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【安価とコンマで】艦これ100レス劇場【艦これ劇場】
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80 :
【22/100】
◆Fy7e1QFAIM
[sage]:2014/08/07(木) 23:14:24.91 ID:kz7pwXy70
満潮「敵艦隊を中央突破するにしても、この数じゃ倒しても倒してもキリがないわ!」
如月「艦載機に進路を先回りされつつあるわね……」
提督「(厳しいか……)分かった。ならば……前衛部隊は砲撃を最低限に抑えてくれ。この作戦は極論敵を攻撃する必要がない。ただ敵の前に出ることだけに注力してくれ。全艦! 敵艦の間隙をすり抜けて前進! 突破後もとにかく前進だ!」
・・・・
朝潮「一応、全艦突破出来ました」
満潮「突破出来ただけで、状況は余計に酷いことになったけどね。前から先回りした艦載機から攻撃を受けて、後ろからは猛烈な数の追手が来てる。しかも、敵の本隊も近づいてるみたいよ、敵空母の影が見えるわ!」
提督「いや、これでいい。皐月・満潮は前衛に出て敵艦載機を撃ち落としながら全速力で前進。如月と朝潮は背後の艦隊を砲撃で迎え打て。といっても、あまり必死になって戦う必要はない。あくまで少し敵の数が減ったらいいなぐらいの気持ちで。それから、砲撃はなるべく海面近くから発射してくれ。電と磯波はとにかく皐月と満潮についていくことだけを考えてくれ。余裕があればサポートしてもいい」
如月「海面近く……?」
提督「おまじないにでも思ってくれればいい」
如月「ふふっ、りょーかい。今日の司令官はなかなか素敵よ。今この状況がすごく楽しいわ!」
皐月「同感だよ如月。まったく最高だね!」
満潮「アンタ達なかなか狂ってるわね」
皐月「そういう満潮だってさっきからニヤけっぱなしじゃないか」
満潮「そうね、指示の意味は全く分からないけど、……不思議と高翌揚するわ」
・・・・
皐月「……っつぅ!いったいじゃんかさぁ!」ドガァ
満潮「さすがに、そろそろ厳しくなってきたわね……」
提督(あの皐月や満潮ですら限界が近いみたいだな……無理もない。だが、もう少し耐えれば……)
提督「電、磯波。皐月と満潮に代わり前衛へ。敵を撃ち落とし、指定ポイントへ」
電「二人が頑張ってくれたから、だいぶ敵の艦載機が減ってきたのです」
磯波「それだけじゃない……これは……!」 シュオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオォォォォォォォォ
提督(来たか……!)
提督「皆! 死んだらゴメン!」
ババババババババゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴァァァァアアアアアアァァアァア
・・・・
提督「電、磯波、皐月、如月、朝潮、満潮。生きてるか?」
電「全員無事、なのです。本当に良かったのです」
磯波「今、私たちはちょうど台風の目に入ったみたいで、あの、とりあえず……助かりました」
皐月「ふぁぁー、ボク、マジで死ぬかと思ったぁー……」
如月「司令官はこれを待っていたわけね」
提督「待っていたわけじゃない。どちらかといえば祈っていたに近いよ。もう賭けに出るしかないと思ってね」
朝潮「海面近くで砲撃させたのにも何か理由が?」
提督「砲火の熱で君たちの場所を中心に上昇気流が起きたら良いな、ってね。もっとも、そう上手くは行かなかったし、そもそもそれで台風が起こせるだなんて思ってもなかったけど。ただ、土地的にも時期的にも台風が起こる可能性が高いエリアでの戦闘だったから、ああいう指示を出したんだ」
提督「台風の発生場所が予測出来たのはほぼまぐれなんだけどね。とりあえず過去の周辺地域の記録を漁って、その中で最も発生する可能性の高いエリア数ヶ所まで絞り込んで、あとは勘。ここまで上手くいくとは思わなかったから、僕が一番驚いてる」
皐月「さっすがだね司令官。おつかれっ!」
満潮「そこまで考えてたなら、ちゃんと説明しなさいよ……。私達が戦ってる最中にでも説明くらい出来たでしょ」
提督「ごめんね満潮。正直これは本当に自信が無かった。無理だと言われるのが怖かったから、虚勢を張るために言えなかったんだよ」
満潮「何よそれ、いくら何でもそこまで聞き分け悪く無いわ。ちゃんと何をするか分かっていればもっと戦えたわよ」
満潮「ただ、そういう風に思わせていたのはすまなかったわね。確かに最初の頃の私はアンタのことを軽蔑していたけど、今はもう司令官だと認めているわ……これからよろしく頼むわよ、司令官」
提督「こちらこそ、よろしく。満潮」
81 :
【23/100】
◆Fy7e1QFAIM
[sage]:2014/08/08(金) 00:16:41.08 ID:arMeYhhu0
提督「皆、本当によくやってくれた。生きて帰ってきてくれて良かった」
皐月「今日の司令官は冴えてたね。カッコ良かったよ」
提督「えへへへ……ただ、まぁ、なんていうかその、今回は幸運だった。天候も勿論のこと、誰一人大破することなく戦いの終盤まで迎えられたのが大きいよ。誰か一人でも航行速度が低下していたら多分こうはなっていなかった。
それから、台風が発生した時も、君たちだけあまり被害を受けずに敵艦に直撃したのも幸運だった」
提督「もうこれ以上無茶な戦いはゴメンだね……」グッタリ
提督「君たちにも、かなり無理をさせたね。ゆっくり休んでく、れ……」クー
如月「司令官もよっぽど疲れたのね。机に突っ伏したまま寝ちゃって」
電「電が司令官を部屋まで運びますから、皆も休んでください」
・・・・
提督「ん……」
電「司令官さん、お疲れ様です」
提督「あ、部屋まで運んでくれたのか。ありがとね」
提督「僕が起きるまで、ずっとこの部屋に居たの? 君だって疲れているだろう」
電「司令官さんとお話したいのです……」
提督「そっか。分かった」
電「司令官さんは、これからどうするのですか?」
提督「分からないな。何かやりたいことがあるわけじゃないし、偉くなろうっていう気もないな」
提督「とはいえ仕事がないと生きていけないし、……今は何より君らを失わないために戦いたいと思う」
提督「まだまだ未熟だし、今回の作戦だって本当に運によって助かったようなものだけど……それでも、僕は君らのために生きていきたいなと、そう思ってる。漠然とした考えだけどね」
電「司令官さんは……本当に電たちのことを大切に思ってくれているのですね」
提督「あぁ」
電「司令官さんは優しいのですね」
提督「優しいというか……うーん、そういうことじゃないんだよ。どうしても、君らの命を背負っているということを考えるとね……」
提督「君らの命が失われることが、それも僕のせいで失われることが何よりも怖い。臆病なだけなんだよ、僕は」
電「……司令官さん」ギュッと提督の手を握る
電「司令官さんは、臆病なんかじゃないです。今日だって、司令官さんの決断で私たちは生きていられたのです」
電「司令官は電の誇りなのです。だから、もっと自信を持って欲しいのです……」
提督「ありがとう。そうだな……もう少し強気にならなきゃダメ……か」
電「はわわ、ダメじゃないのです。司令官は今のままで良いのです」
電「でも、不安になったら……電が司令官の側に居るのです」
電「だから、どんな時でも、一人で抱え込まないで欲しいのです」
提督「助かるよ……ありがとう」
----------------------------------------------------------------------
過酷な戦場を乗り越えて艦娘たちとの絆が深まった
全員の好感度+2(
>>79
ステータスや秘書艦による±補正なし)
満潮の好感度+2(
>>80
)
電の好感度+4(今回)
82 :
◆Fy7e1QFAIM
[sage]:2014/08/08(金) 00:30:57.73 ID:arMeYhhu0
日付跨いでしまった……とりあえず投下はここまで。
【好感度まとめ】
電:15(好感度上昇+4) 秘書艦
皐月:6(好感度上昇+2)
磯波:8(好感度上昇+2)
如月:5.5(好感度上昇+1.5)
満潮:9(好感度上昇+2)
朝潮:7(好感度上昇+2)
///チラ裏///
軍記物を書きたいわけじゃないのに戦闘の描写細かく書きすぎたというかアレね。戦闘シーンも難しいね。
とりあえずしばらくバトルっぽい部分は無いのでこれでようやく書きたいものが書ける……のかな? 分からんけれども。
そろそろストーリー動かしていきたいので各パラメータを試験的に動かしやすくしてみたり。
でもあくまでストーリーありきだから数値に縛られすぎて面白さを削がないように……意識していても難しいや。
明日からイベント海域ですねー。資源ALL2万ちょいバケツ200個だけど超えられるかしら?
83 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/08(金) 00:33:20.65 ID:Hx4APi46o
おつおつ
84 :
【24/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/08(金) 16:01:22.81 ID:ceq9D4BgO
提督(1-4作戦の報告書の類も概ね片付いたし、たまには鎮守府内を出歩いてみるかな?、っと)
提督(あれは……如月か? 鋼材と燃料なんか持って、何してるんだ……?)
・・・・
提督(工廠に入っていったな……)
提督(装備の開発でもするのか? いや、ここの工廠の機材は古びていて使い物にならないし、妖精も居ないはず)
提督(気になるな。一体何のために……? あ、工廠の奥の部屋に進んでいったぞ)ガシャン
提督(あれは……水槽? 随分大きい水槽だな。サメでも飼っているのか?)
如月「司令官。見ているんでしょう? 出てきて下さい」
提督「如月……それは一体……? 鋼材と燃料なんか持ちだして、ここで何をしている?」
如月「隠してもしょうがないわね。この水槽に居るのは……私たち艦娘の成れの果てよ」
提督(あれは……深海棲艦……! かなり小型だし、体の一部が欠けているように見えるが……)
提督「如月! お前一体、何を……」ガラガラ……ボトン
如月「何って、補給よ。深海棲艦も、必要なものは艦娘と同じなのよ」
提督「……説明してくれないか」
如月「いいわ。教えてあげる。私たち艦娘は、轟沈すると深海棲艦になるのよ」
如月「戦いに敗れて暗い海の底に沈み深海棲艦に成り下がるか、解体されて艦娘だった頃の記憶を失った普通の人間に戻るか、それが私たちの辿る末路よ」
如月「この水槽にいる子は、かつて私とともに戦っていた子よ……」
・・・・
如月「私の前の司令官、清浦中将は、ここの鎮守府で指揮を執っていた」
如月「有能で聡明な方だったわ。おまけに人柄も良かった。私たち艦娘を、戦争の道具じゃなく、一人の人間として接してくれていた」
如月「ただ、ある大戦で、中将は主力艦隊の1割を失ったの。最終的に勝利を収めたんだけど、彼は精神が壊れてしまったのよ」
如月「彼は、戦いが終わった後、抜け殻のようになってしまった。私が声をかけても、ただうわ言のように沈んだ艦の名前を呟くだけだった」
如月「それからしばらくして、彼は異常なほど執務に集中するようになったわ。そして……海域攻略中に、深海棲艦となったかつて自分の艦隊にいた子を発見したという報告を聞いて、彼は狂喜した」
如月「彼は、私や他の生き残りたちに自分が沈めて深海棲艦にしてしまった艦娘を拿捕するように命じたわ」
如月「そうして出来たのがこの水槽よ。ここは、かつて私の指揮官だった人が治めていた鎮守府」
如月「この水槽には、本当はもっと多くの深海棲艦となった艦が居たのよ。最も賑わっていたときは、あの海域で沈んだ娘が全員居たんだけどね」
如月「この水槽では、沈んだ艦全員を収容するには狭すぎたみたいね。間もなくして、大型艦は皆死んでしまったわ」
如月「それから、重巡・軽巡と続いていった。最後の一人であるこの子以外皆居なくなるまで、清浦中将は深海棲艦を艦娘に戻す研究をしていたけど」
如月「研究の結果分かったことは、それは不可能だ、ということだけだった。また、深海棲艦は艦の怨念から生まれた、負の感情の塊なようなもの。だから、深海棲艦となった艦に対して、かつて艦娘だった頃と同じように愛情を持って接し続けていた中将の行動がかえって仇となって、深海棲艦の死を助長させていたようだわ」
如月「最期に彼は、艦娘を私を除いて全員解体して、命を絶った。最後に残ったこの子を私に託してね」
如月「この子が深海棲艦になる前の名前は、雷よ。私を庇って沈んでいった艦。そして、今の艦隊の……電の姉よ」
如月「本当に……運命とは皮肉なものね」
提督「…………」膝から崩れ落ちる
提督(言葉が出ない……なんだよそれ……。なんだよそれは……)ポロ……ポロ……
如月「私たち艦娘は艤装の力で自殺することが出来ないのよ。戦って沈むか、解体されるまで、恐らく数百年は生き続ける。残酷な話よね。もう涙も枯れたわ」
如月「ごめんね。本当に……ごめんなさい。こんな話聞きたくなかったでしょう?」
如月「私たちと出会わなければ、いや、私と出会わなければ。こうしてこの場面を見ていなければ、こんな風にはならなかったのにね……」
如月「私なんて最初からいなければ良かったのよ」
如月「……ごめんなさい。今日はもう休ませてくれるかしら。また、明日になれば元通りになるから」
提督「……」
85 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/08(金) 16:02:42.96 ID:ceq9D4BgO
突然の投下
そして突然のイベント発生
提督の勇気が試される
【コンマイベント発生】
(重要度の高い分岐点なのでエクストライベント扱いではないです)
00?49:イベント未発生
50?99:イベント発生
イベント未発生だと通常通り別の艦娘とのエピソードになります。
イベントが発生すると追加エピソードが発生します。
>> 1
86 :
◆Fy7e1QFAIM
[sage]:2014/08/08(金) 16:04:48.44 ID:ceq9D4BgO
スマヒョからの投稿でなんでなんかミスったっぽい
↓のコンマで決定ってことで
87 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/08(金) 16:05:14.76 ID:OGU0Q9/sO
縺薙%
88 :
【25/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/08(金) 16:24:29.09 ID:ceq9D4BgO
提督「……分かったよ」
提督「……」
提督「……僕は、覚悟を決めた」立ち上がって如月の肩を強く掴む
提督「……僕は」
提督「君を!」
提督「君たちを!」
提督「絶対に……絶対に救ってみせる!」
提督「こんな悲しい事があってはならない。僕は、君たちを、この先振りかかるであろう全ての悲しみから守ってみせる」
提督「如月。僕とともに生きてくれ」
提督「……これは、単なる僕のエゴだ。君たちを救いたいという気持ちも、君たちを守りたいという気持ちも」
提督「きっと君は死んで楽になりたいのだろう。僕が同じ立場ならそう思う。だが、僕は君に生きていて欲しい」
提督「僕が君の生きる希望になる! 僕を信じてくれ……僕の為に生きてくれ!」
如月「あ……ああっ……はい……!」提督の胸に顔を埋める
如月「わ、私……司令官……うぅっ……あぁっ……」グスッ
提督(僕は……もう、迷わない)
----------------------------------------------------------------------
如月の好感度+3(前レス+今回、現在値8.5)
艦娘たちのために生きていく決意を固めた
勇気+10(現在値59)
知性+10(現在値46)
仁徳+10(現在値57)
魅力+30(現在値40)
89 :
◆Fy7e1QFAIM
[sage]:2014/08/08(金) 16:26:39.58 ID:ceq9D4BgO
///////全部チラ裏///////
ああああああああああああもうだめだ、おしまいだああああ
助けてくれ、どうしてこうなった
なんでこんな展開に……(お前が用意した展開じゃろがい)
風呂敷広げ過ぎると後々爆死するということはわかっていただろうにのうワグナス
ここでコンマイベントが発生してしまったがために今後の展開は再構築し直します
というわけで今日の投下はスットプするでよ
発生していなければもうちょっと書き進め易かったし構想通りの展開で進めていくつもりだったんだけどしょうがない
EDもきっと今
>>1
が考えてるものとは変わったものになるでしょう
もうアレだ。うん、改二的なアレだ。
でも主人公をここまで強化するということはこの先にさらに過酷な運命を用意しなければならないのであってうんぬんかんぬん。
まぁ魅力 30でも納得出来るかなと思って大盤振る舞いしたけど今後は多分ない
あとアイヒョーンからだと半角プラスとか投稿出来ないっぽいね。ちい覚えた
90 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/08(金) 16:32:14.91 ID:8EABiul+O
チラシの裏って量じゃねーぞ!w
序盤が終わって中盤へって所でイベントは必須だよね
如月ちゃんがグッとヒロイン化したのでこれからに期待
91 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2014/08/09(土) 21:12:02.86 ID:JADSCG9W0
取り敢えずsagaを入れよう、艦これだと度々引っかかるから
こんな風に
92 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/12(火) 21:03:34.29 ID:HLMliGRu0
明日午前2:00頃投下します。時間が時間なので安価とかコンマとかそういうのはありません。
長い休みって昼夜逆転しますよね。ダメ人間だね、そうだね。
>>91
過去の投下見返したらsagaって入力したつもりがsageってなってるのが結構多くてアレでした。
そしてsagaとsage併記できるのは知りませんでした。
以後気をつけます〜。
///チラ裏///
E-1突破しました。二軍だけじゃなく主力艦何隻か連れてきたのにボス到達率7割ぐらいなのが泣けた。
戦艦入れたからボスまで辿り着いたら確殺だったけどね。
ただ榛名改二入れたのは後々のことを考えると戦略的ミスかも。
E-5まで突破出来ればいいや勢なので平気だとは思うけれど……。三正面作戦? 何それおいしいの?
各資材はまだ20000切ってない(むしろ増えた)けどバケツが210→190になったのが辛い。
まさか初っ端からバケツ20も使うと思ってなかったから苦しみがある。
93 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/13(水) 02:38:26.84 ID:PQ0ETDFH0
投下しますにょ。
といっても1レス分しか出来てないです。
でも現在進行形で書いてます。とりあえず今回はちょうど今書いてる分までの投下を予定しております。
94 :
【26/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/13(水) 02:55:57.58 ID:PQ0ETDFH0
皐月「司令官。お・は・よ!」ベッドで寝ている提督の上にのしかかる
提督「ん〜……おはよう」
皐月「さ、ご褒美ご褒美♪ ほら早く服着替えてっ」
提督「あ〜、そうだったね。分かった分かった。着替えるから退いて」
・・・・
提督「ご褒美ってこんなんで良かったの? せっかくの休日だし、外出許可取っても良かったんだよ?」
皐月「いや、これで良いんだ。司令官と話をする時間が欲しかったからね。こうやって晴れた穏やかな海を眺めながら話をするのも良いじゃないか」
提督「まぁ……皐月がそれでいいなら構わないけど。ただ演習でのあの活躍ぶりのご褒美としてはちょっと足りないんじゃないかなと思っただけで」
皐月「良いんだよ。最近の司令官は特に忙しそうだったからね。むしろこっちが申し訳ないぐらいだ」
提督「んー、実はそんなに忙しくないんだよ。こないだの大規模作戦みたいなのが来れば話は別だけど、日々の執務でやるべき事はそんなに多くないんだ。直接の仕事とはあまり関係ない事に時間を割いてる方が多いかな。
僕にはまだ知らないことが多すぎるんだよねぇ……もっと知らなければならないんだよ。君たちについて、深海棲艦について、この戦いについて……」
提督「前任の提督が残した手記や資料が見つかったんだよ。それらに目を通してるんだけど、一つの単語を理解するのにも時間がかかる始末でね〜……。
どうにも僕が知らない闇が、誰も知らないような闇が隠されている気がするんだよ、この戦いそのものにね。それを知った所で僕に何が出来るかは分からないけれど」
皐月「……司令官。何か悩みがあるよね? 一人で抱え込むのは悪い癖だよ」
提督「そういうわけじゃないんだが……ただ、君たちにも話せないようなことがあることは事実だ。いずれ話す時が来るかもしれないが、僕自身、まだ分かっていないことが多いから、今はまだ」
皐月「電には相談していないのかい? 秘書艦でしょ」
提督「いや、電には……特に話せない。未だに僕は、動揺してる。でも、なんとかしなきゃっていう気持ちばかりが逸ってしまって……今すぐ何かが出来るわけじゃないんだけどね」
皐月「ボクに聞かせてよ。……ボクも、話を聞いたところで司令官の力になれるかどうかは分からないけど。でも、司令官の力になりたいんだ」
提督「…………」
・・・・
皐月に数日前の如月の話をした。艦娘は轟沈すると深海棲艦になるということ、前任の清浦中将と如月の関係、そしてこの工廠には深海棲艦となった電の姉……雷が居ることを。
提督「艦娘が深海棲艦に対抗しうる唯一の兵器だということは分かってる。ただ、僕は、君たちにこんな残酷な結末しか用意されていないことが……許せないんだ。
ただの義憤だ……ただの自己陶酔だ……君たちが沈んでも僕は悲しくなるだけで、僕が死ぬわけじゃない……そう、頭では理解している。僕のことを冷酷な奴だと見下すかもしれないけど、最近はずっとそんなことを考えている」
提督「でも、君たちがこんな残酷な仕組みの中で生かされていることが僕には納得出来ない。君たちは兵器かもしれないが、僕は君たちのことを完全に兵器だと割り切ることが出来ない。
君たちだって、自分のことを使い捨ての兵器だと思って戦っているわけじゃないだろ」
提督「僕は君たちを救いたい。それが僕の願いだ。たとえどんなことがあっても君たちを……」
皐月「司令官……ボクはね。司令官にそんなことを言って欲しくはない。そんな悲しい顔をしながら話す司令官を見たくない」
提督「皐月……どういうことかな?」
皐月「近頃の司令官は……どこか変わったよ。遠い目をしながら、何かを思い詰めたような真剣な顔をして。僕や磯波が話しかけても、うわの空で」
皐月「司令官は……ボクたちの為に命を捨てるつもりじゃないのかな……いや、今そのつもりはなくても、いずれそうなりそうで。少し怖いよ」
皐月「磯波とも、話をしてたんだ。最近、特にここ数日の司令官は様子が変だって。まさかここまで深刻な話だとは思わなかったけど、何か悩みを抱えていて、どうにかしようと必死なんだって」
皐月「ボクたちの為に自分を犠牲にしようとしているなら、もしその覚悟を決めているなら、それは……それはやめて欲しい」
皐月「ボクの辿る道が解体か、深海棲艦になるか、どうなるかは分からない。でもね、ボクは、そうした現実を知ってなお、前のように他愛もない話をしてた頃の、ちょっと抜けてるけど優しくて明るい司令官であって欲しいと思う。
令官がボクたちのことを大切に思っているように、ボクは司令官のことを大切に思ってる。ボクは司令官の笑顔を守りたいんだ」
皐月「その為にボクは戦果を上げ続ける。ボクは司令官の為に、どんな作戦でも成功させてみせる。誰よりも強くなってみせる。でも、それはボク自身を犠牲にして叶えたい願いじゃない。絶対にボクは沈まない。艦隊の誰も沈ませない」
提督「皐月、君は強いな……精神的にも……」
皐月「司令官はさ、少し深刻に捉えすぎだよ。確かに司令官の言うとおり、艦娘の末路は悲惨な道しか残されていないのかもしれない。でも、それはこの戦いが続けばの話だ。
ボクがこの海の全ての深海棲艦を倒せば、それで済む話だろ? ま、ボクじゃなくてもいいけどさ」
皐月「司令官が不安なら、ボクが司令官の希望になるよ。司令官が挫けそうなら、ボクが司令官に希望を見せてあげる。この先にどんな試練が待ち受けていても……ボクは司令官と共にあるから」
皐月「ボクで不満なら、他の子だっているからさ……。きっと、皆司令官のことを大事に思ってる。司令官がボクたちのことを想ってくれているようにね」
皐月「だーかーらー司令官はもっとラクにしてて良いんだよ? むぎゅー」提督のほっぺをつねる
提督「皐月……頼りになるな……君は。心配してくれてありがとう、話したら少し気分が落ち着いた」
----------------------------------------------------------------------
皐月の好感度+2(現在値8)
95 :
【27/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/13(水) 04:18:57.37 ID:PQ0ETDFH0
大佐さんへの面会のための願書を書いてから数ヶ月。何かの手違いで受理されていなかったのかと、再び願書を書こうとしていた矢先だった。
電「司令官さん。三雲大佐という方が、面会に来ているのです」
提督「大佐さん? おかしいな、事前に連絡が来るはずなんだけど……。とにかく会ってみよう」
・・・・
提督「大佐さん、お久し振りです」
朝潮「三雲大佐、ご無沙汰しております!」
大佐「やぁ、久しぶりだね。そっちの子は秘書艦かな?」
電「電なのです。よろしくお願いします」
提督「知りたいことは色々ありますが……まず、なぜ突然僕のもとへ訪れたんですか? 願書を出したから、事前に連絡ぐらい来ると思ってたんですけど」
大佐「あぁ……じゃあその辺の話からするかな。一通り説明をするから聞いていてくれ。少し長くなる」
提督(大佐さんがこういう口ぶりをするってことは、話し終わるまで口を挟まないでくれということだな……)
大佐「まず、今まで君に会えなかった理由はだね。私は大本営の連中から目をつけられている。恐らく私は……次の海域攻略作戦が終わった後、軍法会議にかけられ死刑になるだろう」
大佐「私はね、クーデターの嫌疑をかけられている。ま、クーデターを企んでいることは事実だがね。全ての証拠を抹消しているから証拠不十分で立証出来んはずなのだが……。
連中が遂に業を煮やしたのか、私とは全く関係ない別件の不祥事を私がやったということにして、始末するつもりらしい。もっとも、それをするのは海域攻略作戦終了後になるだろうが。
あの海域を私以外の無能が攻略することは出来んだろうしな」
大佐「とまあそんなわけで、君とも簡単には会えない状況だったんだよ。君まで目をつけられるようになってしまっては困る。
君が私に会うための願書を申請したという事や、君と私の関係性、その他君に関する過去の経歴の抹消・偽装……紆余曲折あって会えるのに時間がかかってしまったんだ」
大佐「……で、私が君なら、年齢や名前などを偽装してまで君を提督にした理由か、私がしようとしているクーデターの内容について聞くと思う。
なので、説明しよう。まずは前者について説明する。君にこの鎮守府の提督として着任してもらった理由について話す」
大佐「かつて君に提督として海軍で働くように提案した時があったと思うが、あの時の私は相当切羽詰った状況にあった。
うまく切り抜けられたからこうして首の皮が繋がっているものの、下手すれば養子である君にまで危険が及びかねない状況だった。
だから、君の経歴を隠し、かつ、私から距離を離す必要があった。提督にならないかという話は冗談に近かったがね」
大佐「君が他の道を望んでいれば、コネを使ってどうにか誰かに引き取ってもらう予定だった。だが、君は私の力になってくれたいと言ってくれた。
また、君の力ですら借りたいほどの状況が近づきつつあった。私としても苦渋の決断ではあったが、君にここで働いてもらうことにした」
大佐「……君の顔を見るに、相当苦労したようだね。何も聞かなくても目を見れば分かる。君にほとんど説明しておかなかったのは、私の失敗だったな。私の想定では、君はここまで成長する予定ではなかった。
息子に向かって言うようなことではないが、君のことだからいざ提督になったものの、よく分からないまま漫然と数ヶ月ぐらいは過ごしてくれるだろう、ここまで指揮官として力をつけることはないだろうというのが私の見通しだった。
この鎮守府は他所と比べて敵襲も穏やかだし、基本的に君には再び私と会えるようになるまで平穏な日常を送っていてもらう予定だった」
大佐「……1-3作戦、1-4作戦は完全に想定外だったな。人の動きは読めても深海棲艦の動きまでは読めん。1-3作戦の時は南条中佐……ええと、あの時は妙高型の重巡洋艦を指揮していたかな。
彼に増援として向かわせたが、1-4作戦では一切手助けが出来なかった。1-3作戦は事前に情報を得ていたが、1-4作戦は緊急の指令だったようで、情報が私の耳に入った頃に君はもう既に出撃していた。
よくあの無謀な作戦を遂行したな。私的な感情抜きにしても、軍人として敬意を払えるよ」
提督「運が良かっただけですよ。本当に……あれは運が良かった」
大佐「だが、艦娘の命を守ることを真剣に考えていなければあんな策は思い浮かばんよ。分の悪い賭けではあったが……誰も失わない方法ならあの作戦以外選択肢は無かっただろう。
結果として誰も失っていないわけだし、誇っていいだろう。その前の1-3作戦も見事だった。本来ならこうして私と再会してから君に提督としてのイロハを叩き込むつもりだったが、もはやその必要性はなさそうだな」
提督「いくら敵襲がほとんど無く支援に回ることが多いこの鎮守府といえど、士官学校に通ってすらいない僕が指揮を執るのはおかしい気がします。どうして僕を選んだんでしょうか? ……話の途中ですみません」
大佐「いや、良い質問だ。そのことについても触れようと思っていたのだが、どのタイミングで話そうか迷っていた。じゃあ、そのことについて少し話そうか」
96 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/13(水) 05:44:57.28 ID:PQ0ETDFH0
ア・・・・ゴメンナサイ・・・・
力尽キマシタ・・・・
寝マス・・・・
起キタラ続キ書キマスンデ何卒・・・・
97 :
【28/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/13(水) 12:19:12.08 ID:PQ0ETDFH0
大佐「結論から話すと、士官学校の連中はほぼ全員使い物にならない。……小学生の頃に打った注射を覚えているかい? 国民予防接種という名前だったかな。あれには超小型のマイクロチップが埋め込まれている。
注射によって体内に入ったマイクロチップは循環する血液内に紛れ込み脳に留まる。マイクロチップによって注射された人間の脳波をコントロールし、危険思想等を未然に防ぐ……らしいな。
SFのような話だが事実だ。そして、海軍士官学校に入る連中は全員再びこの国民予防接種を受ける。子供の頃に受けたやつよりもより強力で、具体的に脳を支配出来るものを埋め込まれる」
大佐「少し脱線するが、子供の頃の国民予防接種によって埋め込まれるチップは、人によって全く効かないらしい。
というか、子供の頃は脳が成長過程であり、あまり強力なチップを埋め込むと発達障害を引き起こす恐れがあるため微弱なものしか使えず、
また、年齢の成長とともに脳の構造が変化していくためチップが機能し辛いらしい。ま、大人になると軍人だけでなく公務員や大企業の社員もこの国民予防接種を受けることになるんだがな。
大人になると脳の形成が完了しているため、このチップの効力が高まる。その気になれば記憶の改竄や具体的な行動の指示も出来るらしいな」
大佐「脱線ついでに、もう一つ話しておくか。このチップは艦娘にも埋め込まれている。これは脳にとって非常に強力な影響を与えるマイクロチップだ。
このチップを埋め込まれた女性は、従来の人格とは別に艦娘としての人格を持つようになる。この艦娘としての人格は、与えられた艤装によって決定される。
艤装は第二次世界大戦の時代に活躍した艦戦になぞらえて生成された武装だ。その艤装の情報をチップが読み取って艦娘としての人格が形成される。
艦娘となった女性は、この『艦娘としての人格』に人格を支配されるが、解体され自分の艤装を失った場合、『艦娘としての人格』情報の全てが抹消され、従来の人格に戻る」
大佐「艤装を失った元艦娘は再び一般社会に復帰することになるのだが、艦娘であった期間の記憶は残っていないし、人によっては後遺症が残ったり精神障害を患ったりすることがあるようで、表沙汰にはなっていないが問題になっている。
艦娘自体この海軍内でも少佐以上の人間しか知らない極秘兵器だから、世間では局所的記憶障害なんて言葉で片付けているらしいがね」
大佐「話がそれてしまったが、チップを埋め込まれていない人間を潜り込ませておく必要があった。
君に会うのにここまで時間がかかった理由の一つに、政府が管理するデータベースから君が子供の頃に埋め込まれたチップの発信していた情報を削除するのに手間取った。ここまでいいかな」
大佐「で、私のこれからに関する話をする前に……何かまだ質問がありそうだね、聞こうか」
提督「ここの鎮守府の前任である故清浦中将について、ご存知ありませんか? 中将の遺した手記に三雲大佐という記述があったもので……」
大佐「清浦か……。彼は私の幼馴染であり、海軍で唯一の友人だった。アイアンボトムサウンドでは共に戦ったよ……。彼はあの戦いで多くの犠牲を出しながらも戦果をあげて中将になった。それからは縁遠くなってしまったな……。
私なんかより比較にならないほど聡明な奴だったが、情に篤すぎたんだろうな……。自責に駆られて頭をやられてしまったんだろう」
提督「中将が大佐さんのために残したものがあるようです。後で見てもらえますか?」
大佐「(今じゃまずいのか?)……今更だが、大佐さんはやめよう。大佐は他にも居るしな」
提督「大佐さん本名教えてくれないじゃないですか。親戚で義理の親のはずなのに大佐さんは謎が多すぎるんですよ」
大佐「本名などとうに捨てたよ。とりあえず三雲で頼む。分かってると思うが私が義理の親だという話はするなよ? 今はそうじゃないということになってるんだからな。
君のことは今でも実の息子のように思っているが、立場上は赤の他人になるということを覚えておいてくれ」
・・・・
それから、昼食を摂ることになり話は一度中断された。昼食後、電と朝潮を解散させ、三雲大佐と工廠奥の部屋へと向かった。
大佐「これは……」
提督「清浦中将がかつて艦隊に加えていた艦娘だった……今は深海棲艦となった存在です」
大佐「詳しく聞かせてくれ」
僕は、三雲大佐に如月から聞いた事を話した。
大佐「そうか……確かに轟沈した艦娘は深海棲艦になる。だが、実際に深海棲艦となった艦娘を拿捕し、研究していたのは驚きだな……。しかし、彼が精神を病んだのも頷けるな、これは。
このおびただしい量の手記は、この水槽に居る深海棲艦となった彼女や死んでしまった他の元艦娘を救いたい一心で行った研究の記録なんだろう、常人にはここまで書けんよ。……惜しい男を亡くしたな」
大佐「せめて私が居てやれれば……いや、そんな程度で彼を救うことは出来なかったか。しかしこの水槽や手記を君以外の人間に発見されていたら大変なことになっていたな。
沈んだ艦娘が深海棲艦になるという事実は、私や清浦といった前線で戦っている者の中でも実際に深海棲艦となった元艦娘と邂逅したことのある、極めて少数の人間しか知らない情報だ。
上層部の人間はオカルトだと思い込んでいるが、な」
大佐「この手記が知れ渡れば、対深海棲艦への研究は進むことだろう。だがそれは、倫理に反する艦娘への実験が行われる危険性も孕んでいる。
いや、行われるだろう。清浦の手記では、深海棲艦の習性等の研究については書いてあっても、轟沈した艦娘がどのように深海棲艦になるのか、実際に意図的に沈めてみるなどといった非人道的な実験はついては行われていない。
だが、上の奴ら、いや、士官学校の連中も含め、海軍にいるほぼ全ての人間は艦娘を道具としか思っていない。そういう風に考えるように脳を支配されているからな」
大佐「清浦のような超例外も居なくはないがな。だが、上の連中がその気になれば人格だって書き換えてしまうことが出来る。恐ろしい話だな」
98 :
【29/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/13(水) 13:59:46.92 ID:PQ0ETDFH0
大佐「さて、私が行おうとしているクーデターとは、まず、政府のマイクロチップの情報を管理しているコンピュータを破壊することだ。
このコンピュータを破壊することによって、艦娘は自分の意志を持つようになり、上官の指示のままに動く道具でなくなる。
その後私は自由になった艦娘とともにこの国の各所にあるマイクロチップへデータを送受信している施設を破壊する。
これで全国民と艦娘の脳の支配を無効化し、私を中心とする新たな政府・新たな海軍を樹立する」
提督「これは僕の主観は除いた意見なのですが、艦娘が自由意志を持つようになったら、それはそれで問題が起きると思います……。
艦娘が自由意志を持ったら、大佐の思惑通り動いてくれるという確証はなくなるかと。それに、もし艦娘に武装蜂起されたら人類は対抗する術がなくなると思いますが」
大佐「その通りだ。だが、前者については問題ない。チップによる脳の支配を解消してやり、その事実を広く知らしめれば私は大衆の支持を得ることができる。
艦娘だって私のために自らの意志で動いてくれるだろう。後者については……その可能性はあるだろうな」
大佐「だが私は、もし艦娘が人類に反旗を翻すことが起こるとするならば、それは人類が淘汰されるべき時が来たということだと考えている。
母体となっていた人間の意志を強引に乗っ取り、兵器としての人格を植えつける。そして彼女たちを使い捨ての道具のように消費していく。
人類、とりわけ私たち提督は、国防のためという大義名分を隠れ蓑に自分たちの欲望のためだけに艦娘を利用していたようなろくでもない連中だ。報復されても文句は言えんだろう」
大佐「と、私の主観は置いておいて、艦娘が蜂起する可能性は低いとみていいだろう。彼女たちは強力な武力を持っているが、逆に言えばそれだけだ。
脳は人並みだし、彼女たちとて不死身ではない。メンテナンスを怠れば力も衰える。妖精の力を借りるにも、その妖精のエネルギーの供給源は人間から提供されている。
人類の母数が減れば当然妖精の絶対数も減る。妖精の数が減ってしまっては彼女たちは自分自身を維持できなくなる。……一種の食物連鎖みたいだな」
・・・・
大佐「……少し近現代史の話をするか。20世紀に第二次世界大戦で敗戦した日本は、紆余曲折あって復興するも21世紀初頭から中期にかけて、人口の減少や国力の低下に悩まされることになる。
そこで発明されたのが、妖精というものだ。私も詳しい原理は分からんが、この妖精は人間の多幸感、夢や希望といった、プラスの精神エネルギーを糧に行動したり増殖したりする。
この妖精が発明されてから世界情勢は一変した。妖精は人類に対し、無限に近い労働力を提供した。かつて人間が行っていた労働は全て妖精が担うようになったため、
人間に労働の義務を課さなくても社会が成立するようになった。食糧問題・エネルギー問題が破竹の勢いで解消していき、国民が物質的に豊かになったため領土問題や国家間のいざこざも激減。
労働に縛られることのなくなった人間たちは、みな己の幸福追求のために活動するようになった。……遥か昔から人類が渇望していたユートピアが実現したのだ」
大佐「ここまでが21世紀後期の話だ。ここまでは良かったんだ。しかし、21世紀の世紀末が近づくと、少しずつ状況は変わっていく。
妖精によって労働を奪われ、かつ自分にとって何が幸福か見出せない人間による自殺が起き始める。また、人の平穏や幸福を邪魔することだけに生き甲斐を感じるようになった哀れな者による、テロ行為も多発する。
どうも人類は世紀末が近づくと定期的に世界を滅ぼしたくなるらしいな。そして、2099年に、その破滅願望は満たされることになる」
大佐「突如地球の周回軌道上にある存在する人工衛星のほとんどが機能しなくなり、国家間での情報伝達が滞った。次に、旅客機や貨物機の墜落事故が多発するようになった。
それから間もなくして、各地に深海棲艦が出没するようになった。深海棲艦には従来のあらゆる兵器が通用せず、人類は成すすべもなく滅ぼされていくだけかに思われた。
絶望的な状況によって人類の希望は奪われ、その影響で妖精の数も大幅に減少。妖精に支えられていた社会制度は瓦解し、人類は再び餓えの苦しみを思い出す。生命を脅かされる恐怖を思い出す」
大佐「そこで生まれたのが君の脳にも埋め込まれているマイクロチップだ。このマイクロチップで、深海棲艦に関する記憶を抹消し、国民の多くから恐怖を強制的に拭い去った。
思想を統制し、国家のために尽力するように洗脳していった。洗脳した国民や、生き残りのごく僅かな妖精を使って誕生した深海棲艦に対抗する唯一の兵器が艦娘だ」
大佐「私が生まれたのはちょうどその時期だった。私は様々な幸運に助けられ国民予防接種を受けないままこの歳まで生き永らえているがな。
私の世代だとまだ国民予防接種制度……いや、マイクロチップ制度の導入にゴタゴタしていた時期でな。
もっとも、制度が固定化されてからは職に就けばこの注射を打たれるようになった。私と同じかそれより上の世代の人間でもこの注射から逃げられた人はそう多くはないだろうな」
大佐「と、私の話はさておき、艦娘が誕生してから数十年経過し、人口は減少しつつあるものの妖精の数は少しずつ回復傾向に。
艦娘を運用し深海棲艦を倒すための機関である海軍のシステムも安定化し、現在に至るというわけだ」
99 :
【30/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/13(水) 15:55:31.10 ID:PQ0ETDFH0
大佐「これはあくまで私の妄想であり、何か裏打ちされた情報があるわけではないが。
私はね。深海棲艦は、人間の持つ破滅願望が呼び寄せたものだと思う。
マイクロチップの発明も、人類にDNAレベルで埋め込まれた奴隷意識……自主的な行動を否定し、支配者への服従を第一とするような思考によって生まれたものだと思う。
いかなる発明もその需要がなければ生み出されない。需要がなければ生み出されたところでそのまま風化する。
マイクロチップがここまで流布したのは、人類にとって需要があったからだ」
大佐「これはチップの力で国民を支配したいごく少数の支配者のために生まれたものじゃないと私は考えている。
勿論、現実としてそのための道具として使われているが、マイクロチップが導入されてから自殺が激減した。
思想を統制されているとはいえ、自分を死へと追い込むような強い衝動までチップで制御することは出来ない。
にもかかわらず自殺が激減した理由は、人間の多くは奴隷のように生きることを望んでいるのではなかろうか」
大佐「だが、それでも私はそうした奴隷としての生き方は人類のあるべき姿ではないと思う。全ての人間は自由意志を持って生きるべきだ。
そうやって生きていけるように教育していくのが、生きる意義を見出せない人間に対しても自分なりの生き方を見つけることの出来るように支えていくのが、
それが正しい社会のあり方だと私は考えているし、私はそれを実現するつもりでいる。
私の使命はこの国の人々を支配から解き放ち、全ての深海棲艦を打ち倒すことだ。私はその為に生きている」
大佐「……私はもう、そう長くはない。勘の良い奴に狙われてしまって、私の一挙一動は監視されている。
こうして君に会うのにも相当苦労したぐらいだ。だから、君に私の意志を継いでもらいたい。私に代わって、艦娘を救い、人々を支配から解放し、深海棲艦を打ち倒すのだ」
提督(『ボクたちの為に自分を犠牲にしようとしているなら、もしその覚悟を決めているなら、それは……それはやめて欲しい 』)
提督「大佐さん……いえ、三雲大佐。大佐の仰っていることは理解できたし、その意図も分かりました。
ですが……今の僕には、大佐の考えを全面的に支持することは出来ません。
僕は貴方の理想のために命を賭けるわけにはいかないし、貴方がこうして自分の理想のために命を捨てるような道を歩んでいたことにも納得が行きません。
僕を引き取ってくれたご恩はありますが……すみません」
大佐「それはそうだろう。私がこれまで見てきたものを君は知らんだろうし、そういう反応をするだろうと思っていた。それでいい。
だがな、私はもはや後には引き返せない。それに、人は自分の理想や願いのためなら喜んで死ねるものだ。私とて例外ではない」
提督「僕は、人間に命よりも大事なものがあるようには思えません……」
大佐「君は何のために生きている? ただ生きているだけの人生に何の価値がある?
寿命が来るのを待つためだけに生きているのか? 人間は意志なくしては生きていけない。
私は自分の意志で、私なりの理想を実現するために生きている。その為なら、私はどんなことでもする」
大佐「……今君に理解してもらう必要はない。だが、布石は敷いておく。私は君がやがて私の意志を継ぐと賭けている。
もう準備は粗方出来ている。各地の監視の薄い鎮守府では、既に私の理想に賛同する人間や艦娘を配置してある」
大佐「時期的には1年後になるか。その頃に、各地で叛乱が起こることになっている。君がその指導者になれば、多くの者が君の側につくだろう。
もう既にそういう風に根回ししている。私の意志を継ぐならば君しかいない。私は君の為に打てる手を尽くしておく」
提督「なぜそこまで僕を動かそうとしているのか、分かりかねます」
大佐「いや、私は君を私の手足として動いてもらおうとは思っていないし、そんなことを望んではいない。私は君を私の奴隷にするつもりはない。
だが、いずれ君は自ずから私の意志を継ぐようになる。君の成長ぶりを見て、私はそう確信した。
君ほど艦娘を想っている人間はこの海軍には居ないよ。君ならば、きっとこの闇を振り払ってくれると信じている。
だからこそ、将来の君の為に私は布石を敷いておく。君がこの世界の希望になるのだ。私が成し得なかった望みを果たしてくれ」
提督「…………」
大佐「今はまだ、私に言っていることが分からなくてもいい。私の考えに同意できなければそれでもいい。君の信じる道を行け。君が正しいと思う生き方を選んでくれ。
君は君らしく生きてくれれば私はそれで構わない」
大佐「私は私の思うように生きるし、君は君の思うとおりに生きろ。君の歩む道の先に幸せがあることを祈っている。では、そろそろお別れだ。もう会うこともないだろう。朝潮にもよろしく言っておいてくれ」
・・・・
提督「今まで、お世話になりました。……未だに混乱してるけど、僕は大佐さんに会えて良かったです。恩義を抜きにそう思います。今日の話は僕の中でまだ納得出来ていませんが、それでも、貴方を尊敬しています」
大佐「ああ、私も君に出会えて良かった。最後に成長した君の姿が見れて良かった。さらばだ」
100 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/13(水) 16:02:19.20 ID:PQ0ETDFH0
投下ここまで。
設定語りなっげーよ! もっと小出しにするとかうまい手は無かったんかと。
自分で書いててこれもう分かんねえなとなる始末……反省。
とりあえずこんな感じの土台からあれやこれや流れを作っていくよ。
(初期の構想から大幅に外れているので結構試行錯誤しながら進めてます)
ぶっちゃけ自分でもこれから話がどうなっていくか分からなくなってきた、ヤバイ。
とりあえずここから先はこういうめんどくさい話は減って艦娘が活躍したりするようになるんじゃないかな。
///チラ裏///
さぎょいぷは 効率悪い やめておけ(よみ人しらず)
101 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)
[sage]:2014/08/13(水) 18:05:08.56 ID:lByvEyMj0
乙
この世界観説明がもうちょい短かければ読み易いんだが…
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/15(金) 01:53:34.46 ID:FhV/oIl/0
失礼だとは思うが意外と重厚だった設定に思わずワロタ
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2014/08/15(金) 02:02:19.55 ID:FhV/oIl/0
途中送信しちまった、要するに
BALLSじみた作業機械・妖精によって人類は黄金時代を築いたが同時に破滅願望も発生
破滅願望の具現として深海棲艦が出現、対処療法として政府は思考を操作するマイクロチップを流布
主人公の恩人はそれが気に入らないのでクーデターを起こすが死にそうなので主人公に引継ぎを頼む、ついでに深海棲艦も倒して☆
ってことでいいよね?
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/15(金) 04:31:09.31 ID:UPTZ7VSAo
乙 昔のアメリカ映画の「禁断の惑星」って映画思い出したわ
105 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/18(月) 02:46:23.80 ID:cjnecbb00
次の投下は本日の21:00頃を予定しております。
とりあえず頭を使わなくても問題なく読める感じのパートに突入するはずですのでご安心を(ぉ
どうでもいいけどこの『(ぉ』に古代インターネッツのかほりを感じますね。
///以下チラ裏という名の盛大な言い訳なので見たくない人は見ない方がいい///
ちゅ、忠告はしたからな……。例によって本編にはほぼ関係ないです。
27-30レス目の話は皆さんの考えてるような感じで正しいです。
いやーちょっと詰め込みすぎたかなあと後悔しております。
ここでライトノベルとかゲームとかだったら固有名詞がたくさん出るような感じになってたんでしょうけど、そこ本題じゃないんで……本題じゃないから3レス以内で収めてえや……とか詰め込んだらぐちゃぐちゃになりました。
まぁあんまり重要な部分ではないので訳わかんなかったら読み飛ばしてOKですです。
そう、いわば27-30レス目のあれやこれやは料理にたとえるならオリーブオイル。
分かるか分からないかぐらいのギリギリのラインでちょっぴり使用すると「おっ」となるアレです。
それを今回は何の考えもなく大量にダバァとぶち撒けてしまったのであー勿体無いなーみたいな感じです。
オリーブオイルをdisってるわけではないのでオリーブオイル教信者の方は各自別の例えで脳内保管して下さい。
だったら話の内容を分割して小出しにすればいいのにね。っていうね。
だがな! 世の中の伏線には二つの「型」が二つある。
一つ! 綿密に先の展開を考えた上でちびちび未来への布石としてチラ見せしていくスタイル。
そして二つ目! 片っ端から伏線っぽいものをブン投げまくって後から回収していくスタイル。
普通に考えれば第一の型が賢い選択だろう。だがしかし、ここで
>>1
は二の型を選んだのだ!
そう、全知全能の大天才である未来の自分ならば、奇跡的なまでに超絶な閃きを発揮して後からブン投げた伏線めいた謎のフラグを全部なんとかしてくれるんじゃないか! そう信じたのであった!!
……んなわけあらへんがな。
しかし既に予め練っていた構想にこの設定を混ぜ込んでちょっとずつブレンドさせていくのは破綻しそうで無理っぽいっていうかそもそも予め練っていた構想が今滅びかけてるし、
新しく構想を考えてそれに沿って作っていく……っていうのもまためんどくせーとかなって安易な選択をしたことは事実。
それっぽい設定は書いたけど全部が全部ストーリーに深く関わってくるとは限らないよ。
っていうか、どうなの? 死に設定じゃないんですか? どうなんですか先生。そこんとこどうなんすか先生。
ちなみに我々の業界ではこの二の型を「伏線地引き網漁」と言います。
言いません。今勝手に私が考えました。いやでもね、伏線地引き網漁もね、作品にプログレッシブなアトモスフィアをエンハンスしてなんかきっと非常にエフェクティブな感じになることもあるんだよ。多分ね。いやそんなことねえや。
なんかシリアスというか妙ちくりんな流れだったけど次回から突然茶番パートに入ります。
茶番というか、これ以上劇薬を混ぜすぎると収集つかなくなりそうなので、中和剤的な。
まぁほんのちょっぴり黒いこと書くと、なんかこれ以上うわーな展開ならばある程度絆が深まってからうわーした方がいいかな的なうわ何す(ry
あと今までの流れがカオスすぎたからここでちょっと小休止入れると需要的にもナイスか……どうなんだそこんところ、みたいな。
チラシの裏とはいえそういう打算的なことを書くのはアレなのでは。
チラシの裏だから
>>1
以外の天地宇宙万物の諸々は読んでないに違いないはずだから問題ないか。問題ないな(自己完結)
今日から仕事だし、しかも全く眠れないみたいな、そんな状況によるつらみが爆発して深夜のテンスョンでわけのわからないことを書いているけどあまり気にしてはいけないよ。
深夜テンションの、それもチラシの裏に書いてあることなんだから全部アテにならないTAWAGOTOですぞよ。おやすみ!
106 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/18(月) 20:58:51.58 ID:cjnecbb00
投下します。あ、投下前に一個補足。
提督の魅力値が人並みにまで上昇している状態ですので、如月の好感度上昇のマイナス補正は消えました。
如月の好感度の現在値は8.5ですが、端数があるとなんか嫌なので+0.5上昇させときます。
----------------------------------------------------------------------
皐月の好感度+0.5(現在値9)
107 :
【31/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/18(月) 21:02:02.05 ID:cjnecbb00
提督「んーーーーーーー」
電「司令官、ヘンな声をあげてどうしたのですか?」
如月「久しぶりに随分間抜けな顔してるわねぇ」
提督「如月、君は極めて失礼だな。いやね、例の大佐さん、三雲大佐に会ったんだけれども……」
電「国民の脳に小型マイクロチップが埋め込まれてる……みたいな話ですよね。途中から電と朝潮は演習で離れちゃったからその先の話は分かりませんけど……」
如月「何よそれ? そんな陰謀論めいた話してたの?」
提督「うん、その話なんだけど……なんかもう、頭の中で整理できないまま訳わかんなくなっちゃってさー」
提督「考えてもどうにかなるようなことじゃないんだけどね。軽く説明すると……」カクカクシカジカ
提督「と、こんな感じ。僕もいまいち理解出来てないんだけどね」
提督「大佐がそのチップによる支配制度を破壊するためにクーデターを企ててるんだけど」
提督「大佐は命を狙われてて実現が困難な状況にあるから、僕がその意志を継ぐように、いや正確には、僕がその意志を継ぐように志した時のためにお膳立てしてるみたい」
電「司令官さんはもし三雲大佐が仰っていたように……大佐が処刑されてしまったらどうするつもりですか?」
提督「今のところは、どうするつもりもないかな。僕に何かを出来るかどうかも分からないしね」
提督「心情的にすごく複雑な感じだ。恩のある三雲大佐が死んでしまったら悲しいし、でも、チップがどうのとか言われても実感沸かないし……」
提督「今回ばかりは僕がどうにかできる話じゃないよなぁ。考えてもしょうがないという結論しか出てこなくて困ってる」
如月「結論が出てるならそれでいいじゃない。今特に動けることもないわけだし、出来ることがないなら仕方ないんじゃない?」
提督「そうなんだけどさー……そうだよなぁ」机に突っ伏す
・・・・
提督「(まずいなぁ……全然執務に集中できないぞ。やっぱり精神的に動揺してるのか?)」ボーッ
電「司令官さん。司令官さん」
如月「ほれっ」提督の口にクッキーをねじ込む
提督「んみゅっ!?」
如月「ふふふ」
電「あっ、如月ずるいのです! ……司令官さん、電のも食べて欲しいのです」
提督「あ、ああ。ありがとう。しかし、突然どうしたの」モグモグ
電「休日に、磯波に教えてもらって私と如月でクッキーを焼いたのです。本当はもっと作ったんだけど、艦隊の他の子にもあげたら減っちゃったのです」
提督「そうか。それにしても、いつの間に君たちそんな仲良くなってたの?」
如月「司令官がしかめっ面して一人で考え事してる間にじゃないかしら」
提督「ちょっと疎外感を感じるからそういう言い方はやめてくれないか」
電「司令官さんはもっと私たちとコミュニケーションを取った方が良いと思うのです……皆もっと司令官さんとお話したいと思ってるのです」
提督「……そうだねぇ。最近は色々なことがあってちょっと僕に余裕が無かったんだ。しばらく顔を合わせてない子もいるぐらいだもんなぁ」
提督(1-4作戦、如月から話されたこの鎮守府の過去、大佐の話……。僕にとっては強烈な出来事が常に押し寄せてめまぐるしく変化していたように思えた日々だったけれど、彼女たちにとってはさほど起伏のない日常だったのかもしれないな……)
提督(彼女たちから見て僕が思い詰めてるように映るのも、大規模作戦があるわけでもないのに忙しそうにしている僕のことを気にしてのことかもしれないな)
提督(彼女たちを守りたいだなんて言いながら、実生活ではほとんど気にかけてやれていなかったのは反省だな……)
如月「また何か考え込んでるの? 急に黙り込まないでよ」
提督「いや、確かに君たちとの会話を怠っていたと思ってね。すまないなと反省している」
電「……司令官さんともっと一緒に過ごせるように、電は皆と色々考えてみたのです」
電「そこで、……そ、そのぅ、これ言わなきゃダメですか。内容だけ説明すればいいような気が……」モゾモゾ
如月「秘書艦だし、それを言うのも貴方の仕事の一つよ。行きなさい電、貴方の本気を見せるのよ!」
電(なんか損な役回りが多い気がするのです……)
108 :
【32/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/18(月) 21:06:54.76 ID:cjnecbb00
電「し、し、『司令官とドウセイカッコカリ』プロジェクト! な、なのです!」どこからともなくテロップを出す
提督「……」腕を組んで数秒考え込み
提督「よく分からんがとりあえずていっ」如月に軽くチョップ
如月「女の子に手をあげるなんてひどいじゃない。いじわる」
提督「僕も女の子にチョップしたのは初めてだよ。このなんかすごい倫理的にアレそうなアレは君が考えたんだろう? うちの秘書艦にセクハラしないでもらえるか」
如月「(語彙力……)な、名前は私が考えたけど、内容はちゃんと皆で考えたのよ?」
電「……コホン。私は他の子よりも秘書艦として司令官と居る時間が長いはずなのに、司令官のことはまだ全然分からないのです」
電「電が秘書艦のお仕事が終わった後、いつも司令官は私のことを部屋に帰らせるのに、司令官さんは残って執務室で文献を読み漁ったり資料を集めて回ったり……」
電「電は、あんまり司令官さんの力になれていないような気がするのです」
提督「いや、まぁ、秘書艦の仕事をしたり演習したり哨戒任務をこなしたりじゃあ大変かなって。僕に無理につき合わせて翌日に響いたら困るなって」
如月「私たち艦娘は、司令官が思ってるより案外タフなのよ? 気を遣いすぎじゃないかしら」
提督「う、うーん。そうなのかなぁ……。でも、電はちゃんと役に立ってるよ。頼りにしている」
電「ありがとう、なのです。でも、このままじゃいつまで経っても司令官の本心が分からないままな気がするのです。もっと司令官に近づきたいのです」
電「そして、それは他の皆も思ってることなのです。だから……」
電「今日から毎日、司令官さんと一緒に生活するのです」
提督「え、えー……それはどういうことかな」
如月「司令官と一緒にご飯を食べて、一緒に執務をして、一緒の布団で寝るのよ」
提督「はぁ」
如月「何よその淡白な反応は? お望みとあらばお風呂も……」
提督「ええと、電、如月に代わって説明頼む」
如月「うぅー……扱い酷くなぁい?」
電「概ね如月の言っている通りなのです。お風呂はちょっと恥ずかしいですけど、その、司令官がお望みとあらば……」
提督「さすがに部下にそんなことを頼んだらパワハラだよ。……同衾や風呂は冗談にしても、君たちが僕の一日を観察するという認識でいいかな?」
如月「観察て……かなりドライな言い方するわね」
提督「君の言い方がウェットすぎるだけだ」
如月「もぅー、司令官も好きなんだから……♪」
提督「……しかし、僕の一日を観察するにしても、君たちも演習や任務があるわけだから、休日でもない限り難しいんじゃないか? 正直休日はもっと有意義なことに使って欲しいよ」
如月(スルーされた……)
電「日替わりで艦隊のうちの一人が司令官と一緒に過ごすのです。任務なら5人でも問題ないのです」
提督「そうか。まぁ僕はいつも通りに過ごすだけだし構わないんだが……君や如月以外の子はそれを是としているのか? 満潮なんかは嫌がりそうな気がするが」
電「それについては問題ないのです。皆司令官さんのことを知りたがっているのです」
提督「僕のことを知りたいって……特に何か隠し事をしているわけでは……」
如月「司令官は鈍感なのねぇ」
提督「え? そういう意味なの?」
如月「(おっ食いついた)ご想像にお任せします〜♪」
提督「ふーむ、まぁいいや。冗談と解釈しておくよ」
電「じゃ、じゃあ『ドウセイカッコカリ』の許可を……」
提督「言わんでいいから! その、内容自体は許可するけれど、後で名前は変えておいてくれ。事情を知らない人からあらぬ誤解を受けそうだしね」
----------------------------------------------------------------------
電の好感度+8(前レス+今回 現在値23)
如月の好感度+4(前レス+今回 現在値13) ※
>>106
で皐月の好感度と書いてありますが、ミスです。如月の好感度です
109 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/18(月) 21:15:33.95 ID:cjnecbb00
ここでエクストライベントの判定いきます。
>>+2のコンマ値がゾロ目または13の倍数または23の倍数ならエクストライベント突入なのです。
(13,23,26,39,46,52,65,69,78,91,92またはぞろ目)
というわけで
>>+2
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/18(月) 21:16:13.76 ID:VszOxY1lo
えくすとらー
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/18(月) 21:16:39.57 ID:b0ZLXY8Bo
とうっ
112 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/18(月) 21:31:09.33 ID:cjnecbb00
結果が出ましたね。というわけで通常ルートで行きます……と言いたいところだが、君らにはもう一度エクストライベントのフラグを立ててもらう。
ってなわけでもう一回エクストライベント行きます。
ちなみに前回のエクストライベントとは別のイベントなのです。今流行りの二正面作戦ってやつです。
>>+1のコンマ値がゾロ目または8の倍数・13の倍数・18の倍数・23の倍数のいずれかならエクストライベント突入なのです。
(8,13,16,18,23,24,26,32,36,39,40,46,48,52,54,56,64,65,69,72,78,80,90,91,92,96またはぞろ目)
前回より発生率は結構高いが果たして……?
>>+1
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/18(月) 21:31:58.13 ID:b0ZLXY8Bo
せいや
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/18(月) 21:32:21.52 ID:VszOxY1lo
二兎追うものは・・・
115 :
【33/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/18(月) 21:38:57.24 ID:cjnecbb00
コンマ値が13だったのでエクストライベントが発生します。(
>>113
より)
----------------------------------------------------------------------
提督「ふむ、で、例のアレの初日は電か」
電「一日よろしくお願いします、なのです」
提督「とはいえ、電とは毎日顔を合わせているから別段どうということもなさそうな気がするな」
電「今日は秘書艦の仕事はお休みしたいのです」
提督「えっ?」
電「秘書艦の仕事は、代わりに朝潮にやってもらうのです。……ダメですか?」
提督「い、いや、ダメじゃないが……朝潮なら問題ないだろうし、僕は構わないよ」
電「じゃあ今日は司令官さんのお傍で過ごすのです」
提督「は、はぁ……(なんか妙に慣れないな)」
・・・・
磯波「提督、おはようございます。朝ご飯ですよー」
提督「いつもありがとう磯波。いただきます」
朝潮「司令官! この書類はどう処理すれば良いんでしょうか」
提督「あぁ、それはだね……」カクカクシカジカ
皐月「おはよーしれーかん! 朝のトレーニング行ってくるから演習場の鍵貸して!」バタン
提督「りょーかい。ほらっ」鍵を投げる
皐月「サンキュー! よーし今日も頑張るぞー」
磯波「提督、今日はちょっといつもと味付けを変えてみたんですけど……どうでしょうか?」
提督「うんっ、美味しいよ。個人的には前の味より好きかな」
磯波「えへへ……嬉しいです」
朝潮「司令官宛に本部から電文が届いていました。ご確認を」
提督「おっと。どうせ大したことない内容なんだろうけど……分かった。目を通しておこう」
電(むむぅ〜……どうして今日に限ってこんなに賑やかなのです……?)
・・・・
提督「今日は珍しく朝からバタバタしてたな〜……」
電「ふぅー……やっと二人っきりになれたのです」
提督「えっそれはどういう意味なのカナ」
電「はわわ、今のは言葉の綾なのです。その、司令官さんとゆっくりお話するような機会が今まで無かったので、ちょっぴり楽しみにしてたのです」
提督「そっか。じゃあ、お話するかい? ……と言っても、改まって話すようなことは無いかなぁ」
電「じゃあ、司令官さんに質問なのです! 司令官さんは、ここに来る前は何をしていたのですか?」
電「三雲大佐の話を聞いた後、如月から司令官さんの経歴を聞いて驚いたのです」
提督(そういや朝潮と如月にしか話してなかったな)
提督「普通に学生だったよ。戦争……というか、その影響で起こった事故で両親が死んじゃってからは、大佐さんの元に引き取られて、その間はずっと学校に通ってなかったからほとんどまともな教育を受けてないんだけどね」
電「はわわ、ごめんなさい! 無神経でした……」
提督「あーいや、いいんだよ。ただ、この話は雰囲気暗くなるからよそうか」
電(司令官さん……一瞬悲しそうな顔をしたのです)
----------------------------------------------------------------------
電の好感度+4(現在値27)
ついでに他の艦娘の好感度もわずかに上昇した
磯波の好感度+1(現在値9)
朝潮の好感度+1(現在値8)
皐月の好感度+1(現在値9)
116 :
【33Ex/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/18(月) 21:42:18.40 ID:cjnecbb00
夜の出来事
電「今日は司令官さんとたくさんお話できて良かったのです」
提督「そっか、それは良かった。……電気消すよ」パチッ
提督(まさか一緒に寝ることになるとは……さすがに布団は別々だが……ちょっと落ち着かないな)
提督「…………」
電「…………」
電「…………司令官さん」
電「司令官さんが、本当は士官学校を出ていなかったこととか、私とほとんど年齢が変わらなかったこととか、如月から詳しい話を聞いてすごく驚いたのです」
電「バレたら大変だからそんなこと言えないのは分かってます……でも。電には、打ち明けて欲しかったのです」
電「……司令官さんの秘書艦になれて、電は嬉しかったです。初めての艦隊で、経験のある他の子を差し置いていきなり秘書艦になれて舞い上がっていたのもあるけれど」
電「司令官さんのような優しい人のもとで働けて良かったって、心の底からそう思ったのです」
電「だからこそ…………って、わがまま、ですよね……」
電「今日はなんだか、司令官さんに、無茶なことばっかり言ってるような気がします。ごめんなさい……」
電「でも、もっと私に頼って欲しいのです……司令官さんのためになりたいのです……」
電「空回りしちゃってますよね……はは……」
提督「」電の側に近寄り、頭を撫でる
電「どうしたのですか……?」
提督「言うべき言葉が見つからなかったから……」
提督「『電はちゃんと僕の役に立っているよ』とか『そんなに想っていてくれてありがとう』とか『そんな思いをさせてすまない』とか『僕も頑張るから』とか……どれも言葉にするとなんか違うなって。これしか浮かばなかった」
提督「本当は抱き寄せようかなと思ったけど、嫌がるかなと思ってね」
電「ぁ……司令官さん……ぎゅって……ぎゅってして欲しいのです……」
提督「電……」ギュッ
電「司令官さん……ぁ……しあわせ……zzZ」
・・・・
提督(寝たか……)
提督(冷静に考えると、僕、部下にとんでもないことしちゃったんじゃないか……?)
提督(やましい気持ちがあったわけじゃないけれど、見る人が見たらアウトだよね……)
提督(あまり衝動的なことをするもんじゃないな……)
提督(とにかく、離れて自分の布団に戻ろう……)
電「しれー……かん……」ムギュッ
提督(…………もうちょっとこのままでいいか)
提督(あ……意識が……)zzz
翌朝電に会いに来た如月に発見され誤解を解くのに1時間かかった。
----------------------------------------------------------------------
電の好感度+4(現在値31)
117 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/18(月) 21:49:38.15 ID:cjnecbb00
本日はここまで。
エピソード的に美味しい方のイベントはきっちり発生させてるあたりコンマ取得の練度が高いですね。
【好感度まとめ】
電:31(好感度上昇+4) 秘書艦
皐月:9(好感度上昇+2)
磯波:9(好感度上昇+2)
如月:13(好感度上昇+2)
満潮:9(好感度上昇+2)
朝潮:8(好感度上昇+2)
誰がどう見てもヤバイぐらい数値が偏ってますが、ちゃんと後から他の子も平等になるようにゴリゴリ書いていきますのでご安心を。
秘書艦ボーナスが何気にえげつないですね。
///チラ裏///
こういうエピソードをニヤニヤしながら書くのが非常に楽しいです。傍から見ると大変キモいことでしょう。
それとは全く関係ないけどE-2超えました。おめでとう。ありがとう。なんかレンゴウカンタイとか言われてもわけわかめなのでwikiを見ながらどうにかしてゆきます。
118 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/19(火) 23:13:44.59 ID:75zdlKSK0
次回の投下は明日21時頃を予定しております。
----------------------------------------------------------------------
約1/3超えたということで、これまで読んでなかった人や過去分を読むのが面倒だという人向けに、色々と酷いあらすじを下記に用意しておきました。
パラメータが色々あったり安価やコンマがちょくちょく発生したり中々慌しいように見えるスレではありますが、
実際はそんなことはなく結構適当に進行していくので、時間がある時の暇潰し用コンテンツとしてスナック菓子を食べるような感覚でお読みください。
一応、完走(100レス分到達して完結)まではやり切るつもりなのでもしよろしければお付き合い願います。
これまでのあらすじ(ver0.33)
提督:しっかりしなきゃなー
電:好感度が一人だけ飛びぬけて高い
皐月:そんなことより戦闘しようぜ!
如月:紆余曲折あってデレた
朝潮:実は33レスまで進んでても未だに真面目ってこととパフェが好きってことぐらいしかよく分かってない
満潮:べ、別にアンタのことなんか(ryってなるほどデレるに至らないほど出番が来ないツンデレ
磯波:お前は新妻か
その他もろもろの流れ
提督「なんか突然提督になった」
提督「大規模作戦で何とかしたり艦娘が轟沈すると深海棲艦になることを知ったりなんやかんやあった」
大佐「話は聞かせてもらった! 人類は滅亡する!! 国民の脳内にマイクロチップが埋め込まれてたんだよ!!」※別に人類は滅亡しません
提督「な、なんだってー」
大佐「自分はもう死ぬのでお前なんとかしろ(丸投げ)」
提督「知らんがな」
提督「どうすっかなー俺もなー」
艦娘「構ってくだち(超意訳)」
提督「はぁ」
艦娘「ドウセイカッコカリ!」
提督「どういうことなの……」
※ 本編はこんなノリではありません
///チラ裏///
何が面白いのか分からないけど今日一日中頭の中から離れなかった謎のAAを貼って寝ます。
,.へ
___ ム i
「 ヒ_i〉 ゝ 〈
ト ノ iニ(()
i { ____ | ヽ
i i /__, , ‐-\ i }
| i /(●) ( ● )\ {、 λ
ト−┤. / (__人__) \ ,ノ  ̄ ,!
i ゝ、_ | ´ ̄` | ,. '´ハ ,!
. ヽ、 `` 、,__\ /" \ ヽ/
\ノ ノ ハ ̄r/:::r―--―/::7 ノ /
ヽ. ヽ::〈; . '::. :' |::/ / ,. "
`ー 、 \ヽ::. ;:::|/ r'"
/ ̄二二二二二二二二二二二二二二二二ヽ
| 答 | ニ カ ラ グ ア │|
\_二二二二二二二二二二二二二二二二ノ
119 :
【34/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/20(水) 20:35:39.82 ID:goPJzb3e0
朝潮「提督! 今日はよろしくお願いします!」
提督「ということは……今日は朝潮か」
朝潮「しっかりと司令官の動きを目に焼き付けておく所存であります!」
提督(なんか勘違いしてないか……? いやむしろこれが正しいのか……?)
朝潮「」ジーッ
提督「ど、どうしたのカナ? 僕何か悪いことしたのかな?」
朝潮「いえ、普段の任務の代わりとしてこうして司令官のお近くに居られる機会を与えられているのですから、出来る限り注視して今後の糧としようかと」
提督「(この子真面目なのか天然なのか分からんな……)見ているだけでは退屈だろう。折角だから僕が普段どんなことをしているのか説明しようかい?」
朝潮「ありがとうございます! ご指導ご鞭撻、よろしくお願いします!」
提督「いやいやそんなに畏まらなくていいから。というか、そこまで本格的にやらないから退屈しのぎぐらいの気持ちで聞いてくれて構わないよ」
・・・・
提督「これは資源に関する書類だね。資源の推移や今後の運用に関する取り決めを行う」
提督「それからこれは全体宛てに書かれた最前線部隊の戦況報告書。逆にこっちは現在の状況をお偉方に伝えるための報告書」
提督「……とまぁ、色々話していったけどこんな感じかな。実を言うと一日あたりの提督としての作業そのものは本気を出せば一時間で終わるぐらいの量しか無いんだよ」
提督「もっとも、それはここが僻地だからであって、もっと階級が高くて前線で戦ってる人ならそうはいかないんだろうけどね」
朝潮「では、司令官は執務が終わってからはどのように過ごされているのでしょうか?」
提督「こういう資料や書籍、論文に目を通している」ドスン
朝潮「膨大な量ですね……」
提督「ここの鎮守府はえらくボロいが、どういうわけか書斎だけはしっかりしていてね」
120 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/20(水) 20:37:36.07 ID:goPJzb3e0
フライング投下
そしてエクストライベント判定
>>+1(コンマの数値が6のつく数または60以上で発生)
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/20(水) 20:37:58.63 ID:sSbzjntNo
666
122 :
【34Ex/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/20(水) 21:21:34.57 ID:goPJzb3e0
提督「対深海棲艦との戦術論や兵器に関する書物は勿論のこと、艦娘の生態に関する本なんかもあるんだよ」
提督「ちなみに、その本に書いてあったんだけど、艦娘というのは戦闘でMVPを取る以外にも、自分の好きなものを食べたり、自分の好きなことをしていると、戦意が高揚するらしい」
提督「戦意が高揚している状態で戦闘すると、普段よりも性能が上がる……トカナントカ」
提督「と、いうわけで、物は試しだ。今から間宮の所に行ってパフェでも食べるかい?」
朝潮「よ、よろしいのですか!?」パアァァ
・・・・
間宮「どうぞ」
提督「さ、召し上がれ」
朝潮「いただきます……んっ、美味しいです」パクリ
提督(すごい幸せそうな表情で食べてるな……)
朝潮「んぅ〜〜♪ ……はっ、すみません! 少し気が緩みました」
提督「いや、いいんだ。君が喜んでくれたなら何よりだ」
朝潮「こうして提督に奢ってもらうまで、今までこういうスイーツの類を今まで食べたことが無かったんですよ」
朝潮「ですから、少し舞い上がってしまって……申し訳ありません」
提督「いやいや、構わないんだ。ゆっくりお食べよ」
提督(前回1-3作戦が終わった頃に奢ってあげたアレが初めてだったのかな? しかし、それまで一度も食べたことが無いってのは意外だな……)
朝潮「て、提督」
・・・・
ザアアアアアアアアアア
提督「おっとこれは不幸だな。にわか雨に見舞われるとは」
朝潮「執務室に戻るにはどうしてもこの雨を抜けていかねばなりませんね……」
提督「あと一時間もすれば止むような気がするから、ここで雨宿りしてようか」
朝潮「いえ、私が傘を持って参りますので!」ダッダッダッ
提督「え、ちょっと待……行っちゃったか」
・・・・
朝潮「はぁ……はぁ……司令官。傘です」
提督「おお、ありがとう……。って朝潮、びしょ濡れじゃないか」
朝潮「走って行っても、結構濡れますね」ザアアアアアアアア
提督(服が透けてて目のやり場に困るな……ん?)
提督「……朝潮」ザアアアアアアアア
朝潮「どうされましたか? 司令官」
提督「背中に痣があるが……どうしたんだ?」
朝潮「あぁ、私にも分からないんですよ。艦娘になる前に出来た痣のようで、思い出せないんです」
提督「そうか……(気になるな……)」
----------------------------------------------------------------------
朝潮の好感度+4(現在値12)
123 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/20(水) 21:41:04.59 ID:goPJzb3e0
すいません夕飯食べてました
エクストライベントのエクストライベント発動
>>+1(コンマの数値が6のつく数だと発生)
124 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/20(水) 21:42:42.39 ID:M5SFxShPo
うりゃ
125 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/20(水) 21:42:56.36 ID:RFAWfeXqo
あ
126 :
【35/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/20(水) 22:20:16.67 ID:goPJzb3e0
コンマ値が39だったのでエクストライベントは発生しません。(
>>124
より)
----------------------------------------------------------------------
提督(朝潮のあの痣は何が原因なんだろうか……本人も分からないみたいだし知る術もないか)
提督「ふぅー……」
朝潮「提督。こちらにいらしたんですね」
提督「風呂上がりの夕涼みに、ね」
朝潮「そうでしたか。では、私もちょうどお風呂から出たところですし、ご一緒させていただきます」
提督「ああ、構わないよ(昨日もそうだったけど、彼女たちの勤務時間が終わった後も一緒に居るのはなんか慣れないな……)」
朝潮「……三雲大佐についてどう思われますか? 昨日電からいくつか話を聞いたのですが」
提督「尊敬しているよ、ただ……。電から大佐の目的についての話は聞いてるかな?」
朝潮「ええ、昨日聞きました。……私も大佐殿には感謝と敬意の念がありますが、納得出来ませんでした」
朝潮「私には……クーデターは愚かな行動に思えます。なぜそこまで艦娘の側に立って物事を考えるのでしょうか。行動の必要性を感じられません」
提督「……僕も大佐の行動を全面的に賛同するわけじゃないけれど、ちょっと言い過ぎなんじゃないか」
提督「他の鎮守府では、艦娘に手をあげたり慰み者にする提督も少なくはないそうだ。艦娘は提督の命令に反抗することは出来ないからね」
朝潮「そうでしたか……」
提督「そうした現状を顧みれば大佐の行動は倫理的には正当な行動だと思うし、また、そうした現状を是とするこの仕組みそのものに僕も憤りを感じている」
朝潮「しかし、相手は大将や元帥級の面々です。それらを敵に回してまでやろうというのは……」
提督「そこなんだよなぁ。大佐ほどの人材なら順当に出世していけるだろうし、偉くなって力を得てからクーデターを企てる方が実現する可能性は高いと思うんだよ」
提督「そもそも僕が物心ついた頃からずっと大佐だったことも今になってみると奇妙だよな……」
朝潮「何か別の狙いがあるのでしょうか。それとも、今そのように動かざるをえない理由が……?」
提督「分からないな……」
・・・・
朝潮「司令官。私たち艦娘は、あくまで兵器です」
提督「改まって、どうしたんだ?」
朝潮「そんな私たちが意志を持ってしまうことが、果たして正しいのでしょうか?」
提督「まるで今の自分に意志がないみたいな言い方をするんだね」
朝潮「そういうわけではありませんが、私は司令官に尽くし、戦果を上げることが艦娘の本懐であり、存在意義だと考えています」
朝潮「しかし、チップによる制御を失うことで、自分の欲望のままに動き出す艦娘も現れることでしょう。戦争に勝ち深海棲艦を滅ぼすという使命さえも忘れて」
朝潮「にもかかわらず、どうして命の危険を冒してまで大佐は私たちに自由意志のままに行動できてしまうように画策しているんでしょうか」
提督(どうも艦娘が感情のない兵器として使われることが正しい、とでも言わんばかりの口ぶりなのが気になるんだよな……うーむ)
提督「仮に僕が理不尽かつ君の意にそぐわない命令……そうだな、例えば、次回から一切の武装を外した状態で出撃してもらう。なんて言った時に君は本心から従いたいと思うか?」
提督「そんな無意味で無謀なことはしたくないだろう。だが君たちは艦娘だ。司令官の命令には抗うことが出来ないようになっている。だから僕が本気でそう命じれば断れない」
提督「もちろん、僕は実際にそんな命令は出さないが、他の鎮守府ではそうじゃない……ってことなんだろう」
朝潮「そうですか……いえ。分かりました。失礼します」
提督(納得行っていない様子だな……何か彼女なりに思う事があるんだろうか)
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朝潮の好感度+2(現在値14)
127 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/20(水) 22:30:47.30 ID:goPJzb3e0
本日はここまで。
エクストライベントのエクストライベントは発生しなかったけど一応エクストライベントが発生したので何かのフラグは立ちました。
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/20(水) 22:36:44.60 ID:RFAWfeXqo
おつおつ
129 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/25(月) 19:34:03.01 ID:MS2m4m4E0
突然ですが本日21時に投下予定です。よろしくお願いします。
///チラシの///
やっとこさE-4超えました。あきつ百裂拳が良い感じでした。
え? 遅いって? いいんだよウチは平和を愛するゆるふわ聯合艦隊なんだよ。
ゆるふわなのは軍規じゃなく練度だと専らの噂です。
ボーキが8000切っててかなりヤバい感じですね。E-5超えるのが先か資源が尽きるのが先かというチキンレース。
ん? 2014年夏イベントに「本土強襲」なんてありませんよ……。
ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから。(磯風から目を逸らしつつ
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/25(月) 20:04:27.94 ID:QwPgxO/Eo
>>129
明石「アルミ大増産只今大好評販売中!旬の八八資源セットもお買い得ですよ!」
131 :
【36/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/25(月) 21:01:31.80 ID:MS2m4m4E0
如月「しれーかんっ」
提督「何ですか」
如月「ふふっ、呼んでみただけよ♪」
提督「もうそれ三回目だぞ。何か用があるなら口にしてもらわないとこっちも対応のしようがないんだけどなー」
如月「司令官、自分から話しかけてくれないじゃなーい。せっかく同棲してるんだからもっとコミュニケーションを……ね?」
提督「あの、何さりげなくカッコカリ取っ払ってるんですか。っていうかドウセイカッコカリって名前は変えてって言ったよね」
如月「だから同棲。これなら良いでしょ?」
提督「もっとダメだよ!!」
如月「ドウセイカッコカリのことをドウセイカッコカリって言っちゃいけないならドウセイカッコカリを何て言えばいいのよ?」
提督「いや定例視察会とかで良いんじゃないかな」
如月「司令官、私に対して冷たいわよね……電ちゃんとは互いに抱きしめあいながら寝てたのに……しくしく」
提督「いやアレはだなあ……前も説明した通り、かける言葉が見つからなかったら〜(って弁解としては苦しいか)」
如月「分かってるわよ。司令官が下心からそんなことする人じゃないことは分かってるわ」
如月「で・も、もし他の子にこのことを話しちゃったらきっと大変よね〜」
提督「うっ、うぐ、なんだね君は。この僕を脅しているのかね」
如月「ううん、そんなことないわよぉ? でも、これで私と積極的にお話する気になったでしょ?」
提督「やれやれ。ま、良いだろう」
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如月の好感度+2(現在値15)
エクストライベント判定>>+1(コンマの数値が偶数なら発生)
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/25(月) 21:04:13.55 ID:riMPdz0Vo
それっ
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/25(月) 21:04:16.61 ID:SW3Qzx1vo
だ
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/25(月) 21:07:26.42 ID:zvVsvdbfO
ゾ、ゾロ目だから(震え声)
135 :
【37/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/25(月) 21:09:01.97 ID:MS2m4m4E0
エクストライベント未発生(
>>132
より)
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提督「あ、そういえばさ」
如月「どうしたの?」
提督「イマイチ艦隊の子たちの人間関係が良くわかんないのよね」
提督「如月が電と仲良いのは見てて分かるんだけど、磯波とも比較的よく喋ってるの見て意外だなーって」
如月「電はからかい甲斐があるから……♪ 磯波とは趣味が合うのかもしれないわ。あの子案外ロマンチストなのよ」
提督「ほほう。それは知らなかったな」
如月「私はそれ以外の子とはあまり喋らないわねぇ。磯波と皐月、朝潮と満潮あたりは比較的仲良くやってるみたいね」
如月「それと、皐月は満潮を尊敬している節があるみたいよ。逆に満潮も皐月を評価しているようだし。電と朝潮も業務的な話ならよくしているみたいね」
如月「私が分かるのはこのくらいかしら」
提督「6人しかいない組織なのに、ほとんど交流がなされてないってまずいよね……うーん」
提督「とはいえ指揮官の僕ですら上手くやれてない感じの子が……なぁ、はぁ。いや、その子らに対する愚痴とかじゃなくてね」
如月「満潮と……朝潮あたりかしら? あいつら真面目すぎるからしょうがないわよ」
提督「名前を出すんじゃないよ名前を。あとあいつら呼ばわりもやめなさい」
如月「でも、司令官のことを評価はしているみたいよ。ちゃんと指示は聞いてくれるんだしビジネスライクで良いんじゃない?」
提督「君さぁ……興味のない相手に対してはとことん冷たいんだね。そういうのどうかと思うなー」ジトーッ
如月「別に私は興味がないだけで敵意があるわけじゃないのよ? 向こうから何か仕掛けてくるようなら話は別だけどね」
如月「って、私の話はどうでもいいのよ。司令官はあの二人に対して何が困ってるの?」
提督「困ってるわけじゃないよ。ただ、相手の考えてることが分からなくて、だから、僕の考えもどういう風に伝えたらいいのかな……って」
如月「困ってるじゃないの。とはいえ、そういう問題となるとすぐに解決するのは難しそうねぇ」
提督「そっか……そうだよなぁ」
如月「……私と司令官も、あの時工廠に向かっていく私を追っていなかったら、こんな風に話を出来る関係じゃなかったかもしれないわね」
如月「何かキッカケとなる出来事が起こるまでは距離を詰められなくても仕方ないんじゃないかしら。あの二人、何か秘密を抱えているわ」
如月「その秘密を知らない限り、あの子たちの真意は分からないと思うわね」
如月「心を閉ざしているわけではないと思うけど……事情を知らない人間に対して、自分の行動の真意は説明出来ないでしょう。目的だけ説明したところでその経緯も話さなければ理解されないだろうし」
如月「そういう事情を向こうから打ち明けてくれるような関係になれるまで、本来ならとても長い時間をかけて接していかなければならないわ」
如月「司令官が気に病むことじゃないわ。今噛み合わないのは仕方のないことよ」
提督「ありがとう、如月。少し気が楽になったよ」
如月「ふふふふ♪」ニコッ
・・・・
朝潮(昨日の司令官の私に対する態度が気になったので少し様子を伺おうとしたら……)執務室の扉の前で聞き耳を立てる朝潮
朝潮(『あの二人、何か秘密を抱えているわ』……)
朝潮(まずいことになりましたね……私はどうやら司令官や他の方たちに、何か隠していることがあると疑念を持たれているみたいです……)
朝潮(どうにかして誤解を解かなければ……)
朝潮(しかし、いきなり何も隠していることなど無いと言ってもかえって不審ですよね……)
朝潮(どうにも昨日の夜から嫌な胸騒ぎがします……)
----------------------------------------------------------------------
如月の好感度+2(現在値17)
136 :
【38/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/25(月) 21:57:28.30 ID:MS2m4m4E0
皐月「ふーっ、つっかれたぁー」
提督「お疲れ様。朝からそんなにトレーニングしててよく平気でいられるね」タオルを渡す
提督(しかし……他の子らと比べると凄いトレーニング量じゃないか? なんで皐月はこんなにハードな内容を涼しい顔でこなせるんだ……)
皐月「慣れると意外と大したことないもんだよ。日課さ日課」フキフキ
提督「そういえば、こうして話すのも久しぶりだよね」
皐月「そうかな? 頻度は前と変わってないような気がするけど」
提督「皐月から話しかけてくれることが減ったような気がするんだよね。前までは忙しくてあまり相手出来なかったのが、僕に余裕が出来て時間を持て余すようになったからかもしれないけど」
提督「ドウセイカッコカ……じゃなくて、艦娘たちに一日中見られてるせいであまり調べ物とかが出来なくなって微妙に時間の使い方に困ってるんだよ」
提督「人と一緒に居た方が暇ってのも奇妙なもんだけど、そのおかげか普段気にならなかったことに目がいくようになってね」
皐月「よしよし、ボクと話が出来なくて寂しかったんだね〜」ナデナデ
提督「うーん、どっちかっていうと、皐月は放っておくと何をするか分からないから定期的に目を光らせておきたいなぁっていうのがあるな」
皐月「司令官は失礼だなぁ、もう」
提督「ハハハ、でも元気そうで何よりだよ」
提督「気のせいかもしれないが、最近なんだか遠い目をしていることが多かったからね。ちょっと気にしてたんだよ」
皐月「……」ボーッ
提督「皐月? おーい」
皐月「ん? ああ、司令官。どうしたの?」
提督「いや、何でもない(上の空だな……皐月がボーッとしてるなんて珍しい)」
----------------------------------------------------------------------
皐月の好感度+2(現在値11)
エクストライベント判定>>+1(コンマの数値が奇数なら発生)
137 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/25(月) 21:58:08.32 ID:QwPgxO/Eo
gp@「
138 :
【39/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/25(月) 22:04:48.39 ID:MS2m4m4E0
エクストライベント未発生(
>>137
より)
----------------------------------------------------------------------
皐月「提督……その、大したことじゃないんだけど……」
皐月「最近、とても眠いんだよね。妙な夢を見ることが多いし……」
提督「夢?」
皐月「そう、夢。その夢で、ボクは別の鎮守府にいる戦艦で。なんて名前か、どんな姿かは思い出せないけど、とっても強い戦艦でさ。向かう所敵なしだったんだよ」
皐月「ただ、その夢の中のボクが属している艦隊司令部の方針で、弾薬や燃料の消費が著しい戦艦や空母を解体することになった」
皐月「夢の中のボクは戦果を出してたから、解体を免れることになった。でも、他の艦はそうじゃない。だから、他の艦を助けるために、ギリギリまで敵艦隊を削って他の艦に手柄を取らせるようにした」
皐月「そんなことをしていたからか、急遽ボクが解体されることになったとさ。ここで夢はおしまい」
提督「皐月……」
皐月「夢の中のボク、バカだよねぇ。余計なことをしなければ戦艦のままでいられたのに。でもね、なぜかその夢の中で、ボクはいつだって清々しい気分だった」
皐月「敵を圧倒的な力でなぎ払い、国の為に尽くし、多くの人から感謝され……艦娘としての幸せをたくさん享受出来ていた。解体されるのも、不思議と嫌じゃなかった。他の子を救えるなら、それもいいか。ってね」
提督「もしかして、皐月……。これは何の根拠もない当てずっぽうなんだが……その夢は、君のかつての記憶じゃないのか?」
提督(艤装を解体されれば、艦娘としての記憶は失われ、ただの人に戻る。だが……一度艦娘だった人間が再び艦娘になったら……?)
皐月「そう。ボクも、ひょっとしたらそうかもしれないって思い始めてたんだ。だから、一つ試したいことがある。今朝行ったばかりですまないけど、もう一回演習場について来てくれるかな?」
・・・・
提督「……20.3cm連装砲か。こんなものを持ってきてどうするんだ?」
皐月「ボクはね。自分自身の力が、明らかに駆逐艦のそれを凌駕していると思っているんだ。思い上がりかもしれないけどね」
皐月「駆逐艦として生まれた艦が、軽巡洋艦や重巡洋艦にしか装備出来ない武装をまともに扱えるはずがないはずだ」
皐月「だけど、もしボクと提督の仮説が正しい……つまり、ボクがかつて戦艦で、その頃の記憶や経験が今のボクに何らかの影響を与えているならば」
皐月「これを扱えるはずだ。さすがに35.6cm連装砲とかだと、体格的な問題で持てないだろうから、これでテストしてみる」
提督「なるほど…………しかし、もし何かあったらどうするんだ?」
皐月「その時のために司令官が居るんだろ? じゃ、撃つよ。見ててね」
バアアアアン!!!!
提督(なんて威力だ……それに凄まじい音……)
提督「皐月! 大丈夫か!? 怪我はないか?」
皐月「うん全然平気。これならちょっと練習すれば実戦でも使えるね」ケラケラ
皐月「よし! これではっきり分かった。ボクは、かつて、『皐月』になる前に艦娘だった事がある」
皐月「そして、その頃の経験が、今のボクに何かしら作用している」
皐月(かつてのボクとしての人格はどこへ行ってしまったんだろう……)
提督「皐月? おーい」
皐月「あ、ごめん。またボーッとしてた? でも、これで疑問は解消したからぐっすり眠れそうだよ」
提督「そうか、それは良かった(今後の大幅な戦力アップが期待できそうだな……)」
・・・・
提督「この後、夕食なんてどうかな? たまには二人で食べるのも悪くないかなって」
皐月(妙な気配を感じる……)
皐月「いや、今日は遠慮しておくよ。ちょっと気になることが出来たから」
提督「そっか。じゃあ、食堂行ってくるね」
皐月(司令官は行ったか……)
皐月「さっきからボクたちの後をつけていたのは誰かな? いつからそこにいた!」
----------------------------------------------------------------------
皐月の好感度+2(現在値13)
139 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/25(月) 22:11:45.73 ID:MS2m4m4E0
本日はここまで。
どうも今日はコンマが振るいませんネ。
エクストライベントが発生してたら如月のお話だけで本日分を終わりにする予定だったんですけど、
2レスだけの投稿じゃ寂しいってことで急遽書きかけのやつをキリの良いところまで仕上げました。
エクストライベントはどっかでリサイクルして使用する可能性が高いので、
今起こらなくてもわりと大丈夫なものが多いっぽい?
///チラシ///
>>130
わりと現実感ある選択肢だからやめてくだち
E-5攻略中。夜戦大破撤退のせいで第二艦隊旗艦の川内ばっかりキラキラしていく
140 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/28(木) 23:36:42.37 ID:xkZqcYo80
明日21:00頃投下予定
///チラうら///
今日投下するつもりだったのに出来なかったのは艦これのせいです。仕方ないね。
いやでも無事E-5は超えましたよ。
最終的に燃料711弾薬7101鋼材14978ボーキ3344バケツ74になったけど超えましたよ。
早霜清霜もゲットしましたよ。欲を言えば大鯨が欲しかったけどボーキが85しか残ってないのでさすがにもうね……。
初風や矢矧も手に入ったことだし十分な収穫ですなンフフフ。
これからはまた溜めた資材を大型艦建造につぎ込む日々に戻るんや……(ダメ提督特有の発想)
141 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)
[sage]:2014/08/29(金) 00:00:49.55 ID:ludpJsxV0
結局来なかったか
142 :
【40/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/29(金) 21:02:46.08 ID:wHHgS7aM0
朝潮「……」無言で物陰から顔を出す
皐月「……朝潮だったか。後ろからコソコソつけてきて何の用だい?」
朝潮「いえ、特には……」
皐月「説明してもらいたいな」
朝潮「……分かりました」
・・・・
皐月「なるほど。君は司令官に自分が誤解されていると思っているわけだ。で、司令官の様子が気になって後をつけていた、と」
朝潮「私は、私なりに艦娘としての任を全うしているつもりです。司令官に隠し事などもっての他です」
朝潮「ですが、司令官は……私のことを何かしら疑っているのだと思います。……私よりは如月の言葉の方が信用出来るでしょう」
皐月「君は何か勘違いしているな」
皐月「如月は君が何か秘密を抱えていると言ったようだが、会話のニュアンス的に、それは君が何か企みがあるという意味じゃないと思う」
朝潮「え……?」
皐月「告げ口でもされたと思っているのかもしれないが、確たる証拠もなく人を貶めるほど如月は酷い奴じゃないよ」
皐月「そうじゃなく、君が何かしら悩みを抱えている、って司令官に伝えたんじゃないかな。断片的にしか話を聞き取れなかった君が勘違いしただけで」
朝潮「そう……でしょうか」
皐月「むしろ、どうして君がそんな会話を聞いて、自分の立場が脅かされていると感じたかの方がボクは不思議に思うけどね」
朝潮「司令官は電や如月、磯波と話していることがほとんどです。それに、この間司令官と過ごした時も、妙に歯切れの悪そうな態度だったので……」
皐月「だからといって、司令官が贔屓するような真似をしたことは無いだろう。心配し過ぎじゃないかな」
朝潮「しかし……もし、司令官に快く思われていなかったら……」
朝潮「私たちは……この国を守り、深海棲艦を滅ぼすために存在しています」
朝潮「そして、そのための具体的な指示は司令官によって出されます。司令官から出される命を果たすことこそが私たち艦娘の本懐ではありませんか?」
朝潮「私が何か粗相をしてしまったのか、あるいは、私の戦果に不満なのではないか……もし、そうだったらどうしようかと……」
皐月「司令官は朝潮のことをそんな風には思っていないよ」
皐月「君は根詰めすぎなんだよ。司令官じゃないボクですら心配になるぐらいだ。司令官は君のことを気にかけているんじゃないかな」
朝潮(司令官が……私を?)
皐月「艦娘としての本懐がどーだとか、司令官はそんなことどうでもいいんだよ。ボクや君が無事ならね」
朝潮「そう、ですか……」
朝潮(しかし……やはり理解できません。私たちは兵器です。兵器としての使命を果たすべきです)
朝潮(司令官も、三雲大佐も……いったい何故艦娘を庇護しようとするのでしょうか……)
皐月「とにかく、司令官は君のことをそんな風に思ってないから大丈夫。少し気楽にいこう、なっ?」
朝潮「はい……」
143 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/29(金) 21:14:04.89 ID:wHHgS7aM0
/* 経過ボーナス */
投下途中ですが40レス突破したので経過ボーナスです
以後各艦娘の好感度の基本値が+1増加します
また、提督の能力値変動イベントが発生します
能力値ボーナスは安価とコンマで決定します。
アップさせたい能力値 勇気/知性/魅力/仁徳/幸運の中から一つ選択し、
出たコンマでその選択した能力の上昇値が決定します。
詳しくは
>>75
【好感度まとめ】
電:31(好感度上昇+6) 秘書艦なので基本値3*2
皐月:13(好感度上昇+3)
磯波:9(好感度上昇+3)
如月:17(好感度上昇+3)
満潮:9(好感度上昇+3)
朝潮:14(好感度上昇+3)
というわけで
アップさせたい能力値を決定してください(勇気/知性/魅力/仁徳/幸運の中から一つ)
>>+2
144 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/29(金) 23:24:42.86 ID:utqzREt6o
ゆうき
145 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/29(金) 23:32:53.52 ID:GQ8kJx55o
魅力
146 :
【41/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/29(金) 23:52:04.96 ID:wHHgS7aM0
>>145
より魅力が6上昇
【提督ステータス】
勇気:59(初期値から+18)
知性:46(初期値から+10)
魅力:46(初期値から+36)
仁徳:57(初期値から+10)
幸運:62(初期値から+0)
----------------------------------------------------------------------
皐月「司令官。夜分遅くに失礼するよ」
提督「皐月か。わざわざ寝室まで来て、何か話でもあるのか?」
皐月「その事なんだ。実は朝潮が……」
・・・・
提督「ふむ。そうかー……そんな風に思われてたかー……」悩ましそうな顔で頭を掻きながら
提督「僕に対して畏まった態度を取るもんだから、距離を置きたいのかなと思ってあまりこっちから話しかけたりしなかったんだけど」
提督「かえって不安にさせちゃってたのかなぁ……」
提督「ただなぁ〜、一度何気ない世間話をしたら、暗号と勘違いされたことがあってさ。あれだけ真面目な子が相手だと何を話したら良いんだろう……」
皐月「……司令官」
提督「ん? どうした」
皐月「確かに朝潮は真面目だよ。……ただ、あれは真面目の度を越してるんじゃないかな。どこか異常だと思う」
皐月「さっき朝潮と話した時に、少し恐怖を感じた。どうも、死ぬことをほとんど恐れていないような気がする」
皐月「朝潮の性格上、血気に逸って無茶をやらかすようなことはしないとは思う。けど裏を返せば、何かしら合理的な理由があれば少しも躊躇わずに自分の命を差し出しそうな……そんな恐怖を感じた」
皐月「それに……うまく言葉に出来ないけど、盲信のようなものを感じた」
皐月「自分が艦娘であることを盲信している……? いや、ボクだって艦娘なんだけどさ。何て言ったらいいんだろ」
皐月「まるで自分が使い捨ての道具であるかのような……それでいてその事を微塵も気に留めていないような……」
提督「それは僕が前に朝潮と話した時も感じたな。こうして皐月の話を聞いた後だと、彼女は自分が兵器であることに固執しているように受け取れるな」
提督「しかし……よその鎮守府ならまだしも、大佐の鎮守府でもここでも、艦娘に対してただの兵器のような扱いはしていないよな」
提督(脳内に埋め込まれたチップが何か影響してるとか……? いや、こうして皐月と話が出来ている時点でその可能性は低いよなぁ)
提督(何にせよ気になるな。今後は皐月に朝潮の様子を定期的に見てもらうことにしよう。僕からも彼女に対して意識的に接していかなければ)
皐月「……どうしてあそこまで艦娘としての存在意義にこだわるのかが疑問だよねぇ。いや、ボクも最近はそのことについてちょっと悩んでたけど」
提督「皐月は経緯が経緯だからしょうがないだろ。今とは艦だった頃の記憶が断片的にとはいえ残ってたら、そりゃあ自分とは何だろうって思うもんじゃないのかな」
皐月「まぁねぇ〜〜」あくびをしながら
皐月「でも、今日、なんとなく自分の中で区切りがついたような気がする。少し吹っ切れたよ」
皐月「今まで『そうなんじゃないか』って思ってたことが『そうだったんだ』に変わったからね」
提督「そういうもんなの?」
皐月「そういうもんなの! ……えへへっ」
提督「まぁ、君が良ければ良いんだけどさ」
皐月(ボクのこの力を使って、何か司令官の役に立てればいいんだけどな……)
----------------------------------------------------------------------
皐月の好感度+3(現在値16)
147 :
【42/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/08/30(土) 00:00:38.85 ID:d2X+RCvL0
提督「うーん、酷い天気だな。嵐が来るな……」ヒュオオオオ
提督「今日は演習や訓練含め一切の出撃を禁止するよう通達してくれ。外に置いてある物はなるべく室内に運んでおくように」
電「なのです!」タッタッタッ
磯波「おはようございます」ガチャ
提督「磯波か。おはよう。今日は酷い天気だね」
磯波「こういう天気の日って、深海棲艦はどうしてるんですかねぇ?」さりげなくお茶を差し出す
提督「深海棲艦って言うぐらいだから、深海に居るんじゃないかな。お茶ありがとう」ズゾゾ……
磯波「あぁ……そうですよね。深海にずっと居てくれればお互い平和で済むんですけどね……」
提督「キジも鳴かずば撃たれまいに……。とはいえ、深海棲艦も案外同じことを考えているかもしれないけど」
提督「いっそ僕ら人類が制空権と制海権を放棄して、本土だけで生きていけばわりと平和になるのかもね。生活レベルは江戸時代ぐらいまで引き下がるだろうけど」
提督「……そういうわけにもいかないから、僕や君がこうしてここに居るってことだね」
磯波「ふふっ、提督はやっぱり面白いですね」
提督「どこが面白いの?」ッテイウカヤッパリッテナンダヨ
磯波「制海権を放棄しようだなんて、海軍で働いている人とは思えない発言でしたので……ふふふ」
提督「冗談だってば。朝潮とか満潮とかに言わないでね」
磯波「ふふふ、どうしようかな〜」
提督「磯波、最近如月に似てきてないか……? 僕は非常に心配だぞ」
磯波「冗談ですよ」
・・・・
朝潮「」クシュン
満潮「」クシュン
如月「」クシュン
電(風邪が流行ってるのです……?)
----------------------------------------------------------------------
磯波の好感度+3(現在値12)
148 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/30(土) 00:08:10.00 ID:d2X+RCvL0
ここでエクストライベント。
エクストライベント判定>>+1(コンマの数値が00〜30,79〜99なら発生)
発生しなかったら今日はここで投下おしまいです。おやすみなのです。
149 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/08/30(土) 00:10:00.74 ID:BNzeHtD7o
ぽい
150 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/30(土) 01:18:44.23 ID:d2X+RCvL0
とりあえず今日はここまで
土日のどっちかで投下したいです(努力目標)
っていうかもう土曜日か……
151 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/08/31(日) 21:31:17.90 ID:LyHQB45F0
>土日のどっちかで投下したいです(努力目標)
あぁ……やっぱり、今回もダメだったよ。
次回の投下は明日21:00頃を予定しております。
///チラう///
友人と二人で水族館行ったりダラダラしてたら一日潰れました。
可愛い女の子とデートかと思った!? 残念! 同性でした!
……赤の他人クソどうでもいい話なんだし傍から見たら残念も何も無いわなとセルフツッコミを入れつつ寝る。
152 :
【43/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/09/01(月) 21:12:41.02 ID:GzKf9J4N0
ドザアアアアアアアアアアアアア
提督「夜になったら余計に酷くなったな」ピカッ ゴロゴロ
磯波「でも、明日には晴れるみたいですよ」ザアアアアアアアアアアアア
提督「ふーむ……」ピカッ ゴロロロ
磯波「あっ……電気消えちゃいましたね」
提督「あーブレーカー落ちたようだなこりゃ……」
磯波「どうしましょう……」
提督「とりあえず懐中電灯で部屋に戻ろう。えっと、懐中電灯は……」ガサゴソ
提督「あったあった。寮まで送ってくよ」ペカッ
・・・・
磯波「夜の鎮守府って、明かりがないと結構不気味ですね……」カツーン カツーン
提督「結構ボロいしなぁ……」カツーン カツーン
カツーン カツーン
磯波「なんか、足音が多く聞こえないですか……?」
提督「後ろからこっちに向かっているようだな」
提督「誰だ?」サッ
満潮「私よ! 早くコイツを医務室に連れて行って!!」
ボロボロの格好の満潮と、そして、彼女に背負われていたのは……
磯波「え? ……私がもう一人?」
磯波?「ぁ……あ……」
提督「血塗れじゃないか! 一体どういうことだ……とにかく、早く医務室へ!」
・・・・
提督「……辛うじて一命を取り留めた」
提督「ただ、艤装の損傷が著しく、艦娘として復帰出来るかどうかは分からないらしい」
磯波「そうですか……」
提督「とりあえず、一安心だね。満潮、一体何があった?」
満潮「私にもよく分からないわ。最初に発見したのは電で、今頃はくたびれてドックで爆睡してるわ」
満潮「電の救難信号を発見して、何があったのかと確認しに行ったら、ボロボロの電と轟沈しかけのあの磯波が居たから、私が陸まで運んできたって感じね。後のことは分からないわ」
満潮「1-4作戦の時を思い出したわね。敵が居なかっただけマシだったけど」
提督「そうか、電には後で詳しい話を聞くとして、とにかく二人とも無事で何よりだ」
満潮「それじゃ、私もドックに行ってくるわ。無傷で済んだわけじゃないからね」
満潮(それに、動くならもう少し情報が出揃ってからになりそうだしね……)
----------------------------------------------------------------------
磯波の好感度+3(現在値15)
満潮の好感度+3(現在値12)
153 :
【44/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/09/01(月) 21:26:13.02 ID:GzKf9J4N0
磯波?「……生きてる」
提督「意識を取り戻したようだね。あの嵐の中で何があった? どこの鎮守府の艦隊から来たんだ?」
磯波?「わたしは……、あの嵐の中で……そうか……ここは別の鎮守府で……」
磯波?「!? いけない……アレを探さないと……。アレが無いと……任務が果たせない……」ブツブツ……
提督「どうした、大丈夫か?」
磯波?「任務……任務を果たさなきゃ……うッ」
提督(体を動かそうにも損傷が激しくて動けないようだな)
提督「無理に動こうとするなって。まだ傷口が塞がってないんだろ?」
提督(黒い髪に白髪が多く混じってるな……目も虚ろだ……。相当ロクでもないことをされていたのは確かだな……)
磯波「何があったのか教えてくれませんか?(自分に対して敬語を使うのも変な気分だな……)」
磯波?「あ……その……うぅ……それは……言えません」
磯波?「アレが無いと……どうしよう……」
提督(何かを探しているようだ……)
・・・・
バン! とドアを乱暴に開ける音が部屋に響く。
電「はぁ……はぁ……探しているのは……これ、ですか?」
電の手に握られていたのは、緑色の液体が入った数本の注射器だった。
磯波?「それは……ッ! うッ……ううう」立ち上がろうとするも、動くことが出来ないようで、呻き声を上げている
電「あの嵐の中で何をしようとしていたのか説明するまで、これを返すわけにはいかないのです」
磯波?「……話したら……返して……」
提督(電がどうしたら良いか尋ねるようにこっちを見ているな……)
提督「分かった。約束しよう。ただし、君が今日何をしようとしていたのか、その目的はなんなのか、君の所属する艦隊やその司令官について。この3つについて聞かせてもらう」
磯波?「……分かりました」
・・・・
磯波?「私は、今日、あの海で轟沈する予定でした。それが私の任務です」
磯波?「轟沈する時に、絶対に注射器を無くさないように、と、そう言われていました。任務の目的が何か、その注射器がどういうものなのかは分かりません」
提督「一体何が狙いで……は君に聞いても仕方ないことか。君は轟沈しろだなんて命令をする司令官に疑念を抱かないのか? どうしてそんな酷いことを……」
磯波?「私の提督は、酷くなんかありませんよ。私にこうして生きる意味を与えて下さったんですから……」
磯波?「それに、提督に身体を触られると、とても幸せな気持ちになるんです……」
磯波?「だから……私は、あの人の為なら全てを捧げられるのです」
提督(完全に心酔しているような恍惚とした表情だな……)
提督「……まぁいい。じゃあ、君の艦隊や、君の提督について聞きたい」
磯波?「私は、他の艦……戦艦や空母の練度を上げるための随伴艦として登用されました」
提督「君はデコイというわけか」
磯波?「そうですね……役割的にはそれに近いかもしれません。ですが、提督は私のことを評価してくれていまし」
提督「もういい分かった。君の提督についての話を聞かせてくれ。名前と、地位と、配属先を具体的に聞きたい」
磯波?「私が、私の提督のことを話したら……貴方はどうするつもりですか?」
提督「質問しているのはこっちだ。先に君が僕の質問に答えてくれ」
154 :
【45/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/09/01(月) 22:01:25.84 ID:GzKf9J4N0
磯波?「私の提督は……藤原大将……です」
提督(藤原大将……若くしてカリスマ的才能を発揮し、常に戦果を上げているらしい。その実力が認められ、最近では元帥への昇格の噂も囁かれているとか……)
提督「藤原大将……? ここからだとかなり遠い、対深海棲艦最前線の鎮守府の提督のはずだろう?」
磯波?「三雲大佐の不祥事の件で、他に関与している人間が居ないかどうか洗い出す為に、今はこの鎮守府の近くの泊地に滞在しています」
提督(なるほど……大佐を始末しようとしているのか……)
提督「分かった。だが、この注射器はまだ返すわけには行かない。こちらで中身が何なのか調べさせてもらう」
磯波?「そんな…………返すって言ったじゃないですか!」
提督「ああ、言った。だが、今すぐ返すとは言っていないだろう」
提督「それに、その動くこともままならない身体では、君が今日行う予定だった任務の遂行は出来ないと思うが? 今これを返しても意味が無いだろう」
磯波?「貴方は! 私の提督をどうするおつもりですか!」
提督「…………事と次第によっては糾弾する。艦娘をいたずらに轟沈させる命令を出すなど、指揮官にあるまじき行為だ」
磯波?「私の提督は何も間違ったことなどしていません!」
提督「君がそう思っていようとなんだろうと、僕は僕で正しいと思ったことをやらせてもらう」
提督(とはいえ、真っ向から挑んでも僕が返り討ちに合うだろうな……)
提督(知ってしまった以上見過ごすわけにも行かない、が……)
・・・・
あの磯波が持っていた注射器を妖精に調べさせたところ、緑色の液体の中にはマイクロチップが入っていることが判明した。
このマイクロチップの内部に書かれた情報までは分からなかったが、恐らくは艦娘の脳内に埋め込まれているものと同様の種類なのだろう。
自分の艦を意図的に轟沈させる……それも、マイクロチップを注入するための注射針を持たせて……? こんなことは考えたくはないが……これしか考えられない。
藤原大将は深海棲艦にマイクロチップを埋め込んで支配しようとしている。恐らくはその為の実験として……あの磯波が利用されたのだろう。
……マイクロチップを所持しているということは、当然それがどんなことに利用されているかを知らないはずがない。藤原大将は、マイクロチップが人間の思考を制御し洗脳する為に利用されていることを理解している。
そして恐らく、彼もまたそのチップを使って人間を操作している。これならあの磯波の異常なまでの忠誠心にも合点がいく。深海棲艦化してもチップの効力が効くかは分からないが、轟沈しろと命令したということは、あの大将は艦娘が轟沈すると深海棲艦になることも知っているんだろう。
しかし……一個人がチップの情報を制御出来るとしたら……これは大変なことだぞ……。
・・・・
磯波「提督!」
提督「あぁ。磯波か。……浮かない顔をしているな」
磯波「えぇ……私と同じ姿をした艦でしたので……少し、怖かったです」
磯波「……それに。あの子は私だったかもしれないので」
提督「一体どういうことだ?」
磯波「私、本来なら別の鎮守府に配属される予定だったんです。手違いでここに来ることになったんですけど」
磯波「もしかしたら……私も他の場所に行っていたらああなっていたのかと思うと……」
磯波「どうして、私はこんな風に提督と毎日幸せに過ごせたのに、あの子はそうじゃなかったのかなって」
磯波「いや、あの子も幸せそうでしたけど……あれは心が壊れてしまって、全てが麻痺してるんだと思います」
提督「そうだな……。そういえば話は変わるんだが、さっき調べてみたら例の大将が滞在している泊地が判明したよ」
磯波「会って話をするんですか……?」
提督「そんなに不安そうな顔しないでくれって。……今は何もしない。真っ向からあの大将に挑んだどころで犬死にしかならないと思う」
提督「チャンスを待つしかない、かな……。我ながら不甲斐ないけど、これが一番堅実な選択だろう」
磯波(良かった……他の苦しんでいる艦には悪いけど…………)
磯波(私は、今までのような、提督との平穏な日常がずっと続いて欲しいから……)
----------------------------------------------------------------------
磯波の好感度+3(現在値18)
155 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/09/01(月) 22:14:58.57 ID:GzKf9J4N0
今日の投下はここまでです。
もう初期の構想はほぼ完全に朽ちたので、新しい流れ的なのを考えて今んところそっちに移行しつつあります。
んーしかし……これはだな……つまらなくはならないとは思うが(むしろより面白くなると思いたいし、そうじゃなきゃ書かない)……うーむ何というかその。スレの主旨からだいぶ外れているよーな……。少年漫画的なノリのものを書く気は無いんだが……。
どうもイチャイチャする余地が無さそうでそこをどうしていくかが課題か。100レスって長いんだか短いんだか分かんないっすね。
いや現時点ではすっげえ遠く感じるけどラストから逆算していくとちょっと尺足りなくね? 感が……。
一貫して、「艦娘を魅力的に描写したい」ってのは変わらないんですけどね。あとは、「キャラ崩壊させない」。この二つに関しては強く律していきたいです。
ネタバレはしない程度にたまには真面目なことも書いてみました。個人的に作者の言葉なんて無価値というか、語りたいことは作品を通して語るべしと思っているので、あくまでおまけみたいなモンなんですけどね。
156 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/09/05(金) 10:51:33.83 ID:4N88xCgjO
メイビー恐らく本日21時頃投下予定。
季節の変わり目なせいか体調ブロークン気味だけど関係ないぜ。
157 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/09/05(金) 21:37:20.30 ID:cOOx7ttB0
あ、遅れましたが投下行きます。
その、遅れた理由としては大変しょーもないんですけど、突き指して30分くらい直そうと躍起になってました。
突き指してもすぐ直るのが常だったのでなんか驚きでした。
158 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/09/05(金) 21:39:49.44 ID:0043YdgYo
乙期待
> その、遅れた理由としては大変しょーもないんですけど、突き指して30分くらい直そうと躍起になってました。
> 突き指してもすぐ直るのが常だったのでなんか驚きでした。
突き指ってそんなに簡単に治るものなのか(驚愕)接骨院に行ってたんだが・・・
159 :
【46/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/09/05(金) 21:40:41.24 ID:cOOx7ttB0
提督「昨日は色々あってまともに寝れなかったな……。もう傷は癒えた?」
満潮「問題無いわ。大変だったそうね。で、あの注射器はどうするの? ……中に例のチップが入ってるんでしょ」
提督(満潮にはチップのことを話したことは無かったはずだが……他の子から聞いたのかな)
提督「注射器にチップが入っていることが良く分かったね。……もちろん約束はしたから、注射器はあの磯波に返すよ。チップは抜いておくし中の液体も似た色の偽物に変えておくけど」
満潮「なるほどね。……通信機器が壊れているとはいえ、体が動けるようになったらこの鎮守府から藤原大将へ連絡を取りかねない」
満潮「……だったら回復次第注射器を返して彼女の“任務”を本来の予定通りに遂行してもらえばいい。そういうことね?」
提督「あぁ。勿論、開放後に先に大将に連絡を取ってから任務を果たすかもしれないが……今の彼女を見るに、そこまで頭の回るような精神状態じゃないらしい。注射器を手に入れたら真っ先に深海へ向かうだろう」
提督「我ながら冷酷なことを思いつくとゾッとするよ。……せめて工廠がまともに使えれば解体という選択肢を取っていたんだけどね」
提督「妖精にも色々種類があるからな……。この鎮守府には艤装を修復するための妖精は居ても、艦を建造するための妖精や解体するための妖精は、なぁ」
満潮「そんなに解体って難しいものなの? もうアイツは艦娘として復帰できるかも怪しいぐらい艤装が壊れかけてるんだから、物理的に壊せないのかしら」
提督「それをやると最悪死ぬ。艤装によって艦娘としての思考や記憶、人格が設定されているんだから無理矢理壊したら少なくとも精神に異常はきたすだろうね」
提督「しかるべき技術を持った妖精でないと解体出来ないらしい」
提督「ただ、だからといってこんな風に自ら轟沈しに行くのを助長するようなことが正しいのかと思うよ」
提督「他に方法は無いのかなってね」
満潮「……今は綺麗事で済まされる状況じゃないわ。忠告しておくけど、司令官が思っている以上に深刻な事態よ。最悪の場合深海棲艦よりも恐ろしいものを敵に回すことになるわ」
満潮「それに、もうあの磯波は助からない。一度ああなってしまったら解体しない限りもう二度とは正気に戻らない」
提督「満潮……一体君は何を知っているんだ?」
満潮「司令官が私の知っている全てを話すに値するか否か……それを確認したい」
満潮「貴方を司令官としては認めている。ある程度力をつけている事も認める。ただ、それとこれとは別の話」
満潮「貴方は私の味方であるか。貴方は現時点でどこまで知っているのか。そして……私の為に死ぬ覚悟があるか」
満潮「それが分かるまでは話せないし、聞いたからには私の為に動いてもらう」
満潮「私は味方を必要としている。でも、それはただの味方じゃない。第一に、絶対的な信頼が置けること。第二に、有能であること」
満潮「悪いけど、貴方はその両方の条件とも満たしているように思えない。いずれ話す時が来るかもしれないけど、まだその時ではないわ」
満潮「……それでも知りたいというのであれば。この後、私の部屋で話すわ。それじゃ……」
提督(ふむ。どうすべきかな……)
満潮に話を聞きに行くか行かないか 安価で決定 >>+2
----------------------------------------------------------------------
磯波の好感度+3(現在値15)
160 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)
[sage]:2014/09/05(金) 23:21:46.55 ID:dtd+xwrA0
あれ?磯波の好感度があがるの?
安価なら下
161 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/09/06(土) 00:52:29.57 ID:720GFYxr0
>>160
すみませんコピペミスです。
----------------------------------------------------------------------
満潮の好感度+3(現在値15)
なお安価はこのレスから>>+1
すみませんが寝落ちします。まぁ今週の土日はゆるゆる投下していくつもりなんでお許しを。
もう一度書いておきますが
>>159
の安価は>>+1で。
162 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/09/07(日) 23:41:47.05 ID:01qQLOFc0
(土日の間にレスがつかなかったのは想定外だったわ……これはなかなか興味深い現象ですね……)
ってなわけで
>>159
の安価はコンマで決定に変えますね。
ま、どっちのルートも用意してあるんでこちら的にはどっちでも良かったり。今後の展開がちょい変わるかもなってぐらいです多分。
なお投下そのものは明日の21時頃を予定しています。
----------------------------------------------------------------------
満潮「悪いけど、貴方はその両方の条件とも満たしているように思えない。いずれ話す時が来るかもしれないけど、まだその時ではないわ」
満潮「……それでも知りたいというのであれば。この後、私の部屋で話すわ。それじゃ……」
提督(ふむ。どうすべきかな……)
満潮に話を聞きに行くか行かないか コンマで決定
コンマ値00〜49で話を聞きに行く
コンマ値50〜99で話を聞きに行かない
で決定 >>+1
----------------------------------------------------------------------
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/09/08(月) 01:00:17.57 ID:slvcqDC1o
ここ
164 :
【47/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/09/08(月) 21:08:18.78 ID:UTAp/0VN0
提督「妙に突き放すような口ぶりだったのが引っかかるんだよなぁ」
提督(満潮の話は気になるが、『私の為に死ぬ覚悟があるか』……か)
提督(そこまでの代償を背負う覚悟がなければ、彼女の深淵は覗き込めないということかもしれないな)
提督(今の僕には、彼女の求めているものに応えることは出来ないな)
提督「しかし……一体彼女は何をしようとしているんだ?」
提督(満潮と仲の良い朝潮なら何か知っているかもしれないな……)
・・・・
満潮(……多分来ないわね)
満潮(これでいい。アイツのようなお人好しは、向いてない)
満潮(ただ、この先を一人でやっていくのは厳しそうね……。誰かしら、協力者は必要かもしれないわ)
・・・・
提督「朝潮、ちょっと良いかな」
朝潮「は、はい! 御用であれば何なりとお申し付け下さい!」
提督「召使いじゃないんだからさ……いや、大した話じゃないんだ。ちょっと満潮について話を聞きたい」
朝潮「満潮……ですか。彼女がどうかしましたか?」
提督「彼女が何をしようとしているのか知りたい。ひょっとしたら君も知らないかもしれないけど」
朝潮「具体的なことは分かりませんが……復讐をするつもりだ、と言っていました」
朝潮「その対象となる相手を訊いてみたのですが、『誰だかは分からないけど、確実に居る。そして現時点で八割方絞り込めている』だそうで」
提督「並々ならぬ恨みがあるのはなんとなく察せるが……直接会ったことは無いみたいだね」
朝潮「ところが、『今、一番奴について知っているのは私だ』と言っていたこともあって……私には皆目見当がつきませんでした」
提督「そうか……。教えてくれてありがとう」
朝潮「朝潮は、お役に立ちましたでしょうか?」
提督「あぁ、役に立ってるよ」
朝潮「そうですか……それは良かったです」
朝潮(司令官のお役に立てている……少し安心しました)
提督「それから、一つ相談に乗ってもらっていいかな? これは結構真面目な話になる。今後の作戦について……になるのかな」
提督「まだ他の子には話していないし決定もしていないんだけど、とりあえず君の意見を聞きたい」
朝潮(司令官が私に作戦の話を!? それも、まだ電たちにも話していないような内容……?)
朝潮(私も司令官に信頼されている……と受け取っていいんでしょうか、これは)
朝潮「はっ! はい! 喜んでお聞きいたします!」ビシッ
提督「敬礼なんてしなくていいから」
提督「僕がこれから話すのは、例の磯波の件だ。えっと、うちの鎮守府じゃない方のね」
提督「言いづらいから以後磯波IIと呼ぶことにするよ。IIだなんて番号じみた言い方は自分でもどうかと思うけど、他に呼びようがないから便宜的にね……」
提督「恐らく彼女はあと数日で体力が回復する。回復次第、彼女は海へ向かうだろう。与えられた任務を果たすためにね」
朝潮「つまり、轟沈する……ということでしょうか」
提督「その通り。で、僕らは中の液体やチップをすり替えた注射器を磯波IIに渡して見送るだけ。これはプランA」
提督「これは僕が最初に思いついた最も安全な対処法だ。ただ、僕は絶対にこれをやりたくない」
提督「そこで僕はプランBを考えた。多分君はこの案に反対すると思う。だからこそ君の意見を聞きたいんだ」
----------------------------------------------------------------------
朝潮の好感度+3(現在値17)
165 :
【49/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/09/08(月) 21:17:13.49 ID:UTAp/0VN0
提督「プランBでは、……磯波が鍵となる。磯波IIじゃない方のね」
提督「途中まではプランAと同じで、磯波IIが動けるようになり次第彼女を解放する。この辺の海域はあまり敵が出ないから、恐らくはモーレイ海のあたりに行くだろう」
提督「君たち……朝潮、皐月、如月、電の4名でこれを追跡してもらう。そして、磯波IIが疲弊して、自らの力で動けなくなった所を見計らって救助する」
提督「北方海域は危険な海域だ。正規空母や戦艦も存在する。だが、モーレイ海の方は比較的手薄であり、絶対数は少ないはずだ」
提督「戦果を出すことを完全に捨て置いて、磯波IIを救出次第逃走……という任務であれば君たち駆逐艦でも問題なく果たせるはずだろう」
朝潮「仮にあの磯波IIを救出したところで、何か意味があるのでしょうか? 救出したところで、また沈みに行こうとすると思うのですが……」
提督「そう、君の言う通りだ。だからこそ、これから話す内容がこのプランの肝となる」
提督「僕と磯波と満潮で、藤原大将の泊地まで向かう。そこで僕は大将に直接会い、磯波を差し出す。磯波IIではなく磯波をね」
提督「轟沈しかけていた所を保護した、と言ってね。また、直接顔を合わせることで大将の腹を探りたい」
提督「その間に、満潮が泊地の工廠に忍び込み、解体妖精を奪取する」
提督「満潮と合流し、磯波IIを保護に向かった部隊の帰りを待つ。救助した磯波IIの傷が治ったら解体を行う。これで彼女は死なずに済むわけだ」
提督「磯波には、大将からまた与えられるであろう“任務”を受けるふりをしてもらう。もちろん、彼女が向かう先は深海じゃなくこの鎮守府だけどね」
提督「海に出た後二度と戻って来なければ、轟沈したかどうかなんて分からないからね」
朝潮「藤原大将が、磯波に“任務”を出さなかった場合も考えられないでしょうか」
提督「仮にあの磯波IIの言っている通り提督として理想的な人物で、轟沈しろという命令も何か納得のいく理由があったなら、磯波と磯波IIをすり替えたと正直に告白するつもりだ」
提督「だが、僕の疑念通り、大将が深海棲艦を支配しようとしているのであれば磯波に対して“任務”を課すだろう。100%そうなると断言は出来ないが、これに関しては結構自信がある」
提督「単純にチップの埋め込まれた深海棲艦が支配出来るのであれば、これまで轟沈してきた深海棲艦化してきた艦娘を支配出来るはずだ」
提督「そうした事案が起きていないということは、深海棲艦になる前にチップが埋め込まれていたか否かは関係ない。……恐らく、深海棲艦を支配するには、深海棲艦に直接チップを埋め込まなければならないということだろう」
提督「轟沈寸前で、他の深海棲艦と合流しそうなタイミングで例の注射を打ち、我が物にしようという魂胆なんじゃないかと推測している」
提督「深海棲艦の鹵獲なんて危険すぎて現実的な選択肢じゃないからね。鹵獲したところでまともに飼育なんて出来るわけないし。最も合理的で被害の少ない方法だ」
提督「……たった一隻の犠牲で万事うまくいく。僕が大将のような人間だったなら、そしてチップを自在に操れることが出来たならば、この方法を取らない手はない」
朝潮「チップを持った注射器を持っている……ということはチップの構造や扱い方も理解している、と考えて間違いないでしょうね」
提督「どこまで操れるかが疑問なんだよね……。磯波IIの盲信ぶりを見るに、その気になれば奴隷のように人を変えることも出来るとは思うんだけど……」
提督「だとしたら海軍全体が彼の手中に落ちていないとおかしい。何か範囲の制限みたいなものがあるのかもしれないね」
・・・・
朝潮「二点、質問してもよろしいでしょうか。どうしてリスクを冒してまでこういう方法を選ぼうと考えているのかということと、なぜ満潮を連れて行こうとしているのか、それが気になります」
提督「前者に関しては、非常にシンプルな回答になるかな。僕がそれを望んでいるから。最も、リスクを望んでいるわけじゃない。僕は誰かを見殺しにするなんて絶対に嫌だ。それだけ」
提督「後者は、満潮の行動を制限しつつも泳がせるためだ。彼女の真意が分からない以上、僕は彼女と分かり合えないだろう。だから、ある程度彼女の好きにさせて何をどうするつもりなのか知っておきたい」
提督「だが、いきなり泊地の火薬庫を爆破されたりしても困るので、任務上必ず達成しなければならない役目を与えている」
提督「磯波を除けば彼女一人しか連れて行かないのもそういう理由がある。他の人に任務を任せて、何か彼女の“復讐”に関係のあることをされると怖いからね」
提督「どう思う? 君がこの案をダメと言うなら、引っ込めようかなと悩んでいたんだ」
朝潮「いえ。動機の背景に私的な感情があることまでは是とすることは出来ないと思いますが……司令官はこの作戦が成功するという確信がおありではありませんか?」
提督「まぁ、自信が無けりゃ相談してないね。確信までは持てないし、かなり不安だけど」
朝潮「司令官がそう仰るのであれば、決して無謀な作戦では無いと思います。満潮の動向も探れますし、やってみる価値はあるかと」
提督「そうか。分かった……恐らく、磯波IIの体力が回復する数日後には決行することになる。よろしく頼むね」
・・・・
朝潮(突然の重要な作戦の話で面食らってしまいましたが……)
朝潮(しかし、こうして相談してくれたということは、私をある程度評価していると思っていいでしょう)
朝潮(これからも、司令官にとって有用な存在でなければ……)
----------------------------------------------------------------------
朝潮の好感度+3(現在値20)
166 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/09/08(月) 21:24:48.56 ID:UTAp/0VN0
ここでエクストライベントを投げてみる
00〜57またはゾロ目で発生 >>+1
167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/09/08(月) 21:26:00.79 ID:slvcqDC1o
ぞろ
168 :
【50/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/09/08(月) 22:07:51.90 ID:UTAp/0VN0
提督「皐月、磯波、満潮。君たちに集まってもらったのは他でもない。先日この鎮守府にやってきた、藤原大将の艦隊に所属している磯波の件についてだ」
提督「これから作戦について説明する。……」
・・・・
提督「というわけだ。まず、磯波の意見を聞きたい」
磯波「……私にやれるか、すごく不安です。本音を言うと、やりたくないです」
磯波「やりたく、ないです」
提督「……そうか」
磯波「でも、提督の誰も不幸にしない選択をしようとしているところを……私は尊敬しています」
磯波「だから私は! 私は、提督に応えたい……」
磯波「兵器として、部下として、艦娘としてではなく。私の意志で、提督の理想の為に尽くしたいです」
提督「ありがとう磯波。……そう言ってくれて良かった」
磯波「それに……もし私が困ったら、絶対助けてくれますもんね。提督なら」
提督「ああ、約束する」
・・・・
満潮(な〜にいい空気になってんのよ! 正気!?)
満潮「ちょっと待って!? 本気でこんなことするつもりなの!?」
満潮「バレたらただじゃ済まないわよ!?」
提督「だからこそバレないようにやるんだよ」
満潮「だって、アンタさっきは……」
提督「さっきはさっき。あれはプランAで、プランBのこっちを採用したというわけ」
満潮「アンタ、ホント死んでもしらないわよ!?」
提督「僕が死なないために、君を連れていく。君が余計なことをせず、つつがなく与えられた役目を遂行してくれれば特に問題なく済むはずだ」
満潮「私は大丈夫でも、アンタに何かあったらどうするのよ」
提督「君が僕と磯波を助け出す。君が何について知っているかは分からないが、何かあった時になんとか出来るのは恐らく君しか居ないんじゃないかな」
----------------------------------------------------------------------
磯波の好感度+3(現在値21)
169 :
【51/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/09/08(月) 22:10:10.13 ID:UTAp/0VN0
満潮「……くくっ、あははは。アンタ、馬鹿なのか冴えてるのか分かんないわね」
満潮「でも……いいわ、ふふっ。司令官のこと、ちょっと気に入ったわ。アンタみたいな馬鹿は早死にすればいいのよ」
提督「だから僕が死なんようにいざとなったら頼むって言ってるじゃないの」
満潮「約束はしないわ。でも、アンタみたいに真剣な顔でアホなこと言い出すような奴に死なれたら、ちょっとつまらなくなりそうね」
提督「ふふふ、よろしく頼むよ」
皐月「……ところで、どうしてボクを呼んだのかな」
提督「磯波IIへの救助隊の旗艦を務めてもらう。君が一番戦力的に頼りになるからね」
皐月「……ふーむ。なるほどね」
提督「急に考え込んで、どうしたの? 乗り気で引き受けてくれると思ったんだけど」
皐月「いや、今回は朝潮に任せてみてはどうかなと思ってね」
提督「それはどうしてだい? 戦力的に一番優れている皐月が適任だと思ったんだけど」
皐月「ボクに考えがある。この戦いで朝潮に活躍させたい」
皐月「どうも彼女は何か精神的なトラウマがあるようだ。そのせいか分からないが、司令官から見放されることを異常に恐れているような節がある」
皐月「活躍の場を与えて、きちんと評価してあげれば、もう少し自信がつくんじゃないかと思うんだ」
提督「分かった。皐月の言う通りにしよう」
皐月「もちろん、ボクだって頑張るからね! 期待しててよね」
提督「今回は別に戦果は上げなくても良いんだよ?」
皐月「でも、戦果を上げちゃってもいいわけだよね?」
提督「……無茶しないように」
皐月「へへっ、分かってるって! 心配要らないよ」
----------------------------------------------------------------------
満潮の好感度+3(現在値18)
満潮の好感度+3(現在値16)
170 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/09/08(月) 22:14:35.69 ID:UTAp/0VN0
本日はこれまで
50切っちゃった……オワンノカコレ
いや終わらせますけれども
ってあああまたやらかしてる
>----------------------------------------------------------------------
>満潮の好感度+3(現在値18)
>満潮の好感度+3(現在値16)
正しくは
満潮の好感度+3(現在値18)
皐月の好感度+3(現在値16)
です。
ついでなので好感度まとめも置いときますねー
【好感度まとめ】
電:31(好感度上昇+6)
皐月:16(好感度上昇+3)
磯波:21(好感度上昇+3)
如月:17(好感度上昇+3)
満潮:18(好感度上昇+3)
朝潮:20(好感度上昇+3)
あ、ついでに次回用のエクストライベントも投げておく >>+1
(00〜57またはゾロ目で発生)
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/09/08(月) 22:15:46.04 ID:1D5Mywpio
うりゃ
172 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/09/08(月) 22:15:46.08 ID:slvcqDC1o
おらあ
173 :
◆Fy7e1QFAIM
[sage saga]:2014/09/11(木) 15:30:38.09 ID:f+RQE7MnO
次の投下は本日21:00を予定しています。
(書き溜めの進み具合のよっては明日21:00になるかもしれません。予定時刻に投下がなければ明日ということで)
//チラシ//
艦これに微塵も関係ないけどパッと浮かんだ小ネタ。
スレチ度MAXだけど他に晒すとこも無いですしおすし。
一発ネタみたいなものなので解説もしないし続きも書きません。
-----------------------------------------------------------
シュレーディンガーの猫「パブロフの犬がやられたようだな…」
マクスウェルの悪魔「ククク…奴は四天王の中でも最弱…」
ラプラスの魔「人間ごときに負けるとは物理学の面汚しよ…」
一同「…………」
シュレーディンガーの猫「そもそも俺ら思考実験じゃん…」
マクスウェルの悪魔「それな」
ラプラスの魔「わかる」
マクスウェルの悪魔「四人居ないと四天王にならんな」
ラプラスの魔「欠員補充しよう。あっあんなところにカラスが」
ヘンペルのカラス「ウィッス」
ラプラスの魔「あいつで良くね?」
シュレーディンガーの猫(そもそも物理学関係ねぇ…)
ヘンペルのカラス「全てのカラスは黒い!!」
マクスウェルの悪魔「は???」
ヘンペルのカラス「そこのお前らは全員黒くない。そしてカラスではない」
マクスウェルの悪魔(いや自分黒いんすけど……)
ヘンペルのカラス「全ての黒くないものを用意しろ! そうすれば全てのカラスが黒いことが証明される!」
マクスウェルの悪魔「よしきた」
マクスウェルの悪魔「ここにこの世の全てのものを用意した。そして黒いものと黒くないものに分けておいた。黒くない方を一つ一つ調べていけば分かることだろう」
シュレーディンガーの猫「お前そんなことできんの?」
マクスウェルの悪魔「気合入れたら案外いけたわ」
シュレーディンガーの猫「お前の気合すげーな。やばすぎか」
ヘンペルのカラス「フフフ……これで全てのカラスは黒いことを証明し……ウッ」
ラプラスの魔「アルビノのカラスだね。黒くはないがカラスではある」
ヘンペルのカラス「ぐわあああ」
シュレーディンガーの猫「死んだぞこいつ」
ラプラスの魔「命題が反証されたせいで自分の存在を維持出来なくなったんだ」
シュレーディンガーの猫「何それこわい」
マクスウェルの悪魔「まぁ実際よく分からんとこを売りにしてるからねウチら」
シュレーディンガーの猫「なるほど」
ラプラスの魔「おっ、今度は向こうから亀が歩いて来ているよ」
絶対に続かない
174 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)
[sage]:2014/09/11(木) 23:56:29.85 ID:13EK0/0j0
おつおつ
ついに半分越えたか
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(SSL)
[sage]:2014/09/11(木) 23:57:33.30 ID:13EK0/0j0
おつおつ
ついに半分越えたか
艦娘安価した身としては感慨深いわ
176 :
【51Ex/100】
◆Fy7e1QFAIM
[saga]:2014/09/12(金) 19:20:54.72 ID:oKs6Rxkw0
皐月「いよいよ明日、だね」
皐月「今でも君があんな風に自分の意志で司令官に従いたいと言ったのが意外だなって思うよ」
磯波「自分でもそう思います……なんであんなこと言っちゃったんだろう……感情に流されたのかな……」
磯波「でも、後悔はありません。提督の理想を支えたいという気持ちは、本当です」
皐月「磯波。変わったね」
磯波「あっ、そうですよね。普段の私ならこんなこと言いませんよね……。緊張しちゃってるのかな」
皐月「いや、全然変なことは言ってないし、変わったというのも良い意味でだよ」
皐月「前の磯波なら、これから自分が危ない場所に放り込まれようとしている今みたいな状況に置かれたら、こうしてまともに話もできないほど恐怖で怯えていたと思う」
磯波「確かに……私はいつだって他の人よりは安全な場所から見ているだけだったし、それが幸せなことだって思ってました」
磯波「平穏な日常が壊されることが、私は最も恐ろしいことだと思います」
磯波「今だって震えそうなぐらいに怖いですよ……でも、提督が居ますから」
・・・・
磯波「……初めて会った頃の提督は、上の空でどこか危なっかしくて、でも優しくて。私に歳の近い弟が出来たらこんな風なのかもなって思ってたんです」
磯波「でも、こうして私たちと過ごしていくにつれて成長していって、今はとても逞しくて頼もしい存在になりました」
磯波「提督が成長していく姿を見て、私も、提督みたいに変わっていきたいなって。提督と一緒に成長していきたいなって。そう思ったんです」
皐月「磯波は立派だよ。ボクも司令官の理想に応えたいという気持ちがあるからこそ、ボク以上に司令官を想っているであろう君に対して敬意を払いたくなった」
磯波「敬意だなんて、そんな……」
皐月「いや、今の君は尊敬に値する。ボクも友人として誇らしいよ」
皐月「まだ、司令官自身で気づいていない部分もあるだろうけど、司令官は、絶対に何かを犠牲にしようという選択肢を取らないんだ」
皐月(かつてボクが自分を犠牲にするようなことをしないで欲しい、なんて言った影響もあるのかもしれないけど)
皐月「今までだって、犠牲を受け入れればもっと容易に事が進んだ場面は少なくはなかった。でも、結果的にどんな状況下でもそういう選択を避けてきた」
皐月「ボクは司令官のそういう面に一番惹かれているんだ」
皐月「そして、今の君の姿にもそうした意志が見て取れる」
皐月「きっとこの先更に辛く険しい状況になっていくと思う。だけど……」
皐月「磯波、生き残ろう。生きて、司令官の描いた理想と共に生きていこう」
磯波「はい。誰も悲しませない、皆が幸せになる、そんな結末に辿り着けるよう、私も頑張ります!」
磯波(提督……私、必ず貴方の元に還ってきますから……どんなことがあっても)
----------------------------------------------------------------------
磯波の提督に対する想いが高まった
磯波の好感度の基本値が3上昇した
磯波の好感度上昇が以後+6になります(ただし今回のレスで好感度は変動しません)
177 :
◆Fy7e1QFAIM
[saga sage]:2014/09/12(金) 19:29:31.57 ID:oKs6Rxkw0
エクストライベントをポーンと投げてみて先制攻撃。
投下は21時以降になりますがその前にコンマ判定をしかけておきます。
>>+1 00〜59:A 60〜99:B
>>+2 00〜46:A 47〜93:B 94〜99:C
なんの判定かって? さぁなんでしょう。羅針盤的なモンじゃないですかね。
両方Aが出るとルート1
両方BまたはCが出るとルート2
それ以外の中途半端なやつだとルート3です。
まだアレなアレは起こらないけどルートによってはヤヴァイかもです。
それではお付き合い願います。
178 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/09/12(金) 19:30:12.56 ID:KSkyich3o
せいや
179 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/09/12(金) 19:37:24.51 ID:5va3QWCho
ぴゃあああああ
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