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【女の子と魔法と】魔導機人戦姫U 第14話〜【ロボットもの】
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◆22GPzIlmoh1a
[saga sage]:2014/07/20(日) 21:07:09.49 ID:PGdg3XaSo
2060年、7月9日――
その日は、ずっと以前から予定されていたパレードの日だった。
このNASEANメガフロートに皇居が移設されて三十年の節目の日。
各国の皇族や王族を載せた数百台のオープンカーと、百を越す軍と警察の最新鋭ギガンティック、
パワーローダー、さらにGWF−210Xクルセイダーを加えた大規模な一団からなるパレードだ。
正門を出立し、第一街区の市街地を回って、また正門へと帰って行く、
都合十キロの道程を巡る二時間ほどの長丁場。
その日の勇一郎の配置は、クルセイダーをパレード専用のキャリアトレーラーで膝立ちにさせ、
その前を行くオープンカーにロイヤルガードの代表として乗る事だった。
直前には皇族縁の人々が乗るオープンカー。
いざと言う時には即座に護衛に入れる位置である。
まあ、勇一郎の手を患わせるような“いざと言う時”など来ないだろう。
それは警備関係者が口を揃えて言っていた事だった。
クルセイダーはドライバーが降りているが、
他のギガンティックやパワーローダーにはドライバーが搭乗済みだ。
パレードの隊列以外の警備も、人もドローンもギガンティックもパワーローダーも万全。
ルート上の観客の中にテロリストが紛れ込もうとも、一気呵成に制圧できるだけの準備がされていたのだ。
慢心ではなかったのかもしれない。
細心の注意を払って、最大規模のパレードを守るべく考え得る限り最高の警備を施したハズだった。
だが、最高の警備と言う事実に作り上げられたその安心感が、大きな慢心に結実したと言って良い。
その慢心が世界最大規模のテロを生み出す事に繋がったのである。
そして、テロが起きようとしていたその時、茜は母や兄と共に、
パレードのルート上に据えられた特別観客席であと数分後に通るパレードの車列を心待ちにしていた。
特別観客席はルートに面した病院の第三駐車場の道路に面した側を間借りするカタチで作られ、
一般の観客達のいる歩道よりも幾分か高い。
茜達は特別観客席の右端で、兄妹が母を挟むように並んで座っていた。
明日華「もうすぐ、お父様がいらっしゃいますからね」
茜「はい!」
優しく語りかけてくれた母に、茜は目を輝かせ、ソワソワとした様子で応える。
あと少しで、父がやって来る。
祭にも似た熱気が、そんな彼女の高揚感を後押ししていた。
そして、車列が訪れる。
軍用と警察用の当時最新鋭だった377改・エクスカリバーが並び立つキャリアトレーラーを先頭に、
左右を小型パワーローダーと警備用ドローンに守られた皇族や王族の人々を載せたオープンカーが続く。
次々に現れる高貴な人々や最新鋭の機体の姿に盛大な歓声が上がる中、
遂に父を乗せたオープンカーが特別観客席の前に姿を現した。
普段よりも幾分か煌びやかな礼服に身を包み、
腰には本條家に古くから伝わる家宝の大小夫婦太刀の鬼百合・夜叉と鬼百合・般若。
休めの姿勢で不動を貫く父の姿は、その後ろに傅くように続くクルセイダーの姿もあって、
普段以上に凛々しく見えた。
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