過去ログ - 【浮かれた】幼なじみのお部屋で寝落ち・・・13回目【大学生】
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343:さや ◆0j8YIq7DEniB[sage]
2015/06/05(金) 21:10:23.86 ID:m1P9ebN2o


そんな談笑にもきりがついた所で、私たちは先にお暇することにした。
燃え上がっていた室内とは違い、外は一段と冷え込んでいる。
これは早く手を温めないと…なんて、あざといと言われそうな考えを思案していると、話題を振られた。

「忘年会行くんだってね」
「あ、うん。誘ってもらえて」

ぱぁっと晴れやかな笑顔になり、実感のこもった声で彼は言う。

「そっか。安心した」
「…?」

何に対して安心なのかわからなかったけど、私の事で笑顔になる彼を見ると、気恥ずかしくなって顔を背けた。

そんな温かい気持ちもすぐに冷めてしまう。

「クラスの方は?」
「…あー、うん、あるみたいだけど…」
「…行かないの?」
「行かないよ…」

一応誘われはしたけど、断っていた。
もうああいうのは懲り懲りだし…。

答えると、先ほどのいい笑顔は消えてしまった。
安心とは反対の、心配した表情をしている。
やはり、しょうちゃんはまだ納得できていなかったらしい。
そんなに心配することなんかないのに。

「あの…別に、心配いらないからね」
「けど…」
「サークルの人みたいによくしてくれる人もいるし、仕事も楽しいし、それに…。だから、十分だよ」

クラス1つなんて些細な事で、恵まれすぎなくらいに多くのものを私は持っている。
すべてをうまくやる器用さもない私には、多すぎるほどだ。

「…でも、さやには普通にしててほしいんだよ」
「普通って言われても…」

そう答えながらも、先日感じた違和感が少しわかった気がした。
人間関係について、しょうちゃんは結構弁えた考え方をしている。達観しているとも言える。
そのしょうちゃんが、みんな仲良くなんて言ったのは、そういうことだったのだ。
普通に仲良く、浮かないように、人と違わないように。

普通でいて欲しいと言うのなら、私にとっての普通とは。

「……じゃあ、ずっと一緒にいるのが普通って言うのは、だめ?」

そっと手を握り、そんなことを代わりに言ってみせる。
これこそあざといのだろう。
意識して、わざと話をすり替えている。

「…恥ずかしい事言うなぁ」

そうして手を握り返してくる彼の表情は、顔を背けていて私からは見えなかった。



普通にしてほしいという願いは、私の事を考えてくれた彼の気持ち。
それは、ともすれば彼自身の切実な願いでもあり、2人にとって目を逸らしてはいけないことだった。


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