過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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248:名無しのパー速民[sage saga]
2018/08/14(火) 21:40:37.22 ID:wMen6OU80
>>247

【かすかな沈黙に、きっと彼女の嗚咽だけが響くのだろう。肩を震わして小さな吐息を漏らす。めいっぱいに抑え込もうとすればするほど、声まで跳ね上がって】
【色鮮やかな蛇が刻まれた左手に縋りつくかのように指先を這わせた、まるでその場所だけは自分自身ではないかのように、そこのみが正しいものであるかのように】
【そしてきっとその通りなんだろう。どこまでも鮮烈に蛇を信じていた自分が正しいんだから、――その証明である左腕だけが彼女にとって最後の縁であるに違いなく】

【――だけれど、】

――――――――――――――――――――――――、私を呪っていたのは蛇じゃなかった、と、言われて。

【俯いたなら、短い髪がそれでも顔を隠しこむ。その程度に使うのなら十分な長さがあった、だからこそ、食いしばるような口元だけが色鮮やかに覗き】
【右の指先が左手の甲を撫ぜる、ひどく優し気に慈しむように。大事な家族にするような。長い付き合いのペットにするような。あるいは愛し合う誰かにするような、手口】
【すらと指先を伸ばしたならそこに蛇が居るのと相違ないほどに精巧であったから、――次の刹那に恋人繋ぎのように指先同士を絡めるのが、いっとう、よく映え】

…………わからないです、わからない……、どうしたら、――……。こんな私……、ただしくない……。

【ならばその手遊びも誰かとの行為の写しに違いなかった。誰かの指先を思い浮かべて絡めているに違いなかった、貪られる獲物のように、蛇は散らされて】
【だから祈るような仕草で絡めた両手を顔に寄せる、蛇の頭に額を寄せて、頬を寄せて、唇まで寄せても、答えはきっとなんにも見えてこないなら】
【もう一度ただ信じていられるだけの答えを知りたいに違いなくて。――あるいは"そう"じゃないとどんどん正しくなくなる自分が、怖くって仕方がないように】

どうしよう……。――私、わたし……どうしたら……、だって……、生きているのに、私は――、私が……。
こんな私じゃ……みんなに顔向けだなんて……。ウヌクアルハイ様を取り戻さないといけないのに……、でも、どうしたら……。
だから……、――だから、だから……、教えて、ください……。私は、どうしたら……。どうしたら、叶うの、――私は、

――私、空っぽじゃないのに、でも、わからなくって、……、どうしよう――――。

【あるいは。不要だと断ぜられるのが恐ろしいのかもしれなかった。だのに、元に戻るための方策など知らないのだろう、あるいは、分からなくて】
【前みたいにただ信じ続けることが出来なくなってしまった――それは何が原因というよりか、全部の出来事が、噛み合ったのなら】
【それこそ――ずっと昔から少しずつ分からなくなっていたのに、違いなかった。そのくせに何もかも捨てていけない、そこまでは変わっていないとくれば】
【――断末魔に似ているのかもしれなかった、あんまりに無惨に引き裂かれる瞬間に聞こえる、何もかもが張り裂けるときの音にも、きっと似ている】


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