暇なおっさんのSS図書別館
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11:意外とよく死んだ(笑)記憶が…[sage]
2022/07/20(水) 22:40:00.61 ID:GSa3xBPDO
84: 里奈・10 [sage] 2021/04/20(火) 21:35:50 ID:98Q7dT0k

「つ、着いた…」
「何とか、ね」
今さっき二人してこの島からの脱出を決意して、その後わずか数十分も経たぬ内に
二人はその見通しの甘さを思い知る目にあっていた。
「あんだけ見た目頑強そうな陸橋が、まるでカステラやケーキが崩れるみたいに簡単に…」
「あ、いいわねその例え方!…てダメよ!?余計お腹減っちゃうわ!」

(余裕あるな、コイツ…)

「とりあえず、ヘリポートがある羽月ビルへは何とかたどり着けたみたいだがな」
「そうね…」

里奈はあの二人は既にこのビルの屋上へ向かったのだろうと、EVや階段の位置を探し見る。
「あ、おい!こんだけの地震続きなんだ。EVとか逆に動いてても乗るなよ」

「うん、分かってる。それに乗る…じゃなくて。カゴの落下とか、下から覗いてる内に落下してくるカゴに潰される
みたいな心配してて…」
「悪い。お前の方のが危険な目に遭ってきた大先輩だったな」

「あなたも「危険」だったけどね」
「わ、悪い……」
(あ、素直だ)
「…冗談よ、今更。ま、あの二人に会ったら、その辺りは上手く誤魔化しておいてあげるわ」

「助かる。あ、いや実際悪さしたし、悪者としての罵倒は、それなりに受け入れざるを得ないが」
暴徒だった男が、里奈の言葉を聞いて自身の贖罪の意思と言葉を出したが
逆に里奈はそれを一蹴した。

「な〜んか変に負い目を感じてるようだけど」
「?」
「私、いや「私たちは単なる震災の被害者」よ」

「…え?」
「この島での一番の「悪者」はね、あなたではなく、みんなを不幸な目に追いやったこの大地震よ!」
里奈は叫ぶとした程ではないにせよ、男に向かって大きな声で力強く告げた。

「今は目の前の危機を乗り越える事だけを考えて。私とあなたとは、立場は対等。
そしてお互いに生き延びる約束をした仲間よ」

(これの、これのどこが「弱い女」なんだよ。マジ敵わねえなぁ。…本気で惚れそうだわ)
男の中での里奈に対する評価は、もはや単なる信頼より遥かに高いものに成りつつあった。
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