97:名無しのパー速民[sage saga]
2019/04/21(日) 02:54:47.13 ID:Nzsdb6a90
>>96
【ここまでの会話で、なんとなくではあったが――イストもポールの身の上を多少、読み取ろうとはしていた】
【他者に手を差し伸べる優しさを感じつつも、同時に荒事に慣れていそうな雰囲気は確かに感じ取っていたのである】
【そんな彼の瞳に滾る炎を、イストは静かに見据えていた。なによりも尊い宝物を見るような目で――】
そっか、それは残念だ。
けれど……キミがその"覚悟"を貫き通した果てに安寧を得られることを、わたしは心から祈るよ。ポール。
【イストは最後まで目を逸らさないままに、ポールの"覚悟"を聞き届ける。ふと、夜空を見上げて】
【彼にささやかなエールを送るのだった。それぐらいしか、いまは出来ることがなかったから】
【――黄金のように価値あるものでも、誰かに胸を張れるものでなくてもいい】
【彼の物語の最後のページに、輝かしい未来が記されることを祈って。最後に、目を伏せるのだった】
わかったよ、もう遅いしね。名残惜しいけど今日はここまでだ。
ふふっ――思えば、湖の怪異を探し求めた森の奥で、血みどろ男と語り合うなんて。
これはこれで、大いに"怪異的"な夜だったと思わない?
【ポールから器と一緒に別れの言葉を受け取ると、イストは心底残念そうに眉を歪めたが、やがて自らも立ち上がった】
【いたずらっぽく目を細めて怪しく笑うその顔は、最後まで飄々としつつも、優しいものであっただろうか】
ああ、ありがとう。縁があったら遊びに行かせてもらうよ。
治療代はいらないから、ご飯でもおごってくれると嬉しいかな。
……それじゃあ、また会おう。
もちろん、力の使い道には気をつけるさ。ふふふ、血みどろで森を彷徨う羽目になるのは嫌だからね!
【ショップカードを懐に仕舞うと、月明かりに照らされたその背中に下らない冗談を投げかける】
【そして、再び森に静寂が満たされたなら――あの冊子の新しいページを開いて、早速とばかりに筆を執るのである】
【書き記すは今宵の出会い。湖畔で飲んだ粗茶の味と、ポール=ベイクドバットの"怪異譚"――】
/お疲れさまでしたっ!
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