過去ログ - 【叫ぶような声も】能力者スレ【無痛になっていく】
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19:名無しのパー速民[sage saga]
2018/08/09(木) 19:00:15.66 ID:xSkVyWoQ0
>>18

【抱き留めるなら暖かいんだろうか。吐息のたびに胸元が膨らむんだろうか。それが虚構じゃないっていう証拠はなくて、ああでも、けれど、】
【彼女はずうっと人間じゃなかった。ヒトじゃないくせにヒトのフリをして生きてきた。だからへし折れてしまった。こんなところまで来てしまって】
【見やる地平線はどこまあでも続く空と地面の平行線を示す、ならどうしたって交じり合えない真ん中に居るのを嫌でも意識させられ】

――――あのね、お外に行ったの。"普通"をしてみたくて。……楽しかったよ。だけどね、みんなに返してあげた。
ヤサカさんに見つかっちゃったし――、――。それに"あれ"はやっぱりわたしのものじゃなくって、
わたしはずうっと欲しかったんだけど、みんなにとっては、そんなの、全然、特別でもなんてもない、"普通"で――だから――。

【問われたなら、少女はゆるりと視線を遠くへ投げかける。拡がってしまった彼女は時々、誰にも気づかれずに、世界へ降りていた】
【そのくせ誰に名乗るでもなく、丸投げしたすべてを回収するでもなく、ただ、ただ、――神様の力を悪用するみたいに、ただ、ありふれた、日常を、眺めていた】
【だけどきっともうするつもりはあんまりないんだろう。そうやって垣間見た普通はあんまりに普通過ぎて。世界には溢れてるんだって気づいてしまって】
【楽しかったけれど、――自分にはそのただのひとかけらすらなかったんだから、と。彼に見つかってしまったのもそうだって、理由の一つにしてしまう、言い訳みたいに】

【――それだって、自分から見つかってしまったような、ものだったんだけど】

……知ってた。でも、ね、――"わたし"は、うんと怖い、蛇の神様だから。……。……うれしかった、すこしだけ。
だけどね……出来ないよ。わたしは人間じゃないんだから。"生まれたときから人間じゃないの"。でも。

みんなに怖いって嫌いって思われるより――名前を呼んでもらえるなら、それが、いいな……。

【知ってたよって笑う。怒ってはいないみたいだった。あんまり嫌だったって様子でもなかった。今の自分は、――蛇という単語に紐づけされたものであるなら】
【よい感情が向けられているとはあんまり思えなかった。それに信者だってほとんどいなくなってしまったんだ。そうして聞こえて来るいっとう大きな声には、無視される】
【話しかけてくる癖に自分のことを大嫌いな女の子。――どうしようかなって思っているけど、それだけだった。だってどうしようもできないんだから。それならば、】
【自分の名を呼んで。人間に戻したいと言って。頑張ってくれる子の声の方が聞いていたかった。――そうはなれないけど。なれないんだけれど。でも、】

――――――戻るよ。でも。

【――――(その先はまだ口にはしなくて、だけど、きっと、どこかで予感させる。だってあんなに言っていた、彼女はすでに何度だって主張していたなら)】

――――――――――――――――夕月ちゃんは、どうしたの? こんなところ。退屈なの。誰も来てくれないんだから。……。
いっしょに遊ぶ? おしゃべりする? あのね、砂粒を数えるのも飽きちゃった。だから……。

【話題を変えるみたいな間があった。ぎゅうっと抱きしめていたのをそのままに、二人で、一緒に、茫漠をそのまま砂粒にしたみたいな砂漠に、身を委ねようとする】
【それならどこかで嬉しそうに見えるのだろう、それなら言葉通りだった。退屈していたに違いなかった。一緒に遊んでおしゃべりしようって誘う、ここに来られるなら】
【"わたしたち一緒でしょう?"――そうやって、言葉の外側で尋ねるみたいに。自分で引き摺りこんだくせに、どうしてこんな場所まで来られたの、って、尋ねるみたいに】
【――確かなのはただずうっと優しかった。ひどいことなんてしないし言わないような顔と声をしていた。だからなんだって吐き出してしまっても、いいのかもしれなくて】


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