86:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(岐阜県)[sage]
2019/04/20(土) 21:51:11.54 ID:t6lvAVAb0
>>85
【女の表情に躊躇いはなかった。静寂が支配する夜の森でなければ、声に気づかずそのまま湖に突っ込んでいったかもしれない】
【だが実際には男の介入が間に合った。女はブーツが濡れるのも構わず歩を進め、膝まで浸かったところで、「おや?」と呟いて振り返り――】
………ええ!?
なんだなんだ! 入水自殺した自殺者の亡霊かなにか? それとも落ち武者とか!?
【男があまりに傷だらけだったので、女はそちらを幽霊かなにかと誤解したようである】
【しかし、それで逃げるでも怯えるでもなく。なぜか目を輝かせて男に近づき、至極失礼な台詞を浴びせるだろう】
【その様子を見るに……とりあえず、男が危惧したような意図で湖に入ろうとしたわけではないらしかった】
うわ、それにしてもひどい怪我だね。
一応応急処置用のキットは持ってるけど……幽霊に治療とか、意味あるのかな?
キミ、そこんとこどうなの?
【そちらに駆け寄った女は、興味津々といった様子でまじまじと男の全身を見つめ始める】
【そして迷った末に腰元のポーチから治療用具を取り出して、どうしたものかと首を傾げるのだった】
【……男が普通の人間であるのなら、とりあえず誤解を解くところから始めないとどうにもならなそうである】
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