【女の子と魔法と】魔導機人戦姫U 第14話〜【ロボットもの】

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20 :3スレ目にかわりまして4スレ目がお送りします ◆22GPzIlmoh1a [saga sage]:2014/07/20(日) 21:19:59.95 ID:PGdg3XaSo
 茜は“ご無礼、失礼します”と言って、言葉を遮った事を謝罪すると、さらに続ける。

茜「こちらの諜報部に保管されている調査書類……
  月島レポートの閲覧を許可してはいただけないでしょうか?」

アーネスト「月島レポート……!?」

 どこか思い詰めた様子の茜の言葉……いや、
 “月島レポート”と言う名前に、アーネストは驚きの声を上げた。

 亡くなった勇一郎の事を考えて寂しげな表情を浮かべていた明日美も、途端に表情を険しくする。

明日美「……随分と、調べたようね?」

茜「……辿り着くのに四年かかりましたが……」

 責めるような、それでいて心配したような明日美の問いかけに、茜は感慨深く漏らした。

茜「私が知りたいのは、統合労働力生産計画の責任者であった頃の月島勇悟ではなく、
  あくまでギガンティック機関前々技術開発部主任の月島勇悟です」

 その名が茜の口から漏れた瞬間、明日美は不意に目を伏せてしまう。

 アーネストも、明日美の様子に何か思う所があるのか、視線を逸らす。

明日美「……月島……勇悟、ね」

 明日美は複雑な声音で、その名前を反芻する。

 月島勇悟【つきしま ゆうご】。

 茜の言葉通り、瑠璃華の二代前となる技術開発部主任だった男性だ。

 それ以前は山路重工の技術開発研究所――
 通称・山路技研――で副所長を務めた天才科学者。

 メカトロニクス、バイオテクノロジーなど様々な分野に精通し、
 その頭脳は明日美の父、アレクセイにも匹敵すると言われた。

 ギガンティック機関結成から暫くして山路技研から機関に出向し、
 ハートビートエンジンのブラックボックスの解析に努めていた。

 だが、解析は遅々として進まず、後に彼は政府に引き抜かれて、
 そこで禁忌とも言われた統合労働力生産計画に着手したのだ。

 つまり、レミィ、フェイ、そして瑠璃華達の創造主……生みの親である。

 政府の一部の者達の間で極秘裏に進められていた計画が発覚したのは七年前の事。

 そして、その責任を取らされる形で逮捕された月島勇悟は投獄された末、
 獄中で道半ばとも言える六十年足らずの生涯を自ら閉じた。

 死因は、左眼球から脳を抉るほど深い、フォークによる一突き。

 独居房での食事中、刑務官が目を離した一瞬の隙を突いての、
 鮮やかと言えば鮮やかな手際の自殺だった。

 それも鋭いが脆いプラスチック製の先端ではなく、それなりに強度のあった柄の側を使って、
 倒れる勢いを利用しての突きだったと、明日美達も聞かされていた。

 倒れた反動で脳を抉っていた部分が捩れて、そして、そのまま手遅れにと言うワケだ。

 ともあれ、茜が求めているのはそんな月島の素行調査書類である。

 ギガンティック機関はその性質上、隊員達にも潔白が求められるため、
 諜報部による素行調査が定期的に行われている。

 月島勇悟に関する素行調査も勿論行われており、ある理由――統合労働力生産計画ではない――により、
 その重要度が上がった事で、重要調査報告書として機関内で管理されていた。

 つまり、それこそが茜の求めている“月島レポート”なのだ。
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