過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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806:名無しのパー速民[sage saga]
2018/10/30(火) 23:45:43.17 ID:Fe/MllEZ0
>>805

【――あるいは、彼女が十全な精神状態であったなら、聞くはずもない甘言だった。そもそも、そうでなければ投げかけられる必要もまた、ないのだろうけど】
【だめな子。いらない子。言われたくない。思われたくない。理屈の分からぬ不安。その気持ちがどこから来るかさえ分からなかった。どこかで誰かと居たかった】
【改めて嫌われてしまうのが怖いから、最初から好き勝手に振る舞うようにしていた。触れ合う前に嫌われる方がましだから。だけど本当は誰にも嫌われたくなくって】
【必要とされていたかった。そのためなら痛くても苦しくても我慢出来た。誰かに非道いことをするのも当たり前に出来た。だってそれが正しいから。自分は正しいから。だから】

【――――――――、それでいて、ほんとは、何にも成し遂げてやこなかった、って】

【だから囁かれる肯定に甘える、ぎゅうっと抱き寄せられた身体に子供みたいに抱き縋る、――本来抱きしめてくれるはずの人は、今、怖くてしかたがないから。嫌われたくないから】
【そう言い訳して見ず知らず――彼女はそう思っている――の他人に甘えるんだろう。だって、知らない人に嫌われても哀しみと痛みは少なくて済む、そうやって必死に唱えて】

――――――――――――っあ、

【ぎくりと身体が強張るのだろう。何か怖いものに関連する言葉を言われたみたいに、――そしてまたそれが正解なのだろうから】
【くだらない戯言だと笑い飛ばす選択肢は見失ってしまっていた、それよりよほど抱きしめられた体温の方が重要な意味を持ってしまっていた、なら】
【――華奢ではあるがよほど細くはない。身長も高い方であるなら、体重は軽めでありながら平均的の範疇、暴れはしないけれど、どうだろう】
【それでもマリアベルが少女を抱き上げようとするなら、彼女は従うのだろう。あるいは従わされる。甘言と肯定と体温が警戒なんてものは蕩かしていた】

みんな……みんな……? ママも、パパも、爽ちゃんも、居る……? マルフィクさんも、ウリューも、みんな、居るの……?

【――――ならば、相手の力さえ伴えば、彼女はむしろ抱き上げやすいように身体を預ける、そうやって抱き上げられること、すっかりと慣れているみたいに】
【まるで寝言のようにぼんやりとした声がささめいた、だからそれが"壊れて"しまった人達なのだと伝えた、――特に後者については、やはり、件のカルトに関わる人間の名であるから】
【今の少女にはよほど目の前の光景より、現実の実質より、居なくなってしまった誰かの方が重要な意味を持つらしかった、――それとも、涙に関係する事柄なのか、】

【どちらでもある、というのが、正解なのかもしれないけど。――とにかく彼女は相手に身体を委ねたままだった、その体温に縋るみたいに、その肩口に、顔を埋めようとして】


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