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忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」
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55 :
以下、新鯖からお送りいたします
[sage]:2013/09/18(水) 08:22:54.53 ID:8KZPzFoxo
続きはまだかね
56 :
1
[sage]:2013/09/18(水) 12:47:53.31 ID:uKAPD8KP0
ごめんなさい、遅れてます。
今夜、投下予定です。
もし立て込んだりして出来なかったら、申し訳ありません。
57 :
1
[sage]:2013/09/18(水) 12:48:20.10 ID:uKAPD8KP0
>>54
ご指摘、ありがとうございます。
58 :
以下、新鯖からお送りいたします
[sage]:2013/09/18(水) 21:22:06.90 ID:A4N7Mrd4o
期待
59 :
以下、新鯖からお送りいたします
[sage]:2013/09/18(水) 22:11:04.66 ID:DoFE31LLo
頑張れ〜
60 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/09/18(水) 23:23:28.22 ID:uKAPD8KP0
――ちょっと昔の話をしてみよう。
そういえば、あの姉妹――おっと――「姉弟」とは、随分と長い付き合いになる。
小学1年生の頃に初めてその子と会った時、まだ小さかった私は目をパチパチとさせたっけ。
「陽子ちゃん、よろしくお願いしますね」
「おう、シノ! よろしくな!」
でも、その時はまだ「ちょっとした」違和感に気付かなくて。
だから、シノと触れ合っていく中で――
まさか、「そういうこと」だとは思わなかったわけで――
きっかけは、渡り廊下。
たしか、4月の中頃だったような気がする。
シノと出会ってから、日がまだまだ浅い頃だ。
「――あれ、陽子ちゃん?」
「よう、シノ」
「どうしたんですか? ここは、お兄さんやお姉さん達のクラスしかありませんよ?」
つまり、上級生のフロアだと言いたいんだろう。
「あー、いやまぁ……なんとなく?」
まあ私は、本当に理由もなくただぶらついていただけ。
だから、寧ろシノがなんでここにいるのか気になった。
「そーいうシノは、どうしてここにいるのさー」
「あ、それは……」
「シノ!」
交わされる会話は、突如途切れる。
シノが、誰かに抱きつかれたせいだ。
その人は、当時は小学3年生だったはずだけど……もうすでに、どこか上級生っぽくもある人だった。
何より、凄く綺麗だった。
「……あれ?」
つい、見惚れてしまっていた。
おっと、油断した。
近くには、そんな美人の顔がある。
61 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/09/18(水) 23:24:03.39 ID:uKAPD8KP0
「こ、こんにちは」
「あら、こんにちは――ねぇ、シノ?」
「なんですか、『お姉ちゃん』?」
なるほど、この人はシノのお姉さんだったのか。
合点した私は、「似てるようで似てない――『姉妹』だなぁ」と心のなかで思う。
……うん、この頃までは知らなかったんだな。
「この子……シノのお友達?」
そんな、美人さんの問いかけに、
「はい! 陽子ちゃんは『ボク』のお友達です!」
世界が、揺れた。
まだまだ小さかった当時の私も、なんだか急に立っている場所がわからなくなった記憶がある。
目の前にいるシノは、短めのおかっぱ頭に、大きな目(ただ、お姉さんと違ってタレ目)。
どこから、どう見ても――
「な、なぁ、シノ?」
「――あっ!」
「あーあ、もしかして……今、バレちゃったの、シノ?」
「……うう」
4月の中頃。
私たちはそうして、後に公然となる秘密の共有者となった――
「……ってわけなんだ」
「なんだか、妙に勇さんに対する評価が高いわね……」
「どうした、綾?」
「な、なんでもないわよっ!」
時は移って、現在。
私と綾は帰り道で、そんな話をしていた。
今頃、シノの家にはカレンが行って――
「それで、どうしてこの話を?」
「いや……たしかまだ、綾に言ってなかったよね、って思って」
「――まぁ、たしかに初耳かもだけど」
そう言うと、綾は居住まいを正して、
「どうして、今?」
「……分かるだろ、綾?」
私は一呼吸置いて、
「アリスに続き、カレンにもシノの『秘密』は明かされるはず」
「それはもう、確定事項でしょうね」
「……だったら、尚更」
「私が、一番信頼する『友達』に、全てを打ち明けときたいって思うじゃん」
「……は、はぁ!?」
そんな風に言うと、何故か目の前の綾が爆発しそうな表情をとる。
爆発しそうな……うん、つまり、とっても赤い顔になる。
62 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/09/18(水) 23:24:37.80 ID:uKAPD8KP0
「な、何をいきなり……」
「いや、たしかにこの話をしても、今更大した変化もないだろうけど」
私は、そこでしっかりと綾を見つめる。
「――それでも」
「まったく、陽子ったら」
少し赤みが引いた顔を、いたずらっぽく緩めて、言う。
「今更私が、あなたやシノから離れるとでも?」
「……まるで、綾に付き合ってきたのが私やシノみたいな言い草だなぁ」
「むっ……」
そうそう、そんな感じがいい。
ちょっと雰囲気が堅くなってきた感じもあったし、少し綾をからかうことで立て直し。
まぁ、そこが私のダメな所でもあるんだろうけれど……ともあれ。
明日から、どうなることやら――
――翌日・集合場所
忍「……おはようございます!」
陽子「おっす、シノ」
綾「お、おはよう、シノ」
綾「そ、それで昨日は……」
アリス「あ、綾! わ、私たち、別に何にもなかったよ!」ブンブン
綾「――え? いや、カレンのことなんだけど……」
アリス「」
陽子「……アリス、何を早とちりしてそうなったんだ?」
アリス「き、聞かないでよぉ」カァァ
忍「はい。アリスは昨日も今日も可愛いですよ」
アリス「……シ、シノー」キラキラ
陽子「――まぁ、この二人はもういいか」
綾「というより」
綾(アリス……実際、シノの「性」について、どう思ってるのかしら?)
綾(――まぁ)
アリス「シノに会えて良かったよー!」ダキッ
忍「アリスー!」ダキッ
綾(……なんともなさそう?)
63 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/09/18(水) 23:25:04.92 ID:uKAPD8KP0
陽子(いや、よく見ろ綾)
綾(な、なによ?)
陽子(――アリスの、手)
綾(……!)
陽子(シノの腰回りに、ちゃんと付いてない)
綾(……あぁ、やっぱりまだ)
カレン「お、オハヨーゴザイマス……!」ハァハァ
綾「あ、カレン」
陽子「おっす」
カレン「……」ドキドキ
陽子「? どした?」
忍「カレンー!」
アリス「シ、シノ!?」ガーン
カレン「……シ、シノ」ビクッ
忍「昨日は、ぐっすり眠れましたか?」
忍「日本の生活に、早く慣れるといいですねー」
アリス「シノ……それ私には、言わなかった台詞」ウルッ
陽子(うわぁ……あれは)
綾(アリス――疲れちゃいそうな性格してるわねぇ)
カレン「……ア、アノ」
忍「さぁ、学校生活二日目です!」
忍「カレンのクラスにも、遊びに行きたいですねぇ」
カレン「シ、シノ……ええと」モジモジ
忍「はい?」
カレン「……」
カレン「い、一回ダケ」
カレン「――ギュッと、シテ?」ポッ
アリス「……!!?」
陽子(うおおお!?)
綾(え、なにこの展開は……!)
64 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/09/18(水) 23:25:31.53 ID:uKAPD8KP0
忍「……」
忍「はい、わかりました」
カレン「……」ドキドキ
忍「――カレン」ギュッ
カレン「!」ビクッ
忍「……さらさらの、金髪」
忍「綺麗ですねぇ……」
カレン「……」
カレン「も、もう、イイ!」バッ
忍「え?」
カレン「……」
カレン「わ、私! さ、先に行きマス!」
忍「ちょ、ちょっとカレン!?」
アリス「……」
アリス(カレンが、シノに……ギュッと)
アリス(シノが、カレンを……ギュッと)
陽子「……なぁ、私はカレンよりむしろ」
綾「アリス――健気な子」
陽子(健気、というより、なんだかなぁ……)
――ちょっと離れて
カレン「……」ハァハァ
カレン「――ド、ドキドキ、しまシタ」
カレン(ま、まさか、異を決してやってみたことがこんなニモ)
カレン(……シノに、抱かれたダケで)
カレン(身体が、ギュンと、火照ッテ)
カレン(――あれで、どうシテ)
カレン「……『Man』なんですカァ」カァァ
65 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/09/18(水) 23:27:03.60 ID:uKAPD8KP0
ここまでです。
トリップつけました。
互いに気持ちを結び合う陽子と綾。
気持ちを結ぼうとして引いたカレン。
さて、二人の英国少女はいかに和風少女と気持ちを結ぶのか……。
というまとめっぽいことを書いても、結果的には赤面するカレンちゃんが書きたかっただけかもしれません。
楽しかったです。
それでは。
66 :
以下、新鯖からお送りいたします
[sage]:2013/09/19(木) 00:06:23.32 ID:biS4mguro
続きはいつ頃?
67 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[sage]:2013/09/19(木) 00:18:59.73 ID:FT9VxJ1h0
>>66
実生活が色々と立て込んできたので……少し、遅れるかもしれません。
68 :
以下、新鯖からお送りいたします
[sage]:2013/09/19(木) 03:23:33.12 ID:hNZ0VpW4o
この雰囲気、いいね!
69 :
以下、新鯖からお送りいたします
[sage]:2013/09/20(金) 01:04:41.78 ID:5ZuumXnmo
続きが早くみたいな
70 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/02(水) 01:39:42.88 ID:bmlU0LP20
――4月下旬。
大宮忍たちが高校に入学して、早1ヶ月が過ぎようとしている。
この間に、アリス・カータレットが忍に会うためにイギリスから来日したり、九条カレンがそんなアリスを追って忍たちと知り合ったり……
と、過ぎた時間の短さに比して、非常に濃い日々を送っていた。
さて、そんな面々の調子はどうだろうか。
大宮忍は、そんな2人の英国少女に会えたことで、頬を緩めることがとても多く非常に満足な毎日である。
アリス・カータレットは、そんな忍と会えてとても嬉しく思う一方で……一抹の想いもまた、抱えていた。
九条カレンは、アリスと同じような想いの感じ方に、彼女よりも敏感であった。
猪熊陽子は、そんな3人(主に忍だが)を心配しつつ、楽しみながら見守っている。
小路綾は、陽子と同様ではあるが、心配の比重が多いように見受けられる。
さて、このようにそれぞれ捉え方は違えど、概ね満足な日常を送っている中で――
「……なぁ、今のって」
「うーん……」
ちょっとした、「予兆」も表れてきていた。
71 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/02(水) 01:40:17.67 ID:bmlU0LP20
――廊下
男子A「……最近は、転校生ブームなのか?」
男子B「なんだ、いきなり。何かの漫画の影響か?」
男子A「何言ってんだ。うちの学校のことに決まってるだろ」
男子B「――あぁ、なるほど」
男子B「うちには、アリス――さん?――がいて」
男子A「別のクラスには、九条さんという人も来たらしい」
男子B「……ああ、時々うちのクラスに来てる」
男子A「そう、あのユニオンジャックのパーカーの――」
男子B「え、あれユニオンジャックとかいうかっこいい名前だったのか?」
男子A「……ほんのちょっとでもいいから、イギリスのことは知っておくべきだろ」
男子B「??」
男子A「でも、こんなにイギリスから転校生が来てると――」
男子B「いいじゃん、外国人と仲良くなれるし」
男子A「単純なヤツだな……まぁ、それでいいんだろうけど――わっ!?」
忍「ひゃっ!?」
ドンッ!
男子A「だ、大丈夫か?」
忍「は、はい。ご、ごめんなさい」アセアセ
男子B「――あぁ、大宮さんか」
忍「えへへ、慌てちゃってました」
男子A「そか。俺は大丈夫だから」
忍「良かったです」
忍「それでは、また」ペコリ
男子B「じゃーなー」
72 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/02(水) 01:40:42.31 ID:bmlU0LP20
男子A「ああ、ビックリした」
男子B「意外と慌てることもあるんだな、あいつ」
男子A「そう……だ、な」ピクッ
男子B「どうした?」
男子A「――俺達って今」
男子B「トイレに行く途中だろ?」
男子A「……大宮さんは、今」
男子B「え、あいつなら教室に戻る途中だろ?」
男子A「――気付かないのか?」チラッ
男子B「えっ……」チラッ
男子B「あっ!」ハッ
『男子トイレ』
二人「」
男子A「ま、まさか、なぁ」
男子B「な、なぁ?」
二人「……」
――教室
陽子「……と、いうわけで」
綾「何が、『と、いうわけで』なのよ」
陽子「わ、分かってるだろ?」
綾「それは、まぁ」
忍「え、お二人とも、どうかしたんですか?」
アリス「ふ、二人とも、ちょっと顔が真剣だよ……」
陽子「――シノ」
忍「は、はい」
綾「中学生の頃のこと、覚えてるわよね?」
忍「……中学生、ですか」
忍「あぁ、アリスの所へ行きましたねぇ」キラキラ
アリス「私が、シノと会った時……!」キラキラ
陽子「じゃ、なくてだな……」ハァ
73 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/02(水) 01:41:24.93 ID:bmlU0LP20
陽子「その――シノの、あの」
綾「身体のこと、でしょ?」
忍「え、私、健康ですよ?」キョトン
アリス「シノ……綾が言いたいのは、そういうことじゃないと思うよ?」
忍「――冗談です」
忍「ええ、覚えてますよ」
陽子「……」
忍「でも、皆さんとても優しかったですし」
忍「いい人たちでしたねぇ……」
綾「シノ……」
陽子「――傍から聞くに」
陽子「シノは、『どっち』なんだと」
綾「そう、言われてることもあるらしいのよ」
忍「そうですかー」
綾「って、随分と軽いのね……」
忍「ええ、だって……」
忍「安心してますから」ニコッ
陽子「安心……?」
アリス「シノ……?」
ガラッ
男子AB「――あ」
忍「あっ!」ガタッ
忍「お二人とも、先程はごめんなさいでした」ペコリ
男子A「い、いや、別になんともなかったし」
男子B「む、むしろ……いや、なんでもない」
忍「それは良かったです!」
男子A「――大宮、さん」
忍「はい?」キョトン
男子B「――応援、するよ」
忍「……!」
忍「ありがとうございます!」ニコッ
74 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/02(水) 01:41:53.46 ID:bmlU0LP20
陽子「……おお」
綾「よ、よくあんな普通に男子と話せるわね」
陽子「いや、そこじゃないよ!」
アリス「シ、シノが……男の子と……」アワワ
陽子「いや、そっちでもないよ!」
忍「ただいまです」
陽子「なんというか」
綾「心配、するまでもなかった、ってことかしら?」
アリス「わ、私は心配だよぉ」ウルッ
陽子「アリス、それは違うんだよ」
陽子「ともあれ、シノ」
陽子「――さっき、トイレに行くと席を立った時、あの二人とすれ違ったんだな?」
忍「はい」
忍「私、慌ててたのでぶつかってしまって……」
陽子「そうか……それで、あの二人は」
綾「『察した』のかしら」
アリス「シノが――その――」
アリス「……私たちと『同じ』じゃない、ことに?」
陽子「――かもな」
忍「それでも」
忍「あのお二人は、分かってくれたようですし」
忍「――大丈夫ですよ、アリス!」ニコニコ
アリス「シ、シノぉ……」ウルウル
75 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/02(水) 01:42:20.67 ID:bmlU0LP20
綾「……ま、大丈夫みたいね」
陽子「まぁ、なんだかんだで中学の時も――」
『いやまぁ、なんというか……面白いこともあるよね』
『いいじゃん、そういうのも!』
『大宮さん、それなのに髪サラサラなんだ……羨ましー』
陽子「――私たちはホント、周りの人に恵まれてるなぁ」
綾「感謝しないとね」
忍「はいっ!」
アリス「……」
アリス(そうだよね――シノは、『違う』んだよね)
アリス(最初、私がシノに会いたかった理由は……)
アリス(今と、なっては――)キュッ
男子A「――あれで、あの容姿で……」
男子B「あの可愛さで、か――凄いな」
男子A「……だよな、うん」
76 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/02(水) 01:44:02.01 ID:bmlU0LP20
ここまでです。
今回はカレンちゃん登場なしでした。次回、出る予定です。
きんモザの世界観なら、優しさで解決することも多いんだろうなー、と。
実際、原先生が最初期案で描いたらどうなっていたのか、非常に気になります。
次回は、赤面率が上昇する……かも。
それでは。
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/02(水) 03:43:27.12 ID:x7VE4nLko
この男子…素質があるな…
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/02(水) 07:37:05.58 ID:aT62C/CCo
乙
79 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/03(木) 09:50:52.07 ID:CWy0c2Sh0
――最近、うちの高校にも「ブーム」が来ているらしい。
さっき、廊下ですれ違った二人の男子も、そんなことを言っていた。
なるほど、彼らのクラスにもまた、イギリスからの転校生がいるらしい。
そして……
「ハァ……」
さっきから、私の近くで溜息を漏らす子も、イギリスからの転校生。
そんな彼女は、どうも朝から様子がおかしい。
「あ、あの……?」
「――」
ムクリ。
あ、身体を起こした。
しかし、こうして改めて見ると、やっぱり日本人とは違う。
サラサラの金髪も、パーカーの着こなし方も……といっても、ハーフらしいけれど。
「お尋ねしても、よろしいデスカ……?」
「はい?」
「May I ask you a question……?」
「うわ、やっぱり英語上手いね」
さて、そんな彼女の「お尋ねしたいこと」とは何なのだろう。
これまでの様子を勘案して、思い浮かぶことといえば――
「……まさか、とは思うんだけど」
「ハイ」
「――『恋煩い』じゃあないよね?」
「!」
まぁ、冗談のつもり。
フツーに考えれば、転校して間もないこの時期に誰かに一目惚れって――どんな漫画やアニメなんだか。
……冗談、だよ?
「……」
「恋煩い……」
「Love sickness……?」
(聞いたことのない英語だ……)
私がこう言うと目の前の彼女は、先ほどとはまた違った意味でおかしくなった。
さっきまでが「静」な不調といえば、今は「動」の不調。
いきなり顔を赤らめて、オロオロするばかりなのだった。
「……あー、なんというか、藪蛇?」
この場合、使い方が正しいのか知らないけど。
「そ、そんなことありまセン!」
あ、いきなりムキになった。
「と、とにかく! た、確かめに行ってきマス!」
と同時に、バタバタと教室を出て行ってしまう始末。
廊下に消えゆく彼女を見て、私も溜息を一つ。
「……ありゃ、重症ね」
80 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/03(木) 09:51:24.70 ID:CWy0c2Sh0
――教室
忍「はぁ……陽に照らされる金髪少女も素敵です」ウットリ
アリス「シ、シノ? 目がちょっと怖いよ?」ビクッ
忍「いえいえー」
アリス「……もぅ」クスッ
陽子「――相変わらずの光景だなぁ」
綾「もう慣れたものね……今までシノは雑誌の女の子に対して呟いてたけど」
陽子「もう直接の対象が近くにいるからな……道理で、蕩け度が増してるわけだ……」
ガラッ
カレン「……」
陽子「あ、カレンだ」
綾「な、何だか、ちょっと様子がおかしいわね」
陽子「……言われてみれば」
カレン「――ヘイ、ヨーコ、アヤヤ!」ニコッ
陽子「あ、笑った」
綾「だから、私は『アヤ』なのに……」
陽子「どうしたんだ?」
カレン「What? なんデスカ?」キョトン
陽子「いや、その――」
綾「さっき、ちょっと表情が硬かったように見えて……」
カレン「心配いりマセン! ダイジョブデス!」エヘヘ
綾「そ、そう?」
陽子「……そ、そっか」
カレン「――ところで」チラッ
忍「この髪も、サラサラですねぇ……」ナデナデ
アリス「く、くすぐったいよぉ……」
忍「アリスは、本当に可愛いです……」
アリス「――シノは、ズルいよ」カァァ
カレン「……」
陽子(あ、表情が)
綾(少しずつ、さっきみたいに……)
81 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/03(木) 09:51:56.88 ID:CWy0c2Sh0
カレン「ヘイ、二人とも」
忍「あ、カレン!」
アリス「カレン、どうしたの?」
カレン「――その」
カレン「私も、髪には自身あるデス」エヘン
アリス「……!」
カレン「シノ、触ってもいいデスよ?」チラチラ
アリス「だ、ダm」
忍「はい! ありがとうございます!」ナデナデ
アリス「」
忍「いやー」
忍「カレンの髪も、サラサラで綺麗ですねぇ……」ウットリ
カレン「……」
カレン(うん、大丈夫デス)
カレン(顔が赤くなってる感じもなく、胸が高鳴ってるわけでもナイ)
カレン(――やっぱり、LoveSicknessなんてありえまセン!)
カレン(そ、そもそも、シノは……私たちとは、ちがッテ)
忍「……んー」ポフッ
カレン「!?」
アリス「!!?」
カレン「……シノ、なにしてるデスカ?」
忍「カレンの髪……香りもいいですねぇ」
アリス「シ、シノが……!」
陽子「髪に顔を埋めて――!」
綾「……」
陽子『綾の髪、なっがいなー、サラサラしてる』
綾『あ、もう、陽子ったら!』
綾「……」ジーッ
陽子「――なにか?」
綾「な、なんでもないわよ!」プイッ
陽子(慣れたとはいえ、時々綾が怖いよ……)
82 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/03(木) 09:52:23.95 ID:CWy0c2Sh0
カレン「シ、シノ……あの、デスね」
忍「……」
カレン「く、くすぐったい、デスし、そ、それに……」
カレン「――うう」
アリス(カレン……顔が真っ赤だ)
アリス(――シノもシノで、いつまでカレンの髪に顔を)
アリス(むぅ……)
忍「――ふぅ、満足です」
忍「ありがとうございます、カレン」
カレン「よ、You are welcome……どういたしまして、デス」
忍「わ、カレン……英語、上手ですねぇ」ニコニコ
カレン「……そ、そんな、コトは」アセアセ
陽子(慣れないことされたせいか、カレンの反応が敏感だな……)
綾(そして、それを見るアリスの健気でいじましい瞳ときたら……)
カレン「……」
カレン「シノ」
忍「はい?」
カレン「――」
カレン「やっぱり、なんでもないデス」
忍「そうですか」
忍「いつでもなんでも、言ってくださいね」
カレン「……」
カレン「そういうとこ、ズルいと思いマス」カァァ
忍「??」
アリス(――カレン)
アリス(まさか……まさか、だよね?)
カレン「――そろそろ、戻りマス」
忍「あ、そうですか。それではまた後で会いましょう!」
カレン「……ハイ」
ガラッ
アリス「……」
アリス(カレンが――カレンが)
アリス(おかしいよぉ……!)ガーン
陽子「――ありゃ、かなり」
綾「ええ、何だかすごかったわね」
83 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/03(木) 09:52:54.18 ID:CWy0c2Sh0
――あ、帰ってきた。
教室に脚を踏み入れた彼女は、なるほどどこか様子がおかしい。
具体的には、さっきよりも顔の赤みは増し、足取りもおぼつかなく、なにより――
「お帰り……ところで、どうしたのその髪?」
彼女の自慢であろう髪の形が、崩れていた。
何故だろう、手入れを欠かすことなどなかっただろうに。
「――このままで、いいデス」
「そう?」
やっぱりよくわからない。
ただ、言えることはありそう。
「どう、九条さん?」
「――何が、デス?」
「Love sickness」
「!」
「実際には、どうだったのかなー、って」
「……」
彼女が教室を去ってから電子辞書で調べた言葉。
それを投げたら、彼女は押し黙ってしまった。
下を見る彼女は、何を思っているんだろう。
私は、追及しないことに決めた。
しかし、まぁ。
(最近の、イギリス人は進んでるのかなぁ……?)
日本では『草食系』なんてのも現れてるのに、彼女ときたら――
(……そういうのじゃ、ありまセン)
(私が、シノに感じてるのは――もっと、そう、もっと別ノ)
(……何か、なんデスが)
84 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/03(木) 09:54:45.66 ID:CWy0c2Sh0
ここまでです。
予告通り、赤面率高めでした。
果たして、カレンがシノに思う所はなんなのでしょうか……自分で書いていても、どう表現すればいいのやら。
読んでくださる方、ありがとうございます。
それでは。
あ、ちなみに、カレンと話している女子生徒は、ほのかちゃん(?)とは別と考えていただいて構いません。
85 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/03(木) 20:00:26.47 ID:MEFF3Bv6o
乙
86 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/08(火) 02:46:34.61 ID:mtQCrED/o
乙です
87 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/09(水) 02:28:53.62 ID:HJLwRldP0
つらつらと書いていたら、とても長くなってしまいました。
ゆっくりと投下していきます。
――人の想いに関わらず、時は過ぎゆく。
いつしかカラッとした陽気はどこかへ行ってしまい、蒸し暑い時期がやって来た。
湿気は多く、紫陽花こそ綺麗であるものの、人々の気分は一様に重くなる――梅雨の到来だ。
とりわけ、梅雨の時期の6月というものは、例外なく学生が最も気落ちする月でもある。
すなわち――
「……あれ、おかしいな。何度見ても、カレンダーに『赤』がないぞ?」
「陽子――いくら見ても『赤』は浮かんでこないわよ……」
こんな時期。
――朝・大宮家
忍「それじゃ、行ってきます!」ガチャッ
アリス「いってきまーす!」
母「はいはい、行ってらっしゃい」
バタン・・・
母「……」
母「二ヶ月、か――」
勇「どうしたの、遠い目しちゃって?」
母「勇……」
母「ううん、ちょっと考えただけ」
母「あの子――忍は、高校生活を充実させられてるのね、って」
勇「それは、まぁ」
勇「――この前、クラスの男の子と何かあったみたいだけど」
母「……え?」ピクッ
勇「もしかして、ね……」
母「……」
88 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/09(水) 02:29:24.04 ID:HJLwRldP0
母「――勇。あの子は、おとk」
勇「ああ、そういえばね。アメリカで同性婚が出来るようになったとか」
勇「今朝、ニュースでやってたよ」
母「……」
母「――ああ」フラッ
母「それは……あの子も幸せになれるのね」
勇「ごめん、ちょっと冗談が過ぎたかも」
母「え?」
勇「ホントは、ただ男の子に……その」
勇「まぁ、そりゃそうなるよね……」
母「――感付かれた、とか?」
勇「という話を、この前シノが楽しそうにしてくれたわ」
母「そう……」ハァ
母「――あの子は、そうね」
母「心配することなんて、ないのね……」
勇「そうそう」
母「……ところで、勇?」
勇「なぁに?」
母「あなた、学校は?」
勇「……」
勇「私、今日は撮影だったような、そんな気がするんだ……」エヘヘ
母「さぁ、早く制服に着替えなさい」
――通学路
忍「……今日も、凄い雨ですねぇ」トコトコ
アリス「そうだねー」トコトコ
アリス「こういう天気だと、髪のお手入れが大変だよ」
忍「アリスはいつも鏡とにらめっこしてますからね」
アリス「……」
アリス(そういえば、シノがそういうことしてるの見たことないような……)
アリス(――あれ? それなのに、シノってこんなに綺麗な髪なの?)
アリス(それに――なにより、シノは)
忍「? どうしたんですか、アリス?」
アリス「……女であることに、自信を無くしちゃいそうだよ」ズーン
忍「??」キョトン
89 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/09(水) 02:30:04.14 ID:HJLwRldP0
――集合場所
綾「おはよう、シノ、アリス」
忍「あっ、綾ちゃん! おはようございます!」
アリス「……おはよう」ズーン
陽子「……おう、おはよー」ズーン
綾「――アリス、随分とブルーね」
忍「陽子ちゃんもです……」
綾「ははぁ、髪の手入れ、と」
アリス「うう……」ハァ
綾「それは、まぁ」
忍「はい?」
綾「――いい、アリス? シノはね、色々と『特別』なの」
綾「いちいち比べると、かなり胸がズシッとなっちゃうわよ……はぁ」タメイキ
アリス「……綾、ありがとう」
忍「私、『特別』なんかじゃないですよー」
綾「でも、まぁ……」
陽子「……な、なんだよ?」
綾「アリスの落ち込みの理由に比べて、陽子ったら子供っぽいのね」クスッ
陽子「う、うっさいなぁ! 私みたいに思ってる、全国の高校生に謝れ!」
綾「開き直り方もまた、なんというか……」
陽子「うう……」
陽子「ど、どうせ、私は手入れなんて殆どしてないよ!」
綾「……」
――もう、陽子ったら、ドライヤーかけて寝ないとダメでしょ?――
――いいって、だって毎朝こうして綾がセットしてくれるし――
綾「――アリね」グッ
陽子「多分、ナシだ」アキレ
忍「そういえば、カレンはまだ――」
カレン「ここにいるデス!」ダキッ
忍「わっ!?」
カレン「シノ、グッドモーニング!」
忍「ぬ、濡れちゃいます……カレン」
アリス「――む」
90 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/09(水) 02:30:38.74 ID:HJLwRldP0
綾「……アリスも気が気じゃないわね」
陽子「はぁ――こんな雨じゃジョギングも出来ない……そして、毎日学校……」ズーン
綾「別の意味で、気もそぞろね……」
陽子「――しかし、カレンも慣れたよなぁ」
綾「? あぁ、シノのこと?」
カレン「シノは本当に髪が綺麗デス……」ナデナデ
忍「さ、触ったらくすぐったいです……」
アリス「もう、カレン! シノの髪が崩れちゃうでしょ!」
陽子「ほら、もう――普通の付き合いだ」
綾「『女子』同士の?」
陽子「……そ、そこは、まぁ」
陽子「ほ、ほら。10人に訊いたら10人が『女の子』って応えると思うぞ?」
綾「……それは、そうだけど」
綾「本当に、慣れたのかしら?」
陽子「? どうして?」
綾「いや、なんとなく……だけど」
――高校付近の道
カレン「ところで、アリス? 髪のセットには何分ホド?」
アリス「カ、カレンこそ」
カレン「――ノーコメントデス」
アリス「ち、ちなみに、シノは今朝は0分だったよ!」
カレン「……Really?」ピクッ
アリス「ホントにホント」
忍「ああ――雨の中に、二人の金髪少女が……」エヘヘ
陽子「なぜ、シノを出して張り合うんだアリス……」
綾「まぁ、言いたくないこともあるわよねー……って」
綾「危ない、みんな!」
全員「!?」
キキーッ
バシャッ!
綾「……あぁ」
陽子「な、なんとか、避けられたな……」
カレン「スピード、出しすぎデス!」
アリス「もう、こんな雨の日なのに……」
91 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/09(水) 02:31:13.10 ID:HJLwRldP0
アリス「シノは大丈……夫……」
アリス「」
陽子「あっ」
綾「あら……」
カレン「……Oh」
忍「――ちょっと、遅かったみたいですね」ポタポタ
忍「あぁ、反射神経が足りませんでした……」ハァ
アリス「シ、シノが……」
陽子「うひゃー、こりゃずぶ濡れだ」
綾「……だ、大丈夫、シノ?」
忍「はい、ちょっと寒いだけです」
忍「でも、服は随分と濡れちゃいましたね……」
アリス「……あ」
アリス(シ、シノ……なんだか)
陽子「色々と、マズい格好だな……」
綾「特に、『女子』にとっては、その」
綾「――透けるっていうことは、なかなかの」
陽子「ああ……薄着の時期ってのが、災いしたな」
アリス(――ま、まともにシノを見れないよぉ)アセアセ
忍「アリスは、大丈夫でしたか?」
アリス「ひゃっ!?」ビクッ
アリス「わ、私は大丈夫だから! シ、シノ、今はダメ!」カァァ
忍「……?」
陽子「――そういえば」
綾「カレンは、どこに……?」
カレン「」
陽子「あ、固まってる」
綾「道理で、さっきから声がなかったわけね……」
カレン「――シ、シノが」
カレン「うう……」カァァ
陽子(さ、さっきまでの積極的なカレンはどこに……?)
綾(ほら、やっぱり慣れたわけじゃなさそう……)
――教室
忍「おはようございます」
女子「あぁ、おはよ……う……」
女子「」
92 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/09(水) 02:31:41.82 ID:HJLwRldP0
陽子「シ、シノ! 呑気に教室に入ってる場合じゃないって!」
綾「と、とにかく! その濡れたのを何とかしないと……」
忍「――あ」
忍「すみません、ちょっとボーッとしちゃってました」ペコッ
陽子「シノ、大丈夫なのか……?」
綾(まさか、さっきので風邪になったんじゃないでしょうね……)
アリス「あ、いた! 先生!」
カレン「……」
アリス「カレン! 固まってないで!」
カレン「――やっぱり、恥ずかしいデス」カァァ
アリス「もう!」
烏丸「あら、どうしたんですか……って!」
烏丸「大変! 大宮さん、その格好は……?」
忍「あ、先生。おはよう、ございます」
烏丸「――しかも、体調まで」
陽子「ああ、カラスちゃん。実は、さっきね……」
烏丸「そう、だったの――」
烏丸「いずれにしてもその格好じゃ危ないわ……とりあえず、更衣室、に」
忍「……?」キョトン
烏丸「――わ、私が見張っておくから、『女性用』の教員の更衣室を使って」
陽子(さすがカラスちゃん、話が分かる)グッ
綾(――けれど)
綾(今更ながら、シノって本当に『女の子』ね……透け具合といい、見えてるものまで)
カレン「あ、あぁ……もう見れまセン!」ブンブン
アリス「カ、カレン! 恥ずかしいのは私も一緒だよ!」アセアセ
綾(――あの二人が慌てるわけね)
陽子(付き合いが長い分、こういうことにも「慣れ」てしまったような気がするのがちょっと怖い……)ハァ
――その頃、教室
女子A「大宮さん、大丈夫かな……」
女子B「相当酷く濡れてたよね……」
女子A「――恥ずかしいだろうな」
女子B「――まったく」
男子A「……それは」
男子B「うーん……どう、なんだろうな?」
93 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/09(水) 02:32:16.48 ID:HJLwRldP0
女子A「? 何いってんの、二人とも?」
女子B「『女の子』は複雑なんだよ?」ジトッ
男子A「わ、悪い。なんでもない」
男子B「……ただ、大宮さんは」
男子AB「……」
女子AB「??」
――保健室
陽子(こうして、なんとかシノの着替えも終わり)
陽子(念の為に熱を測ったら、案の定……)
綾「――シノ、大丈夫?」
忍「うう……いきなりの風邪は、ちょっとキツいかもしれません」ケホケホ
アリス「シ、シノが……」
養護教諭「みんな、もう少しでHRよ?」
陽子「あ、そ、そういえば……そっか」
カレン「――わ、私、残るデス」
綾「カレン?」
陽子「おいおい、授業始まるんだぞ?」
アリス「じゅ、授業には出ないとだよ!」
カレン「……さっき、チラッと教室を覗いタラ」
カレン「一時間目は自習、って黒板二」
陽子「そ、そうなのか」
綾「それなら……」
アリス「……」
アリス「わ、私もっ!」
陽子「アリス、残念だけど私たちは授業!」
綾「それに、今日の宿題、アリス当てられてるでしょ?」
アリス「……うう、そうだったよ」
カレン「先生!」
養護教諭「……しょうがないわねぇ」
養護教諭「でも、我慢して?」
カレン「……!」
94 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/09(水) 02:32:56.04 ID:HJLwRldP0
養護教諭「いい? 大宮さんは風邪なの」
養護教諭「だから、うつっちゃう可能性だってあるのよ?」
カレン「で、でモ……!」
養護教諭「――大宮さん、もしも誰かにうつしたら、悲しむんじゃない?」
カレン「!」
養護教諭「――さ、教室に戻りなさい」
養護教諭「ごめんなさい、なんとかしてあげられたらとは思うのだけど……」
カレン「わかり、マシタ」
アリス「うう、シノー……」
陽子「さ、行くぞアリス」
カレン「……」
綾「失礼します」ペコリ
養護教諭「はい、またね」
――廊下
アリス「……シノ、心配だよぉ」
陽子「大丈夫だって、アリス」
綾「そうよ。シノ、ああ見えて頑丈なんだから」
カレン「……」
陽子「――カレン」
カレン「ハイ?」キョトン
陽子「どうして、残りたいって言ったんだ?」
カレン「……」
カレン「――シノが、心配だったからデス」
綾「……そうよね」
陽子「そう、だよね」
アリス「――カレン」
カレン「さ、帰って自習しないとデス!」
カレン「それでは、お先二!」ダッ
陽子「お、おい!?」
陽子「……一体、なんでいきなり」
綾「――もしかして、ね」
綾(なんとなく、カレンの横顔に理由はあるような気はする)
綾(恥ずかしさの中に、優しさがあるような――うん、まるで)
綾(……まさか、ね)
アリス「……シノ」キュッ
95 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/09(水) 02:34:52.17 ID:HJLwRldP0
ここまでになります。
冒頭に書いたように、とても長くなってしまい、冗長だったかもしれません……。
楽しんでいただけたら幸いです。
カレンの想いは、果たして……?
それでは。
暑かったり寒かったり安定しませんが、体調にお気をつけて。
96 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/09(水) 09:46:37.85 ID:BkoyfOcro
おつ!
こういう雰囲気のきんモザもいい感じ
97 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/09(水) 20:33:24.65 ID:hmSQ3UvGo
待ってました
98 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/10/09(水) 20:52:21.81 ID:5tTW3N5bO
続き楽しみにしてます
99 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/10(木) 00:45:05.75 ID:rnUvGxdEo
乙
100 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/12(土) 02:02:45.40 ID:h1keRCWz0
今回はちょっと短めで。
アリスとシノのお話です。
――二ヶ月。
この期間を長いとみるか短いとみるかは、人それぞれだろう。
しかし今、ここで眠る英国少女にしてみたら、それは長いものだった。
慣れない異国での生活は、本人の考える以上に心理的な負担がかかるものだ。
幸い彼女の場合は、近くに頼れる和風少女が居るから、そうした負担も軽減されているが……。
果たして、彼女が目を覚ます――
――大宮家・忍の部屋
アリス「……ふぁぁ」
アリス(朝、かぁ)
アリス(さ、顔を洗いに――あっ、そうそう)ピタッ
アリス(シノはちゃんと起きてるかなー、っと……)チラッ
101 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/12(土) 02:03:14.04 ID:h1keRCWz0
忍「――あ」
アリス「」
――差し込んだ陽に照らされる、白い肌。
胸部は全く平らだけれど、それが逆に綺麗さを際立たせている。
上半身裸の同居人は、その手をパジャマズボンに伸ばしていた。
そんな隙間から、妙にお洒落な――
アリス(じゃ、なくてっ!)ブンブン
アリス「な、なに、を……」
忍「え、ええと……」
忍「お、おはようございます、アリス」
アリス「――な、何やってるの、シノ!」アセアセ
アリス「あ、朝は私が顔を洗いに行ってる間に着替える、って約束でしょ!?」
忍「……」
忍「ごめんなさい、寝ぼけちゃってたみたいです」
アリス「い、いいから、早く何か着てよぉ……」カァァ
忍「――ところで、アリス」
忍「今日は、こっちがいいですか? それとも……」スッ
アリス(寝ぼけ眼でシノは、私の前に二つの「モノ」を出した)
アリス(それぞれ、セットになっていて、どっちも膨らんでいる)
アリス(それは、多分……)
アリス「――な、何見せてるのぉ!?」ビクッ
忍「――あ」
忍「ご、ごめんなさい」ペコリ
忍「えへへ……」ニコニコ
アリス(だ、ダメ……寝ぼけてるんだ……!)ガーン
アリス「と、とにかく! 私、外に出るから!」
アリス「その間に着替えておくこと! いい!?」
忍「はぁい……」
アリス「――」バタン
102 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/12(土) 02:03:50.99 ID:h1keRCWz0
――廊下
アリス「……はぁぁ」タメイキ
アリス(あ、朝から目に毒だよ……)
アリス(相変わらず、何であんな真っ白で綺麗な肌で――)
アリス(下着もお洒落で……!?)
アリス「じゃ、じゃなくてっ!」ブンブン
アリス「……うう」
勇「朝から何事、アリス?」ガチャッ
アリス「ひゃっ!?」ビクンッ
アリス「あ、い、勇。おはよう」
勇「おはよ。でも、まぁ」
勇「随分と大きな声出してたわねぇ」クスッ
アリス「――ごめんなさい、起こしちゃった?」
勇「ううん、いいのよ」
勇「……やっぱり」
勇「一緒の部屋、大変?」
アリス「そ、それは、その……」
アリス「――今日は、シノが着替えちゃってて」
勇「ほほう……」
勇「で、アリスはシノの裸見ちゃったわけだ」ニヤニヤ
アリス「い、勇! 直接的すぎるよぉ……」
勇「――あの子の肌、凄い綺麗よねぇ」
アリス「……う」
勇「ホント、ヘタすると私より――」
アリス「……私は、シノを見る度に、女としての自信を無くしそうだよぉ」
勇「あら? アリスだって、十分に女よ?」
アリス「そ、そうかなぁ……」
勇「だって、『可愛い』じゃない」
アリス「……」
アリス「――それ、女らしさ?」ジーッ
勇「さ、そろそろご飯食べないと」
アリス「勇……」
勇「あ、そうそう」
勇「シノの下着も見ちゃったんだろうけど……」
勇「あの子のアレ、『女子用』だからね?」
アリス「……」
103 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/12(土) 02:04:27.55 ID:h1keRCWz0
勇「それじゃ、また後でねー」
アリス「……し」
アリス(知ってたよ……)
アリス(だ、だから、こんなに自信を失くしてるわけで……)
アリス(だって、あ、あんなによく似合うものを探すのが難しいのは、なにより「女」である私が――!)
忍「……アリスー?」
アリス「ひゃぁっ!?」ビクンッ
忍「お顔、洗いに行ったのでは?」
アリス「……い、勇に会って」
忍「お姉ちゃん、もう起きてるんですか!」パァァ
忍「それじゃ、朝ごはんです! さ、アリスも行きましょう!」
アリス「う、うん……」
アリス「……」
アリス(胸、どっちを詰めたんだろ?)
アリス(そ、それに、さっきの下着を付けて学校に行く、んだよね?)
アリス(――うう、頭がパンクしそうだよぉ)カァァ
忍「アリス? どうかしましたか?」キョトン
アリス「――シノのせいで」
アリス「身体が妙に熱いよ……」ハァ
忍「もしかして熱ですか!? それは大変です!」
忍「い、今、体温計を……」
アリス「だ、大丈夫だから!」
アリス(というより、シノを見るとどうしてもさっきの姿が思い浮かんで――)
アリス(あぁ、これじゃまるで、私が変態さんみたいじゃない!)アセアセ
忍「……ちょっと、ズレちゃいましたね」
アリス(そ、そういうこともしないでぇ……!)カァァ
104 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/12(土) 02:06:28.81 ID:h1keRCWz0
ここまで。
最近、カレンちゃんに色々な意味で振り回されているアリス中心の話でした。
実際、同性同士の共同生活だけでも大変なのに、それがこうもなってしまえば……
アリスの赤面率は増すばかりですね……。
それでは。
アニメが終わっても、こうしてSSを見てくださる皆様に感謝します。
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/12(土) 02:26:44.16 ID:nZPcvGWdo
このSS本当好き
106 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[sage]:2013/10/13(日) 02:40:47.48 ID:Woe7yKGf0
――梅雨が明けて、少し経つ。
どんよりとした曇り空が、カラッとした晴天に変わった。
学生たちにとって、梅雨明けというものは二重の意味で嬉しいものだ。
一つは、なによりどんよりとした気分が晴れること。
人によっては校庭で遊んだり、中庭で青春を謳歌することだろう。
二つは――
「やっほー! ようやくカレンダーに、『赤』が蘇ったぞー!」
「……陽子、そればっかりね」
と、猪熊陽子が代弁してくれている通りなので、割愛。
「とはいえ、気は抜けないんじゃない?」
「へ? なんのことだ?」
この世の春とばかりにステップを踏む陽子の一方で、綾の声音は冷静だ。
コホンと一息つくと、彼女は陽子の目をしっかりと見つめ、
「――期末試験、近づいてきたわよ……」
「私の春を返せぇー!」
「よ、陽子! い、いきなり近づかないで!」
綾のすぐ近くまで、にじり寄る陽子。後退りしながら、顔を赤らめる綾。
そんな二人の胸中に、芽生えた想いは一つ。
「「勉強、しなきゃ(しましょう)!」」
――昼休み・教室
忍「勉強会、ですか……」
綾「そう」
陽子「さすがに、ちょっと頑張らないとなー」
アリス「……陽子、成績良くなかったの?」
陽子「――ちゅ、中間のことは無かったことに……」
綾「現実から目を逸しちゃ、ダメよ?」
陽子「ぐっ……あ、綾、シビアなやつめ」
忍「わぁ、楽しそうですねぇ」ニコニコ
綾「――た、楽しそう?」
陽子「あー、シノは私以上に、真剣味が足りませんなぁ」
綾「……寧ろ、私はあの点数でここまでのほほんとしていられるシノが、羨ましくすらあるわ」ハァ
忍「?」キョトン
アリス「シ、シノはやれば出来るよっ!」アセアセ
陽子「え? アリスはシノのそんな姿を知ってるのか?」
アリス「……」
アリス「わ、私の『第六感』がそう言ってるの!」キリッ
綾(何故、スピリチュアルに……)
陽子(要は、「シノのことは私が誰よりも知ってる」と……やれやれ)
107 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/13(日) 02:43:29.06 ID:Woe7yKGf0
カレン「アリスッ!」ダキッ
アリス「わっ、カレン!」
カレン「んー、相変わらずちっこいデスねー」
アリス「……カ、カレンは大きくなりすぎ」
カレン「え、それはどーいう意味で、デスか?」
アリス「――い、言いたくないもん」
カレン「height or bust?」
アリス「……No Comment!」カァァ
陽子「いやー、さすが本場の英語は一味違うなぁ……」
綾「聞き取れなかったけど、アリスの表情からなんとなく分かるわね……」
忍「金髪少女の英語……なんて素敵な……!」パァァ
綾「あぁ、シノはどうあっても幸せなのね……」タメイキ
カレン「勉強会、デスか……」
綾「ええ、そうよ」
陽子「そういや、カレンの成績はどうなんだ?」
カレン「私ノ?」
カレン「ウーン……『ソゥソゥ』デスね」
綾「――あぁ、『So So』」
陽子「なんて意味だっけ……」
綾「陽子――あなた、本当に」ハァ
忍「うーん、カレンは『想像』以上に可愛いですねぇ……」
綾(すでにこの子は、一つ突き抜けているわ……!)ビクッ
カレン「私も参加してもいいデスか?」
陽子「勿論!」
綾「Of Course、よ」
アリス「カレンも……」
カレン「? アリス、どうしまシタ?」
アリス「う、ううん、なんでも……」
カレン「シノも来ますよネ?」
アリス「!」ハッ
忍「ええ、勿論です!」
忍「みんなで楽しく勉強しましょう!」
カレン「イエース!」
アリス「……」
108 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/13(日) 02:44:06.40 ID:Woe7yKGf0
陽子(なんだかなぁ……)
綾(傍から見てる分だと、どこか切なくなってくるわね……)
綾(でも、まぁ――)
アリス「もう、カレン! あまりシノに触っちゃダメだよ!」
カレン「アリスも触ればいいんデスよー」
忍「えへへー……」ポワポワ
アリス「……」
アリス「――わ、私は、カレンと違って大人だもん!」
カレン「……その、『大きさ』デ?」
アリス「」
アリス「どこが、かな?」ジッ
カレン「ご想像にお任せしマス!」
アリス「……むぅ」プクッ
陽子(触ってる、と言っても)
綾(カレンはシノの髪ばかりで)
綾(……身体と身体のスキンシップでわけじゃ、ないわね)
陽子(この前の雨の日のこと、まだ引きずってそうだなぁ……)
アリス「わ、私だって、いつか大きく……!」
忍「アリスはそのままで、十分すぎるほど可愛いですよー」
アリス「……」
アリス「シ、シノ……!」ダキッ
忍「アリス!」ダキッ
陽子(と、そんな考えも)
綾(この二人を見るだけで、消えちゃうわね……)
――後日・大宮家
綾「結局」
陽子「みんなの意見をつき合わせた結果」
カレン「シノの家になりマシタね……」
綾「ところで」
綾「私たち、もう少し待たないといけないのかしら?」
陽子「そうだなぁ……」
陽子「『色々』と、大変だろうし――」
カレン「何が、色々なんデス?」
綾「そ、それは……」カァァ
陽子「……」プイッ
カレン「??」
109 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/13(日) 02:44:53.28 ID:Woe7yKGf0
陽子「――なぁ、カレン」
カレン「ハイ?」
陽子「シノの部屋、あまり物色しないでおいた方がいいぞ?」
カレン「物色、デスか」
カレン「ハイ! 大丈夫デス!」
陽子「――それこそ、妙な『詰め物』とか、妙な『下着』とかが……」
カレン「」
綾「ちょ、ちょっと陽子! 言い過ぎよ!」
陽子「綾……カレンにこそ言っておくべきことだろ?」
綾「……そ、それは、そうだけど」
カレン「――ツメモノ」
カレン「――シタギ」
カレン「……」カァァァ
綾(ほら、言わんこっちゃない)
陽子(カレンは一旦スイッチ点くと、長いからなぁ……)
忍「みなさん、お待たせしましたー」
アリス「さ、どうぞ」
陽子「おう、オツカレさん!」
綾「お邪魔します」
カレン「……アリス?」
アリス「? どうしたの、カレン?」
カレン「――部屋の整理、付き合ってたデス?」
アリス「ちょ、ちょっとだけ、ね」
アリス(ちょっと、「踏み込んだ所」はシノ一人に任せちゃったけど……)
カレン「そう、デスか……」
カレン「……」タメイキ
忍「? カレン、どうかしました?」
カレン「――な、なんでもないデス!」ブンブン
カレン「……」カァァ
忍「??」キョトン
アリス「……カレン」
――大宮家・忍の部屋
陽子「さ、バンバン解こう!」
綾「へぇ、やる気満々なのね」
陽子「……今回のテストで成績落としたら」
陽子「なんだか、嫌な予感がして……」
綾「――まぁ、『追試』は嫌よねぇ」
陽子「ぐ、具体的に言わないでくれぇ……」ヘナヘナ
110 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/13(日) 02:45:48.15 ID:Woe7yKGf0
アリス「さ、シノはまず数学だね」
忍「はい」
カレン「いやいや、英語じゃないデス?」
忍「あ、そっちも……」
アリス「カ、カレン! シノは数学の方が悪いんだから、まずは――」
カレン「英語なら、私も教えられるデス。シノの味方になれマス」
忍「あぁ……それは」
アリス「数学!」
カレン「英語デス!」
二人「……」ムーッ
忍「あぁ……見つめ合う二人も可愛いですねぇ……」
陽子「いやぁ、モテるって大変なんだなぁ……」
綾「――」
――たしかに、私は女子からモテるけど――
――モテたって、私にとっては綾だけが!――
綾「なんて、ね」ハァ
陽子「……意味深な溜息つくの、やめようよ」ハァ
忍「……」カキカキ
カレン「シノ。そこは、形容詞だから名詞の前デス」
忍「――あ」
忍「ありがとうございます、カレン」ゴシゴシ
カレン「エヘヘ……」
アリス「――シ、シノ! そこスペルミスだよ!」
忍「あぁ、本当」
忍「ありがとうございます、アリス」
アリス「え、えへへ……」
111 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/13(日) 02:46:13.67 ID:Woe7yKGf0
カレン「――アリス、やりますネ」
アリス「カレンこそ」
アリス「――というより、カレンは別の科目、大丈夫なの?」
カレン「私デスか?」
カレン「今日は、シノのお手伝いに専念しマス!」
アリス「……そっか」
カレン「でも、ちょっと疲れたデス」
アリス「え、ええ!?」
カレン「シノ、ベッド借りてもいいデスか?」
忍「はい、どうぞカレン」
カレン「よっこらせ、ット」ポフッ
カレン「……寝心地いいデス」ウットリ
忍「ありがとうございます」
アリス「じゃ、じゃあ、続きやらないとだね!」
忍「そう、ですねぇ……」
忍「――私も、休みたくなっちゃいました、けど」
アリス「シノ! 集中だよ、集中!」
忍「うう……アリス先生は手厳しいですねぇ」
カレン「……」
カレン(気持ちいいデス……)
カレン(こうして転がってると、疲れが吹き飛んでいっちゃいマス)
カレン(――あ)
カレン(これって……)
カレン「シノの、匂い……?」ピクッ
カレン(……)アセアセ
カレン(――何を動揺してるのデスか)
カレン(友達のベッドなんて、誰でも借りマス)
カレン(あぁ、気持ちいいデス……いい匂いデス……)
カレン(――アレ?)
112 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/13(日) 02:46:51.78 ID:Woe7yKGf0
カレン(どうして、身体が火照ってるデスか……!?)カァァ
陽子「お、おい? なんかこの部屋、ちょっと暑くないか?」
綾「言われてみれば……」
綾「――なんとなく、原因はわかったような気もするけどね」
陽子「ん……ああ、そういう」
カレン(こ、これはただ休んでるダケ)
カレン(そう、だから、こうして熱くなるのはおかしくて、シノがいい匂いだからッテ、それは変わらなくて……)
陽子「シノー、クーラーの温度下げても大丈夫かー?」
忍「はい! 大丈夫ですよ」
綾「カレン……身体中、真赤ね」
――後日・試験返却日
忍「……あ」
アリス「凄いよ、シノ!」
アリス「英語も数学も、中間よりよくなってる!」
忍「ふふ、アリスたちのおかげです!」
アリス「良かったよぉ……」
忍「アリス!」ダキッ
アリス「シノ!」ダキッ
男子A(今までなら、女子同士のスキンシップだからってことで軽く見てたけど)
男子B(今となっては、なぁ……)
女子A「もう、鼻の下伸ばしちゃって……」
女子B「なんか複雑そうな顔してるよね……」
113 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/13(日) 02:47:17.90 ID:Woe7yKGf0
陽子「見ろ、綾!」
綾「あら、結構良くなってるわね……」
陽子「これで――これで、夏は自由だ!」
綾「そうね、これで夏休みが無事にやってくることになるわね」
綾「――カレンは、どうだったのかしら?」
陽子「ん、カレンか……」
陽子「――なんとなく、予想付くような気がするのは私だけかな?」
綾「安心して、陽子。多分、私も同じ――」
――別クラス
カレン「……」ズーン
女子A「あ、ねぇ九条さん」
カレン「……」
女子A「ちょっと見せっこしない?」
カレン「――ン」
カレン「いいデスよ」
女子A「わーい……って」
女子A「ご、ごめんなさい」
カレン「イエ……」
女子A(九条さん……道理で、沈んちゃってるわけだ)
女子A(うう、うかつだったなぁ……バカ、私のバカ!)
カレン「……」
カレン(誰にも、言えマセン)
カレン(それこそ、アリスにダッテ)
カレン(……)
カレン(テストの間ずっと、シノの匂いが忘れられなかった、なんて)
カレン(そんな「匂い」が、やっぱりアリスのものとはチガって、余計に強く記憶に残っちゃった、ナンテ)
カレン(……テストの結果は、どうでもイイデスが)
カレン「……シノ」ボソッ
カレン(忘れられマセン……!)カァァ
114 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/13(日) 02:49:11.67 ID:Woe7yKGf0
ここまでになります。
今回はカレンちゃんメイン? でしたでしょうか。
本SSに限り、カレンちゃんの赤面率の高さはメーターを振り切れてると思います。
しかし書いてると、どうもパターンが固定化されてきた感があります。
このままマンネリ一直線にならなようにしないとですね。
それでは。
いつもありがとうございます。
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/13(日) 05:09:40.23 ID:D2AtKWFVo
やっぱいいねこれ
116 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/20(日) 01:59:16.16 ID:p7aBFeQ/0
お待たせしました。投下します。
今回は、本編の前座に当たります。
117 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/20(日) 01:59:57.40 ID:p7aBFeQ/0
――鐘の音が鳴り響く。
はたと気が付き、早乙女教師は一旦、話を区切った。
眼前に座る生徒たちの瞳が、鮮やかな光を灯したことをありありと感じ取ったからだ。
コホンと、一息。
そして、生徒たちの方へ、自分も満面の笑みを浮かべながら、告げる。
「……皆さん! 夏休みの始まりです!」
「うおおお!」
その瞬間、教室は確かに揺れた。
夏休み。この言葉を聞いて、浮足立たない生徒はいない。
「羽目を外しすぎないよう、楽しんで下さいね」
と言い、一礼の後、早乙女教師は教室を静かに出て行った。
――テクテク。
廊下を歩きながら、可愛い教え子たちの嬉しそうな表情を思い出し、笑みが漏れた。
と、同時に。
「……私も、昔はあんな感じだったなぁ」
愛しくもあり、切なくもあり――
118 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/20(日) 02:01:54.61 ID:p7aBFeQ/0
――未だざわめく教室
陽子「よっしゃ! 夏休みだ!」ガッツポーズ
綾「ある意味、一番ノリがいいのは早乙女先生だったわね……」
忍「ふふ、烏丸先生は可愛いですから」ニコニコ
アリス「――夏休み、かぁ」
カレン「Hey!」ガラッ
陽子「おっ、カレン!」
綾「なんとまあ、分かりやすいテンションの高さね」
忍「カレンー」ホワホワ
アリス「……あれ? カレン、その手に持ってるのって」
カレン「ハイ!」スッ
陽子「おお……これは」
綾「海、かしら?」
カレン「そうデス!」
カレン「この前、ハワイへ行った時、撮ってきた写真デス」フンス
アリス「うわあ、カレン楽しそう……」
忍「――金髪少女の、水着姿」パァァ
アリス「……むぅ」
アリス(よくよく見てみると)
アリス(カレンのスタイルは、いい)
アリス(ちゃんと胸もあるし、もちろん腰回りだって細い)
アリス(――シノは、「どっち」なんだろう?)チラッ
アリス「ねぇ、シノ? 私が水着を着たら……」
忍「アリスの水着、ですか?」
忍「――すごく、可愛いと思います!」ニコニコ
アリス「そうじゃなくてぇ……」
アリス(でも、何だか恥ずかしい質問だから、置いとこうかな……)
119 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/20(日) 02:04:02.21 ID:p7aBFeQ/0
カレン「シノは、大きいのと小さいの、どっちが好きデス?」
アリス(って、カレンー!?)アセアセ
忍「私、ですか……」
忍「――そうですね」
忍「どっちにも、どっちの良さがある、と思います!」ニコニコ
カレン「シノは優しいデス!」ニコニコ
忍(正直な話、金髪少女の水着姿というだけで、胸が高鳴ってしょうがありません……!)ハァハァ
カレン「……」ジーッ
アリス「……カレン、どうして私をそんなに見てるの?」
カレン「これからデース!」グッ
アリス「むぅ……」
陽子「はは、あの3人も相変わらずだなぁ……」
陽子「カレンもかなり慣れてきたみたいだし――って、おい? 綾?」
綾「……」
綾「私、カレンより高いわよね?」
陽子「身長? そりゃ、そうだろ」
綾「……ない、これはないわ」ワナワナ
陽子「あ、綾?」
綾「――はぁ」タメイキ
カレン「どうしたデスか、アヤヤ?」
綾「……」ジーッ
カレン「Oh?」
綾「――はぁ」
カレン「……アァ」ポンッ
カレン「アヤヤ! バストを気にすることありまセン!」グッ
綾「……とは、言ってもねぇ」チラッ
陽子「ん?」ピクッ
綾「――近くでいつも見せつけられてれば、嫌にもなってくるわね」
陽子「わ、私のせいなのか!?」ガーン
120 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/20(日) 02:05:38.26 ID:p7aBFeQ/0
カレン「と、いうワケデ」
カレン「今年の夏休みは、海へ行きまセンカ?」
陽子「海、海か……いいなぁ!」
忍「気持よさそうですねぇ……」パァァ
アリス「海……」ズーン
綾「海……」ズーン
カレン「――なにやら、二人は行きたくなさそうデス?」
陽子「ああ、理由は多分……」
忍「二人とも! 気にしなくても、楽しいですよ!」
二人「フォローになってない(よぉ)!」ガバッ
カレン「海がイヤなら……ホット・スプリング!」
アリス「温泉……?」
綾「また、妙な所をついてきたわね……」
陽子「温泉か――夏の温泉もいいかもなぁ」
忍「――温泉、ですか」
カレン「日本の温泉は、かなりイイと聞きマス!」
カレン「そこに行くことは、とても魅力あるデス!」キラキラ
綾「温泉、ねぇ……」
陽子「たしかに『いい』とはいえ、なぁ……」
アリス「温泉、良さそうだけど……二人とも、なんだか煮え切らないね?」
二人「いや、なんて言ったって……」チラッ
アリス「――!」ハッ
121 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/20(日) 02:07:48.84 ID:p7aBFeQ/0
忍「皆さんが温泉に行くのなら」
忍「私は、温泉の外でお待ちしてますね」
忍「ご一緒できないのが残念ですが……」
アリス「ご、ごめん、シノー!」ダキッ
忍「ア、アリス?」パチクリ
アリス「気づけなかったよ……」グスッ
アリス「うう、一番近くにいたのに……」
忍「――いいんですよ、アリス」ギュッ
アリス「シノぉ……」ギュッ
陽子「――アリスも、まだ甘いな」
綾「まぁ、シノも楽しそうだし――カレン?」
カレン「……」
カレン「――配慮が足りなかったデス」ズーン
陽子「ま、まぁまぁ、そう気にしないでって」
綾「シノなら大丈夫よ。あの子、昔からああいう優しい子だから」
カレン「――デモ」
カレン(アリスをからかってる時とは、チガウ)
カレン(シノがちょっとでも落ち込んだと思ったら、感じてしまうこのカンカク……)
カレン(――ムゥ)キュッ
忍「それなら!」ポンッ
忍「お泊り会はどうでしょう?」
アリス「お泊り会……?」
陽子「あぁ、休みの定番だな!」
綾「でも、誰の家に……?」
カレン「ウーン……私の家は厳しいかもしれまセン」
陽子「そっか」
カレン「ハイ」
カレン「7月から8月には、パパと仕事の付き合いがある人とのパーティーがありマス」
カレン「その準備も大変だから、私の家は無理みたいデス……」
綾「そ、そう、なの……」
陽子(なんて、お嬢様だ……!)
122 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/20(日) 02:08:59.77 ID:p7aBFeQ/0
綾「陽子は?」
陽子「あぁ、うちは――弟や妹がうるさいだろうし」
陽子「ちょっと厳しいかもだな……綾は?」
綾「わ、私は、その……」
綾「へ、部屋の整理が大変だから――」アセアセ
陽子「へぇ、意外だな。綾って、整理好きだと思ってた」
綾「ま、まぁ、ちょっとね……」
綾(家に沢山の人を呼ぶことが恥ずかしい、だなんて言えないわよね……)ハァ
陽子「と、なると」
綾「流れ的に……」
忍「私の家なら大歓迎です!」ニコニコ
アリス「いいの? イサミやママに許可をとらなくて……?」
忍「二人ならすぐに納得してくれます!」
アリス「シノがそう言うなら……」
陽子「それじゃ、シノの家で!」
綾「お泊り会か……なんか新鮮でいいわね」
カレン「……シノの家、デスカ」ボソッ
綾「カレン?」
カレン「い、いや! なんでもないデス!」ビクッ
カレン「楽しみデス」ニコニコ
綾「……」
123 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/20(日) 02:10:04.35 ID:p7aBFeQ/0
綾(カレン、大丈夫かしら……?)
陽子(確実に慣れてきたとはいえ、時々シノがからむと、一気に変わるからなぁ……)
綾(まぁ、カレンにとっても大きな一歩になるでしょ……)
陽子(そうだな――大丈夫だよな、うん)コクコク
アリス「……シノの家で、お泊り会」
アリス(シノの家に、人が沢山来る……)
アリス(なんだろう――ちょっと、胸がチクリとするよ)キュッ
アリス(……なんでだろ?)キョトン
忍「? どうしました、アリス?」
アリス「!」ビクッ
アリス「な、なんでもないよぉ!」カァァ
忍「??」
カレン「……」
カレン「楽しみ、デス」ボソッ
カレン「――」キュッ
124 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/10/20(日) 02:12:22.79 ID:p7aBFeQ/0
ここまでになります。
お泊り会という本編の前座でした。
さて、それぞれがそれぞれの想いを抱えて、いざ大宮家へ。
次回の構想はある程度できていますので、早めに投下できるかと。
ただ、予期せぬ仕事がある可能性もありますが……
それでは。
読んでて楽しい、という反応は非常に励みになります。自分も書いてて楽しいので。
ありがとうございます。
125 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/20(日) 02:13:39.87 ID:rR1+m8+Co
乙
雰囲気好きよー
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/10/20(日) 04:09:55.43 ID:djHGA43qo
キャラの個性が出てていい感じ
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/20(日) 21:12:12.33 ID:zT2wNpmuo
まともなきんモザSSは非常にレア
128 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[sage saga]:2013/10/24(木) 00:46:59.38 ID:e87dEvRw0
ごめんなさい……ミスでした。
☓早乙女→○烏丸
誰だ、早乙女さんとやらは……
投下まで、もうしばらくお待ちください。
129 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/10/24(木) 11:21:51.94 ID:6013g+HGo
私待つわ
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2013/10/28(月) 15:11:40.16 ID:CJ0CmO9q0
週末更新なかったか…期待してまーつーわ
131 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:29:20.54 ID:g6trURcC0
――シノの家に、泊マル。
イギリスにいた頃、私とアリスは姉妹のようなものでシタ。
同じ本を読み、同じ遊びをして、同じベッドで寝ることモ……。
そうデス、考えてみれば当然デス。
私たちは、「友達」だったのですカラ。
だから、今回だって同じことデス。
ハイスクールで出来た友達の家に、泊マル。
それだけのコト――
「……なのに、どうシテ」
私は、こんなにも落ち着かないのデショウ?
ケータイを開いて確認してみれば、日付は夏休みに入ったばかりということを示してマス。
そして、明日ハ――
「――モヤモヤしマス」
――と。
そんな一人の英国少女を例外として、他の面々は特に変わりなく明日を楽しみにしていた。
「いやー、シノの家に泊まるの久しぶりだなー!」
と、ある少女は浮き足立っており、
「……お泊り、か。なんだか、『友達』って感じ」
と、友達の大切さを噛み締めている少女もいて――
「シノの家で、お泊り会……」
おっと、この英国少女もまた例外のようで――
――当日・大宮家前
陽子「……なんだか、久しぶりに来たような」
綾「まあ、4月の頃は、主にシノ関係でゴタゴタがあったしね……」
カレン「……ゴタゴタ」ハッ
陽子「ん? どした、カレン?」
カレン「あ、ああ、いや、ソノ!」アセアセ
カレン「……No Problem、デス」カァァ
綾(いや、その頬の赤みは『問題なし』じゃないわ……)
132 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:31:24.40 ID:g6trURcC0
カレン「思エバ」
カレン「あの時、シノの部屋に正体サレテ」
カレン「……それ、カラ」
カレン「……」カァァ
綾「もう。陽子がおかしなこと言うから、カレンがおかしくなっちゃったじゃない」
陽子「私のせいじゃないよな!? さっきまでの会話見なおしてみろ!」
綾「……」
――陽子との会話といえば、初めて会った時のことは未だに……――
綾「陽子が悪い」プイッ
陽子「どうして、頬を染めるんだろうな……?」
忍「皆さん、おまたせしました」ガチャッ
アリス「……」カァァ
陽子「おおー、お疲れさん!」
綾(アリスのあの顔――整理、手伝わされたのね)
カレン「? アリス、顔が『茹でダコ』みたいデス?」
綾(こっちの英国少女は、日本文化にちゃっかり馴染んできてるし……)
アリス「……そ、それは、その」
忍「アリスは、私の部屋の整理をしてくれてたんです」
忍「あと、洗濯なども――」
アリス「も、もうその話は止めてぇ……」ブンブン
忍「どうしてですか、アリス?」
アリス「……」カァァ
アリス(言えっこない)
アリス(洗濯を畳んでいる時に、シノの下着と私の下着を比べて)
アリス(溜息をついていた所を、ニヤニヤしたイサミに見られたことなんてぇ……!)
勇「いやー、アリスのもアリスので、味があると思うよ?」
アリス「そうは言っても、シノのアレはどう考えてもその辺の女子のレベルを超え……て?」
アリス「」
忍「あ、お姉ちゃん」
勇「やっほー、みんな」
陽子「イサ姉!」
綾「お、お邪魔します!」
カレン「……イサミ」
133 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:32:07.89 ID:g6trURcC0
アリス「……」
勇「さ、みんな入って入って」
勇「いやー、この子たちったら昨日から張り切っちゃって」
勇「シノが服の整理する横で、アリスったらもう――」
アリス「イ、イサミ!」アセアセ
陽子(――相変わらず、イサ姉には誰も敵いそうにないな)
綾(アリス……姉妹二人に弄られてれば、あんなに敏感な反応になるわけね……)
カレン「……」カァァ
カレン「アリス? 顔、赤いデスよ?」キョトン
アリス「あ、カレン……もう、困っちゃうよ」
アリス「全く、シノもイサミも、まった、く……」
アリス「――あ」
カレン「どうしたデス?」
アリス「う、ううん、なんでもないよ」
カレン「そうデスか?」
カレン「とにかく、あまり顔を赤くするのは身体によくないデス! 注意しまショウ!」
アリス「……カレン」
アリス「――行っちゃった」
アリス「……」
アリス(まさか、気づいてない?)
アリス(カレンの顔――ううん、あれはきっと暑さのせいだ)
アリス(そうでないと、あの、カレンが――)
アリス(あんな、どこまでも女の子らしい表情をするわけが、ないもん)キュッ
――忍の部屋
忍「さ、どうぞ皆さん」
陽子「うわっ、整った部屋だなぁ……」
綾「陽子の部屋は――」
陽子「うー……お、弟とか妹とかがだな」
綾「なんだ、言い訳ね……」
陽子「ドライな反応!」
カレン「ヘェ……」
カレン「私の部屋もこれくらい整えたいものデス」
アリス「カレンって、そんなに散らかすタイプだっけ?」
カレン「――最近は、チョット」
アリス「?」
134 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:32:46.89 ID:g6trURcC0
忍「でも、ほとんどはアリスのおかげでもあるんですよ」
忍「顔を赤くしながら掃除をしてくれる金髪少女……」パァァ
陽子(うーん……やっぱり、安定のシノだな)
綾(というより、当然のようにアリスが『顔を赤くしたワケ』とかはスルーされるのね……)
アリス「シノがどうかした?」
カレン「!」
カレン「い、いや、なんでもないデス!」
アリス「そう……?」
カレン(――どうして、私はこうなのでショウカ?)
カレン(どうも、昨日からおかしいデス……)
カレン(シノが気になる、のはたしかとはイエ)
カレン(だからといって、部屋の掃除を疎かにする、ナンテ……)
アリス(カレンはこう見えて、意外としっかりする所はしっかりしてる)
アリス(そんなカレンが、部屋を散らかしちゃう、なんて……?)
アリス(それに、さっきの視線――あれは、シノに向けられていた、よね?)
アリス(……どういう、ことなんだろ?)
陽子「……おい、シノ。非常に言い難いんだけど」
忍「え? どうかしましたか、陽子ちゃん?」
陽子「――これ」スッ
忍「あっ……」
綾「も、もう、シノ! なんでこういうモノを出したままにしちゃうのっ!」
忍「ご、ごめんなさい!」
忍「――ちょっと、最近フィット感が薄くなってきて」
綾「か、解説しなくていいからっ!」カァァ
陽子「うーむ……」ジーッ
陽子(こうして見てみると、シノは本当にバランス考えるんだな……)
陽子(特に、こう――自分の身体つきと胸のバランス、みたいなものを……)
綾「って、なに陽子も真面目に見てるのよ!」
陽子「……いやー、つい興味本位で」
綾「もうっ……」プイッ
135 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:33:34.71 ID:g6trURcC0
アリス「――あぁ」
アリス(何度間近で見ても、やっぱり慣れないよぉ……)
カレン「……シノ、の、モノ」
アリス(カレン……)
カレン「――アリス、顔真赤デース」
アリス「……カレン」
カレン「わ、私! ちょっとお手洗い借りたいデス!」」
忍「はい、どうぞカレン」
カレン「サンクス!」
アリス「……」
アリス(言えそうにない)
アリス(「それは、今のカレンにだけは言われたくないよ」なんて……)
――大宮家・リビング
それから、しばらく時間が経った。
その間も、主にシノの「道具」に関わるすったもんだがあったり、それに伴って各人の表情も変化した。
とりわけ、二人の英国少女。
彼女らは、その変化に何を感じただろうか――
アリス「……ふぅ」
忍「お腹いっぱいですねぇ……」
陽子「美味しかったな、シノのお母さんの料理」
綾「……陽子は、あれじゃ足りなかったんじゃない?」クスッ
陽子「なっ、綾! 私はそんな大食いキャラじゃあ――」
忍母「あらあら、陽子ちゃんはよく食べる子よ?」
陽子「」
陽子「お、おばさん……もう」カァァ
勇「もう、お母さんったら。陽子ちゃんの赤面はレアなのよ?」
忍母「あらあら、ごめんなさい」
綾「……」
綾(陽子って、あんな風に顔を赤らめるんだ……)
綾(――ちょっと、得しちゃった)
陽子「……おい、なんだ綾? その目は?」
綾「なーんでも?」ニコニコ
陽子「……」ハァ
136 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:34:14.31 ID:g6trURcC0
カレン「……I'm Full! 満腹デース」
アリス「カレン、よく食べてたね」
カレン「アリスももっと食べないと、色々大きくなれマセンヨ?」
アリス「……『色々』って?」
カレン「想像次第、デース!」
アリス「――昔は、私のほうがお姉さんだったんだよ?」ジトッ
カレン「それで、今ハ?」
アリス「……カレンの、いじわる」プイッ
カレン「アリス、可愛いデス」ナデナデ
カレン「……」
――夕食が終わり
しばらく、談笑の時間があった。
テレビを点けて、適当にチャンネルを切り替えていたら
高校生の女子グループが音楽をやっているアニメに遭遇し、ついつい見入ってしまったり。
話し合いの結果、シノが一番先に入浴すると決まると、二人の英国少女が揃って顔を赤らめたり。
そんな、楽しい時間はあっという間に過ぎてゆき――
忍「それじゃ、そろそろ寝ましょうか?」
陽子「えー、まだ早くないか?」
綾「陽子はだらしないわね……早寝早起きは生活の基本よ?」
陽子「うーん……たしかに、『寝る子は育つ』って言うしなぁ」
綾「……」ジッ
綾(寝る子は育つ、ね)
綾(それじゃ夜が遅い陽子の、色々な所のその『成長』は)
綾(なんなのかしらね……)
陽子(綾の視線が重い、重いぞ……!)
カレン「……そう、いえバ」
カレン「寝る場所は、決めたデス?」
忍「あっ、そういえば……」
忍「アリスは、いつも通りで大丈夫でしょうけど……」
陽子「それじゃ、私は一階に布団でも敷いて……」
137 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:35:26.92 ID:g6trURcC0
綾「――」
綾「そ、それじゃあ私も、陽子と一緒に……」
勇「ちょっといい、二人とも?」
陽子「わっ、イサ姉!?」ビクッ
綾「ど、どうしました?」ビクッ
勇「――うちの部屋、空いてるわよ?」
綾「……!」
陽子「おー、いいなぁ、イサ姉の部屋!」
陽子「それじゃ、行こうか!」
勇「陽子ちゃんははっきりしてて良いわね……」
綾「……あ、あの」
綾「その……」モジモジ
勇「――綾ちゃんも大歓迎よ?」
綾「――あ」
綾「ありがとう、ござい、ます……」
勇「ふふっ」ニコッ
陽子(あちゃー……綾は相変わらずだなぁ)
陽子(まぁ、慣れない相手とは会話が成立しなかった頃に比べたら、ずっと進歩してるか……)
綾「――陽子」キュッ
陽子「うわっ!?」
綾「一緒に、行くわよ……?」モジモジ
陽子「あ、当たり前だろ!」
陽子(こりゃ、守ってやらないとだなぁ……)
忍「それじゃあ、私の部屋にはアリスと――」
カレン「……」モジモジ
忍「カレンも、どうぞ!」ニコニコ
カレン「――私、モ」
カレン「シノの、部屋二……?」
忍「はいっ! 是非!」
アリス「カレン、スペースは大丈夫だよ」
カレン「……」
カレン(落ち着くデス、私)
カレン(何もおかしいことはありマセン。ただ、友達の部屋にお泊りするだけデス)
カレン(アリスだっているじゃないデスカ)
カレン(――シノ)
忍「どうかしましたか、カレン?」
カレン「い、いえ! なんでもない、デス……」
カレン「……」
アリス(――カレン)
138 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:36:03.49 ID:g6trURcC0
――勇の部屋
勇「よいしょ、っと」
勇「二人の布団、この辺でいいかしら?」
陽子「ありがと、イサ姉!」
勇「ふふ、ありがとう陽子ちゃん」
綾「……」
綾「あ、ありがとう、ございます……」
勇「……」
勇「それじゃ、綾ちゃんがここで、陽子ちゃんがあっちで」
陽子「うん、分かった!」
綾「え……え?」アセアセ
勇「綾ちゃん、モテモテね? 私と陽子ちゃんに挟まれるなんて」
綾「は、挟まれるなんて……そんなっ!」
陽子「おー、綾がハーレム? シノとアリスたちみたいな?」
綾「よ、陽子もおかしなこと言わないでぇ!」カァァ
勇「ふふっ……」
――忍の部屋
忍「……それじゃ、カレンはこっちで」
カレン「ハ、ハイッ!」
アリス「……」
アリス「シノ、カレンはここじゃちょっとシノから遠いんじゃないかな?」
カレン「……!」
アリス「た、ただでさえ、シノの部屋には、その――いろんな『モノ』があるわけだし」
忍「それもそうですね……」
忍「それじゃ、カレンはここで!」
カレン「――ハ、ハイ……」
カレン(ここ――シノが近いデス)
カレン(アア……)
アリス(――カレン)
アリス(モヤモヤしてるなら、ちょっとくらいはっきりさせたほうがいいかもね)
139 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:37:46.94 ID:g6trURcC0
それから、時間が経って――
――勇の部屋
陽子「……」スースー
勇「あら、陽子ちゃん。意外と早く寝ちゃったわね」
綾「……」
綾「よ、陽子は、ちょっと疲れてたみたいです」
綾「あ、朝に、ランニングしてきた、って言ってましたし」
勇「ふーん……」ニコニコ
綾「……」
綾(陽子のバカバカ!)
綾(い、勇さんと二人きりでどんなことを話せばいいのかわからないじゃない!)
勇「……綾ちゃん」
綾「は、はいっ!?」
勇「髪下ろすと印象変わるのねぇ……可愛いわ、そっちも」
綾「あ、ありがとう、ございます……」
勇「――ね?」
綾「はい……?」
勇「陽子ちゃんとは、どうなの?」
綾「」
綾(お、落ち着きなさい小路綾)
綾(何を言われたの、今? 陽子と私が、どうって……?)カァァ
綾「わ、私と陽子は、ですね! べ、別に、その――」
綾「お、おかしなことはなく、いえ、むしろ、普通過ぎるくらいといいますか……うう」
勇「――いい友達なのねぇ」
綾「そう、それです!」コクコクッ
勇「ふふっ……」
勇(物凄く顔が赤くなってることは言わないでおきましょうか)
勇「陽子ちゃんはね」
綾「……?」
勇「とても、可愛い子よ」
綾「はい?」
勇「小さい頃からよく一緒にいてね」
勇「シノともよく遊んでくれて……」
綾「……」
140 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:38:42.15 ID:g6trURcC0
勇「だから」
勇「――綾ちゃんも、そんな風に思ってくれてたら」
勇「私も、きっと陽子ちゃんも嬉しいだろうなぁって」
勇「なんて、ね」
綾「……」
綾「あ、当たり前、です」
綾「よ、陽子は――色々と困ったところもあるけど」
綾「……いい、友達です」
勇「ありがとうね、綾ちゃん」
勇「――さて、それじゃそろそろ寝ましょうか?」
綾「――あ」
綾「は、はい」
綾「お、おやすみ、なさい……」
勇「はい、おやすみ」
綾「……」スースー
勇(――まったく)
勇(どうして、シノの周りにはこんな可愛い子ばかり集まるのかしらねぇ……)クスクス
勇(――さてさて、シノの部屋はどうなってることでしょう)
――忍の部屋
忍「……」
忍「――ん」モゾッ
カレン「……」
カレン(眠れマセン……!)アセアセ
カレン(すぐ近くで、シノが寝息を立てている、それだけナノ二!)
カレン(うう……)カァァ
アリス「――カレン?」
カレン「!」
カレン「ア、アリス……?」
アリス「大丈夫? さっきからうんうん唸ってるけど?」
カレン「だ、大丈夫デス!」
カレン「け、決して、シノの寝息ガ――」
アリス「シノの……なに?」
カレン「――あ」
カレン「な、なんでもありマセン!」
アリス「……」
141 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:39:20.69 ID:g6trURcC0
アリス「――カレンは」
カレン「?」
アリス「シノのこと、『好き』なんだね」
カレン「……」
カレン「――ハイ、そうなのかもしれマセン」
アリス「そう、だよね……」
アリス「――シノ、可愛いもんね」
カレン「ハイ……」
カレン「正直、高校のどんな女子よりも可愛いデス」
アリス「同意するよ……同時に、何故か虚しくもなるけど」ハァ
カレン「ハイ……」ハァ
アリス「――カレン」
カレン「……アリス?」
アリス「私も――」
アリス「シノが、『好き』だよ」
カレン「……」
カレン「分かってマス」
カレン「――アリスは可愛いカラ」
カレン「きっと、もっと好かれるデス」
アリス「カレンだって、すごく可愛いよ」
アリス「――今だって」
カレン「……見ないで下サイ」カァァ
アリス「せっかく可愛いのに……」
142 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:40:10.07 ID:g6trURcC0
カレン「――アリス」
アリス「なぁに?」
カレン「私、日本に来て良かったデス」
カレン「アリスに会えて、シノとも出会えて……陽子やアヤヤみたいないい子にも会えテ」
アリス「カレン……」
カレン「なんだか――」
カレン「毎日がキラキラ、輝いてるみたいデス……」
――そう言うと、満足したようにカレンは寝息を立て始めた。
私はそのあまりの寝付きの良さに驚きながら、布団に潜り込んだ。
こうして、カレンと話しあえて良かった、と素直にそう思う。
「――温かい」
たしかに、カレンがシノに『好き』といったのは、ちょっと動揺した。
何故かわからないけど、たしかに。
けれど。
それを上回るくらいに、嬉しかった。
カレンは、日本での生活を心から楽しんでることが、恥ずかしそうな声音からひしひしと伝わってきたから――
「さぁ」
寝よう。
そして、また明日も――「おはよう」って言おう。
何もない毎日が、こんなに楽しくなるなんて、思わなかった、なぁ――
忍「……」パチッ
忍「――『好き』?」キョトン
忍「私は、二人とも好きですよー……」エヘヘ
忍「……」スースー
143 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/01(金) 01:44:06.98 ID:g6trURcC0
>>132
☓正体→○招待でした。
ここまでになります。
とても長くなってしまいましたね……
英国少女二人の会話により、ついに核心に迫ったか……と言いながら、次回からまたいつも通りの日常が始まる予定です。
好き、と「好き」は、何か違うと思うタイプらしいですね(意味不明)
色々と情報を入れ過ぎたので、読みにくかったかもしれません。
楽しんでいただけたら、非常に嬉しいです。
それでは。
もう放送が終わってから1ヶ月ほど経つんですね……。
144 :
sage
:2013/11/01(金) 02:15:33.29 ID:qqA2TQpx0
続きキマシタワーお疲れ様です。
読みながらニヨニヨしてしまう…次回も期待してまーす
145 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/11/01(金) 07:29:48.43 ID:Slgl14SCo
乙
待っててよかった…
146 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/11/01(金) 12:35:21.71 ID:0rQGtXelO
もう1ヶ月なのか...
ともあれ、乙
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/11/01(金) 21:46:48.18 ID:h1JyrG2fo
乙
148 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/11/01(金) 22:53:09.72 ID:xHAMSD5/o
まだかなまだかな
149 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/03(日) 01:34:22.03 ID:Q794O+aP0
――ここは、どこでしょう?
私は、草原に佇んでいます。
綺麗な草木が辺り一面を覆うこの場所は――
「……あれ、は」
目を凝らすと、二つの人影が見えました。
二人は、私の方へ向かって走っているようです。
揺らめく二つの金色は、私の目も、心も捉えて離しません。
「……!」
「――!」
二人は、何かを叫んでいるようですが、残念なことにその声は私には届きません。
とても可愛らしい声なだけに、意味がわからないことがとても残念です。
それにしても……ああ、なんて綺麗な金髪――
気がつくと、目の前の光景がちょっとだけ変わっていました。
私は、草原に寝かされています。
というより、押し倒されている、という方が正しいでしょうか。
上にいるのは――なんということでしょう。
「……シノ!」
「――シノ!」
ここが、天国なのでしょうか。
私の上にいるのは、なんと先ほどの二人の金髪少女。
吹き抜ける風が二人の綺麗な髪をはためかせ、幻想的な一瞬を見せつけます。
「……ああ、そうですか」
つい、独りごちてしまいます。
私は、この二人が――
「好き、なんですね……」
「――シ、シノ?」
150 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/03(日) 01:35:06.33 ID:Q794O+aP0
――大宮家・忍の部屋
忍「……あ」
カレン「ど、どうした、デスカ……?」アセアセ
カレン「顔、真っ赤デス」
忍「――あれ?」キョトン
忍「草木は? 風は……どこに?」
カレン「何、言ってるデス?」
忍「――あ、でも」
ギュッ!
カレン「」
カレン「シ、シノ……い、一体、ナニを?」
忍「えへへー」スリスリ
忍「金色は、ここにありました……」
カレン「シノ、くすぐったいデス……あの、ソノ」
カレン(あ、朝から一体、ナニがどうなってるデスカ!?)アセアセ
カレン「シ、シノ……!」
忍「――あ、そうでした」
忍「着替え、なくてはいけませんね……」
カレン「!?」
忍「……よいしょ、っと」プチッ
カレン(シ、シノ……む、胸元が、見えちゃってマス……!)
カレン(――以前、一度見たことありますが、本当に平らデス――)
カレン(じゃ、なくテ! こ、このままじゃ……このまま、ジャ)ブンブン
アリス「……うーん」
アリス「――ふぅ、今日もいい天気」
アリス「さて、二人、は……」チラッ
アリス「」
カレン「ア、アリス! た、助けるデス!」アセアセ
アリス「……シノが、カレンの、上に、乗って」ブツブツ
カレン「は、早くシテ!」カァァ
アリス「そっか、シノはそういう――」ハッ
アリス「ご、ごめんカレン! シノ、また寝ぼけてるでしょ!」グイッ
忍「……あ」
151 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/03(日) 01:35:37.63 ID:Q794O+aP0
忍「えへへ、ごめんなさい」ニコニコ
アリス「――はぁ」
アリス(……って、また胸元はだけてる!?)
アリス「と、とにかく! ちょっと廊下に出て、着替えて!」カァァ
忍「ええー……」
忍「――私、もっと二人と一緒に」キュッ
二人「……え(ハイ)?」
忍「でも、まずは着替えないとですよね」
忍「また、後で……ふふふ」ガチャッ
バタン・・・
カレン「……」
アリス「――カレン?」
カレン「ア、アリス? ちょっと目が怖いデス……」
アリス「シノと、何があったの?」ジーッ
カレン「……朝、起きたら、デスネ」
アリス「うん」
カレン「シノが、私に抱きついてきたデス」
アリス「うん……」
アリス「え?」ピクッ
カレン「何かうわ言のようなことを言いナガラ」
カレン「私に頬を、すり寄せテ……そ、それ、デ」カァァ
アリス「……」
カレン「『金色』がどうとか、草木とか風だとか……アリス?」
アリス「……」
アリス(実は、昨日私がカレンと話して、さぁ寝ようと思った時)
アリス(シノの所から何か聞こえた、気がしたんだ)
アリス(……好き)
アリス(そんな言葉だった、ような気がして……それで)
カレン「あぁ、どうしまショウ……?」
カレン(赤みがとれてくれマセン!)カァァ
アリス「……カレン」
カレン「アリス……」
152 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/03(日) 01:36:10.82 ID:Q794O+aP0
カレン「シノは、どうしちゃったデスカ……?」
アリス「――多分、なんだけど」
カレン「ハイ」
アリス「シノは、シノは……」
アリス「私とカレンのことが好きになっちゃったんだと、思うの――」カァァ
――数分後
忍「……」ガチャッ
カレン「あ、シノ。お帰りデス」
アリス「もう、シノってば……反省してる?」
忍「――」
忍「ご、ごめんなさい!」カァァ
カレン「わっ、シノ!?」ビクッ
アリス「……もう、寝ぼけた後はいつもこうなんだから」
アリス(――でも)
アリス(今日は、いつもよりずっと――)
忍「……カレン」
カレン「は、ハイ!」
忍「私のこと――嫌いになっちゃいましたか?」ウルウル
カレン「……ハイ?」
アリス(破壊力が、ありすぎだよっ!)カァァ
忍「私――昨日、気づいちゃったんです」
カレン「そ、それは、どういう……?」
アリス「――シノ」
忍「……」
忍「二人のことが、好き、だってことに」
カレン「……」
アリス「……」
153 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/03(日) 01:36:36.58 ID:Q794O+aP0
カレン「――シノ」
忍「は、はい!」
カレン「――私たちも」
アリス「シノのこと、『好き』だよ……」
忍「……」
忍「二人ともっ!」ダキッ
二人「わっ!?」
忍「えへへ……金髪少女、温かいです」スリスリ
カレン「い、いきなり抱きつかれたら……こ、困りマス……」
アリス「――シノも温かいよ」
忍「アリス、ありがとうございます……」
忍「えへへ……」
二人「……」
アリス(うーん……)
アリス(シノの好き、と、私たちの『好き』)
アリス(きっと、同じようで、ちょっと違う――いや、好きだってことに変わりはないし)グルグル
忍「アリスー……」
アリス「きゃっ!」
アリス(シノにこうやって抱きつかれると、凄く気持ちいいし……)
カレン(シノ……いきなり、どうしたデス?)
カレン(いつもこうしてスキンシップとることはありますが――今日はちょっと、情熱的というカ)
カレン(一体、どうしテ?)
忍「カレンの髪、サラサラですねぇ……」
カレン「シ、シノ! そ、そこ、くすぐったいデス……」ピクッ
カレン(デモ)
カレン(――今は、このままでも)ギュッ
154 :
◆jOsNS7W.Ovhu
[saga]:2013/11/03(日) 01:37:29.27 ID:Q794O+aP0
カレン「――シノ」
忍「は、はい!」
カレン「――私たちも」
アリス「シノのこと、『好き』だよ……」
忍「……」
忍「二人ともっ!」ダキッ
二人「わっ!?」
忍「えへへ……金髪少女、温かいです」スリスリ
カレン「い、いきなり抱きつかれたら……こ、困りマス……」
アリス「――シノも温かいよ」
忍「アリス、ありがとうございます……」
忍「えへへ……」
二人「……」
アリス(うーん……)
アリス(シノの好き、と、私たちの『好き』)
アリス(きっと、同じようで、ちょっと違う――いや、好きだってことに変わりはないし)グルグル
忍「アリスー……」
アリス「きゃっ!」
アリス(シノにこうやって抱きつかれると、凄く気持ちいいし……)
カレン(シノ……いきなり、どうしたデス?)
カレン(いつもこうしてスキンシップとることはありますが――今日はちょっと、情熱的というカ)
カレン(一体、どうしテ?)
忍「カレンの髪、サラサラですねぇ……」
カレン「シ、シノ! そ、そこ、くすぐったいデス……」ピクッ
カレン(デモ)
カレン(――今は、このままでも)ギュッ
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