他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 二隻目
Check
Tweet
547 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/12(水) 23:56:18.83 ID:V/PFnXMv0
乙
ここから大所帯になりそうだなw
548 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 07:31:48.69 ID:kPRDNeU7O
やっぱ主任いい敵キャラだよなぁ…
549 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:45:31.73 ID:UicorJrKo
提督「──戦闘で疲れている所に呼び出してすまない。手を付けている問題と手付かずの問題を纏め、その処理についての会議を開く」
提督「手を付けている問題は、負傷した艦娘と破損した兵装と設備の修復。現状、負傷したままの艦娘は現在入渠している夕立と時雨、川内、神通の四名。兵装と設備は工廠の妖精達がどうにかしてくれるそうだ。レ級の処理は救護妖精に任せてある。こちらは多少時間が掛かるものはあれど、然程気にしなくても良いだろう」
提督「そして手付かずの問題。こっちが厄介なものばかりだ。一つは隣の部屋で未だ意識を失ったままの下田提督をどうするか。総司令部に報告すべきなのだろうが、その場合はこちらの鎮守府を調べられる可能性が非常に高い。そうなる前に空母棲姫とヲ級の二人をどこか見付からない場所へ匿う必要がある。ついでに、総司令部へはどう報告するかも考えものだ」
提督「二つ目は命令無視を長門への罰。これはいつでも出来るだろう。他のやるべき事が落ち着きしだい吊るすから覚悟しておけ」チラ
長門(……本当に吊るすのか)
飛龍(ご愁傷様です……)
提督「三つ目は空母棲姫とヲ級の艤装について。ヲ級はもはや戦闘にほぼ興味を無くし料理や家事に楽しみを抱いており、艤装は邪魔だから解体して欲しいと頼まれた」
ヲ級「意外と、場所、取るよ。アレ」ムー
提督「…………。そして空母棲姫だが、出来れば鎮守府周辺の哨戒をして欲しいのだが……」
空母棲姫「断固反対です。なぜかまた艦載機が扱えなくなりましたが、私は艤装がある限り爆撃装備などを艦載機に載せられる事が分かったはずよ。私に兵装を残しておくのは危険極まります」
加賀(……とても複雑な気分になります。私が深海棲艦になったら、こうなるのでしょうか……)ジー
提督「その話は後で広げよう。その事に関しても聞いておきたい事もある。そして四つ目だが……」チラ
瑞鳳「……………………」ジャラ
提督「……この子をどうするか、だ。なんとか説得をして互いを手枷で繋ぐ事である程度の距離を開かせる事は出来るようになったが、いつまでもこのままという訳にはいかん」ジャラ
瑞鳳「…………」
利根「何を聞いても答えぬしのう……。なぜか提督の質問にだけは首を振って答える事はあるが……」
提督(そして、もう一つの問題がある、が……)チラ
金剛「…………」コクン
提督(……それはここでは言えんな。妹の方の金剛の意識が途中から戻ってこなくなったらしいが、どうしたのだろうか。大事になっていなければ良いのだが……)
提督「まず、最優先事項は空母棲姫とヲ級をどこへ匿うかだ。あまり遠くではなく、そして居住性もある場所が良いのだが……現状、一番近くの小島へ隠れて貰うくらいしか思い付かん。だが、あの島は人が暮らす事を一切考えていない。完全に野宿と変わらん。他に良い場所を一緒に考えてくれ」
550 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:46:06.85 ID:UicorJrKo
利根「……うーむ」
加賀「……………………」
飛龍「ううん……」
金剛「…………」
ヲ級「えっと……うーん……?」
長門「……難しいな」
空母棲姫「あの小島で良いのではないでしょうか。暮らせないという程ではありませんし、木の実なども手に入ります。むしろ、すぐに行動すべき今では、そこへ行くべきでしょう」
提督「…………」
空母棲姫「一刻を争います。下田の提督を拘束している以上、すぐに上へ報告しなければならないのでしょう? ならば、提督の案を実行するのが最善手よ」
提督「むう……」
空母棲姫「……貴方は優し過ぎます。ですが、本当に私達を大切に思って下さるのでしたら、先程の案でいくべきです。時間が進めば進むほど事態は悪くなり、貴方の立場にすら影響を与えます。……そのような事、私達は望んでいません」
ヲ級「!」コクコクッ
提督「……仕方が無い、か。すまないが、少しの間だけ我慢していてくれるか?」
ヲ級「はーい!」
空母棲姫「了解したわ。それと、気にしなくても良いのよ?」
提督「……すまんな。では、早速だが出航の準備をしてくれ。ついでに空母棲姫の艤装も隠す目的で持って行こう」
空母棲姫「……なぜ私の艤装も。解体すれば良いでしょう?」
提督「お前の艤装は難解だそうだ。解体しようにも時間が掛かる。それならば隠してしまえば良いだろう?」
空母棲姫「海の底へ沈めるのはどうなのかしら」
提督「後々でどうなるか分からん。持っておくくらいならば良いだろう?」
空母棲姫「もう……頑固なんですから……。分かりました。今回は私が折れます。艤装と艦載機もあの島へ持って行きますね」スッ
提督「ああ。気を付けろよ」
551 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:47:19.90 ID:UicorJrKo
空母棲姫「貴方もね。そこの下田の提督は何をしでかすか分からないのだから」
提督「十二分に気を付けよう」
ヲ級「行って、きます!」ブンブン
ガチャ──パタン
提督「……さて、では次の問題を処理しよう。下田の提督の事をどう報告するか、だ」
長門「あの二人の事は伏せておいて、それ以外の事について全て報告すれば良いのではないか?」
金剛「深海棲艦が大量に押し寄せてきた事についてはどう説明するのデスか?」
飛龍「あ、そっか。私達は下田の提督とレ級が手を組んでいるって知っていたから深海棲艦と一緒に攻めてきたって分かるけど、今じゃその証拠も何も無いですよね」
利根「ううむ……バカ正直に深海棲艦を指揮したと言う訳がないからのう」
加賀「逆にこちらが深海棲艦と仲良くしていたと報告されかねません。こちらは鎮守府の皆と接していた分、その事実が発覚しやすいでしょう。嘘が苦手な子も居ます」
金剛「おまけに向こうはどうだったのか、よく分かっていまセン。もしかしたら一部、はたまた全員が知らない可能性もありマス」
長門「……本当、厄介な存在だな……あの愚か者は」
提督「さて、どうするか……。味方の鎮守府を襲撃するなど、余程の理由があると思われれば良くて両成敗、悪ければこちらが圧倒的不利になる」
金剛「……………………」
利根「……………………」
飛龍「……………………」
加賀「……………………」
長門「……………………」
提督「……………………む?」
コン──コン──コン──
大淀「……司令、総司令部より大将のお二人がお見えです」
提督(!! ……いつもと違うノックの仕方と、私を『司令』と呼んだ大淀……これは何かあったか)
552 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:48:08.17 ID:UicorJrKo
提督「──全員、私に話を合わせろ。下田の提督の事について会議をしていたと言うんだ」ヒソ
全員「!」コクリ
提督「……大将殿が? お通ししろ」
ガチャ──
大将A「失礼する」
大将B「何があった、中将よ」
陸奥・日向「…………」ピシッ
提督「……申し訳ございませんが、どの話かご説明頂けますでしょうか」ピシッ
全員「!」ピシッ
大淀「……では、私は失礼します」
──パタン
大将B「下田の艦娘から連絡が入った。大佐が並々ならぬ顔でここへ向かったと」
大将A「そして……大佐と深海棲艦が会話をしていたという報告も同時に入っている。大佐はここへ居るのか?」
提督(ち……。知らんと言っても、下田の提督がおきて暴れでもして気付かれたら面倒か。いくら防音と言えど、扉に体当たりでもすれば音は漏れる。まだ空母棲姫とヲ級の事について隠し通す算段は立っていないというのに……!)
提督「……隣の部屋にて拘束しております」
大将B「拘束とな」
提督「ええ。俄かにも信じ難い事ですが、戦艦レ級と共に行動しており、レ級を排除した上で無力化して拘束しました」
大将A「あの話は本当だったのか……」
陸奥「……提督。そっちも大事なんだけど、少し気になる事があるわ」
大将A「どうかしたのか?」
陸奥「なんで中将は瑞鳳と鎖で繋がってるのかなってね……? しかも、瑞鳳は敬礼もしなかった上に様子もおかしいし」
瑞鳳「……………………」
553 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:49:05.73 ID:UicorJrKo
大将B「ふむ……。私がこちらを担当する。君は隣の部屋の大佐から話を聞いてくれ」
大将A「はっ」ピシッ
提督「……こちらが隣の部屋の鍵です。そして、武装解除はさせておりますが、気を付けて下さい」
大将A「ああ、そうしよう。陸奥、行くぞ」
陸奥「了解したわ」
ガチャ──パタン
大将B「では、その鎖と瑞鳳の事について説明して貰おう」
提督(仕方が無い……ここは二人の事を伏せて真実を話すか……)
提督「はい。……まず初めに、瑞鳳は私の艦娘ではなく大佐の艦娘です。鎮守府防衛の終わり際、陸より負傷した状態で歩いていた所で私が捕まりました」
日向「…………?」
大将B「……むう? 話が見えん。初めから説明をして貰おうか」
提督「畏まりました。──事の初めは五百を超える深海棲艦の軍勢がこの鎮守府へ向かってきた事が始まりです。妙に統率が取れていた行動におかしくは思いつつ、勝利が確実になった所で瑞鳳が陸より亡者のように歩いているのを発見しました。指揮権を大淀へ委託後、私が救助へ向かったのですが……彼女は囮だったようで、そのまま彼女に捕まりました」
大将B「ふむ。それがさっきの話だな。続けよ」
提督「その直後、大佐とレ級が姿を現し、横須賀鎮守府を攻撃する意思を見せたので会話で時間稼ぎをしました。そこへ金剛と利根、瑞鶴、響が駆けつけ、辛くもレ級を殺害する事に成功。最後に銃を取り出そうとした大佐を殴って気絶させましたが、それでも瑞鳳は私を離そうとしませんでした。大佐より絶対に逃がすなと命令されていた事から、それを継続しているのかと思われます」
大将B「そして、今に至ると。ふむ……いくつか疑問点がある。まず、なぜ救援を求めなかった? 五百を超える軍勢を相手に勝てる勝算でもあったのか?」
提督「あの状況に限って言えばありました。陸路より少数精鋭部隊を奇襲として運用する事と、轟沈する前に高速修復材の使用による戦力の継続投入などなど……。前任の提督が残してくれた大量の資材がありましたので、それを使い切るつもりで迎撃すれば勝てる見込みが充分にありました」
大将B「なるほど。流石だな。では次に、なぜ中将が瑞鳳を救助しに向かった? いくら勝利が確実になったと言えど、伏兵が居るだけで引っくり返るだろう?」
提督「この加賀は夜間の偵察訓練を行っており、ある程度ですが夜目も利きます。それにより敵の全数は把握しておりました」
大将B「ふむ。では、なぜ大佐は深海棲艦と共に横須賀鎮守府を攻撃しようとしたのかは検討がつくか?」
提督「……申し訳ありませんが、皆目検討がつきません。なぜこのような凶行に出たのか……」
554 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:50:02.26 ID:UicorJrKo
大将B「では、瑞鳳に聞いてみるとしよう。──答えよ。なぜ大佐は横須賀鎮守府を攻撃しようとした?」
瑞鳳「……………………」
日向「……ダメだな。目が死んでいる。余程の事をされたのだろう。……君をそのようにしたのは誰だ?」ソッ
瑞鳳「……………………」
日向「質問を変えよう。横須賀の中将か?」
金剛「…………」
瑞鳳「……………………」
日向「では、下田の大佐か?」
瑞鳳「……………………」コクン
日向「なるほどな。答えてくれて助かるよ」
金剛(……分からないでもないですが、テートクから疑われるのは嫌な気分になります)
日向「提督、こうなってくると下田の大佐が怪しい。下田の艦娘に聞いた方が良いだろう」
大将B「そうだな。そうし──」
ガチャ──パタン
大将A「中将、話がある。貴様が深海棲艦を匿っているというのは本当か?」
提督(クソ……やはりそうなったか)
陸奥「ちょっとちょっと。いくらなんでも急すぎない?」
大将A「こういうものは時間を与えない方が良い。──さあ、答えろ中将。貴様は敵である深海棲艦を匿っているのか?」
提督(……悪あがきをするしかない)
提督「……一体どうしてそのようになったのでしょうか。私は敵を匿った覚えなどありません」
大将A「白を切るなよ。遠目でしか見ていなかったが、我々がここへ来た時に深海棲艦に似た二人を見掛けているんだぞ。艤装の無い空母棲姫とヲ級のような女をな」
大将B「……そうだな。私も見掛けたが、あまりにも普通にしていた故に人間だと思っていた。だが、確かに似ている」
提督(チ……これは、ここまでか……)
555 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:50:53.69 ID:UicorJrKo
陸奥「だーかーらー! せっかち過ぎるわよ提督! 私も見たけど、あの二人は深海棲艦じゃないでしょ?」
大将A「何……?」
提督(なんだ……? どういう事だ……?)
陸奥「そもそも、私たち艦娘は深海棲艦なんて見たら一発で分かるわよ」
大将B「……そうなのか、日向?」
日向「ああ。なんて言えば良いんだろうな……。黒く冷えているというか……戦うべき相手と分かるというか……深海棲艦はそんな感じがするはずだ」
大将B「あの二人にはそれが無かったと?」
日向「無かったな。あれば即座に瑞雲を放って突撃しているよ」
陸奥「そもそも、敵が居たらその場で報告するわよ?」
大将B「……………………」
提督(どうなっているんだ……? あの二人は確かに深海棲艦のはず……)
大将A「……一先ず、確認してみるとしようか」
大将B「……そうしよう」
…………………………………………。
556 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:51:23.83 ID:UicorJrKo
提督「──空姫、空、ここに居たのか」
空母棲姫「? ────!!」ピシッ
ヲ級「?」
空母棲姫「ほら、貴女も敬礼しなさい。提督の上官よ」
ヲ級「!」ピシッ
大将A「……やはり似ている」
大将B「…………」
空母棲姫(……総司令部に登録されている名前で呼んだという事は、バレないように振舞えって事ですね)チラ
空母棲姫「……提督、どうかなされたのですか?」
提督「ああ」コクリ
提督「こちらの方々は総司令部よりいらっしゃった大将だ。二人を見たいと仰られたので足を運んできた」
空母棲姫「ご足労お掛けして申し訳ございません。本来ならば私達から出向くべきでした」ペコ
ヲ級「!」ペコ
大将B「いや、構わん。何も連絡をせずいきなり押しかけたのはこちらだ。──して、普段は何をしている?」
空母棲姫「主に間宮と伊良湖の助手として調理をしております。そして、料理以外の家事も少々」
ヲ級「間宮と、伊良湖の料理、すっごく美味しいよ!」ニパッ
空母棲姫「貴女は少し静かにしていなさい」ポン
ヲ級「はーい!」
大将A(……とても深海棲艦とは思えん)
557 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:52:28.04 ID:UicorJrKo
大将B「……どうだ、日向?」
日向「見たままだな。クールな姉と無邪気な妹という印象だ」
大将A「陸奥はどう思う」
陸奥「似ているけど、それだけって感じね。別に何もおかしくはないわ」
空母棲姫「……あの、おかしいとは? 何か粗相でもしてしまったのでしょうか」
大将A「いや、こちらの話だ。気にしないで良い」
大将B「ところで、こんな工廠近くで何をしていた?」
空母棲姫「そろそろ皆さんの入渠が終わる頃ですので、タオルや衣服の洗濯物を回収しに来ました」
大将B「こんな夜中にか?」
空母棲姫「洗剤を溶かしたお湯に漬けておく事で、朝の洗濯時に油汚れなどを取りやすいようにする為です」
大将B「ふむ、なるほど」
大将A「……では、戻るとするか」
大将B「そうだな。洗濯の邪魔をして悪かった」
空母棲姫「いえ、お気になさらず」ピシッ
ヲ級「さよならー!」ブンブン
空母棲姫「こら、敬礼なさい」
ヲ級「ごめんなさい……!」ピシッ
大将A・大将B・陸奥・日向「……………………」
提督(上手くやってくれて助かったぞ、二人とも)
…………………………………………。
558 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:53:14.71 ID:UicorJrKo
下田提督「──馬鹿な!! そんなはずがない!」
大将B「現にその二人を見てきた。日向と陸奥も私達と同じく深海棲艦ではないという結論を出している」
大将A「何人かの横須賀の艦娘とも話をしてみたが、全員から料理や家事をやっていると証言も得た」
下田提督「何をした……何をした貴様ァ!! 賄賂か!! それとも脅しか!? 一体何を──」
日向「黙ろうか。君の行ってきた事は、君の鎮守府の艦娘から聞かせて貰っているよ」
陸奥「暴行、脅迫、陵辱、資材の私的利用、艦娘の轟沈処分、深海棲艦との共謀……読むのも面倒になるくらいまだあるわね。そんな貴方の証言を信用できると思うの?」ペラ
下田提督「だが、俺は確かに聞いたぞ!! こいつが深海棲艦を匿っていると!!」
大将A「……聞いた? 誰にだ? まさか、敵である深海棲艦のレ級から……などとは言わんよな?」
下田提督「っ……!!」
大将B「図星か。……提督の選別法に問題があるようだな。いくら素質があるとはいえ、敵と手を組む非国民を軍に置くなどとは……」
大将A「早急に調査する必要がある。やれやれ……ただでさえ人員が少ないというのに……」
大将B「連れて行け。処分は総司令部で行う」
日向「了解した」ガシッ
下田提督「放せ……放せえええええええッッ!!!!」
日向「…………」ガンッ
下田提督「っぁ…………」ガクッ
日向「これで静かになったな。車のトランクにでも放り込んでおくよ」ズルズル
大将B「ああ。そうしておけ」
ガチャ──パタン
559 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:54:42.41 ID:UicorJrKo
対象B「……ところで瑞鳳」
瑞鳳「……………………」
大将B「君はどうする。君の鎮守府の皆は解体される事が決まった。本人達の意思でな」
瑞鳳「……………………」
大将B「君も望むのならば解体しよう。さて、どうする?」
瑞鳳「……………………」
ギュ……
提督「……ん?」
瑞鳳「……命令、だから」
大将B「命令?」
瑞鳳「提督が……この人を、絶対に放すな……って……」
大将B「その提督の命令は、もう聞かなくて構わん」
瑞鳳「命令、だから……」
大将B「……そうか。中将、君が管理してくれるか? 中将は長門の件で問題無いと判断できる。適任だろう」
提督「畏まりました」
大将B「では、邪魔をしたな」
大将A「君には期待しているよ」
ガチャ──パタン
提督(……なんとかなったか。寿命が何年か縮んだぞ……)
提督(だが……)チラ
提督「……本当に良かったのか? 私がお前を管理する事になっても」
瑞鳳「……………………」コクリ
提督「そうか。ならば、これからよろしくな」
瑞鳳「…………」
提督「……ところで、この手枷は外しても──」
瑞鳳「…………」フルフル
提督「ダメか……。困ったな……」
…………………………………………。
560 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/13(木) 16:59:09.56 ID:UicorJrKo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。
大きな問題はある程度片付いて、づほを引き取りました。ただ……づほは大丈夫ですかね?
>>546
逆さ吊りなんかで良いんですか(小声)
という冗談はさておき、今の所の予定では目一杯愛でます。今の所の予定では。
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 17:47:15.60 ID:PYlS1JniO
づほが迷子の子供みたいで可愛い(コナミ感)
562 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 17:50:09.49 ID:e/RzeiMyo
いわゆる手錠なのかチェーンデスマッチの出来そうな手枷なのか気になる所
乙
563 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/10/13(木) 17:56:02.88 ID:cPKeqnhzo
乙です
564 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 18:00:48.80 ID:M9gvaiTqo
手錠(結束バンド)
565 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 18:37:12.59 ID:QHMI7TOyO
乙です
566 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 18:51:35.55 ID:jei4jNczo
お
567 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 20:44:47.20 ID:NbK6r35G0
ここの世界観での解体は死亡に当たるんだっけ?
568 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 22:11:33.62 ID:If2vEra70
逆さ吊り程度はご褒美だよな
569 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 22:46:19.53 ID:iZlbTNniO
手枷(鎖)ってイメージ
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 23:16:28.44 ID:sLSr2uG5o
僕もづほと手錠で結ばれたいです
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/13(木) 23:26:04.67 ID:m9kB61QoO
とりあえず瑞鳳の格納庫まさぐりたい
572 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/14(金) 02:00:50.24 ID:sPwuzgZA0
違和感というか予想外の進展もあるけど、とりあえず難所の突破はよかった
あとお前ら自重しろw
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/14(金) 21:54:13.51 ID:1BCy+viFO
良かった…づほはこれから幸せになれるんだね…
一杯可愛がってくれ
574 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:51:21.04 ID:SXU6Mpvqo
金剛「……では、本当に大丈夫なのですね?」
提督「ああ。心配してくれてありがとうな」
金剛「当然です。私達は提督が居るからこそ私達で居られるのですから。本当は押し切ってでも近くで護りたいくらいです」
提督「瑞鳳はそんな子じゃないはずだ。私の勘だがな」ポン
瑞鳳「…………」
金剛「ぅー……これはどれだけ言っても聞いてくれない提督になっているです……」
提督「良く分かってくれていて何よりだ」
金剛「はぁ……。でも、これだけは約束して下さい。何かあったらすぐに私を呼ぶ事です。隣の部屋の扉は半開きにしておきますから、声は届くはずです。これ以上は譲れません」
提督「お前も頑固なこって。──まず無いだろうが、万が一その時がきたら頼む」
金剛「ハイ! ……懐かしいですね」
提督「……そうだな。こういうやり取りは、本当に懐かしい」
金剛「もう少し思い出話に浸りたいですが、それはまた今度の機会にしましょう」
提督「ああ。おやすみ、金剛」
金剛「グッナイ、テートク──」
ガチャ──パタン
提督「……さて瑞鳳」
瑞鳳「……………………」
提督「夜もかなり深くなったから皆を帰した。私達も寝るとしよう」
瑞鳳「…………!」
提督「瑞鳳はそのベッドを使ってくれ。私は床に毛布を敷いて──」
瑞鳳「…………」シュル、パサ
提督「……なぜ服を脱いでいる。そんな状態で寝ては風邪を引くぞ」ソッ
575 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:52:07.02 ID:SXU6Mpvqo
瑞鳳「…………?」
提督「どうした。どうしてそんなに困った顔をするんだ?」
瑞鳳「…………!」スッ
提督「待て」
瑞鳳「!」ピタッ
提督「なぜ私のズボンに手を伸ばす」
瑞鳳「…………? …………??」
提督「……まさかとは思うが、それが瑞鳳にとって当たり前の事だったのか?」
瑞鳳「…………」コクリ
提督「そうか……。ここではそんな事をしなくて良いんだぞ」
瑞鳳「…………?」
提督「……言い方を変えよう。瑞鳳、それは強制されていた事か?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「なら、嫌だったのだろう? それはここではしなくて良い事だ。そんな嫌な事はしなくても良くなったんだ」
瑞鳳「…………」フルフル
提督「……む? 嫌ではなかったのか?」
瑞鳳「…………」コクン
提督(……強制されていたのにも関わらず嫌ではないとはどういう事だ?)
提督「……すまない。私ではよく分からん。どういう事なんだ?」
瑞鳳「…………気持ち、良いから……」
提督「……そうか」
576 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:52:33.16 ID:SXU6Mpvqo
瑞鳳「痛くて……苦しい事は……瑞鳳にとって、気持ちの良い……事です」
提督(これは……そう思い込まされているのか。嘘でもずっと言葉に出していると、何が嘘で何が本当なのか分からなくなるとは言うが……これがその状態か)
提督「……いや、もう今までのような痛い事も苦しい事も無い。もう、そんな苦しみを味わわなくて良いんだ」
瑞鳳「……………………」
提督(……無表情すぎて感情が読めん。何を考えているのだろうか)
提督「そうだな……。とりあえず寝ると……いや、睡眠を取ろうか。これなら分かるか?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「よし、良い子だ」ナデ
瑞鳳「…………?」
瑞鳳「…………」ジー
提督「ん? どうした?」
瑞鳳「…………」
提督(……本当に何を考えているのか分からん。どうしたんだ?)
提督(そうだな……少し、話をしてみるか。このまま放っておく事もできん)
提督「瑞鳳、これから睡眠を取る前に少し会話をしてみようか」
瑞鳳「…………?」
提督「少しずつで構わん。嫌だと思ったら何も言わず布団の中へ潜り込んでも良い。だから、お前が閉じ切ってしまった心を少しずつ開いてみないか?」
瑞鳳「…………」
提督「初めは声を出さず頷いたり首を横に振ったりするだけで構わない。もう一度言うが、嫌だと思ったらその時点で布団の中へ潜り込むんだ。それが会話の終了の合図とする。良いか?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「ありがとう。──まず初めに、ここは瑞鳳が今まで居た鎮守府と色々違うはずだ。だが基本的に出撃と演習、遠征、そして事務仕事や掃除なんかは恐らくどこの鎮守府も同じだと思う。瑞鳳もそうだったか?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「そうか。この鎮守府では朝礼もあり、朝は必ず全員が私と顔を会わす。そして、それ以外ではよっぽどの事でもない限り自由にしている。会話をするも良し。遊んでも良し。独自で訓練をするも良し。……まあ、酒は節度を守るようにとは言っているがな」
瑞鳳「…………」
577 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:53:13.46 ID:SXU6Mpvqo
提督「無論、瑞鳳もそれには従ってもらう。だが、現段階で瑞鳳は基本的にほぼ自由にさせるつもりだ。せいぜい、朝礼には顔を出して貰うくらいだろう」
瑞鳳「…………?」コテッ
提督「首を傾げたのは『なぜ?』という意味か? 正直に言うとだな、瑞鳳の精神状態を考えての事だ」
瑞鳳「…………」
提督「今のお前を他の子達と同じように扱ってはいけないと私は判断した。まずは心を癒す事が先決だ。何かしたい事があれば言ってくれ。出来る事であれば叶えよう」
瑞鳳「……………………」
提督「何かあるか?」
瑞鳳「……痛い、こと」
提督「む……?」
瑞鳳「痛い事……して下さい……」
提督「……どういう意味だ、それは?」
瑞鳳「私は……痛い事が、好き……ですから……」
提督「……それは無理矢理に言わされていた事だろう? ここではもう、必要以上の痛い事や苦しい事は受けなくて良いんだぞ」
瑞鳳「…………」フルフル
瑞鳳「痛みは……私に与えてくれるから……。生きているって……ちゃんと、生きているって……」
提督「…………」
瑞鳳「だから……痛い事とか、苦しい事が……好きです」
提督「……………………」
瑞鳳「……おかしい、ですか?」
提督「……そうだな」スッ
瑞鳳「あ……」ピクン
提督(……ああ、利根よりも首が細い。片手で充分な気すらある。──本気でやれば、折れてしまいそうだ)
提督(そうだな……瑞鳳も痛い事や苦しい事を望んでいるんだろう? ならば……)
578 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:53:41.72 ID:SXU6Mpvqo
コンコンコン──
提督「────!!」パッ
金剛「──テートク、本当に大丈夫デスか?」
提督「……金剛か。どうしたんだ?」
金剛「なんだか胸騒ぎがシタので……。入っても良いデスか?」
提督「……ああ。頼む」
ガチャ──パタン
瑞鳳「…………」ジッ
金剛「…………? 何かしていたデスか?」
提督「……そうだな。あまり良くない事をやりそうになっていた」
金剛「そうデスか……」トコトコ
金剛「提督……」ギュ
提督「!」
金剛「なんとなくですが、察しました……。やっぱり提督は『私達』の事を気にしているのですね」
提督「…………」
金剛「ごめんなさい……私が癒してあげられれば良いのですが、今の私では……」
提督「いや……そうやって気を掛けてくれるだけでも充分だ……。ありがとう、金剛……」
瑞鳳「…………」
提督「……すまんが金剛、頼みがある」
金剛「? 何でショウか?」
579 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:54:08.27 ID:SXU6Mpvqo
提督「今日だけでも構わないから、瑞鳳の隣で寝てくれないか? ……今の私は、酷く不安定だ」
金剛「ハイ。分かりまシタ。……って、テートクは床で寝るつもりデスか?」
提督「ああ。流石に一緒のベッドで寝る事はせんよ」
金剛「……本当、頑固なんですから」クス
金剛「──さて、そうと決まれば早速スリープするデース! 電気を消しマスので、二人は布団の中へ入って下サイ」トコトコ
提督「ああ。ついでに燭台にも灯を点けておこう」シュッ
瑞鳳「…………」
提督「ほら、瑞鳳もベッドの布団に入りなさい」モゾ
瑞鳳「…………」モゾ
金剛「では、消しマスね」
パチン──
金剛「さて、と」トコトコ
瑞鳳「…………」
金剛「隣、失礼するデース」モゾ
瑞鳳「…………」フイッ
金剛(あれ……?)
提督「さて、では寝るとしよう。灯を消してくれ、金剛」
金剛「ハイ」フッ
提督「おやすみ、金剛、瑞鳳」
金剛「グッナイ、二人とも」
瑞鳳「…………」
金剛(……私、何か嫌われるような事でもしてしまったのでしょうか)
…………………………………………。
580 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:54:38.63 ID:SXU6Mpvqo
金剛「すー……すー……」
提督「…………」
瑞鳳「…………」モゾ
瑞鳳「…………」ソロリ
提督「…………」
提督『──基本的にほぼ自由にさせるつもりだ』
瑞鳳(……私の、自由に)
瑞鳳「…………」モゾ
提督(む……?)
瑞鳳「…………」
提督(金剛……ではないな。瑞鳳か)
瑞鳳「…………すぅ……」
提督(……気付いていない振りをしておこう。何か理由があるのだろう)
瑞鳳「すぅ……」
提督(さて……私もまた眠るとするか……)
…………………………………………。
581 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/18(火) 02:57:29.31 ID:SXU6Mpvqo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。
瑞鳳の本心はどうなんでしょうかね。『痛い事や苦しい事が好きだと言え』と下田の提督に言われてきたからなのか、それとも本当にそう思っているのか。
そして提督はどうするのか。
色々と不安です。
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/18(火) 05:00:14.68 ID:Mnd0ebUg0
そっち系に目覚めてしまったのか
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/18(火) 05:38:57.83 ID:DRoeiFeio
乙!
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/10/18(火) 08:55:43.87 ID:0mTYTGYFo
乙です
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/18(火) 20:48:10.93 ID:MiPWuCMAO
>>559
>対象B
急に小物っぽくされてワロタw
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2016/10/19(水) 20:48:04.09 ID:qnNLsvyXo
>>580
忍び寄る大人の世界(意味深
提督の貞操は大丈夫なのか?狙う乙女たちは一杯だぞ?!
冗談はともかく、逆さ吊りになってお姉ちゃんに「メッ」される未来を切望
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/20(木) 15:09:17.71 ID:w0M0i81hO
痛いことが好きなら鼻と両耳に洗濯バサミを付ければいいな
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/20(木) 20:44:06.67 ID:TNx8fYxJ0
>>587
クワガタとザリガニも追加だな
589 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:42:25.32 ID:n4pu7Ko0o
提督「──朝礼でも言ったように、総司令部からの通達でしばらくは全戦線を停滞、維持させる事となった。よって、その間は暇になるだろう。新たに指示が与えられるまでに昨日言っていた問題点を解決したい」
金剛「ハイッ!」
利根「うむ!」
ヲ級「はーい!」
空母棲姫「分かりました」
瑞鳳「…………」
提督「ここに居る全員が知っての通り、昨夜のいざこざで最も面倒な問題が解決した。次に解決したい問題として、空母棲姫の艤装をどうするか、だ。なお、ヲ級の艤装は今朝方解体し終わったと報告が上がっている」
ヲ級「やった! 部屋、広くなる!」
空母棲姫「……それで、私の艤装はどうなったのでしょうか?」
提督「手を付けてすらいない」
空母棲姫「…………」ジッ
提督「それには理由があるから、そう睨むな」
空母棲姫「理由とはなんでしょうか」
提督「第一に解体が困難という事。まあ、これは時間を掛ければどうにかなるが、他にやる事があるため優先順位は低めだ。そして第二に、なぜ空母棲姫が艦載機をもう一度扱う事が出来たのか、という事だ。確か、艦載機との意識連結が出来なくなったはずだったな?」
空母棲姫「ええ……。私でも分かりません。なぜ、あの時だけ扱えたのか。その理由は私も知りたいわ」
提督「空母棲姫自身が分かっていないのか……。困ったな……。要因が分かるのならば、いざという時の自衛に使って欲しかったのだが……」
空母棲姫「鎮守府において自衛は必要でしょか」
提督「可能性は低いだろうが、今回のレ級のように狙ってくる者が居ないとは限らない。それならば、空母棲姫も艦載機が扱える方が色々と安心できるだろう?」
ヲ級「? どうして、可能性、低いの?」
提督「あれだけ大々的に動いていたんだ。もし狙っているのだったら一緒に行動すると思われる。わざわざ分けるメリットも無い」
ヲ級「なるほどー」
590 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:42:58.35 ID:n4pu7Ko0o
空母棲姫「……理由は分かりましたが、やはりそれでも反対です。私に兵装を持たせるという事は危険極まります」
提督「その事についてだが、私は兵装を完全に排除する方が危険だと思っている。先の防衛戦は空母棲姫が索敵をしてくれなければ負けていただろう」
金剛「その点については私も同意デス」
利根「そうじゃな。間違いなく負けておる。戦況が常時分かっておったから突っ込み時も引き際も分かっておれたからのう」
空母棲姫「それ、は……」
提督「空母棲姫、こう考えてくれないだろうか。艤装の解体はいつでも出来るが、手放した艤装は二度と帰ってこない。ならば一旦保留にしておこう──と」
空母棲姫「ですが……」
提督「ふうむ……。ならばこうしよう。一つ、艤装は私が預かっておく。必要時以外は空母棲姫が触れる事を禁ずる。二つ、空母棲姫が艤装を使用する際は私の許可と共に私の管理下である事。……これでどうだ?」
空母棲姫「…………考えさせて下さい」
提督「ああ。ゆっくり考えると良い」
空母棲姫「はぁ……やっぱり貴方には勝てそうにありません……」
提督「これでも鎮守府を預かる者だからな」
ヲ級「それにしても、どうして、姫は、艦載機、使えたんだろ?」
空母棲姫「そればっかりは分かりませんね……一体何があったのか……」
利根「……む? そういえば、前に負のエネルギーがどうのと言っておらなんだか?」
提督「ふむ。確かに言っていたな。その負のエネルギーが枯渇した、とかか?」
空母棲姫「なるほど、筋は通っています。貴方達と出会ってから怒りも後悔もほとんど感じていませんし、レ級と戦闘に入った時なんて怒りで我を忘れていましたし」
利根「その負のエネルギーが無くなったから艦娘からも深海棲艦と見られぬのかものう」
提督「……関係あるのか?」
利根「あるやもしれぬぞ。深海棲艦は見れば分かるし敵と判断できるが、空母棲姫とヲ級の二人は島の頃はともかく、今は敵と感じられぬ上に深海棲艦と識別できぬ。昨日戦った深海棲艦は深海棲艦と分かった事から、可能性は高いのではないか?」
提督「ふむ……。そうだな。確かに可能性は高い。これからは頭に置いておこう」
591 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:43:25.50 ID:n4pu7Ko0o
ヲ級「? 何か、変わるの?」
提督「何も変わらんよ。お前達は今まで通りのんびりと暮らせるって話だ」ポン
ヲ級「えへー」ニコニコ
提督「では、この話は一旦ここで保留だ。次に、瑞鳳をどうするかなのだが……」
瑞鳳「……………………」
提督「……率直に聞く。どうするのが一番だと思う?」
利根「また難しい事を……」
提督「難しいからこそ知恵を貸して欲しくなるんだ。現状では瑞鳳を癒す事しか思い付かんが、その方法すらどうしたものか……」
利根「好きな事をやらせるのはどうなのじゃ?」
提督「瑞鳳、言っても良いと思うのならば言ってくれ。瑞鳳がしたい事はなんだ?」
瑞鳳「……………………」
ヲ級「?」
提督「……という事だ。あまり口に出せる事でもない。そして、私はそれをしようとは思っていない」
空母棲姫(……性的な事なのかしら。もしそうであれば困難ね。この方は随分と堅物でしょうし)
金剛「では、甘い物とかどうデスか?」
瑞鳳「…………」
金剛「ぅー……反応が無いデース……」
ヲ級「!!」ピンッ
ヲ級「甘い物、あるよ!」ゴソゴソ
利根「ぬ? なんじゃ?」
ヲ級「玉子焼き!」パッ
瑞鳳「!」
592 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:43:59.82 ID:n4pu7Ko0o
利根「……なぜ玉子焼きを持ってきておるのじゃ?」
ヲ級「初めて、焦げ目無しで、綺麗に焼けたから!」キラキラ
利根「ふむん? ……ほう! 綺麗じゃのう。こんな綺麗な玉子焼きは見た事がないぞ。……しかし、玉子焼きくらいならば二人は簡単に作れるのではないか?」
空母棲姫「難しいわよ。白身と黄身、そして出汁が綺麗に混ざっている事と火加減の調整が上手く出来なければ、ここまで黄一色の玉子焼きは出来ないわ。基本の料理という物は、シンプルが故に作り手の技量が分かるものよ」
提督「空母棲姫も出来るのか?」
空母棲姫「……出来ません。中の隙間は無くなっても、どうしても層の部分が分かります。本当、この子は料理の才能があるわ」ナデ
ヲ級「えへー」ニコニコ
瑞鳳「…………」ジー
金剛「? 瑞鳳が興味を持っているデス」
提督「む。食べたいのか?」
瑞鳳「…………」フルフル
提督「では、作りたいと?」
瑞鳳「…………」コクン
提督(……料理が好きなのだろうか? いや、そうならば食事の時に何らかの反応をしているはずだ。玉子焼きに何か拘りでもあるのか……?)
提督「構わんぞ。昼食後のツマミとしよう」
瑞鳳「…………」コクン
ヲ級「一緒に、作ろ?」ニパッ
瑞鳳「…………」コクン
…………………………………………。
593 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:44:29.63 ID:n4pu7Ko0o
瑞鶴「──それで、焦げ目とか層の隙間が無くなるまでやったのね。あ、美味しい」モグモグ
長門「なるほどな。だから妖精も含めた全員に玉子焼きがオヤツとして出されたのか」
翔鶴「ですが、本当に美味しいですね」ニコニコ
電「なのです。とっても美味しいのです」
雷「瑞鳳さんも料理が上手なのね!」
暁「…………」ジー
響「? 暁、どうしたんだい?」
暁「……まだ司令官と鎖で繋がってるのが気になるのよ」ジー
提督「そう言ってくれるな。この子は下田の提督の命令を続けているだけなんだ」
瑞鳳「…………」
利根「鎖を外せば腕にしがみ付くが、それの方が良いのかの?」モグモグ
暁「うーっ……」ジー
空母棲姫「大丈夫よ。提督が説得をしてくれているから」ナデ
暁「ぅー……」
ヲ級「嫉妬?」
暁「なっ!! 違うわ! ふーきの問題があるって事よ! レディは嫉妬なんかしたりしないわ!!」
提督(嫉妬なのか)
響(嫉妬だね)
雷(嫉妬なのね)
電(嫉妬なのです)
利根(嫉妬じゃのう)
瑞鶴(嫉妬ねー)
翔鶴(あらあら……)
長門(……本当にこの方は皆から好かれているな)
空母棲姫(本当、分かりやすいわね、この子)
ヲ級「♪」ニコニコ
暁「もーっ!! なんで皆してそんな温かい目で見てくるのよー!! 嫉妬じゃないんだからぁー!!」
594 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:45:01.59 ID:n4pu7Ko0o
ギャーギャー
瑞鳳「…………」ジー
提督「どうした、瑞鳳」
瑞鳳「……………………楽しそう……」
提督「いずれお前もあの中に入れるさ」ナデナデ
瑞鳳「……うん」
暁「あーッッ!! 今度は頭撫でて貰ってる!!!」
響「暁、もしかして甘えたいだけだったりする?」
暁「そんな訳ないでしょ響!! レディはお子様みたいに甘えたりしないんだからぁー!!!」
提督「時と場を弁えれば構わんぞ」
暁「む……」
響「あ、考えたね」
暁「!!! もー!! 響、貴方の玉子焼き食べるわよ!?」
響「おっと。食べられたら困るから、これ以上は刺激しないでおこうかな」
暁「ふん、だ!」
ヲ級「♪」ニコニコ
提督(……金剛も今頃は姉妹と食べているのだろうか。……本当、金剛の問題もどうするべきか)
瑞鳳(甘える……)
…………………………………………。
595 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/10/27(木) 16:47:27.89 ID:n4pu7Ko0o
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。
残す問題は瑞鳳と金剛さんの二人のみ。この厄介な問題はどうなるのやら。
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/27(木) 17:21:17.11 ID:G5b4MgMho
乙!
597 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/27(木) 18:41:57.80 ID:rsWRxaIOo
卵を焼くだけの艦娘がいてもいいと思う
乙
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/28(金) 10:07:24.53 ID:2ChNahhq0
男女・・・外せない手錠・・・ ハッ?
風呂は!?
お風呂回はまだですか!?
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/28(金) 11:14:53.29 ID:K/W1WlBdo
いやそれよりも生理現象だよ、いうなれば厠だ
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/10/28(金) 17:49:34.34 ID:zLLV6IoyO
雪隠か
601 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:27:11.01 ID:QqswW4aao
提督「…………」サラサラ
瑞鳳「…………」ジー
コンコンコン──
提督「入れ」
ガチャ──パタン
大淀「失礼します。提督、少し急な報告……もとい、相談がございます」
提督「む? 何があった?」
大淀「多くの方から、ある相談を受けまして……。本来はご本人の前で言うのは憚られるのですが、今回はそうもいきそうにありません」
提督「ふむ」
大淀「……率直に申し上げますと、提督と瑞鳳さんが鎖で繋がっているのを良しとしない方々が多くいらっしゃいます」
瑞鳳「…………」
提督「やはりそうなったか……」
大淀「駆逐艦の子達は理解も納得も出来ない意見が多く、軽巡以上の方々も理解は出来ても納得がいかないという意見を耳にしております。いくら扉を隔てているとはいえ、お手洗いや入浴など特に……」
提督「……あまり良くはないな。このままでは分裂や喧嘩も起きてしまいかねん」
大淀「はい……。皆さんも提督へ直接言うのを避けているのか、私へ相談が殺到しました……」
提督「苦労を掛けてすまない。……しかし、どうしたものかな」
大淀「私も考えてはみたのですが、解決できそうな案は思い付きません……」
提督「……明日まで待って貰ってくれないだろうか。それまでに対策を考える」
大淀「……なんとか頑張ってみます」
提督「ありがとう。……効果は無いかもしれないが一応、厠と風呂の際、待っている方は目と耳を塞いでいると伝えてやってくれないか?」
大淀「はい。畏まりました」
602 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:27:38.96 ID:QqswW4aao
提督「大淀ももう少しだけ我慢してくれ」
大淀「お気遣いありがとうございます」
提督「何か望みがあるか? 出来る範囲ならば叶えよう」
大淀「え? よろしい……のですか?」
提督「ああ。流石に大きな迷惑を掛けてしまった」
大淀「…………えっと、では……瑞鳳さんと同じように、とかは……」
提督「……………………」
大淀「あの……すみません、冗談です」
提督「……今度叶える。その時が来たら伝えよう」
大淀「──え!? ほ、本当ですか!?」ドキドキ
提督「ああ」
提督(……大淀にそんな趣味があったとは思わなかった)
大淀「提督と繋がる事が出来るなんて……夢でしか出来ないと思っていました」
提督(ふむ? 『繋がる』という事が大事なのか? ……まさか、不満を言っている者達もそれが原因……いや、それは無いか)
大淀(言ってみるものですね♪)テレ
提督(……無いよな?)
提督「……くれぐれも内密にするように」
大淀「はいっ!」
提督「では、頼んだぞ」
大淀「はい。大淀、頑張りますね! ──失礼しました」
ガチャ──パタン
提督「瑞鳳も、秘密にしてくれよ?」
瑞鳳「…………」コクン
提督「よろしい。──さて、仕事の続きとするか」サラサラ
瑞鳳(……相談をしても、良い人)
…………………………………………。
603 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:28:15.50 ID:QqswW4aao
瑞鳳「…………」ジー
利根「今日はやけに提督を見ておるのう」モグモグ
金剛「何かあったのデスか?」コクコク
提督「……心当たりが全く無い。私も不思議に思っているくらいだ」ズズッ
瑞鳳「…………」ジー
利根「紅茶や茶菓子もほとんど手を付けておらぬしのう……」
金剛「……あの、もしかして美味しくなかったデスか?」
瑞鳳「…………」チラ
瑞鳳「…………」フルフル
瑞鳳「…………」フイッ
利根「……マズい訳ではないが、今は提督を見る事の方が優先されている……なのかのう?」
提督「一体どうしたんだ、瑞鳳?」
瑞鳳「…………」ジー
提督「ふぅむ……」
利根「うーむ……。まあ、考えても分からぬ。ここは保留じゃな」
提督「そうするか……。すまんな瑞鳳。私にはお前が何をしようとしているのか分からん」ナデ
瑞鳳「…………」
提督「だが、もし何かしたい事があったら言ってくれ。可能な範囲であれば許可も出せる。そして叶えてやる事も出来る」
瑞鳳「…………」コクン
金剛「あ、瑞鳳。もし紅茶が冷めてしまったら言って下サイ。すぐに取り替えるデス」
瑞鳳「!」ゴクゴク
利根「一気に飲んだのう」
金剛「…………?」
提督「一体どうしたというのか……」
604 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:28:50.26 ID:QqswW4aao
瑞鳳「……捨てるのは、勿体無いから」
利根「ああ、なるほどのう。捨てられると思うたのか」
瑞鳳「…………」コクン
提督(……そうだとしても急だったな。……また下田の提督関係で何かされていたのだろうか)
提督「…………」ポン
瑞鳳「?」
提督「…………」ナデナデ
瑞鳳「…………」
金剛(本当、下田では何があったのでしょうか……。私も何か出来れば良いのですが……)
金剛(そもそも、瑞鳳はどうしてこんな風になったのでしょうか。酷い事をされてきたというのは耳にしていますが、一体どんな事をされたら──)
金剛「!」ピン
金剛「瑞鳳、隣に座りマスね」
利根「む?」
瑞鳳「…………」
金剛「少し、失礼するデス」ギュ
瑞鳳「!」
金剛「今まで何を経験してきたのか、それは私では分かりまセン……。ですが、辛いものだったという事だけは分かりマス」
瑞鳳「…………」
金剛「こうやって抱き締められると、私は落ち着きマス。こうやって下さる人が居るから、私は辛い事があっても頑張れてきまシタ。瑞鳳も同じかは分かりまセンが、少しでも落ち着けられるなら嬉しいデス」
瑞鳳「…………」ホゥ
利根(ふむ)
605 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:29:19.19 ID:QqswW4aao
瑞鳳「…………」スリ
金剛「アハ。落ち着きマスか?」
瑞鳳「…………」コクン
金剛「良かったデス。好きなだけこうしていて下サイね」ナデ
金剛「テートクも、こうしてあげたら良かったデスよ?」チラ
提督「それをお前が言うか……」
金剛「私だから言えるのデス」
提督「……まったく。本当にお前には時々勝てんよ」
金剛「えへへー」ニコ
利根(……もしやとは思うておったが、この金剛は……あの金剛ではないか?)ジー
提督「…………」チラ
利根「!」
提督「…………」ジッ
利根(やはりそうなのか。……うむ、分かっておる。誰にも言ったりはせぬよ。何か事情があるのじゃろう?)コクン
提督「…………」コクリ
金剛「ほら、テートクも落ち着かせてあげて下サイ」
提督「しかし……」
金剛「きっと、この子もそうして欲しいと思っているデスよ?」
提督「……そうなのか、瑞鳳?」
瑞鳳「…………」チラ
金剛「♪」ニコニコ
瑞鳳「…………」チラ
提督「…………」
瑞鳳「…………」コクン
606 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:29:51.36 ID:QqswW4aao
金剛「ハイ! 瑞鳳もそう言っているデース! テートクは人を落ち着かせるのがとっても上手ネ!」スッ
提督「そんな事はないと思うが……」
利根「自覚無しじゃったのか。我輩がなぜいつも背中にのしかかっておったのか分からぬのか?」
金剛「背中にのしかかっていた、デスか?」
利根「うむ。とある島で提督と二人で何年か過ごしていた頃にの。我輩はそれが好きで暇さえあればその状態じゃった」
提督「確かにほぼずっとそんな感じだったな」
金剛「そんな事があったデスか。私、その頃の話が聞きたいデース!」
利根「うむ。我輩は良いぞ。提督も良いよな?」
提督「ああ。構わん」
金剛「ヤッタ! その島ではどんな事があったデスか?」
利根「基本的には暇で海を眺めてばかりおったのう。他には──」
金剛「ふむふむ」
提督(……そうか。色々な事があって金剛に話していなかったな。……本当、色々な事があったものだ)
瑞鳳「…………」クイクイ
提督「うん?」
瑞鳳「…………」ジー
提督「……なるほど、催促か」チラ
金剛「?」チラ
金剛「♪」コクリ
利根「金剛よー、聴いておるのか?」
金剛「勿論デース。それで、釣りで利根はテートクに何回勝ったデスか?」
利根「む。そ、それはじゃな?」
瑞鳳「…………」クイクイ
提督「……ほら、おいで」スッ
瑞鳳「…………」ソッ
提督「…………」ギュ
瑞鳳「!」ピクン
瑞鳳「…………」ホゥ
提督(金剛のおかげで一層落ち着けているようだな)ナデナデ
瑞鳳「…………」コテッ
提督(む、身体も預けてきたか。……ああ、構わんぞ。好きなだけ甘えて良い。甘えてきた以上に愛でよう)ナデナデ
瑞鳳(……この人は、優しくて……温かい人。……甘えても、良い人)
瑞鳳(良いなぁ……これ……。眠っちゃいそう……)
…………………………………………。
607 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:30:17.98 ID:QqswW4aao
利根「では提督、瑞鳳よ、また明日じゃ」
金剛「グッナイ二人とも!」
提督「ああ。お前達も良い夢を見ろよ」
ガチャ──パタン
提督「さて、私達も寝ると──ああいや、今日は風呂に入る間が無かったんだったな。寝る前に風呂に入るとしよう」スタスタ
瑞鳳「…………」コクン
ガチャ──パタン
提督(……しかし、この部屋に備え付けてある風呂場に瑞鳳と共に居るのはこれで数日だが、未だに慣れんな)
提督「さて、今日も瑞鳳が先に入るか?」
瑞鳳「…………」フルフル
提督「そうか。では、私が先に入ろう。着替える間だけ手枷を外すぞ。瑞鳳、私の方の鍵を出して外してくれ」
瑞鳳「…………」スッ
カチャ──カチンッ
瑞鳳「…………」ジー
提督「……む? 瑞鳳、向こうを向いてくれないか? 着替えれん」
瑞鳳「……私のも」スッ
提督「む? 瑞鳳の手枷も? どうしたんだ?」
瑞鳳「…………」ジー
提督「まあ、良いか……」カチンッ
提督(漸く手枷で繋がなくても良いと思ってくれたのだろうか)
608 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:30:46.89 ID:QqswW4aao
瑞鳳「…………」シュル
提督「待ちなさい」
瑞鳳「…………」ピタッ
提督「なぜお前も服を脱ごうとしているんだ……」
瑞鳳「…………」ジー
提督「…………」
瑞鳳「……甘えたい」
提督「……………………そうか。甘えるのは構わないが、一緒に風呂へ入ろうとするのはやめておけ。風紀の問題がある」
瑞鳳「…………」ジー
提督「こればっかりは堪えてくれ。そもそも、男女が同じ風呂に入るというのはあまり良くない事だ」ナデ
瑞鳳「…………………………………………」
瑞鳳「…………」コクン
提督(長く考えていたようだが、納得してくれたか)
提督(しかし……甘えるとしても、なぜ一緒に風呂へ入ろうとしたんだ……?)
…………………………………………。
609 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:31:28.96 ID:QqswW4aao
提督(そして風呂が終わったらこれか)
瑞鳳「…………」ギュゥ
提督(……手枷をする前に戻っていないか、これは?)
瑞鳳「……横須賀の提督さん」
提督「! どうした?」
提督(……この子が自分から話し掛けたのは初めてじゃないか?)
瑞鳳「甘えさせて、下さい……」
提督「……ふむ」
瑞鳳「寝る時に抱き締めてくれると……嬉しい、です」
提督(…………今はそうしてあげた方が良いか)
提督「分かった。電気を消すから、先にベッドへ入っていなさい」
瑞鳳「はい」トコトコ
カチッ──
提督(む……燭台に火を点けておくべきだった。……まあ、どうとでもなるか)スタスタ
提督「私もベッドへ入るから、ぶつからないように」ソッ
ピトッ──
提督「む?」
瑞鳳「……私は、ここに居ます」
提督「……そうか」モゾ
瑞鳳「ん……」ギュ
提督「む」
瑞鳳「落ち着きます……」
提督「……そうか」
610 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:32:49.82 ID:QqswW4aao
瑞鳳「横須賀の提督さんも、抱き締めてくれますか……?」
提督「……分かった」ギュ
瑞鳳「んっ……!」ピクン
提督「む、痛かったか。すまない」スッ
瑞鳳「……もっと、して下さい」
提督「うん?」
瑞鳳「瑞鳳は……痛いくらいが良いです。もっと、あったかいのを感じたいです」
提督「…………」
瑞鳳「…………」ギュゥ
提督「……温かいのを感じたいから、なんだな?」
瑞鳳「はい……」
提督「分かった。それならば良いぞ」ギュウッ
瑞鳳「んっ──!」ピクッ
瑞鳳「……あったかい」スリ
提督「痛くはないか?」
瑞鳳「……もう少し、強くても良いくらいです」
提督「……これ以上は睡眠に支障をきたしそうだから止めておく」
瑞鳳「はい……」スリ
提督(……瑞鳳の鼓動を感じる。しかし……なんだか速いな)
瑞鳳(これ……身体の奥から気持ち良い……。あったかくて優しい痛みなんて、あるんだ……)
瑞鳳(提督がくれた痛みよりも、もっともっと欲しくなる痛さ……)
提督「良い夢を見てくれよ」
瑞鳳「……はい」
瑞鳳(良い夢……うん……。見れそう……。この人とくっついていると……温かい気持ちになる……)
…………………………………………。
611 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/05(土) 03:36:25.44 ID:QqswW4aao
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ます。
お風呂の要望があったので少し間違った形で書いてみました。なお、お手洗いもこれとあまり変わりありません。
待っている方は目隠しと耳栓をしているとありますが、一部の艦娘はそれを聞いて別の妄想をしているかも。イタズラし放題だとかなんだとか。提督の思慮を超えた想像です。
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/05(土) 04:47:59.88 ID:sNZ5g+IJ0
大淀はMでむっつり確定だな
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/05(土) 12:06:43.00 ID:JrU/shuwo
乙ヤーデ
614 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/11/05(土) 12:36:01.57 ID:np02+QU1o
乙です
615 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/05(土) 13:05:40.96 ID:d/ej9hmw0
乙
そっか、ちょっとの間なら外せるのか、手錠。
616 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/05(土) 19:07:28.89 ID:3Uob72iqO
瑞鳳好きが周りにいて不思議だったがこれ見て好きになりそう
617 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/17(木) 06:09:27.68 ID:3cgKq1PEo
瑞鳳『提督、今日はダシ巻き作ってみたんだけど、食べる?』
提督『ほう。頂こう。──うむ、良い味だ』
瑞鳳『本当ですか? 一杯あるから、たくさん召し上がれ♪』
提督『良い子だなぁ瑞鳳は』ナデナデ
瑞鳳『えへへ』
────────────────。
瑞鳳「!」パチ
瑞鳳(朝……?)
提督「…………」ナデナデ
瑞鳳「ぁ……」
提督「ん、起きたか瑞鳳」スッ
瑞鳳(……そうだった。私、抱き付いて寝てたんだっけ)
提督「そろそろ起きるとしよう。他の皆が来る前に」
瑞鳳(──もしかして、ずっと頭を撫でてくれていたのかな。だから、あんなにあったかい夢を……)
瑞鳳(そういえば……あんなに心地良い夢を見たのって、いつ振りだろ……)
瑞鳳(…………この人には、本当に心を見せても……良いのかな)
提督「瑞鳳? どうした?」
瑞鳳「……あの」
提督「うん?」
瑞鳳「……………………え、と……」
提督「…………」
瑞鳳「……なんでも、ないです」
提督「ふむ……。少し失礼する」ギュゥ
瑞鳳「!!」ピクンッ
提督「このくらいだったか?」
瑞鳳「……はい」ギュ
瑞鳳(ああ……良いんだ……。私……もう閉じ篭らなくても、良いんだ……)
瑞鳳(温かくて、優しくて、安心できて……。いつか夢に見た、落ち着ける時間……)ジワ
瑞鳳(なんでこの人は、私にソレをくれるんだろう……? 迷惑ばかり掛けている私に、どうして……?)ポロポロ
瑞鳳(私の状態が良くないから……? 治さなきゃいけないから……? ……ううん。きっと、この人はこれが普通なんだ……。この人にとっては、ただちょっと優しくしているだけなんだ……)ポロポロ
提督「……もう少しだけ、うたた寝でもしようか。まどろみの中は気持ちが良い」ナデ
瑞鳳「はいっ……!」ポロポロ
瑞鳳(ああ……嬉し泣きって、本当にあるんだ……。私、こんなの初めて……)ポロポロ
…………………………………………。
618 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/17(木) 06:09:54.33 ID:3cgKq1PEo
瑞鳳「……ありがとうございます」
提督「もう良いのか?」ナデ
瑞鳳「うん……。名残惜しいけど、もうそろそろ起きなくちゃいけないから」
提督「そうだな。もうあと少しで金剛や利根がやってくる」
瑞鳳「……大丈夫かな」
提督「赤くなった目が治るかどうかか?」
瑞鳳「ううん、違うの。私、皆に会うのがちょっと怖くて……」
提督「ふむ」
瑞鳳「だって……昨日、大淀さんが言ってたように……皆が不満を持ってるって……」
提督「なるほど。それで不安なのか」
瑞鳳「うん……」
提督「大丈夫だ。その事については謝っておけば問題無い。あの子達ならば分かってくれる」
瑞鳳「……ホント?」
提督「流石にその場で一切合切なにもかも飲み込んでくれはしないだろうが、少し時間を掛ければ受け入れてくれるだろう」
瑞鳳「…………」
提督「怖いか?」
瑞鳳「……ちょっとだけ。でも、横須賀の提督さんが言うのなら……大丈夫、だよね?」
提督「信じてくれるとありがたい」ナデナデ
瑞鳳「……うん。信じるね」
提督「うむ。では、顔を洗ってきなさい」
瑞鳳「うん!」ニコ
トコトコトコ──
619 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/17(木) 06:10:22.70 ID:3cgKq1PEo
提督(……どことなく、妹の方の金剛と似たような笑い方をしている。儚い笑みだ……)
瑞鳳「……えっと、横須賀の……じゃなくて、中将さん」ヒョコッ
提督「うん? どうした?」
瑞鳳「…………提督は……どうなるのかな」
提督「大佐か。……分からん。ただ、敵に協力をしていたと認めてしまった事から『処分』もあり得る」
瑞鳳「……そっか」
提督「…………」
瑞鳳「やっぱり、そうなっちゃうよね……。うん……そっか……」
提督「……辛かったら、いつでも話を聞くぞ」
瑞鳳「うん……」トコトコ
提督(……本当、あんなに酷い事をさせられても悲しめるとは)
提督「艦娘、か……」
提督(基本、ただ一人の提督に付き従うと聞くが……ここまでいくものなのか……。私に付き従ってくれる子達も、同じなのだろうか……)
提督(そして、好いてくれる理由も……。そして……もしかすると、金剛も……)
提督「…………」チラ
提督(金剛との、つがいのネックレスは引き出しの奥にある。……もしかすると、あのネックレスは金剛にとって呪いだったのだろうか。より束縛し、より私を盲目に信じさせる、薄汚い物だったのだろうか……)
提督「……どうなんだろうな」
提督(もしそうであるのならば……寂しいな)
瑞鳳「──中将さん」トコトコ
提督「どうした、瑞鳳」
瑞鳳「辛そうだけど、大丈夫……?」
620 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/17(木) 06:11:03.89 ID:3cgKq1PEo
提督「……ポーカーフェイスには自信があるつもりだったが」
瑞鳳「……いつも提督の顔色を伺っていたから、なんとなく分かっちゃうの」
提督「そうか……」
瑞鳳「えっと……私、痛い事は好きなの。だから、もしそれで気が紛れるなら、いつでも良いですよ?」
提督「馬鹿を言うんじゃない」
瑞鳳「本当なの。……最初は痛い事は嫌だったし逃げ出したかったけど、いつの間にか『痛い』って感覚は生きてる証に感じて、生きてるって分かる事が好きになって……」
提督「……………………」
瑞鳳「私なら大丈夫です。自分で自分の小指を切る事も出来るから、ね?」
提督「自分の、指を……?」
瑞鳳「うん。そうしなかったら、私の代わりに他の艦娘の指を切り飛ばすって言われたから……」
提督「……瑞鳳、もっと近くに来なさい」
瑞鳳「? うん」トコトコ
提督「おいで」スッ
瑞鳳「え? 腕の中……良いんですか……?」
提督「ああ」
瑞鳳「……うん!」ソッ
提督「こうされるのと、どっちが好きだ?」ギュッ
瑞鳳「んっ……。こっち、かな?」
瑞鳳「痛いのも良いけど、こうやって、誰かの心臓の音を感じるのも……好き。痛いくらい抱き締められるのって、もっと欲しくなる痛みだから……。それに、心臓の音を聞いてると、生きてるんだなって思えるの……」スリ
提督「……そうか」
瑞鳳「うん……。気持ち良くて、優しくて、あったかいから、凄く好き……。もしかしたら癖になるかも」
621 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/17(木) 06:11:50.52 ID:3cgKq1PEo
提督「…………」
瑞鳳「あぁ……ずっとこのままで居たいって思っちゃう……」
提督(そういえば……金剛も抱き締められるのは好きだったな……。…………少しくらいは、私も都合良く考えても許されるだろうか)
提督「……ありがとう、瑞鳳」
瑞鳳「? お礼は私が言うべきじゃ……」
提督「いや……少しだけ、軽くなった」
瑞鳳「軽く……? え、えっと……?」
提督「ありがとう……」
瑞鳳「……うん」
コンコンコン──
提督「──さて、今日も一日が始まる。瑞鳳、今日は正式に鎮守府の皆に自己紹介しようか」スッ
瑞鳳「はいっ」
提督「よろしい。──金剛、入ってきて良いぞ。知らせたい事もある」
…………………………………………。
622 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/11/17(木) 06:12:42.29 ID:3cgKq1PEo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ます。
……おかしいな。もう終わるはずなんだけどな。
623 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/17(木) 06:34:29.08 ID:RBU9E/8Wo
おつ!
624 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/11/17(木) 11:25:23.00 ID:12BBj0BGo
乙です
625 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/11/17(木) 20:41:33.80 ID:et9rYABA0
おつおつ
まったりでも続いてくれるのは大歓迎ですよ〜
626 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/11/17(木) 22:43:00.89 ID:57kF03Hy0
乙です
でもこのルートのヒロイン誰?
627 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/01(木) 04:40:33.50 ID:svt2Tvv2o
金剛「…………」チラ
瑞鳳「────?」オドオド
祥鳳「────────」ナデ
瑞鳳「────♪」
天龍「? ────!」
暁・雷「!」
ヲ級「────!」ブンブン
瑞鳳「!」チラ
祥鳳「────」フリフリ
瑞鳳「…………」フリフリ
暁・雷「…………」チラ
天龍「? ────?」
暁・雷「…………」フリフリ
金剛(……祥鳳はともかく、さすが天龍とヲ級ですね。事情が事情だからなのか、それとも素の行動なのかは分かりませんが、わだかまりを解消してくれそうです)クルッ
金剛(こう言うのは良くありませんが、おかげでこっちの問題も手が付けられそうです。……シスターの事、テートクに相談しなくちゃ)スタスタ
金剛(今の時間は大抵が執務のはずですが、最近は執務が少なくなった事で休憩時間にしていましたから大丈夫ですよね)スッ
コンコンコン──
提督「金剛か、入れ」
??「なっ!!」
金剛(? 誰の声でしょうか?)
628 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/01(木) 04:41:03.67 ID:svt2Tvv2o
ガチャ──パタン
長門「な……なな、ななな……!!」ブラーン
金剛「……なんで吊るされているのデスか?」
提督「この前の深海棲艦との戦闘で命令を無視してまで前線に残っていた罰だ。あれではいつ沈んでもおかしくなかったぞ」
金剛(ああ……なるほど)
利根「ほれ、金剛も見るかの? なんと純白の下着じゃぞ。意外じゃよのう」ピラ
長門「何をする!? やめないかッ!!」
利根「とは言うても、これがこのお仕置きの醍醐味じゃからのう。……おぉ、よく見ると小さな薄桃のリボンがあるのじゃな。やはり可愛いもの好きか」ジー
長門「〜〜〜〜〜〜!! て、提督も何か言ってくれ!」
提督「私はここでお前の反省を見守るだけだ。それ以外はよっぽどの事を除いて関与せん」
長門「見守るなどと言いつつ戦艦すら射殺す目をしているではないか……!!」
金剛・利根「あ」
提督「反省の色が見えんな。十分追加」
長門「なぁっ!? ほ、他の者達が更に来たらどうする!?」
提督「それはお前自身が招いた事だ。それによって生まれる問題は自分の行動の結果だと思え」
長門「くぅっ……!」
利根「じゃが、羞恥心ばかりで恐怖心が無いのはまだ良いのではないか? 我輩など提督がこんな形相で視線を逸らす事も許されず仁王立ちなどされたら怖くて縮こまってしまうぞ」
長門「今はそれどころではない!! これ以上、誰かに見られたらと思うと──!」
提督「ほう? 反省をするどころか全く別の事を考えるか」ジッ
長門「ひっ!? じ、時間を延長するのは止めてくれ!! もうあんな事はしないと誓う!!!」
提督「宜しい。あと五分で降ろすとしよう」
629 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/01(木) 04:41:30.38 ID:svt2Tvv2o
長門「な、長くなっているのは変わらないのか……!!」
提督「お望みならばもっと長くしてやるが」
長門「や、やめてくれぇ!! こんな姿をこれ以上見られたくない……ッ!!」
利根「……プライドの塊というのは生き辛そうじゃのう」
金剛「効果抜群ネー……」
────五分後──
長門「…………終わった……。二つの意味で、終わった……」ズーン
利根「瑞鶴と響がやってくるとはのう。気を利かせてくれたのか、すぐに帰ってくれたが」
長門「誰かに話していたり、しないだろうか……」
利根「瑞鶴は何かあった時にポロッと口にしてしまいそうじゃ。響は……言いそうではないが、今回の事を知っている者の間では言いそうなイメージはあるかの」
長門「ああぁぁぁぁぁ…………」
金剛「物凄い悲痛な声デス……」
利根「しかし少し意外じゃったな。てっきり『フン。ビッグ7たる者、この程度で屈したりはしない』なんて言うかと思っておったのじゃが」
長門「こういう羞恥心を煽られる事は苦手なんだ……」
利根「なるほどのう」
提督「反省はしたか?」
長門「!! は、はいッ!」ビクッ
金剛(また一人、テートクを怒らせてはいけないと身をもって知ったですね……)
提督「宜しい。部屋に戻って良いぞ。──利根、部屋まで送ってやってくれ」
利根「うむ。フォローは任せるが良いぞ」トコトコ
長門「失礼……した……」トボトボ
630 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/01(木) 04:42:00.98 ID:svt2Tvv2o
ガチャ──パタン
提督「……さて金剛。少し話がある」
金剛「……ハイ。シスターの事デスね?」
提督「ああ。あれから表に出てきたりはしているか?」
金剛「いえ……塞ぎこんでいてまったく返事をしてくれまセン。心の奥に居るのだけは分かるのデスが……」
提督「大丈夫なのだろうか……」
金剛「分かりまセン……。そもそも、どうして塞ぎこんでしまったのかも分からないデス……」
提督「むう……」
金剛「…………」
提督「……一先ず、呼び掛けて──いや、呼び掛け続けてみよう。もしかしたら反応してくれるかもしれん」
金剛「ハイ。私も諦めまセン。諦めてしまったら……それは私がシスターの身体を乗っ取ってしまうのと変わらないデス」
提督「そうだな。……金剛、気になったのだが、最後に妹の方と話した時に何かおかしい所とかはあったか?」
金剛「そうデスね……。レ級と戦っていた時にたしか、この身体は私のモノとして扱って下サイ、と言っていたデス」
提督「……ダメージを気にしないで良い、と言った訳ではなさそうだな」
金剛「ハイ……。あの時は考える余裕がありまセンでシタが、今になって思うと、あれは私に身体を受け渡すという意味にも聞こえるデス」
提督「ああ……。本当、どうしてなんだ金剛。お前の身体はお前のモノだろう? 誰かのモノでもない、自分自身のモノだ。今はただ好意で私達を会話させる為に──……」
金剛「!」ハッ
提督「……そういう事か」
金剛「きっと、そうかもしれまセン。……馬鹿デス」
提督「本当にな……。そんな事をしても、誰も喜びはしないというのに……」
提督「──私と金剛の為に、自分を犠牲にしようと考えるか。なぜそんな事を……」
631 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/01(木) 04:42:27.46 ID:svt2Tvv2o
金剛「……艦娘、だからデスかね」
提督「…………」
金剛「私達はテートクの為に動き、テートクに喜んで貰いたいと思っているデス。……きっと、シスターは自分ではなく、私の方がテートクを喜ばせられると思ったのでショウね」
提督「……………………」
金剛「……シスター、お願いデス。もし本当にそんな事を考えているのでしタラ、考え直して欲しいデス。私もテートクも、そんな事は望んでいないデス」
提督「金剛、話をさせてくれ。このままお前が居なくなるなど、私は認めん。……頼む」
金剛「…………ダメです。反応も何もしてくれまセン……」
提督「金剛……」
金剛「シスター……」
…………………………………………。
632 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/01(木) 04:43:19.70 ID:svt2Tvv2o
今回はここまでです。また一週間後くらいに来るかもしれません。
お仕事が忙しくて更新が遅れてごめんよ。
633 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2016/12/01(木) 09:30:29.38 ID:DOekaYrLo
乙です
634 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/01(木) 11:25:49.11 ID:GRDlODAlO
ひとつノルマが達成された
635 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/15(木) 04:16:02.26 ID:2Gw8Ge/do
飛龍「…………」カリカリ
利根「…………」カキカキ
提督「…………」サラ
飛龍(……利根さん。提督に何かあったんですか?)ヒソ
利根(いや……我輩は知らぬ。朝から何か深く考えておるようなのじゃが……聞いても生返事なのじゃ)ヒソ
飛龍(……一体、何があったんだろ。それに、私達に相談してくれないって事は……私達は頼りにならないって事なのかな……)シュン…
利根(飛龍よ)ヒソ
飛龍(…………?)
利根(お主が考えている事はなんとなく分かる。じゃが、あの提督じゃぞ? 一人でこんなに考えるという事は、きっと人に言えぬ事なのじゃ。それか、言うと問題のある事なのかも知れぬ)ヒソ
飛龍(…………)
利根(今はそっとしておくのが良かろう。見守るというのも、一つの信頼の形なのじゃ)ヒソ
飛龍(……………………)
飛龍「……利根さん、私はこういうのが苦手なのは知っていますよね?」
利根「!」
提督「……うん?」
飛龍「私は不器用に真っ直ぐです。だから、私は訊くしか出来ません」
提督「……何の話だ?」
飛龍「……提督。提督の悩みは、何ですか? それを教えてくれませんか?」
提督「む……」
飛龍「こんな風に提督が悩んで苦しんでいる姿は私も辛いです。だから、一緒に考えさせてくれませんか? 頼りないかもしれませんが、提督の悩みを私達にも共有させてくれませんか?」
利根(むう……これは良くないぞ……)
636 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/15(木) 04:16:28.45 ID:2Gw8Ge/do
提督「……飛龍」
飛龍「! はい」
提督「……すまない」
飛龍「……それ、は…………」
提督「そういう事だ。……簡単に人に話せる事ではないんだ。私も誰かと相談をしたい気持ちがある。今ここで話したいくらいだ。……だが、言う訳にはいかない。そうすると──」
提督(──余計に、殻に閉じ篭っている金剛の立ち位置が危ぶまれる。いつか必ず、あの子が酷く傷付いてしまう)
提督「…………すまない」
飛龍「そう……です、か……」
利根「……提督よ。一旦、休憩にせぬか? 今のままでは仕事にならぬじゃろう」
提督「……そうだな。休憩に──」
飛龍「…………」ジワ
提督「!!」
飛龍「!」ブンブン
飛龍「す、少し顔を洗ってきます!」タッ
提督「飛りゅ──」
ガチャ──パタン
飛龍「ごめんなさい、提督……」
飛龍(……馬鹿だな、私。勝手に訊いて、勝手に傷付いて……。提督だって人なんだから、誰にも言えない事くらいあって当然なのに……)
金剛「──飛龍?」
飛龍「!!」
金剛「どうシタのデスか? 泣いているようデスが……」
637 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/15(木) 04:16:54.96 ID:2Gw8Ge/do
飛龍「……金剛さん。…………ごめんなさい……」スッ
金剛「あ……。……何があったのでショウか」チラ
利根『────難しいものじゃなぁ……』
提督『飛龍には悪い事をしてしまった……。もう少し、言い方があったかもしれんというのに』
利根『……これは我輩の勝手な憶測なのじゃが、金剛の事で悩んでおるのではないか? そして、それは我輩にも言えぬ事かの?』
提督『……そうだな。なるべくならば誰にも伝えない方が良い内容だ』
利根『ふぅむ……。ならば我輩は待っておるとするかの。……じゃが、飛龍のような子も居るのじゃ。その点はどうにかした方が良いぞ?』
提督『ああ……まったくだ。今回の落ち度は私にある』
利根『……本当、難しいものじゃな。人間も、艦娘も……』
金剛(この話は、もしかして……)
金剛(……どうしましょうか。……本当、困りました。どうすれば、この状況を解決出来るのデスか……?)
金剛「……………………」
金剛(一先ずは飛龍です。利根の言っていたように、飛龍のように傷付いてしまう子だって居ます。ただ……こればっかりはテートクではどうしようもできそうにないですね……。ならば──)スッ
金剛(──私がやらなければなりません。そうでないと、この鎮守府は大変な事になってしまうです)スタスタ
金剛(飛龍の事です。きっと、あの部屋に行っているでしょうね。あの部屋ならばここから近いですし、それに今の時間ならば一人になれるはずですから)スタスタ
金剛(廊下を曲がって突き当たり……夜、お酒を飲む時に使われる部屋。飛龍なら、きっとここに……)スッ
コンコンコン──
ガチャ──パタン
飛龍「!! こ、金剛さん……? どうしてここに……」
金剛(やっぱり居ました。……やっぱり、泣いていたようですね。目尻が赤くなってるです)
金剛「飛龍がここへ入っていくのを見たので、来まシタ。隣に座りマスね。それで……何かあったのデスか?」スッ
638 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/15(木) 04:17:21.34 ID:2Gw8Ge/do
飛龍「それ、は……その……」
金剛「ハイ」
飛龍「……私の自分勝手な行動で、私が勝手に傷付いたんです。……私はある人に、心の奥へ踏み込むような事をしてしまいました。けれど、それはその人にとってとても重要な上、誰にも話す事の出来ない内容だったようで……。それで、話してくれなかった事が凄く辛くて……」
金剛「自己嫌悪してしまった、デスか」
飛龍「はい……。今、そんな事をしてしまった事を後悔しているんです……」
金剛「後悔、デスか」
飛龍「ええ……。もう、自分が嫌になります……」
金剛「……その人はとても悩んでいたのデスよね?」
飛龍「はい……見ていてこっちも心配になるくらいでした……」
金剛「心配になる……という事は、その人は普段そんな風に悩まないのデスね?」
飛龍「そうです……。あんなに悩んでいる姿なんて、初めて見ました……」
金剛「……これは私の勝手な意見デスが、私は飛龍のした事は間違っていないと思うデス」
飛龍「でも……」
金剛「普段、悩んでいる姿を見せない人なのデスよね? なのに、そんな人が悩んでいる姿を人に見せてしまうという事は、誰かにその悩みを話したいのだと思いマス」
提督『……簡単に人に話せる事ではないんだ。私も誰かと相談をしたい気持ちがある。今ここで話したいくらいだ』
飛龍「……はい」
金剛「その人は話す事が出来ないと言ったようデスが、それは飛龍の為を思ってなのかもしれまセンよ?」
飛龍「私の為……?」
金剛「ハイ。誰にも話す事が出来ないという事は、話す事自体が危ない事や、話す事で誰かが傷付く内容だったという可能性が高いデス。それを知ってしまった飛龍が、その人と同じく悩んでしまうのを避けたかったのかもしれまセン」
飛龍「……………………」
金剛「少し待ってみてはどうデスか? 時間が経つ事で話せるようになるかもしれまセンし、もし解決シタのならば、掻い摘んで話してくれると思うデス」
639 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/15(木) 04:17:55.27 ID:2Gw8Ge/do
飛龍「……そう、ですね。……そうしてみます」
金剛「イエス! そうとくれば、涙を拭いて顔を洗ってから、その人の所へ行ってあげて下サイ! 待っていると言っておけば、話せる時になったら話してくれるはずデース!」
飛龍「──はい。ありがとうございます、金剛さん」
金剛「私は自分の考えを言っただけネ。それでどんな風に受け取って、どんな風に解決するかは飛龍次第デス」
飛龍「……なんだか提督みたいな言葉ですね?」クス
金剛「私もテートクに影響されているデスからね」ニコニコ
飛龍「……なんだか、懐かしいです」
金剛(……はぐらかしておきましょう。言う訳にはいきません)
金剛「懐かしい……?」
飛龍「あ──い、いえ! なんでもないです!」
金剛「うーん……そういう事にしておきマス! では、飛龍もどうすれば良いのか分かったようなので、私も行くデス」スッ
飛龍「……もしかして、何か用事があったりしました?」
金剛「ノンノン。レディのお化粧直しを見る訳にはいかないデース。──では、失礼しまシタ」
ガチャ──パタン
飛龍(……やっぱり、あの金剛さんに似てるなぁ。やっぱり、別人でありながら同一人物って事なのかな)
金剛(これで上手くいけば良いのですが……。少なくとも、飛龍の落ち込んでいる姿を見て、テートクが何かを悩んでいるという事は無いでしょう。……テートクならば、これから悟られないようにしてくれるはずです)
金剛(……シスター。せめて、お話の場だけでも用意してくれたら……)
…………………………………………。
640 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/15(木) 04:20:27.46 ID:2Gw8Ge/do
今回はここまでです。また一週間後くらいに出没するかもしれません。目安にして下さいませ。
今回も遅くなってごめんよ。クリスマスには何か書くかも。誰の話にしようかちょっと悩み中。金剛さん、瑞鶴、響ちゃん、飛龍、利根さん、空母棲姫の誰かにしようかと考えています。
希望がありましたらお気軽に言ってくださいませ。
641 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/15(木) 04:52:28.60 ID:y7xPU6HNO
響ちゃんの話がいいな、活躍などはしたりするがあまり話にでてきたりしない気がするし
642 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/15(木) 05:14:03.15 ID:DPfV9La60
全員でもいいのよ?
643 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/15(木) 08:51:48.15 ID:KLY9itLvo
飛龍がいいな。
うちに来た初めての空母だから思い入れ結構強いんだ。
644 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/15(木) 09:25:50.11 ID:Sjjx/gpA0
利根の話が見たいけど、棲姫の話も気になるw
645 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/15(木) 12:47:19.41 ID:EZIYivpA0
やっぱ利根かなぁ
ハッピーな話しが読みたいな
646 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/15(木) 13:02:26.37 ID:sQnjIkHvO
>>644-645
ID微妙に変わってないぞw
647 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/15(木) 21:17:44.56 ID:K9epm46u0
リクエスト、悩みどころだけど利根かなあ
このシリーズのおかげで利根がさらに好きになったから
648 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/18(日) 22:14:32.78 ID:E9vmBOc50
空母棲姫
649 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/20(火) 06:15:54.70 ID:oMXdG70CO
利根のケッコン初夜(直球)
650 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/25(日) 04:47:32.25 ID:gfxgnvvZo
本当は利根さん、飛龍、空母棲姫の三人を書くつもりだったけど、仕事で利根さんのを中途半端にしか書けなかった。ちくせう。
今回はクリスマスの利根さんとの一日を投下します。利根さんルートのその後と考えて下さいませ。
651 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/25(日) 04:48:02.84 ID:gfxgnvvZo
利根「──のう提督よ。サンタになってみる気はあるかの?」カリカリ
提督「……執務中だというのに、いきなりどうした利根?」サラサラ
利根「何。簡単な事じゃ。一部の者達がクリスマスを楽しみにしているようでな」カリカリ
提督「なるほど、そういう事か。……しかし、今からプレゼントなど用意できんぞ。そもそも、娯楽品を手に入れる事自体が難しい事から、希望の品を渡す事もままならない」サラサラ
利根「そこは提督という権限でどうにかしてやってはどうじゃ?」
提督「馬鹿を言え。また島流しされたいのか?」
利根「やはりそうなるよのう……」
提督「……しかし、どうしてまたそんな話をしたんだ? プレゼントを欲しがっている子でも居たか」
利根「まあ居る事は居たが、少数じゃな。単純にクリスマスの雰囲気を知りたいという者が多かったのじゃよ」
提督「ふむ……」
利根「そこで気になったのじゃが、どうして提督はクリスマスに何かイベントをしたりしないのじゃ?」
提督「クリスマスは、深海棲艦が現れる前に戦争していた敵国の祭りだからだ。敵国の祭りで祝うなど士気の低下に繋がりかねんと判断して一切の手を付けていない。むしろ、祝っているのを上層部に知られでもしたら面倒だ」
利根「ほー。初めて知ったぞ。むしろ、深海棲艦と戦う前に戦争などしておったのか」
提督「……そうか、お前達は知らないのか。一応この国は枢軸国として、ドイツなどと共にアメリカやイギリスなどの連合国を相手に戦っていたぞ」
利根「過去形なのじゃな」
提督「今はそれどころではないからな。連合はおろか、枢軸にすら連絡が取れん。近くにある国ですら人を確認できていない。深海棲艦によって殲滅された可能性は大いにあるだろう」
利根「なるほどのう。……話は戻すが、お菓子を配る事も難しいかの」
提督「菓子か。ふむ……。それならば士気向上という建前も得られる。それに、実際に皆が喜ぶだろう」
提督「あと、お前も喜びそうだ」チラ
利根「むむ。我輩はお子様ではないぞ?」
提督「そうか。──では、間宮たちに頼んで25日に配る菓子を用意して貰うか」
利根「ちなみに、どんな物を配るのじゃ?」
提督「そうだな……。出来れば、普段とは違う菓子が良いな。その方が皆も喜ぶだろう。そこは間宮たちと一緒に相談でもしよう」
利根「ほうほう」
提督「さて、では間宮たちと話す為に執務をさっさと終わらせるとしよう。利根、ついてこいよ」サラサラサラサラサラ
利根「ぬぁ!? そ、そんなに速く処理など出来ぬわ! 腕が早送りしているみたいじゃぞ!?」カリカリカリ
……………………
…………
……
652 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/25(日) 04:48:29.16 ID:gfxgnvvZo
提督「──さて間宮、最中はどうなった?」
利根「ほう、最中にしたのか」
間宮「はいっ、ちゃんと作っておきました。こちらに用意していますよ」
利根「おお……これまた凄まじい量じゃのう……」
提督「……山と言うのはこういう事だな。百なんて個数ではないだろう、これは」
ヲ級「一杯、作った!」ニパッ
伊良湖「空母棲姫さんとヲ級ちゃんが頑張って下さったので、一人あたり四個も用意できましたよ!」ニコニコ
空母棲姫「頑張りました」
提督「という事は三百近くもか……。本当、ありがたい」ナデ
間宮「いえいえ♪」ニコニコ
伊良湖「わわっ……! 頭を撫でてくれたのって初めてかも……!」
ヲ級「えへー♪」ニパー
空母棲姫「少し……恥ずかしいです……」
ヲ級「姫、照れてる!」
空母棲姫「……頬を伸ばしてあげても良いのよ?」
ヲ級「素直が、一番!」ニコニコ
空母棲姫(……こうも純粋に笑顔を向けられると、お仕置きも出来ないわ)
利根「ところで、提督よ」
提督「どうした」
利根「既に菓子の匂いに釣られて何十人……というよりも、全員が食堂を覗いているようじゃが、どうするのじゃ?」
653 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/25(日) 04:48:57.55 ID:gfxgnvvZo
川内「ねえ、何かなアレ?」
電「ちっちゃな袋が沢山なのです」
赤城「甘い匂いがします……!」
鈴谷「もしかしてお菓子とか? 提督やるじゃーん!」
提督「丁度良いからここで配るとしよう」スッ
提督「──お前達、中へ入ってこい」
全員「はーい」
ゾロゾロ
提督「全員揃ったな。──本日はクリスマスだというのは皆も知っているだろう。今までは事情により開催される事はなかったが、今年より菓子の配布という形で実施する事とした。今日の為に頑張ってくれた四人には必ず礼を言うようにしてくれ」
全員「はいっ! ありがとうございます!」
提督「よろしい。では、菓子を配る。私たち六人で配るので、六列に並んで受け取ってくれ。一人につき四個だ」
…………………………………………。
654 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/25(日) 04:49:23.72 ID:gfxgnvvZo
ガチャ──パタン
利根「ふぅ……。皆、喜んでおったのう」
提督「ああ。良い笑顔だった。これからもクリスマスは菓子を配るとしよう」
利根「うむ!」
提督「さて利根。手伝ってくれたお前にもクリスマスプレゼントがあるのだが」
利根「ほう、プレゼントとな? 何があるのじゃ?」ワクワク
提督「これだ」スッ
利根「うん? さっき配っていた最中……と似ておるのう。なんだか形が歪じゃ」
提督「間宮と伊良湖の完全監修の下だったが、私が作った」
利根「……なぬ!? 提督の手作りじゃと!?」
提督「そんなに驚くか」
利根「なんでも、以前は卵と塩だけで虹色の物体Xが出来るとかと耳にした事があるぞ」
提督「まあ……な。そんな時代もあった。私は料理が壊滅的に下手だ。……だが、島暮らしをしていた事もあって、簡単な料理くらいならば出来るようになっている。それで、いつも私の傍に居てくれている利根へ渡すのに丁度良いと思ったんだ」
利根「レア物じゃ!! 提督の手作り菓子じゃ!! わーい!」
提督「お前、この間はお菓子で喜ぶのはお子様だとか言っていなかったか?」
利根「何を言う! 提督の手作りで喜ばぬ愚か者など居らぬわ!」
提督「喜んでくれて何より」
利根「……じゃが、ちと足りぬのう」
提督「食いしん坊かお前は」
利根「そういう意味ではないわ。……提督よ、この最中を口で咥えてくれぬか?」
655 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/25(日) 04:50:30.79 ID:gfxgnvvZo
提督「……そうきたか」パクッ
利根「ん……」スッ
提督「…………」スッ
利根「……くくっ、これは良いものじゃ。気分が良くなるのじゃ」ニヤ
提督「……私は少し恥ずかしさがあるぞ」
利根「まあまあ。プレゼントなのじゃから少しくらい良かろう?」
提督「まったく……」
利根「提督、もう一回頼むぞ」キラキラ
提督「……もうこうなったら何回でも付き合ってやる」スッ
利根「うむ! ありがたいぞ!」ニパッ
提督「困った嫁を持ったものだ」
利根「それはお互い様じゃろう?」
提督「……ほら、早くしないと誰かが来るかもしれんぞ」スッ
利根「っとと、そうじゃな。……ん」スッ
響(実は最初から見ているんだけどね。嬉しそうにしている二人を見る……これはこれで良いものだね)ニヤ
クリスマス・利根編 了
656 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2016/12/25(日) 04:53:27.27 ID:gfxgnvvZo
以上がクリスマスの短編です。短くてごめんよ。
そして、飛龍と空母棲姫がどんな感じだったのかの殴り書きメモはありますので置いておきます。妄想して下さいませ。
・空母棲姫
ヲ級がサンタを信じているとかなんとかで相談。ヲ級を早めに寝かせる事に。
空母棲姫と提督がサンタを演じてプレゼント配布(利根の時のと同じ)
早く寝たヲ級の元へ、空母棲姫お手製の長いマフラーをプレゼント。
翌朝、ヲ級が空母棲姫に見せて喜ぶ。そして長いマフラーなので二人で一緒に包まる。その様子を見た提督が小さく微笑むと、それに気付いた空母棲姫も柔らかい笑みで返す。
・飛龍
提督がプレゼント配布(利根n略)している時に飛龍が手伝うと申し出る。当たり前のように蒼龍に煽られる。
全員にプレゼントし終わった後、いつぞやに言っていた、わらび餅を貰う飛龍。わらび餅と提督を交互に見て悩みに悩んだ後、提督へのプレゼントは私とか言い出す。何でも命令して良いとかなんとか。
流石に提督が硬直。軽く説得をするも引かない飛龍に折れて、提督が酒の相手になってくれとかなんとか。期待をしていた飛龍、渋々承諾。
ホワイトクリスマスの外を見ながらお酒。飛龍が「いつか振り向いて貰いますからね」と言う。
657 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/25(日) 13:05:35.21 ID:+x5ACX0u0
ありがとうございます!
658 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/25(日) 13:55:45.34 ID:Cu8T7nrvO
(遅れて書いてもいいのよ?)
659 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/25(日) 16:09:12.86 ID:ircEhWvP0
鎮守府の人数的には最中の数からして70〜80人の間か・・・。
660 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2016/12/26(月) 09:08:13.65 ID:WWaXoCYEO
提督の硬直姿とかレアだしみてみたさはある
661 :
あ
◆Vwy6LzUNHA
:2017/01/03(火) 10:39:37.85 ID:GvKRwpRL0
あけましておめでとうございます
662 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/14(土) 01:28:25.93 ID:lFK1rZlxo
カチャッ……ガチャ──パタン
金剛「…………」トコトコ
ポフッ
金剛「……ここのベッドは、いつも通りデスね」ナデ
金剛「シスター、知っていまシタか? この部屋、実はテートクと私にとって大事な部屋なのデスよ。なぜだと思いマスか?」
金剛「……それはデスね、この部屋は……テートクと私の部屋だったからデス。二人っきりになりたい時は、必ずこの部屋を使っていまシタ」
金剛「二人になりたい時以外にも、スリープする時や皆さんには秘密の話をする時も……愛を囁く時も、必ずこの部屋でシタ。知っているかもしれまセンが、この部屋は防音加工をしているデス。完全に二人っきりになりたいから、そんな改造をしまシタ」
金剛「だから……テートクがシスター達をこの部屋に通した時はビックリしたデス。それに、シスターをしばらくここへ残していたのも複雑な気持ちになりまシタ」
金剛「私の死をしっかりと受け止めてくれたのかな……と思ったり、私ではなく『金剛』であればそれで良いのかな……と思ったり、それとも未練が残っていてシスターを私と重ねていたのかな……とすら思いまシタ。……そのどれも違っていまシタけれどね」
金剛「……シスター。テートクは前に進もうとしているデス。もう一緒に歩く事が出来なくなった私の傍に居ようとせず、前に向かって進んでいる皆さんと共に歩んでいこうとしてくれていマス。……けれど、私が居るとそれは出来まセン。私は……もう過去の存在なのデス。テートクの未来に、もう……私は居まセン。死者は死者らしく、ひっそりと見守るだけにすべきでシタ」
金剛「ごめんなさい、シスター……。私のせいで、シスターを思い詰めさせてしまいました……。私は、悪霊と何も変わりません……」
金剛『……違いマス』
金剛「!! シスター……!」
金剛『なんで、そんな風に言うのデスか……。悪霊だなんて、私は一度も思った事なんてありまセン! シスターは私にとって頼りになって、強くて優しい存在デス!』
金剛『私は……私は……! テートクに喜んで欲しかったのデス!! シスターと一緒に暮らしていけば……初めこそ私を気に掛けようとも、いつかきっと幸せに暮らして下さると思ったからデス!! だというのに……なぜデスか!? テートクもシスターも、心の底から愛し合っていたはずデス!! なのに、なぜお二人はそんなに悲しそうにするのデスか!? 二度と会えないはずだった二人が一緒に暮らせるようになってハッピーエンドで良かったではありまセンか!!』
金剛「…………」
金剛『だから……だから……!』
金剛「……………………」
金剛『シスター……』
金剛「…………あれ?」フラッ
ボフッ……
663 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/14(土) 01:29:01.34 ID:lFK1rZlxo
金剛『シスター……?』
金剛(……身体が、思うように動かせない?)
金剛『え……?』
金剛(何ですか、これは……。どこにも力が入りません……)
金剛『え……え……?』
金剛(……右手は……ダメです。左手……指……両足……腰……首……。…………本当にダメです。どこも動きません)
金剛『な、何が起きているのデスか?』
金剛(分かりません……。一体、何が起きたのでしょうか……。……シスターは動かせられますか?)
金剛『……………………。私も動かす事が出来まセン……』
金剛(……一先ず、主導権を変わりましょう。シスター、身体を動かす事が出来るか試して下さい)スッ
金剛『ハ、ハイ!』スッ
金剛「…………変わりまシタが……何デスか、これは……? まるで、自分の身体ではないみたいデス……」
金剛『どこか動かす事は出来ますか?』
金剛「……………………少しだけならば動かせマス。とは言っても、指くらいデス……」
金剛『……困りました。このままだと自分ひとりでは何も出来ません……』
金剛「しかも、この部屋って防音デスよね……? 誰か気付いてくれるのでショウか……」
金剛『……………………』
金剛「うぅ……どうしまショウ……」
金剛『……いえ、大丈夫です』
金剛「え……?」
金剛『テートクならば、必ず気付いてくれます』
金剛「でも……」
664 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/14(土) 01:29:27.75 ID:lFK1rZlxo
金剛『大丈夫です。テートクを信じて下さい』
金剛「……シスターが言うのであれば、信じるデス」
金剛『……ちなみにですが、こんな事になった原因は私にあると思います』
金剛「え?」
金剛『私がシスターと一緒に過ごし始めてからシスターの身体がおかしくなっています。頭がボンヤリとするくらいならばあまり気になりませんでしたが、こんな風にまでなると無視できません』
金剛「そ、それは……」
金剛『シスター。やはり私は──』
金剛「駄目デス」
金剛『シスター……』
金剛「テートクにはシスターが必要デス。テートクを本当の意味で癒す事が出来るのは、シスターだけデス。……なのに、今ここでシスターが居なくなってしまっタラ、いったい誰がテートクを癒すのデスか?」
金剛『……………………』
金剛『……いえ、それは違います』
金剛「え?」
金剛『死者は死者でしかありません。死んでしまった私は、本当ならば干渉する事は許されていないのです。……それに、テートクをこれから癒すのは、シスター達の役目です』
金剛「で、ですが……!」
金剛『シスター、やっぱり私は大人しく見守る事にします。そうすれば、きっとシスターの身体の異常も無くなるはずです』
金剛「…………」
金剛『たぶん大丈夫ですが、シスターの身体から出られるか試しますね』
金剛「……テートクに!」
金剛『…………?』
金剛「テートクに訊いてみまショウ! テートクなら、きっとシスターを求めるはずデス! だって、お二人は愛し合っていたのデスから!」
金剛『…………』
665 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/14(土) 01:30:01.67 ID:lFK1rZlxo
金剛「もしテートクがシスターを求めるのならば、シスターは残って下サイ! 私は、お二人が離れ離れになるのが嫌デス!! 折角のチャンスなのデスよ!? もう二度と話す事すら出来なかったお二人が、また一緒に暮らして笑い合えるチャンスを捨てないで下サイ!」
金剛『……では、テートクが私を求めなかった場合、私はシスターの身体から出るようにします』
金剛「……ハイ! 構いまセン! テートクは、必ずシスターを放さないデス!」
金剛『それともう一つ。もし私が身体から出る事になったら、シスターは自分を大事にして下さい。シスターは、少し自分を蔑ろにしがちです』
金剛「分かりまシタ。約束しマス」
金剛『約束デス。──では、テートクを待ちましょう』
…………………………………………。
666 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/14(土) 01:32:15.92 ID:lFK1rZlxo
明けましておめでとうございます(遅い)
今年もこのSSをよろしくお願いします(遅い)
さて、今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。遅くなってごめんよ(遅い)
もう終わるはず。そのはず。……そのはず。半年以上前にも言ったような気がするけど、そのはずです。
667 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/14(土) 01:33:08.47 ID:Uf9jdeFKo
おつ
668 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/14(土) 05:55:34.62 ID:VO9OJzGRo
おつ
669 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/15(日) 01:48:11.35 ID:qbAq72+A0
あけおめ、待ってました!
まったりのんびり続けてくれる分には嬉しいんだけどなあw
670 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/24(火) 03:05:43.00 ID:75xTnsMro
金剛「…………テートク……」
金剛(信じていマス、テートク。きっと……いえ、必ずシスターを選んで下さると。そして……)
金剛『……………………』
コンコンコン──
金剛「!」
ガチャ──パタン
提督「ここに居たのか、金剛」スタスタ
提督(む……?)
金剛「……テートク」
提督「! お前は……」
金剛「テートク、大切なお話がありマス。訳有ってこの体勢デスが、許して下サイ」
提督「……ああ、構わんぞ。大切な話とはなんだ?」
金剛「それは、私とシスターの事デス」
提督「……ふむ」
金剛「……………………」
提督「…………」
金剛「実は、デスね。もうそろそろ限界なんデス」
提督「限界?」
金剛『シスター……?』
金剛「私は……もうすぐ消えてしまいマス」
提督「…………」
金剛『消える……? 一体何を……』
671 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/24(火) 03:06:13.03 ID:75xTnsMro
提督「どういう意味だ?」
金剛「あの島で拾われた私の意識は、もうすぐ無くなってしまうのデス。そして、この身体はシスター……テートクの『金剛』が受け継いでくれマス」
金剛『──待って下さい!! 何を言っているのですか!?』
金剛「こうなるのは分かっていまシタ……。ケド、確信は持てなかったのデス。……この前の、深海棲艦の大群と戦うまでは。だから……後はシスターと二人でお願いしマス」
提督「……それは、お前が消えて、姉の金剛が残るという意味か?」
金剛「……ハイ」
金剛『…………っ。そういう、事ですか……。シスター……貴女はどこまで馬鹿なのですか……。嘘を吐いてまで、どうして……』
金剛(馬鹿デスよ、私は。私よりも、シスターがテートクを幸せに出来マス。そして……テートクもその方が良いはずデス。その為であれば、私は自分の命すら惜しくありまセン。しばらくシスターに身体を預けていて、私は自分の意識をこの身体から消せる事も知りまシタ。後は……お別れの言葉だけデス)
提督「……そうか。ならば、言わなければならない事が出来たな」
金剛『提督!?』
金剛「……ハイ」
提督「──私がその程度の事、分からないとでも思ったか?」
金剛「…………え?」
提督「アイツがその程度で納得するものか。お前が消えると言っていたが、アイツがそれに納得する訳が無い」
金剛「で、でもシスターは……」
提督「舐めるなよ。アイツは私が選んだ子だ。強く、賢く、そして眩しいほどに真っ直ぐな子だ。そんなアイツがお前の犠牲を認めるとでも?」
金剛「…………っ」
提督「アイツは諦めが悪い。どんな状況でも、どんな状態であろうと、自分がどうしても納得できない時は全力で立ち向かう。例えそれが、どんなに無駄だと分かっていても」
提督「そもそも死者は死者でしかない。アイツが……死者である金剛が、生者に成り代わろうとするものか」
提督「──私が愛した金剛は、そういう子だ」
金剛「────────」
金剛『……ふふっ。やっぱり、提督は提督ですね。こうやって私を理解してくれるから、私は提督を心から愛せました』
金剛『私を理解してくれて、私と一緒に歩んでくれて、私と一緒の時間を過ごしてくれて……。沈んでしまった後もこうやって理解してくれて、私は本当に幸せ者です』
672 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/24(火) 03:06:52.47 ID:75xTnsMro
金剛「…………」
金剛『シスター、これで分かりましたね。消えなければならないのは、私の方です』
金剛「なぜ、デスか……」
金剛「なぜ!? なぜ二人はそうやって割り切れてしまうのデスか!? そんなに愛し合っていたというのに、どうしてこのチャンスを捨てようとするのデスか!!?」
金剛「私には分かりまセン!! 二人は言っていたではありまセンか!! また話したいと! また会いたいと! なのに、なぜ!?」
提督「充分に夢を見させてくれたからだ。本来ならば絶対に叶わない夢を……」
金剛『ですが、夢は夢です。いつか、覚めなければなりません』
提督「それに、金剛ならば待っていてくれる」
金剛『ええ。いつまでも待っていますよ』
ヴァルハラ行きを蹴ってでも──
673 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/24(火) 03:07:28.31 ID:75xTnsMro
金剛「……………………本当、お二人はお互いの事を良く知っているのデスね……」
提督「なるほど。同じ事を言っていたか」
金剛「…………」コクン
金剛「本当、私も馬鹿デスけれど、お二人も馬鹿デス。折角のチャンスを棒に振るだなんて……」
提督「お前の犠牲で成り立つチャンスなど考えるまでもなく却下だ。私も金剛も、そういう事が嫌いでな」
金剛『イエス! 絶対に許しません!』
金剛「……敵いまセンね、これは」
金剛「私の負けデス。シスター、最後に身体をお貸ししマスので好きに使って下サイ」スッ
金剛『またそう──』
金剛「──やって……って……」
提督「…………」
金剛「…………」
金剛「もう……シスターも中々に強引デース……」
提督「そういう所はお前よりも強かだな」
金剛「本当デス」ニコ
提督「さて……金剛」
金剛「ハイ」
提督「これが最後のようだ。何か言い残したい事はあるか?」
金剛「そうデスね……。一つだけならあるデス」
提督「ほう。なんだ?」
金剛「──どれだけ時間が掛かっても構いません。いつか、私ではなく誰かを愛してあげて下さい」
提督「さてな。私が靡くような子は稀だぞ」
金剛「知っています。どれだけ頑張った事か……」
提督「……くくっ」
金剛「……ふふっ」
提督「金剛」
金剛「はい、提督」
提督「今まで、本当にありがとう」
金剛「提督こそ、今までありがとうございました」
提督「では──」
金剛「それでは──」
──さようなら
674 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/24(火) 03:08:09.17 ID:75xTnsMro
金剛「…………」スッ
金剛「ぁ……。動けるようになりまシタ」モゾッ
提督「ん? 動けるように?」
金剛「えっと……実は、さっきまで身体が動かなくなっていたデス」
提督「……その話は後で聞かせて貰う。その前に、言わなければならん」
金剛(怒られるのでショウか……)ビクビク
提督「──おかえり、金剛。ずっと心配していたんだぞ?」
金剛「え……?」
提督「何を驚いているんだ」
金剛「だって……私は……」
提督「それとこれとは話が別だ。無論、後で叱るから覚悟しておけ」
金剛「ハ、ハイ……」ビクッ
提督「……どこもおかしい所はないか? 頭がボーっとするとかはあるか?」
金剛「んっと……」グッグッ
金剛「…………ノープロブレム、デス」
提督「そうか。一応、救護妖精に診て貰おう。ついでに、その時に話を聞かせて貰うぞ」
金剛「え……で、でも……他の誰かに知られるのはノーグッドなのでは……?」
提督「お前や瑞鶴、響が別の鎮守府の艦娘というのすら見抜かれている。救護妖精には隠すだけ無駄だ」
金剛「……何者なのデスか、救護妖精は」
提督「さあな……。ほら、立てるか?」スッ
金剛「ハ、ハイ」スッ
提督「少しでも異常を感じたら言ってくれ。抱えて連れて行く」
金剛「え……ええ、と……。…………その時は、よろしくお願いしマス」ペコ
提督「よろしい。──では、行くぞ」
金剛「……ハイっ」
金剛(……本当に、テートクは優しいのデスね。怒るよりも先に『おかえり』デスか……)
金剛(ああ……だからシスターは心から愛せたのデスね。……少し、分かる気がするデス)
金剛(確かに、この方ならば心の底から愛せマス──)
…………………………………………。
675 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/24(火) 03:11:15.12 ID:75xTnsMro
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。
もうゴールは目の前。もうすぐで終わります。
物語の序盤に思い付いたラストがやっと書ける。
676 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/24(火) 11:19:19.82 ID:Ez1myqW4o
おつ
677 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/24(火) 20:36:56.30 ID:efSXzI5W0
お疲れ様です。
ちょっとハンカチさがしてくる・・・・。
678 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/25(水) 01:28:51.45 ID:vntBjfP0O
おつおつ
とうとう終わっちまうのかぁ…
679 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/25(水) 03:45:49.48 ID:9F3FNgJA0
おつです!
ふと気になって見てみたら2年と2ヶ月ほどって事実に噴いてしまったw
680 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/31(火) 03:45:55.09 ID:jKpNLkIMo
提督「まったく無茶をしおって……」スタスタ
金剛「うぅ……」
提督「異常を感じたら言えと言っただろう。ふらついて危険極まりなかったぞ」スタスタ
金剛「ごめんなサイ……」
提督「後で説教だ」スタスタ
金剛「ハイ……」
金剛(これは……お姫様抱っこの状態で見付かるのはノーグッドだと思ったから……と言っても納得してくれなさそうデス……)
提督「ドアをノックする。少しの間だけ我慢して立っていてくれ」スッ
コンコンコン──
救護妖精「ん? 誰だい?」
提督「私だ。患者を連れてきた」
救護妖精「そうかい。丁度良いし入りなー」
提督(……丁度良い?)ガチャッ
瑞鳳「…………」ペコッ
提督「瑞鳳? 何かあったのか?」
救護妖精「まあちょっとね。で、金剛に何かあったのかい?」
提督「頭がふらついている。診察をして貰って良いか?」
救護妖精「ああ良いよ」
提督「出来れば二人のみで診察して欲しい。その方が色々と都合が良いんだ」
救護妖精「なんだいそれ……。まあ良いけど、条件があるよ」
提督「条件?」
681 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/31(火) 03:46:27.07 ID:jKpNLkIMo
救護妖精「あたしが診察をしている間、提督は瑞鳳の診察をしてくれると助かるんだよねぇ」
瑞鳳「!!? そ、それって……!!」
提督「私に医療の知識は無いんだが……」
救護妖精「出来るかどうかは提督の気分や考え次第だよ。──ま、そういう事だから瑞鳳、後は自分で言うと良いさね。あたしは金剛の診察をするよ」トコトコ
金剛「ハイ」スッ
提督「待て。倒れられたら困る。隣の部屋の椅子まで連れて行くぞ」ヒョイ
金剛「わわっ……! ハイ……」
救護妖精「ほい、こっちだよ」ガチャ
提督「ああ。──金剛、ちゃんと原因も話すんだぞ?」ソッ
金剛「…………ハイ」
救護妖精(……こりゃまた複雑な原因を抱えてそうだねぇ)
──パタン
提督「──それで、瑞鳳」
瑞鳳「!!」ビクンッ
提督「何があったんだ? 救護妖精は私が診察をしろと言っていたが……私でなければ出来ない事なのか?」
瑞鳳「え、と……その…………」
提督「…………?」
瑞鳳「あの……それは……」モジモジ
提督「……随分と歯切れが悪いな。言い難い事なのか」
瑞鳳「……………………」コクリ
提督「ふむ……。約束しよう。誰にも言ったりしないし、その内容について真剣に向き合うよ」
682 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/31(火) 03:46:53.34 ID:jKpNLkIMo
瑞鳳(…………提督なら、話しても大丈夫……よね?)
瑞鳳「……じゃあ、あの…………」
提督「…………」
瑞鳳「わ……私の、身体の疼きを……どうにかしてくれますか……?」モジモジ
提督「……………………なんだって……?」
瑞鳳「い、今までそういう事……されてきたから……身体が覚えちゃってて……」
提督「…………」
瑞鳳(難しい顔……困ってる……? やっぱり話すべきじゃなかったかな……)
提督「……瑞鳳」
瑞鳳「はい……」
提督「私は安易にその要求を呑む事は出来ない」
瑞鳳「……はい」
提督「こう言うのもあまり良くないかもしれないが、私はその手の事に対して精神的に重要視している」
瑞鳳「……えっと? どういう事ですか……?」
提督「……端的に言うと、互いに合意を得た時にしかしようと思っていない。だが、私は知っての通り堅物だ」
瑞鳳「ええと……つまり、提督を『その気』にさせたら良いって事ですか?」
提督「まあ……そう思ってくれて良い」
瑞鳳「……私みたいな傷物でも……ですか?」
提督「傷物だなんて言うんじゃない。自分の事をそんな風に思うな。どんな経験があろうと無かろうと、お前はそれも含めて『瑞鳳』なんだ。例え瑞鳳が初めから私の子だったとしても、お前がお前である限り何も変わらんよ」
瑞鳳「でも……提督もエッチの経験が無い子の方が……」
提督「そうとは思わん。性的な事に限らず、受け入れると思えばその人が不治の病だろうと四肢が欠損していようと殺人鬼だろうと私は受け入れる。むしろ、そのような偏見なぞ無意味だ。さっきも言ったように、誰であろうとどんな経験をしてきていようと、私が受け入れると思えれば私は受け入れる。私が受け入れるという事は、それらも全てひっくるめて受け入れるからだ」
683 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/31(火) 03:47:24.96 ID:jKpNLkIMo
瑞鳳「……不思議ですね」
提督「たまに言われる」
瑞鳳「だったら……今、誘惑をして良いですか……?」
提督「それはダメだ。時と場を弁えなさい」
瑞鳳「時と場を弁えれば……良いんですか?」
提督「誘惑自体は構わんが、私が受け入れるかどうかは別だぞ」
瑞鳳「……難しそうですね」
提督「そうだなぁ……。ある者は私を振り向かせる為に随分と長い時間を掛けたものだ」
提督(まあ……響には金剛と愛し合う前、あの悲痛な顔に負けて『手伝い』をした事はあるが……)
瑞鳳「でも……今日の夜に誘いに行きますね」
提督「先程も言ったように、受け入れるかどうかは別だぞ」
瑞鳳「……もしかしたら、押し倒しちゃうかも」
提督「そんなに我慢しているのか……」
瑞鳳「……うん」
提督(状況にも拠るが、空き部屋の鍵を用意しておくか……)
??(これは良い事聴いちゃった……!)ササッ
提督(……うん? …………気のせいか?)
瑞鳳「? どうかしたんですか?」
提督「いや、なんでもない」
瑞鳳「??」
684 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/31(火) 03:47:51.48 ID:jKpNLkIMo
提督「それはそうと、欲求不満の解消に別の事で代用するというのは試してみたか? 運動をしたり何か集中するような事をしたりと」
瑞鳳「一杯やってみたけど、むしろ疲れると余計に……」
提督「うーむ……」
提督(そういえば……他の子達はどうしているのだろうか。一部の子には空き部屋の鍵を渡して見付からないように一人で処理して貰っているが……鍵を渡していない子はどうしているのやら)
提督(……もしかして、他の子も瑞鳳のように救護妖精に相談しにきているのか? ……いや、救護妖精ならば私に押し付けてくるはずだから無いか。…………困ったな……。私は女ではないからよく分からん……)
ガチャ──パタン
救護妖精「終わったよ。そっちはどうだい?」
提督「こちらも後は成るように成るだけだ」
救護妖精「そうかい。で、こっちの話だけど、細かい事はこの後で検査するよ。姉妹にはちょっと検査しておくって言っておいてくれるかい?」
提督「ああ、分かった」
救護妖精「あと、金剛の話を聞く限りでは問題無いだろうね。検査も念の為だから、そんなに気にしなくても良いよ」
救護妖精「──むしろ、提督の方がどうなのかと思うくらいだしねぇ」
提督「私の事は気にするな。心の整理はついた」
救護妖精「利根辺りはどうなんだい」
提督「あいつならば説明をすれば受け入れるだろう。私と違って依存まではしていなかったからな」
救護妖精「なるほどね。じゃあ利根の方は頼むよ」
提督「ああ、任せておけ」
救護妖精「そんじゃ、検査するから瑞鳳と一緒に出ておきな。なんならそのまま──」
提督「いくらお前といえど、それ以上を口にすれば吊るすぞ」
救護妖精「おお怖い。ならここまでにしておくかねぇ」
提督「まったく……」
…………………………………………。
685 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/01/31(火) 03:49:13.05 ID:jKpNLkIMo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。
先に言っておきます。R18にはならないです。
686 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/31(火) 04:24:59.43 ID:gozJxqqF0
乙です
ひとり二航戦サンドかな?
687 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/31(火) 05:02:00.11 ID:Vw0M/eZEO
ずほに誘惑されたりしたら即堕ちする提督のが大井だろうなぁ
688 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/31(火) 05:27:14.52 ID:oSMrjurso
乙
堅物と思ったら大井っちだったのか・・・そら靡きませんわ
689 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/01/31(火) 11:12:51.93 ID:eHHAwkudo
妖精吊るしにクラスチェンジ?
690 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/01/31(火) 13:53:34.42 ID:8H0qGX1u0
響への「手伝い」が気になる・・・
691 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/01(水) 00:27:46.42 ID:e8EOk/1Q0
ざっくり言うと手伝いは響に1人で解消する方法を教えたって感じかな?
692 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/01(水) 12:20:02.20 ID:1EGKlfsKO
なんか以前の作品でもそういうのなかったっけ…?
693 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/01(水) 14:10:29.50 ID:XLvhjehA0
金剛に説教?
もしかして初めてのお吊るしかな?
694 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/02/12(日) 03:44:04.13 ID:JkgyKb/so
救護妖精「──ほい。人払いも済ませたよ。これでこの場所はあたし達の三人だけさね」
提督「それで、検査の結果はどうだったんだ?」
救護妖精「まあ、検査自体は何も問題無いって言って良かったよ。むしろ、問題があったのは金剛の話かねぇ」
金剛「……シスターの事デスね?」
救護妖精「ん、そう。艦娘の幽霊なんて存在する訳が無い。聞いた時なんて自分がおかしくなったのか提督たちがおかしくなったのか考えたくらいだよ」
提督「なぜ存在しないと?」
救護妖精「まあ……そういうものなんだよ、艦娘って存在は。……それで、本当にあの『金剛』の幽霊だったって言うのかい?」
提督「間違いない。私と金剛しか知りえない事も知っており、利根と交わした言葉も憶えていた」
救護妖精(そんな馬鹿な……。艦娘は沈んで深海棲艦にならない場合、人工魂は元の場所に還るはずなのに……)
救護妖精「…………うーん……」
金剛「物凄く難しい顔をしてるデス……」
救護妖精「……想いの強さ、なのかねぇ。んー、よく分かんないねぇ……」
救護妖精「とりあえず、この話は保留……っていうよりも、これ以上はもう分からないかもね。当の金剛はもう居ないみたいだしさ」
提督「そうか……」
救護妖精「この金剛も問題は無いっぽいから話を変えるけど、提督はこれからどうするんだい」
提督「む? どうするとは?」
救護妖精「提督もだいぶ吹っ切れたように見えるからね。新しい嫁でも探したらどうだい? 提督ならより取り見取りでしょ?」
提督「なぜそんな話になるんだ……」
救護妖精「ま、提督が元気無い時に色々と話を聞いているからね。きっと、提督が思っている以上に提督の嫁になりたがってる子は多いよ」
提督「……………………」
金剛(お嫁さん……)チラ
695 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/02/12(日) 03:44:34.64 ID:JkgyKb/so
救護妖精「それに、いつまでも待たせるなんて可哀想だろう? そこん所もちゃんとハッキリさせとかないと、皆も動くに動けなくなるよ」
提督「むう……」
救護妖精「幸い全鎮守府の監査だかなんだかで暇してるんだから、今の内に解決させておきな。こっちはもうお腹一杯なんだよね」
金剛「お腹一杯……?」
提督(……という事は、救護妖精に相談が殺到しているのか)
救護妖精「検討するくらいはしてくれると、あたしもありがたいんだよねぇ」
提督「……分かった。検討はしておく」
救護妖精「うんうん。──さて、あたしから言える事はこんくらいだよ。提督と金剛は何かあるかい」
提督「強いて言うならば、本当にお前は何者なんだというくらいか」
救護妖精「残念。それは秘密だよ。あたしの素性を知りたければ、人生そのものを狂わせるような対価と交換さね」
提督「そうか。諦めておく」
救護妖精「それが良いよ。世の中には知らなくても良い事はいくらでもあるんだ。……で、金剛は何かあるかい」
金剛「私は特に……」
救護妖精「あいよ。じゃあ提督、頑張りなー」
提督「うん? どういう意味だ?」
救護妖精「周りの皆が頑張るのは目に見えてるからねぇ。後は提督がどれだけ皆に近付くかだよ」
金剛(ああ、なるほど……)
提督「……限りなく善処するよう努力する検討をしておく」
金剛「え、えぇ……と……?」
救護妖精「なんだいそりゃ……。やらないって言ってるようなもんじゃないか」
提督「それは神のみぞ知る」
救護妖精「まったく……。どこまでも堅物なんだから」
…………………………………………。
696 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/02/12(日) 03:45:01.25 ID:JkgyKb/so
ガチャ──パタン
提督「ふー……」ギシッ
提督(嫁、か……。急にそんな事を言われても困るものだ……。そもそも私が靡くかどうかなど、私自身が分かっていないというのに)
提督「……だが、金剛にも言われた通り、私も前に進まなければならんな」
コンコンコン──
提督(瑞鳳か? 思ったよりも早いな)
提督「入れ」
ガチャ──パタン
川内「やっほー提督」
提督「ん? 川内とはこれまた珍しい。どうした?」
川内「ふふーん♪ ちょっとね〜♪」トコトコ
提督「機嫌が良いな。何か良い事でもあったか」
川内「ま、そんなトコだよ。隣座るね!」ポフッ
提督(……えらく近くに座ったな)
川内「ね、提督」
提督「うん?」
川内「一緒に夜戦、しよっ?」ニパッ
提督「……夜戦と言われてもだな。今は出撃待機命令で──」
川内「そっちじゃないってー。違う意味の……や・せ・ん♪」
提督「……………………」
川内「むー……。女の子が誘ってるんだよ? 何か反応してくれないと傷付くなぁ……」
697 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/02/12(日) 03:45:30.36 ID:JkgyKb/so
提督「……一応聞いておくが、どういう意味かちゃんと分かっているんだよな?」
川内「そりゃ勿論っ。だって、その為に夜に提督のとこに来たんだよ?」
提督「……………………」
川内「ほら、難しい顔しないで? 優しい顔で私を見て欲しいな」スッ
提督「…………まだ早い」ポン
川内「むっ。身体はもうちょっとで大人だって! ……あー……もしかして、提督ってグラマーが好みとか?」
提督「そういう意味ではない。とにかくまだ早いんだ。今日の所は素直に部屋へ戻って寝なさい」
川内「むむむ……なら、押し倒してやるー!」バッ
提督「甘い」スッ
川内「むぐっ……」ボフッ
提督「私を押し倒したくば、それ相応の努力をしてくるんだな」ナデナデ
川内「むー……。なんでダメなのさー……」
提督「足りないモノがあるからだ」
川内「やっぱりグラマーな身体が……」
提督「そうではないと言っただろ。……金剛がどうやって私の心を動かしたか考えれば分かるよ」ナデ
川内「金剛さん……」
川内「……………………」モゾモゾ
提督「む……」
川内「えい」ギュ
提督「こら、抱き付くんじゃない」
川内「……こんな風に積極的なとこ?」
提督「それは間接的に必要なモノかな。良いから離れなさい」
698 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/02/12(日) 03:48:22.92 ID:JkgyKb/so
川内「むー……」
提督「……今日は聞き分けが悪いな」
川内「! あ、じゃあ、提督をその気にさせれたら夜戦してくれる?」
提督「なんだその『良い事を考えた』みたいな顔は。却下だ」
川内「むむー……」
提督「本当にどうしたというんだ……。むしろ心配になってくるぞ」
川内「……提督のお嫁さんになりたいなって」
提督「どうしてまたそう思ったんだ?」
川内「だって……救護室の前でそういうの聞いたから……」
提督「ああ……あの時に誰かが居たと思ったが、川内だったのか」
川内「うん。……それで、エッチな事をしたら少しは私を特別に見てくれるかなって思ったんだ」
提督「そういう事か。まったく……お前も欲求不満が溜まって行動に出たのかと思ったぞ」
川内「……正直に言うと溜まってるよ?」
提督「……すまん」
川内「許してあげるには、この状態をちょっと続けさせて欲しいなぁ」ギュー
提督「……仕方が無いな。分かった。少しの間だけだぞ」
川内「やったぁ! ──うーん、良いよねぇ提督って。やっぱ好きだなぁ」
提督「恥ずかしげもなくよくそんな台詞が言えるものだ」ナデ
川内「好きな事を隠してもしょうがないじゃん。気持ちっていうのは伝えてこそだよ」
提督「……そうだな。まったくもってその通りだ」ナデナデ
699 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/02/12(日) 03:48:57.34 ID:JkgyKb/so
コンコンコン──ガチャ
川内「──え!?」
瑞鳳「失礼しま──!?」ビクンッ
提督「……………………」
川内「あ、あははは……」
瑞鳳「え、えーっと……その…………お邪魔しましたっ……!!」
パタン
川内「……見られちゃったね」
提督「まさか入室許可を出す前に入ってくるとは……」
川内「……どうする、提督?」
提督「困った……。…………まあ、まず川内。この鍵を渡しておく」スッ
川内「? なにこれ?」
提督「空き部屋の鍵だ。……平たく言うと、自分でソレを解消したい時などの一人になりたい時に使いなさい」
川内「私は提督じゃないとヤだなぁ……」
提督「……こっちも困る事になるとは」
瑞鳳(うぅー……。人のを見ると余計に欲求不満がぁ……)
…………………………………………。
700 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/02/12(日) 03:54:25.39 ID:JkgyKb/so
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。
>>687-688
この鎮守府に大井っちが来たらどうなるのかちょっと考えそうになった。それはそれで面白そう。
>>690
響への『お手伝い』は前々作くらいにあったりします。R18なのでそこだけは気を付けて下さいませ。
701 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/02/12(日) 07:35:22.18 ID:+xeChl/Io
乙です
702 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/12(日) 08:13:19.16 ID:w8xCMRa90
乙でございます
703 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/12(日) 08:55:16.19 ID:P7mbXb80o
乙
川内かわいい
704 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2017/02/23(木) 00:56:56.80 ID:H7qfkCrEo
もしかすると次の投下でトゥルーエンドが終わりそうなので、最後まで書いてから投下します。遅くなってごめんよ。
705 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/02/25(土) 23:25:35.84 ID:+1op1EMmo
把握
気長に舞ってる
706 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/01(水) 20:01:16.47 ID:YWwL0rNQ0
ゆっくりでええやでー
イッチは待たせ方がうまいな
707 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[sage saga]:2017/03/21(火) 14:07:57.03 ID:FzzllpvNo
あとちょっとで書き上げられそうです。
お仕事が異様に忙しくなって更新が遅れています。ごめんよ。
ラストを書く上でこの物語を読み返していると、だんだんとウェーク島を観光してみたくなった。たぶん三日くらいで帰りたいとか思うのだろうけれど。
708 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/03/22(水) 20:56:06.29 ID:WS02URPXO
今から更新が待ちきれないぞい
709 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 02:57:48.88 ID:awnviBj5o
やっとこさ書き終わったので全投下します。遅くなってごめんよ。
なんか思った以上に多くなった。やっぱり私は短く終わらない。
710 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 02:58:28.08 ID:awnviBj5o
川内「じゃあ、おやすみ提督! 次こそは夜戦しようね♪」
提督「それは川内の努力次第だ。──良い夢を見ろよ」
川内「♪」フリフリ
ガチャ──パタン
提督「……積極的過ぎるのも困りものだな。……まあ、私も寝るか」スッ
提督(これからどうなる事やら……)スタスタ
コンコンコン──
提督「む? 利根か、入れ」
ガチャ──パタン
利根「……ふむ。相変わらずノックだけで誰が来たのか分かっておるようじゃのう」
提督「経験だ。少しでも変えられると分からん。ところでこんな時間に来るとは珍しい。どうしたんだ?」
利根「まあなんじゃ。海を見ながら饅頭を食べておったら不思議な事があったのじゃ」
提督「不思議な事?」
利根「うむ。金剛が挨拶に来てのう。これが別れと言うておった」
提督「……………………」
利根「聞くに、このままでは悪い影響しか与えぬとな。ならば後は見守るのみに徹するらしいぞ。妙に優しく満足した顔じゃったよ」
提督「……すまんな。あまりにも急な事でお前を呼んでやれんかった」
利根「なに。我輩は金剛ともう一度だけ話せただけで充分じゃ。金剛達が我輩と提督を恨んでおらず、見守ってくれていると分かっただけで充分なのじゃ」
提督「……そうか」
利根「それで提督よ、もう一つ金剛に言われた事がある」
提督「なんだ?」
利根「後ろ髪を引かれるのは分かるが、提督もちゃんと心を寄せるのじゃぞ。そんなのでは金剛に叱られてしまうのじゃ」
711 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 02:58:54.87 ID:awnviBj5o
提督「……そうだな。だが、少しの時間は貰いたい。その間に前へ進めるよう『思い出』にしておく」
利根「うむ。それが良いぞ」
提督「……利根、窓の外を見ないか?」ゴトッ
利根「うん? 夜の海なぞ見てどうするのじゃ?」
提督「いつもやっていただろう。アレだ」スッ
利根「なるほどのう。じゃから椅子を用意したのじゃな。──ほれ、のしかかるぞー」ノシッ
提督「……………………」
利根「……うーむ。違うのう」
提督「やはりそう思うか」
利根「という事は、提督もかの?」
提督「ああ。場所が違うからか、それとも椅子に座っているからか。向こうは汚れた畳の上だったからなぁ」
利根「どうなのじゃろうなぁ……。またあの島に行けば分かるかも知れぬが」
提督「名案だ。行くか」
利根「……なぬ?」
提督「この横須賀鎮守府は、一応ウェーク島を確保している扱いなんだ」
利根「なんと。そうであったのか」
提督「何度か行き来した事から、横須賀の管轄となってしまった。……まあ、あんな東の果てにあるような場所は補給も満足に出来ないから放棄したいくらいなんだが」
利根「ふむ。じゃが、それとの話の繋がりがよく分からぬぞ」
提督「ウェーク島を軍事施設として開発可能か周辺の島々も含めて視察に行くとでも言えば通るだろう」
利根「補給が満足に出来ぬのにか?」
提督「総司令部としては活用できるのであれば活用したいそうだ。あの場所を確保して拠点に出来るのであれば戦線が一気に広がるという考えらしい」
利根「ふうむ」
712 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 02:59:22.93 ID:awnviBj5o
提督「実際に私達はウェーク島で暮らしていた事がある。だから総司令部も出来るならば活用したいのだろう。結果など火を見るより明らかだがな」
利根「……つまる所、サボると考えて良いのか?」
提督「そうとも言う」
利根「まったく……。あの島でサボり癖が付いたのではないか?」
提督「出撃待機命令なんてものを出す方が悪い」
利根「じゃが、この鎮守府全員を連れて行く訳にはいかぬじゃろ。そこはどうするのじゃ?」
提督「何人かを連れて行くだけに留める。そしてその間、大淀に指示書を渡して鎮守府を任せよう」
利根「……猛反対しそうじゃなぁ」
提督「さて、それはどうか分からんな」
利根「ふむ?」
提督「まあ、そんなに長い間でもない。なんとかなるだろうさ」
利根「なるのであれば良いがのう……」
……………………
…………
……
713 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 02:59:55.22 ID:awnviBj5o
カチン──
提督「──さて、大淀」
大淀「は、はいっ!」ピクンッ
提督「この部屋の鍵を掛けた事で分かると思うが、用意はしてきているな?」
大淀「はいっ……! ちゃんと持ってきています!」
提督「しかし……お前も不思議な子だ。鎖で繋がれたいだなんて」
大淀「へ、変……ですか……?」ビクッ
提督「珍しくはあるが、そういう人も居るだろう。人など十人十色だ。私はこのくらいでは動じんよ」
大淀「良かった……。では、お願いします……!」スッ
提督「……待て。なんだこれは。手枷にしては大きくないか?」ジャラ
大淀「あの……ですね? 手首ではなく、こっちの方が良いなぁと思いまして……」チョン
提督「首……という事は、首輪か……」
大淀「は、はい……」
提督「……………………」
大淀「て、提督……あの……その……ごめんなさい……」
提督「いや……手枷ではなく首輪となると、また別の意味になりそうで困っているんだ……」
大淀「えっと……? 別の意味とは?」
提督「手枷ならば互いに束縛されているという認識も出来るが、片方が首輪だとペットや奴隷のような気にしかならん」
大淀(……ペットや奴隷)
大淀「ワ、ワン……?」
提督「……私は大切な子をペット扱いにせんぞ」
714 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:00:22.34 ID:awnviBj5o
大淀「じゃ、じゃあご主人様というのは」
提督「奴隷にするくらいならば解放して自由に行動させる」
大淀「……では、開放された奴隷が首輪を外したがらないという設定でお願いします」
提督(……いつの間にイメージプレイになっているんだ?)
提督「…………どうしてそうなったんだ、まったく……。ならば、条件を呑んで貰うからな」
大淀「条件ですか?」
提督「私は少しの間、ウェーク島へ視察へ行く予定を立てようと思っている。その間の鎮守府を大淀が指揮して欲しい。指示書は用意する」
大淀「それは……結構大変ですね……」
提督「もしこの条件を呑んでくれるというのならば、首輪を認める」
大淀「……………………呑みます。私、やります!」
提督「よろしい」ジャラ
大淀「あ……っ」ピクッ
提督「手触りの良い首輪だ。苦しかったり痛かったりはしないか?」
大淀「はいっ。緩めて下さっているので、そんな事はありません」ドキドキ
提督「さて大淀。ただ首輪を付けられたかったという訳ではなさそうだが、何を考えていたんだ?」
大淀「そ、その……まずは、引っ張って下さると……とても嬉しいです」
提督「そうか」クイッ
大淀「ん……っ」ピクッ
大淀「…………っ」フルフル
提督(……これは、大淀なりの発散方法なのだろうか。……少しだけでも付き合ってやるべきか)
提督「苦しそうだな。外してやろうか」
大淀「い、イジワルを言わないで下さい……」
715 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:00:49.18 ID:awnviBj5o
提督「どうしてだ? 苦しい事から開放するんだぞ。それの何がイジワルだと言う」
大淀「そ、それは…………その……」
提督「ほら、言ってくれなければ分からんぞ」クイッ
大淀「あっ……ぅ……。好き……だから、です……」
提督「何が好きなんだ?」
大淀「こうされるのが、好きだから、です……」
提督「こうされるのであれば誰でも良さそうだな」
大淀「そ、そんな事は──んっ!」ビンッ
提督「ほう。ただ引っ張っただけでそんな表情を浮かべているというのにか?」
大淀「提督だけです……! 私が、こんな風になってしまうのは、提督にだけです……!」
大淀「だから、その……もう少し、強く……」
提督「……………………」
大淀「…………? 提督……?」
提督「……やはり、私には合わん」
大淀「え、えっと……?」
提督「どうも奴隷のようにしか見えなくて胸糞が悪くなる……。私は、例えままごとでもお前をそんな風に扱いたくないという事なのだろう」ジャラ
大淀「あ……首輪、外されて……」
提督「やはりこうでなくてはな」ソッ
大淀「……ふふっ。そうですね。先ほどの少し乱暴に扱って下さるのも良かったですけれど、こうして優しく頬を撫でられる方がずっと良いですね」ニコ
提督「すまんな。私は鬼畜にはなれないようだ」
大淀「いえ。私の方こそ我侭を言ってしまい、すみませんでした。そして、それに付き合って下さってありがとうございます」
大淀「ですが……」ジャラ
提督「うん?」
大淀「よいしょ……。こうして、鎖を外した首輪は付けさせて下さい」
提督「気に入ったのか」
大淀「恥ずかしながら……。なんだか、提督に束縛されていると感じると愛おしくて」
提督「……なるべくだが、それは人前に見せないように。流石にファッションとしても無理がある」
大淀「う……で、では、今この時だけは許して下さいね」
提督「ああ。この時は許そう」
大淀(……考えていた通りにはいきませんでしたが、これはこれで良いものですね♪)
…………………………………………。
716 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:01:17.22 ID:awnviBj5o
瑞鳳「…………」ウズウズ
瑞鳳「…………」キョロキョロ
瑞鳳(ううぅ……。提督にどうにかして欲しい……。でも、昨日みたいに誰かが提督と一緒にお楽しみしていたらどうしよう……)
瑞鳳(……誰も居ないよね? ちょっと聞き耳立ててみよっと……)ソッ
加賀『──提督、お嫁さんを探しているという話を耳にしたのですが』
提督『川内か……? まったく……どうして話を広めたりしたんだ……』
加賀『いえ、救護妖精から聞きました。──それで、単刀直入に言いますが、私なんてどうですか?』
提督『救護妖精め……。ちなみにだが、これからどうなるかは加賀の努力次第だ』
加賀『……早い話、貴方に振り向いて貰えるようにすれば良いのね』
提督『そういう事だ。私は誰でも良いという訳ではない』
加賀『それでしたら……これから少しばかりお相手して頂けますでしょうか。外堀なんて無視をして、本丸を直接落とします』
提督『言っておくが、いかがわしい手段を取ろうものならば説教するからな』
加賀『……本丸ではなく、二の丸や三の丸から攻めますね。お酒なんて如何ですか?』
瑞鳳(やっぱり居た……。提督、人気だなぁ……)スッ
瑞鳳(今日は諦めておこ……。他の人が居ない時があれば良いなぁ……)トボトボ
──しばらくして
北上『にしても、本当に堅物だよねぇ提督ってさー。その気にならなくてもハーレム出来るってのにさー」
提督『生憎、一途でありたいんでな』
北上『まーそうだよねー。あ、パンツ見せてあげよっか? その気になるかもよ?』
提督『お前が見せるのが先か、私がお前を吊るすのが先かの勝負をするんだな?』
北上『じょ、冗談だってば〜……もー……。まあ、それなら一緒にダラダラしましょうかー』
────────────────。
717 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:01:44.13 ID:awnviBj5o
飛龍『あの、ですね提督。急に話題を変えますが……お嫁さんを探しているって本当ですか……!?』
提督『……飛龍、救護妖精は一体どんな風に言ったんだ』
飛龍『え? 提督が新しいお嫁さんを考えているとかって聞きましたけど』
提督『…………まったく……』
飛龍『……えーと、もしかして違ってました?』
提督『いや……そうだな……正確には色々と悩んでいる』
飛龍『誰にするか、ですか?』
提督『それ以前に、私の心の準備の方がだな……』
飛龍『なんだか意外ですね……もっと、こう──』
提督『とは言ってもだな……──』
────────────────。
718 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:02:10.90 ID:awnviBj5o
ヲ級『ね、ね! 今日は、姫がワッフルを、作ったよ!』
提督『ほう。空母棲姫が作ったワッフルか』
利根『楽しみじゃ。物凄く楽しみじゃ』
空母棲姫『……そんなにワクワクとされると恥ずかしいのだけれど』
利根『これがワクワクせずに居れる訳がなかろう』
提督『正直に言うと、私も非常に興味深く思っている』
ヲ級『ほら、姫』
空母棲姫『……この子ほど上手には出来ていないわよ』
利根『おおー……良い香りじゃぁ……。ほんのりと柔らかい甘い香りは最高じゃ』
空母棲姫『……ほら、さっさと食べなさい』
提督『照れ隠しが下手になってきているぞ』
空母棲姫『誰のせいですか……もう……』
────────────────。
719 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:02:39.93 ID:awnviBj5o
瑞鶴『で、決まったの?』
響『お嫁さん』
提督『決まるも何も、まだ私自身、心の準備が出来ていない』
響『心の準備って?』
提督『私が誰かを受け入れる心構えがまだなんだ』
瑞鶴『えーっと……提督の金剛さんへの想いを断ち切る為って意味……?』
提督『そんな所だ。……これが中々に難しくてな』
響『司令官の事だから、本当の結婚をしようと考えてたんだよね?』
提督『ああ』
響『じゃあ、簡単に割り切れる事じゃないさ。時間は掛かって当然だよ』
瑞鶴『んー、と……うまくは言えないけど……焦る事はないから、ゆっくり頑張れば良い……わよ?』
提督『ありがとう、二人とも』
響『ん。もっと頭を撫でてくれて良いんだよ?』
瑞鶴『……なんだろ。結構良いわねこれ』
────────────────。
720 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:03:06.71 ID:awnviBj5o
瑞鳳(うー……うぅー……いつも誰か居て、全然頼めない……。で、でも、今日こそは大丈夫……よね……?)オズオズ
提督『──という訳で、今後は無理をするんじゃないぞ。あと、約束したんだろう? その通りに自分は大事にするんだぞ』
金剛『ハイ……』
瑞鳳(また誰か居る……。もう我慢の限界になってきてるのに……)
提督『よろしい。ならば説教は終わりだ』
瑞鳳「!」
提督『それで金剛、この中でどの茶葉が一番好きだ?』
金剛『え? ……えっと、これデス』
提督『そうか。長い説教で疲れただろう。これくらいしか出来んが許してくれ』
金剛『あ……。……これくらい、だなんて事はないデス。私はとっても嬉しいデスっ』
提督『そう言ってくれると、私も気が楽になるよ』
瑞鳳(あぅ……またダメなの……? そうだ……ああすれば……!)
…………………………………………。
721 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:03:37.82 ID:awnviBj5o
カチ──コチ──カチ──コチ──
提督(……マルヒトマルマル。そろそろ瑞鳳との約束の時間か)チラ
コンコンコン──
提督「入──」
ガチャ──パタン
瑞鳳「……………………」
提督(……事情は分かっているから、入室許可の事は後で言っておくか)
提督「瑞鳳、鍵を閉めておいてくれ」
瑞鳳「……はい」
カチン──
瑞鳳「この時間なら……誰も来ない。これで……誰も入れない……よね?」トコトコ
提督「……そうだな」
瑞鳳「えへ……えへへ……。やっと……やっと二人きりになれました……」ソッ
提督「こら。どこに手を伸ばしている。まだ私は受け入れると言っていないぞ」
瑞鳳「……本当にガードが固いですね。でも……提督、見て下さい……」シュル
提督「む……」
パサッ
瑞鳳「女の子って、何日も我慢してたら……こんなになっちゃうんだよ……? もう、パンツ穿いてる意味、あるのかな……って思ってるの」
瑞鳳「それに……すっごく恥ずかしいです……。恥ずかしいのに……それ以上に、自分が抑えれないんです……」
瑞鳳「だから……提督ぅ……私の身体……まさぐって……?」
提督(仕方が無い……か……)
722 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:04:05.28 ID:awnviBj5o
提督「……手伝うのは今回だけだぞ。おいで」スッ
瑞鳳「! ありがとうございますっ……!」ソッ
提督(まずは……そうだな。抱き締めてあげるか。少し痛いくらいが好きと言っていたしな)ギュッ
瑞鳳「…………ッぁ……んっ……」ピクッ
提督(……うん?)
瑞鳳「は、ぁ……はぁー……ぁ……」
提督(……まさか。背中を撫でてみよう)ナデ
瑞鳳「!!」ゾクゾクッ
瑞鳳「あっぅ……! てぇ、とく……? 瑞鳳、に……何をしたの……っぁ!」フルフル
瑞鳳「触られてるだけ、なのに……! ギュッって、してくれてるだけ、なのにっ……はっぁ……!」ピクンッ
提督(……本当に全身が敏感になっているのか。…………ふむ)ギュゥッ
瑞鳳「あッ!? や……! ひ、ぅ……! そ、れぇ……っ!!」ビクッ
瑞鳳「は、ぁッ……!! 〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!」ギュゥゥ
瑞鳳「ッ!! ふ、ぁっ!! ぁあぁ……!!」ビクッビクン
提督(果てた……? ただ抱き締めただけだぞ?)
瑞鳳「ぎゅっ……て……してもらっひゃ……だけなのにぃ……」
瑞鳳「てぇとくの……せいだよ……? こんなになるまで……ほっとくなん────んぅッ!?」ビクッ
提督「ならば、瑞鳳が満足するまでやろう」ギュゥゥ
瑞鳳「ヤッ……! あぁ、ぅん……!! んんっ……ふぅッ──くぅん!」ゾクゾクッ
瑞鳳(あぁ……あったかくて……優しく、て……きもちいい、痛みだ……)
瑞鳳(あたま……ポーって……なるぅ……)
…………………………………………。
723 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:04:32.51 ID:awnviBj5o
瑞鳳「ぁ…………ふ……ぁー……」ピクンッ
提督(……本当に抱き締めただけで、ここまでなるとは思わなかった)
提督「……瑞鳳、大丈夫か?」
瑞鳳「んっ……ぁ……」ポー
提督「やり過ぎたのだろうか……」
瑞鳳「ぁ……」コテン
瑞鳳「…………すー……」
提督(寝てしまった……。まあ……何回も絶頂していたようだから当たり前か)
提督(身体は拭いてやった方が良いのだろうか。……いや、辞めておこう。拭いても嫌がられないのは分かるが、そういうのはしっかりとした関係になってからだ。それならば起きた時に風呂に入って貰った方が良い)スッ
スタスタ──ポフッ
瑞鳳「ん……………………すー……」
提督「良い夢を見てくれよ」ナデ
提督(さて……私の方は毛布とソファで良いか。……と、その前に着替えるとしよう。色々と汚れてしまった)
提督「……これで満足してくれていたら良いんだが」
…………………………………………。
724 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:04:59.44 ID:awnviBj5o
瑞鳳「ん……」パチッ
瑞鳳(あれ……ここドコだろ……? 私の部屋じゃない……?)モゾ
瑞鳳「──ハッ!」
瑞鳳(そ、そうだった……! 昨日、我慢できなくなって提督に……! ……って、提督、どこだろ?)キョロ
提督「む……起きたのか」モゾ
瑞鳳「あれ……えっと、提督? なんでソファで寝てるの?」
提督「一緒に寝るのはマズいだろう」
瑞鳳「私は良いと思うんだけど……」
提督「瑞鳳が良くても、他の者は良く思わんぞ。次は自分が、と言ってくるのが目に見える」
瑞鳳(そういえば……一途でありたいって言ってたっけ)
瑞鳳「……んっと、一つ良いですか?」
提督「どうした?」
瑞鳳「提督は、一夫多妻とか二人以上と関係を持つのが嫌なんですか?」
提督「ああ。好きではない」
瑞鳳「どうしてだろ……」
提督「愛するのならば一人が良い。第一夫人だの正室側室だのと序列を作るのも嫌いだ。愛するのならば全力で愛するべきだよ。それに、愛情が偏るのも嫌いだ」
瑞鳳「……………………」
提督「不思議か?」
瑞鳳「……ううん。そういう人も居るんだなって思ったの」
提督「瑞鳳は一夫多妻に賛成なのか」
瑞鳳「……どうなのかな。たぶん、賛成だと思う」
提督「曖昧だな……」
瑞鳳「一夫多妻だったら……私と気兼ねなく……その……まぐわって、くれるの……かなって思って……」
提督「恥ずかしいのならば無理して言わなくても良いんだぞ……?」
瑞鳳「あうぅ……」
提督「まあ、この話は終わらせておこう。朝礼の時間になる前に身体を洗ってきなさい」
瑞鳳「はーい」
瑞鳳(って……別に私の身体、好きにしても良かったのになぁ。提督なら信用できるのに……)
……………………
…………
……
725 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:05:26.16 ID:awnviBj5o
提督「──以上が本日の任務となる。周辺警備ばかりで退屈かもしれないが、もう少しの間だけ我慢してくれ。そして、最後に報告がある。三日後より私はウェーク島へ出発する事となった」
全員「!!」
提督「詳しく言うと、ウェーク島を軍事利用できるかどうかの判断をする為に足を運ぶ。上層部としてもあの場所を利用できるのであれば色々と有利に働くだろうと思っているらしい。だが、私一人が向かうというのは非常に危険だ。私もそんな無謀な事はしたくない。そこで、私と一緒に調査してくれる者を募集する。人数は六人前後。それとは別に空母棲姫とヲ級は連れて行く予定だ。希望する者は朝礼終了後、提督室へ向かってくれ」
提督「なお、予め言っておくが自給自足な上に娯楽も電気も食糧も水も何も無い。……ああ、寝床も爆破されたので作らなければならんな。つまり、バカンスなどとは完全に真逆の完全なサバイバルとなる事を留意しておくように」
提督「以上。何か質問はあるか?」
川内「……あの、提督」スッ
提督「どうした、川内」
川内「それって本当に暮らしていけるの……? というか、何日そこに居なきゃなの……?」
提督「一応、なんとか出来た経験はあるから出来ない事は無いだろう。たかが半月から一月くらいだ。なんとでもなる。……まあ、あくまで毎日同じ食べ物とサバイバル及び何も無い暮らしをどうにか出来る精神を持っているのならば、という話だが」
川内「うわぁ……」
加賀(流石に……それは耐えられないかもしれないわ……。ついて行きたいのに……ついて、行きたいのに……)
提督「他に質問がある者は居るか?」
龍田「は〜い。その間の鎮守府はどうなるのかしら?」
提督「提督代行として大淀に指揮して貰う。とは言っても、管理と遠征、警備くらいだとは思うが、大変なはずだ。皆で協力して支えて欲しい」
龍田「その言い方だと出撃はしないようだけれど、大丈夫なのかしら〜」
提督「上からの許可も下りている。その点は問題無い」
龍田「あらぁ〜。だったら、私は残りますね。私達のお家を護るのも、とーっても大事ですもの」
提督「理解が早くて助かる。ある意味で言うと調査よりも、私が留守の間この鎮守府を護り通す方が難しいかもしれん。私が帰ってきた時に鎮守府が瓦礫の山へとなっていては洒落にもならん」
提督「他に質問がある者は居るか? ……………………居ないようだな。では、朝礼は終わりだ。各自、自由にして良し」
…………………………………………。
726 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:06:00.12 ID:awnviBj5o
──ウェーク島
利根「……まあ、なんとなくこうなりそうじゃとは思っておったわ」トントントン
提督「小屋の建築の事か? それとも、この島に来るメンバーの事か?」カンカンカンカン
瑞鶴「響ちゃーん! 釘持って来て貰って良いー?」
響「すぐに持って行くよ」タタッ
飛龍「金剛さん、いっせーのでいきますよ!」
金剛「イエス。掛け声はお任せしマス」
瑞鳳「空母棲姫さん。作った木炭ってどこに置いとくと良いの?」
空母棲姫「家が出来るまでは竈の隣に置いておきましょうか。見た感じ、そろそろ出来そうよ」
ヲ級「獲ったお魚、捌いたよ!」タタッ
空母棲姫「ありがとう。次は調理器具を持ってきて頂戴?」
ヲ級「はーい!」
利根「無論、メンバーの方じゃ。我輩の予想とほぼ違いが無いぞ」トントン
提督「奇遇だな。私もこのメンバーになると思っていた。強いて言うならば、長門や加賀が希望してこなかったという事くらいか」カンカンカン
利根「加賀は来ぬじゃろうな。さぞかし食事の事で悩んだじゃろうなぁ」ゴトゴト
提督「長門は長門であいつらしい答えだったな」ガンッガンッ
利根「どんな敵が来ても護れるように、じゃったか? あやつは本当にどこまでも真面目じゃのう」
提督「本当にな。──さて、こんな所か」
利根「うむ! 前よりも立派になったぞ!」
飛龍「ふぅー……疲れちゃった」
金剛「持ってきた資材のほとんどを使ったネ」
727 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:06:28.14 ID:awnviBj5o
瑞鶴「……なんだか懐かしいなぁ」
瑞鳳「え? 懐かしい……?」
瑞鶴(やばっ……。そういえば瑞鳳って私達とほとんど会ってないんだった……)
瑞鶴「あー……え、とね? 前にもこういう事をやった事があるの。うん。だから懐かしいってね?」
瑞鳳「へぇー……。なんだか意外ですね」
瑞鶴「あ、あははは……」
瑞鶴(……ってか、憶えられてなかったのね。……なんだかちょっとショック)
響「後は家具だけかな? とは言っても、ベッドくらいだけど」
提督「そうだな。それが終わってから飯としよう」
空母棲姫「では私達はこのまま、おゆはんの準備をするわ」
ヲ級「美味しいの、作るよ!」
提督「ああ。楽しみにしているぞ」ナデ
ヲ級「えへー♪」
瑞鳳「…………」ヂー
提督「……瑞鳳も、頑張ってくれ」ナデ
瑞鳳「! はいっ!」
空母棲姫(あら、可愛らしい……)
提督「さて、各々のやるべき事に戻ろう。暗くなる前に終わらせるぞ」
全員「はいっ!」
…………………………………………。
728 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:06:54.89 ID:awnviBj5o
提督「……やはり、良いなぁ」
利根「うむー……」ノシッ
響「落ち着く」チョコン
飛龍(あの……何をやっているんですか、あれ……? 食べ終わってやる事が無くなったら、三人が夕暮れの海を窓からボーっと眺めているんですけど……)ヒソ
金剛(えっと……この島でステイしている間、ああしているのが日常だったのデス。きっと、それで落ち着くんじゃないかな……と……)ヒソ
瑞鶴(懐かしい光景ねぇ……。あの時はずーっとこの姿を見てた気がするわ)ヒソ
瑞鳳「…………」ヂー
利根「うん? どうしたのじゃ瑞鳳よ?」
瑞鳳「あ……えっと、私も……くっつきたいなって……」
利根「あー、なるほどのう。ほれ、どこにでもくっつくと良いぞ」
提督「私の意志は関係無しか?」
利根「お主が断るとは到底思えぬ」
提督「よく分かっているようで。──おいで、瑞鳳」
瑞鳳「! うんっ!」ギュ
利根「ふむ。右腕にしがみ付くか」
飛龍「…………」ウズウズ
瑞鶴「…………」チョンチョン
飛龍「?」
瑞鶴「左、空いてるわよ?」
飛龍「え、ええと……」ウズ
729 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:07:21.53 ID:awnviBj5o
提督「……ほら、おいで」
飛龍「ぅ……。で、では、お言葉に甘えて……」ソソッ
利根「どうじゃ? どんな感じじゃ?」
飛龍「……もうちょっとだけ近付きたいかな」ギュ
瑞鶴「瑞鳳と同じになったわね」
瑞鳳「やっぱりこうなりますよね?」
提督「腕すら動かせん……」
金剛(……なんだか、娘にとっても懐かれているダディみたいネ)
空母棲姫「提督、皆、明日の朝食なの、だけ……ど……?」
提督「…………」
空母棲姫「……どういう状況なのかしら、これ」
ヲ級「提督、人気者!」
響「落ち着くよ。とても」
利根「うむ」
空母棲姫(……苦労しているのね。でも、それを顔に出さないのは貴方らしいわ)
提督「……それで、朝食がどうしたんだ?」
空母棲姫「朝食は焼き魚にしようと思っているのだけれど、他にリクエストはあるかしら。あるのならば作ろうと思いまして」
提督「私は焼き魚に賛成だ。朝はサッパリとした物が良い」
利根「我輩も同意見じゃぞ」
響「それが良いな」
瑞鶴「あ、私はちょっとだけ濃い味が良いな」
飛龍「焼き魚ですか。楽しみですっ」
金剛「私も楽しみデース」
瑞鳳「…………」コクコク
730 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:07:48.03 ID:awnviBj5o
提督「それに、そんなに贅沢をしては後が持たん。質素に頼む」
空母棲姫「分かりました。では、暗くなるまで仕込みと保存食を作っておきますね」
ヲ級「姫、どっちが、多く出来るか、勝負!」トコトコ
空母棲姫「……負けないわよ」スタスタ
瑞鶴「本当、頼りになる二人ね」
提督「本当にな。私達も私達で出来る事をやるぞ」
全員「はーい」
…………………………………………。
731 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:08:15.44 ID:awnviBj5o
飛龍「うわぁ……夜になると本当に暗いですね……」
瑞鳳「月の光だけ明るくて……なんだろ、なんだか神秘的……」
空母棲姫「夜の海を見るのは初めてなの?」
瑞鳳「夜の海をこうやって見た事が無くて……」
利根「普通は見れても作戦行動中じゃからのう」
空母棲姫「なるほどね。──良いでしょう? こういう風に平和的に海を見るというのも」ナデナデ
ヲ級「くー……くー……」
提督「ああ。とても良い。いつまでもこうしていたいくらいだよ」
瑞鳳「……………………」
提督(……うん?)
金剛「? 瑞鳳? 真顔でどうしたデスか?」
瑞鳳「! ……んっと、もう少し近くで海を見てくるね?」スッ
瑞鶴「え? ……行っちゃった」
金剛「どうシタのでショウか……」
空母棲姫「少し寂しそうな顔をしていたようにも見えましたが……」
飛龍「…………あの」チラ
提督「ああ。私が行こう」スッ
金剛「わ、私も行って良いデスか?」
提督「いや、私一人で行く。何人も一緒だと瑞鳳も臆するかもしれん」
金剛「……ハイ」
提督「まあ、任せておけ。これでも提督をやっているんだからな」ポンポン
732 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:08:41.90 ID:awnviBj5o
提督「各自、眠くなったら寝てしまいなさい。……言っておくが、ベッドは人数分作ったんだから自分のベッドで寝るように」スタスタ
全員「はーい」
飛龍「──金剛さん、瑞鳳ちゃんが気になるんですか?」
金剛「えっと……気になるというよりも、なんとなく同じのような気がシテ……」
響「同じって?」
金剛「……私と、同じような雰囲気だったのデス。心に整理を付けたと思っていながら、寂しくなるあの気持ちを感じていたように見えまシタ」
瑞鶴「ああ……下田の……」
金剛「…………」コクリ
利根「なるほどのう……。まあ、提督ならばなんとかするじゃろう。きっと励まして帰ってくるぞ」
空母棲姫「当然そうでしょうね」
響「ホント、空母棲姫さんって最初の頃と変わったよね」
空母棲姫「現状を受け入れただけよ。私自身はこれといって大きくは変わっていないわ」ナデ
ヲ級「ん〜……♪」
瑞鶴「良い夢見てそうねぇ……」
…………………………………………。
733 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:09:08.27 ID:awnviBj5o
ザザァ──……
瑞鳳「…………」ボー
瑞鳳「……今頃、何してるんだろ」
瑞鳳「……………………提督……」
提督「──呼んだか?」
瑞鳳「!!」ビクンッ
提督「隣、座るぞ」スッ
瑞鳳「…………」
提督「瑞鳳、今は暗いか? それとも明るいか?」
瑞鳳「え……?」
提督「どうだ?」
瑞鳳「……………………え、っと……暗い、かな……?」
提督「そうか。私は明るいと思う」
瑞鳳「どうして? 夜なのに……」
提督「この綺麗な夜の海を見れて機嫌が良い。だから明るいんだ」
瑞鳳「ぁ、なるほど……」
提督「だが、瑞鳳は暗いようだな」
瑞鳳「……うん」
提督「聞いても良いか?」
瑞鳳「…………うん。提督になら、言える……と、思うかな……?」
瑞鳳「ん、とね……? ちょっとだけだけど、気になってるの。……『提督』の事」
734 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:09:50.68 ID:awnviBj5o
提督「それは、私ではないな?」
瑞鳳「…………」コクン
瑞鳳「今頃、どうしてるのかなって……。今になって思えば、あんなに酷い事ばっかりされてきたのに、なんだか気になっちゃうの」
瑞鳳「私、おかしいのかな……。酷い事も苦しい事も、辛い事もいっぱいされたのに、大丈夫なのかなって思ったり、辛い目に遭ったりしてないかなって思ってる……」
提督「瑞鳳がそれだけ優しいという事だろう」
瑞鳳「なのかな……。自分の事なのに、よく分かんなくて……。そもそも、こんなに綺麗な夜の海を見て、どうして『提督』の事を思い出したのかな……」
提督「……そればっかりは私には分からん。ただ分かるのは、お前が優しいという事くらいだよ」
瑞鳳「…………ありがと、提督」
提督「うん?」
瑞鳳「私の事、気に掛けてくれて……ありがと。きっと、提督は優しいから私がこんな気持ちになってる事に気付いたんだよね」
提督「さてな。それは秘密にしておこう」
瑞鳳「もー……すぐにそうやって逸らかすんだから……。でも……提督のそういう不思議なトコ、私は好き」
瑞鳳「今見てる海みたいに、ただ冷たいように見えて綺麗。……ちょっとだけ、羨ましいなって思うくらいに。返答とかすっごく素っ気無く聞こえるのに、ちゃんと話を聞いてくれてて、ちゃんと話してくれて、ちゃんと見てくれてる……」
瑞鳳「実はね? そういうの……叶ったら良いなって、ずっと思ってたの。……『提督』が、そうなってくれたら良いなって、思ってた。厳しくても良いから──怖くても良いから──酷い事をされても良いから──……。私をちゃんと見て、私を大切にしてくれたらなって……」
瑞鳳「……『提督』が連れていかれた時の話を聞く限りだと、もう『提督』は提督じゃなくなってるんだよね?」
提督「……そうだな。提督としての肩書きは、後日すぐに剥奪されたよ」
瑞鳳「そっか……。じゃあ、もう会えないのかな……」
提督「……ああ」
瑞鳳「そっか……。うん、そうだよね……」
瑞鳳「…………」チラ
提督「…………」
735 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:10:30.36 ID:awnviBj5o
瑞鳳「……ねぇ。なんとなくは分かってるけど、教えて欲しい事があるの」
提督「なんだ?」
瑞鳳「……『提督』は、どうなっちゃったの?」
提督「……………………」
瑞鳳「良くて牢屋の中で、悪いと……殺されてるのかなって」
提督「…………………………………………」
瑞鳳「……そっか。言えないって事は、そういう事だよね」
提督「…………」ポン
瑞鳳「……えへ。こうやって頭を撫でられるのも、慣れちゃったなぁ。初めは叩かれるのかと思っちゃったりしたけど、今はもう安心しちゃってる」
瑞鳳「…………なんだろ。なんだか、胸にポッカリ穴が空いたみたい。悲しいのかも寂しいのかも分かんなくて……なんだか変な気持ち」
提督「……瑞鳳は、私の艦娘になって後悔していないか?」
瑞鳳「ん……うん。優しいし、困った時は助けてくれるし、何よりも安心させてくれるから後悔なんてしてないよ」
提督「そうか……」
瑞鳳「……………………」
提督「…………」
瑞鳳「……うん。ここに置いていこう」
提督「置いていく?」
瑞鳳「うん。『提督』……ううん。『あの人』への縛られたみたいな感情。ここに置いて帰ろうって思ったの」
提督「辛くないか?」
瑞鳳「ちょっとね……? でも、なんだか不思議。辛い事は幸せだったはずなのになぁ……。この辛さは、なんだかヤな気分……」
提督「……そうか」ナデ
736 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:11:00.92 ID:awnviBj5o
瑞鳳「……ねぇ、提督」
提督「どうした?」
瑞鳳「折角ベッドを用意したけど……今日だけは一緒に寝て良い? ……ちょっとじゃないくらい、寂しいから」
提督「……夜中に寝惚けて入ってきたという事にするんだぞ? 私もフォローを入れておく」
瑞鳳「うん……♪ ありがと、提督」
提督「さて、そうと決まったら先に戻っていなさい」
瑞鳳「提督は?」
提督「私はもう少しだけ、この海を見ておくよ。……私も、色々と考えたい事があるんだ」
瑞鳳「ん……遅くならないでね?」
提督「ああ」
瑞鳳「それじゃ……先に戻ってるね?」スッ
トコトコ──
提督「…………」
提督「……………………」
提督「…………………………………………」
利根「──まったく。何をしておるのじゃ?」
提督「! 利根と金剛か」
金剛「あの……大丈夫デスか?」
提督「ああ。ボーっとしていただけだ。──瑞鳳の様子はどうだった?」
利根「寂しさが薄れておった。今は他の者と同じく布団の中じゃよ」
提督「そうか。私もそろそろ戻らなければな」
737 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:11:27.74 ID:awnviBj5o
利根「そうじゃぞー? 金剛が酷く心配しておったのじゃ」
金剛「!? あ、えと……その……!!」ワタワタ
提督「……すまん。心配を掛けさせてしまった」
金剛「だ、大丈夫デス……! ハイ……えっと……大丈夫デス」
提督「……くくっ」
利根「なんじゃそれは……」
金剛「あの……? 私、何か変な事でも言いまシタか……?」
提督「いやなに。まるで榛名みたいだと思っただけだ」
利根「うむ。あやつは『大丈夫』という言葉が口癖じゃったからのう」
金剛「ぁぅ……」
提督「くくくっ……はははは」
金剛「そ、そんな笑う事ないじゃないデスかぁ!」
提督「いや、すまん……くくっ……」
金剛「ぅー……」ヂー
利根(うむ。良いのう。これは良いのじゃ。……じゃが、金剛が少し問題かのう?)
金剛「ぅぅー……」ヂー
提督「いやはや、悪かった。頼むから機嫌を直してくれないか?」
金剛「むぅ……しょうがないデスね……」
利根「……うーむ。うぅむ……うーむ……」
金剛「? どうしたデスか、そんなに悩んで?」
利根「いやー……少し思う所があるからのう」
738 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:11:54.21 ID:awnviBj5o
提督「思う所?」
利根「うむ。まあ簡単な話じゃ」
提督・金剛「?」
利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」
金剛「…………」
提督「……うん? どういう意味だ?」
利根「提督の隣が暇をしておる。そう言っておるのじゃ」
提督「…………」
利根「ほれ金剛よ、何をしておるのじゃ。さっさと提督の隣に座らぬか」グイグイ
金剛「え……え……?」
利根「ほれほれ早く」
金剛「ハ、ハイ……」チョコン
利根「……うむ。うむうむ。やはりこうでなくてはな」
金剛「…………?」
提督「……利根」
利根「すまぬが提督よ、我輩は急に眠気がやってきたのでー寝るっ。あんまり遅くならぬようにするのじゃぞー」トコトコ
金剛「……行ってしまいまシタ」
739 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:12:21.54 ID:awnviBj5o
提督「まったく……」
金剛「あの……良いのデスか? よく分からないまま隣に座ってしまいまシタが……」
提督「……ああ。折角の時間だ。少し話し相手になってくれるか?」
金剛「…………? テートクも利根みたいによく分からない事を言うデース……」
提督「まあ、気にするな。いつか分かるかもしれんぞ」
金剛「いつかって、いつなのデスか……もー……」
提督「くくっ。さあ、それはいつかな──?」
金剛「うー……。テートク? いくらなんでも──」
提督「まあ、それは──」
金剛「もー……──」
提督「────?」
金剛「────────」
提督「────。────」
金剛「────────? ……────」
740 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:12:48.10 ID:awnviBj5o
利根「…………」チラ
利根「……やはり、提督の隣には金剛が合っておるのう。──うむ。うむうむうむ。それに、我輩も気付いた事があるのじゃ」
利根「──我輩は、提督のあの笑顔を見ていたいのじゃなぁ」
利根「我輩達はお互いに一度壊れてしもうたが、それでも変わらぬものはある」
利根「提督は金剛を──我輩は提督のあの笑顔を──。それらを求めておる。……まあ、こう思う事自体が壊れて居るのかもしれぬが」
利根「頼んだぞ、金剛よ。我輩は、提督のその笑顔を見ていたいのじゃからな」
提督「────────」
金剛「────」
利根「…………」ニヤ
利根「くくっ。今日は良い夢を見られそうじゃ」
利根「……金剛、瑞鶴、響よ。我輩達は捻じ曲がりながらも前へ進むぞ。だから、安心して見ておってくれ」
利根「──これからが楽しみじゃ♪」
──── 利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 True End ────
741 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 03:15:17.78 ID:wA88TRM5o
おつ!
742 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/03(月) 03:26:07.65 ID:awnviBj5o
これにて『利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」』の物語は終わりです。
何年ものの長い間、お付き合い下さいましてありがとうございました。
壊れた物は完全に直る事は無いように、壊れた人もまた、完全に直る事は無いようです。
提督も利根も、金剛さんも瑞鶴も響ちゃんも、瑞鳳も、度合いは違えどどこかしら壊れて直っていません。
解決はしても元には戻らないのは、その状態で進むしかないというものです。
あと、なんか前々作辺りの細かい設定を流用してごめんよ。分からなくてもあんまり問題はありませんが、知りたいと思った方は下のURLを辿って下さいませ。
金剛「テートクのハートを掴むのは、私デース!」瑞鶴「!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382027738/
どこかで誰かが仰っていましたが、物語は終わったけどレスが少し残っていますので、少しだけ皆の希望のショートストーリーを書くかもしれません。予定は未定。
何か読みたい展開などがあって書き込んで下さいましたら拾うかも。予定は未定。
機を見てHTML依頼は出しますので、出した時は報告します。
一応、本編を現行で読めず、レスしたかったのにレス出来なかった人の為にこのSS専用のアドレスを晒しておきますので、何か感想やその他を書き残したい方が居ましたら下のアドレスにどうぞ。返せるだけ返します。
kongou_zuikaku_hibiki@yahoo.co.jp
743 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 03:29:29.36 ID:ry+NmZ5Jo
乙
744 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 03:46:21.10 ID:gWkv2hB8O
そういうのは載せない方が本当はいいんだけどね
載せると荒らしなどの格好の餌食になるしそうなった人このサイトに結構いる
確か載せないって暗黙の了解つかルールだとか聞いたことある
745 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 04:49:54.75 ID:dBE7RoSM0
このSS専用のアドレス
このSS専用のアドレス
このSS専用のアドレス
746 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 07:22:33.94 ID:y7+mKHSJO
>>745
荒らしにはそんなの関係ないしその先が荒らされたら気分害する人もいるってことだろ
747 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 08:34:59.48 ID:3g3KBKQco
完結乙!
過去作同様とても素晴らしい作品でした
748 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/04/03(月) 08:51:07.46 ID:Fw1krKyVo
乙です
749 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 09:58:54.96 ID:mexN9+j5o
漸く完結か乙
750 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/03(月) 10:41:34.15 ID:apncpL6A0
本当にお疲れさまでした!
棚ぼた含めて大淀ェ…
それとあんだけボロボロだった面々で、ここまで巻き返せるだけ凄いのか優しさからかw
リクエストはメインのメンバー以外の鎮守府組が、今後どんな風なアピールに出てるかとかどうでしょう?
751 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/04(火) 02:49:00.58 ID://LJJql60
乙でした!
752 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/04(火) 09:01:43.00 ID:DQDFD1WWO
お疲れ様
二年三ヶ月リアルタイムで追えて良かったわ
753 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/04(火) 13:08:48.77 ID:9GA5F5/Xo
おつおつ!
754 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/14(金) 01:43:35.19 ID:6zQG3Lrc0
乙!ほんとにこのシリーズ大好きだよ!
755 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/19(水) 01:44:39.54 ID:Pat0QSv5o
ちょっとしたオマケ。
>>750
を見て川内さんが思い浮かんだので殴り書いたものを投下します。超短いです。
756 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/19(水) 01:45:21.28 ID:Pat0QSv5o
「ね、提督」
ベッドに腰掛けた私の膝の上で機嫌良さそうにしている、良い香りの髪を下ろした川内が私を呼ぶ。
最近、彼女は寝る前に必ずと言って良いほどヒッソリと私の部屋へ訪れていた。理由は言わずもがな、私を誘惑する為だそうだ。
「どうした?」
初めこそはベッドの中に潜り込んでいたり露骨にいかがわしい事をしようと誘惑をしていたのだが、数日前からめっきりとそれが無くなった。
何かがあったのか、それとも心境の変化なのかは分からないが、私は内心ホッとした。正直に言うと、真正面から誘われるのは苦手なのだ。言葉遊びを多用する私にとって、直接的に面と向かって言われると返しようが無くなる。茶化すのも手かもしれないが、それは彼女に対して失礼なのでやりたくない。
「新しく作戦が始まっても、こうやって部屋に来て良い?」
意外な言葉だったので、少し驚いて手が止まってしまった。
止まった櫛を、再び彼女のサラリとした髪へ滑らせながら答える。
「構わんぞ。……むしろ、作戦があろうと無かろうと来そうなものだと思っていた」
「アハハ! 流石に提督の邪魔になるかもしれないから確認するってー」
いつものように、あどけない口調でそう言う川内。
だが、そこから続いた言葉は、そうでなかった。
「……だって、嫌われたくないしね」
いつもの彼女が晴れだとすれば、今の川内は雨雲がジワリと空を覆い始めたような灰色の寂しさだ。
何があったのだろうか──。そう思って訊いてみるも、ちょっとね、と返されてしまった。
顔が見えていない事もあり、真意は全く分からない。ただ言えるのは、川内は少しナーバスになっているのだろう、という事だけだ。
「……そうか」
あまり深くは踏み込まず、いつもの口癖を口にする。それと同時に、川内の頭をゆっくりと撫でた。
何も言わず背中を預けてくる川内。髪が近くなった事で、香りが強く鼻腔を刺激してくる。その香りの強さは彼女との距離を表しているのだが、心は真逆と離れていた。
理由など簡単だ。私は卑怯者だからである。これだけ好意を示してくる子に対し、答えを保留しているのだから。本来ならば、ハッキリと返答をした方が良いのだろう。
ズキリ、と胸が痛む。彼女を撫でる手が止まる。今の私の状態で言えば、誰に対してもOKを出すつもりは無い。それはつまり、毎晩健気に私と時間を過ごす彼女へ首を横に振るという事だ。
……その時、間違いなく彼女は悲しむだろう。もしかすると、今まで見せた事の無い涙を流すかもしれない。
それが、私は怖い。
卑怯だと分かっていても、優柔不断だと思っていても……それでも、私は踏み止まってしまう。
ヴァルハラから見守ってくれている金剛のような、特別な子が出来るまで私はこのままだろう。
「……ん。提督?」
撫でる手が止まり、頭に置いているだけとなった事が気になったのか、川内が首を捻って私へ横顔を見せてきた。
どこか諦めているような、そんな雰囲気の笑顔。それが、酷く儚く見える。この撫でていた手を動かせでもしたら崩れてしまいそうなくらい、彼女の顔は脆そうに映った。
「……………………」
「……そっか」
儚い笑顔が柔らかく変化する。母性があるというのか、それとも慈愛があるというのか、人を安心させる笑顔だ。
「ゆっくりで良いんだよ? それに今の私は、今のままが良いしね」
そう言いながら、彼女はベッドに置いた私の手に手を重ねてくる。
男のそれとは違ったほっそりとしている柔らかな感触。それが、堪らなく胸に痛みを与えてきた。
……いつまで、私は囚われているのだろうか。いつになったら心の整理を付けられるのだろうか。
「……そんな顔、しないで欲しいなぁ」
身体を捻り、向かい合う形となる川内。……傍から見るとビジュアルが非常によろしくないな、これは。
「ちょっとだけ、許してね」
757 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/19(水) 01:45:50.23 ID:Pat0QSv5o
多少の不安の色を見せる声で、彼女は私に抱き付いてきた。
あまりに急な事だったので対応も出来ず、されるがままとなってしまう。
……分からん。川内が何を考えてこうしたのか、まったく分からない。
「ね、提督。こうやってさ、ギューって抱き締めたら落ち着くよ?」
「落ち着く……?」
更に予想外の言葉を投げられ、彼女が口にした言葉をそのまま返してしまった。
……何がどう落ち着くというのだろうか。いまいち理解できない。
「うん。護ってくれているみたいで、怖い事とか不安な事とか全部考えなくても良くてさ、絶対に危険なんて無くて、それですっごいあったかいんだよ? 落ち着く以外ないじゃん?」
まるで父親に甘える娘のようだ──。
真っ先に思いついた言葉がそれだった。だが、それを口にすると不機嫌になりそうなので止めておく。娘じゃなくて女の子として見てーと言いそうだ。
「そうか」
なので、その言葉で濁して頭を撫でる。すると、気持ち良さそうに声を漏らす少女の姿がそこにあった。
私はいつも以上に甘えてくる川内の頭を撫で続ける。川内は余程気に入ったらしく、その状態を維持していた。
──が、五分もすると変化が訪れる。彼女は段々と体重を私へ預け、私を抱き締めている腕が徐々に下がり、力無く私の腰元へ落ちたのだ。
どうしたのだろうか、と一瞬だけ思ったが、すぐに事態を理解する。
何も難しい事などない。眠ってしまっただけのようだ。いつもならば眠たくなると自分の部屋へ戻るのだが……。
「……ほら川内。自分の部屋で寝なさい」
「ん……んん……?」
背中をポンポンと叩き、夢の中へと旅立ってしまった彼女をこちらへ戻す。未だまどろみの中に居る彼女は、眠たそうな目で私を見詰めてきた。その瞳には何か意志がある訳でもなく、ただただ私を見ているだけだ。
「ここで寝るぅ……」
「……こら、川内」
また珍しい事に、我侭を言ってきたので軽く叱り、無理にでも自分の部屋へ戻そうとする。風紀上よろしくないからだ。他の子達が真似でもしたら収拾つかなくなってしまう。
──いつもなら、そうしただろう。
「……ちゃんと布団の中で寝なさい。風邪をひくぞ」
だが、今日はそうしなかった。寂しそうな顔をした彼女の顔を見たからか、それとも自分の心が不安定になっているからか、はたまた両方か──。
……本当、弱くなってしまったな、私よ。
川内は、はぁい、と間延びした返事をして、彼女はもそもそと布団の中へと潜り込む。そして、布団から顔を出すとこちらへ両手を伸ばしてきた。
本当ならばその腕の中に身を収めるのが良いのだろうが、今の私ではそれは出来ない。
少しだけ考えて、その両手に腕を伸ばしてみる。すると、ゆっくりと私の腕を抱き締めて寝息を立て出した。
「今回だけだぞ……?」
聞こえていないのを分かった上で忠告する。
そんな意味の無い言葉を紡ぎながら、私も彼女と同じ布団の中へと入った。
「うん……てぇとく……すきだよ……」
若干、呂律の回っていない愛の告白。一体、彼女はどのような夢を見ているのだろうか。
空いているもう片方の手で彼女の頭を二撫でほどして、私も目を閉じた。
(──出来る事ならば、誰も悲しまない未来を描きたいものだ)
そんな叶わない願いを心で呟き、意識を手放す為に頭の中を空っぽにする。
ああ……本当に、そうなれば良いのにな……。
しがらみだらけの私の心。それが解かれるのは、一体いつになるのだろうか。
少なくとも今日、そのしがらみは僅かながら解かれたと信じたい──。
758 :
妖怪艦娘吊るし
◆I5l/cvh.9A
[saga]:2017/04/19(水) 01:47:54.68 ID:Pat0QSv5o
以上でオマケ終了です。今度こそこの物語は終わりです。
もしかしたら小説になろうとかで何かを書くかもしれませんが、見付けた時はひっそりと応援して下さいますと幸いです。
それでは、だいたい一週間後にHTML依頼を出します。お疲れ様でした。
759 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/04/19(水) 14:35:58.62 ID:kDJ6HnWA0
こういう川内も珍しいけどなかなか良いなあw
本当にお疲れさまでした!
760 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/06/06(火) 02:13:50.02 ID:L+MoWKbSO
おつでした
761 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/07/12(水) 17:50:08.65 ID:js4tyLwz0
あ
762 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/07(木) 03:09:46.33 ID:9NChUYtOo
乙
丁寧で引き込まれる物語だった
763 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2019/09/27(金) 08:59:17.72 ID:roi98Fny0
やたやた
764 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/05/30(土) 01:55:05.07 ID:PTKUhZxq0
まだ活動しているんだろうか?
607.58 KB
Speed:0.2
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
新着レスを表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)