43: ◆Kh0dBGYsiPBw[sage saga]
2019/03/26(火) 21:46:19.57 ID:sOeATM5R0
【路地裏】
【昼夜問わずほの暗いその空間に微かに鳴ったのは、硝子製の何かが割れる音】
【ややあってそれを踏み砕く音が鳴れば】
…………ッ、ぐ……うぅ……がァ……
【若い女の呻き声。一つ響いて】
【白い少女、だった】
【月白色の肩まで伸びた髪に襟も装飾もないシンプルなデザインの白いワンピース。それ以外は何もない。足だって裸足で】
【金色の瞳。ひどく濁っていた。その下には隈が出来ていて】
……ひ……っ、ギ……っあ……っ
【苦し気に吐かれる息。ぶわり、と少女の身体から赤黒い光が沸き上がり、その全身を覆って】
──────ッ!
あ゙ぁ゙ぁ゙ぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァあぁぁぁ!!!!!
【ぎしり、とその金色の瞳が大きく見開かれたと思えば咆哮】
【瞬間、少女の頭頂部から髪と同じ色をした猫の耳が飛び出し、ワンピースの裾からも同じ月白色の猫の尾が飛び出て】
【その尾が狐のそれのように大きく膨れ上がる】
【尾の膨張は更に続き、やがて破裂するかのように二本に裂けて】
【少女は汗で顔に張り付いた髪を除ける事すらせず、荒く呼吸を繰り返し】
【片手の中、鋭い氷柱を一本生成して】
【震える息を大きく長く吐き出せば赤黒い光は二本に裂けた尾の片方へと移動し始め、やがてその全てが尾の一方へと纏わりつく】
【尾の一本がそう成り切ったならば少女は赤黒く光る尾を掴み、その根元目掛けて持っていた氷柱を振り下ろして】
【そのまま振り抜けば尾を掴んだ手でその赤黒く光る尾を千切り取ってしまい、地面へと放り投げる】
【次第に光を失っていく千切れた尾】
【少女は自分の方に残った尾の断面へと触れて凍らせるとふらり、と踵を返し】
……これ、で……やっと……眠れ、る……
【覚束ない足取りで何歩か進んだかと思えば、がくり、とその場に倒れてしまう】
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