男「……いよいよメラが使える様になるとか末期だな俺は」

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 08:36:27.77 ID:uQLwObvEO

男「……」

男「やべー」

男「いまの見た? ねぇ、メラが掌から出ちゃいましたよ奥さん」

男「魔法だよ魔法」

男「……」

男「…いよいよメラが使える様になるとか末期だな俺は」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406158587
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/24(木) 08:42:41.90 ID:f6EfDpWAo
俺はイオナズン出せるからまだ大丈夫
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 08:44:06.29 ID:uQLwObvEO

〜 1ヶ月前 〜


男「……」

スライム【ピー】ホヨン

男「……」

男「!?」


男(え、なにこの……え? スライム? ドラクエ? ドラクエなの?)

男(いやいやいや……え、本当にスライム?)


スライム【ピキィーッ】ヒュッ

< ドゴォッ!!

男「ぐぉ……ッ…げほっ、がふッ……!?」ドサッ
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 08:51:35.37 ID:uQLwObvEO

男(や、ヤバい……よくわからんけど本当にヤバい…)ゴホッゴホッ…

男「だ…誰か!! 誰か助けてぇ!!」

< ダッ!


スライム【ピー】

スライム【ピキィーッ】ヒュッ!!

< ズザァッ

男「うわ、回り込まれ…っ」

< ドゴォッ!!


男「〜〜っ!! ゲぇっほ…!! ぉえ……ッ」ガクッ

男(いってぇ……なんだよこれ…な、何の悪夢だ…ヤバいヤバいヤバいヤバい……!!)ゲホッゲホッ…

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 08:56:34.30 ID:uQLwObvEO

男「はぁ…はぁ……」


スライム【ピー】ホヨン


男(……動かない)

男(こっちが何もしなければ、何かしらアクションを起こすと攻撃してくるのか…な?)

男(〜っ!)ズキズキッ

男(脇腹にサッカーボール大の痣……もう夢じゃないなこれは)

男(糞が……会社どころじゃねえぞ)


スライム【ピー】

6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 09:07:20.49 ID:uQLwObvEO

・・・・ 30分後


男「……」

スライム【ピー】ホヨン

男(やっぱり、こっちが何もしなければ襲ってこない)

男(……刺激しないように逃げれば良いのだろうか)

男(……)スッ


スライム【ピー】


男(……)

男(1歩)スッ

男(2歩)スッ

男(……)スタスタ


スライム【ピキィーッ】ヒュッ!!


男「うわぁああ!?」

7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 09:14:34.54 ID:uQLwObvEO

男(もう駄目だ……殺ってやる…!!)

男「らァッ!!」ブンッ

スライム【ピキィーッ】バチンッ

< ポニョンッ! コロコロ……

スライム【ピー…】


男(目を回してる? だったら今のうちに逃げるしか……!!)ダッ!


< タッタッタッ…!!


8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 09:23:24.98 ID:uQLwObvEO

< ガチャッ!

< バタンッ!


男「ぜぇ……ぜぇ……」

男(逃げ切った……)

男「あ、カギ……かけとかねぇと…!」バッ

< カチャン

男「はぁ…はぁ……」

男「………」ガクガク

男(まだ足が震えてて……上手く立てない)

9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/24(木) 09:49:36.05 ID:2ra+c7JSO
傘とか、杖っぽくもあり、先端で刺して攻撃も出来る、良い装備品だと思うんです。
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/24(木) 09:51:50.57 ID:MSSfpOaMO
シャベル最強
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/24(木) 09:54:29.01 ID:Fv/aWh/L0
砂利をつめればブラックジャック、石を挟めばスリングになる靴下とかいう便利グッズ
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/24(木) 10:02:49.21 ID:J3/hTY1lO
>>11
スライムの類には効きそうにないな
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/24(木) 11:03:34.27 ID:bR2v1xN2O
なんか期待
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 15:43:25.72 ID:Oby9K/1KO

男「……」prrrr…prrrr…

< 「はい、こちら銅鑼久重商事株式会社です」

男「すいません、男です」

< 「え? あれー、どうしたの男君」

男「ちょっと……トラブルで、今日はお休みさせて頂きます」

< 「トラブル? どうかしたの」

男「あー……」

男(何て言えばいいんだ、あんなの……)

男「……通り魔(物)にあったんです」

< 「嘘ー! 通り魔!? 大丈夫なの? 警察には?」

男「これから行きます……なので、いいですか」

< 「わかったわかった、主任に伝えとくねー」


15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 15:48:00.13 ID:Oby9K/1KO

< ピッ


男「……」

男「はぁ…どうなってんだよ、もう……」

男(あれは夢……じゃないな、痣残ってるし)

男(幻覚? 俺が頭おかしいだけか……?)

男(こんなに自覚症状ないもんか…?)

男(でも……なら、この痣はなんだ…)


男「……」

男「テレビでも見て……眠ったら、消えてるかな…」ピッ


16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 15:55:33.50 ID:Oby9K/1KO

< 『本日の天気は晴れのち曇り…』

ピッ

< 『デデデーン! デーデーデーデーン!!』

ピッ

< 『新番組、スタイリッシュ★プリキュア!』

ピッ

< 『特別放送、【スラムダンクVS黒子のバスケ】が遂に明日の23時から……』

ピッ


< 『……らしく、目撃者は一様に「あれはポルターガイストだ」と証言しており…』


男(………ポルターガイスト…)ピタッ


17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 16:10:38.04 ID:Oby9K/1KO

< 『本日の午前3時頃起きた、女子大生四人暴行事件で明かされる証言』

< 『犯人は深夜に現れた悪霊なのでしょうか! 今日は専門家の方に来て頂きました』

< 『まず、霊が生きている人間に襲いかかるとは到底思えないし有り得ないとだけ言わせて貰います』

< 『そして今回の事件で最も注目されている犯人の事』


< 『それはどの被害者も【見えない何かに殴られた】と言っていた事が原因と言えます』


男「………」

男(関係ないか…)スッ


< 『更に言うならばサッカーボール大の痣、こんな痣をどうしたら作れるのか不明だという事も原因でしょう』


男「……!!」


18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 16:26:17.46 ID:Oby9K/1KO

男「……結局あの後もテレビを見たけど、同じようなのばかり」

男(けど……多分、間違いない)

男(俺と同じく被害者達はスライムに襲われたんだ)

男「………」


男「でも、皆には見えてない……?」


男「それっていいのか? まずいんじゃないのか……」

男「皆には見えてないものが見えてるんだぞ俺は…」

男「……やっぱり」

男(頭…おかしくなっただけ?)

19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/24(木) 16:38:44.95 ID:Oby9K/1KO


・・・・その夜



男(あぁ……)

男(ぁあ、なにやってるんだ俺は…)カラン…カラン…

男(馬鹿か……馬鹿だよなこれ、夜中にヘルメット被ってバット持参とか……捕まるだろ)カラン…カラン…

男(やめろ…やめた方がいいんだ、忘れよう、帰ろう)

男「……なのに、なのに…」



男「ドキドキする……また、あのスライムに会いたいと考えちまってる…」

男「モンスターを思い切り殴り付けたあの瞬間に広がった感覚が……」


男(……忘れられない)チラッ


スライム【ピー】ホヨン

スライムB【ピー】ホヨン


男「……」

男「見つけたぞ…魔物め」ギシッ…

20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/24(木) 17:20:44.18 ID:IMqUsYxDO
なんとなくオチが読めたような・・・
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/24(木) 17:50:48.06 ID:bR2v1xN2O
いやいや
期待している
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/25(金) 10:37:54.89 ID:kQaQqeYkO

男(回り込む時だけ異様に早いけどさ、動きや攻撃は思い切り体当たりしてるだけだ)

男(まぁその思い切りが……)


スライム【ピキィーッ】ヒュッ

男(うぉッ…!)バッ


< パァンッ!!


スライム【ピー】ホヨン


男(コンクリの壁に激突して今の音……ゼリーってwikiで見たけど本当かよ)カラン…

男「っ!! おおおおおおおおお!!!!」ブンッッ


スライム【ピキィイイイイイ!!】バチュンッ!!

< ビチャァッ!!


男「うわっ、破裂した……っ!?」

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/25(金) 10:44:36.03 ID:kQaQqeYkO

男「うぁ……トロトロして、なんか…うわ……」ドロドロ

< ポニョンッ!

男「!!」


スライムB【ピキィーッ】ドゴォッ!!

男「ヴぁああっ…!! づぅ……やば、腰が……ァッ……」ガクンッ

男「〜〜っ!!」ブンッッ


< ベチンッ!!

スライムB【ピキィッ!】ポテンッ

スライムB【ピキィーッ】ポニョンッ!


男「うわぁっ!」ヒョイッ

男(今だ……!)ブンッッ

< バチィンッ!


スライムB【ピキィイイイイイ!!】バチュンッ!!

< ビチャァッ!!


24 :乙蛇 [sage]:2014/07/25(金) 10:50:07.55 ID:2I4XSkik0
いいぞいいぞ
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/25(金) 11:06:19.59 ID:kQaQqeYkO

男「……ハァッ…ハァッ…!」

< カラン…


男「………」

男「た、倒した……」

男「やったぁ! はは、魔物の群れを倒したぞぉ!」グッ

男「感触も、この痛みも本物なんだ! 夢じゃない!! はははは! はははははぁははははははは!!」


OL「……」ジトー…


男「」

OL「……」スタスタ

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/25(金) 11:11:11.12 ID:EeFyVR9m0
30歳童貞的な意味かと思った…
他人には見えない魔物ってなんかKanon思い出すな
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/07/25(金) 11:16:32.63 ID:2xqGjV970
おれはビッグバンだせるよ!だから最強俺は
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/25(金) 11:28:22.90 ID:kQaQqeYkO

< タッタッタッ…!!

男(とりあえずさっきの場所から離れつつ…)

男(まだスライムが何処かにいないか……)キョロキョロ

男(……公園の方に行ってみるか?)



< チリンチリン

男「?」


警察官「そこの人いいですかー、ちょっと止まってくださーい」シャカシャカ

男「〜〜〜〜!!?」ビクゥッ!!


男(一番会いたくないのに遭遇した……!! や、ヤバ… )ダッ!


警察官「あっ、待ちなさい!!」

29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/25(金) 12:21:42.25 ID:E0O8hezGO

男「ひぃ…っ、ひぃ…〜〜っ!!」タッタッタッ…!!

男(ま、まだ追ってきてる…!! 駄目だ駄目だやめろ……来るな来るな来るな来るな!)

男(捕まったら仕事が……前科…逮捕歴…お袋への仕送りもできなくなっちまう…ッ)


< 「うがぁっ!?」

< ガッシャーン!!


男「……?」ピタッ

男(…今の、なんだ?)

男「………………」コソコソ


< 「や、やめっ……うわぁ! うわぁあああああああ!!」ジタバタ

< ゴンッ!!

< ゴチュンッ……


男「…え」

男「!?」ガタガタガタ…

30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/25(金) 12:25:53.78 ID:E0O8hezGO


< スタ…スタ…

男(い、一体何が…?)

男(お巡りは…? どうなったんだ……)スッ…

男「……」

男「あれは……」




大木槌【フモッ】モフッ、テクテク…



男「…おおきづち…だ」

男「?」

男(……足元のあれ……お巡りの…体? は…? 頭は? なんで首から上が潰れて…)

男「ぉえッ……げぇええっ…!」ビチャビチャッ

31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/25(金) 18:48:34.96 ID:/ZG2a44JO

男「はぁ…はぁ………ど、どうする…」

男(あんなの…警察官を秒殺って、どういうことだよ…)

男(明らかに旅人の服より防御力高いはずだろ…? いや、それを言ったら俺もか……)

男(違うそうじゃないんだ、おおきづちの足元の自転車が歪んでる…側面から不意討ちされたんだ)

男(そして訳も分からないうちに、力を溜めたアイツの痛恨の一撃を…)

男(…力を溜めてない場合もある…つまり痛恨の一撃で……?)ゾクッ

男(……スライムが相手が気絶するまでしかやらなかったのは、単に攻撃力と知能の問題だとしたら)


男(魔物は人間を殺すつもりで襲ってきてる……ってことなのか!?)


男(ってことは、警察官が一撃で死んだってことは……レベルが1だと考えるとHPが15か20前後…これが人間の生命力…というか、人間一人の肉体だ)

男(あのおおきづちの痛恨の一撃は、人を殺せるって事になる……)

男「……」ドキドキドキ…

男(……)

男「経験値はスライムの三倍以上なのは間違いない……」ゴクリ

32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/25(金) 22:28:20.61 ID:/ZG2a44JO


大木槌【ンモッ、ンモッ】テクテク



男(……大きさは膝上10cm程度)

男(だが……ゲームのあれと同じ動きが出来るなら)

男(自身より大きい木槌を振り回して、挙げ句には降り下ろしてくるのか……死ぬな)

男(だけど見た目からしてスライムよりは金属バットが効きそうな気はする)


男(行けるか……?)カラン…


大木槌【ンモッ?】クルン

男「でぇあっ!!」ブンッッ

< ゴキンッ!

大木槌【ブモォッ!!】ドシャァッ

大木槌【……ンモッ!!】ヒュンッ…ブルンッ!!


男「ぅお……っ」ビクッ

男(ゲームとは違うのは分かってた……人が死ぬんだもんな、こいつの一発で)

男(……そうだ、さっきの警察官は俺を追いかけてたから…こいつに殺されたんだ)

33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/25(金) 22:31:49.87 ID:vOWMMFWBo
かわいい
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/26(土) 01:52:34.85 ID:OLxzD5hjO

男「……このッ!」ブンッッ

大木槌【ンモッ!!】ヒュンッ

< ガンッ!!

男(受け止め……!? いや、当たり前か…!)ググッ…

男「ははっ…」ガンッ!!

男「ドラクエをリアルで出来るなら……これが幻覚でも構わない…!」ブンッッ

< ゴキンッ!

大木槌【ブモォッ……!!】クラッ

男(怯んだ!!)


男「……きっと、そこの死体も…!」ブンッッ

< ガコンッ!

大木槌【ンモッ…!〜〜っ!!】ビチャッ…


男「きっと……幻に違いないんだ……ッ」ブンッッ



────────── ゴシャッッ!!



35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/26(土) 02:05:14.59 ID:OLxzD5hjO

< ドシャァッ

男「ハァッ…ハァッ……」カラン…ッ

男「……あ」


大木槌【…】シュゥゥ……

< ポワァ…ン…


男(消えた…)

男(そうか…確かにスライムの体液もいつの間にか体に付いていたのも消えてる)

男(ドラクエ8の描写…に近いな)


男「!」


< ゴトッ


男「……え」

男「大木槌……だけ、なんで消えてないんだ」

36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/26(土) 02:39:26.96 ID:OLxzD5hjO

男(……)

< ギシッ……

男(!)

男「かるっ」ヒョイッ

男「うわ……なんだ、この…えーと」ブルンッ!!

男「……軽いけど、変に音が凄い」

男「……」

男「……」ブンッッ


男(……警察の人の分も、モンスターを退治してやろう)スタスタ

37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/07/26(土) 05:05:39.51 ID:9IA8O9eU0
一人称で進んでく感じがええなぁ
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/26(土) 08:01:19.69 ID:vuLsEEfIo
いいな
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/26(土) 09:53:41.57 ID:Oahd97kEo
おもしろい!支援
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/26(土) 11:42:11.87 ID:OLxzD5hjO


・・・・翌朝



男「……ん…ぁ」ムクッ

男(…布団)

男「…ッ! やべ、今何時だ!?」

男(……今日はまだ間に合う、会社行かねえと…主任に怒られる)バッ


< ガコンッ


男「……」

男(そうか、そうだった)シュルッ…バッ…

男(昨夜は大木槌を手にいれてから30匹は倒したんだったな…)バサッ

男(この大木槌……)スッ


< ブンッッ!!

男(音が凄い、とか思ったが……どうも違うらしい)

男(これ、持ち主にとっては軽くても現実には恐ろしく見た目通りの重量を持った木槌だ)

男(まぁ当たり前か……人の胴体はある大きさの木槌なんだ)

男「……ふふ、それが俺の今の武器か」ドキドキ

男「そもそもおおきづちが大木槌落としてくれる事はないはずだけど、それがリアルって事なのかもな」


41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/26(土) 11:46:09.79 ID:OLxzD5hjO

< ガチャッ…

< パタン


男「っし、急ぐぞ」ダッ!

男(そう言えば、スライムを何匹か倒していて幾つかのアイテムを手にいれたな)

< シュタタタタタ…!

男(1つは…形とか、ハーブみたいな香りからして多分あのやくそう…だな)ダッ!

男(もう2つは、何かの種だけど……名前が分からない)

男(会社に着いたらググって種の種類でも調べてみよう、形とかあるはず)


男(……ああ)

男(いままで退屈というか、疲れてばかりだった毎日が、急に楽しくなってきた…!)

男「ひゃっほーぅ!!」


OL「……」ジトー

男「」シュタタタタタ…!!

42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/26(土) 12:44:55.15 ID:OLxzD5hjO

< シュタタタタタ…!!


男(うおおおおおおお!! あの電車逃したら死ぬぅぅ!!)バッ!!

男(なんか今日は体の調子が良いな…! これなら間に合う…!)


< ブワッ!

会社員「うぉっ…!」ビクッ

会社員B「今の人、すげー足はえーな……」

会社員「陸上部でもやってたんかねぇ」

会社員B「にしちゃフォームが適当な気がする」




男(っしゃ! 間に合った……)シュタッ

男(あー……家から10分、駅まで全力疾走したからちょっと疲れた)

男(……)

男(あれ、こんなに走れたっけ)

43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/26(土) 13:00:06.42 ID:OLxzD5hjO


女「おはよう男くん、大丈夫?」

男「ああ、すいません心配かけてしまって」

女「いいよいいよー、うちの部署で頼りになる同世代なんて男くんしかいないしさ」

女「困った時はお互い様っしょ」


男「あはは……」

男(こりゃ……先輩には本当のこと話せないな…当たり前か)


女「あ、そうそう主任なんだけどね?」

男「はい?」

女「今日は病欠だってさ」

男「へー……珍しい」


男「あんな真面目な女性でも、風邪引いてダウンするんすねぇ…」

44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/26(土) 13:59:44.54 ID:Xf9LWvcho
やっぱりステータス上昇してるのか
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/26(土) 15:27:49.34 ID:jQXq3TTmO


・・・・その夜



男(……)

男「ふぅー……よし、食うぞ」

< パクンッ…カリッ…カリッ……

< ゴクンッ……

男「……ピーナッツと変わらないな」

男「!」トクンッ…

男「くっ……体が少し…なんだこれ、痛ッ……」ガクンッ


男「…………………………」


男「治まっ…た?」

男「……あんまり変化ないな、『ちからの種』二粒も食べたのに」

男「まぁいいや、モンスターハント2日目……行くか」ギシッ

46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/27(日) 18:41:12.79 ID:KeDOF7j4O

スライム【ピキィーッ】ヒュンッ

男「っと」ブルンッ!!

< バチィンッ!!

< ビチャァッ!!


男(……慣れてくるとスライムの体当たりに合わせて大木槌で必殺ホームランでカウンターできる)

男(いや、やっぱり何か俺の……腕力が少し上がった……のか?)

男(まぁいいか…それより、なんだ……)


< ヒョコッ…ヒョコッ…

スライム【ピー】ホヨン

スライムB【ピー】ホヨン

スライムc【ピー】ホヨン


男(さっきから集まってきてないか……!?)ギシッ


47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/27(日) 18:48:41.02 ID:KeDOF7j4O

男「でぁッ!」ブルンッ!!

スライムB【ピギッ…!!】ビチャァッ!!


< クルン!!

男(背後の奴も…!)ブルンッ!!

スライム【ピッ…キッ】ビチャァッ!!


男「よし……!?」

スライムc【ピキィーッ】ヒュンッ

男(しまっ……)


< ドゴォッ!

男「ぐっ……」グラッ

男(油断した……調子よく倒せても、こいつらは問答無用で襲いかかってくる)

男(油断するな…どうせ、現実じゃぁないんだ)

男(だから……もっと意識を集中させよう……)


男(何も考えちゃ駄目だ……殺すんだ)

男「ッ!!」ブルンッ!!


< ビチャァッ!!


48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/27(日) 18:55:05.34 ID:KeDOF7j4O


────────── ビチャァッ!!


───── ブォンッ!!


────────── ビチャァッ!!


───── ブォンッ!!


────────── ビチャァッ!!


───── ブォンッ!!


────────── ビチャァッ!!


───── ブォンッ!!


────────── ビチャァッ!!


───── ブォンッ!!


────────── ビチャァッ!!


───── ブォンッ!!


────────── ビチャァッ!!


49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/27(日) 19:03:14.63 ID:KeDOF7j4O



男(……おかしい)


男「ハァッ…ハァッ……ハァッ…!……〜っ…!!」

男「多すぎる……もう何回、木槌を振り回してるんだ…」へたんっ

男(休憩でもしないと……帰るのすら難しくなりそうだ…)ハァッ…

男「……ハァ…ハァ…」


< ガシャッ…

男「!」ビクッ

男「ひっ…!?」バッ!!



さまよう鎧【……】ガシャッ…



50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/27(日) 19:13:30.06 ID:dl/lHJ1PO
雛見沢ならすでに殺人者
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/27(日) 19:16:11.78 ID:KeDOF7j4O

男(この……朽ちかけた鎧…バイザーから見える中は空洞といい…)

男(……)チラッ


さまよう鎧【……】

ホイミスライム【ホヨヨ…】フヨフヨ…


男(間違いなく……さまようよろい、と…ホイミスライム……ッ)ゾクッ

男「……」ギシッ…








さまよう鎧【……】

さまよう鎧「おおきづちの……武器、であるか」







男「……」

男「!!?」

52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/27(日) 20:03:37.00 ID:2vjHEAbAO
( ゚Д゚)シャベッター
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/28(月) 00:44:34.33 ID:nb6bxnL1O
お?
仲間にできるのか?
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/28(月) 06:49:41.34 ID:CpZNjvv7O
仲間クルー?
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/28(月) 10:40:38.61 ID:rKxepJJLO

ホイミスライム【ホヨヨ…】シュン…

さまよう鎧「仕方あるまい」


さまよう鎧「我等の姿を見破った者は未だおらぬが……何事も前例の無い事から始まるものだ」

さまよう鎧「ましてや、我等を討ち倒して力を手にしよう等と……先祖の戦ったあの一族を思い出すわ」

ホイミスライム【ホヨヨ…】



男(……もしかして)

男(このさまようよろいなのか、この近辺でスライムを統率していたのは)

男(ゲーム内でまともに喋れるモンスターなんて、それこそ友好的なやつかボスモンスター位な筈…… )

男「お前は……」



さまよう鎧「喋るな人間」



さまよう鎧「分かっているだろうが、我等はこの世界の者に非ず」

さまよう鎧「そして、見られていた以上この世界の人間に存在を悟られる訳にはいかぬ」

さまよう鎧「故に」シャキ…ン



男(駄目だ、やっぱりコイツ……!!)

さまよう鎧「貴様には死んで貰う」ガシャッ!!


56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/28(月) 11:03:19.57 ID:rKxepJJLO

踏み締めるアスファルトが、金属を擦る音を奏でた瞬間に撃ち出される砲弾。

違う。

俺の目の前に飛び出してきたのは砲弾なんかよりも凶悪で、もっと恐ろしい物だ。


男「なッ……!?」

ホイミスライム【ホヨヨ…ッ】ビュルルンッ!


スライム系モンスターで最もポピュラーであり、スライム同様に愛らしい青の体と愛らしい触手。

ホイミスライム、奴が先陣を切って突撃してきたのだ。


男(ホイミスライムが先手……くっ…ッ)

腕をクロスして触手の一撃を凌ごうとする。


だが、余りにも俺の考えは軽率だった。



──────── ズッ・・・パァンッッ!!!



男「……ッッ!!!??」ドシャァッ!!


風を貫き、音が聴こえるより先に、俺の体が後ろへ弾き飛ばされる感触。

そして壮絶な痛みが攻撃をまともに受けた左腕から伝わってきたのと同時に、夜闇に包まれた路上を炸裂音が響き渡った。


57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/28(月) 11:16:43.58 ID:rKxepJJLO

男「〜〜〜ッッ!! 〜ッッ!!」

男(今の……なんだ)

男(左腕の側面が皮膚をごっそり削られたように肉を出して……ッ、鞭でも喰らったみたいだ)

男(……!)ビクッ


凄惨な見てくれになってしまった左腕に戦慄している暇はなかった。

ホイミスライムの頭上を朽ちかけたあの鎧が舞い上がる姿が見えてしまったから。



さまよう鎧【シィィ……ッ!!】ギュォオッ!!







─────────【『兜割り』】 ─────────






58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/28(月) 12:55:56.79 ID:DmIjKZ7Zo
不思議なダンジョンの戦いかたとは違うのかな?
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/28(月) 14:41:18.50 ID:nb6bxnL1O
おぉ!
いいね
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/07/28(月) 20:53:19.01 ID:H8s1Fyc10
いかにゲーム中の勇者達が超人だったのか分かるな…
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/29(火) 08:57:32.27 ID:MGgYigNNO
ターン制の背後にはこのようなやり取りがあったんだなぁ…
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/29(火) 12:16:38.05 ID:RgRONR7yO


体を全力で投げ出して回避しようとした俺の背中を、散弾の様に礫が叩きつけてくる。

そして、続いて襲ってきた衝撃波に意識を向ける事もままならない中で、俺は刹那に見たのだ。


猛烈に振り被ってからの着地と同タイミングに叩き下ろされるバスターソード。

数瞬前まで俺がいた位置を刃が穿ったその時、爆撃のようにアスファルトが撒き散らされ土砂すら噴き出した、その瞬間を。



男「ぎ……ッ…ぅわあああっ!!」ドザァッ! ゴロゴロゴロッ!!

男(や、ば…ぃ……殺されっ……)

男「……あ」



OL「な、なに? 爆発……?」ビクビク



激痛に喘ぎ、転がる様にモンスター達から離れる俺の前に居たのは……近所でよく見かけるあの女性だった。

恐らく仕事の終わる時間が遅いのだろう、とくに酒の臭いもなく、しっかりとした印象がある。

そして今、彼女は目の前で爆風にも似た衝撃波に吹き飛ばされた俺を見て驚きに満ちた表情を見せていた。


逃がさなくては。


そう考えていた筈なのに、俺はいつの間にか……


男「た、助けて……っ!! 助けて下さいぃッ!!」バッ

OL「っ?! キャッ…!!」ドサッ


……あの女性を押し退け、逃げ出し、目もくれずに走り去ろうとしていた。

63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/29(火) 12:39:40.70 ID:RgRONR7yO

男「ひぅ…ッ、うわぁ!! うわぁぁあああ!!!」ダッ!!


何かのタガが外れた様に叫びながら、走り出していた。

思えば俺は、この夜の時間だけはどこか楽しい夢を見ている気分だったのかもしれない。

だから。

だから、と言い訳をして、俺は背後で突然の不幸に悪態を突いて立ち上がろうとするOLを1人残して。

自分だけ逃げ出してしまった、見殺しにしてしまった。



OL「もう…何なのよ……」ヨロヨロ



さまよう鎧「……」チャキッ

ホイミスライム【ホヨヨ…?】

さまよう鎧「念のためだ、この人間も消す」ヒュッ…!!



OL「……っ?」ズパァ……ッ

OL「…か……フッ…?」ブシュゥッ!!


< ドシャッ・・・!



さまよう鎧「追うぞ我が右腕よ、あの男……逃がすわけにはいかん」

ホイミスライム【ホヨヨ…】フワフワ…

64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/29(火) 13:02:52.61 ID:RgRONR7yO

俺は必死に逃げていた。

家の方向とか、交番とか、そんなものを意識して走る余裕はなかった。

背中から疼く傷みと左腕から鈍く高まってくる焼かれるような傷み。

この2つの傷みが背を後押しするかのように、俺は幾つかの街灯の下を駆け抜け……そして、いつしか深夜の路地裏にまで逃げていた。


男「ハァッ…ハァッ…ッ!! ゼェ……!!」タッタッタッ


悪夢だ。

これは悪夢だ、質の悪い……上げて落とすタイプの夢だ。

そうだ、これは悪夢だから……逃げてしまっても仕方ない筈だ。




だから…………俺は……………………





ホイミスライム【ホヨヨ…】ヒュルンッ!!

男「ぁ……」

男(…まわり…こまれ……)


さまよう鎧「よくやった我が右腕……!」タンッ…!!


男(逃げないと……逃げて、逃げ…)




───────── 【『兜割り』】 ─────────




< ───── ゴガァンッッ!!


65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/29(火) 18:58:57.44 ID:IbfKqfQCO

────────── パラパラ……ザリッ…「ケホッ……」



男(生き…てる……)グググ…ッ

男(……手も動く…)フラッ…


粉塵の中で戻る僅かな意識。

全身を打たれたと思える傷みが薄れる程に朦朧とした意識で、俺は静かに巻き上げられた粉塵の向こうで立つ影を見た。

さまようよろいは、俺を見失っていた。

そして右腕と呼ばれていた相方のホイミスライムもまた、同様に見失っていたのだ。

恐らく予期せぬ何かが奴等のトドメの連携を遮ったのだ。


だが、それを思考する余裕も体力もない。


男「……」

< ギシッ……


手には、これだけ取り乱しながら逃げていたにも関わらず離さなかったあの大木槌がある。

しかし。


男(……あんな化け物に、通じるのか…)


66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/29(火) 21:56:24.18 ID:FWdNhmf/O

男(……化け物…?)


何か、見落としは無いのか。

そう……あれだけ好きだったゲームの中で、自分はどれだけのさまようよろいを倒したのだろう。

いや、そうではない、それは自分ではない。

『勇者』は、初めから強かった訳ではない筈だ。



そうでなければ、『勇者』の成長を描かれる事など無いのだから。



男(これは……俺の夢だ、幻覚だ、全てが俺の望んだゲームなんだ)

男(いわばこれはボス戦……そうだ、あれは最初の俺にとってのボスだ)


粉塵が晴れる。

カーテンが開き切ったその瞬間、俺は再びあの殺人モンスター達と対峙しなければならない。

だがもう逃げない。

それは決して俺のシナリオでは、ストーリーの一角を飾るエピソードではないのだから。


ただ殴って勝てないなら戦略を見出だせ、それが『ゲーム』の醍醐味なのだ。


67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/29(火) 22:28:22.12 ID:FWdNhmf/O

うっすらと、ホイミスライムの影がはっきりとした輪郭を映し出していく。

それを見ながら俺は激痛を訴える身体を立たせ、そして構えた。


男(……レベルの問題だろうか)

男(いいや、ボスモンスターが通常のモンスターと違ってステータスが上のは当たり前)

男(だがこれは『リアリティのある敵』だ、そして相手は……)


思い出すべきなのだ。

さまようよろいが喋る事は問題ではない。

ボスの位置にいる事も問題ではない。

ホイミスライムが傍にいるのも問題ではない。


そう、問題なのは『強い理由』。


さまようよろいという下位のモンスターが、何故指揮官の役目をしているのか?

何故にあのさまようよろいは強い、そうではない。

さまようよろいは、強くはない。

レベルを間違えば確かに強敵だが、思い出すべきはそうではなく。

『兜割り』の行使、そしてそれを繰り出すに至る連携。


男(……そうか)


男(そういう事なのか)


ルールを理解し、それを自身が把握していく時の優越感が俺の中を満たしていく。

ボロボロの今にも死ぬように思える体に、力が僅かばかり戻っていく。

そして、次の瞬間。


68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/29(火) 22:43:47.02 ID:qt+3sBQnO
しかし まわりこまれて しまった!
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/07/29(火) 23:21:13.28 ID:+FnClYuR0
てきのせんせいこうげき!
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/30(水) 01:31:53.16 ID:1T1n4aTAo
お前ら鬼かww
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/30(水) 07:24:54.45 ID:VWvDgmBUO
DQ3で初めてさまようよろいに出くわしてダメージのでかさにびびって逃げれず全滅、あると思います
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/31(木) 05:19:36.99 ID:BKLqAMXWo
まだかなー
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/31(木) 11:26:58.42 ID:Snya6zCwO

さまよう鎧「チィ…ッ、ぬかったわ……さっきのは一体…」


< ゴズンッ・・・!!


さまよう鎧「?」

さまよう鎧「!!」


粉塵は晴れ、残されていた筈の逃走手段はもう無い。

だがもう逃げない、逃げる必要はない。

ここからなのだから。


ホイミスライム【ホヨヨ…ホヨ……】ビクンッ…ビクンッ…

先陣を切ってホイミスライムが俺の動きを止める役割として先手を取り、

そして曲がりなりにもスライム以上の攻撃を受けて止まった獲物を狩り獲る。


男「……そうだ、だからお前は決まって追撃しかしてこなかった」

男「何らかの理由で『力』が上がっていても、本来のポテンシャルである素早さの低さはどうにも出来なかったから」

男「その鈍重な動きが、お前にこの狩人のような戦い方を強いたんだ」

男「恐らくその素早さはせいぜいが人並み程度……だけど」


不意打ちをまともに受け、訳も分からぬまま目を回すホイミスライムに木槌を添える。

そして俺は腕を振るい上げ……


────────── グチャァァッ!!


男「……俺みたいに『少しレベルの上がった人間』を相手にした場合、互角以上にまで持ち込まれかねなかった…そうだろ!?」


蒼い液体が噴き出し、飛沫を上げながら散っていく。

対峙するさまようよろいは、固まったように立ったまま。




さまよう鎧「……貴様………ッ!!」ギシィッ…!!




冷たい光を反射する剣を構え、静かにその殺意を俺に向けた。


74 :乙蛇 [sage saga]:2014/07/31(木) 12:15:33.09 ID:o9dK0bn00
反撃開始いい!
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/07/31(木) 15:01:22.43 ID:Ucp8layoO
おーーー
あつくなってきたな!
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2014/07/31(木) 16:13:19.74 ID:71U9wVqi0
期待
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/07/31(木) 18:51:53.92 ID:T8I02sTbO

俺の中をこの時満たしていたのは、まるで漫画やアニメのような状況と、ゲーム通りのステータス勝負に、ただひたすらに興奮しているという事だけだった。

そして何より。


男(……ホイミスライムを倒した瞬間、体に力が湧いた気がした)

男(多分……もしかしたらこの感触がレベルアップなの…か?)


僅かに呼吸が楽になった感触に合わせて……腕に、手に、足に、更なる力が込められる。

昨夜、初めてモンスターと出会いそして初めて倒した夜。

あの時も同じ感触が身体を巡ったのだ、つまり本当にレベルが上がったのかもしれない。


男(昨夜から四回か三回はレベルが上がっている……だとすれば、今の俺ならこのさまようよろいと互角にやれる筈…)

男「……ッ、うおおおおおおおお!!!」


咆哮、そして踏み出す足。


さまよう鎧【シィィ……ッ!!】ガシャッッ


俺の眼前であの朽ちかけた鎧が、具足が、軋みを打ち鳴らしながら駆け出してくる。

数分前の俺なら逃げ出してすらいたであろうその重量感溢れる猛進は、今の俺にとっては酷くリアルな動きだとしか思えなかった。


これがあのゲームのプレイヤーには理解のできなかった戦いなのだ、と。



78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2014/08/01(金) 02:36:52.03 ID:6RRHrXK/O

────────── ビュォ・・・ンッッ!!


男(まともに受けるな……!!)バッ…!

男(こいつは自分の力が最大の武器だ)

男(真っ向からぶつかれば、タックルですら致命傷を負いかねない……なら!)


俺の背丈はある剣を軽々と一閃させる剣撃に、対して瞬時に踏み込み……木槌の側面を真横から振られる刃に合わせて構えた。

たった、それだけだった。


──────── ガガッッ!!


さまよう鎧【ッ…!! シィィイイッ……!!!】ズザァッ!!


たったそれだけでさまようよろいは大木槌の側面を数センチ削り抉るだけで、俺と擦れ違いを起こしてしまう。

憎悪に染まった声を漏らしながら立ち止まる鎧のバイザーから、光の無い眼が俺を刺し貫く様に見てくる。

苛立ちと自身の鈍重さから来る屈辱が明らかにさまようよろいの冷静さを欠かせていた。


男(行ける……本当に、俺ならコイツを…)

男「さまようよろいにも、勝てる……ッ」


さまよう鎧【シィィイイッ!!!】ガシャッッ!!


男「来い!!」


男(……コイツの剣の軌道は、大振りの一撃ばかりだ)

男(素人の俺でも読める……きっと日本の居合いとかの達人に比べればずっと遅い!)

男(倒す……ここでコイツを殺してやる…!!)

79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/08/09(土) 12:36:22.91 ID:fOrNQ4iSo
久しぶりに面白いの発見した!期待して待ってる
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