スパイク「七煌宝珠?」

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323 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 15:56:21.50 ID:1qCeYU2XO
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クード「なぁ、何で棄権なんかしたんだよ!しかも医務室に隠れるとか意味わかんねぇよ」

フェイ「あーもううっさいわね!ガキンチョは黙ってなさいよ」

ジェット「いや、俺もそれは気になるんだが…」

フェイ「アタシだって知らないわよ!」

レン「…スパイクが言ったの?」

フェイ「そうよ。アイツ、一方的に用件言って切りやがったのよ!」

フィロ「それでやけにイライラしてたんだネ…」

クード「スパイクからは他に何か言われてないのか?」

フェイ「なーんにもよ。ただクードを試合に出すなってだけ。理由聞こうとする前に切られたのよ」
324 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 15:57:27.09 ID:1qCeYU2XO
ジェット「まぁあいつの事だ、何か考えが…」

レン「あるかな?」

フェイ「なさそうね」

フィロ「その人よっぽど信用ないんだ…」

ジェット「アイツだってたまには考えて動くだろ…」プルルルル

クード「何か鳴ってんぞ」

ジェット「あぁ、どうしたスパイク」

スパイク『クードとレンはそこに居るか?』

ジェット「そりゃお前さんが棄権させたからな」

クード「スパイク、何考えてんだよ?」

スパイク『も少ししたら一悶着起こすつもりだ』

ジェット「おいおい勘弁してくれ!非合法な施設だぞ⁉︎余計な事して全員お縄なんざ御免だ」

スパイク『非合法な組織に関しちゃアンタよりよっぽど慣れてるさ』

ジェット「そう言う話をしてるんじゃなくてだな…」
325 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 15:58:49.13 ID:1qCeYU2XO
フェイ「それ、儲かるんでしょうね?」

ジェット「おいおい正気か?儲かる以前にリスクがデカ過ぎるだろうが!」

スパイク『上手くすればここのオーナーから援助受けられるようになるかもな』

ジェット「一度考え直せ!そんな端金のために面倒を起こさんでくれ」

クード「で?オレ達に何かさせる為に棄権させたんだろ?」

スパイク『あぁ、騒動が起こったらお前はレンとリアクトしてラサティを守ってやってくれ』

クード「ラサティを?守る必要あんのか…?」

スパイク『保険だと思ってくれればいい。彼女に危害が加わる前に俺が片付けられれば問題ないしな』

ジェット「なぁ、頼むから誰か俺の話を聞いてくれ…」
326 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:00:23.16 ID:1qCeYU2XO
フェイ「オーケー、何する気か知らないけど乗ってあげましょ」

クード「オレも棄権なんてして不完全燃焼だったからな!暴れてやろうぜ、レン!」

レン「うん。ラサティ達を傷付けさせない」

ジェット「クソったれ!絶対ヘマすんじゃねぇぞ!」

スパイク『ガキだけじゃ不安だから、保護者のアンタに監督して貰いたいんだけどな』

フェイ「アタシが居るじゃない。大人のレディよ?」

ジェット「ったく、仕方ねぇな…」

スパイク『ありがとう』

フェイ「ちょっとお二人さん?無視?ねぇ無視?」

ジェット「あくまでお前らが捕まったら俺の身も危ないからだからな!」

レン「ツンデレ…?」

フィロ「レンちゃん、そんなの何処で覚えてきたの…」
327 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:01:49.82 ID:1qCeYU2XO
ーーーー
ラサティ「オーナー‼︎見ていたか⁉︎」

オーナー「あぁ、見ていたよ。素晴らしい試合だった」

ラサティ「今ので、金は全て返した!約束通り、僕達を自由にしてもらうぞ」

オーナー(チッ…結局あの小僧の策略とやらはダメだったのか。仕方あるまい…当初の予定通りに…)

オーナー「あぁ、しかしどうだ!会場の熱気や冷めやらず…未だ盛り上がっているではないか!」

ラサティ「なにぃ?」

オーナー「我々はお客様を楽しませるエンターテイナーなのだよ、ラサティ。それを自分の都合ばかり優先してはいけないだろう」

クイーン「だからワシらと闘ってもらうぜよ」

筋骨隆々な男がそう言う。リング上に二人の男が現れており、もう片方は喋ろうとしないが、熊のような体格で、その圧倒的な巨体から殺気を放っていた。
328 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:05:21.48 ID:1qCeYU2XO
実況「おおっとこれはどう言う事だぁ⁉︎ラサティ選手の試合が終わったと思ったらランクキングとクイーンが現れた⁉︎エキシビジョンマッチかぁ⁉︎…え、何?この試合は実況しちゃダメ?あ、はい」

ラサティ「⁉︎」

ランククイーンの持つ大棍棒が振りかざされる。ラサティはギリギリで躱すが、更にランクキングの拳が追撃を仕掛けてくる。強烈な一撃にリング外にまで飛ばされる。

ラサティ「…グハァッ」

クイーン「おいおいおい…無敗の若虎っちゅうんはこんなもんなのか?」
329 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:06:10.70 ID:1qCeYU2XO
リィリア「もういや!止めて!」

レン「貴女がここからいくら叫んだって状況は変わらないわ」

リィリア「え…?」

レン「私とクーは、今から貴女のお姉さんを助けに行く」

レン「貴女は…どうするの?」

リィリア「でも…私には何も出来ない…ここで見ていることしか…」
330 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:06:49.49 ID:1qCeYU2XO
レン「なら、見ていてあげるといいわ。お姉さんは貴女のために戦っている…貴女が戦わなくていいように。その思いを無駄にする事はないもの」

リィリア「レン、こんな事言うのはおかしいのかも知れないけど…。姉さんを助けて!」

レン「うん。クーならなんとかしてくれる。スパイクも何かしてくれてるみたいだし」

クード「レン、話はもう良いのか?」

レン「大丈夫。言いたい事は言った」

クード「うっし!じゃあひと暴れしてくっか!」
331 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:07:46.47 ID:1qCeYU2XO
本来ならば場外になった時点でラサティの負けは決まる。しかし、彼等はここで完全にラサティを潰す気でいるようで、リング外に落ちたラサティの頭を掴み持ち上げる。

クイーン「このまま頭潰してやってもええんじゃが…それじゃあつまらんよのぉ」

もう一度戦えとばかりにリングの中央に放り投げる。若干よろけつつも立ち上がるラサティの眼光には諦めはなかった。

クイーン「なんじゃぁその眼は?」

大棍棒を回転させながら突っ込んでくるクイーンに対し、側面に腕をぶつける事で軌道を逸らすと、そのまま反撃に移ろうとする。

リィリア「姉さん!」

クイーンを殴り飛ばすと、すぐ後ろにキングが近付いていた。

ラサティ「しまっ…」
332 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:08:53.71 ID:1qCeYU2XO
右腕のエディルレイドをラサティに振り下ろすキング。しかし、その攻撃は空を切る。

クード「へへ、待たせたな!」

風の鎧を纏ったクードとレンが、キングとラサティの間に割って入っていた。

ラサティ「クード…ッ⁉︎貴様僕との試合を放棄しておいて何をしている‼︎」

クード「んな細かい事どうだって良いだろー?」

キングとクイーンがゆっくりと立ち上がる。ちょうどクード達を挟む形だ。

クイーン「のぉ、坊主。あんまりお痛が過ぎると…」

クード「るせーよ!俺はランクキングにエントリーすっからクイーンはラサティの相手してろよ」
333 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:09:51.57 ID:1qCeYU2XO
レン『クー、それじゃ目的が…』

クード「まぁまぁ、見てなって」

クイーン「ほぅ…言ってくれるのぉ…ラサティに恐れをなして試合放棄した奴が」

クード「つったって所詮クイーンてキングより弱いんだろ?ならキングに勝てればお前より強いって事じゃん」

クードが得意げに語っている背後からキングが襲い掛かる。風の鎧は纏っているが、それごと吹き飛ばす程の威力だ。
334 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:10:20.42 ID:1qCeYU2XO
クード「くっ…」

クイーン「ざまぁないのう坊主!」

クードはなんとか姿勢を崩さないよう堪えたが、続いてクイーンが大棍棒を突っ込ませてくる。すると下方から蹴りが飛び、クイーンはそれをもろに食らう。

ラサティ「激昂して周りが見えなくなるなんてらしくないじゃないか」

クイーン「ラサティ…やってくれる…。じゃがここで終わりじゃあ!」

今度は標的をラサティに替え大棍棒を振りかぶる。ラサティは何とか腕で受け流すが、一撃一撃が重いため、次第に疲労がたまっていく。一方クードは、キングをラサティに近付けないようにするので手一杯で、こちらも次第に消耗していた。
335 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:11:02.50 ID:1qCeYU2XO
レン『クー、このままじゃ…』

クード「ハァハァ…わ、解ってっけどさ…」

レン『一旦リジェクトアウトを切ろう?』

クード「でもそれじゃあアイツの攻撃受け切れないじゃ…」

レン『ここでリアクトが解けるより良いと思う。それに、まだジェットやフェイもいる』

クード「そっか…解ったぜ!『勝つ』よりも『負けない』方が良いんだな」

風の鎧を解除すると、キングはそれまでの牽制ではなく、本気で攻撃をしだした。

クイーン「残念じゃのうラサティ、お前さんの味方はもう力切れみたいぜよ」

それを見ていたクイーンは、こちらも終わらせるとばかりに猛攻を開始する。対するラサティは防戦一方だが、ダメージは最小限に留めている。

クード「スパイクに賭けるしかなさそうだな…」
336 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 16:12:12.20 ID:1qCeYU2XO
ーー観覧席ーー
オーナー「ふっふっふ…あの小僧もここで一緒に殺してしまおう。そうして、エディルレイドは私が保護してやる」

スパイク「そうはさせねぇぜ」

スパイクがオーナーの背後から拳銃を構え現れる。すぐに周囲にいた護衛が間に入るが、気にも止めずに歩み寄る。

オーナー「お前の言動からあいつらに噛んでいるであろう事は予想できた。ここに来た時点でお前の敗けだ」

オーナーが指を鳴らすと、護衛達が一斉に襲い掛かる。2、3人が発泡する中を、残りの5、6人がナイフを手に駆けてくる。

スパイク「そいつはどうかな?全部が全部アンタの予想通り行くと思うなよ」

そう言うとスパイクは、走って部屋から飛び出して行った。
337 : ◆d/8j7bKhKM [sage]:2015/11/09(月) 16:12:52.96 ID:1qCeYU2XO
ちょっと予定入ったので続きは今晩
338 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:43:09.39 ID:1qCeYU2XO
オーナー「はっはっは‼︎確かにそれは予想外だったよ。しかし、逃がすわけがないだろう」

護衛達がスパイクを追おうと部屋から出た瞬間、1人が図太い腕に頭を掴まれ、そのまま壁に叩きつけられる。護衛達は一瞬怯んだが、直ぐにそちらに銃口を向ける。すると、敵の姿を目視する前に、背後からサブマシンガンによる銃撃を浴びる。

ジェット「おいこら!俺ごと撃ち殺す気かテメェ!」

フェイ「だってアタシが撃たなきゃアンタ、今頃そっちの拳銃で蜂の巣よ‼︎」

スパイク「おいおい…敵さんの目の前なのに言い争いしてる場合かよ」

フェイ「元々アンタがこんな無茶な計画立てなければこんな事になんないのよ!」

スパイク「俺が悪いってのかぁ⁉︎」

フェイ「アンタ以外誰が悪いってのよ⁉︎」

ジェット「おい、そんな言い合いは後にしろ!奴が逃げるぞ」

スパイク「アンタがそれを言うかよ…」
339 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:44:23.27 ID:1qCeYU2XO
フェイ「ちょっと!モタモタしてたら見失うわよ!」

スパイク「大丈夫だ。逃走経路は粗方潰してある」

フェイ「嫌に手際がいいわね…ただ…」

ジェット「こう上手くいってるように思える時ってのは、俺たちにとっちゃ良くない前触れな気がするんだよなぁ…」

スパイク「心配性だな。だから毛も抜けたんじゃないか?」

ジェット「頭髪の話はもう御免だ。それより、念には念を入れて追うぞ」

スパイク「りょーかい」

フェイ「じゃあ捕まえた人が取り分の半分って事で!お先!」
340 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:45:00.63 ID:1qCeYU2XO
ジェット「あ、おい!…ったく、行っちまいやがった。何を勘違いしてるのか知らんが、ここのオーナーは指名手配されてねぇんだから取り分もクソもないだろう」

スパイク「まぁいいんじゃないか?それでアイツのモチベーションがあがるなら」

ジェット「それより後の文句が面倒くせぇって言ってんだよ」

スパイク「その辺のことはアンタに任せるぜ、お母さん」

ジェット「だから俺はお前らの保護者じゃねぇってんだよ」

スパイク「あ、そうだジェット。ガマガエルの捜索よりもガキのお守りを頼む」

ジェット「何度言わせるんだ?俺は保護者じゃない!」

スパイク「だったらガキのことなんざ放っておいてガマガエル捜索するか?」

ジェット「…チッ。解った、解ったよったく。あくまでレンの賞金を手に入れるまでの間だからな、面倒見るのは…」

スパイク「そーいうことにしておくぜ」
341 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:46:32.69 ID:1qCeYU2XO
ジェット「あ、おい!…ったく、行っちまいやがった。何を勘違いしてるのか知らんが、ここのオーナーは指名手配されてねぇんだから取り分もクソもないだろう」

スパイク「まぁいいんじゃないか?それでアイツのモチベーションがあがるなら」

ジェット「それより後の文句が面倒くせぇって言ってんだよ」

スパイク「その辺のことはアンタに任せるぜ、お母さん」

ジェット「だから俺はお前らの保護者じゃねぇってんだよ」

スパイク「あ、そうだジェット。ガマガエルの捜索よりもガキのお守りを頼む」

ジェット「何度言わせるんだ?俺は保護者じゃない!」

スパイク「だったらガキのことなんざ放っておいてガマガエル捜索するか?」

ジェット「…チッ。解った、解ったよったく。あくまでレンの賞金を手に入れるまでの間だからな、面倒見るのは…」

スパイク「そーいうことにしておくぜ」
342 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:47:07.59 ID:1qCeYU2XO
ラサティ「吼号穿・龍!」

ラサティはその一瞬を突いて手から闘気を放つ。ギリギリで気付いて回避行動をとったクイーンだったが、避けきれずに吹き飛ばされる。そのままリング外の壁に叩きつけられると、気を失ってしまった。今の一撃で力を使い果たしたのか、ラサティもその場に崩れ落ちる。

クード「ラサティ‼︎」

一部始終を見ていたクードは駆け寄ろうとする。

レン『クー、ダメ!まだあの人が…』

レンの心配通り、クードの後ろからキングが襲いかかってくる。ラサティに気を取られてしまっていたクードは、気付くのが遅れ腹に重い一撃を食らう。

クード「ぐはぁッ」

キングは何の感慨もなさ気に自らのエディルレイドをクードの頭上に振り下ろそうとしていた。しかし、振り下ろされる前に一発の銃弾が彼のエディルレイドを弾いた。その影響で軌道が変わり、クードの顔の横を掠めるだけだった。
343 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:47:50.06 ID:1qCeYU2XO
ジェット「よぉ、クード。生きてるか?」

クード「ジェット…?」

レン『スパイクかと思った』

ジェット「俺が助けにきちゃ不満なのか?えぇ?」

クード「いや、そんな事ねーけどさ…」

ジェット「ったくどいつもこいつも好き勝手言いやがって…」

ジェットが独りごちていると、キングがクードからジェットに標的を変え、エディルレイドを突き出す形で突っ込んでくる。ジェットはそれを右に躱すと、相手の左腕に蹴りを繰り出す。寸での所でキングは右手のエディルレイドで攻撃を受けるが、勢いを殺しきれず数メートル後ろに押される。相手が近付いて来ないように拳銃で威嚇射撃をしながら、クードの元へ向かう。

ジェット「まだ戦えるか?」

クード「無茶言うぜ…」

レン『大技とかは、無理だけど…』
344 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:48:28.74 ID:1qCeYU2XO
ジェット「レンの力なら充分だろう。俺が引き付けるからお前らは倒れたフリを続けて隙を伺え」

クード「えー…そんなズルっこい真似すんのかよー…」

ジェット「お前らが万全な状態なら戦わしてやっても良いんだがな」

クード「へーへ、すんませんね、万全な状態で一対一で戦ってこの状態ですよーだ」

ジェット「おぉ、皮肉が解るようになったか。ま、そういうことだ、頼んだぞ。俺じゃプレジャーにあまり有効打を与えられないからな」

そう言い残すとジェットはマガジンを取り替え、拳銃を撃ちながらキングに近付いていく。一方のキングは痺れを切らし、急所以外の防御を捨て銃弾の雨の中突っ込んできた。

ジェット「何⁉︎」

相手の思わぬ行動に動揺するジェットであったが、そこで射撃の手を止める程愚かではなかった。寧ろ、進行を止めようと脚を重点的に狙いだす。数発ヒットするが、怯む様子も止まる様子もない。
345 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:49:59.69 ID:1qCeYU2XO
ジェット「とんだ化物だぜ…こういうぶっ飛んだ奴の相手はスパイクの役目だろ…」

射撃は続けつつも、逆にキングとの距離を取り始めるジェット。キングは段々と加速してくる。それにつれてジェットも速度をあげようとするが、撃ちながらでは限界があり、徐々に二人の距離は縮まっていく。

ジェット「チッ。あの野郎、どんだけ体に銃弾浴びてんだ!全部筋肉で止められるとでも言うのかよ…」

二人の距離はあと数メートル、巨体のキングが腕を伸ばせば届きそうな距離だ。実際、キングは右手を大きく振りかぶっていた。ジェットが撃ち殺すより先に、彼のエディルレイドがジェットを捉えるくらいの距離だ。しかし、どちらの攻撃もお互いに届くことはなかった。

クード「いっただき‼︎」

クードとレンが横から小さな竜巻を発生させ、キングを吹き飛ばしたからだ。

クード「いやぁ、正面や後ろからだと踏ん張っちゃうからさぁ、あの熊男」
346 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:50:44.10 ID:1qCeYU2XO
壁に思い切り叩きつけられたキングは、それでも尚気を失わず、寧ろダメージすら与えあられていないように見えた。

ジェット「ピンピンしてるな」

クード「あっれぇ…おかしいなぁ…ハハハハ…」

ジェット「おかしいなぁ…じゃねぇ‼︎不意打ちでもあの程度ってこたぁまともにやったって勝てねぇぞ」

クード「んなこと言われてもなぁ」

レン『来る!』

キングは瓦礫から飛び出すと、クード目掛けて一気に距離を詰める。慌てて構えるクードであったが、受け止めた攻撃の勢いに負け、再び吹き飛ばされる。

クード「くっ…っそ‼︎どうーすりゃ良いんだよあんなの⁉︎」

レン『謳が使えない以上、体術メインでいくしか…』
347 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:52:29.19 ID:1qCeYU2XO
クード「そうだな…。レンに頼りっぱなしってのもカッコ悪いしな!」

クード(水のように…相手の力を受け流す…)

クードは目を閉じ相手の出方を待つ。キングは止めだと言わんばかりの大振りで詰め寄る。目を開くと、キングの右腕に下から剣を振り上げる。それ程勢いのある一撃では無かったが、タイミングが良かったのか、そのままキングは上方に飛ばされる。クードはそれと同時に向きを変え、キングの落下地点目掛けて脚を回転させる。落下寸前で脚払いを食らったキングは縦に回転し、頭から地面に落下していく。そして、最後にレンの風を使って飛び上がると、上からキングを叩きつけた。

クード「ふぅー…。な、なんとかなったぁ…」

ジェット「お疲れさん、まるでアイツを見ているかのようだったぜ」

レン「クー、大丈夫?」

クード「あぁ、まぁ後はあの二人に任せるか…」
348 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:53:22.60 ID:1qCeYU2XO
ーー隠し通路ーー
オーナー「クソックソックソッ‼︎何で私がアンナ奴らにこんな目に遭わされなきゃいかんのだ!」

オーナー「リィリアは捕まえたんだろうな!アイツはエディルレイドだから金になる!」

スパイク「ふぅー…。よぉ、遅かったなおっさん」

オーナー「な、何故貴様がここに⁉︎」

スパイク「ちょいとばかし有能なハッカーが居てね。図面じゃ何も解らなかったらしいが、監視カメラをハッキングしたら大体ここの構造が掴めたそうだ」

オーナー「チッ、お前らこいつを殺せ!」

スパイク「俺を殺しても無駄だぜ?この先の道は何故か突然天井が崩落したみたいでな。通れないぜ」

オーナー「ふん、ならば彼女がどうなっても良いのか?」

リィリア「ん〜!」
349 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:54:04.92 ID:1qCeYU2XO
スパイク「へぇ…何だか小物臭いことをするんだな。だが残念、俺はその少女のことは余り知らないんだ」

オーナー「見殺しにすると?」

スパイク「出来れば助けたいさ…でも、自分の命を差し出してまで助けようとは思わないね」

オーナー「チィ…」

スパイク「それに…ちゃんと部下の顔や体型くらい覚えといたほうが良いぞ」

オーナー「なに…?」

フェイ「はぁい、御機嫌ようガマガエルさん」

オーナー「誰だ貴様⁉︎」

フェイ「ただの通りすがりの美女よ」

リィリア「ぷはっ。も、もう良いの…?」

フェイ「えぇ、人質のフリご苦労様」
350 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:54:50.24 ID:1qCeYU2XO
スパイク「どうやら負けたのはアンタの方だったみたいだな」

オーナー「ぐぬぬ…」

スパイク「バーン」

フェイ「ちょ、殺してないでしょうね⁉︎」

スパイク「安心しろ、麻酔銃だ」
351 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:56:07.44 ID:1qCeYU2XO
ービバップ号ー
フェイ「あーあ…結局また大して稼げてないじゃない…」

エド「骨折り損のー!くたびれ儲けー‼︎」

アイン「ワウ!」

フェイ「こんのクソガキムカつくわね…」

ジェット「まぁ、幼気な姉妹を救ったと思えばこれ位の損害どうってことない」

フェイ「…おかしいわね、アンタってそんな事言う奴だった?」

スパイク「うーん…いやでもあの占い娘の時も…」

フェイ「あー…そいえばそうね…」

スパイク・フェイ「「やっぱロリコン?」」

ジェット「はぁ…何でそうなる…」
352 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:57:29.28 ID:1qCeYU2XO
クード「なぁなぁ、結局ラサティ達はどうなったんだ?」

ジェット「…あぁ、なんでもミリアルドトレイをちゃんとした合法の闘技場にするらしい。結局検挙もされてないから、あの施設は放っておいても別の人間が引き継ぐだけだろうしな」

フェイ「じゃあ何、アタシ達闘技場の支配人に貸しがるワケ?」

スパイク「言い方は最悪だけどそういう事だな」

フェイ「お金に困ったらココによれば良いワケね!」

ジェット「歳下の女の子に金の無心して、情けなくならねぇのか…」

フィロ「そんな事思う人ならもっと早くにまともになってると思うナー」

クード「フィロ⁉︎お前、どうしてここに⁉︎」

フィロ「えへへ〜、クー君とランクキングの戦い見てたらクー君のファンになっちゃいました!」

スパイク「だからってなんでこの船に乗ってんだよ?知ってるか?俺は女とガキと獣が嫌いなんだぞ?」

フィロ「その割には全部揃ってるケド…」
353 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:58:47.85 ID:1qCeYU2XO
フィロ「ここにいる事に関してはジェットさんに了承いただきました!」

スパイク「はぁ⁉︎」

フェイ「なんでまたオッケーなんてしたのよ?」

ジェット「いや、このガキ中々しつこくてな…」

レン「やっぱり…ロリコンなの?」

ジェット「ぬぁっ⁉︎違う違う‼︎兎も角、次の街までって約束だ」

エド「ロリコン、大根、演技下手ー」

ジェット「演技なんざしてねぇ‼︎」

フェイ「必死で否定すると余計怪しいわよ?」

スパイク「そーそ、そういう時は自分の気持ちを偽らず、素直に受け入れちまう方がストレスもないぜ」

ジェット「はぁ…最近また生え際が後退してきた気がするぜ…」

フィロ「生え際…?」
354 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/11/09(月) 21:59:25.76 ID:1qCeYU2XO
今日のところはここまで
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/10(火) 09:08:47.90 ID:22S1pgNFO
おつ!大量更新嬉しい
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 00:49:13.54 ID:v+JiG5mzO
もう12月ですな
357 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2015/12/02(水) 03:40:03.42 ID:dGKcDaBBO
ごめんなさい…
1月後半くらいまで書けそうにないです…
上手くいけばそれ以降は毎週更新も夢じゃないんですが…
とりあえず一カ月ちょっとは多分更新ありません…
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/02(水) 13:37:30.85 ID:1YWMqWjJO
了解

待ってますぜ
359 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 19:13:05.71 ID:s+VxcbljO
あけましておめでとう
360 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/12(火) 01:08:39.42 ID:d6E4VyPPO
保守しておくで候
361 : ◆d/8j7bKhKM [sage]:2016/01/16(土) 15:32:22.06 ID:5/AtPPfMO
あけましておめでとうございます
ちょっとバタバタしててまだ書けてないので少々お待ちを…
2月中旬からは比較的落ち着くはずなのでそこからは多分更新頻度も高くなると思いますん
362 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 18:33:00.21 ID:aXeAwCClO
了解

待機しますぞ
363 : ◆d/8j7bKhKM :2016/02/13(土) 04:10:22.21 ID:FxYg85egO
クード「重力波って何かかっこいいよな」

ジェット「あぁ?急にどうしたよ」

フェイ「そもそもアンタ、重力波が何か分かってんの?」

クード「へ?何か…重力がブワーって広がる感じ?」

ジェット「んなワケないだろ」

クード「じゃ、じゃあ2人は分かるのかよ⁉︎」

ジェット「あぁー…重力同士ぶつかって波が起きる…とか…?」

フェイ「意味わかんないわよ、その説明」

フェイ「大体、そんなの知ってったって一文の得にもなりゃしないわ」

クード「結局知らねぇーんじゃん」
364 : ◆d/8j7bKhKM :2016/02/13(土) 04:11:31.95 ID:FxYg85egO
エド「重力波はねー、いないいなーいしてるものもバァってしてくれるんだよー」

ジェット「…さっぱりだ」ハァ

エド「えっとねぇ、簡単に言うと時空がグネグネ〜ってするんだよー」

エド「そのグネグネ〜が見えれば、見なかったものも見えるようになるの!」

スパイク「小難しい話は良いんだよ。そんなんが俺たちの生活に関わるのか?」

フェイ「あらお早いお目覚めで」

ジェット「お前が言えた義理か」

エド「位相差ゲートにも応用されてるよー」

スパイク「へぇ…」

ジェット「これが発見されてなきゃ俺達ゃ皆地球人だったワケか」

スパイク「それどころか生まれもしてねーな」

フェイ「ありがとう重力波」

ジェット「まぁ巡り巡ってあのゲート事故もなかったがな」

フェイ「FUCKIN´」

スパイク「ゲンキンな奴だ…」

クード「…zzz」


オマケでした
というワケで来週から再開します
お待たせしちゃってごめんなさい
365 : ◆d/8j7bKhKM :2016/02/13(土) 04:14:41.96 ID:FxYg85egO
重力波についてはクソ文系の自分にはよく分かりませんが、ざっと調べた感じと以前読んだヒッグス粒子やらの本を参考にこうかな、と
間違ってたらごめんなさい
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/13(土) 04:45:48.10 ID:1BZcubp+o
待ってたぜ
367 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/02/19(金) 01:51:15.28 ID:i9XmmK5sO
ジェット『おい、スパイク。ターゲットは見つかったのか?』

スパイク「見つかったも何も今俺の目の前に居るぜ」

ジェット『なにぃ?もう捕まえたのか⁉︎』

スパイク「逆だ。捕まった」

ジェット『はぁ⁉︎何やってんだよ…ったく…』

スパイク「幸い通信機はバレてねぇけどな」

ジェット『っても奴は目の前に居るんだろ?』

スパイク「あぁ、俺と一緒にお縄さ」

ジェット『…一体何やらかしやがったんだ』

スパイク「話せば長くなる」

ジェット『どうせそっちに着くまで暇だ、聞かせろ』

スパイク「りょーかっい」
368 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/02/19(金) 01:52:07.77 ID:i9XmmK5sO
ーーーー
スパイク「豪華客船?」

ジェット「あぁ、今回はその船に潜入してもらう」

スパイク「俺が?独りで?」

ジェット「まぁ流石にお前だけじゃ不自然だからな。今回はフェイにもついて行ってもらう」

スパイク「アンタはどうするんだ?」

ジェット「お前さんがしくじった時誰が助けるんだよ」

スパイク「俺がしくじった事があるかよ?」

ジェット「…タバコ1カートンじゃ足りないくらいには」

スパイク「10なら両の手で例えた方が楽じゃねぇか?」

ジェット「本数だ馬鹿野郎」
369 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/02/19(金) 01:53:13.67 ID:i9XmmK5sO
スパイク「まぁ、そんだけ仕事しようとはしてるって事だな。上司としてはその姿勢を褒めこそすれ、結果をばかり責めるなよ」

ジェット「生憎俺はお前を部下にした覚えはないんでな。同僚の尻叩きくらいするさ」

スパイク「都合の良い時には同僚になるんだな、船長さん」

ジェット「お前こそ都合の悪い時は船長の意見を無視するだろうが」

スパイク「…解りましたよ、船長さん。ったく、アイツと仕事なんて絶対ろくな事になんねぇんだよ」

ジェット「…そうだ、ついでにクーとレンも連れてってやってくれ」

スパイク「ガキの手も借りたい程俺に信用ねぇってのか⁉︎」
370 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/02/19(金) 01:54:07.94 ID:i9XmmK5sO
ジェット「2人とも、ここ最近の戦いで疲れてんだ。主に精神的にな。たまにはリフレッシュさせてやりたい」

スパイク「…なぁ、あくまでも俺たちはレンの懸賞金狙いだよな?」

ジェット「…何が言いたい」

スパイク「…いや、船長サマのお決めになられた事なら従うだけですよっと」

ジェット「…解ってんだよ、自分でもな…」

スパイク「まぁ、それがアンタの良いとこでもあんだ。ただ…」

ジェット「もういい。早く行ってくれ」

スパイク「…オーキードーキー」

ジェット「ったく…」
371 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/02/19(金) 01:55:18.23 ID:i9XmmK5sO
フェイ「そんなだからお母さんとか言われるのよ」

ジェット「…いつからいやがった」

フェイ「呼ばれた気がしたの」

ジェット「あぁ、スパイクについて豪華客船に潜入してもらう」

フェイ「あらステキ。バカンスかしら?」

ジェット「仕事に支障が出ない程度なら楽しんでこい」

フェイ「…なんかあったの?」

ジェット「うるせぇ、良いから行ってこい」

フェイ「はいはい」

フェイ「…あの馬鹿に何言われたか知んないけど」

ジェット「あ?」

フェイ「あんまり気にしない方が良いわよ。意味深なこと言ってカッコつけてるだけなんだから」

ジェット「ハナっから気にしてなんざいねぇよ」

フェイ「そ。ならイーケド」
372 : ◆d/8j7bKhKM [sage]:2016/02/19(金) 01:55:57.07 ID:i9XmmK5sO
短いですが取り敢えずここまで
新編突入です
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/19(金) 01:57:49.89 ID:3Selg2e4O
おつおつ
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/04(金) 12:28:21.09 ID:LL6nQK/eo
最近運営が仕事し始めたから生存報告をしてくれると嬉しい

待ってるぜ
375 : ◆d/8j7bKhKM [sage]:2016/03/06(日) 14:55:13.17 ID:SJcJsUPtO
一応生存はしとります
次の投下はいつになる分かりませんが…
落ちない程度には顔出します
376 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/04/01(金) 08:39:11.67 ID:/8p329L+O
レン「クー。私、クーの事…」

クード「え⁉︎ちょ、ちょっと待って」

ーー物陰ーー

フェイ「レンちゃんやるー」

スパイク「でも唐突すぎやしないか?」

ジェット「若い恋なんて急なものさ」

フェイ「なぁんかジジ臭い言い方するわね」

スパイク「ジジ臭いと言うか本当にジジイなんだろ」

ジェット「何でお前らはいつもいつもそうなのかね…」

ーーーー
レン「ごめんなさい、クー…」

クード「ななな、何でレンが謝るんだよ⁉︎寧ろ俺は嬉しかったと言うかなんと言うか…」

レン「違うの、実は今日は…」

クード「へ?」

エド「4月1日!エイプリルフールだよー」

クード「…だ、だよなー!レンがそんな事言うワケないよなー!お、俺も別に何とも思ってなかったし?」

レン「…クーのばか」

クード「あ、あれ?レン寝ちゃうのかな」

ーー物陰ーー
フェイ「あーあ…」

スパイク「コレは中々キツイな…」

ジェット「あの嘘は流石になぁ…」

フェイ「アンタ達ホンっとに女心が分かってないわねぇ…。寧ろ今レンちゃんの方が傷付いてるわよ」

ジェットスパイク「「はぁ?」」

ジェット「これだから女ってのぁわからねぇ」
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/01(金) 10:51:41.44 ID:g0dbpuzDo
お、来てる来てる
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/11(月) 03:37:25.39 ID:NxCb6BGJ0
殺してみ
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/25(月) 12:31:58.06 ID:sO+ODCq3O
そろそろ
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/27(水) 00:38:14.58 ID:PvZ8NMC10
乙った?
381 : ◆d/8j7bKhKM [sage]:2016/05/02(月) 11:56:08.81 ID:fLnKRuBtO
更新頻度低くてすみません
もうしばらくしたら本編投下できると思います
ゴールデンウイーク中にできたらいいな…と
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/02(月) 17:48:49.32 ID:2tR28JCEO
待ってるぞ
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/02(月) 19:10:22.52 ID:3mZrwjXuO
リョーカイ
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/02(月) 19:11:33.13 ID:3mZrwjXuO
ageごめんなさい
385 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 13:58:25.02 ID:zQmrgOPgO
ーー甲板ーー
クード「なんか新鮮だなぁ…」

レン「クーはずっと船に乗ってたんじゃないの?」

クード「いや、船には違いないんだけどさ、俺たちの乗ってた船は空を飛んでたから…」

レン「海、綺麗…」

クード「そうだな…」

スパイク「なぁ、あいつらやっぱジェットと一緒にし過ぎたんじゃねぇか?」

フェイ「確かになぁんかジジ臭い光景ね…」

フィロ「そうカナ?レンちゃんは元々あんな感じだった気もするけど」
386 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 13:59:36.41 ID:zQmrgOPgO
フェイ「まぁジジ臭いってレンちゃんには似合わないしねぇ」

スパイク「ババ臭いって言っちまうと何処かの誰かさんの事になるしな」

フェイ「フィロ、アンタなんか言われてるわよ?」

フィロ「アハハ、私じゃないと思うけどなー…」

クード「お前らなぁ‼︎折角良いムードだったんだからどっか他所でやれよ!」

レン「スパイク、ここ禁煙」

スパイク「へーへ、ったく船の上くらいどこで吸ったって変わんねぇだろ…」

フェイ「レンちゃんは気にしてないみたいね」

クード「う、うるせぇ!レン、もう行こうぜ!」
387 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 14:01:07.36 ID:zQmrgOPgO
レン「クー、私ぷーるに行ってみたい」

クード「へ?この船プールまでついてんの?」

レン「うん、さっきフィロが教えてくれた」

フィロ「お、ナニナニ?プール行く感じ?私も行きたーい」

スパイク「お前も行ってきたらどうだ?いっつも水着みたいなカッコしてんだし」

フェイ「これはファッションよ!全く、年がら年中暑そうなジャケット着てる奴に言われたかないっての」

クード「はぁ…。2人きりにはなれそうもないなぁ」

レン「クー、どうしたの?」

クード「あ、いや!何でもない何でもない!」
388 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 14:02:40.96 ID:zQmrgOPgO
ジェット『おい、さっきから聞いてたが仕事だって事忘れてねぇだろうな?』

スパイク「はいはい、ちゃんと探ってますよ」

フェイ「取り敢えず怪しいの2人くらい居たかしら」

クード「え、お前らいつの間にそんなん見てたの…」

レン「じゃあその人たちをどうするの?」

スパイク「取り敢えず放っておいて大丈夫だろ。所詮こそ泥レベルの獲物だ」

フィロ「なんか…スパイクさんカッコいいですね!」

スパイク「は?」

フィロ「まぁクーくんには及ばないですケド」

フェイ「ぷっ…はははは!ちょ、フィロちゃん!どっちも無いって!」
389 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 14:04:46.11 ID:zQmrgOPgO
クード「ねぇ、俺なんもしてないのに何で傷付けられてんの?」

スパイク「俺だって聞きてぇよ…」

ジェット『結局遊んでるだけじゃねぇか…』

スパイク「心配すんなよ旦那。夜には動くさ。クー達に気付かれないように」ボソッ

フェイ「何よ、やっぱりアンタもガキンチョ共に甘いんじゃない」

スパイク「俺はただ足手纏いを増やしたくないだけさ」

フェイ「アタシも足手纏いって言いたいわけ?」

スパイク「何だ、解ってんじゃねぇか」

フェイ「じゃあ精々アンタのお手並み見させてもらうわ。言っとくけど、一切手貸さないからね」

スパイク「上等だ」
390 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 14:06:09.46 ID:zQmrgOPgO
ーー夜、客室ーー
スパイク「ここか…」

こそ泥「zzz…」

スパイク「何でこいつ寝てんだよ」

こそ泥「…」

スパイク「まぁこっちにゃ好都合だ。さっさと捕まえちまおう」

スパイクが手錠を持ってこそ泥に近付くと、チャキ、という音がする。

スパイク「っ‼︎」

すぐに気付いたスパイクは横に身をかわす。すると、銃声と共に壁に穴があいた。

こそ泥「チッ」

スパイク「へっ、やっぱこうじゃなきゃな」
391 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 14:07:07.49 ID:zQmrgOPgO
スパイクも拳銃を取り出し相手に向ける。こそ泥はベッドから跳ね起きると、シーツを投げ視界を塞ぐ。同時に2、3発の銃声が響く。

スパイク「クッ…やってくれるぜ」

スパイクも数発応戦しながら、キャビネットに身を隠す。その陰からチラとこそ泥を窺うと、威嚇射撃をしながら扉の方へ走っていた。

スパイク「クソッ待ちやがれ!」

スパイクもすぐに後を追い、扉を開け放つ。すると、こそ泥が廊下の少し先で警備員に取り押さえられている。

スパイク「は?」
392 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 14:08:04.10 ID:zQmrgOPgO
呆気に取られていると、他の警備員達がスパイクも取り押さえようとする。

スパイク「え、いやどういう事だよ⁉︎」

警備員「安全な船の旅を妨害する輩は牢屋にぶち込んどけって言う決まりなんでね」

スパイク「いや、俺はあいつを捕まえようとしただけだって!」

警備員「結果として銃撃戦が起きたのはお前の所為ってことだろう」

スパイク「はぁ⁉︎なんだそりゃ⁉︎」

警備員「兎に角、目的地に着くまで牢屋に居てもらうからな」

スパイク「ありえねぇ…」
393 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 14:09:13.75 ID:zQmrgOPgO
ーーーー
スパイク「…と言う訳だ」

ジェット『お前なぁ…。そうやってすぐドンパチするから幾ら稼いでも…』

スパイク「あーはいはいすんませんね」

ジェット『ったく、本当に解ってんのかこの馬鹿は…』

スパイク「それより、この船おかしくねぇか?」

ジェット『あ?』

スパイク「牢屋だぜ?俺が今居るの。それもかなり立派な鉄格子付きの」

ジェット『そう言えば普通に流してたが…妙だな』
394 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/05/06(金) 14:10:21.85 ID:zQmrgOPgO
スパイク「それに、自分で言うのも何だが、数人がかりとは言え俺が警備員如きに取り押さえられたんだぜ?」

ジェット『普通の豪華客船にしちゃあ、ちと警戒し過ぎな気もするな』

スパイク「普通の豪華客船ってのもおかしな響きだけどな…」

ジェット『解った、こっちで調べてみよう』

スパイク「一応日中船内回ったから船の間取りとかも送っとくぜ」

ジェット『…ホントに働いてたんだな』

スパイク「初めっからそう言ってんだろ!」
395 : ◆d/8j7bKhKM [sage]:2016/05/06(金) 14:11:46.58 ID:zQmrgOPgO
お待たせした割に少なくてすみません
だいぶオリ要素が多くなってきて書くのに難航しておりますので…
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/06(金) 14:12:19.21 ID:NYKjIPgoO
おつ
ゆっくり待ってるよ
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/03(金) 14:05:39.34 ID:9wWdeLE2o
そろそろ一月
398 : ◆d/8j7bKhKM [sage]:2016/06/06(月) 17:43:09.34 ID:HhZFygFoO
もうちっとだけ待ってください
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/06(月) 21:15:15.96 ID:uyIO1rxgo
了解
400 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 17:46:15.92 ID:J4SQBi/MO
ー甲板ー
グレイアーツ「なんだぁ?」

ココウェット「なぁに?どうしたのグレイアーツ君?」

グレイアーツ「いや、流石にそろそろ『仕事』すっかなーって思ったんだけどよ」

ココウェット「だからレーダーみてたのね」

グレイアーツ「それがおかしいんだよなぁ。ここ、この一箇所にすげぇ数のエディルレイドが集まってんのよ」

ココウェット「あ、でもぉ、ここに一個だけ離れてるのあるよ?」

グレイアーツ「お、マジじゃん。じゃあ取り敢えずコイツ襲っとくか」

ココウェット「あはっ♪さっさと片付けて2人で船旅楽しもーよ♪」

グレイアーツ「えぇー、俺潮風嫌いなんだけど…」

ココウェット「もう!じゃあディナーに連れてってね!」

グレイアーツ「へいへい、じゃあいっちょやりますか」
401 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 17:47:31.82 ID:J4SQBi/MO
ー客室ー
クード「なぁー、スパイクの奴は何処行ったんだ?」

フェイ「うっさいわね!知らないわよあんなヤツ!」

クード「な、何怒ってるんだ…」ヒソヒソ

フィロ「さ、さぁ…?」ヒソヒソ

フェイ「ちょっとそこ!聞こえてんのよ!」

レン「…zzz」

フェイ「って言うかクー、アンタ何でここに居んのよ?」

クード「だってよ、スパイクが居ないと俺の部屋独りじゃん?」

フェイ「寂しいとかガキみたいな事言うんじゃないでしょうね」

クード「違ぇよ!俺もレンも一応命狙われてるんだから、独りになるのはどうなのかって思っただけだって」

フィロ「もークー君。寂しいって素直に言えば私が一緒に居てあげるのにナー」

クード「だから違うってぇの!」
402 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 17:48:23.86 ID:J4SQBi/MO
フェイ「レンちゃんが心配なんでしょ」

クード「は、はぁ!?別にそんな事言ってねぇだろ!」

レン「…違うの?」

フェイ「あら、レンちゃんおはよう」

レン「おはよう。…それで、クー、どうなの?」

クード「いや、なんて言うか、その…」

クードが言い淀んでいると、扉が突然吹き飛ばされた。

グレイアーツ「クードヴァンジルエット!悪いがその命頂くぜ!」

その場にいる全員が固まる。

グレイアーツ「あれ…?俺なんか間違えたか?」

ココウェット『なんか取り込み中だったみたいだケドー、グレイアーツ君は悪くないって!』
403 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 17:51:43.33 ID:J4SQBi/MO
クード「あ、アンタら何モンだ…?」

グレイアーツ「言わなきゃわかんねーワケ?」

ココウェット『アンタ見た目通りイケてないんだねー』

クード「なんかムカつくなアイツ…」

フェイ「同感ね。あのキャピキャピした感じ最っ高にムカつくわ」

ココウェット『妬いてんのー?オバサン』

フェイ「オバッ⁉︎チョーシこいてんじゃないわよ…」

グレイアーツ「ま、兎に角死んでもらうぜ!」

グレイアーツがココウェットを振るうと、衝撃波がクードに襲い掛かる。

クード「クソッ!」

寸での所で回避するが、勢い余って転倒する。

クード「レン!リアクトを!」

転がった勢いのままレンの元へと辿り着くと即座にリアクトする。

グレイアーツ「へぇ…それが七煌宝珠か」
404 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 17:52:43.08 ID:J4SQBi/MO
クード「お前らが何者かは知らねぇけどさ、レンを狙ってるって言うなら手加減はしねぇぞ」

グレイアーツ「お前はレヴェリーメザーランスの力ではなく、彼女を守りたいんだな?」

グレイアーツは構えを解き、両手を広げてクードに歩み寄る。

クード「だったらなんだよ?」

グレイアーツ「いやね、俺が上から言われてんのはレヴェリーメザーランスを使えるようにして回収する事なんだわ」

グレイアーツ「つまり、俺が所属しているオルガナイトってぇ組織は、その娘の力さえ手に入れば良いワケよ」

クード「だから!俺を殺してレンを攫うんだろ?そんなのはいそうですかって言えるか!」

グレイアーツ「話は最後まで聞こうぜ、クードヴァンジルエット」

フェイ(何か胡散臭いわね、このチャラ男…)

すると突然、グレイアーツはココウェットととのリアクトを解く。
405 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 17:53:58.56 ID:J4SQBi/MO
グレイアーツ「そこで、だ。レヴェリーメザーランスの力だけ譲渡してくれりゃあ、皆シアワセになるとは思わねぇか?」

クード「力…だけ?」

グレイアーツ「そ、力だけ。エディルレイドの力ってのはこんな核石に宿ってんだよ」

グレイアーツはココウェットの胸元を捲る。そこには紫色で三日月を歪めた様な形の石が、皮膚と一体化していた。

ココウェット「いやぁーん、グレイアーツ君以外に見られたくないのにぃ」

グレイアーツ「つまりだな、そこの嬢ちゃんの石だけ貰えりゃこちらとしては任務完了ってワケよ」

グレイアーツ「お前を殺して無理矢理連れてったとしても、メザーランスが素直に従うわきゃねぇから、どっちにしろリサイクルの必要はあるだろうしな」

クード「で、でもそんな事…」
406 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 17:55:55.84 ID:J4SQBi/MO
グレイアーツ「お前らにだってメリットはあるんだぜ?メザーランスから力が失われれば、余計な追手から逃げる必要もなくなるし、本来人間より長生きしちまうエディルレイドが人間と同じ様に歳を取る事になる。つまり、アンタ等が一生添い遂げる事ができるワケだ」

クード「…」

グレイアーツ「それとも何か?彼女を守りたい、なんてのは建前で、本当は力が欲しいだけか?」

クード「そんな訳ねぇだろ!例えレンがただの女の子でも守りたいと思ったさ!」

グレイアーツ「なら良いじゃねぇか」

ココウェット「そーそ、これはグレイアーツ君の優しさなんだからね!本気でやりあったらアンタなんて2分ももたないわよ」

クード「…そう、なのかな…」

クード(レンの力を使いこなせてないってのは確かだし、力がなくなればレンも人間に迫害されたり、誰かに追い回されたりする事もなくなる…)
407 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 17:58:40.80 ID:J4SQBi/MO
レン『クー、ダメだよ』

クード「レン…でもさ、俺これ以上レンを危険な目に遭わせたくない」

レン『力を取り除けば、私は安全かもしれない。でも、私の力で他の人を傷付けたくない』

クード「…そっか」

レン『うん。だから、2人で一緒に私の力も、私も、クーも、皆も、纏めて守ろう?』

クード「へへっ、そうだな!それくらい貪欲な方が、このクードヴァンジルエット様に相応しいぜ!」

グレイアーツ「どうやら交渉決裂、みたいだな…ココ!」

ココウェット『もぅ、始めっからこうすれば良かったのにぃ。グレイアーツ君ってばお人好し♪』

クードとレンの間で話が纏まったところで、再び場に緊張が戻る。
クードが駆け出すと同時に、グレイアーツとココウェットも再リアクトしていた。

グレイアーツ「もう手加減は無しだぜ!」

グレイアーツが衝撃波を発生させると、真っ直ぐ突っ込んでいたクードは避ける事が叶わず、レンで受け止める。
408 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:00:00.96 ID:J4SQBi/MO
グレイアーツ「俺はただ一人の聴客の為に、この歌をうたう!」

そう言うと、グレイアーツとココウェットが詠唱を始める。しかし、その音は人間の出す音域を超えていた。

クード「ぐっ…なんだよこれっ…!」

レン『多分っ、あのエディルレイドがプレジャーの歌声を増幅させてる…』

クードは堪え切れず両耳を塞ぐが、それでも芳しい効果は得られない。

クード「クソッ、このままじゃ相手の攻撃をもろに食らっちまう‼︎」

レン『取り敢えず、この狭い船室じゃ不利だから、外に出よう?』

クード「幸い、この騒音の所為で窓は割れてるしなっ…」

クードは割れた窓から外に飛び出す。当然外は海が広がるばかりだが、海面に向けて風を起こし、甲板に着地する。

クード「ここまで響いてきやがるぜチクショウ」
409 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:01:15.49 ID:J4SQBi/MO
と、そこで唄が止む。

クード「追ってくるか…ッ⁉︎」

グレイアーツ達が、クード達と同じ様に甲板に来る。

グレイアーツ「広いとこに逃げれば避けられるとでも思ってんのか?」

ココウェット『もう最ッ高!グレイアーツ君の歌でぇ、この船もメロメロになっちゃってるよ〜』

先ほどの歌の影響で、操舵系の機械に故障が出たのか、船の挙動がおかしくなっている。

クード「ケッ。そんな歌如きで俺たちがやられるかよ」

レン『うん、私達なら大丈夫』

グレイアーツ「中々の自信じゃねぇの。んじゃ一丁見せてもらうぜ、メザーランスの力!」

ココウェット『言っとくけどぉ、次は逃げらんないからね?』

再びグレイアーツがココウェットを水平に構える。
410 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:02:12.75 ID:J4SQBi/MO
クード「リジェクトアウト!」

クードの周囲に風の鎧が現れる。その中で詠唱を始めるクード。

グレイアーツ(俺の歌が効いてない?風で受け流してるってワケか)

グレイアーツ「なら良いぜ!単純な力比べといこうじゃねぇか!」

グレイアーツ「サーバスレンジ‼︎」

クード「ノトスコード‼︎」

2人は同時に攻撃を繰り出す。お互いの攻撃がぶつかり合うと激しい衝撃が周囲に広がった。

クード「クッ…」

グレイアーツ「どうしたぁ‼︎七煌宝珠ってのはそんなモンか⁉︎」

クードとレンの攻撃は僅かに押し負けていた。ノトスコードで相殺しきれなかった分の衝撃波がクードを襲う。
411 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:04:14.68 ID:J4SQBi/MO
レン『大丈夫。クー、信じて』

風の鎧でも受け流しきれなかった為、クードは数メートル後ろに押されるが、ギリギリで持ち堪える。

クード「ありがとう、レン」

グレイアーツ「おいおいマジかよ…」

ココウェット『でもでもぉ、結構ギリギリなカンジだしぃ?次で決めれちゃうよ!』

クード「…これ以上やったら本当に船が沈むんじゃね?」

何とか攻撃は受け流したが、船体へのダメージが大きく、また衝撃によって船が揺れていたため、浸水し始めてもおかしくない状況だった。

レン『うん、でもあの人達はこっちが攻撃しなくたって歌い続けるよ』

クード「クソッ!やるっきゃねぇのか!」

クードはヤケクソ気味に叫ぶと、既に詠唱を始めているグレイアーツ達目掛けて走り出す。しかし、クードはあと一歩間に合わず、グレイアーツの詠唱が終わる。
412 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:06:13.47 ID:J4SQBi/MO
グレイアーツ「ったく、つまんねぇ終わり方だなぁおい!」

眼前にまで迫っていたクードに、ココウェットを振り下ろす。

レン『クー!』

クード「うおりゃぁあ!」

レンの声と共にクードは左手を振るった。ココウェットの攻撃は相殺されることなく繰り出される。

グレイアーツ「なん、だ…?」

しかし、グレイアーツとココウェットの全力はクードも船体も傷つけてはいなかった。代わりに、海水が巻き上がり、船上に飛沫を撒き散らしていた。

クード「へへッ、これ以上暴れられちゃ困るからな」

よく見ると、グレイアーツの右手にはロープが巻き付いていた。
クードが、攻撃を受ける寸前に振るったのはレンを持っている右手ではなく、アンゲルを格納してある左手だった。
413 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:07:39.67 ID:J4SQBi/MO
クード「覚悟しやがれ…」

攻撃を受け止めるのではなく、アンゲルによって腕を引っ張り、攻撃を逸らしたのだ。その間に詠唱は済んでいた。

クード「ゼフィロスアート‼︎」

グレイアーツ「グ…ッ!」

咄嗟に防御をするが、ゼロ距離でまともに食らったため、船外へと吹き飛ばされる。

グレイアーツ「クソッ…」

吹き飛ばされる直前、グレイアーツはリアクトを解き、ココウェットを船の上へと投げ飛ばす。

ココウェット「きゃっ!グレイアーツ君⁉︎」

既に彼はその直後に気を失っていたが、その頬には薄っすらと笑みが浮かんでいた。

クード「レン!頼めるか?」

レン「ゴメンね、クー…も…無理…zzz」
414 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:09:18.74 ID:J4SQBi/MO
リアクトが解けて眠ってしまったレンを、その場に寝かせクードは駆け出す。
しかし、行く手にココウェットが立ちはだかる。

ココウェット「何するつもりよ?」

グレイアーツと居た時には考えられないほど、非常に厳しい表情をしている。

クード「何って、お前のプレジャー、このままじゃ溺れちまうだろ!」

ココウェット「自分でやっておいてよく言うわね」

吐き捨てるように言うと、ココウェットが殴りかかってくる。

クード「ちょ、待てって!助けなきゃ!本当に死んじまうぞ⁉︎」

リアクトをしていない彼女の腕力は、年頃の少女のそれと変わらず、大した威力のない拳がクードの胸をポカポカと叩くだけだった。

ココウェット「うるさいわね!助けたところで、彼はもう処分されちゃうのよ!オルガナイトに‼︎」

クードは、そのまま拳を受け続ける。
もう彼には立ち尽くすしかなかった。
415 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:11:38.60 ID:J4SQBi/MO
ココウェット「任務失敗した時点で!私も彼も処分されるのは決定なのよ!それを、せめて私だけでも助けようと…」

ガクッとその場に泣き崩れるココウェット。
クードは、ただただ、グレイアーツが飛ばされていった方角の海を眺める。

ココウェット「どうせ私も…生きているのがバレたらオルガナイトに消されるわ…。最悪、石だけ持って行かれてリサイクルされるんでしょうね…」

クード「そ、それなら命だけは助かるんじゃないのか?」

ココウェット「私はオルガナイトで改造を受けてるから、石が離れたらその場で死ぬのよ」

その時、レンが眠気を無理矢理抑えながら、と言った感じで立ち上がる。

レン「なら、私達と一緒に来ればいいわ」

クード「エェ⁉︎レンさん?この人俺たちを狙ってた刺客だって解ってます…?」

レン「クー、もう彼女に戦う力はないわ。それに、私達もオルガナイトに狙われてるっていう立場は一緒だし」

クード「そ、そりゃそーだけどよ…」
416 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:12:51.91 ID:J4SQBi/MO
ココウェット「彼を殺した張本人と仲良くしろって?」

レン「別に仲良くする必要はないわ。私達だって貴女と打ち解けられるか解らないし。ただ、一緒に来て、必要な時にお互いの力を借りるだけ」

クード「うーん…それもアリ…なのか?いやいや…でもなぁ…」

レン「それに、まだ彼だって死んだとは限らない。そのおるがないとって言う所がどういう所か解らないけれど、もしかしたら命までは取らないかも知れないし」

ココウェット「彼が生きていたら裏切るかもしれないわよ?」

レン「大丈夫、その時はまた私達が倒すから。ね、クー?」

クード「おうよ!ってアレ、もうその方向で決定なのか?」

レン「それに、私達がもしおるがないとを倒したりしたら、貴女達も追われる心配から解放されるわ」

クード「…え?なんか段々話が壮大になってきてね?」
417 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:14:03.02 ID:J4SQBi/MO
ココウェット「…解った。じゃあグレイアーツ君を見つけるまで、貴方達を利用させてもらうわ」

クード「えぇー…これから毎日暗殺の恐怖と戦いながら生きていくのか…?」

レン「彼女が居なくてもそれは変わらないと思う…」

ココウェット「そうね、オルガナイトは貴方を殺そうと躍起になってるから」

クード「…俺そんな危険な状況だったの?」

ココウェット「解ったらこれからは安易にバニーちゃんとかに寄って行かないことね」

クード「なっ⁉︎ななな、何でそんな事…俺のトップシークレットな情報なのに…」

レン「…バニーちゃん?」

クード「いや、違うんだレン!こ、これはだな…」
418 : ◆d/8j7bKhKM [sagesaga]:2016/06/08(水) 18:16:01.71 ID:J4SQBi/MO
フェイ「静かになったからどうしたのかと見に来てみれば…どうして敵の女の子とイチャついてんのよ、このガキんちょ」

フィロ「…!もークー君ってば、やっぱりモテるのかぁ〜。ライバル増えちゃったなぁ…」

ココウェット「…さっきも気になってたけど」

フィロ「私フィロって言います!よろしくね!」

フィロ「…貴女の事は報告しない。代わりに…」ボソボソ

ココウェット「…余計なことしなければ、私も余計な事言わないわ」ボソボソ

ココウェット「えぇ、よろしく」

フェイ「何でこっちのガキもスッと受け入れてんのよ…」
419 : ◆d/8j7bKhKM [sage]:2016/06/08(水) 18:18:31.88 ID:J4SQBi/MO
お待たせでした。
今回はココまで。
グレイアーツ君は倒したけれど豪華客船編はまだ続きます。
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/08(水) 18:33:28.72 ID:nv/zN+hpO
おつおつ
421 : ◆d/8j7bKhKM [sage]:2016/07/04(月) 01:16:32.29 ID:yf45KujFO
ごめんなさい
今月は忙しくて書けてないです
来月は投下できるように頑張ります…
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/04(月) 10:38:03.53 ID:ca1I79YEO
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