主任男「今月の目標は前線基地構築か、ツライな」

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1 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/22(月) 23:17:08.73 ID:DrEO6+ax0

ーー 株式会社TEA 技術部 主任男 ーー

主任男「おはよー」

始業25分前


後輩女「おはよーございます」ペコッ

モブA「おはよーっす」ふぁー

通信男「おはようございます」スチャ、クイッ


班員達の座るテーブルに付き挨拶を交わす。
まだ人の少ないオフィスは何処と無く静かで寂しい空気が流れている。


主任男「あれ?モブA出社早いじゃん、珍しい」

モブA「たまには早く来ても良いじゃないですか」


取り留めの無い会話をしながらモバイルPCを確認する

安全衛生関係の連絡と教育関連の資料提出の催促がメールで届いている。

主任男「やべ、出し忘れてた…今書いちゃうか」


班員の教育記録を開き履歴を改訂する。

後輩女、モブA、通信男、新人男、新人女、特技男っと。よし、OKかな?

後輩女「あーまだ出して無かったんですね。主任補佐の私も怒られるんですよ」プンプン

主任男「スミマセン…」

後輩女「もー、いつも期限守らないんですから……」ガミガミ


特技男「ハハッ、また朝から夫婦喧嘩ですか?」

後輩女「なっ、ち、違います!」プンスカ

モブA「お、特技男おはよーっす」

特技男「おはよーございます」ストッ


始業5分前、殆どの席が埋まる。


新人男「」ストッ
新人女「」ストッ

主任男「おー二人ともおはよー」

新人男「はよっす」ボソッ
新人女「おはようございます」ボソッ

新人二人が着席し班の全員が揃った。


始業のチャイムが鳴る。さて今節が始まった。
ここから5日間、24時間拘束の業務だ。


まぁ業務は何をするかと言えば相も変わらず

『戦争』

だ。


ー・ー 前期業務報告 ー・ー
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1419257818
2 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/22(月) 23:21:57.58 ID:DrEO6+ax0

ーー ミーティングテーブル 主任男 ーー


朝のミーティングを始めようとすると係長がテーブルに来た。

今の俺の班、技術課2係2班を前に受け持っていた主任だ。何だか恐い顔をしている。

主査「主任男、ちょっと」コイコイ


主任男「何ですか?」

主査「何ですか?じゃねえよ。また提出期限遅れやがって。
物資消費の抑制計画と前節の成績考課表も今日提出だから忘れんなよ」コツン

主任男「スミマセン…」

主査「ん、分かれば宜しい。じゃ、今節もよろしくな」スタスタ


この体制になってもうすぐ1期が過ぎようとしている。正直、班長の仕事はまだ慣れない。


後輩女「主任男さーん、始めましょー」

主任男「おお、すまん。じゃあ始めるか」ストッ


気を取り直し業務の確認を行う。


前節まではH市側の現場に従事していた。

G県との境界に数本ある橋の内のひとつである新J大橋周りでの進捗だったが、
前節最後に事もあろうかその橋をFHW社が破壊しやがった。

旧J橋もかなり前に落とされており、これでG県への足掛かりはT橋と取水堰のみとなった。


特技男「今節はどこで業務展開するんですか?」

こいつは元々本部ベンチマーク班に所属していたがローテーションでウチに来た。

本人の希望で現場業務に関わりたいとのことで馴染みのある俺の班に配属された。

主任男「ん、あぁ。知っての通りH市での進捗は前節で終了した。
幸いG県側に取り残された社員もいなくてそちらは業務撤退の方向で決まった」


モブA「おー取り残されたの居なかったんだ、良かったー」

通信男「…そうは見えませんでしたが…」


主任男「なのでO市周辺の業務に回ることになる。はーいこっちに注目ー」ポチッ、ブゥン

ミーティングテーブルに据え付けられたPCにO市周辺地図が表示される。

半年前、先方の出張所、支店をシェアにし橋の西側地域に小さいながらも支店を出した。

そこ中心の地図だが、そこから広角画面に切り替えO市全体を表示する。


主任男「じゃあ後輩女、O市廻りの現状を説明して」

後輩女「はい、では…」スッ

レーザーポインタを取り出し説明を始める。
ずっと概要説明を任せ続けただけに慣れている。

だって俺が説明するより分かりやすいんだもん。


後輩女「ここがG県とを繋ぐT橋です。現状は我が社の管轄地となっており、
常時50名を越す技能班が詰めています」

後輩女「橋北岸から西側、ここの位置に我が社の支店が設けられています。
いつも思うんですが非効率極まり無い支店配置ですね…」
3 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/22(月) 23:33:57.07 ID:DrEO6+ax0

>>1 URLミスりました。

ー・ー 前期業務報告 ー・ー
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409935579/

前節支援頂いた方々ありがとうございました。
また宜しくお願します。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2014/12/23(火) 00:08:20.75 ID:QUQpFjmGo
前節に引き続き期待
5 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/23(火) 00:27:19.77 ID:8P1SKPp2O

主任男「まぁまぁ、北東方向の業務がすんなりいけば支店ができてたはずなんだよね」

後輩女「そうですね。そのせいもあって進捗は思わしくありません。
西側はこの住宅地で足止めを食って国道まで辿りつけず」

後輩女「東側に至っては全然手前の工場群地帯までも届いていないのが実情です。
辛うじてこの場所にある出張所が先方を食い止める拠り所になっています」


主任男「はい、ありがとう後輩女。ってことで何となく予想はついたかな?
今節はその東側のテコ入れ業務でーす」


モブA「マジかー、あそこ退職率高いって噂だよなー」

特技男「技能職のでしょ?我々なら大丈夫なんじゃないですか?」


モブAの言う通りかなりの激務地域だ。

理由は簡単。守りやすく攻めにくい工場群に籠られているから。

S県での業務の様に双方が折衝進捗し合えばお互いに付け入る隙ができるが、
定置での現状維持業務をされると中々に成果が出にくい。


主任男「特技男、技能職だからとか軽々しく言うな。
定点折衝ではお前より上だぞ、理念その五だ、忘れるな」

特技男「出会う全ての人を師と思え。必ず自分には無いものを持っている。それを盗め。ですか?」

後輩女「そーだね、特技男は前節も技能班さんに大分助けられてたじゃない。
そうじゃなかったらあんな軽度の労災じゃ済んでなかったよ」


特技男「うっ…。スミマセンでした」

主任男「俺たちに謝る必要は無い。経験を蓄積して成長すれば良い。分かったな」


主任男「新人男、新人女、何か質問は?前節でのことでも良いぞ」

新人男「いえ特には」
新人女「何もありません」

……ま、いっか。


6 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/23(火) 00:40:12.52 ID:upQ4Mkyb0
本日の投下終了。

>>4 あざまっす

またも書き溜め無しのノープラン発進です。
進捗遅いですがお付き合いお願いします。
7 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/24(水) 00:36:02.13 ID:ELc5f/2Y0

ーー 準備室 後輩女 ーー

結局出張所での業務確認ということで朝のミーティングは終了。

各自ツールを整え連絡車プラットホームに集合ということになった。


自分のロッカーへと進み作業着を装着する。

防弾ベストは今節から伸縮性の良い動き易いものに、
『端末』と呼ばれるヘルメット型OA端末は探査機能を中心に性能向上がなされた。


後輩女「じゃあ、新人女、相互安全チェックしましょう」

新人女「はい」


後輩女「液晶表示…ヨシッ」ビシッ
新人女「よし」ボソッ

『株式会社 TEA 営業3部 技術課 2係2班 新人女
110145 顕著な異常無し』

社員IDと健康状態をチェック

メール、内線、その他業務アプリをチェック

後輩女「各ツール異常無し、ヨシッ」ビシッ
新人女「よし」ボソッ

ツールの正常稼動を確認し隣の部屋に移る。

端末の自動認識で自分のロッカーに誘導される。


後輩女「024538、後輩女、装備受領」
端末『業務状況:従事中、装備携帯:許可』

ロックが外れ扉を開く
我が愛銃が姿を現わす。夏のボーナスで買ったスコープが光り輝いている。

うーやっぱり可愛い。。。


後輩女「新人女行くよ、準備良い?」クルッ

新人女「はいっ!いつでも!やっぱこれが無いと落ち着かないっス!」ジャキッ


後輩女「う、うん。張り切るのは現場出てからね、落ち着こうね」タラ

何度目でもこの娘の性格には慣れない…。


プラットホームに出て列へと向かう。
私たちが最後のようだ、急いで列へと並ぶ。


端末『2分00秒後 連絡車到着予定』

主任男「装備最終確認、忘れ物するなよー」


新人女「今回の現場は撃ちまくれるんでしょうか?」キラキラ

特技男「お前なー…ま、いっか」ハァ


モブA「来たぞー、無駄口やめろー」


連絡車が滑り込んできて、扉が開く。
車内に吸い込まれて行く1班の面子。

節が始まる実感が高まる。
今節はどんな業務が待っているんだろう?
8 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/24(水) 00:41:54.06 ID:ELc5f/2Y0

ーー 連絡車内 主任男 ーー


主任男「みんな席に着いたな、じゃあ業務詳細説明するぞー」

班毎に分けられたテーブル、中央のモニターの電源を入れる。


テーブルが若干手狭だ…。
今期から班の編成が5人から7人に変更になった。

係長レベルで先期の振り返りを実施した結果、労災減員時の職務遂行能力を維持する為、
技術班一班当たりの人員増が提言され承諾された

しかし、急に人も設備も対応できるはずも無く、人員は新人採用で賄い、
設備は5人用を無理矢理7人で使用しているので、色々と歪みが出ている。


主任男「モニターに注目ー。後輩女がざっと説明してくれたが今回の起点はここの出張所だ」

主任男「T橋を越えて約1km地点にある施設だが、何せこの周辺すらも完全シェア化できてない」


端末『間も無くT橋に接近。G県との交錯域に入ります』


主任男「つまり、今アナウンスがあった通りシェア交錯地域の出張所だ。
何が起きても不思議じゃない地域だというのを念頭に置いてくれ」

事実橋の東側地域では毎日の様に折衝が行われており、出張所への間接折衝もある。


特技男「業務目標は出張所の安定化ですか?シェアの拡大ですか?」

主任男「ストレートに答えると 両方 だな」

特技男「また抽象的ですね…」


主任男「本部も考えあぐねているようだね。
何せH市ルートが業務展開不能になって急に決まった話だからなぁ」

通信男「しかし業務目標が明確で無くては私達としても個別目標に落とし込めません」クイッ


主任男「まぁ出張所にいけば仕事は嫌でも山ほどあるよ、その中で業務形成するさ」


班員達の意見も最もだ…。
正直、この指示では業務計画の立てようが無い。

希薄な業務目標、混乱気味の指揮系統…。

多数の不安と共に連絡車はG県へと近づく
9 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/24(水) 00:59:28.63 ID:ELc5f/2Y0
ーーー会社案内ーーー

各企業の地域毎シェア(統括地)争いが激化している業務環境で、
弊社は精力的に支店(占領基点)を増やし、新地域における販売力(地域資源獲得)強化を行っております。

国家、地域行政の崩壊した昨今、各地域の土地、住民様の
管理、運用を行い皆様により暮らしをお届けすることが、
弊社の使命と認識し日々企業活動に励んでおります。


株式会社 TEA
(temporary employment agency.inc)
S県北部を本拠地とする中堅会社
・地域開拓事業部
・建築事業部
・人材開発事業部
・IT事業部
の4事業部で構成

社員 32500名
統括行政区 13地区
包括住民数 72万人

勤務は独自カレンダーによる。
寮、社宅完備。
年金、社会保険無し。
労働傷病は会社にて治療を保証。
給与、休暇は別途規定により定める。

尚、弊社への問い合わせはできません。
10 :広報班 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/24(水) 01:01:48.88 ID:ELc5f/2Y0
本日の投下終了。

原則投下は23時から25時までです。
11 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/28(日) 00:18:24.30 ID:gPhj3EDC0

ーー 連絡車内 後輩女 ーー

業務説明をする主任男さんも困りながら話している。

確かに上から降りてきたのがこんな内容だと私も答えに詰まるだろう…。


後輩女「新人男、寝てて大丈夫?ちゃんと聞いてた?」ジロッ

新人男「要するに何も決まって無いって話なんですよね?聞いても…」


主任男「ま、その通りだな」

後輩女「主任男さん、それじゃあ…」


主任男「だが、今は業務中だ。聞く、聞かないはお前の判断じゃない」


いまいちこの子は業務に対する熱意を感じない。
でも現場に出るとそれなりに働くのでキツく注意するにもできない…


沈黙の中、端末の表示が橋を越えたことを示す。


主任男「!」 後輩女「!」 モブA「!」

先輩男「総員!耐ショック体勢!!」


表示の端に見えた赤いマーカー、加えて対物進捗を報せるアラートが鳴る。

ズン、ズズン


スピーカー『本車両には被弾無し、前方1号車被弾。後輪破壊が認められる』


新人女「いたた…。何が起きたんですか?」

主任男「ボケッとしてんな、先方からの進捗だ。装備準備、進捗用意!」

先輩男「指示あるまで待機。いつでも出られるようにして」


連絡車への進捗を受けたのは初めてだ。

1号車のタイヤを破壊して進行を妨げるあたりに計画性を感じる。


と、言うことは…


通信男「東側斜面から先方社員複数接近。一体どこから…」

主任男「考えても分からないことは放っておけ、勝手に予測するな。現状を正確に把握しろ」

通信男「はい、分かりました」

主任男「うん、落ち着いてな」ニコッ


先輩男「1号車が道を塞いで連絡車はこれ以上進行できない。指示確認後、徒歩で出張所に向かう」


一同「」ガタッ

主任男「座れ、まだ離席の指示は出て無いぞ」

ズン、ズズン、グラッ


スピーカー『本車両も被弾!走行不能!』

新人女「だ、大丈夫なんでしょうか?」オロオロ

後輩女「落ち着いて、大丈夫よ。居住ユニットは携行装備くらい楽に耐えれるの」ニコッ
12 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/28(日) 01:03:30.62 ID:gPhj3EDC0

ーー 連絡車内 主任男 ーー

緊急時に一番怖いのは混乱だ。
後輩女も落ち着いてみんなに接してくれていて助かる。


特技男「だけどいくら丈夫とはいえ限界はありますよね…」

モブA「あぁ外に出られないまま蒸し焼きになるのもゴメンだなぁ」

確かに火災が誘発したり、焼夷系進捗されたらどうにもならない。


だけど闇雲にも動けない。まずは係長補佐の先輩男さんの指示を待つしか無いな。


通信男「周辺情報解析完了。…信じられない…」

先輩男「2班のキミ、どうした?何か分かったのか?」

通信男の呟きが聞こえたのか先輩男さんが近寄って来る。


通信男「あ、はい。何て言えば良いんでしょうか…」

特技男「勿体振るな、端的に報告しろ」


通信男「一番近い表現だと、地域全体にステルスが掛かってる?感じです」

モブA「はぁ?なんじゃそりゃ?」

通信男「極微小ですが通信波が出ていて、先方社員の反応を隠蔽してるイメージです」


モブA「…なるほどね」

主任男「いや、微妙に違うだろうな…」

特技男「と、言うと?」


主任男「多分だけど、こっちの探査波に逆位相をぶつけてるんだろうな」

後輩女「それってウチの探査波系パターンが分かって無いと…あっ…」

そう、ウチの探査波系パターンの全てが分かっていれば可能だ。


後輩女も先輩男さんも特技男も頭に一人の社員を思い浮かべていた。


端末『主査:連絡車が進捗を受けたと連絡を受けた、何があった?』

先輩男「あぁ、進捗を受けてる最中だ。現在状況判明、指示あるまで車内待機中だ。
あんまりノンビリとしている暇は無いがな」

端末『主査:最中ってことは定置進捗じゃないってことだよな…なぜそこまで近寄られたんだ?』

主任男「予測になりますが、我が社の通信系、探査系のアルゴリズムが全部バレてます」


端末『1係長:開扉しろ、まずはウチの係で対応する!』

端末に1係が車外に出て進捗する連絡が入る。


端末『主査:……。続けろ』

主任男「こちらの探査パターンに合わせて逆位相を掛けることで無効化されているとしか」

端末『主査:ステルスの可能性は?』

通信男「ある程度接近された現在、何名かの先方を認識してます。
ステルスなら探査できない距離です」

端末『主査:そうか…分かった。その件はまた後で調査しよう。先輩男、1係に続き車外に展開。
追加指示あるまで連絡車周辺で防御しろ、撤退を余儀なくされたら連絡車は破壊だ』

先輩男「了解、2係出るぞ!」カチッ、ゴゥンゴゥン
13 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/28(日) 01:30:03.75 ID:gPhj3EDC0

ーー 連絡車外 特技男 ーー

カカカ、タタタタ、カカカ、バシュ

「RPG!」ズガン
「健康管理委員!来てくれー!」
「・ぁぁ、痛えよ」
「バラバラに進捗するな!連絡車を盾にして相手を良く認識しろ!」


特技男「な、こんな位置まで」

車外に出ると先方の発射光が視界に飛び込んできた。先にでた1係では労災も発生している。

端末表示で位置は確認していたが想像より近い。


今まで経験したことの無い距離での折衝に正直恐怖心が湧いた。

主任男「特技男、突っ立てんじゃねーよ。遮蔽物に入れ」カカカ、グイッ

後輩女「新人女と新人男は乗降扉の裏で牽制して」カシン、パシュ

先輩男「あー結構いるなー。通信男くん?全数把握お願い」ピン、ポイッ

ズズン
モブA「おわ!いきなり投げないで下さいよ、びっくりしたなー」カカカ


何でこの人達は平気な顔してるんだ?圧倒的にマズイ状況だろこれ?

先輩男「あれ?遮蔽板展開されてないじゃん、特技男ーちょっと見てー。主任男フォローしてー」

先輩男「技術3班長、お前の班は左手の5S、終わったら車両後方側から進捗ねー」カカカ

主任男/特技男「はい」

技術3班長「了解です、行くぞ!」タタッ


タタタタ、ビシッ、タタタタ、チュンチュン

弾がすぐ傍を通って行くのを感じる。いつ被災してもおかしく無い状況だ。


先輩男さんの指示に従い乗降扉の前後に格納されている遮蔽板を確認する。

バルブの破損を見つけ応急処置を施す。


主任男「特技男まだ?少し辛くなってきた」カカカ、カカカ

特技男「はい、お待たせしました。作動させるので下がってください」グォングォングォン

先輩男「ありがと特技男。みんな遮蔽板入ってーあと投擲物に特に注意してねー」カカカ


通信男がこちらを向き何か言っているが進捗の音で良く聞こえない…。


主任男「もっとデカい声で話せ、全然聞こえねえよ」

通信男「先輩男さん、可能な範囲での確認完了しました。東に21名、南に15名です」タタッ

先輩男「ふーん、そんだけ?」カカカ

主任男「確かに探査隠蔽バラすリスクの割には半端な進捗工数ですね」カカカ


確かにこっちは7人4班4係、約120人規模なのに待ち伏せとはいえ少な過ぎる。

キラッ☆

先輩男「!!!全員退避ー!!西の斜面に飛び込め!」

ヒュー、ヒュー、シュバッ、ヒュー


先輩男「他の係も急げ!連絡車は破棄しろ!」バッ
14 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/28(日) 01:49:20.14 ID:gPhj3EDC0

ーー 連絡車外 後輩女 ーー


先輩男さんの声に反応しガードレールを飛び込え斜面を転がり落ちる。

端末『定点進捗を確認。本位置は影響範囲の可能性があります』

弾着予測アプリが今頃警告してくる。
探査遅延による動作遅れか…キツいなこれ


斜面を滑り降り上へと振り返る。

新人女「きゃあぁあぁ」ゴロゴロ
新人男「クッ」ズザザザ

良かった、二人共ちゃんと反応して回避できている。

他の係も含めてほぼ全員が集まれた様に見える。


新人女「痛たた」涙目

主任男「健康チェックは後!上からの進捗来るぞ!」ババッ

タタタタ、タタタタ


100人以上が身を隠すには遮蔽物が少な過ぎる
ここまでも計算済みか…

先輩男「上方に向け牽制開始、後退するよ」カカカ


各班長を最後尾に移動を開始する。

ちょっと向こうに給油施設跡が見える、あそこまで下がれば多少は凌げる。


先輩男「2係4班、先行して。定点進捗の追加あるかもしれないから上空の目視確認励行ね」

タタタタ、カカカ、カカカ


斜面からの距離がある程度取れ、上からの進捗も大分和らいできた。


ドーン、ズズン

東側の方から爆音が聞こえ大規模な煙が見える

出張所も同時に進捗されていたようだ…。


辛うじて給油施設跡に辿り着いた。
先方からの進捗は止んだ、もう安全圏だろう。


先輩男「主査、取れるか?出張所付近に爆煙を確認。状況が知りたい」

各係長、班長とその補佐が集合し緊急ミーティングが開かれる。

課長補佐である主査が本部にいる為情報伝達が早く助かる。


端末『主査:あぁ予想通りだよ、出張所は集中的な定点進捗で機能消失。
駐留社員も半数以上が退職したのが確認できている』

機能消失、半数退職。場の空気が重くなり誰も言葉を発しない。

先輩男「残りの半数は?」

端末『主査:うん、丁度して欲しかった質問だ。これからお前らの地点に集合させる。
そこの係長連中で工数集約再分配し組織編成をやってもらいたい。勿論技術部の許可は出てる』

主任男「再編成?」
15 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/28(日) 02:14:21.91 ID:gPhj3EDC0

ーー 給油施設跡 主任男 ーー

1係長「この座標で再編成しても非効率な気がするが…一回支店に集約するべきじゃないか?」

俺もこの意見に全面的に同意だ。
この施設で再編成したところで補給もままならない。

崩れ切った集団なら装備補充も含めてもっとしっかり再編成するべきだ。


端末『主査:ああそうしたいのは山々なんだがな…。
先程支店も折衝を受け大規模な被害が出て混乱中だ、とても受け入れられる状態じゃない』

3係長「拠点二ヶ所への地点折衝と我々への機動進捗を同時にだと…」

三方向同時進捗、かなり綿密な業務計画だ。


先輩男「…分かった、こっちの現場サイドでどうにかする。集合させてくれ。
それにしてもだ、端末の機能が半分以下まで落ちてる。正直これじゃ仕事にならんな」

後輩女「先方認識、タスク管理、弾着予測、経路検索等のアプリがほぼ機能しない状態です」


端末『主査:おっ後輩女か。あぁそれも確認できている。それ故の技術課への業務委託だよ』

主任男「OA補助無しで業務遂行しろってことですか?」

端末『主査:理解が早くて助かるよ。現在本店で原因究明、対策検討を始めた。
だが当面は現状のままだろうな…』

確かに非定型業務に慣れてる技術課ならOA無しでも何とかなるだろう。

だが技能班の面々は…


端末『主査:先方はOA補助有り、こちらは無しに近い業務環境だ、難易度はかなり高い。
だが何とかして出張所の地点を堅守してもらいたい』

1係長「また無茶な…」
4係長「相当の労災が出るぞ」
3係長「目と耳を塞がれた状態だからなぁ…」

先輩男「加えて我々のやり口も大まかに予測されている環境か…」


端末『主査:すまんが本部決定事項だ。よろしく頼む』


主査との内線が切れたと同時に係長たちが一斉に溜息を吐く。

指示内容の整理、記録の後、技術課全員に集合が掛けられた。


1係長「端的に要旨のみ伝える。向かうはずだった出張所は機能消失した。
また支店についても別業務に対応中で頼れない」

ザワザワ、マジデカー、ドウスンダ

先輩男「静粛に、まずは話を聞いてくれ」

1係長「現在、出張所の残存工数がこちらに向かっている。もうじき着くはずだ。
我々はこれと協力し出張所地点の地域保守にあたる」

「端末の機能復旧は?」「定点進捗きたら?」
「先方の接近も予見できないし…」


先輩男「みんな疑問や不安が沢山あると思う。
だけどこれから来る出張所の奴らはもっと不安を抱えているはずだ。
せめて俺たちは前向きにやれる事を考えよう。各係に分かれて詳細検討してくれ」

先輩男さんの言葉に課員全員が黙り込む。


「よし!健康管理委員、集合だ。労災受けてる人も多いはずだし準備するぞ!」
「みんな水持ってたら出してくれー!喉も渇いてるはずだ」
「そこの建物の中綺麗にするぞー!環境委員集まれー!」ガチャン
「対空機雷持ってる班無いー?」「おー少しだけどあるぞー」ワイワイ
16 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/28(日) 03:32:55.02 ID:gPhj3EDC0

ーー 給油施設跡 特技男 ーー

施設内がにわかに活気付く。各々が自分のやれる事を見つけて行動し始めた。

先輩男「おーい、2係集合ー。あっ施設内整備やってる奴はいいやー」コイコーイ


先輩男さんの呼び掛けで出入り口前に集合した。

先輩男「じゃあウチは技能さんの迎えに行くから、みんな装備確認してー」

主任男「各班、労災相互チェック。班長に報告してー」


メインアームの様子と予備弾倉を確認、良し。
一応自分の身体を一回りチェック、かすり傷のみ

特技男「新人男どうだ?」

新人男「問題ありません」

特技男「残弾は?弾倉の残りは?」

新人男「問題ありません」


……。

特技男「主任男さん、特技男、新人男、問題ありません」

主任男「うん、了解。新人男の世話頼むぞ」

特技男「はい、了解です」


程なくして班長達から先輩男さんに報告が完了したようだ。

5人でルートの確認をして戻ってきた。


先輩男「2係出るよー。相互連携、報連相しっかり頼む。異変を感じたら即報告ねー」

端末の広域表示の端の方に緑のマーカーが見える

移動速度がかなり遅い…。


主任男「いつどこから先方来るか分かんないよ。気を引き締めてね」

一同「はい!」


定点進捗を警戒し班毎に拡散して進む。

見晴らしの良いこの一帯なら不意を突かれることも無いだろう。
17 :1 ◆tsERP5rFx9iS [saga]:2014/12/29(月) 00:05:55.24 ID:c/sTA4Tr0

ーー 畑の真ん中 後輩女 ーー

まずいなこの地形…。
遮蔽物の一切無い平坦地のまん真ん中か…。

先方探査の効かない現在だと何処かに狙撃係がいたらひとたまりも無い。

些細な変化にも注意しないとね。


新人女「ヤベェッス、どこから来るか分かんねーのスゲェ恐いっす」キョロキョロ

後輩女「そんなにキョロキョロしてたら逆に周囲確認できないわよ」クスッ

新人女「ハイッ、良く周りを見るッス」ジー

現場で臆病なのは良い事だ。前に出る社員から労災、退職していく。

若い内は臆病で慎重で構わないし、そう在るべきだ。


目視で確認できるギリギリの距離に技能さんの先頭が見え始めた。

私が先方なら合流の瞬間を狙って進捗を掛ける。
神経を研ぎ澄ませろ。空気の変化を読むんだ。


新人女「何か嫌な感じがするッス」ビクビク

後輩女「?」キョロキョロ

特に周りに変化は無い、突発進捗掛けられそうなポイントは把握できている。

新人女の気のせいだろう…。


キラ☆

先輩男「!!! 定点進捗!全員散開!そっちだ、北西方向に退避しろ!」

係のみんなが蜘蛛の子を散らすように走りだす。


タタタタ、タタタタ

主任男「クッ、ヤラしいとこで仕掛けてきやがるな」ブワッ、シュン

カカカ、カカカ、カカカ

主任男さんが側面から現れた先方へ進捗に向かう


目線の先、技能班の動きが鈍い。
労災者を抱えているからか、退避行動が追い付いていない。

後輩女「視覚拡張オン!タスク設定、上空定点進捗弾!」スチャ、カシン

端末『タスク1から4番をセット』


周囲から音が消える。


パシュ、カシン、パシュ、カシン、パシュ
ズガ、ズガ、ズン、ズズン


後輩女「チッ二つ外した」ダッ

すぐさま側面の先方対応に入るため畦道の窪みへ身を隠す。

カシン、パシュ、カシン、パシュ

端末『タスククリア、確認可能な目標ありません』


端末『主任男:サンキュー後輩女、こっちは終わった』

少し向こうから主任男さんが歩いてくる、労災は無さそうだ。
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