79:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2019/04/14(日) 01:42:14.97 ID:3+hDHB7T0
【静寂が帳を下ろす夜の公園】
【日の下に見せる顔とは違い、そこに人を向かい入れるような雰囲気はない】
【だが今その闇の中に違和感を浮き上がらせて、少女が立っている】
【だらりと力なく垂らされた右手に握られた刀だけが、まるで闇の住民である証のようだった】
【風のない闇に長い銀色の髪が撫でられる】
【右側頭部の高い位置で三つ編みに編まれた髪が風を探すように、だが揺れることなく佇んでいる】
へぇ〜、こっちにもあんたみたいな奴っていたんだ。
【銀髪の少女の顔がいびつに歪む。口角が釣り上がっている】
【少女の目の前にいるのは巨大な犬のような…狼のような】
【だが唸っているように見えて一切声のようなものは発さず】
【双眸の眼窩に溢れそうに留まっている赤は実際に血なのか、視覚の機能を有しているのか判断つかない】
【それは闇が動物の形を模して形取っているだけのなにかだった】
【少女と闇が動いたのは同時だった】
【動物を模した闇は力強く走り、少女は自重を推進力の所以とする古武道に継承される動きで互いの間にある空間を潰合ってしていく】
【闇が一際大きく跳ねその漆黒の牙が少女の首元に届かんとしたとき、刀身が間を割って入り込みその進行を防ぐ】
【闇の方へと踏み込み、身体を入れその脚を軸足にすることで反転し、闇の力を受け流し進行方向へと切っ先を向けることで】
【闇は自らの力で前方方向へと身が流されていく】
【相手に力を加えられることなく自身の行動を制されるので、そのことに理解するのに反応が遅れる】
【だが、その身体能力を以て空中で捻りを加えながら反転し、後方の相手の方に向き直りつつ着地を決める】
遅イッッ!!
【闇が相手の姿を捉えたときにはもう既に必中の、必殺の間合いだった】
【闇は反射のように地を蹴っていた】
【二つの影が交差する】
【少女が落とした腰を通常の姿勢に戻すと顔には黒い何かがベットリと付いていた】
【口端をぺろりと舐めながら刀身を腰の鞘へと収めていく】
フフ
【笑い声が漏れていた。脚が公園の出口へと向かっていく】
1002Res/2899.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20