過去ログ - 【Fifth】幻想的な画像に設定足して世界作ろうず【Genesis】
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名無しのパー速民
[sage]
2018/08/06(月) 19:14:48.10 ID:rRX7Odsf0
「私にお任せ下さい。 ああ、その間、ノウンさんは耳を塞いでて下さいね」
そう言うとクラミエールは一歩前に進み出る。
訝しみつつも、ノウンは言われた通りに耳を塞ぐ。
広場の喧騒がいくらか遠退く。
ノウンが耳を塞いだのを確認すると、クラミエールは正面に向き直り、大きく一呼吸。
広場全体に届くような声で言葉を紡いだ。
「我が愛する天人同胞の諸君。 今すぐ矛を納めなさい。 私は争いを好む者ではありません。
兵士、信徒の双方は即刻、全ての戦闘行為を停止し、負傷者の救助に当たりなさい。
市民の皆さんは各々の家路に付き、今日一日を家族と共に過ごしなさい。 これは“命令”です」
そう彼女が発した“命令”によって、まるで波が引いていくかのように広場の混乱は収束していく。
皆が一様に「ああ、そうしよう」とか「クラミエール様の言う通りだ」等と口にしつつ、銘々にクラミエールの命令通りに行動を始めた。
言われた通り耳を塞いでいたノウンも何やら意識がふわふわとした気分だったが、クラミエールの声掛けで我に返る。
「ノウンさん、大丈夫ですか」
「え? あ、はい!」
その場で呆けていたノウンの元にクラミエールが近寄り、肩に手を添える。
クラミエールの長く艶のある髪が太陽に照らされ、より一層煌めいて見える。
一気に意識を覚醒させたノウンに対し、クラミエールは尚も心配そうな表情で彼の顔を覗き込む。
「すみません、 大きな声を出してしまって。 耳を塞いでいても少し効いてしまったんですね」
「キいて……? クラミエールさん、この状況はいったい? どうして皆、こんな……」
「あっ、ノウンさん。 あそこの衛兵を撃って下さい。 あの指揮官風の男です」
ノウンは目の前の光景を信じられないといった様子で眺め、クラミエールに状況説明を求めたが、
当の彼女はノウンの言葉を遮り、自分たちの眼下、斜め前方で周囲を驚きの表情で見回す中年の指揮官風の男を指差す。
撃つよう言われたノウンはまるで状況が飲み込めないままだが、とにかく敵戦力の無力化の為にと、引き金を引いた。
弾丸は指揮官風の中年兵の右の脇腹付近に命中し、中年兵は成す術無く崩れ落ちる。
だが周囲の衛兵は、その場で小さく呻きながらのた打ち回る中年兵を手当するばかりで、彼を撃ったノウンには目もくれなかった。
それどころか、衛兵や信徒の中にはクラミエールの停戦命令を無視した発砲に気を止めた様子が一切無かった。
皆一様に、クラミエールに言われた通りに怪我人の手当や家路を急ぐばかりだ。
まるで割り振られた役に徹する役者のようだ――目の前の異常な光景にそんな思いを馳せるノウンの心情を察してか、
傍らに立つクラミエールが自嘲気味な表情で語り掛ける。
「異様な光景でしょう……私が命じてしまうと、多くの人がそれまでの行動の一切を投げ出してでも、それを実行に移してしまう。 正に呪いだわ」
恐らくは過去にも同じ出来事があったのだろう。
何かと重ねるような視線を眼前に向けながらクラミエールはそう言った。
ノウンは彼女に何と言えば良いか分からず、唯その端正な相貌を見詰めるしか出来なかった。
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