作りじゃと!?」

提督「そんなに驚くか」

利根「なんでも、以前は卵と塩だけで虹色の物体Xが出来るとかと耳にした事があるぞ」

提督「まあ……な。そんな時代もあった。私は料理が壊滅的に下手だ。……だが、島暮らしをしていた事もあって、簡単な料理くらいならば出来るようになっている。それで、いつも私の傍に居てくれている利根へ渡すのに丁度良いと思ったんだ」

利根「レア物じゃ!! 提督の手作り菓子じゃ!! わーい!」

提督「お前、この間はお菓子で喜ぶのはお子様だとか言っていなかったか?」

利根「何を言う! 提督の手作りで喜ばぬ愚か者など居らぬわ!」

提督「喜んでくれて何より」

利根「……じゃが、ちと足りぬのう」

提督「食いしん坊かお前は」

利根「そういう意味ではないわ。……提督よ、この最中を口で咥えてくれぬか?」
655 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:50:30.79 ID:gfxgnvvZo
提督「……そうきたか」パクッ

利根「ん……」スッ

提督「…………」スッ

利根「……くくっ、これは良いものじゃ。気分が良くなるのじゃ」ニヤ

提督「……私は少し恥ずかしさがあるぞ」

利根「まあまあ。プレゼントなのじゃから少しくらい良かろう?」

提督「まったく……」

利根「提督、もう一回頼むぞ」キラキラ

提督「……もうこうなったら何回でも付き合ってやる」スッ

利根「うむ! ありがたいぞ!」ニパッ

提督「困った嫁を持ったものだ」

利根「それはお互い様じゃろう?」

提督「……ほら、早くしないと誰かが来るかもしれんぞ」スッ

利根「っとと、そうじゃな。……ん」スッ












響(実は最初から見ているんだけどね。嬉しそうにしている二人を見る……これはこれで良いものだね)ニヤ

クリスマス・利根編 了
656 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/12/25(日) 04:53:27.27 ID:gfxgnvvZo
以上がクリスマスの短編です。短くてごめんよ。
そして、飛龍と空母棲姫がどんな感じだったのかの殴り書きメモはありますので置いておきます。妄想して下さいませ。

・空母棲姫
ヲ級がサンタを信じているとかなんとかで相談。ヲ級を早めに寝かせる事に。
空母棲姫と提督がサンタを演じてプレゼント配布(利根の時のと同じ)
早く寝たヲ級の元へ、空母棲姫お手製の長いマフラーをプレゼント。
翌朝、ヲ級が空母棲姫に見せて喜ぶ。そして長いマフラーなので二人で一緒に包まる。その様子を見た提督が小さく微笑むと、それに気付いた空母棲姫も柔らかい笑みで返す。

・飛龍
提督がプレゼント配布(利根n略)している時に飛龍が手伝うと申し出る。当たり前のように蒼龍に煽られる。
全員にプレゼントし終わった後、いつぞやに言っていた、わらび餅を貰う飛龍。わらび餅と提督を交互に見て悩みに悩んだ後、提督へのプレゼントは私とか言い出す。何でも命令して良いとかなんとか。
流石に提督が硬直。軽く説得をするも引かない飛龍に折れて、提督が酒の相手になってくれとかなんとか。期待をしていた飛龍、渋々承諾。
ホワイトクリスマスの外を見ながらお酒。飛龍が「いつか振り向いて貰いますからね」と言う。
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 13:05:35.21 ID:+x5ACX0u0
ありがとうございます!
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 13:55:45.34 ID:Cu8T7nrvO
(遅れて書いてもいいのよ?)
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/25(日) 16:09:12.86 ID:ircEhWvP0
鎮守府の人数的には最中の数からして70〜80人の間か・・・。
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/26(月) 09:08:13.65 ID:WWaXoCYEO
提督の硬直姿とかレアだしみてみたさはある
661 : ◆Vwy6LzUNHA :2017/01/03(火) 10:39:37.85 ID:GvKRwpRL0
あけましておめでとうございます
662 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:28:25.93 ID:lFK1rZlxo
カチャッ……ガチャ──パタン

金剛「…………」トコトコ

ポフッ

金剛「……ここのベッドは、いつも通りデスね」ナデ

金剛「シスター、知っていまシタか? この部屋、実はテートクと私にとって大事な部屋なのデスよ。なぜだと思いマスか?」

金剛「……それはデスね、この部屋は……テートクと私の部屋だったからデス。二人っきりになりたい時は、必ずこの部屋を使っていまシタ」

金剛「二人になりたい時以外にも、スリープする時や皆さんには秘密の話をする時も……愛を囁く時も、必ずこの部屋でシタ。知っているかもしれまセンが、この部屋は防音加工をしているデス。完全に二人っきりになりたいから、そんな改造をしまシタ」

金剛「だから……テートクがシスター達をこの部屋に通した時はビックリしたデス。それに、シスターをしばらくここへ残していたのも複雑な気持ちになりまシタ」

金剛「私の死をしっかりと受け止めてくれたのかな……と思ったり、私ではなく『金剛』であればそれで良いのかな……と思ったり、それとも未練が残っていてシスターを私と重ねていたのかな……とすら思いまシタ。……そのどれも違っていまシタけれどね」

金剛「……シスター。テートクは前に進もうとしているデス。もう一緒に歩く事が出来なくなった私の傍に居ようとせず、前に向かって進んでいる皆さんと共に歩んでいこうとしてくれていマス。……けれど、私が居るとそれは出来まセン。私は……もう過去の存在なのデス。テートクの未来に、もう……私は居まセン。死者は死者らしく、ひっそりと見守るだけにすべきでシタ」

金剛「ごめんなさい、シスター……。私のせいで、シスターを思い詰めさせてしまいました……。私は、悪霊と何も変わりません……」

金剛『……違いマス』

金剛「!! シスター……!」

金剛『なんで、そんな風に言うのデスか……。悪霊だなんて、私は一度も思った事なんてありまセン! シスターは私にとって頼りになって、強くて優しい存在デス!』

金剛『私は……私は……! テートクに喜んで欲しかったのデス!! シスターと一緒に暮らしていけば……初めこそ私を気に掛けようとも、いつかきっと幸せに暮らして下さると思ったからデス!! だというのに……なぜデスか!? テートクもシスターも、心の底から愛し合っていたはずデス!! なのに、なぜお二人はそんなに悲しそうにするのデスか!? 二度と会えないはずだった二人が一緒に暮らせるようになってハッピーエンドで良かったではありまセンか!!』

金剛「…………」

金剛『だから……だから……!』

金剛「……………………」

金剛『シスター……』

金剛「…………あれ?」フラッ

ボフッ……
663 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:29:01.34 ID:lFK1rZlxo
金剛『シスター……?』

金剛(……身体が、思うように動かせない?)

金剛『え……?』

金剛(何ですか、これは……。どこにも力が入りません……)

金剛『え……え……?』

金剛(……右手は……ダメです。左手……指……両足……腰……首……。…………本当にダメです。どこも動きません)

金剛『な、何が起きているのデスか?』

金剛(分かりません……。一体、何が起きたのでしょうか……。……シスターは動かせられますか?)

金剛『……………………。私も動かす事が出来まセン……』

金剛(……一先ず、主導権を変わりましょう。シスター、身体を動かす事が出来るか試して下さい)スッ

金剛『ハ、ハイ!』スッ

金剛「…………変わりまシタが……何デスか、これは……? まるで、自分の身体ではないみたいデス……」

金剛『どこか動かす事は出来ますか?』

金剛「……………………少しだけならば動かせマス。とは言っても、指くらいデス……」

金剛『……困りました。このままだと自分ひとりでは何も出来ません……』

金剛「しかも、この部屋って防音デスよね……? 誰か気付いてくれるのでショウか……」

金剛『……………………』

金剛「うぅ……どうしまショウ……」

金剛『……いえ、大丈夫です』

金剛「え……?」

金剛『テートクならば、必ず気付いてくれます』

金剛「でも……」
664 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:29:27.75 ID:lFK1rZlxo
金剛『大丈夫です。テートクを信じて下さい』

金剛「……シスターが言うのであれば、信じるデス」

金剛『……ちなみにですが、こんな事になった原因は私にあると思います』

金剛「え?」

金剛『私がシスターと一緒に過ごし始めてからシスターの身体がおかしくなっています。頭がボンヤリとするくらいならばあまり気になりませんでしたが、こんな風にまでなると無視できません』

金剛「そ、それは……」

金剛『シスター。やはり私は──』

金剛「駄目デス」

金剛『シスター……』

金剛「テートクにはシスターが必要デス。テートクを本当の意味で癒す事が出来るのは、シスターだけデス。……なのに、今ここでシスターが居なくなってしまっタラ、いったい誰がテートクを癒すのデスか?」

金剛『……………………』

金剛『……いえ、それは違います』

金剛「え?」

金剛『死者は死者でしかありません。死んでしまった私は、本当ならば干渉する事は許されていないのです。……それに、テートクをこれから癒すのは、シスター達の役目です』

金剛「で、ですが……!」

金剛『シスター、やっぱり私は大人しく見守る事にします。そうすれば、きっとシスターの身体の異常も無くなるはずです』

金剛「…………」

金剛『たぶん大丈夫ですが、シスターの身体から出られるか試しますね』

金剛「……テートクに!」

金剛『…………?』

金剛「テートクに訊いてみまショウ! テートクなら、きっとシスターを求めるはずデス! だって、お二人は愛し合っていたのデスから!」

金剛『…………』
665 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:30:01.67 ID:lFK1rZlxo
金剛「もしテートクがシスターを求めるのならば、シスターは残って下サイ! 私は、お二人が離れ離れになるのが嫌デス!! 折角のチャンスなのデスよ!? もう二度と話す事すら出来なかったお二人が、また一緒に暮らして笑い合えるチャンスを捨てないで下サイ!」

金剛『……では、テートクが私を求めなかった場合、私はシスターの身体から出るようにします』

金剛「……ハイ! 構いまセン! テートクは、必ずシスターを放さないデス!」

金剛『それともう一つ。もし私が身体から出る事になったら、シスターは自分を大事にして下さい。シスターは、少し自分を蔑ろにしがちです』

金剛「分かりまシタ。約束しマス」

金剛『約束デス。──では、テートクを待ちましょう』

…………………………………………。
666 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/14(土) 01:32:15.92 ID:lFK1rZlxo
明けましておめでとうございます(遅い)
今年もこのSSをよろしくお願いします(遅い)

さて、今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。遅くなってごめんよ(遅い)
もう終わるはず。そのはず。……そのはず。半年以上前にも言ったような気がするけど、そのはずです。
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 01:33:08.47 ID:Uf9jdeFKo
おつ
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/14(土) 05:55:34.62 ID:VO9OJzGRo
おつ
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 01:48:11.35 ID:qbAq72+A0
あけおめ、待ってました!
まったりのんびり続けてくれる分には嬉しいんだけどなあw
670 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:05:43.00 ID:75xTnsMro
金剛「…………テートク……」

金剛(信じていマス、テートク。きっと……いえ、必ずシスターを選んで下さると。そして……)

金剛『……………………』

コンコンコン──

金剛「!」

ガチャ──パタン

提督「ここに居たのか、金剛」スタスタ

提督(む……?)

金剛「……テートク」

提督「! お前は……」

金剛「テートク、大切なお話がありマス。訳有ってこの体勢デスが、許して下サイ」

提督「……ああ、構わんぞ。大切な話とはなんだ?」

金剛「それは、私とシスターの事デス」

提督「……ふむ」

金剛「……………………」

提督「…………」

金剛「実は、デスね。もうそろそろ限界なんデス」

提督「限界?」

金剛『シスター……?』

金剛「私は……もうすぐ消えてしまいマス」

提督「…………」

金剛『消える……? 一体何を……』
671 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:06:13.03 ID:75xTnsMro
提督「どういう意味だ?」

金剛「あの島で拾われた私の意識は、もうすぐ無くなってしまうのデス。そして、この身体はシスター……テートクの『金剛』が受け継いでくれマス」

金剛『──待って下さい!! 何を言っているのですか!?』

金剛「こうなるのは分かっていまシタ……。ケド、確信は持てなかったのデス。……この前の、深海棲艦の大群と戦うまでは。だから……後はシスターと二人でお願いしマス」

提督「……それは、お前が消えて、姉の金剛が残るという意味か?」

金剛「……ハイ」

金剛『…………っ。そういう、事ですか……。シスター……貴女はどこまで馬鹿なのですか……。嘘を吐いてまで、どうして……』

金剛(馬鹿デスよ、私は。私よりも、シスターがテートクを幸せに出来マス。そして……テートクもその方が良いはずデス。その為であれば、私は自分の命すら惜しくありまセン。しばらくシスターに身体を預けていて、私は自分の意識をこの身体から消せる事も知りまシタ。後は……お別れの言葉だけデス)

提督「……そうか。ならば、言わなければならない事が出来たな」

金剛『提督!?』

金剛「……ハイ」

提督「──私がその程度の事、分からないとでも思ったか?」

金剛「…………え?」

提督「アイツがその程度で納得するものか。お前が消えると言っていたが、アイツがそれに納得する訳が無い」

金剛「で、でもシスターは……」

提督「舐めるなよ。アイツは私が選んだ子だ。強く、賢く、そして眩しいほどに真っ直ぐな子だ。そんなアイツがお前の犠牲を認めるとでも?」

金剛「…………っ」

提督「アイツは諦めが悪い。どんな状況でも、どんな状態であろうと、自分がどうしても納得できない時は全力で立ち向かう。例えそれが、どんなに無駄だと分かっていても」

提督「そもそも死者は死者でしかない。アイツが……死者である金剛が、生者に成り代わろうとするものか」

提督「──私が愛した金剛は、そういう子だ」

金剛「────────」

金剛『……ふふっ。やっぱり、提督は提督ですね。こうやって私を理解してくれるから、私は提督を心から愛せました』

金剛『私を理解してくれて、私と一緒に歩んでくれて、私と一緒の時間を過ごしてくれて……。沈んでしまった後もこうやって理解してくれて、私は本当に幸せ者です』
672 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:06:52.47 ID:75xTnsMro
金剛「…………」

金剛『シスター、これで分かりましたね。消えなければならないのは、私の方です』

金剛「なぜ、デスか……」

金剛「なぜ!? なぜ二人はそうやって割り切れてしまうのデスか!? そんなに愛し合っていたというのに、どうしてこのチャンスを捨てようとするのデスか!!?」

金剛「私には分かりまセン!! 二人は言っていたではありまセンか!! また話したいと! また会いたいと! なのに、なぜ!?」

提督「充分に夢を見させてくれたからだ。本来ならば絶対に叶わない夢を……」

金剛『ですが、夢は夢です。いつか、覚めなければなりません』

提督「それに、金剛ならば待っていてくれる」

金剛『ええ。いつまでも待っていますよ』


ヴァルハラ行きを蹴ってでも──
673 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:07:28.31 ID:75xTnsMro
金剛「……………………本当、お二人はお互いの事を良く知っているのデスね……」

提督「なるほど。同じ事を言っていたか」

金剛「…………」コクン

金剛「本当、私も馬鹿デスけれど、お二人も馬鹿デス。折角のチャンスを棒に振るだなんて……」

提督「お前の犠牲で成り立つチャンスなど考えるまでもなく却下だ。私も金剛も、そういう事が嫌いでな」

金剛『イエス! 絶対に許しません!』

金剛「……敵いまセンね、これは」

金剛「私の負けデス。シスター、最後に身体をお貸ししマスので好きに使って下サイ」スッ

金剛『またそう──』

金剛「──やって……って……」

提督「…………」

金剛「…………」

金剛「もう……シスターも中々に強引デース……」

提督「そういう所はお前よりも強かだな」

金剛「本当デス」ニコ

提督「さて……金剛」

金剛「ハイ」

提督「これが最後のようだ。何か言い残したい事はあるか?」

金剛「そうデスね……。一つだけならあるデス」

提督「ほう。なんだ?」

金剛「──どれだけ時間が掛かっても構いません。いつか、私ではなく誰かを愛してあげて下さい」

提督「さてな。私が靡くような子は稀だぞ」

金剛「知っています。どれだけ頑張った事か……」

提督「……くくっ」

金剛「……ふふっ」

提督「金剛」

金剛「はい、提督」

提督「今まで、本当にありがとう」

金剛「提督こそ、今までありがとうございました」

提督「では──」

金剛「それでは──」


──さようなら
674 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:08:09.17 ID:75xTnsMro
金剛「…………」スッ

金剛「ぁ……。動けるようになりまシタ」モゾッ

提督「ん? 動けるように?」

金剛「えっと……実は、さっきまで身体が動かなくなっていたデス」

提督「……その話は後で聞かせて貰う。その前に、言わなければならん」

金剛(怒られるのでショウか……)ビクビク

提督「──おかえり、金剛。ずっと心配していたんだぞ?」

金剛「え……?」

提督「何を驚いているんだ」

金剛「だって……私は……」

提督「それとこれとは話が別だ。無論、後で叱るから覚悟しておけ」

金剛「ハ、ハイ……」ビクッ

提督「……どこもおかしい所はないか? 頭がボーっとするとかはあるか?」

金剛「んっと……」グッグッ

金剛「…………ノープロブレム、デス」

提督「そうか。一応、救護妖精に診て貰おう。ついでに、その時に話を聞かせて貰うぞ」

金剛「え……で、でも……他の誰かに知られるのはノーグッドなのでは……?」

提督「お前や瑞鶴、響が別の鎮守府の艦娘というのすら見抜かれている。救護妖精には隠すだけ無駄だ」

金剛「……何者なのデスか、救護妖精は」

提督「さあな……。ほら、立てるか?」スッ

金剛「ハ、ハイ」スッ

提督「少しでも異常を感じたら言ってくれ。抱えて連れて行く」

金剛「え……ええ、と……。…………その時は、よろしくお願いしマス」ペコ

提督「よろしい。──では、行くぞ」

金剛「……ハイっ」

金剛(……本当に、テートクは優しいのデスね。怒るよりも先に『おかえり』デスか……)

金剛(ああ……だからシスターは心から愛せたのデスね。……少し、分かる気がするデス)

金剛(確かに、この方ならば心の底から愛せマス──)

…………………………………………。
675 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/24(火) 03:11:15.12 ID:75xTnsMro
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。

もうゴールは目の前。もうすぐで終わります。
物語の序盤に思い付いたラストがやっと書ける。
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/24(火) 11:19:19.82 ID:Ez1myqW4o
おつ
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/24(火) 20:36:56.30 ID:efSXzI5W0
お疲れ様です。
ちょっとハンカチさがしてくる・・・・。
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/25(水) 01:28:51.45 ID:vntBjfP0O
おつおつ

とうとう終わっちまうのかぁ…
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/25(水) 03:45:49.48 ID:9F3FNgJA0
おつです!
ふと気になって見てみたら2年と2ヶ月ほどって事実に噴いてしまったw
680 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:45:55.09 ID:jKpNLkIMo
提督「まったく無茶をしおって……」スタスタ

金剛「うぅ……」

提督「異常を感じたら言えと言っただろう。ふらついて危険極まりなかったぞ」スタスタ

金剛「ごめんなサイ……」

提督「後で説教だ」スタスタ

金剛「ハイ……」

金剛(これは……お姫様抱っこの状態で見付かるのはノーグッドだと思ったから……と言っても納得してくれなさそうデス……)

提督「ドアをノックする。少しの間だけ我慢して立っていてくれ」スッ

コンコンコン──

救護妖精「ん? 誰だい?」

提督「私だ。患者を連れてきた」

救護妖精「そうかい。丁度良いし入りなー」

提督(……丁度良い?)ガチャッ

瑞鳳「…………」ペコッ

提督「瑞鳳? 何かあったのか?」

救護妖精「まあちょっとね。で、金剛に何かあったのかい?」

提督「頭がふらついている。診察をして貰って良いか?」

救護妖精「ああ良いよ」

提督「出来れば二人のみで診察して欲しい。その方が色々と都合が良いんだ」

救護妖精「なんだいそれ……。まあ良いけど、条件があるよ」

提督「条件?」
681 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:46:27.07 ID:jKpNLkIMo
救護妖精「あたしが診察をしている間、提督は瑞鳳の診察をしてくれると助かるんだよねぇ」

瑞鳳「!!? そ、それって……!!」

提督「私に医療の知識は無いんだが……」

救護妖精「出来るかどうかは提督の気分や考え次第だよ。──ま、そういう事だから瑞鳳、後は自分で言うと良いさね。あたしは金剛の診察をするよ」トコトコ

金剛「ハイ」スッ

提督「待て。倒れられたら困る。隣の部屋の椅子まで連れて行くぞ」ヒョイ

金剛「わわっ……! ハイ……」

救護妖精「ほい、こっちだよ」ガチャ

提督「ああ。──金剛、ちゃんと原因も話すんだぞ?」ソッ

金剛「…………ハイ」

救護妖精(……こりゃまた複雑な原因を抱えてそうだねぇ)

──パタン

提督「──それで、瑞鳳」

瑞鳳「!!」ビクンッ

提督「何があったんだ? 救護妖精は私が診察をしろと言っていたが……私でなければ出来ない事なのか?」

瑞鳳「え、と……その…………」

提督「…………?」

瑞鳳「あの……それは……」モジモジ

提督「……随分と歯切れが悪いな。言い難い事なのか」

瑞鳳「……………………」コクリ

提督「ふむ……。約束しよう。誰にも言ったりしないし、その内容について真剣に向き合うよ」
682 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:46:53.34 ID:jKpNLkIMo
瑞鳳(…………提督なら、話しても大丈夫……よね?)

瑞鳳「……じゃあ、あの…………」

提督「…………」

瑞鳳「わ……私の、身体の疼きを……どうにかしてくれますか……?」モジモジ

提督「……………………なんだって……?」

瑞鳳「い、今までそういう事……されてきたから……身体が覚えちゃってて……」

提督「…………」

瑞鳳(難しい顔……困ってる……? やっぱり話すべきじゃなかったかな……)

提督「……瑞鳳」

瑞鳳「はい……」

提督「私は安易にその要求を呑む事は出来ない」

瑞鳳「……はい」

提督「こう言うのもあまり良くないかもしれないが、私はその手の事に対して精神的に重要視している」

瑞鳳「……えっと? どういう事ですか……?」

提督「……端的に言うと、互いに合意を得た時にしかしようと思っていない。だが、私は知っての通り堅物だ」

瑞鳳「ええと……つまり、提督を『その気』にさせたら良いって事ですか?」

提督「まあ……そう思ってくれて良い」

瑞鳳「……私みたいな傷物でも……ですか?」

提督「傷物だなんて言うんじゃない。自分の事をそんな風に思うな。どんな経験があろうと無かろうと、お前はそれも含めて『瑞鳳』なんだ。例え瑞鳳が初めから私の子だったとしても、お前がお前である限り何も変わらんよ」

瑞鳳「でも……提督もエッチの経験が無い子の方が……」

提督「そうとは思わん。性的な事に限らず、受け入れると思えばその人が不治の病だろうと四肢が欠損していようと殺人鬼だろうと私は受け入れる。むしろ、そのような偏見なぞ無意味だ。さっきも言ったように、誰であろうとどんな経験をしてきていようと、私が受け入れると思えれば私は受け入れる。私が受け入れるという事は、それらも全てひっくるめて受け入れるからだ」
683 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:47:24.96 ID:jKpNLkIMo
瑞鳳「……不思議ですね」

提督「たまに言われる」

瑞鳳「だったら……今、誘惑をして良いですか……?」

提督「それはダメだ。時と場を弁えなさい」

瑞鳳「時と場を弁えれば……良いんですか?」

提督「誘惑自体は構わんが、私が受け入れるかどうかは別だぞ」

瑞鳳「……難しそうですね」

提督「そうだなぁ……。ある者は私を振り向かせる為に随分と長い時間を掛けたものだ」

提督(まあ……響には金剛と愛し合う前、あの悲痛な顔に負けて『手伝い』をした事はあるが……)

瑞鳳「でも……今日の夜に誘いに行きますね」

提督「先程も言ったように、受け入れるかどうかは別だぞ」

瑞鳳「……もしかしたら、押し倒しちゃうかも」

提督「そんなに我慢しているのか……」

瑞鳳「……うん」

提督(状況にも拠るが、空き部屋の鍵を用意しておくか……)



??(これは良い事聴いちゃった……!)ササッ



提督(……うん? …………気のせいか?)

瑞鳳「? どうかしたんですか?」

提督「いや、なんでもない」

瑞鳳「??」
684 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:47:51.48 ID:jKpNLkIMo
提督「それはそうと、欲求不満の解消に別の事で代用するというのは試してみたか? 運動をしたり何か集中するような事をしたりと」

瑞鳳「一杯やってみたけど、むしろ疲れると余計に……」

提督「うーむ……」

提督(そういえば……他の子達はどうしているのだろうか。一部の子には空き部屋の鍵を渡して見付からないように一人で処理して貰っているが……鍵を渡していない子はどうしているのやら)

提督(……もしかして、他の子も瑞鳳のように救護妖精に相談しにきているのか? ……いや、救護妖精ならば私に押し付けてくるはずだから無いか。…………困ったな……。私は女ではないからよく分からん……)

ガチャ──パタン

救護妖精「終わったよ。そっちはどうだい?」

提督「こちらも後は成るように成るだけだ」

救護妖精「そうかい。で、こっちの話だけど、細かい事はこの後で検査するよ。姉妹にはちょっと検査しておくって言っておいてくれるかい?」

提督「ああ、分かった」

救護妖精「あと、金剛の話を聞く限りでは問題無いだろうね。検査も念の為だから、そんなに気にしなくても良いよ」

救護妖精「──むしろ、提督の方がどうなのかと思うくらいだしねぇ」

提督「私の事は気にするな。心の整理はついた」

救護妖精「利根辺りはどうなんだい」

提督「あいつならば説明をすれば受け入れるだろう。私と違って依存まではしていなかったからな」

救護妖精「なるほどね。じゃあ利根の方は頼むよ」

提督「ああ、任せておけ」

救護妖精「そんじゃ、検査するから瑞鳳と一緒に出ておきな。なんならそのまま──」

提督「いくらお前といえど、それ以上を口にすれば吊るすぞ」

救護妖精「おお怖い。ならここまでにしておくかねぇ」

提督「まったく……」

…………………………………………。
685 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/01/31(火) 03:49:13.05 ID:jKpNLkIMo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。

先に言っておきます。R18にはならないです。
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 04:24:59.43 ID:gozJxqqF0
乙です
ひとり二航戦サンドかな?
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 05:02:00.11 ID:Vw0M/eZEO
ずほに誘惑されたりしたら即堕ちする提督のが大井だろうなぁ
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 05:27:14.52 ID:oSMrjurso

堅物と思ったら大井っちだったのか・・・そら靡きませんわ
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/01/31(火) 11:12:51.93 ID:eHHAwkudo
妖精吊るしにクラスチェンジ?
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/31(火) 13:53:34.42 ID:8H0qGX1u0
響への「手伝い」が気になる・・・
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/01(水) 00:27:46.42 ID:e8EOk/1Q0
ざっくり言うと手伝いは響に1人で解消する方法を教えたって感じかな?
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/01(水) 12:20:02.20 ID:1EGKlfsKO
なんか以前の作品でもそういうのなかったっけ…?
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/01(水) 14:10:29.50 ID:XLvhjehA0
金剛に説教?
もしかして初めてのお吊るしかな?
694 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:44:04.13 ID:JkgyKb/so
救護妖精「──ほい。人払いも済ませたよ。これでこの場所はあたし達の三人だけさね」

提督「それで、検査の結果はどうだったんだ?」

救護妖精「まあ、検査自体は何も問題無いって言って良かったよ。むしろ、問題があったのは金剛の話かねぇ」

金剛「……シスターの事デスね?」

救護妖精「ん、そう。艦娘の幽霊なんて存在する訳が無い。聞いた時なんて自分がおかしくなったのか提督たちがおかしくなったのか考えたくらいだよ」

提督「なぜ存在しないと?」

救護妖精「まあ……そういうものなんだよ、艦娘って存在は。……それで、本当にあの『金剛』の幽霊だったって言うのかい?」

提督「間違いない。私と金剛しか知りえない事も知っており、利根と交わした言葉も憶えていた」

救護妖精(そんな馬鹿な……。艦娘は沈んで深海棲艦にならない場合、人工魂は元の場所に還るはずなのに……)

救護妖精「…………うーん……」

金剛「物凄く難しい顔をしてるデス……」

救護妖精「……想いの強さ、なのかねぇ。んー、よく分かんないねぇ……」

救護妖精「とりあえず、この話は保留……っていうよりも、これ以上はもう分からないかもね。当の金剛はもう居ないみたいだしさ」

提督「そうか……」

救護妖精「この金剛も問題は無いっぽいから話を変えるけど、提督はこれからどうするんだい」

提督「む? どうするとは?」

救護妖精「提督もだいぶ吹っ切れたように見えるからね。新しい嫁でも探したらどうだい? 提督ならより取り見取りでしょ?」

提督「なぜそんな話になるんだ……」

救護妖精「ま、提督が元気無い時に色々と話を聞いているからね。きっと、提督が思っている以上に提督の嫁になりたがってる子は多いよ」

提督「……………………」

金剛(お嫁さん……)チラ
695 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:44:34.64 ID:JkgyKb/so
救護妖精「それに、いつまでも待たせるなんて可哀想だろう? そこん所もちゃんとハッキリさせとかないと、皆も動くに動けなくなるよ」

提督「むう……」

救護妖精「幸い全鎮守府の監査だかなんだかで暇してるんだから、今の内に解決させておきな。こっちはもうお腹一杯なんだよね」

金剛「お腹一杯……?」

提督(……という事は、救護妖精に相談が殺到しているのか)

救護妖精「検討するくらいはしてくれると、あたしもありがたいんだよねぇ」

提督「……分かった。検討はしておく」

救護妖精「うんうん。──さて、あたしから言える事はこんくらいだよ。提督と金剛は何かあるかい」

提督「強いて言うならば、本当にお前は何者なんだというくらいか」

救護妖精「残念。それは秘密だよ。あたしの素性を知りたければ、人生そのものを狂わせるような対価と交換さね」

提督「そうか。諦めておく」

救護妖精「それが良いよ。世の中には知らなくても良い事はいくらでもあるんだ。……で、金剛は何かあるかい」

金剛「私は特に……」

救護妖精「あいよ。じゃあ提督、頑張りなー」

提督「うん? どういう意味だ?」

救護妖精「周りの皆が頑張るのは目に見えてるからねぇ。後は提督がどれだけ皆に近付くかだよ」

金剛(ああ、なるほど……)

提督「……限りなく善処するよう努力する検討をしておく」

金剛「え、えぇ……と……?」

救護妖精「なんだいそりゃ……。やらないって言ってるようなもんじゃないか」

提督「それは神のみぞ知る」

救護妖精「まったく……。どこまでも堅物なんだから」

…………………………………………。
696 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:45:01.25 ID:JkgyKb/so
ガチャ──パタン

提督「ふー……」ギシッ

提督(嫁、か……。急にそんな事を言われても困るものだ……。そもそも私が靡くかどうかなど、私自身が分かっていないというのに)

提督「……だが、金剛にも言われた通り、私も前に進まなければならんな」

コンコンコン──

提督(瑞鳳か? 思ったよりも早いな)

提督「入れ」

ガチャ──パタン

川内「やっほー提督」

提督「ん? 川内とはこれまた珍しい。どうした?」

川内「ふふーん♪ ちょっとね〜♪」トコトコ

提督「機嫌が良いな。何か良い事でもあったか」

川内「ま、そんなトコだよ。隣座るね!」ポフッ

提督(……えらく近くに座ったな)

川内「ね、提督」

提督「うん?」

川内「一緒に夜戦、しよっ?」ニパッ

提督「……夜戦と言われてもだな。今は出撃待機命令で──」

川内「そっちじゃないってー。違う意味の……や・せ・ん♪」

提督「……………………」

川内「むー……。女の子が誘ってるんだよ? 何か反応してくれないと傷付くなぁ……」
697 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:45:30.36 ID:JkgyKb/so
提督「……一応聞いておくが、どういう意味かちゃんと分かっているんだよな?」

川内「そりゃ勿論っ。だって、その為に夜に提督のとこに来たんだよ?」

提督「……………………」

川内「ほら、難しい顔しないで? 優しい顔で私を見て欲しいな」スッ

提督「…………まだ早い」ポン

川内「むっ。身体はもうちょっとで大人だって! ……あー……もしかして、提督ってグラマーが好みとか?」

提督「そういう意味ではない。とにかくまだ早いんだ。今日の所は素直に部屋へ戻って寝なさい」

川内「むむむ……なら、押し倒してやるー!」バッ

提督「甘い」スッ

川内「むぐっ……」ボフッ

提督「私を押し倒したくば、それ相応の努力をしてくるんだな」ナデナデ

川内「むー……。なんでダメなのさー……」

提督「足りないモノがあるからだ」

川内「やっぱりグラマーな身体が……」

提督「そうではないと言っただろ。……金剛がどうやって私の心を動かしたか考えれば分かるよ」ナデ

川内「金剛さん……」

川内「……………………」モゾモゾ

提督「む……」

川内「えい」ギュ

提督「こら、抱き付くんじゃない」

川内「……こんな風に積極的なとこ?」

提督「それは間接的に必要なモノかな。良いから離れなさい」
698 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:48:22.92 ID:JkgyKb/so
川内「むー……」

提督「……今日は聞き分けが悪いな」

川内「! あ、じゃあ、提督をその気にさせれたら夜戦してくれる?」

提督「なんだその『良い事を考えた』みたいな顔は。却下だ」

川内「むむー……」

提督「本当にどうしたというんだ……。むしろ心配になってくるぞ」

川内「……提督のお嫁さんになりたいなって」

提督「どうしてまたそう思ったんだ?」

川内「だって……救護室の前でそういうの聞いたから……」

提督「ああ……あの時に誰かが居たと思ったが、川内だったのか」

川内「うん。……それで、エッチな事をしたら少しは私を特別に見てくれるかなって思ったんだ」

提督「そういう事か。まったく……お前も欲求不満が溜まって行動に出たのかと思ったぞ」

川内「……正直に言うと溜まってるよ?」

提督「……すまん」

川内「許してあげるには、この状態をちょっと続けさせて欲しいなぁ」ギュー

提督「……仕方が無いな。分かった。少しの間だけだぞ」

川内「やったぁ! ──うーん、良いよねぇ提督って。やっぱ好きだなぁ」

提督「恥ずかしげもなくよくそんな台詞が言えるものだ」ナデ

川内「好きな事を隠してもしょうがないじゃん。気持ちっていうのは伝えてこそだよ」

提督「……そうだな。まったくもってその通りだ」ナデナデ
699 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:48:57.34 ID:JkgyKb/so
コンコンコン──ガチャ

川内「──え!?」

瑞鳳「失礼しま──!?」ビクンッ

提督「……………………」

川内「あ、あははは……」

瑞鳳「え、えーっと……その…………お邪魔しましたっ……!!」

パタン

川内「……見られちゃったね」

提督「まさか入室許可を出す前に入ってくるとは……」

川内「……どうする、提督?」

提督「困った……。…………まあ、まず川内。この鍵を渡しておく」スッ

川内「? なにこれ?」

提督「空き部屋の鍵だ。……平たく言うと、自分でソレを解消したい時などの一人になりたい時に使いなさい」

川内「私は提督じゃないとヤだなぁ……」

提督「……こっちも困る事になるとは」





瑞鳳(うぅー……。人のを見ると余計に欲求不満がぁ……)

…………………………………………。
700 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/02/12(日) 03:54:25.39 ID:JkgyKb/so
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。

>>687-688
この鎮守府に大井っちが来たらどうなるのかちょっと考えそうになった。それはそれで面白そう。

>>690
響への『お手伝い』は前々作くらいにあったりします。R18なのでそこだけは気を付けて下さいませ。
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/12(日) 07:35:22.18 ID:+xeChl/Io
乙です
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 08:13:19.16 ID:w8xCMRa90
乙でございます
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 08:55:16.19 ID:P7mbXb80o

川内かわいい
704 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [sage saga]:2017/02/23(木) 00:56:56.80 ID:H7qfkCrEo
もしかすると次の投下でトゥルーエンドが終わりそうなので、最後まで書いてから投下します。遅くなってごめんよ。
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/25(土) 23:25:35.84 ID:+1op1EMmo
把握
気長に舞ってる
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/01(水) 20:01:16.47 ID:YWwL0rNQ0
ゆっくりでええやでー
イッチは待たせ方がうまいな
707 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [sage saga]:2017/03/21(火) 14:07:57.03 ID:FzzllpvNo
あとちょっとで書き上げられそうです。
お仕事が異様に忙しくなって更新が遅れています。ごめんよ。

ラストを書く上でこの物語を読み返していると、だんだんとウェーク島を観光してみたくなった。たぶん三日くらいで帰りたいとか思うのだろうけれど。
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/22(水) 20:56:06.29 ID:WS02URPXO
今から更新が待ちきれないぞい
709 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:57:48.88 ID:awnviBj5o
やっとこさ書き終わったので全投下します。遅くなってごめんよ。
なんか思った以上に多くなった。やっぱり私は短く終わらない。
710 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:58:28.08 ID:awnviBj5o
川内「じゃあ、おやすみ提督! 次こそは夜戦しようね♪」

提督「それは川内の努力次第だ。──良い夢を見ろよ」

川内「♪」フリフリ

ガチャ──パタン

提督「……積極的過ぎるのも困りものだな。……まあ、私も寝るか」スッ

提督(これからどうなる事やら……)スタスタ

コンコンコン──

提督「む? 利根か、入れ」

ガチャ──パタン

利根「……ふむ。相変わらずノックだけで誰が来たのか分かっておるようじゃのう」

提督「経験だ。少しでも変えられると分からん。ところでこんな時間に来るとは珍しい。どうしたんだ?」

利根「まあなんじゃ。海を見ながら饅頭を食べておったら不思議な事があったのじゃ」

提督「不思議な事?」

利根「うむ。金剛が挨拶に来てのう。これが別れと言うておった」

提督「……………………」

利根「聞くに、このままでは悪い影響しか与えぬとな。ならば後は見守るのみに徹するらしいぞ。妙に優しく満足した顔じゃったよ」

提督「……すまんな。あまりにも急な事でお前を呼んでやれんかった」

利根「なに。我輩は金剛ともう一度だけ話せただけで充分じゃ。金剛達が我輩と提督を恨んでおらず、見守ってくれていると分かっただけで充分なのじゃ」

提督「……そうか」

利根「それで提督よ、もう一つ金剛に言われた事がある」

提督「なんだ?」

利根「後ろ髪を引かれるのは分かるが、提督もちゃんと心を寄せるのじゃぞ。そんなのでは金剛に叱られてしまうのじゃ」
711 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:58:54.87 ID:awnviBj5o
提督「……そうだな。だが、少しの時間は貰いたい。その間に前へ進めるよう『思い出』にしておく」

利根「うむ。それが良いぞ」

提督「……利根、窓の外を見ないか?」ゴトッ

利根「うん? 夜の海なぞ見てどうするのじゃ?」

提督「いつもやっていただろう。アレだ」スッ

利根「なるほどのう。じゃから椅子を用意したのじゃな。──ほれ、のしかかるぞー」ノシッ

提督「……………………」

利根「……うーむ。違うのう」

提督「やはりそう思うか」

利根「という事は、提督もかの?」

提督「ああ。場所が違うからか、それとも椅子に座っているからか。向こうは汚れた畳の上だったからなぁ」

利根「どうなのじゃろうなぁ……。またあの島に行けば分かるかも知れぬが」

提督「名案だ。行くか」

利根「……なぬ?」

提督「この横須賀鎮守府は、一応ウェーク島を確保している扱いなんだ」

利根「なんと。そうであったのか」

提督「何度か行き来した事から、横須賀の管轄となってしまった。……まあ、あんな東の果てにあるような場所は補給も満足に出来ないから放棄したいくらいなんだが」

利根「ふむ。じゃが、それとの話の繋がりがよく分からぬぞ」

提督「ウェーク島を軍事施設として開発可能か周辺の島々も含めて視察に行くとでも言えば通るだろう」

利根「補給が満足に出来ぬのにか?」

提督「総司令部としては活用できるのであれば活用したいそうだ。あの場所を確保して拠点に出来るのであれば戦線が一気に広がるという考えらしい」

利根「ふうむ」
712 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:59:22.93 ID:awnviBj5o
提督「実際に私達はウェーク島で暮らしていた事がある。だから総司令部も出来るならば活用したいのだろう。結果など火を見るより明らかだがな」

利根「……つまる所、サボると考えて良いのか?」

提督「そうとも言う」

利根「まったく……。あの島でサボり癖が付いたのではないか?」

提督「出撃待機命令なんてものを出す方が悪い」

利根「じゃが、この鎮守府全員を連れて行く訳にはいかぬじゃろ。そこはどうするのじゃ?」

提督「何人かを連れて行くだけに留める。そしてその間、大淀に指示書を渡して鎮守府を任せよう」

利根「……猛反対しそうじゃなぁ」

提督「さて、それはどうか分からんな」

利根「ふむ?」

提督「まあ、そんなに長い間でもない。なんとかなるだろうさ」

利根「なるのであれば良いがのう……」

……………………
…………
……
713 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 02:59:55.22 ID:awnviBj5o
カチン──

提督「──さて、大淀」

大淀「は、はいっ!」ピクンッ

提督「この部屋の鍵を掛けた事で分かると思うが、用意はしてきているな?」

大淀「はいっ……! ちゃんと持ってきています!」

提督「しかし……お前も不思議な子だ。鎖で繋がれたいだなんて」

大淀「へ、変……ですか……?」ビクッ

提督「珍しくはあるが、そういう人も居るだろう。人など十人十色だ。私はこのくらいでは動じんよ」

大淀「良かった……。では、お願いします……!」スッ

提督「……待て。なんだこれは。手枷にしては大きくないか?」ジャラ

大淀「あの……ですね? 手首ではなく、こっちの方が良いなぁと思いまして……」チョン

提督「首……という事は、首輪か……」

大淀「は、はい……」

提督「……………………」

大淀「て、提督……あの……その……ごめんなさい……」

提督「いや……手枷ではなく首輪となると、また別の意味になりそうで困っているんだ……」

大淀「えっと……? 別の意味とは?」

提督「手枷ならば互いに束縛されているという認識も出来るが、片方が首輪だとペットや奴隷のような気にしかならん」

大淀(……ペットや奴隷)

大淀「ワ、ワン……?」

提督「……私は大切な子をペット扱いにせんぞ」
714 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:00:22.34 ID:awnviBj5o
大淀「じゃ、じゃあご主人様というのは」

提督「奴隷にするくらいならば解放して自由に行動させる」

大淀「……では、開放された奴隷が首輪を外したがらないという設定でお願いします」

提督(……いつの間にイメージプレイになっているんだ?)

提督「…………どうしてそうなったんだ、まったく……。ならば、条件を呑んで貰うからな」

大淀「条件ですか?」

提督「私は少しの間、ウェーク島へ視察へ行く予定を立てようと思っている。その間の鎮守府を大淀が指揮して欲しい。指示書は用意する」

大淀「それは……結構大変ですね……」

提督「もしこの条件を呑んでくれるというのならば、首輪を認める」

大淀「……………………呑みます。私、やります!」

提督「よろしい」ジャラ

大淀「あ……っ」ピクッ

提督「手触りの良い首輪だ。苦しかったり痛かったりはしないか?」

大淀「はいっ。緩めて下さっているので、そんな事はありません」ドキドキ

提督「さて大淀。ただ首輪を付けられたかったという訳ではなさそうだが、何を考えていたんだ?」

大淀「そ、その……まずは、引っ張って下さると……とても嬉しいです」

提督「そうか」クイッ

大淀「ん……っ」ピクッ

大淀「…………っ」フルフル

提督(……これは、大淀なりの発散方法なのだろうか。……少しだけでも付き合ってやるべきか)

提督「苦しそうだな。外してやろうか」

大淀「い、イジワルを言わないで下さい……」
715 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:00:49.18 ID:awnviBj5o
提督「どうしてだ? 苦しい事から開放するんだぞ。それの何がイジワルだと言う」

大淀「そ、それは…………その……」

提督「ほら、言ってくれなければ分からんぞ」クイッ

大淀「あっ……ぅ……。好き……だから、です……」

提督「何が好きなんだ?」

大淀「こうされるのが、好きだから、です……」

提督「こうされるのであれば誰でも良さそうだな」

大淀「そ、そんな事は──んっ!」ビンッ

提督「ほう。ただ引っ張っただけでそんな表情を浮かべているというのにか?」

大淀「提督だけです……! 私が、こんな風になってしまうのは、提督にだけです……!」

大淀「だから、その……もう少し、強く……」

提督「……………………」

大淀「…………? 提督……?」

提督「……やはり、私には合わん」

大淀「え、えっと……?」

提督「どうも奴隷のようにしか見えなくて胸糞が悪くなる……。私は、例えままごとでもお前をそんな風に扱いたくないという事なのだろう」ジャラ

大淀「あ……首輪、外されて……」

提督「やはりこうでなくてはな」ソッ

大淀「……ふふっ。そうですね。先ほどの少し乱暴に扱って下さるのも良かったですけれど、こうして優しく頬を撫でられる方がずっと良いですね」ニコ

提督「すまんな。私は鬼畜にはなれないようだ」

大淀「いえ。私の方こそ我侭を言ってしまい、すみませんでした。そして、それに付き合って下さってありがとうございます」

大淀「ですが……」ジャラ

提督「うん?」

大淀「よいしょ……。こうして、鎖を外した首輪は付けさせて下さい」

提督「気に入ったのか」

大淀「恥ずかしながら……。なんだか、提督に束縛されていると感じると愛おしくて」

提督「……なるべくだが、それは人前に見せないように。流石にファッションとしても無理がある」

大淀「う……で、では、今この時だけは許して下さいね」

提督「ああ。この時は許そう」

大淀(……考えていた通りにはいきませんでしたが、これはこれで良いものですね♪)

…………………………………………。
716 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:01:17.22 ID:awnviBj5o
瑞鳳「…………」ウズウズ

瑞鳳「…………」キョロキョロ

瑞鳳(ううぅ……。提督にどうにかして欲しい……。でも、昨日みたいに誰かが提督と一緒にお楽しみしていたらどうしよう……)

瑞鳳(……誰も居ないよね? ちょっと聞き耳立ててみよっと……)ソッ

加賀『──提督、お嫁さんを探しているという話を耳にしたのですが』

提督『川内か……? まったく……どうして話を広めたりしたんだ……』

加賀『いえ、救護妖精から聞きました。──それで、単刀直入に言いますが、私なんてどうですか?』

提督『救護妖精め……。ちなみにだが、これからどうなるかは加賀の努力次第だ』

加賀『……早い話、貴方に振り向いて貰えるようにすれば良いのね』

提督『そういう事だ。私は誰でも良いという訳ではない』

加賀『それでしたら……これから少しばかりお相手して頂けますでしょうか。外堀なんて無視をして、本丸を直接落とします』

提督『言っておくが、いかがわしい手段を取ろうものならば説教するからな』

加賀『……本丸ではなく、二の丸や三の丸から攻めますね。お酒なんて如何ですか?』

瑞鳳(やっぱり居た……。提督、人気だなぁ……)スッ

瑞鳳(今日は諦めておこ……。他の人が居ない時があれば良いなぁ……)トボトボ

──しばらくして

北上『にしても、本当に堅物だよねぇ提督ってさー。その気にならなくてもハーレム出来るってのにさー」

提督『生憎、一途でありたいんでな』

北上『まーそうだよねー。あ、パンツ見せてあげよっか? その気になるかもよ?』

提督『お前が見せるのが先か、私がお前を吊るすのが先かの勝負をするんだな?』

北上『じょ、冗談だってば〜……もー……。まあ、それなら一緒にダラダラしましょうかー』

────────────────。
717 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:01:44.13 ID:awnviBj5o
飛龍『あの、ですね提督。急に話題を変えますが……お嫁さんを探しているって本当ですか……!?』

提督『……飛龍、救護妖精は一体どんな風に言ったんだ』

飛龍『え? 提督が新しいお嫁さんを考えているとかって聞きましたけど』

提督『…………まったく……』

飛龍『……えーと、もしかして違ってました?』

提督『いや……そうだな……正確には色々と悩んでいる』

飛龍『誰にするか、ですか?』

提督『それ以前に、私の心の準備の方がだな……』

飛龍『なんだか意外ですね……もっと、こう──』

提督『とは言ってもだな……──』

────────────────。
718 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:02:10.90 ID:awnviBj5o
ヲ級『ね、ね! 今日は、姫がワッフルを、作ったよ!』

提督『ほう。空母棲姫が作ったワッフルか』

利根『楽しみじゃ。物凄く楽しみじゃ』

空母棲姫『……そんなにワクワクとされると恥ずかしいのだけれど』

利根『これがワクワクせずに居れる訳がなかろう』

提督『正直に言うと、私も非常に興味深く思っている』

ヲ級『ほら、姫』

空母棲姫『……この子ほど上手には出来ていないわよ』

利根『おおー……良い香りじゃぁ……。ほんのりと柔らかい甘い香りは最高じゃ』

空母棲姫『……ほら、さっさと食べなさい』

提督『照れ隠しが下手になってきているぞ』

空母棲姫『誰のせいですか……もう……』

────────────────。
719 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:02:39.93 ID:awnviBj5o
瑞鶴『で、決まったの?』

響『お嫁さん』

提督『決まるも何も、まだ私自身、心の準備が出来ていない』

響『心の準備って?』

提督『私が誰かを受け入れる心構えがまだなんだ』

瑞鶴『えーっと……提督の金剛さんへの想いを断ち切る為って意味……?』

提督『そんな所だ。……これが中々に難しくてな』

響『司令官の事だから、本当の結婚をしようと考えてたんだよね?』

提督『ああ』

響『じゃあ、簡単に割り切れる事じゃないさ。時間は掛かって当然だよ』

瑞鶴『んー、と……うまくは言えないけど……焦る事はないから、ゆっくり頑張れば良い……わよ?』

提督『ありがとう、二人とも』

響『ん。もっと頭を撫でてくれて良いんだよ?』

瑞鶴『……なんだろ。結構良いわねこれ』

────────────────。
720 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2017/04/03(月) 03:03:06.71 ID:awnviBj5o
瑞鳳(うー……うぅー……いつも誰か居て、全然頼めない……。で、でも、今日こそは大丈夫……よね……?)オズオズ

提督『──という訳で、今後は無理をするんじゃないぞ。あと、約束したんだろう? その通りに自分は大事にするんだぞ』

金剛『ハイ……』

瑞鳳(また誰か居る……。もう我慢の限界になってきてるのに……)

提督『よろしい。ならば説教は終わりだ』

瑞鳳「!」

提督『それで金剛、この中でどの茶葉が一番好きだ?』

金剛『え? ……えっと、これデス』

提督『そうか。長い説教で疲れただろう。これくらいしか出来んが許してくれ』

金剛『あ……。……これくらい、だなんて事はないデス。私はとっても嬉しいデスっ』

提督『そう言ってくれると、私も気が楽になるよ』

瑞鳳(あぅ……またダメなの……? そうだ……ああすれば……!)

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