男「……いよいよメラが使える様になるとか末期だな俺は」

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148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/31(土) 01:30:28.43 ID:QSlK2wMFO
ぱふぱふのお姉さんも現実化してくれるんだよね…ウヒヒ

あぶないみすぎきた踊り子とか
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/01/31(土) 11:26:57.15 ID:fUluSgMLO


< ゴッ!!


男(落ち着け落ち着け!! よく見ろ、危惧すべきはあの一角だろがッ)ズザァッ

男(間一髪避けたとはいえ、刺されれば重傷)

男(一角が半ば以上、氷の張られたマンション壁のコンクリートに突き立てられてやがる……防ぐのは無しだ)


男「メラッ!」バッ


< ボンッッ!!

アルミラージC【ギィッ!?】ドシャァッ


アルミラージE【キィッ】ダダッ!!

男「ッ……!」ヒュッ


──────── グシャァアアッ

< ドシャァッ……ポワァン……


男(メラで吹っ飛ばした奴はまだ生きてる、なら殴って倒す方が早そうか)

男(落ち着け……落ち着け、さまようよろいに比べたら何も恐くねぇ……)

150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/01/31(土) 11:36:15.03 ID:fUluSgMLO

< ダダッ!!

< 「らぁっ!!」ヒュッ

< グシャァアッ!……ポワァン……


< 「よし……カウンター決めれば頭を潰せるな」

< 「来いウサギ共!!」












【……シィィ…………】

【……】

< チャキンッ

【…シィィ……ァアァハハァハハハハあハハハハッッ!!】ケタケタケタケタ


───── ヴオゥンッ ─────












151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/01/31(土) 11:55:28.18 ID:fUluSgMLO


< 【 アァハハァハハハハあハハハハッッ!! 】



男「っ!?」ビクゥッ


真夜中のマンション、いや、近辺全体にすら響き渡る様な甲高くもどこか低い笑い声が鳴った。

それは戦いに集中していた俺でさえ、足が竦む程の異質な警告音に聴こえたのだ。

現に目の前のアルミラージも動きを止めて……



────────── ヒュルンッ……



アルミラージ【キッ……ギュア 】



……動きを止めた瞬間、アルミラージの横にある『住人の部屋から』扉ごと一閃が薙いだ。

そして俺がその一瞬の光景に凍りついていると、予感していた結末が訪れた。


< ズルッ……ビシャッ…ポワァン


男(ッッ……ッ!!)


アルミラージの体が遅れて分断され、氷の張った通路床に崩れ落ちる。

消えていくモンスターの残滓を見た俺の体が即座にマンションの外へ飛び出そうとした。

何も考えていない、反射的な逃走。

しかし。

手摺に足をかけた瞬間にその行動は遅かった事を俺は思い知らされた。


堕ちる様にマンションから落下する俺を追いかけてきた、1体の死神によって。


152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/01/31(土) 13:45:52.27 ID:fUluSgMLO


< ヒュゥゥゥッ……

男(……ッ)バッ




───── ヴオゥンッ ─────




男「今の……!?…嘘だろ…」

男「こいつ、たしか……」ヒュゥゥゥッ





死神【 アァハハァハハハハあハハハハ……アハハハハハハハハハハハッッ!! 】






男(ドラクエ2か…? 死神なのは間違いないだろうが……ッ)

153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/01(日) 11:26:10.01 ID:AYvWS+r8O

手摺から飛んだ俺の背後から、空気を布が叩き煽る様な音を慣らして現れたのは死神。

扉という障害物をすり抜け、凍りついた手摺を乗り越えながら、高速で浮遊するその橙色の煙にも見えるローブに身を包んだ者。

手に持つのは、一目でそれと分かる巨大な鎌。

そして何よりも……鳥肌が立つ程に白い顔の中で光る赤い眼と裂けた様に笑う口。


さまようよろいや、人を撲殺するおおきづち等とは決して違う種類の恐怖。



男「うぉわぁあああああああ!!!!」バッ

男(だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ……!! 攻撃、冷静、お、落ち着……)



唇が震えて呪文を叫ぶ事が出来ない。

もうすぐ地面のアスファルトに叩きつけられてしまうのに、俺は眼前に迫る死神から意識を逸らす事が出来なくなっていた。


死神【ァァああははァはァはあはははァはハッ!!!】


死神の鎌が高速で回転し、夜空を背後にした切っ先が突き立てるかの様に俺を…………



154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 11:39:46.44 ID:O5W7ZiLxO
(お、キルバーンか?)
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/01(日) 11:55:34.13 ID:AYvWS+r8O


────────── 「『ヒャド』ッ!!」



死神の鎌が振り下ろされ、俺の胸を地面に縫い付けるより早く、何処からか撃ち込む様な声が走る。


死神【シィッ……!?】


直後、二本の太い……淡く蒼白に光る矢が死神を側面から襲ったのだ。

反射的に、俺は矢が飛来した方へ視線を移そうとする。

……だが同時に俺は、長く感じた僅かな一瞬の出来事を目にしながら遂にアスファルトへ背中から叩きつけられてしまった。


< ドッッ!!

男「ぅぐはァッ……っ…!!」


咄嗟に後頭部へ手を回していたものの、心臓がバウンドするにも似た凄まじい衝撃に打たれ、揺さぶられた意識が一気に潰されてしまう。

目蓋を開ける力すら、気怠くなり……そのまま俺は全身の力を手放した。



<     「 ?  っ!!    っ」



誰かが俺の体を揺さぶっている。

何処か、久しぶりに聞いた声の筈なのに、返事が出来ない。

数瞬して揺さぶってくる相手は俺が意識を戻さないのが確実だったからか、そのまま強引に俺を背負うと走り出した。

そうして……俺は顔に当たる夜風を気持ちよく思いながら、僅かな意識が完全に途絶えた。

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 13:23:19.83 ID:QaOve74VO
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 13:27:55.98 ID:hZ/QKNIzO
意識が戻ってボンヤリと瞼を開けると見知った顔の女性が俺の上に跨り腰を激しく上下させていた。

それと同時に激しい快楽が俺を襲い腰を降っている女性の膣に俺の精をぶちまけた
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 14:31:14.71 ID:8KJAfKjM0
>>157
一瞬>>1かと思ったじゃねえか
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 14:42:51.61 ID:J+g53hhjo
>>157
嫌いじゃないけど紛らわしいじゃねえか
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/01(日) 15:49:29.95 ID:AYvWS+r8O



────────── ・・・


< タンッ…タンッ……

男(…………ぅ………)


誰かが、俺の胸の辺りに両手を乗せて体を揺さぶっている。

目蓋は閉じているが、その向こうは明るい。

恐らく俺は助けられたのだ。


< グイッ……ヂュップヂュップ…タンッ…タンッ…


しかし、規則的な揺れに応じて俺の体が熱くなっていく。

何が起きているのだろう、そう考えるのと同じ時に俺は自然と手を自分の腰の辺りへ伸ばしていった。

同じく熱い汗ばんだ太股が指先に触れ、そこへそっと手を伸ばして掴み撫でる。


男「っ…っ…っ……ぅ……あっ…?」

< 「ぁ ♥ んんっ… ♥ はぁっ ♥ あぁあああんっ! ♥ ♥ 」


意識が戻ってボンヤリと瞼を開けると、見知った顔の女性が俺の上に跨り腰を激しく上下させていた。

それと同時に激しい快楽が俺を襲い腰を降っている女性の膣に俺の精をぶちまけた。


161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 15:52:33.08 ID:r6Ggp57a0
えっえっ

えっ?
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/01(日) 15:57:01.98 ID:AYvWS+r8O

< バサァッ



男「はッッ…………!!?」



男(い、今のは……夢?)

男(くそ……股間が大変な事に……ッ)グッショリ


< 「…………えーと、おはよう男さん」

男「ッッッッ!!!??」ガバァッ!!



主任「そ、そんなに驚かないでよ……あと、しゃ、シャワー使って良いから、少しは冷静になったら?」

男(……主任?)

男(ていうか、俺……夢精してぐっしょりーぬなパンツ履いてんのな、そりゃ冷静になれとか言われる)


主任「……ちなみに、それ以上近寄ったら警察に突き出します」


男(ああ、しかも溜まってただけに濃ゆい精子の臭い漂ってるしそりゃ警戒される……)

男(最悪だ……死にたい)


163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 16:08:18.17 ID:reMjCWZOo
拾ったwww
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 16:23:38.40 ID:QMHFHuK3o
やるじゃん
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 17:14:06.64 ID:8KJAfKjM0
うまいwwwwww
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 17:24:42.21 ID:eZzBEsTpo
わざわざ拾うなよwwwwwwww
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 17:47:37.47 ID:BfRd121WO
死に瀕すると生存本能で性欲が上がるからね、仕方ないね
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 21:17:04.89 ID:13XzNlHcO
うまいけど調子に乗って2度3度と同じことする奴が現れないか不安
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/01(日) 21:49:12.02 ID:AYvWS+r8O


【某ビジネスホテル】



男「……シャワーも浴びた、冷静にもなった」

男「それで……」

主任「待って」

男「?」

主任「まずはこっちの話を聞いて、試さないと私も信用できないんですよ」

男「試すって……そっちは俺を助けてくれたのに?」


< カラン……

男「……へ?」


主任「なにも言わずにその水、飲んで下さい」

男「別に構わないっすけど、主任……このコップに沈んでるコインは?」カランカラン

主任「……いいから、水を飲みなさい」

男「………………」


170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/01(日) 21:55:27.06 ID:AYvWS+r8O

< ゴクッ……ゴクッ……


男「……これで良いかな」

主任「…………」

主任「……ほん、とに…? 本当に今、飲んでたよね?」

男「え、ぁ……はい」

主任「…っ」


< ドサッ


男「ちょ、主任!?」

主任「ぅ…うっ、ぁぁ……っ」ポロポロ

男「なんで、主任……泣いてるんですか」

主任「ひっぅ……ぅあぁぁ…ん…っ」ポロポロ

主任「…っ……っく、だ……だって、私……ずっとこれは悪夢なんじゃないかって……ずっと……ずっと……っ!」ポロポロ

主任「誰もね…? 誰も信じてくれないんだよ?……テレビに映ってるのも外で人を襲ってるのもモンスターなんですよって……言っても…」ポロポロ

男「…………」


171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 22:19:11.77 ID:fwFbvQaN0
あぁ、そりゃ見えないものを見えるって言ってたらそうなるわな。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 22:30:40.41 ID:b52wU3ywO
なるほど、魔翌力の水なのか
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 22:55:45.98 ID:2S9VxzR2o
ヒャドの氷でも溶かしたんだろうか
1ヶ月は長かっただろうな
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/01(日) 23:08:42.89 ID:lXJpkQ/tO
建物凍らしてるのが主任説
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/01(日) 23:34:29.51 ID:AYvWS+r8O

主任「ぅっ…ぇえ…ん」ポロポロ

主任「でも……でも……、私は頑張ったんだよ…っ」

主任「沢山のモンスターと戦ったし……沢山のモンスターを殺した……」

男「…………」

主任「…っ、だ、だけど……だけど……っ」ポロポロ

男「主任」

主任「……っ?」ポロポロ

男「ゆっくり、落ち着いたらまた話を聞かせて下さい」

男「俺は……多分、現実ですから」


主任「……っ…うん、うん…っ」ポロポロ


男「…………」

176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/01(日) 23:46:51.03 ID:AYvWS+r8O

【深夜・ビジネスホテル裏】


男「…………」

男「…………」

男「…………」

男「…………」

男「…………」


男「………………はは」


177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/02(月) 08:42:02.79 ID:+TM7EgmRo
主任さんのレベルはどんなもんだろね
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/02(月) 11:55:55.98 ID:eSweWb0NO

普通の人なら主任みたいになるよな
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/02(月) 18:24:42.17 ID:yUNqkdJhO


男(……主任も、見えてる)

男(さっき俺を助けた時にほぼ間違いなく、魔法を使ってた)

男(つまり見えてる、よな…魔物を?)

男(今は主任は部屋で寝てる、朝になったら聞くとしようかな)

男(だから、今は……今は…………)


< バサバサバサッ


ドラキー【キキキキッ】バサバサァッ

スライム【ピキーッ】ポヨンッ

アイアンアント【……】カサカサカサ…



男「……もう少し、頭の中を空っぽのままでいさせてくれないか?」

男(…………あぁ)

男(駄目だ、主任のせいだ……)

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/02(月) 18:52:13.62 ID:yUNqkdJhO

男「お゛あ゛ァァアアアアッ!!」バッ!!

スライム【ピィッ!?】ガシィッ


< ヒュン ────────── !!!

< ドッパァンッッ



ドラキー【キ…キキィ……?】ビクゥッ



男(……今までのは、やっぱり現実…………)

男(現実だとしたら? 俺は何をしてた…?)


アイアンアント【ギュィィィッ!!】シャキンッ

男「っ!」ズバァッ

男(……今まで俺って、何をしてたっけ…………)

男(妄想って事にして、人を何人見殺しにしたっけ……)


男「メラァッッ!!」

アイアンアント【ッッ】ボゥンッッ!!…ポワァン……


男(……見殺しに…した、っけ…?)


181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/02(月) 19:08:10.80 ID:yUNqkdJhO

ドラキー【キキキキッ!】バサバサァッ

< スカッ

ドラキー【!?】


男(そうだ、見殺しにしたんだよな……俺は)ズザァッ

男(人が死ぬのを、平然と……助けにも入らないで)

男(最低だ、俺は……、最低だ……)ヒュッ


< ゴンッ!!……ポワァン……


男「…………」

男「…………」

男(自首……しようかな)

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/02(月) 19:55:51.94 ID:yUNqkdJhO


< ヒュゥ……ンッ

男「!」バッ


さまよう鎧【シィィ…】ガシィン!!

< ガシャッ…ガシャッ…

さまよう鎧B【シィィ…】チャキッ


男(…………)

男(朝、まずは主任の話を聞こう)

男(それから俺の事を話す、自首についても……相談しよう)

男(主任を独りにする程、自分勝手に堕ちる訳にはいかない…と思う)


さまよう鎧【シィィイッッ】バッ!!

さまよう鎧B【シィィイッッ】バッ!!


男「夜明けまでにこっから俺の家とホテルを往復する間、お前らモンスターを一匹でも多く倒してやる……!」


183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/02(月) 20:27:55.02 ID:kbptNA/rO
支援
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/02(月) 21:02:21.92 ID:8kn6U5mro





主任「……それ、もしかして『鋼の剣』?」

男「はい」

主任「あ…………」

男「?」

主任「な、何でもないです」

主任「何だか嬉しくて、男さんもドラゴンクエスト知ってるんですね」

男「あー……えっと、そうですね」

主任「……」

男「……」


男(……なんか、落ち着いたら気まずいな)

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/03(火) 01:03:48.26 ID:Q6X1qf11o

< 「「………………」」



主任「……私が『見える』ようになったのは、1ヶ月程前の事でした」

男「……」コクン

主任「あの当時はまだ見えない存在の事はニュースでたまに見る程度で、私も特に気にしていませんでした」

主任「ただ、その日私は運が悪かったんだと思います……あの時は」

男「もしかして」

主任「襲われました、何も見えないのに何かが私を横から叩き伏せたんです」

主任「………その時に左腕を折られて、私は必死に逃げようとしたんですよ? でも駄目で……」

主任「何度か見えない何かが私を叩きつけ、吹き飛ばし、足まで潰しました」

男(………………よく生きてたな、この人)


主任「そして私は気がついたら、治っていたんです」


男「……」

男「?」

186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/03(火) 01:27:53.33 ID:Q6X1qf11o

男「それってどういう意味なんだ……じゃなくて、どういう意味なんですか」

主任「私も訳が分からなかったんです、一瞬で体が温かい空気に包まれて、そのまま治っていたんです」

主任「同時に、今度は目の前に『スライム』がいてびっくりでしたけど」

男「ま、待って! いや、それはつまり主任が突然ダメージを回復させたと思ったら急に『見える』様になったってことっすか!?」

主任「そうなります、男さんは違うんですか?」

男「俺は違いました、けど……」

主任「なら、この話の続きにも驚くかもね」

男「今度は何ですか」

主任「他の見えない何かが、見える様になったモンスターを目の前で倒したんです」


187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/03(火) 10:58:58.80 ID:ljxNcNFJo
回復してくれたってことか……
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/04(水) 09:43:07.14 ID:D8zL3k2JO

男「他の見えない何か、って……?」

主任「分かりません、姿も形も分からない」

主任「何となく気配を探って手を振ったりしてみたけれど、触れられないの」

男「魔物、ですかね」

主任「分からないけど、助けてくれたんじゃないかって私は考えてる」

主任「……考えてた、が正解かもしれません」

主任「その時は必死に逃げたんです、他のモンスターも見えたから……悪夢みたいな気分になって、帰りたくなってしまって……」

主任「そうしたら途中で道に現れた魔物もやっぱり何かが倒してるんです」

男「……」コクン


主任「私は無事にあのマンションへ辿り着きました、けれど其処には名前も分からないモンスターが居たんです」

主任「……緑の衣を着た、魔法使いみたいで魔法使いとは違う魔物なんですけど」


男「緑の衣?」

男(そんなの幾らでもいるな……機種やソフトによっては大分変わったやつもいるし)

男(緑の衣……分からん)

男「杖とかは持ってました?」

主任「いえ……顔も隠してたので」

男「顔?」

189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/04(水) 09:49:53.26 ID:D8zL3k2JO

男「んー……ちょっとネットで調べてみます」

男「……」ポチポチ

主任「……」

男「……」ポチポチ

主任「……」

男「……」


主任「あの」

男「?」スッ


主任「……男さん、まだガラケーなんですねぇ」

男「えぇー……まぁ、愛着湧いちゃって、なんだかスマホとかに乗り換えられないんですよ」ポチポチ

主任「結構便利ですよ? スマホ」

男「なら次の週末買いにいくの付き合って貰えますかね」ポチポチ

主任「はい?」

男「ん?」

男「あ、ドラクエ まほうつかい で調べたら少し出てきた……顔も隠してたってのはこれですか?」

主任「……」

190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 12:45:55.22 ID:ucX+6+WqO
ナチュラルに誘ったな
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/04(水) 13:37:16.91 ID:D8zL3k2JO

主任「これは違います、でもこっちのは……」

男「これ?」

男「……あー、作品によってはまほうつかいのグラですね」

主任「ちょっと貸してもらっていい?」

男「ぁあ、はい」


主任「…………これ」

主任「これ! これ、『ヒャダルコ』とか『ヒャダイン』を撃ってたの!」


男「え……………じゃぁ、それ………」


主任「『エビルマージ』ですね、私のマンションの前に居たのはこのモンスターです」

男「……」

男(エビルマージとか嘘だよな?)

男(かなりの高レベルモンスターだぞアイツって……!!)

192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 13:46:39.71 ID:oH9UOs5+o
エビルマージくらいならマヒャド撃てそう
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/04(水) 19:44:00.81 ID:D8zL3k2JO

男「えー……と、主任?」

主任「はい」

男「本当に見たのはエビルマージだったんですか? ドラゴンクエストの中でもそいつはかなり特殊な部類ですよ」

主任「そうなんですか?」

男「そうなんですかって、主任はドラクエ3をやったこと無いんです?」

主任「無いかな、私が入ったのはドラクエ5からだったの」

主任「ほら……それから4と6、8をやってから7をやったの」

男(……DQMとかキャラバンハートはやってないのか、トルネコとか不思議のダンジョンも)

男(とはいえこの姿そっくりな上に、ヒャダインまで使ったのか)


男(…………他にいたか、こんな奴は)


主任「男さん」

男「?」

主任「続きを話してもいいですか?」

男「あ、はい……良いですよ」

男(主任にとってはどうでもいい、かもしれんけど……本当にエビルマージだったならやばくないか)

男(この一連の騒動、現象は、大魔王『ゾーマ』がやってることになる)


194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 19:47:28.19 ID:at7JV3HWO
リアルにゾーマとか絶望すぎるな……
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/04(水) 20:06:37.93 ID:D8zL3k2JO

主任「……マンションの前に居たエビルマージは私と、丁度横の辺りを指差して言ったんです」

主任「『試してみろ』……と」

男(試す?)

主任「その後は今思い出しても滅茶苦茶でした、目に見えない何かが……私の周囲を駆け回るのが分かったんです」

主任「そうしてると、マンションの中から大勢出てきたんです」

主任「あの死神が……」


男「エビルマージが呼んだのか」


主任「『あの時の私』は死神の動きはおろか、エビルマージが撃ったヒャダルコにすら気づけませんでした」

主任「時々、氷の太い針が私のお腹とか、肩とか……沢山刺さったりもしたんです」

< ……ギュッ…

主任「……凄く怖かった………」


男「…………」

男(メラであの威力だ、想像もしたくないや……)

男(だけど主任が今こうしていられるってことは……?)

男「それで、主任はまた助けて貰ったんですね…? 『その人』は」


主任「はい……大勢の魔物に囲まれたまま、私はどうにか部屋に入りました」

主任「そして、それから私は一週間……かな? 多分…………そのくらいずっと部屋に籠ってました」


男「ん?」

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/04(水) 20:22:44.97 ID:D8zL3k2JO

主任「……?」

男「あ、いや、何でもない」

主任「…………」ふぅ

主任「……会社の人事部の部長さんに助けを求めても、誰も信じては貰えず、警察に言っても救急車だけ来る始末…………」

主任「毎日を震えながら過ごすしかなくて、それで……」

男「水、持ってこようか」

主任「……! …はい」ニッコリ


男(……今の話は全部本当なのか、色々突っ込みたい所はある)

男(ただ……)チラッ


主任「……」

< ギュゥッ……


男(あの悔しそうな、というか……耐えてる感じは、嘘ではない気がするんだよなぁ)

男(…………)

男(現実だと理解してたから、ああいう風に苦悩したんだよな)

男(多分俺よりよっぽど主任の方がまともな神経をしてる)

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/04(水) 20:52:23.38 ID:D8zL3k2JO

< ゴクッ……ゴクッ……

< コトッ…


主任「ありがとう、男さん」

主任「……一週間経った頃、ですか」

主任「何かが割れる音がしたんです、ぱりーんって」

男「ガラス…?」

主任「分かりません、けど代わりに私の……ほら、脇腹」スッ

男「ちょっ……!」ビクッ

男「…………ぁ……」

主任「いきなりでした、壁ごと私を切り飛ばしたんです」

主任「正確には『壁をすり抜けて』、でしたけど……ね」


男「『死神』の特性です、あれは壁や建物……岩も通り抜けて移動できるから」


主任「そうなんだ……」

主任「……パニックになった私は部屋を出て深夜の外を見て唖然としましたよ」

主任「エビルマージが呼んだ死神は、殆ど減らずにマンションを囲んで……いや、多分あの時既にマンションは支配されていたんです」

男「住人……他の人は?」

住人「何部屋か見ましたが…………駄目でした」


198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 23:54:05.68 ID:ro3s8LPgO
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 00:58:00.93 ID:dzq1NPPx0
おつ
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 17:16:39.64 ID:7QoBGuAUo
やばい…
メチャクチャ面白くなりそう。
ほし
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/05(木) 18:30:45.49 ID:WzEZ/mrLO

主任「……男さん」

男「ん、はい」

主任「それから私はどうやって生き残ったと思いますか?」

男「そりゃ、逃げたんじゃ?」

主任「はい」

主任「夜明けまで逃げ延びる、それを目指して私はあらゆる障害も通り抜けるモンスター達を相手に生き残りました」

主任「……でも逃げ切れるものではありませんでした、だからそんな時は…」

主任「『ヒャド』を後ろの壁に、撃ったんです」

男「壁に?」

主任「はい、あれ? 魔法がいきなり使える様になったことは驚かないんですか」

男「え、あぁ……そうだった」

男(死神の群れから生き残ってる事に比べたら、そんなに驚かないなぁ、今さら)

202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/05(木) 18:41:48.57 ID:WzEZ/mrLO

主任「これは逃げている最中に気づいたのだけど、まずエビルマージはいなかったんです」

主任「もしかしたら『何か』と戦って倒されたか……満足したか、とにかく戻ってくる事はありませんでした」

主任「それだけでなく、死神は魔法で生み出された氷の塊である壁を通り抜ける事が出来ないんです」

男「あ……! ならあのマンションのほぼ全体が氷に覆われていたのは……」

主任「私が死神達を閉じ込める為に、何時間もかけて『ヒャド』を撃ったからかな」

男「エビルマージかと……アイツならやれそうな実力はあった」

主任「そうなんですか?」


男「あとでエビルマージのwikiを見せるけど、かなり強いボスモンスタークラスの脅威はあるっすよ」

男「……次に見ても、もう近づくのも止めた方が良いと思います」


主任「……」コクン

主任「それで、私はそれをずっと続けてました」

主任「昼間は薄暗い所に現れるモンスターを倒して、ヒャドに慣れて……出来るなら襲われてる人も助けてました」

主任「『見えない人』にとっては、魔法も見えないらしくて街中でも小声で使えるから魔法は便利です」

主任「せめて、おかしな人だなんて言われないで済むから……」


203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/05(木) 18:49:04.12 ID:WzEZ/mrLO



男「…………」

主任「これで、全部です」

主任「私の1ヶ月が今の短い話に籠められてます」

男「そう、ですか」

主任「敬語は使わなくて良いですよ男さん、落ち着いたら会社を辞めるつもりなんです」

男「えっ」

主任「……分かるんです、日に日にモンスターが人を襲う数が増えてる中で、私だけ生き地獄みたいな理不尽に苦悩させられてるのは意味があるって」

主任「誰も信じてくれない、独りの私にはそうやって考えるしか正気を保てなかったんです」

男「主任」

主任「はい?」

男「主任は俺なんかより……」


< 「嫌ぁぁああああああああああ!!!!」


男・主任「「!!」」

204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/05(木) 18:55:34.81 ID:WzEZ/mrLO


女性「ひ、ひぃぃ……」ガタガタガタ…ッ


< ガチャッ!

男「今のは!?」


女性「っ、たすけて……たすけてぇぇえ……っ!!」ガシィ!

男「おわっ、落ち着いて! 何がおき……」


主任「男さん!!」バッ

< ガッ!!

男「!?」ドサァッ




────────── ヒュルンッ…………!!



主任「っ……!」

< ズバァッ…ッ

主任「ぁ……あ…………」ドサッ



男「主任 ──────!! 」

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/05(木) 19:11:14.28 ID:WzEZ/mrLO

……早朝の、様々なビジネスマンや会社員が慌ただしくホテルを後にする中で。

俺のいた位置に崩れ落ちる主任は、叫び声も出せずに、清潔感のある通路の中心に倒れ伏せたまま動かなかった。

切り裂かれた背中からは赤黒く染まりつつある白のカーディガンが見える。

救急車を、呼ばないと………………





───── 「貴方達、私を他のモンスターと一緒にしてないかしらぁ?」 ─────




男「……!!」


嘲笑う様に、そして僅かに怒気を含めた声色で、潰れた女の声が響き渡った。

俺の脇で震える女性は先程と何も変わらない、なら……。


男「モンスターか……ッ」





───── ヴォゥンッ ─────


俺の絞り出した様な言葉と同時に、黒い煙が突然通路の奥で噴き出した。

……否、煙とは全く違う。

その質感はまるで闇、そこから白い仮面の様な物が這い出していたのだ。



死神「あははははは!! 馬鹿な人間……あの氷に覆われた建物から私だけ抜け出て幾つかの氷を割ってある時点で雑魚な訳ないでしょぉおおお??」



早口で叫ぶ、その橙色の衣を纏った……大鎌を構える姿に、俺は目眩と少なくない恐怖心を覚えた。

『しにがみ』。

その名の通りの姿を持った、死神のモンスターだった。

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/05(木) 19:28:00.91 ID:WzEZ/mrLO


死神が動くよりも先に、俺は脇で震える女性を主任といた客室へ放り込む。


男「アンタは警察を呼んでくれ!! こっちの女性も……出来る限りの止血と、これを傷口に!」


突然の事に茫然としかける女性に怒鳴り付けると、即座に主任を女性に渡す。

そして、二枚の大きな新緑の葉を渡した。

まだ試した事はなかった、『やくそう』だった。


男「……」

< チャキッ

男(……鋼の剣まで通されたら厄介な事この上ないけど、多分それはない)

男(さっきの女性が主任にやくそうを使ってくれれば、まだ間に合う)

男(落ち着け、昨夜の醜態をまたここで晒せば今度こそ死ぬ)

男(落ち着け……落ち着


────────── ビュォッ!!


男「!!?」


通路を疾走する橙色の残像を見て、俺は咄嗟にその先に向けて鋼の剣を無闇に振り下ろした。

だが。


< ガギィンッ!!

死神【……シィィ………】ニタァ・・・


男「くっ……ッ!? こい、つ……!!」ギリギリギリ…ッ


鋼の剣という、現実ではかなりの質量を持っている上に切れ味を誇る、ゲームなんかでの序盤では上位の武器。

それを正面から押し込んでくる死神の膂力に俺は通路に膝を着きながら耐えるしかなかった。

化け物、明らかに本来の『しにがみ』のスペックではない気がした。

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 21:13:10.92 ID:CufjwondO
アイテムって一般人に見え……る?
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 22:02:59.51 ID:1YVDK70oO
待ちきれん乙
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 22:09:25.23 ID:7QoBGuAUo
呪文は見えないけど、アイテムたちは見える?
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 22:13:48.18 ID:5fKInzk3o
いや、鋼の剣とか見えてたら一大事じゃないかな
つーことは薬草も見えてなくて治療もされてない可能性がある

もしかしたら「意図的に巻き込んだ(傷つける、アイテムを触らせる等)場合その対象は見えるようになる」とかあるかもしれんが分からないね
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 00:12:28.53 ID:6UwPlKXn0
時間経過でダメージ受けないからヘーキヘーキ
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 00:27:54.34 ID:ikSS6eXz0
女性はモンスター見えてるんじゃ無かったのか
文盲だったわ
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 09:29:46.24 ID:iNEOjO/8O
手渡したから見えてなくても重さがあればワンチャン
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/02/06(金) 19:59:13.83 ID:JcZlcnNbO

一度だけ、想像した事があった。

スライムの早さ、強さは人間を一撃で叩き伏せる位の力があった。

ならば、それ以上の強さを持つ他のモンスターはどれだけ強いのだろう、と。

その答えの僅か一片を見せてきたのが、一ヶ月前に遭遇したさまようよろいとホイミスライムだ。

奴等はただのレベル1の人間にとっては化け物といっていい。

なら。

ならどうなのだろう、もしもこの先でこの地球上に『もう少し強い魔物』が現れたなら。



それは生半可な装備や銃弾では倒せない……最悪のモンスターになるのではないのだろうか。



< ギャリンッ・・・!

男「フゥ……ッ」ズザァッ


死神の大鎌は両刃ではなく、草刈り鎌でも見られる刈り取るタイプの片刃だ。

なら剣を滑らせて懐へ入り込めばいい。

警戒すべきはその早さと純粋な膂力のみ、こいつは魔法は使わない筈だ。

瞬時に踏み込み、刃を死神の空いた懐に叩き込む……


死神【ぁあアッははははハハァアハハハハハハハハ!!!!】ケタケタケタケタケタ


< フワッ……!

男「えっ…………」


死神の狂笑が響き渡った瞬間、俺の振り抜いた一閃は通路の空を斬っただけで終わってしまった。

何故なら、死神の体が床へ煙が溶け込むかのように沈んだからだ。

避けられた。

そう、あの一瞬で俺の剣速より速く避けられたのだ……。


215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/07(土) 23:55:28.14 ID:hRZVLcWmO
おもしれぇぇえ
続きはよ
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 22:45:04.88 ID:WDovWGAY0
これは期待
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/22(日) 12:51:33.91 ID:onvnu9bko
マダー
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 14:12:21.12 ID:pT3oRk0Z0
保守
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/18(水) 08:18:00.08 ID:BbGbKC5LO
エタらないよね?
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/05(日) 16:56:36.54 ID:UK+tDgm80
保守
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/05(日) 22:32:54.29 ID:xm5MA5mVO
期待してるんやで
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/04/06(月) 10:54:04.05 ID:CcyZ7uVoo










────────── ッ ──────────







完全。

その一瞬で起きた動作は、完全に同時だった。


死神【シィィッ………!!?】


故に、死神は大鎌を空振りさせるに終わってしまう。

眼前で回避した男の動きを見て、僅かにその手を止めてしまったのだ。

それまで彼女が生きてきた『元の世界』では、決してなかった戦術がそこにあったのだから。


死神【………なんだその動きは】


<  ヒュパッ


思わず唖然としながら呟いた死神を、俺は眼で追いながら『跳んだ』。

跳躍、反転、跳躍、跳躍、跳躍、反転、跳躍、反転、跳躍、跳躍。

三半規管が狂いそうになるのを必死に抑え、手に握る鋼の剣を最後の跳躍と同時に一閃させた。


男「おぉぉッ!!」


    チッッ………!


死神【嘗めるなァッ!!】

男「ッ………!」ズサァァッ! ダンッッ


剣先が死神の橙色の衣を切り裂き、それに激昂した死神の振る大鎌の下を滑り潜った。

正直、その大鎌の動きは見えていない。

俺はそれに臆さず、鎌の軌道を読んで最も安全な位置を走り抜けただけだ。


そして、直後に俺は再び跳躍する。

狭い通路だからこそ、今の俺に出来る技。

天井、壁、床の全方向を足場とした、三次元機動。

全身を猫の様に使い、常に全力での移動速度を維持出来るのだ。



男(……クソ、やっぱり駄目だ……まともにこっちの一振りが当てられない)ダンッッ ダンッッ

男(だがこれならアイツの一撃も当たらない、全力で避けられる……!)

223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/06(月) 11:56:34.63 ID:SPjA1VMyo
人間やめてるなー
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/07(火) 05:25:03.42 ID:DZvbS1MaO
なんだこれクッソ面白いんだけど

期待して待ってるよ。ペースゆっくりでも完結してくれー
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 17:18:11.21 ID:r52JOKY30
保守
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/06(水) 07:36:10.20 ID:A2ITqgK1O
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/21(木) 00:24:56.20 ID:9bWEKbeF0
続きマダー?
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/28(木) 14:11:02.00 ID:eUG1FMvb0
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/06(土) 22:42:01.12 ID:HYsRIdDbo


────────── ギィンッ!!



剣と鎌が擦れ違い、火花が散る。

死神【シィィッ!! ちょこまかと……ッ】

瞬時に壁へ、そして床へ、上下の概念さえ忘れる様な機動に死神が激昂していた。


恐るべき膂力を振るい、大鎌が薙がれるも……その全てを俺の剣が弾いている。

純粋な力でさえ負けているのだ。

速度も、恐らく俺は劣っている。

覚えたばかりの『メラ』を撃っても、この死神には通用はしないだろう、際どいとはいえ俺でも多分避ける事は出来るのだから。


男(……とはいえ、このままこれを続けていても……っ!!)ダンッ!!……ダンッ!!


死神が橙の衣を翻して俺の機動を読みながらその先へ鎌を一閃させる。

徐々に迫って来る切っ先を跳躍で避けるも、決定的な一撃は与えられない。

そしてこの状態が続けばそう間もないうちに、俺は最悪の状況に陥る可能性があった。





そう、『三半規管』の酔いだ。




230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/06(土) 22:53:21.34 ID:w47zEEHG0
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/06(土) 22:58:36.67 ID:J4JT8aEiO
待ってた乙
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 06:01:48.51 ID:zfBYzSFmO
きたー
まってたー
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/14(日) 10:27:39.83 ID:zC2ZC1rvO
待ってたぜ
続きはよ!
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/17(水) 19:47:36.02 ID:z2btaUdPo


人が乗り物に酔う理由は様々な要因があるにせよ、根本に関わっているのは三半規管という身体の平衡感覚を担う器官だ。

乗り物に限った事では無い、人によってはその場で十回や二十回と『ゆっくり回る』だけでも酔う事がある。

俺が大学で一度書いた論文で触れた事があった、脳における『速度の』許容範囲。


────────── ダンッ!!


男(ッ!……足、が……っ!?)


……人はその三半規管を鍛える事が出来る。

それも俺はこの日常へ変わってからの一ヶ月間、ずっとパルクール等で体を慣らしていた。

高い所からの着地、急な高低の変化と一定以上の速度を越えた疾走。

超人的だと考えていた俺の肉体は、今や凄まじい三次元機動を実現出来るレベルに到達していた。

だが。

戦闘が始まり、時間にして約4分。




全身を使い衝撃を上手く足を通して逃がしていたのが、遂に着地に失敗したのだ。



男(何故……! 『まだ』酔ってるわけじゃ……)

    ゾクッ……!

男「!!」バッ


死神【シィィイッッ!!】ユラァッ



瞬間、着地に失敗し足を止めてしまった俺を狙い響き渡る激昂の声。

衝撃を逃がし切れずに破壊した客室の扉の表面が水面の様に揺らぎ、その向こうから一筋の一閃が薙がれた。




────────── バズッッ!!


235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/17(水) 20:13:00.34 ID:7B1fsE+E0
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/17(水) 20:58:15.05 ID:US1RjWQEO
きたーけどまたこれだけかよ
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/17(水) 23:53:55.14 ID:z2btaUdPo

ブレる視界。

右腕に走る激痛。


男「ぐぁあああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッッ!!!」

< ドサッ!! ズダンッ……!!


通路を直線に吹き飛ばされ、何度か床に叩きつけられた俺は遅れて喉から声を弾き出すしかなかった。

数瞬前、右腕に薙がれた鎌に気づいた俺は……漫画やアニメで見られる『自分から跳ぶ』というのをやってみた。

しかしその効果はまるで感じられない。

痛みが、混乱が、俺をそれまで支えていた気力さえ奪っていく。



男「ぉ、げほっゲホッ……ぉぇえッ……!」

< ビチャァァッ…

男「ぅぐ…ゲホッ……!」

男(なん、だ…? 頭が急に……ッ)


俺は知らなかった。

酔いとは、脳の処理が追い付かずそこで更に『嫌な匂い』『唐突な揺れ』『混乱』『痛み』等で引き起こされる事もある。

それまで抑え込み、死と隣り合わせの機動戦の中で限界に達していた俺の脳は、悲鳴を挙げたのだ。

反動は未だ止まる事なく視界を揺らし、吐き気を誘発している。


死神【随分手こずらせてくれたわねぇ、人間】

死神【実戦経験のある人間は殆どいない、私達を見る事も出来ない奴等だと聞いていたけど……】

死神【まぁ『依り代』は手に入れた、これで数日あればお前達は私達に支配される事になるわぁ】


男「な……何だそれ……?」

男「っ…」ヨロッ


黒い煙に包まれて、死神が通路の中央に降り立つ。

嘲笑い、俺への殺意を滲ませた深紅の眼光を揺らして語りかけてくる。


死神【こちらの世界の戦士にしてはレベルが低い、つまり奴等と会ったのよねぇ?】

死神【答えなさい人間、奴等は何処にいるのかしらぁ】


男「…………」

男(奴……等…?)


238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/18(木) 11:59:08.83 ID:JcnEtcnwO

立ち上がるより速く、死神は俺へ鎌を振り下ろす事が出来る距離。

俺の眼前へ近づいてきた橙色の衣を纏う化け物が、その白い歪んだ仮面を更に歪ませる。


男「……俺は……何も知らない…本当に、分からないんだ」


揺れる視界を元に戻そうと歯を食い縛り、立ち上がった。


男「お前達こそ、一体何なんだ……! ゲームの中から出てきたのか!! 何が……何が目的なんだよてめぇら!!」


< ピクッ

死神【……ゲーム…だと…?】


口元に付いていた吐瀉物を拭い、右腕に視線を落とす。

激痛が吐き気を、そして次第に冷静さを俺に与えてくる。

今の状況で俺に出来る事を探し出す。

『ガラケーと違って明るいんだな』等と考えながら、俺は死神の意識を此方へ向けさせる為に言葉を探す。

余裕は、無い。


男(は、はは…………)

男「実戦経験が無い奴ばっか? そりゃそうだ、こっちゃ平和な現実なんだよ!」

男「魔王が指示してんのかどうか知らねえがふざけんじゃねぇぞ!!」


死神【……黙りなさい】

< ガッ!


男「ぅぎぃっ!?」


死神【何者だ……我等が『王』の存在を知っているとは、ただの戦士ではないな?】

死神【あの方を何処まで知っている、貴様……】ギロ…


239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/18(木) 21:43:53.51 ID:apmAkkm2o

巨大な鎌を振り下ろした死神の気配が殺意とは別の物に変化した。

不味い……この位置では『見えない』。

何より再び右腕に突き立てられた刃が肉を抉り、骨に食い込むその痛みに意識さえ手放してしまいそうになった。


男「ぁ"ぁ"ぁ"……っ!! や、やめッ……ろぉおおおお!!!」ガチッ…!


死神【!】




      カァンッ……!!



少なくない量の血が右腕を伝い、赤いカーペットの敷かれた通路を更に赤黒く染める中で。

俺は渾身の力で足元に転がっていた鋼の剣の剣先を踏み込んだ。


男(チャンスは、多分一度だけ……!!)ガバァッ!!

死神【なっ…これ程のダメージを受けながらまだ動けるのか?】


    ギシッ……!


死神【ッッ!?】


俺との間で起き上がった剣を、驚愕の表情で見る死神。

同時に引き裂こうと動いた鎌を俺の右腕に着けられていた『豪傑の腕輪』で、瞬時に抑えつけたのだ。

そして、起き上がった剣の柄を逆手に掴んだ俺はそれを突き立てた。

血と胃酸で痛む喉を無視して、全力で叫んだ。





男「今だ主任 ────────ッッ!! 」





240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/19(金) 00:48:04.23 ID:b+IV6Iqjo
おおおおおおおお!
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/19(金) 11:26:08.29 ID:4xAsps/3O

──────── バッ!!

主任「『ヒャダルコ』ッ!!」



死神【〜〜っ!!?】



背後の客室から飛び出した主任に、死神の紅い眼光が激しく揺らぐ。

刹那、主任の視線が俺に向くも……俺はそれに首を振って見せた。

彼女は俺が巻き込まれる様な呪文を撃つ気だと、何となく考えたからだ。

だがこのモンスターを仕留めるなら、『鋼の剣でコイツの衣を床に縫い付けている今』しかない。


俺の仮説に間違いはなかった。

死神の透過出来る壁とは違い、俺の振るう剣は透過できない。

奴の透過出来る特性ではこの拘束から抜け出す事は出来ないのだ。



    ヒュォオオオオッッ・・・



主任の全力で叫んだ呪文と同時、俺と死神の頭上でサッカーボール大の結晶が形作られる。

橙色の衣を引き裂いてでも抜け出そうと、それまでとはまるで違う焦り様を見せる死神。

そこへ、更に追い撃ちをかける……!


男「『メラ』……っ」

   ボォンッ!!

死神【ギ、ギャアアァッ……!! 貴ッ、様ァァア!!】


    パキパキパキパキィィ……!!


手を翳す必要が無い事は、これで証明された。

そう俺が思った直後……瞬時に周囲の空気が光の結晶で溢れた。

俺は主任を






━━━━━━━ キィンッ!! バキバキバキバキィィッッッ!!! ━━━━━━━






242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/19(金) 11:39:03.07 ID:4xAsps/3O




━━━━━━━━ 【何者かの視点】




< バキバキバキバキィィッッッ!!!


死神【…………ッ……ッッ……】パキパキ……


死神【さ、最後の……最期で、『アンタ』に出会すとはねぇ……ッ】パキッ……


死神【あの方に頂いた……っ、『闇』が薄れるから、なるべく使いたくなかった虎の子の呪文……『ラリホー』……】パキッ……


死神【『マホトーン』を使われるとは予想外だったわ……く、ヒヒ……】シュォォオ……


死神【……でも、もう遅い……この戦争は私達の勝利よ…………】シュォォオ……


死神【…………この世界の人間と手を組めないお前達なんて、もう怖くはない……ヒヒァ……恐怖しろ、絶望しろ……狂え、そして死ね……ッッ】









死神【我等が『大魔王』はこの世界で復活するのだから……!!】




────────── ポワァ・・・ン……ッ








「…………」

「……、…………」ボソボソ…


男「……」ジュゥゥ…ッ


「……」

「お疲れ様でした、戦士様方」

< スタスタ……


243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/19(金) 11:50:17.04 ID:4xAsps/3O






────────── 「……ぁ…れ…?」



────────── 「俺……何してたん…だっけ……」



「……お疲れ様でした…戦士様方」



────────── 「……あ?」


(…………綺麗……な、女の子……?)

(でも、あの耳って……髪色も……もしかして…………妖せ…)

< 「男さん! 男さん!!」


    ユサユサッ!


< 「しっかり……! あぁ、血が……『ヒャダルコ』のダメージが『何故か奇跡的に殆どないけど』……右腕からの出血が……!」


(……えー…と、誰だっけか…………)


< 「ごめんなさい、ごめんなさい……! 私、自分に『ホイミ』使って『ヒャダルコ』使ったから、もうMPが……っ」

< 「ぁぁあ……! ぁぁあぁ、だれか! だれか来て!! お願い誰かぁ!」


(……あー…………思い出した)

(この人、あれだ……上司だ…………)



244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/19(金) 18:34:56.77 ID:sfDmuCtSo
一月の訓練で大金星だな
死戦とボス級の経験はデカイ
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/20(土) 10:31:03.09 ID:bmjM/cxqO
乙!
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/21(日) 01:09:09.53 ID:09n7vBCtO
愛してる乙
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/06/21(日) 22:02:29.61 ID:9o7l4vE+O


男「……主…任」


主任「男さん!? 良かった気がつい…」

男「…いや……死にそうだ…やばい…」

主任「え……」

男「…………」


男(目がやばい……黒いチカチカが走って……耳が……)

男(なんか足とかガクガクしてるし…………はは、本格的に死ぬかも……)


主任「待って、待って下さい……っ、メラが使えるから、つ、使えるから……っ」

主任「えと、ぁ……あ……」

男(……せっかく綺麗な顔が、台無しだな……ぐ!?)ビキィッ

< ガクガクッ……ガクンッ

主任「!!」

主任(ショック症状が……っ、このままだと本当に死んでしまう……!)


主任「ほ、『ホイミ』!」バッ


男「ぁ…ゥア……ッ」ガクガクッ


主任(だめ……やっぱりMPが足りない、んだと思う……どうしたら、どうしたら……!!)


< 「……その人に、今みたいにしたら…さっきの……魔法、使えば助かるの…?」


主任「……!」

女性「やり方……こうです……か? 『ホイミ』……って」


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