マリオ「最近、テニスやパーティーにゴルフばかりで…何かを忘れているような」

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336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/20(火) 20:16:19.98 ID:fqKGBeEeO
楽しみに待ってます
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/20(火) 22:18:45.75 ID:iakR9RsA0
なんか面白そうなスレかと思ったらげぇむの作者だっただと…?なるほど後書きにヒントは隠れていたな。面白い
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/10/21(水) 17:38:20.76 ID:fdwjtUnr0


 僅かな…本当に僅かな"刻"が過ぎ去っていった
彼らが機体の心臓部に熱を灯し走り出しどれ程経っただろうか

 開幕当時は満載だった化石燃料もその減り具合から
どれだけの排出量で走り続けたか、長距離運転手なら想像に難しくない





マリオ「…?きのせいか?」チラッ



岩、岩、岩…見渡す限りが全て無骨と言って世界
峠のトンネルから飛び出したトップの視界はずっと草木一本生えない
峡谷<キャニオン>を走り続けていた


人工的に拓かれた道、アスファルトの黒と中央に見える一本の白線
それ以外は焦げ茶色の無機質な岩、後は精々空の青さくらいが見えるモノ



 人工的な建物は全く無く、あえて言うなら
今彼らの走る道そのものが人工物と呼べる
それ以外は自然が創造した芸術的な岩の表面だ
 長い年月を雨風が砂塵の一粒一粒を削った至高の一品









マリオが視線を周囲にちらつかせたのは何も
        芸術を堪能したいと思ったからではない







"英雄"の…彼の潜在的に"眠りつづけている"超人的な身体能力が…っ!

彼の聴覚が遠くで"爆発音"のようなモノを感じ取ったからである!





マリオ「…いかんいかん、集中せねば!」グッ



つい先ほども慢心こそが最大の敵だと彼は思い出した
此処で如何に2位、3位と距離を離したとて顔を背けるのは
 今戦っている相手への不敬でもある、そう思いハンドルを強く握る








ワルイージ (ッん畜生がッ!!本当に何の仕掛けもねぇのかよ!!
          あのマシンはよォ!!!!!)



紫のイメージカラーは前方を走る、赤を見つめて心中で悪態つく
彼は虎の子である加速装置を使うタイミングを見計らっていたが‥


ワルイージ(…野郎、まるで隙を見せやがらねェ…!)

339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/10/21(水) 18:04:48.98 ID:fdwjtUnr0


先述した通り、ワルイージが特注でチェーンナップした加速装置は
【ダッシュキノコ】3つ分に相当する超加速を発揮する…ッ!


 だが…これは一時的にエンジンを暴走させる諸刃の剣

 この曲がりくねった道で後先も考えずに使おうモノなら
1位の横をぶち抜けるどころかガードレールをぶち抜けて谷底行きだ

如何に命知らずな彼とてそんなアホはやらかさない

彼の夢は対抗心を燃やすマリオブラザーズに自身の優位性を見せつける事




表彰台の天辺で自分より低い位置で悔しそうな顔する兄弟を見下しながら
金ぴかトロフィーに口づけする事…



粉々になった機体の残骸に埋もれながら硬い地面とキスする事では無い…




ワルイージ(しかも、【ダッシュキノコ】を普通に使うよりも燃費が悪ぃ
       通常の4倍は燃料を消費しちまう…)



何度も連続して使用して、エンジンがお釈迦にならずとも
この一台だけが燃料切れでゴールテープを切れませんでした!なんて事も
有り得るのだ…




だからこそ、十二分に性能を発揮できるタイミングを計りたいのだが

目の前の"赤"は見事な走行テクニックでそれを阻止する…!



相手は此方の切り札が加速装置とは知らないだろうが
もしかしたら何処かで予測…あるいは直感的に感じ取っているのだろう

だから直線状の道に出られそうな時でさえ
ワルイージの加速が殺されるような走り方をするのだ…ッ!







日進月歩、そんなやり取りをする"赤"と"紫"を…"緑"は不快に思った



そのやり取りは正しく"真のライバル"と呼べる漢同士の戦い‥ッ



英雄…マリオとその位置で戦うべきは顎長男ではなく自分だっただろう!
そんな怒りを3位のルイージは思わされた



ルイージ「…くっ!僕じゃ足元にすら及ばないっていうのかッ!」


ご自慢の機体はマフラーからCO2と僅かな水を排出する…
まるで彼の悔恨の情を代弁し涙するようにも思えてくる



ルイージ「…情けないのはドライバーの腕そのもの、か…っ!」


オヤ・マー博士…が特別に造った機体を生かせぬまま、終わるのか?
それを想い、ネガティブな彼が口からポツリと出した言葉
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/10/21(水) 18:14:16.71 ID:fdwjtUnr0






 オヤ・マー『フェッ、フェッ、フェッ!
         しかし君はいつだって謙虚じゃのう?』




  ルイージ『謙虚?僕がですか?』




 オヤ・マー『そうじゃ、君は自分を過少評価し過ぎ取る…』フム



 オヤ・マー『君はいつだって【永遠の2番手】【緑の日陰者】
        そう呼ばれても怒る事無く、それを甘んじておる』



  ルイージ『はははっ、まぁ事実ですよ…!
            実際僕ぁ兄さんと比べれば――』


























        オヤ・マー『それじゃよ…』









 オヤ・マー『何が "兄さんと比べれば" なんじゃ?ん?』




 オヤ・マー『…わしはのぅ、ご覧のとおり研究第一の学者馬鹿じゃ』


オヤ・マー『じゃから、君とあのお化け騒動で初めて出会うまで
      君ら"英雄兄弟"の活躍を知らんかったわい!』フェッフェッフェッ!


 オヤ・マー『新聞も読まずに日々研究じゃからなぁ!』



 オヤ・マー『…じゃからの、わしは
          "捕まった兄を助けに来た勇敢な君"しか知らん』

341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/10/21(水) 18:24:59.58 ID:fdwjtUnr0



 オヤ・マー『世間一般ではお兄さんの方が取り上げられとるよ』



 オヤ・マー『新聞の一面で写真に大きく映るのはいつも赤い帽子の彼』


 オヤ・マー『君はいつだってその隣で小さく映る、目立たないような』






 オヤ・マー『陰口のようで言いたくないが‥国民の評判も
         お兄さんと比べれば"頼りない"、"影が薄い"と言う』


 オヤ・マー『じゃから思うのじゃよ…皆
         本当に君を理解しとるか?とのぅ…』フェッフェッフェッ!





  ルイージ『…博士』




 オヤ・マー『マリオくんがキングテレサに捕まり
         絵の中に閉じ込められた、あの事件を知る人物は』

 オヤ・マー『わしと君、そして当のマリオくん…
          あ、後キノピオ君じゃな、あの女の子にモテとる』





 オヤ・マー『…"無敵の英雄"を救った、"それ以上の英雄"…
          新聞にもニュースでも報道されない
         わしが初めて出会った"英雄兄弟"は君じゃ』













 オヤ・マー『本当の君はお兄さんより劣った人間なんかじゃない』

 オヤ・マー『君は "強く勇敢で優しい人間" なんじゃよ』

 オヤ・マー『本当なら一対一で戦えば十分お兄さんと互角…
        いや、もしかしたらそれ以上かもしれんのじゃ』




  ルイージ『買いかぶりすぎですよ…』



 オヤ・マー『…君が、そういうのなら多くは言わん
         じゃが君は心の中で思うとるじゃろう?
        いつかは兄さんを越えたい、強くなりたい、と…』






 オヤ・マー『自信を持て、君は勝てる人間なんだ』

342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/10/21(水) 18:35:27.49 ID:fdwjtUnr0


BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !



渓谷<キャニオン>に3台のエンジン音が響く…

ルイージは…今、自分が搭乗している機体を
手掛けてくれた老人の激励を思い出していた




ルイージ「…博士、僕は…」




――フェッフェッフェッ!
    君の機体にはあのバキューム同様の特別機能がある…!



―――バキューム…の事は君がよく知っとるじゃろう?
            じゃから、使い方はあえて言わん
                さぁ!今日はレース開催日じゃ!






―――存分に暴れて行け!









ルイージ「……ごめん」



ルイージ「どうも僕はネガティブで
      いつも悪い方悪い方に考えちゃうんだ」







ルイージ「こんなにも最高の機体に乗ってるのに…
      なのにドライバーの僕がこれじゃあ、悪いよな…っ!!」









 ルイージ「博士…僕は…あえて!あえて!
       あなたの特別機能は使いません!実力で倒しますッ!」






このレースでは…!この試合では決して兄に特別な何かでは勝たないッ!

本当の自分だけで勝負するんだ!!

ルイージは消えかけた闘志を再び燃やしだしたッ!
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/10/21(水) 18:43:33.64 ID:fdwjtUnr0

















          ウィン…!  …ウィン!









――それは過去からの贈り物だった









マリオ(…ん?)

ワルイージ(あん?なんだぁ、突然空が暗くなりやがったぞ?)


ルイージ(?今日の天気予報じゃ雨は降らない筈…?)




走路が濡れているか乾いているか、それもドライバーとして
重要な判断基準だ

故に彼ら3人は当然テレビの前で降水確率は確認していた

全国的な晴れ模様…、多少外れることはあろうと
空気に湿った匂いも混じらず、雲の流れも悪くない

そんな天候だった





ワルイージ「!?!?!?!お、オイ!ありゃあ何の冗談だっ!?」




 日光を遮るのは白雲では無かった
人工物など一切無い、無骨な岩の芸術品しかない世界
 そこで見たメタリックな人工物が…青空を切り裂くように飛んでいたのだ











      ゲドンコ星人「「「ゲヒャヒャヒャヒャヒャ…ッ!」」」



344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/10/21(水) 18:48:42.22 ID:fdwjtUnr0
*********************************


            今回は此処まで!


 ルイージはもっと評価されても良いと思うの…

 真面目な話【ルイージマンション】で初対面のオヤ・マー博士から見て
 捕まったマリオより、それを難なく救助したルイージの方が凄い"漢"と
 思ってるんじゃないだろうか… 


 ※【マリオ&ルイージRPG2】で会ってるけど出会いを忘れてる模様

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345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/21(水) 20:49:50.83 ID:v3xJA2p9O
おつおつ
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/22(木) 04:05:59.48 ID:5hJvRDZvo
影が薄くても見てくれてる人がいるってのは嬉しいことだ…
でもレースはここまでだな!
マリオの記憶はどうなるか
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/23(金) 11:26:21.37 ID:DKJ0QUz+0
キャラ一人一人に芯の通った信念があって非常にカッコいい
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/16(月) 22:06:55.39 ID:6p0sdn5AO
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/16(水) 00:25:47.30 ID:P73hMwTb0
保守
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/16(水) 00:27:21.08 ID:vat564m2O
ナイス
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 12:23:14.43 ID:osH3ANs40


 それを見て真っ先に叫んだのはワルイージだった

"何の冗談だ?"まさしく言い得て妙である



既製の航空技術を何世紀分も飛び越した科学技術だ
プロペラ機だとかジェットエンジン、そんなレベルじゃない

レトロなSF映画でお決まりのように宇宙人が乗ってる"空飛ぶ円盤"
それに使われているような反重力装置と言っていいだろう



ルイージ「な、な…なっ!」パクパク




 思わずハンドルを握る手が震えた
唐突に飛来して来た"空飛ぶ円盤"

 これといって彼らは歴史のお勉強は大好きという訳ではない
あくまで世間一般レベルの常識さえ学べば良いだけであって
それ以上の知識を求むのは考古学者志望くらいのモノである


今、目にしてるものはそんな世間一般レベルで学べるモノだ
ハイスクールの教科書にそのシルエットはデカデカと記載されている

十数年前、過去のキノコ王国にやって来た"災厄達"であるッ!!




まるで理解が追い付かないッ!!とでも言ったようにワルイージは呆然と
そして…それ以上の衝撃を受けるルイージ!







ルイージ「ば、馬鹿な…!あり得ない!アイツ等は過去の世界で
                    僕達が倒した筈だっ!!!」








かつて…!【ゲドンコ姫】と【ゲドンコ姫の姉】が住みやすい惑星を求め
遠い宇宙の彼方からキノコ王国へとやって来たのだ

首都や近辺の村、非武装の民間施設、軍事施設問わずに侵攻を初め
一般市民を捕まえては生命力を奪い取り兵器群のエネルギーにするなど

言って見れば旧世紀の非人道的な植民地支配と似たような事を始めた訳だ


決して風化させてはならない恐怖の時代として義務教育で習う歴史の一頁
その象徴が目の前を我が物顔で飛んでいるのだ…冗談にしては度が過ぎる











        マリオ「ぅぁ…あ、頭が…ッ!?」ズキッ




352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 12:44:38.41 ID:osH3ANs40


ルイージ「ハッ!に、兄さんッ!」バッ!



まるで自分達を見下すかのように平行して
3人の頭上を飛ぶ忌々しいフォルムから視線を外す…!



あまりにも突飛した出来事…ッ!

故に反応が遅れた…ッ!





マリオ「あ」

















マリオ「うおあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァ――」










ルイージ(っ!な、なんてこった!!)




今の今まで彼らはマリオには事実を隠し続けていた
直ぐに記憶を戻してやるべきだ、戻さない方が良い

これは賛否評論だ

元からルイージ等は命に関わる程の無理をしてほしくないという事も
確かにあった、それに記憶喪失には様々な種類がある

一例だが本人が自身を護る為、無意識に事故に遭った記憶に蓋をする
解離性健忘の場合など
無理に思い出させる事で脳に大きな負担が掛かる場合がある


戻してやるにしてもゆっくりと時間を掛けて戻すように便宜を図るのが
正しいのだ、あのクッパでさえ思い出して欲しいという本心を抑え
好敵手の完全復活の為、協定を結んでいたくらいだ…




だが、これで今までの苦労も水の泡…




キイイイイイイィィ―――ッ ギャギャギャッ!!


ワルイージ「オイオイ!!マリオの野郎…!
        ガードレールに擦りながら走ってやがんぞオイ!」

353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 12:59:22.00 ID:osH3ANs40


―――いつだったか誰かが言ってた気がする



悪い事というモノは一度起きてしまえば
     ドミノ倒しのように立て続けに起きる、と






ルイージ(…なんだよコレ)




刹那、ルイージの目には世界が白黒<モノクロ>に映った



友人のヨッシーと自宅のソファーに座って
世間話でもしながらプレイするゲームボーイの画面のように…


世界が白と黒だけで構築されたように思えた






時が長い







一分一秒が長い、永い




音が聴こえない








よく自分達兄弟をライバル視する顎長男が兄に向って何か叫んでる

でも内容が聴こえない




兄が…ハンドルから手を離して頭を抱えている
        目の前の道なんて一切見やしない、手放し運転





兄のカートが真っ白なガードレールに擦る度に火花が出ていく




音は聴こえない、でも"何か"が見ろと叫んでいる気がした


ゆっくりと上空の円盤に視線を向けようとする…

思考回路は通常の速度なのに、首…いや、身体の動きがスローだ


揺れ動く視界もスローだった
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 13:07:14.75 ID:osH3ANs40







































           ゲドンコ星人「…ゲヒャッ」ニタァ…


























 毒々しい紫色キノコに手足が生えたような
一度見たら、忘れたくても忘れられない気色悪い生物が
開かれたハッチから顔を覗かせていた


八重歯のような二本の歯と笑みを浮かべるように歪んだ赤紫色の目

奴は…枯れ木みたいな細長い腕に銃を構えていて…


その銃口は地上に向けられていた


射線の先は僕でも、顎長男でもない…ずっとずっとその先…


  今、一番狙いやすい標的と化した人だった

355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 13:22:55.82 ID:osH3ANs40




       ルイージ「止めろおおおおおおおおおぉぉぉッ!!!」









――僕が声を発したと同時だったッ!



奴の手に持つ光線銃が地上目掛けて熱線を放ったのは…っ!





ジイィィィ――――ッ! ジュウウウウゥゥ…!



文字通り、光の速さで降り注いだレーザー光線はいともたやすく
                兄さんの機体の前半分を"溶断"した


熱線で溶断された機体の前半分はそのまま後方へ吹っ飛び
高温で真っ赤になった断面図を見せつけながら走行する僕らの後ろへ
ド派手な音を立てながらこの下り坂を豪快に転げ落ちていく








前輪が無くなった事で嫌な音を立てて前のめりになる機体と
むき出しになった動力部…











奴はそこに無慈悲にも2発目をぶち当てたッッ!














ワルイージ「……マリオの機体が…」

ルイージ「…」





ワルイージ「…粉々にぶっ飛んじまった」


その日、渓谷にガソリンエンジンの爆発による黒煙が立ち上った
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 13:38:04.84 ID:osH3ANs40



キキッーッ!




ルイージ「…」スタッ



ワルイージ「んなっ!?お、オイ!何、カートから降りてんだよォ!?」






ルイージ「」チラッ





【炎上したマリオの機体】ボォォォォォ…!




ブレーキを掛けて、機体を停めて彼は大地の上に降り立つ
逃げるように走行を続ける顎長男がルイージに向かって叫ぶ


が、無視する








ワルイージ「っ…!そ、そりゃあよォ!!

        【マリオが"ぶっ殺されんだ"!】

           動揺すんのはわかっけど逃げねぇと―!」









この時、彼は見た…ッ!



遠い向こうから…更に飛んでくる数機の円盤をッ!


さしずめ、"援軍"という奴なのだろう



ワルイージ「じょ、冗談じゃねぇぞ!
          …死んじまったら元も子もねぇ…っ!」




ワルイージ「お、オイ!!言っとくが俺は警告したかんなっ!!!
          わりぃ事言わねぇからテメェも早く逃げやがれ!」



357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 13:55:17.55 ID:osH3ANs40


別に彼、ワルイージを非難するつもりはない

彼の行動は"人間"として正しい




『死んじまったら元も子もない』その通りである



彼は努力家にして慎重な男だ

 英雄兄弟よりも自分が優れた人間だと世間にアピールしたい
そういう願望を持ちながらも彼がマリオ達と競うのは
『テニス大会』や『サイコロを振るパーティ』…といった具合の
本気で命を賭けない闘いだ


必要最低限、本当に"ヤバい橋を渡る"事だけは避けるのだ!


人間なら自分の命を誰よりも大切に想う、当たり前の感情だ

 此処で彼が逃げたとして誰も咎められないし
むしろ賢明な判断と評価できよう








もしも、此処で彼が逃げてなかったとしよう…








それならば彼は間違いなく…





          "叩きのめされた"だろう…ッッッ!














         ルイージ「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!





英雄兄弟<マリオブラザーズ>の片割れ…ッ!


その闘いはまさしく鬼神の如しッ!!

見てしまえば彼は叩きのめされた…ッ!


そう…決して努力だけでは勝てない…っ! 圧倒的才能…っ!


 英雄達を越えたいッ!そんな彼の夢、目標は粉々になっただろうッ!
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 14:12:38.76 ID:osH3ANs40



  ゲドンコ星人A「ゲーヒャヒャッwwww!」

  ゲドンコ星人B「ζ†ζΘ§ζ――!!」ゲラゲラ

  ゲドンコ星人C「ケケッ!!」ビシッ!



醜いエイリアン共が母星の語源で何かを言い合っている

 一匹は腹を抱えて大笑い、別の円盤から此方を見る奴も
同じように大口開けて嘲笑う

 そして、先程熱線を命中させた奴は恐らく上官と
思われる奴に何か言われてるのだろう…地上からでは見え辛いが
宇宙船内部に居る何者かに敬礼のポーズをしている


だがッ!そんな事はどうだって良い!!!




  ルイージ「ふぅ…いつだって勝てなかったなぁ」スタスタ

  ルイージ「永遠の2番手、日陰者…」スタスタ


  ルイージ「僕だって人間さ、そうだよ"欲望"はあった」スタスタ



  ルイージ「いつか"勝ちたい"、追い抜きたい目標だった」スクッ




  ルイージ「僕も…あの顎長男と同じで勝ちたいって夢があったさ」





  ルイージ「……僕の、いつか乗り越えてゆく真の目標でもあった」スッ




ルイージは上空に見える円盤目掛けてゆっくりと歩み出す手には今拾った
人間の拳程度の大きさの石ころを抱えて…



奴らが何を話そうがどうでも良い…っ!

連中が何を想おうとどうだって良い…っ!


何故ならばッ!



ゲドンコ星人D「ケヒャ?」ユビサシ


ゲドンコ星人「「「イーーーッ!!!」」」ゲラゲラ!



一匹の宇宙人が歩み寄るルイージに気が付き指を射す
多くの同胞がそれを見て大笑いだ

そして一匹が先ほど、マリオの機体を壊した銃口を向けてッ!





           ゲドンコ星人C「キイイィィツ!!!」ガチャ!


359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga!red_res]:2015/12/16(水) 14:16:51.44 ID:osH3ANs40























           ブ ン ッ ッ ッ ッ‼!!





                     ――――ゴスッ!!






















  ゲドンコ星人「「「「ケケケケケケケ!!………ケ ケッ…?」」」」







   ゲドンコ星人C「…ケ、ヒャ?」チラッ













360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 14:34:01.43 ID:osH3ANs40




ゲドンコ星人の宇宙船は地上に居るマリオ等を的確に撃つべく
可能な限りの低空飛行を試みていた






   円盤と地表との距離…高さにしておおよそ20m<メートル>ッッッ!!
           (※約マンション6〜7階建てに相当)







ゲドンコ星人が熱線を放つ事は無かった…

引鉄を引く前に自分の真横を何がすっ飛んできたからだ



渓谷のゴツゴツとした岩肌にもその音が反響するかのようだった

目にもとまらぬ速さですっ飛んできたそれは…











  ゲドンコ星人C「!!!!!キ、キイイイイイイイイ!?!?!?!?!」







彼らの宇宙船に大穴をブチ開けていたのだからなッ!!




高さ20m<メートル>も離れた地表からプロ野球選手が全力のストレートを
ブチ込んだ時と同じ態勢のルイージが宇宙船を睨みつけていた…ッッ!!




ルイージ「…うん、兄さんの【ハンマー ナゲール】だったら
               宇宙船の装甲を余裕で貫通してたなぁ」



開かれたハッチのすぐ横…にデカデカと開いた大穴からは
すぐさま火が噴き出す、その後は…簡単だ




 ゲドンコ星人「「「ΣζΠζΠ△▼Θ!!!!」」」



 制御不能となった機体はすぐさま、煙を巻き上げながらゴツゴツとした
岩肌にぶつかりながら谷底へ滑り落ちていく


煙をあげて墜落していく宇宙船
その様は…かつて【ゲドンコ姫の姉】との最終決戦で
                    見た光景を思い出させる
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 14:48:30.20 ID:osH3ANs40





――――奴らが何を話そうがどうでも良い…っ!



―――――連中が何を想おうとどうだって良い…っ!








――――――――何故ならばッ!









  ルイージ「さて…正直、自分で言うのもなんだけど
                 僕はあんま怒らないタチさ」




  ルイージ「…キミ達が一体どうして蘇っただとか
                  何を考えてるだとか」


  ルイージ「そんなモンはどうだって良いさ…重要な事は、そうだね」
















   ルイージ「キミ達は僕に"もう一度倒される"、ただそれだけだよ」




         ルイージ「掛かって来い…ッ!」






………数分後、数機の宇宙船の残骸とクレーターが渓谷にできたそうだ


362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 15:01:02.15 ID:osH3ANs40
―――――――――
――――――
――――



 ヒュウウウゥゥゥゥ…




 ― ……ッ!! うぉ…、身体…痛い、な… ―




           キョロキョロ…




 ― 俺…どう なったんだ? 死んだのか どこ見ても真っ暗だ ―




  ― 俺は たしか … … っ 頭 が 痛いっ …ぐっ ―





― た しか   空に 変なのが 飛んできて 光が 俺の機体 ―






 ― ……そう、だ  爆発して 俺の身体は 谷底に 落ちて行って―





 ― っ、身体中 あちこち 痛い  …? 『痛い』? ―


 ―痛み を感じる…? まだ 死んでない? ―




   『ヘイ!そろそろ夢から目を覚ましたらどうだい?』


           ―…だ れだ? ―


   『やれやれ…僕達を忘れちゃったのかい?酷いなぁ…
        キミの取り柄は身体の頑丈さだけじゃないだろう?』


      ― 俺 が 知ってる 奴 な、のか?  …


 『そうさ! 僕、いや、僕だけじゃない…
           キミの中に居るたくさんの人さ!』



        ― "俺の中のたくさんの人?" ―




『そうさ……おっと、手は貸さないよ? "自分の力"思い出すんだ!』



 『ずっと忘れられてまんまじゃ僕もフカフカ君も寂しいからね!』



363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/12/16(水) 15:05:41.71 ID:osH3ANs40
********************************


          今回は此処まで!



  いつも保守してくださっている方…ありがとうございます!





あ、それと訂正です…



×『ずっと忘れられてまんまじゃ僕もフカフカ君も寂しいからね!』


○『ずっと忘れられてたまんまじゃ僕もフカフカ君も寂しいからね!』



 『た』が抜けてましたね…

********************************
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/16(水) 15:08:39.55 ID:Vk+6MJjGO
おつおつ
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/16(水) 17:58:05.94 ID:mIFH8V1Y0
なんか上がってたから開いたけどすっげえ引き込まれて一気に読んじまった

アツい展開だなあ、○○ノ出てくるのはずるいわww
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/16(水) 20:42:50.85 ID:gmdHI3T5o
乙乙
ここであいつが出てくるとかもうね
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/17(木) 00:39:44.62 ID:vc+Hd2dvo
乙乙
おいここでそいつを出すの止めろよ、俺が泣く
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/17(木) 14:35:30.91 ID:UxzUFUH6o
なんていう熱い展開……ルイージさんマジかっけえ
乙!
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/17(木) 18:30:10.29 ID:3SPqWuQM0
おつおつ!ここまでルイージがカッコいいSSは珍しい
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/18(金) 08:25:56.18 ID:nPf/nSNA0
また懐かしいキャラが…
ところで作者はマリルイの新作(ペーパーマリオミックス)はプレイしてる?
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 19:55:01.80 ID:Xj8ENF4N0
忘れられてたも何も最近まで黒歴史だった人?じゃないか
372 :名無しNIPPER [sage]:2016/01/06(水) 19:06:24.24 ID:VPM2K+bAO
保守
373 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/13(水) 09:04:03.91 ID:5kflNC4+0
まだかな
374 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/14(木) 21:04:14.82 ID:7tgcFgJw0
楽しみに待ってる
375 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 21:43:16.28 ID:MZthYEMXO
最近またテニスやってるらしいなマリオさん
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/02(火) 21:19:06.85 ID:i6xh4V/70





           声の主は誰かわからない

       懸命に記憶を辿ろうとするも顔が分からない



  頭の中に靄が掛かったようにその"誰か"を思い出す事ができない
















             だけど…





      ― 俺は…お前を知っている…気がする ―







   胸の奥で熱く、何かが込み上げ来る、何かが叫びをあげる




『焦る必要はないさ!キミは…そうだな少し頑張り過ぎただけなんだ』

『たまには落ち着いてよーく周りを見る事だって大切なんだぜ?』





  『だから焦らないで思い出すんだ…キミならできるんだ』







 涙が出そうだった…年甲斐もなく

 いい歳した男が大粒の涙を流しそうになる…


 理由も何も分かりはしない…だが
    思い出してやれない事が無性に悔しく思えた




 遠い昔に忘れてきた大切な何か…


 平和を謳歌する世界の何処かで見失った"落とし物"…




377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/02(火) 21:47:27.85 ID:i6xh4V/70



[もう大丈夫です すみません う〜ん!泣いた後って すっきり!]



           − っ!  −



 靄が掛かった記憶の片隅に一瞬誰かの姿が見えた気がした…

 見慣れた王国で自分が一人の少年と出会っている






 [キミが助けてくれたのかい! ありがとう!助かったよ!]

 [キミの噂は天空まで届いているよ]



 深い森の奥で自分が一本の弓矢を叩き落とし誰かを救っている


   − …あ、あぁ…お、俺は…!!俺は…!! ―






 靄は次々と消え去り…彼は声の主達の顔を思い出していく…っ!










  − お、俺は…   お前たちを 知っているッ! −










 『…フフッ、やっと思い出してくれたのかい?やれやれだよ…』


 『ぼく達だけじゃないですよ…
   もっと もーっとたくさんの人が貴方の中に居るんです!』


 『キミの強さは…人と人との繋がりさ!
   キミが誰かを護ろうとする想い、そして
         皆が心からキミの事を覚えていようとする想い』



 『昔は小さな子供、今は大きくなってもう大人かもしれないよ』


 『けどね…"皆"は大人になった今も子供の頃
    強く憧れたスーパーヒーローを今だって覚えてるんだ』


 『誰かを想うからこそ、逆にキミ自身も誰かに強く想われている…』


 『それこそがキミ自身の"誰かの為に頑張ろう"っていう
              力強い意志の源…そうだろう?』

378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/02(火) 23:59:30.04 ID:i6xh4V/70


『今は大人で、かつて子供だった…そんなたくさんの"誰か"達』



 『キミと一緒に胸躍る大冒険を夢見た子供たちは
     キミの勇姿を決して忘れてなんかいないんだよ』



 − …なのに、俺が忘れてたら、恰好つかないよな…すまん −



 『…さぁ、もう夢から醒める時間だ、行くんだっ!』


 『皆が貴方の帰りを待ってるんですよ!行きましょう!』




 − …! 待ってくれ!!!『−−−』『−−』! −





  記憶の奥に掛かっていた霧は今っ!散り散りになって消えたッ!

 それと同時に声の主は彼の見える所から消えていく…




 ようやく顔を思い出せたのに…



 『うふふ!あの二人だけじゃないわよ!英雄さん!』


           − !! −


 『くすっ!貴方…ちゃんと自分の名前を言えるかしら?』




      − ああ…言えるさ…俺は…っ! −





 マリオ「俺はマリオ…いやッ "スーパーマリオ"なんだ…!」



『…うふっ!安心したわよ?…マリオ、帰り道分かる?
 もしも分からなかったら私が杖で叩いて誘導してあげちゃうわよ♪』



マリオ「…大丈夫だ、昔みたいにバケツを頭から被ってないからな」ニィ



『そっ!安心したわ!なら早く帰りなさい、ルイージ君が一人寂しく
 ゴールで待ってるわよ?』


 真っ暗な世界…見渡す限り闇しかない空間で目の前の人物が
 指し示す方角は光り輝いていていた、そして…


『マリオ!』『マリオさん!』『頑張れ!マリオ』『マリオ、サン!』



 彼の思い出の中に居るたくさんの人が道を切り拓いていく…
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/03(水) 00:21:53.57 ID:Gn+7Kvbl0


一歩、彼は歩み出す


白いグローブをはめた手で帽子の鍔を摘まむように持ち、少しだけ
深く被りなおす



 『たまには会いに来いよ!』
 『僕らのトコに時々で良いから顔を見せなよ!』



二歩目を踏み出す

焦げ茶色の年季の入ったブーツ、すり減った厚底が靴音を鳴らし
彼の身体を光の方へと進ませる



 『マリオサン!もし疲れたらまたバカンスにでも来てくだサイ!』
 『私の所にも遊びに来てよねっ!待ってるんだから!』



ゆったりと歩き出した初歩から少し早めの駆け足気味に

3歩目、4歩目…5歩、6歩、次々とペースを速めていく



 『おーい!オイラ達だっているんだぜ!』
 『ゴンザレス!また闘技場に来い!今度こそ俺が勝ってやるからな』



歩く速度から駆け足に、そして彼は走り出す


何物にも代えることのできない友人達の顔を見渡しながら…


 『アニキ!頑張れよ!』
 『マリオちん!がんばるでしゅ!』


 『マリオ!』
 『マリオさん!』
 『マリオ!!』
 『マリオくん!!』


 誰も彼もがその顔に微笑みを浮かべる


 長らく待ちわびた英雄の帰還を…っ!


 記憶の中の存在である彼等はマリオに次々と激励の言葉を掛け
 腕を伸ばし、勇気を分け与えるかの様に
 ハイタッチをしようとする者も居た


 思い出の彼等に触れる事はできない、その腕は全てすり抜けてしまう


 だが…




     マリオ「ああ、行ってくるさ…っ!」


 決して触れる事は叶わなくとも、"燃え上がるような熱き何か"が
 彼には伝わって来るような気がした




 それが…今は何よりも誇らしかった

380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/03(水) 00:35:20.29 ID:Gn+7Kvbl0
―――
――



【渓谷:奈落の底】



…パチッ




マリオ「……」ムクッ



彼は長い眠りから目を醒まし、ゆっくりと身体を起こす



マリオ「…いっ…あたた…落ちた時に腰を思いっ切り打ったか…?」

マリオ「…歳は取りたくないもんだなぁ…」チラッ




        ヒュウウウウゥゥ…




上を見上げる、光はほんの小さな一点のみ、それほどまでに空は遠く
如何に今居る場所が地上からほど遠い場所かを思い知らされる




マリオ「…ゲドンコ星人か…やれやれ
     なんでこの時代に連中が居るんだか…」フゥ…



自機の爆破で奈落の底へと投げ飛ばされ、高さにして
おおよそ高層ビル15階からの飛び降自殺のようなモノだった

常人なら"腰が痛い"程度で済むレベルでは無い




マリオ「ふぅ…マントや尻尾で空飛んでた時は彼方上空から落下しても
    ビクともしなかったがな…足腰が弱るとコレだもんな」


さも何事でも無いかのように軽い屈伸運動を済ませ、数歩後ずさる




そしてそこから助走をつけて…っ!







  マリオ「…フンッ!」






  彼は…"飛んだ"


  もはや"跳んだ"ではない、"飛んだ"のだ…ッッッ!!

381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/03(水) 00:56:47.50 ID:Gn+7Kvbl0
―――
――


ワルイージ「ひ、ひぃぃぃ…!!!た、たすけてくれぇ!!!」


  ゲドンコ星人「「「ギィィィィ!!!」」」



ワルイージ「ち、ぢぐじょうううう!!なんで俺を追ってくんだよォ」


自慢の【ダッシュキノコ】3つ分相当の加速が可能なエンジンを
フル活用して彼は上空から今も執拗に追い続ける異星人から逃れようと
必死で車体を走らせていた


ワルイージ「クソ!クソ!クソォ!!俺が何したってんだよ!!」


ただカートレースに出てただけなのにこの理不尽なアクシデント
どうこうなる訳でも無いのに叫ばずには居られなかった



ジイィィィ――――ッ! ジュウウウウゥゥ…!


ワルイージ「う、うわぁっ!…あ、あぶねぇ…ッ!」


すぐ真横でアスファルトが煙を発し液状化する…
上空の空飛ぶ円盤から放たれる凶悪な熱線がいつ己の身を焼き滅ぼすか

彼はそれを想像するだけで今にも泣き出してしまいそうだった…


ワルイージ「あぁ!神様でも悪魔でも何でも
           良いから誰か助けてくれぇぃ!!」


マリオ「よっ!ワルイージ、随分困ってそうだな?」シュタッ


ワルイージ「はぁああん!?………っ!?で、でたァ!?」


マリオ「わっ!…っとと、前見て運転しろよ」グラッ


ワルイージ「ま、マリオのお化けがががが…!」ガクガクガク

マリオ「…あー、気持ちは分かるが俺は死んでない
       ほら見ろ、脚だってちゃんとあるだろ?」


ワルイージ「ほ、ほほほ、本当にマリオか!?生きてんのかよォ!?」

マリオ「ああ…壁キックなんて久しぶりにやったよ」


今しがたほぼ垂直な絶壁と言っても差し支えない岩肌を昇り切り
丁度目の前を走ってた彼のマシンへと飛び乗った自慢の剛脚を指さす


マリオ「なぁ、ワルイージ…お前はまだ死にたかないよな?」

ワルイージ「んなモンあたりめーだろボケッ!」



マリオ「…ならこの機体を俺にくれ
     コイツで俺が後ろのアレ潰して来てやるぜ」ニィ

久しく忘れていた闘志が彼の中を血液のように廻っていく…


 最近、テニスやゴルフにパーティばかりで忘れていた彼の生きがい…



         冒険の始まりだ…っ!
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/02/03(水) 01:03:00.31 ID:Gn+7Kvbl0
********************************

          今回は此処まで!



         マリオついに覚醒ッ!!


    プロのロッククライマーでも登れない絶壁を
 平然と壁キックで1分も掛けずに登って来るマリオさんマジ異常


 ※普通の人間なら高層ビル15階程度の高さから落ちたら死にます

  が……しっぽマリオやらマントやら風船やらで普通に
  雲より上ぐらいまで飛んで落下しても死なないのがマリオですね

 なお3D系からはちょっとライフが減る程度で済む模様(即死しない)


********************************
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/03(水) 01:07:16.35 ID:5IVacQhaO
乙!
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/03(水) 04:17:53.01 ID:DrNGF3vFO
乙!

なおスレスレヒップドロップでノーダメの模様
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/03(水) 12:30:26.81 ID:G2hPJW0Io
ついに覚醒きたぁあああ!
この安心感、さすがマリオさん
乙乙
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/04(木) 20:45:38.26 ID:lTMJ4+Rso
乙乙
何この展開激熱なんだけど
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 08:17:01.07 ID:CHlnggGg0
RPGシリーズにも触れてくれて感謝
多くの仲間がいてくれたからこそマリオも頑張れたんだよな…
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/09(火) 23:49:32.43 ID:xyodwzFKO
これは熱い
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/13(土) 17:18:20.00 ID:DTUPfhYT0
うおおおおおおおお更新されてんじゃん!!!!しかも覚醒してんじゃん!!!!!!
その辺のSSとは異質な熱さを持ったこのマリオSSほんとすこ
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 20:12:20.48 ID:/Ebgoglf0
********************************


            生存報告

 投下したいとは思っておりますが少々、故あってで
 時期を見計らっております…

 もうしばし、お待ちください…


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391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/01(火) 20:42:13.61 ID:fYSWiThKO
うい
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/02(水) 16:36:55.35 ID:Lvdp8IGCo
あいさ
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [age]:2016/03/06(日) 12:04:14.00 ID:qawn/Uie0
保守
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/23(水) 10:36:41.48 ID:rsPSgBR70
まだかな
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/06(水) 14:07:17.82 ID:JvXA6bns0
うおおお久しぶりに見たらかなり更新されてる!お疲れ様です!
頑張ってください!
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/12(火) 22:44:05.43 ID:fUC6YaBM0


ワルイージ「ハァ!?俺のマシンを寄越せだとォ!?」

マリオ「ああ、頼む」





ワルイージ「ぐっ…こ、この野郎…こいつは特注製なんだぞ
            滅多糞に金が掛かったってのにィ〜!」

マリオ「金じゃ命は買えないだろう?」ニィ


ワルイージ「そ、そりゃあ、そうだが…」




"金じゃ命は買えない"

 全くのド正論だが、この男がそう言うと何故か
説得力が欠けるように思えるので不思議である
  命知らずの冒険野郎がッ!と彼は内心で悪態を吐いた



ワルイージ「良いかッ!"貸すだけ"だからな!!壊すんじゃねぇぞ!」

マリオ「ああ、十分さ!」




―――
――






ゲドンコ星人D「ギッ?」





一匹の異星人は奇妙なモノを見た

彼等が乗り込んだ機体は未だ"狩り"の真っ最中だった



空想物語によくありがちなシンプルな形状の飛行物体は
依然変わらず高度20m<メートル>を維持、速度は地表を走る自動車に合せる

 航空機特有の翼に掛かる揚力もプロペラも何もあったもんじゃない
現代航空工学を完全に無視したソレに乗り込んでいたパイロット達も
その奇妙なモノに首を傾げた



ゲドンコ星人E「ギギィ?」

ゲドンコ星人F「ウケキャ!!」


 空飛ぶ円盤内部は人間が見れば思わず目を背けたくなるような
毒々しい色合いの電子光で彩られていた


我々、人類が…脳が生理的に嫌悪する、否定したくなるような心理の色

異星人たる彼等には心落ち着くような色合いなのだろうが…


さて、そんな異色な色彩を放つ計器達
【高度計】から【磁気コンパス】…etc、その中で人類が未だ見る事の
叶わないだろう未知の測定器もある

そして…その一つ、テレビ画面のような小さな画面を彼等は凝視する
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/12(火) 23:05:54.33 ID:fUC6YaBM0

 小さな窓枠のような正方形のモニタリング
そこから溢れだす色合いだけは人類にとって救いであり
彼等にとっては"ゲドンコ流のテラフォーミング"したくて堪らない光景


愛すべきこの惑星の景色が映し出されていた…



ゲドンコ星人F「ギィィ?」チラッ

ゲドンコ星人E「!…!ケヒャッ!」


ゲドンコ星人F「!!…キヒャヒャッ」ニタァ



モニターに映し出されたのは母なる大地
そして先程まで彼等が執拗に追い回していた一台の"原始的な乗り物"


技術の発達した彼等から見て、あの乗り物は"原始的"なモノだ
そう結論付け、見下していた

その様を象徴するかのように上空から…!



そうッ!まるで…!無邪気な子供が道端で蟻の巣を見つけ
   "お遊び感覚"で潰してやろうとでも言うかのようにッッ!!





 追い回す円盤とそれに乗り込む仲間達と通信機で話していた
誰が一番にアレを壊せるか遊ぼうぜ、っと…



もう一度言う、彼等は正しく"狩り"の真っ最中だった





"狩り"の対象は車輪を停め、その場に留まった

それを画面越しに見て彼らは仲間の顔を見やり笑った




  『ああ、ついにコイツは観念したんだな』っと






ゲドンコ星人F「キッキッ!」ゲラゲラ

ゲドンコ星人E「キャキャキャ!」ゲラゲラ





ゲドンコ星人たちは高らかに笑い、そして獲物を嗤った
低速飛行ゆえに風圧を物ともせず開いたハッチから顔を覗かせていた
同胞に戻って来いと合図を送り…、そして



 ゲドンコ星人D「キーッ!キキキッ!」

 ゲドンコ星人「「「キキッー!」」」


 絶望し、諦めたのであろう相手を完膚無きまでに蹂躙し尽くしてやる
そう考えた残虐な異星人共はあえて破壊力の高い機体に備え付けらえた
熱線銃の方を使い盛大な花火にしてやろうとコンソールを弄る
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/12(火) 23:18:15.64 ID:fUC6YaBM0














    読者諸氏よッッッ!!!あえてもう一度言おうッッ!!



 彼等、ゲドンコ星人は……まさしく"狩り"の真っ最中だったッ!








  そう…! "狩り"の真っ最中…『だった』…ッ!























           バシュンッ!ジイィィィ――――ッ!


           ギュィイィィィ――――ッ!










―――指先に掛けられた引鉄は引かれた

―――破滅への光は放たれた



―――フットペダルは強く踏みつけられた

―――急停止からの急加速、エンジンの魂は勢いよく燃え始めた




  ―――――光は放たれ、熱線は砂利をガラス状にするほどに焼き
              地表は爆炎と赤黒い煙を天へと昇らせる


破滅への光は放たれた、そして今ッ!
       "彼等"を殲滅せんとする序章の狼煙が上がったのだッ!
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/12(火) 23:59:47.90 ID:fUC6YaBM0

ワルイージ「ぎにゃああああああああああああ!?!?!?」ガクンッ!


【ダッシュキノコ】3つ分相当の超加速に加え背後で起きた爆風を
推力にした常識外れな機動


言葉通り"爆発的な"加速を見せたそれは一気に彼等との距離を稼いだ



元より円盤とワルイージのカートは相当距離を詰められており
遅かれ早かれ、あの状態ではいつ追いつかれてもおかしくなかった

 いくらドライバーの運転テクニックが良かろうと機体性能に差が
有り過ぎるのだ、向こうは障害物もコーナーサイトも無視した
航空機、こっちはそれらを無視できない四輪車









 そこで運転を変わった英雄は特注製のエンジンを最大限に
生かす方法を瞬時に察したのだ

機体性能の特徴を簡潔に言われた彼は考えた

エンジンを意図的に暴走させる急加速も一度使えば暫くの間
クールタイムが必要となる

更に先述の通り、敵は障害物も何も関係なく飛んでくるのだ


このままいけばジリ貧なのは分かり切っていた





だから"一度の加速"で数回分の差を開くことにしたのだッ!




 GYUROOOOOOOOoooooooo―――−!!!!!


どの道追いつかれる程に詰められた距離を逆に利用する

 マリオはワザと機体を停車させ、相手が打ち込んでくる事を狙った
何度も戦い抜いた相手ゆえ諦めた素振りを見せればタチの悪い彼等は
最大火力で殺しにかかって来ると分かっていた


彼等をギリギリの位置まで引きつけ、打ち込んでくる武装の火力による
爆風すらも推進剤の代わりにしてぶっ飛ばすッ!


・停車した事で慢心した敵方は的中させるべく減速する

・宇宙船の主砲を避ける為の急加速で距離を開く

・それに付け加え、背後で起きるであろう爆風でぶっ飛ぶ


通常の【ダッシュキノコ】一回では不可能な距離の取り方が完成である




……当たり前の事だが、ビーム砲は"光の速さ"で跳んでくるのだ
      ちょっとでも加速のタイミングが遅れれば機体は爆散

コンマ0.1秒の遅れも許さない機械のような精密性が必要とされる作業



この赤い帽子の男……ブランクがあるだろうに平然とやってのけた…!

400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/13(水) 00:24:46.09 ID:v3R3vAJc0


ワルイージ「ヒッ、ヒィィィィ!!ばっきゃろォ!!!
       こんなとこでそんなん使ったらァぁぁあああ!!!!」


曲がりくねった道の多い渓谷の車道

ワルイージも逃れる為とはいえ、ほぼ直進しかない場面でしか
加速装置を使用しなかったのだが…






ワルイージ「あばばばばばば!ぶつかるゥゥゥ!?」

マリオ「大丈夫だ、人間この程度じゃ死なんさ!」ギュィィン!!


そう言って更にペダルを踏みしめ速度を上げる命知らず馬鹿



ワルイージは…、今にも失神しそうな彼は薄れゆく意識の中で思った



   ‐ワルイージ『あぁ!神様でも悪魔でも何でも
              良いから誰か助けてくれぇぃ!!』‐



 …確かに神様でも悪魔でも何でも良いから助けろと叫びはしたが

 何故よりによって命知らずな冒険馬鹿野郎に縋ったのか…

 過去に戻れるなら数刻前の自分をぶん殴ってやりたい、と思った

















  マリオ「…すまんな、壊しはせんが傷は付きそうだ
            心配するな、修理費は俺持ちだから、な?」




 申し訳なさそうに言う英雄の言葉が耳から入り

 集中線が見えるような気のする視界が前方に白いガードレール

 そして…その先に広がる青空とゴツゴツの岩肌、谷底の奈落




  ワルイージは思った


 「あっ、オレ、これ死んだわ」



 ズバッ、ベキャッ、ゴシャバキィィィ―――ッ!



 赤い帽子の英は大空を飛ぶ鳥の気持ちになった
 顎長男は目を剥いて精神が大空を飛んでいった
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/13(水) 00:49:08.60 ID:v3R3vAJc0



ゲドンコ星人はその有様を見て硬直した




彼等は残虐非道な宇宙生物である




が、…同時に彼等にも【感情】と呼べるモノはある


指導者の名の元に結託し合い、同胞が倒されれば怒り狂う事もあるし

余りにも強大な敵を前にすれば怯える事も無くは無い




今、彼等が抱いた感情は呆れとも、驚愕とも言えない



四輪車が空を飛んだのだ、しかも…










ダンッ‼! ダダンッ!! ―――ズドンッ!ギャギャギャッ!ギュルッ!


BUROOOOOOOOoooooooo…!!



子供がよく河原で遊ぶ際に水切りと呼ばれる遊びがある

 拾った小石を水面に回転を掛けながら投げる遊びで
小石が遠心力によって如何に遠く、何回飛んでいけるかを競うお遊戯



 ガードレールをぶち破った鉄の塊はそのまま奈落の底から
突き出るように生えたタケノコ岩を踏み台にしてバウンド…




かつて…英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>達が【レインボーロード】で
幾度となく魅せ続けてきた大ジャンプであった…




ズドンッ!と一際大きな音を渓谷中に響かせ、"向こう側"の車道に着地

着地と同時横滑りしながらスピンした機体を何処にもぶつけることなく
平然とした態度でマシンは走り出した




   ゲドンコ星人F「ヽ§ヽΘζ…」



   ――――冗談だろ…おい‥


語源は誰にも理解できないが、恐らくそう言ったのだろうな…


402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/13(水) 01:02:41.59 ID:v3R3vAJc0


マリオ「ふぅ…!いやぁ…!久しぶりにやったなぁ!」ハッハッハ!


マリオ「…あー、やっぱり機体に傷ついちまったか…
     すまんな、…事が終わったらちゃんと修理費は―」クルッ









ワルイージ「」ブクブクブクブク




マリオ「……」


マリオ「……これからはもうちょい安全運転をすべきか…」ポリポリ



口から泡を吹いて気絶している彼を見て
後ろ頭をポリポリとかくマリオ…





  ズドォォォォン!!!




マリオ「むっ!」バッ!



遠くで爆発音、そして黒煙が上がるを見て何事かと身構えた
だが、その正体がなんであるか彼は察した



マリオ「……そうか、あっち側には確かルイージが居たんだったな」


 ズドォォォン!!  ドガシャァァァァン!!  ゴォォォォ…!



岩肌が赤い閃光に照らされ、一瞬、焦げ茶色に見えてる

 鳴り止まない破壊音、上がる黒煙
遠目にチラッと見える火を噴きながらどうにか逃げようとジグザグに
飛行し…あと一歩の所で最終的に地表からすっ飛んできた投石で
撃沈される宇宙船の影


今頃、向こう側はクレーターと残骸だらけなんだろうな…




マリオ「…さて、コイツも此処まで避難させとけば安全だろう」


目を醒ます様子が一向に見受けられない気絶者に背を向け

マリオはサンセット色に染まる向こう側へと歩き出した



彼は…『完全に記憶を取り戻した』のだッ!


403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/13(水) 01:08:51.80 ID:v3R3vAJc0
********************************

          今回は此処まで!





ワルイージ「良いかッ!"貸すだけ"だからな!!壊すんじゃねぇぞ!」

マリオ「ああ、十分さ!」
   (※壊しはしないが、傷は付けないとは言ってない )



 オーバーホールしても走行不可能レベルのスクラップじゃなきゃ
 壊れてはないからな!きっと大丈夫さ!(錯乱)



 ※レインボーロードとか、あの高さからショートカットしても
   車体がイカレないからね……うん…

********************************
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/13(水) 01:10:06.90 ID:2Poj2p/qo
乙!
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/13(水) 01:15:25.32 ID:l4FZZFnJ0
乙です!
マリオSUGEEE!!
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/13(水) 02:08:36.08 ID:OCnYWh/no

さすが俺達のヒーローだよ
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/14(木) 08:19:26.90 ID:xVDYNVm3o
マリオ△!!!

コインじゃ命は買えないね、そうだねww
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/14(木) 21:28:12.40 ID:KrTUzsgl0
コイン100枚で命買ってる奴が何言うかwwwwwwwwwwwwwwww


と思ったけどアレ別のマリオで本人が生き返ってるわけじゃないんだっけ
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/15(金) 08:01:23.50 ID:58x3XI5w0
相変わらずカッコいい…
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/26(火) 13:22:50.64 ID:9erN6hOQ0
キャーマリオさーん!
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 13:55:03.57 ID:dJkPt7Sb0
マリオさんマジヒーロー
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/14(土) 21:12:58.33 ID:bKp5f7ER0
更新はまだですか…?(小声)
久しぶりに見に来たけどやっぱいいぞーこのSS
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/24(火) 00:10:36.22 ID:mwINzNLi0
414 :>>1 [sage saga]:2016/06/12(日) 19:12:06.55 ID:3IW7WhoY0
14日程に…投下…!
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 19:17:10.82 ID:ORaAop1Uo
ういっす
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 21:41:35.59 ID:sy4vpG17o
よっしゃ
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/14(火) 21:55:10.63 ID:lb8LQrIk0


ボコンッ!!


革靴の底が叩き出したのは金属がめり込んだ音

立ち昇るのは黒煙と聴きなれない言語と金切声

天へ昇る悲鳴と煙とは裏腹に地の底へ堕ち征くは歪んだ円盤だ







―――チュドオオオオオオオォォォン!



墜落と同時それらから噴き出していた焔は更に勢いをあげ
終いには機体そのモノが一つの火球と化す



     「ギィィィイイイイイii」「アギィィィャァァaa――」ボジュゥ…



 パチパチと焚き木が出す音のようなソレと金属製の塊が崩れ落ちる音
そしてド派手な爆発音のハーモニーの中に紛れる生き物のような声は
炎に包まれかき消される…




一匹のゲドンコ星人が機体の窓からソレを見て2頭身を震わせる


異星人の目には空を駆ける一人の悪魔…否ッ!死神の姿が目に映るッ!








   ルイージ「ッらああああぁぁぁ!!」メシャァアアアアッッ!





猛々しく咆えた漢はまたひとつ…!またひとつ!と強靭な足腰で
外来の科学技術を鉄屑へと変えていくッ!

鼯鼠<ムササビ>が木から木へと飛び移るように彼は跳ぶのだ


文字通り鉄骨並み…いや、それ以上の規格外骨格と
超人の域である筋力が円盤のウイング部に当たる部分を踏み抜く





…脆い

なんと脆いものか…っ!


それを比喩するならば正しく
『冬の初め頃にできたちっぽけな
 凍った水溜りを長靴の子供がお遊び感覚で踏んで砕く』それに等しい




外宇宙からやって来た金属は薄い氷の膜のようにぶち割られる…


418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/14(火) 22:04:27.37 ID:DhK89hkn0
行進キタ――(゚∀゚)――!!
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/14(火) 22:16:21.24 ID:lb8LQrIk0


"普段、温和な人間ほどキレた時の恐ろしさは破格である"


現代人なら誰しもが一度は小耳に挟むこの思想を説いたの人物は
どのような実体験からそう言い広めたのやら…



頼りない髭、永遠の2番手、気苦労の絶えない凡夫…




前線で戦う彼の姿を見ぬ一般人の率直な感想だ



今の姿を見ればその認識は上書きされるだろう…


次々と鉄屑に変わる宇宙船と業火の渦に悲鳴諸共飲まれ炭化する同胞
窓から空と地獄絵図に変わる地を交互に見て居たゲドンコは…
思わず悲鳴を上げた



…? 何故悲鳴をあげたかって? 理由は至って単純だ…

















           "次は自分達の番だから"









シュタッ! ボコンッッッ




飛来してきた"人間兵器"

直後、安定性抜群の機体が大きく傾き
異常を知らせるアラームのけたたましさが彼等の命運を物語る


幼子を護る揺り籠のような優しい揺れは嵐に遭い転覆寸前の船を…
けたたましさは搭乗員の命のリミットを…

それぞれよく表現していた…



【窓ガラスの向こうに映るルイージ】「…」ギロッ


ゲドンコ星人「キ キィィィィ!!!!!!! ! ! ! ! 」ビクッ


兄を殺された

その感情を持って飛来してきた漢と目が逢った…
異星人はその瞳に確かに鎌を持った髑髏が映るように錯覚する
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/14(火) 23:21:38.43 ID:lb8LQrIk0

ゲドンコ星人の宇宙船は実に頑丈な創りであった

窓ガラスはクッパ軍の【キラー】砲ですら傷一つつかない程の物質で
出来ている…この星の強化硝子なんぞとは強度が段違いだ


彼等の星の光線銃でさえ、防ぎきる



【窓ガラスの向こうに映るルイージ】「…」グググッ!


握り拳を創った白いグローブを彼はこれ見よがしに見せつける
腕を思いっ切り引き延ばし、一発の右ストレートを繰り出す




瞬間ッッッ!拳は音速を超えたッ!!



強化硝子をぶち抜き、金縛りにあったゲドンコの鼻先で
寸止めされた握り拳と割れた硝子の音に搭乗員は一斉に見る




ゆっくりと…



ゆっくりと……



ゆっくりと………っ




ゆっくりと……………ッッッ!




ビデオテープに録画された植物の蕾が花を咲かせるまでを
早送り再生で見せるように…握り拳は開かれる…




――――――――ポゥ…




 パーの状態になった掌中心部に緑色の粒子のような何かが集まる!




 目と鼻の先で開かれた白いグローブ付きの手に集まる美しい緑の輝き

それは…翡翠<ヒスイ>の如し美しさ…彼は畏怖の念を忘れ、思わず見惚れ







          ルイージ「【ファイアボール】」




―――ジュウゥゥゥ!!!!

彼は世を去った
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/14(火) 23:30:22.85 ID:KcJH9wO00
このルイージは間違いなく悪役サイドのミスターLさんやな
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/14(火) 23:48:04.63 ID:lb8LQrIk0



後方へと仰向けになるように倒れ込む姿は実にスローモーションだった


倒れ込む同胞の顔が見え始めて彼等は絶句する


焼け爛れた顔、眼球も唇も2本だけの歯も何もかも…紫色の肌も
こんがりウェルダン状態だ


キノコステーキの芳ばしい香りが船室に漂う




…ドサッ!



1、2回床にバウンドした時彼等は漸く我に返る





何を呆けているのだッッッッ!!!



次は誰の番だ!?次は"自分"なのだぞッッ!!




「「「―――――――――ッッッ!!」」」



恐怖の波は彼等の心のダムを決壊させる

完全に恐慌状態に陥り、反撃も動くことも忘れ竦みあがる


次は誰だ…ッ!

自分なのか…ッ!それとも隣の仲間か!?後ろの仲間なのか!?


緑の悪魔が次に指先を向けるのは"誰"なのか、僅かな寿命と
隙さえあらば逃れられるか、という淡い希望を抱く
彼等の予測はどれでも外れだ






ジュボォォォオオオ!!


生命活動を終え、大の字で倒れた仲間の身体全身が二度目の火球で
完全に燃え上がり炎の塊と化す



ルイージ「たあああああぁぁ―――ッ」ゲシャッッ‼



彼は力の限り右脚を使って緑炎の塊を蹴り飛ばした

燃える塊からゲシャッ!と体内の骨が砕け散る音が聴こえたが
 それはどうでも良い、ボウリング場で
ストライクを取った時のような爽快感…燃える焼死体は
残りのピンを巻き込んで宇宙船内のメインコンピューターに突っ込む


"誰が"…次に死ぬか、ではない、彼等の予測は全て大外れ


正解は"全員"が命を落とす、である
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/15(水) 00:01:02.43 ID:URS8b1vd0



―――チュドオオオオオオオォォォン!



…こうして、また一機、黒煙を上げて墜落していく

墜落の間際に鼯鼠<ムササビ>のように他の機体に飛び移る姿が
また別の誰かの目に止まっていく




―――ドオオオオオオオォォォン!

――――――ドゴシャアアアアァァァン!!


<ギッ! ギィィィ―――!
<アギャアアアアアァァ!!



―――バッグオォォォォン!!

―――――ズガシャァァァン!!



 ズドォォォン!!  ドガシャァァァァン!!  ゴォォォォ…!







渓谷にクレーターと宇宙船の残骸が幾つも積み重なる
大穴が空いた地面、それを埋め尽くし新たな山を築く鋼鉄製のガラクタ





ルイージ「もう終わりかい…?」シュタッ





 ゴゴゴゴゴゴゴ…!


  ドドドドドドド…!






ルイージ「キミ達は僕の兄さん、越えるべき壁を壊した強敵だ」


ルイージ「誰もが認める英雄を倒した強者なんだ」





ルイージ「そんな強敵が"僕如き"に
           あっさり負けるのかい?」ゴゴゴ…!


ルイージ「そんなんじゃあ、僕の気が収まらないよ」ゴゴゴ…!

ルイージ「その程度じゃないだろうッ!
        掛かって来いッッッッ!!!!!!」ゴゴゴ…!




       「…その辺にしとけよ、ルイージ」シュタッ!
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/15(水) 00:02:20.80 ID:URS8b1vd0
********************************


          今回は此処まで!


********************************
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/15(水) 09:25:33.59 ID:BBkh+zXOo
熱いぜ!
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/17(金) 07:35:37.31 ID:5j/FY01gO
>頼りない髭、永遠の2番手、気苦労の絶えない凡夫…
>前線で戦う彼の姿を見ぬ一般人の率直な感想だ
>今の姿を見ればその認識は上書きされるだろう…

ルイージをここまでカッコよく描いた人は数少ない
某オールスターゲームで勝手につけられたあだ名も返上する程の魅力を今の彼からは感じる
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/17(金) 07:43:36.84 ID:teyyXFA3o
今まで気付かなかった魅力的なキャラを知れるのは二次創作の醍醐味だよね
ここのルイージほんと格好良い
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/18(土) 12:30:43.44 ID:H0OQ02RZo
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/18(土) 20:43:09.99 ID:CkYB9Y+Qo
???「ルイージと相思相愛のサラサランドのお姫様の出番はまだ?」
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/18(土) 21:58:09.44 ID:JPHHZOu4o
永遠の二番手ってのは一番手がいなくなれば自分が一番手に慣れるだけの魅力がある人物、って意味だとこのスレで悟った
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 16:13:42.28 ID:dH7C8+Mt0

実際、ルイージは作品次第でマリオ以上に輝くからな
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/10(日) 13:50:22.27 ID:FcV0sexG0
まだかな
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/13(水) 23:13:58.96 ID:5RsXZFxK0
あら^〜更新されてたじゃなーい!
やっぱこのスレ最高だわ 内容の濃さがダンチ
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 16:45:57.93 ID:TxuW8QbDO
しえん
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/04(木) 22:05:57.88 ID:/iiQjsRU0
ほしゅ
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