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男「……いよいよメラが使える様になるとか末期だな俺は」
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112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2014/11/24(月) 09:26:25.25 ID:YQd2ILXco
< ガチャッ…バタンッ!
男「……大丈夫、目を閉じれば……問題ない」
男「……」
< ズルズル……
男「はぁ……」
男「着替えたら会社に行こう、それでもって……」ヨロヨロ…
男「いつも通りだ……今さら振り返っても、後悔しても、『もう助けられないし、見捨てた事に変わりはない』んだから……」ヨロヨロ…
男「ん……?」
男(なんだ、またタンスが開きっぱなしになってる気がする)
男(気のせいか?)
男(だとしたらヤバイな俺の頭、いや……もうやめよう…それより仕事だ仕事)
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/11/24(月) 09:52:42.17 ID:3kTKt5b40
乙
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2014/11/24(月) 10:08:30.89 ID:6UIM6gtG0
期待
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2014/11/24(月) 15:16:02.33 ID:QyBdbqnvO
セシウムまみれなのは関東では柏だけ
まあ、松戸に住んだほうが
都心にも近いし、駅もキレイになるし、放射能もないし
全然いいのは間違いない
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/11/26(水) 18:00:19.02 ID:HWt39IHIO
みじかっ
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/12/02(火) 08:06:07.91 ID:u9KseOJDO
待ってる
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2014/12/03(水) 19:52:17.28 ID:22XqSC86O
< ガチャッ
男(……いつものルートで行くか)
男(いや、今日は電車を使おう)
< カチャンッ
男「ああ……外して行かなきゃな」チャカチャカ…
男(『豪傑の腕輪』、シリーズ次第では力の基礎を25の値を上昇させるアクセサリー……)
男(とはいえ、殆どのDQ作品では15しか上がらない筈の代物だ)
男(……)
男(それでも日常生活でまともに過ごせない位には力が上がる、だから出勤時には外してる訳だ)
男(あの夜に戦ったさまようよろい、奴が特別な存在だったって事だろうなぁ)グググ……ッ
男「さて……行ってきます」
────────── タンッ・・・!
・・・シュタタタタタタッッ!!! ──────────
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/12/03(水) 20:16:51.34 ID:zYR1oTx40
まってたー!
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/12/03(水) 20:50:24.06 ID:d8MWypzw0
面白いですな
頑張って完結させて欲しい
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]:2014/12/03(水) 22:27:31.35 ID:22XqSC86O
男(この時間なら余裕で間に合うな)
男(駅までは極力、人に見られないように建物の隙間を縫いながら走る)ダンッッ
男(フリーランニングはスーツでやるとボロボロにしちまうしなぁ、パルクールで会社行けたらどれだけ楽しい事か)
男(まぁ、【深く考える必要はない】訳だけど)タンッ
スライム【ピキィーッ】ヒョコッ
男(……そう言えば他にも変わったな、この1ヶ月)
< ゴッッ
スライム【ピギィィ……】ボシュッ…ポワァン…
男(例えば、このスライムの出現頻度)ニチャァ…
男(他の強力な奴等に比べて、コイツらは昼間でも物陰に出てくる様になってる)ダンッッ
男(……まぁ、レベル上げ出来るから良いけど)
122 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/12/04(木) 20:57:57.45 ID:SYCcphtkO
きたっ!
待ってたよ
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2014/12/21(日) 22:34:10.69 ID:UPf94eJoO
はよ
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2014/12/25(木) 10:55:39.67 ID:2lLOmHTUO
見てるぜ!!
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/06(火) 11:55:48.46 ID:LjSrKTWWo
待ってるよ
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/18(日) 12:18:11.64 ID:DsU91kcqo
夜な夜な凶器を片手にうろつく男
真犯人は見えない、倒すと消える
警官殺害の凶器所持
男アウトですわ〜
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/29(木) 19:39:32.39 ID:vqFkfgCiO
【会社】
男「おはようございます」
女「あ、おはよー男くん」
男「今日は溜まった仕事片付なきゃですねー、終わったら一階のカフェ行きません?」
女「んー、それより気になる事があってさ? 聞いて聞いて」
男「あれ、先輩確かこないだ下のカフェにできた新メニュー食べたいって言ってましたよね?」
男「それとも今夜は飲みに行きますか?」
女「やーだよ、こんな物騒でホラーな世の中なのに外なんて出歩けないよ」
男「じゃ、どうして?」
女「ほら、うちの主任だよ」
男「主任さん?」
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/29(木) 19:55:25.71 ID:vqFkfgCiO
女「ほら、主任さん……ここ1ヶ月ずっと会社を有給使ったりして休み続けてるでしょ?」
男「あー……」
女「これは他の上司に聞いたんだけど、その理由って精神的な病から来る幻覚が原因なんだって」
男「え、幻覚?」
女「そうそう」
男「通院してるんですかね、いやそれより大丈夫なんですか主任」
女「分かんない、レイプされたんじゃないかって噂もあるんだけど曖昧だし」
男「そんな……あの主任が…」
男「……で、主任の事が気がかりだと?」
女「うん、結構酷い幻覚らしくて最初の三日間はなにがなんだか分からなくて誰か向かわせる話まであったらしいの」
男「重症じゃないですか……麻薬じゃないっすよね、まさか」
女「多分……? なんでも、ドラクエのスライムが家の外を夜中うろついてるって言ってたらしいよ……」
男「…………は?」
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/29(木) 20:01:14.76 ID:VlnolPhFO
1ヶ月はやばいな……
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/29(木) 20:17:35.90 ID:vqFkfgCiO
───────── 『ど、どうしたの男くん……急に』
───────── 『先輩、主任は……もしかして夜中に徘徊するようになったとか、ありますか』
───────── 『わ……わかんないよ、でもずっと自宅療養とかで精神的に回復するの待ってるみたいだよ』
───────── 『その話をしていた上司の名前は? それと、主任の連絡先を知ってたら教えて下さい』
───────── 『男……くん…?』
◇◆◇◇◆◇◇◆◇
男「……ここが、主任の住んでるマンション…?」
男「嘘……だろ」
男「なんで、なんで誰も気づかねぇんだよ……」
男「このマンション、氷漬けにされてんじゃねえか!!」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/29(木) 20:41:53.63 ID:X+WO8EyXO
初ダンジョンってとこか
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/29(木) 21:05:25.74 ID:6bYqqCgyo
いいね
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/29(木) 22:21:54.06 ID:y4AzBc19O
待ちに待ってた
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2015/01/29(木) 22:35:58.36 ID:ryY4HEZKo
新キャラの登場だな!
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/30(金) 07:52:33.15 ID:1XITuCpXO
きたっ
パーティ組めるのかな?
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/30(金) 09:43:12.35 ID:jJ5Bu7EHO
男(……気づいてない、のか?)
男(いや違う、凍らされてるのが出入り口とかじゃないからだ)
男(つまり見えてない、でなきゃこんな明らかにヤバい物件……ニュース沙汰だろ)
男(…………)
< ゴソゴソ……
男(『豪傑の腕輪』はある、万が一モンスターが出ても多少は戦える)カチャンッ
男(剣を家に取りに行きたいけど……マンション内だ、狭い中で振り回す気になれない)
男(……主任の身に何かあったとして、それを助けられるのか?)
男(んー……まぁ、とりあえずあれだ)
男(正面玄関から行ったらカメラに映る、適当な所から二階まで跳ぶしかねぇな)
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/30(金) 09:49:48.20 ID:jJ5Bu7EHO
【氷のマンション・2F】
──────── スタンッ……!
男「っと、と……!」
男(思ったより凄いな、かなり分厚い氷が内部の天井も通路も全部凍らせてる)
男(モンスターがやったとしたら……なんだ、まさか何処かの妖精の国を冬にした女王じゃないだろうな)
男(メラで溶かせるかもしれないけど……どこまで俺が連射出来るか分からないしなぁ)
男「ってか寒っ」ブルッ
< ヒュォオオオオオ………………
男「……今の、風か?」
男(やっぱりなんかおかしいな、糞……会社のスーツのまま来るんじゃなかった)
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/30(金) 10:05:31.67 ID:jJ5Bu7EHO
< カツン……カツン……
男(……主任の住んでるのは六階だ、上がるなら階段だと思ってたんだがな)
男「普通、階段の扉まで凍らすかよ……おい」ガチャガチャ
男「どうするかね、これ」
男「……」
男「メラッ!」バッ
< バァンッッ!! ジュゥゥ……
男(……割れない溶けない、なーんてダンジョンの氷みたいな性質だったらやばかったな)
男(とりあえずマンションの住人に見つかる前に行こうかね)ガチャッ
< カツン……カツン……
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/30(金) 15:06:55.75 ID:i5M4loLe0
続きが気になる。
ついにパーティでも組むのか??
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/30(金) 16:25:43.71 ID:spK/MpUDO
>140
私のパンティを組んでみるか?
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/30(金) 16:27:00.86 ID:spK/MpUDO
>139 だったパンティ履かないでスカート散歩の刑に服してきます
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/01/30(金) 17:56:40.12 ID:sX+jbCAyO
面白いね
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/30(金) 21:44:59.54 ID:jJ5Bu7EHO
「……あれは、男…さん?」
「こんな時間に何をしてるの……」
< バァンッ
「!」
「魔法……ということは、男さんも?」
「……違う、そんなはずない」
「あれはモンスター、そう……魔物」
「…………倒さなきゃ……私が世界を守るんだから、私が……殺さなきゃ…」
「ごめんね男さん、ううん、似てるだけの魔物だよね」
「行かなきゃ……」ダッ……!!
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/30(金) 21:48:25.55 ID:gTdScLTPo
モシャスとかあるから仕方ないな
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/30(金) 22:15:08.46 ID:jJ5Bu7EHO
【氷のマンション・3F】
男(クソ、四階までの階段は崩れてる)
男(……いや、というかある意味ではこれって重要な崩壊な気もするな)
男(ここの住人が全員エレベーター使ってるとしても、一人はこの非常階段使うんじゃないかな?)
男(あー、とは言ってもたまたま使わなくて気づかれない、なんてのもあるか)
男(もしくは…………)
< ヴオゥンッ
男「は!?」バッ
アルミラージ【………】スタンッ
アルミラージB【………】スタンッ
アルミラージC【………】スタンッ
アルミラージD【………】スタンッ
アルミラージE【………】スタンッ
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/30(金) 22:26:43.41 ID:jJ5Bu7EHO
男(……紫色の毛並み、額の一角、あれは……アルミラージ?)
男(って、ふざけるな……! あいつら何処から出てきた!?)
男(さっきの音もなんだ? まずい、さまようよろい程では無いにせよこんな狭い通路じゃ……!!)
────────── ダダッ!!
アルミラージC【キィッ】
男「はッえぇ……!!」バッ
男「!?」
アルミラージE【キィッ】ダダッ!!
アルミラージ【キィッ】ダダッ!!
アルミラージB【キィッ】ダダッ!!
男(ヤッ……べぇ…………!!?)
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/30(金) 23:59:46.89 ID:4kf69vC/o
謎が深まるね
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/31(土) 01:30:28.43 ID:QSlK2wMFO
ぱふぱふのお姉さんも現実化してくれるんだよね…ウヒヒ
あぶないみすぎきた踊り子とか
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/31(土) 11:26:57.15 ID:fUluSgMLO
< ゴッ!!
男(落ち着け落ち着け!! よく見ろ、危惧すべきはあの一角だろがッ)ズザァッ
男(間一髪避けたとはいえ、刺されれば重傷)
男(一角が半ば以上、氷の張られたマンション壁のコンクリートに突き立てられてやがる……防ぐのは無しだ)
男「メラッ!」バッ
< ボンッッ!!
アルミラージC【ギィッ!?】ドシャァッ
アルミラージE【キィッ】ダダッ!!
男「ッ……!」ヒュッ
──────── グシャァアアッ
< ドシャァッ……ポワァン……
男(メラで吹っ飛ばした奴はまだ生きてる、なら殴って倒す方が早そうか)
男(落ち着け……落ち着け、さまようよろいに比べたら何も恐くねぇ……)
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/31(土) 11:36:15.03 ID:fUluSgMLO
< ダダッ!!
< 「らぁっ!!」ヒュッ
< グシャァアッ!……ポワァン……
< 「よし……カウンター決めれば頭を潰せるな」
< 「来いウサギ共!!」
【……シィィ…………】
【……】
< チャキンッ
【…シィィ……ァアァハハァハハハハあハハハハッッ!!】ケタケタケタケタ
───── ヴオゥンッ ─────
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/31(土) 11:55:28.18 ID:fUluSgMLO
< 【 アァハハァハハハハあハハハハッッ!! 】
男「っ!?」ビクゥッ
真夜中のマンション、いや、近辺全体にすら響き渡る様な甲高くもどこか低い笑い声が鳴った。
それは戦いに集中していた俺でさえ、足が竦む程の異質な警告音に聴こえたのだ。
現に目の前のアルミラージも動きを止めて……
────────── ヒュルンッ……
アルミラージ【キッ……ギュア 】
……動きを止めた瞬間、アルミラージの横にある『住人の部屋から』扉ごと一閃が薙いだ。
そして俺がその一瞬の光景に凍りついていると、予感していた結末が訪れた。
< ズルッ……ビシャッ…ポワァン
男(ッッ……ッ!!)
アルミラージの体が遅れて分断され、氷の張った通路床に崩れ落ちる。
消えていくモンスターの残滓を見た俺の体が即座にマンションの外へ飛び出そうとした。
何も考えていない、反射的な逃走。
しかし。
手摺に足をかけた瞬間にその行動は遅かった事を俺は思い知らされた。
堕ちる様にマンションから落下する俺を追いかけてきた、1体の死神によって。
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/31(土) 13:45:52.27 ID:fUluSgMLO
< ヒュゥゥゥッ……
男(……ッ)バッ
───── ヴオゥンッ ─────
男「今の……!?…嘘だろ…」
男「こいつ、たしか……」ヒュゥゥゥッ
死神【 アァハハァハハハハあハハハハ……アハハハハハハハハハハハッッ!! 】
男(ドラクエ2か…? 死神なのは間違いないだろうが……ッ)
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/01(日) 11:26:10.01 ID:AYvWS+r8O
手摺から飛んだ俺の背後から、空気を布が叩き煽る様な音を慣らして現れたのは死神。
扉という障害物をすり抜け、凍りついた手摺を乗り越えながら、高速で浮遊するその橙色の煙にも見えるローブに身を包んだ者。
手に持つのは、一目でそれと分かる巨大な鎌。
そして何よりも……鳥肌が立つ程に白い顔の中で光る赤い眼と裂けた様に笑う口。
さまようよろいや、人を撲殺するおおきづち等とは決して違う種類の恐怖。
男「うぉわぁあああああああ!!!!」バッ
男(だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ……!! 攻撃、冷静、お、落ち着……)
唇が震えて呪文を叫ぶ事が出来ない。
もうすぐ地面のアスファルトに叩きつけられてしまうのに、俺は眼前に迫る死神から意識を逸らす事が出来なくなっていた。
死神【ァァああははァはァはあはははァはハッ!!!】
死神の鎌が高速で回転し、夜空を背後にした切っ先が突き立てるかの様に俺を…………
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 11:39:46.44 ID:O5W7ZiLxO
(お、キルバーンか?)
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/01(日) 11:55:34.13 ID:AYvWS+r8O
────────── 「『ヒャド』ッ!!」
死神の鎌が振り下ろされ、俺の胸を地面に縫い付けるより早く、何処からか撃ち込む様な声が走る。
死神【シィッ……!?】
直後、二本の太い……淡く蒼白に光る矢が死神を側面から襲ったのだ。
反射的に、俺は矢が飛来した方へ視線を移そうとする。
……だが同時に俺は、長く感じた僅かな一瞬の出来事を目にしながら遂にアスファルトへ背中から叩きつけられてしまった。
< ドッッ!!
男「ぅぐはァッ……っ…!!」
咄嗟に後頭部へ手を回していたものの、心臓がバウンドするにも似た凄まじい衝撃に打たれ、揺さぶられた意識が一気に潰されてしまう。
目蓋を開ける力すら、気怠くなり……そのまま俺は全身の力を手放した。
< 「 ? っ!! っ」
誰かが俺の体を揺さぶっている。
何処か、久しぶりに聞いた声の筈なのに、返事が出来ない。
数瞬して揺さぶってくる相手は俺が意識を戻さないのが確実だったからか、そのまま強引に俺を背負うと走り出した。
そうして……俺は顔に当たる夜風を気持ちよく思いながら、僅かな意識が完全に途絶えた。
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 13:23:19.83 ID:QaOve74VO
乙
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 13:27:55.98 ID:hZ/QKNIzO
意識が戻ってボンヤリと瞼を開けると見知った顔の女性が俺の上に跨り腰を激しく上下させていた。
それと同時に激しい快楽が俺を襲い腰を降っている女性の膣に俺の精をぶちまけた
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 14:31:14.71 ID:8KJAfKjM0
>>157
一瞬
>>1
かと思ったじゃねえか
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 14:42:51.61 ID:J+g53hhjo
>>157
嫌いじゃないけど紛らわしいじゃねえか
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/01(日) 15:49:29.95 ID:AYvWS+r8O
────────── ・・・
< タンッ…タンッ……
男(…………ぅ………)
誰かが、俺の胸の辺りに両手を乗せて体を揺さぶっている。
目蓋は閉じているが、その向こうは明るい。
恐らく俺は助けられたのだ。
< グイッ……ヂュップヂュップ…タンッ…タンッ…
しかし、規則的な揺れに応じて俺の体が熱くなっていく。
何が起きているのだろう、そう考えるのと同じ時に俺は自然と手を自分の腰の辺りへ伸ばしていった。
同じく熱い汗ばんだ太股が指先に触れ、そこへそっと手を伸ばして掴み撫でる。
男「っ…っ…っ……ぅ……あっ…?」
< 「ぁ ♥ んんっ… ♥ はぁっ ♥ あぁあああんっ! ♥ ♥ 」
意識が戻ってボンヤリと瞼を開けると、見知った顔の女性が俺の上に跨り腰を激しく上下させていた。
それと同時に激しい快楽が俺を襲い腰を降っている女性の膣に俺の精をぶちまけた。
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 15:52:33.08 ID:r6Ggp57a0
えっえっ
えっ?
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/01(日) 15:57:01.98 ID:AYvWS+r8O
< バサァッ
男「はッッ…………!!?」
男(い、今のは……夢?)
男(くそ……股間が大変な事に……ッ)グッショリ
< 「…………えーと、おはよう男さん」
男「ッッッッ!!!??」ガバァッ!!
主任「そ、そんなに驚かないでよ……あと、しゃ、シャワー使って良いから、少しは冷静になったら?」
男(……主任?)
男(ていうか、俺……夢精してぐっしょりーぬなパンツ履いてんのな、そりゃ冷静になれとか言われる)
主任「……ちなみに、それ以上近寄ったら警察に突き出します」
男(ああ、しかも溜まってただけに濃ゆい精子の臭い漂ってるしそりゃ警戒される……)
男(最悪だ……死にたい)
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 16:08:18.17 ID:reMjCWZOo
拾ったwww
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 16:23:38.40 ID:QMHFHuK3o
やるじゃん
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 17:14:06.64 ID:8KJAfKjM0
うまいwwwwww
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 17:24:42.21 ID:eZzBEsTpo
わざわざ拾うなよwwwwwwww
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 17:47:37.47 ID:BfRd121WO
死に瀕すると生存本能で性欲が上がるからね、仕方ないね
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 21:17:04.89 ID:13XzNlHcO
うまいけど調子に乗って2度3度と同じことする奴が現れないか不安
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/01(日) 21:49:12.02 ID:AYvWS+r8O
【某ビジネスホテル】
男「……シャワーも浴びた、冷静にもなった」
男「それで……」
主任「待って」
男「?」
主任「まずはこっちの話を聞いて、試さないと私も信用できないんですよ」
男「試すって……そっちは俺を助けてくれたのに?」
< カラン……
男「……へ?」
主任「なにも言わずにその水、飲んで下さい」
男「別に構わないっすけど、主任……このコップに沈んでるコインは?」カランカラン
主任「……いいから、水を飲みなさい」
男「………………」
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/01(日) 21:55:27.06 ID:AYvWS+r8O
< ゴクッ……ゴクッ……
男「……これで良いかな」
主任「…………」
主任「……ほん、とに…? 本当に今、飲んでたよね?」
男「え、ぁ……はい」
主任「…っ」
< ドサッ
男「ちょ、主任!?」
主任「ぅ…うっ、ぁぁ……っ」ポロポロ
男「なんで、主任……泣いてるんですか」
主任「ひっぅ……ぅあぁぁ…ん…っ」ポロポロ
主任「…っ……っく、だ……だって、私……ずっとこれは悪夢なんじゃないかって……ずっと……ずっと……っ!」ポロポロ
主任「誰もね…? 誰も信じてくれないんだよ?……テレビに映ってるのも外で人を襲ってるのもモンスターなんですよって……言っても…」ポロポロ
男「…………」
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 22:19:11.77 ID:fwFbvQaN0
あぁ、そりゃ見えないものを見えるって言ってたらそうなるわな。
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 22:30:40.41 ID:b52wU3ywO
なるほど、魔翌力の水なのか
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 22:55:45.98 ID:2S9VxzR2o
ヒャドの氷でも溶かしたんだろうか
1ヶ月は長かっただろうな
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 23:08:42.89 ID:lXJpkQ/tO
建物凍らしてるのが主任説
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/01(日) 23:34:29.51 ID:AYvWS+r8O
主任「ぅっ…ぇえ…ん」ポロポロ
主任「でも……でも……、私は頑張ったんだよ…っ」
主任「沢山のモンスターと戦ったし……沢山のモンスターを殺した……」
男「…………」
主任「…っ、だ、だけど……だけど……っ」ポロポロ
男「主任」
主任「……っ?」ポロポロ
男「ゆっくり、落ち着いたらまた話を聞かせて下さい」
男「俺は……多分、現実ですから」
主任「……っ…うん、うん…っ」ポロポロ
男「…………」
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/01(日) 23:46:51.03 ID:AYvWS+r8O
【深夜・ビジネスホテル裏】
男「…………」
男「…………」
男「…………」
男「…………」
男「…………」
男「………………はは」
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/02(月) 08:42:02.79 ID:+TM7EgmRo
主任さんのレベルはどんなもんだろね
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/02(月) 11:55:55.98 ID:eSweWb0NO
乙
普通の人なら主任みたいになるよな
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/02(月) 18:24:42.17 ID:yUNqkdJhO
男(……主任も、見えてる)
男(さっき俺を助けた時にほぼ間違いなく、魔法を使ってた)
男(つまり見えてる、よな…魔物を?)
男(今は主任は部屋で寝てる、朝になったら聞くとしようかな)
男(だから、今は……今は…………)
< バサバサバサッ
ドラキー【キキキキッ】バサバサァッ
スライム【ピキーッ】ポヨンッ
アイアンアント【……】カサカサカサ…
男「……もう少し、頭の中を空っぽのままでいさせてくれないか?」
男(…………あぁ)
男(駄目だ、主任のせいだ……)
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/02(月) 18:52:13.62 ID:yUNqkdJhO
男「お゛あ゛ァァアアアアッ!!」バッ!!
スライム【ピィッ!?】ガシィッ
< ヒュン ────────── !!!
< ドッパァンッッ
ドラキー【キ…キキィ……?】ビクゥッ
男(……今までのは、やっぱり現実…………)
男(現実だとしたら? 俺は何をしてた…?)
アイアンアント【ギュィィィッ!!】シャキンッ
男「っ!」ズバァッ
男(……今まで俺って、何をしてたっけ…………)
男(妄想って事にして、人を何人見殺しにしたっけ……)
男「メラァッッ!!」
アイアンアント【ッッ】ボゥンッッ!!…ポワァン……
男(……見殺しに…した、っけ…?)
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/02(月) 19:08:10.80 ID:yUNqkdJhO
ドラキー【キキキキッ!】バサバサァッ
< スカッ
ドラキー【!?】
男(そうだ、見殺しにしたんだよな……俺は)ズザァッ
男(人が死ぬのを、平然と……助けにも入らないで)
男(最低だ、俺は……、最低だ……)ヒュッ
< ゴンッ!!……ポワァン……
男「…………」
男「…………」
男(自首……しようかな)
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/02(月) 19:55:51.94 ID:yUNqkdJhO
< ヒュゥ……ンッ
男「!」バッ
さまよう鎧【シィィ…】ガシィン!!
< ガシャッ…ガシャッ…
さまよう鎧B【シィィ…】チャキッ
男(…………)
男(朝、まずは主任の話を聞こう)
男(それから俺の事を話す、自首についても……相談しよう)
男(主任を独りにする程、自分勝手に堕ちる訳にはいかない…と思う)
さまよう鎧【シィィイッッ】バッ!!
さまよう鎧B【シィィイッッ】バッ!!
男「夜明けまでにこっから俺の家とホテルを往復する間、お前らモンスターを一匹でも多く倒してやる……!」
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/02(月) 20:27:55.02 ID:kbptNA/rO
支援
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/02(月) 21:02:21.92 ID:8kn6U5mro
主任「……それ、もしかして『鋼の剣』?」
男「はい」
主任「あ…………」
男「?」
主任「な、何でもないです」
主任「何だか嬉しくて、男さんもドラゴンクエスト知ってるんですね」
男「あー……えっと、そうですね」
主任「……」
男「……」
男(……なんか、落ち着いたら気まずいな)
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/03(火) 01:03:48.26 ID:Q6X1qf11o
< 「「………………」」
主任「……私が『見える』ようになったのは、1ヶ月程前の事でした」
男「……」コクン
主任「あの当時はまだ見えない存在の事はニュースでたまに見る程度で、私も特に気にしていませんでした」
主任「ただ、その日私は運が悪かったんだと思います……あの時は」
男「もしかして」
主任「襲われました、何も見えないのに何かが私を横から叩き伏せたんです」
主任「………その時に左腕を折られて、私は必死に逃げようとしたんですよ? でも駄目で……」
主任「何度か見えない何かが私を叩きつけ、吹き飛ばし、足まで潰しました」
男(………………よく生きてたな、この人)
主任「そして私は気がついたら、治っていたんです」
男「……」
男「?」
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/03(火) 01:27:53.33 ID:Q6X1qf11o
男「それってどういう意味なんだ……じゃなくて、どういう意味なんですか」
主任「私も訳が分からなかったんです、一瞬で体が温かい空気に包まれて、そのまま治っていたんです」
主任「同時に、今度は目の前に『スライム』がいてびっくりでしたけど」
男「ま、待って! いや、それはつまり主任が突然ダメージを回復させたと思ったら急に『見える』様になったってことっすか!?」
主任「そうなります、男さんは違うんですか?」
男「俺は違いました、けど……」
主任「なら、この話の続きにも驚くかもね」
男「今度は何ですか」
主任「他の見えない何かが、見える様になったモンスターを目の前で倒したんです」
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/03(火) 10:58:58.80 ID:ljxNcNFJo
回復してくれたってことか……
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/04(水) 09:43:07.14 ID:D8zL3k2JO
男「他の見えない何か、って……?」
主任「分かりません、姿も形も分からない」
主任「何となく気配を探って手を振ったりしてみたけれど、触れられないの」
男「魔物、ですかね」
主任「分からないけど、助けてくれたんじゃないかって私は考えてる」
主任「……考えてた、が正解かもしれません」
主任「その時は必死に逃げたんです、他のモンスターも見えたから……悪夢みたいな気分になって、帰りたくなってしまって……」
主任「そうしたら途中で道に現れた魔物もやっぱり何かが倒してるんです」
男「……」コクン
主任「私は無事にあのマンションへ辿り着きました、けれど其処には名前も分からないモンスターが居たんです」
主任「……緑の衣を着た、魔法使いみたいで魔法使いとは違う魔物なんですけど」
男「緑の衣?」
男(そんなの幾らでもいるな……機種やソフトによっては大分変わったやつもいるし)
男(緑の衣……分からん)
男「杖とかは持ってました?」
主任「いえ……顔も隠してたので」
男「顔?」
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/04(水) 09:49:53.26 ID:D8zL3k2JO
男「んー……ちょっとネットで調べてみます」
男「……」ポチポチ
主任「……」
男「……」ポチポチ
主任「……」
男「……」
主任「あの」
男「?」スッ
主任「……男さん、まだガラケーなんですねぇ」
男「えぇー……まぁ、愛着湧いちゃって、なんだかスマホとかに乗り換えられないんですよ」ポチポチ
主任「結構便利ですよ? スマホ」
男「なら次の週末買いにいくの付き合って貰えますかね」ポチポチ
主任「はい?」
男「ん?」
男「あ、ドラクエ まほうつかい で調べたら少し出てきた……顔も隠してたってのはこれですか?」
主任「……」
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/04(水) 12:45:55.22 ID:ucX+6+WqO
ナチュラルに誘ったな
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/04(水) 13:37:16.91 ID:D8zL3k2JO
主任「これは違います、でもこっちのは……」
男「これ?」
男「……あー、作品によってはまほうつかいのグラですね」
主任「ちょっと貸してもらっていい?」
男「ぁあ、はい」
主任「…………これ」
主任「これ! これ、『ヒャダルコ』とか『ヒャダイン』を撃ってたの!」
男「え……………じゃぁ、それ………」
主任「『エビルマージ』ですね、私のマンションの前に居たのはこのモンスターです」
男「……」
男(エビルマージとか嘘だよな?)
男(かなりの高レベルモンスターだぞアイツって……!!)
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/04(水) 13:46:39.71 ID:oH9UOs5+o
エビルマージくらいならマヒャド撃てそう
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/04(水) 19:44:00.81 ID:D8zL3k2JO
男「えー……と、主任?」
主任「はい」
男「本当に見たのはエビルマージだったんですか? ドラゴンクエストの中でもそいつはかなり特殊な部類ですよ」
主任「そうなんですか?」
男「そうなんですかって、主任はドラクエ3をやったこと無いんです?」
主任「無いかな、私が入ったのはドラクエ5からだったの」
主任「ほら……それから4と6、8をやってから7をやったの」
男(……DQMとかキャラバンハートはやってないのか、トルネコとか不思議のダンジョンも)
男(とはいえこの姿そっくりな上に、ヒャダインまで使ったのか)
男(…………他にいたか、こんな奴は)
主任「男さん」
男「?」
主任「続きを話してもいいですか?」
男「あ、はい……良いですよ」
男(主任にとってはどうでもいい、かもしれんけど……本当にエビルマージだったならやばくないか)
男(この一連の騒動、現象は、大魔王『ゾーマ』がやってることになる)
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/04(水) 19:47:28.19 ID:at7JV3HWO
リアルにゾーマとか絶望すぎるな……
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/04(水) 20:06:37.93 ID:D8zL3k2JO
主任「……マンションの前に居たエビルマージは私と、丁度横の辺りを指差して言ったんです」
主任「『試してみろ』……と」
男(試す?)
主任「その後は今思い出しても滅茶苦茶でした、目に見えない何かが……私の周囲を駆け回るのが分かったんです」
主任「そうしてると、マンションの中から大勢出てきたんです」
主任「あの死神が……」
男「エビルマージが呼んだのか」
主任「『あの時の私』は死神の動きはおろか、エビルマージが撃ったヒャダルコにすら気づけませんでした」
主任「時々、氷の太い針が私のお腹とか、肩とか……沢山刺さったりもしたんです」
< ……ギュッ…
主任「……凄く怖かった………」
男「…………」
男(メラであの威力だ、想像もしたくないや……)
男(だけど主任が今こうしていられるってことは……?)
男「それで、主任はまた助けて貰ったんですね…? 『その人』は」
主任「はい……大勢の魔物に囲まれたまま、私はどうにか部屋に入りました」
主任「そして、それから私は一週間……かな? 多分…………そのくらいずっと部屋に籠ってました」
男「ん?」
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/04(水) 20:22:44.97 ID:D8zL3k2JO
主任「……?」
男「あ、いや、何でもない」
主任「…………」ふぅ
主任「……会社の人事部の部長さんに助けを求めても、誰も信じては貰えず、警察に言っても救急車だけ来る始末…………」
主任「毎日を震えながら過ごすしかなくて、それで……」
男「水、持ってこようか」
主任「……! …はい」ニッコリ
男(……今の話は全部本当なのか、色々突っ込みたい所はある)
男(ただ……)チラッ
主任「……」
< ギュゥッ……
男(あの悔しそうな、というか……耐えてる感じは、嘘ではない気がするんだよなぁ)
男(…………)
男(現実だと理解してたから、ああいう風に苦悩したんだよな)
男(多分俺よりよっぽど主任の方がまともな神経をしてる)
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/04(水) 20:52:23.38 ID:D8zL3k2JO
< ゴクッ……ゴクッ……
< コトッ…
主任「ありがとう、男さん」
主任「……一週間経った頃、ですか」
主任「何かが割れる音がしたんです、ぱりーんって」
男「ガラス…?」
主任「分かりません、けど代わりに私の……ほら、脇腹」スッ
男「ちょっ……!」ビクッ
男「…………ぁ……」
主任「いきなりでした、壁ごと私を切り飛ばしたんです」
主任「正確には『壁をすり抜けて』、でしたけど……ね」
男「『死神』の特性です、あれは壁や建物……岩も通り抜けて移動できるから」
主任「そうなんだ……」
主任「……パニックになった私は部屋を出て深夜の外を見て唖然としましたよ」
主任「エビルマージが呼んだ死神は、殆ど減らずにマンションを囲んで……いや、多分あの時既にマンションは支配されていたんです」
男「住人……他の人は?」
住人「何部屋か見ましたが…………駄目でした」
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/04(水) 23:54:05.68 ID:ro3s8LPgO
乙
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/05(木) 00:58:00.93 ID:dzq1NPPx0
おつ
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/02/05(木) 17:16:39.64 ID:7QoBGuAUo
やばい…
メチャクチャ面白くなりそう。
ほし
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/05(木) 18:30:45.49 ID:WzEZ/mrLO
主任「……男さん」
男「ん、はい」
主任「それから私はどうやって生き残ったと思いますか?」
男「そりゃ、逃げたんじゃ?」
主任「はい」
主任「夜明けまで逃げ延びる、それを目指して私はあらゆる障害も通り抜けるモンスター達を相手に生き残りました」
主任「……でも逃げ切れるものではありませんでした、だからそんな時は…」
主任「『ヒャド』を後ろの壁に、撃ったんです」
男「壁に?」
主任「はい、あれ? 魔法がいきなり使える様になったことは驚かないんですか」
男「え、あぁ……そうだった」
男(死神の群れから生き残ってる事に比べたら、そんなに驚かないなぁ、今さら)
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/05(木) 18:41:48.57 ID:WzEZ/mrLO
主任「これは逃げている最中に気づいたのだけど、まずエビルマージはいなかったんです」
主任「もしかしたら『何か』と戦って倒されたか……満足したか、とにかく戻ってくる事はありませんでした」
主任「それだけでなく、死神は魔法で生み出された氷の塊である壁を通り抜ける事が出来ないんです」
男「あ……! ならあのマンションのほぼ全体が氷に覆われていたのは……」
主任「私が死神達を閉じ込める為に、何時間もかけて『ヒャド』を撃ったからかな」
男「エビルマージかと……アイツならやれそうな実力はあった」
主任「そうなんですか?」
男「あとでエビルマージのwikiを見せるけど、かなり強いボスモンスタークラスの脅威はあるっすよ」
男「……次に見ても、もう近づくのも止めた方が良いと思います」
主任「……」コクン
主任「それで、私はそれをずっと続けてました」
主任「昼間は薄暗い所に現れるモンスターを倒して、ヒャドに慣れて……出来るなら襲われてる人も助けてました」
主任「『見えない人』にとっては、魔法も見えないらしくて街中でも小声で使えるから魔法は便利です」
主任「せめて、おかしな人だなんて言われないで済むから……」
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/05(木) 18:49:04.12 ID:WzEZ/mrLO
男「…………」
主任「これで、全部です」
主任「私の1ヶ月が今の短い話に籠められてます」
男「そう、ですか」
主任「敬語は使わなくて良いですよ男さん、落ち着いたら会社を辞めるつもりなんです」
男「えっ」
主任「……分かるんです、日に日にモンスターが人を襲う数が増えてる中で、私だけ生き地獄みたいな理不尽に苦悩させられてるのは意味があるって」
主任「誰も信じてくれない、独りの私にはそうやって考えるしか正気を保てなかったんです」
男「主任」
主任「はい?」
男「主任は俺なんかより……」
< 「嫌ぁぁああああああああああ!!!!」
男・主任「「!!」」
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/05(木) 18:55:34.81 ID:WzEZ/mrLO
女性「ひ、ひぃぃ……」ガタガタガタ…ッ
< ガチャッ!
男「今のは!?」
女性「っ、たすけて……たすけてぇぇえ……っ!!」ガシィ!
男「おわっ、落ち着いて! 何がおき……」
主任「男さん!!」バッ
< ガッ!!
男「!?」ドサァッ
────────── ヒュルンッ…………!!
主任「っ……!」
< ズバァッ…ッ
主任「ぁ……あ…………」ドサッ
男「主任 ──────!! 」
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/05(木) 19:11:14.28 ID:WzEZ/mrLO
……早朝の、様々なビジネスマンや会社員が慌ただしくホテルを後にする中で。
俺のいた位置に崩れ落ちる主任は、叫び声も出せずに、清潔感のある通路の中心に倒れ伏せたまま動かなかった。
切り裂かれた背中からは赤黒く染まりつつある白のカーディガンが見える。
救急車を、呼ばないと………………
───── 「貴方達、私を他のモンスターと一緒にしてないかしらぁ?」 ─────
男「……!!」
嘲笑う様に、そして僅かに怒気を含めた声色で、潰れた女の声が響き渡った。
俺の脇で震える女性は先程と何も変わらない、なら……。
男「モンスターか……ッ」
───── ヴォゥンッ ─────
俺の絞り出した様な言葉と同時に、黒い煙が突然通路の奥で噴き出した。
……否、煙とは全く違う。
その質感はまるで闇、そこから白い仮面の様な物が這い出していたのだ。
死神「あははははは!! 馬鹿な人間……あの氷に覆われた建物から私だけ抜け出て幾つかの氷を割ってある時点で雑魚な訳ないでしょぉおおお??」
早口で叫ぶ、その橙色の衣を纏った……大鎌を構える姿に、俺は目眩と少なくない恐怖心を覚えた。
『しにがみ』。
その名の通りの姿を持った、死神のモンスターだった。
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/02/05(木) 19:28:00.91 ID:WzEZ/mrLO
死神が動くよりも先に、俺は脇で震える女性を主任といた客室へ放り込む。
男「アンタは警察を呼んでくれ!! こっちの女性も……出来る限りの止血と、これを傷口に!」
突然の事に茫然としかける女性に怒鳴り付けると、即座に主任を女性に渡す。
そして、二枚の大きな新緑の葉を渡した。
まだ試した事はなかった、『やくそう』だった。
男「……」
< チャキッ
男(……鋼の剣まで通されたら厄介な事この上ないけど、多分それはない)
男(さっきの女性が主任にやくそうを使ってくれれば、まだ間に合う)
男(落ち着け、昨夜の醜態をまたここで晒せば今度こそ死ぬ)
男(落ち着け……落ち着
────────── ビュォッ!!
男「!!?」
通路を疾走する橙色の残像を見て、俺は咄嗟にその先に向けて鋼の剣を無闇に振り下ろした。
だが。
< ガギィンッ!!
死神【……シィィ………】ニタァ・・・
男「くっ……ッ!? こい、つ……!!」ギリギリギリ…ッ
鋼の剣という、現実ではかなりの質量を持っている上に切れ味を誇る、ゲームなんかでの序盤では上位の武器。
それを正面から押し込んでくる死神の膂力に俺は通路に膝を着きながら耐えるしかなかった。
化け物、明らかに本来の『しにがみ』のスペックではない気がした。
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/05(木) 21:13:10.92 ID:CufjwondO
アイテムって一般人に見え……る?
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/05(木) 22:02:59.51 ID:1YVDK70oO
待ちきれん乙
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2015/02/05(木) 22:09:25.23 ID:7QoBGuAUo
呪文は見えないけど、アイテムたちは見える?
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/05(木) 22:13:48.18 ID:5fKInzk3o
いや、鋼の剣とか見えてたら一大事じゃないかな
つーことは薬草も見えてなくて治療もされてない可能性がある
もしかしたら「意図的に巻き込んだ(傷つける、アイテムを触らせる等)場合その対象は見えるようになる」とかあるかもしれんが分からないね
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/06(金) 00:12:28.53 ID:6UwPlKXn0
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