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垣根帝督「はぁ? 俺はオタクじゃねえぞ」

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198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/01(日) 22:09:18.02 ID:avAA0+100
あげ
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/01(日) 22:09:51.10 ID:avAA0+100
もうすぐ節分だね帝督
上下のお口に恵方巻きをほおばってもらいながら外にも中にもたっぷり豆まきしてあげたいよ
西南西を向いて最後まで声を出さずに我慢してなきゃ駄目だからな
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/01(日) 22:10:51.28 ID:avAA0+100

って事でガチホモキメセク輪姦垣根よろしく
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 22:11:02.77 ID:hXtJquh3O
今回の面白かったからいつかゴーグルに渾身のデレをかます垣根みたいw
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 22:12:07.65 ID:hXtJquh3O
おいおいまじ?
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 23:04:13.35 ID:hXtJquh3O
大丈夫かよこれ見たら1なくんじゃね
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 23:56:15.93 ID:Kdm2vyu10
>>200こえたようなのできました>>1です
ドーモ


>>188
どうせなら数字にこだわりたかったんだ。したっけ遠くなったけど
垣根のデレはまだこんなもんじゃねえぞ。奴はまだ本気のデレを隠しもっている筈
あれも、恐らくデレてるつもりなんざまるでねえだろうからな
おもろい!がうれしいよドーモ


>>189
最近1投下10レスでおさまんないから1がなんか投げるとすぐ埋まるよ。ま、ゆっくりいこうよ。そりゃー振った安価には従うよ
出来る限り努力してみるよ
って返事するつもりがな……ああ頑張るともさ

>>190
近所で置いてくれないんだよ。わたしだって形あるものにもっとお金を使いたいかも!ふれめあとお揃いのキーホルダーでいいから公式にはなにかグッズを作ってほしいんだよ!

>>191-192
わかるわかる。「冷蔵庫のあと色々あって綺麗になった垣根」も今はほぼ公式設定で通用するし。大概のことは未元物質が解決してくれる。困るのは自由度高すぎて間がもたないくらいじゃないか?
みんなそんなにSS書いてんの!そして垣根も出んの。やったね垣根仲間が増えるよ

>>193
今回はいつものオサレ上下じゃないから多少馴染むんじゃないすか
妹絡みのだと対動物電磁波除けの指輪つくってあげたやつかな?他にもある?
アルカディアにあったあれは…どうなんだろ垣根帝督だけど厳密にはそうじゃないし。123のトライアングルとか希少価値だ

>>195
1はカブトムシも嫌いじゃないし未元体の垣根ホワイトも嫌いじゃない。垣根の一部らしいしね。アナザー垣根とか垣根の中の小さな悪魔と天使とかだと思ってる。贅沢言うなら以前の雰囲気の垣根も原作に出てきて欲しいけど
ボールにされたやつはどうしてるんだろうな。世界が何度か壊された時にいなくなったのかな
フレメアとカブトムシは一回書いてみたいかも

>>196
>>1もそう思うよ!すごくね

>>197
誤字だよね?

>>198
さげるね

>>199-200
ってことでじゃないぞ?!なにそのスリジャヤワルダナプラコッテ的な語感でリズムは楽しそうだけど口にしたらこの世の希望が消え去ったかの様な苦しみに襲われそうなそれは何の呪文でせうか
もう>>199がスレ立てて書けるんじゃないか?その発想力と情熱はすごいわ畏怖の念を禁じ得ないっすわ。節分こわい

>>201
たのしかったならよかった。大丈夫だ。いつかかー垣根デレてくれっかな


205 : ◆q7l9AKAoH. [sage]:2015/02/01(日) 23:57:00.29 ID:Kdm2vyu10
トリわすれてんじゃん
206 : ◆q7l9AKAoH. [sage]:2015/02/02(月) 00:00:39.05 ID:+uDtjThP0
よくみたら>>198も199だしあげちゃってるのでひとつずあいて>>201も入れて、>>200-201をそれぞれかくね
次は>>222ですねよかったらよろしくドーゾ
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/02(月) 00:14:32.24 ID:RAKCU9/wO
えっ何本気なの>>200-201マジで書くんですか
割と真面目なスレだと思ってたよ?
はぁ?ガキの頃からわけ変な薬使われまくってる俺がトぶわけねえだろ何がチンポ奴隷だよ[ピーーー]とかほざいたのもつかの間
注射刺された次のコマで肉棒に囲まれてアヘ顏ダブルピースしちゃってんの?次回の垣根は?
このスレ懐深いってレベルじゃない
カウパー垂らしながら待ってる
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/02(月) 00:15:03.07 ID:RAKCU9/wO
チェック外れてageてごめんなさい
209 : ◆q7l9AKAoH. [sage]:2015/02/02(月) 01:18:11.91 ID:+uDtjThP0
>>207
アゲだのサゲだのそんなのはいいよ

首置いてけ なあ >>199だ!! >>199だろう!? なあ>>199だろおまえ

真面目じゃないがゆるく『スクール』が遊んだりだらだらしたり、もしかしたら誰かといちゃつくなんてこともあるかもしれない
そんなスレのつもりだ
そんなつもりでSS速報にはじめて立てたスレなのに>>1の常識がまるで通用しないんだけどなんだこれ能力?魔術?未元物質?
次回じゃないよ。>>1は書けたら投下するから先に出来たらそっちを順番に落としてく
ここで折れたら負けた気がすんので言ったからにはきちんと書くよ。注意書きとかつければここにそういうの落としていいんか
ただ書くのは>>1だ。仕上がりは期待すんな
寒いから服は着ろよ
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/02(月) 01:31:29.53 ID:+uDtjThP0
確信した。この1は拝み倒せば一発ヤらせてくれる1だ
211 : ◆q7l9AKAoH. [sage]:2015/02/02(月) 01:33:33.59 ID:+uDtjThP0
とか思われたくないからこれっきりな!
212 :ヤらせて下さい [sage]:2015/02/02(月) 02:04:54.10 ID:RAKCU9/wO
たまたま似た言動を取ってしまいましたが別人ですマジで
キメセクはリアルに人間性が壊れる恐れがあるから体だけでなく魂まで愛してる相手にはとても出来ない
垣根のことを本当に愛してるから気持ちいいって言ってくれること何でもしたいのに首締めプレイすら手が震えて出来なくて
しょっちゅう垣根に呆れられてるくらいですし
でも白濁液まみれで痙攣しながらイキ狂う垣根はむしろ見れるものなら見たいっていうか
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/02(月) 02:22:24.88 ID:z3luYz4OO
テメェらそんなにエロいこととホモが好きかよ。そうかそうかよそうですか。1をよっぽど愉快な死体にしてえとみえるな

ちょっと待て別人なの
201もホモ?ここ1以外ホモばっかなの?
垣根ゲイ督「はぁ? 俺はホモじゃねえぞ」とかそんな次スレ立てんのやだよ

>>212
そっちにもいるならそういうのはそっちの垣根にしてもらっていいか
214 : ◆q7l9AKAoH. [sage]:2015/02/02(月) 02:23:50.86 ID:z3luYz4OO
無駄にスレ伸ばしちゃったかな…ごめんな
ちょっと落ち着くな
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/02(月) 04:24:50.18 ID:jAslmr2DO
あーうんなんか別ベクトルなことしてリフレッシュしてくるべき
あと逃げたら負けとか言わずに、連投安価とりしたルール違反の言うことはきかん、でよかったと思うの
通例上
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/02(月) 11:11:30.39 ID:8k8cIY1YO
そうそう、こういう場合は無理なら無理ってはっきり言った方が良いよ
その方が後々面倒くさくならない
217 :ヤらせて下さい [sage]:2015/02/02(月) 19:46:12.01 ID:RAKCU9/wO
マジな話>>1氏無理せんでくれ
ここノンケスレだと思ってたし無理に安価ネタ使って不健全にせんでもいいと思うわけですよ
>>1が安価ネタをやめるならキメセクで狂う垣根は俺が他所で代わりに生み出すから大丈夫
218 : ◆q7l9AKAoH. [sage]:2015/02/02(月) 22:40:19.78 ID:+uDtjThP0
ドーモ
ここは>>1がSS書きにくるとこだからなるべく発言はまとめていくな。昨夜は刻んだ連投失礼っした

>>215
そんなルールもあるんか。まあその分楽しい話を書いてりゃリフレッシュできると思うんだ
書きたいネタいくつもあるとパソコンに向かう時間が一週間くらいまとめて欲しいけど

>>216
やったことないだけで、書いたら何とかなるような気がしてきてるww
絶対無理ってかんじでもないのがなー。なんだっけ、男は度胸?なんでもやってみるんだっけ?
前向きに考えてみたい

>>217
別に無理はしてないさ。書いたことないの書いて!ってくるとビビるだけでな。別に>>217が書いてくれても構わんのだよガチホモキメ(ry
あとまさかホモネタがくるとか思ってなかったからびっくりしたんだよ。まあ2chだもんホモくらい居るよな
ギャグとエロは難しいからつまんなくなりそうなことだけが問題だよ
あと名前、名前気になるからやめて

とりあえず201と、あと200も浮かびそうだし書いてみるけど多分あれだ。
>>207の期待にはそえないかもな
垣根に[らめぇぇっ!]語っつうのがどうしても第一ハードル高くて違う感じになると今のところ

逆によ。まるっきり本筋と無関係として不健全っぽいのを書いて、その後で本筋の『スクール』でヤイヤイするのが嫌だなーってみんなならないか?そこだけトライしようとする上で心配なのよな
切り離して見てもらえるかな

これだけじゃなんだから。次の予定はゴーグルと心理定規です。垣根はいるけどいないかも
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/03(火) 11:48:08.98 ID:Q9Aj4tZWO
個人的には、このスレでそういうアッーなネタは見たくないなあ
まあやりたいってんなら止めないけどさ
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/03(火) 20:31:07.26 ID:7ZgZEP5wO
夢オチにしたら何やっても問題無い
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/03(火) 20:41:41.77 ID:m9osCX4S0
垣根が心理定規とイチャイチャするのが見たいです
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/03(火) 22:34:33.40 ID:7ZgZEP5wO
暗部の仕事で常盤台に潜入する垣根の話をだな
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/03(火) 22:46:39.61 ID:2gfQgMLNO
魔術サイド女子と垣根でかいてみてよ!
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/03(火) 23:35:52.40 ID:/guVUp7DO
例えば上琴の作者が同スレでいきなり上イン書いたら間違いなく荒れる
これは考えなくてもわかる筈
対処出来ないなら気軽に安価とかするべきじゃなかった
全レスは義務じゃないのと荒らしに構うやつが迷惑なのは最低限覚えておくべき
スレは作者のものた゛から好きにすればいい
中身がまともなら読むやつは勝手に読む
だが>>219のようにネタによって見たくないってやつがいるんだから配慮はすべきだ
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2015/02/04(水) 01:07:12.15 ID:Br0A674a0
>>224イケメンやん
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 03:30:52.44 ID:oJKHKGTcO
>>217
そんな物書かなくていいから…(良心)
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 04:01:49.75 ID:3Xt6EdZiO
キメセク輪姦もう冒頭部とプロット完成してるわ
安価に便乗悪ノリした責任を取ることは可能
鬱な話になったけど責任さえ取れればいいよね
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage227需要あるのか?]:2015/02/04(水) 09:58:49.76 ID:Br0A674a0
>>
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 00:15:46.32 ID:SfpJeUqU0
>>228メール欄になっとるww
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/07(土) 01:20:40.90 ID:4WvV2aXuO
スレ止まってんの
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/07(土) 03:10:47.70 ID:wy5dnr2HO
安価箇所超えてまであんまり雑談するのもあれやん
>>1楽しみに待ってるー
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/24(火) 14:28:37.20 ID:tPzjRw9U0
保守
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 00:36:05.69 ID:O5XyRJI80
アイテムとの絡みも見てみたいし、(ホモとかでなく)一方通行との絡みも見たい…このSSには期待してるで?
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 00:02:09.91 ID:q9PqUBjJ0
更新はないのですか!?
この際もう安価なんて忘れて書きたいものだけ書けばいいじゃないですか!
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/14(土) 14:33:04.49 ID:sSkc2bVSO
1ももう投げたんじゃ
禁書もSSも落ち目だし
出番のないキャラのファンもいないだろ
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 15:15:29.90 ID:yXmyR6wQO
安価内容なんて無かったことにして戻ってきてよ>>1
垣根(非白)より好きなキャラは今も昔も恐らくこれからも存在しないしここが唯一と言っていいサンクチュアリなんだよ
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 18:06:50.29 ID:BUQiVcDAO
戻ってきても何も毎回こんくらいのペースじゃね?
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 23:21:43.46 ID:P/sNz4R90
スクール楽しみにしてたんだけどな...
お願いだから戻ってきてくれ1...
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/15(日) 20:42:45.15 ID:bahnGxJ6o
>>237
冷静に考えれば確かにそうだけど・・・
やっぱり気になるし・・・
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/16(月) 09:37:16.79 ID:c+jHplFAO
スレ落ちそうならまだしも必要以上の催促とか端から見てて荒らしと変わらねえからな
下手すりゃモチベ下がるわ

落ち着いて待て
241 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/03/28(土) 02:14:40.28 ID:DhZWMeoN0
いきなり保守劇場はっじまーるよ




青ピ「なぁなぁカミやん。昨日の『ラッスンゴレライ』みた?」

垣根「らっすんごれらい……って、あれか。ズンドコベロンチョみたいなのか」

土御門「おっ? ズンベロ知ってるなんて、ていとくんもツウだにゃー?」

垣根「ズンベロな。ああ言う救いのねえの、嫌いじゃないぜ」

土御門「不条理で涙を誘うんだにゃー」

垣根「ズンベロな」

土御門「ズンベロ」

青ピ「……なあ、あっちはどうしたん?」

ゴーグル「この前『世にも』の特選集を見たんスよ」

242 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/03/28(土) 02:16:08.19 ID:DhZWMeoN0

上条「昨日は見てないなー。何か新ネタやってたか?」

土御門「いーや、いつもと一緒だったにゃー」

ゴーグル「関西人的にはありなんスか、あれ」

青ピ「なんで? 勢いまかせの体当たりもええと思うよ?」

垣根「……」

一方「……」

土御門「おやぁ? まさか二人とも、今大人気の『ラッスンゴレライ』がわからないとか言わないにゃー? 超能力者ともあろう御方が揃って、こりゃとんだモグリぜよ」

垣根「そう言うテメェらは……当然出来んだろうな?」

青ピ「そんなのあったりまえやんなー? つっちー?」

土御門「もちコースだにゃー」
243 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/03/28(土) 02:17:47.21 ID:DhZWMeoN0

土御門「ラッスンゴレライ!」

青ピ「え? え? 何て?」

土御門「ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ。ラッスンゴレライ説明してね?」

青ピ「ちょっと待って、ちょっと待ってお兄さーん? ラッスンゴレライて何ですのん? 説明、しろと言われましても意味わからんから出来まっせーん」

土御門「ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ。楽しい南国ラッスンゴレライ」

青ピ「ちょっと待って、ちょっと待ってお兄さーん? ラッスンゴレライてリゾートなん? でも南国言うても色々あるよ? パリ、グアム、ハワイどれですのーん?」

244 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/03/28(土) 02:19:02.12 ID:DhZWMeoN0

青ピ「と、まあこんなもんやね」

土御門「軽いもんだぜい」

上条「おおー、完璧完璧! 別にお前らだってさあ。あれくらい知っ」

一方「出来ンぞ。俺を誰だと思ってンだ。超能力者だぞ。なァ?」

垣根「は? え、俺も?」

上条「いや、別にそこまではですね……」

土御門「止めるなカミやん。あの一方通行があそこまでいってるんだにゃー。やらせてやろうじゃないか、っははは」

ゴーグル「爆笑が隠しきれてないっスよ」
245 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/03/28(土) 02:20:46.02 ID:DhZWMeoN0

垣根「…ラッスンゴレライ」

一方「え? え? なンて?」

垣根「ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ。ラッスンゴレライ説明して…ね?」

一方「ちょっと待ってェ、ちょっと待ってェお兄ィさァン? ラッスンゴレライてなンですかァ? 説明しろと言われましてもォ意味わからないから出来ませェン」

上条「ぷっ」

垣根「……ん? ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ……楽しい南国ラッスンゴレライ」

一方「ちょっと待ってェ、ちょっと待ってェお兄ィさァン? ラッスンゴレライてリゾートかァ? でも南国つっても色々あるよォ? パリ、グアム、ハワイどれですかァ?」

土御門「は、ははっ流石レベルが違いますたい。笑いでも圧倒的…だにゃーあっはっはっは!」

青ピ「つっちーそんな笑ったら悪いやん……アクやんも一生懸命がんばってくれたやないの…あー、あかん、これ腹筋割れるっ」

上条「くっ、く…ふ、ふふ……………」

ゴーグル「カミやんさん! ちょ、息は止めちゃダメっスよ?!」
246 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/03/28(土) 02:23:56.93 ID:DhZWMeoN0
垣根「おい。今の」

ゴーグル「これでムービー撮ってましたよ! 学園都市ツートップのコントなんて見れませんからね!!」

垣根「よし。しばらくはあの野郎を馬鹿にするネタが出来たな」

ゴーグル「あれ、垣根さん今の笑いどころわかったんスか」

垣根「ああ。お前らの反応から逆算した。でかした、青ピ」

青ピ「それほどでも…あるやーん?」

一方「どォ言う事だァ。オマエら人ォ馬鹿にしやがって」

上条「いやあ今のはそんなのじゃなく、微笑ましい笑いですことよ? 一方通行さんや」

土御門「カミやーん。ネタばれしたらつまらんぜよ」

垣根「テメェが関西弁なんざいきなり口にしたら気持ち悪いだろ、ってことだ。結果オーライってな」

247 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/03/28(土) 02:25:44.52 ID:DhZWMeoN0
一方「はァ? ……なン言うてるン? そないなこと気にしたはるンは流石ァ三下、お育ちがしれますわァ」

垣根「そっちこそ悪趣味やな! 京言葉ってか、きっしょ。ほんまにセンスあらへんな?」

青ピ「ちょお、二人ともそれ僕と被るやん? やめてやー」

一方「あァ?」

垣根「はぁ?」

上条「おい、なんか外国語VS外国語の壮絶な口喧嘩が始まったぞ」

ゴーグル「お互い違うので返してるんスかね。何言ってるか全然わかんねえけど怖いっス」

土御門「ドイツ、ロシア、広東…今のはタガログ語かにゃー。カミやん、能力使いだす前に止めないとまずいぜい?」

上条「へ? 俺が?」

青ピ「そうやねーアクやんに振ったのはカミやんやねー」

ゴーグル「俺らじゃとても手がだせないっスねー」

土御門「さ。その右手の出番ですたい」
248 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/03/28(土) 02:26:50.21 ID:DhZWMeoN0
垣根「ばーか! シマシマ! 貧弱モヤシ!!」

一方「うるせェ! メルヘン! ドヤ顔ホスト!!」

垣根「っつったくムカつくんだよテメェ、今日こそ白黒つけてやろうかぁ?」

一方「吠えてろ三下ァ。どっちも俺一人で足りてンだよォ」

垣根「はぁ? 勝手に羽の色パクってんじゃねえぞ?」

一方「好きでンなことしませンー勝手になったンですゥ」

上条「なんか既に物がいろいろ飛んでるんですが…あれをどうしろって……ふ、不幸だー」

249 : ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/03/28(土) 02:30:02.95 ID:DhZWMeoN0
オチないけどね。ほしゅですね。浜面も入れてやればよかったね。あいつとうとう人外までハーレムにいれたね
なんでいきなり仲良しかって、あれじゃないか。パズデックスのマイページとかなんだよきっと

ドーモ
保守だろ?生存宣言をしに来たぜ

安価とかネタをいろいろ思いついたのからいくつも書いてるとまとまんなくてね?
でもちゃんと書いてるんだね?
1のパズデックスはまだSAOとはコラボしてないらしいね?
リズムネタみてたらなつかしのオリラジをスクールでもいいんじゃないかとも思ったんだね?

垣根「『スクール』だ」
ゴーグル「お願いします!」
心理定規「……リーダーいつものやってあげて」
垣根「おう。聞きたいか? 俺の武勇伝」
ゴーグル「そのすごい武勇伝をゆったげて!」
垣根「俺の伝説ベストテン」
心理定規「…れっつごー」

暗部の超能力者はうまくのせたらやってくれそうなきがする。怖い武勇伝ばっかになりそうだけど
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/28(土) 16:05:57.07 ID:X9pI6g/DO
>>1きてたー!
乙!
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2015/03/28(土) 16:47:42.68 ID:tA80Zq0d0
土ピコンビは漫才しててもあんまり違和感ないけど
一垣っていうか一方通行がやるのは違和感しかなくて腹筋がヤバい
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 00:57:08.77 ID:K4yV6Jvs0
一通は知らなかったから元ネタの関西弁でやらなかったって事?
武勇伝のほうがみたかったここ提督とスクールのスレだよね
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 10:25:58.12 ID:rQ8EAEhmo
個人的に
七位…薩摩弁
五位…博多弁
四位…広島弁
二位…大阪弁
を使いそうなイメージ

一位と三位はイメージ沸かない
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 13:09:31.04 ID:n/YdcUVf0
セロリは元が方言みたいなモンだろw
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 14:30:34.53 ID:8ljqEixL0
関西弁使う御坂はかわいいかもしれない
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/15(水) 00:24:46.57 ID:NDU39e/4O
1まだか
さっさと書けオラッ
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/15(水) 10:58:19.56 ID:ZLhGm8/go
       ∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       (;´Д`)< すみませんすぐどかしますんで
  -=≡  /    ヽ  \______________
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 -=≡ /. \ヽ/\\_
    /    ヽ⌒)==ヽ_)= ∧_∧
-=   / /⌒\.\ ||  ||  (´・ω・`) >>256
  / /    > ) ||   || ( つ旦O
 / /     / /_||_ || と_)_) _.
 し'     (_つ ̄(_)) ̄ (.)) ̄ (_)) ̄(.))
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/10(日) 22:22:33.85 ID:mnt+epqg0
保守
259 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:19:08.32 ID:6M9N4qIs0

ソファに座った少女はのんびり雑誌をめくっていた。
学園都市内のブランドを扱ったファッション誌は中学生くらいの女子に向けたもので。
彼女の普段の服装と比べると並ぶ写真はどれも子供っぽく見えるものばかりだった。
『これで完璧! 最新秋ファッションのマストアイテム徹底特集! オシャレのレベルもアップしちゃおう!!』なんてフレーズが表紙を飾っている。
学区別に組まれたショップ情報。
大きく取り上げられるのは最新より一歩先、次のトレンド。
流行ることがもう決まっているから、と言うことなのだろうか。
一ヶ月以上先のことが透かしたようにわかるだなんて。
『樹形図の設計者』による精密な天気『予測』の様だ。
そんな大がかりなことに限らなくても当事者の都合はお構いなしに、第三者が作り上げた予定の上で様々なものが動いている。
自分の意志で歩いているつもりでも見えないレールの上に知らない間に乗せられているのかもしれない。
どこもかしこもそんな出来レースだらけだとしたら。
常識の、価値観の。
判断の基準はその『物差し』はどこにあればいいのか。
それを自分の外側に、他者に委ねることは簡単だ。
ただ口を開けてマジョリティの情報を飲み込んでしまえばいい。
万人受けする流行りの風潮やお約束のイメージに思考停止で流されてしまえば無駄なエネルギーを使わずに済む。
ページをめくるこの少女も時にそう言った使い分けをするタイプだった。

見た目、服装、第一印象。
○○な人と言う一人間関係の一番最初のラベルはそんな所から決まっていく。
そこから勝手に相手が考えて、都合よく解釈されるのは楽なことだ。
自己紹介文を長々と背負って歩く訳にはいかないんだし。
260 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:21:25.41 ID:6M9N4qIs0

心理定規はどこかつまらなさそうにページをめくっていた。
次のバイトまではまだ随分と時間がある。
ただの時間潰しならカフェでもいいんだけど、暑い中歩き回るのは気が進まない。
次の相手は会話と軽い食事も楽しむタイプ。ならたとえドリンクだって無駄にお腹を膨らめるのは嫌だった。
あとは移動時間その他色々。
そんな条件を考えると、この隠れ家を使うのが今日の彼女には都合がよかった。
ほとんど荷物置き場の様な部屋でも居心地は悪くない。
使っている建物や周囲の雰囲気にふさわしく、もしかしたら少しくらいメンバーの好みに合わせているかもしれない内装や家具は、すぐにでもここに住めそうなくらい整えられていた。

少女の指が写真の横の見出しをなぞっていく。
その爪先は明るいオレンジ色に塗られていた。
心理定規は黙々と記事に目を通していた。
次の『客』は大学生だった。
確か一三学区で教育実習をしているが、女子児童となかなか話が合わないのだと前に話していた相手だ。
背伸びをしたがる年頃の女の子とは、実際の目線より少し上の話をした方が良かったりする。
こうしてページをめくりながら心理定規はコミュニケーションに必要な、会話の種を拾っておく。
とは言っても、テストの前に仕上げたノートを貸してやるような真似をするつもりはない。
彼女がするのは精々ヤマのはりかたをアドバイスするくらいのことだ。
彼女の仕事は相手の面倒を見てやることではないのだから。
その他にも。
相手によって用意するものも中身も変わるが。
彼女にいつも求められるのは、『客』の気持ちを満足させてその時間を終えることだった。

最新の保湿成分の配合されたコスメの広告。
人気のスイーツの特集ページ。
新ドラマの紹介記事。
心理定規はそこで少し、ページを戻した。
少女の目がほんのちょっと真剣にページに向かっていると。
ドアが開いて携帯電話を耳に当てたゴーグルの少年が入ってきた。
ソファに座った心理定規に気付くと、片手で(失礼しまーす)とジェスチャーしてから頭を下げて隣の部屋に入っていった。

261 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:23:40.17 ID:6M9N4qIs0


「ええっ?!」

「なんで…なんでなんスか? ああ、そっスね。所詮俺はその程度ってことだよねええええわかりました。よーくわかりましたって」

「はぁ? ちっぱ…いやいやだから、その風潮がさあ? なんで同系統な女子はみんなまとめてつつましやかにされてしまうのかってむしろ聞きたいね。え、嫌いじゃなかったか? んな訳ないって!」

「心にゆとりのある娘は病まないなんて誰が決めたんだ青ピくん。君はそんな固定観念に縛られる男だったのか?! いいじゃないかネガティヴ巨乳!」

「いいんだよわかってくれれば…って俺ら何の話してたんだっけ?」


何だかやけに騒がしく話していたゴーグルの少年は電話を終えたらしく部屋から出てきた。

「……おともだち?」

「うーん、まあ。友だちがいの無い友だち…っスかね。こっちはそう思ってたんスけどね」

「ふーん。ケンカでもしたの?」

喧嘩って程でもないし誤解は解けたんスけど、とゴーグルの少年は言ったが。
なんとなく歯切れの悪い返事が返ってくる。
心理定規は視線を雑誌に向けたまま、
「もやもやしてるなら言ってみたら?」
と続きを促した。

聞きたくて聞いた訳ではない、騒がしい電話の様子ではちょっと揉めた後で解決した風だったのが。
それでも「誰かに愚痴をこぼしたい空気」が垂れ流されているのを放っておけなかったのは、この少女のある種の職業病だ。
気づいてしまった、床に落ちた小さなゴミをつまんで捨てるようなものだ。
放ったまま過ごすよりはちょっと気分がいいかな、くらいの。

262 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:25:27.10 ID:6M9N4qIs0

どうやらそのお友達はこの前町中でコスプレしている女の子と遭遇したらしい。
最近では、お嬢様の間でサバイバルゲームが流行ってるらしいなんて噂もある。
学園都市にはたくさんの人間がいる。
好みもそれぞれ、と言うことかもしれないが。
ゴーグルの少年がことのいきさつを話す間。
ふんふんと頷きながら心理定規はページをめくり続けていた。

「別に話してこいとか写メとらせてもらえとか、んな無茶も失礼なことも言わねっスよ。ただそんなネタがあんなら話の一つくらい振ってほしかったなーとかっスね。
『次は必ず』ってそんなポンポンチャンスが転がってたら世話ねっス。自称魔法使いな巫女さんとか気になるじゃないスか。何スかその盛った設定」

ジャンル問わず萌え語りの出来るヤツだと思ってたのは俺だけだったのかよ? ってちょっとした気持ちの行き違いがですね、とかなんとか一息で語った少年は。
オタクだった。

開き直っているのか、いろいろと諦めたのか。
それとも価値観の違いとかは気にしない人なのかは知らないけど。
こうして暗部組織のメンバーの前でも構わずシュミを話題に出来てしまうオタクだった。
女子中学生でもアニメやマンガくらいの理解はあるが、コスプレとか巫女さんみたいなワードには軽くカルチャーショックを受けるかも
って言うか引くかもしれない、とか考えないのか。
しかし。
三次元空間より点を線で繋いだ世界が好きなんだろうな、と相手の嗜好を疑いもしていなかった少女は。
この手の話題にいつもなら、
「そうねそれは残念だったわねそんな時もあるんじゃない気にしすぎると良くないよ?」
くらいのどうってことない返事でさっと流して終わらせるところを。

「君ってアニメの女の子以外も気になるんだ?」

珍しく。切らなかった。
少女とこの少年と二人で。
長く会話が続いたことはあまりなかった。
話が弾むどころか、共通の話題もほとんどない。
特別話す必要も任務以外では感じていないくらいだから、仕方ないかもしれない。

「コスプレは2.5次元っつうか。いや、まあそこは、フツーに?」

「ふうん。そうなの。普通ねえ」

「なんか…最近自分のポジションに自信がなくなってきました。俺はこれでいいんだろうか」

263 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:26:16.08 ID:6M9N4qIs0

そんなことを言いながら、ゴーグルの少年は心理定規の横を通り過ぎると。
キャスター付きの椅子をゴロゴロ転がしてきた。
広い部屋の壁に沿ってバーのカウンターテーブルみたいな長い作業机が置かれている。
そのうち、一台のパソコンの前がここでの彼の定位置だった。

「そう言えば心理定規いるなんて久しぶりっスね、おまけにオフ仕様っスか? んで、今日は垣根さんがいないんスか」

パソコンの電源を入れながらゴーグルの少年は部屋の中を見回した。
隣の部屋はもちろん、リビングルームにもあの存在感はかけらもなかった。
窓辺のカウチも空だ。

「彼も来てたけど。出かけたわよ」

いつものドレスではなく、夏っぽい服装の心理定規は短いスカートの下で膝を揃えた。

「へーえ。どうしたんスかね」

「大したことじゃないみたいだからその内帰ってくると思うけど?」

「心理定規と垣根さんて結構仲良いとは思ってたんスけど。実際どうなんスか?」

ゴーグルが聞き返すと、綺麗に塗られたネイルが並んだ両手の間を。
すとーん!
と雑誌が滑り落ちていった。

「え? 私と彼が? え。なんで?」

それまで気にも留めていなさそうだった心理定規は。
膝の上に落ちたファッション誌ではなく、ゴーグルの少年の方を向いていた。

264 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:29:27.99 ID:6M9N4qIs0

「だってよく二人で話してるじゃないスか。同じ空間にいてハブられたらさすがにわかるんスよ。俺だって」

「あのね。私たちは何? 学園都市の暗部組織でしょ。なかよしこよしのお友だちグループじゃないよね」

「そりゃ……わかってるっス。でも知り合った相手と仲良くはしたいじゃないスか。ギスギスしててもいいことないスよね」

「まあ一般的にはそうかもしれないけど。そう見える? 私だって特別親しいつもりないよ?」

むしろ逆、と言って心理定規は首を傾げた。
垣根からなのか、心理定規からなのか。
一体どう見れば仲良くしている様に見えるのかが本人にはわからなかったのか。
ちょっと真剣に眉を寄せて考えていた。

「三人でいてもそこはかとなく扱いの差を感じます」

「そこはしょうがないよ。私と君って役割が違うもの。でも君もよくやるでしょ、彼の思いつきを聞き流す係とか」

「俺はそれなりに真面目に聞いてますよ! えっ心理定規は流してるんスか」

不満そうにしていたゴーグルの少年は、心理定規のまさかのカミングアウトにガタっと体を起こした。
その勢いで椅子がぐらぐら回りそうになる。

「ああ言うのバイトで慣れてるもの。相づちはちゃんと打つよ? 機嫌悪くなっちゃったら困るし。
壁や観葉植物とか、金魚鉢に話しかけるよりは、いい話相手してるつもり」

「なんスかそれ。隠居したおじいちゃんスか。そう言えば前の部屋に水槽ありましたよね。
世話のいらない熱帯魚の。たとえばああ言うのに、したことあります?」

「ああ。あったね。そんなのも」

「あれ。女の子って動物好きじゃないスか? そんなリアクション?」

「うーん、たまに見るときれいだったけど。あれはペットって言うよりインテリアみたいだったじゃない。でも男の人は結構好きみたいよ、ああいうの。きれいで静かなものって癒されるみたい」

あきらかに気の乗らないざっくりしたリアクションにゴーグルの少年は残念そうに息を吐いていた。
きゃあ、おさかなさんかわいいよね! とかそんなのを期待していたんだろうか。

「えー。俺女の子は小さい生き物に話しかけるんだと思ってたんスけど。そんなもんなんスか……」

「それは人によるんじゃない?」

265 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:33:18.99 ID:6M9N4qIs0

「そっかー…あ。垣根さんは動物平気なんスかね。もしかして、犬とか猫とか意外と好きだったりして」

心理定規はあまり興味がなさそうだったが。
生き物にやさしい不良やヤンキーはベタな設定だ。
だからって動物相手にセリフを即興吹き替えしている超能力者、とかが和んだり萌えるかと言われるとそれはまたむずかしいかもしれない。
向こうのリアクションが怖くて反応にも困りそうだ。

「鳥…はなんか嫌がりそうっスよね。『何でわざわざ狭苦しい籠に押し込めなきゃいけねーんだ?』とか言いそうな気も――」

「ね、まって…今の何?」

「え? いや垣根さんなら『おいおい、こいつら自由に飛べるんだぜ?』とか言いそうじゃないっスか?」

ゴーグルが振り返ると心理定規は口元を手で隠していた。
肩がぷるぷる震えている。

「そうじゃなくて…なにそれ彼のものまね? ねえ、なんで……なんで最後にちょっと『フッ』ってするの?」

「(キリッ)とかのがいいっスか? じゃあ――」

「やめてもう、おかしいってば」

ゴーグルの少年は調子に乗って「垣根さんあるあるネタ」的なものまねを披露した。
もちろん似てない。
それでも、垣根がまず言わなさそうなおかしな発言をなんとなくの「垣根さん風」のセリフで言い続けると。
両手で顔を覆いながら心理定規は笑っていた。


「はあ。ちょっとほっとしました」

「どうして?」

ゴーグルの少年は、自分の胸をなでおろした手でそのまま頬を掻いた。
ちょっとばつが悪そうに心理定規から目をそらしていた。

「いやー俺もしかしなくても、心理定規に嫌われてんじゃないかなーとかっスね。避けられてんのかなーって…ははは」

心理定規は。
一瞬きょとんと目を丸くすると少し考えてから首を振った。
ちょっと眉を寄せてからの五秒間、ゴーグルの少年は聞かなきゃよかった! って顔をしていた。

「好みの問題じゃなくて。そうね…人には適切な距離があるでしょ? もちろん物理的な意味でもね」

自分の能力にあてはめたのか、一言付け足すと。
心理定規はゴーグルの少年を観察するようにながめた。

「そうね。たとえば君にとって親しみがある、特別な距離をあげるなら……
一メートル二〇センチとかどう? 普段、能力の使いやすい範囲ってそれくらいじゃない?」

「何で……知ってるんスか。俺、そんなこと話してないよな?」

「どの隠れ家でも、君のスペースは物の配置がいつもそっくりよ。座る位置も。
『手が届く所に好きなものを置いておきたいタイプ』だと思ったんだけど、どうかな。君は人よりその範囲が広いみたいだしね」

もし暴走とかされても十分離れれば安心出来そうだし、と言って心理定規は得意そうにほほえんだ。
いつの間にそんなことまで見ていたのか。
ゴーグルの少年ははぁ、と感心した様に息をはいた。
そして、一瞬ドアの方を気にすると声をちょっと小さくして質問した。

「じゃあ垣根さんは? えっと。心理的にまずい距離とかって、あるんスか」

「彼は……また他の子ともちょっと違うのよね。でも対処は出来ると思うよ。ちなみに暴走されると、
あの能力だと逃げ場なんて無いし防ぐこともきっと出来ないからお手上げ。巻き込まれないですむって幸運を祈るしかないんじゃないかな」

取扱い説明書でも読み上げるような口調で心理定規はそう言うと。
顎に指先をそえながら首を傾げた。
垣根もそうだが、この少女もどちらかと言うとドライな印象がある。
たとえ相手が仲間だろうと不測の事態への警戒や注意は人一倍、それもして当たり前と言った態度だ。
垣根の方は、「何が起きてもわざわざ備える必要がない」
ので常にマイペースな自然体に見えるが頭の中はどうだかわからない。

266 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:35:26.03 ID:6M9N4qIs0

「対処ってどうするんスか」

「彼の心に近付き過ぎなければいいの。ムカつく味方より、つまらない敵の方が関係性としてはずっと安全よ」

雑誌を横に置きながら心理定規は足を組んだ。
一瞬、何か思い出すように視線が上に向く。

「それも狙って出来るかはわからないけど。ほら、彼って結構気まぐれでしょ? 
でも彼の場合、他者への心の距離なんて扱いがほとんど一緒じゃないかな。彼の主観以外の一般的な分類もあんまり興味がないみたいだし」

「はぁ。なんかわかるようなわかんねえような…もしかして垣根さんの心理距離、測ったことあるんスか」

「会ったばかりの時にね。もちろん彼に言われてだけど。私の『心理定規』がどんな能力か知りたかったみたいだったから」

「えっどんな反応したんスか」

心理定規は返事の代わりに髪の先を人差し指に巻き付けていた。
カールした毛先がするりと逃げるのを目で追ってから口を開いた。

『ムカつくから止めろ』って。こわーい顔されちゃった。あれから、彼に力はあんまり使いたくないのよね。
勘もいいみたいだから、こっそりやってもバレそうじゃない?」

身を乗り出して聞いていたゴーグルはふと不思議そうな顔をした。

「あれ、でも仲良くなるのは悪いことじゃないっスよね? なんで精神的に近寄ると危ないんスか」


「そうね。彼に限ったことじゃないけど。興味がわくと期待するでしょ」

その反動が怖いのよ、と心理定規は真面目な目をして言った。
彼女が警告するように立てた人差し指を見つめてゴーグルは息をのんだ。

「だから。彼にあんまり期待させないこと。そしてそれを裏切らないこと、かな。それを守ってれば安全だと思うよ。これからもね」

「どうしてそうなるんスか」

頭の上にクエスチョンマークの乗っていそうなゴーグルの少年に、心理定規は眉を寄せる。
しようがないなあ、と口にはしないがなんかもうダメな子を見る顔をしていた。

「そうね、君風に言うなら……楽しく長い時間遊んでたゲームの結末がそれまでを台無しにするくらいひどかったら。ガッカリするでしょ?」

「あー…他がよくってハマった上でオチがひどいと凹み加減倍増っスね。しばらくはCMみるのもやんなりそうっス」

「それで済むならいいけど。彼の場合、本体ごとその場で壊しかねないと思わない? 『俺がこんなにやってやったのに!』とか言って」

肩をすくめる心理定規にゴーグルの少年は激しくうなづいた。
つまったり、気に食わないとゲーム機やコントローラーを叩いたり投げたりはその辺のやつでもするが。
超能力者の八つ当たりは規模がやばそうで怖い。

「すげー納得しました。いやあ、原作公式に背中を撃たれるほど辛いことはないっスよね」
267 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:39:39.47 ID:6M9N4qIs0

「だからね、もしも。それが君自身や他の誰かの為でも、たとえ彼の為でも。
結果、君のしたことが彼のやり方を裏切ることになればそこでおしまいかな。きっとそう言うの、許せないと思うよ」

「じゃあ、もし俺が心理定規や垣根さんと引き換えにでも『スクール』の内部情報を売ったりしたら……」

「それで相手には見逃してもらえても、彼がトドメを刺しに来るんじゃない?」


恐ろしいことを笑顔で口にする心理定規に、ゴーグルはひきつった顔で笑い返した。
確かに。
理由はどうあれ背信間違いなし、ってとこだけで怒りがゲージを振り切りそうだ。
相殺しようにもきっと事情なんて説明する猶予も聞いてくれる保証もない。
ゴーグルの少年はうーんとうなった。

垣根が怒ったところには何度か遭遇しているが。
あのリーダーがガチギレするとどうなるのだろうか。
ムカついたとかよく言ってるがよっぽど、イライラでもつのらないと怒鳴ったりはしないと思う。
そんな垣根帝督が本気で怒りをぶつけてきたら一体どうなるのか。

もしかしたら静かに切れるタイプかもしれない。
一見いつもと変わらない態度と軽薄な笑顔で、真っ黒な目にだけ明確な怒りを燃やしてやって来る。
そんなの恐いに決まってる。

案外、語気も荒く怒鳴り散らすなんてこともするかもしれない。
冷静さを欠いて普段のイケメンぶりをかなぐり捨てて。あの垣根帝督が感情のままに悪意と怒りをまき散らす。
そんなの悪夢でも遠慮したい。

そして。
どうあっても最後はきっと、『未元物質』での粛清コースだ。間違いない。


「怖いっスよ! 俺自分の為なんかにはぜってえ裏切れません!! そんな予定もつもりもないっスけど!!」

うわあああああ! とうっかり怖い想像をしてしまったゴーグルの少年は頭を抱えた。

「自分以外ならいいの?」

「結局俺は助からないならやるだけすっげえ損じゃないスか。いや死ぬようなのはいつだって嫌ですけど」

ね、とうなづく心理定規と珍しく意見があった。
ステータスすらわからないボスモンスターみたいなリーダーと比べたら、この二人は紙防御もいいとこだ。
危ない目には、あわないのが一番。

268 :投下前半  ◆q7l9AKAoH. [saga]:2015/05/25(月) 03:42:36.55 ID:6M9N4qIs0

「まあ、そんな風にいろいろあるけど。私は彼とはビジネスライクな距離感を保たせてもらってるの。がっかりした?」

心理定規は笑ってそう聞いたけど。
思いがけずいろいろ聞かせてもらえて満足したのか、ゴーグルの少年は首をふった。

「二人並ぶと華やかでお似合いだなーとか思ったんスけど。うーん。でも俺の居場所がますますなくなりそうなんで、正直ちょっとホッとしました」

正規構成員現在わずか三名の状態でカップル成立なんてされてしまうと。
リアルに見切りをつけているゴーグルの少年でも、リア充度の高い空気にやられてしまいそうだ。
おまけにリア充爆発しろ、とか冗談でも言おうものなら速攻でアイエエエエ! カキネ=サンナンデ!? とか言ってこっちが爆発四散するはめになりそうで恐ろしい。サヨナラはきっと言えない。
いや、リーダーだっていくらなんでも公私混同して仕事中もイチャつくなんてことはないと思うが。

「つうかノロける垣根さんとか想像できねえ」

プライベートにずらっと?が並んでいそうなリーダーは。
意外なことを想像しようとしたところで、謎が深まるばかりだった。
269 :ここまで  ◆q7l9AKAoH. [ sage saga]:2015/05/25(月) 03:47:34.83 ID:6M9N4qIs0
ドーモ

長くなったんで今回わけた
とりあえず投下だけ
続きはまた来るね
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 05:07:07.58 ID:7BFS1Wf+0
おつ
更新待ってたぜ!相変わらずいい感じにそれっぽいな
つーかゴーグルと青ピの会話が一瞬痴話喧嘩的なものかと思ったわww
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 13:46:57.18 ID:Z5X06rzao
垣根が出てきてないのが笑えるなww
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 14:19:14.11 ID:Uy/4op+/O
1乙
戻ってきてくれてうれしいぜ
長くなってもいいからまた読ませてくれ
ゴーグル青ピとどんな話してんだw
安価はまだ期待しててもいいか?
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 18:32:20.08 ID:eqmdTNfH0
某スレの影響かゴーグルがほのぼのしてるだけでちょっと感動するわ乙
274 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ sage saga]:2015/06/19(金) 01:40:41.10 ID:kzjStP0s0

「ビジネスライクかぁ。ビジネスって言えば。よく小遣い稼ぎしてるって言いますけど、心理定規っていつも何してるんスか?」

なんでそんなことを聞かれるのか。
そもそも『暗部』の知り合いなんだから、おかしな副業・バイトよりよっぽど『本業』にまつわるその他いろいろの方が気になりそうなものだけど。
不思議そうにしている心理定規にゴーグルの少年は、
「おにいちゃんは心配してます」とか言いそうな顔で続けた。

「よくあるじゃないスか。洋画とかで出てくるお姉さんはみんなちょい派手なカッコで『お金が目的じゃないの。お互いの人間関係なのよ彼はかわいそうな人なのよ』って話すじゃないスか。まさか…そう言うのはしてないっスよね?」

ちょっと品のない想像をしてますよ、と遠回し何だかストレートなんだかわからないたとえ話で尋ねられたが。
当の少女は「ハレンチですぅ」とぷんすかするとかおろおろ困ってしまう、みたいな妹系年下女子にありがちなパターンは返さなかった。

「どんな返事を期待してるのかな。あと私は純粋にお金目的だからね」

「それはなんか前に聞いた気がしますけど」

淡々とした心理定規にゴーグルの少年は苦笑いをしたがちょっとほっとした様だった。
だが、それも次の言葉を聞くまでだ。

「そうね。人によっては、ホテルに行ったりもするかな」

やっぱり?! と、目をむいて食いつくゴーグルの少年に心理定規は小馬鹿にしたように笑い返した。
それをわかってて狙ってやったのだろう。
意味ありげな言い方をした少女はリアクションに満足したのか口元を綻ばせる。
275 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 01:43:08.32 ID:kzjStP0s0

「コミュニケーションは相手との距離感もだけど環境も大事なの。仕事なんだからその辺はサービスしておかないとね。にぎやかなファミレスが安心するって人もいれば静かなバーのラウンジがいい人。
二人きりでないとなかなか口も開けない人、とか色々。でもみんな紳士的よ? 何故かよく言われるけど、そんなに気にすることかな」

誤解を招いてるのは主に服装とかじゃないかなぁ、とゴーグルは思ったけど口には出さなかった。
今はそんな風には見えないけど心理定規と言ったら夜の蝶、とかそんな言葉がしっくりきそうな派手なドレスがトレードマークだ。
ホステスとか水商売のおねーさんと言われるとそういう方面につい考えてしまう奴だっているだろう。

「それでもっスねえ。ちっちゃいこが好きな危ない『紳士』も世の中には居るんスから気をつけないと」

まるで「最終下校時刻の後はあぶないから出歩いちゃいけません」と注意する様な言い方だった。
心理定規は、
「こんな能力なんだし、使う相手は選ぶよ」とちょっとムッとした様に返した。

「それに相手は男の人ばかりじゃないわ。つまらないことでも生身の人間と話がしたい人もいるし、会話の中で考えをまとめたい人もいるのよね。
ささいなストレスや不安の解消、欲求を満たしてあげること。そんなことの対価に私はお金をもらうの。それなりにね」

相手のリラックス出来る距離感と環境で話をする。
やってるのは、セラピーにもならない人生相談や気楽な話し相手みたいなものよ、と言って心理定規はたいしたことなさそうに笑った。

「心理定規の能力って話聞くとすごそうっスけど。具体的にどうなるんスか」

「私の能力は、相手の心の中の距離を自在に調節することが出来るの。とっても大事な対象から、思い出したくもない嫌な相手まで。そっか、君にはまだ使ったことなかったっけ?」

やってみてもいい? と聞かれてゴーグルの少年はどうぞどうぞ、とうなずいた。

276 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 01:45:08.88 ID:kzjStP0s0

ソファから立ち上がると心理定規はゴーグルの席の辺りをうろうろと見て回った。

「そうね例えば……初対面の人間が入ってきて」

出しかけの荷物がごそっとおかれたカバンの前で足を止めると。

「へえ。かわいいわね?」

心理定規が手を伸ばすとパシン! とテーブルの上のフィギュアが動いた。
そのまま彼女の手が届かなさそうなところまであっと言う間に移動する。
心理定規はちょっと目を丸くして弾かれた指先を見ていた。

「あ……あの、すんませんっス。なんかすげー嫌で、つい」

いきなりフィギュアを遠ざけてから、ゴーグルの少年は慌てて謝った。
自分で能力を使っておきながら心理定規にそこまでしたことに戸惑っている、そんな風だった。
心理定規の方は、別にショックをうけた様なそぶりも見せずにテーブルにもたれた。

「って、君の大事な大事なお人形を勝手に触ろうとしたらこうなるわよね。でも、ここでいつもくらいの距離にするとどうかしら」

「あ、そんなじゃないっスね。良かったらそれ見て下さいっス」

実は垣根さんに作ってもらったんスよ! と自慢する表情はもうすっかり普段通りに見えた。
ふーん。そうなの、と言って心理定規は一見どこにでもありそうな美少女フィギュアを手に取った。
実際は世界にひとつしかない特別製だが。
ケースに厳重に保管しておかなくても劣化したり壊れる心配がないのでゴーグルの少年は、はじめておもちゃを買ってもらった子供のように一番のお気に入りを持ち歩いていた。
心理定規はそれを不審そうな顔でしばらくみていたが、いきなりそんなもので喜ぶ非オタもあんまりいないだろう。

「さてと。今の違いは君でもわかるかな」

「そっスね。心理定規なのわかっててもムカッとするんスね。びっくりしたっス。あと、やっぱ隣に居ていきなりふんいき変わると変な感じするっス」
277 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 01:47:38.46 ID:kzjStP0s0


「今のは距離単位二五〇。『社会距離』くらいの心の距離まで離してみたわ」

「なんとか距離ってのは何スか?」

ゴーグルの少年は聞きなれない単語に首をひねる。
年上の男の子の疑問にも心理定規は親切に教えてくれた。

「『パーソナルスペース』って知ってるかな。人には、他人に近づかれると不快感を得る距離があるって考え方。
『社会距離』は相手と問題なく話ができる距離。仕事相手や知り合いと過ごす時の距離感って言われてるのよ」

そのあとの説明をまとめると。
分類は大きく四つ。
遠い順に『公共距離』、『社会距離』、『個体距離』、『密接距離』と分かれていてそれぞれ距離とあてはまる人間関係が決まっているらしい。
さらにその範囲をそれぞれ二つに分けたものを『近接相』、『遠方相』と呼ぶそうだ。
これは能力者じゃない普通の人が考え出したものだから、もちろん実際の相手との距離のことよ、と付け加えると心理定規は体の前で両手を向かい合わせに広げて見せた。

「一番近い『密接距離』は四五センチから。親しい…家族や友人が対象になるかな。『密接距離』の『近接相』〇から一五センチは恋人に許される距離感、ってところかしら。
だから、四五センチ以下一五センチ程度の距離に不快感を覚えない人とは友人以上のお付き合いができるかもね」
278 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 01:58:42.44 ID:kzjStP0s0

『発火能力』や『発電能力』の様に、実際にある物理法則と関係のある能力者が既存のそういった化学知識を活用していることはよくあるが。
『洗脳能力』や『思念使い』、『念話能力』の様に宇宙の法則を乱していそうな、一見どうやって何をしているんだかよくわからない能力でも、そんな風に理論や学説を持ち出してくることがあるのか。
大元では、量子物理学に即している能力がほとんどだろうから、全くの無関係、無駄なんてこともないのかもしれない。

「へえー。心理定規の能力って心の距離を操作するんスよね? それでもそう言うの役に立つんスか」

「目安にはなるかな。私みたいな曖昧なものを扱う能力者は大まかに力を使うより、自分の中でも区切りを付ける指標があった方がいいのよ。
自由度が高くてもやり辛いの。ちょっとしたマイルールみたいなものかな」

でも。同じ距離単位でも、相手との関係で受け取る印象はずいぶん違うの。その辺りはひとまとめに考えちゃだめなところね、と心理定規は説明した。
そこまで話すとぱっと両手をあわせてテーブルから離れた。

「じゃあ、次はもっと驚いてもらおうかな。騙されないぞってつもりで用心してても全然いいけど」

少し離れたところにある椅子の前まで進むと。
心理定規は座る前に一度振り返った。

「ここでちょっと問題。今、私たちはどれくらいの距離があるでしょうか。どんな感じがするかな」

「さっきより、ちょっと……嫌な感じがするんスけど。席をどっか移したいくらいっスかね」

そう言うが、二人の間はゆうに三人分はスペースが空いている。
決して近すぎる距離ではないがゴーグルの少年はなんだか居心地悪そうにしていた。

「そうね。今の私たちは距離単位三〇〇以上だから君には近く感じるかも。これを段々近づけていくと、どうなるか。君にわかるかしら」

「それくらいなら。人間、嫌なやつにも敏感になるじゃないスか」

それを聞いて。
心理定規はなんだか楽しそうに笑った。
学園都市の能力者が持つのは一人ひとり違った能力だ。
自分だけの特別な力、に自信や誇りを持つような子どもは少なくない。
そして彼女もそんな子どものひとりらしい。
今からそれを披露してみせる、と告げた少女は何だかとても得意げな顔をしていた。
279 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:01:37.75 ID:kzjStP0s0

「さて、どうかな? 君は普通にしてていいよ。って言っても、今はあんまり会話もしたくないと思うけど」

そう言って、雑誌と自分の荷物をそばに置いてから心理定規は椅子をカラカラ引き寄せた。
特に予備動作やアクションはなく静かに心理定規の能力のテストがはじまった。
漫画やアニメにでてくる魔法や特殊能力みたいに技名を叫んだり始動キーのいらない学園都市の能力は、初見だとまず誰が何をしているかわからない。

「あ。ゴメン」

小さなポーチの中身をテーブルの上に並べていた心理定規の手元から、黒いキャップのガラス瓶が転がってきた。
パソコンに向かっていたゴーグルの少年は横目で、ラメ入りのマニキュアの瓶をキャッチすると机に置いた。
黙ってそれを押しのけるように心理定規の方に転がし返す。

「ありがと」

そう言ってにっこり笑うと。
心理定規は受け取ったマニキュアをポーチから少し、離して置いていた。


それから少しの間。

二人はちょっとずつ会話をしていた。
心理定規の能力の効き目はばっちり出ていたらしい。
いつもなら、まあ世間話くらいはするのだが。
ほとんど口を開くのは彼女の方で、それでもなかなか話は弾まなかった。
内容は特に大したこともない。
これから心理定規は用事があるとか。
『スクール』や、前にあった任務のこととか。
ゴーグルの少年のシャツに、値札のタグがつきっぱなしだったなんてつまらないことだ。
そんな風に何事もなく過ごしていた。
280 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:07:50.30 ID:kzjStP0s0

「ねえ」

横から聞こえた声の近さにゴーグルが振り向くと。
ちょうど漫画雑誌を横向きに置いたくらいの所に心理定規が座っていた。

「あ、れ」

「こーんなに近くに来ちゃったけど。途中で止めなくてよかったのかな」

大体二五センチくらいの距離を実際に、更に詰めながら。
頬杖をつくと心理定規はゴーグルの目を見上げた。

「どう? 私がどこで力を使っていったかわかったかな」

「えっと……さっき化粧品拾った時? と、あと……あ。服、のも? もしかして」

つっかえつっかえの少年の『回答』に少女はうなずき返した。
どうやら悪くない答えだったらしい。
そんな彼女の反応をみながら、ゴーグルの少年は喉の奥がつかえる様な変化を感じていた。
ひどく緊張しているような違和感。
そうは言っても嫌な気分のものではなかった。

「まあまあかな。会話の中での同調、共感、そう言うのも人の心の距離を縮めるには都合がいいの。
もちろん肉体的な……例えばこうして距離を縮めたり、触ったりもね」

そう言いながら、少女の手がすっと伸びて少年のシャツに触れる。

「後は、好感ね。いい気分になると警戒心も薄らぐし」

曲がった襟をきれいに直すと小さな手は元の様に戻っていく。
指先のオレンジの軌跡を、名残惜しくみつめていたゴーグルの少年を見て。
心理定規は愉快そうに。
小さく声を上げて笑った。

「表情も大事な武器よ。ね、さっきから私が何回笑って見せたか覚えてるかしら?」

「す…すごすぎて、軽く女子が怖くなりそうなんスけど……」

「女の子だけじゃないわよ。君だって相手や行先で服装に気をつかったりするでしょ? 
まあ、さすがにここまでは普段意識しないと思うけど。私はこう言う実際の感覚も能力に活用させてもらってるの」

木を隠すなら森の中、って言うよね。と心理定規は得意そうに付け足した。
何でそんなことをわざわざするのか。
問答無用で心の距離を維持しておさえつけるくらいこの能力なら簡単そうだった。
281 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:10:43.97 ID:kzjStP0s0

「だって……私が変えられるのは距離だけだから。感情も、前後の記憶のそのままだもの。いきなり変化すれば、どうしたって違和感は出ちゃうのよね」

いざと言うときにはもちろん手段を選ばないだろう。
それでもどうせなら、もっと上手に能力を使いたい。高めたい。
そんな口ぶりだった。

それでも。
頭でわかっていてどうにか出来るレベルのものじゃないくらい、今のゴーグルの少年にはわかる気がした。
それまでマウスにかかっていた右手をテーブルにつきながらゆっくり息を吐く。
だってそうだ。
心理定規は同じ組織のメンバーで。
かわいいけど女の子として特別意識したりすることはなかった。
それなのに。
隣に座った彼女とのこんな少しの距離が。
もっと近ければいいと感じたことは今までなかったはずだ。
こんな風に「冷静な判断」めいたことを考えてみても、気持ちはちっとも落ち着かなかった。

「でも、いつの間に…こんな」

心理定規から目をそらしてゴーグルの少年は少し考え込んでいたが、いったいいつの間に『普段以上に近い距離』に踏み込まれていたのかがわからない。
わかっていても無駄かもしれない。
目に見えない精神的な能力の干渉に抵抗は難しいだろう。

282 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:13:18.70 ID:kzjStP0s0


「さっきの『パーソナルスペース』もだけど、男の人は自分の体の前、縦方向に意識を向ける傾向があるから横には注意がいかないのかもね。それにしても、君はパーソナルスペースが広い『他人との接触を避ける』タイプだと思ったんだけどなあ。
いつもの距離単位からあとは全然気にしなかったね。鈍いのかな。それとも、好意をもつと相手に甘くなっちゃうの?」

「一生に一人の大親友や運命の相手、なーんて言うのも私なら好きなだけ、出会う前から作り放題」

「一目ぼれって言うのも便利な言葉よね。根拠のない好意を一方的に抱いても疑いもしないの。人間は思ってる以上に上手に自分のことを騙せちゃうんだから」

「ただ距離を変えるだけでも工夫すれば色んなことが出来るのよ。君が思うよりもずっと、ね。私なら……相手の行動だってやり方次第で操ることも難しくないかな」

どうしてでしょう、と問いたげに心理定規は笑った。

「なんで…っスか?」

そこで、やっとゴーグルの少年は声を出した。
それまで頷いたり、首を振ったりと最低限のリアクションは取っていたが。
隣にいる心理定規からすっかり目が離せなくなっていた。
普段と変わらない筈の声も表情も何だかとってもキラキラしていた。
視線ひとつ、何気ない仕草の一つまで。
彼にはとびっきりの、まばゆいエフェクトをかけたみたいに見えていた。
ゴーグルの少年は知らないが。
この時、二人の間の距離単位わずかに一〇。
肩が触れ合う様な近くにいても相手の存在を許せてしまう。
それくらいの親しみを感じてしまうように調節されている。
心理定規の能力に文字通り心を奪われてしまっていた。
283 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:15:53.14 ID:kzjStP0s0

「向こうがそうしてくれるのよ。好感のある相手には良く思われたいし、お願いだって少しくらい聞けちゃうでしょ? 
今ならちょっとわかるんじゃないかな。そんな気持ち」

手のひらで転がして、遊んで、飽きたらポイってできちゃうんだから。
そんな笑顔を向けられても。
ゴーグルの少年は今この瞬間、彼女を嫌いになんてなれそうもなかった。

「心理定規っ、ズルいっス」

「ズルいのは…イヤ?」

心理定規はわざとらしく眉を寄せてみせる。
からかわれているのはわかっていた。
能力で心の中を探られて、遊ばれているのはわかっていた。
わかっていても、それでも抗えない。
心臓は勝手に早くなる。
もちろんそんな顔だってサイコーに可愛いちょいセクシー小悪魔系あざとカワイイ心理定規ちゃんマジ暗部のヒロインごちそうさまですって気分になりますね最高にハイってヤツですねええ

我慢できなくなって、ゴーグルの少年は大きく息を吸った。

「はいっ! 好きです!!」

「あはは。君、面白い」

284 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:17:22.21 ID:kzjStP0s0


ソファに座ったゴーグルの少年は自分の手を握って下を向いていた。
隣には、さっきより近い心理定規。
この後の予定は聞いていたから出かけると言うのは知っていた。
それが気になると話したら、じゃあバイトの方も試してみない? と言われてしまい。
能力で心に干渉されたゴーグルの少年はいつも以上にされるままだった。
狭いスペースで、物理的にも心理的にも彼の逃げ場はない。

「そうね。何か、不満とかある? 『スクール』の活動とかで。あ。心配しなくても、私聞いたことは他の人に漏らしたりしないから好きに話していいよ」

「うーん……そうだなあ。大したことじゃねえっつうか。ここみたいな隠れ家でよく垣根さんと会うんで、一人でゆっくりゲームが出来ないのが最近の悩みって言えば悩みで。秘密基地独り占めだーってのが楽しかったんスけど」

「ゲームくらいすれば? 彼も気にしないでしょ」

「そうなんスけど。こことか PC もテレビも画面すぐ見えるじゃないスか。いや、えっちいのはしないっスよ? まだ俺じゃ買えないんで出来ないっスけど。ギャルゲじゃない普通のでもなんとなくやりづらいんスよ」

「ふーん」

「この前もっスね、たまたま鉢合わせたら何か出かけるって言うんでついてったんスけど。結局俺が良く行くとこ回っただけみたくなって。垣根さんは……よくわかんねえっス」

「君さ、それでよくハブられてるって言えたね」

それまで相づちをうちながら、彼女の言うところの「いい話し相手いい聞き役」をしていた心理定規がふと口をはさんだ。


285 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:19:58.04 ID:kzjStP0s0

尋ねると言うかなんとなく、不満めいたものを感じてゴーグルの少年はドキっとした。
彼女の機嫌をそこねるような話をしたつもりはないし、あるならもっと他のところだと思う。
ゲームとか、ゲームとか。ゲームの辺が。

「え。何でっスか」

「私もプライベートで出かけたり、一緒に遊んだりなんてしないよ?」

ちょっとむっとした顔もかわいいなあなんてのん気に萌えながら、ゴーグルは慌てて言い訳した。

「一緒に遊んだって言うか。遊んでもらったのか、つきあわされたって言うのか……あれは垣根さんにも原因がっスね? 
いや悪くはないかもしんないっスけど、あんな言い方されたら即『 yes 』の選択肢を選びますよ。俺は他の娘ルートでも本命の誘いは断れない、そんなプレイヤーなんスよ」

「ごめん。よく…わかんない」

「レン子ちゃ……ゲームん時の悪い癖が出たんですよ。それ以前に俺が、垣根さんに『結構ですおひとりでどうぞ』って言えると思いますか」

「それもそうだったね」

しょうがないなあ、と呟く横顔にほっとしつつ、ゴーグルの少年は思い切って提案した。

「じゃあ、あの今度心理定規もどっか行きます?」

「あら。デートに誘ってくれるの?」

「でっ、デート……はい。その、良かったら」

あえて説明しなくても、彼は三次元の女の子とのデートはしたことがない。
液晶内の2D女子なら数えるのも嫌になるくらい経験済みだ。自慢にはならないが。

「そっか、ありがとね。でも…私結構忙しいの。また、今度ね?」

トドメににっこり微笑まれて、遠まわしにお断わりされたかもなんてことはどうでもよくなっっていた。
286 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:22:21.71 ID:kzjStP0s0


「でも、君がそんな風に考えてるとはね。彼にはもっと懐いてるのかと思ってた」

「やっぱそこは世界が違うっつうか。俺けっこうヒールも好きなんで垣根さんみたいな人も嫌いじゃないんスけど」

ピンと来なかったのか首をかしげられてしまった。
そこでゴーグルの少年は、心理定規でも知っていそうな、超有名なアニメの悪役の名前をあげた。
けど、聞いた途端心理定規は何言ってるのこの子?! みたいな顔をしてきた。

「いや! すごいんスよ? ばいき○ま○! 頭いいしなんでも作れるし実はハイスペックなんスけど。
それをあ○ぱ○ま○をやっつけることにしか使わないんスよね。つめが甘いのと展開上いっつも返り討ちっスけど憎めない悪い奴って感じで。俺好きです」

「彼がばいき○ま○なら、私はどき○ちゃ○なの?」

「あれ、ぴったりじゃないスか? かわいいし」

ゴーグルの少年の熱弁にやっぱり首をかしげる心理定規はそんな悪役サイドのヒロインに似ているかもしれない。
雰囲気は気が強そうでわがまま、ツンっぽくて。
男相手にも命令したり手玉にとっちゃう系なイメージなのもちょっぴり。

「じゃあ君は?」

「俺は……そっスね。かびる○る○、とかじゃないスか」

「なんで?」

「いると画面が寂しくないけど、別にいなくてもいいガヤ要員とかパシリっつうか」

「……せめてマスコットってことにしておけば?」

下を向いたゴーグルの少年の自虐的なコメントに。
心理定規はものすごく同情したかんじで軽く肩を叩いてきた。
少年は、いつもよりずっと悲しかった。

287 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:23:52.01 ID:kzjStP0s0

「あの…俺からも、聞いて…いいっスか?」

「なあに?」

「心理定規ってどう言う人が好きっスか?」

好きって言っても色々あるんだけど、と心理定規は

「一緒にいて楽しいひと、って言うのはやっぱり大事よね。あとはそうね……安定してるひとかな」

「えっと…経済的に? それとも落ち着いてるって言う前向きな解釈もオーケーでしょうか」

「そうね。精神的にもかな。だから、君とか彼とかはちょっと、ね? 特に彼は仕事もプライベートも気分次第で振り回しそうなんだもん」

やっぱり自分が振り回したい系なんだろうか。
他人を操る能力者ってわたしがだれよりいちばん! って感じするけど実際どうなんだろうか。

「じゃっ、じゃあ肉食系より草食系のほうが好きだったりします?」

「うーん、そうなるのかなぁ」

わずかな可能性に、今のゴーグルの少年は本気で喜んでいた。
勢いよくガッツポーズまでしてしまう。
そして。
その勢いのまま、気になっていたことを思い切って口にした。


「あと、あ。名前。俺っ心理定規の名前知らないっス!」

それまで。
面白そうにゴーグルの反応を見ていた心理定規は、一瞬目を丸くした。
しかし、すぐににこにこした顔で目を細める。
288 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:25:24.88 ID:kzjStP0s0

「そんなの記号じゃない。呼ぶときに困らなければなんだって」

「でも大事っスよ。俺は『スクール』の『ゴーグル』ってのは結構気に入ってきたんです。ここでしか呼ばれないし。でも、能力名だと、それが自分なのか能力のことなのかわかんなくなりません?」

真剣に聞いてみたが少女から返事はない。

「そう言うの、垣根さんはなんか嫌がってるみたいじゃないっスか。だからもしかして……君も」

「……そう言うの、つまらないわよ」

さあっと波が引くように心理定規は冷めた目をして呟いた。
突然、目の前に見えない壁が現れた様だった。
そこにぶつかったゴーグルの少年はかあっとなって言葉を叩きつける。

「そんなことないだろ? なんで、そんな風に!!」

「ちょっと! もう、調子に乗らないの!!」

勢いあまって腕をつかむと心理定規にしかられた。
はっとして離した手を細い指でおさえつけられる。


「あ…俺、ごめん」

ゴーグルは慌てて謝ったが心理定規はうつむいていた。
やりすぎちゃったかな、と少し戸惑ったように呟いていた。

289 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:27:05.11 ID:kzjStP0s0

「仕方ないなあ。でも、これはもうおしおきね」

おしおき、なんて言いながら心理定規は隣に座ったままもう反対の手もゴーグルの少年に握らせる。

「じゃあはい。こうやって手握っててね? しっかり、ちゃんとね」

「はい」

おとなしく従うゴーグルはちょっとうれしそうにしていた。
今彼の心の中では心理定規はとても身近な存在になっている。
何も、警戒する様子も疑うそぶりもなかった。

「いくよ?  3 、 2 、 1 ……はい!」

「ひっ……?!」

短いカウントが終わると。
安心しきっていたその表情があっと言う間に変わる。

「あれっ? 急にどうしちゃったのかな? ごーぐーるくーん?」

「な、なに……なんスか? なんスかこれ?! め、心理定規っ止めて下さい!」

「何のことかしら。私何かしたかな? 隣に座ってるだけだよね?」

心理定規は目を細めている。
つかまえた虫で遊ぶ子猫みたい、と言うとちょっと可愛いが。
可愛い顔していじわるな笑みを浮かべていた。
一方、あわてるゴーグルの方はいっぱいいっぱいだ。

「嫌っス、とにかく嫌っスこれ! 怖いっス一体何と距離合わせたらこんななるんスか!! いますぐッ、能力を」

「え? なあに、きこえなーい」
290 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:29:05.52 ID:kzjStP0s0

ついさっきまで、能力で心理定規は本当にかわいいなあなんて状態になっていたゴーグルの少年だが、今の反応は真逆もいいところだった。
心理定規が嫌でいやでたまらない。
これもさっき調子に乗ったおかえしと言うことらしい。

「近い近い近いッ! ごめんなさい俺ごときが調子乗ってすいませんでした謝るんで今すぐどいてください!!」

「嫌ならはねのければ? ああ、手が塞がってると難しいの?」

ソファにひざをのせた心理定規は嫌がるゴーグルにさらに近づいた。
そして目の前に、さっきつながせた両手を持ち上げてみせる。
たったそれだけだが、隙の無い追撃だ。
それに一瞬固まるとゴーグルは目をつぶって頭を振った。


「へ。手、ぇ繋……ヒッ、無理無理無理だって! 勘弁して下さい!!」

「身動き取れないくらい嫌なの。ふーん。ねえ、そんなにダメ?」

ほぼ一方的に大声を上げるゴーグルの少年を心理定規は不思議そうに見下ろしていた。
291 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:32:02.44 ID:kzjStP0s0

そんな風に騒ぐ二人の声の合間に。
部屋のドアが開いていた。

「何だ? お前らずいぶん盛り上がって――」

「っく」

「あ。おかえりなさ」

ガチャン。
開いたと思った次の瞬間。
何事もなかった様にドアは閉められてしまった。
その向こうに消えてしまった垣根に向かってゴーグルは必死に叫んでいた。

「垣根さぁん! 垣根さん心理定規っ何とかしてください!! も嫌っス! これ、助けてくだざぁい゛!!」

入り口から中の様子を伺うと。
もう一度垣根は部屋に入ってきた。
ソファの上にはぶるぶるしながら半べそのゴーグルの少年。
その上に、楽しそうな顔をした心理定規が座っている。
メンバーの意味不明な状況を見下ろしてリーダーはあきれ返った顔をしていた。

「一体何してんだお前ら」

「心理定規があ、ひど…これ…どけてくだ、ざい」

「ねえ、今の聞いた? 女の子に対してずいぶん失礼よね」

ぐすぐすしているゴーグル。
それを見下ろしてむくれる心理定規。
垣根は、はあ、とため息を吐くと面倒そうに頭を掻いた。

「お前もあんまり馬鹿で遊ぶんじゃねえ。うるせえだろ」

「はぁーい」
292 :268からつづき  ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/06/19(金) 02:33:57.84 ID:kzjStP0s0

素直に返事をして心理定規が膝から降りた後。
ゴーグルの少年は恐怖のおしおきがよっぽど嫌だったのか、ものすごくテンションが低かった。
パソコンの前に戻り、椅子の上で器用に膝を抱えるとヘッドフォンをつけて『笑える動画』みたいなタグのムービーを片っ端から流しはじめた。
かわいい彼女がいきなり目の前でぐにゃぐにゃの遠い星から来た系のバケモノに変身したり、母親がモンスターに乗っ取られていたのを見てしまった。
それくらいのショックだったのかもしれない。

「ああ。こいつの能力、ムカつくだろ? 気をつけろ、エグいことも平気でやるからな」

「もう。私は無駄に、そんな趣味の悪いことはしないよ?」

「あれでいい方なんスか……一体何と同調してたんスか?」

からかうような垣根の言葉に反論していた心理定規は。
ふりむくと唇をつりあげた。

「え? ふふふ。ナイショ」

「うー、わー。だから怖いっスって」

髪を整えていた心理定規は鏡に向かってにっこり笑った。
それはとっても可愛い笑顔だったが。
今日、女子の怖さをちょっぴり知ってしまったゴーグルの少年はまっすぐそれを見れなかった。
293 :  ◆q7l9AKAoH. [sage saga]:2015/06/19(金) 02:39:16.34 ID:kzjStP0s0
ドーモ
垣根、ゴーグル、ときて心理定規ちゃんの能力のターン
距離単位の謎の数値が気になってたけど「パーソナルスペース」ってのがいい感じだったからこじつけた
レスと小ネタがまた今度
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/19(金) 07:49:55.03 ID:4gR2xwEs0

勉強になったが、よく考えたら自分の人間関係では生かせる場面がない疑惑

ゴーグルくんがビビりまくるものというと、背中から羽生やす系のホストぐらいしか思い付かない…
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/19(金) 15:52:02.36 ID:uUR+u3SzO
1乙
いつもネタだらけでウケる
ゴークルはもげろよ!
心理定規をひざ抱っことか吹き飛べばいい
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2015/06/19(金) 19:26:28.56 ID:pnrUKCIS0
>>294-295
ゴーグルがひざに垣根を乗せてるって?(乱視)
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/19(金) 21:01:21.37 ID:n0mynaJmo
なんだ。TDNホモか
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