13:名無しのパー速民[saga]
2020/12/18(金) 17:16:13.30 ID:x94Z/eLdO
「お前、志望大学はどこだ」
「いや、あの、はい」
地元の国立です、とは言えなかった。言ったら「お前そんな低い志で姉ちゃんのリベンジできんのか」と怒られそうな気がした。
「阪大か」
「ああ、はぁ、まぁ」
「頑張らないと厳しいぞ」
厳しいも何も目指してないんですが、とももちろん言えない。冷や汗をダラダラ流してた。というか、なぜ俺が弟だということを知っているのかも謎だった。
「一年の時の成績を見たけど、お前は典型的な文系だな。国立目指すなら理系科目もちゃんとやれよ。赤本はまだ解かなくていいけど、最終的にこのレベルの問題を解けないといけないことは理解しろ」
そう言って、机の上の赤本を押し付けられた。学校から貸し出される赤本だと、通常は「〇〇高校」のスタンプが押されているのに、それには何もついていなかった。
「それは俺が買ったやつだ。お前にやるから、ちょっとやってみろ」
そう言うと「あと二年、俺がお前を伸ばしてやる」とちょっとかっこつけて先生は笑った。
「先生、俺の授業受け持ちじゃないじゃないですか」とも、俺は突っ込めなかった。
ちなみに、俺が弟だということは、受験結果が出た後に先生から姉に確認が入っていたらしい。同じ苗字が何人かいたから、学生証の写真を見せられて「どれがお前の弟だ」って聞かれたと笑いながら電話で教えられた。
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