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男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その3-2
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1 :
◆SetoseN//M
[sage saga]:2015/05/17(日) 02:32:10.84 ID:iieHGl5bo
当スレッドは
男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384785150/
の建て直しとなっております、落としてしまい申し訳無いです
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1431797520
2 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 02:34:56.40 ID:iieHGl5bo
最近忙しくスレを落としてしまい申し訳無いです、建て直し前スレッドの続きという形ですが、一応話の頭から巻き戻す形で投下しようと思います
ではでは、数日内に
3 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 16:49:31.27 ID:iieHGl5bo
男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1311517697/
男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318765682/
男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その3
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384785150/
と来ており、3スレ目の建て直しです
現行話の途中で落ちてしまったので、その話の頭から投下させて頂きます
4 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 16:52:13.35 ID:iieHGl5bo
店主「へぇ、それは災難だったねぇ」
男「そんな嬉しそうに言われてもね」
店主「俺があげたものが役に立ったらしいじゃないか、冥利に尽きるね」
男「実際助かったからね、そうじゃなかったらわざわざ話しに来ていないさ」
店主「それならまた良い物を仕入れてこないといけないねぇ」
店主「不安定な回復道具もないし、どうしようかね」
男「不安定なら使いたくないんだけれども」
店主「ん? もう使ったじゃないか」
男「え、あれ回復道具だったんだ」
店主「そりゃそうだろう、一時的に自身の状態の維持及び苦痛の除去は回復に属するさ」
男「安楽死も医療ってところかな、確かに非常に役に立ったけれど」
店主「あんま日持ちしないからね、君が持っているとはいえ」
男「僕が持つと持ちがよくなるのかい?」
店主「なるさ、君の周りはエネルギーがあると言っただろう、そこらの人に渡すよりは遥かに消えなくなるのさ」
男「ふーん、それがいい事ばかりなら喜ばしい所だね」
店主「しかし辻神に精霊風ねぇ、俺も戦いたかねぇわな」
男「まるで戦えるような言い方だけれど」
店主「いーや、剛力無双の天邪鬼かつ予言の件だったあの頃ならともかく、今じゃそういうわかりやすい強さは持ってないさ」
店主「人間ってのは辛いねぇ、既に元だが」
店主「あぁ、君を責めたり文句を言ったりというつもりはないよ、これで良かったと思っているし」
店主「ま、実際のところは逃げるのが精一杯だろうね、俺でも」
男「逃げれればこんな苦労はしなかったんだけどねぇ」
店主「時間稼ぎだったと考えればいいじゃないか、それに君が巻き込まれなければ国津神による退治も遅れたようだし」
店主「被害が少なくてすんだじゃないか」
5 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 16:54:46.98 ID:iieHGl5bo
男「そんなポンポン人に死なれても嫌だから、そこのところはいいけどさ」
店主「引っかかるものがあるみたいだねぇ、君が巻き込まれやすいのは知っているんだろう?」
男「そこに文句はないさ、必要経費の様なものだろう」
店主「君たち二人でいる為のね、今は一人で一匹か」
男「霊を匹で数えるんじゃあない、というか何で今日は店にいれてあげないのかな」
店主「前回は吸血鬼ちゃんに押し入られただけで、ここはそもそも人間以外立入禁止だよ」
店主「そういう小屋なのさ」
男「あぁ、この小屋自体も不可思議なんだったね、ログハウスって方ばかり目が行って忘れがちだね」
店主「そもそもここがログハウスだということに気付くのも普通は難しいんだがね」
男「ぬらりひょんのせいかな?」
店主「そう、この小屋とは相性が良いのでぬらりひょんは俺よりもこの小屋に混ぜちゃいるのだが」
店主「パーツを俺と共有してしまっているせいで、ここからあまり離れられないのが玉にキズだね」
男「ご隠居生活にしてはアグレッシブに移動出来るようだが」
店主「この前気が向いたから極地にオーロラを見に行ったんだが」
男「いきなり地の果てまで行ったね」
店主「いやー、寒かったね、生身の人間じゃ死んでたな」
男「もしかしてその服のまま?」
店主「そうだが」
男「夏服で行くのがおかしいんだよ、常識知らずとかそっちの方かな」
店主「あー話が逸れてるな、いや逸らされたのか、引っかかるのはそこじゃないんだろ?」
男「あら、戻すんだ」
店主「いたずら好きな性格は治らんもんだな、こういうのが楽しくて仕方ない」
店主「話したくないことを話させるとかな」
男「全く、いい性格しているよ」
男「あまり話すようなことじゃないと思うんだけどね、女が中にいないから話してもいいか」
6 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 16:56:46.80 ID:iieHGl5bo
店主「というかだねぇ、君」
男「うん?」
店主「そもそも昨日の時点で連絡をくれていれば俺も何かしらの準備をだな」
男「いや、辻神からの疱瘡神、それで刀持って山までお参りだよ?」
男「流石に疲れたんだ、勘弁してくれないかな」
男「そもそもに連絡と言っても連絡先が無いじゃないか」
店主「言われてみれば、確かに」
店主「何かしら用意した方が良いのだろうか」
店主「そうか、俺はこの時代を全然理解出来ていないのか」
店主「なるほど、知識はあろうと意識にはなっていない」
男「ま、それはどうでもいいや」
店主「どうでもいいのか」
男「僕の話の方を聞きたいんだろう?」
店主「そうだそうだ、そうだった」
店主「話せ話せ、何が引っかかっている?」
男「さしたる証拠もないからあんまり言いたくは無いのだけれど」
男「ざっくり言うと半吸血鬼の性格かな」
店主「退魔士の家だったか、ここいらだと名が通っていたようだが」
店主「当然現在じゃあ退魔士業は廃れているわな、普通の家とさして変わらんだろう」
男「そ、あの子の破滅的なまでの人外嫌い、足どころか身体を半分突っ込んでいるにも関わらず、非常に憎んでいるように見えるよね」
店主「家が廃れたせいって話か?」
男「そうだったら分かりやすいんだろうさ」
男「でも彼女はそもそも自分の家のことを話そうとはしない」
男「と、言うことは退魔士としての家の復興などが目的ではないと考えられる」
店主「ふむ」
7 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 16:58:20.45 ID:iieHGl5bo
男「じゃあ同族嫌悪かと思えばそうでもない」
男「彼女は妖怪が非常に嫌いな時もあれば、苦手程度で済んでいる時もあり統一感がなく不安定だ」
男「不可思議な存在を許せないわけでもなく、特定の何かが嫌いでもなく」
男「倒せる倒せないで決めているかと思えばそうでもなく」
店主「じゃあ何で突っかかる?」
男「自分が嫌いだから」
店主「あぁ、半分人間じゃないという半端さが嫌でってことか?」
店主「情けない、我々と違って自分の在り方を自分で決められるんだ、そんなことで」
男「うじうじしているわけじゃない、のだろうね」
店主「あん?」
男「まぁ、ココらへんまでかな、あとは憶測だし、他人に話すのは本当に気が引けるんでね」
男「それこそ、後でバレたら殺されてしまいそうだ」
店主「ふーん、ま、いいけどさ」
店主「こっちも見せたいものの準備が出来てきたんだ、暇なら見ていってくれ」
男「待ち合わせがあるからそんなにはいられないよ」
店主「あれま、忙しい中寄ってくれていたのかい、そいつは悪いね」
男「ここに寄るのも用の一つさ」
店主「そうかい、まぁいいもんだから見ていってくれよ」
店主「ほら、どうだ、やっと集め終わったんだ」
店主「探すのは手間だったよ」
男「どうして、これが?」
店主「不可思議屋は、どこにだって在るんだ、存在するもので誰も管理していないのなら集められるさ」
男「確かに、壊したりはしていないけど」
男「赤い靴、か」
男「それでこっちは学校の大鏡」
男「あっちは、サリーさん」
8 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 17:00:45.29 ID:iieHGl5bo
男「揃いも揃ってよく集めたね、大鏡くらいだよ、まだ理解出来るのは」
店主「あれはその後処分されていたからな、何の障害もなかったが」
店主「赤い靴は誰かの元へと移動し続けるからな、誰かが履いてしまうとどこかへ消えてしまう」
店主「だから、履いてはいけないよ、ここに戻ってくるわけじゃないからね」
男「いや、流石に履かないし、男性には履けないんじゃないかな」
店主「そんな気はするね」
男「サリーさんはよく捕まえてこれたね」
店主「君にイジメられて弱っていたからな、正直これが一番楽だったかもしれんな」
男「僕が巻き込まれて、どこかにいった物品か」
男「確かに僕らはそんなアフターケアなんて考えてもなかったけれど」
店主「気にする必要はない、そもそも生きてるだけで褒められるべきだよ君は」
男「ま、僕じゃそういうのを壊したりまで出来ないからね、追っかけることも出来ないし」
男「元々、無理にそういうことをする気はないよ」
男「僕は生きるために生きているからね、無駄に死ぬようなことはしないさ」
店主「お前らが変に追っかけたりしないように集めといたんだが、杞憂だったか」
店主「思っていたよりも、しっかりしてるな、自分が見えている」
男「そうかな、出来る事をしようとしているだけだし、なんせ僕は自分を見失ったりすると女が死んじゃうからね」
男「変な余裕が無いだけだよ」
店主「ふーむ、ま、そんな感じで危なそうなアイテムも保有だけはしているぞという話だな」
店主「売る気はないが、壊したりする気はない」
店主「こんなとこに閉じ込めとけば百年もすれば勝手に消えちまうと思うがね」
店主「どうにも、こういう不可思議を壊せないんだよな」
店主「消えゆくものはそういう定めだとして見ていようと思えるのだが」
男「人間の味方に徹しきれないのも君らしくていいんじゃないかな」
男「そもそも、人間の為に開いている店じゃないんだろう?」
店主「はっはっは、お前に諭されるとはな、いやいや敵わんな」
店主「では、また寄ってくれ、何かあるとは限らんが」
男「うん、また寄らせてもらうね」
9 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 17:01:23.32 ID:iieHGl5bo
第39話
同「わざわざ呼び出して、何の用かな」 男「少し、話がしたくてね」
10 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 17:02:39.84 ID:iieHGl5bo
男「何の用かと言われると困ったな」
男「先日は世話になったからさ」
同「それはボクだってそうじゃない」
同「ボクだけだったら死んでたよ」
男「そうかな、僕がいなければ逃げれたんじゃないかな?」
同「ボクが逃げる? 何から?」
男「僕に凄むなって、ま、たしかに君は怪物というか無差別的に被害を与える化け物は嫌いだよね」
男「かと言って同じく強くても知性的というか、人間に混じって生活していたりするものは、例えば神様とかだけど」
男「人型のものにはそこまでは厳しくない」
男「線引きの理由は何かな?」
同「特に決めてないよ、そうだったら昨日の疱瘡神だって戦ってないはずじゃない」
男「そうだねぇ」
男「君はあれだものね、人に危害を与えるものが嫌いなんだよね」
男「人型、というよりは人語を解するかあたりがその区分けの一つで」
男「解さないものは、意思疎通出来ないのが多いから大体嫌いで」
男「人型まで来ると結構な割合で会話が出来るからね、実際はその辺かな?」
同「わかっているなら、周りくどい聞き方する必要ないじゃん」
男「確かに」
男「そうだ、身体の方は大丈夫なのかな」
同「夕方に呼び出してる時点で、大体わかってるんでしょ」
同「知っての通りまだ治ってないよ」
同「ボクが寝ても治らないなんて久々だよ」
同「昔の人が常世をタブー視するわけだね」
男「割には元気そうだけれど」
同「元々この時間からは元気過ぎるくらいだから、弱っていても人並み以上だよ、心配ご無用」
11 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 17:03:54.38 ID:iieHGl5bo
同「っていうかあの後、問題なく届けられたの?」
男「刀? 問題なかったよ、神社まで持ってったらぶっ倒れた神様も現れたし」
男「神域内じゃないと顕現出来ない位だったから、しばらく寝込んでるんじゃないかな」
男「そもそも今は人じゃないんだし、街をウロウロされても困るけれど」
同「あの剣の強さも結局は神様の力依存だったもんね」
男「いや、それは僕にはわからないけれども」
同「ボクにはピリピリくるからわかるんだよねぇ」
男「要は魔に触れてなくてもエネルギーは散っているわけだ」
男「熱みたいに発散してしまう」
男「で、君の話からすると神域内でもピリピリくるのはあると、つまりは神域内はエネルギーがあるから散らない」
男「だから外に出ているとガス欠で倒れてしまうと」
男「まぁそんな所なのかな」
男「そもそも顕現の仕方自体に何かしらの制限があることも考えられるし」
男「信仰域であるこの街から出られないというのは話半分に聞いておいたほうが良さそうだけれど」
同「どうして?」
男「地縛霊でもないのに特に移動が出来ないということは無いだろうということだね」
男「神には分霊みたいな考え方もあるし、しっかり祀って信仰があれば他の街にだろうと顕現することはあるはずだしさ」
男「なーんか不可思議屋が広告というか物販しているから行動範囲広がるんじゃないかなぁとね」
同「なる程ね」
同「じゃあ外に出なければ治るんだ」
男「そうだと思うよ」
同「外に出なきゃ無敵みたいなもんじゃない」
男「神様なんてそんなもんじゃないのかなぁ、管轄内で効力を発揮する傾向にあるし」
男「逆に外をうろつける方が問題だと思うんだけどね」
同「そっか」
12 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 17:05:47.03 ID:iieHGl5bo
男「外を歩けるのは元人間だからってとこかねぇ、昔からいる神だろうし人と神の境目が薄かった時代の名残かも知れないけれど」
同「まぁ、あそこの神様が消えちゃったりしないならいいけどさ」
男「へぇ、君でも神様とかは心配するんだ」
同「ボクはそこまでマッドじゃないよ?」
男「退魔の剣なんて君からしたら嫌かと思うけど」
同「あれはねぇ、斬られたら泣きそうだよねぇ」
男「不可思議屋が死ぬかと思ったとか言ってたなぁ」
同「件と天邪鬼から特殊能力奪って身体を人間にしたら霊能力者程度でしょ?」
同「それであの剣触ったら泣くよね」
男「泣くで済むんだ」
同「逆にベースが人間じゃなかったら即死かもね」
同「そういう意味ではボクも即死はしないだろうけど、身体の半分消えたら結局死ぬからダメだよねぇ」
同「剣って形なのはそういうとこでもわかりやすく強いよね」
男「他の聖なる何かより?」
同「そうそう、魔除けとかも痛いけどさ、刺さらないし?」
男「君もそうだけれど、日本的じゃないよね、武力で解決というあたり」
同「そうなの? 平和ボケしたお国柄だとは思うけどさぁ」
男「それは君が荒んでいるだけだとは思うけどね」
男「上手く付き合っていくとか知恵やら悪知恵やらでどうにかしちゃうとか」
男「何でなんだろうね、平和なお国柄なのか」
男「単に多神教の国だからか」
男「現代の信仰の在り方はもっと変わってきているけれど」
男「複数の意味で世界が狭くなったというのもあるし、科学信仰の時代だからね」
同「科学信仰?」
13 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 17:07:00.38 ID:iieHGl5bo
男「現代の最大宗派だという解釈が出来るからね」
男「他の宗派を否定して正しいとしてきた宗教戦争とかさ、そういうのからすると」
男「神を否定して、物理法則を定めている科学も宗教の一つだという話だね」
同「もしかして、ほとんどの人間が科学の正しさを信仰しているから」
男「物理法則は正しく作用するし、人外の存在は否定される」
男「ということもあるのかもねぇ」
男「現実に君みたいなのもいるわけだし、科学自体が全ておかしいという訳では当然なくて」
男「最大宗派故に、過度に正しく在れている所はあるかもね」
同「でもここには神もいるし幽霊だって吸血鬼だっているじゃない」
男「エネルギーが余っているとか言っていたね、科学信仰だけだと使い切れない多量のエネルギーがあるんじゃないかな」
男「科学はそもそもそういうエネルギー自体を否定しているからどうしても余ってしまうとか」
男「というかさ」
同「うん?」
男「今日はそういう話をしに来たわけではなくて」
同「何の話しに来たんだっけ」
同「っていうか女ちゃんは?」
男「不可思議屋に置いてきた」
同「何で? 君の護衛にはなるでしょ」
男「いや、僕は別に護衛が必要な人じゃないんだけど」
同「え?」
男「え?」
男「まぁいいや」
同「ボクとしてはあんまよくないけど」
男「近頃さ、君機嫌悪いよね」
同「そう?」
男「何か悩んでるんじゃあないかなって」
14 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 17:08:24.36 ID:iieHGl5bo
同「何かって何?」
男「例えば、そうだな、家のこととか」
男「怖い顔するのはやめてくれよ、よくある話だろう、家庭環境で悩みを抱えるなんてこの年代にはさ」
男「それとも、違う何かがあったのかな?」
同「あー、わかった、わかったもういいよ、ボクから話したほうがマシだってわかった」
同「うちが退魔士みたいな仕事してたってこと」
男「うん、知ってる」
同「だよねぇ、いやまぁ何かバレてるとは思った」
男「やっぱり?」
同「だってさ、何かボクの家の話振らないし、雷獣飼ってるあれでも見に来る気も無さそうだったし」
男「そっか」
男「まぁ、君のとこの家業が退魔士だということは知っていたけれど」
男「他の人は知らないんじゃないかな、女ですら」
同「あ、そうなんだ」
男「自分から言わないってことは大方想像つくからね」
男「要は君の代で久しぶりに退魔士が出来るようになったわけだ」
同「うん、まぁそうだね」
男「ただ、退魔士というのは名前だけで実際は」
同「化け物による化け物退治」
同「英雄による化け物退治とは色合いが違うよねぇ」
男「それに加え、君は数代ぶりに吸血鬼の力が使えるなんてもんじゃなくて」
同「初代ぶりじゃないかな、記録を見るに」
同「ボクを除くと代々吸血鬼率は下がる一方だったからね」
男「初代ってことは」
同「半人半妖って奴?」
同「まー江戸時代にはよくある話でしょ」
男「いやぁ、絶対よくある話ではないけれどね?」
15 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/17(日) 17:09:20.19 ID:iieHGl5bo
ここまでが現行話の貼り直しになります、お疲れ様でした
数日内に次の投下をしようと思います、今後共よろしくお願いします
ではでは、また
16 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/20(水) 22:08:40.19 ID:MdRMK5Njo
今日は来ました
ここからが新しい部分の投下となります
17 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/20(水) 22:09:58.84 ID:MdRMK5Njo
同「で、ボクは恐らくその半不死者初代ぶりの半分な訳だけど」
男「ということは初代ってのは君並に戦えるんだね」
男「そりゃ仕事に出来るわけだ」
男「当時ここらへんには大きい神様もいなかったみたいだし、役に立ったんだろうねぇ」
同「別に人の為にだと、は思ってないけどね」
男「やっぱり退魔士業が嫌いなんだ」
男「だから自分の気の向くままにしかやらない、人の依頼を受けたりはしない、困ってる人を探して助けたりもしない」
男「別に君のそれをどう使うかなんて君の自由だからいいんだけれど」
男「頑なにお金にはしたくないみたいだね」
男「その気になれば仕事に出来るはずなのに」
男「どうしてかな」
同「べっつに、好きじゃないだけだよ、人でいたかった先祖の仕事なんて」
男「人でいたかった?」
同「え、あ、あー、ちょっと待って」
男「昔はコミュニティが現代の僕らでは想像も付かないくらい狭い、外国なんてあるかすらわからないどころか」
男「日本の中ですら国があるような感じで、コミュニティが狭いというより世界が広かったと言うべきなのかも知れないけれど」
男「狭いコミュニティであるということは、自身を構築する世界も狭いということで」
男「当然、人との関わりはその人の在り方に大きく関わり、依存度は遥かに大きかっただろう」
男「そんな中、初代は墓から生まれて」
男「拾われて、育てられて、半分人じゃなくて」
男「君が苛ついている理由はそこなんだろう?」
同「苛ついてる、まぁ苛ついてるんだろうね」
同「あーあー、こんなの人に言うもんじゃないんのに」
男「人であると認められたくて、コミュニティに入れてもらいたくて半人半妖の君の先祖は」
男「化け物退治を、退魔士を始めたんだ」
男「人の為に人ならざる者を倒す半人は人だろう、そうに違いない」
男「何故なら『人である』としていれば非常に有益であるから」
同「恥っずかしいなぁもー」
同「そこまで書いてあったの?」
18 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/20(水) 22:10:48.18 ID:MdRMK5Njo
男「流石にそこまでは書いてなかったよ」
男「でも、君の行動原理を考えている中、それを見つけてさ」
同「それ?」
男「まぁ、古文書のことだけれど、それにはこうも書いてあってね」
男「善意の退魔士である、と」
男「下手すれば宗教家よりも遥かに最低限の礼しか貰わずにやっていたそうじゃないか」
男「確かに、君と同じくらいならば食料すら無くても死なないのだから並みの人間よりは節約出来そうなものではあるが」
男「おかしいだろう?」
男「なんでそんなにお金をもらわなかった?」
男「貰えなかったわけではなく、貰わなかったんだ」
男「善意以外の理由があると考えるの普通だろ?」
同「それで、気付いたんだ」
男「そういうこと」
同「そ、ボクの家は人間でありたくて周りに媚びへつらってたって訳」
同「人なんていくらでも殺せただろうに、そうやって脅したり何かせずね」
男「それは結果として正しかったと思うよ、そういう悪者なら初代で退治されていただろう」
同「でも、媚びへつらっていたってことは変わらない」
同「代を重ねる毎に人になっていくのがボクの家では喜ばしいことだったんだよ」
同「ボクの親の代でついに霊感すらほとんど無い普通の人間、純粋に半々と吸血鬼の割合は減っていくんだから当たり前だけど」
同「10代目で1000分の1以下の割合のはずなんだから」
同「吸血鬼としての力が使えたのはせいぜい6代目あたりまでで、そこからは廃業していたはずだったんだ」
同「でも、ボクが産まれてしまった」
同「親戚一同恐れ慄いたそうだよ、自分の子どもや孫にもまだ化け物が産まれるのかも知れないとね」
同「で、ボクがどういう扱い受けたかわかる?」
男「何となくはね」
男「君は怖がられてるんだろう?」
同「わかってるじゃん、その通りだよ」
同「ボクは色んな意味で怖がられているんだよ」
同「ボクが産まれたせいで、みんな」
同「ボクなんて産まれなければ」
同「とか思ってた時期もあったけど、いくら泣いて死にたがってもボクは死なないからね」
同「しょうが無いから家のこと調べたよ」
男「それで、何のための退魔士かがわかってしまったと」
同「うん、この血をこれ程憎んだときはなかったよ」
19 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/20(水) 22:11:35.01 ID:MdRMK5Njo
同「正直、親とか親戚が内心引いてるし、嫌だと思っているのは子供ながらも察してたよ」
同「でも、それでもボクにはこの身体能力があると、強い力があるとそうも思ってたんだ」
男「そりゃ子供とは言え君には大人でも勝てないだろうね」
同「でも、その力はボクにも勝てない大人たちに媚びへつらう為のものだったんだよ」
同「それを知ったときは悲しいのか悔しいのか、それともキレてるのかわからなかったけど」
同「それからかなぁ、ボクが人外が嫌いになったのは」
同「同級生とかとあんま仲良くないってのは昔からだから変わってないんだけど」
男「君の先祖ってだけで、君とは関係無いと割り切ればいいんだけれどね」
男「時代が違うから、君のそれは受け入れられないのではなく、そもそも理解が、認識がされないんだから」
男「初代と違って半妖が理解されないんだから」
男「現代には妖怪なんていないんだから」
同「ボクの半分はいないようなもんだってこと?」
男「違うよ、半妖が理解されないなら君は何になる?」
男「普通は人間と一緒なら、それはもう」
男「君はそのままで、半人半妖のままでしっかりと人間なんだよ」
同「う゛ぅぅ」
男「それに初代と違って君は綺麗な半人半妖じゃないんだろう?」
男「かなりの割合で人に寄れるんだから、自分の吸血鬼率をある程度制御出来るのだから」
男「一層人間らしいじゃないか」
男「って、おいおい泣くなよ」
同「泣い゛でない゛も゛ん」
男「はいはい」
男「君の先祖は、墓から生まれて、そのまま寺に拾われて、育てられて」
男「それで、独立して退魔士業を始めたんだっけ」
同「あ゛ー待ってね」
20 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/20(水) 22:13:14.77 ID:MdRMK5Njo
同「おっけー、ほんと毎回よく調べてるね、そこら辺で調べられるものじゃないでしょ」
男「そこら辺で調べられるけどね、そこの神社とかって涙引っ込むの早いね」
同「ま、汗も涙もボクの体液だからね、再吸収は容易いね」
同「しかし古文書レベルはズルいなー」
男「昔の土砂崩れの記録とかも平然とあるからねあそこ」
男「ちゃんと学術的に寄与した方がいいものが多いよあそこ」
男「面倒くさいで一蹴されたけど」
同「いいのそれ」
男「別に記録を出さないのは罪にならないからねぇ」
男「というか、あの家であの家で、神の直系だからそこら辺の隠蔽の為に公に出来ないんじゃないかなぁ」
男「面倒くさいって言ってるのはあの神様だけど、今なんてそれが住んでるからね、調査機関とか絶対入れられないよね」
同「バレないんじゃないの?」
男「まー、流石に普通の人は入ってこれないと思うけどね」
同「っていうか調査機関とか入ってくるほどのことないでしょ?」
男「いや、あの神社に属している土地は山単位だからね、周りの山と生態が違うから私有地じゃなければ調べたいでしょう」
同「生態が違うの?」
男「長く神域として人の手が入ってない山はすごいよ」
男「君はそう言えば入ってないんだっけ、原生林っていうと語弊があるかもしれないけどさ」
男「普通の山とは違うねぇ」
男「昔のまんまなんてもんじゃ無いよ」
男「そもそも昔の山みたいなのも大体は雑木林とかそういう人の手の入っている前提の山だから」
男「そういう山の森は明るいんだ」
同「明るい?」
男「そ、君は暗くても困らないから存外気付かないかも知れないけれど」
男「人の手が入るって要は何かを取るってことだからね」
男「植林ってのも無くはないけど、それはそもそも木を無くしてるから植えるわけで」
男「だから明るくて風が通って過ごしやすい森になる」
同「そうなんだ」
男「ジメジメ湿った怪しい森ってのイメージつくかな」
同「魔女が住んでそうな?」
男「そんな感じだね、そういうとこは人が何もしてないってわけだ」
男「だから普通の生活をしてて関わるような森とは雰囲気が違って」
男「結果として、神域とかそういう普通ではないとこと考えられてきたんじゃないかな」
同「それでより人が寄らなくなるから怪しい森は怪しいままと」
男「そういうこと、100年も放置されれば大分変わるからね、100年前の状態なんて当時は誰もわからないから」
男「不思議な場所みたいになるわけだ」
男「山だけじゃなくて森も空間の区切りとして昔から考えられてきたってとこの一因だろうね」
男「そもそも森なんてなんもない平地に比べれば湿度が高くて気温が安定していてと肌で感じる違いがあるってのが大きいだろうけど」
同「じゃああの山はずっと人の手が入ってないから貴重だってこと?」
男「まぁ、そうなるんじゃないかな」
男「周りにはいない虫とか鳥とかいると思うよ」
同「妖怪の類的な意味じゃなくて?」
男「そういう意味でもいそうだよねぇ」
21 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/20(水) 22:13:59.82 ID:MdRMK5Njo
男「ほら、神社のある隣の山って荒神が地名に残ってるじゃない?」
同「知らないけど?」
男「いやまぁ、そうなんだよ」
男「で、あそこは入会地とか御留山とかそんな名目っていうか建前で禁忌とされてきたんだ」
男「ま、荒神が攻めてきた時の山だから何か残ってそうってのはわかるけど」
男「というか、何かどころかそもそも残ってたわけだし禁忌にしたのは正解だったんだけれど」
男「そっちの山は何か特に誰の私有地でもないから生態調査とかしたらしいんだけど、周りの山とは独立した生態だったらしいんだよね」
同「へー、何か珍しいのいたの?」
男「植物でも昆虫でも何かあったらしいね」
男「苔なんて固有の種とかなんかで地方新聞の方に前載ってたよ」
同「確かにあそこ鬱蒼としてるよね」
同「淀んでるっていうのかな、そういうとこって悪いのも流れ着きやすいんだよね」
同「街に居場所のない幽霊というかその成り損ない?」
同「残留遺志みたいなのがふよふよしててね」
同「昔はそういうのが悪さしてたのかなーって思いながら前に一通り食べてきたけど」
男「食べたんだ」
同「それが一番早いしねぇ、それにちょくちょく何か食べてたほうが調子いいんだよね」
同「あれ」
男「どうしたの」
同「あっちから赤ん坊の鳴き声聞こえない?」
男「そっちは森しかないと思うんだけど、誰かいるの」
同「いや、いないね」
男「というか、僕には聞こえないんだけど結構遠くの声聞いてる?」
同「あ、そっか身体ガタガタだから普通に吸血鬼状態だし今耳もいいんだ」
同「あー、遠いしこれ人じゃないかなー」
男「どうして?」
同「だって上から聞こえるんだもの」
22 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/05/20(水) 22:14:51.79 ID:MdRMK5Njo
本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした
次回もまた早めに
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/05/21(木) 11:01:17.60 ID:RjBoP85DO
お疲れさまです
復活して良かった
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/06/08(月) 04:03:35.29 ID:vBNBS2x7O
おお、復活してたか!
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/06/08(月) 14:35:11.01 ID:SrvXARPP0
おつ!
復活して何よりです
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/06/11(木) 23:02:13.74 ID:KOjVs7kAO
乙おつ
ひそかにお気に入りだったので嬉しい
頑張って下さい
27 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/07/02(木) 21:44:02.45 ID:ZJHHjiHko
今日は来ました
意外とこの話書きにくくて困っています、ついでに次の話何にしようかとかも
ではでは、投下していきます
28 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/07/02(木) 21:44:29.09 ID:ZJHHjiHko
男「上から?」
同「うん、あっちの方」
男「それ赤ん坊なの?」
同「っぽいけどー、見えないからわかんない」
男「木の上に赤ん坊でも吊るされてない限り、あんなとこにいるわけはないし」
同「妖怪かな?」
男「だと思うけれども、赤ん坊の声で泣く妖怪ってのは人を呼ぶためにそんな声を出しているわけだから」
男「木の上から聞こえるなんておかしいんだよね」
男「それじゃあ、通りすがりの人が触れないから」
同「ボクならいけるけど?」
男「今は君でも厳しいだろうに」
男「となると、声の正体を探りに来たところで襲い掛かってくる類と見るべきだし」
男「近付かないが吉だね」
同「でも声はこっちに近付いてるよ?」
男「動いてるの!?」
同「うん」
男「先に言ってよ、とりあえず逃げるよ」
同「あ、うん」
同「とりあえず人気のない方向に行くよ」
男「あぁ、逃げるんじゃなくて移動して迎え撃つ気なんだね」
同「別に追ってこないなら今日はいいかなぁ」
男「そっか」
同「ちょっと強い奴だと勝てないだろうし、困っちゃうねぇ」
男「何でちょっと楽しそうなんだい?」
29 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/07/02(木) 21:45:12.96 ID:ZJHHjiHko
同「いやぁ、死にそうだなぁってドキドキはあんま感じないから嬉しくて」
男「色々と凄まじいね」
男「まぁいいや、こっち来てるの?」
同「うん、来てるね、ボクら狙いみたいだね」
男「赤ん坊の声で泣く、浮いてる、飛んでる、色んな声が出せる、声マネが出来る」
男「赤ん坊の声で泣いて飛ぶ?」
男「オゴメに産女、鳥だから飛べるし、合っていそうかな」
同「わかったの?」
男「産女の類いかなぁって程度だけどね、怪鳥で赤ん坊を攫うとか、赤ん坊背負わせるけど実は石とか色々あるけど」
男「その中に赤ん坊の声で泣いたり特徴的な高笑いをするっていうのもあった気がするし」
男「ただ、赤ん坊を連れてるでもない僕らを追う理由はわからないねぇ」
男「何かを背負わせたりするタイプは追ってきたりはしない気がするけど」
同「対処法は?」
男「ウブメって言ってもあれは飛んでるから姑獲鳥って同じ読みでも漢字が違うんだけど」
同「どっちもわかんない!」
男「あれは飛んでるから人の子供を連れ去るとか、そういう系だね」
同「ボク達関係なくない?」
男「だから確証が持てないんだけど、赤ん坊の声で鳴いて飛んで移動してるものなんて他に知らないし」
同「新種じゃない?」
男「成る程ね、悪魔の証明って訳だね」
男「僕と女自体がそういう新種だしそれを考慮せざるを得ないところは実際あるけれど」
同「あ、やっぱりボクらの方に来てるし、移動も速いね」
男「どうしたもんかねぇ」
30 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/07/02(木) 21:45:49.76 ID:ZJHHjiHko
同「ボクの索敵範囲内に入ったよ」
同「まぁ当然人じゃないけど」
同「どうする?」
男「どうするも何も逃げ切れないんだし、対面するしか無いね」
男「君だけ逃げたいならそれでも構わないけれど」
同「まさか、相性悪い神様とかならともかく妖怪相手に?」
男「妖怪とはまだ決まってないじゃないか」
同「生物じゃないんだから、化け物でしょ」
同「神様も化け物って話?」
同「ふふふ、それも面白いけど今はあの鳥ぶちのめさないとねぇ」
男「見えてるの?」
同「ほら、もう見えてるよ、デカい鳥」
男「いや、僕は君みたいに方向とかわかるわけじゃないから」
男「と思ったけれど、普通に見えるねあれ」
男「本当にデカいね、人間大の鳥ってとこかな」
同「だねー」
同「お腹も減ってるし食べてくるね」
男「行ってらっしゃい」
男「あれで、無視して僕の方に来られたら困ったもんだけれども」
男「まぁ、そういうことも無いか」
男「真っ直ぐあっちに向かってるのは、昨日と同じで彼女狙いってこともあるか」
男「もしかして、僕らじゃなくてあっちもかなり巻き込まれるタイプ?」
同「男くん、それ聞こえてるからね!」
男「耳もいいんだったねぇ、悪いね」
同「絶対わかって言ってるでしょ!」
男「そんなことはないさ」
31 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/07/02(木) 21:46:30.55 ID:ZJHHjiHko
同「まぁいいや、わざわざこっち向かってきてんだからぶん殴ってあげなきゃね!」
男「確かに僕らの高さまで降りてきてくれているのは好都合だけれども」
男「それはやっぱり、僕らが標的にされているということが確定してしまったということで」
男「姑獲鳥、人並の鳥とは言え苦戦しないのは流石だねぇ」
男「って、あれ」
男「おかえり」
同「ごめーん、ぶっ飛ばされたー」
同「デカいだけあって筋力あるねぇ」
同「羽はむしってきたけれど」
同「うーん、味しない」
同「味しない?」
男「どうしたの?」
同「いや、この羽、味がしないから、なんだろ」
同「身体の一部じゃないのかな羽って」
男「髪でもいいんでしょ、君って」
同「だね、ということはこの鳥は偽物かな?」
男「あの鳥が偽物?」
同「そう、生物ではない部分っぽいね」
同「でも、中身はあるから機械みたいなものか、着ぐるみってとこかな」
男「式神の類とか」
同「なのかなぁ、もうちょっと食べてみないとわからないかな」
同「さぁて、もっかい!」
同「別に力負けもしてるって程じゃないし」
同「この程度なら食べれるボクのほうが有利だね」
男「あぁ、そうか、相手を吸収して回復できるから長期戦というか」
男「拮抗した状況みたいなのに基本的に強いのか」
男「成る程、ぱっと見若干不利程度は彼女にとっては普通に有利なんだ」
男「どうりで平然としてるわけだ」
男「というか、これ僕の方に見向きもしないし帰っていいんじゃないかな」
同「ダメ!」
男「きっと女の子限定なんだよそれ、僕関係ないって」
同「やだ!」
32 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/07/02(木) 21:47:37.96 ID:ZJHHjiHko
男「そんなんだから攫われそうに」
男「あれ?」
男「その鳥、攫おうとしてる?」
同「あー? 鳥の癖に取っ組み合いに持ち込もうとしてるんじゃないか、な!」
同「もう、バサバサ鬱陶しい!」
同「って、これ羽じゃなくて羽毛じゃん」
同「羽毛、いや羽衣?」
男「姑獲鳥だよそれ、やっぱり」
男「毛を着ると鳥、脱ぐと女になり、人間の命をよく奪い、鬼神の一種であると言う」
同「どうしよう、何か女の人になったけど」
男「いや、根本的には同じだから変わったってことは無いはずだけれど」
同「なら、やることは変わんないね」
男「すごい帰りたくなってきた」
同「だーめ」
同「うわっ、危な」
ウブメ「ワタシのアカチャン!」
同「話せるんだ」
同「っていうかボクはあんたの赤ちゃんじゃないっての!」
ウブメ「アカチャン、オオキく、ナッテ」
同「その腕もーらい、いただきますっと」
ウブメ「アカチャン、イイコ」
同「え? 嘘? どうしよう」
男「どうしたんだい?」
同「これ、産女じゃないよ男くん」
男「うん?」
同「だって、これは」
33 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/07/02(木) 21:48:52.25 ID:ZJHHjiHko
本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした
梅雨になりましたね、ジメジメするのもまぁ年に1回なら悪くないものです
ではでは、また来ますね
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/07/03(金) 19:05:29.86 ID:05sx2GOSO
おつおつー
35 :
◆SetoseN//M
[sage]:2015/08/02(日) 21:10:39.54 ID:owGOjnBqo
1週間以内には投下します…
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/08/02(日) 22:40:34.38 ID:QqGPzmbDO
まってまーす!
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/08/03(月) 02:09:57.16 ID:csnwrj310
待つよー
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/08/03(月) 11:07:29.03 ID:l6GVTsqAo
久しぶりにきたー(゚∀゚)
39 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/08/09(日) 00:13:17.16 ID:IBjzzhsWo
今日は来ました
夏バテと夏風邪の季節ですね、ある程度は冷房機器の副作用と割り切るしかないのでしょうか
では、投下していきます
40 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/08/09(日) 00:13:45.34 ID:IBjzzhsWo
同「ボクと同じ味がする」
41 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/08/09(日) 00:14:45.92 ID:IBjzzhsWo
男「え?」
同「ありえない、これ、ボクと同じってことは」
男「千切れた腕がもう生えてきてる、この治り方って見覚えあるんだけど、もしかしてさ」
同「うん、吸血鬼だ」
同「しかも、この感じ」
同「ダミーとかそんなのじゃなくて、ボクそのものだ」
42 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/08/09(日) 00:15:14.59 ID:IBjzzhsWo
半吸血鬼と同じ味がする、ということが何を指すのか当人でない僕にはいまいちわからないとこではあるが
吸血鬼のエネルギーと味覚の対応がわからないし、同じ味が何を指すのか僕には理解出来ないけれど
今かなり危険な状況であることはわかる、戦闘にノリノリで持ち込んだ彼女が動揺しているからだ
いくら攻撃を受けようが怯まないで突っ込める精神性が彼女の強さを支えているのだ
それが困った顔で僕の方を見て、ましてや「どうしよう」だなんて
対吸血鬼戦闘が初めてで動揺している、というのでは恐らく無いのだろう
自分のそれに彼女は誇りを持っているわけではない
どころか、吸血鬼なんて現れたら嬉々として排除しようとするだろう
ということは、この同じ味というのはもっと限定的な意味であって
この産女は彼女と同じ系列の吸血鬼なのだろう
産女で吸血鬼で、彼女と同じで、僕には見向きもしない
つまり、産女の標的が彼女であって
産女は子供を狙うはずだ、子供が欲しいから
なぜならば産女とは子供を産めずに死んだ妊婦が成るものだからだ
子を思う想いの強さや生命を生み出すエネルギーを体現している妖怪変化で
その強さは本来幽霊になるはずの人間が妊婦であったという一点のみで鬼神の類にすら分類される程だ
更に吸血鬼でもあるということは、吸血鬼で妊婦だった
或いは妊婦が吸血鬼になったのか
彼女と同じ系列の吸血鬼だと仮定するならば後者の可能性が高いだろう
不死者の王としての吸血鬼は世界各国に点在する吸血系の妖怪や
吸血生物としての吸血鬼とは違うからだ
後者ということは、妊婦のまま吸血鬼にやられ死んでしまったのだろう
不死者にやられ、不死者となり蘇る
その過程で子供を失った
43 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/08/09(日) 00:15:52.04 ID:IBjzzhsWo
そして産女は彼女を自らの赤ん坊と呼ぶ
産女としての習性の可能性も高いが
やはり吸血鬼の妊婦が死んだ、のではなく
妊婦が吸血鬼に殺され、吸血鬼となったのだろう
そこで居なくなってしまった赤ん坊を探している
つまり、吸血鬼として活動を始めるまでのタイムラグで赤ん坊を失ったのだ
不死者として活動を始めるのに確か数日はかかったはずだ
母体が死んだのだ、中の子供が生きているわけはないだろう
普通に考えるのであれば、流産や死産と捉えるべきだろう
だが僕らは半分死んでいる子供が産まれた話を知っている
おそらく、彼女もそれに気付いてしまい、攻撃できなくなっているのだ
だから、すがるような顔で僕を見てくるのだ
産女にいくら抱きつかれようとも、それが攻撃でないとわかってしまったから
どうすればいいのかと、誰かに教えてもらいたいのだろう
僕だって、教えてもらいたいものなのだが
それに、僕が逃げるか否かも、見極めるとしたら今なのだろう
産女の標的は僕ではない、僕には見向きもしていないとわかったのだから
逃げていいのならば、今のはずだ
しかし、人型になった、人型に戻った産女が彼女を抱きしめるその姿は
その気迫は、並々ならぬ物があって
僕の中の逃げるという選択肢は容易に奪われてしまった
44 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/08/09(日) 00:16:37.31 ID:IBjzzhsWo
ありえないんだ、こんなこと
ボクと同じ味がするなんて
千切れた自分の身体を再び吸収したみたいな感じがするなんてことは
ボクの身体は確かに血液を体外で操ったりとかは出来るけれど、それはもちろん自分の身体だけの話だし
エネルギーとして分解もしないでそのまま吸収出来る訳ないんだ、ボクの身体でも食べない限り
いくら同じ吸血鬼とか言っても別個体の身体をそのまま動かせるはずはない
ということは、この産女はボクと同じ
同じ?
同じって眷属とかそういう?
でもボクは不死者として、不死者を増やしたりなんてしていないし
記録上はボクの家系でそういうのを作ったことはないらしい、というかそもそも眷属を作る能力があるのかも怪しいし
それにボクのはそもそも日本にいた吸血鬼ではないらしい
所謂南蛮渡来って奴だけど、大量の不死者が世界を支配していない現状からして退治されるなりしたのだろう
そもそも不死者が日本に来てる時点で追われていて逃げついたって感じだし
日本に逃げたってのが運の尽きだったのかな、ボクの祖先以外の不死者の話が残ってないんだから
まぁ、この国は現代ですら暴れ回ったらすぐに滅せられるってのがボクでもわかるし
当時もすぐ姿をくらましたか、すぐに消されたかってとこなのかな
んーでもそこで消えちゃうとこの産女がボクだってのが説明がつかないし
ボクと同じ吸血鬼、ボクのことを自分の赤ちゃんだと思ってるのは産女の習性なのかな?
吸血鬼で母親でボクと同じで
ボクのこれは先祖返りだから
本当は初代のことが探してる赤ん坊ってこと?
んーと、だからこれは初代の母親なんだ
45 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/08/09(日) 00:17:32.64 ID:IBjzzhsWo
半分生きたまま産まれたボクの先祖を産んだのは
半分死んでる吸血鬼だから、半分だけの吸血鬼
残り半分が幽霊となって、半吸血鬼の産女となって探してるんだ
いなくなった子供を
それにしても何百年探しているんだって感じだけどさ
だから敵意がボクにないんだ、それにしても力強すぎるけど
半分が吸血鬼で半分が人間のボクと違って半分が吸血鬼で半分が産女なんだから当たり前か
人間と比べたら怪力なんだ
しかも、ボクが思うにこれそんな頭良くない、生前の記憶がちょっとだけ残ってる浮遊霊みたいなもんだ
明確な自我はもうないから、赤ん坊なんて言いながら大の大人でも軽く殺せる腕力で抱きに来るんだ
普通に肋骨が折れたし、このまま締められてたら背骨まで折れるのも時間の問題かな
でもこの人、別に敵意があるわけではないし
目当ての物を見つけられたとこなんだろうし、あんま水差したくはないけど
今のボクはそんな骨がバキバキ折れる勢いで抱きしめられて大丈夫な体調じゃないから
どうしよう、一応親みたいなもんだよね、これ
ボクの半身の親の幽霊だもんね、ややこしいなぁ
で、どうしたらいいんだろう
行き場を失った愛情が、迷ってボクに向かってきている
その事実はわかったけれど
どうしよう、わかんなくなっちゃった
こういう時、どうすればいいんだっけ
誰か、ボクに教えてよ
46 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/08/09(日) 00:18:37.78 ID:IBjzzhsWo
今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした
夏はホラーの季節ですね、特に意識はしたことなかったですがお盆があるからでしょうか
ではでは、また来ますね
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/08/09(日) 03:01:47.67 ID:tZj7+reTo
きたー
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/08/09(日) 18:19:15.52 ID:J4UNekLkO
おつおつー
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/08/25(火) 07:55:48.46 ID:d50tScr30
おつー
50 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/09/07(月) 12:54:13.16 ID:5+fugc19o
今日は来ました
ではでは、投下していきます
51 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/09/07(月) 12:55:02.31 ID:5+fugc19o
ということは、この人?の狙いはボクなわけで男君は関係ないから
逃げればいいんだろうけれど、気付いてない
ってことは、無いんだろうね、あの顔は
気付いた上で、対処に困っているんだ
そりゃそうだ、ボクだって困っているんだし
とは言え、全快時のボクより強いであろうこの怪力に男君が手を出せるとは思えないし
っていうか、ちょっと待って、そろそろ折れ方がキツい、苦しくなってきた
内側から血液を硬めて骨格の代わりにしてはいるけど、この体力じゃ保たないし
やっぱり倒すしか無いのかな
言葉が通じるレベルなら、自分の赤ん坊だと思ってるボクを絞め殺す勢いで抱きしめるわけないし
つまり、ボクなのではなく初代に対しての執着心によって産まれた存在であって
意識や記憶がある程度保持されてる幽霊的な存在ではないってことなのかな
ま、どっちにしろ人間の意識が残ってないなら関係ないか
話が出来ない相手は誰であってもバケモノだ
腕もがれても気にせずボクに向かってきたのも、気にする頭が無いってことみたいだし
ボクと同じってことは吸収がすごいいいエネルギーってことだし、ちょうどいいね
とりあえず、食べちゃおっか
52 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/09/07(月) 12:55:32.14 ID:5+fugc19o
僕には、これを見ていることしか出来ないのだろう
彼女が力負けしてるとこからも、あれが吸血鬼と産女のハーフということが読み取れる
そして、残念なことにあれのメインは吸血鬼ではなく産女のようで
子供への執着心のみで動いているようなものなのだろう
そうでなければ、まずその大事にな子供をへし折ろうとはしないだろうし
そして、話も出来ないのであれば僕に出来る事は一気に少なくなるし
産女かつ吸血鬼という肉体的に優れた妖怪をどうにか出来るわけもなく
どうにか出来るわけもない、お守りクラスでどうにか出来る相手ではないし
今の僕には女が幽霊になっている以上、そこまで強いものは身につけられないし
産女メインであるのであれば、そこに吸血鬼としての肉体的特性が付与されているだけであるのなら
産女をどうにか出来ればいいだけだが、産女を退治するという話はそもそもになく
力でねじ伏せる彼女の戦い方も相性が悪いのもあって、苦戦している
彼女がやる気を見せてくれれば正直何とかなるのではないかと、近頃の体験から思ってしまうが
彼女が僕にどうにかして欲しそうな目をしているということは、何かしらの対策が欲しいのか
彼女の強がりの限界が近く、実際は勝て無さそうであるかってとこなのだろう
そうであるならば、僕個人としては逃げてしまった方が良さそうではあるが
いや、待てよ
あれの存在の根源は、執着心、つまりは感情だ
僕らのルールは一時的に感情や記憶、想いが失われることで消滅したときがあった
つまり、形造る元となる柱を無くせば成り立たなくなる物もあるということだ
この世への未練で成るという怨霊や子への執着心で成ると言う産女がその感情を失ったら?
消えると考えていいだろう
そして、感情を一時的でも消す物なら持っているじゃないか
煙羅煙羅シガレット
吸血鬼がメインで無いならば、この煙を吸えば或いは
一時的であれ、効果を発揮できるのならば、これは意味を為すのではないだろうか
53 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/09/07(月) 12:57:44.47 ID:5+fugc19o
男君が何かを取り出した
確か、あれは煙草型の煙羅煙羅、だっけ?
効果は確か、無感情になる
あ、そっか、そういうことか
無感情になれば、一時的に力が無くなる、のかな?
ボクと同じ吸血鬼だから、吸っても分解される気はするけれど
食べるという意識が無いなら、確かにちょっとの間は効果が出るのかも
さっきから肩とか食いちぎっても平気にしてるし、再生も多分意識してない
ってことは効くのかな
一時的に動きが止まるってだけでもありがたいし
さっきから食べてもダメージとで全然回復していかないし
おっけー、おっけー、男君、それで頼むよ
ボクは息を止めとくから、うん
うわ、煙い
花火をまとめてつけて水に突っ込んだみたいだね
目には染みない、不思議な煙だ
もしかして、匂いも無いのかもしれない
見えるだけで空気と何も変わらないってのは違和感がすごいね
でも、動きは止まった、無感情になると感情で動く産女は動けない
んで、両手から離れられればボクだって!
さぁ、反撃開始だ
54 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/09/07(月) 12:58:24.61 ID:5+fugc19o
男「いやぁ、これ効いてよかったねぇ」
同「もう、使えるもの持ってるじゃない」
男「そういう使い方を想定していないと思うんだよね、元々」
男「それに半吸血鬼という意味では効くか疑問があったし」
同「どうかなぁ、吸血鬼でも効くとは思うんだよね」
同「でも、その後の回復が早いから問題にならないってだけで」
男「なんであれ、君が元気になったみたいで良かったよ」
同「あ、わかる?」
男「なんとなくね」
同「ボクと同じ部分、吸血鬼部分は全部食べたからね」
同「全快って感じ」
同「だから、あっちはもう消えるとこ」
男「とどめは刺さなかったんだ」
同「わかってるくせに」
男「最初から、戦って倒す気だったら倒せていた」
男「だけど、君にはその気が無かった」
男「いや、あちらにもおそらく害意は無かった」
男「が、基本となる筋力が鬼神と吸血鬼のそれだ、抱きしめるだけで人間なんてへし折れてしまう」
男「それで、君は倒したいのか倒したくなかったのか、どっちなんだい?」
同「そりゃ、倒したくなかったよ」
同「それこそ、珍しくね」
同「でも、話が出来る程度じゃなかったし」
同「だから無力化して、消えるの待ってるの」
男「君がいいならそれでいいけれど」
男「うん?」
55 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/09/07(月) 12:59:38.04 ID:5+fugc19o
産女「よかった、元気になって」
同「え」
産女「元気なかったから、良かった」
同「話せたの?」
産女「良かった、良かった……」
同「あぁ、そういうこと」
産女「よかった、よかった……」
同「じゃあね、お母さん」
同「さようなら」
男「あれま、消えちゃった」
男「生命を生み出すエネルギーを付与することで人に怪力を授けると解釈される産女」
男「これは君に吸血鬼部分を差し出し、赤ん坊を助けたと考えればいいのかな」
男「つまり、最初から狙いは君で、君が死ぬほど弱っていたから助けようとしたと」
男「そして、妖怪としての力を失ったから、少しは喋れるようになった、と」
男「おいおい、泣くなよ、人の愛は慣れてないのかい?」
同「人じゃないもん」
男「はっは、否定するのはそこなのかい」
男「さて、それじゃ帰りますか」
男「いやいや、流石に疲れたな」
同「おぶってあげようか?」
男「グズグズしてる人にかい?」
男「みっともないからやめとくよ」
男「それに、女にも怒られそうだしね」
56 :
◆SetoseN//M
[saga]:2015/09/07(月) 13:03:44.48 ID:5+fugc19o
第39話
同「わざわざ呼び出して、何の用かな」 男「少し、話がしたくてね」
完
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