利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」 二隻目

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373 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/04(水) 21:41:03.31 ID:AlRXC7gio
提督「──それで、1編隊には少しばかり多いが、この髑髏型偵察機を誰が使うかだが」

空母棲姫「飛龍がするべきです」

ヲ級「久し振りの、艦載機……!」ワクワク

飛龍「空母棲姫さんが一番だと思います」

利根「我輩は水上機しか分からぬからパスじゃ」

提督「……見事に意見が分かれてしまった」

空母棲姫「飛龍……なぜ私を候補に挙げたのかしら?」ジィ

飛龍「だって、この中で艦載機運用能力が一番高いのって空母棲姫さんだからですよ。……悔しいですけど、私では同じ条件で勝てそうにありません」

利根「……まあ確かに、制空権を確保されているのにも関わらず的確に相手へ攻撃を仕掛けるなどという芸当が出来るのはお主くらいじゃのう」

ヲ級「んー、そうだよね。姫、やろ?」

空母棲姫「…………」

提督「だそうだが、どうする空母棲姫?」

空母棲姫「……悩みます」

ヲ級「どうして?」

空母棲姫「敵である私に兵装を本当に与える直前にまで来てしまった事と、提督を説得出来るという自信がほとんど無くなってしまって私が折れてしまいそうだからよ……」

提督「よし。そのまま折ってしまおう」

空母棲姫「軽々しく言わないで下さい……」

提督「ふむ……。──空母棲姫、私に力を貸してくれないだろうか。今の私には、お前の力が必要だ」

空母棲姫「……その言い方はズルいです。断れないじゃないですか……」

提督「私はズルい人間だよ。──そして飛龍にも頼みがある」

飛龍「? なんですか?」
374 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/04(水) 21:41:39.78 ID:AlRXC7gio
提督「この髑髏艦載機を取り扱えるか試してみて欲しい。もし可能であれば、その技術を取り入れて飛龍たち空母の強化にも繋がる。……もしかすると、下田鎮守府と全面戦争する可能性だってゼロではないからな。備えはあればあるほど良い」

利根「全面戦争とは怖い単語じゃのう……」

提督「その他にも、あのレ級がいつ来るかも分からん。飛龍と加賀の二人でも制空権を確保できなかった事を考えると、あいつ自身も艦載機運用能力は高い。こちらも強化が出来るのならばするべきだ。……恐らく、あのレ級は狙った獲物を逃さない」

飛龍「……なるほど。あれ一隻であの制空力は確かに脅威です。どんな手を使ってでも、私達は提督をお守りします!」

提督「こら飛龍。『どんな手でも』なんて軽々しく言うんじゃない。お前達が私を大事にしてくれるのは分かっているが、それも限度を考えろ。まずは自分の身を守れ。他人の事を気にするのはそれからだ」

飛龍「ぅ……はい……」シュン…

瑞鶴「…………」ジー

響(どうしたんだい、瑞鶴さん)ヒソ

瑞鶴(ん……良いなって思ってね)ヒソ

響(……うん。私もそう思うよ)ヒソ

提督「では二人とも、頼んだぞ。──まずは空母棲姫。発艦後、海面ギリギリの高度を維持しつつ沖へ向かえ。それから下田鎮守府へ向かわせろ」

空母棲姫「分かりました」

提督「次に飛龍。同じく発艦後、海面ギリギリの高度を維持しつつ沖へ向かい、そのまま旋回や最高加速、最高速度、その他諸々を覚えろ」

飛龍「了解です!」

提督「では、やれ!」

空母棲姫・飛龍「はい!」

ヒュパッ──!

空母棲姫「──ん、私の方は少し動きが重いけれど大丈夫よ」

飛龍「……あの、私の方はうんともすんとも言いません」

提督「む?」

飛龍「というより、意識の連結が出来ません……。これ、艦載機ですよね……?」

提督「……すまん。私は艦娘や深海棲艦ではないから分からん。空母棲姫、何か心当たりはあるか?」
375 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/04(水) 21:42:14.82 ID:AlRXC7gio
空母棲姫「……もしかすると、艦娘は深海棲艦の装備を使う事が出来ないのかもしれないわね」

提督「識別信号でもあるのか?」

空母棲姫「いいえ、そんなものは無いわ。……ただ、私もこればかりは感覚で使っているものだから説明が難しいわね。飛龍もそうでしょう? 艦載機をどうやって自在に操っているかなんて、考えた事無いわよね?」

飛龍「えっと、はい」

提督「ふむ……。開発妖精、深海棲艦の技術を艦娘用の艦載機に移転できるか?」

開発妖精「それはちょっと難しいっていうか無理かも……何もかも違い過ぎて……。提督の持ってたサンプルも分解して理解するのに苦労したよー……」

提督「そうか……残念だ……」

利根「……しかし、どこからそんなサンプルを手に入れたんじゃ?」

提督「お前と一緒に釣ったアレだ」

利根「なんでそんなもの持って帰ってきたのじゃ……」

提督「何かに使えるかもしれんと思ってな」

瑞鶴「ま、まあ……それで今回はこうして空母棲姫さんの艦載機を作れた訳だし、ね?」

響「……少し気になったんだけど、良いかな」

提督「どうした」

響「確か横須賀から下田まで直線距離でも100kmくらいはあったよね? そんなに燃料は保つの?」

空母棲姫「私達の兵装に燃料は必要無いわ。強いて言うならば、後悔の念や怒りなど、負の感情が燃料であり、全てのエネルギー源よ」

利根「という事は、今もお主は何か負の感情を持っているという事かの?」

空母棲姫「そうなるわね。貴方達に対しては無いけれど、深海棲艦としての私の中にある蓄積された負の感情を使っているわ。──ああ、なるほど。だから艦娘は深海棲艦の兵装が使えないのね」チラ

飛龍「えーっと……私だって悔しいって思ったり悲しい気持ちになったりしますよ?」

空母棲姫「その度合いが違うのでしょうね、きっと」
376 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/04(水) 21:42:44.87 ID:AlRXC7gio
響「……でも、ヲ級さんは負の感情があるように見えないけれど」

ヲ級「ね、ね。何か、遊ぶ道具って、無い?」

建造妖精「んー……ここは遊び場じゃなくて工廠だからねー……」

ヲ級「ぁぅー……」

開発妖精(この子、暇なんだろうなぁ……)

空母棲姫「あの子もあの子で何か抱えているのだと思うわ。私は怒りと後悔がほとんどだけれど、全員が全員同じとは思えないもの」

提督「深海棲艦にも色々とあるのだな」

空母棲姫「そうよ。……ただ、私達は例外だと思うけれど」

利根「人間や艦娘に心を開いてくれる深海棲艦など滅多に居らんじゃろうなぁ」

空母棲姫「利根、もう一度吊るしてあげようかしら?」ニッコリ

利根「ひっ……!」ビクンッ

提督「だが、そうしてくれたからこそ今の私達が居る。お前も、あの時に様子を見るという事をしてくれたからここに居るんだ」

空母棲姫「…………確かに、嫌いではありませんが……」

提督「素直になっても良いんだぞ。私は勿論、ここに居る者達はお前達を仲間だと認めている」

空母棲姫「……そうやって篭絡した子は何人居るのかしら」

提督「さて。篭絡しようと思ってやっている訳ではないから分からん」

利根「この鎮守府に居る全員が篭絡されておるようなものではないか」

提督「空母棲姫、後で利根を吊るそうか」

空母棲姫「良いですね。二人で合わせて時間も倍という事でどうでしょう」

提督「良い案だ」

利根「さっきから我輩の扱いが酷くないか!?」

提督「こうやってお前をイヂるのはとても心地良い」ワシャワシャ
377 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/04(水) 21:43:29.64 ID:AlRXC7gio
利根「むぅー……。いい加減にせぬと拗ねるぞ……」

提督「それは困るから、ここらで止めておこう。拗ねられてしまったら愛でるの範疇を超えてしまう」

利根「もう半分拗ねておるわ。……後で背中にのしかからせてくれたら許すのじゃ」

提督「その程度で良いのならば」

利根「うむ! 約束じゃぞ!」

提督「ああ、約束だ」

空母棲姫「……………………」

空母棲姫(……本当、仲が良いわね。少し……少しだけ、羨ましいです)

提督「ふむ」

空母棲姫「…………? 何かしら。私の顔に何か付いていて?」

提督「よく観察するとお前は分かりやすい──いや、分かりやすくなってきた、と思ってな」

空母棲姫「……………………なんですって?」

提督「そのままの意味だ。怒っている時など顕著に。今のように哀愁を感じている時も弱々しい表情をするようになっている。嬉しい時も口元は笑っているしな」

空母棲姫「……貴方達が悪いのよ、貴方達が」

提督「良い悪事だ。これからもいつも通り接するとしよう」

空母棲姫「もう……」

飛龍(あ、嬉しそうな顔ですね)

利根(なるほど。確かに分かりやすいのう)

瑞鶴(……なんだか、ここの加賀さんに似てる?)

響(旦那さんとお嫁さん……うん。やっぱりそう見えるね)

空母棲姫「──沖へ出たわ。これから周囲を警戒しつつ下田へ向かいます」

提督「ああ。任せた」

…………………………………………。
378 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/04(水) 21:45:24.10 ID:AlRXC7gio
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。

GWは身体が疲れます。皆さんもお気を付けて……。
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/04(水) 21:56:29.52 ID:PDgHomI7o
乙です
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 22:33:29.44 ID:1STTOT+x0

さすが良妻空母
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/05(木) 00:01:52.78 ID:Pgf1cMBLO
普段厳しい姫の嬉しそうな顔なんて反則だよな
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/05(木) 00:52:46.80 ID:GbtOAL6J0
乙 姫可愛い
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/05(木) 15:44:52.61 ID:2vICxVQlO
このスレのせいでイベントに姫が出てきたら倒す自信ないぞ
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/06(金) 05:38:49.01 ID:OA9c+gtOO
うちに空母棲姫が着任してくれません
どこでドロップするんですか?
385 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/12(木) 01:55:14.23 ID:Jqc775X6o
空母棲姫「……妙ですね」

提督「妙? 何かあったのか」

空母棲姫「何かが『あった』というよりも、あるべきモノが『無い』と言った方が正しいです」

利根「あるべきモノ……?」

空母棲姫「海と空、その両方の哨戒が無いわ。所謂がら空きの状態よ」

瑞鶴「がら空きって……おかしいわね。最低でも偵察機で哨戒はしていたわよ。私も何回かはやった事があるし……」

響「鎮守府近海の警備も駆逐艦四隻で随時やっていたよ」

空母棲姫「……そのどちらも見当たらないわ。もう鎮守府全体が見えている距離なのに……どういう事なのでしょうか……」

飛龍「……防衛に回すべき戦力すら使って深海棲艦を倒しているのでしょうか」

提督「流石にそこまでおかしい事をするとは思えんが……。一体どうなっているんだ。空母棲姫、ギリギリまで近付けるか?」

空母棲姫「分かりました。山を背にしつつ建物内部の様子を調べます」

空母棲姫「…………やけに艦娘の姿が少ないわね。本当に防衛に回すべき戦力すら戦闘に駆り出しているのかしら」

瑞鶴「えっと……数が少ないように見えるのは、ほとんどの艦娘が自分の部屋で休んでるからだと思う。休める時に休まないと、いつ無理を言われるか分からなかったから……」

空母棲姫「なるほどね。……それにしても、嫌な雰囲気の漂う鎮守府ですね。まるで、悪魔でも住んでいるかのようです」

瑞鶴・響「……………………」

空母棲姫「貴女達の想像している意味とは違うわ。もっと別の、何か異質な雰囲気よ」

瑞鶴「……異質?」

空母棲姫「ええ。言葉で表現しにくいけれど、化け物が潜んでいるかのような……そんな異質さよ」

提督「二人とも、心当たりはあるか?」

響「……私は無いかな。あの司令官は化け物っていうより権力と暴力で捻じ伏せる人だったしね」

瑞鶴「私も響ちゃんと同じ。心当たり所か見当すらつかないわ」

提督「そうか……。空母棲姫、撃墜されても構わん。隠密に調べられるだけ調べてくれ」

空母棲姫「分かりました」

…………………………………………。
386 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/12(木) 01:55:40.73 ID:Jqc775X6o
ヲ級「!」ピクン

提督「む。どうした?」

利根「何かあったのか?」

ヲ級「ご飯の仕込み、そろそろ、しなきゃ!」

空母棲姫「…………」

利根「ほう、もうそんな時間か。通りで腹が空いておる訳じゃ」

提督「……そうだな。行ってきて良いぞ。瑞鶴、利根、見付からないように先行を頼む。そして、空母棲姫は任務中だと伝えてくれ」

利根「うむ、心得た」

瑞鶴「うん、分かったわ」

ヲ級「いってきまーす!」タタタ

瑞鶴「ああ、こら! 走らないの!」タタタッ

利根「ヲ級は元気じゃのう」タタッ

響「いってらっしゃい」フリフリ

空母棲姫「……あの、提督」

提督「そうだな……空母棲姫は機体を回収してからなら良いぞ。恐らく配膳の頃になると思うが──」

空母棲姫「待って下さい。機体を回収と言いましたか?」

提督「ああ、そう言ったぞ」

空母棲姫「……もう突っ込みません。お前なら問題無い、と仰るのでしょう?」

提督「よく分かっているじゃないか」

空母棲姫「いい加減、慣れます。……貴方はお人好し過ぎます。いつか、足元を掬われるわよ」

提督「それくらいの見分けは出来ているつもりだ」
387 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/12(木) 01:56:17.87 ID:Jqc775X6o
空母棲姫「またそうやっ──偵察機が艦娘に見付かりました」

提督「む、見付かってしまったか。仕方が無い。もっと沖の方へ逃げるように動け。もし残れば低空飛行で戻らせよう」

空母棲姫「分かりました。…………? おかしいですね。撃墜しようとしてきません」

提督「対空兵装をまともに装備していないのか?」

空母棲姫「いえ、駆逐艦四隻ですが対空砲は装備しています。……まるで、偵察機を確認しているかのようですね」

提督「……ふむ」

空母棲姫「……………………何の冗談かしら。何もしてこなかったわ」

提督「……無駄な戦闘を避けたかったという訳でもないのか? 傷を負っていたりはしていたか?」

空母棲姫「少なくとも無傷でした。砲を向けてくるという事もしてきませんでしたので、本当にどういう事か……」

響「……ねえ、駆逐艦が四隻って言ってたよね。艦名まで分かるかい?」

空母棲姫「艦は暁型が三隻と不明の艦が一隻よ。……そうね、貴女を白くしたような艦娘だったわ」

響「装備は全員、両脇に高射装置付きの高角砲と水上電探だったのかな?」

空母棲姫「……なぜ分かったの?」

響「やっぱり」

提督「……なるほど。その駆逐艦たちは下田鎮守府の近海警備という訳か」

響「うん。この辺りでその編成、その装備なら下田鎮守府で間違いないと思う」

空母棲姫「でも、敵の偵察機を見過ごすなんて、どういう事なのかしら……。戦果を挙げているという話だったけれど、こんな事をしていたら戦果なんてとても──」

空母棲姫「…………」

提督「もしかしたら、そういう事かもしれんぞ」

空母棲姫「いえ、でもそれは……」

響「? どういう事なんだい?」
388 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/12(木) 01:56:44.55 ID:Jqc775X6o
提督「空母棲姫やヲ級以外にも人間へ協力している深海棲艦が居る、という可能性があるという事だ。そして、その深海棲艦には艦載機を扱う者が居る」

響「……確かに居てもおかしくないと思うけれど、どっちかって言うと鹵獲して利用しているって言った方がまだ信じられるかな」

提督「これは提督と総司令部にだけ言われている事だが、鹵獲は禁忌とされている」

響「禁忌? なぜなんだい?」

提督「鹵獲した鎮守府は、必ずその深海棲艦によって破壊されてきている。一体何をしたのかは分からんが、どの深海棲艦も異常な強さになったとの事だ。無論、鹵獲された深海棲艦も協力なんてしていない」

響「……じゃあ、下田に居る深海棲艦は自らの意思で協力しているって事?」

提督「そうなる。……あくまで下田鎮守府に深海棲艦が居れば、の話だが」

空母棲姫「……本当に居るかもしれませんね」

提督「ほう」

空母棲姫「あの鎮守府から感じる化け物のような雰囲気は、凶悪な深海棲艦のモノだと言われると納得できます。恐らくですが、あの島で会った戦艦と同等かと思われます」

提督「だが、なぜ深海棲艦が仲間を大量に沈めるなどという事をするんだ? その理由が思い付かん」

空母棲姫「それは……私も分かりません。そんな事をして何があるのか……」

提督「……担当海域を広げさせ、大きな権力を手に入れてから総司令部を乗っ取るつもりか?」

空母棲姫「少し無理があります。非常に難しく時間も掛かる上、事を知った者達が蜂起してしまえば簡単に叩き潰されてしまいます」

提督「そうなるな。……一体、何を考えているんだ?」

空母棲姫「分かりません……。ですが、用心するに越した事はないかと」

提督「ああ。気を付けておくとしよう。──気を付けるにあたってだが、やはり空母棲姫の偵察機は回収しておきたい。これからも下田鎮守府を偵察する際にはその機体を使っていこう」

空母棲姫「分かりました。必ず帰還させます」
389 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/12(木) 01:57:11.01 ID:Jqc775X6o
響「…………」ジー

空母棲姫「? 何かしら」

響「なんだか嬉しくなったから、つい」

空母棲姫「嬉しく?」

響「うん。そうやって空母棲姫さんが協力してくれていると、凄く心強いからね」

空母棲姫「……煽てても何も出ないわよ」

響「私の正直な感想さ。空母棲姫さんは信頼できる。それが、より一層強く思えたよ」

空母棲姫「……まったくもう。貴女も提督に影響されてしまったのね」

響「きっと、空母棲姫さんの事を知った人ならばそう思うさ。──司令官、今度、暁たちに会わせてみないかい?」

提督「ふむ……そうだな。悪くない。まずは暁と雷、電の三人に紹介してみるか」

空母棲姫「本当に大丈夫かしら……」

提督「私を信じろ」

空母棲姫「……良いですね。提督の言葉なら、少しだけ安心できます」ニコ

提督「ほう」

空母棲姫「!!」ハッ

空母棲姫「…………」フイッ

響(照れてる)

提督「…………」ポン

空母棲姫「……なぜ、頭に手を?」

提督「ゆっくりで良い。ゆっくりと、歩くような早さで」

空母棲姫「……………………」コクリ

響(……なるほど。これは確かに『篭絡』かもしれない。随分と優しくて、相手に任せた篭絡だけどね)

…………………………………………。
390 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/12(木) 01:58:47.71 ID:Jqc775X6o
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。

次からまた日常パートになるかも。もしかすると、最後のほのぼのパート?
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/12(木) 02:00:36.72 ID:OekC/ruKo
乙です
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/12(木) 05:53:28.68 ID:cSIDKKxG0

姫に足元を掬われるなら本望だ(夜戦的な意味で)
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/12(木) 20:46:44.84 ID:6GgcEUjvO

姫攻略か、胸が熱いな
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/15(日) 23:39:14.25 ID:jDe4wye30
今追いついた
作品の完結を期待します。
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/15(日) 23:56:31.68 ID:jDe4wye30
やっと追いついた
完結に期待
396 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/23(月) 19:19:49.63 ID:kMfYaA4Ao
金剛「──二日後に、私をデスか?」

提督「ああ。幽霊騒ぎもほとんど収まってきている。そろそろ金剛をこの部屋から出しても良いだろう」

金剛「……大丈夫でショウか」

提督「……正直に言うと、初めは一悶着があるだろう。だが、大きな問題にはならないと信じている」

金剛「ならないではなく『信じている』なのデスか?」

提督「そうだ。確実だとは私も自信を持って言えない……だが、私はあの子達を信じる。きっと理解してくれる、と」

金剛「──ハイ。私も、テートクとこの鎮守府に居る皆さんを信じマス」ニコ

提督「ああ。きっと大丈夫だ」

金剛「……ところでテートク。そろそろもう一人の私とお話ししマスか?」

提督「嬉しい申し出だが、無理はしていないか?」

金剛「ハイ。今日も調子はベリーファイン、デス!」

提督「…………」

金剛「……あの、テートク? どうかしまシタか?」

提督「いや、一つ気になった事があってな」

金剛「気になった事、デスか?」

提督「うむ。意識を引っ込めた方とも会話が出来るのか、とな」

金剛「えーと……?」

提督「つまり、お前と中に居る金剛と同時に話す事は可能かどうか、という疑問だ」

金剛「んー……似たような事ならば出来ると思うデス」

提督「というと?」

金剛「表に出ている方が、中に居る方の言葉を代弁するという方法デス」
397 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/23(月) 19:20:17.04 ID:kMfYaA4Ao
提督「なるほど。それは負担が少ないのか?」

金剛「どうでショウか……やってみマスね」

提督「頼む」

金剛「では──」スッ

提督「む?」

金剛「…………」パチッ

提督・金剛「…………?」

金剛「えーっと、少し聞いてみるデス」

提督「お前もそう思ったか。聞いてみてくれ」

金剛「ハイ。……………………どうやら、まずは私とテートクを会わせたかったらしいデス。……気を遣い過ぎデース」

提督「なるほど、そういう事か。……なんだか申し訳ないな」

金剛「イエス……」

提督「……しかし、間接的にとはいえ三人で会話をする事も出来るのは良い発見だ」

金剛「良い発見、デスか?」

提督「ああ。今までは表に出ている方としか会話をしていなかっただろう? つまり、部屋の中に三人居るのに一人だけ除け者にしているような状態だった。それが解消できると分かったのは良い事だ」

金剛「なるほど。確かにそれはグッドな発見デース!」

提督「それで、負担の方はどうだ? やけに疲れるとか違和感とかはあるか? 中に居る金剛も答えてくれ」

金剛「……………………この子に負担は無いようデス。違和感は声を出そうとしているのに声が出ていない事くらいだそうデス」

提督「ふむ、そうか。お前はどうなんだ?」

金剛「んー……なんと言いマスか、変な違和感はあるデス」

提督「変な違和感?」
398 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/23(月) 19:20:43.29 ID:kMfYaA4Ao
金剛「イエス。抽象的デスが、ぽわーっとしているような、ふわふわとしているような……そんな、寝起きでまどろんでいるような感じネ」

提督「ふむ……。あまり良くない事なのだろうか」

金剛「そうなのデスか?」

提督「いや、私の勝手な推測だ。根拠も何も無い」

金剛「……そう言っている時のテートクの言葉は当たっている事が多かったデス。何かあるかもしれまセンね」

提督「そう不安にさせるんじゃない。中に居る金剛も不安に思うだろう。──中に居る金剛も違和感などはあるか?」

金剛「……………………特には無いそうデス。強いて言うならば、心の中で会話しているみたいなこの状態が不思議な感覚だそうデス」

提督「ふむ、そうか。二人とも、何か異常があればすぐに言うんだぞ」

金剛「分かりまシタ。この子も頷いてくれたデース」

提督「うむ。……しかし、一つ疑問に思った事があるんだが」

金剛「? どうかしまシタか?」

提督「今表に出ている金剛が姉で、中に居る金剛が妹のような立ち位置になっていると思ってな。何かあったのか?」

金剛「いえ、特に何かがあったという事は無いデス。自然とこうなりまシタ」

提督「ふむ。そうか」

金剛「……………………」ホッコリ

提督「? どうした? そんな優しい笑顔を浮かべて」

金剛「この子から小動物のようにシスターと呼ばれたので、庇護欲が掻き立てられまシテ」

金剛「ん……?」

提督「! どうした金剛」

金剛「……ソーリィ。そろそろ限界のようデス。頭がボーっとしてきまシタ……」

提督「そうか……。ゆっくり休んでくれ」ナデ
399 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/23(月) 19:21:09.78 ID:kMfYaA4Ao
金剛「んー……♪ グッナイ、テートク……。また、こうや……て……」スッ

提督「……おやすみ」ナデナデ

金剛「!」ピクン

提督「おかえり、金剛」ナデ

提督「気を遣ってくれてありがとう」スッ

金剛「いえ、私はこのくらいしか役に立てないデスから……」

金剛(……最後の一撫では、わざとだったのでショウか? ……嬉しいと思うのは、良くないのに)

提督「そんな事はないから安心しろ。そして、些か気にし過ぎだ。もっとお前のやりたいようにやっても良いんだぞ」

金剛「えっと……ハイ」

提督「うむ。──ところで、体調は大丈夫か?」

金剛「ハイ。それに関してはノープロブレム、デス」

提督「ふむ」ジッ

金剛「…………? あ、あの、テートク? どうかしたデスか?」

提督「少しずつだが、お前の事が分かってきたからな。さっきの言い方から察するに、気にしなくても良いくらいの何かがあるのだろう?」

金剛「! うぅ……ハイ……」

提督「どういう状態なんだ?」

金剛「……ほんの少しデスが、頭がポーっとしマス。重力が半分になったような、軽い浮遊感もあるデス」

提督「そうか。時間も時間だ。今日はもう寝てしまおう」

金剛「ハイ。分かりまシタ」

提督「それと、二日後に備えて心の準備はしておいてくれ」

金剛「心の準備デスか?」
400 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/23(月) 19:21:36.81 ID:kMfYaA4Ao
提督「ああ。あくまでその時の金剛と私は初対面だ。それを忘れないでくれ」

金剛「なるほど。本来ならば知らない事を知っていたりしているとおかしい、という事デスね」

提督「そういう事だ。頼むぞ」ポンポン

金剛「あ、また……」

提督「このくらいならば良いだろう?」

金剛「むー……」

提督「不安ならば姉に聞いてみると良い。きっと笑われるぞ」

金剛「……本当にそうなりそうデース」

提督「それと、二日後は私がこうしても困った顔をしないでくれ」

金剛「う……が、頑張りマス!」

提督「よろしい。──では、また明日な、金剛」スッ

金剛「ハイ。おやすみデス」

提督「おやすみだ」

ガチャ──パタン

金剛「……………………」

金剛「シスター……本当にこれで良いのデスか……?」

……………………
…………
……
401 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/23(月) 19:22:33.11 ID:kMfYaA4Ao
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。

疲れてて更新が遅くなってごめんよ。
そして、もうちょっとだけほのぼのパートは続くんじゃよ。
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/23(月) 20:52:03.70 ID:2PBF6uV2o
乙です
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/23(月) 22:24:32.91 ID:1Ozv8dfAO
長門が吊されたシーンはカットなのかな?いつかはやってくれるのか?
404 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/05/24(火) 01:25:27.94 ID:2Gu4mc1ho
>>403
完全に忘れてました。どこかで組み込みます。必ず。絶対に。何があっても。
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/26(木) 02:14:03.89 ID:UPZ/iap9O
スレタイで金剛が提督してるのかと思ってたから見てなかったけど
前スレから読み始めた面白かった、おかげでここ2、3日寝る時間削って読んでた
ヲーちゃんも姫も可愛い
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/26(木) 05:09:02.28 ID:i9v/WSUJO
深海悽艦って艦娘が強い負の感情を抱いたまま沈んだ姿
だとしたら間宮も一応艦娘で沈んだ場合に深海悽艦になったら補給悽艦とにでもなるのか?
イベントボスで味方が全員沈んだ時に生きてれば一度だけ補給で全艦復活とか
407 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/02(木) 10:00:30.04 ID:4Y1+l+d4o
暁「私達に特別な用事って何かしら?」トテトテ

雷「きっと、とっても大事なコトよ! 司令官が特定の艦娘を呼ぶだなんて滅多に無いもの!」トコトコ

電「はわわ……! 一体どんな事なのでしょうか……!」トコトコ

響(……さて、大丈夫だとは思うけど、暁がちょっと不安かな)トコトコ

雷「着いたわ! ノックするわね!」スッ

暁「あ! 私! 私がする!」

雷「ちゃんと三回ノックするのよ?」

暁「ぅ、バカにしないでよね。そのくらい分かってるわよ」

響(これは知らなかったと見た)

コン……コン……コン……

提督「入れ」

ガチャ──パタン

響「司令官、言われた通り来たよ」

雷「それで、特別な用事って何? 何なのかしらっ?」キラキラ

電「…………!」ワクワク

暁「…………っ」ソワソワ

提督「その事なんだが、まずは約束して欲しい事がある」

暁「約束?」

提督「ああ。今日の事は非常にランクの高い機密だ。この事は誰に何を聞かれようと、鎮守府から漏らさないと約束してくれ」

電「ハ、ハイなのです!」ピシッ

暁「わ、分かったわ!」ピシッ

雷「はいっ!」ピシッ

響「了解だよ、司令官」ピシッ
408 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/02(木) 10:01:02.91 ID:4Y1+l+d4o
提督「それともう一つ。絶対に大声を出さないでくれ。良いな?」

四人「!」コクリ

提督「よろしい。──二人とも、出てきて良いぞ」

ヲ級「はーい!」ヒョコッ

空母棲姫「…………」スッ

三人「────ッ!!?」ビクッ

暁「ピ──!?」

響「はい、静かにね暁」ムギュ

暁「んぎゅーっっ!!?」モゴモゴ

雷・電「…………」

響(二人は顔が真っ青になって声も出ない、か。やっぱりそうなるよね)

提督「見ての通り、二人は深海棲艦だ。だが、この二人は私や利根の命の恩人でもある」

電「……え?」

空母棲姫「またそうやって誤解を招くような……」

提督「事実だろう? あの時、食糧を確保できるという保証なぞ無かった。そんな中で大量の魚や貝、海草を採ってきてくれたのは誰だったかな?」

空母棲姫「それは……」

提督「私ならばなんとか出来るだろう──と思うのは間違いだ。どうにもならん時なんていくらでもあるし、判断のミスもある。あの時はどうにもならない状況だったのはお前も分かっているんじゃないのか?」

空母棲姫「…………」

提督「それに、私の悩みを解消してくれた事も忘れんぞ」

空母棲姫「あれは──……いえ、貴方には何を言っても勝てそうにないわ……」

ヲ級「私、あの時の、魚が一番、好き! 今度、採ってきて、良いっ?」キラキラ
409 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/02(木) 10:01:29.92 ID:4Y1+l+d4o
提督「もう少し状況が落ち着いてからならば良いぞ。きっと、間宮や伊良湖だけでなく皆が喜ぶだろう」

ヲ級「わーい!」ピョンピョン

三人「……………………」パチクリ

響(なんとなく、こうなるのは予想できたよ)

電「……あの、司令官さん」

提督「どうした、電」

電「……私の勘違いでなければ、二人は敵……ですよね? 空母ヲ級と空母棲姫ですよね……?」

提督「間違ってはいないが、大きく違う点がある」

雷「違うところ……?」

提督「そうだ。見ての通り二人は敵対していない。むしろ、協力してくれているくらいだ。さっきも言ったが、私と利根がこの鎮守府を離れて島暮らしをしている際にも生きる手助けをしてくれた。私にとって、この二人は皆と同じく仲間だ」

三人「…………」ジー

ヲ級「?」ニパー

雷「……司令官、二人が敵じゃないっていうのは司令官を見て分かったわ。けど、どうして私達にそれを教えたの?」

提督「簡単だ。二人は深海棲艦である以上、身を隠しながら行動しなければならない。それをなんとかしてやりたいと思ったからだ」

電「えっと……皆が受け入れてくれれば、鎮守府の中を自由に歩けるようになるから……なのです?」

提督「そういう事だ。それでまずは電たちに紹介する事にした」

雷「……でも、流石にちょっと怖いわ」

響「まあ、そうなるよね」トコトコ

暁「ひ、響……?」

響「二人とも、調子はどうだい?」

ヲ級「今日も、元気、だよ!」

空母棲姫「……悪くはない」

響「それは良いって事なのかな?」
410 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/02(木) 10:01:56.77 ID:4Y1+l+d4o
空母棲姫「む…………はぁ……そういう事ね」

響「…………」ニヤ

空母棲姫「本当、貴女はこの方に影響されているわね?」

響「されるなっていう方が無理だと思うよ」チラ

空母棲姫「それもそうね」チラ

提督「褒め言葉として受け取っておこう」

空母棲姫「もう……これなんだから……」

三人「…………」

電(あれ……? なんだか普通なのです……)

雷(なんか深海棲艦とか敵って感じがしないわ……。深海棲艦なのに……)

暁(…………)

暁「……思ったんだけど、どうして響はその二人と仲が良いの?」

提督「簡単な話だ。教える前に響にバレてしまった。それで三人よりも先に交流していたって所だな」

暁「……そうなのね」

提督「ああ。良かったら響と同じく仲良くしてやってくれ」

暁「……私はもう少し様子を見るわ」

雷「じゃあ、私はこれからちょっとだけお話ししてみようかしら」

電「わ、私もなのです」

響「私はいつも通りかな」

暁「う……わ、分かったわよ! 私も一緒に居るわ!」

提督「お姉さんは辛いな」

暁「うぅー……」

空母棲姫「無理はしなくても良いのよ?」

暁「この人に言われると、なんか複雑な気分……」

提督「まあ、直に慣れるだろう」

暁「ううぅー……」

…………………………………………。
411 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/02(木) 10:02:57.65 ID:4Y1+l+d4o
今回はここまでです。また一週間後くらいにきますね。

この後、第六駆逐隊の三人がどうなるかは想像するまでもないですね。
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/02(木) 15:27:05.91 ID:oAzYd+7Do
乙です
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/02(木) 22:27:58.88 ID:1kFL59wZ0

414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 14:23:14.14 ID:i8UWGWzWO
一週間すぎたがまだか
415 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/12(日) 01:06:10.10 ID:dCKzIXvTo
提督「──とまあ、今言ったように暁たちは空母棲姫たちと打ち解けたと言って良いだろう」

金剛「やっぱりデスね。あの二人ならばすぐに仲良くなれると思いまシタ」

提督「そして、お前もすぐに皆の中に溶け込めるだろう」

金剛「それは……どうデスかね? 皆さんにとって、私はやっぱり──」

提督「大丈夫だ。初めこそ動揺されるだろうが、すぐに受け入れてくれるさ。瑞鶴と響の時もそうだった。心配する事はないぞ」ポンポン

金剛「……ハイっ」ニコ

利根「うむうむ。そうじゃぞ」ニコニコ

利根(──うむ。良い雰囲気じゃのう。やはり提督はこの笑顔が一番じゃ。きっと、この笑顔を引き出せるのは金剛だけじゃろうなぁ)

利根(いや……『金剛』だから、なのかのう? 金剛であり『金剛』でもあるから、この笑顔に出来るのじゃろうか)

利根「うーむ」

金剛「? どうシタですか、利根?」

利根「なんだか今日は眠くなるのが早くてのう。すまぬが、我輩は先に寝るのじゃ。眠気には逆らえぬ」スッ

提督「……ふむ」

金剛「珍しいデスね?」

利根「こういう事もあるじゃろうて。──では、おやすみなのじゃー」

利根(しっかりと堪能しておくのじゃぞ、提督よ)ニヤ

ガチャ──パタン

金剛「グッナ……もう行ってしまいまシタ。なんだか今日の利根、不思議な感じでシタね?」

提督(……あいつめ、変な気を回したな)

提督「まったく……」

金剛「?」
416 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/12(日) 01:06:42.60 ID:dCKzIXvTo
提督「まあ、あいつが深読みをしたという所だ」

金剛「深読み、デスか?」

金剛「──あ、なるほど」

提督「教えて貰ったのか」

金剛「ハイ。けど、本当にシスターは皆さんの事をよく分かっているデスね。私にはどういう事なのか検討もつかなかったデス」

提督「何年も一緒に居るから分かる事だ。そうでなかったら分からないのが普通だろう?」

金剛「……………………」

提督「うん?」

金剛「ぁ……い、いえ。なんでもないデス」

提督「……そうか」

提督(……下田の仲間達の事を、よく分かっていなかったのだろうか)

金剛「! ……あ、あの…………」

提督「どうした?」

金剛「私が何を考えていたのか、分かってしまったデスか……?」

提督「いや、分からんよ。出来るのは憶測くらいだ」

金剛「……なんだか、テートクならば私の考えていた事を言い当てそうデス」

提督「さて、それは分からんな」

金剛「…………? えっと、それはどういう…………あぅ……分かりまシタ……」

提督「……金剛、この子に何かを吹き込んでいるな?」

金剛「……………………テートクはこういう時に頑固になるから、何を考えていたのかも教えてくれなくなると言っていまシタ」

提督「…………」フイッ

金剛(顔を背けた……という事は、当たっているのデスかね?)

提督「ところで話は変わるが、明日の準備は出来ているか?」

金剛「正式に私が在籍するお話デスね。ハイ。ちゃんと頭の中でイメージトレーニングも出来ていマス」

提督「よろしい。ならば、最終確認として私と会話をしてみよう。明日の予行演習だ。──金剛、これからよろしく頼む」

金剛「ハイ。こちらこそよろしくデス」ペコ

提督「……ふむ。硬いな」

金剛「あう……硬いデスか」

提督「そうだな。硬い。もっと素直に自分を曝け出して構わんのだぞ?」

金剛「それは失礼のような……」

提督「……ふうむ。ならば──」

金剛「えっと、それでしタラ──」

提督「────────」

金剛「────? ────────!」

…………………………………………。
417 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/12(日) 01:07:13.32 ID:dCKzIXvTo
利根「…………」ボー

利根「……綺麗な月じゃのう。星々も自己主張するかのように強く輝いていて良い夜空じゃ」

利根「…………」モグモグ

利根「うむ。うむうむ! ヲ級に空母棲姫め、また腕を上げおったな? 美味い饅頭なのじゃ。……まあ我輩一人じゃから、ちと寂しいがの」

利根「うーむ。誰かを呼んでみるかの? 筑摩……はまだ鎮守府に居らなんだな。まったく。一体いつになったらこの鎮守府にやってくるのじゃ。姉不幸者め」

利根「まず駆逐艦の皆はもう寝ておるじゃろうなぁ。軽巡の者もそろそろ寝る頃のはずじゃ。重巡は……たしか今日、軽空母の皆と酒を飲み交わしておるんじゃったか。我輩は酒が飲めぬから邪魔をする訳にもいかぬな」

利根「となると戦艦や空母の者たちじゃな」

利根「加賀や赤城はどうじゃろうか? ……無理じゃな。会話が続かずに饅頭を食い尽くされるだけじゃ。飛龍と蒼龍も今日は何か予定があると話をしておったのう。鶴姉妹は……なんだか寝ておりそうじゃから止めておくかの」

利根「戦艦は……正直、金剛型の三人とは特別仲が良いという訳でもないからのう……。簡単に話をする程度じゃし。それに、四人ではこの饅頭の量は少な過ぎる」

利根「という事で残るは長門じゃな。……む。いかん。長門の部屋はどこじゃったかの……?」

利根「……うーむ。仕方が無い。今日は一人で居る事にするかのう。流石にヲ級と空母棲姫の二人を呼ぶ訳にはいかぬしのう」

川内「──あれ? 利根さん?」

利根「うん?」クルッ

川内「やっぱり利根さんだー! どうしたの、こんな夜に? 夜戦?」

利根「どこに敵が見えるというのじゃ、どこに。そういう川内こそこんな夜にどうしたのじゃ? また夜戦病でも発症したのかの?」

川内「さ、流石にそれはもう無いかな。もう提督に吊るされたくないから……」

利根「クックッ。この鎮守府で一番吊るされておるからのう。──まあ、なんじゃ。これも何かの縁。一緒に饅頭でも食わぬか?」

川内「え、お饅頭!? 良いの!? やったー!」チョコン

利根「うむ。月を肴に饅頭を食べておったのじゃが、そろそろ一人は寂しくなってのう」

川内「あれ、提督と一緒じゃなかったの?」

利根「提督はちと用事があってのう。邪魔をせぬよう抜け出したのじゃ」
418 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/12(日) 01:07:38.80 ID:dCKzIXvTo
川内「ふーん? 提督も忙しいよねー。あ、いっただきまーす!」パク

利根「どうじゃ? 塩味のある饅頭も美味いものじゃろう」

川内「本当だ、おいしー!! これ利根さんが作ったの?」

利根「我輩は料理なぞ出来ぬよ。これはお裾分けしてもらったものなのじゃ」

川内「という事は間宮さん達かな? へぇー、お饅頭にお塩っていけるものなんだねー」モグモグ

利根「たしか、塩味で甘さが引き立つとか言うておったぞ。不思議な話じゃよのう」

川内「あ! それ聞いた事がある! 西瓜に塩を掛けるってやつだ!」

利根「それと同じじゃな。──ところで川内よ、こんな時間に外に出てどうしたのじゃ?」

川内「ん? やっぱ夜が恋しくなってさー。部屋の中だと静かにしないといけないから外に出てきたんだー」モグモグ

利根「なるほどのう。本当に川内は夜が好きじゃなぁ」

川内「そりゃもうね! だって夜だよ! こう、血沸き肉躍るって言えば良いのかな? そんな感じだよ!」

利根「……やはり夜戦病が発症したのではないのか?」

川内「いやいや、本当にただ歩き回ってるだけだよ。前みたいに騒いだり海へ出ようとしたりしないって」

利根「クックッ。あの時の提督と川内の様子はまだ憶えておるぞ。あれは辛かったじゃろうなぁ」

川内「そ、その話はやめよ? ね? あの時の提督を思い出したくないからさ……?」ビクビク

利根「さて、それはどうしようかのう?」ニヤ

川内「利根さんも提督みたいにイヂワルしないで!? ……ん?」チラ

利根「む?」チラ

利根(ぬ……あれはヲ級と空母棲──あ、気付いて隠れたか)

川内「……ね、ねえ利根さん。今何か見えなかった?」

利根「うん? 何かって何じゃ?」
419 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/12(日) 01:08:08.05 ID:dCKzIXvTo
川内「いや、ほら……さっき誰かがあそこに……」

利根「何を言うておるのじゃ川内よ。夜戦病の中毒症状で見えない敵でも見たのかの?」

川内「いやいやいやいや!! 絶対に誰か居たって! こっち見てたってば!!」

利根「じゃが、今は居らぬのじゃろ?」

川内「そ、そうだけどさぁ……。もし敵とかだったら危ないよ」

利根「深海棲艦がこんな所に居る訳なかろうて。それに、深海棲艦ならば一瞬見ただけでも深海棲艦と分かるじゃろう?」

川内「あ、それもそっか。……うーん。でも、なんだか敵っぽく見えたんだよね」

利根「ほれ川内。饅頭じゃ」スッ

川内「え? えーっと……あむ」パク

利根「食って少し落ち着くが良いぞ。それに、もし敵ならば我輩が見逃しておらん」

川内「うーん……? まあ、利根さんがそう言うのなら……」モグモグ

利根「ところで川内よ、お主は星の事が分かるか?」

川内「星? ……全然わかんない」

利根「では、提督から聞いた星の話をしてやろう。北極星というのは知っておるか?」

川内「えっと、確か常に北にある星だっけ?」

利根「うむ。そんなものじゃ。その北極星じゃが、実は我輩たちが見ている北極星は四百年前の姿らしいぞ」

川内「四百……? えーっと、どういう事?」

利根「北極星の光が地球へ届くまで四百年の時間が掛かるという話じゃ。つまり、北極星が今この瞬間に消えて無くなっても、地球では四百年後まで北極星が見えておるという事なのじゃ」

川内「……え!? 光ってあの光だよね!? パッて光ってパッて消える光だよね!? あれって一瞬で向こう側に届くんじゃないの!?」

利根「どうやら光にも速さがあるらしいのじゃ。なんでも、一秒で地球を七周半するらしいぞ」

川内「七周半!? って、そんなに速いのに四百年も掛かるってどれだけ遠いの!?」
420 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/12(日) 01:09:55.85 ID:dCKzIXvTo
利根「途方もない遠さじゃなぁ。前に教えて貰ったが、何千兆キロだとか言っておったのう」

川内「うっわー……もうすっごく遠いってくらいしか分からないや……」

利根「ちなみに一番近所の銀河は何千京キロだそうじゃ」

川内「京って兆の一つ上だったよね!? なにその遠さ!?」

利根「他にも色々と聞いたぞー。そんな遠くからやってくる星の光でも影が出来るとか──」

川内「新月の夜って真っ暗で何も見えないのに、影って──」

利根「それが、綺麗な空気の場所じゃと──」

川内「見てみたいなぁ──」

利根「そして──」

川内「うんうん! ────!」

利根「────」

川内「────!」

…………………………………………。

ヲ級「危なかったね、姫」

空母棲姫「油断していたわ……。これからはもっと気を付けましょうか」

ヲ級「はーい。私も、もっと気を付けるね」

空母棲姫「ええ。後で利根にお礼を言いましょう。逸らかしてくれたみたいだもの」

ヲ級「うん! 次は、あのお饅頭よりも、もっと美味しいの、作る!」

空母棲姫「きっと利根も喜んでくれるわ」

……………………
…………
……
421 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/12(日) 01:11:02.50 ID:dCKzIXvTo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ますね。

次から金剛さんの正式な鎮守府在籍と、そして……
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 01:42:17.05 ID:v2JCNuFAO
終わってからでいいから利根のハッピーエンド見たくなった
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 06:11:17.75 ID:Agq5TNNY0
もうすでにハッピーエンドやったような
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 06:58:14.94 ID:3J6x9XGj0
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 08:17:39.99 ID:bXVche6P0
長門が釣られるのか
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 08:18:10.49 ID:+iEjBKkwO
利根に指輪を渡したことあったような…
427 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/22(水) 10:01:34.02 ID:2mtgqGRLo
今夜か明日に更新する予定です。遅くなってごめんよ。
梅雨の時期は色々な意味でしんどい……。雨なのに暑くて湿度がけたたましく高いのは地獄。
皆さんもバテないよう注意して下さいませ。
428 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/23(木) 21:19:06.74 ID:QDsZQ4q2o
提督「──本日の任務は以上だ。加えて、この鎮守府に新しくやってきた艦娘を紹介する。……入ってきてくれ」

比叡「ッ──!!」

榛名「────────」

霧島「…………」

金剛「英国で生まれた、帰国子女の金剛デース! よろし……」

全員「……………………」

金剛「…………く……」

金剛(……やっぱり、こうなりマスよね)

金剛「えーと、私、どこかおかしかったデス?」チラ

提督「いや、どこもおかしくはない」

長門(……こうなるのも無理はないだろう)

比叡「……司令、一つよろしいですか」

提督「……許可する」

比叡「嫌な予感はしていましたけど、これは一体どういう事ですか?」

提督「……………………」

比叡「……………………」

飛龍(……あれ? なんだか……?)

利根(提督も辛そうじゃな……)

提督「……見ての通りだ」

比叡「…………………………………………」

榛名「…………」ハラハラ

霧島(大丈夫かしら……)
429 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/23(木) 21:19:33.43 ID:QDsZQ4q2o
金剛「……比叡?」

比叡「っ!」ハッ

比叡「……いえ、ごめんなさい。司令が何も考えていない訳なんてないのに……」

提督「辛い思いをさせてすまない……」

比叡「…………」

金剛(……えっと、一応ひっそりとしておく方が良いデスよね?)

提督「そして金剛。来て早々に見苦しい姿を見せてしまった」

金剛「! ノープロブレム! 気にしないで下サーイ!」

提督「ありがたい。──そして、金剛に鎮守府の案内を誰かに任せようと思っている。希望者は居るか?」

加賀「私がします」スッ

提督「そうか。加賀ならば分かりやすく教えられるだろう。頼む」

加賀「ええ、お任せ下さい」

提督「ああ。……比叡」

比叡「……はい」

提督「この後、提督室へ来るように。……ちゃんと説明をする」

比叡「…………はい」

提督「以上だ。何か質問のある者は居るか?」

響「司令官、比叡さんにする説明を私達が聞いても良いのかな」スッ

提督「比叡にだけは聞かせる言葉もあるから、一緒にというのは諦めてくれ。その後ならば聞きたい者だけに教える。比叡が拒否しなければ比叡から聞いて貰っても構わない」

響「うん、分かったよ」

提督「……………………さて、他に質問のある者は居ないようだな。解散」

…………………………………………。
430 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/23(木) 21:20:03.97 ID:QDsZQ4q2o
コンコンコン──

榛名「はい、どうぞ」

ガチャ──パタン

金剛「……ただいまデース、マイシスターズ!」

霧島「! おかえりなさい、金剛お姉様」

榛名「おかえりなさいませ。加賀さんの案内は終わったのですか?」

金剛「イエス! とっても分かりやすい説明でシタ! ──ところで、比叡はまだ戻っていないデスか?」

霧島「まだですね。……比叡にだけするお話とは、一体なんでしょうか」

榛名「どういうお話なのでしょうか……」

金剛「…………」

金剛(こういう時は、どう声を掛ければ良いのでショウ……)

コンコンコン──ガチャ──パタン

比叡「ただい──! おかえりなさいませ、お姉様」

金剛「比叡こそおかえりデース!」

霧島「……司令とのお話は、どうだったの?」

比叡「司令に泣かされました」

金剛「!? ど、どういう事デスか比叡!?」オロオロ

比叡「あ、えっとですね……司令がどうして金剛お姉さまを再び受け入れたのかを聞いて、その後に私の頭を優しく撫でてくれたんです。それでなんだか涙が出てきて、司令に泣き顔を見られてしまいました」

金剛「そうだったのデスね、どういう事なのかと思ってビックリしたデス……」ホッ

三人「!」

榛名(……少しだけですが『金剛お姉様』と違います。私の知っている『金剛お姉様』は、苦笑いでもこんなにも弱々しい笑顔ではなかったはずです)

霧島(まったく同じという訳ではないようですね。……別の『金剛お姉様』……ですか。なんだか、妙な気分です……)

比叡(…………)
431 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/23(木) 21:20:30.42 ID:QDsZQ4q2o
金剛「? どうかしまシタか、三人とも?」

榛名「い、いえ……榛名は大丈夫です」

霧島「答えになっていないわよ、榛名」

榛名「ええと、それは……」

金剛(──やっぱり、ここの榛名も大人しい子のようデスね。ただ、向こうの榛名と違って目が据わっていないからか、なんだか普通の大人しい子に見えるデス)

霧島「もう……。『大丈夫です』って口癖は直すようにと司令からも言われているでしょう?」

榛名「うぅ……」

比叡「…………」

金剛「まあまあ霧島。榛名もきっと、つい出てしまっただけデスよ。ネ、榛名?」

榛名「……はい」コクン

金剛「ゆっくりと直していきまショウ。出来ないなんて事は無いはずネ」ナデ

榛名「……はい!」

霧島(……ふむ。『金剛お姉様』よりも少し甘いようですね。……ですが、それと同時に優しさももっと柔らかく感じます)

比叡「……………………」

金剛「? 比叡?」

比叡「!! は、はい! なんでしょうか」

金剛「いえ、ボーっとしていたようでシタので……。疲れているデス?」

比叡「…………かも、しれないです。もしかしたら、司令に泣かされたから疲れてしまったのかもしれません」

金剛「……もし良かったら、テートクがどんな話をしていたのかを聞いても良いデスか?」

比叡「それは……」チラ

霧島「……私は聞きたいと思っています。司令が何を思っているのか、どう想って受け入れたのかを知りたいです」
432 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/23(木) 21:20:59.97 ID:QDsZQ4q2o
榛名「私も、知りたいです。どういう理由なのか、とても気になっています」

比叡「……分かりました。司令もこうなるのを予想していたでしょうし、どんな話をしていたのかを話しますね」

比叡(ただ……金剛お姉様が別の鎮守府の捨てられた艦娘とかそういう部分は言わないようにしないと……)チラ

金剛(確認をするような目……。きっと、比叡は口裏合わせの準備はオーケーなのかと聞いているのでショウね。大丈夫デス。私はテートクの事をほとんど知らない、ここへ来たばかりの『金剛』と思って話しマス)

金剛「私の準備はオーケーです。比叡、話してくれマスか?」

比叡「はい。──司令はウェーク島で何年も三人の事を考えながら暮らしていて、とある事に気付いたそうなんです。『今の自分を、三人が見たらどう思うか』と。それで────────」

霧島(…………ああ……その言葉は金剛お姉様が言いそうな言葉ですね)

榛名(だから提督は戻ってきて、そしてこちらの金剛お姉様を受け入れたのですね)

比叡「その時に言った事なんだけれど、私達も気を付けないといけないと思います。司令ならば私達を沈ませないと妄信してはいけないと。総司令部からの伝達でも毎月、何人もの艦娘が────────」

金剛『……ええ。私達も、その事をすっかりと忘れてしまっていまシタ。比叡と同じく、心のどこかで安心していたのでショウね』

金剛(! 起きていたのデスか?)

金剛『今さっき起きたばっかりデース。──どうデスか、私の自慢のシスターズは?』

金剛(良い子たちデス。本当、こうして見ると姉妹というのはこれがノーマリティだと思えマス)

金剛『ノーマリティかどうかは分かりまセンが、この子達はこれが普通デス。仲良くして下サイね、マイシスター?』

金剛(──ハイッ! マイシスター!)

比叡「──って、あれ? お姉様、話聞いてますか……?」

金剛「……ソーリィ。ちょっと感傷的になってて聞いてなかったデス」

比叡「もー……」

……………………
…………
……
433 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/23(木) 21:21:45.48 ID:QDsZQ4q2o
レ級「──さぁて、そろそろ準備とか良いんじゃないかな、大佐クン?」

大佐「その前に戦力の方を聞かせろ。集まった深海棲艦の数はどれくらいなんだ?」

レ級「ざっと七百ってところかなぁ? まっ、あの鎮守府の十倍くらいは居るんじゃない?」

大佐「十倍か。くっ……くくくっ……如何に奴が優秀でも、これだけの戦力差があるなら余裕だ!」

大佐「くく……感謝してやるレ級。お前のおかげで奴をブッ潰す事が出来そうだ」

レ級「これだけ戦力を用意したんだからさぁ、ちゃーんとこっちの計画も忘れないでよぉ? じゃないと……ゴミムシらしく地べたを這いずり回るだろうからさっ」ニヤァ

大佐「分かってる分かってる。あの鎮守府に裏切り者の深海棲艦が居るんだろ? そいつはちゃーんと逃がさないようにすっからよ」

レ級「じゃあ聞くけど、陸に逃げられそうになったらどうするのかな?」

大佐「奴の鎮守府にプレゼントを送っておいた。それを奴が読めば、陸へ逃げようとしないだろうよ」

レ級「へぇ……? じゃあそっちは任せよう!」

大佐「お前こそ艦隊の指揮をミスすんじゃねえぞ」

レ級「だーいじょうぶだって! ……あの蝙蝠どもは殺さなければならんからな」

大佐「…………!」ゾワッ

レ級「そんじゃ! 強襲する日程を決めよう! なんだったら今からでも──」

瑞鳳「──あ、提督……こんな所に居た、の……で……ッ!?」ヒョコ

レ級「って……あーらら。見付かっちゃった」

大佐「ちっ……面倒な……」

瑞鳳「ぇ……え……? し、深海……棲艦が……な、なんで……?」カタカタ

レ級「はーい動かないでねぇ。ついでに喋らないように」ジャキッ

瑞鳳「っ!」ビクッ

レ級「うぅーん、良い子だ。……でさぁ? 今ここで起きている事は全部忘れてくんない? ロケットスタートを決めようとしたのに邪魔をされるのは御免だからさぁ?」
434 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/23(木) 21:22:12.58 ID:QDsZQ4q2o
瑞鳳(で、でも、それって……)チラ

大佐「…………」

瑞鳳(提督……どういう事なの……? 助けて……助けて……っ!)カタカタ

大佐「良い事を考えた。レ級、強襲する日はこいつを徹底的に口止めしてからにしよう」

瑞鳳「────ぇ……?」

レ級「ううん? 何する気なのかな?」

大佐「こいつは色々と具合が良いから処分するのは勿体無い。だから絶対にこの事を漏らさないよう、その身に教え込ませるんだよ。そう……色々な手段を使って、なぁ?」ニヤ

瑞鳳「……………………う……そ……」ペタン

レ級「へぇ……随分と高尚な趣味を持っているんだねぇ。お姉さんドン引きしちゃうかも」ニヤ

大佐「口をそんな楽しそうに歪ませていたら説得力の欠片も無いな」

レ級「あ、バレた? ギャハハハハ!」

瑞鳳(提督が……深海棲艦と……)

大佐「じゃあ……早速『教育』するかぁ」グイッ

瑞鳳「ぁ……」

大佐「運が悪かったなぁ瑞鳳。大丈夫だって。絶対にこの事を言えないようにするだけだからよぉ」ニヤァ

瑞鳳「ヒッ──!」

……………………
…………
……
435 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/06/23(木) 21:24:15.22 ID:QDsZQ4q2o
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。

そろそろ日常パートが終わる頃。そんでもって大佐のアレコレを色々と考え中。
さあて、どう動かそうかなぁ。
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/23(木) 22:03:48.64 ID:xNZY9N10o
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/23(木) 23:42:38.64 ID:9LdwmTMwo
乙です
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 04:18:02.59 ID:j19+4e1y0


まさか卵焼きの代わりに無理やり目玉焼きを作らされるとは...
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 17:21:35.35 ID:/XEM9xoa0
夜戦の特訓か
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 17:44:53.87 ID:ZAJejRGHO
孕まされるのかな?
441 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/02(土) 03:26:55.88 ID:/ahWj/2No
ヲ級「こっんだってひょー♪ こっんだってひょー♪」ペタペタ

空母棲姫「ああほら、右側が高くなっているわよ。献立表は皆が見る物なんだから綺麗に張りましょう?」

ヲ級「!! ホントだ! 姫、ありがと!」ニパー

空母棲姫「……本当にこの子ったら。ほら、貼り終えたのだから食堂へ戻るわよ」ナデナデ

ヲ級「はーいっ」ニコニコ

天龍「──ん? おお、姫にヲ級じゃねえか。何してんだ、こんな所で」

ヲ級「てんりゅー! 献立表、張りに来てた!」

天龍「お、マジか! んじゃあ早速チェックしねえとな!」トコトコ

龍田「天龍ちゃんったら本当にご飯が好きよね〜」スタスタ

天龍「なーに言ってんだよ龍田! 飯が嫌いな奴なんて」

ヲ級「居ない!」

天龍「なー?」ニカッ

ヲ級「ねー♪」ニパー

空母棲姫「……いつの間にこんなに仲良くなったのかしら」

天龍「ん? いやー、こいつって人懐っこいだろ? ちょっと遊んだらこうなったぜ」

ヲ級「てんりゅー、優しい!」

空母棲姫「そうなのね。良かったわ」ニコ

龍田「貴女も、だ〜いぶ馴染んできたみたいね〜」ニコニコ

空母棲姫「段々と肩肘を張るのが馬鹿らしくなってきたの」

空母棲姫「そして……全員がお前のように警戒をしてくれると、私も自分の立場を忘れずに済むのだがな」

龍田「あらあらぁ〜。何の事かしら〜?」

空母棲姫「では、私もとぼけるとしましょうか」

龍田「それが良いわよ〜。……私は貴女から残り香が消えるまで、このままだもの」

空母棲姫「……残り香?」

龍田「さあね〜? これ以上は言えないわ〜」

空母棲姫「…………?」

空母棲姫(残り香……? 一体なんの話だ? ……………………今朝、潜ったせいで磯臭いのでしょうか……? いえ、お風呂はしっかりと頂いていますし……)

龍田「…………」ニコニコ

空母棲姫(……提督と同じくらい読めないわね、この艦娘は)

…………………………………………。
442 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/02(土) 03:27:22.09 ID:/ahWj/2No
提督「──さて……執務が終わってしまった」

利根「終わったのじゃー!」

飛龍「量が少ないですからね。……本当、私達は待機していて大丈夫なのでしょうか。こう何日も待機ばかりですと不安で仕方がありません」

提督「安全に関しては、よっぽどの事でもない限り問題無いだろう。だが、こうも一部の遠征と演習以外やる事がないと暇を持て余してしまう。それをどうしようか」

利根「我輩にとってはそっちの方が問題じゃぞ」

提督「まったくだ。鎮守府内の大掃除でもしようかと本気で思っているくらいだぞ」

コンコンコン──

提督「む? 入れ」

ガチャ──パタン

金剛「失礼しマス」

提督「金剛か。どうした?」

金剛「空母棲姫とヲ級からのお届け物デース。チーズを練りこんだタルトだそうデスよ。おやつにして下サイと言っていたデス」

利根「おお! 新作か! 丁度執務も終わった事じゃし、お茶にしようぞ! ……──って、うん? 当の二人は居らぬのか?」

金剛「夕飯を腕によりを掛けて作ると張り切っていまして、手が離せなかったみたいデス。間宮と伊良湖も忙しそうにしていまシタ」

利根「ほほう。何か良い事でもあったのかのう?」

金剛「どうなのでショウかね……?」

飛龍「そういえば今朝方、空母棲姫さんとヲ級ちゃんが張り切って海へ出ていましたけれど、何か関係があるんですかね?」

提督(なるほど、そういう事か)

利根「む。何やら一人だけ理解したようじゃぞ」

提督「何の事やら」

飛龍「……これは完全に分かっていますね」
443 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/02(土) 03:27:57.19 ID:/ahWj/2No
金剛「テートク、どういう事なのデスか?」

提督「さて、どういう事なんだろうな」

飛龍「金剛さん、提督はこうなったらテコでも動きませんよ。なにせ、頑固者ですから」チラ

金剛「むぅ……」

利根「ほー、これは珍しいのう。金剛が不満そうな顔をしておる」

飛龍「本当です。初めて見たかもしれませんね」

金剛「!! ご、ごめんなさい……」

提督「何を謝っているんだ。むしろ良い事だと思ったぞ」

金剛「…………? あの……どういう事デスか……?」

提督「金剛は自分を抑え過ぎている所があった。ならば、不満を露に出来るほど心を開き始めてくれているという事だろう?」

金剛「…………」パチクリ

利根「ほほう。これは言っている言葉の意味は分かるが理解が追いついていないようじゃのう」

金剛「…………」

提督「……そんなに予想外だったのか? ほら、深呼吸だ。まずは吸って」

金剛「……すぅ」

提督「そのまま吸い続けて」

金剛「…………!」

提督「まだまだ」

金剛「…………!」プルプル

提督「…………」

金剛「…………!!」プルプルプル

飛龍「あ、あの……?」
444 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/02(土) 03:28:23.60 ID:/ahWj/2No
提督「よし、吐いて良いぞ」

金剛「はぁぁ……! …………うぅ……テートク、酷いデス……」

提督「すまない。──少しは落ち着いたか?」

金剛(あ……本当デス。なぜか冷静になっているデス)

金剛「そういう事だったのデスね。ありがとうございマス」ペコ

利根(……人というものは思考が麻痺すると言われた事を忠実に行うんじゃなぁ)

提督「しかし、そんなになるまで意外だったのか?」

金剛「……今まではそんな事は出来ませんでシタので。なので混乱してしまいまシタ。でも、もう大丈夫デス」

金剛「──だって、テートクですから」ニコ

提督「そう思ってくれて嬉しいぞ」ポンポン

金剛「うぅー……また……」

提督「諦めろ。こればっかりは譲らんぞ」

金剛「この間までは少し遠慮して下さっていたノニ……」

提督「嫌か?」

金剛「……その問い掛けは卑怯デス」フイッ

利根「卑怯じゃな」

飛龍「えーっと……」

提督「どうやら私に味方は居ないようだ……」

利根「いやぁ。流石にそれで庇うのは無理があるぞ?」

提督「…………」

金剛「えっと、その……」

提督「…………」
445 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/02(土) 03:28:54.34 ID:/ahWj/2No
金剛「……………………たまになら、良いデス……よ?」

利根「ほれ、金剛が折れてしまったではないか」

提督「ではそれに甘えるとしよう」

利根「まったく……」

金剛「ええと……あの、私は紅茶を淹れてきますね?」スッ

提督「頼む」

金剛「ハイ! 任せて下サーイ!」

飛龍「……それにしても、タルトを作ったお二人は何を作っているんでしょうかね?」

利根「気になるよのう。……一人だけ気付いておるのはズルいのじゃ」チラ

提督「違っているという可能性もあるんだぞ?」

利根「ならば言ってくれても良いではないかー」

提督「合っている可能性もあるからな」

飛龍「では、お茶の時間はお二人が何を作っているのかを予想してみましょう」

利根「うむ! 提督よ、お主と同じ結論だった場合は同じじゃと言うのじゃぞ?」

提督「同じ結論だった場合はな」

利根「絶対に当ててみせるぞー!!」

…………………………………………。
446 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/02(土) 03:29:25.01 ID:/ahWj/2No
金剛「……………………たまになら、良いデス……よ?」

利根「ほれ、金剛が折れてしまったではないか」

提督「ではそれに甘えるとしよう」

利根「まったく……」

金剛「ええと……あの、私は紅茶を淹れてきますね?」スッ

提督「頼む」

金剛「ハイ! 任せて下サーイ!」

飛龍「……それにしても、タルトを作ったお二人は何を作っているんでしょうかね?」

利根「気になるよのう。……一人だけ気付いておるのはズルいのじゃ」チラ

提督「違っているという可能性もあるんだぞ?」

利根「ならば言ってくれても良いではないかー」

提督「合っている可能性もあるからな」

飛龍「では、お茶の時間はお二人が何を作っているのかを予想してみましょう」

利根「うむ! 提督よ、お主と同じ結論だった場合は同じじゃと言うのじゃぞ?」

提督「同じ結論だった場合はな」

利根「絶対に当ててみせるぞー!!」

…………………………………………。
447 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/02(土) 03:33:09.44 ID:/ahWj/2No
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ます。

最後、二重投稿になってしまった。ちくせう。
さて、エンディングまでの道のりもある程度纏まってきました。あと少しでこの物語も終わりを迎えそうです。もしレスに余裕があったら希望を聞いてからショートショートな物を書くかも。その時になったら募集か安価を掛けると思います。
もうしばしお付き合い下さいませ。
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 06:24:06.34 ID:kUmjfPkIO
そーいやながもん釣られたっけ
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 08:50:25.99 ID:6drt9+nn0
おつ
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/02(土) 08:55:45.28 ID:a6KY4nfJo
乙です
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 16:26:27.39 ID:xT7lbctPO
残り香で自身の体臭を気にしちゃう姫が可愛い
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/03(日) 00:23:49.77 ID:If9vMrbtO
づほはどーなったんだろ…。
453 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [sage saga]:2016/07/15(金) 01:33:49.41 ID:jXYkrDnKo
もうちょっとだけお待ち下さい。あと数日以内で投稿します。遅れてごめんよ。
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/15(金) 15:38:00.90 ID:MgZv5er20
りょ
455 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/19(火) 01:14:49.09 ID:FYyqU5wUo
天龍「うおおおおっ!!! なんだこれ!? なんだこれ!!?」キラキラ

島風「海の食べ物がいっぱーい!!」キラキラ

比叡「ひえぇー……」

川内「良いじゃーん!! 良いよね、こういうの! 好きだなぁ!」キラキラ

赤城「あれは……鯛……!? アワビにサザエ……!! 鮪やカツオまで……!!!」キラン

加賀「素晴らしいです」キラキラ

間宮「今日はいつも頑張って下さっている皆さんへの労いとして、私たち四人が腕を振るってみました。食材の調達は空母棲姫さんとヲ級ちゃんの二人です」

ヲ級「いっぱい、獲ってきた!」

空母棲姫「生態系を壊さない程度にしていますので連続ではできませんが、たまになら出来ると思います」

川内「おおー!!」キラキラ

那珂「川内ちゃんが夜戦以外でこんなに目を輝かせるのも珍しいねー」

神通「気持ちは分かりますよ」ワクワク

那珂(あ、神通ちゃんも楽しみにしてる)

利根「──ふむ。当たったようじゃ」

飛龍「提督の予想って本当に当たりますよね」ワクワク

提督「二人に海へ出る許可を出したのは私だからな」

利根「なんじゃ。それでは最初から知っておったのではないか」

提督「魚を取りに行きたいから海へ出る許可が欲しい、としか言われておらんよ。後の事は全て想像だ」

利根「それがあるのと無いのとでは大違いじゃろうに」

提督「さて、早速夕食としようか」

利根「あ、逃げおったな。──まあ、我輩もそんな事より早く食べたいのじゃ!」トコトコ

提督「そうだな。海産物は新鮮な内に食べるのが一番だ」
456 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/19(火) 01:15:19.91 ID:FYyqU5wUo
川内「ほらー! 提督も早く席に着いて着いて! 早くご飯にしようよー!」

空母棲姫「後は提督だけですよ」

提督「分かった分かった。すぐに座る」スタスタ

提督「──さて、全員居るようだ。間宮、伊良湖、空母棲姫にヲ級も席に着いてくれ」

間宮「え? 私達もですか?」

提督「ああ。これだけ豪勢な夕食なんだ。今日は全員が一緒に楽しもう。もし食べる順番があるのならば食べながら教えてくれるか?」

伊良湖「…………」チラ

空母棲姫「諦めましょう。提督は頑固なので折れてくれないわ。──それに」

川内「…………!!」ワクワク

赤城「…………」ソワソワ

加賀「…………」ヂー

空母棲姫「一秒でも速く食べたがっている子が居るのだから、そうしましょう?」

間宮「もう……。ご飯は各自でよそって頂きますよ?」

全員「はーい!」

間宮「では、五つある羽釜にちゃんと列で並んでよそって下さいね。勿論、喧嘩はメッですよ」ニコ

天龍「おっしゃあ!!! 天龍様が一番だぁ!!」ダッ

島風「おっそーい!」ヒョイッ

天龍「あっ!? ちっくしょ!!」

島風「へへーん! 私には誰も追いつけないんだからねー!」

加賀「頂きました」スッ

赤城「一番近い羽釜でしたので、楽で良かったですね」ニコニコ
457 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/19(火) 01:15:56.05 ID:FYyqU5wUo
長門「本当、皆して元気だな」スタスタ

響「長門さんはゆっくり後ろに並ぶんだね」

長門「急ぐ必要もあるまい。余裕を持つのは大事だぞ」

暁(レディだ……!!)

雷「暁が何を考えているのか丸分かりね!」

電「なのです」

川内「まだかなーまだかなー」ヒョコ

神通「姉さん、列から乱れないで下さい」

川内「だってー。気になるしー」

熊野「あまり列から乱れすぎると、提督から叱られますわよ」

川内「!!!」サッ

鈴谷「あっははー! やっぱり提督が怖いんじゃーん!」

川内「……そういう鈴谷さんは怖くないの?」

鈴谷「……ごめん。怖い、怒らせたくない……」ビクッ

川内「だよねー……」

加賀「鯛のお吸い物が最高です」ズズー

赤城「お刺身もぷりぷりとしていて赤身もトロも何もかも美味しいですねっ」モグモグモグ

那珂「はやっ!? もう食べてる!!?」

川内「おぉーい!! 早くご飯を取らないと全部無くなっちゃうよー!!」

天龍「うおおおおおおおおッッ!!! 急いで飯をつぐぞおおおおおお!!」

伊良湖「み、みなさーん! そんなに急がなくても大丈夫ですからぁー!!」
458 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/19(火) 01:16:22.46 ID:FYyqU5wUo
飛龍「ふふ。皆さん、本当に元気ですよね」ニコニコ

利根「まったくじゃのう」ニマッ

金剛「アハ。見ているだけで楽しくなるデス。──はい、テートクの分デスよ」ニコ

提督「む? ついでによそってくれたのか。ありがたい」

金剛「いえいえー」ニコニコ

比叡「お姉様ー!! どこですかー!!?」

金剛「あ、比叡が呼んでいますので行ってきマス。──今行くデース!」タタッ

蒼龍「飛龍も負けていられないわよー。そのまま提督と一緒に食べてきなさい。今は皆、ご飯に夢中だからさ?」

飛龍「えっ!? え、えーっと……………………うん……」テレ

蒼龍「もう本っ当に可愛いなぁ飛龍はー! 頑張っておいでー!」

空母棲姫「それにしても……今日は一段と騒がしいわね。海の食べ物でこんなにも変わるだなんて思わなかったわ」

ヲ級「魚! 貝! 焼いたり、煮たり、刺身、美味しい!!」

空母棲姫「ええ、本当にね。これだけ喜んでくれると、作った甲斐があったというものです」ニコ

提督「良い顔だ。似合っているぞ」

空母棲姫「……恥ずかしいです」フイッ

ヲ級「姫、素直に、なってきてる!」ニコニコ

空母棲姫「……私をからかう口は、この口かしら?」ツネー

ヲ級「えふぇふぇー」ニコニコ

空母棲姫「でも……良い気分ですね。とても胸の奥が温かくなります」

ヲ級「うん!」

提督「ああ、本当に良い喧騒だ。ここは元気と希望が満ち溢れている」

ヲ級「提督も、笑ってて、良い顔!」

提督「お前もだぞ」ナデナデ

ヲ級「えへー」ニコニコ

提督(……願わくば、こういう時間が続いて欲しいものだ)

…………………………………………。
459 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/19(火) 01:16:48.95 ID:FYyqU5wUo
川内「いやぁー。堪能したねぇー」キラキラ

神通「とても良かったです」ホクホク

那珂「二人ともすっごく良い笑顔だよー」ニコニコ

川内「そういう那珂も満面の笑みでしょー?」

那珂「あんなの美味しくない訳ないじゃん! もう那珂ちゃん、体重の事を忘れて食べちゃいそうだったよ!」

神通「あら。食べたら食べた分だけ訓練をすれば消費されますよ」

川内「おっそろしい事を言わないでよ……。流石にあれだけ食べた後だとキツいってー……」

神通「けれど、本当に美味しかったですよね。私は鯛のお吸い物が一番良かったです」

川内「私は蛸の刺身かな? あの歯応えと引き締まった味は最高だったなぁ」

那珂「天ぷらが一番だったけど、油物だから那珂ちゃんは控えめにしなきゃだったのが辛かったよー! カロリー高いのに、あの味は反則だって!!」

川内「あ、確かに天ぷらも美味しかったね! 赤城さんなんて目ぇキラキラさせてたし!」

那珂「赤城さんは美味しいものなら何でもキラキラさせてるじゃん!?」

川内「いやまあ、そうなんだけどさ。なんだか特に天ぷらを気に入ってなかった?」

神通「言われてみるとそうでしたね。天ぷらを手に取ってからしばらくは天ぷらを口にしていました」

川内「ほーんと、今日のご飯は美味しかったねー」

那珂「またあったら良いよねー」

神通「生態系は壊さない程度に……と仰っていましたから、次はいつになるかは分かりませんね」

川内「だねー。で、ところでさー。二人は空母棲姫さんとヲ級ちゃんの二人をどう思ってる?」

神通「……難しい質問ですね」

那珂「そう? 那珂ちゃんはもう仲間の一人かなって思ってるよ」

川内「やっぱり? 私もそんな感じかな。ヲ級ちゃんなんて人懐っこいし、空母棲姫さんなんてお母さんみたいだしさ」
460 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/19(火) 01:17:15.23 ID:FYyqU5wUo
神通「それは……そうですけれど……」

川内「神通は何か不安要素があるの?」

神通「……ええ。いつか、私達が深海棲艦と戦うのを躊躇う日が来るのでは──という不安があります」

川内「んー……。あるのかなぁ、そういうのって」

神通「姉さんは、そうはならないと仰るのですか?」

川内「だってさ、なんだかあの二人だけは別じゃん? 上手く説明は出来ないんだけど、敵って感じがほとんどしないっていうか……むしろ、私達とあんまり変わらないっていうか……?」

那珂「あ、それ分かる! 隣に居ても怖くないよね!」

神通「ですが……」

川内「たしかに神通の言ってる事も分かるよ。けど、不思議じゃない?」

神通「不思議、ですか?」

川内「うん。深海棲艦ってさ、一目で『敵』って分かるよね? だけど、あの二人は敵って感じがほとんどしない。これって、何かがあるって思わない?」

神通「何か……」

那珂「例えばどんなの?」

川内「まあそれは分かんないんだけどさ……」

那珂「分からずに言ってたの!? 何かあるって那珂ちゃん思っちゃったよ!!」

川内「だって本当に感覚なんだからさー」

神通(……本当、あの二人には何があるのでしょうか)

……………………
…………
……
461 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/19(火) 01:18:06.34 ID:FYyqU5wUo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。
次はづほ達の様子を描くかも。予定は未定。
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 02:05:53.78 ID:ACnjWv5AO

腹減った…
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 04:37:11.40 ID:4Bn8BW9u0
姫に秋刀魚漁頼もう!
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/19(火) 06:37:24.49 ID:C5LfMKm/o
乙です
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 09:57:51.23 ID:/DaEwAP1O
月に三回くらいなら大丈夫だと思いたい
466 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/23(土) 00:56:32.40 ID:2Rmk4WMMo
ちょっとだけ内容がエグいかもしれないので、耐性の無い方は次の行間が埋まっている1レスを読み飛ばす事を推奨します。内容的には『づほがグロ的にもエロ的にも酷い目にあった』ってものです。
ちなみにエロ描写は欠片もありません。

以上、注意文でした。
467 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/23(土) 00:57:06.91 ID:2Rmk4WMMo
 ──誰も助けは来ない部屋で、私は床をボーっと眺めていた。
 いや、眺める他ないと言った方が正しいのかもしれない。なにせ私は今、手に鎖を巻かれて逃げられないようにされている。それに……これから起こる事への準備として、体力は欠片も使いたくなかった。
 急造された地下の一室──。天井にぶら下がった何個かの電球と床に放り置かれたいくつかの『道具』の数々、そして壁や床に残った夥しい血の跡。それが、今の私の世界。
 今まで辛い事なんて沢山あった。無理難題な指示を必死にこなそうとして疲れ切った身体を無理矢理に動かし、たまに提督の情欲を受け止めるのが前の私の日常だった。提督が使えないと言った子には轟沈命令を出す事さえあった。
『もうこんな毎日はヤダ……』
 泣きそうになりながらそう思っていた私だけど、今はこう言える。そんな毎日の方が遥かに良かった──と。
 だって、肉を削がれる事も無ければお腹に大穴を空けられる事も無いんだから。泣き喚けば喜ばれ、無反応でいようとすれば悲鳴をあげさせるような事をされる。
 そして、四肢を千切られて悲鳴で喉が潰ようと、頭を強く殴られて視力を失っても終わる事なんて無い。私は艦娘であり、生きてさえいれば高速修復材で大抵の状態であれば、その場で直ってしまう。背骨は竜骨みたいなものだから傷つける訳にはいかないと言っていたから、それ以外の事はされるのだろう。
 そんな生活が、少なくとも一週間は続いている。時間の感覚がもう無くなってしまっているから正確じゃないけれど、それでも一週間以上は経っていると思う。
 初日は首を絞めた状態のまま何度も何度も殴られた。意識が薄れてほとんど何も考えられなくなったのが最後だったと思う。
 二日目も同じだったけれど、反応が悪くなったと言って釘を身体に打ち込まれた。お腹に十数本くらい打ち込まれた時に吐血したら、提督とレ級は満足そうな顔をしていたっけ……。
 三日目は骨を折られた。指や腕、足の骨を余す所なく折って、私の悲鳴を楽しんでた。変に折られて骨が皮膚を突き破った時は心底痛かった。身体の内側から壊されているような感覚で、自分の足が有り得ない曲がり方をして、千切れたような痛みが全身を襲ってきた。ここから、私は死ぬ方が良いと思い出した。
 次の日は、出来るだけ二人の興味が無くなるように努めた。出来る限り反応をしないようにすれば、さっさと殺してくれると思ったからだ。──それは、甘い考えだったと今は思う。反応しないのならば反応するようにされる。当然の事だ。今までのやり方でダメだったら、別のアプローチをするに決まっている。それを、私は分かっていなかった。
 用意されたのは、何百キロあるのか分からない真っ赤に燃える鉄の塊。流石に奥歯がガチガチと鳴って、自分が今までで一番怖がっているのが分かった。提督が私を床に押し倒し、右腕を真っ直ぐ伸ばすようにと命令した。もちろん腕は震えていて、身体は腕を伸ばすのを拒否していた。何をされるのか分かっているからこそ、身体が恐怖で固まっていた。
 提督はそんな私の腕を取って、まるでエスコートでもするかのように優しく伸ばさせてきた。その状態で動くな──と命令された私は、覚悟する他無かった。
 提督が離れ、レ級が赤い鉄の塊を私の右腕に落とす。骨が砕けて肉を内側から裂き、鉄の重みで潰された肉はその熱で焼かれる事となった。
 我慢なんて出来る訳もなく、私は悲鳴と共に残った腕で鉄の塊をどかそうとした。左手が焼けて激痛が走ったので、ほとんど反射的に手を離した。その間も私の右腕は焼かれ続け、嫌な臭いが部屋に充満していたと思う。
 結局、私は痛みで失神した。起きた時には身体がなんともなっていなかったから夢かと思ったけれど、肉の焦げた臭いが現実だと教えてくれる。そして……次もまた、焼けた鉄が用意されていたっけ。
 ただ違ったのは、痛みで悲鳴をあげる私を見ながら劣情を解消してきた事だろうか。
 今日は、どうなるんだろう……。

 コツン──。

「……ああ…………」

 休憩は終わりらしい。また、今日も痛みに耐える時間がやってきた。
 できれば、痛くも苦しくもないのが良いな……。

……………………
…………
……
468 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/23(土) 00:57:35.33 ID:2Rmk4WMMo
利根「暇じゃぁ……」

飛龍「お仕事も終わっちゃいましたしね……。それにしても、下田の審査っていつまで続くのでしょうか」

提督「審査はあと一週間もあれば終わるはずだ。そろそろ事が起きるだろうから覚悟しておけ」

利根「む? どういう事なのじゃ?」

提督「下田から機密文書が送られてきていてな」スッ

──我、如何ナル時モ総司令部ヘの連絡可──

飛龍「……えーっと…………? なんですか、これ?」

提督「簡単に言えば脅迫状だ」

利根「……これのどこが脅迫なのじゃ?」

提督「字面だけでは分からないが、今朝の偵察で分かった事がある。向こうはこちらに空母棲姫とヲ級が居ると確信している──そう見て間違いないだろう」

飛龍「何かあったんですか?」

提督「──レ級が居た」

二人「!!」

提督「あの鎮守府には、私達の因縁の相手であるレ級が居る。こちらが相手に気付かれないよう索敵できているように、向こうも気付かれないように索敵している可能性が充分にあるだろう」

提督「それを踏まえてこの文書の意味を読み取るならば『おかしな行動を見せれば、総司令部へ即座に横須賀は危険分子だと報告する』という事だ」

飛龍「でも、それって向こうも同じじゃないですか? 向こうもレ級を置いていますし」

提督「条件が違う。向こうは出撃が自由に出来るが、こっちは出来ない。総司令部から視察が来たという理由で同じように海へ逃げても、空母棲姫とヲ級は下田によって沈められてしまうだろう。そんな事、私には出来ん」

利根「むう……では、どうすれば良いのじゃ?」

提督「正直に言って、詰みに近い。打破をしたいのならば見付からないようにこの鎮守府を抜けて下田に潜入して暗殺するか、馬鹿正直に相手するしかない」

飛龍「暗殺なんて無茶ですから、相手をしなければならないという事ですか……」

提督「ああ……。まず間違いなく使ってくる駒は深海棲艦のみだ。向こうは痛手ゼロというのが腹立たしい」
469 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/23(土) 00:58:02.19 ID:2Rmk4WMMo
利根「…………む? そもそも、どうして下田はここを狙うのじゃ?」

提督「そこは分からんから予想しか出来ないが、私怨があるのかもしれんぞ」

利根「私怨……? どうしてまた」

提督「この間の演習の時、長門をアッサリとこちらへ移籍させた事が引っ掛かっている。向こうからすれば、アッサリと言う事を聞いている長門が面白くないはずだ」

飛龍「そんな事で……」

提督「後で下田の事を知っている四人にも聞いてみる。……私の予想が外れていて、レ級も空母棲姫たちと同じく良い意味で協力しているのならば良いのだが」

利根「夢物語じゃのう……」

提督「ああ……」

飛龍「……空は、こんなにも蒼くて平和なのに」

提督「所詮、人間の本当の敵はまた別の人間という事だ。深海棲艦を相手にするよりもずっと性質が悪い」

利根「……どうして、同じ種族で争わねばならんのじゃろうなぁ」

提督「人間がそれだけ汚れているという事だろう……。私もまた、その内の一人だ」

飛龍「提督が、ですか……?」

提督「私も、だ。私にとって絶対に許せない事をしていれば、私は障害の全てを排除して目的を達成するだろう」

利根「まあ、どうせ提督の事じゃ。その時は我輩たちも許せぬような内容なのじゃろうな」

提督「さあな。そればっかりはどうなるか分からん」

利根「道を踏み外しそうになったら、しっかりと戻してやるからの」

飛龍「それは、提督の艦娘にしか出来ない事ですからね」

提督「ああ。頼りにしているぞ、二人とも」

…………………………………………。
470 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/23(土) 00:58:31.27 ID:2Rmk4WMMo
瑞鳳「ぁ…………ぅ……」ビクンッ

下田提督「ふぅー……スッキリした」

レ級「あーあー。こんなにしちゃって……可哀想に」

下田提督「今回、肉体的に壊したのはお前だろうが」

レ級「そうだけど、精神的に壊したのは君じゃないかなぁ?」

下田提督「そもそも可哀想だなんて欠片も思っていないだろ。流石に手足を挽き肉にするとは思わなかったぞ俺は」

レ級「平然と見ている所か、この状態で犯した癖に……。もしかして、私よりも残虐なんじゃない?」

下田提督「さあなぁ? ま、楽しんだ事は楽しんだんだ。そろそろ、あの鎮守府を壊しに掛かろうか」

レ級「おっ! 良いね良いねぇ! 私もそろそろ頃合いだと思っていたんだよねぇ!」

下田提督「ククク。とことんお前とは気が合う」

レ級「そうだねぇ。もうさ、艦娘じゃなくて深海棲艦の提督になっちゃえば良いんじゃない?」

下田提督「自由に艦娘を犯せなくなるだろ。却下だ」

レ級「ギャハハハハ!! そんな理由で提督やってるなんてねぇ! 本当、面白い人間だわ!」

レ級「んじゃまあ、楽しく殺して殺されよっかぁ!!」

…………………………………………。
471 :妖怪艦娘吊るし ◆I5l/cvh.9A [saga]:2016/07/23(土) 00:59:27.48 ID:2Rmk4WMMo
今回はここまでです。また一週間後くらいに来ると思います。

づほにフラグ立ったかも。
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/23(土) 01:28:50.99 ID:47KnygmWO

見てるとお腹減ってくるよな
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