ひまなおっさんの雑記帳
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43:名無しのパー速民[sage]
2021/03/09(火) 19:00:21.52 ID:cPaWSxZDO
置いとくww好きなんだわ、F@te…
それで終わり。
そこから先などない。
英雄と呼ばれようと、そいつのやる事は変わらない。
もとより、そいつの目的は英雄になんてなる事ではなかった。
ただその過程で、どうしても英雄とやらの力が必要だっただけの話。
だっていうのに、終わりは速やかにやってきた。
傑出した救い手など、救われる者以外には厄介事でしかない。
そいつは自分の器も、世界の広さも弁えている。
救えるもの、救えないものを受け入れている。
だからこそ、せめて目に見えるものだけでも幸福であって欲しかったのだ。
それを偽善と。
狭窮な価値観だと蔑む者も多かったけど。
それでも、無言で理想を追い続けたその姿は、胸を張っていいものだったのに。

「打ち砕かれよ。
敗れた者。老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に
従え。
休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、
あらゆる重みを忘れさせる」
「装うなかれ。
許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を」
「休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう
永遠の命は、死の中でこそ与えられる。
――許しはここに。受肉した私が誓う」
「――“この魂に憐れみを”(キリエ・エレイソン)」

それは不器用で、見ていてハラハラするほどだ。
けれど最後にはきちんと成し遂げて、その度に多くの人たちの運命を変えたと思う。
控えめに言っても、それは幸福よりだったろう。
不器用な戦いは無駄ではなかった。傷ついた分、死に直面した分だけきっちりと、そいつは人々を救えていたんだから。
……けれど、そこに落とし穴が一つある。目に見える全ての人、と言うけれど。
人は決して、自分を見る事だけはできない。
だから結局。
そいつは一番肝心な自分自身というやつを、最後まで救えなかった。

正義の味方などいない。
おまえの理想は偽りだと、誰よりも思い知った心で、その心を叩き伏せた。
歪だった心は耐え切れず崩壊する。
少年が、己が矛盾に食い殺されるのは明白だった。
だが、屈する気配など何処にあるのか。
綻びた肉体、解けようとする精神を抑えつけて剣を握る姿に、一辺の偽りもない。
鬩ぎ合う剣戟の激しさは、今までの比ではない。
少年はがむしゃらに剣を振るう。
拮抗する両者の剣戟。
空間は火花に満ち、立ち入るモノは瞬時に切り刻まれる。
それは、反発しあいながらも溶け合う、両者の心の具現だった。
刮目(かつもく)し覚悟せよ数多の残骸。
汝等が目にするは目映(まばゆ)い剣。
紺碧と白銀に戦装束に身を包んだ、汚れなき理想の具現。
――ここに。
終わりにして絶対不落の、真なる守り手が存在する。
「――貴様等が何物であるか、是非は問わぬ」
「立ち去れとは言わん。
ここは我が主の望みにして、我が信念を叶える場所。
その怨嗟が、この希望を望まぬというのであれば、互いの立場は明確だ」
「……ここは未来を重んじる者のみが至る梯子だ。私にも、貴様等にも踏みいる余地はない。
それを傲慢と呪うのならば――」
「いざ、死力を尽くして来るがいい。この剣にかけて、貴様等の挑戦に応えよう――!」


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