男「……いよいよメラが使える様になるとか末期だな俺は」

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250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/22(月) 20:28:23.34 ID:+UXLMnlnO

男「…………」

女性「………」


主任「今の世の中なら、『見えない存在が分かる位置』から逃げるのは当然ですよ」

主任「ましてや私達が全員血塗れでは誰でも逃げます」


男「……逞しいな主任」

主任「この歳であの営業課の主任をやるなら、こうでないと」

男「はぁ」

主任「しかし妙ですね…? 警備員が来たということは、監視カメラでもあるんでしょうかここ」

男「有り得なくないな、ってかそれだと俺ヤバくね…? 銃刀法違反だろこれ……」

主任「それなのですが男さん」

男「?」




主任「……私達がモンスターから得たアイテムは、『見える人』以外には触れても何をしても見えません」



男「!?」

主任「よくて男さんが通路を縦横無尽に暴れてる映像しか見えません」

男「!?」

251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 21:34:36.99 ID:9XLPTode0
シュールやん…

まあ見えないアレを振り払おうとしてたって言えばええな
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 21:48:32.14 ID:zdCSfr92O
そうすると、超人的な動きをしていたのは、見えないアレに振り回されてたって事にするか
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 22:13:09.47 ID:s305MR790
www
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 22:26:23.94 ID:kG+DK8EjO
乙ーーーーー!ー
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/23(火) 07:29:12.25 ID:pTJz+cqdO

主任「……とりあえず私と男さんは、本格的に警察を呼ばれる前にここを出ましょうか」

男「でもこの人は? 魔法が使えたならもしかして見えるんじゃ」

女性「……見え、る?」

主任「さっきの彼が戦っていた相手が、見えていましたか」

女性「あの黄色い……死神…?」

男(見えてる!?)


主任(よく考えてみれば、最初の悲鳴がモンスターを見てしまったからなのだとすれば有り得ますね)

主任(……でも、それだと私を手当てしていた時のこの女性の行動が説明つかない……)


主任「まぁ……彼女は彼女で、客室に荷物やこのあとの予定があると思いますし」

男「……」

男「じゃあ、その、なんと言えばいいか……」


女性「……そうですね」

男「ありがとう、貴女がいなかったら俺は死んでました」

女性「私もですから、頭を下げないで下さい! こんな事が起こるなんて……魔法? みたいなの使った今も信じられなくて……」

男「…………」


主任「エレベーターが一階からこっちに上がってきてますね、警察かも」

男「うわ、非常階段で出る?」

主任「そうしましょうか」


256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/23(火) 07:37:48.35 ID:pTJz+cqdO

< ピーポォーピーポォー

< 「退いて下さい! ここは封鎖します! 下がってー!! 」

< 「輸送車がもうじき到着するぞぐずぐずするなぁ!」

< 「警視庁の捜査官は機動隊の方々に『水』をかけろ! 急げ!」








< ウゥゥゥ……! ウゥゥゥ……!

< ピーポォーピーポォー……!


男「……凄い騒ぎだな」

主任「き、機動隊って……もしかして男さん立て籠りだと思われてたりして……」

男「ありえそうで笑えねぇえ……」

主任「冗談ですよ」

男「でもありえそうで笑えねぇえ……」


257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/23(火) 19:02:49.09 ID:nfFT69itO
一気に来た!

水かけるって事は事態に気付いてる奴らもチラホラ居るのかね
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/23(火) 22:21:10.52 ID:pTJz+cqdO


    コツッコツッ……

    スタスタ……


男「そう言えば会社、どうすっかな」

主任「休みの連絡を入れたらどうかな」

男「携帯、主任のヒャダルコでぶっ壊れたみたいですわこれ」カチカチ

主任「え」

男「……本格的に買い直しかなぁ、これ」

男「っと、あれ……ッ」グラッ

主任「!」

< ガシッ

男「…………頭が、揺れてる」


主任(顔色が悪い…? まださっきの戦いの疲労が出てるのかも)

主任「男さん、何処かで休みませんか?」

男「……」

主任「男さん?」

男「ホテルは懲り懲りっすね」

主任「ちょ、何を言うんですか!」

男「あはは……じゃあ、あの……つまんないもんしかないっすけどさ」


男「俺の家、行かないか…?」


259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/23(火) 23:22:02.59 ID:zO4ZN0tO0
キターーーーーーーーーーーーーーーーーーー
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 01:35:47.78 ID:RHwqUBCSo


【自宅】



男「そこが主任に貸す寝室、寝室出て右の突き当たりがトイレね」

主任「一人で一軒家に住んでるの?」

男「いや、妹と暮らしてたよ」

主任「妹さんは?」

男「四年前に事故で亡くなったんだ、両親と一緒に」

主任「……悪いことを聞いちゃったね」

男「気にしないでいいっすよ、知らないんだから仕方ない」


男「んで、トイレ横のがバスルーム」

主任「……」

男「えーと……や、やましい事は無いよ」

主任「借りて良いですか?」

男「どうぞ………」

261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 07:22:39.44 ID:RHwqUBCSo

< ザァァア……


男(……タオル置いとくか)バサッ

男(女性、それも主任をこの家に泊めるなんてなぁ……人生ってわかんねーや)

男(……っ…)ヨロッ


< ドサァッ!    ピッ

男「いってー……さっきから定期的に頭がぐわんぐわんする……」


< 『……機動隊が出動し、一時騒然となり…………』

< 『監視カメラのこの異常な映像から、男性の身元を調査中』

< 『なお現場にいた女性は現在警察が保護しており、詳しい状況を聞いているとの事です』


男「これ……やっぱりホテルかぁ……やべぇな、仕事クビどころか捕まるんじゃ……」

男(他のチャンネル見んのこええな)ピッ


< 『臨時ニュースです、本日都内のホテルで信じられない事が起きました』

< 『今からお見せする映像は、ホテルの宿泊客がスマホで録画したものです、CGは使われていません』






男(…………え?)







262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 07:49:30.52 ID:RHwqUBCSo


……いつからだったのだろうか。

RPG『ドラゴンクエスト』の世界を半ば楽しむ程度の認識だったのは。

戦う事で強くなれる、その考えと知識がそうさせたのかもしれない。

そして何より俺は自分は頭がおかしいと思っていた。


だが。


< 【ぁあアッははははハハァアハハハハハハハハ!!!!】ケタケタケタケタケタ

< ビュッッ!!   ダンッッガガガガガガダダダッガガガガッッッッ

< 「ぐっ、ぉおおおおおおお!!!」ダダダダッッ


男(な、んだ…………これ………………)ズルッ…


< 【嘗めるなァッ!!】

< 「ッ……!」ズサァァッ! ダンッ!!

< ガギィンッッ ドゴォッ!! ダダダダダダガガガガガガガガガガッッッッ


< ダァンッッッ!!!

< ビュッッ!!

< 「ひ、ひぃいっ!?」ガタガタゴトゴトッ!


< 『最後にアップで映った黄色の死神を見た撮影者の男性は、身の危険を感じてベランダから通報したそうです』

< 『この信じられない光景を撮影した男性は、「女性の悲鳴が聴こえたので通路を覗くと別の女性が黄色の衣を着た仮面の女に鎌で切りつけられていた」と証言しており』

< 『現場に残された多量の血痕から他の女性の存在は明らかであり、この映像の後にどうなったかを男性から聴取しているとの事です』

< 『繰り返しますが、今の映像にCGは使われていません』

< 『彼は何者なのか、また彼が見えない何かを振って応戦していたこの尋常ではない壁を高速ですり抜け、男性に襲い掛かっている女性らしき人物』

< 『一体何が起きていたのでしょうか』



男(…………は…は、ははは……)ドサッ

男(何で、何でだ……)

男(何で見えている……モンスターが何で他の人達にも見えてるんだ!?)


263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 08:06:41.33 ID:RHwqUBCSo


< ガチャッ

主任「シャツまで貸してもらってすいません」

主任「……男さん?」


男「…………」


主任「どうかしたんですか? 大丈夫…?」

男「主任……ニュース見てくれ」

主任「ニュース、ですか」ピッ


< 『……で、男性を襲ったこの人間らしき存在はもしかしたら今世界で起きている見えざる事象を……』


主任「これ……!!」

男「見えて……る」

男「あのホテルで会った女性が特別な訳じゃなかった、『あのモンスターが特別だったんだ』」

主任「見えない人達にも……見える、モンスター……?」

男「……」

主任「でもっ、これで私達は世間の人に受け入れて貰えます! 男さんも私も、見えるモンスターの数が多い程度でしかないんです!」

男「…………」


男(もし他の人達もモンスターが見えるようになって)

男(モンスターの存在が、もしも一般的な認識になったら)

男(俺が見殺しにした事は……罪になるんじゃないか…?)


264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 08:40:34.08 ID:RHwqUBCSo




俺は忘れていた。


初めてスライムに襲われた時に感じた恐怖を、混乱を。


あの痛みから感じた『本物』を。


ゲームを意識するより先に、俺が信じた現実。


そう、現実にゲームのキャラクターは出てこない。


これはゲームではない事を、俺はきっとこの世界で一番早く知っていたのだ。


テレビの中で何度も繰り返される映像は、俺がその現実に居る事を世界が認識を急がせている様に見える。


何より。


何度も聴こえてくる『死神』の笑い声は、まるで俺の苦悩する姿を嘲笑っている風に聴こえた。


俺は崩れ落ちながら確信していた。


もう、俺は戻れないのだと。




265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/24(水) 08:46:36.87 ID:WH7hmJOa0
ふうむ…
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 09:14:53.12 ID:RHwqUBCSo






─────【二週間後】─────


────【イギリス:ロンドン……ウェストミンスター大聖堂】────




父親「うわああぁあああっ!!」ブシュゥッ!!


女児「パパー!」


父親「来るなぁ!! 逃げろ、早く逃げろぉお!!」

シルバーデビル【ギキキキ、逃げたらお前のパパ殺しちゃうよぉ…?】メキメキッ……

父親「ぎぃぃぃいいいい……っっ!!!??」


女児「パパー! パパー!!」


シルバーデビル【ギキキキ……ギキキキ……!】

シルバーデビル【『死神』の野郎が見つけた依り代が馴染むぜ、だが顕現位置が違うのはどういうこった?】

父親「ば、化け物めぇ……!」

シルバーデビル【ハン、てめぇら人間はもうおしまいだぜ】


シルバーデビル【余興だ……パパの前でガキごと街を吹き飛ばしてやるよ!】キィィンッ

父親「な、何を……っ」




シルバーデビル【……『イオラ』……】キィィンッ



────────── カッ……!!

< ボォンッッ!!


シルバーデビル【!?】ピタァッ



267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 09:30:00.38 ID:RHwqUBCSo

────────── 「スラリン、スラきちで追撃」

────────── 「スラベエはスクルトを、ホイミンは彼等にべホイミを」



スライム…?「行くよスラきち!」ぴょーんっ

スライム…?B「おう!」ぴょーんっ



──────── 【『スラ・ストライク』ッ!!】 ────────



< ヒュッッ……ズドドォッ!!

シルバーデビル【ご、ごふァッ……!? てめぇ……ら、まさか……】ヨロッ


スライム…?C「皆をまもるよ! 『スクルト』!」

< キィィンッ


ホイミスライム…?「『べホイミ』っ、大丈夫……?」

父親「な、何が起きてるんだ…? 折れていた腕が治っていく……おお、神よ」

ホイミスライム…?「……」


シルバーデビル【くそがぁ!! 『イオ』!】キィィンッ


スライム…?「させない! 『スラ・ストライク』ッ!!」

< ズドォッ!!

シルバーデビル【ッッ……カハァ……!!】ドシャァアッ






────────── ポワァ・・・ン……ッ





268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 10:41:10.98 ID:26y/yp1WO

父親「はぁ……はぁ……、恐ろしい化け物だった……」

女児「パパ! こわかったよぉ……!」

父親「ああよかった、お前が無事で……」

女児「あの子たちなーに?」

父親「……ん? 何の事だ」




スライム…?B「あの娘見えてんのかー?」

スライム…?「そうみたい」


「……シルバーデビルの魔法による干渉の影響は受けていない筈だね」

「となると、漸く見つけたのかもしれないな」


< スタスタ……


「お怪我はありませんか、異国のお嬢さん」

女児「ほら! パパを助けてくれた人だよ!」

父親「な、何を言ってるんだ女児、何もいないよ」

女児「え? いるよ、ほら! 髪の毛が真っ赤だよ!」



「……見えているのか、僕が」


269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 10:55:05.02 ID:26y/yp1WO

女児「お兄ちゃん、触っていーい?」

「……」

「ああ、構わないよ」

女児「パパー! ほら、手!」ぐいっ

父親「Oh……」

< さわっ……

父親「なっ!?」ビクッ


「なるほど、子供らしい発想とはいえ説得力がある」

「これで僕の存在がやっとこの世界の人間に知られた訳だ」

「『こちらに来て四ヶ月経った』が、仲間と連絡を取れる日も近いな」


女児「?」


「ありがとうお嬢さん」

「実は私はお嬢さん達には見えない、特別な人なんだ」

女児「妖精さんみたいに?」

「そうだね、彼等と違うのは子供のように澄んだ心の持ち主でも私達を見ることが出来ず声が聞こえない」

「今はね」

女児「そうなんだぁ」


父親「女児、いったい誰と話をしてるんだ…?」

女児「妖精のお兄ちゃん!」

父親「!?」

270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/24(水) 10:58:21.52 ID:qgAzaS8YO
魔法を受けるとDQ世界とチャンネルが合うのか、見えるようになるのかな?
で、男や女児のように先天的に見える人間もいると……
海外ではドラクエの知名度低いらしいしどうなるのかな?
1〜4がdragon warriorでそれ以降はdragon questになるんだっけかな。
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 11:51:12.18 ID:26y/yp1WO

父親「よ、妖精だって? そんなまさか……」

女児「でも悪いおっきいお猿さんやっつけて助けてくれたよ」

父親「……」


「お嬢さん、私達を見える人間は僅かしかいない」

「そしてお嬢さんしか今は私の言うことが聞こえないんだ、助けて欲しい」


女児「いいよ! 今度は私が助けてあげるの!」

父親「は? え?」


「君のお父さんと話がしたいんだ、私の言うことをゆっくりとでいいから伝えて欲しい」


女児「うん!」

女児「パパ、今から妖精のお兄ちゃんの言うことを伝えるね!」

父親「うむ……」


魔物使い「はじめまして父上殿、私は『ムーンブルク国兵団』遊撃隊の、名は魔物使いと申します」

女児「はじめましてパパ、私はむーんぶるくこくへいだん ゆうげきたいの 、なわ まものつかいともうします」


父親「……」

父親(まずいな聞いたことがない……ネットで調べても出てこないかもしれないが、後で調べるか……)

父親「私はこの子の父親だが、助けてくれてありがとう……助かったよ」


魔物使い「お気になさらず、私は貴方にお願いがあります」

女児「おきにならさず、私はあなたにお願いがあります!」フンス


父親「な、なんですか……?」




魔物使い「共に世界を救うため、手を貸して頂きたい」


272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 12:52:00.91 ID:26y/yp1WO


【アメリカ・ホワイトハウス】


大統領「将軍、ではその日本に居るのかね……」

将軍「情報提供者である『彼等』の話では、連絡を取れる仲間の魔法での探索により一点の方向を指していたそうです」

大統領「それが日本か……ヒーローはまさかサムライではないだろうな」

将軍「そこは何とも言えませんが、『彼等』の話では似ているとのことです」

将軍「日本のテレビゲーム『ドラゴンクエスト』、まさか今の世界に蔓延しつつある化け物どもがゲームの中から出てきているとは思いませんな」

大統領「しかし彼等は異世界として我々のこの世界を認識し、そしてゲームではない場所から確かに来ている」


大統領「将軍、日本政府に等しく情報を」

大統領「そして彼を呼んでくれ」


将軍「ええ……」


将軍「『堀井雄二』ですね」


273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 13:36:34.99 ID:26y/yp1WO


【日本】


部長「辞表、確かに受理しました」

男「今までお世話になりました」

部長「君の事は大学生の時から知っていたが真面目に仕事してくれる良い社員だったよ」

男「そうですか?」

部長「まぁね、主任くんに続いて君もいなくなったら寂しくなるな」

部長「主任くんの所へ君が訪ねて、そして翌日に『マンション殺人』が起きてから君ら二人は会社へ来なくなった」

部長「一体何があったのかな」

男「それは……言えません」

部長「ふむ、そうかね」


男(……人事部、部長…………)

男(アンタ何者だ)


部長「? どうかしたか」

< ォォォォオオオオオオオ……!!


男(……やっぱり、か)

男「いえ、調子が悪いのでこのまま帰ります」

男「お疲れ様でした」

部長「ああ、お疲れさん」


274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/24(水) 18:52:48.15 ID:1sgSh3khO
ふぉぉお乙
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/24(水) 18:58:09.14 ID:vQg6lTsyo
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/24(水) 23:42:38.70 ID:RHwqUBCSo

< 「お疲れ様でした男さん」

< 「お疲れ様ーっ」

< 「今度飲み会行こうなー」


男「……」スタスタ

男(……主任が俺と同じく『見える人間』だと分かった、あの二日間)

男(あの後、警察が来たが軽い質問とホテルに関してだけ聞かれて終わった)

男(ただ……主任が1日以上空けた事で、主任が戦い続けていたあのマンションのヒャドが溶けてしまった)


男(……結果は最悪、日本中を本気で恐怖させる殺人事件の出来上がりだ)

男(マンション内の住民はほぼ全員が惨殺、主任が閉じ込めていた死神系のモンスターも街に解放されていた)

男(それを俺と主任がこの二週間近く倒し続けて、やっとこの地域のモンスターは大体狩り尽くしたわけだ)

男(……んで、ついでに辞表‥)


< 「男くん」

男「……」ピタッ


女「あの、ちょっといい……?」

男「女さん…?」

277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/25(木) 00:20:22.40 ID:D/OYinTAo

< ガチャッ……バタンッ


男(屋上に連れ出されるとは思って無かったなぁ、なんだろ)

女「あのね…? まずちょっと聞きたいんだけど」

男「はい?」

女「男くんってさ、私の事気になってたりするのかな」

男「……んぇぅぇ?」

女「なにいまの」

男「ええ、いやいやいや」


男「異性としてでなら、多少は意識はしますけど特に恋愛感情は……」


女「はぁ? いや、そこまでは聞いてないんだけどね……まいっか」

女「実は今日の夜頼みたい事あるの、いい?」

男「?」


278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/25(木) 09:35:23.22 ID:2KsnVIBAO
乙です。
まさかスライムもりもりまで出るとは。
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/25(木) 14:10:49.04 ID:dZ5P+hsQO
ブオーンが出ないだけまだましだよな あれ出たらもうゴジラの世界だが
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/25(木) 20:03:29.08 ID:79DOkp2nO



主任「女さんのボディーガード、ですか?」


男「そうなんすよね、女さんここ二週間近く誰かが仕事帰りに自宅近くの駅からストーカーされてるみたいで」

男「いきなり俺に話をしたのも、時期的に俺が怪しいと思ってたみたいでさ……」

主任「……あはは」

男「はー、仕方ないと言えば仕方ないにしてもここ最近は警察沙汰ばっかで疲れたよ」

主任「そうですね……私が『ここ』にいたせいで余計に迷惑をかけちゃいましたし」

男「ん、それはいいっすよもう」


主任「ありがとう男くん、少し早いけど女さんの退勤に合わせてもう夕食にしちゃう?」

男「お願いします、ええ、お願いします」



男(……この二週間で大きく変わった事はただ一つ)

男(わたくし男めは主任嬢と只今同棲生活をしております)


281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/25(木) 21:13:26.92 ID:D/OYinTAo

男(今度の週末にお互いに何か適当な昼間の仕事を探すついでに、俺の携帯買いに行くのと映画を観に行く)

男(それはいいけどさ、半分は俺の意図もある)

男(ただ、まさかあれから一緒に住むことになるとはな……)


< 「今夜はパエリアにしますね、サフラン買ってきたので」


男(……『マンション殺人』事件で、ホテルの監視カメラに映っていた俺とマンション内のカメラに手摺から飛び降りた俺が同一だと分かった時)

男(マンション内の住人でもある主任が事件後俺と共に行動して、ましてやあの日から一時的に同棲していた事で何日か聴取された)

男(結果は『それまでの関連性の無さ』と『殺人が起きたのが一ヶ月も前』だったから、他にも理由はありそうだがとりあえず俺は見逃して貰った訳だ)

男(ただ主任はあのマンションに住めなくなった)

男(それが精神的なものからか、それとも警察から何か話をされたのかは知らない)

男(……少なくとも主任が、誰かに何処に住んでいるか知られていない今の方が俺は安全だと思ってる)




男(あの人事部の部長は人間じゃないからだ)


282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/26(金) 09:24:55.72 ID:VMRfZU6nO
乙!
名作の予感
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/26(金) 21:45:44.69 ID:cYpnXNjjO

< ジャラッ


男(信仰する神は関係なく、『教会』のメダルやコインなら何でもいいんだったな)

男(主任が俺を人間か魔物かを試すのに使った方法、それが『聖水』だった)

男(聖水の作成方法は簡単だ)

男(水に教会のコインを沈める、もしくは教会の水道から拝借するだけ)

男(笑ってしまう程に簡単だが、効果は今の世界では絶大な意味を持つ)

男(モンスター……例えばスライムやドラキーにかければ、それだけで即死するからだ)

男(当然、その位に弱いモンスターなら即死させる水を飲ませたら、モンスターならばやはり即死、殺せなくとも正体を現す事になる)

男(俺はこの方法を聞いてから、直ぐに会社にいる部長に試した)

男(あの男が飲もうとしていたコーヒーに聖水を少し混ぜた)



男(結果は、奴が一瞬だけ姿を見せただけで終わった)

男(あのシルエット、全身に蟲が這う様な感覚……『モシャスナイト』なのは明らかだった)


284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/26(金) 22:05:14.91 ID:cYpnXNjjO

男(本当に僅かな一瞬とはいえ、姿を現した)

男(そしてその正体を見れたのは本当に幸運だったかもしれない)

男(今の俺では勝てるか分からない、ましてや『いつから部長になっていたのか』分からない以上、これからはもう関わらない方が良い)


男(……もし俺が最初に怪しんだ通りの理由で会社へ潜入し成り済まし続けているなら)

男(『敵』に俺や主任の事を知られる訳にはいかない)

男(あのモシャスナイト、もし『主任が見える人間だと分かったから』部長に成り済ましていたのなら)

男(目的は……主任を孤立させる事だった)


< 「少ししたら出来上がるよ」

男「ありがとうございます」


主任「難しい顔をしていたように見えたけど、大丈夫?」

男「俺は問題ないっす」

主任「そう? 無理しないで下さいね」

285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/27(土) 21:37:05.62 ID:fMvFdDnDo
むこうも単独犯ではなくて、奴等との繋がりを警戒して
孤立させてから始末させるつもりだったって事か
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/30(火) 12:04:23.25 ID:OtD+U/w60
あれ?これわりと人間側が詰んでないか…?
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/30(火) 21:24:56.56 ID:IamPxsz+O

男「……強いて言えば」

主任「?」

男「よく聖水の事を思い出したな、って思って」ジャラッ

主任「ああ、最初の頃は私……スライムにも勝てなかったから……」

男「女性だもんなぁ」

主任「それもあるし、流石に包丁やバットを振り回してたら危ない人でしょう?」

男「ま、まぁそっすね……」グサッ

主任「かといって人目のつかない所はモンスターの数が多くて、やっぱり危ないし……」

主任「だから私、聖水とかあったらなーって考えてね?」

主任「『ヴァンヘルシング』って映画を知っています?」

男「洋画かな?……パイレーツオブカリビアンとかなら見てるけど」

主任「ヴァンパイアハンターのお話なんですが、その中で教会の水道から出る水を聖水と言ってるのが有ったんです」


男「……もしかして、それで?」

主任「うん、試しに近くの教会でペットボトル一本の水を採らせて貰ったら、それだけでモンスターが寄り付かなくなったの」


主任「勿論、少量を撒いても効果は有ったし、モンスターにかけてもダメージが有ったから本当に助かったの」

288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/01(水) 00:52:41.08 ID:THFqJwhio
この事件の後、水道施設に教会が併設される事となり
大規模な癒着と教会権力が新たな問題になるのであった
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/01(水) 23:01:02.23 ID:sZ2O/7Mo0
自然の水をろ過し聖水化させる装置が開発され大ヒット。飲みやすくさらっとした飲みごたえが聖水ブームを巻き起こした
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/04(土) 00:42:48.21 ID:ghfQrHeKO
なんだか動物愛護団体がモンスターを[ピーーー]なと騒ぎそうな気がするなぁ
嫌だなぁ、なぁんか怖いなぁ
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/04(土) 21:57:52.81 ID:NQ79qc9DO

主任「大変だったんだよ、コインをたまたま助けた人に貰って、それをたまたま水に落としたら光ったりしたんですから」

男「光ったんすか…?」

主任「うん、それも驚く事に水面だけでしたからあの時は余計にびっくり」

男「なるほど」

主任「うん」


男「……」

男「この二週間忙しくて言えなかったけど、ありがとうございました主任」


主任「急にどうしたの」

男「死神と戦った時に、俺がピンチだったのを助けてくれたじゃないっすか」

主任「あれは……助けてあげられたのかな」

男「俺にとっては間違いなく助けて貰ったんですよ」

男「それにほら、最後のヒャダルコとかも……まさか客室から出てきた主任がスマホで指示を出すとも思わなかったし」

主任「あはは……」

男「あれはちょっとピンチとはいえ笑いそうになった」

292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/06(月) 07:41:28.92 ID:8hlxMoFao
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/07(火) 00:21:11.28 ID:ltq968xKo
乙!
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/07(火) 16:03:16.57 ID:cRyNKopmo
熱くて読み直したけどまた読んじゃった
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/07(火) 20:10:08.86 ID:/UlVBuqfO

男「スマホが文章ズームとか出来るって知らなかったし、んでもって指示内容が『一瞬だけ時間を稼いで』だもんな」

男「ヒャドでいいから直ぐに助けて欲しかったかも?」

主任「感覚的に、ヒャドを二回……ヒャダルコを一発撃ったらMPが切れる気がしたの」

男「あ、そういえばwikiで調べたらドラクエのMPは『マジックパワー』らしいっすな」

主任「魔力ってことかな、感覚だけで言えば精神力って感じだけれど」

男「メラを何回撃てば実感出来るかな…?」

主任「余り経験はしなくていいと思いますよ? 目眩がして、集中力が無くなって感情的になりやすくなるので」

男「……マジか」


主任「さてと、そろそろパエリア出来上がるので待っててくださいね」スッ


男「うっす」

男(ニュースでも見るか)

男(まだ俺の映像出てんだろうけど、こればっかりはなぁ……)ピッ


< 『次のニュースは、午前に起きた大変可愛らしい珍事件です』

< 『赤ちゃんがベビーカーから落ちたかと思いきや、突然走り寄ってきた大型犬が赤ちゃんを見事背中で……』


男(……どのチャンネルも俺の事、もしくは世界の何処かでモンスターの被害を受けた事か、或いは平和な日常を映してるな)ピッピッ

男(ま、これはこれで気が楽か)ピッ

< 『……頃、アメリカのネバダ州ラスベガスの大型カジノで保管していた…』


< 「男さーん、ちょっと手伝ってくれますか?」


男「ん、りょーかい」


< 『……強奪された金品等から合わせて被害総額は予想されるもので数十億を越えており、現在強奪した犯人達を追跡しているとの事です』

< 『しかし複数の犯人達は全員「緑の装束で全身を隠しており」、監視カメラの全てが凍結されていた事で依然として新たな手掛かりが無く、重傷を負ったカジノの警備員の男性の証言しかない様です』


296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2015/07/08(水) 14:07:52.16 ID:csV16xuSO
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/08(水) 21:10:07.23 ID:WYZXcphUo
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/11(土) 09:34:35.93 ID:JiLCuhNTO

〜 【二時間後……】 〜



男「ご馳走さまでしたっと」

主任「そろそろ女さんが退勤する頃だし、先に彼女の自宅近くの駅へ向かいましょうか」

男「まだメールは来てないっすよ」

主任「夜だし、彼女の話では相手がはっきりと人間か見てないのでしょう?」

男「あ……」

主任「そう、ここ二週間といえば遂に私達以外の人にも見えるモンスターが現れた後なの」

主任「だから念の為に私達二人で様子を見ておきたいなって」

男「りょーかい、それなら先に行くので正解っすな」

主任「それじゃ準備しましょっか」


男「んじゃ俺は薬草でも二枚ほど……」

< prrrr……

男「お、家の電話か」スタスタ

男「はい」ガチャッ


主任「さてと、私は私で聖水と例のアイテムをポーチに入れて、と」ゴソゴソ


男「ああ、お袋か! 久しぶりだなぁ、妹や親父は元気にしてんのか?」


主任「…………」ピタッ

299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/11(土) 09:46:25.43 ID:JiLCuhNTO

主任(今……何を言って…?)


男「会社? あー、うん……そうなんだよ、てか何で知ってるんだ」

男「部長が連絡したのか」

男「いや、別に何もないよ」

男「最近物騒だろ? 外に出ない仕事でも見つけようかと思ってさ」

男「はは……妹は相変わらずだなぁ、お袋は調子どうなんだよ」


主任(…………)

主任(きっとこの間のはからかってたって事なんだよね、質が悪いなぁ……)ゴソゴソ

















男「そうだな、また今度一緒に海外に行きたいなぁ……もうバミューダ島の沖には行きたくねえけど!」あはは

男「四年前は『事故になる前に親切な人達に助けられた』だけなんだからな!」


300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 11:13:37.37 ID:mykwhmDDO
いいね
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 11:49:20.64 ID:35z3oKfo0
天涯孤独じゃ…?
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 11:50:39.48 ID:2ktJu7UMO
両親妹って…
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 16:11:52.84 ID:8ddAYECOo

お袋に合わせて…それとも男に?しにがみとの会話で気づいてなかったけど四年前「誰か」に会ってたのかな?
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/11(土) 20:31:52.90 ID:RYbn+kOYo
どのパターンだろ
敵の改竄じゃなさそうだけど
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/12(日) 21:49:14.50 ID:zKVHm+ItO


─────── …… ポワァ……ンッ



主任「ふぅ、男くんと一緒に戦うと多少囲まれても無傷で殲滅出来るね」スタッ

男「主任のレベルがいまいち分かんないな……俺よりすんげぇ速いのに、腕力は無いんだもんなぁ」

主任「それはこっちの台詞だよ、男くんは呪文をあまり使えないのに鉄の鎧のさまようよろいを叩き斬れるんだから」

男「とりあえず二週間で知った事を踏まえて、もう少し連携を上手くならないとっすよ」

主任「もう充分連携取れてないですか?」

男「時々、タイミングが合ってないなって思わない?」

主任「全然」

男「そ、そっすか……」


< テテテテーテッテーテッテレー〜♪


主任「女さんがそろそろ駅に着くそうです」

男「FF………………?」

主任「?」

男「な、なんでもないけどさ」

男(ドラクエに続きFFか、ホントこの人って会社にいた頃と比べて意外なイメージばっかだ)

306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 22:52:05.95 ID:DmT4d52ko
テンテンテテンテ、テンテンテテンテ、テンテンテンテテー
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/13(月) 09:24:19.50 ID:a/AlXAIZO




男「お疲れ様です女さん」

女「ありがとー、ごめんねこんな時間に付き合って貰って」

男「まぁ会社で仲良くして貰ってたし、構いませんよ」

女「頼りになるねぇ! 頼んだぞボディガード!」

男「おう」

女「それじゃとりあえず私の家に行く前に、コンビニ寄りたいから行くよ」

男「りょーかい」



男(……俺らの背後は任せたっすよ、主任)チラッ


< ……コソッ



308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/13(月) 09:44:48.68 ID:a/AlXAIZO

< コツッコツッ……


女「そういえば、男くん最近のニュースとかテレビ見てるかな」

男「一応は、なんで?」

女「最近某区のホテルで凄いの出たでしょ」

男「あー、あの黄色っぽい死神……」

女「死神?」

男「っぽくないですかね、あれ」

女「黄色い死神って何だかダサいような気がするな私ー」

男「じゃあ何だと思います?」

女「とりあえず悪そうな奴だよね、男くんに襲いかかって笑ってたし」

男「あんな鎌振り回してたら普通悪者でしょう!?」

女「そう? あはははっ」


女「ねぇ、気づいてる?」

男「ん? ……何がです?」チラッ

女「違う違う、後ろとかストーカー関連じゃなくて……まぁいっか、君って面白いなぁ」

男「??」


309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/13(月) 09:58:04.04 ID:a/AlXAIZO

< 「何なんですかー?」

< 「いいっていいって! あ、それよりチューハイ奢ったげよっか?」


主任(……こういうボディガードって暇かも)ふぁあ…

主任(世間的に私が男くんの家にお世話になってる事を女さんに知られない様に……とは思ってたけど)

主任(適当な嘘をついて普通に男くん達と行動すれば良かったかな?)

主任(でも私、会社辞めたのに男くんとボディガード付き合うっておかしいよね)

主任(それにここら辺のモンスターを倒しておいたけど、もしかしたら追加とか出るかもしれないし)

主任(例のストーカーの事もあるしね)


< ……スタ…スタ…


主任(!)

主任(人影……モンスターじゃなさそう)

主任(フラフラ歩いてて、何だか怪しい……)

主任(……)


< ……スタ…スタ…


310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/13(月) 10:06:21.82 ID:a/AlXAIZO

男(……?)

男(さっきから主任の足音以外にも、少し主任より前を誰かが歩いてるな)

男(足取りが千鳥足に近いから酔っ払い……か?)


女「所で男くんって、携帯壊れちゃって今は代わりのを使ってるんだっけ」

男「ですね、もうチップまで粉々になったんで連絡先をまた登録するのめんどいです」

女「ありゃりゃ、何で壊れちゃったの?」

男「ちょっとタンクローリーに潰されまして」

女「どんな状況!?」


311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/13(月) 12:29:02.97 ID:3YDEs8B1O
どっかのスカルな探偵さんじゃないんだからさぁ……
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/13(月) 22:06:27.92 ID:a/AlXAIZO

< 「とりあえず俺はファミチキでも……」

< 「なら私は肉まんかな」



……【…………イ、ィナ…ァ】



主任(喋った……声からして歳は四十後半? モンスターじゃなくて良かった)

主任(何かする前に通報しようかしら)



……【オデ……の、ぉンナさん…………笑顔、カワイ……】



主任(気持ち悪いなぁ、とりあえず110番でも)スッ


    グルンッ!!
……【……お前の顔はキライだァ……】



主任(気づかれてた!?)ビクッ

主任「……っ」

主任「人間じゃなかったんですね……モンスターめ」






腐った死体…?【オデ……オマェ、見エてる…?】






313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/13(月) 22:43:05.19 ID:a/AlXAIZO

━━━━━━━━ 【届かぬ声】



主任(『くさったしたい』……ゲームで何度か見たことがある、けど……)



…………『そういえば主任、気をつけて下さいね』

…………『この間、俺達が戦った「話せるモンスター」』

…………『俺はあの死神を含めて二度戦ってます、戦ったんだ、だけど二匹とも明らかに強かった』

…………『今の俺を数値化するなら、レベル9か8だ』

…………『そして普通のモンスター達はレベル5程度……だが話せる奴等は、知識も経験も、何もかもが別格なんだ』

…………『だから、もしこれから先で主任一人でそいつらと出会ったなら、気をつけて欲しい』




主任(……このくさったしたい、性癖こそ人間らしい最低男だけど……)

主任(話せるモンスターが強いなら私がすべきなのは戦闘ではない……助けを呼んで協力して倒すべきだね)


主任「男さ………………きゃぁあ!?」ドサッ!

主任「なっ……ひぃ……!?」ガシィッ

< メキメキメキ……ズボォッ!


腐った死体【ォ"ォ"ォ"オ"オ"オ"オ"……!!】

腐った死体B【ォ"ォ"ォ"オ"オ"オ"……!!】


主任(アスファルトを破って、地下から……!?)

主任(それよりも、このままだと身動きが……)

主任「男さん、助け……」


腐った死体…?【オマェ……コロス】キィィン


主任「えっ……」


腐った死体…?【『ギラ』】

───── カッッ!!! ─────




< ゴバァアアアアッ!!




314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/13(月) 23:10:00.40 ID:Lo/ZqIhKo
ああっ、服が
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/14(火) 09:37:23.84 ID:wJleCNocO

  ゴォオオオオオ・・・!


腐った死体…?【…………に、匂ぃ……ガすル……】

腐った死体…?【マダイキテ……る、コロス、コロス、殺せ……】


腐った死体【ォ"ォ"オ"】

< 「『バギ』!!」


    ゾンッ!!


腐った死体【ォ"ォ"オ"オ"オ"ッ!?】ベチャァッ


主任「気持ち悪いですね……人間に近い構造をしているから、尚更」ビュォオッ

主任(ああっ、服が……これだと私やばくないですか、男さんにも見られるし)

主任(それより厄介ですね、男さんのいるコンビニを巻き込んだら一般の方が死にかねない)

主任(魔法を使うくさったしたい、そんなの『私の知るドラゴンクエストシリーズでは一度も見たことがない』)

主任(……男さんに持たされた物はさっきギラを防いだ時に、道端に立て掛けましたが……果たして気づいてくれるかどうか)


腐った死体…?【『ギラ』】キィィン


主任「ッ! 『バギ』ィッ!!」ビュォオッ



316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/14(火) 09:46:13.12 ID:wJleCNocO
〜 【コンビニ店内】 〜



< ゴバァアッ!!


男「!」ピクッ

女「どしたの、そんなびくっとして」

男「今の、聴こえない?」

女「何の音?」

男「爆発音……もしかして聴こえてないんすか!?」

女「聴こえないよ、え、なに? 外からなの?」


男(呪文を使った爆発音だからか? だとしてもまずい!)バッ

女「男くん!」




< ウィーンッ


男「主任!!」

    ジュゥゥウウウ……!

男(アスファルトがあちこち捲れて……ってか、これ溶けてるのか!?)

男(メラじゃねえよな、まさか『イオ』とか…?)

男「主任!! 何処だ!!」ダッ

男(くそ、いない! 一体何処に……!)


317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/14(火) 11:42:23.34 ID:wJleCNocO

〜 【男が気づく僅か七秒前】 〜



    ゴバァアアアアッ!!


主任「〜〜っ! く、ぁッ……! 『ホイミ』!」シュッッ

< トンッ!


主任「はぁっ……はぁっ……!」クラッ

主任(ギラをまともに受けたら、HPが残ってるとか関係なく、動けなくなるかも……!)

主任(咄嗟の『バギ』で弾こうとしても、思ったよりバギの風はギラほど押し出す力が無いみたい、あくまでも風の刃でしかない……!)


< ズダンッ!

腐った死体…?【オマェ、レベルから想像したノよリ……思っタょ…り速い……コノ世界…のニンゲン…ダカラカ……?】


主任(……民家の屋根で立ち止まってるのも気持ち悪い、このまま移動して周囲を気にせず戦える場所へ行こうか)ググッ……


< バッ!!


腐った死体…?【逃がさ……ナィ……!】ビュバッッ


318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/14(火) 21:33:36.69 ID:lvqXetl9O
1ってドラクエシリーズはどれやってたの?
319 :初の酉付き>>1 ◆3Jh764FmrU [saga]:2015/07/14(火) 22:17:37.05 ID:VQ4oQWVvO
【休憩代わりの質問回答(投下を再開するまで)】

>>318
A、DQ&リメイク&剣神DQ、DQ2&リメイク、DQ3&リメイク、DQ4&DS版、DQ5&PS2版&DS版、DQ6&DS版、DQ7、DQ8、DQ9(ストーリーのみクリア、やりこみ要素は放置orすれ違い皆無)、トルネコD、トルネコD2&GBA版、トルネコD3&GBA版&PS2版、ヤンガスD、DQMテリー、DQM2イルルカ一式(ルカのみ「スラお」等完成)、DQMJ、DQH←プレイ中

です。
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/14(火) 23:25:29.27 ID:ivAhHyFdo
ダイの大冒険はありですか?
321 :>>1 ◆3Jh764FmrU [saga]:2015/07/14(火) 23:57:44.91 ID:fhZBbDoJo
>>320
A、あり(何がかは分からないが)です。
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/15(水) 22:38:49.91 ID:iyl9ofQ/0
回答ありがたい
結構やってるのなー
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/25(土) 02:30:49.27 ID:z762+4oJ0
つまりアバンストラッシュとかメドローアとか五指爆炎弾も夢じゃないという訳か
324 :sage :2015/07/30(木) 22:12:21.95 ID:oa7L2fLQO
生きてるか?
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/30(木) 22:30:30.51 ID:nPCawXZjo
DQ11の発表で忙しいんだよ
あちら側との調整とか
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/15(土) 08:38:19.37 ID:40x12NAAO
最後の更新から1ヶ月たったな。
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/15(土) 17:28:00.97 ID:1w2pgpufO
本人からの書き込みが必要なのは2ヶ月だから黙って待ってろカルロ
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/15(土) 17:36:39.14 ID:QPXUz8Zvo
確か2ヶ月経っても処理される前に書き込んだら一応ノーカンなんだっけ?
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/17(月) 08:43:20.04 ID:QddgUq7AO
それは分からんが、誰もレス書かないと1ヶ月てアウト。
あと、327はもう少し言葉を選べ。醜いぞ。
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/19(水) 09:50:25.61 ID:OAJrQYtoo
他のとこでもこんなレスしないように言っておくが
この程度でマジレスするほうが見てて酷いぞ?
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/19(水) 12:53:12.07 ID:xpjczqIjO
うんわかった!
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 19:01:50.01 ID:wPCduVd3O
まだかな
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/04(金) 07:21:52.49 ID:z3SJnS4AO
あと10日か
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/13(日) 09:35:08.13 ID:EbsVfxepO

< ウィーンッ


女「もう、急に男くんどうしたのさぁ……」

女「ってあれ…?」

女「うわっ、何これ道路がメチャクチャ……もしかして男くんの言ってた爆発ってこれかな」

女(ガス爆発…? 事故…? どっちにしても危ないかも)

女(男くんはもういないし……)


< 「あ、あの……」


女「?」


初老「こんばんは女さん…な、何だか凄いことになってますね……!」

女「え…? そうですね、あの、どちら様ですか…?」

初老「あっ、ごめんなさい! ほら僕はその……」

< バチバチッ…

初老「女さんの恋人の初老ですよぉ」



女「……!!」


335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/13(日) 09:49:59.66 ID:EbsVfxepO

初老「ずっとお話したいなって……思ってて……えへへ」

初老「今日は変な奴につきまとわれてたみたいだから、家から女さん守る為の武器持って来ちゃいました……」

初老「だからもう、大丈夫ですよぉ」


女「ぁ……ッ、っ…!」

女(やだ嘘でしょ……今、コンビニに逃げ込めばなんとかなる……かな…)ザッ…


初老「女さん、僕と帰ろう?」

初老「大丈夫だから、安心して……」

< バチバチッ…


女「っ」バッ

女「誰か助けてぇえ!!」ダッ…!!



< パァンッ!!
          チュインッッ
女「ひっ!?」ピタッ

女(え…? え……?)



初老「……そっちは危ないよ」カチャッ

初老「そこのコンビニにいた元カノはね、そこの奴等に何か吹き込まれたんだ」

初老「そうしたら、いつものように僕が彼女を見に行った時に変なボタンでSECOMやら警察やら呼ばれちゃって……」

初老「おかげで僕……仕事が無くなっちゃったんだぁ」


初老「そんな時に君と出会った訳だけど、とりあえず僕と帰ろうか女さん」


女(拳…銃……)へたっ…

女(や、やだ……誰か……)


336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/13(日) 13:07:44.02 ID:fSlNHFK/0
うおおおかえり
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/13(日) 21:43:21.80 ID:EbsVfxepO



────────── バキィンッ!!



主任「……」ゼェ…ゼェ…

主任(侮っていたのは私、そういうことかな)

主任(このモンスター……多分…………)


腐った死体…?【ぉォ……ぉい詰めタ……】バキバキバキッッ

腐った死体…?【お前、コロ……こロコろ殺す、呪文もコの程度なら怖くナィ……】


主任(ヒャドが効かない、バギで付けた傷も癒えてる)

主任(このモンスター、私が出会った中で一番強く思える……)

338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/14(月) 12:03:33.82 ID:KPCIFRNgo

ストーカーどっちもヤバイな、潰し合えばいいのにww間に合え男!すぐに倒して戻るんだ
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/14(月) 18:30:05.20 ID:VkhNCVKAO

期限ギリギリだな。
間に合って良かった
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/14(月) 21:41:28.58 ID:/pvVLCItO

腐った死体…?【死ね】


< ボッッ!!
          ズバッ……!

主任(落ち着いて動きを見れば避けられない攻撃ではない、なのに……)タンッ

主任(『攻撃の予備動作に反応出来なければ』ッ!)




    ゴバァッ!!



主任「きゃぁあ!?」ドサァッ!!

主任(ッ……、一撃でギラ以上の破壊力! そもそも余波だけでアスファルトを抉るってどんな法則無視の一撃なのッ)ぐぐぐ……

主任「『ピオリム』!」キィンッ

主任(逃げながら男さんを見つけて、二人で戦うしかない! 先ずは逃げ切ってみせる!)ダンッ!



腐った死体…?【……マタ逃ゲた…】

腐った死体…?【……!】ピクンッ


341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/15(火) 07:40:55.09 ID:Cf5NRBFdO
きた!
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/15(火) 10:48:20.55 ID:096jSZSGO




腐った死体…?【そ、そそソソソソぞうカ】


腐った死体…?【この先…、タシか……】


腐った死体…?【…………】


腐った死体…?【……ド…、どうせ他の地区はオデとハ…違うだろウが……】


腐った死体…?【逃がされても困ル……オデが、確実にコロス……】ググッ




343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/15(火) 10:59:52.21 ID:096jSZSGO

< スタッ!

男(糞、主任が見つからねえ……!)

男(逃げたならいい、だけどあの主任が逃げに回ったなら助けに行かねえとまずい)

男(どうすりゃいい、さっきから携帯で呼び掛けても出ないぞ)

男(…………)


< ゴォ……ンッ


男「!」

男(主任か? でも音が遠いッ!)

男(こうなりゃ最後の手段か…っ)


男(……届いてくれよ、俺の新技)


344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/15(火) 11:10:24.06 ID:096jSZSGO

─────【男の居る位置より西側2キロ】─────


腐った死体【ォ"ォ"オ"ッッ】

主任「くっ、やぁッ!!」

< ドゴッ!

腐った死体【ォ"ォ"オ"ォ"ッ!?】ズサァッ

腐った死体B【ォ"ォ"オ"オ"】ブンッ


主任「ぎっ……ぁ!?」ズバッ

主任「ほ、ホイ……」


腐った死体…?【ォオオオオッ!!】ギュンッッ

< ゴバァッ!!


主任「 ──────────ッッ!! 」ドサァッ!! ゴロゴロ……!!

主任(ぅ……ぐ、どうしよう……囲まれた……)ヨロッ…

主任(腐った死体達だけなら、逃げ切れたけど……まさか、こんな所にも……っ!)


345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/15(火) 11:41:58.53 ID:096jSZSGO



バンパイア【キシシッ、まさかこんなつまらない夜に面白い獲物が舞い込んで来るとはな】

バンパイア【品の無い輩が混じってはいるが、ね】



腐った死体…?【………】じろっ

バンパイア【キシシッ】

腐った死体…?【………】


ベビーサタン【キキキッ】

ベビーサタンB【キキキッ】バサバサッ


主任(……逃げ切れない)

主任(ううん、それだけじゃない! あの如何にも吸血鬼みたいな男も多分『喋るモンスター』……連続して遭遇するなんて…!)

346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/15(火) 12:14:59.28 ID:096jSZSGO

バンパイア【さて、殺すのは構わないがそこの人間には聞かなければならないな】


主任(……時間を稼ぎながら、何か手を打たないと)

主任「聞きたいこと…?」


バンパイア【近頃我々『指揮官』を各個撃破している輩がいる、仮にも人間を遥かに凌駕する力を持った我々をだ】

バンパイア【信じたくはないが『こちらの世界』の人間に撃破された可能性がある、そこで貴様に問うのは……】

バンパイア【『心当たりはあるのかね』?】


主任(……男さんの事、だとしたら…)

主任(それに指揮官って言ってたし、普通のモンスターを統率するこんなモンスターの事を示すなら間違いない……)

主任(けどそれを話しても男さんが狙われるだけ……)

主任(………)


腐った死体…?【……ヤッぱり、オデ…コイツコロす……】

バンパイア【馬鹿め、出しゃばるなよ役立たずめ】

腐った死体…?【……………ナ、ニ……?】ギロッ…

347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/15(火) 12:26:58.36 ID:096jSZSGO

腐った死体…?【ぉ前……】

バンパイア【初期の依り代で不完全な顕現しか果たせなかったらしいじゃないか】

バンパイア【それに比べ、私は遂に最もこの世界に適した依り代を与えられて力を与えられたのだ】

バンパイア【どちらが優れているかは自ずと分かるだろう】


腐った死体…?【………】

腐った死体…?【嘗めるなよ下等種族が……】


バンパイア【言ったな時代遅れの老害め……!!】



ベビーサタン【……?】オロオロ

腐った死体【……】ボー…




主任(な、仲間割れ…?)

主任(今なら振り切れるかもしれない)チラッ

主任「………!」ピタッ

主任(何…? 向こうの空に何か赤い光が打ち上がって……)


主任(もしかして……!)バッ!!


348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/15(火) 12:59:35.96 ID:096jSZSGO

バンパイア【貴様の様な奴にこの私が敗れるとでも……】

< 【キキキッ! キーキー!】

バンパイア【何だ】

ベビーサタン【キーキー!】パタパタ

バンパイア【なに!?】バッ


< シュタタタタタッッ……!!


バンパイア【逃がすな! 追うのだ!】

腐った死体…?【……フ】

バンパイア【チィ、あの方向は貴様の担当地区だろう! 追わせろ!】

腐った死体…?【………】バッ

腐った死体…?【アッち……の、空に…何かが打ち上げラれテイル…!】ダッ!


バンパイア【何ぃ…?】


349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/15(火) 13:10:10.12 ID:096jSZSGO

男「ぜぇっ……ぜぇっ……!!」タッタッタッ

男「メラッ!」ボンッ

< ヒューン……パァーンッ

男(メラは一定の距離を飛ぶと赤い光になって弾ける)

男(こいつを空へ打ち上げりゃ、主任に見えるかもしれない…!)

男(そして俺自身が光を放ちながら建物の上を走ればかなり目立つ筈)

男「……何せさっきから大量にモンスターが俺の事追ってきてるし」

< 【ピキー】【シィイッ】【キーキー!】
< 【ォ"オ"オ"…】【キィー!】





男「主任!! どこだぁあああ!!」タッタッタッ…!




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